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  • 特開-発熱体 図1
  • 特開-発熱体 図2
  • 特開-発熱体 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129329
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】発熱体
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
A61M37/00 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038463
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】397007011
【氏名又は名称】株式会社オーシンエムエルピー
(74)【代理人】
【識別番号】100127764
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 泰州
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 哲広
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA72
4C267BB04
4C267BB13
4C267BB23
4C267CC01
4C267EE05
4C267GG01
4C267GG43
4C267HH08
(57)【要約】
【課題】本発明は、有効成分の効果的な投与を可能にする新規な薬剤投与具を提供することを目的とする。
【解決手段】 有皮膚表面に接触させることによって体内に有効成分を投与する薬剤投与具1につき、効成分を担持させた複数のマイクロニードル21が表面に配されたシート状のマイクロニードルアレイ2の表面(2F)側を皮膚表面に接触させた状態で、発熱体3にて裏面(2B)側から加温する使用態様とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚表面に接触させることによって体内に有効成分を投与する薬剤投与具であって、
有効成分を担持させた複数のマイクロニードルが表面に配されたシート状のマイクロニードルアレイと、
発熱体と、
を具備してなり、
前記マイクロニードルアレイの表面側を皮膚表面に接触させた状態で、前記発熱体にて裏面側から加温する使用態様となされたことを特徴とする薬剤投与具。
【請求項2】
請求項1に記載の薬剤投与具において、
前記発熱体が、鉄粉の酸化反応によって発熱する発熱剤が袋材内に内包された構造を有する薬剤投与具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の薬剤投与具において、
偏平状の全体形状となされた前記発熱体の片側面に粘着剤層が積層されてなり、
前記マイクロニードルアレイの表面側を皮膚表面に接触させた状態で、裏面側を覆うようにして前記粘着剤層の外縁を皮膚表面に貼着させた前記発熱体にて加温する使用態様となされた薬剤投与具。
【請求項4】
請求項1に記載の薬剤投与具において、
前記粘着剤層がヒドロゲルによって構築されてなる薬剤投与具。
【請求項5】
請求項1に記載の薬剤投与具において、
前記マイクロニードルが水溶性高分子によって構築されてなる薬剤投与具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚表面に貼付することによって体内に有効成分を投与する薬剤投与具に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、美容成分や薬効成分などの有効成分を効果的に体内に投与する手段として、マイクロニードルアレイと称される微細な針状突起(マイクロニードル)を介した経皮注入手段が注目されている。
【0003】
このマイクロニードルアレイは、複数のマイクロニードルが配された表面側を皮膚に接触させることによって、皮膚の比較的浅い層(表皮)にマイクロニードルを穿刺させ、もって、マイクロニードルに担持させた有効成分を体内に投与する仕組みとなされたものである。そして、このマイクロニードルアレイによる薬剤投与には痛みが殆ど無く、又、専門家によって実施される必要がないことから、利用者が適宜使用することができる利点がある。
【0004】
従来、マイクロニードルの素材としてチタンやステンレスなどの金属材料が用いられていたこともあったが、近年はポリグリコール酸やポリ乳酸などのポリマーからなる非溶解型のマイクロニードル(例えば、下記特許文献1参照。)や、ヒアルロン酸などの水溶性高分子からなる溶解型のマイクロニードル(例えば、下記特許文献2参照。)が主流となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018‐108375号公報
【特許文献2】特開2022‐43919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非溶解型のマイクロニードルが表面に配されたマイクロニードルアレイでは、有効成分を針表面に塗布させたマイクロニードルを皮膚表面に穿刺ことによって有効成分を体内に投与する。一方、溶解型のマイクロニードルが表面に配されたマイクロニードルアレイでは、マイクロニードル自体に有効成分が配合されており、皮膚表面に穿刺させたマイクロニードルが体内の水分によって溶解する際に有効成分を放出する仕組みとなされている。
【0007】
しかしながら、表皮は皮膚深層と比較して体温が低く、又、水分が少ないため、必ずしも表皮内において有効成分の移動や拡散が速やかに行われているとはいえない。又、溶解型のマイクロニードルにおいては、溶解に時間がかかる場合もある。
【0008】
本発明は、前記技術的課題に鑑みて開発されたものであり、有効成分の効果的な投与を可能にする新規な薬剤投与具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題を解決するための本発明の薬剤投与具は、皮膚表面に接触させることによって体内に有効成分を投与する薬剤投与具であって、有効成分を担持させた複数のマイクロニードルが表面に配されたシート状のマイクロニードルアレイと、発熱体と、を具備してなり、前記マイクロニードルアレイの表面側を皮膚表面に接触させた状態で、前記発熱体にて裏面側から加温する使用態様となされたことを特徴とする(以下、「本発明薬剤投与具」と称する。)。
【0010】
前記本発明投与具においては、 前記発熱体が、鉄粉の酸化反応によって発熱する発熱剤が袋材内に内包された構造を有するものが好ましい態様となる。
【0011】
前記本発明薬剤投与具においては、偏平状の全体形状となされた前記発熱体の片側面に粘着剤層が積層されてなり、前記マイクロニードルアレイの表面側を皮膚表面に接触させた状態で、裏面側を覆うようにして前記粘着剤層の外縁を皮膚表面に貼着させた前記発熱体にて加温する使用態様となされたものが好ましい態様となる。
【0012】
前記本発明薬剤投与具においては、前記粘着剤層がヒドロゲルによって構築されてなるものが好ましい態様となる。
【0013】
前記本発明薬剤投与具においては、前記マイクロニードルが水溶性高分子によって構築されてなるものが好ましい態様となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、有効成分の効果的な投与が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明薬剤投与具の一実施形態を、一部拡大して示す斜視図である。
図2図2は、前記本発明薬剤投与具における発熱体を示すA‐A断面図である。
図3図3(a)、(b)は、前記本発明薬剤投与具の使用状態の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0017】
<本発明薬剤投与具(1)>
図1に本発明薬剤投与具1の一実施形態を示す。前記本発明薬剤投与具1は、「マイクロニードルアレイ(2)」と、「発熱体(3)」と、を具備してなる。
【0018】
‐マイクロニードルアレイ2‐
前記マイクロニードルアレイ2はシート状の全体形状を有する。前記マイクロニードルアレイ2の表面(2F)には複数のマイクロニードル21が配されている。又、前記マイクロニードル21には美容成分や薬効成分などの有効成分が担持されている。本実施形態においては、前記マイクロニードルアレイ2につき、有効成分(プラセンタ)を配合させたヒアルロン酸ナトリウム水溶液を、針長さ200μmのコニーデ型、マイクロニードル基板直径10mmの鋳型に流し、乾燥、型抜きすることによって製造した。なお、前記マイクロニードルアレイ2の背面(2B)には、支持体(裏打ち材)としてのポリエチレンフィルム(50μm)が積層されている。
【0019】
‐発熱体3‐
前記発熱体3は、前記マイクロニードルアレイ2を加温する役割を担う。図2に示すように、本実施形態においては、前記発熱体3として通気性を有する袋材31内に鉄粉の酸化反応によって発熱する発熱剤32が封入された構造を有するものを用いた。又、前記袋材31は通気性シートからなり、偏平状の全体形状となされている。本実施形態においては前記通気性シートとして、ポリエチレン製の通気性フィルムの一面にポリエステル製不織布が積層された二層構造の積層シートを用いた。なお、前記袋材31の片側面にはヒドロゲルからなる粘着剤層33が積層されている。
【0020】
前記構成を有する本発明薬剤投与具1は、皮膚表面に接触させることによって体内に有効成分を投与するものであり、図3に示すように、前記マイクロニードルアレイ2の表面(2F)側を皮膚表面に接触させた状態で、前記発熱体3にて裏面側から加温する使用態様となされている。本実施形態においては、前記マイクロニードルアレイ2の表面(2F)側を皮膚表面(目元)に接触させるようにして貼付し(図3(a)参照。)、次いで、皮膚表面に貼付したマイクロニードルアレイ2の裏面(2B)側を、前記発熱体3の粘着剤層33側にて覆うと共に、前記粘着剤層33の外縁を皮膚表面に貼着させながら加温する(図3(b)参照。)。
【0021】
このように前記マイクロニードルアレイ2の表面(2F)側を皮膚表面に接触させた状態で、前記発熱体3にて裏面(2B)側から加温する本発明薬剤投与具1によれば、前記発熱体3によって前記マイクロニードルアレイ2及び皮膚表面の温度が上昇するため、皮膚表面の血行が促進すると共に、前記マイクロニードル21に担持させた有効成分の拡散が速やかになり、もって、有効成分の効果的な投与が可能になる。
【0022】
又、本実施形態のように前記発熱体3が鉄粉の酸化反応によって発熱する発熱剤32が袋材31内に内包された構造を有する場合や、前記粘着剤層33がヒドロゲルによって構築されている場合にあっては、前記発熱体3による加温と共に発生する水分が前記マイクロニードル21や皮膚表面に施用されるためより速やかな有効成分の投与が可能となる。
【0023】
特に、本実施形態のように前記マイクロニードル21が水溶性高分子によって構築されている場合にあっては、前記粘着剤層33にから供給される水分によって前記マイクロニードル21の溶解が促進し、より一層速やかな有効成分の投与が可能となる。
【0024】
ところで、本実施形態においては、前記マイクロニードル21につき水溶性高分子にて構築しているが、前記マイクロニードル21の素材や前記マイクロニードルアレイ2の製造方法は特に限定されない。
【0025】
又、本実施形態においては、前記発熱体3につき鉄粉の酸化反応によって発熱する発熱剤32が袋材31内に内包された構造を有するものを用いているが、前記発熱体3の発熱機構は特に限定されない。なお、前記発熱体3の発熱温度については40~45℃が好ましく、発熱の持続時間については10分~5時間が好ましい。
【0026】
更に、本実施形態においては、前記発熱体3の片側面に粘着剤層33を積層しているが、前記粘着剤層33は本発明の必須の構成要件ではない。但し、前記発熱体3の片側面に前記粘着剤層33を積層すれば、前記マイクロニードルアレイ2の加温の際に手指にて前記発熱体3を支持する必要が無くなる。
【0027】
加えて、本実施形態においては、前記粘着剤層33につきヒドロゲルにて構築しているが、本発明において前記粘着剤層33の素材は特に限定されず、例えば、ポリウレタン等の油性の素材にて前記粘着剤層33を構築しても良い。
【0028】
なお、本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明発熱体は、体内に有効成分を投与する手段として利用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 本発明薬剤投与具(薬剤投与具)
2 マイクロニードルアレイ
21 マイクロニードル
3 発熱体


図1
図2
図3