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特開2024-129323経路決定システム、経路決定装置、経路決定方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129323
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】経路決定システム、経路決定装置、経路決定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20240919BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20240919BHJP
   G06Q 10/083 20240101ALI20240919BHJP
   G06Q 10/047 20230101ALI20240919BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/123 A
G06Q10/083
G06Q10/047
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038452
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(71)【出願人】
【識別番号】506402827
【氏名又は名称】株式会社ライナロジクス
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小濱 裕士
(72)【発明者】
【氏名】朴 成浩
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC15
2F129CC16
2F129CC17
2F129DD13
2F129DD14
2F129DD15
2F129DD20
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE80
2F129FF12
2F129FF15
2F129FF32
2F129FF57
2F129FF62
2F129FF63
2F129FF64
2F129HH02
2F129HH20
2F129HH22
5H181AA15
5H181AA26
5H181AA27
5H181BB05
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF15
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181MA42
5L010AA04
5L010AA16
5L049AA04
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】効率的な経路を決定する技術を提供すること。
【解決手段】本開示の一態様による経路決定システムは、複数の訪問先を1以上のグループにグループ化するグループ化部と、前記グループ毎に、前記グループ内の訪問先を訪問する第1の移動体の初期位置を示す第1の位置を決定する第1の位置決定部と、前記グループ毎に、前記第1の位置を出発地として、前記グループ内の訪問先を経由する1以上の第1の経路を決定する第1の経路決定部と、与えられた所定の位置を出発地及び目的地として、すべての前記グループの前記第1の位置を経由する第2の経路を決定する第2の経路決定部と、を有する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の訪問先を1以上のグループにグループ化するグループ化部と、
前記グループ毎に、前記グループ内の訪問先を訪問する第1の移動体の初期位置を示す第1の位置を決定する第1の位置決定部と、
前記グループ毎に、前記第1の位置を出発地として、前記グループ内の訪問先を経由する1以上の第1の経路を決定する第1の経路決定部と、
与えられた所定の位置を出発地及び目的地として、すべての前記グループの前記第1の位置を経由する第2の経路を決定する第2の経路決定部と、
を有する経路決定システム。
【請求項2】
前記グループ毎に、前記グループ内の訪問先に対する訪問が完了した第1の移動体が向かう終了位置を示す第2の位置を決定する第2の位置決定部、を更に有し、
前記第1の経路決定部は、
前記グループ毎に、前記第1の位置を出発地、前記第2の位置を目的地として、前記グループ内の訪問先を経由する1以上の第1の経路を決定し、
前記第2の経路決定部は、
与えられた所定の位置を出発地及び目的地として、すべての前記グループの前記第1の位置及び前記第2の位置を経由する第2の経路を決定する、請求項1に記載の経路決定システム。
【請求項3】
前記第2の経路決定部は、
各グループに関して、前記グループの前記第1の位置を、前記グループの第2の位置よりも先に経由するように、前記第2の経路を決定する、請求項2に記載の経路決定システム。
【請求項4】
前記グループ化部は、
前記複数の訪問先を、前記第1の移動体の数以上のグループ数のグループにグループ化し、
前記第2の経路決定部は、
任意の時点において、前記第1の位置を経由した後、前記第1の位置と同一グループの前記第2の位置を未だ経由していないグループの数が、前記第1の移動体の数以下となるように、前記第2の経路を決定する、請求項3に記載の経路決定システム。
【請求項5】
前記第1の経路決定部は、
前記第1の移動体が利用する移動手段用の第1の道路ネットワークを用いて、前記第1の経路を決定し、
前記第2の経路決定部は、
前記第1の移動体とは異なる第2の移動体が利用する移動手段用の第2の道路ネットワークを用いて、前記第2の経路を決定する、請求項1乃至4の何れか一項に記載の経路決定システム。
【請求項6】
前記第2の移動体は、前記第1の移動体が搭乗する車両、前記第1の移動体が搭載される車両である、請求項5に記載の経路決定システム。
【請求項7】
前記第1の移動体は、前記グループ内の訪問先に対して荷物を配達するロボットである、請求項6に記載の経路決定システム。
【請求項8】
複数の訪問先を1以上のグループにグループ化するグループ化部と、
前記グループ毎に、前記グループ内の訪問先を訪問する第1の移動体の初期位置を示す第1の位置を決定する第1の位置決定部と、
前記グループ毎に、前記第1の位置を出発地として、前記グループ内の訪問先を経由する1以上の第1の経路を決定する第1の経路決定部と、
与えられた所定の位置を出発地及び目的地として、すべての前記グループの前記第1の位置を経由する第2の経路を決定する第2の経路決定部と、
を有する経路決定装置。
【請求項9】
複数の訪問先を1以上のグループにグループ化するグループ化手順と、
前記グループ毎に、前記グループ内の訪問先を訪問する第1の移動体の初期位置を示す第1の位置を決定する第1の位置決定手順と、
前記グループ毎に、前記第1の位置を出発地として、前記グループ内の訪問先を経由する1以上の第1の経路を決定する第1の経路決定手順と、
与えられた所定の位置を出発地及び目的地として、すべての前記グループの前記第1の位置を経由する第2の経路を決定する第2の経路決定手順と、
をコンピュータが実行する経路決定方法。
【請求項10】
複数の訪問先を1以上のグループにグループ化するグループ化手順と、
前記グループ毎に、前記グループ内の訪問先を訪問する第1の移動体の初期位置を示す第1の位置を決定する第1の位置決定手順と、
前記グループ毎に、前記第1の位置を出発地として、前記グループ内の訪問先を経由する1以上の第1の経路を決定する第1の経路決定手順と、
与えられた所定の位置を出発地及び目的地として、すべての前記グループの前記第1の位置を経由する第2の経路を決定する第2の経路決定手順と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、経路決定システム、経路決定装置、経路決定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
荷物等の配送業務を対象として効率的な配送経路を決定する技術が従来から知られている。例えば、特許文献1には、主に車両を駐車して台車により荷物を配達する場合を対象として、配送先間の台車による移動時間に基づいて複数の配送先をグループ化した上で、各グループ内における配送先の配送順と、各グループの駐車位置と、グループ化されていない配送先とをすべて経由する配送経路とを決定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-144655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1に開示されている技術では、グループ内の配送先に荷物の配達が完了するまで車両を駐車しておくことを想定しているため、例えば、駐車位置の確保が困難であったり、有料駐車場を利用せざるを得なかったりする場合がある。一方で、近年の配送業務では、運転者の他に配達員が車両に同乗し、この配達員がグループ内の配送先に荷物を配達することも行われている。このため、配達員の降車(リリース)及び荷物の台車への積み替えと乗車(ピックアップ)に必要な短時間のみ車両を停車させればよく、必ずしも車両を駐車しておく必要はないケースが多い。
【0005】
本開示は、上記の点に鑑みてなされたもので、効率的な経路を決定する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による経路決定システムは、複数の訪問先を1以上のグループにグループ化するグループ化部と、前記グループ毎に、前記グループ内の訪問先を訪問する第1の移動体の初期位置を示す第1の位置を決定する第1の位置決定部と、前記グループ毎に、前記第1の位置を出発地として、前記グループ内の訪問先を経由する1以上の第1の経路を決定する第1の経路決定部と、与えられた所定の位置を出発地及び目的地として、すべての前記グループの前記第1の位置を経由する第2の経路を決定する第2の経路決定部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
効率的な経路を決定する技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る配送経路決定システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係る配送経路決定装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】本実施形態に係る端末装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】本実施形態に係る配送経路決定装置の機能構成の一例を示す図である。
図5】本実施形態に係る端末装置の機能構成の一例を示す図である。
図6】本実施形態に係る配送経路決定処理の一例を示すシーケンス図である。
図7】本実施形態に係る配送経路データ作成処理の一例を示すフローチャートである。
図8】車両経路データの一例を示す図である。
図9】グループ内経路データの一例を示す図である。
図10】配送経路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について説明する。以下の実施形態では、運転者の他に1人以上の配達員(以下、配送担当者ともいう。)も配送車両(以下、単に車両ともいう。)に同乗する場合を想定し、配送担当者のリリース位置及びピックアップ位置を考慮した効率的な配送経路を決定することができる配送経路決定システム1について説明する。ここで、リリース位置とは、或るグループに属する配送先に対して台車により荷物を配達するために、その配達を担当する配送担当者が車両から降車して台車に荷物の積み替えを行う位置(その配送担当者がそのグループに属する配送先に対して配送を行う際の初期位置)のことである。一方で、ピックアップ位置とは、或るグループに属する配送先への荷物の配達が完了した配送担当者が車両に乗車する位置(その配送担当者がそのグループに属する配送先への荷物の配達が完了した際に向かう終了位置)のことである。
【0010】
<配送経路決定システム1の全体構成例>
本実施形態に係る配送経路決定システム1の全体構成例を図1に示す。図1に示すように、本実施形態に係る配送経路決定システム1には、配送経路決定装置10と、1以上の端末装置20とが含まれる。また、配送経路決定装置10と各端末装置20は、例えば、インターネット等を含む通信ネットワーク30を介して通信可能に接続されている。なお、以下では、複数の端末装置20の各々を区別するときは、「端末装置20-1」、「端末装置20-2」、「端末装置20-3」等と表記する。
【0011】
配送経路決定装置10は、端末装置20から受信した配送経路決定要求に基づいて、この配送経路決定要求に含まれる車両IDの車両に積載される荷物を配送する配送先をグループ化する。そして、配送経路決定装置10は、各グループのリリース位置及びピックアップ位置と各グループ内の配送先に荷物を台車により配送する際の最適な配送経路とを決定すると共に、各グループのリリース位置及びピックアップ位置を経由して車両が所定の目的地から出発地に向かうための最適な配送経路を決定する。配送経路決定要求とは配送経路の決定を要求するための情報(例えば、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)リクエスト等の形式で表現された情報)のことであり、車両IDの他、この車両IDの車両に同乗する配送担当者の人数(以下、同乗配送担当者数ともいう。)が含まれる。ここで、車両IDとは車両を識別する識別子のことである。
【0012】
以下では、グループ内の配送先に荷物を台車により配送する際の最適な配送経路のことを「グループ内経路」とも呼び、各グループのリリース位置及びピックアップ位置を経由して車両が所定の目的地から出発地に向かうための最適な配送経路のことを「車両経路」とも呼ぶことにする。また、目的地及び出発地としては、車両に対して荷物を積み込む「配送センター」を想定する。ただし、これは一例であって、目的地及び出発地は配送センターに限られるものではなく、任意の目的地及び出発地を設定することが可能であり、また目的地と出発地は異なっていてもよい。
【0013】
なお、配送経路決定装置10は、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)、汎用サーバ、複数の汎用サーバ等で構成されるサーバ群等により実現される。
【0014】
端末装置20は、ユーザ(例えば、配送センターのオペレータや運転者、配送担当者等)が利用する各種端末であり、ユーザの各種操作を受け付けると共に、ユーザに対して各種画面を表示する。また、端末装置20は、ユーザによる配送経路決定要求操作に応じて、この操作によって指定された車両ID及び同乗配送担当者数を含む配送経路決定要求を配送経路決定装置10に送信する。配送経路決定要求操作とは配送経路決定要求を行うための操作のことであり、例えば、車両IDと、同乗配送担当者数とが指定される。
【0015】
なお、端末装置20は、例えば、スマートフォン、車載器、ウェアラブルデバイス、タブレット端末、専用の可搬型機器、PC(パーソナルコンピュータ)等により実現される。
【0016】
図1に示す配送経路決定システム1の全体構成は一例であって、これに限られるものではない。例えば、配送経路決定装置10と端末装置20とが一体で構成されていてもよい。
【0017】
<配送経路決定装置10のハードウェア構成例>
本実施形態に係る配送経路決定装置10のハードウェア構成例を図2に示す。図2に示すように、本実施形態に係る配送経路決定装置10は、入力装置101と、表示装置102と、外部I/F103と、通信I/F104と、RAM(Random Access Memory)105と、ROM(Read Only Memory)106と、補助記憶装置107と、プロセッサ108とを有する。これらの各ハードウェアは、それぞれがバス109を介して通信可能に接続されている。
【0018】
入力装置101は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、物理ボタン等である。表示装置102は、例えば、ディスプレイ、表示パネル等である。なお、配送経路決定装置10は、例えば、入力装置101及び表示装置102のうちの少なくとも一方を有していなくてもよい。
【0019】
外部I/F103は、記録媒体103a等の外部装置とのインタフェースである。配送経路決定装置10は、外部I/F103を介して、記録媒体103aの読み取りや書き込み等を行うことができる。記録媒体103aとしては、例えば、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、SDメモリカード(Secure Digital memory card)、USB(Universal Serial Bus)メモリカード等が挙げられる。
【0020】
通信I/F104は、配送経路決定装置10が通信ネットワーク30等に接続するためのインタフェースである。RAM105は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM106は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。補助記憶装置107は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等のストレージ装置(記憶装置)である。プロセッサ108は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置である。
【0021】
本実施形態に係る配送経路決定装置10は、図2に示すハードウェア構成を有することにより、後述する各種処理を実現することができる。なお、図2に示すハードウェア構成は一例であって、配送経路決定装置10のハードウェア構成はこれに限られるものではない。例えば、配送経路決定装置10は、複数の補助記憶装置107や複数のプロセッサ108を有していてもよいし、図示したハードウェアの一部を有していなくてもよいし、図示したハードウェア以外の様々なハードウェアを有していてもよい。
【0022】
<端末装置20のハードウェア構成例>
本実施形態に係る端末装置20のハードウェア構成例を図3に示す。図3に示すように、本実施形態に係る端末装置20は、入力装置201と、表示装置202と、外部I/F203と、通信I/F204と、メモリ装置205と、プロセッサ206と、測位装置207とを有する。これらの各ハードウェアは、それぞれがバス208を介して通信可能に接続されている。
【0023】
入力装置201は、例えば、タッチパネル、物理ボタン等である。表示装置202は、例えば、ディスプレイ、表示パネル等である。
【0024】
外部I/F203は、記録媒体203a等の外部装置とのインタフェースである。端末装置20は、外部I/F203を介して、記録媒体203aの読み取りや書き込み等を行うことができる。記録媒体203aとしては、例えば、SDメモリカード、USBメモリカード等が挙げられる。
【0025】
通信I/F204は、端末装置20が通信ネットワーク30等に接続するためのインタフェースである。メモリ装置205は、例えば、フラッシュメモリ等の記憶装置である。プロセッサ206は、例えば、CPU等の演算装置である。測位装置207は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機を含み、GNSSを構成する人工衛星から受信した電波に基づいて、端末装置20の現在位置である緯度及び経度を測位する。
【0026】
本実施形態に係る端末装置20は、図3に示すハードウェア構成を有することにより、後述する各種処理を実現することができる。なお、図3に示すハードウェア構成は一例であって、端末装置20のハードウェア構成はこれに限られるものではない。例えば、端末装置20は、複数のメモリ装置205や複数のプロセッサ206を有していてもよいし、図示したハードウェアの一部を有していなくてもよいし、図示したハードウェア以外の様々なハードウェアを有していてもよい。
【0027】
<配送経路決定装置10の機能構成例>
本実施形態に係る配送経路決定装置10の機能構成例を図4に示す。図4に示すように、本実施形態に係る配送経路決定装置10は、配送経路決定部301を有する。配送経路決定部301は、例えば、配送経路決定装置10にインストールされた1以上のプログラムが、プロセッサ108等に実行させる処理により実現される。また、本実施形態に係る配送経路決定装置10は、配送先記憶部302と、リリース位置候補記憶部303と、ピックアップ位置候補記憶部304と、道路情報記憶部305とを有する。これら各記憶部は、例えば、補助記憶装置107等により実現される。ただし、これら各記憶部のうちの少なくとも1つの記憶部が、配送経路決定装置10と通信可能に接続される記憶装置等により実現されてもよい。
【0028】
配送経路決定部301は、端末装置20から受信した配送経路決定要求に基づいて、配送先をグループ化した上で、各グループのリリース位置及びピックアップ位置とグループ内経路とを決定すると共に、車両経路を決定する。また、配送経路決定部301は、これら各グループのリリース位置、ピックアップ位置及びグループ内経路並びに車両経路等を表す配送経路データを当該端末装置20に送信する。
【0029】
配送先記憶部302は、車両ID毎に、その車両IDの車両に荷物が積載される配送先に関する情報(以下、配送先情報ともいう。)を記憶する。配送先情報には、例えば、配送先を識別する識別子である配送先IDと、配送先の名称と、配送先に荷物を配達する時刻(指定時刻)と、配送先の住所又は位置情報と、荷物情報(例えば、荷物の名称、荷物の種類等)とが含まれる。なお、これらの配送先情報は、例えば、配送センターのオペレータ等によって営業日毎に登録(つまり、配送先記憶部302に格納)される。
【0030】
リリース位置候補記憶部303は、リリース位置の候補に関する情報(以下、リリース位置候補情報ともいう。)を記憶する。リリース位置候補情報には、例えば、リリース位置の候補(リリース位置候補)を識別する識別子であるリリース位置候補IDと、リリース位置候補の住所又は位置情報とが含まれる。なお、リリース位置候補とは、配送担当者が車両から降車すると共に荷物を台車に積み替えることが可能な程度の時間の間、当該車両を停車しておくことが可能な場所のことである。
【0031】
ピックアップ位置候補記憶部304は、ピックアップ位置の候補に関する情報(以下、ピックアップ位置候補情報ともいう。)を記憶する。ピックアップ位置候補情報には、例えば、ピックアップ位置の候補(ピックアップ位置候補)を識別する識別子であるピックアップ位置候補IDと、ピックアップ位置候補の住所又は位置情報とが含まれる。なお、ピックアップ位置候補とは、配送担当者が車両に乗車することが可能な程度の時間の間、当該車両を停車しておくことが可能な場所のことである。
【0032】
道路情報記憶部305は、移動手段(車両又は台車)毎に、その移動手段で移動可能な道路の接続状態等を表す道路ネットワーク情報を記憶する。すなわち、道路情報記憶部305には、車両で移動可能な道路の接続状態等を表す道路ネットワーク情報(以下、車両用道路ネットワーク情報ともいう。)と、台車で移動可能な道路の接続状態等を表す道路ネットワーク情報(以下、台車用道路ネットワーク情報ともいう。)とを記憶する。ここで、道路ネットワーク情報には、ノード情報と、リンク情報とが含まれる。ノード情報とは、道路ネットワークのノード(例えば、交差点、屈曲点、行き止まり等)を表す情報である。リンク情報とは、道路ネットワークのリンク(つまり、道)を表す情報である。リンク情報には、そのリンク(道)を該当の移動手段で通過する際に要する旅行時間(移動時間)がコストとして対応付けられている。これ以外にも、リンク情報には、そのリンク(道)の属性情報(例えば、その道が駐車停車禁止であるか否か、車線数、幅員、一方通行であるか否か、通行禁止であるか否か等を表す情報)が対応付けられていてもよい。
【0033】
ここで、配送経路決定部301には、グループ化部311と、グループ内決定部312と、車両経路決定部313と、配送経路データ作成部314とが含まれる。
【0034】
グループ化部311は、端末装置20から受信した配送経路決定要求に含まれる車両ID及び同乗配送担当者数を用いて、その車両IDの車両に積載される荷物を配送する配送先を当該同乗配送担当者数以上のグループ数のグループにグループ化する。すなわち、グループ化部311は、配送先記憶部302に記憶されている配送先情報のうち、端末装置20から受信した配送経路決定要求に含まれる車両IDに対応付けられている配送先情報が表す配送先を、当該配送経路決定要求に含まれる同乗配送担当者数以上のグループにグループ化する。
【0035】
グループ内決定部312は、グループ化部311によってグループ化されたグループ毎に、そのグループのリリース位置及びピックアップ位置とグループ内経路とを決定する。ここで、グループ内決定部312には、リリース位置決定部321と、ピックアップ位置決定部322と、グループ内経路決定部323とが含まれる。リリース位置決定部321は、リリース位置候補記憶部303に記憶されているリリース位置候補情報を用いて、各グループのリリース位置を決定する。ピックアップ位置決定部322は、ピックアップ位置候補記憶部304に記憶されているピックアップ位置候補情報を用いて、各グループのピックアップ位置を決定する。グループ内経路決定部323は、道路情報記憶部305に記憶されている台車用道路ネットワーク情報を用いて、グループ内経路を決定する。
【0036】
車両経路決定部313は、道路情報記憶部305に記憶されている車両用道路ネットワーク情報を用いて、車両経路を決定する。
【0037】
配送経路データ作成部314は、各グループのグループ内経路データと、車両経路データとで構成される配送経路データを作成する。ここで、グループ内経路データとは、当該グループのリリース位置及びピックアップ位置と当該グループのグループ内経路とを表すデータのことである。また、車両経路データとは、車両と当該車両の車両経路とを表すデータのことである。なお、グループ内経路データ及び車両経路データの例については後述する。
【0038】
<端末装置20の機能構成例>
本実施形態に係る端末装置20の機能構成例を図5に示す。図5に示すように、本実施形態に係る端末装置20は、入力受付部401と、配送経路決定要求部402と、表示制御部403とを有する。これら各部は、例えば、端末装置20にインストールされた1以上のプログラムが、プロセッサ206等に実行させる処理により実現される。また、本実施形態に係る端末装置20は、記憶部404を有する。記憶部404は、例えば、メモリ装置205等により実現される。
【0039】
入力受付部401は、入力装置201によるユーザの各種操作を受け付ける。例えば、入力受付部401は、入力装置201によるユーザの配送経路決定要求操作を受け付ける。
【0040】
配送経路決定要求部402は、入力受付部401によって配送経路決定要求操作が受け付けられた場合、この配送経路決定要求操作で指定された車両ID及び同乗配送担当者数が含まれる配送経路決定要求を配送経路決定装置10に送信する。
【0041】
表示制御部403は、ユーザに対して各種画面を表示する。例えば、表示制御部403は、配送経路決定装置10から受信した配送経路データを表示装置202上に表示(可視化)する。
【0042】
記憶部404は、各種情報を記憶する。例えば、記憶部404は、配送経路決定装置10から受信した配送経路データ等を記憶する。
【0043】
<配送経路決定処理>
以下、本実施形態に係る配送経路決定処理について、図6を参照しながら説明する。
【0044】
端末装置20の入力受付部401は、ユーザによる配送経路決定要求操作を受け付ける(ステップS101)。
【0045】
端末装置20の配送経路決定要求部402は、上記のステップS101で受け付けた配送経路決定要求操作で指定された車両ID及び同乗配送担当者数が含まれる配送経路決定要求を配送経路決定装置10に送信する(ステップS102)。
【0046】
配送経路決定装置10の配送経路決定部301は、上記のステップS102で送信された配送経路決定要求を受信すると、この配送経路決定要求に基づいて、配送経路データを作成する(ステップS103)。なお、本ステップの処理(配送経路データ作成処理)の詳細については後述する。
【0047】
配送経路決定装置10の配送経路決定部301は、上記のステップS103で作成した配送経路データを当該端末装置20に送信する(ステップS104)。
【0048】
端末装置20の表示制御部403は、上記のステップS104で送信された配送経路データを受信すると、この配送経路データを表示装置202に表示(可視化)する(ステップS105)。これにより、当該端末装置20のユーザは、車両経路と、各グループのリリース位置及びピックアップ位置と、各グループのグループ内経路とを確認することができる。なお、当該端末装置20のユーザは、例えば、当該車両IDの車両の運転者が利用する端末装置20に対して当該配送経路データ(又は、その配送経路データに含まれる車両経路データ)を転送したり、当該車両に同乗する配送担当者が利用する端末装置20に対して当該配送経路データ(又は、その配送経路データに含まれる該当のグループ内経路データ)を転送したりしてもよい。
【0049】
<配送経路データ作成処理>
以下、上記のステップS103における配送経路データ作成処理の詳細について、図7を参照しながら説明する。なお、以下では、端末装置20から受信した配送経路決定要求に含まれる同乗配送担当者数をNとする。
【0050】
グループ化部311は、当該配送経路決定要求に含まれる車両ID及び同乗配送担当者数Nを用いて、配送先記憶部302に記憶されている配送先情報のうち、当該車両IDに対応付けられている配送先情報が表す配送先を、N以上の数のグループにグループ化する(ステップS201)。以下、本ステップでグループ化されるグループの数(グループ数)をM(≧N)とする。また、本ステップでグループ化された各グループをG(m=1,・・・,M)とする。
【0051】
ここで、グループ化部311は、例えば、以下の手順1-1~手順1-2により該当の配送先をグループ化すればよい。
【0052】
手順1-1:グループ化部311は、当該車両IDに対応付けられている配送先情報と、道路情報記憶部305に記憶されている台車用道路ネットワーク情報とを用いて、各配送先情報が表す配送先間の移動時間を総当たりで算出する。これは、例えば、ダイクストラ法等のアルゴリズムにより算出することが可能である。
【0053】
手順1-2:グループ化部311は、予め決められた所定の時間以内(例えば、3分以内等)に隣接する配送先に到達できる範囲に属する配送先を同一グループとしてグループ化する。ただし、このとき、M≧Nを制約条件とする。
【0054】
なお、上記の手順1-2では、M≧Nを制約条件としてグループ化を行ったが、例えば、M=Nを制約条件としてグループ化を行ってもよい。また、M≧N(又は、M=N)に加えて、以下の制約条件1-1~制約条件1-2の1つ以上を制約条件としてグループ化を行ってもよい。
【0055】
制約条件1-1:各グループに属する配送先数を予め決められた1以上の整数L(例えば、L=5等)以下とする。これは、台車に積載可能な荷物の数には上限があるため、その上限をLとした制約条件である。
【0056】
制約条件1-2:配送先情報に含まれる荷物情報を参照し、同時に配達することが禁止されている種類の荷物の配送先は同一グループとしない。これは、契約等により、或る特定の種類の荷物と別の或る特定の種類の荷物とを同時に配達することが禁止されている場合があるためである。
【0057】
なお、上記のステップS201では、例えば、同一の建物内に複数の配送先が含まれる場合もグループ化の対象となることに留意されたい。また、当該配送経路決定要求に含まれる車両IDに対応付けられている配送先情報が表す配送先のすべてがグループ化されるとは限られず、グループ化されない配送先も存在し得ることに留意されたい。以下では、グループ化されなかった配送先をS(i=1,・・・,I)とする。ここで、Iはグループ化されなかった配送先の数である。これらグループ化されなかった配送先Sについては車両の運転者が荷物を配達するものとする。ただし、運転者は荷物を配達せずに、グループ化されなかった配送先Sについても配送担当者が荷物を配達するものとしてもよい。
【0058】
次に、グループ内決定部312は、上記のステップS201でグループ化されたグループ毎に、そのグループのリリース位置及びピックアップ位置とグループ内経路とを決定する(ステップS202)。すなわち、グループ内決定部312は、例えば、m=1,・・・,Mの各々に対して、以下の手順2-1~手順2-3を繰り返すことで、各グループのリリース位置及びピックアップ位置とグループ内経路とを決定する。
【0059】
手順2-1:グループ内決定部312のリリース位置決定部321は、リリース位置候補記憶部303に記憶されているリリース位置候補情報を用いて、グループGのリリース位置Rを決定する。例えば、リリース位置決定部321は、リリース位置候補記憶部303に記憶されている各リリース位置候補情報が表すリリース位置候補と、グループGに含まれる各配送先との距離を総当たりで算出し、最も小さい距離が算出されたリリース位置候補をリリース位置Rとして決定する。なお、各リリース位置候補と各配送先との距離は、直線距離でもよいし、台車用道路ネットワーク情報に含まれるリンク情報が表す道に沿って移動した場合の距離(つまり、道なりに移動した場合の距離)でもよい。
【0060】
ただし、これは一例であって、リリース位置決定部321は、例えば、グループGに含まれる配送先の住所又は位置情報から当該グループGの重心を求め、その重心との距離が最も小さいリリース位置候補をリリース位置Rとして決定してもよい。又は、リリース位置決定部321は、例えば、リリース位置候補情報を用いずに、その重心をリリース位置Rとして決定してもよい。又は、リリース位置決定部321は、例えば、グループGに含まれるいずれかの配送先(例えば、幹線道路からの距離が最も近い配送先等)をリリース位置Rとして決定してもよい。
【0061】
手順2-2:グループ内決定部312のピックアップ位置決定部322は、ピックアップ位置候補記憶部304に記憶されているピックアップ位置候補情報を用いて、グループGのピックアップ位置Pを決定する。例えば、ピックアップ位置決定部322は、ピックアップ位置候補記憶部304に記憶されている各ピックアップ位置候補情報が表すピックアップ位置候補と、グループGに含まれる各配送先との距離を総当たりで算出し、最も小さい距離が算出されたピックアップ位置候補をピックアップ位置Pとして決定する。なお、各ピックアップ位置候補と各配送先との距離は、直線距離でもよいし、台車用道路ネットワーク情報に含まれるリンク情報が表す道に沿って移動した場合の距離(つまり、道なりに移動した場合の距離)でもよい。
【0062】
ただし、これは一例であって、ピックアップ位置決定部322は、例えば、グループGに含まれる配送先の住所又は位置情報から当該グループGの重心を求め、その重心との距離が最も小さいピックアップ位置候補をピックアップ位置Pとして決定してもよい。又は、ピックアップ位置決定部322は、例えば、ピックアップ位置候補情報を用いずに、その重心をピックアップ位置Pとして決定してもよい。又は、ピックアップ位置決定部322は、例えば、グループGに含まれるいずれかの配送先(例えば、幹線道路からの距離が最も近い配送先等)をピックアップ位置Pとして決定してもよい。
【0063】
手順2-3:グループ内決定部312のグループ内経路決定部323は、道路情報記憶部305に記憶されている台車用道路ネットワーク情報を用いて、グループGのグループ内経路を決定する。すなわち、グループ内経路決定部323は、台車用道路ネットワーク情報を用いて、リリース位置Rを出発地、ピックアップ位置Pを目的地、グループGに含まれるすべての配送先を経由地とする最適な経路をグループ内経路として決定する。なお、最適な経路とはコストの総和が最も小さくなる経路のことである。このような経路は、例えば、ダイクストラ法等のアルゴリズムにより算出することが可能である。以下、グループGのグループ内経路をLとする。
【0064】
以上の手順2-1~手順2-3により、{(G,R,P,L)|m=1,・・・,M}が得られる。
【0065】
次に、車両経路決定部313は、道路情報記憶部305に記憶されている車両用道路ネットワーク情報を用いて、車両経路を決定する(ステップS203)。すなわち、車両経路決定部313は、車両用道路ネットワーク情報と、予め与えられた配送センターの出発時刻とを用いて、配送センターを出発地及び目的地、リリース位置R(m=1,・・・,M)とピックアップ位置P(m=1,・・・,M)とグループ化されなかった配送先S(i=1,・・・,I)とを経由地とする最適な経路を車両経路として決定する。ただし、このとき、以下の制約条件2-1及び制約条件2-2を制約条件とする。
【0066】
制約条件2-1:各m=1,・・・,Mの各々に対して、リリース位置Rはピックアップ位置Pよりも先に経由する。
【0067】
制約条件2-2:リリース位置Rを経由した後、ピックアップ位置Pを未だ経由していない時点のグループGを「配達中グループ」と呼ぶことにする。このとき、経路中の任意の時点において、配達中グループの数はN以下である。
【0068】
なお、最適な経路とはコストの総和が最も小さくなる経路のことである。このような経路は、例えば、ダイクストラ法等のアルゴリズムにより算出することが可能である。以下、車両経路をVとする。
【0069】
以上により、{V,{(G,R,P,L)|m=1,・・・,M},{S|i=1,・・・,I}}が得られる。
【0070】
そして、配送経路データ作成部314は、{V,{(G,R,P,L)|m=1,・・・,M},{S|i=1,・・・,I}}を用いて、各グループのグループ内経路データと、車両経路データとで構成される配送経路データを作成する(ステップS204)。例えば、配送経路データ作成部314は、m=1,・・・,Mの各々に対して、グループGを識別する識別子であるグループIDと、グループGに含まれる配送先の配送先情報と、グループ内経路Lとが含まれるデータをグループ内経路データとして作成する。また、例えば、配送経路データ作成部314は、車両IDと、車両経路Vと、その車両経路Vに含まれる配送先S(i=1,・・・,I)の配送先情報とが含まれるデータを車両経路データとして作成する。
【0071】
<車両経路データの例>
車両経路データの一例を図8に示す。図8に示す車両経路データには、車両ID「t001」と、車両経路Vに含まれる移動順、地点、指定時刻及び住所又は位置情報と、その地点がグループ化されていない配送先である場合はその配送先の荷物情報とが含まれている。これにより、当該車両ID「t001」の車両の運転者は、何時にどこに移動すればよいのかを知ることができる。また、グループ化されていない配送先が存在する場合、当該運転者は、何時にどこにどのような荷物を配達すればよいのかを知ることができる。なお、図8に示す例ではリリース位置及びピックアップ位置を示す地点をそれぞれ「リリース地点」及び「ピックアップ地点」と表記している。
【0072】
ここで、図8に示す例ではリリース地点やピックアップ地点に対して指定時刻が対応付けられているが、指定時刻ではなく、或る一定の幅を持つ時間帯であってもよい。これは、例えば、リリース位置では配送担当者の降車だけでなく、荷下ろし等の作業に要する時間も考慮する必要があるためである。また、ピックアップ位置でも、車両又は配送担当者が指定時刻に間に合わずに待機する場合があり、その待機時間を考慮する必要があるためである。
【0073】
<グループ内経路データの例>
グループ内経路データの一例を図9に示す。図9に示すグループ内経路データには、グループID「G」と、そのグループGのグループ内経路Lと、そのグループGに含まれる配送先の荷物情報とが含まれている。これにより、当該グループGの配達を担当する配送担当者は、何時にどこにどのような荷物を配達すればよいのかを知ることができる。また、配送担当者は、荷物の配達が完了した後に、何時にどこに向かえばピックアップしてもらえるのかを知ることができる。なお、図9に示す例では、図8と同様に、リリース位置及びピックアップ位置を示す地点をそれぞれ「リリース地点」及び「ピックアップ地点」と表記している。また、図8と同様に、リリース地点やピックアップ地点に対して或る一定の幅を持つ時間帯が対応付けられていてもよい。
【0074】
<配送経路>
一例として、図8に示す車両経路データと、図9に示すグループ内経路データとが含まれる配送経路データが表す配送経路を図10に示す。図10に示す配送経路では、グループGのリリース位置R→グループGのリリース位置R→グループ化されていない配送先S→グループGのピックアップ位置P→グループGのピックアップ位置Pの順に移動する車両経路が表されている。また、図10に示す配送経路では、グループGのリリース位置Rで降車した配送担当者1が、配送先1-1→配送先1-2→配送先1-3→配送先1-4→配送先1-5の順に配達した後、グループGのピックアップ位置Pに移動するグループ内経路が表されている。同様に、図10に示す配送経路では、グループGのリリース位置Rで降車した配送担当者2が、配送先2-1→配送先2-2→配送先2-3の順に配達した後、グループGのピックアップ位置Pに移動するグループ内経路が表されている。
【0075】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る配送経路決定システム1は、運転者の他に1人以上の配送担当者が車両に同乗する場合を想定し、配送担当者のリリース位置及びピックアップ位置を考慮した効率的な配送経路を決定することができる。これにより、例えば、特許文献1に開示されている技術と比較して、車両の駐車位置を確保や有料駐車場の利用を不要とすることができる。また、少ない車両で多くの配送先に荷物を配達することが可能となるため、例えば、特許文献1に開示されている技術と比較して、より効率的な配達を実現することができる。
【0076】
<その他の実施形態>
以下、上記の実施形態の変形例又は応用例に相当する実施形態について説明する。
【0077】
(1)上記の実施形態では、各グループに含まれる配送先の荷物を配送担当者が配達するものとしたが、例えば、ロボット(ドローン等を含む。)等といった任意の移動体が配達してもよい。この場合、道路情報記憶部305にはその移動体が用いる移動手段用の道路ネットワーク情報が記憶されており、グループ内経路は、この道路ネットワーク情報を用いて決定される。
【0078】
(2)上記の実施形態では、各グループのピックアップ位置を決定したが、少なくとも一部のグループに関してそのグループのピックアップ位置を決定しなくてもよい。これは、例えば、グループ内のすべての配送先への配達が完了した配送担当者が帰宅する場合等もあり得るためである。
【0079】
(3)上記の実施形態では、各グループに関して、当該グループのリリース位置に移動する車両と、当該グループのピックアップ位置に移動する車両とが同一の車両であることを想定したが、異なる車両であってもよい。
【0080】
(4)上記の実施形態では、グループ化されなかった配送先については車両の運転者が荷物を配達するものとしたが、例えば、グループに含まれる配送先数が1つである場合も許容することにより、グループ化されなかった配送先についても配送担当者が荷物を配達するものとしてもよい。
【0081】
(5)車両経路データや各グループ内経路データは、端末装置20における経路案内に利用されてもよい。すなわち、端末装置20が経路案内部を有しており、車両経路データや各グループ内経路データに基づいて、経路案内が行われてもよい。
【0082】
(6)上記の実施形態では、車両に荷物が積載されるものとしたが、必ずしも車両に荷物が積載されている必要はない。例えば、或るグループのリリース位置又はその付近に荷物の倉庫等が存在する場合には、そのグループ内の配送先に関しては車両に荷物が積載されている必要はない。また、或るグループ位置又はその付近にある倉庫にて荷物の積み替え等が行われてもよい。
【0083】
(7)上記の実施形態では、配送担当者が車両に同乗することを想定したが、配送担当者は必ずしも車両に同乗しなくてもよい。例えば、各グループのリリース位置に配送担当者が待機しており、車両の運転者がその配送担当者に対してそのグループ内の配送先に配達する荷物を受け渡しもよい。また、配送担当者ではなく、ロボット(ドローン等も含む。)等がリリース位置に配置されていてもよい。
【0084】
(8)上記の実施形態では、荷物の配達を想定したが、これに限られず、例えば、何等かの目的のために或る地点又は場所を訪問する場合にも同様に適用することができる。例えば、機器(例えば、複合機や空調機等)のメンテナンスのためにメンテナンス作業員を派遣する場合等にも同様に適用可能である。
【0085】
(9)上記の実施形態では、リリース位置で1人の配送担当者が車両から降車する場合を想定しているが、これに限られず、リリース位置で2人以上の配送担当者が車両から降車してもよい。また、このとき、2人以上の配送担当者が共に同一経路で配達する場合は上記の実施形態と同様に1つのグループ内経路を決定してもよいが、2人以上の配送担当者が異なる経路で配達する場合には複数のグループ内経路を決定してもよい。例えば、複数の配送担当者の各々に対して当該グループ内の配送先がそれぞれ割り当てられている場合には、配送担当者毎にその配送担当者に割り当てられている配送先を経由するように、配送担当者数と同数のグループ内経路を決定すればよい。また、例えば、2人1組や3人1組等でグループ内を配達する場合には配送担当者の組と同数のグループ内経路を決定してもよい。
【0086】
<利用例>
上記の各実施形態に係る配送経路決定システム1の利用例として、少なくとも以下の6つの利用例が考えられる。
【0087】
・利用例1
運転者と1人以上の配送担当者とが車両に搭乗し、配送センター等の出発地から出発して各配送担当者をリリース位置でリリースすると共にピックアップ位置でピックアップし、出発地に戻ってくる、といった利用が可能である。これは最も典型的なケースである。
【0088】
・利用例2
運転者と1人以上の配送担当者とが車両に搭乗し、配送センター等の出発地から出発して各配送担当者をリリース位置でリリースすると共に一部の配送担当者をピックアップ位置でピックアップし、その他の配送担当者はピックアップせずに、出発地に戻ってくる、といった利用が可能である。これは、例えば、ピックアップされない配送担当者が配送完了後に直帰するケース等である。
【0089】
・利用例3
運転者と1人以上の配送担当者とが車両に搭乗し、配送センター等の出発地から出発して各配送担当者をリリース位置でリリースするが、各配送担当者をピックアップせずに、出発地に戻ってくる、といった利用が可能である。これは、例えば、各配送担当者が配送完了後に直帰するケース等である。
【0090】
・利用例4
運転者のみが車両に搭乗し、配送センター等の出発地から出発して各配送担当者とリリース位置で合流し、荷物の受け渡し等を行って、各配送担当者をピックアップせずに、出発地に戻ってくる、といった利用が可能である。これは、例えば、各グループのリリース位置に配送担当者が待機しているケース等である。
【0091】
・利用例5
運転者のみが車両に搭乗し、配送センター等の出発地から出発して各配送担当者とリリース位置で合流し、荷物の受け渡し等を行って、一部の配送担当者をピックアップ位置でピックアップし、その他の配送担当者はピックアップせずに、出発地に戻ってくる、といった利用が可能である。これは、各グループのリリース位置に配送担当者が待機しており、それらの配送担当者のうち一部の配送担当者に関しては配送完了後に配送センターまで連れて帰るといったケース等である。
【0092】
・利用例6
運転者のみが車両に搭乗し、配送センター等の出発地から出発して各配送担当者とリリース位置で合流し、荷物の受け渡し等を行って、各配送担当者をピックアップ位置でピックアップし、出発地に戻ってくる、といった利用が可能である。これは、各グループのリリース位置に配送担当者が待機しており、各配送担当者を配送完了後に配送センターまで連れて帰るといったケース等である。
【0093】
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から逸脱することなく、種々の変形や変更、既知の技術との組み合わせ等が可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 配送経路決定システム
10 配送経路決定装置
20 端末装置
30 通信ネットワーク
101 入力装置
102 表示装置
103 外部I/F
103a 記録媒体
104 通信I/F
105 RAM
106 ROM
107 補助記憶装置
108 プロセッサ
109 バス
201 入力装置
202 表示装置
203 外部I/F
203a 記録媒体
204 通信I/F
205 メモリ装置
206 プロセッサ
207 測位装置
208 バス
301 配送経路決定部
302 配送先記憶部
303 リリース位置候補記憶部
304 ピックアップ位置候補記憶部
305 道路情報記憶部
311 グループ化部
312 グループ内決定部
313 車両経路決定部
314 配送経路データ作成部
321 リリース位置決定部
322 ピックアップ位置決定部
323 グループ内経路決定部
401 入力受付部
402 配送経路決定要求部
403 表示制御部
404 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10