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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129331
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/533 20060101AFI20240919BHJP
   B60L 53/16 20190101ALI20240919BHJP
【FI】
H01R13/533 A
B60L53/16
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038470
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】山口 康弘
(72)【発明者】
【氏名】間々下 尚紀
【テーマコード(参考)】
5E087
5H125
【Fターム(参考)】
5E087EE10
5E087FF06
5E087FF13
5E087GG26
5E087LL03
5E087LL12
5E087MM05
5E087QQ04
5E087RR05
5E087RR07
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125FF12
(57)【要約】
【課題】端子の温度上昇を抑制できるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は、電気自動車、ハイブリッド自動車等の車体に取り付けられ、充電スタンドなどに備わった充電プラグと嵌合されて車載バッテリを充電するためのものである。コネクタ1は、電線2の端末に圧着された端子3と、端子3の電線圧着部32を包囲した蓄熱部材7と、ハウジング4と、シート状の伝熱部材8と、を備えている。電線圧着部32には、電線圧着時の圧着痕である凹部33が形成されている。蓄熱部材7は、互いの間に電線圧着部32を挟んだ状態で互いに組み付けられた第1蓄熱部材71及び第2蓄熱部材72を備えている。第1蓄熱部材71と電線圧着部32との間に伝熱部材8が介在しており、第2蓄熱部材72に形成された突出部76が、凹部33内に位置付けられて該凹部33に接触している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の端末に圧着された端子と、
前記端子の電線圧着部を包囲した蓄熱部材と、
前記端子及び前記蓄熱部材を収容したハウジングと、
シート状の伝熱部材と、を備え、
前記電線圧着部には、電線圧着時の圧着痕である凹部が形成されており、
前記蓄熱部材は、互いの間に前記電線圧着部を挟んだ状態で互いに組み付けられた第1蓄熱部材及び第2蓄熱部材を備え、
前記第1蓄熱部材と前記電線圧着部との間に前記伝熱部材が介在しており、
前記第2蓄熱部材に形成された突出部が、前記凹部内に位置付けられて該凹部に接触している
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記第1蓄熱部材及び前記第2蓄熱部材にボルトが締結されることで両者が互いに組み付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
2つの前記端子と、2つの前記蓄熱部材と、を備え、
2つの前記蓄熱部材は、前記第2蓄熱部材同士が隣接し、前記第1蓄熱部材同士が離間する向きで前記ハウジングに収容されている
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、ハイブリッド自動車等の車体には、当該車体に搭載されたバッテリを充電するためのコネクタが取り付けられている(例えば特許文献1参照)。このコネクタは、充電スタンドなどに備わった充電プラグと嵌合されるものであり、電線の端末に接続された端子と、端子を収容したハウジングと、を備えている。このようなコネクタは、「充電インレット」と呼称されることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-77573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記コネクタにおいては、バッテリの大容量化や充電時間短縮のニーズにより大電流化が進んでおり、充電を行う際、充電プラグとの接点部や電線との接続部などの抵抗が高い部位からの発熱により端子の温度が急激に上昇してしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、端子の温度上昇を抑制できるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電線の端末に圧着された端子と、前記端子の電線圧着部を包囲した蓄熱部材と、前記端子及び前記蓄熱部材を収容したハウジングと、シート状の伝熱部材と、を備え、前記電線圧着部には、電線圧着時の圧着痕である凹部が形成されており、前記蓄熱部材は、互いの間に前記電線圧着部を挟んだ状態で互いに組み付けられた第1蓄熱部材及び第2蓄熱部材を備え、前記第1蓄熱部材と前記電線圧着部との間に前記伝熱部材が介在しており、前記第2蓄熱部材に形成された突出部が、前記凹部内に位置付けられて該凹部に接触していることを特徴とするコネクタである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、端子の温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態にかかるコネクタを示す斜視図である。
図2図1中のA-A線に沿った断面図である。
図3図2中の要部を拡大した図である。
図4図2のコネクタを構成する端子付き電線と蓄熱部材とゴム栓の組立体を示す斜視図である。
図5図4の組立体の正面図である。
図6図4の組立体の分解図である。
図7図3中のB-B線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態にかかる「コネクタ」について、図1~7を参照して説明する。
【0010】
図1,2に示すコネクタ1は、電気自動車、ハイブリッド自動車等の車体に取り付けられるものであり、充電スタンドなどに備わった充電プラグと嵌合されて車載バッテリを充電するためのものである。本コネクタ1は、「充電インレット」と呼称されることもある。
【0011】
コネクタ1は、電線2の端末に圧着された端子3と、端子3の電線圧着部32を包囲した蓄熱部材7と、端子3及び蓄熱部材7を収容した合成樹脂製のハウジング4と、伝熱部材8と、ゴム栓5と、ホルダ6と、を備えている。
【0012】
また、本例のコネクタ1は、2本の電線2と接続されている。このため、コネクタ1は、端子3と蓄熱部材7を2つずつ備えている。2つの端子3は同一部品であり、2つの蓄熱部材7も同一部品である。
【0013】
ゴム栓5は、ハウジング4の後方(充電プラグが嵌合する側を前方とする)に装着されてハウジング4の内面と電線2の外面との間をシールするためのものである。ホルダ6は、ゴム栓5のハウジング4からの脱落を防止するためのものである。このように、ゴム栓5によってシールされたコネクタ1は、ハウジング4内に熱が籠りやすい構造となっている。
【0014】
電線2は、芯線21と絶縁被覆22を備えた丸形電線である。電線2の端末においては、絶縁被覆22が除去されて芯線21が露出している。この芯線21の露出部には、端子3の電線圧着部32が圧着されている。
【0015】
端子3は、充電プラグに備わった相手端子と嵌合される第1接続部31と、電線2の芯線21に圧着された電線圧着部32と、を備えている。電線圧着前の電線圧着部32は、第1接続部31と反対側に開口した中空円筒状に形成されている。電線圧着後の電線圧着部32は、図6に示すように、電線圧着時の圧着痕である凹部33が周方向に複数形成されている。
【0016】
蓄熱部材7は、図4~7に示すように、互いの間に電線圧着部32を挟んだ状態で互いに組み付けられた第1蓄熱部材71及び第2蓄熱部材72を備えている。また、本例では、第1蓄熱部材71及び第2蓄熱部材72に2本のボルト11が締結されることで両者が互いに組み付けられている。
【0017】
第1蓄熱部材71及び第2蓄熱部材72は、図6に示すように、組付け時に当接する当接面73と、電線圧着部32を位置付ける溝74と、ボルト11が締結されるボルト穴75と、を備えている。
【0018】
また、第2蓄熱部材72には、溝74の内面から第1蓄熱部材71側に突出した突出部76が形成されている。突出部76は、端子3の凹部33を模した形状である断面台形状に形成されている。コネクタ1の組み立て時、この突出部76が凹部33内に位置付けられることで第2蓄熱部材72が端子3に位置決めされる。また、突出部76の先端面は、凹部33の内面に接触している。これにより、充電時に電線圧着部32で生じた熱が、この接触面から効率よく第2蓄熱部材72に伝熱される。
【0019】
伝熱部材8は、熱伝導性フィラーを含有する弾力のあるシートである。本例では、酸化アルミニウム粉末を含有するシリコーンゴムシートを採用している。この伝熱部材8は、図7に示すように、第1蓄熱部材71と電線圧着部32との間に介在している。伝熱部材8は、充電時に電線圧着部32で生じた熱を第1蓄熱部材71に効率よく伝熱させる。
【0020】
また、本例では、ボルト11が締結されることで第1蓄熱部材71及び第2蓄熱部材72が互いに組み付けられているので、ボルト11の軸力により端子3の凹部33と第2蓄熱部材72の突出部76との接触面における面圧を確保することができる。同様に、ボルト11の軸力により第1蓄熱部材71と電線圧着部32との間に介在する伝熱部材8を圧縮することができ、面圧を確保することができる(図3,7参照)。また、ボルト11の締結によって第1蓄熱部材71及び第2蓄熱部材72が互いに組み付けられる構成を採用しているので、電線2への蓄熱部材7の先通しが不要となり、コネクタ1の組付性を向上させることができる。
【0021】
上述した2つの蓄熱部材7は、図2,5に示すように、第2蓄熱部材72同士が隣接し、第1蓄熱部材71同士が離間する向きでハウジング4に収容されている。
【0022】
このようなコネクタ1に充電プラグが嵌合されて充電が開始されると、抵抗が高い部位である電線圧着部32から発熱が生じるが、この熱が蓄熱部材7に蓄熱されることで端子3の温度上昇が抑制され、端子3の温度上昇の速度が遅くなる。このように蓄熱部材7によって端子3の温度上昇を抑制できるので、冷却構造の追加や電線の大径化を回避でき、コネクタ1のコストアップや重量アップを回避できる。
【0023】
また、本例では、上述したように、2つの蓄熱部材7の配置について、第2蓄熱部材72同士をハウジング4の中心部に配置し、伝熱部材8及び第1蓄熱部材71同士をハウジング4の外側寄りに配置している。ハウジング4の中心部は、端子3同士の熱が干渉し、蓄熱部材7の温度が飽和し易い。そこで、上記のように配置することで第2蓄熱部材72の温度飽和を抑制するとともに第1蓄熱部材71からハウジング4外部への放熱性を高め、蓄熱部材7の温度を飽和し難くして、効率よく熱を吸収できるようにしている。
【0024】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0025】
1 コネクタ
2 電線
3 端子
4 ハウジング
5 ゴム栓
6 ホルダ
7 蓄熱部材
8 伝熱部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7