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特開2024-129284電子部品搭載装置、電子部品搭載方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129284
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】電子部品搭載装置、電子部品搭載方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
H01L21/60 311R
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038385
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】前田 禎光
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044NN20
(57)【要約】
【課題】インレイの製造工程においてアンテナに電子部品を搭載するときに、生産性の低下を招くことなく電子部品の搭載位置の精度を向上させる。
【解決手段】本発明のある態様は、基材上にインレイ用の複数のアンテナが連続的に形成されているアンテナ連続体を搬送する搬送部と、アンテナ連続体の各アンテナの所定の基準位置に、熱硬化性及び光硬化性を有する導電性接着剤を付着させる付着部と、アンテナ連続体の各アンテナの基準位置にある導電性接着剤上に電子部品を配置する電子部品配置部と、アンテナ連続体の各アンテナ上にある導電性接着剤に向けて光を照射して硬化させる第1硬化部と、光が照射される位置よりも搬送方向の下流側の位置において、各アンテナ上の導電性接着剤を加熱して硬化させる第2硬化部と、を備えた電子部品搭載装置である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上にインレイ用の複数のアンテナが連続的に形成されているアンテナ連続体を搬送する搬送部と、
前記アンテナ連続体の各アンテナの所定の基準位置に、熱硬化性及び光硬化性を有する導電性接着剤を付着させる付着部と、
前記アンテナ連続体の各アンテナの前記基準位置にある前記導電性接着剤上に電子部品を配置する電子部品配置部と、
前記アンテナ連続体の各アンテナ上にある前記導電性接着剤に向けて光を照射して硬化させる第1硬化部と、
前記光が照射される位置よりも搬送方向の下流側の位置において、各アンテナ上の前記導電性接着剤を加熱して硬化させる第2硬化部と、
を備えた電子部品搭載装置。
【請求項2】
前記第1硬化部は、前記基材において各アンテナが形成されている側とは反対側から前記光を照射する、
請求項1に記載された電子部品搭載装置。
【請求項3】
前記第2硬化部は、前記アンテナ連続体に直交する方向から各アンテナ上の前記導電性接着剤に圧力を付加しながら前記導電性接着剤を加熱して硬化させる、
請求項1又は2に記載された電子部品搭載装置。
【請求項4】
前記第1硬化部は、前記電子部品が配置される前に前記導電性接着剤に向けて光を照射する、
請求項1又は2に記載された電子部品搭載装置。
【請求項5】
前記第1硬化部は、前記電子部品が配置されるのと同時に前記導電性接着剤に向けて光を照射する、
請求項1又は2に記載された電子部品搭載装置。
【請求項6】
前記第1硬化部は、前記電子部品が配置された後に前記導電性接着剤に向けて光を照射する、
請求項1又は2に記載された電子部品搭載装置。
【請求項7】
前記導電性接着剤は、
少なくとも以下の成分:
エポキシ(メタ)アクリレート成分と、
(メタ)アクリレート成分と、
ウレタン(メタ)アクリレートプレポリマー成分と、
光開始剤と、
有機過酸化物と、を含む接着剤と、
ニッケル粒子、金粒子、ニッケルで表面が被覆された樹脂粒子、および金で表面が被覆された樹脂粒子からなる群より選択される1以上の導電性粒子と、を含む、
請求項1又は2に記載された電子部品搭載装置。
【請求項8】
基材上にインレイ用の複数のアンテナが連続的に形成されているアンテナ連続体を搬送し、
ディスペンサによって、前記アンテナ連続体の各アンテナの所定の基準位置に、熱硬化性及び光硬化性を有する導電性接着剤を付着させ、
前記アンテナ連続体の各アンテナの前記基準位置にある前記導電性接着剤上に電子部品を配置し、
前記アンテナ連続体の各アンテナ上にある前記導電性接着剤に向けて光を照射して硬化させ、
前記光が照射される位置よりも搬送方向の下流側の位置において、各アンテナ上の前記導電性接着剤を加熱して硬化させる、
電子部品搭載方法。
【請求項9】
前記導電性接着剤に向けて光を照射して硬化させるときに、前記基材において各アンテナが形成されている側とは反対側から前記光を照射する、
請求項8に記載された電子部品搭載方法。
【請求項10】
前記導電性接着剤を加熱して硬化させるときに、前記アンテナ連続体に直交する方向から各アンテナ上の前記導電性接着剤に圧力を付加しながら行う、
請求項8又は9に記載された電子部品搭載方法。
【請求項11】
前記導電性接着剤は、
少なくとも以下の成分:
エポキシ(メタ)アクリレート成分と、
(メタ)アクリレート成分と、
ウレタン(メタ)アクリレートプレポリマー成分と、
光開始剤と、
有機過酸化物と、を含む接着剤と、
ニッケル粒子、金粒子、ニッケルで表面が被覆された樹脂粒子、および金で表面が被覆された樹脂粒子からなる群より選択される1以上の導電性粒子と、を含む、
請求項8又は9に記載された電子部品搭載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品搭載装置、および、電子部品搭載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
RFIDタグの普及に伴い、アンテナと当該アンテナに電気的に接続されるICチップ等の電子部品とを有するシート状のインレイの生産が拡大している。インレイを製造するには、ベース基材上に形成されたアンテナにおいて、電子部品を搭載するための基準となるアンテナ上の所定の基準位置に対して接着剤を設けるとともに電子部品を当該基準位置に配置し、次いで接着剤を硬化させてICチップを固定する。
例えば、特許文献1には、ICチップの接合方法において、導電性接着剤が塗布された基材上にICチップを搭載する搭載工程と、基材に搭載されたICチップと基材を、上下方向から上ヘッドと下ヘッドにより挟み込んで加圧し、塗布された導電性接着剤を加熱することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-133982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、従来の電子部品搭載装置では、接着剤が塗布された基材上(例えばPETフィルムに形成したアンテナ)にICチップ等の電子部品を搭載する際に熱硬化を行っていた。一方、近年では感熱層を有するサーマル基材の裏面にアンテナを形成して電子部品を搭載する省資源型のRFIDタグが普及しつつある。これは、インレイのベース基材としてサーマル基材を用いることによりインレイとRFIDタグの基材を兼用し、インレイの片面(感熱層)をRFIDタグの印字面として利用するものである。しかし、電子部品を搭載後に接着剤を熱硬化する際に感熱層が発色する問題がある。そこで従来は、インレイのベース基材としてサーマル基材を用いる場合は例えば紫外線の照射により硬化する紫外線硬化用接着剤を適用し、サーマル基材を用いない場合は熱硬化用接着剤を適用する等、基材の材料に応じて導電性接着剤を変更していた。この導電性接着剤の変更は、導電性接着剤を塗布する装置の洗浄や段取り替えが必要となり、生産性を低下させる。
【0005】
また、接着剤はアンテナ上に塗布した時点で(つまり、硬化前において)相対的に粘度が低いことに起因して、接着剤上に配置される電子部品が安定せず、電子部品の位置ずれや傾斜が発生しやすいという課題もある。電子部品の位置ずれや傾斜が発生した場合、接着剤の硬化後においてその位置ずれや傾斜が電子部品の搭載位置の精度に反映される。
【0006】
そこで、本発明のある態様は、インレイの製造工程においてアンテナに電子部品を搭載するときに、生産性の低下を招くことなく電子部品の搭載位置の精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、基材上にインレイ用の複数のアンテナが連続的に形成されているアンテナ連続体を搬送する搬送部と、
前記アンテナ連続体の各アンテナの所定の基準位置に、熱硬化性及び光硬化性を有する導電性接着剤を付着させる付着部と、
前記アンテナ連続体の各アンテナの前記基準位置にある前記導電性接着剤上に電子部品を配置する電子部品配置部と、
前記アンテナ連続体の各アンテナ上にある前記導電性接着剤に向けて光を照射して硬化させる第1硬化部と、
前記光が照射される位置よりも搬送方向の下流側の位置において、各アンテナ上の前記導電性接着剤を加熱して硬化させる第2硬化部と、
を備えた電子部品搭載装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のある態様によれば、生産性の低下を招くことなく電子部品の搭載位置の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電子部品が搭載された後の例示的なアンテナとその部分拡大図である。
図2】一実施形態の電子部品搭載方法の工程順序を示す図である。
図3】一実施形態の電子部品搭載装置において巻出し工程を説明する図である。
図4】一実施形態の電子部品搭載装置のうち部品配置装置の全体構成とその動作を説明する図である。
図5】一実施形態の電子部品搭載装置のうち部品配置装置の全体構成とその動作を説明する図である。
図6図4及び図5に示した部品配置装置のうちUV硬化装置を示す図である。
図7】一実施形態の電子部品搭載装置のうち熱硬化装置の構成とその動作を説明する図である。
図8】一実施形態の電子部品搭載装置のうち熱硬化装置の構成とその動作を説明する図である。
図9】一実施形態の電子部品搭載装置を制御する制御部の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に記載する形態は、図面の簡単な説明により説明される図面に限定されるものではない。
【0011】
本発明のある態様の第1の態様は、基材上にインレイ用の複数のアンテナが連続的に形成されているアンテナ連続体を搬送する搬送部と、
前記アンテナ連続体の各アンテナの所定の基準位置に、熱硬化性及び光硬化性を有する導電性接着剤を付着させる付着部と、
前記アンテナ連続体の各アンテナの前記基準位置にある前記導電性接着剤上に電子部品を配置する電子部品配置部と、
前記アンテナ連続体の各アンテナ上にある前記導電性接着剤に向けて光を照射して硬化させる第1硬化部と、
前記光が照射される位置よりも搬送方向の下流側の位置において、各アンテナ上の前記導電性接着剤を加熱して硬化させる第2硬化部と、
を備えた電子部品搭載装置である。
【0012】
本発明のある態様の第1の態様によれば、生産性の低下を招くことなく電子部品の搭載位置の精度を向上させることができる。
【0013】
本発明のある態様の第2の態様は、前記第1硬化部は、前記基材において各アンテナが形成されている側とは反対側から前記光を照射する、前記第1の態様に記載の電子部品搭載装置である。
【0014】
本発明のある態様の第2の態様によれば、各アンテナ上にある前記導電性接着剤への電子部品の配置と、光の照射とをほぼ同時に行うことができるため、電子部品を導電性接着剤上で安定化させることを素早く、かつ効率的に行うことができる。
【0015】
本発明のある態様の第3の態様は、前記第2硬化部は、前記アンテナ連続体に直交する方向から各アンテナ上の前記導電性接着剤に圧力を付加しながら前記導電性接着剤を加熱して硬化させる、前記第1又は第2の態様に記載の電子部品搭載装置である。
【0016】
本発明のある態様の第3の態様によれば、圧力を付加することで導電性接着剤に含まれる導電粒子が圧力付加方向に変形するため、導電粒子と周囲の部材との密着性が高まり、各アンテナと電子部品との電気的接続を良好にすることができる。
【0017】
本発明のある態様の第4の態様は、前記第1硬化部は、前記電子部品が配置される前に前記導電性接着剤に向けて光を照射する、前記第1から第3のいずれか一つの態様に記載の電子部品搭載装置である。
【0018】
本発明のある態様の第4の態様によれば、粘度が増加した状態の前記導電性接着剤に前記電子部品が配置されることになるため、当前記導電性接着剤上に配置された後に電子部品が移動し難くなるため、電子部品がずれる、若しくは傾くといったことが生じ難くなり、電子部品が安定化する。
【0019】
本発明のある態様の第5の態様は、前記第1硬化部は、前記電子部品が配置されるのと同時に前記導電性接着剤に向けて光を照射する、前記第1から第3のいずれか一つの態様に記載の電子部品搭載装置である。
【0020】
本発明のある態様の第5の態様によれば、粘度が増加した状態の前記導電性接着剤に前記電子部品が配置されることになるため、当前記導電性接着剤上に配置された後に電子部品が移動し難くなるため、電子部品がずれる、若しくは傾くといったことが生じ難くなり、電子部品が安定化する。
【0021】
本発明のある態様の第6の態様は、前記電子部品が配置された後に前記導電性接着剤に向けて光を照射する、前記第1から第3のいずれか一つの態様に記載の電子部品搭載装置である。
【0022】
本発明のある態様の第6の態様によれば、前記導電性接着剤の粘度が増加することによって、前記導電性接着剤上に配置された後に前記電子部品がずれる、若しくは傾くといったことが生じ難くなり、電子部品が安定化する。
【0023】
本発明のある態様の第7の態様は、前記導電性接着剤は、
少なくとも以下の成分:
エポキシ(メタ)アクリレート成分と、
(メタ)アクリレート成分と、
ウレタン(メタ)アクリレートプレポリマー成分と、
光開始剤と、
有機過酸化物と、を含む接着剤と、
ニッケル粒子、金粒子、ニッケルで表面が被覆された樹脂粒子、および金で表面が被覆された樹脂粒子からなる群より選択される1以上の導電性粒子と、を含む、前記第1から第6のいずれか一つの態様に記載の電子部品搭載装置である。
【0024】
本発明のある態様の第7の態様によれば、熱硬化性及び光硬化性を有する導電性接着剤の具体的な成分が開示される。熱硬化性及び光硬化性を有する導電性接着剤を使用することで、第1硬化部、及び、第2硬化部の各々において、熱硬化又は光硬化のいずれを採用することもできるため、工程変更計や段取り替えに対して柔軟に対応できる。
【0025】
本発明のある態様の第8の態様は、基材上にインレイ用の複数のアンテナが連続的に形成されているアンテナ連続体を搬送し、
ディスペンサによって、前記アンテナ連続体の各アンテナの所定の基準位置に、熱硬化性及び光硬化性を有する導電性接着剤を付着させ、
前記アンテナ連続体の各アンテナの前記基準位置にある前記導電性接着剤上に電子部品を配置し、
前記アンテナ連続体の各アンテナ上にある前記導電性接着剤に向けて光を照射して硬化させ、
前記光が照射される位置よりも搬送方向の下流側の位置において、各アンテナ上の前記導電性接着剤を加熱して硬化させる、
電子部品搭載方法である。
【0026】
本発明のある態様の第8の態様によれば、生産性の低下を招くことなく電子部品の搭載位置の精度を向上させることができる。
【0027】
本発明のある態様の第9の態様は、前記導電性接着剤に向けて光を照射して硬化させるときに、前記基材において各アンテナが形成されている側とは反対側から前記光を照射する、前記第8の態様に記載の電子部品搭載方法である。
【0028】
本発明のある態様の第9の態様によれば、各アンテナ上にある前記導電性接着剤への電子部品の配置と、光の照射とをほぼ同時に行うことができるため、電子部品を導電性接着剤上で安定化させることを素早く、かつ効率的に行うことができる。
【0029】
本発明のある態様の第10の態様は、前記導電性接着剤を加熱して硬化させるときに、前記アンテナ連続体に直交する方向から各アンテナ上の前記導電性接着剤に圧力を付加しながら行う、前記第8又は第9の態様に記載の電子部品搭載方法である。
【0030】
本発明のある態様の第10の態様によれば、圧力を付加することで導電性接着剤に含まれる導電粒子が圧力付加方向に変形するため、導電粒子と周囲の部材との密着性が高まり、各アンテナと電子部品との電気的接続を良好にすることができる。
【0031】
本発明のある態様の第11の態様は、前記導電性接着剤が、
少なくとも以下の成分:
エポキシ(メタ)アクリレート成分と、
(メタ)アクリレート成分と、
ウレタン(メタ)アクリレートプレポリマー成分と、
光開始剤と、
有機過酸化物と、を含む接着剤と、
ニッケル粒子、金粒子、ニッケルで表面が被覆された樹脂粒子、および金で表面が被覆された樹脂粒子からなる群より選択される1以上の導電性粒子と、を含む、前記第8から第10のいずれか一つの態様に記載の電子部品搭載方法である。
【0032】
本発明のある態様の第11の態様によれば、熱硬化性及び光硬化性を有する導電性接着剤の具体的な成分が開示される。熱硬化性及び光硬化性を有する導電性接着剤を使用することで、熱硬化又は光硬化のいずれを採用することもできるため、工程変更や段取り替えに対して柔軟に対応できる。
【0033】
本発明のある態様の第12の態様は、前記導電性接着剤において、
エポキシ(メタ)アクリレート成分が、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、ノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、脂肪族型エポキシ(メタ)アクリレート、およびこれらの2種以上の混合物からなる群より選択され、
(メタ)アクリレート成分が、(メタ)アクリル酸の塩および、(メタ)アクリル酸と脂肪族アルコール、脂環式アルコールまたは芳香族アルコールとのエステル化合物、(メタ)アクリルアミド、およびこれらの2種以上の混合物からなる群より選択され、
ウレタン(メタ)アクリレート成分が、2官能性、3官能性または4官能性の脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート化合物、2官能性、3官能性または4官能性の脂環式ウレタン(メタ)アクリレート化合物、2官能性、3官能性または4官能性の芳香族ウレタン(メタ)アクリレート化合物、およびこれらの2種以上の混合物からなる群より選択される、前記第11の態様に記載の電子部品搭載方法である。
【0034】
本発明のある態様の第13の態様は、前記導電性接着剤において、導電性粒子が、導電性接着剤組成物の質量を基準として5~20%含まれる、前記第12の態様に記載の電子部品搭載方法である。
【0035】
以下、実施形態に係る電子部品搭載装置および電子部品搭載方法について、図面を参照して説明する。
実施形態に係る電子部品搭載装置1は、RFIDインレイ等の非接触通信用インレイを製造する際に、薄膜状のアンテナに対してICチップ等の電子部品を搭載する装置である。
図1に、一実施形態の電子部品搭載装置1によって製造される例示的なインレイを示す。図1に示すインレイでは、所定のアンテナパターンを有するアンテナANにICチップが搭載されている。なお、アンテナANは、図3に示すように基材BM上に形成されている。
基材BMの材料は、特に限定されるものではないが、例えば、上質紙、コート紙、アート紙のような紙基材、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)を素材とした合成樹脂フィルムや、前記の合成樹脂を複数種組み合わせたシート、合成樹脂フィルムと紙とを合わせた複合シートも使用できる。
アンテナANは、例えば、基材BMに金属箔を貼り付ける、又は、基材BMに導電材料を所定のパターンでスクリーン印刷若しくは蒸着すること等により形成される。
【0036】
図1に示すインレイの例では、アンテナANは、所定のアンテナパターンを構成するアンテナ素子101~103を有する。図1においてインレイのE部を拡大して示すように、各アンテナ素子に対して電気的に接続するようにICチップCHが配置されている。
図1のE部拡大図では、ICチップCHは、手前側にある面が表面(おもて面)FSであり、奥側にある面が複数の端子201が形成された端子面である。後述する電子部品搭載装置1によって、ICチップCHはアンテナANの基準位置Ref1に配置される。一実施形態では、基準位置Ref1は、ICチップCHが設計上配置されるべき位置の中心点である。ICチップCHの端子面にある複数の端子201のいずれかにアンテナ素子101~103の両端が接続されている。
図1に示すインレイの例では、後述する電子部品搭載装置1によって、コンデンサC1はアンテナANの基準位置Ref2に配置される。一実施形態では、基準位置Ref2は、コンデンサC1が設計上配置されるべき位置の中心点である。E部拡大図に示すように、基材BM上に配線202が形成されており、配線202の一端がICチップCHの端子に接続され、配線202の他端がチップ型のコンデンサC1に接続されている。配線202は、限定しないが、アンテナANと同様に基材BM上に金属箔若しくは金属膜として形成されている。
【0037】
次に、図2を参照して、一実施形態の電子部品搭載方法の各工程について説明する。図2は、一実施形態の電子部品搭載方法の工程順序を示す図である。
一実施形態の電子部品搭載方法は、図1に例示したインレイを製造する際に、アンテナAN及び配線202が形成された基材BM上にICチップCH及びコンデンサC1を正確に配置、固定しつつ、アンテナANとICチップCHの間の電気的接続と物理的接続、及び、アンテナANとコンデンサC1の間の電気的接続と物理的接続を確立するための方法である。
【0038】
(S1)巻出し工程
巻き出し工程は、複数のアンテナAN及び配線202が一定のピッチで基材BM上に形成された帯状のアンテナシート(アンテナ連続体の一例)を巻回したロール体からアンテナシートを巻き出す(引き出す)工程である。
図3は、一実施形態の電子部品搭載装置1において巻出し工程を説明する図である。図3を参照すると、アンテナAN及び配線202の組合せが所定の間隔で基材BM上に連続的に形成された長尺状のアンテナシートASがロール状に巻回されたロール体PRが配置されており、ロール体PRから後工程(ICチップ実装工程)に向かってアンテナシートASが引き出されている。
なお、以下の説明では、図3に示すように、XYZ座標系を定義する。以下の説明では、各工程に配置された状態の図について言及するときには、YZ平面で見た図を正面図、XY平面で見た図を平面図、XZ平面で見た図を側面図という。
X方向は、ロール体PRから引き出されたアンテナシートASが以下で説明される各工程において搬送される方向であり、適宜、搬送方向D1ともいう。また、Y方向は、アンテナシートASの幅方向であり、適宜、幅方向D2ともいう。Z方向は、アンテナシートASと直交する方向である。
図3に示すように、巻出し工程では、アンテナシートASを搬送するための搬送ローラ16~18が設置されている。
【0039】
(S2)ICチップ実装工程
ICチップ実装工程は、搬送されるアンテナシートAS上の各アンテナANに対して、ICチップCHを実装する工程である。ICチップ実装工程では、アンテナシートASの各アンテナANの基準位置Ref1(図3参照)に導電性接着剤を吐出し、各アンテナAN上の導電性接着剤にICチップCHを配置すること、及び、導電性接着剤を仮硬化させて粘度を高めることで導電性接着剤上に配置されたICチップCHを安定化させることが行われる。ICチップCHは、例えば縦および横のサイズは数百μmと極めて小さく、この極小サイズのICチップCHを正確に基準位置に搭載することが求められる。
ここで、「仮硬化」とは、S3の硬化工程で行われる硬化処理とは異なり、導電性接着剤の粘度を高める目的で行われる、比較的低強度の硬化処理をいう。
以下の説明では、基準位置Ref1に導電性接着剤を付着させる例として、ディスペンサ2から基準位置Ref1に向けて導電性接着剤を吐出する例を挙げるが、その限りではない。基準位置Ref1に対して導電性接着剤を付着させることは、導電性接着剤を基準位置Ref1に塗布する(塗る)ことであってもよいし、導電性接着剤を含有する具材を基準位置Ref1に押し当てることであってもよい。
ICチップ実装工程については、より具体的には図4図6を参照して後で説明する。
【0040】
(S3)硬化工程
硬化工程は、各アンテナAN上の導電性接着剤を硬化させて、各アンテナANとICチップCHの物理的接続、及び、電気的接続を強固に確立するための工程である。
なお、以下の説明では、硬化工程で行われる処理を、仮硬化と区別して「本硬化」ということがある。本硬化とは、導電性ペーストを仮硬化よりも高い強度をもって硬化させ、電子部品とアンテナの間の強固な物理的接続強度を得るための硬化処理をいう。
硬化工程については、より具体的には図7及び図8を参照して後で説明する。
【0041】
(S4)コンデンサ実装工程
コンデンサ実装工程は、搬送されるアンテナシートAS上の各アンテナANに対して、コンデンサC1を実装する工程である。ICチップ実装工程では、基材BM上の各アンテナANの基準位置Ref2(図3参照)に導電性接着剤を吐出し、各アンテナAN上の導電性接着剤にコンデンサC1を配置すること、及び、導電性接着剤を仮硬化させて粘度を高めることで導電性接着剤上に配置されたコンデンサC1を安定化させることが行われる。
(S5)硬化工程
硬化工程は、各アンテナAN上の導電性接着剤を硬化させて、各アンテナANとコンデンサC1の物理的接続、及び、電気的接続を強固に確立するための工程である。
【0042】
(S6)検査工程
工程S1~S5の各工程を経ることで、アンテナシートAS上には、複数のインレイが形成された状態となる。そこで、検査工程では、複数のインレイの各々について通信特性を含む所定の電気的特性を満たしているか否かの検査を行う。
(S7)巻取り工程
巻取り工程は、検査工程を経たアンテナシートASを巻取り、ロール体とする工程である。
【0043】
次に、ICチップ実装工程について、図4図6を参照して説明する。
図4及び図5はそれぞれ、一実施形態の電子部品搭載装置1のうち部品配置装置3の全体構成とその動作を説明する図である。図6は、部品配置装置3のうちUV硬化装置5を示す図である。
図4及び図5に示すように、部品配置装置3は、ディスペンサ2、ロータリーユニット31,32、ICチップマウンタ4、UV硬化装置5、及び、コンベア6を備える。
ICチップマウンタ4(電子部品配置部の一例)は、各アンテナANに塗布された導電性ペースト上にICチップを配置するチップマウンタであり、図示しない懸架台にY方向に沿って移動可能に設置されている。図4ではICチップマウンタ4が奥側に位置する状態を示しており、図5ではICチップマウンタ4が手前側に位置する状態を示している。
図4及び図5において手前側では、アンテナシートASが左から右に向かって搬送される搬送ライン(搬送方向D1)が形成されており、搬送ラインに沿ってディスペンサ2(吐出部の一例)、及びUV硬化装置5(第1硬化部の一例)が設置されている。図4及び図5において奥側では、搬送ラインと平行にコンベア6が設置され、コンベア6に沿って、ロータリーユニット31,32、及び、ウェハWが配置されている。
【0044】
ディスペンサ2は、ICチップ実装工程においてアンテナシートASが搬送されるライン上の最も上流側に設置されている。ディスペンサ2は、搬送される各アンテナANの基準位置Ref1(図3参照)に向けて定量の導電性接着剤である異方性導電性ペースト(ACP(Anisotropic Conductive Paste);以下、単に「導電性ペースト」という。)を吐出する。この導電性ペーストは、熱硬化性及び光硬化性を有する材料で構成されている。ディスペンサ2は、各アンテナANの基準位置に対して正確に吐出位置を位置決めするために、吐出位置を搬送方向及び/又は幅方向に調整可能に構成されていることが好ましい。
【0045】
一実施形態では、ディスペンサ2から吐出される導電性ペーストは、
少なくとも以下の成分:
エポキシ(メタ)アクリレート成分と、
(メタ)アクリレート成分と、
ウレタン(メタ)アクリレートプレポリマー成分と、
光開始剤と、
有機過酸化物と、を含む接着剤と、
ニッケル粒子、金粒子、ニッケルで表面が被覆された樹脂粒子、および金で表面が被覆された樹脂粒子からなる群より選択される1以上の導電性粒子と、を含む。
このような成分を含むことで、ここで採用される導電性ペーストは、熱硬化性及び光硬化性の両方を達成可能となっている。
【0046】
ICチップマウンタ4は、搬送方向D1に沿って所定の間隔を空けて配列された複数のICチップ配置ヘッド41を備えている。ICチップ配置ヘッド41の数は任意に設定可能である。
搬送ラインと平行に配置されているコンベア6は、図4の反時計回りに複数のトレイ61を搬送する。複数のトレイ61は、隣接するICチップ配置ヘッド41の間隔と同じ間隔を空けて配置されている。
【0047】
ロータリーユニット31に隣接して、ウェハWが交換可能に設置されている。ウェハWには、YZ平面上に多数のICチップCHが集積配置されている。
ロータリーユニット31,32は、ウェハWに配置されているICチップCHを1つずつピックアップし、コンベア6上を流れる複数のトレイ61の各々に配置する。
ロータリーユニット31は、複数のピックアップヘッド311を備え、図4の時計回りに回転する。各ピックアップヘッド311は、先端部分でICチップCHを吸着可能な吸着手段を有し、ロータリーユニット31が回転した状態でウェハWから1つずつICチップCHをピックアップし、吸着により保持する。ウェハWからICチップCHをピックアップする際には、ウェハWの裏側から表側、つまり図4の右から左に向かう方向にピンで押し出し、吸着しやすくさせる。
ロータリーユニット32は、複数の搭載ヘッド321を備え、図4の反時計回りに回転する。搭載ヘッド321は、先端部分でICチップCHを吸着可能な吸着手段を有し、ロータリーユニット32が回転した状態でピックアップヘッド311から1つずつICチップCHを吸着することにより受け取り、コンベア6を流れるトレイ61上でICチップCHに対する吸着を解除することでICチップCHをトレイ61内に配置する。つまり、ロータリーユニット32が回転する度にコンベア6上のトレイ61に1つずつICチップCHが配置されていく。
なお、トレイ61にICチップCHを配置する際には、コンベア6が一旦停止する。つまり、間欠動作により順次、トレイ61にICチップCHが配置されていく。
【0048】
ロータリーユニットを2つ設けたのは、ICチップCHの向きを変更するためである。
図4及び図5において、ウェハWでは、ICチップCHの表面が左側、端子面が右側を向くように配置されている。そのため、ロータリーユニット31のピックアップヘッド311がICチップCHをピックアップするときには、ICチップCHの端子面を吸着する。ICチップCHがロータリーユニット32の搭載ヘッド321に受け渡されるときには、搭載ヘッド321は、ICチップCHの表面を吸着し、トレイ61には、ICチップCHの表面が上を向くように配置される。ICチップマウンタ4のICチップ配置ヘッド41は、ICチップCHの表面を吸着し、ICチップCHを各アンテナANに配置するときには、ICチップCHの表面の吸着を解除することで、ICチップCHの端子面が下を向くように導電性ペースト上に配置される。
【0049】
ウェハWのYZ平面上に配置されたすべてのICチップCHをピックアップヘッド311がピックアップでき、かつピックアップヘッド311から搭載ヘッド321にICチップCHの受け渡しが可能となるように、ロータリーユニット31,32はY方向及び/又はZ方向に移動可能であるのがよい。あるいは、各ロータリーユニット31,32を移動させることに代えて、又は、移動させるとともに、ウェハWをY方向及び/又はZ方向に移動可能としてもよい。
詳細は図示しないが、一実施形態では、ロータリーユニット31,32は、各ロータリーユニットをY方向及び/又はZ方向に移動させるための1又は複数の駆動モータと、各ロータリーユニットのヘッドにICチップCHを吸着させるための真空ポンプと、に接続されている。
【0050】
ICチップマウンタ4の各ICチップ配置ヘッド41は、先端部分でICチップCHを吸着可能な吸着手段を有し、コンベア6上のトレイ61に配置されたICチップCHを1つずつ吸着により保持し、アンテナシートAS上の搬送される各アンテナANの基準位置Ref1に向けて、吸着したICチップを放出して配置(搭載)する。
詳細は図示しないが、一実施形態では、電子部品搭載装置1は、ICチップマウンタ4をY方向に移動させ、かつ各ICチップ配置ヘッド41の先端をZ方向に移動させるための1又は複数の駆動モータと、真空ポンプと、ブロワと、を備える。真空ポンプは、プログラムされたタイミングで各ICチップ配置ヘッド41にICチップCHを吸着させる。ブロワは、プログラムされたタイミングで各ICチップ配置ヘッド41からICチップをアンテナシートAS上の基準位置Ref1に向けて放出する。ICチップCHをブロワにより放出することに代えて、ICチップ配置ヘッド41の先端に吸着されたICチップCHを、各アンテナANに配置された導電性ペーストに押し付けるとともにICチップCHに対する吸着を解除してもよい。
【0051】
アンテナシートASの搬送ラインに沿って配置されるUV硬化装置5の概略的な斜視図を図6に示す。図6に示すように、UV硬化装置5は、複数のUV硬化ユニット51及び支持台52を含む。支持台52は、搬送されるアンテナシートASを載置する。支持台52には、搬送方向D1に沿って開口部52Aが形成されている。図6の矢視Bから見た図に示すように、各アンテナANに吐出された導電性ペーストCPが開口部52A上に位置するように位置決めされて、アンテナシートASが搬送される。
【0052】
複数のUV硬化ユニット51の各々は、下から上に向けて(+Z方向に)UV光を照射し、このUV光によって導電性ペーストを仮硬化させる。すなわち、一実施形態では、UV硬化装置5の各UV硬化ユニット51は、基材BMにおいて各アンテナが形成されている側とは反対側からUV光を照射する。それによって、各アンテナAN上にある導電性ペーストへのICチップCHの配置と、UV光の照射とをほぼ同時に行うことができるため、ICチップCHを導電性ペースト上で安定化させることを素早く、かつ効率的に行うことができる。照射時間は限定しないが、5000mW/cmの場合に0.1~0.3秒程度である。
なお、UV光の照射方向は、下から真上に向けた方向に限られず、下から斜め上方向に向けた方向であってもよい。あるいは、ICチップ配置ヘッド41と干渉しない範囲で、アンテナシートASのより上に配置したUV硬化ユニットから、斜め下方向に照射してもよい。
【0053】
支持台52の下には、複数のUV硬化ユニット51が搬送方向D1に沿って配列されている。一実施形態では、隣接するUV硬化ユニット51のピッチは、アンテナシートAS上の隣接するアンテナANのピッチに実質的に等しく、それによって複数のアンテナANに配置された導電性ペーストを複数のUV硬化ユニット51によって同時に仮硬化させることが可能となる。
UV硬化装置5が有するUV硬化ユニット51の数は限定しないが、一実施形態では、ICチップマウンタ4のICチップ配置ヘッド41の数と同一であるか、それ以上とするとよい。それによって、ICチップ配置ヘッド41の数と同一の数のICチップCHを同時に仮硬化させることが可能となる。
【0054】
ICチップ実装工程において、部品配置装置3による動作は以下のとおりである。
ロータリーユニット31,32が回転した状態で、ロータリーユニット31の各ピックアップヘッド311がウェハWから順にICチップCHをピックアップし、ロータリーユニット32の各搭載ヘッド321に受け渡す。ロータリーユニット32の各搭載ヘッド321は、受け取ったICチップCHを、コンベア6を流れるトレイ61に順に配置する。なお、ウェハWからICチップCHをピックアップする順序は予めプログラムされている。
ICチップマウンタ4の各ICチップ配置ヘッド41は、コンベア6を流れるトレイ61に配置されたICチップCHを吸着して保持する。図4は、ICチップマウンタ4の各ICチップ配置ヘッド41がICチップCHを保持した状態を示している。
【0055】
次いで、ICチップCHをアンテナシートASの各アンテナANに配置するために、ICチップマウンタ4が奥側から手前側に移動させられる。このタイミングでは、巻出し工程から搬送されてきたアンテナシートASは停止している。
ICチップマウンタ4が手前側に移動した後、図5に示すように、ICチップマウンタ4のICチップ配置ヘッド41が降下して各アンテナANの基準位置Ref1に向けてICチップCHを放出することでICチップCHを配置する。
【0056】
一実施形態では、UV硬化装置5のUV硬化ユニット51は、ICチップCHが配置される前に導電性ペーストに向けてUV光を照射する。それにより、粘度が増加した状態の導電性ペーストにICチップCHが配置されることになるため、導電性ペースト上に配置された後にICチップCHが移動し難くなるため、ICチップCHがずれる、若しくは傾くといったことが生じ難くなり、ICチップCHが安定化する。
【0057】
一実施形態では、UV硬化装置5のUV硬化ユニット51は、ICチップCHが配置されるのと同時に導電性ペーストに向けてUV光を照射する。それにより、粘度が増加した状態の導電性ペーストにICチップCHが配置されることになるため、導電性ペースト上に配置された後にICチップCHが移動し難くなるため、ICチップCHがずれる、若しくは傾くといったことが生じ難くなり、ICチップCHが安定化する。
【0058】
一実施形態では、UV硬化装置5のUV硬化ユニット51は、ICチップCHが配置された後に導電性ペーストに向けてUV光を照射する。それにより、導電性ペーストの粘度が増加することによって、導電性ペースト上に配置された後にICチップCHがずれる、若しくは傾くといったことが生じ難くなり、ICチップCHが安定化する。
【0059】
アンテナシートASの各アンテナANに対するICチップCHの配置と仮硬化が完了すると、アンテナシートASの搬送が再開するとともに、ICチップマウンタ4が手前側から奥側に戻されて、新たなICチップCHをウェハWから取得する作業を行う。
以上説明したように、ICチップ実装工程では、巻出し工程から搬送されてきたアンテナシートASをいったん停止させ、部品配置装置3によるICチップCHの配置と仮硬化を行った後に、次工程に向けて搬送を再開する間欠動作となる。
【0060】
なお、ICチップ実装工程では、ディスペンサ2から各アンテナANに吐出する導電性ペーストは、熱硬化性及び光硬化性を有するため、仮硬化をUV硬化に代えて熱硬化によって行ってもよい。その場合には、UV硬化装置5に代えて熱硬化装置を配置する。
【0061】
次に、硬化工程について、図7及び図8を参照して説明する。
硬化工程では、上述したICチップ実装工程を経た各アンテナに塗布されている導電性ペーストを硬化させて、アンテナとICチップの物理的接続を強固にするとともに、アンテナとICチップの電気的な導通を確実にする。
【0062】
一実施形態の硬化工程を図7及び図8に示す。各図には、一実施形態の硬化工程で使用される加熱硬化装置7(第2硬化部の一例)が示される。加熱硬化装置7は、アンテナシートAS上の複数のアンテナANに塗布されている導電性ペーストを同時に硬化可能に構成されている。図7及び図8では、8個のアンテナAN上の導電性ペーストを同時に硬化するように構成されているが、その限りではない。導電性ペーストを同時に硬化可能なアンテナANの数は任意に設定できる。
【0063】
加熱硬化装置7は、複数のアンテナANに塗布されている導電性ペーストを同時に硬化させるための複数の熱硬化ユニット73を設置可能に構成されている。熱硬化ユニット73には、ヒータが内蔵されている。図7及び図8では、加熱硬化装置7に複数の熱硬化ユニット73と、各熱硬化ユニット73に対応する複数の押圧ユニット76と、が設置されている例が示される。
【0064】
図7を参照すると、加熱硬化装置7は、複数の熱硬化ユニット73を取り付けるための上側ユニット取付部71Uと、昇降部72Uと、複数の押圧ユニット76を取り付けるための下側ユニット取付部71Lと、昇降部72Lと、を備える。昇降部72Uは、図示しないアクチュエータにより上側ユニット取付部71Uを昇降させる。昇降部72Lは、図示しないアクチュエータにより下側ユニット取付部71Lを昇降させる。
ICチップ実装工程から搬送されてくるアンテナシートASは、搬送ローラ96~98を介して硬化工程に送られる。
【0065】
一実施形態の硬化工程では、アンテナシートASを搬送させる搬送状態と、アンテナシートASを停止させて導電性ペーストの硬化を行う停止状態と、が繰り返し行われる。図7は搬送状態のときの加熱硬化装置7を示しており、図8は停止状態のときの加熱硬化装置7を示している。
図7に示すように搬送状態のときには、各硬化ユニットがアンテナシートASの搬送を妨げないように、上側ユニット取付部71Uを上昇させ、かつ下側ユニット取付部71Lを下降させることで、各ユニットを退避させる。図8に示すように停止状態のときには、上側ユニット取付部71Uを下降させ、かつ下側ユニット取付部71Lを上昇させることで、各ユニットをアンテナシートASの表側及び裏側から押圧し、熱硬化処理が行われる。
【0066】
停止状態(つまり、加熱硬化装置7による硬化が行われている状態)のときにおいてもICチップ実装工程からアンテナシートASが搬送されてくるため、硬化処理が行われている間は搬送ローラ97が自重で降下し、搬送されてきたアンテナシートASを搬送ローラ96と搬送ローラ98の間で吸収する。硬化処理が終了すると、アンテナシートASを下流に急速に搬送させ、未硬化のアンテナANが各硬化ユニットの直下に位置するようにしてアンテナシートASを停止させる。つまり、アンテナシートASを急速に搬送する際、搬送ローラ97は、アンテナシートASに加わった張力により上昇する。
【0067】
熱硬化ユニット73は、導電性ペースト上に配置されたICチップをアンテナ側に押圧した状態で、アンテナAN上の導電性ペーストを加熱することで導電性ペーストを硬化させる。つまり、熱硬化ユニット73は、アンテナシートASに直交する方向から各アンテナAN上の導電性ペーストに圧力を付加しながら導電性ペーストを加熱して硬化させる。圧力を付加することで導電性ペーストに含まれる導電粒子が圧力付加方向に変形するため、導電粒子と周囲の部材との密着性が高まり、アンテナANとICチップCHの電気的接続を良好にすることができる。
【0068】
なお、各アンテナANに配置されている導電性ペーストは熱硬化性及び光硬化性を有するため、硬化工程では、熱硬化に代えてUV硬化を行ってもよい。その場合には、熱硬化ユニット73に代えてUV硬化ユニットを配置する。
【0069】
所定時間の硬化が完了すると、上側ユニット取付部71Uを上昇させ、かつ下側ユニット取付部71Lを下降させることで、各ユニットを退避させ、アンテナシートASを次工程に搬送させる。
次に、コンデンサ実装工程(図2のS4)及び硬化工程(図2のS5)では、アンテナシートASの各アンテナANの基準位置Ref2(図3参照)に導電性ペーストを吐出すること、吐出されたアンテナAN上の導電性ペーストにコンデンサC1(図1参照)を配置すること、及び、導電性ペーストを硬化させることが行われる。ここでも、ICチップCHを配置する場合と同様に、導電性ペーストの仮硬化を行って導電性ペースト上に配置されたコンデンサC1の安定化を図る。
コンデンサ実装工程(図2のS4)及び硬化工程(図2のS5)は、ICチップ実装工程(図2のS2)及び硬化工程(図2のS3)と同じ方法で行うことができるため、重複説明を省略する。
ICチップCH及びコンデンサC1を各アンテナANに実装された後、アンテナシートAS上において形成されたインレイは検査され、ロール状に巻き取られる(図2のS6,S7)。
【0070】
なお、ICチップCH及びコンデンサC1を各アンテナANに配置する方法は、電子部品が集積配置されたウェハWから1個ずつ電子部品をピックアップする方法に限られない。複数の電子部品を長尺状のテープに設けられた穴に格納して巻回したリールをフィーダ(部品送り装置)にセットし、リールの穴から電子部品を吸着してアンテナAN上に配置してもよい。
【0071】
次に、図9を参照して、電子部品搭載装置1を制御する制御部10によって行われる制御について説明する。図9は、制御部10の機能ブロック図である。なお、図9の機能ブロック図は、電子部品搭載装置1によって実現される機能の一部に対応したものである。
制御部10は、電子部品搭載装置1に備わる回路基板(図示せず)に実装されており、シート搬送用モータ8、昇降用アクチュエータ9、部品配置装置3、UV硬化装置5、及び、加熱硬化装置7と無線又は有線により通信可能に構成されている。
制御部10は、CPU11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、及び、通信インタフェース(I/F)15を含む。CPU11は、ROM12に記録されているプログラムを読み出して実行することで、図2に示した電子部品搭載方法の各工程を実行する。RAM13は、プログラムを実行する上での作業用メモリである。
【0072】
シート搬送用モータ8(搬送部の一例)は、CPU11からの制御信号に基づいて、搬送ラインに配置された各搬送ローラ(搬送ローラ16~18,96~98等)を駆動する。それによって、搬送ライン上のアンテナシートASが搬送され、あるいはアンテナシートASの搬送が停止される。
昇降用アクチュエータ9は、CPU11からの制御信号に基づいて、昇降部72L,72Uを制御し、それによって上側ユニット取付部71U及び下側ユニット取付部71Lを上昇又は降下させる。
部品配置装置3は、CPU11からの制御信号に基づいて、ウェハWからのICチップCHのピックアップからICチップマウンタ4によるICチップCHの各アンテナAN上の配置までの動作を制御する。
UV硬化装置5は、CPU11からの制御信号に基づいて、各アンテナAN上にディスペンサ2から吐出された導電性ペーストに対するUV光の照射タイミングを制御する。
加熱硬化装置7は、CPU11からの制御信号に基づいて、所定のタイミングで各アンテナAN上の導電性ペーストに圧力を付加しながら導電性ペーストを加熱して硬化させる処理を実行する。
シート搬送用モータ8、及び、昇降用アクチュエータ9は、アンテナシートASの間欠搬送が実現されるようにタイミング制御されている。
【0073】
以上説明したようにして、複数のアンテナが一定のピッチで基材上に形成された帯状のアンテナシートがラインに投入され、実装工程と硬化工程を経て、各アンテナ上にICチップやコンデンサ等の電子部品が搭載される。本実施形態の電子部品搭載装置は、ICチップ実装工程においてアンテナの基準位置に接着剤(導電性ペースト)を塗布するとともに当該接着剤上に電子部品を配置し、硬化工程において接着剤を硬化させてアンテナと電子部品の接続を強固にする。
このとき、実装工程では、電子部品を導電性ペースト上に配置するとともに、導電性ペーストを仮硬化させて粘度を高めることで導電性ペースト上に配置された電子部品を安定化するため、その後の本硬化を行うまでに電子部品の位置がずれることなく本硬化を精度良く実施できる。
【0074】
電子部品搭載装置1において、ディスペンサ2から吐出される導電性ペーストは、熱硬化性及び光硬化性を有している。そのため、仮硬化、及び、本硬化の各々の処理に対して熱硬化又は光硬化のいずれを採用することもできるため、工程変更計や段取り替えに対して柔軟に対応できる。すなわち、従来は、インレイのベース基材としてサーマル基材を用いる場合は例えばUV硬化用接着剤を適用し、サーマル基材を用いない場合は熱硬化用接着剤を適用する等、基材の材料に応じて導電性接着剤を変更していた。それに対して、本開示による導電性ペーストを使用すれば、インレイのベース基材に応じた導電性ペーストの変更作業が必要なく、生産性が向上する。
よって、電子部品搭載装置1によれば、生産性の低下を招くことなく電子部品の搭載位置の精度を向上させることができる。
【0075】
なお、発明者は、上記導電性ペースト(導電性接着剤の一例)の性能を確認するために、
以下の成分:
エポキシアクリレート(35部)
アクリレートモノマー(40部)
ウレタンアクリレートポリマー(5部)
光開始剤(2部)
シリカ(5部)
有機過酸化物(2部)
密着性付与剤および安定剤(100%になる量)
を含む接着剤を、ケミテック株式会社(商品名:ケミシール、型番:U-1730)より入手した。接着剤に、導電性粒子として異方導電性ペーストエポウェル-CP(積水化学工業)を混合し、導電性接着剤組成物を得た。異方導電性ペーストは、導電性接着剤組成物の質量に対して導電性粒子の質量が5%~10%(粒子サイズにより調整)となるような量用いた。
その結果、良好な熱硬化性及び光硬化性を有していることが確認できた。
【0076】
一実施形態の電子部品搭載方法は、以下の各ステップを含む。
(a)基材BM上にインレイ用の複数のアンテナANが連続的に形成されているアンテナシートASを搬送するステップ
(b)ディスペンサ2によって、アンテナシートASの各アンテナANの所定の基準位置に向けて、熱硬化性及び光硬化性を有する導電性ペーストを吐出するステップ
(c)アンテナシートASの各アンテナANの基準位置にある導電性ペースト上に、ICチップCHやコンデンサC1等の電子部品を配置するステップ
(d)アンテナシートASの各アンテナ上にある導電性ペーストに向けてUV光を照射して硬化させるステップ
(e)UV光が照射される位置よりも搬送方向の下流側の位置において、各アンテナAN上の導電性ペーストを加熱して硬化させるステップ
【0077】
以上、電子部品搭載装置、及び電子部品搭載方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
1…電子部品搭載装置
2…ディスペンサ
3…部品配置装置
31,32…ロータリーユニット
311…ピックアップヘッド
321…搭載ヘッド
4…ICチップマウンタ
41…ICチップ配置ヘッド
5…UV硬化装置
51…UV硬化ユニット
52…支持台
52A…開口部
6…コンベア
61…トレイ
7…熱硬化装置
71U…上側ユニット取付部
71L…下側ユニット取付部
72U,72L…昇降部
73…熱硬化ユニット
76…押圧ユニット
8…シート搬送用モータ
9…昇降用アクチュエータ
10…制御部
11…CPU
12…ROM
13…RAM
14…ストレージ
15…通信インタフェース
16~18,96~98…搬送ローラ
101~103…アンテナ素子
201…端子
202…配線
AN…アンテナ
AS…アンテナシート
BM…基材
CH…ICチップ
C1…コンデンサ
PR…ロール体
W…ウェハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9