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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129282
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】水栓用ロックナット及び水栓装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 37/10 20060101AFI20240919BHJP
   E03C 1/042 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
F16B37/10
E03C1/042 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038383
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武藤 弘輝
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA03
2D060BA05
2D060BB01
2D060BC00
2D060BF03
(57)【要約】
【課題】水栓本体の天板への固定を簡便かつ適切に行うことが可能な水栓用ロックナットを提供すること。
【解決手段】天板Bの上部に設置される水栓本体2の、天板Bの取付孔Hを通って下方に突き出る取付脚3との螺合により水栓本体2を天板Bに固定する水栓用ロックナット10は、互いを取付脚3に螺合させるように閉じ合わせたり取付脚3の脚径よりも広がるように開いたりすることが可能な一対の半割ナット11,12と、一対の半割ナット11,12同士を閉じ合わせた状態にロックすることが可能なロック具13と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板の上部に設置される水栓本体の前記天板の取付孔を通って下方に突き出る取付脚との螺合により前記水栓本体を前記天板に固定する水栓用ロックナットであって、
互いを前記取付脚に螺合させるように閉じ合わせたり前記取付脚の脚径よりも広がるように開いたりすることが可能な一対の半割ナットと、
一対の前記半割ナット同士を閉じ合わせた状態にロックすることが可能なロック具と、を有する水栓用ロックナット。
【請求項2】
請求項1に記載の水栓用ロックナットであって、
一対の前記半割ナットが、互いに分離されており、
前記ロック具が、一対の前記半割ナットの互いに閉じ合わされるように突き当てられる各端部同士を各前記端部間に跨る閉じ合わせ方向の差し込みを伴う締結により閉じ合わせた状態にロックする差込み式の締結構造を有する水栓用ロックナット。
【請求項3】
天板の上部に設置される水栓本体と、該水栓本体の前記天板の取付孔を通って下方に突き出る取付脚との螺合により前記水栓本体を前記天板に固定する水栓用ロックナットと、を有する水栓装置であって、
前記取付脚を通って下方に延び出る第1配管と、
該第1配管の前記取付脚から下方に延び出た先から前記取付脚に再び通されるように曲げ返される又は湯水の供給配管に接続されるように延びる第2配管と、を有し、
前記水栓用ロックナットが、互いを前記取付脚に螺合させるように閉じ合わせたり前記取付脚の脚径よりも広がるように開いたりすることが可能な一対の半割ナットと、一対の前記半割ナット同士を閉じ合わせた状態にロックすることが可能なロック具と、を有する水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓用ロックナット及び水栓装置に関する。詳しくは、天板の上部に設置される水栓本体を天板に固定する水栓用ロックナット及び水栓用ロックナットを備える水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、洗面化粧台やキッチンの天板上に水栓本体を固定するための水栓用ロックナットが開示されている。この水栓用ロックナットは、天板に穴あけされた取付孔に上方から差し込まれる水栓本体の取付脚に天板の下側から締結される。
【0003】
この水栓用ロックナットは、その周方向の一部に切欠きを持つCリング形状とされている。それにより、水栓用ロックナットは、水栓本体の取付脚から延び出る湯水の供給配管や配線等の長尺物に先端側からでなく、切欠きのある横側から通して、取付脚に簡便に締結できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-47331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成では、水栓用ロックナットの周方向の一部に形成される切欠きからでは、管径の大きな配管を通しにくいという問題がある。そこで、本発明は、水栓本体の天板への固定を簡便かつ適切に行うことが可能な水栓用ロックナット及び水栓装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の水栓用ロックナット及び水栓装置は、次の手段をとる。
【0007】
すなわち、本発明の第1の発明は、天板の上部に設置される水栓本体の前記天板の取付孔を通って下方に突き出る取付脚との螺合により前記水栓本体を前記天板に固定する水栓用ロックナットであって、互いを前記取付脚に螺合させるように閉じ合わせたり前記取付脚の脚径よりも広がるように開いたりすることが可能な一対の半割ナットと、一対の前記半割ナット同士を閉じ合わせた状態にロックすることが可能なロック具と、を有する水栓用ロックナットである。
【0008】
第1の発明によれば、水栓用ロックナットを、水栓本体の取付脚から延び出る給水管や給湯管や各種配線等の長尺物に長手方向に通すことなく取付脚に螺合させることができる。それにより、水栓用ロックナットの取付脚に対する締結を簡便かつ適切に行うことができる。すなわち、水栓本体の取付脚から延び出る配管や配線の途中経路に水栓用ロックナットを通せないような電磁弁や配管の曲げ返し等の障害物があっても、これらへの挿通を伴うことなく水栓用ロックナットを取付脚に簡便に締結することができる。
【0009】
本発明の第2の発明は、上記第1の発明において、一対の前記半割ナットが、互いに分離されており、前記ロック具が、一対の前記半割ナットの互いに閉じ合わされるように突き当てられる各端部同士を各前記端部間に跨る閉じ合わせ方向の差し込みを伴う締結により閉じ合わせた状態にロックする差込み式の締結構造を有する水栓用ロックナットである。
【0010】
第2の発明によれば、差込み式の締結構造の差込み方向が、一対の半割ナットの閉じ合わせ方向と同じとなるため、一対の半割ナットを閉じ合わせてロックするまでの一連の作業を一方向からの作業によって行うことが可能となる。したがって、天板下の狭い作業スペースにおいて、一対の半割ナットを閉じ合わせてロックする作業を簡便に行うことができる。
【0011】
本発明の第3の発明は、天板の上部に設置される水栓本体と、該水栓本体の前記天板の取付孔を通って下方に突き出る取付脚との螺合により前記水栓本体を前記天板に固定する水栓用ロックナットと、を有する水栓装置であって、前記取付脚を通って下方に延び出る第1配管と、該第1配管の前記取付脚から下方に延び出た先から前記取付脚に再び通されるように曲げ返される又は湯水の供給配管に接続されるように延びる第2配管と、を有し、前記水栓用ロックナットが、互いを前記取付脚に螺合させるように閉じ合わせたり前記取付脚の脚径よりも広がるように開いたりすることが可能な一対の半割ナットと、一対の前記半割ナット同士を閉じ合わせた状態にロックすることが可能なロック具と、を有する水栓装置である。
【0012】
第3の発明によれば、水栓用ロックナットを、水栓本体の取付脚から延び出る第1配管及び第1配管から延びる第2配管に長手方向に通すことなく取付脚に螺合させることができる。それにより、水栓用ロックナットの取付脚に対する締結を簡便かつ適切に行うことができる。したがって、水栓本体に予め第1配管や第2配管等の接続管や配線等の必要な接続部品を接続した状態で出荷しても、これらの接続を外すことなく水栓用ロックナットの取付脚への締結を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態に係る水栓用ロックナットを備える水栓装置の概略構成を表す斜視図である。
図2】水栓本体の取付脚を天板の取付孔に上から通す状態を表す斜視図である。
図3】水栓装置を天板の下側から見た斜視図である。
図4】水栓用ロックナットを天板の下方に突き出る取付脚にセットする状態を表す斜視図である。
図5】水栓用ロックナットを閉じ合わせた状態にロックした状態を表す斜視図である。
図6】水栓用ロックナットの分解斜視図である。
図7】水栓用ロックナットを閉じ合わせてロックした状態を表す斜視図である。
図8図6のVIII矢視図である。
図9】第2の実施形態に係る水栓用ロックナットの分解斜視図である。
図10】水栓用ロックナットを閉じ合わせてロックした状態を表す斜視図である。
図11図9のXI矢視図である。
図12図10のXII矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0015】
《第1の実施形態》
(水栓用ロックナット10及び水栓装置1の概略構成)
始めに、本発明の第1の実施形態に係る水栓用ロックナット(以下、ロックナット)10及び水栓装置1の構成について、図1図8を用いて説明する。なお、以下の説明において、手前、奥、上、下、左、右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。
【0016】
各図中に示す方向は、それぞれ、水栓装置1の正面に立つ使用者から見た方向となっている。以下の説明において、具体的な参照図を示さない場合、或いは参照図に該当する符号がない場合には、図1図8のいずれかの図を適宜参照するものとする。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る水栓装置1は、洗面化粧台の奥側の天板B上に設置される、いわゆる台付きタイプの混合水栓として構成される。図2に示すように、この水栓装置1は、水栓本体2から下方に延び出る円筒状の取付脚3が、天板Bに穴あけされた丸孔状の取付孔Hに上方から差し込まれることで天板B上にセットされている。この差し込みにより、水栓装置1は、水栓本体2が天板Bの上部に底付くと共に、取付脚3が天板Bの取付孔Hから下方に突き出た状態にセットされる。
【0018】
そして、図3に示すように、上記差し込みの後、水栓装置1は、その天板Bの取付孔Hから下方に突き出る取付脚3の外周面の雄ねじ3Aに対し、ロックナット10が下方から螺入されて締結される。それにより、水栓装置1は、水栓本体2とロックナット10との間に天板Bを押し挟んだ状態として天板Bに固定される。
【0019】
図4図5に示すように、上記ロックナット10の締結に際しては、ロックナット10がいわゆる分割ナットから成ることにより、係る締結作業を簡便に行えるようになっている。すなわち、ロックナット10がいわゆる分割ナットから成ることで、ロックナット10を取付脚3の筒内から下方に延び出る複数の配管(給水管4、給湯管5、吐水管6及びフレキシブルホース7)に下方から通すことなく、取付脚3に直接、横から嵌め込むようにセットすることが可能となる。
【0020】
そのため、例えば、同図に示す吐水管6の下端とフレキシブルホース7の下端とを繋いで曲げ返す形にしたり、給水管4と給湯管5とをそれぞれ上流側の供給配管(不図示)と接続したりした状態からであっても、ロックナット10を取付脚3に締結することができる。また、これらの途中経路に図示しない電磁弁等のロックナット10よりも大きな装備品が取り付くことがあっても、これらの装備品を取り外すことなく、ロックナット10を取付脚3に締結することができる。
【0021】
ここで、給水管4、給湯管5及び吐水管6が、それぞれ、本発明の「第1配管」に相当する。また、フレキシブルホース7が、本発明の「第2配管」に相当する。
【0022】
(水栓用ロックナット10の構成)
以下、ロックナット10の具体的な構成について詳しく説明する。なお、水栓装置1は、特開2021-4452号公報等の文献に開示された公知の水栓と同一の基本的構成を備えるものとなっている。したがって、水栓装置1の具体的な細部の構成についての説明は省略することとする。
【0023】
図6図7に示すように、ロックナット10は、互いを円筒状に突き合わせ可能に半円筒状に分割された一対の半割ナット11,12と、これら半割ナット11,12を閉じ合わせた状態にロックすることが可能なロック具13と、を有する。ロック具13は、一対のボルト13Aと一対の六角ナット13Bとで構成される。各半割ナット11,12は、互いに略対称な半円筒形状に形成されている。ここで、各ボルト13Aが、本発明の「差込み式の締結構造」に相当する。
【0024】
具体的には、各半割ナット11,12には、それらの筒内周面に、互いを閉じ合わせることでひと続きの螺旋状の雌ねじを形成する雌ねじ11A,12Aが形成されている。また、各半割ナット11,12には、それらの図示上側の筒端面に、互いを閉じ合わせることで筒径方向の外側に張り出す環状のフランジを形成するフランジ11B,12Bが形成されている。
【0025】
また、各半割ナット11,12には、それらの閉じ合わせにより突き当てられる筒周方向の各端部に、ロック具13を構成する一対のボルト13Aの軸部をそれぞれ閉じ合わせ方向となる図示手前側から奥側に貫通させるように挿通することが可能な丸孔状の通し孔11C,12Cが形成されている。各通し孔11C,12Cは、各半割ナット11,12の筒周方向の各端部の上部領域に形成されている。
【0026】
また、図示奥側の半割ナット12には、その筒周方向の各端部の下部領域に、図示手前側の半割ナット11に向けた閉じ合わせ方向に突出する丸棒状のダボ12Dがそれぞれ形成されている。また、図示手前側の半割ナット11には、その筒周方向の各端部の下部領域に、上記各ダボ12Dを閉じ合わせ方向に差し込むことが可能な丸孔状に貫通するダボ孔11Dがそれぞれ形成されている。
【0027】
また、図8に示すように、図示奥側の半割ナット12には、その筒周方向の各端部に形成された通し孔12Cに図示奥側から臨む筒外周部に、各通し孔12Cに向かって図示手前側に断面六角形状に凹む六角穴12Eがそれぞれ形成されている。各六角穴12Eは、ロック具13を構成する一対の六角ナット13Bをそれぞれ図示奥側から各通し孔12Cと同一軸線上の位置に固定した状態に嵌め込むことが可能な嵌合穴となるものである。
【0028】
また、図6に示すように、図示手前側の半割ナット11には、その筒周方向の各端部に形成された通し孔11Cに図示手前側から臨む筒外周部に、各通し孔11Cに向かって図示奥側に断面円形状に凹む丸穴11Eがそれぞれ形成されている。各丸穴11Eは、各通し孔11Cに通されるロック具13の一対のボルト13Aの頭部をそれぞれ図示手前側から受け入れるための受入穴となるものである。
【0029】
ロックナット10は、次の手順により、各半割ナット11,12同士が互いに円筒状を成す形に閉じ合わされる。すなわち、各半割ナット11,12同士を、図示奥側の半割ナット12に形成された各ダボ12Dを図示手前側の半割ナット11に形成された各ダボ孔11Dに差し込むように閉じ合わせる。それにより、図7に示すように、各半割ナット11,12の筒周方向の各端部同士が、互いに各ダボ12Dと各ダボ孔11Dとの嵌合に伴い位置合わせされた状態に突き当てられる。その結果、各半割ナット11,12同士が互いに円筒状を成す形に閉じ合わされる。
【0030】
また、ロックナット10は、次の手順により、各半割ナット11,12同士がロック具13によって互いに閉じ合わされた状態にロックされる。先ず、図示奥側の半割ナット12に形成された各六角穴12Eに各六角ナット13Bを嵌め込む。次いで、各ボルト13Aの軸部を図示手前側の半割ナット11に形成された各丸穴11Eから各通し孔11C,12Cへと差し込んで、各六角ナット13Bに締結する。それにより、ロックナット10は、各半割ナット11,12の筒周方向の各端部同士がロック具13を介して互いに一体的に閉じ合わされた状態にロックされる。
【0031】
したがって、図4に示すように、上記手順と同様に、ロックナット10の各半割ナット11,12を水栓本体2の取付脚3に対して横から挟み込むように閉じ合わせることで、各半割ナット11,12の内周面の雌ねじ11A,12Aを取付脚3の外周面の雄ねじ3Aに螺合させることができる。そして、上記セットの後、図5に示すように、ロック具13を各半割ナット11,12に差し込んでロックナット10を閉じ合わせた状態にロックすることができる。
【0032】
その後、ロックナット10の六角頭形状の外周部に不図示の締結工具を嵌め込んでロックナット10を各半割ナット11,12のフランジ11B,12Bを天板Bの下部に突き当てる位置まで締め付ける。それにより、図3で前述したように、ロックナット10を取付脚3に締結して水栓本体2を天板Bに固定することができる。
【0033】
図5図6で前述したロックナット10の閉じ合わせからロックするまでの一連の作業は、ロックナット10を閉じ合わせる一方向からの作業によって行うことができる。すなわち、作業者がロックナット10を閉じ合わせた後、ロックナット10を回転させることなくそのままの位置でロック具13を用いてロックするまでの作業を行うことができる。したがって、天板B下の狭い作業スペースにおいて、ロックナット10を閉じ合わせてロックするまでの作業を簡便に行うことができる。
【0034】
なお、図6で前述した各六角ナット13Bは、奥側の半割ナット12の各六角穴12Eに圧入嵌合されたり溶着されたりして一体化されるものであっても良い。また、各六角ナット13Bに代えて、奥側の半割ナット12の各通し孔12Cに各ボルト13Aの軸部を螺合させることが可能な雌ねじを形成しても良い。
【0035】
以上をまとめると、第1の実施形態に係るロックナット10及び水栓装置1は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0036】
すなわち、水栓用ロックナット(10)は、天板(B)の上部に設置される水栓本体(2)の、天板(B)の取付孔(H)を通って下方に突き出る取付脚(3)との螺合により、水栓本体(2)を天板(B)に固定する水栓用ロックナット(10)である。水栓用ロックナット(10)は、互いを取付脚(3)に螺合させるように閉じ合わせたり取付脚(3)の脚径よりも広がるように開いたりすることが可能な一対の半割ナット(11,12)と、一対の半割ナット(11,12)同士を閉じ合わせた状態にロックすることが可能なロック具(13)と、を有する。
【0037】
上記構成によれば、水栓用ロックナット(10)を、水栓本体(2)の取付脚(3)から延び出る給水管(4)や給湯管(5)や各種配線(不図示)等の長尺物に長手方向に通すことなく取付脚(3)に螺合させることができる。それにより、水栓用ロックナット(10)の取付脚(3)に対する締結を簡便かつ適切に行うことができる。すなわち、水栓本体(2)の取付脚(3)から延び出る配管や配線の途中経路に水栓用ロックナット(10)を通せないような電磁弁や配管の曲げ返し等の障害物があっても、これらへの挿通を伴うことなく水栓用ロックナット(10)を取付脚(3)に簡便に締結することができる。
【0038】
また、一対の半割ナット(11,12)が、互いに分離されている。ロック具(13)が、一対の半割ナット(11,12)の互いに閉じ合わされるように突き当てられる各端部同士を各端部間に跨る閉じ合わせ方向の差し込みを伴う締結により閉じ合わせた状態にロックする差込み式の締結構造(13A)を有する。
【0039】
上記構成によれば、差込み式の締結構造(13A)の差込み方向が、一対の半割ナット(11,12)の閉じ合わせ方向と同じとなるため、一対の半割ナット(11,12)を閉じ合わせてロックするまでの一連の作業を一方向からの作業によって行うことが可能となる。したがって、天板(B)下の狭い作業スペースにおいて、一対の半割ナット(11,12)を閉じ合わせてロックする作業を簡便に行うことができる。
【0040】
また、水栓装置(1)は、天板(B)の上部に設置される水栓本体(2)と、水栓本体(2)の天板(B)の取付孔(H)を通って下方に突き出る取付脚(3)との螺合により水栓本体(2)を天板(B)に固定する水栓用ロックナット(10)と、を有する水栓装置(1)である。水栓装置(1)は、取付脚(3)を通って下方に延び出る第1配管(4,5,6)と、第1配管(6)の取付脚(3)から下方に延び出た先から取付脚(3)に再び通されるように曲げ返される又は湯水の供給配管に接続されるように延びる第2配管(7)と、を有する。
【0041】
水栓用ロックナット(10)が、互いを取付脚(3)に螺合させるように閉じ合わせたり取付脚(3)の脚径よりも広がるように開いたりすることが可能な一対の半割ナット(11,12)と、一対の半割ナット(11,12)同士を閉じ合わせた状態にロックすることが可能なロック具(13)と、を有する。
【0042】
上記構成によれば、水栓用ロックナット(10)を、水栓本体(2)の取付脚(3)から延び出る第1配管(4,5,6)及び第1配管(6)から延びる第2配管(7)に長手方向に通すことなく取付脚(3)に螺合させることができる。それにより、水栓用ロックナット(10)の取付脚(3)に対する締結を簡便かつ適切に行うことができる。したがって、水栓本体(2)に予め第1配管(4,5,6)や第2配管(7)等の接続管や配線等の必要な接続部品を接続した状態で出荷しても、これらの接続を外すことなく水栓用ロックナット(10)の取付脚(3)への締結を行うことができる。
【0043】
《第2の実施形態》
続いて、本発明の第2の実施形態に係る水栓用ロックナット(以下、「ロックナット」)10及び水栓装置1の構成について、図9図12を用いて説明する。本実施形態に係るロックナット10は、各半割ナット11,12同士を閉じ合わせた状態にロックするロック具14が、第1の実施形態で示したものとは異なる構成とされる。
【0044】
具体的には、図9及び図11に示すように、ロック具14は、一対の丸棒状のロックピン14Aと、これらロックピン14Aの軸部に通される一対の圧縮ばね14Bと、を有する。一対のロックピン14Aは、それぞれ、軸部の先端に横長な棒形状の掛部A1を有する形状とされる。
【0045】
これに対応して、各半割ナット11,12には、それらの筒周方向の各端部に、各ロックピン14Aの掛部A1を備える軸部をそれぞれ閉じ合わせ方向となる図示手前側から奥側に貫通させるように挿通することが可能なキー溝の付いた異形の丸孔形状から成る通し孔11F,12Fが形成されている。ここで、各ロックピン14Aが、本発明の「差込み式の締結構造」に相当する。
【0046】
ロックナット10は、次の手順により、各半割ナット11,12同士がロック具14によって互いに閉じ合わされた状態(図10の状態)にロックされる。図11に示すように、先ず、各ロックピン14Aの軸部にそれぞれ圧縮ばね14Bを通す。次に、圧縮ばね14Bを通した各ロックピン14Aの軸部を、圧縮ばね14Bのばね力に抗して図示手前側の半割ナット11の通し孔11Fから奥側の半割ナット12の通し孔12Fへと通して、それらの先端の掛部A1を各通し孔12Fの奥側へと通過させる。
【0047】
そしてそこから、図12に示すように、各ロックピン14Aを90度程度どちらかの方向に回転させる。それにより、各ロックピン14Aの掛部A1が、各通し孔12Fのキー溝から回転方向にずらされ、各圧縮ばね14Bのばね力により各通し孔12Fの周囲の座面に奥側から押し当てられる。その結果、各ロックピン14Aが各通し孔12Fから図示手前側に抜けない状態にロックされ、各半割ナット11,12が互いに閉じ合わされた状態にロックされる。
【0048】
なお、図示奥側の半割ナット12の各掛部A1が押し当てられる座面には、各掛部A1が各通し孔12Fに通された位置から90度回されたそれぞれの位置に、各掛部A1をばね力によって溝内に落とし込むことができる係止溝が形成されている(図11参照)。それにより、図12に示すように、各ロックピン14Aが差し込み位置から90度回されることで、各掛部A1がばね力により係止溝に押し込まれて回り止めされるようになっている。
【0049】
上記以外の構成は、第1の実施形態で示したロックナット10及び水栓装置1と実質的に同一の構成となっている。したがって、第1の実施形態で示した構成と同一の構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略することとする。
【0050】
以上をまとめると、第2の実施形態に係るロックナット10及び水栓装置1は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0051】
すなわち、水栓用ロックナット(10)は、天板(B)の上部に設置される水栓本体(2)の、天板(B)の取付孔(H)を通って下方に突き出る取付脚(3)との螺合により、水栓本体(2)を天板(B)に固定する水栓用ロックナット(10)である。水栓用ロックナット(10)は、互いを取付脚(3)に螺合させるように閉じ合わせたり取付脚(3)の脚径よりも広がるように開いたりすることが可能な一対の半割ナット(11,12)と、一対の半割ナット(11,12)同士を閉じ合わせた状態にロックすることが可能なロック具(14)と、を有する。
【0052】
ロック具(14)が、一対の半割ナット(11,12)の互いに閉じ合わされるように突き当てられる各端部同士を各端部間に跨る閉じ合わせ方向の差し込みを伴う締結により閉じ合わせた状態にロックする差込み式の締結構造(14A)を有する。
【0053】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を2つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
【0054】
1.本発明の水栓用ロックナット及び水栓装置は、キッチンや浴室等の洗面化粧台以外の屋内環境の他、庭用流し台等の屋外環境で使用される水栓設備に適用されるものであっても良い。
【0055】
2.水栓用ロックナットは、特開2009-63070号公報等の文献に開示される分割ナットのように、半割ナット同士がヒンジにより開閉可能なように連結された構成とされているものであっても良い。
【0056】
3.上記実施形態では、水栓用ロックナットの各半割ナットを、取付脚に直接、挟み込み状に螺合させるように閉じ合わせる構成を例示した。しかし、各半割ナットは、取付脚から下方に外れた第1配管の通る位置で閉じ合わされた後、取付脚に螺合されるものであっても良い。その場合、各半割ナットの内周面の一部に、取付脚から延び出る配管との干渉を避けるための凹部を形成した構成としても良い。
【0057】
4.第2配管は、上記各実施形態で示したフレキシブルホースのように、第1配管(吐水管)の取付脚から下方に延び出た先から取付脚に再び通されるように曲げ返される配管の他、第1配管(給水管や給湯管)の取付脚から下方に延び出た先から湯水の供給配管に接続されるように延びる配管であっても良い。
【0058】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
1…水栓装置、2…水栓本体、3…取付脚、3A…雄ねじ、4…給水管(第1配管)、5…給湯管(第1配管)、6…吐水管(第1配管)、7…フレキシブルホース(第2配管)、B…天板、H…取付孔、10…ロックナット(水栓用ロックナット)、11…半割ナット、11A…雌ねじ、11B…フランジ、11C…通し孔、11D…ダボ孔、11E…丸穴、11F…通し孔、12…半割ナット、12A…雌ねじ、12B…フランジ、12C…通し孔、12D…ダボ、12E…六角穴、12F…通し孔、13…ロック具、13A…ボルト(差込み式の締結構造)、13B…六角ナット、14…ロック具、14A…ロックピン(差込み式の締結構造)、A1…掛部、14B…圧縮ばね
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