(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129322
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】配線部材
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20240919BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
H02G3/04
H02G3/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038451
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】松村 雄高
【テーマコード(参考)】
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
5G357DA06
5G357DB02
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD02
5G357DD14
5G357DF10
5G357DG05
5G363AA16
5G363BA01
5G363BA02
5G363DA13
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】配線部材の部材コストを低減できる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の配線部材10は、ベース部材20と、前記ベース部材20上に並んで配置された複数の線状伝送部材30と、を備える。前記複数の線状伝送部材30は、少なくとも1本の被覆付き線状伝送部材31と、複数の裸電線36とを含む。前記複数の裸電線36同士の間に、前記被覆付き線状伝送部材31が配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
前記ベース部材上に並んで配置された複数の線状伝送部材と、
を備え、
前記複数の線状伝送部材は、少なくとも1本の被覆付き線状伝送部材と、複数の裸電線とを含み、
前記複数の裸電線同士の間に、前記被覆付き線状伝送部材が配置されている、配線部材。
【請求項2】
請求項1に記載の配線部材であって、
前記ベース部材の配置面からの前記被覆付き線状伝送部材の高さが、前記配置面からの前記裸電線の高さよりも高い、配線部材。
【請求項3】
請求項2に記載の配線部材であって、
前記被覆付き線状伝送部材は、伝送線本体と、前記伝送線本体を覆う被覆層とを有し、
前記配置面に垂直な方向において、前記伝送線本体の寸法が前記裸電線の寸法と同じかそれよりも大きい、配線部材。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の配線部材であって、
前記少なくとも1本の被覆付き線状伝送部材は、前記ベース部材上に並列する前記複数の線状伝送部材のうち一方外側に配置される第1外側線状伝送部材と、他方外側に配置される第2外側線状伝送部材とを有する、配線部材。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の配線部材であって、
平面視で前記複数の線状伝送部材同士が互いに交差する交差部を備え、
前記交差部は、前記裸電線同士が交差する第1交差部と、前記裸電線と前記被覆付き線状伝送部材とが交差する第2交差部と、前記被覆付き線状伝送部材同士が交差する第3交差部とからなる群のうち少なくとも1つを含む、配線部材。
【請求項6】
請求項5に記載の配線部材であって、
前記交差部は、前記群のうち前記第1交差部を含む、配線部材。
【請求項7】
請求項6に記載の配線部材であって、
前記第1交差部において、互いに交差する前記裸電線同士の間に配置された絶縁シートを備える、配線部材。
【請求項8】
請求項7に記載の配線部材であって、
前記絶縁シートは、前記ベース部材に対して前記第1交差部を含む領域に部分的に設けられている、配線部材。
【請求項9】
請求項7に記載の配線部材であって、
前記絶縁シートは前記ベース部材よりも絶縁性が高い、配線部材。
【請求項10】
請求項5に記載の配線部材であって、
前記交差部は、前記群のうち前記第1交差部と前記第2交差部とを含み、
第1裸電線が、第2裸電線と、前記第2裸電線の両側の第1被覆付き線状伝送部材及び第2被覆付き線状伝送部材と、にそれぞれ交差して前記第1交差部と前記第2交差部とが設けられ、
前記ベース部材の配置面からの前記第1被覆付き線状伝送部材及び前記第2被覆付き線状伝送部材の高さが前記第2裸電線の高さよりも高く、
前記第1交差部において、互いに交差する前記裸電線同士の間が中空空間である、配線部材。
【請求項11】
請求項5に記載の配線部材であって、
前記交差部は、前記群のうち前記第2交差部のみ、前記第3交差部のみ、又は、前記第2交差部及び前記第3交差部のみを含む、配線部材。
【請求項12】
請求項5に記載の配線部材であって、
前記交差部は、前記群のうち前記第1交差部、前記第2交差部、及び、前記第3交差部を含む、配線部材。
【請求項13】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の配線部材であって、
互いに積層された第1配線体及び第2配線体を備え、
前記第1配線体及び前記第2配線体のそれぞれが、前記ベース部材と前記複数の線状伝送部材とを含み、
前記第1配線体の前記ベース部材が、前記第2配線体の前記複数の線状伝送部材のうちの少なくとも1つと接触している、配線部材。
【請求項14】
請求項13に記載の配線部材であって、
前記第1配線体の前記裸電線と前記第2配線体の前記裸電線とが互いに交差する交差部を備え、
前記交差部において、前記第1配線体の前記裸電線と前記第2配線体の前記裸電線との間に前記第1配線体の前記ベース部材が位置する、配線部材。
【請求項15】
請求項13に記載の配線部材であって、
前記第1配線体の前記裸電線と前記第2配線体の前記被覆付き線状伝送部材とが互いに重なって同じ方向に延び、かつ、前記第1配線体の前記被覆付き線状伝送部材と前記第2配線体の前記裸電線と互いに重なって同じ方向に延びている、配線部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、シート状に形成された機能性外装部材に電線が溶着されたワイヤーハーネスを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワイヤーハーネスの部材コストの低減が望まれている。
【0005】
そこで、配線部材の部材コストを低減できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の配線部材は、ベース部材と、前記ベース部材上に並んで配置された複数の線状伝送部材と、を備え、前記複数の線状伝送部材は、少なくとも1本の被覆付き線状伝送部材と、複数の裸電線とを含み、前記複数の裸電線同士の間に、前記被覆付き線状伝送部材が配置されている、配線部材である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、配線部材の部材コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態1にかかる配線部材を示す平面図である。
【
図3】
図3は線状伝送部材とベース部材との固定態様の第1変形例を示す断面図である。
【
図4】
図4は線状伝送部材とベース部材との固定態様の第2変形例を示す断面図である。
【
図5】
図5は実施形態2にかかる配線部材を示す平面図である。
【
図7】
図7は実施形態2にかかる配線部材の第1変形例を示す平面図である。
【
図8】
図8は
図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【
図9】
図9は実施形態2にかかる配線部材の第2変形例を示す平面図である。
【
図11】
図11は実施形態3にかかる配線部材を示す平面図である。
【
図13】
図13は実施形態3にかかる配線部材の第1変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の配線部材は、次の通りである。
【0011】
(1)ベース部材と、前記ベース部材上に並んで配置された複数の線状伝送部材と、を備え、前記複数の線状伝送部材は、少なくとも1本の被覆付き線状伝送部材と、複数の裸電線とを含み、前記複数の裸電線同士の間に、前記被覆付き線状伝送部材が配置されている、配線部材である。
【0012】
(1)の配線部材によると、配線部材が裸電線を備えることで、裸電線の代わりに被覆電線を備える場合と比べて、裸電線の被覆層分の部材コストを低減できる。複数の裸電線同士の間に、被覆付き線状伝送部材が配置されているため、裸電線同士が隣り合うことが抑制され、裸電線同士の意図しない短絡を抑制できる。
【0013】
(2)(1)の配線部材において、前記ベース部材の配置面からの前記被覆付き線状伝送部材の高さが、前記配置面からの前記裸電線の高さよりも高くてもよい。これにより、裸電線同士の間の被覆付き線状伝送部材が裸電線よりも高い絶縁壁として機能できる。
【0014】
(3)(2)の配線部材において、前記被覆付き線状伝送部材は、伝送線本体と、前記伝送線本体を覆う被覆層とを有し、前記配置面に垂直な方向において、前記伝送線本体の寸法が前記裸電線の寸法と同じかそれよりも大きくてもよい。これにより、ベース部材の配置面からの被覆付き線状伝送部材の高さと、裸電線の高さとの差を大きくできる。
【0015】
(4)(1)から(3)のいずれか1つの配線部材において、前記少なくとも1本の被覆付き線状伝送部材は、前記ベース部材上に並列する前記複数の線状伝送部材のうち一方外側に配置される第1外側線状伝送部材と、他方外側に配置される第2外側線状伝送部材とを有してもよい。これにより、裸電線が配線部材の側方に露出することを抑制できる。
【0016】
(5)(1)から(4)のいずれか1つの配線部材において、平面視で前記複数の線状伝送部材同士が互いに交差する交差部を備え、前記交差部は、前記裸電線同士が交差する第1交差部と、前記裸電線と前記被覆付き線状伝送部材とが交差する第2交差部と、前記被覆付き線状伝送部材同士が交差する第3交差部とからなる群のうち少なくとも1つを含んでもよい。これにより、交差部が設けられない場合と比べて、ベース部材上における複数の線状伝送部材の経路の自由度が増す。
【0017】
(6)(5)の配線部材において、前記交差部は、前記群のうち前記第1交差部を含んでもよい。これにより、第1交差部が設けられない場合と比べて、ベース部材上における裸電線の経路の自由度が増す。
【0018】
(7)(6)の配線部材において、前記第1交差部において、互いに交差する前記裸電線同士の間に配置された絶縁シートを備えてもよい。これにより、絶縁シートによって第1交差部における裸電線同士の短絡を抑制できる。
【0019】
(8)(7)の配線部材において、前記絶縁シートは、前記ベース部材に対して前記第1交差部を含む領域に部分的に設けられていてもよい。これにより、絶縁シートの大型化を抑制できる。
【0020】
(9)(7)又は(8)の配線部材において、前記絶縁シートは前記ベース部材よりも絶縁性が高くてもよい。これにより、絶縁シートをベース部材よりも薄くでき、配線部材の厚みが増すことを抑制できる。
【0021】
(10)(5)の配線部材において、前記交差部は、前記群のうち前記第1交差部と前記第2交差部とを含み、第1裸電線が、第2裸電線と、前記第2裸電線の両側の第1被覆付き線状伝送部材及び第2被覆付き線状伝送部材と、にそれぞれ交差して前記第1交差部と前記第2交差部とが設けられ、前記ベース部材の配置面からの前記第1被覆付き線状伝送部材及び前記第2被覆付き線状伝送部材の高さが前記第2裸電線の高さよりも高く、前記第1交差部において、互いに交差する前記裸電線同士の間が中空空間であってもよい。これにより、絶縁シートなどを設けずとも第1交差部における裸電線同士の短絡を抑制できる。
【0022】
(11)(5)の配線部材において、前記交差部は、前記群のうち前記第2交差部のみ、前記第3交差部のみ、又は、前記第2交差部及び前記第3交差部のみを含んでもよい。これにより、裸電線同士の交差部が設けられることが抑制され、裸電線同士の短絡を抑制しやすい。
【0023】
(12)(5)の配線部材において、前記交差部は、前記群のうち前記第1交差部、前記第2交差部、及び、前記第3交差部を含んでもよい。これにより、ベース部材上における裸電線及び被覆付き線状伝送部材の経路の自由度が増す。
【0024】
(13)(1)から(12)のいずれか1つの配線部材において、互いに積層された第1配線体及び第2配線体を備え、前記第1配線体及び前記第2配線体のそれぞれが、前記ベース部材と前記複数の線状伝送部材とを含み、前記第1配線体の前記ベース部材が、前記第2配線体の前記複数の線状伝送部材のうちの少なくとも1つと接触していてもよい。これにより、第1配線体のベース部材を第2配線体の複数の線状伝送部材のカバー部材とすることができる。
【0025】
(14)(13)の配線部材において、前記第1配線体の前記裸電線と前記第2配線体の前記裸電線とが互いに交差する交差部を備え、前記交差部において、前記第1配線体の前記裸電線と前記第2配線体の前記裸電線との間に前記第1配線体の前記ベース部材が位置してもよい。これにより、裸電線同士の交差部において、ベース部材によって裸電線同士の短絡を抑制できる。
【0026】
(15)(13)又は(14)の配線部材において、前記第1配線体の前記裸電線と前記第2配線体の前記被覆付き線状伝送部材とが互いに重なって同じ方向に延び、かつ、前記第1配線体の前記被覆付き線状伝送部材と前記第2配線体の前記裸電線と互いに重なって同じ方向に延びていてもよい。これにより、配線部材の厚みが大きくなることを抑制できる。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の配線部材の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0028】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかる配線部材10について説明する。
図1は実施形態1にかかる配線部材10を示す平面図である。
図2は
図1のII-II線に沿った断面図である。
【0029】
配線部材10は、ベース部材20と、複数の線状伝送部材30とを備える。ベース部材20は、全体として扁平な形状に形成されている。複数の線状伝送部材30は、電気又は光等を伝送する線状の部材である。複数の線状伝送部材30は、ベース部材20上に並んで配置されている。複数の線状伝送部材30がベース部材20に固定されることによって、配線部材10が扁平な形態に保たれる。
【0030】
ベース部材20は、シート状に形成されている。ベース部材20は、複数の線状伝送部材30を並んだ状態に保つ。ベース部材20を構成する材料に関し、ここでは、ベース部材20は樹脂材料によって形成されている。ベース部材20を構成する材料は、金属、無機物等、樹脂以外の材料が用いられてもよい。
【0031】
ベース部材20の構造は、1層構造であってもよいし、2層以上の多層構造であってもよい。ベース部材20における層の構造は特に限定されるものではない。例えばベース部材20は、一様充実断面を有するシート(非発泡シート又はソリッドシートなどとも呼ばれる)によって構成される層を有していてもよい。また例えば、ベース部材20は、発泡シート等によって構成される層を有していてもよい。また例えば、ベース部材20は、編布、織布又は不織布等の繊維材シートによって構成される層を有していてもよい。
【0032】
ベース部材20は柔らかい部材であってもよい。例えば、ベース部材20は線状伝送部材30の曲げに追従可能な可撓性を有してもよい。配線部材10は厚み方向への曲げ(折目がベース部材20の主面に沿うような曲げ)が可能とされてもよい。
【0033】
複数の線状伝送部材30は、少なくとも1本の被覆付き線状伝送部材31と、複数の裸電線36とを含む。被覆付き線状伝送部材31は、電気又は光等を伝送する。裸電線36は、電気を伝送する。
【0034】
裸電線36は、導体の周囲を覆う絶縁被覆層33が設けられない電線である。
図1及び
図2に示す例では、裸電線36は、複数の素線37が撚られた撚り線である。撚り線において複数の素線37が合わさって、1つの導電路をなす。裸電線36は、1つの素線37からなっていてもよい。
【0035】
被覆付き線状伝送部材31は、伝送線本体32と、伝送線本体32の周囲を覆う被覆層33とを有する。伝送線本体32は、電気又は光等を伝送する部分である。例えば、被覆電線31においては導体芯線が伝送線本体32に相当し、光ファイバにおいてはコア及びクラッドが伝送線本体32に相当する。ここでは、被覆付き線状伝送部材31は、導体芯線32と、導体芯線32の周囲を覆う絶縁被覆層33とを有する被覆電線31である。
図2に示す例では、被覆電線31は、絶縁被覆層33の周囲にシールド層などを有さない一般的な被覆電線である。被覆電線31は、絶縁被覆層33の周囲にシールド層を有するシールド線であってもよい。被覆付き線状伝送部材31は、エナメル線、ニクロム線(電熱線)、又は、光ファイバ等であってもよい。
【0036】
被覆付き線状伝送部材31は、伝送路が1つの単一の線状物である。被覆付き線状伝送部材31は、それぞれ異なる伝送路を有する複数の線状物の複合物(ツイスト線、複数の線状物を集合させてこれをシースで覆ったケーブル等)であってもよい。
【0037】
電気を伝送する線状伝送部材30としては、各種信号線、各種電力線であってもよい。電気を伝送する線状伝送部材30の一部等は、信号又は電力を空間に対して送る又は空間から受けるアンテナ、コイル等として用いられてもよい。
【0038】
複数の裸電線36同士の間に、被覆付き線状伝送部材31が配置されている。並行する裸電線36同士の間を配置スペースとする。配置スペースの数は、並行する裸電線36の数から1を引いた数である。配置スペースの数は1つであってもよいし、複数であってもよい。被覆付き線状伝送部材31は裸電線36同士が隣り合わないように配置スペースに配置される。配置スペースが複数ある場合、各配置スペースに被覆付き線状伝送部材31が配置される。被覆付き線状伝送部材31の数は、配置スペースの数と同じかそれよりも多くなる。
【0039】
ここでは1つの配置スペースに1本の被覆付き線状伝送部材31のみが配置されている。並列方向に沿った一方外側の裸電線36と、他方外側の裸電線36との間で、裸電線36と被覆付き線状伝送部材31とが交互に並ぶ。これにより、複数の線状伝送部材30に対する裸電線36の比率を高めることができる。なお、1つの配置スペースに複数の被覆付き線状伝送部材31が配置され、被覆付き線状伝送部材31同士が隣り合ってもよい。
【0040】
被覆付き線状伝送部材31は、ベース部材20上に並列する複数の線状伝送部材30のうち一方外側に配置される第1外側線状伝送部材31Lと、他方外側に配置される第2外側線状伝送部材31Rとを有する。従って、ここでは、並行するすべての裸電線36の両隣に被覆付き線状伝送部材31が配置される。被覆付き線状伝送部材31の数は、裸電線36の数よりも1以上多くなり、配置スペースの数よりも2以上多くなる。
【0041】
ここではベース部材20の配置面23からの被覆付き線状伝送部材31の高さが、配置面23からの裸電線36の高さよりも高い。
図2に示す例では、被覆付き線状伝送部材31及び裸電線36は、断面が円形状のいわゆる丸電線である。このため、配置面23からの被覆付き線状伝送部材31及び裸電線36の高さは、被覆付き線状伝送部材31及び裸電線36の太さ(直径)と同程度である。被覆付き線状伝送部材31は、裸電線36よりも太いことによって、当該高さの差が生じている。なお、被覆付き線状伝送部材31又は裸電線36が、丸電線以外の場合も考えられる。例えば、被覆付き線状伝送部材31が、断面が長方形状のいわゆる平角電線などの場合に、長辺部分が配置面23に配置される場合、配置面23からの被覆付き線状伝送部材31の高さは、平角電線の短辺方向の長さと同程度となる。
【0042】
ここでは、配置面23に垂直な方向において、伝送線本体32の寸法が裸電線36の寸法と同じかそれよりも大きい。
図2に示す例では、被覆付き線状伝送部材31及び裸電線36が丸電線であるため、伝送線本体32の太さが裸電線36の太さと同じか、それよりも太いことによって、配置面23に垂直な方向における当該寸法差が生じている。これにより、配置面23からの被覆付き線状伝送部材31の高さは、配置面23からの裸電線36の高さよりも被覆層33の厚み分以上、高くなる。
【0043】
配線部材10は、信号線とされる電線と、電力線とされる電線とを備えていてもよい。配線部材10において、裸電線36は、すべて信号線とされてもよい。配線部材10において、信号線とされる電線は、すべて裸電線36であってもよい。配線部材10において、信号線とされる電線のうち一部は裸電線36であり、他の一部が被覆電線31であってもよい。配線部材10において、電力線とされる電線は、すべて被覆電線31であってもよい。
【0044】
配線部材10は、互いに導体サイズの異なる複数の電線を備えていてもよい。本開示において、複数の導体サイズのうちもっとも小さい導体サイズを第1導体サイズとし、第1導体サイズの次に小さい導体サイズを第2導体サイズとする。裸電線36は、第1導体サイズの電線のみで構成され、第2導体サイズ及びこれよりも大きい導体サイズの電線は、被覆電線31とされてもよい。第1導体サイズの電線すべてが裸電線36とされてもよい。第1導体サイズの電線の一部が裸電線36とされ、他の一部が被覆電線31とされてもよい。
【0045】
複数の線状伝送部材30は、車両における部品同士を接続する部材である。線状伝送部材30の端部には、例えばコネクタ40が設けられる。このコネクタ40が相手側部品に設けられた相手コネクタと接続されることで、線状伝送部材30が相手側部品に接続される。つまり、本配線部材10は、車両等において各種部品同士を電気的に(或は光通信可能に)接続する配線部材10として用いられる。コネクタ40は、ベース部材20に固定されていてもよい。線状伝送部材30の端部がベース部材20の外に延び出て、コネクタ40がベース部材20と離れて設けられていてもよい。
【0046】
コネクタ40は、端子41とコネクタハウジング46とを含んでもよい。端子41は、相手コネクタにおける相手端子と接続される第1接続部42と、線状伝送部材30に接続される第2接続部43とを有する。第1接続部42の構成は、適宜設定可能であり、例えば、オス端子構造であってもよいし、メス端子構造であってもよい。端子41は、第2接続部43の形状が互いに異なっている被覆電線31用の端子41Aと裸電線36用の端子41Bとを含んでもよい。被覆電線31用の端子41Aにおける第2接続部43Aは、導体芯線に圧着されるワイヤーバレル44と、絶縁被覆層33に圧着されるインシュレーションバレル45とを有する。裸電線36用の端子41Bにおける第2接続部43Bは、ワイヤーバレル44を有するが、インシュレーションバレル45を有さない。
【0047】
図1に示す例では、被覆電線31と裸電線36とは同じコネクタ40に接続されている。同じ被覆電線31と裸電線36とは互いに異なるコネクタ40に接続されていてもよい。
図1に示す例では、コネクタ40における被覆電線31及び裸電線36の配列と、ベース部材20における被覆電線31及び裸電線36の配列とが互いに同じ配列である。コネクタ40における被覆電線31及び裸電線36の配列と、ベース部材20における被覆電線31及び裸電線36の配列とが、互いに異なる配列であってもよい。
【0048】
複数の線状伝送部材30の経路は、接続先となる部品の位置等に応じて設定される。複数の線状伝送部材30がベース部材20に固定されることによって、複数の線状伝送部材30がそれぞれの接続先となる部品の位置等に応じた配線経路に沿った状態に保たれる。複数の線状伝送部材30は、幹線部から枝線部が分岐する態様で、ベース部材20に固定されていてもよい。配線部材10に複数の線状伝送部材30が並行する部分が設けられていればよい。
【0049】
線状伝送部材30は、ベース部材20に固定されればよく、ベース部材20に対する線状伝送部材30の固定構造は特に限定されない。例えば、線状伝送部材30はベース部材20に対して固定されている。かかる固定態様としては、接触部位固定であってもよいし、非接触部位固定であってもよいし、両者が併用されていてもよい。ここで接触部位固定とは、線状伝送部材30とベース部材20とが接触する部分がくっついて固定されているものである。また、非接触部位固定とは、接触部位固定でない固定態様であり、例えば、縫糸51、カバー、粘着テープなどが、線状伝送部材30をベース部材20に向けて押え込んだり、線状伝送部材30とベース部材20とを挟み込んだりして、その状態に維持するものである。
【0050】
図1及び
図2に示す例では、線状伝送部材30とベース部材20との固定部50が、非接触部位固定の状態にある例が示されている。
図1及び
図2に示す例では、線状伝送部材30とベース部材20とが、縫糸51によって固定されている。つまり、固定部50は縫糸51によって形成されている。縫糸51のピッチ等は適宜設定可能である。
図1に示す例では、裸電線36の縫糸51のピッチと、被覆電線31の縫糸51のピッチとが同じである。裸電線36の縫糸51のピッチと、被覆電線31の縫糸51のピッチとが互いに異なっていてもよい。
【0051】
<線状伝送部材30とベース部材20との固定態様の第1変形例>
図3は線状伝送部材30とベース部材20との固定態様の第1変形例を示す断面図である。なお、本変形例の説明において、これまで説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。以下の各実施形態及び各変形例の説明についても同様である。
【0052】
図3に示す例では、線状伝送部材30とベース部材20との固定部50Aが接触部位固定の状態にある。係る接触部位固定の態様として、接触部位間接固定であってもよいし、接触部位直接固定であってもよいし、異なる領域で両者が併用されていてもよい。ここで接触部位間接固定とは、線状伝送部材30とベース部材20とが、その間に設けられた接着剤、粘着剤、両面粘着テープなどを介して間接的にくっついて固定されているものである。また接触部位直接固定とは、線状伝送部材30とベース部材20とが別に設けられた接着剤等を介さずに直接くっついて固定されているものである。接触部位直接固定では、例えば線状伝送部材30とベース部材20とのうち少なくとも一方に含まれる樹脂が溶かされることによってくっついて固定されることが考えられる。
【0053】
係る接触部位直接固定の状態が形成されるに当たり、樹脂は、例えば、熱によって溶かされることも考えられるし、溶剤によって溶かされることも考えられる。つまり、接触部位直接固定の状態としては、熱による接触部位直接固定の状態であってもよいし、溶剤による接触部位直接固定の状態であってもよい。好ましくは、熱による接触部位直接固定の状態であるとよい。
【0054】
このとき接触部位直接固定の状態を形成する手段は特に限定されるものではなく、溶着、融着、溶接等の公知の手段を用いることができる。例えば、溶着によって熱による接触部位直接固定の状態を形成する場合、超音波溶着、加熱加圧溶着、熱風溶着、高周波溶着など種々の溶着手段を採用することができる。またこれらの手段によって接触部位直接固定の状態が形成されると、線状伝送部材30とベース部材20とは、その手段による接触部位直接固定の状態とされる。具体的には、例えば、超音波溶着によって接触部位直接固定の状態が形成されると、線状伝送部材30とベース部材20とは、超音波溶着による接触部位直接固定の状態とされる。
図3に示す例では、線状伝送部材30とベース部材20とが、接触部位直接固定の状態にある。
【0055】
線状伝送部材30とベース部材20とが、接触部位直接固定の状態にある場合、ベース部材20は第1層21及び第2層22を含む2層構造であってもよい。第1層21は固定層である。固定層には線状伝送部材30が接触部位直接固定される。固定層は樹脂材料、好ましくは熱可塑性樹脂材料を含む。固定層の樹脂材料が軟化して固定相手に接触部位直接固定される。かかる樹脂材料の種類は特に限定されるものではなく、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を採用することができる。被覆層33も固定層と同じ樹脂材料を有していると良い。第1層21の一方の表面がベース部材20の一方主面とされる。
【0056】
第2層22は付加層である。第2層22は固定層とは異なる材料で形成されたり、異なる構造を有したりする。第2層22は固定層にある機能を高めたり、固定層にない機能をベース部材20に追加したりする。第2層22を構成する材料は、上記固定層で説明された材料のほか、金属、無機物等などであってもよい。第2層22の一方の表面がベース部材20の他方主面とされる。
【0057】
第1層21の他方の表面と第2層22の他方の表面とが接触しつつ、第1層21と第2層22とが固定されている。第1層21と第2層22との固定態様は特に限定されるものではないが、接触部位直接固定又は接触部位間接固定により固定されているとよい。例えば、第1層21及び第2層22の少なくとも一方が、繊維材シート又は発泡シートのように表面に空隙があるシートであると、空隙に樹脂材料又は接着剤が入り込んで固定されることができる。これによりいわゆるアンカー効果が発揮されて、第1層21及び第2層22が強固に固定される。
【0058】
ここでは第1層21が樹脂製のソリッドシートであり、第2層22が繊維材シートであるものとして説明される。ここでは第1層21と第2層22とが接触部位直接固定されているものとして説明される。つまり、第1層21の樹脂が流動性を有する状態で第2層22の繊維の間に入り込んだ後に硬化される。これにより、第1層21の樹脂が第2層22における繊維の間に入り込んだ状態が維持され、第1層21と第2層22とが強固に固定される。
【0059】
第1層21及び第2層22は同じ大きさ(同じ平面形状)に形成されてもよい。第1層21及び第2層22は一方が他方よりも大きく形成されていてもよい。第1層21及び第2層22は接触する領域が全体的に固定されている。第1層21及び第2層22は接触する領域の一部のみが固定されていてもよい。例えば、第1層21が軟質PVCなど軟質な樹脂を材料とするソリッドシートであり、第2層22がPETを材料とする不織布であるなどして、ベース部材20が柔らかい部材とされてもよい。
【0060】
接触部位直接固定の場合、被覆付き線状伝送部材31の被覆層33と、第1層21とが同じ樹脂を主成分として含んでいると良い。これにより、被覆付き線状伝送部材31の被覆層33と、第1層21とが共に軟化して相手の樹脂と接合できる。また、接触部位直接固定の場合、第1層21の樹脂が軟化して、撚り線に接合される。なお、
図3に示す例では、裸電線36は撚り線ではなく、1本の素線37からなる。撚り線がベース部材20に接触部位固定されていてもよい。
【0061】
接触部位固定の場合、複数の線状伝送部材30それぞれは、ベース部材20と長手方向に沿って全体にわたって一連に固定されていてもよい。複数の線状伝送部材30それぞれは、ベース部材20と長手方向に沿って間隔をあけた複数箇所で固定されていてもよい。複数の線状伝送部材30は長手方向に沿った同じ位置でベース部材20と接触部位固定されていてもよい。複数の線状伝送部材30は長手方向に沿った異なる位置でベース部材20と接触部位固定されていてもよい。1つの線状伝送部材30において、複数の固定箇所の間隔は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0062】
<線状伝送部材30とベース部材20との固定態様の第2変形例>
図4は線状伝送部材30とベース部材20との固定態様の第2変形例を示す断面図である。
【0063】
図4に示す例では、裸電線36とベース部材20との固定態様と、被覆付き線状伝送部材31とベース部材20との固定態様とが互いに異なる。裸電線36には非接触部位固定で固定された固定部50が適用され、被覆付き線状伝送部材31には接触部位固定で固定された固定部50Aが適用されている。裸電線36の固定部50は、
図2に示す例と同様に、縫糸51でベース部材20に固定されている。被覆付き線状伝送部材31の固定部50Aは、
図3に示す例と同様に、ベース部材20に接触部位直接固定されている。もっとも被覆付き線状伝送部材31の固定部と裸電線36の固定部との組み合わせは適宜設定可能である。
【0064】
<実施形態1の効果等>
以上のように構成された配線部材10によると、配線部材10が裸電線36を備えることで、裸電線36の代わりに被覆電線31を備える場合と比べて、裸電線36の被覆層33分の部材コストを低減できる。複数の裸電線36同士の間に、被覆付き線状伝送部材31が配置されているため、裸電線36同士が隣り合うことが抑制され、裸電線36同士の意図しない短絡を抑制できる。また、裸電線36の被覆層がない分、裸電線36の代わりに被覆電線を用いた場合と比べて、複数の線状伝送部材30を並べたときの幅寸法(第1外側線状伝送部材31Lと、第2外側線状伝送部材31Rとの間隔)を小さくできる。これにより、ベース部材20の幅寸法を小さくでき、この分の部材コストを低減できる。
【0065】
また、配置面23からの被覆付き線状伝送部材31の高さは、配置面23からの裸電線36の高さよりも高い。これにより、裸電線36同士の間の被覆付き線状伝送部材31が裸電線36よりも高い絶縁壁として機能できる。これにより、導電性を有する塵又は埃等が、被覆付き線状伝送部材31と当該被覆付き線状伝送部材31の一方側の裸電線36とに跨ったときに、当該塵又は埃等が当該被覆付き線状伝送部材31に対して他方側の裸電線36に接触しにくい。
【0066】
また、配置面23に垂直な方向において、被覆付き線状伝送部材31の伝送線本体32の寸法が裸電線36の寸法と同じかそれよりも大きい。これにより、配置面23からの被覆付き線状伝送部材31の高さと、裸電線36の高さとの差を大きくできる。
【0067】
少なくとも1本の被覆付き線状伝送部材31は、ベース部材20上に並列する複数の線状伝送部材30のうち一方外側に配置される第1外側線状伝送部材31Lと、他方外側に配置される第2外側線状伝送部材31Rとを有する。これにより、裸電線36が配線部材10の側方に露出することを抑制できる。
【0068】
[実施形態2]
実施形態2にかかる配線部材について説明する。
図5は実施形態2にかかる配線部材110を示す平面図である。
図6は
図5のVI-VI線に沿った断面図である。
【0069】
配線部材110は、平面視で複数の線状伝送部材30同士が互いに交差する交差部を備える。本開示において、裸電線36同士が交差する交差部を第1交差部60とする。また本開示において、裸電線36と被覆付き線状伝送部材31とが交差する交差部を第2交差部61とする。第2交差部61としては裸電線36が被覆付き線状伝送部材31よりもベース部材20側(下側)に位置する第2交差部61Lと、被覆付き線状伝送部材31が裸電線36よりもベース部材20側(下側)に位置するものを第2交差部61Uとが存在し得る。第2交差部61Uでは、裸電線36が被覆電線31よりもベース部材20から遠い側(上側)に位置する。また本開示において、被覆付き線状伝送部材31同士が交差する交差部を第3交差部62とする。配線部材110における交差部は、第1交差部60と第2交差部61と第3交差部62とからなる群のうち少なくとも1つを含む。
図5に示す例では、交差部は、第1交差部60、第2交差部61、及び、第3交差部62を含む。
【0070】
図5に示す例では、裸電線36Aが、裸電線36B及び被覆電線31Bと交差している。また、被覆電線31Aが、裸電線36B及び被覆電線31Bと交差している。裸電線36Aと裸電線36Bとの交差部が第1交差部60である。裸電線36Aと被覆電線31Bとの交差部が第2交差部61Uであり、及び、被覆電線31Aと裸電線36Bとの交差部が第2交差部61Lである。被覆電線31Aと被覆電線31Bとの交差部が第3交差部62である。
【0071】
図6に示すように、裸電線36Aが、裸電線36Bと、裸電線36Bの両側の被覆電線31Bと、にそれぞれ交差して第1交差部60と第2交差部61Uとが設けられている。ベース部材20の配置面23からの被覆電線31Bの高さが裸電線36Bの高さよりも高い。第1交差部60の両隣の第2交差部61Uにおいて、裸電線36Aが被覆電線31Bに接触して支持されている。第1交差部60において、裸電線36Aは、裸電線36Bの上方に裸電線36Bと間隔をあけて支持されている。第1交差部60において、互いに交差する裸電線36A、B同士は接触していない。また、裸電線36A、B同士の間は中空空間である。このように、裸電線36A、B同士が交差する場合でも、互いに接触せずに、互いに絶縁可能な程度に間隔をあけた状態が保てることができれば、裸電線36A、B同士の間に絶縁シート70などが設けられてなくてもよい。
【0072】
図5に示す例では、交差部は、線状伝送部材30同士が分岐するために設けられている。具体的には、裸電線36A及び被覆電線31Bが、裸電線36B及び被覆電線31Bと分岐するために、裸電線36B及び被覆電線31Bと交差している。裸電線36A及び被覆電線31Aは、交差部よりも一端側では、裸電線36B及び被覆電線31Bと並行する。裸電線36A及び被覆電線31Aは、交差部よりも他端側では、裸電線36B及び被覆電線31Bと異なる向きに延びる。交差部は、並列方向における線状伝送部材30同士の配列を変えるために設けられていてもよい。
【0073】
本実施形態では、線状伝送部材30をベース部材20ごと折り返して交差部を形成してはいない。交差部を構成する一対の線状伝送部材30のうち少なくとも一方は、ベース部材20と共に折り返されることなく、ベース部材20に対して個別にベース部材20上の経路を変えている。
【0074】
[実施形態2の第1変形例]
図7は実施形態2にかかる配線部材110の第1変形例を示す平面図である。
図8は
図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【0075】
図7に示す配線部材110Aは、第1交差部60において、互いに交差する裸電線36同士の間に配置された絶縁シート70を備える。
【0076】
絶縁シート70は、ベース部材20に対して第1交差部60を含む領域に部分的に設けられている。
図7に示す例では、かかる領域は、第1交差部60の隣の第2交差部61を含む。かかる領域は、第1交差部60をなす裸電線36が、第1交差部60の隣で被覆電線31と交差する第2交差部61Uも含む。またかかる領域は、第1交差部60をなす裸電線36と並行する被覆電線31Aが裸電線36B及び被覆電線31Bと交差する第2交差部61L及び第3交差部62も含む。絶縁シート70が設けられる領域は、第2交差部61及び第3交差部62を含まず、第1交差部60のみを含んでもよい。絶縁シート70が設けられる領域は、第2交差部61U及び第3交差部62を含まず、第1交差部60及び第2交差部61Lのみを含んでもよい。絶縁シート70が設けられる領域は、第2交差部61L及び第3交差部62を含まず、第1交差部60及び第2交差部61Uのみを含んでもよい。
【0077】
絶縁シート70はベース部材20よりも絶縁性が高くてもよい。例えば、ベース部材20の不織布がPET製であり、絶縁シート70がアラミド繊維又はガラス繊維が混入した不織布であることによって、絶縁シート70の絶縁性をベース部材20の絶縁性よりも高くできる。
【0078】
[実施形態2の第2変形例]
図9は実施形態2にかかる配線部材110の第2変形例を示す平面図である。
図10は
図9のX-X線に沿った断面図である。
【0079】
交差部は、第1交差部60を含まないように構成されていてもよい。第2変形例にかかる配線部材110Bの交差部は、第1交差部60を含まず、第2交差部61及び第3交差部62のみを含む。交差部は、第1交差部60及び第3交差部62を含まず、第2交差部61のみを含んでもよい。交差部は、第1交差部60及び第2交差部61を含まず、第3交差部62のみを含んでもよい。
【0080】
<実施形態2及びその変形例の効果等>
実施形態2及びその変形例にかかる配線部材110、110A、110Bによっても、実施形態1にかかる配線部材10と同様の効果を得ることができる。
【0081】
また配線部材110、110A、110Bによると、平面視で複数の線状伝送部材30同士が互いに交差する交差部を備えるため、交差部が設けられない場合と比べて、ベース部材20上における複数の線状伝送部材30の経路の自由度が増す。
【0082】
また配線部材110、110Aによると、交差部は、第1交差部60を含む。これにより、第1交差部60が設けられない場合と比べて、ベース部材20上における裸電線36の経路の自由度が増す。
【0083】
また配線部材110、110Aによると、交差部は、第1交差部60、第2交差部61、及び、第3交差部62を含む。これにより、ベース部材20上における裸電線36及び被覆付き線状伝送部材31の経路の自由度が増す。
【0084】
また配線部材110によると、裸電線36Bの両隣の被覆電線31Bの配置面23からの高さが裸電線36Bの配置面23からの高さよりも高く、第1交差部60において、互いに交差する裸電線36A、36B同士の間が中空空間である。これにより、絶縁シート70などを設けずとも第1交差部60における裸電線36A、36B同士の短絡を抑制できる。
【0085】
また配線部材110Aによると、絶縁シート70によって第1交差部60における裸電線36同士の短絡を抑制できる。
【0086】
また配線部材110Aによると、絶縁シート70は、ベース部材20に対して第1交差部60を含む領域に部分的に設けられているため、絶縁シート70の大型化を抑制できる。
【0087】
また配線部材110Aによると、絶縁シート70はベース部材20よりも絶縁性が高いため、絶縁シート70をベース部材20よりも薄くでき、配線部材10の厚みが増すことを抑制できる。
【0088】
また配線部材110Bによると、裸電線36同士の交差部が設けられることが抑制され、裸電線36同士の短絡を抑制しやすい。
【0089】
[実施形態3]
実施形態3にかかる配線部材について説明する。
図11は実施形態3にかかる配線部材210を示す平面図である。
図12は
図11のXII-XII線に沿った断面図である。
【0090】
配線部材210は、互いに積層された第1配線体11及び第2配線体12を備える。第1配線体11及び第2配線体12のそれぞれが、ベース部材20と複数の線状伝送部材30とを含む。第1配線体11のベース部材20が、第2配線体12の複数の線状伝送部材30のうちの少なくとも1つと接触している。第1配線体11と第2配線体12との積層部分において、
図12に示す例では、被覆電線31同士が重なると共に、裸電線36同士が重なっている。
図12に示す例では、第1配線体11のベース部材20が、第2配線体12の被覆電線31と接触している。第1配線体11のベース部材20は、第2配線体12のベース部材20よりも絶縁性が高くされていてもよい。第1配線体11のベース部材20の不織布が、上記絶縁シート70の不織布と同様に構成されてもよい。
【0091】
第1配線体11と第2配線体12とは、同じ経路に沿って延びる部分で積層されている。
図11に示す例では、第1配線体11と第2配線体12とは、途中で分岐して、積層状態が解消されている。配線部材210には、第1配線体11と第2配線体12とが積層して同じ経路に沿って延びる積層延在部分と、第1配線体11と第2配線体12とが積層せずに個別に延びる個別延在部分とが設けられている。第1配線体11と第2配線体12とは、途中で分岐せず、一端から他端まで、積層状態のままであってもよい。配線部材210には、個別延在部分が設けられていなくてもよい。
【0092】
配線部材210は、第1配線体11の裸電線36と第2配線体12の裸電線36とが互いに交差する交差部を備える。
図11に示すように、ここでは第1配線体11が第2配線体12との共通経路から曲がって分岐するときに、第1配線体11の裸電線36と第2配線体12の裸電線36とが互いに交差して第1交差部60が設けられる。第1交差部60において、第1配線体11の裸電線36と第2配線体12の裸電線36との間に第1配線体11のベース部材20が位置する。
【0093】
[実施形態3の第1変形例]
図13は実施形態3にかかる配線部材210の第1変形例を示す断面図である。
【0094】
第1変形例にかかる配線部材210Aでは、第1配線体11の裸電線36と第2配線体12の被覆付き線状伝送部材31とが互いに重なって同じ方向に延び、かつ、第1配線体11の被覆付き線状伝送部材31と第2配線体12の裸電線36と互いに重なって同じ方向に延びている。
図13に示す例では、第2配線体12の裸電線36の上方の空間であって被覆電線31の間の空間に、第1配線体11の被覆電線31が入り込むように第1配線体11が変形している。
【0095】
<実施形態3及びその変形例の効果等>
実施形態3及びその変形例にかかる配線部材210、210Aによっても、実施形態1にかかる配線部材10と同様の効果を得ることができる。特に、裸電線36の被覆層がない分、裸電線36の代わりに被覆電線を用いた場合と比べて、複数の線状伝送部材30を並べたときの幅寸法(第1外側線状伝送部材31Lと、第2外側線状伝送部材31Rとの間隔)を小さくできる。これにより、所定の幅寸法を有する1枚のベース部材に並んで配置できる複数の線状伝送部材の数が多くなる。これにより、裸電線36の代わりに被覆電線を用いた場合と比べて、積層部分の積層数を減らすことが可能となり得、この分の部材コストを低減できる。
【0096】
また配線部材210、210Aによると、第1配線体11のベース部材20を第2配線体12の複数の線状伝送部材30のカバー部材とすることができる。
【0097】
また配線部材210によると、第1配線体11の裸電線36と第2配線体12の裸電線36とが交差する交差部において、第1配線体11の裸電線36と第2配線体12の裸電線36との間に第1配線体11のベース部材20が位置する。これにより、裸電線36同士の交差部において、ベース部材20によって裸電線36同士の短絡を抑制できる。
【0098】
また配線部材210Aによると、異なる配線体間で、被覆付き線状伝送部材31と裸電線36とが重なっているため、配線部材10の厚みが大きくなることを抑制できる。
【0099】
[付記]
上記配線部材10、110、110A、110Bにおいて、ベース部材20とは反対側から線状伝送部材30を覆うカバー部材が設けられていない。配線部材10、110、110A、110Bにおいて、ベース部材20とは反対側から線状伝送部材30を覆うカバー部材が設けられてもよい。上記配線部材210の積層部分における第1配線体11についても同様である。かかるカバー部材は、線状伝送部材30に固定されずに、ベース部材20に固定されてもよい。カバー部材は、線状伝送部材30と接触しても、固定はされなくてもよい。
【0100】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0101】
10、110、110A、110B、210、210A 配線部材
11 第1配線体
12 第2配線体
20 ベース部材
21 第1層
22 第2層
23 配置面
30 線状伝送部材
31、31A、31B 被覆電線(被覆付き線状伝送部材)
31L 第1外側線状伝送部材(被覆付き線状伝送部材)
31R 第2外側線状伝送部材(被覆付き線状伝送部材)
32 導体芯線(伝送線本体)
33 絶縁被覆層(被覆層)
36 裸電線
37 素線
40 コネクタ
41、41A、41B 端子
42 第1接続部
43、43A、43B 第2接続部
44 ワイヤーバレル
45 インシュレーションバレル
46 コネクタハウジング
50、50A 固定部
51 縫糸
60 第1交差部
61 第2交差部
62 第3交差部
70 絶縁シート