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特開2024-129307摩擦撹拌接合用ツール、および、摩擦撹拌接合用工具
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  • 特開-摩擦撹拌接合用ツール、および、摩擦撹拌接合用工具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129307
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】摩擦撹拌接合用ツール、および、摩擦撹拌接合用工具
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/12 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
B23K20/12 344
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038424
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】523194617
【氏名又は名称】NTKカッティングツールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】宮田 英次
(72)【発明者】
【氏名】原 康
(72)【発明者】
【氏名】上木 正聡
【テーマコード(参考)】
4E167
【Fターム(参考)】
4E167BG04
4E167BG05
4E167BG06
4E167BG22
(57)【要約】
【課題】 ツールホルダに取り付けられ、被加工部材の接合部分を撹拌し接合する摩擦撹拌接合用ツールにおいて、摩擦撹拌接合の作業性を向上する技術を提供する。
【解決手段】 擦撹拌接合用ツールは、被加工部材の接合部分に押し当てられるプローブ部と、プローブ部を支持する軸部であって、ツールホルダに形成されている取付孔に挿入されてツールホルダに対して取り付けられる状態において、取付孔からはみ出すはみ出し部分を有する軸部と、を備え、軸部の中心軸に垂直な断面のうち、はみ出し部分の第1の断面において、軸部の外形線は、中心軸からの距離が一定の第1の部分と、中心軸からの距離が第1の部分の中心軸からの距離より短い第2の部分と、を有する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツールホルダに取り付けられ、被加工部材の接合部分を撹拌し接合する摩擦撹拌接合用ツールであって、
前記被加工部材の接合部分に押し当てられるプローブ部と、
前記プローブ部を支持する軸部であって、前記ツールホルダに形成されている取付孔に挿入されて前記ツールホルダに対して取り付けられる状態において、前記取付孔からはみ出すはみ出し部分を有する軸部と、を備え、
前記軸部の中心軸に垂直な断面のうち、前記はみ出し部分の第1の断面において、前記軸部の外形線は、前記中心軸からの距離が一定の第1の部分と、前記中心軸からの距離が前記第1の部分の前記中心軸からの距離より短い第2の部分と、を有する、
ことを特徴とする摩擦撹拌接合用ツール。
【請求項2】
請求項1に記載の摩擦撹拌接合用ツールであって、
前記第1の断面における前記第2の部分は、直線である、
ことを特徴とする摩擦撹拌接合用ツール。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の摩擦撹拌接合用ツールであって、
前記第1の断面において、
前記軸部の外形線は、2つの前記第2の部分を有しており、
2つの前記第2の部分は、前記軸部の中心軸を挟むように位置している、
ことを特徴とする摩擦撹拌接合用ツール。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の摩擦撹拌接合用ツールであって、
前記第1の断面における前記軸部の外形線は、矩形形状である、
ことを特徴とする摩擦撹拌接合用ツール。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の摩擦撹拌接合用ツールであって、
前記軸部は、窒化珪素系セラミック、または、サイアロンからなる、
ことを特徴とする摩擦撹拌接合用ツール。
【請求項6】
請求項2に記載の摩擦撹拌接合用ツールであって、
前記第1の断面において、前記軸部の中心軸を中心とし、前記第2の部分を弦とする扇形の中心角は、30度以上90度以下である、
ことを特徴とする摩擦撹拌接合用ツール。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の摩擦撹拌接合用ツールであって、
前記軸部の中心軸に垂直な断面のうち、前記ツールホルダに形成されている取付孔に挿入されて前記ツールホルダに対して取り付けられる状態で前記取付孔に挿入される挿入部分の第2の断面において、前記軸部の外形線は、前記中心軸からの距離が一定の第3の部分と、前記中心軸からの距離が前記第3の部分の距離より短い第4の部分と、を有する、
ことを特徴とする摩擦撹拌接合用ツール。
【請求項8】
摩擦撹拌接合用工具であって、
請求項1または請求項2に記載の摩擦撹拌接合用ツールと、
前記摩擦撹拌接合用ツールの前記軸部を挿入可能な前記取付孔を有する前記ツールホルダと、を備える、
ことを特徴とする摩擦撹拌接合用工具。
【請求項9】
請求項8に記載の摩擦撹拌接合用工具であって、
前記ツールホルダは、金属からなる、
ことを特徴とする摩擦撹拌接合用工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦撹拌接合用ツール、および、摩擦撹拌接合用工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、部材同士の当接部分を摩擦熱によって軟化させつつ撹拌することで部材を接合する摩擦撹拌接合用工具が知られている(例えば、特許文献1,2)。一般的に、摩擦撹拌接合用工具は、部材同士の当接部分に押し付けられる摩擦撹拌接合用ツールと、摩擦撹拌接合用ツールを保持するツールホルダと、ツールホルダ内に挿入される摩擦撹拌接合用ツールに接触し、ツールホルダに対して摩擦撹拌接合用ツールを固定するツール固定用ねじと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2012/101786号
【特許文献2】特開2011-62743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、摩擦撹拌接合用工具を用いて部材を接合するとき、摩擦撹拌接合用工具は高温になりやすいため、摩擦撹拌接合用ツールとツールホルダとには、熱膨張差によって隙間が生じる。摩擦撹拌接合用ツールとツールホルダとの間に隙間が生じると、摩擦撹拌接合用ツールがツールホルダの内部で回転し、ツール固定用ねじにおける摩擦撹拌接合用ツールと接する位置がずれる場合がある。ツール固定用ねじと摩擦撹拌接合用ツールとが接する位置がずれたまま、常温に戻ると、収縮による応力がツール固定用ねじに作用し、摩擦撹拌接合用ツールをツールホルダから取り外しづらくなるおそれがある。このため、摩擦撹拌接合用ツールの交換に手間がかかり、摩擦撹拌接合の作業性を低下する。
【0005】
本発明は、摩擦撹拌接合用ツールにおいて、摩擦撹拌接合の作業性を向上する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、ツールホルダに取り付けられ、被加工部材の接合部分を撹拌し接合する摩擦撹拌接合用ツールが提供される。この摩擦撹拌接合用ツールは、前記被加工部材の接合部分に押し当てられるプローブ部と、前記プローブ部を支持する軸部であって、前記ツールホルダに形成されている取付孔に挿入されて前記ツールホルダに対して取り付けられる状態において、前記取付孔からはみ出すはみ出し部分を有する軸部と、を備え、前記軸部の中心軸に垂直な断面のうち、前記はみ出し部分の第1の断面において、前記軸部の外形線は、前記中心軸からの距離が一定の第1の部分と、前記中心軸からの距離が前記第1の部分の前記中心軸からの距離より短い第2の部分と、を有する。
【0008】
この構成によれば、軸部のはみ出し部分は、軸部の中心軸に垂直な断面において、外形線が、中心軸からの距離が一定の第1の部分と、中心軸からの距離が第1の部分の中心軸からの距離より短い第2の部分と、を有する。ここで、第2の部分についての「中心軸からの距離」とは、第2の部分における中心軸との間の距離のうち、最短の距離のことを指す。すなわち、はみ出し部分の断面の外形線の形状は、円形状となっていない。これにより、はみ出し部分における第2の部分に対応する側面をスパナなどの工具によってつかむことで、工具の空回りが抑制され、工具の回転力を摩擦撹拌接合用ツールに伝えることができる。したがって、摩擦撹拌接合用ツールを容易に回転させることできるため、摩擦撹拌接合用ツールを回転させながらツールホルダから取り外すことが可能となり、摩擦撹拌接合の作業性を向上させることができる。
【0009】
(2)上記形態の摩擦撹拌接合用ツールにおいて、前記第1の断面における前記第2の部分は、直線であってもよい。この構成によれば、軸部のはみ出し部分は、断面における外形線のうち、第2の部分に対応する、平らな側面を有する。これにより、平らな側面を工具によってつかむことで、工具の空回りがさらに抑制され、工具の回転力を摩擦撹拌接合用ツールに伝えることができる。したがって、摩擦撹拌接合用ツールをさらに容易に回転させることできるため、回転摩擦撹拌接合の作業性をさらに向上させることができる。
【0010】
(3)上記形態の摩擦撹拌接合用ツールにおいて、前記第1の断面において、前記軸部の外形線は、2つの前記第2の部分を有しており、2つの前記第2の部分は、前記軸部の中心軸を挟むように位置していてもよい。この構成によれば、軸部のはみ出し部分では、第2の部分に対応する側面が軸部の中心軸を挟むように2つ形成されている。これにより、スパナなどの対象物を挟み込む工具によって、それぞれが第2の部分に対応する、2つの側面をつかむことで、工具の空回りがさらに抑制され、摩擦撹拌接合用ツールをさらに容易に回転させることできる。したがって、回転摩擦撹拌接合の作業性をさらに向上させることができる。
【0011】
(4)上記形態の摩擦撹拌接合用ツールにおいて、前記第1の断面における前記軸部の外形線は、矩形形状であってもよい。この構成によれば、軸部のはみ出し部分は、中心軸を囲むように配置され、平面形状の側面を4つ有している。これにより、対象物を挟み込む工具によって、4つの側面のうちの対向する2つの側面をつかむことで、摩擦撹拌接合用ツールをさらに容易に回転させることできる。したがって、回転摩擦撹拌接合の作業性をさらに向上させることができる。
【0012】
(5)上記形態の摩擦撹拌接合用ツールにおいて、前記軸部は、窒化珪素系セラミック、または、サイアロンからなっていてもよい。この構成によれば、軸部が窒化珪素系セラミックまたはサイアロンからなると熱膨張差が大きくなり、ツールホルダに対する摩擦撹拌接合用ツールの固定位置がずれて摩擦撹拌接合用ツールが取り外しにくくなる場合がある。上記形態の摩擦撹拌接合用ツールでは、はみ出し部分の第2の部分に対応する側面を工具でつかむことで工具の空回りを抑制することができるため、工具の回転力を摩擦撹拌接合用ツールに伝えることができる。これにより、摩擦撹拌接合用ツールをさらに容易に回転させることできるため、摩擦撹拌接合の作業性を向上させることができる。
【0013】
(6)上記形態の摩擦撹拌接合用ツールにおいて、前記第1の断面において、前記軸部の中心軸を中心とし、前記第2の部分を弦とする扇形の中心角は、30度以上90度以下であってもよい。この構成によれば、軸部のはみ出し部分は、軸部の中心軸に垂直な断面において、第2の部分を弦とする扇形の中心角が、30度以上90度以下となっている。これにより、軸部を工具でつかみづらくなることもなく、かつ、軸部がある程度の強度を有することができる。
【0014】
(7)上記形態の摩擦撹拌接合用ツールにおいて、前記軸部の中心軸に垂直な断面のうち、前記ツールホルダに形成されている取付孔に挿入されて前記ツールホルダに対して取り付けられる状態で前記取付孔に挿入される挿入部分の第2の断面において、前記軸部の外形線は、前記中心軸からの距離が一定の第3の部分と、前記中心軸からの距離が前記第3の部分の距離より短い第4の部分と、を有してもよい。この構成によれば、軸部の挿入部分は、軸部の中心軸に垂直な断面において、外形線が、中心軸からの距離が一定の第3の部分と、中心軸からの距離が第3の部分の距離より短い第4の部分と、を有する。すなわち、挿入部分の断面の外形線の形状は、円形状となっていない。これにより、摩擦撹拌接合用ツールがツール固定用ねじによってツールホルダに固定される場合に、ツール固定用ねじが第4の部分に対応する側面に接することで、摩擦撹拌接合用ツールを安定して固定することができる。したがって、熱膨張差によって隙間が形成されても摩擦撹拌接合用ツールが回転することを抑制できる。
【0015】
(8)本発明の別の形態によれば、摩擦撹拌接合用工具が提供される。この摩擦撹拌接合用工具は、上記形態の摩擦撹拌接合用ツールと、前記摩擦撹拌接合用ツールの前記軸部を挿入可能な前記取付孔を有する前記ツールホルダと、を備える。この構成によれば、摩擦撹拌接合用工具は、上記の構成の摩擦撹拌接合用ツールと、摩擦撹拌接合用ツールが取り付けられるツールホルダと、を備える。これにより、摩擦撹拌接合用工具では、摩擦撹拌接合用ツールを回転させながらツールホルダから取り外すことが可能となり、摩擦撹拌接合の作業性を向上させることができる。
【0016】
(9)上記形態の摩擦撹拌接合用工具において、前記ツールホルダは、金属からなっていてもよい。この構成によれば、ツールホルダが金属からなると熱膨張差が大きくなり、ツールホルダに対する摩擦撹拌接合用ツールの固定位置がずれて摩擦撹拌接合用ツールが取り外しにくくなる場合がある。上記形態の摩擦撹拌接合用工具では、はみ出し部分の第2の部分に対応する側面を工具でつかむことで工具の空回りを抑制することができるため、工具の回転力を摩擦撹拌接合用ツールに伝えることができる。これにより、摩擦撹拌接合用ツールを容易に回転させることできるため、摩擦撹拌接合の作業性を向上させることができる。
【0017】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、摩擦撹拌接合用ツールおよび摩擦撹拌接合用工具の製造方法、摩擦撹拌接合用ツールによる被加工部材の接合方法、摩擦撹拌接合用ツールを用いた接合方法によって接合された接合部材等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態の摩擦撹拌接合用工具の概略模式図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3】第1実施形態の摩擦撹拌接合用ツールの概略模式図である。
図4図3のB-B線断面図である。
図5図3のC-C線断面図である。
図6】第1実施形態の摩擦撹拌接合用工具の使用例を説明する図である。
図7】比較例の摩擦撹拌接合用工具の概略模式図である。
図8】第2実施形態の摩擦撹拌接合用ツールの断面図である。
図9】第3実施形態の摩擦撹拌接合用ツールの断面図である。
図10】第4実施形態の摩擦撹拌接合用ツールの断面図である。
図11】第2実施形態の摩擦撹拌接合用ツールの変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の摩擦撹拌接合用工具1の概略模式図である。図2は、図1のA-A線断面図である。本実施形態の摩擦撹拌接合用工具1は、ツールホルダ10と、ツール固定用ねじ20と、摩擦撹拌接合用ツール30と、を備える。摩擦撹拌接合用工具1は、複数の被加工部材の当接部分を摩擦熱によって軟化させるとともに、撹拌することで、被加工部材同士を接合する。
【0020】
ツールホルダ10は、円板形状の底部11と、底部11に接続する円筒部12と、を有する。本実施形態では、ツールホルダ10は、金属からなる。ツールホルダ10は、円筒部12の内側に、摩擦撹拌接合用ツール30が挿入される取付孔13を有する。円筒部12には、ツールホルダ10の外部と取付孔13とを連通するねじ穴14が形成されている。ねじ穴14の内壁には雌ねじが形成されている。ツールホルダ10は、摩擦撹拌接合用ツール30を保持する。
【0021】
ツール固定用ねじ20は、ツールホルダ10のねじ穴14に嵌められている。本実施形態の摩擦撹拌接合用工具1には、図2の断面図に示すように、1つのツールホルダ10に対して、4個のツール固定用ねじ20が設けられている。ツール固定用ねじ20は、ツール固定用ねじ20を回転させる工具を差込むための図示しない穴が形成されている頭部21と、ねじ穴14の内壁に形成されている雌ねじと嵌合する雄ねじが側面に形成されているねじ軸部22と、を備える。ツール固定用ねじ20は、ツールホルダ10の取付孔13に挿入されている摩擦撹拌接合用ツール30をツールホルダ10に対して固定する。
【0022】
摩擦撹拌接合用ツール30は、略円柱形状の部材である。摩擦撹拌接合用ツール30は、ツールホルダ10に取り付けられ、被加工部材の接合部分を撹拌し接合する。摩擦撹拌接合用ツール30は、プローブ部31と、軸部32と、を備える。
【0023】
図3は、本実施形態の摩擦撹拌接合用ツール30の概略模式図である。図3は、図1に示す摩擦撹拌接合用工具1の模式図のうち、摩擦撹拌接合用ツール30の部分を拡大した模式図である。図3では、摩擦撹拌接合用ツール30以外の部分は、鎖線で示している。
【0024】
プローブ部31は、図3に示すように、軸部32が設けられる側から離れるにしたがって、外径が小さくなるように形成されている。プローブ部31は、被加工部材の接合部分に押し当てられる。
【0025】
軸部32は、プローブ部31を支持する。軸部32は、窒化珪素系セラミック、または、サイアロンからなる。第1大径部分33と、第1小径部分34と、第2大径部分35と、第2小径部分36と、第3大径部分37と、を有する。軸部32は、ツールホルダ10に形成されている取付孔13に挿入されてツールホルダ10に対して取り付けられる状態(図3に示す状態)において、取付孔13からはみ出すはみ出し部分32aを有する。
【0026】
第1大径部分33は、プローブ部31に接続する。第1大径部分33は、円柱形状を有している。第1大径部分33の摩擦撹拌接合用ツール30の中心軸C30に垂直な断面形状は、中心軸C30上に中心が位置する円形状となっている。第1大径部分33は、摩擦撹拌接合用ツール30がツールホルダ10の取付孔13に挿入された状態において、取付孔13からはみ出すはみ出し部分32aに含まれる。
【0027】
第1小径部分34は、第1大径部分33に接続する。第1小径部分34は、側面に複数の平面を有する。第1小径部分34は、中心軸C30に垂直な断面の大きさが、第1大径部分33よりも小さい。第1小径部分34は、摩擦撹拌接合用ツール30がツールホルダ10の取付孔13に挿入された状態において、取付孔13からはみ出すはみ出し部分32aに含まれる。
【0028】
図4は、図3のB-B線断面図であって、第1小径部分34の中心軸C30に垂直な断面図である。図4に示すように、第1小径部分34の断面図における外形線は、中心軸C30からの距離が一定の「第1の部分」としての4つの曲線部分Cr11,Cr12,Cr13,Cr14と、中心軸C30からの距離が曲線部分Cr11,Cr12,Cr13,Cr14の中心軸C30からの距離より短い「第2の部分」としての4つの直線部分St11,St12,St13,St14と、を有する。ここで、「第2の部分」についての「中心軸からの距離」とは、「第2の部分」における中心軸C30との間の距離のうち、最短の距離のことを指す。具体的には、図4に示す直線部分St14では、直線部分St14を接線とする、中心軸C30に中心を有する仮想円VC1の半径r1の大きさが、直線部分St14についての「中心軸からの距離」となる。
【0029】
図4に示す第1小径部分34の中心軸C30に垂直な断面図では、直線部分St11は、曲線部分Cr11と曲線部分Cr14とに接続し、直線部分St12は、曲線部分Cr11と曲線部分Cr12とに接続している。直線部分St13は、曲線部分Cr12と曲線部分Cr13とに接続し、直線部分St14は、曲線部分Cr13と曲線部分Cr14とに接続している。4つの曲線部分Cr11,Cr12,Cr13,Cr14のそれぞれは、中心軸C30に中心を有する仮想円C34と重なる。4つの直線部分St11,St12,St13,St14のうち、直線部分St11と直線部分St13とは、中心軸C30を挟むように位置しており、直線部分St12と直線部分St14とは、中心軸C30を挟むように位置している。本実施形態では、直線部分St11と直線部分St13、および、直線部分St12と直線部分St14とは、略平行となるように位置している。
【0030】
本実施形態では、図4に示すように、軸部32の中心軸C30を中心とし、直線部分St11,St12,St13,St14のそれぞれを弦とする扇形Fs1,Fs2,Fs3,Fs4の中心角θ1,θ2,θ3,θ4のそれぞれは、30度以上90度以下となる。第1小径部分34が有する複数の側面のうち、4つの曲線部分Cr11,Cr12,Cr13,Cr14に対応する側面34aは、曲面形状を有しており、4つの直線部分St11,St12,St13,St14に対応する側面34bは、平面形状を有している。側面34bの中心軸C30方向の長さ(幅)は、スパナなどの工具の先端が側面34bに接することが可能なように、5mm以上25mm以下となっている。
【0031】
第2大径部分35は、第1小径部分34に接続する。第2大径部分35は、円柱形状を有している。第2大径部分35の摩擦撹拌接合用ツール30の中心軸C30に垂直な断面形状は、中心軸C30上に中心が位置する円形状となっている。第2大径部分35は、摩擦撹拌接合用ツール30がツールホルダ10の取付孔13に挿入可能された状態において、第1小径部分34側の一部が、取付孔13からはみ出すはみ出し部分32aに含まれる(図3参照)。
【0032】
第2小径部分36は、第2大径部分35に接続する。第2小径部分36は、側面に複数の平面を有する。第2小径部分36は、中心軸C30に垂直な断面の大きさが、第2大径部分35よりも小さい。第2小径部分36は、摩擦撹拌接合用ツール30がツールホルダ10の取付孔13に挿入された状態において、取付孔13に収容される。
【0033】
図5は、図3のC-C線断面図であって、第2小径部分36の中心軸C30に垂直な断面図である。図5に示すように、第2小径部分36の断面図における外形線は、中心軸C30からの距離が一定の「第3の部分」としての4つの曲線部分Cr21,Cr22,Cr23,Cr24と、中心軸C30からの距離が曲線部分Cr21,Cr22,Cr23,Cr24の中心軸C30からの距離より短い「第4の部分」としての4つの直線部分St21,St22,St23,St24と、を有する。直線部分St21は、曲線部分Cr21と曲線部分Cr24とに接続し、直線部分St22は、曲線部分Cr21と曲線部分Cr22とに接続している。直線部分St23は、曲線部分Cr22と曲線部分Cr23とに接続し、直線部分St24は、曲線部分Cr23と曲線部分Cr24とに接続している。本実施形態では、第2小径部分36が有する複数の側面のうち、4つの曲線部分Cr21,Cr22,Cr23,Cr24に対応する面36aは、曲面形状を有しており、4つの直線部分St21,St22,St23,St24に対応する面36bは、平面形状を有している(図3参照)。4つの曲線部分Cr21,Cr22,Cr23,Cr24のそれぞれは、中心軸C30に中心を有する仮想円C36と重なる。
【0034】
第3大径部分37は、第2小径部分36に接続する。第3大径部分37は、円柱形状を有している。第3大径部分37の摩擦撹拌接合用ツール30の中心軸C30に垂直な断面形状は、中心軸C30上に中心が位置する円形状となっている。第3大径部分37は、摩擦撹拌接合用ツール30がツールホルダ10の取付孔13に挿入された状態において、取付孔13に収容され、ツールホルダ10の底部11に接している。
【0035】
図6は、本実施形態の摩擦撹拌接合用工具1の使用例を説明する図である。図6は、金属からなる複数の被加工部材M1を摩擦撹拌接合によって接合している状態を示している。摩擦撹拌接合用工具1を用いて、複数の被加工部材M1を接合するとき、ツールホルダ10に支持された摩擦撹拌接合用ツール30のプローブ部31を、複数の被加工部材M1を当接させた部分pM1に押し当て、摩擦撹拌接合用工具1を回転させる。これにより、プローブ部31が押し当てられた部分pM1は、摩擦熱によって軟化し、撹拌される。回転する摩擦撹拌接合用工具1を複数の被加工部材M1を当接させた部分pM1に沿って移動させることで、軟化し撹拌された部分が冷えて固まり、複数の被加工部材M1同士が接合する。
【0036】
次に、本実施形態の摩擦撹拌接合用工具1における摩擦撹拌接合用ツール30の効果について、摩擦撹拌接合用ツール30とは異なる構成の摩擦撹拌接合用ツールを備える比較例と比較して説明する。本実施形態の摩擦撹拌接合用ツール30は、図4に示すように、軸部32の中心軸C30に垂直な断面のうち、はみ出し部分32aに含まれる第1小径部分34の断面において、第1小径部分34の外形線は、中心軸C30からの距離が一定の曲線部分Cr11,Cr12,Cr13,Cr14と、中心軸C30からの距離が曲線部分Cr11,Cr12,Cr13,Cr14の中心軸C30からの距離より短い直線部分St11,St12,St13,St14と、を有する。
【0037】
図7は、比較例の摩擦撹拌接合用工具の模式図である。図7に示す摩擦撹拌接合用工具90は、ツールホルダ10と、ツール固定用ねじ20と、摩擦撹拌接合用ツール93と、を備える。摩擦撹拌接合用ツール93は、略円柱形状を有しており、ツールホルダ10に取り付けられ、被加工部材の接合部分を撹拌し接合する。摩擦撹拌接合用ツール93は、プローブ部31と、軸部932と、を備える。軸部932は、ツールホルダ10に形成されている取付孔13に挿入されてツールホルダ10に対して取り付けられる状態において、取付孔13からはみ出すはみ出し部分932aを有する。はみ出し部分932aは、円柱形状を有している。このため、はみ出し部分932aの側面は、摩擦撹拌接合用ツール93の中心軸C93からの距離が一定の曲面形状を有している。
【0038】
比較例の摩擦撹拌接合用工具90によって被加工部材を接合するために、摩擦撹拌接合用ツール93を被加工部材に押し当てて回転させると、ツールホルダ10および摩擦撹拌接合用ツール93のいずれも高温となる。使用前の温度から使用後の高温への温度変化における、ツールホルダ10が有する取付孔13の内径の変化量は、摩擦撹拌接合用ツール93の外径の変化量より大きい。このため、ツールホルダ10と摩擦撹拌接合用ツール93との間に隙間が生じやすく、隙間が生じると、摩擦撹拌接合用ツール93がツールホルダ10の内部で回転し、ツール固定用ねじ20における摩擦撹拌接合用ツール93と接する位置が摩擦撹拌接合用ツール93を固定した位置からずれる場合がある。ツール固定用ねじ20と摩擦撹拌接合用ツール93とが接する位置がずれたまま、常温に戻ると、収縮による応力が作用し、摩擦撹拌接合用ツール93をツールホルダ10から取り外しづらくなるおそれがある。
【0039】
比較例の摩擦撹拌接合用工具90が備える摩擦撹拌接合用ツール93をツールホルダ10から取り外すとき、軸部932のはみ出し部分932aをスパナなどの工具でつかんで、摩擦撹拌接合用ツール93を回転させながらツールホルダ10から引き抜く方法が考えられる。しかしながら、はみ出し部分932aの側面は、中心軸C93からの距離が一定の曲面形状を有しているため、工具が空回りしやすく、工具の回転力が摩擦撹拌接合用ツール93に伝わりにくい。このため、摩擦撹拌接合用ツール93の交換に手間がかかり、摩擦撹拌接合の作業性を低下する。
【0040】
一方、本実施形態の摩擦撹拌接合用工具1では、摩擦撹拌接合用ツール30のはみ出し部分32aに含まれる第1小径部分34は、平面形状を有する側面34bを有する。これにより、摩擦撹拌接合用ツール30をツールホルダ10から取り外すとき、第1小径部分34の側面34bに工具を接触させて摩擦撹拌接合用ツール30をつかむことで、工具の回転力が摩擦撹拌接合用ツール30に伝わりやすくなる。したがって、摩擦撹拌接合用ツール30を回転させながらツールホルダ10から引き抜くことができるため、摩擦撹拌接合用ツール30の交換が容易になり、摩擦撹拌接合の作業性を向上させることができる。
【0041】
以上説明した、本実施形態の摩擦撹拌接合用ツール30によれば、軸部32のはみ出し部分32aは、軸部32の中心軸C30に垂直な断面において、外形線が、中心軸C30からの距離が一定の第1の部分である曲線部分Cr11,Cr12,Cr13,Cr14と、中心軸C30からの距離が曲線部分Cr11,Cr12,Cr13,Cr14の中心軸C30からの距離より短い第2の部分である直線部分St11,St12,St13,St14と、を有する。すなわち、はみ出し部分32aの断面の外形線の形状は、円形状となっていない。これにより、はみ出し部分32aの直線部分St11,St12,St13,St14に対応する側面34bをスパナなどの工具によってつかむことで、工具の空回りが抑制され、工具の回転力を摩擦撹拌接合用ツール30に伝えることができる。したがって、摩擦撹拌接合用ツール30を容易に回転させることできるため、摩擦撹拌接合用ツール30を回転させながらツールホルダ10から取り外すことが可能となり、摩擦撹拌接合の作業性を向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態の摩擦撹拌接合用ツール30によれば、軸部32のはみ出し部分32aは、軸部32の中心軸C30に垂直な断面における外形線の形状が直線である直線部分St11,St12,St13,St14に対応する平らな側面34bを有する。これにより、平らな側面34bを工具によってつかむことで、工具の空回りがさらに抑制され、工具の回転力を摩擦撹拌接合用ツール30に伝えることができる。したがって、摩擦撹拌接合用ツール30をさらに容易に回転させることできるため、回転摩擦撹拌接合の作業性をさらに向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態の摩擦撹拌接合用ツール30によれば、軸部32のはみ出し部分32aでは、軸部32の中心軸C30に垂直な断面における外形線において、直線部分St11と直線部分St13、および、直線部分St12と直線部分St14のそれぞれが、中心軸C30を挟むように位置している。すなわち、側面34bが軸部32の中心軸C30を挟むように2つ形成されている。これにより、スパナなどの対象物を挟み込む工具によって、対向する2つの側面34bをつかむことで、工具の空回りがさらに抑制され、摩擦撹拌接合用ツール30をさらに容易に回転させることできる。したがって、回転摩擦撹拌接合の作業性をさらに向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態の摩擦撹拌接合用ツール30によれば、軸部32の幅が熱膨張によって大きくなると、ツールホルダ10に対する摩擦撹拌接合用ツール30の固定位置がずれて摩擦撹拌接合用ツール30が取り外しにくくなる場合がある。摩擦撹拌接合用ツール30では、はみ出し部分32aの直線部分St11,St12,St13,St14に対応する側面34bを工具によってつかむことで工具の空回りを抑制することができるため、工具の回転力を摩擦撹拌接合用ツール30に伝えることができる。これにより、摩擦撹拌接合用ツール30をさらに容易に回転させることできるため、摩擦撹拌接合の作業性を向上させることができる。
【0045】
また、本実施形態の摩擦撹拌接合用ツール30によれば、軸部32は、窒化珪素系セラミック、または、サイアロンによって形成されている。軸部32が窒化珪素系セラミック、または、サイアロンによって形成されていると熱膨張差が大きくなることでツールホルダ10に対する摩擦撹拌接合用ツール30の固定位置がずれて摩擦撹拌接合用ツール30が取り外しにくくなる場合がある。摩擦撹拌接合用ツール30では、はみ出し部分32aの直線部分St11,St12,St13,St14に対応する側面34bを工具によってつかむことで工具の空回りを抑制することができるため、工具の回転力を摩擦撹拌接合用ツール30に伝えることができる。これにより、摩擦撹拌接合用ツール30をさらに容易に回転させることできるため、摩擦撹拌接合の作業性を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態の摩擦撹拌接合用ツール30によれば、軸部32のはみ出し部分32aは、軸部32の中心軸C30に垂直な断面において、直線部分St11,St12,St13,St14を弦とする扇形Fs1,Fs2,Fs3,Fs4のθ1,θ2,θ3,θ4のそれぞれが30度以上90度以下となっている。これにより、軸部32を工具でつかみづらくなることもなく、かつ、軸部32がある程度の強度を有することができる。
【0047】
また、本実施形態の摩擦撹拌接合用ツール30によれば、第1小径部分34の側面34bの中心軸C30方向の長さ(幅)は、5mm以上25mm以下となっている。これにより、スパナなどの工具によって第1小径部分34をつかむことができるため、工具による摩擦撹拌接合用ツール30の取り外しが容易となる。したがって、摩擦撹拌接合の作業性を向上させることができる。
【0048】
また、本実施形態の摩擦撹拌接合用ツール30によれば、軸部32の取付孔13に挿入されている部分は、軸部32の中心軸C30に垂直な断面において、外形線が、中心軸C30からの距離が一定の第3の部分である曲線部分Cr21,Cr22,Cr23,Cr24と、中心軸C30からの距離が曲線部分Cr21,Cr22,Cr23,Cr24の距離より短い第4の部分である直線部分St21,St22,St23,St24と、を有する。すなわち、軸部32の取付孔13に挿入されている部分の断面の外形線の形状は、円形状となっていない。これにより、摩擦撹拌接合用ツール30がツール固定用ねじ20によってツールホルダ10に固定される場合に、ツール固定用ねじ20が第4の部分に対応する側面に接することで、摩擦撹拌接合用ツール30を安定して固定することができる。したがって、熱膨張差によってツールホルダ10と摩擦撹拌接合用ツール30との間に隙間が形成されても摩擦撹拌接合用ツール30が回転することを抑制できる。
【0049】
また、本実施形態の摩擦撹拌接合用工具1によれば、摩擦撹拌接合用工具1は、工具が軸部32をつかみやすくなる側面34bを有する摩擦撹拌接合用ツール30と、摩擦撹拌接合用ツール30が取り付けられるツールホルダ10と、を備える。これにより、摩擦撹拌接合用工具1では、摩擦撹拌接合用ツール30を回転させながらツールホルダ10から取り外すことが可能となり、摩擦撹拌接合の作業性を向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態の摩擦撹拌接合用工具1によれば、ツールホルダ10は、金属によって形成されている。ツールホルダ10が金属からなると熱膨張差が大きくなることでツールホルダ10に対する摩擦撹拌接合用ツール30の固定位置がずれて摩擦撹拌接合用ツール30が取り外しにくくなる場合がある。摩擦撹拌接合用ツール30では、はみ出し部分32aの側面34bを工具でつかむことで工具の空回りを抑制することができるため、工具の回転力を摩擦撹拌接合用ツール30に伝えることができる。これにより、摩擦撹拌接合用ツール30を容易に回転させることできるため、摩擦撹拌接合の作業性を向上させることができる。
【0051】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態の摩擦撹拌接合用ツール40の断面図である。第2実施形態の摩擦撹拌接合用ツール40は、第1実施形態の摩擦撹拌接合用ツール30(図4)と比較すると、摩擦撹拌接合用ツール40の中心軸に垂直な断面の形状が異なる。
【0052】
第2実施形態の摩擦撹拌接合用工具は、ツールホルダ10と、ツール固定用ねじ20と、摩擦撹拌接合用ツール40と、を備える。本実施形態の摩擦撹拌接合用工具は、複数の被加工部材の当接部分を摩擦熱によって軟化させるとともに、撹拌することで、被加工部材同士を接合する。
【0053】
摩擦撹拌接合用ツール40は、略円柱形状の部材であって、プローブ部31と、軸部42と、を備える。軸部42は、窒化珪素系セラミック、または、サイアロンからなり、プローブ部31を支持する。軸部42は、第1大径部分33と、第1小径部分44と、第2大径部分35と、第2小径部分36と、第3大径部分37と、を有する。
【0054】
第1小径部分44は、摩擦撹拌接合用ツール40の中心軸C40に垂直な断面(図8)における外形線が、中心軸C40からの距離が一定の「第1の部分」としての2つの曲線部分Cr31,Cr32と、中心軸C40からの距離が曲線部分Cr31,Cr32の中心軸C30からの距離より短い「第2の部分」としての2つの直線部分St31,St32と、を有する。2つの直線部分St31,St32は、摩擦撹拌接合用ツール40の中心軸C40を挟むように位置している。第1小径部分44が有する複数の側面のうち、2つの曲線部分Cr31,Cr32に対応する側面44aは、曲面形状を有しており、2つの直線部分St31,St32に対応する側面44bは、平面形状を有している。2つの曲線部分Cr31,Cr32のそれぞれは、中心軸C40に中心を有する仮想円C44と重なる。
【0055】
第1小径部分44は、図8に示す断面図において、軸部42の中心軸C40を中心とし、直線部分St31,St32のそれぞれを弦とする扇形を規定すると、この扇形の中心角のそれぞれは、30度以上90度以下となっている。第1小径部分44では、直線部分St31,St32のそれぞれに対応する側面の中心軸C40方向の長さは、5mm以上25mm以下となっている。
【0056】
以上説明した、本実施形態の摩擦撹拌接合用ツール40によれば、軸部42のはみ出し部分に含まれる第1小径部分44は、軸部42の中心軸C40に垂直な断面において、外形線が、中心軸C40からの距離が一定の第1の部分である曲線部分Cr31,Cr32と、中心軸C40からの距離が曲線部分Cr31,Cr32の中心軸C40からの距離より短い第2の部分である直線部分St31,St32と、を有する。これにより、第1小径部分44の直線部分St31,St32に対応する側面44bをスパナなどの工具によってつかむことで、工具の空回りが抑制され、工具の回転力を摩擦撹拌接合用ツール40に伝えることができる。したがって、摩擦撹拌接合用ツール40を容易に回転させることできるため、摩擦撹拌接合用ツール40を回転させながらツールホルダ10から取り外すことが可能となり、摩擦撹拌接合の作業性を向上させることができる。
【0057】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態の摩擦撹拌接合用ツール50の断面図である。第3実施形態の摩擦撹拌接合用ツール50は、第1実施形態の摩擦撹拌接合用ツール30(図4)と比較すると、摩擦撹拌接合用ツール50中心軸に垂直な断面の形状が異なる。
【0058】
第3実施形態の摩擦撹拌接合用工具は、ツールホルダ10と、ツール固定用ねじ20と、摩擦撹拌接合用ツール50と、を備える。本実施形態の摩擦撹拌接合用工具は、複数の被加工部材の当接部分を摩擦熱によって軟化させるとともに、撹拌することで、被加工部材同士を接合する。
【0059】
摩擦撹拌接合用ツール50は、略円柱形状の部材であって、摩擦撹拌接合用ツール50は、プローブ部31と、軸部52と、を備える。軸部52は、窒化珪素系セラミック、または、サイアロンからなり、プローブ部31を支持する。軸部52は、第1大径部分33と、第1小径部分54と、第2大径部分35と、第2小径部分36と、第3大径部分37と、を有する。
【0060】
第1小径部分54は、摩擦撹拌接合用ツール50の中心軸C50に垂直な断面(図9)における第1小径部分54の外形線が、中心軸C50からの距離が一定の「第1の部分」としての曲線部分Cr41と、中心軸C40からの距離が曲線部分Cr41の中心軸C40からの距離より短い「第2の部分」としての直線部分St41と、を有する。第1小径部分54が有する複数の側面のうち、曲線部分Cr41に対応する側面54aは、曲面形状を有しており、直線部分St41に対応する側面54bは、平面形状を有している。曲線部分Cr41は、中心軸C50に中心を有する仮想円C54と重なる。
【0061】
第1小径部分54は、図9に示す断面図において、軸部52の中心軸C50を中心とし、直線部分St41を弦とする扇形を規定すると、この扇形の中心角は、30度以上90度以下となっている。第1小径部分54では、直線部分St41に対応する側面の中心軸C50方向の長さは、5mm以上25mm以下となっている。
【0062】
以上説明した、本実施形態の摩擦撹拌接合用ツール50によれば、軸部42のはみ出し部分に含まれる第1小径部分54は、軸部52の中心軸C50に垂直な断面において、外形線が、中心軸C50からの距離が一定の第1の部分である曲線部分Cr41と、中心軸C50からの距離が曲線部分Cr41の中心軸C50からの距離より短い第2の部分である直線部分St41と、を有する。これにより、第1小径部分54の直線部分St41に対応する側面54bをスパナなどの工具によってつかむことで、工具の空回りが抑制され、工具の回転力を摩擦撹拌接合用ツール50に伝えることができる。したがって、摩擦撹拌接合用ツール50を容易に回転させることできるため、摩擦撹拌接合用ツール50を回転させながらツールホルダ10から取り外すことが可能となり、摩擦撹拌接合の作業性を向上させることができる。
【0063】
<第4実施形態>
図10は、第4実施形態の摩擦撹拌接合用ツール60の断面図である。第4実施形態の摩擦撹拌接合用ツール60は、第1実施形態の摩擦撹拌接合用ツール30(図4)と比較すると、中心軸に垂直な断面の形状が異なる。
【0064】
第4実施形態の摩擦撹拌接合用工具は、ツールホルダ10と、ツール固定用ねじ20と、摩擦撹拌接合用ツール60と、を備える。本実施形態の摩擦撹拌接合用工具は、複数の被加工部材の当接部分を摩擦熱によって軟化させるとともに、撹拌することで、被加工部材同士を接合する。
【0065】
摩擦撹拌接合用ツール60は、略円柱形状の部材であって、プローブ部31と、軸部62と、を備える。軸部62は、窒化珪素系セラミック、または、サイアロンからなり、プローブ部31を支持する。軸部62は、第1大径部分33と、第1小径部分64と、第2大径部分35と、第2小径部分36と、第3大径部分37と、を有する。
【0066】
第1小径部分64は、摩擦撹拌接合用ツール60の中心軸C60に垂直な断面(図10)における外形線が、矩形形状を有する。具体的には、第1小径部分64の外形線は、中心軸C60からの距離が一定の「第1の部分」としての曲線部分Cr51,Cr52,Cr53,Cr54と、中心軸C60からの距離が曲線部分Cr51,Cr52,Cr53,Cr54の中心軸C60からの距離より短い「第2の部分」としての直線部分St51,St52,St53,St54と、を有する。第1小径部分64の外形線では、曲線部分Cr51,Cr52,Cr53,Cr54が、矩形形状における角の部分に位置している。図10に示すように、第1小径部分64は、第1大径部分33より大きい。第1小径部分64が有する複数の側面のうち、曲線部分Cr51,Cr52,Cr53,Cr54に対応する側面64aは、曲面形状を有しており、直線部分St51,St52,St53,St54に対応する側面64bは、平面形状を有している。4つの曲線部分Cr51,Cr52,Cr53,Cr54のそれぞれは、中心軸C60に中心を有する仮想円C64と重なる。
【0067】
第1小径部分64は、図10に示す断面図において、軸部62の中心軸C60を中心とし、直線部分St51,St52,St53,St54のそれぞれを弦とする扇形を規定すると、この扇形の中心角は、30度以上90度以下となっている。第1小径部分64では、直線部分St51,St52,St53,St54のそれぞれに対応する側面の中心軸C60方向の長さは、5mm以上25mm以下となっている。
【0068】
以上説明した、本実施形態の摩擦撹拌接合用ツール60によれば、軸部62のはみ出し部分に含まれる第1小径部分64は、軸部62の中心軸C60に垂直な断面において、外形線が、中心軸C60からの距離が一定の第1の部分である曲線部分Cr51,Cr52,Cr53,Cr54と、中心軸C60からの距離が曲線部分Cr51,Cr52,Cr53,Cr54の中心軸C60からの距離より短い第2の部分である直線部分St51,St52,St53,St54と、を有する。これにより、第1小径部分64の直線部分St51,St52,St53,St54に対応する側面64bをスパナなどの工具によってつかむことで、工具の空回りが抑制され、工具の回転力を摩擦撹拌接合用ツール60に伝えることができる。したがって、摩擦撹拌接合用ツール60を容易に回転させることできるため、摩擦撹拌接合用ツール60を回転させながらツールホルダ10から取り外すことが可能となり、摩擦撹拌接合の作業性を向上させることができる。
【0069】
また、本実施形態の摩擦撹拌接合用ツール60によれば、第1小径部分64は、中心軸C60を囲むように配置され、平面状に形成されている側面を4つ有している。これにより、対象物を挟み込む工具によって、第1小径部分64の4つの側面のうちの対向する2つの側面をつかむことで、摩擦撹拌接合用ツール60をさらに容易に回転させることができる。したがって、回転摩擦撹拌接合の作業性をさらに向上させることができる。
【0070】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0071】
[変形例1]
上述の実施形態では、第1小径部分の外形線について、摩擦撹拌接合用ツールの中心軸からの距離が曲線部分の中心軸からの距離より短い「第2の部分」が、直線部分であるとした。しかしながら、摩擦撹拌接合用ツールの中心軸からの距離が曲線部分の中心軸からの距離より短い「第2の部分」は、直線に限定されない。
【0072】
図11は、第2実施形態の摩擦撹拌接合用ツール40の変形例の断面図である。図11には、第1小径部分44についての中心軸C40に垂直な断面を示しており、第2実施形態の摩擦撹拌接合用ツール40が有する、平面形状の側面を有する第1小径部分44を外形線C442で示している。図11に示す第1小径部分44は、外形線が、中心軸C40からの距離が一定の「第1の部分」としての2つの曲線部分Cr31,Cr32と、中心軸C40からの距離が曲線部分Cr31,Cr32の中心軸C30からの距離より短い「第2の部分」としての2つの曲線部分Cr33,Cr34と、を有する。2つの曲線部分Cr31,Cr32のそれぞれは、中心軸C40に中心を有する仮想円C441と重なる。2つの曲線部分Cr33,Cr34は、図8で示す第2実施形態の摩擦撹拌接合用ツール40が有する第1小径部分44の外形線を示す仮想線C442と比べると、外側に膨らんでいる。図11に示すように、「第2の部分」が曲線形状であっても、中心軸からの距離が「第1の部分」よりも短いことによって、「第2の部分」に対応する側面44bを工具によってつかむことで工具の回転力を摩擦撹拌接合用ツール40に伝えることができる。これにより、摩擦撹拌接合用ツール40を容易に回転させることができる。したがって、摩擦撹拌接合の作業性を向上させることができる。
【0073】
[変形例2]
第1実施形態および第2実施形態では、第1小径部分の断面における2つの直線部分は、摩擦撹拌接合用ツールの中心軸を挟むように位置するとした。しかしながら、第1小径部分の断面における2つの直線部分の位置関係は、これに限定されない。2つの直線部分は、摩擦撹拌接合用ツールの中心軸を挟むように位置することによって、工具の回転力の摩擦撹拌接合用ツールに伝えやすくなる。これにより、摩擦撹拌接合用ツール30をさらに容易に回転させることができるため、回転摩擦撹拌接合の作業性をさらに向上させることができる。
【0074】
[変形例3]
上述の実施形態では、摩擦撹拌接合用ツールの軸部は、窒化珪素系セラミック、または、サイアロンからなるとした。軸部の材料は、これに限定されない。軸部が窒化珪素系セラミック、または、サイアロンからなる場合、ツールホルダとの熱膨張係数差が大きくなり、ツールホルダ10に対する摩擦撹拌接合用ツールの固定位置がずれやすくなる。このため、ツールホルダ10に対する摩擦撹拌接合用ツールの固定位置がずれたまま、常温に戻ると、摩擦撹拌接合用ツールをツールホルダから取り外しづらくなる。しかしながら、上述の実施形態では、摩擦撹拌接合用ツールのはみ出し部分に、工具でつかむことで工具の回転力を摩擦撹拌接合用ツールに伝えやすい面が形成されている。これにより、摩擦撹拌接合用ツールを比較的取り外しやすくなるため、摩擦撹拌接合の作業性を向上させることができる。
【0075】
[変形例4]
上述の実施形態では、軸部の第1小径部分は、摩擦撹拌接合用ツールの中心軸に垂直な断面において、摩擦撹拌接合用ツールの中心軸を中心とし、直線部分を弦とする扇形を規定すると、この扇形の中心角は、30度以上90度以下となっているとした。直線部分を弦とする扇形の中心角は、30度より小さい、または、90度より大きくてもよい。直線部分を弦とする扇形の中心角が30度以上90度以下となることによって、軸部を工具でつかみづらくなることもなく、かつ、軸部がある程度の強度を有することができる。
【0076】
[変形例5]
上述の実施形態では、軸部のうち、ツールホルダの取付孔に挿入されている部分は、軸部の中心軸に垂直な断面において、外形線が、中心軸からの距離が一定の第3の部分である曲線部分と、中心軸からの距離が第3の部分の距離より短い第4の部分である直線部分と、を有するとした。軸部のうち、ツールホルダの取付孔に挿入されている部分の形状はこれに限定されない。
【0077】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【0078】
(適用例1)
ツールホルダに取り付けられ、被加工部材の接合部分を撹拌し接合する摩擦撹拌接合用ツールであって、
前記被加工部材の接合部分に押し当てられるプローブ部と、
前記プローブ部を支持する軸部であって、前記ツールホルダに形成されている取付孔に挿入されて前記ツールホルダに対して取り付けられる状態において、前記取付孔からはみ出すはみ出し部分を有する軸部と、を備え、
前記軸部の中心軸に垂直な断面のうち、前記はみ出し部分の第1の断面において、前記軸部の外形線は、前記中心軸からの距離が一定の第1の部分と、前記中心軸からの距離が前記第1の部分の前記中心軸からの距離より短い第2の部分と、を有する、
ことを特徴とする摩擦撹拌接合用ツール。
(適用例2)
適用例1に記載の摩擦撹拌接合用ツールであって、
前記第1の断面における前記第2の部分は、直線である、
ことを特徴とする摩擦撹拌接合用ツール。
(適用例3)
適用例1または適用例2に記載の摩擦撹拌接合用ツールであって、
前記第1の断面において、
前記軸部の外形線は、2つの前記第2の部分を有しており、
2つの前記第2の部分は、前記軸部の中心軸を挟むように位置している、
ことを特徴とする摩擦撹拌接合用ツール。
(適用例4)
適用例1から適用例3のいずれか一例に記載の摩擦撹拌接合用ツールであって、
前記第1の断面における前記軸部の外形線は、矩形形状である、
ことを特徴とする摩擦撹拌接合用ツール。
(適用例5)
適用例1から適用例4のいずれか一例に記載の摩擦撹拌接合用ツールであって、
前記軸部は、窒化珪素系セラミック、または、サイアロンからなる、
ことを特徴とする摩擦撹拌接合用ツール。
(適用例6)
適用例1から適用例5のいずれか一例に記載の摩擦撹拌接合用ツールであって、
前記第1の断面において、前記軸部の中心軸を中心とし、前記第2の部分を弦とする扇形の中心角は、30度以上90度以下である、
ことを特徴とする摩擦撹拌接合用ツール。
(適用例7)
適用例1から適用例6のいずれか一例に記載の摩擦撹拌接合用ツールであって、
前記軸部の中心軸に垂直な断面のうち、前記ツールホルダに形成されている取付孔に挿入されて前記ツールホルダに対して取り付けられる状態で前記取付孔に挿入される挿入部分の第2の断面において、前記軸部の外形線は、前記中心軸からの距離が一定の第3の部分と、前記中心軸からの距離が前記第3の部分の距離より短い第4の部分と、を有する、
ことを特徴とする摩擦撹拌接合用ツール。
(適用例8)
摩擦撹拌接合用工具であって、
適用例1から適用例7のいずれか一例に記載の摩擦撹拌接合用ツールと、
前記摩擦撹拌接合用ツールの前記軸部を挿入可能な前記取付孔を有する前記ツールホルダと、を備える、
ことを特徴とする摩擦撹拌接合用工具。
(適用例9)
適用例8に記載の摩擦撹拌接合用工具であって、
前記ツールホルダは、金属からなる、
ことを特徴とする摩擦撹拌接合用工具。
【符号の説明】
【0079】
1…摩擦撹拌接合用工具
10…ツールホルダ
13…取付孔
14…ねじ穴
20…ツール固定用ねじ
30,40,50,60…摩擦撹拌接合用ツール
31…プローブ部
32,42,52,62…軸部
32a…はみ出し部分
C30,C40,C50,C60…中心軸
Cr11,Cr12,Cr13,Cr14,Cr31,Cr32,Cr41,Cr51,Cr52,Cr53,Cr54…曲線部分(第1の部分)
Cr21,Cr22,Cr23,Cr24…曲線部分(第3の部分)
Cr33,Cr34…曲線部分(第2の部分)
Fs1,Fs2,Fs3,Fs4…扇形
St11,St12,St13,St14,St31,St32,St41,St51,St52,St53,St54…直線部分(第2の部分)
St21,St22,St23,St24…直線部分(第4の部分)
θ1,θ2,θ3,θ4…中心角
図1
図2
図3
図4
図5
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図9
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図11