(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129340
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】折割装置
(51)【国際特許分類】
C03B 33/03 20060101AFI20240919BHJP
B28D 5/00 20060101ALI20240919BHJP
B26F 3/00 20060101ALI20240919BHJP
C03B 33/04 20060101ALI20240919BHJP
C03B 33/033 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
C03B33/03
B28D5/00 Z
B26F3/00 A
C03B33/04
C03B33/033
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038480
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000174220
【氏名又は名称】坂東機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義孝
(72)【発明者】
【氏名】坂東 和明
【テーマコード(参考)】
3C060
3C069
4G015
【Fターム(参考)】
3C060AA08
3C060CB03
3C060CB14
3C069AA03
3C069BA01
3C069BA04
3C069BB01
3C069BB04
3C069BC02
3C069BC06
3C069BC07
3C069CA11
3C069EA01
3C069EA02
4G015FA03
4G015FA04
4G015FB01
4G015FC02
4G015FC05
4G015FC07
4G015FC10
(57)【要約】
【課題】折割加工においてガラス板の折割を外形切出線から端切線に向かって伝えることができ、ガラス板の外形切出線の外側の周縁エリア全体を円滑に折割ることができる折割装置を提供する。
【解決手段】折割装置は、折割治具をガラス板11の外周エリア56bの外周縁を含むその近傍における端切線形成始点135aから外形切出線K1の外側近傍の端切線形成終点135cに向かって移動させ、ガラス板11の周縁エリア56bの端切線形成箇所に端切線形成始点135aから端切線形成終点135cに向かって延びる端切線K2を形成する。端切線形成始点135aは、ガラス板11の外周エリア56bの外周縁又は外周エリア56bの外周縁から内側に至近距離離間した位置或いは外周エリア56bの外周縁から外側に至近距離離間した位置であり、端切線形成終点135cが、外形切出線K1から外側に至近距離離間した位置である。
【選択図】
図25
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象のガラス板に端切線を形成する折割カッターホイールと前記折割カッターホイールを支持する折割カッターホルダーとを備えた折割治具を利用し、前記ガラス板に外形切出線を形成した後、前記外形切出線の外側に延びる前記ガラス板の周縁エリアに前記折割治具によって端切線を形成し、前記端切線が形成されたガラス板の周縁エリアを折割る折割装置において、
前記折割装置が、前記折割治具を前記ガラス板の外周縁を含むその近傍における端切線形成始点から前記外形切出線の外側近傍の端切線形成終点に向かって移動させ、前記ガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に前記端切線形成始点から前記端切線形成終点に向かって延びる前記端切線を形成することを特徴とする折割装置。
【請求項2】
前記端切線形成始点が、前記ガラス板の外周縁又は前記外周縁から内側に至近距離離間した位置或いは該外周縁から外側に至近距離離間した位置であり、前記端切線形成終点が、前記外形切出線から外側に至近距離離間した位置である請求項1に記載の折割装置。
【請求項3】
前記折割カッターホイールの上下方向へ延びるカッターホイール軸線が、前記折割カッターホルダーの上下方向へ延びるカッターホルダー中心軸線に対して径方向外方へ偏芯し、前記折割カッターホイールが、前記折割カッターホルダーに対して前記カッターホルダー中心軸線の周り方向へ360°回転可能であり、前記折割装置が、前記折割治具を前記ガラス板の周縁エリアの上面に平行して該上面を前記端切線形成始点から前記端切線形成終点に向かってわずかに走行させ、又は、前記折割治具を前記ガラス板の周縁エリアの上面に平行して該上面を前記端切線形成始点の近傍から該端切線形成始点に向かってわずかに走行させ、前記ガラス板の周縁エリアの上面に当接する前記折割カッターホイールを前記カッターホルダー中心軸線の周り方向へ回転させ、該折割カッターホイールの転動方向を前記折割治具の走行方向へ変更する転動方向変更手段と、前記転動方向変更手段によって前記折割カッターホイールの転動方向を前記折割治具の走行方向へ変更した後、該折割治具が前記端切線形成終点に向かって走行することで、該折割カッターホイールが該折割治具の走行方向に沿って前記ガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に前記端切線を形成する端切線形成手段とを有する請求項1又は請求項2に記載の折割装置。
【請求項4】
前記折割装置が、前記折割カッターホルダーを上下方向へ昇降させる第1昇降機構を含み、前記折割装置は、前記ガラス板の周縁エリアに対する端切線の形成時に、前記第1昇降機構によって前記折割カッターホルダーを前記ガラス板の周縁エリアの上面に向かうとともに前記端切線形成始点又はその近傍に向かって下降させるホルダー下降手段を含み、前記転動方向変更手段が、前記ホルダー下降手段によって前記折割カッターホルダーを前記ガラス板の周縁エリアの上面に向かって下降させた後、前記折割カッターホイールを該ガラス板の周縁エリアの上面に当接させ、前記折割治具を前記端切線形成始点から前記端切線形成終点に向かってわずかに走行させ、又は、前記折割治具を前記端切線形成始点の近傍から該端切線形成始点に向かってわずかに走行させ、前記折割カッターホイールの転動方向を前記折割治具の走行方向へ変更し、前記端切線形成手段が、前記転動方向変更手段によって前記折割カッターホイールの転動方向が該折割治具の走行方向と同一になった後、前記折割治具を前記端切線形成終点に向かって直線状に走行させることで、該折割カッターホイールが該折割治具の走行方向に沿って前記ガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に直線状の前記端切線を形成する請求項3に記載の折割装置。
【請求項5】
前記折割装置が、前記端切線形成手段によって前記ガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に前記端切線を形成した後、前記第1昇降機構によって前記折割カッターホルダーを前記端切線形成終点において前記ガラス板の上面から上昇させるホルダー上昇手段と、前記ホルダー上昇手段によって前記折割カッターホルダーを上昇させた後、前記折割治具を前記ガラス板の周縁エリアの次回の端切線形成箇所に移動させる治具移動手段とを含み、前記ホルダー下降手段が、前記治具移動手段によって前記折割治具を前記次回の端切線形成箇所に移動させた後、前記第1昇降機構によって前記折割カッターホルダーを前記次回の端切線形成箇所において前記ガラス板の周縁エリアの上面に向かうとともに前記端切線形成始点又はその近傍に向かって下降させ、前記転動方向変更手段が、前記ホルダー下降手段によって前記折割カッターホルダーを前記次回の端切線形成箇所において前記ガラス板の周縁エリアの上面に向かって下降させた後、前記折割カッターホイールを該ガラス板の周縁エリアの上面に当接させ、前記次回の端切線形成箇所における前記ガラス板の周縁エリアの上面において前記折割治具を前記端切線形成始点から前記端切線形成終点に向かってわずかに走行させ、又は、前記次回の端切線形成箇所における前記ガラス板の周縁エリアの上面において前記折割治具を前記端切線形成始点の近傍から該端切線形成始点に向かってわずかに走行させ、前記折割カッターホイールの転動方向を前記折割治具の走行方向へ変更し、前記端切線形成手段が、前記転動方向変更手段によって前記折割カッターホイールの転動方向が該折割治具の走行方向と同一になった後、前記次回の端切線形成箇所において前記折割治具を前記端切線形成終点に向かって直線状に走行させることで、該折割カッターホイールが該折割治具の走行方向に沿って前記ガラス板の周縁エリアの次回の端切線形成箇所に直線状の前記端切線を形成する請求項4に記載の折割装置。
【請求項6】
前記転動方向変更手段が、前記端切線形成始点において前記端切線形成終点に向かって前記折割治具に円軌跡を画かせ、又は、前記端切線形成始点の近傍から該端切線形成始点に向かって前記折割治具に円軌跡を画かせることで、前記折割カッターホイールの転動方向を前記折割治具の走行方向へ変更する請求項3ないし請求項5いずれかに記載の折割装置。
【請求項7】
前記転動方向変更手段が、前記ガラス板の周縁エリアにおける仮想端切線の延びる方向と前記端切線形成始点に向かう前記折割治具の走行方向とのなす角度が90°以下になるように、前記端切線形成箇所におけるガラス板の周縁エリアの上面において前記折割治具を前記端切線形成始点の近傍から該端切線形成始点に向かって直線状に走行させ、前記折割カッターホイールの転動方向を前記折割治具の走行方向へ変えた後、前記端切線形成始点において前記折割治具の走行方向を前記90°以下の角度で前記仮想端切線の延びる方向へ方向転換させ、前記折割治具を該仮想端切線の延びる方向へ走行させる請求項3ないし請求項5いずれかに記載の折割装置。
【請求項8】
前記転動方向変更手段が、前記端切線形成箇所のガラス板の周縁エリアにおける仮想端切線に沿って前記折割治具を前記端切線形成始点の近傍から該端切線形成始点に向かって走行させ、又は、前記折割治具を前記ガラス板の周縁エリアにおける仮想端切線上を前記端切線形成始点の近傍から該端切線形成始点に向かって走行させ、前記折割カッターホイールの転動方向を前記折割治具の走行方向へ変えた後、前記端切線形成始点において前記折割治具を反転させて前記仮想端切線の延びる方向へ該折割治具の走行方向を方向転換させ、該折割治具を前記端切線形成始点から前記端切線形成終点に向かって仮想端切線の延びる方向へ走行させる請求項3ないし請求項5いずれかに記載の折割装置。
【請求項9】
前記折割治具が、前記端切線が形成されたガラス板の周縁エリアを押圧する押圧部材と、前記押圧部材を昇降させる第2昇降機構とを含み、前記折割装置が、前記折割カッターホイールによって前記ガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に端切線が形成された後、前記押圧部材を前記第2昇降機構によって前記ガラス板の周縁エリアに向かって下降させ、該押圧部材が該ガラス板の周縁エリアを下方に向かって押圧することで、前記ガラス板の本体から該ガラス板の周縁エリアを折割る押圧折割手段を含む請求項3ないし請求項8いずれかに記載の折割装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の窓用ガラス板、液晶用ガラス板等の加工対象のガラス板の周縁エリアに端切線を形成し、端切線が形成されたガラス板の周縁エリアを折割る折割装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス板を搬入する搬入コンベアと、搬入コンベアの前方に位置する切込加工エリアと、切込加工エリアの前方に位置する折割加工エリアと、折割加工エリアの前方に位置する研削加工エリアと、研削加工エリアの前方に位置する搬出コンベアと、ガラス板を搬入コンベアから各加工エリアに搬送する搬送機構と形成されたガラス板加工システムが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
このガラス板加工システムの切込加工エリアは、位置決めされたガラス板を載置した状態で幅方向へ移動する第1移動機構を有する切込加工テーブルと、前後方向へ移動可能な切込装置とを有する。切込加工エリアでは、切込装置が切込加工テーブルに載置されたガラス板の周縁エリアの幅方向外方へ向かって前後方向後方へ移動した後、第1移動機構によって切込加工テーブルが切込装置に向かって幅方向へ移動し、切込装置を利用して切込加工テーブルに載置されたガラス板に外形切出線を形成する。折割加工エリアは、切込加工後のガラス板を載置する折割加工テーブルと、前後方向及び幅方向へ移動可能な折割装置とを有する。折割加工エリアでは、折割装置が折割加工テーブルに向かって前後方向後方へ移動した後、折割装置を利用して折割加工テーブルに載置されたガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に端切線(スクライブ)を形成するとともにガラス板の外形切出線の外側の周縁エリアを折割る。
【0004】
研削加工エリアは、折割加工後の位置決めされたガラス板本体を載置した状態で幅方向へ移動する第2移動機構を有する研削加工テーブルと、前後方向へ移動可能な研削装置とを有する。研削加工エリアでは、研削装置が研削加工テーブルに載置されたガラス板本体の周縁の幅方向外方へ向かって前後方向後方へ移動した後、第2移動機構によって研削加工テーブルが研削装置に向かって幅方向へ移動し、研削装置を利用して研削加工テーブルに載置されたガラス板本体の周縁を研削する。尚、切込加工と研削加工とは同期して行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に開示のガラス板加工システムの折割装置は、折割治具と、第1昇降機構(エアーシリンダー)と、押圧ローラーと、第2昇降機構(エアーシリンダー)とから形成されている。折割治具は、ガラス板の周縁エリアの所定の端切線形成箇所に端切線を形成する折割カッターホイールと、折割カッターホイールの上方に位置して折割カッターホイールを支持する折割カッターホルダーとから形成されている。折割カッターホルダーは、連結部を備えたホルダー本体と、ホルダー本体の先端に取り付けられたホルダーヘッドとを有する。折割カッターホルダーは、θ軸サーボモータの回転により、上下方向へ延びるカッターホルダー中心軸線に対して周り方向(軸回り)へ回転する。
【0007】
ホルダーヘッドは、ベアリングを介してホルダー本体に連結され、折割カッターホルダーのカッターホルダー中心軸線に対して周り方向(θ方向)へ回転可能である。ホルダー本体には、カッターホルダー中心軸線の周り方向へのホルダーヘッドの回転を規制する回転角度規制ピンが挿入されている。回転角度規制ピンによってカッターホルダー中心軸線の周り方向へのホルダーヘッドの回転が5~10°に規制されている。折割カッターホイールは、転動軸を介してホルダーヘッドの先端に回転可能に取り付けられている。折割カッターホイールの上下方向へ延びるカッターホイール軸線は、ホルダー本体のカッターホルダー中心軸線に対して径方向外方へ偏芯している。
【0008】
特許文献1に開示のガラス板加工システムにおける折割加工は、以下のとおりである。折割装置の折割治具と押圧ローラーとがX軸アクチュエーター及びY軸アクチュエーターによって前後方向(X方向)及び幅方向(Y方向)へ移動し、折割治具の折割カッターホイールがガラス板の外形切出線の外側近傍に位置し、押圧ローラーがガラス板の外形切出線の外側の周縁エリアに位置する。次に、θ軸サーボモータが回転することで、折割カッターホルダーがカッターホルダー中心軸線の周り方向(θ方向)へ回転し、折割カッターホイールの転動方向がガラス板の周縁エリアにおける仮想端切線の延びる方向(折割治具の移動方向)へ変わる。
【0009】
折割カッターホイールの転動方向が仮想端切線の延びる方向(折割治具126の移動方向)と同一になった後、第1昇降機構によって折割治具がガラス板の上面であって外形切出線の外側近傍に向かって下降し、折割カッターホイールがガラス板の上面であって外形切出線の外側近傍に当接する。次に、折割装置がガラス板の外形切出線の外側近傍の端切線形成始点からガラス板の周縁の端切線形成終点に向かって直線状に移動し、折割カッターホイールによってガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に端切線を形成する。ガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に端切線を形成した後、折割装置の折割治具がガラス板の周縁エリアの所定の箇所に移動する。次に、第2昇降機構によって押圧ローラーがガラス板の上面に向かって下降し、ガラス板の上面に当接した押圧ローラーがガラス板の周縁エリアを下方に押圧することで、ガラス板の本体からガラス板の外形切出線の外側に延びる周縁エリアを折割る。
【0010】
特許文献1に開示のガラス板加工システムにおける折割加工では、ガラス板の外形切出線の外側近傍の端切線形成始点からガラス板の周縁に向かって端切線が形成されるが、端切線形成始点では端切線の深さが浅くなり、押圧ローラーによって周縁エリアを折割るときに、ガラス板の折割が端切線の端切線形成終点であるガラス板の周縁から端切線形成始点に向かうとともに外形切出線に伝わり、ガラス板の周縁エリアの折割が不十分になる場合があるとともに、ガラス板の周縁エリアにおける外形切出線の外側近傍に折割されないかえし(バリ)が生じる場合がある。
【0011】
又、θ軸サーボモータの回転により、折割カッターホイールの転動方向をガラス板の周縁エリアの端切線形成始点から端切線形成終点に向かう仮想端切線の延びる方向(折割治具の移動方向)へ変えるが、ガラス板加工システムにθ軸サーボモータやその回転力を折割カッターホルダーに伝達する伝達部材(プーリやベルト等)を設置しなければならず、システムの小型化や省エネ化、低コスト化を図ることができなかった。更に、折割加工においてθ軸サーボモータを回転させて折割カッターホイールの転動方向をガラス板の周縁エリアの仮想端切線の延びる方向(折割治具の移動方向)と同一にしなければならず、端切線の形成の度毎にθ軸サーボモータを用いて折割カッターホイールの転動方向を変える必要があり、折割加工の短時間化及び効率化を図ることができなかった。
【0012】
本発明の目的は、折割加工においてガラス板の折割を外形切出線から端切線に向かって伝えることができ、ガラス板の外形切出線の外側の周縁エリア全体を円滑かつ確実に折割ることができる折割装置を提供することにある。本発明の他の目的は、ガラス板を外形切出線に沿って綺麗に折割ることができ、外形切出線の外側近傍におけるかえし(バリ)の発生を防ぐことができる折割装置を提供することにある。本発明の他の目的は、θ軸サーボモータや伝達部材(プーリやベルト等)を利用することなく、折割加工において折割カッターホイールの転動方向をガラス板の周縁エリアの仮想端切線の延びる方向(折割治具の移動方向)へ容易に変えることができ、小型化や省エネ化、低コスト化を図ることができる折割装置を提供することにある。本発明の他の目的は、折割加工の短時間化及び効率化を図ることができる折割装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するための本発明の前提は、加工対象のガラス板に端切線を形成する折割カッターホイールと折割カッターホイールを支持する折割カッターホルダーとを備えた折割治具を利用し、ガラス板に外形切出線を形成した後、外形切出線の外側に延びるガラス板の周縁エリアに折割治具によって端切線を形成し、端切線が形成されたガラス板の周縁エリアを折割る折割装置である。
【0014】
前記前提における本発明の特徴は、折割装置が、折割治具をガラス板の外周縁を含むその近傍における端切線形成始点から外形切出線の外側近傍の端切線形成終点に向かって移動させ、ガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に端切線形成始点から端切線形成終点に向かって延びる端切線を形成することにある。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る折割装置によれば、折割治具をガラス板の外周縁を含むその近傍における端切線形成始点から外形切出線の外側近傍の端切線形成終点に向かって移動させ、ガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に端切線形成始点から端切線形成終点に向かって延びる端切線を形成するから、端切線形成終点である外形切出線の外側近傍において端切線の深さが浅くなることはなく、端切線形成終点を含むその近傍において十分な深さの端切線を形成することができ、外形切出線の外側に延びるガラス板の周縁エリアを折割るときに、ガラス板の折割が外形切出線から外形切出線の外側近傍の端切線の端切線形成終点に伝わるとともに端切線形成終点から端切線の端切線形成始点に伝わり、折割加工においてガラス板の折割を外形切出線から端切線に向かって伝えることができ、ガラス板の外形切出線の外側の周縁エリア全体を円滑かつ確実に折割ることができる。折割装置は、外形切出線と端切線とにおいてガラス板の周縁エリアを確実に割断することができ、ガラス板を外形切出線に沿って綺麗に折割ることができるとともに、外形切出線の外側近傍におけるかえし(バリ)の発生を防ぐことができる。
【0016】
端切線形成始点がガラス板の外周縁又は外周縁から内側に至近距離離間した位置或いは外周縁から外側に至近距離離間した位置であり、端切線形成終点が外形切出線から外側に至近距離離間した位置である折割装置は、外形切出線から外側に至近距離離間した位置である端切線形成終点を含むその近傍において十分な深さの端切線を形成することができ、外形切出線の外側に延びるガラス板の周縁エリアを折割るときに、ガラス板の折割が外形切出線からその外側に至近距離離間した位置である端切線形成終点に伝わるとともに端切線形成終点からガラス板の外周縁又は外周縁から内側に至近距離離間した位置或いは外周縁から外側に至近距離離間した位置である端切線の端切線形成始点に伝わり、折割加工においてガラス板の折割を外形切出線から端切線に向かって伝えることができ、ガラス板の外形切出線の外側の周縁エリア全体を円滑かつ確実に折割ることができる。
【0017】
折割カッターホイールの上下方向へ延びるカッターホイール軸線が折割カッターホルダーの上下方向へ延びるカッターホルダー中心軸線に対して径方向外方へ偏芯し、折割カッターホイールが折割カッターホルダーに対してカッターホルダー中心軸線の周り方向へ360°回転可能であり、折割治具をガラス板の周縁エリアの上面に平行して上面を端切線形成始点から端切線形成終点に向かってわずかに走行させ、又は、折割治具をガラス板の周縁エリアの上面に平行して上面を端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かってわずかに走行させ、ガラス板の周縁エリアの上面に当接する折割カッターホイールをカッターホルダー中心軸線の周り方向へ回転させ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向へ変更し、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向へ変更した後、折割治具が端切線形成終点に向かって走行することで、折割カッターホイールが折割治具の走行方向に沿ってガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に端切線を形成する折割装置は、折割カッターホイールのカッターホイール軸線が折割カッターホルダーのカッターホルダー中心軸線に対して径方向外方へ偏芯しているから、折割治具がガラス板の周縁エリアの上面の端切線形成始点から端切線形成終点に向かってわずかに走行(移動)し、又は、折割治具がガラス板の周縁エリアの上面の端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かってわずかに走行(移動)するだけで、折割カッターホイールがカッターホルダー中心軸線の周り方向(軸回り)へ回転し、折割カッターホイールの転動方向を迅速かつ容易に変えることができ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行(移動)方向と同一にすることができる。折割装置は、折割治具がガラス板の周縁エリアの上面に平行して上面を端切線形成始点から端切線形成終点に向かってわずかに走行し、又は、折割治具がガラス板の周縁エリアの上面に平行して上面を端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かってわずかに走行することで、ガラス板の周縁エリアの上面に当接する折割カッターホイールがカッターホルダー中心軸線の周り方向へ回転し、折割カッターホイールの転動方向が折割治具の走行(移動)方向と同一になるから、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向)に一致させることができ、ガラス板の縁部における端切線形成の一連の動きのうちの初動において折割カッターホイールの転動方向と折割治具の走行方向とを同一にすることができる。折割装置は、それが前記特許文献1に開示のガラス板加工システムと比較し、システムにθ軸サーボモータやその回転力を折割カッターホルダーに伝達する伝達部材(プーリやベルト等)を設置する必要はなく、ガラス板加工システムの小型化や省エネ化、低コスト化を図ることができる。更に、折割加工においてθ軸サーボモータを回転させて折割カッターホイールの転動方向をガラス板の周縁エリアの仮想端切線の延びる方向(折割治具の走行方向)と同一にする必要はなく、端切線の形成の度毎にθ軸サーボモータを用いて折割カッターホイールの転動方向を変える必要もないから、ガラス板加工システムにおける折割加工の短時間化及び効率化を図ることができる。折割装置は、端切線形成終点を含むその近傍において十分な深さの端切線を形成することができ、折割加工においてガラス板の折割を外形切出線から端切線に向かって伝えることができるとともに、外形切出線と端切線とにおいてガラス板の周縁エリアを確実に割断することができ、ガラス板の外形切出線の外側の周縁エリア全体を円滑かつ確実に折割ることができる。
【0018】
折割カッターホルダーを上下方向へ昇降させる第1昇降機構を含み、ガラス板の周縁エリアに対する端切線の形成時に、第1昇降機構によって折割カッターホルダーをガラス板の周縁エリアの上面に向かうとともに端切線形成始点又はその近傍に向かって下降させるとともに、折割カッターホイールをガラス板の周縁エリアの上面に当接させ、折割治具を端切線形成始点から端切線形成終点に向かってわずかに走行させ、又は、折割治具を端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かってわずかに走行させ、折割カッターホイールの転動方向が折割治具の走行方向と同一になった後、折割治具を端切線形成終点に向かって直線状に走行させることで、折割カッターホイールが折割治具の走行方向に沿ってガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に直線状の端切線を形成する折割装置は、第1昇降機構によって折割カッターホルダーをガラス板の縁部の上面に下降させた後、折割治具を端切線形成始点から端切線形成終点に向かってわずかに走行させ、又は、折割治具を端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かってわずかに走行させることで、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向と同一にすることができ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の周縁エリアの仮想端切線の延びる方向)に確実に一致させることができる。折割装置は、端切線形成終点を含むその近傍において十分な深さの端切線を形成することができ、折割加工においてガラス板の折割を外形切出線から端切線に向かって伝えることができるとともに、外形切出線と端切線とにおいてガラス板の周縁エリアを確実に割断することができ、ガラス板の外形切出線の外側の周縁エリア全体を円滑かつ確実に折割ることができる。
【0019】
ガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に端切線を形成した後、第1昇降機構によって折割カッターホルダーを前記端切線形成終点においてガラス板の上面から上昇させ、折割カッターホルダーを上昇させた後、折割治具をガラス板の周縁エリアの次回の端切線形成箇所に移動させ、折割治具を次回の端切線形成箇所に移動させた後、第1昇降機構によって折割カッターホルダーを次回の端切線形成箇所においてガラス板の周縁エリアの上面に向かうとともに端切線形成始点又はその近傍に向かって下降させ、折割カッターホルダーをガラス板の周縁エリアの上面に向かって下降させて周縁エリアの上面に当接させ、次回の端切線形成箇所におけるガラス板の周縁エリアの上面において折割治具を端切線形成始点から端切線形成終点に向かってわずかに走行させ、又は、次回の端切線形成箇所におけるガラス板の周縁エリアの上面において折割治具を端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かってわずかに走行させ、折割カッターホイールの転動方向を前記折割治具の走行方向へ変更し、折割カッターホイールの転動方向が折割治具の走行方向と同一になった後、次回の端切線形成箇所において折割治具を端切線形成終点に向かって直線状に走行させることで、折割カッターホイールが次回の端切線形成箇所に直線状の端切線を形成する折割装置は、加工対象のガラス板の周縁エリアにおける各端切線形成箇所において、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の周縁エリアの仮想端切線の延びる方向)に一致させつつ、それら端切線形成箇所に端切線を形成することができ、短時間に複数の端切線をガラス板の周縁エリアに効率よく形成することができる。
【0020】
端切線形成始点において端切線形成終点に向かって折割治具に円軌跡を画かせ、又は、端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かって折割治具に円軌跡を画かせることで、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向へ変更する折割装置は、ガラス板の周縁エリアにおける端切線形成始点において端切線形成終点に向かって折割治具に円軌跡を画かせ、又は、ガラス板の周縁エリアにおける端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かって折割治具に円軌跡を画かせることで、カッターホルダー中心軸線の周り方向(軸回り)へ折割カッターホイールを確実に回転させることができ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の周縁エリアの仮想端切線の延びる方向)に正確に一致させることができる。折割装置は、折割カッターホルダーの回転中心周りに折割カッターホイール自体を回転運動させ、折割カッターホイール自体を回転運動させる回転制御軸を折割カッターホルダーのカッターホルダー中心軸線とし、折割カッターホイールの転動方向(折割治具の走行方向)に回転制御軸の角度を合わせることによって偏芯による誤差を最小限にすることができる。
【0021】
ガラス板の周縁エリアにおける仮想端切線の延びる方向と端切線形成始点に向かう折割治具の走行方向とのなす角度が90°以下になるように、端切線形成箇所におけるガラス板の周縁エリアの上面において折割治具を端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かって直線状に走行させ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向へ変えた後、端切線形成始点において折割治具の走行方向を90°以下の角度で仮想端切線の延びる方向へ方向転換させ、折割治具を仮想端切線の延びる方向へ走行させる折割装置は、カッターホルダー中心軸線の周り方向(軸回り)へ折割カッターホイールを確実に回転させることができ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の周縁エリアの仮想端切線の延びる方向)に正確に一致させることができる。折割装置は、折割カッターホルダーの回転中心周りに折割カッターホイール自体を回転運動させ、折割カッターホイール自体を回転運動させる回転制御軸を折割カッターホルダーのカッターホルダー中心軸線とし、折割カッターホイールの転動方向(折割治具の走行方向)に回転制御軸の角度を合わせることによって偏芯による誤差を最小限にすることができる。
【0022】
端切線形成箇所のガラス板の周縁エリアにおける仮想端切線に沿って折割治具を端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かって走行させ、又は、折割治具をガラス板の周縁エリアにおける仮想端切線上を端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かって走行させ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向へ変えた後、端切線形成始点において折割治具を反転させて仮想端切線の延びる方向へ折割治具の走行方向を方向転換させ、折割治具を端切線形成始点から端切線形成終点に向かって仮想端切線の延びる方向へ走行させる折割装置は、カッターホルダー中心軸線の周り方向(軸回り)へ折割カッターホイールを確実に回転させることができ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の周縁エリアの仮想端切線の延びる方向)に正確に一致させることができる。折割装置は、折割カッターホルダーの回転中心周りに折割カッターホイール自体を回転運動させ、折割カッターホイール自体を回転運動させる回転制御軸を折割カッターホルダーのカッターホルダー中心軸線とし、折割カッターホイールの転動方向(折割治具の走行方向)に回転制御軸の角度を合わせることによって偏芯による誤差を最小限にすることができる。
【0023】
端切線が形成されたガラス板の周縁エリアを押圧する押圧部材と、押圧部材を昇降させる第2昇降機構とを含み、折割カッターホイールによってガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に端切線が形成された後、押圧部材を第2昇降機構によってガラス板の周縁エリアに向かって下降させ、押圧部材がガラス板の周縁エリアを下方に向かって押圧することで、ガラス板の本体からガラス板の周縁エリアを折割る折割装置は、第2昇降機構によってガラス板の外形切出線の外側の周縁エリアの上面に当接した押圧部材がガラス板の周縁エリアを下方に向かって押圧することで、ガラス板の縁部の上面に当接した押圧部材がガラス板の縁部を下方に向かって押圧することで、外形切出線と端切線とにおいてガラス板の周縁エリアを確実に割断することができ、ガラス板の外形切出線の外側の周縁エリアを確実に折割ることができるとともに、折割加工を短時間に効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】折割装置を含むガラス板加工システムの側面図。
【
図3】ガラス板加工システムによって加工される加工対象のガラス板の一例を示す上面図。
【
図7】切込加工テーブル及び研削加工テーブルの上面図。
【
図8】切込加工テーブル及び研削加工テーブルの側面図。
【
図9】切込加工テーブル及び研削加工テーブルの移動を説明する図。
【
図10】切込加工エリアに設置された一例として示す切込装置の側面図。
【
図21】支持装置を露出させた折割加工テーブルの上面図。
【
図22】正面から支持装置を見た折割加工テーブルの正面図。
【
図25】折割カッターホイールの転動方向変更の一例を示す図。
【
図26】折割カッターホイールの転動方向変更の他の一例を示す図。
【
図27】折割カッターホイールの転動方向変更の他の一例を示す図。
【
図28】折割カッターホイールの転動方向変更の他の一例を示す図。
【
図29】折割カッターホイールの転動方向変更の他の一例を示す図。
【
図30】折割カッターホイールの転動方向変更の他の一例を示す図。
【
図31】折割加工における折割手順の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付の図面を参照し、本発明に係る折割装置の詳細を説明すると、以下のとおりである。
図1は、折割装置75を含むガラス板加工システム10の側面図であり、
図2は、
図1のガラス板加工システム10の上面図である。
図3は、ガラス板加工システム10によって加工される加工対象のガラス板11の一例を示す上面図である。
図3では、ガラス板11を搬入エリア19において位置決めされた状態で示す。
図1~
図3では、前後方向(X軸方向)を矢印X、幅方向(Y軸方向)を矢印Yで示し、上下方向(Z軸方向)を矢印Zで示す。
【0026】
ガラス板加工システム10において加工される加工対象のガラス板11(加工前のガラス板11)は、
図3に示すように、所定面積の上面12及び下面13を有するとともに、所定の厚みを有し、その平面形状が幅方向へ長い矩形(四角形)に成形されている。ガラス板11は、幅方向へ離間対向して前後方向へ延びる第1側縁14(一方の側縁)及び第2側縁15(他方の側縁)と、前後方向へ離間対向して幅方向へ延びる前端縁16及び後端縁17と、第1~第4角部18a~18dとを有する。尚、加工対象のガラス板の平面形状が矩形(四角形)以外の他の多角形に成形される場合があるとともに、ガラス板の各縁が湾曲したカーブを描くように成形される場合があり、ガラス板の形状としてはあらゆる形状が含まれる。
【0027】
ガラス板加工システム10は、加工対象のガラス板11(板状ガラス)に対し、切込加工、折割加工、研削加工を行う。ガラス板加工システム10は、その制御がコントローラ(図示せず)によって行われる。コントローラは、中央処理部(CPU又はMPU)とメモリ(メインメモリ及びキャッシュメモリ)とを備え、独立したオペレーティングシステムによって動作するコンピュータであり、大容量ハードディスク(大容量記憶領域)を内蔵している。
【0028】
コントローラの大容量ハードディスク(大容量記憶領域)には、加工対象の各ガラス板11の名称や品番、加工対象の各ガラス板11の大きさ(面積)や形状によって異なるガラス板11の複数の座標データ(ガラス板11の両側縁の座標、前後端縁の座標、第1~第4角部18a~18dの座標、ガラス板11の中心の座標等)、ガラス板11の画像データ(平面画像(6面画像)や立体画像(3D画像))がガラス板11を特定するガラス板特定情報(ガラス板特定識別子)に関連付けられた状態で記憶(格納)されている。ガラス板特定情報は、ガラス板11の製造番号やシリアル番号等が使用される他、コントローラがガラス板11を特定するユニークな識別子を生成し、生成した識別子をガラス板特定情報にすることもできる。
【0029】
コントローラは、切込(切断)加工エリア20における切込(切断)加工、折割エリア21における折割加工、研削加工エリア22における研削加工において、大容量ハードディスクに記憶したガラス板11の座標データを利用して搬入エリア19及び折割装置75をNC制御する。NC制御においてコントローラは、加工を開始する位置(XY平面座標)、加工方向の変更位置を座標によって数値化し、X軸(前後方向)及びY軸(幅方向)の2軸の動作方向、距離、速度を数値化する。命令座標及び軸を数値化した信号を切込装置55、折割装置75、研削装置118に送信(入力)する。NC制御では、「座標→軸→命令」を繰り返すことにより、加工したい形状を正確に表現する。
【0030】
ガラス板加工システム10は、加工前のガラス板11を投入する搬入エリア19と、加工後のガラス板11を搬出する搬出エリア23と、搬入エリア19及び搬出エリア23の間に配置されてガラス板11を加工する各加工エリア20~22と、前後方向後方(上流)から前方(下流)に向かってガラス板11を加工エリア20~22、搬出エリア23に順に搬送する搬送機構24とを有する。
【0031】
それら加工エリア20~22は、搬入エリア19の前後方向前方(下流)に位置する切込加工エリア20と、切込加工エリア20の前後方向前方(下流)に位置する折割加工エリア21と、折割加工エリア21の前後方向前方(下流)に位置する研削加工エリア22とから形成されている。切込加工エリア20や折割加工エリア21、研削加工エリア22は、前後方向へ長い四角形に成形された機械台25の上に作られている。
【0032】
搬送機構24は、機械台25の後部に位置して上下方向へ延びる一対の第1ピラー26aと、機械台25の前部に位置して上下方向へ延びる一対の第2ピラー26bと、第1及び第2ピラー26a,26bの間に位置して前後方向へ延びる固定フレーム27と、固定フレーム27の一方の側部に設置された第1移動ユニット28(第1移動手段)と、前記固定フレーム27とは別の固定フレーム27の下部に設置された第2移動ユニット29(第2移動手段)とを有する。
【0033】
第1移動ユニット28は、切込装置55及び研削装置118を前後方向(X軸方向)へ前進後退(直線移動)させる。第1移動ユニット28は、第1ガイドフレーム30と、一対の第1ガイドレール31と、第1送りネジ(ボールネジ)(図示せず)と、第1走行フレーム32と、複数の第1スライドブロック(ハウジングナット)(図示せず)と、一対の第1ガイドシュー33と、第1サーボモータ34とから形成されている(
図11参照)。
【0034】
固定フレーム27と第1ガイドフレーム30とは、第1及び第2ピラー26a,26bの間で連結されて前後方向へ延びている。それら第1ガイドレール31は、上下方向へ離間対向し、所定の固定手段によって第1ガイドフレーム30の一方の側部に固定されて前後方向へ延びている。第1送りネジ(ボールネジ)は、それら第1ガイドレール31の間に位置し、第1ガイドフレーム30の一方の側部に固定された複数の軸受け(図示せず)に回転可能に支持されて前後方向へ延びている。
【0035】
第1走行フレーム32は、第1ガイドフレーム30の一方の側部に所定間隔離間して前後方向へ延びている。それら第1スライドブロック(ボールねじナット)は、前後方向へ所定間隔離間して並び、第1走行フレーム32の第1ガイドフレーム30に対向する対向面に所定の固定手段によって固定されている。それら第1ガイドシュー33は、上下方向へ離間対向し、第1走行フレーム32の第1ガイドフレーム30に対向する対向面に所定の固定手段によって固定されて前後方向へ延びている。第1サーボモータ34は、第1ガイドフレーム30の前端部に位置し、ブラケットを介して第2ピラー26bに連結されている。第1サーボモータ34は、その軸が第1送りネジの他方の端部に連結・固定されている。
【0036】
第1サーボモータ34の軸が反時計回り方向へ回転すると、第1送りネジが反時計回り方向へ回転し、それによって第1スライドブロックが第1ガイドフレーム30の前方から後方へ向かって前後方向へ移動し、第1スライドブロックの移動によって第1走行フレーム32が第1ガイドフレーム30の前方から後方へ向かって前後方向へ直進移動する。逆に、第1サーボモータ34の軸が時計回り方向へ回転すると、第1送りネジが時計回り方向へ回転し、それによって第1スライドブロックが第1ガイドフレーム31の後方から前方へ向かって前後方向へ移動し、第1スライドブロックの移動によって第1走行フレーム30が第1ガイドフレーム31の後方から前方へ向かって前後方向へ直進移動する。
【0037】
第2移動ユニット29は、ガラス板第1~第4ホルダー40a~40dを前後方向(X軸方向)へ前進後退(直線移動)させる。第2移動ユニット29は、第2ガイドフレーム35と、一対の第2ガイドレール36と、第2送りネジ(ボールネジ)(図示せず)と、第2走行フレーム37と、複数の第2スライドブロック(ハウジングナット)(図示せず)と、一対の第2ガイドシュー38と、第2サーボモータ39と、ガラス板第1~第4ホルダー40a~40d(ガラス板第1~第4リフター)とから形成されている(
図15参照)。
【0038】
固定フレーム27と第2ガイドフレーム35とは、第1及び第2ピラー26a,26bの間で連結されて前後方向へ延びている。それら第2ガイドレール36は、幅方向へ離間対向し、所定の固定手段によって第2ガイドフレーム35の下部に固定されて前後方向へ延びている。第2送りネジ(ボールネジ)は、それら第2ガイドレール36の間に位置し、第2ガイドフレーム35の下部に固定された複数の軸受け(図示せず)に回転可能に支持されて前後方向へ延びている。
【0039】
第2走行フレーム37は、第2ガイドフレーム35の下部に位置して前後方向へ延びている。それら第2スライドブロック(ハウジングナット)は、幅方向へ所定間隔離間して並び、第2走行フレーム37の第2ガイドフレーム35に対向する対向面に所定の固定手段によって固定されている。それら第2ガイドシュー38は、幅方向へ離間対向し、第2走行フレーム37の第2ガイドフレーム35に対向する対向面に所定の固定手段によって固定されて前後方向へ延びている。第2サーボモータ39は、第2ガイドフレーム35の後端部に位置し、第2ガイドフレーム35に固定されている。第2サーボモータ39は、その軸がタイミングベルト(及び/又はギア)を介して第2送りネジの一方の端部に連結・固定されている。
【0040】
第2サーボモータ39の軸が時計回り方向へ回転すると、第2送りネジが反時計回り方向へ回転し、それによって第2スライドブロックが第2ガイドフレーム35の後方から前方へ向かって前後方向へ移動し、第2スライドブロックの移動によって第2走行フレーム37(ガラス板第1~第4ホルダー40a~40d)が第2ガイドフレーム35の後方から前方へ向かって前後方向へ直進移動する。逆に、第2サーボモータ39の軸が反時計回り方向へ回転すると、第2送りネジが反時計回り方向へ回転し、それによって第2スライドブロックが第2ガイドフレーム35の前方から後方へ向かって前後方向へ移動し、第2スライドブロックの移動によって第2走行フレーム37(ガラス板第1~第4ホルダー40a~40d)が第2ガイドフレーム35の前方から後方へ向かって前後方向へ直進移動する。第1及び第2サーボモータ34,39の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、信号線(有線又は無線)を介してコントローラに接続されている。
【0041】
ガラス板第1~第4ホルダー40a~40dは、第2走行フレーム37の下部に取り付けられて走行フレーム37から下方へ延在し、前後方向へ等間隔離間して並んでいる。ガラス板第1~第4ホルダー40a~40dは、前後方向へ延びるパッド設置プレート41と、パッド設置プレート41に設置されてガラス板11を吸着保持する吸着パッド42と、エアーバキュームポンプを備えたバキューム機構(エアー吸引装置)(図示せず)及びパッド昇降機構(図示せず)とを有する。パッド昇降機構には、エアシリンダーが使用されている。バキューム機構及びパッド昇降機構(エアシリンダー)の発停を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0042】
ガラス板第1ホルダー40aは、搬入エリア19から切込加工エリア20に向かって前進するとともに、切込加工エリア20から搬入エリア19に向かって後退する。ガラス板第2ホルダー40bは、切込加工エリア20から折割加工エリア21に向かって前進するとともに、折割加工エリア21から切込加工エリア20に向かって後退する。ガラス板第3ホルダー40cは、折割加工エリア21から研削加工エリア22に向かって前進するとともに、研削加工エリア22から折割加工エリア21に向かって後退する。ガラス板第4ホルダー40dは、研削加工エリア22から搬出エリア23に向かって前進するとともに、搬出エリア23から研削加工エリア22に向かって後退する。
【0043】
図4は、搬入エリア19の側面図であり、
図5は、搬入エリア19の上面図である。
図6は、搬入エリア19の正面図である。搬入エリア19は、搬入コンベア43と、ストッパー44及びローラー45と、一対のローラー昇降機構46と、移動機構47とを有する。搬入エリア19は、システム台25の床面から上方へ延びる脚部によって支持されている。搬入エリア19では、第1位置決め手段(第1位置決め工程)と第2位置決め手段(第2位置決め工程)とが実施され、各加工エリア20~22に向かうガラス板11の位置決めが行われる。
【0044】
搬入エリア19の一方の側縁部48aには、前後方向へ延びる位置決め第1基準L1が設定され、幅方向へ延びる位置決め第2基準L2(
図3参照)が設定されている。位置決め第1基準L1は、ガラス板11の幅方向の一方において前後方向へ延びる第1側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁を基準に仮想された前後方向へ直状に延びる仮想線となる。最外側縁は、例えば、ガラス板11の第1側縁14(一方の側縁)が湾曲したカーブを描く場合、最も幅方向外方に位置する曲線の頂点となる。又、ガラス板11の第1側縁14(一方の側縁)が前後方向へ直状に延びている場合、その側縁14が最外側縁となる。
【0045】
位置決め第1基準L1には、ガラス板11の幅方向の一方において前後方向へ延びる第1側縁14(一方の側縁)のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁を位置させる。ここで、最外側縁を位置決め第1基準L1に位置させるとは、最外側縁が位置決め第1基準L1に完全に一致する場合の他、最外側縁が位置決め第1基準L1の幅方向内方近傍(直近)に位置する場合、又は、最外側縁が位置決め第1基準L1の幅方向外方近傍(直近)に位置する場合を含む。
【0046】
位置決め第2基準L2には、ガラス板11の幅方向の一方において前後方向へ延びる第1側縁14(一方の側縁)の前後方向中心O1(ガラス板11の前後方向の寸法を二分して幅方向へ延びる中心線L2)を位置させる。ここで、前後方向中心O1(中心線L2)を位置決め第2基準L2に位置させるとは、前後方向中心O1が位置決め第2基準L2に完全に一致する場合の他、前後方向中心O1が位置決め第2基準L2の前後方向前方近傍(直近)に位置する場合、又は、前後方向中心O1が位置決め第2基準L2の前後方向後方近傍(直近)に位置する場合を含む。
【0047】
コントローラ(ガラス板加工システム10)は、大容量ハードディスクに記憶したガラス板11の座標データを利用し、ガラス板11の幅方向の寸法を算出し、算出したガラス板11の幅方向(Y軸方向)の寸法の相違に応じてガラス板11の第1側縁14(一方の側縁)を位置決め第1基準L1(仮想位置決め第1基準線)に位置させるための幅方向への第1移動寸法(第1移動距離)を決定するとともに、決定した第1移動寸法に基づいて第3サーボモータ51の軸の回転数(ガラス板11を幅方向へ第1移動寸法だけ移動させるための軸の回転数)を決定する。コントローラは、決定した第1移動寸法及び決定した第3サーボモータ51の軸の回転数をガラス板11のガラス板特定情報に関連付けた状態で大容量ハードディスクに記憶(格納)する。
【0048】
コントローラは、大容量ハードディスクに記憶した各ガラス板11の座標データを利用し、ガラス板11の前後方向(X軸方向)の寸法を算出し、算出したガラス板11の前後方向の寸法の相違に応じてガラス板11の一方の側縁14の前後方向中心O1を位置決め第2基準L2(仮想位置決め第2基準線)に位置させるための搬入コンベア43の前後方向後方への第2移動寸法(第2移動距離)を決定する。コントローラは、決定した第2移動寸法をガラス板11のガラス板特定情報(ガラス板特定識別子)に関連付けた状態で大容量ハードディスクに記憶(格納)する。
【0049】
コントローラは、加工形状の座標データから切込装置55及び研削装置118の前後方向への移動寸法(移動距離)を算出し、算出した移動寸法に基づいて第1サーボモータ34の軸の回転数(切込装置55及び研削装置118を前後方向へ移動寸法だけ移動させる軸の回転数)を決定する。コントローラは、決定した移動寸法及び決定した第1サーボモータ34の軸の回転数をガラス板11のガラス板特定情報に関連付けた状態で大容量ハードディスクに記憶(格納)する。
【0050】
搬入コンベア43は、
図4~
図6示すように、前後方向(X軸方向)へ延びる複数の無限軌道であり、幅方向(Y軸方向)へ所定間隔離間して並んでいる。搬入コンベア43の発停や搬送距離を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。搬入コンベア43は、ガラス板11を搬入エリア19の後端部から前端部に向かって前後方向へ搬送する。ストッパー44は、搬入エリア19の前端部に設置されて幅方向へ離間して並んでいる。ストッパー44には、それら搬入コンベア43によって搬入エリア19の後端部から前端部に向かって前方へ移動するガラス板11の前端縁16が当接する。ストッパー44の後方には、非接触センサー(図示せず)が設置されている。非接触センサーは、コントローラに接続され、ガラス板11の前端縁16を検出すると、ガラス板11の移動が減速し、ガラス板11の前端縁16が設定時間だけストッパー44へ当接する。
【0051】
ローラー45は、複数のそれらが前後方向へ延びる軸49に回転可能に取り付けられ、それら軸49とともに搬入コンベア43の間に設置されている。ローラー45は、前後方向へ所定寸法離間して並ぶとともに幅方向へ所定寸法離間して並んでいる。それらローラー45は、幅方向へ向かって時計回り方向と反時計回り方向とへ回転し、ガラス板11の下面13に当接してガラス板11を幅方向へ移動可能に支持する。それら軸49は、軸受けを介してその下方に位置する台座に取り付けられている。
【0052】
それらローラー45のうちのローラー45aと軸49との間には、ローラー45aの回転抵抗を増加させる抵抗板(ゴムリング)(図示せず)が取り付けられている。ローラー45aは、抵抗板によって軸49との抵抗が増加し、ローラー45aに回転抵抗を超える回転力を与えなければローラー45aが回転することはなく、ローラー45aの自由な回転が抵抗板によって阻止されている。それらローラー45の上にガラス板11が載置された場合、回転抵抗の大きいローラー45aによってガラス板11の幅方向への自由な移動が阻止される。
【0053】
それらローラー昇降機構46は、軸49を取り付けた台座の下方に設置され、幅方向へ所定寸法離間して並んでいる。ローラー昇降機構46にはエアシリンダーが使用され、ローラー昇降機構46(エアシリンダー)によって台座とともにそれら軸49及びそれらローラー45が上下方向へ昇降する。ローラー昇降機構46の上昇寸法や下降寸法は、事前に設定されている。ローラー昇降機構46の発停を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0054】
尚、搬入コンベア43がガラス板11を搬送中では、ローラー昇降機構46によってそれらローラー45(台座及び軸49)が搬入コンベア43の下方へ下降し、それらローラー45がガラス板11の下面13に当接しない。ローラー昇降機構46によってそれらローラー45が上昇すると、ローラー45の周縁部の一部がそれら搬入コンベア43の上方へ露出し、ローラー45によってガラス板11が搬入コンベア43の上方へ持ち上げられる。
【0055】
移動機構47は、それら搬入コンベア43及びそれらローラー45の上方に位置するロッド50と、ロッド50に設置された第3サーボモータ51と、ロッド50に設置されて第3サーボモータ51の軸に連結された送りネジ(送りネジ機構)(図示せず)と、ロッド50から下方へ延びる移動アーム52と、移動アーム52の下端部に設置された当接部材53とを備えている。
【0056】
ロッド50は、第1ピラー26aの後面に取り付けられて幅方向へ延びている。移動アーム52は、送りネジに移動可能に設置され、第3サーボモータ51の軸の回転による送りネジの回転によって、ロッド50に沿って幅方向の一方と他方とへ直線移動する。当接部材53は、移動アーム52の幅方向への移動に伴って移動アーム52とともに幅方向の一方と他方とへ直線移動する。当接部材53は、ローラー昇降機構46によって上昇したローラー45がガラス板11の下面13に当接した状態で、ガラス板11の他方の側縁15に当接し、ガラス板11が幅方向へ移動するようにガラス板11を幅方向へ押圧する。 第3サーボモータ51の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0057】
図7は、切込加工テーブル54及び研削加工テーブル117の上面図であり、
図8は、切込加工テーブル54及び研削加工テーブル117の側面図である。
図9は、切込加工テーブル54及び研削加工テーブル117の移動を説明する図であり、
図10は、切込加工エリア20に設置された一例として示す切込装置55の側面図である。
図11は、切込装置55の正面図である。
図7,8では、前後方向(X軸方向)を矢印X、幅方向(Y軸方向)を矢印Yで示し、上下方向(Z軸方向)を矢印Zで示す。
【0058】
切込加工エリア20は、搬入エリア19において位置決めされたガラス板11を載置する切込加工テーブル54(切込加工台)と、切込加工テーブル54に載置されたガラス板11の周縁エリア56b(周縁部)に外形切出線K1(切込線)を入れる切込装置55(切断装置)とを備えている。
【0059】
切込加工テーブル54は、機械台25の床面に固定された幅方向へ長いベースレーン57aの上に設置されている。切込加工テーブル54は、第1移動機構58aを利用し、位置決めされたガラス板11を載置した状態で幅方向へ移動する。第1移動機構58aは、走行ガイドレール59aと、送りネジ60a(ボールネジ)と、第4サーボモータ61と、ガイドシュー62aと、スライドブロック63a(ハウジングナット)とから形成されている。
【0060】
それら走行ガイドレール59aは、ベースレーン57aの上面に設置されて幅方向へ延びている。送りネジ60a(ボールネジ)は、ベースレーン57aの上面であって走行ガイドレール59aの側方に設置されて幅方向へ延びている。第4サーボモータ61は、機械台25の後方に設置され、切込加工テーブル54を幅方向へ往復動させる。第4サーボモータ61の軸には、送りネジ60aの他方の端部が連結されている。
【0061】
送りネジ60aは、ベースレーン57aに固定された軸受け(図示せず)に回転可能に支持されている。ガイドシュー62aは、切込加工テーブル54の下面に取り付けられて幅方向へ延びている。ガイドシュー62aは、走行ガイドレール59aに摺動可能に嵌合している。スライドブロック63a(ハウジングナット)は、切込加工テーブル54の下面であってガイドシュー62aの間に取り付けられている。スライドブロック63aは、送りネジ60aに回転可能に螺着されている。
【0062】
第4サーボモータ61の軸が時計回り方向(第4サーボモータ61を正面から見たときの回転方向)へ回転すると、送りネジ60aが時計回り方向へ回転し、それによってスライドブロック63aが切込加工エリア20の第2側縁部48b(他方の側縁部)から第1側縁部48a(一方の側縁部)に向かって送りネジ60aを幅方向へ移動するとともに、スライドブロック63aの移動によって切込加工テーブル54が切込加工エリア20の第2側縁部48bから第1側縁部48aに向かって幅方向へ移動する。逆に、第4サーボモータ61の軸が反時計回り方向へ回転すると、送りネジ60aが反時計回り方向へ回転し、それによってスライドブロック63aが切込加工エリア20の第1側縁部48a(一方の側縁部)から第2側縁部48b(他方の側縁部)に向かって送りネジ60aを幅方向へ移動するとともに、スライドブロック63aの移動によって切込加工テーブル54が切込加工エリア20の第1側縁部48aから第2側縁部48bに向かって幅方向へ移動する。
【0063】
切込装置55は、切込治具64と、エアシリンダー65及び第5サーボモータ66とを備えている。切込治具64は、切込カッターホイール67と、切込カッターホルダー68と、カッター昇降軸69と、カッター昇降ガイド70とから形成されている。切込カッターホイール67は、ベアリング(図示せず)を介して切込カッターホルダー68に連結され、介在するベアリングの軸心に沿って自在に回転する。切込カッターホイール67は、ガラス板11の周縁エリア56(周縁部)に外形切出線K1を形成する。
【0064】
切込カッターホルダー68は、切込カッターホイール67の直上に位置してカッターホイール67に連結され、カッターホイール67を支持する。カッター昇降軸69は、切込カッターホルダー68の直上に位置してカッターホルダー68に連結され、カッターホルダー68を支持する。カッター昇降ガイド70は、カッター昇降軸69の直上に位置してカッター昇降軸69に連結され、カッター昇降軸69を支持する。切込治具64(エアシリンダー65を含む)は、エアシリンダー65の直上に位置して切込治具64を回転可能に支持する支持軸71に連結されている。支持軸71は、その直上に位置するブラケット72に取り付けられている。ブラケット72は、前後方向(X軸方向)へ前進後退(直線移動)する搬送機構24の第1移動ユニット28に連結されている。
【0065】
エアシリンダー65は、カッター昇降軸69の直上に設置されている。エアシリンダー65は、切込カッターホイール67(切込カッターホルダー68)を上下方向(Z軸方向)へ昇降させ、ガラス板11の周縁エリア56bへの外形切出線K1(切込線)の形成時にカッターホイール67をガラス板11の上面12に向かって下降させてカッターホイール67に切込圧(下方への押圧力)を加える。第5サーボモータ66は、その軸がタイミングベルト73を介して支持軸71に連結されている。第5サーボモータ66は、切込治具64(切込カッターホイール67)の切込方向の向きを(XY平面に直交する軸まわりの角度)を調整する。
【0066】
切込装置55では、コントローラから送信されたNC制御信号に基づいて第5サーボモータ66の制御部がモータ66の軸を回転させ、切込治具64(切込カッターホイール67)をNC制御し、NC制御に従って切込治具64がガラス板11の周縁エリア56(周縁部)に加工したい形状どおりの外形切出線K1を形成する。第4及び第5サーボモータ61,66の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0067】
図12は、折割加工テーブル74の上面図であり、
図13は、折割加工テーブル74の側面図である。折割加工エリア21は、搬入エリア19において位置決めされるとともに切込加工エリア20において切込加工が行われた後のガラス板11を載置する折割加工テーブル74と、折割加工テーブル74に載置されたガラス板11の外形切出線K1(切込線)の外側に位置する周縁エリア56b(周縁部)を折割る折割装置75と、ガラス板11を支持する支持装置76とを備えている。
【0068】
折割加工テーブル74は、幅方向(Y軸方向)へ走行するベルトコンベア77と、ベルトコンベア77を走行させるコンベア駆動モータ78とから形成され、機械台25の床面に固定されたベース盤の上に設置されている。ベルトコンベア77は、幅方向へ延びるベルト79と、ベルト79を支持する複数のプーリ80及びキャリアローラ81と、ベルト79、プーリ80、キャリアローラ81を支持するコンベアフレーム82とから形成されている。ベルトコンベア77には、切込加工後のガラス板11が載置される。ベルトコンベア77は、折割装置75によって折り割られたガラス板11の周縁エリア56bを幅方向の他方(第1側縁部48aから第2側縁部48b)へ搬送し、ガラス板11の折割りされた周縁エリア56bをダストボックス(図示せず)に廃棄する。
【0069】
コンベア駆動モータ78は、その軸がタイミングベルトによってプーリ80に連結されている。コンベア駆動モータ78の発停を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。コンベア駆動モータ78の軸の回転速度(ベルトの走行速度)は、事前に設定され、回転速度がコンベア駆動モータ78の特定情報に関連付けられた状態でコントローラの大容量ハードディスクに記憶(格納)されている。コンベア駆動モータ78の軸が時計回り方向へ回転すると、その回転がタイミングベルトを介してプーリ80に伝達され、プーリ80が時計回り方向へ回転し、プーリ80の回転によってベルト79が幅方向の他方に向かって走行する。
【0070】
図14は、折割装置75の側面図であり、
図15は、折割装置75の正面図である。
図16は、折割装置75の上面図であり、
図17,18は、折割装置75の拡大正面図である。
図19は、第1及び第2折割治具84a,84bの部分破断側面図であり、
図20は、第1及び第2折割治具84a,84bの正面図である。
図17では、折割カッターホイール93が下降し、第1及び第2押圧部材95a,95bが上昇した状態を示す。
図18は、折割カッターホイール93が上昇し、第1及び第2押圧部材95a,95bが下降した状態を示す。
【0071】
折割装置75は、幅方向へ離間する2台の第1折割装置75a及び第2折割装置75bから形成されている。第1折割装置75aは、第1ガイドフレーム30に連結され、第2折割装置75bは、懸垂フレーム83に連結されている。懸垂フレーム83は、第2ガイドフレーム35の側部に連結されている。第1折割装置75aは、第1折割治具84a(折割治具)と、第6サーボモータ85(X軸サーボモータ)及びX軸第1アクチュエーター86aと、第7サーボモータ87(Y軸サーボモータ)及びY軸第1アクチュエーター88aと、X軸第1アクチュエーターフレーム89a及びY軸第1アクチュエーターフレーム89cとを有する。X軸第1アクチュエーターフレーム89aとY軸第1アクチュエーターフレーム89cとは、それらの一端部において一連に繋がっている。
【0072】
第2折割装置75bは、第2折割治具84b(折割治具)と、第8サーボモータ90(X軸サーボモータ)及びX軸第2アクチュエーター86bと、第9サーボモータ91(Y軸サーボモータ)及びY軸第2アクチュエーター88bと、X軸第2アクチュエーターフレーム89b及びY軸第2アクチュエーターフレーム89dとを有する。X軸第2アクチュエーターフレーム89bとY軸第2アクチュエーターフレーム89dとは、それらの一端部において一連に繋がっている。
【0073】
第1及び第2折割治具84a,84bは、
図19,20に示すように、折割カッターホルダー92と、折割カッターホイール93と、ホルダー昇降機構94(第1昇降機構)と、外形切出線K1(切込線)及び端切線K2が形成されたガラス板11の本体部56a(外形切出線K1の内側に延びるガラス板11a,11b)を下方へ押圧する第1押圧部材95aと、外形切出線K1(切込線)及び端切線K2が形成されたガラス板11a,11bの周縁エリア56b(外形切出線K1の外側に延びるガラス板11a,11b)を下方へ押圧する第2押圧部材95bと、第1押圧部材昇降機構96a(第2昇降機構)と、第2押圧部材昇降機構96b(第2昇降機構)とから形成されている。折割カッターホルダー92は、折割カッターホイール93の上方に位置して折割カッターホイール93を支持する。折割カッターホルダー92は、連結部を備えたホルダー本体97と、ホルダー本体97の先端に取り付けられたホルダーヘッド98とを有する。
【0074】
折割カッターホイール93は、加工対象のガラス板11の周縁エリア56b(外形切出線K1の外側に延びるガラス板11の周縁部)に端切線K2(スクライブ)を形成する。折割カッターホイール93は、転動軸100を介してホルダーヘッド98の先端に回転(転動)可能に取り付けられ、転動軸100を中心にその周縁101が転動する。折割カッターホイール93の上下方向へ延びるカッターホイール軸線O3は、折割カッターホルダー92(ホルダー本体97)の上下方向へ延びるカッターホルダー中心軸線O2に対して径方向外方へ偏芯している(ズレている)。カッターホルダー中心軸線O2に対するカッターホイール軸線O3の幅方向への離間寸法S(偏芯寸法)は、0.5~2mmの範囲にある。
【0075】
ホルダーヘッド98は、ベアリング99を介してホルダー本体97に連結され、介在するベアリング99の軸心に沿って自在に回転し、折割カッターホルダー92のカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(θ方向)へ360°回転可能である。ホルダーヘッド98は、カッターホルダー中心軸線O2を中心に時計回り方向及び反時計回り方向へ回転する。ホルダーヘッド98が回転することで、折割カッターホルダー92に対して折割カッターホイール93(カッターホルダー中心軸線O2に対して偏芯するカッターホイール軸線O3を有する折割カッターホイール93)がカッターホルダー中心軸線O2の周り方向へ360°回転可能である。折割カッターホイール93は、カッターホルダー中心軸線O2を中心に時計回り方向及び反時計回り方向へ回転する。
【0076】
折割カッターホイール93は、そのカッターホイール軸線O3がカッターホルダー中心軸線O2に対して径方向外方へ偏芯しているから、第1及び第2折割治具84a,84b(折割カッターホルダー92)がガラス板11の上面12を所定の方向へ走行(移動)したときに、折割カッターホイール93の周縁101の転動(移動)方向が第1及び第2折割治具84a,84b(折割カッターホルダー92)の走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)に向くキャスター効果を発揮する。
【0077】
ホルダー昇降機構94(第1昇降機構)は、ホルダー本体97の直上に設置され、折割カッターホルダー92(ホルダー本体97)の連結部102に連結されている。ホルダー昇降機構94は、固定部材によってブラケット103に固定されている。ホルダー昇降機構94(第1昇降機構)には、エアシリンダーが使用されている。ホルダー昇降機構94(エアシリンダー)は、第1及び第2折割治具84a,84bの折割カッターホルダー92(折割カッターホイール93)を上下方向(Z軸方向)へ昇降(上下動)させる。ホルダー昇降機構94は、ガラス板11の周縁エリア56bに対する折割加工時にカッターホイール93をガラス板11の上面12に向かって下降させ、カッターホイール93に端切圧(下方への押圧力)を加える(付与する)。ホルダー昇降機構の上昇寸法や下降寸法は、事前に設定されている。
【0078】
第1押圧部材95aは、ゴム弾性を有するゴム又は合成樹脂から作られている。第1押圧部材95aは、第2押圧部材95bの外側近傍に位置して第2押圧部材95bの周り方向へ延在している。第1押圧部材95aは、ガラス板11の上面12に当接する所定面積の第1押圧面104aを有する。第1押圧面104aは、第2押圧部材95bを取り囲む半円環状に成形されている。
【0079】
第1押圧部材昇降機構96a(第2昇降機構)は、第1押圧部材95aの幅方向側方に位置し、固定部材によってブラケット103に固定されている。第1押圧部材昇降機構96aには、エアシリンダーが使用されている。第1押圧部材昇降機構96aは、第1及び第2折割治具84a,84bの第1押圧部材95aを上下方向(Z軸方向)へ昇降(上下動)させる。
【0080】
第1押圧部材昇降機構96a(第2昇降機構)は、ガラス板11の周縁エリア56bに対する折割加工時に第1押圧部材95aをガラス板11の上面12に向かって下降させ、第1押圧部材95aに下方への押圧力を加える。第1押圧部材95aの上昇寸法や下降寸法は、事前に設定されている。一方のブラケット104は、X軸第1アクチュエーターフレーム88a及びY軸第1アクチュエーターフレーム88cに摺動可能に取り付けらている。
【0081】
第2押圧部材95bは、ゴム弾性を有するゴム又は合成樹脂から作られている。第2押圧部材95bは、折割カッターホイール93の外側近傍に位置して折割カッターホイール93の周り方向へ延在している。第2押圧部材95bは、ガラス板11の上面12に当接する所定面積の第2押圧面104bを有する。第2押圧面104bは、折割カッターホイール93を取り囲む円環状に成形されている。第2押圧部材95bの中央には、上下方向へ貫通する貫通孔105が穿孔(形成)されている。
【0082】
第2押圧部材昇降機構96b(第3昇降機構)は、第2押圧部材95bの幅方向側方に位置し、固定部材によってブラケット103に固定されている。第2押圧部材昇降機構96bには、エアシリンダーが使用されている。第2押圧部材昇降機構96bは、第1及び第2折割治具84a,84bの第2押圧部材95bを上下方向(Z軸方向)へ昇降(上下動)させる。第2押圧部材昇降機構96b(第3昇降機構)は、ガラス板11の周縁エリア56bに対する折割加工時に第2押圧部材95bをガラス板11の上面12に向かって下降させ、第2押圧部材95bに下方への押圧力を加える。第2押圧部材95bの上昇寸法や下降寸法は、事前に設定されている。他方のブラケット103は、X軸第2アクチュエーターフレーム88b及びY軸第2アクチュエーターフレーム88dに摺動可能に取り付けられている。
【0083】
ホルダー昇降機構94(第1昇降機構)の発停を制御する制御部、第1押圧部材昇降機構96a(第2昇降機構)の発停を制御する制御部、第2押圧部材昇降機構96b(第3昇降機構)の発停を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。ホルダー昇降機構94は、折割カッターホルダー92(折割カッターホイール93)を昇降させる。第1押圧部材昇降機構96aは、第1押圧部材95aを昇降させる。第2押圧部材昇降機構96bは、第2押圧部材95bを昇降させる。
【0084】
第6サーボモータ85(X軸サーボモータ)は、X軸第1アクチュエーターフレーム89aに設置され、その軸がX軸第1アクチュエーター86aに連結されている。X軸第1アクチュエーター86aは、ネジ部とガイド部とを有する(図示せず)。第6サーボモータ85の軸が時計回り方向へ回転すると、X軸第1アクチュエーター86aのネジ部が時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ブラケット103とともに第1折割装置75aの第1折割治具84aがX軸第1アクチュエーターフレーム89aに沿って前後方向前方に向かって移動する。第6サーボモータ85の軸が反時計回り方向へ回転すると、X軸第1アクチュエーター86aのネジ部が反時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ブラケット103とともに第1折割装置75aの第1折割治具84aがX軸第1アクチュエーターフレーム89aに沿って前後方向後方に向かって移動する。
【0085】
第7サーボモータ87(Y軸サーボモータ)は、Y軸第1アクチュエーターフレーム89cに設置され、その軸がY軸第1アクチュエーター88aに連結されている。Y軸第1アクチュエーター88aは、ネジ部とガイド部とを有する(図示せず)。第7サーボモータ87の軸が時計回り方向へ回転すると、Y軸第1アクチュエーター88aのネジ部が時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ブラケット103とともに第1折割装置75aの第1折割治具84aがY軸第1アクチュエーターフレーム89cに沿って幅方向の一方へ向かって移動する。第7サーボモータ87の軸が反時計回り方向へ回転すると、Y軸第1アクチュエーター88aのネジ部が反時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ブラケット103とともに第1折割装置75aの第1折割治具84aがY軸第1アクチュエーターフレーム89cに沿って幅方向の他方へ向かって移動する。第6及び第7サーボモータ85,87の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0086】
第8サーボモータ90(X軸サーボモータ)は、X軸第2アクチュエーターフレーム89bに設置され、その軸がX軸第2アクチュエーター86bに連結されている。X軸第2アクチュエーター86bは、ネジ部とガイド部とを有する(図示せず)。第8サーボモータ90の軸が時計回り方向へ回転すると、X軸第2アクチュエーター86bのネジ部が時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ブラケット103とともに第2折割装置75bの第2折割治具84bがX軸第2アクチュエーターフレーム89bに沿って前後方向前方に向かって移動する。第8サーボモータ90の軸が反時計回り方向へ回転すると、X軸第2アクチュエーター86bのネジ部が反時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ブラケット103とともに第2折割装置75bの第2折割治具84bがX軸第2アクチュエーターフレーム89bに沿って前後方向後方に向かって移動する。第8及び第9サーボモータ90,91の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0087】
図21は、支持装置76を露出させた折割加工テーブル74の上面図であり、
図22は、正面から支持装置76を見た折割加工テーブル74の正面図である。支持装置76は、幅方向へ離間する2台の第1支持装置76a及び第2支持装置76bから形成されている。第1及び第2支持装置76a,76bは、ガイドフレーム106に連結されている。
【0088】
第1支持装置76aは、第1支持部材107a及び第2支持部材107bと、第2支持部材107bを上下方向へ昇降させる第2支持部材昇降機構108(第4昇降機構)と、第10サーボモータ109(X軸サーボモータ)及びX軸第3アクチュエーター110aと、第11サーボモータ111(Y軸サーボモータ)及びY軸第3アクチュエーター112aと、X軸第3アクチュエーターフレーム113a及びY軸第3アクチュエーターフレーム113cとを有する。
【0089】
第2支持装置76bは、第1支持部材107a及び第2支持部材107bと、第2支持部材107bを上下方向へ昇降させる第2支持部材昇降機構108(第4昇降機構)と、第12サーボモータ114(X軸サーボモータ)及びX軸第4アクチュエーター110bと、第13サーボモータ115(Y軸サーボモータ)及びY軸第4アクチュエーター112bと、X軸第4アクチュエーターフレーム113b及びY軸第4アクチュエーターフレーム113dとを有する。
【0090】
第1支持部材107aは、第2支持部材107bの径方向内方に位置し、ガラス板11の下面13を支持する所定面積の第1支持面116aを有する。第1支持面116aは、平坦な真円状に成形されている。第2支持部材107bは、第1支持部材107aの径方向外方に位置し、ガラス板11の下面13を支持する所定面積の第2支持面116bを有する。第2支持面116bは、第1支持部材107a(第1支持面116a)を取り囲む平坦な円環状に成形されている。
【0091】
第2支持部材昇降機構108(第4昇降機構)は、第2支持部材107bの直下に位置し、固定部材によってガイドフレーム106に固定されている。第2支持部材昇降機構108には、エアシリンダーが使用されている。第2支持部材昇降機構108は、第1及び第2支持装置76a,76bの第2支持部材107bを上下方向(Z軸方向)へ昇降(上下動)させる。第2支持部材昇降機構108は、ガラス板11の周縁エリア56bに対する折割加工時に第2支持部材107bをガラス板11の下面13から下降させ、ガラス板11の下面13と第2支持面116bとの間に間隙(第1支持面116aと第2支持面116bとの間に段差)を作る。第2支持部材107bの下降寸法は、事前に設定されている。第2支持部材昇降機構108(第4昇降機構)の発停を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0092】
第10サーボモータ109(X軸サーボモータ)は、X軸第3アクチュエーターフレーム113aに設置され、その軸がX軸第3アクチュエーター110aに連結されている。X軸第3アクチュエーター110aは、ネジ部とガイド部とを有する(図示せず)。第10サーボモータ109の軸が時計回り方向へ回転すると、X軸第3アクチュエーター110aのネジ部が時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ガイドフレーム106とともに第1支持装置76aがX軸第3アクチュエーターフレーム113aに沿って前後方向前方に向かって移動する。第10サーボモータ109の軸が反時計回り方向へ回転すると、X軸第3アクチュエーター110aのネジ部が反時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ガイドフレーム106とともに第1支持装置76aがX軸第3アクチュエーターフレーム113aに沿って前後方向後方に向かって移動する。
【0093】
第11サーボモータ111(Y軸サーボモータ)は、Y軸第3アクチュエーターフレーム113cに設置され、その軸がY軸第3アクチュエーター112aに連結されている。Y軸第3アクチュエーター112aは、ネジ部とガイド部とを有する(図示せず)。第11サーボモータ111の軸が時計回り方向へ回転すると、Y軸第3アクチュエーター112aのネジ部が時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ガイドフレーム106とともに第1支持装置76aがY軸第3アクチュエーターフレーム113cに沿って幅方向の一方へ向かって移動する。第11サーボモータ111の軸が反時計回り方向へ回転すると、Y軸第3アクチュエーター112aのネジ部が反時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ガイドフレーム106とともに第1支持装置76aがY軸第3アクチュエーターフレーム113cに沿って幅方向の他方へ向かって移動する。尚、第1支持装置76aは、第1折割装置75a(第1折割治具84a)と同期(シンクロ)して前後方向及び幅方向(水平方向)へ移動する。第10及び第11サーボモータ109,111の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0094】
第12サーボモータ114(X軸サーボモータ)は、X軸第4アクチュエーターフレーム113bに設置され、その軸がX軸第4アクチュエーター110bに連結されている。X軸第4アクチュエーター110bは、ネジ部とガイド部とを有する(図示せず)。第12サーボモータ114の軸が時計回り方向へ回転すると、X軸第4アクチュエーター110bのネジ部が時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ガイドフレーム106とともに第2支持装置76bがX軸第4アクチュエーターフレーム113bに沿って前後方向前方に向かって移動する。第12サーボモータ114の軸が反時計回り方向へ回転すると、X軸第4アクチュエーター110bのネジ部が反時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ガイドフレーム106とともに第2支持装置76bがX軸第4アクチュエーターフレーム113bに沿って前後方向後方に向かって移動する。
【0095】
第13サーボモータ115(Y軸サーボモータ)は、Y軸第4アクチュエーターフレーム113dに設置され、その軸がY軸第4アクチュエーター112bに連結されている。Y軸第4アクチュエーター112bは、ネジ部とガイド部とを有する(図示せず)。第13サーボモータ115の軸が時計回り方向へ回転すると、Y軸第4アクチュエーター112bのネジ部が時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ガイドフレーム106とともに第2支持装置76bがY軸第4アクチュエーターフレーム113dに沿って幅方向の一方へ向かって移動する。第13サーボモータ115の軸が反時計回り方向へ回転すると、Y軸第4アクチュエーター112bのネジ部が反時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ガイドフレーム106とともに第2支持装置76bがY軸第4アクチュエーターフレーム113dに沿って幅方向の他方へ向かって移動する。尚、第2支持装置76bは、第2折割装置75b(第2折割治具84b)と同期(シンクロ)して前後方向及び幅方向(水平方向)へ移動する。第12及び第13サーボモータ114,115の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0096】
図23は、研削加工エリア22に設置された一例として示す研削装置118の正面図であり、
図24は、研削装置118の側面図である。研削加工エリア22は、搬入エリア19において位置決めされ、切込加工エリア20において切込加工が行われるとともに折割加工エリア21において折割加工が行われた後のガラス板11を載置する研削加工テーブル117(研削加工台)と、研削加工テーブル117に載置されたガラス板11の本体部56aの縁(周縁)を研削する研削装置118とを備えている。
【0097】
研削加工テーブル117は、機械台25の床面に固定された幅方向へ長いベースレーン57bの上に設置されている(
図7参照)。研削加工テーブル117は、ガラス板11を吸着保持する複数の吸着パッド119と、吸着パッド119を負圧にして吸着パッド119に吸着力を付与するバキューム機構(エアーバキュームポンプ)(図示せず)とを備えている。バキューム機構の発停を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0098】
研削加工テーブル117は、第2移動機構58bを利用し、位置決めされたガラス板11を載置した状態で幅方向へ移動する。第2移動機構58bは、走行ガイドレール59bと、送りネジ60b(ボールネジ)と、第14サーボモータ120と、ガイドシュー62bと、スライドブロック63b(ハウジングナット)とから形成されている。それら走行ガイドレール59bは、ベースレーン57bの上面に設置されて幅方向へ延びている。送りネジ60b(ボールネジ)は、ベースレーン57bの上面であって走行ガイドレール59bの側方に設置されて幅方向へ延びている。第14サーボモータ120は、ベースレーン57bに設置され、研削加工テーブル118を幅方向へ往復動させる。第14サーボモータ120の軸には、送りネジ60bの他方の端部が連結されている。第14サーボモータ120の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0099】
送りネジ60bは、ベースレーン57bに固定された軸受け(図示せず)に回転可能に支持されている。ガイドシュー62bは、研削加工テーブル117の下面に取り付けられて幅方向へ延びている。ガイドシュー62bは、走行ガイドレール59bに摺動可能に嵌合している。スライドブロック63b(ハウジングナット)は、研削加工テーブル117の下面であってガイドシュー62bの間に取り付けられている。スライドブロック63bは、送りネジ60bに回転可能に螺着されている。
【0100】
第14サーボモータ120の軸が時計回り方向へ回転すると、送りネジ60bが時計回り方向へ回転し、それによってスライドブロック63bが研削加工エリア22の他方の側縁部48bから一方の側縁部48aに向かって送りネジ60bの幅方向へ移動するとともに、スライドブロック63bの移動によって研削加工テーブル117が研削加工エリア22の他方の側縁部48bから一方の側縁部48aに向かって幅方向へ移動する。第14サーボモータ120の軸が反時計回り方向へ回転すると、送りネジ60bが反時計回り方向へ回転し、それによってスライドブロック63bが研削加工エリア22の一方の側縁部48aから他方の側縁部48bに向かって送りネジ60bの幅方向へ移動するとともに、スライドブロック63bの移動によって研削加工テーブル117が研削加工エリア22の一方の側縁部48aから他方の側縁部48bに向かって幅方向へ移動する。
【0101】
尚、第14サーボモータ120は、切込加工エリア20の第4サーボモータ61と同期して駆動し、切込加工テーブル54の切込加工エリア20の他方の側縁部48bから一方の側縁部48aへの移動に同期(シンクロ)して研削加工テーブル117が研削加工エリア22の他方の側縁部48bから一方の側縁部48aに向かって移動し、又は、切込加工テーブル54の切込加工エリア20の一方の側縁部48aから他方の側縁部48bへの移動に同期(シンクロ)して研削加工テーブル117が研削加工エリア22の一方の側縁部48aから他方の側縁部48bに向かって移動する。
【0102】
研削装置118は、研削治具121と、第15サーボモータ122(研削Z軸サーボモータ)と、第16サーボモータ123(昇降サーボモータ)と、第17サーボモータ124(切込サーボモータ)と、研削ホイール昇降ネジ125と、研削ホイール切込ネジ126とを備えている。研削治具121は、研削ホイール127と、研削ホルダー128と、カバー129と、スピンドルモータ130とから形成されている。研削ホイール127は、所定の直径を有する円盤状に成形され、その外周面によってガラス板11の本体部56aの縁(周縁)を研削する。
【0103】
研削ホルダー128は、研削ホイール127の直上に位置して研削ホイール127を回転可能に支持する。カバー129は、研削ホイール127の直下に位置して研削ホイール127全体を包被する。カバー129は、研削治具121に着脱可能に取り付けられている。カバー129には、ガラス板11の本体部56aの縁(周縁)を挿入するスリット131が形成されている。スピンドルモータ130は、研削ホイール127(研削ホルダー128)の直上に位置し、モータハウジング132に設置・収容されている。スピンドルモータ130は、その軸が研削ホイール127の中心に連結されている。スピンドルモータ130の軸の回転によって研削ホイール127が回転する。モータハウジング132は、ブラケット133を介して走行フレーム32に固定されている。スピンドルモータ130の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0104】
第15サーボモータ122(研削Z軸サーボモータ)は、研削治具121の後方近傍に位置し、ブラケット133を介して走行フレーム32に連結・固定されている。第15サーボモータ122は、その軸がモータハウジング132の支持軸に連結されている。第15サーボモータ122は、研削ホイール127の外周面がガラス板11の本体部56aの縁(周縁)に平行に当接するように、研削ホイール127の軸方向の姿勢(軸まわりの角度)を微調整する。
【0105】
第16サーボモータ123(昇降サーボモータ)は、モータハウジング132(スピンドルモータ130)の幅方向外方近傍に位置し、モータハウジング132に連結・固定されている。第16サーボモータ123は、その軸が研削ホイール昇降ネジ125に連結され、研削ホイール昇降ネジ125を回転させる。第16サーボモータ123は、ガラス板11の厚み寸法に応じて研削ホイール127(モータハウジング132)を上下動させ、研削ホイール127の高さがガラス板11の本体部56aの縁の高さに一致して研削ホイール127の外周面がガラス板11の本体部56aの縁に当接するように、研削ホイール127の高さを微調整する。
【0106】
ガラス板11の加工を開始する初期設定において、研削ホイール127の取付基準面から溝の中心までの距離がコントローラに入力される。コントローラは、入力された距離に基づいて第16サーボモータ123の軸の回転数を算出し、算出した回転数を第16サーボモータ123の制御部に送信する。第16サーボモータ123の制御部は、コントローラから受信した回転数で第16サーボモータ123の軸を回転させる。第16サーボモータ123の軸が時計回り方向へ所定の回転数で回転すると研削ホイール昇降ネジ125が時計回り方向へ回転しつつネジ125が下降し、それによって研削ホイール127(モータハウジング132)が下降する。第16サーボモータ123の軸が反時計回り方向へ所定の回転数で回転すると研削ホイール昇降ネジ125が反時計回り方向へ回転しつつネジ125が上昇し、それによって研削ホイール127(モータハウジング132)が上昇する。加工するガラス板11の厚み寸法が同一である限り、研削ホイール127の高さの微調整を一度設定すれば、それ以降の調整は行われない。
【0107】
第17サーボモータ124(切込サーボモータ)は、第16サーボモータ123(昇降サーボモータ)の直下であってモータハウジング132(スピンドルモータ130)の幅方向外方近傍に位置し、モータハウジング132に連結・固定されている。第17サーボモータ124は、その軸が研削ホイール切込ネジ126に連結され、研削ホイール切込ネジ126を回転させる。第17サーボモータ124は、研削ホイール127の外周面直径に応じて研削ホイール127(モータハウジング132)を幅方向へ移動させ、研削ホイール127の外周面がガラス板11の本体部56aの縁(周縁)に当接するように、研削ホイール127の切込深さを微調整する。第15~第17サーボモータ122~124の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0108】
ガラス板11の加工を開始する初期設定において、研削ホイール127の径(直径)がコントローラに入力される。コントローラは、入力された研削ホイール127の径(直径)に基づいて第17サーボモータ124の軸の回転数を算出し、算出した回転数を第17サーボモータ124の制御部に送信する。第17サーボモータ124の制御部は、コントローラから受信した回転数で第17サーボモータ124の軸を回転させる。第17サーボモータ124の軸が時計回り方向へ所定の回転数で回転すると研削ホイール切込ネジ126が時計回り方向へ回転しつつネジ126が前後方向後方へ移動し、それによって研削ホイール127(モータハウジング132)が前後方向後方へ移動する。第17サーボモータ124の軸が反時計回り方向へ所定の回転数で回転すると研削ホイール切込ネジ126が反時計回り方向へ回転しつつネジ126が前後方向前方へ移動し、それによって研削ホイール127(モータハウジング132)が前後方向前方へ移動する。研削ホイール127の径(直径)が同一である限り、研削ホイール127の前後方向の位置の微調整を一度設定すれば、それ以降の調整は行われない。
【0109】
搬出エリア23には、搬出コンベア134が設置されている。搬出エリア23は、機械台25の床面から上方へ延びる脚部によって支持されている。搬出コンベア134は、前後方向(X方向)へ延びる複数の無限軌道であり、幅方向(Y方向)へ所定間隔離間して並んでいる。それら搬出コンベア134の発停や搬送距離を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。それら搬出コンベア134は、ガラス板11を搬出エリア23の後端部から前端部に向かって前後方向へ搬送する。
【0110】
以下、ガラス板11a,11bの加工(切込加工、折割加工、研削加工)の一例を説明する。加工開始時では、ガラス板第1ホルダー40aが搬入エリア19の上方に待機し、ガラス板第2ホルダー40bが切込加工エリア20の上方に待機しているとともに、ガラス板第3ホルダー40cが折割加工エリア21の上方に待機し、ガラス板第4ホルダー40dが研削加工エリア22の上方に待機している。
【0111】
コントローラに接続されたタッチパネル(出力装置)には、各種複数のガラス板画像が表示(出力)される。タッチパネルに表示された各種複数のガラス板画像から加工対象の特定のガラス板11をクリック(タップ)(選択)する。特定のガラス板11を選択すると、コントローラは、そのガラス板11に施す加工に対するNC制御プログラムを選択する。コントローラは、研削ホイール127の取付基準面から溝の中心までの距離の入力エリア、ガラス板11の前後方向の寸法入力エリア、研削ホイール127の径(直径)入力エリアをタッチパネルに表示する。
【0112】
研削ホイール127の取付基準面から溝の中心までの距離の入力エリアに距離を入力し、研削ホイール127の径(直径)入力エリアに径を入力した後、タッチパネルに表示された入力ボタンをクリック(タップ)する。距離、径が入力されると、コントローラは、第16サーボモータ123を駆動して研削ホイール127(モータハウジング132)を上下動させ、研削ホイール127の高さを微調整するとともに、第17サーボモータ124を駆動して研削ホイール127(モータハウジング132)を幅方向へ移動させ、研削ホイール127の前後方向の位置を微調整する。それら微調整が終了した後、コントローラは、加工開始ボタンを出力装置に出力(表示)する。加工開始ボタンをクリック(タップ)すると、ガラス板11の加工が開始される。
【0113】
選択された加工対象(加工前)のガラス板11が搬入エリア19に搬入される。尚、搬入エリア19では、第1位置決め手段と第2位置決め手段とが実施される。加工対象のガラス板11は、自動供給装置(図示せず)によって搬入エリア19の搬入コンベア43に自動的に供給される。自動供給装置には上面12及び下面13の面積が同一(大きさが同一)の加工対象の複数枚のガラス板11が上下方向へ積重ねられ、ガラス板11が1枚毎に自動供給装置から搬入コンベア43へ供給される。
【0114】
搬入エリア19におけるガラス板11の位置決め手順の一例は、以下のとおりである。コントローラは、搬入コンベア43の制御部に搬送信号(ON信号)を送信し、前進信号を受信した搬入コンベア43の制御部は、それら搬入コンベア43を駆動させる。搬入エリア19に搬入されたガラス板11は、その下面13が搬入コンベア43に当接した状態で搬入コンベア43の上に載置される。ガラス板11は、その第1側縁14(一方の側縁14)が搬入エリア19の一方の側縁部48aに並行し、その他方の側縁15が搬入エリア19の他方の側縁部48bに並行する。
【0115】
搬入コンベア43の上に載置されたガラス板11は、搬入コンベア43によって搬入エリア19の後方から前方へ向かって次第に移動する。ストッパー44の後方に設置された非接触センサーがガラス板11の前端縁16を検出すると、検出信号がコントローラに送信され、コントローラが搬入コンベア43の制御部に減速信号を送信する。減速信号を受信した搬入コンベア43の制御部が搬入コンベア43減速させた後、ガラス板11の前端縁16がストッパー44に当接する。
【0116】
次に、コントローラは、搬入コンベア43の制御部に停止信号(OFF信号)を送信し、停止信号を受信した搬入コンベア43の制御部は、搬入コンベア43の駆動を停止させる。コントローラは、ガラス板11の第1側縁14の前後方向中心Oを搬入エリア19の位置決め第2基準L2に位置させるための搬入コンベア43の前後方向後方への第2移動寸法を搬入コンベア43の制御部に送信するとともに、搬入コンベア43の制御部に後退信号(ON信号)を送信する。
【0117】
第2移動寸法及び後退信号を受信した搬入コンベア43の制御部は、それら搬入コンベア43を駆動させ、搬入コンベア43によってガラス板11を前後方向後方へ第2移動寸法移動させる。搬入コンベア43がガラス板11を前後方向後方へ第2移動寸法移動させると、ガラス板11の幅方向の一方の側縁の前後方向中心O1が搬入エリア19における位置決め第2基準L2に位置する(第2位置決め手段)。
【0118】
ガラス板11を前後方向後方へ第2移動寸法移動させた後、コントローラは、搬入コンベア43の制御部に停止信号(OFF信号)を送信し、停止信号を受信した搬入コンベア43の制御部は、搬入コンベア43の駆動を停止させる。次に、コントローラは、それらローラー昇降機構46の制御部に上昇信号(ON信号)を送信する。上昇信号を受信したローラー昇降機構46の制御部は、それらローラー昇降機構46を上昇させる。ローラー昇降機構46の上昇によってそれらローラー45が上昇し、ローラー45の周縁部の一部がそれら搬入コンベア43の上方へ露出し、上昇したローラー45がガラス板11の下面13に当接した状態でローラー45がガラス板11を搬入コンベア43の上方へ持ち上げる。
【0119】
ローラー昇降機構46の上昇が完了した後、コントローラは、ガラス板11の第1側縁14を位置決め第1基準L1に位置させるための移動機構47の幅方向への第1移動寸法(第1移動距離)から算出した第3サーボモータ51の回転数をモータ51の制御部に送信するとともに、第3サーボモータ51の制御部に正回転信号(ON信号)を送信する。第3サーボモータ51の回転数及び正回転信号を受信した制御部は、第3サーボモータ51を駆動させ、モータ51の軸を所定の回転数だけ時計回り方向へ回転させる。
【0120】
第3サーボモータ51の軸の時計回り方向への回転による送りネジの回転によって移動アーム52とともに当接部材53がその移動開始点から幅方向の一方へ次第に移動する。幅方向の一方へ移動する当接部材53がガラス板11の第2側縁15に当接し、当接部材53がガラス板11を幅方向の他方から一方へ移動させるようにガラス板11の第2側部15を幅方向へ押圧する。当接部材53に押圧されたガラス板11がローラ45上を幅方向の他方から一方へ向かって幅方向へ移動し、ガラス板11の幅方向の第1側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁が搬入エリア19における位置決め第1基準L1に位置する(第1位置決め手段)。
【0121】
当接部材53の幅方向の一方への移動が終了し、ガラス板11の幅方向の第1側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁が搬入エリア19における位置決め第1基準L1に位置すると、コントローラは、第3サーボモータ51の制御部に停止信号(OFF信号)を送信する。停止信号を受信した第3サーボモータ51の制御部は、第3サーボモータ51の駆動を停止させる。第3サーボモータ51の駆動が停止した後、コントローラは、第3サーボモータ51の制御部に逆回転信号(ON信号)を送信する。逆回転信号を受信した第3サーボモータ51の制御部は、第3サーボモータ51を駆動させ、第3サーボモータ51の軸を所定の回転数だけ反時計回り方向へ回転させる。
【0122】
第3サーボモータ51の軸の反時計回り方向への回転による送りネジの回転によって移動アーム52とともに当接部材53が幅方向の他方へ次第に移動し、当接部材53が移動開始点に戻る。当接部材53が移動開始点に戻った後、コントローラは、第3サーボモータ51の制御部に停止信号(OFF信号)を送信するとともに、ローラー昇降機構46の制御部に下降信号(ON信号)を送信する。停止信号を受信した第3サーボモータ51の制御部は、第3サーボモータ51の駆動を停止させ、下降信号を受信したローラー昇降機構46の制御部は、それらローラー昇降機構46を下降させる。ローラー昇降機構46が下降すると、第1位置決め手段及び第2位置決め手段によって位置決めされたガラス板11の下面13が搬送コンベア43に当接する。
【0123】
第1位置決め手段及び第2位置決め手段によってガラス板11の位置決めが完了した後、コントローラは、ガラス板第1ホルダー40aの昇降機構の制御部に下降信号(ON信号)を送信する。下降信号を受信した昇降機構の制御部は、昇降機構によって吸着パッド42をガラス板11の上面12に向かって下降させる。ガラス板第1ホルダー40aの吸着パッド42がガラス板11の上面12に当接した後、コントローラは、ガラス板第1ホルダー40aのバキューム機構の制御部に吸引信号(ON信号)を送信する。吸引信号を受信したバキューム機構の制御部は、バキューム機構を起動させる。
【0124】
バキューム機構を起動によって、搬入エリア19に位置するガラス板11が吸着パッド42に吸引される。コントローラは、ガラス板第1ホルダー40aのパッド昇降機構の制御部に上昇信号(ON信号)を送信する。上昇信号を受信したパッド昇降機構の制御部は、パッド昇降機構によって吸着パッド42を上昇させる。搬入エリア19における第1位置決め手段及び第2位置決め手段によって位置決めされたガラス板11は、吸着パッド42に吸着された状態で吸着パッド42とともに上昇する。
【0125】
吸着パッド42(ガラス板11)が上昇した後、コントローラは、第2サーボモータ39の制御部に前進信号(ON信号)を送信する。前進信号を受信した第2サーボモータ39の制御部は、第2サーボモータ39を駆動させる。第2サーボモータ39の軸の回転によってスライドブロックが第2ガイドフレーム35の後方から前方へ向かって前後方向へ移動し、それによってガラス板第1ホルダー40a(吸着パッド42に吸着されたガラス板11)が搬入エリア19から切込加工エリア20に移動する(ガラス板移動手段)。尚、スライドブロックの移動により、ガラス板第1ホルダー40aとともにガラス板第2~第4ホルダー40b~40dが前後方向前方へ移動する。
【0126】
ガラス板第1ホルダー40aが切込加工エリア20に移動した後、コントローラは、ガラス板第1ホルダー40aのパッド昇降機構の制御部に下降信号(ON信号)を送信する。下降信号を受信したパッド昇降機構の制御部は、パッド昇降機構によって吸着パッド42(ガラス板11)を切込加工エリア20の切込加工テーブル54の上に下降させる。ガラス板第1ホルダー40aの吸着パッド42に吸着されたガラス板11が切込加工テーブル54に当接した後、コントローラは、ガラス板第1ホルダー40aのバキューム機構の制御部に停止信号(OFF信号)を送信する。停止信号を受信したバキューム機構の制御部は、バキューム機構の起動を停止させる。バキューム機構が停止することで、ガラス板11に対する吸着パッド41の吸着が解除され、位置決めされたガラス板11が切込加工テーブル54に載置される。尚、ガラス板11が切込加工テーブル54に載置されると、切込加工テーブル54に設置された吸着パッド(図示せず)にガラス板11の下面13が吸着保持される。
【0127】
次に、コントローラは、ガラス板第1ホルダー40aのパッド昇降機構の制御部に上昇信号(ON信号)を送信し、上昇信号によってガラス板第1ホルダー40a(パッド昇降機構)が切込加工テーブル54の上方へ上昇する。ガラス板第1ホルダー40aが上昇した後、コントローラから第2サーボモータ39の制御部に後退信号(ON信号)が送信され、第2サーボモータ39の軸の回転によってガラス板第1ホルダー40aが切込加工エリア20から搬入エリア19に移動し、ガラス板第1ホルダー40aが搬入エリア19の上方で待機する。ガラス板第1ホルダー40aとともにガラス板第2~第4ホルダー40b~40dも前後方向後方へ移動し、ガラス板第2ホルダー40bが切込加工エリア20の上方で待機し、ガラス板第3ホルダー40cが折割加工エリア21の上方で待機するとともに、ガラス板第4ホルダー40dが研削加工エリア22の上方で待機する。
【0128】
切込加工後のガラス板11のガラス板第2ホルダー40bによる切込加工エリア20から折割加工エリア21への搬送手順(ガラス板移動手段)、折割加工後のガラス板11のガラス板第3ホルダー40cによる折割加工エリア21から研削加工エリア21への搬送手順(ガラス板移動手段)、研削加工後のガラス板11のガラス板第4ホルダー40dによる研削加工エリア22から搬出エリア23への搬送手順(ガラス板移動手段)は、ガラス板第1ホルダー40aによるガラス板11の搬入エリア19から切込加工エリア20へのそれと同一であるから、ガラス板第2~第4ホルダー40b~40dによる搬送手順の説明は省略する。
【0129】
ガラス板11が切込加工テーブル54に載置された後、コントローラは、第1サーボモータ34の制御部に後退信号(ON信号)を送信する。後退信号を受信した第1サーボモータ34の制御部は、第1サーボモータ34を駆動させる。第1サーボモータ34の軸の回転によって第1スライドブロックが第1ガイドフレーム30の前方から後方へ向かって前後方向へ移動し、それによって第1走行フレーム32とともに切込装置55が切込加工エリア20において前後方向後方へ移動し、切込装置55がガラス板11の第1角部18a(前側縁16)の幅方向外方(切込加工開始位置)に位置する。
【0130】
切込加工では、ガラス板11が切込加工テーブル54に載置されると、図示はしていないが、切込加工テーブル54に設置された吸着パッドがガラス板11の下面13に当接し、バキューム機構が起動して吸着パッドがガラス板11の下面13を吸着保持する。ガラス板11が切込加工テーブル54の吸着パッドによって吸着保持された状態でガラス板11に対する以下の切込加工が行われる。
【0131】
切込装置55がガラス板11の第1角部18aの幅方向外方に位置した後、コントローラは、第1サーボモータ34の制御部に停止信号(OFF信号)を送信するとともに、第4サーボモータ61の制御部に駆動信号(ON信号)を送信する。停止信号を受信した第1サーボモータ34の制御部は、第1サーボモータ34を停止させ、駆動信号を受信した第4サーボモータ61の制御部は、第4サーボモータ61を駆動させる。第4サーボモータ61の軸の回転によってスライドブロック63aが切込加工エリア20の他方の側縁部48bから一方の側縁部48aに向かって送りネジ60aを幅方向へ移動し、それによって切込加工テーブル54が切込加工エリア20の他方の側縁部48bの側から一方の側縁部48aの側に向かって幅方向へ移動し、切込装置55の切込カッターホイール67がガラス板11の第1角部18aに位置する。
【0132】
切込装置55の切込カッターホイール67がガラス板11の第1角部18aに位置した後、コントローラは、切込装置55のエアシリンダー65及び第5サーボモータ66の制御部に駆動信号(ON信号)及びNC制御信号を送信し、第1サーボモータ34の制御部に後退信号(ON信号)及びNC制御信号を送信するとともに、第4サーボモータ61の制御部にNC制御信号を送信する。駆動信号(ON信号)やNC制御信号を受信した切込装置55のエアシリンダー65の制御部、第5サーボモータ66の制御部、第1サーボモータ34の制御部、第4サーボモータ61の制御部は、エアシリンダー65及び第5サーボモータ66、第1サーボモータ34、第4サーボモータ61を駆動し、ガラス板11の第1側縁14近傍(第1側縁部)に対してNC制御による輪郭制御運動を実施し、切込カッターホイール67がガラス板11の第1側縁14近傍(第1側縁部)を切込加工する(切込加工手段)。
【0133】
エアシリンダー65及び第5サーボモータ66、第1サーボモータ34、第4サーボモータ61の駆動により、切込カッターホイール67がNC制御による輪郭制御運動によってガラス板11に外形切出線K1を形成しつつ、第1角部18a→第2角部18b→第3角部18c→第4角部18d→第1角部18aに向かって順に移動する。切込カッターホイール67によるガラス板11への切込加工が終了すると、切込装置55がガラス板11の第1角部18a(前端縁16)の幅方向外方(切込加工開始位置)に移動し、待機する。
【0134】
図25は、折割カッターホイール93の転動方向変更の一例を示す図であり、
図26は、折割カッターホイール93の転動方向変更の他の一例を示す図である。
図27は、折割カッターホイール93の転動方向変更の他の一例を示す図であり、
図28は、折割カッターホイール93の転動方向変更の他の一例を示す図である。
図29は、折割カッターホイール93の転動方向変更の他の一例を示す図であり、
図30は、折割カッターホイール93の転動方向変更の他の一例を示す図である。
図31は、折割加工における折割手順の一例を示す図である。
【0135】
ガラス板11の周縁エリア56bに対して切込加工が終了した後、ガラス板第2ホルダー40bによって切込加工後のガラス板11が切込加工エリア20から折割加工エリア21へ搬送される。折割加工エリア21では、切込加工後のガラス板11の外形切出線K1の外側に延びる周縁エリア56bに複数の端切線K2が形成されるとともに、外形切出線K1と端切線がK2とに囲繞されたガラス板11の周縁エリア56bが折割られる。
【0136】
折割加工では、図示はしていないが、研削加工エリア22から折割加工エリア21に移動したガラス板第3ホルダー40cがパッド昇降機構によって折割加工エリア21の折割加工テーブル74の上に下降し、ガラス板第3ホルダー40cの吸着パッド42が折割加工テーブル74に載置されたガラス板11の上面12に当接し、バキューム機構が起動して吸着パッド42がガラス板11を吸着しつつ、ガラス板第3ホルダー40cの吸着パッド42がガラス板11を下方へ押圧する。折割加工中、ガラス板11がガラス板第3ホルダー40cの吸着パッド42によって押圧下に支持される。
【0137】
切込加工後のガラス板11が折割加工テーブル74に載置された後、コントローラは、第1折割装置75a及び第2折割装置75bのホルダー昇降機構94(第1昇降機構)、第1押圧部材昇降機構96a(第2昇降機構)、第2押圧部材昇降機構96b(第3昇降機構)、第6サーボモータ85(X軸サーボモータ)、第7サーボモータ87(Y軸サーボモータ)、第8サーボモータ90(X軸サーボモータ)、第9サーボモータ91(Y軸サーボモータ)の各制御部に駆動信号(ON信号)を送信する。駆動信号を受信したホルダー昇降機構94の制御部、第1及び第2押圧部材昇降機構96a,96bの制御部、第6~第9サーボモータ85,87,90,91の制御部は、ホルダー昇降機構94、第1及び第2押圧部材昇降機構96a,96b、第6~第9サーボモータ85,87,90,91を駆動する。尚、あらかじめ設定された走行軌跡(折割軌跡)に沿って第1及び第2折割装置75a,75bがガラス板11aの上面12を走行するように、コントローラからホルダー昇降機構94、第1及び第2押圧部材昇降機構96a,96b、第6~第9サーボモータ85,87,90,91に走行指令(走行信号)が送信される。
【0138】
ホルダー昇降機構94、第1及び第2押圧部材昇降機構96a,96b、第6~第9サーボモータ85,87,90,91が駆動した第1折割装置75aは、第1折割治具84a(折割治具)がX軸第1アクチュエーター86a及びY軸第1アクチュエーター88aによって前後方向及び幅方向(斜め方向)へ移動し、第1折割治具84aがガラス板11の第1角部18aの幅方向外方の第1(初回)の端切線形成エリアにおける折割開始位置に位置する。ホルダー昇降機構94、第1及び第2押圧部材昇降機構96a,96b、第6~第9サーボモータ85,87,90,91が駆動した第2折割装置75bは、その第2折割治具84b(折割治具)がX軸第2アクチュエーター86b及びY軸第2アクチュエーター88bによって前後方向及び幅方向(斜め方向)へ移動し、第2折割治具84bがガラス板11a,11bの第4角部18dの幅方向外方の第1(初回)の端切線形成エリアにおける折割開始位置に位置する。
【0139】
第1折割治具84aがガラス板11の第1角部18aの折割開始位置(幅方向外方)に位置した後、X軸第1アクチュエーター86a及びY軸第1アクチュエーター88aによって前後方向、幅方向、斜め方向へ移動し、第1回(初回)の端切線形成箇所であってガラス板11の外周エリア56bの外周縁から内側に至近距離離間した位置である端切線形成始点135aに移動する。第1折割治具84aが端切線形成始点に移動した後、ホルダー昇降機構94(第1昇降機構)が稼働して折割カッターホルダー92がガラス板11の周縁エリア56bの上面12に向かって下降する(ホルダー下降手段)。
【0140】
第2折割治具84bがガラス板11の第4角部18dの折割開始位置(幅方向外方)に位置した後、X軸第2アクチュエーター86b及びY軸第2アクチュエーター88bによって前後方向、幅方向、斜め方向へ移動し、第1回(初回)の端切線形成箇所であってガラス板11の外周縁から内側に至近距離離間した位置である端切線形成始点135aに移動する。第2折割治具84bが端切線形成始点135aに移動した後、ホルダー昇降機構94(第1昇降機構)が稼働して折割カッターホルダー92がガラス板11の周縁エリア56bの上面12に向かって下降する(ホルダー下降手段)。尚、端切線形成始点135aがガラス板11の周縁エリア56bの外周縁であってもよく、又は、ガラス板11の上面12の上方であってガラス板11の周縁エリア56bの外周縁から外側に至近距離離間した位置であってもよい。
【0141】
折割カッターホルダー92が下降すると、折割カッターホイール93が第2押圧部材95bの中央に形成された貫通孔105から下方へ露出する。折割カッターホイール93が貫通孔105の下方へ露出すると、折割カッターホイール93が端切線形成始点135aにおけるガラス板11の上面12に所定の押圧力で当接する。このとき折割カッターホイール93の転動方向が決まっておらず、折割カッターホイール93の周縁101が四方のいずれかに向き、折割カッターホイール93の転動方向がガラス板11の周縁エリア56bにおける仮想端切線の延びる方向に一致していない。仮想端切線の延びる方向は、端切線形成始点135aから端切線形成終点135cに向かう方向である。端切線形成終点135cは、外形切出線K1から外側に至近距離離間した周縁エリア56bの位置である。
【0142】
コントローラは、折割カッターホイール93が所定の方向へ走行(移動)するように第6及び第7サーボモータ85,87の制御部に走行信号(ON信号)を送信する。走行信号を受信した第6及び第7サーボモータ85,87の制御部は、第7サーボモータ85,87を駆動する。第6及び第7サーボモータ85,87の駆動によってX軸第1アクチュエーター86a及びY軸第1アクチュエーター88aが作動し、折割カッターホイール93が所定の方向へわずかに走行(移動)することで、折割カッターホイール93にキャスター効果が発現し、折割カッターホイール93がカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転し、折割カッターホイール93の周縁101の転動(移動)方向が第1折割治具84a(折割カッターホルダー92)の走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)に向く(転動方向変更手段)。
【0143】
コントローラは、折割カッターホイール93が所定の方向へ走行(移動)するように第8及び第9サーボモータ90,91の制御部に走行信号(ON信号)を送信する。走行信号を受信した第8及び第9サーボモータ90,91の制御部は、第8及び第9サーボモータ90,91を駆動する。第8及び第9サーボモータ90,91の駆動によってX軸第2アクチュエーター86b及びY軸第2アクチュエーター88bが作動し、折割カッターホイール93が所定の方向へわずかに走行(移動)することで、折割カッターホイール93にキャスター効果が発現し、折割カッターホイール93がカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転し、折割カッターホイール93の周縁101の転動(移動)方向が第2折割治具84b(折割カッターホルダー92)の走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)に向く(転動方向変更手段)。
【0144】
尚、折割カッターホイール93(第1及び第2折割治具84a,84b)の所定の方向への走行寸法(移動寸法)は、0.8~8mm、好ましくは、1~5mmである。又、端切線形成始点135aとガラス板11の周縁エリア56bの周縁との離間寸法は、1~15mmの範囲、好ましくは、3~10mmの範囲にあり、端切線形成終点135cと外形切出線K1との離間寸法は、1~10mmの範囲、好ましくは、1~5mmの範囲にある。
【0145】
折割カッターホイール93の転動方向変更の一例は、
図25に示すように、端切線形成始点135aから外方へわずかに離間した周縁エリア56bの外周縁の内側近傍の転動方向変更始点135bから端切線形成始点135aに向かって第1折割治具84a(折割治具)及び第2折割治具84b(折割治具)が直線状に走行(移動)し(走行寸法:0.8~8mm、好ましくは、1~5mm)、折割カッターホイール93の周縁101が端切線形成始点135aに位置したときに、折割カッターホイール93の周縁101の転動(移動)方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)に向かう。
【0146】
折割装置75は、折割カッターホイール93のカッターホイール軸線O3が折割カッターホルダー92(ホルダー本体97)のカッターホルダー中心軸線O2に対して径方向外方へ偏芯し、折割カッターホイール93がキャスター効果を有するから、周縁エリア56bの外縁の内側近傍の転動方向変更始点135bから端切線形成始点135aに向かって第1折割治具84a及び第2折割治具84bを直線状にわずかに走行させるだけで(折割治具84a,84bが端切線K2の端切線形成始点135aを含むその近傍から所定の方向へわずかに走行(移動)するだけで)、折割カッターホイール93がカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)へ回転し、折割カッターホイール93の周縁101の転動(回転)方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)へ向き、カッターホイール軸線の周り方向(軸回り)へ折割カッターホイール93を確実に回転させることができ、折割カッターホイール93の周縁101の転動方向を迅速かつ容易に変えることができるとともに、折割カッターホイール93の転動方向を折割治具84a,84bの走行方向(仮想端切線の延びる方向)に正確に一致させることができる。
【0147】
折割カッターホイール93の転動方向変更の他の一例は、
図26に示すように、端切線形成始点135aから側方へわずかに離間した転動方向変更始点135bから端切線形成始点135aに向かって第1折割治具83a(折割治具)及び第2折割治具83b(折割治具)が円形状(半円形状)に走行(移動)し(走行寸法:0.8~8mm、好ましくは、1~5mm)、折割カッターホイール93の周縁101が180°旋回して円軌跡(半円軌跡)を画き、カッターホイール93の周縁101が端切線形成始点135aに位置したときに、折割カッターホイール93の周縁101の転動(移動)方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)に向かう。
【0148】
折割カッターホイール93の転動方向変更の他の一例は、
図27,28に示ように、端切線形成始点135aの近傍の転動方向変更始点135bから端切線形成始点135aに向かって第1折割治具83a(折割治具)及び第2折割治具83b(折割治具)が円形状(真円状)に走行(移動)し(走行寸法:0.8~8mm、好ましくは、1~5mm)、又は、転動方向変更始点135bから端切線形成始点135aに向かって第1折割治具83a及び第2折割治具83bが円形状(真円状)に走行し(走行寸法:0.8~8mm、好ましくは、1~5mm)、折割カッターホイール93の周縁101が360°旋回して円軌跡(真円)を画き、カッターホイール93の周縁101が再び端切線形成始点135aに位置したときに、折割カッターホイール93の周縁101の転動(移動)方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行(移動)方向である仮想端切線の延びる方向に向かう。
図26では、端切線形成始点135aが第1折割治具84aと第2折割治具84bとが画く円軌跡(真円)の接点に位置し、端切線K2が円軌跡(真円)の接線方向へ延びている。
図27では、端切線形成始点135aが第1折割治具84aと第2折割治具84bとが画く円軌跡(真円)の上に位置し、端切線K2が円軌跡(真円)の径方向へ延びている。
【0149】
折割装置75は、第1及び第2折割治具84a,84bが端切線K2の端切線形成始点135aを含むその近傍から円形状に走行(移動)して円軌跡を画くだけで(折割治具84a,84bが端切線K2の端切線形成始点135aを含むその近傍から所定の方向へわずかに走行(移動)するだけで)、折割カッターホイール93がカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)へ回転し、折割カッターホイール93の周縁101の転動(回転)方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)へ向くから、カッターホイール軸線の周り方向(軸回り)へ折割カッターホイール93を確実に回転させることができ、折割カッターホイール93の周縁101の転動方向を迅速かつ容易に変えることができるとともに、折割カッターホイール93の転動方向を折割治具84a,84bの走行方向(仮想端切線の延びる方向)に正確に一致させることができる。
【0150】
折割カッターホイール93の転動方向変更の他の一例は、
図29に示すように、端切線形成始点135aから側方へわずかに離間した転動方向変更始点135bから端切線形成始点135aに向かって直線状に延びる走行線と端切線形成始点135aから端切線形成終点135cに向かって直線状に延びる仮想端切線とのなす角度が90°(又は90°以下)になるように、第1折割治具84a及び第2折割治具84bを転動方向変更始点135bから端切線形成始点135aに向かって直線状(直線軌道)にわずかに走行(走行寸法:0.8~8mm、好ましくは、1~5mm)させ、折割カッターホイール93の転動方向を走行線の延びる方向へ変えた後、端切線形成始点135aにおいて第1折割治具84a及び第2折割治具84bの走行方向を90°(又は90°以下)の角度で仮想端切線の延びる方向へ方向転換させ、第1折割治具84a及び第2折割治具84bを仮想端切線の延びる方向へ走行させる。尚、
図28では、直線状の走行線と直線状の仮想端切線とのなす角度が90°の場合を説明したが、走行線と仮想端切線とのなす角度が45°、30°、15°等の90°以下であればよい。
【0151】
折割装置75は、ガラス板11の周縁エリア56bにおける仮想端切線の延びる方向と端切線形成始点135aに向かう第1折割治具84a及び第2折割治具84bの走行方向とのなす角度が90°以下になるように、端切線形成箇所におけるガラス板11の周縁エリア56bの上面12において第1及び第2折割治具84a,84bを転動方向変更始点135bから端切線形成始点135aに向かって直線状に走行させ、折割カッターホイール93の転動方向を折割治具の走行方向へ変えた後、端切線形成始点135aにおいて第1及び第2折割治具84a,84bの走行方向を90°以下の角度で仮想端切線の延びる方向へ方向転換させるだけで(折割治具84a,84bが端切線K2の端切線形成始点135aを含むその近傍から所定の方向へわずかに走行(移動)するだけで)、折割カッターホイール93がカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)へ回転し、折割カッターホイール93の周縁101の転動(回転)方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)へ向くから、カッターホイール軸線の周り方向(軸回り)へ折割カッターホイール93を確実に回転させることができ、折割カッターホイール93の周縁101の転動方向を迅速かつ容易に変えることができるとともに、折割カッターホイール93の転動方向を折割治具84a,84bの走行方向(仮想端切線の延びる方向)に正確に一致させることができる。
【0152】
折割カッターホイール93の転動方向変更の他の一例は、
図30に示すように、端切線形成始点135aから仮想端切線(端切線形成終点135c)に向かってわずかに離間した転動方向変更始点135bから仮想端切線上に沿って端切線形成始点135aに向かって直線状(直線軌道)にわずかに走行(走行寸法:0.8~8mm、好ましくは、1~5mm)させ、又は、端切線形成始点135aから仮想端切線(端切線形成終点135c)に向かってわずかに離間した転動方向変更始点135bから仮想端切線上を端切線形成始点135aに向かって直線状(直線軌道)にわずかに走行(走行寸法:0.8~8mm、好ましくは、1~5mm)させ、折割カッターホイール93の転動方向を仮想端切線の延びる方向へ変えた後、端切線形成始点135aにおいて第1折割治具84a及び第2折割治具84bを反転(180°Uターン)させて仮想端切線の延びる方向へ第1折割治具84a及び第2折割治具84bの走行方向を方向転換させ、第1折割治具84a及び第2折割治具84bを仮想端切線の延びる方向へ走行させる。
【0153】
折割装置75は、端切線形成箇所のガラス板11の周縁エリア56bにおける仮想端切線に沿って折割治具84a,84bを端切線形成始点135a近傍から端切線形成始点135aに向かって走行させ、又は、折割治具84a,84bをガラス板11の周縁エリア56bにおける仮想端切線上を端切線形成始点135a近傍から端切線形成始点135aに向かって走行させ、折割カッターホイール93の転動方向を折割治具の走行方向へ変えた後、端切線形成始点135aにおいて折割治具84a,84bを反転させて仮想端切線の延びる方向へ折割治具84a,84bの走行方向を方向転換させるだけで(折割治具84a,84bが端切線K2の端切線形成始点135aを含むその近傍から所定の方向へわずかに走行(移動)するだけで)、折割カッターホイール93がカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)へ回転し、折割カッターホイール93の周縁101の転動(回転)方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)へ向くから、カッターホイール軸線の周り方向(軸回り)へ折割カッターホイール93を確実に回転させることができ、折割カッターホイール93の周縁101の転動方向を迅速かつ容易に変えることができるとともに、折割カッターホイール93の転動方向を折割治具84a,84bの走行方向(仮想端切線の延びる方向)に正確に一致させることができる。
【0154】
折割装置75は、折割装置75の第1及び第2折割治具84a,84bをガラス板11の周縁エリア56bの外周縁を含むその近傍における端切線形成始点135aから外形切出線K1の外側近傍の端切線形成終点135cに向かって移動させ、ガラス板11の周縁エリア56bの端切線形成箇所に端切線形成始点135aから端切線形成終点135cに向かって延びる端切線K2を形成するから、外形切出線K1から外側に至近距離離間した位置である端切線形成終点135cを含むその近傍において端切線K2の深さが浅くなることはなく、端切線形成終点135cを含むその近傍において十分な深さの端切線K2を形成することができ、外形切出線K1の外側に延びるガラス板11の周縁エリア56bを折割るときに、ガラス板11の折割が外形切出線K1からその外側に至近距離離間した位置である端切線形成終点135cに伝わるとともに端切線形成終点135cからガラス板11の外周縁又は外周縁から内側に至近距離離間した位置或いはガラス板11の上面12の上方であって外周縁から外側に至近距離離間した位置である端切線K2の端切線形成始点135aに伝わり、折割加工においてガラス板11の折割を外形切出線K1から各端切線K2に向かって伝えることができ、ガラス板11の外形切出線K1の外側の周縁エリア56b全体を円滑かつ確実に折割ることができる。折割装置55は、外形切出線K1と各端切線K2とにおいてガラス板11の周縁エリア56bを確実に割断することができ、ガラス板11を外形切出線K1に沿って綺麗に折割ることができるとともに、外形切出線K1の外側近傍における折割り(割断)不足によるかえし(バリ)の発生を防ぐことができる。
【0155】
折割装置75は、加工対象のガラス板11の周縁エリア56における各端切線形成箇所において、折割カッターホイール93の周縁101の転動方向を第1及び第2折割治具84a,84bの走行方向(ガラス板11の周縁エリア56の仮想端切線の延びる方向)に一致させつつ、それら端切線形成箇所に端切線K2を入れることができ、短時間に複数の端切線K2をガラス板11の周縁エリア56bの端切線形成箇所に効率よく形成することができる。折割装置55は、折割カッターホルダー93のカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)へ(回転中心周りに)折割カッターホイール93自体を回転運動させ、折割カッターホイール93自体を回転運動させる回転制御軸を折割カッターホルダー92のカッターホルダー中心軸線O2とし、折割カッターホイール93の転動方向(折割治具84a,84bの移動方向)に回転制御軸の角度を合わせることによって偏芯による誤差を最小限にすることができる。
【0156】
ガラス板加工システム10は、第1及び第2折割治具84a,84bを端切線形成始点135a又はその近傍におけるガラス板11の周縁エリア56bの上面12に平行してガラス板11の上面12を所定の方向へ向かってわずかに走行させる(円軌跡、又は、直線軌道)ことで、折割カッターホイール93がキャスター効果を発揮し、折割カッターホイール93の周縁101の転動方向が第1折割治具84aの走行方向(仮想端切線の延びる方向)に変更されるとともに、折割カッターホイール93の周縁101の転動方向が第2折割治具84bの走行方向(仮想端切線の延びる方向)に変更される。
【0157】
転動方向変更手段によって折割カッターホイール93の周縁101の転動方向を第1及び第2折割治具84a,84bの走行方向(仮想端切線の延びる方向)へ変更し、折割カッターホイール93の転動方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行方向と同一になった後、第1折割治具84a及び第2折割治具84bが端切線形成始点135aから外形切出線K1の近傍の端切線形成終点135cに向かって直線状に走行し、折割カッターホイール93がガラス板11の周縁エリア56bの端切線形成箇所に端切線形成始点135aから端切線形成終点135cに向かって延びる直線状の第1回(初回)の端切線K2(スクライブ)を形成する(端切線形成手段)。第1折割治具84aと第2折割治具84bとは同一の速度で走行する。
【0158】
端切線形成手段では、第1支持装置76aが第1折割装置75aと同期して移動しつつ、第1及び第2支持部材107a,107bの第1及び第2支持面116a,116bがガラス板11の外形切出線K1の外側に延びる周縁エリア56bの下面13を支持した状態で、第1折割治具84aの折割カッターホイール93がガラス板11の周縁エリア56bに端切線K2を形成する。折割装置は、第1及び第2支持部材107a,107bの第1及び第2支持面116a,116bがガラス板11の周縁エリア56bの下面13を支持することで周縁エリア56bの弾性変形を防ぐことができ、ガラス板11の周縁エリアを水平に保持した状態で、周縁エリア56bに端切線K2を確実に形成することができる。
【0159】
ガラス板11の周縁エリア56bの第1回(初回)の端切線形成箇所に端切線K2を形成した後、ホルダー昇降機構94(第1昇降機構)が稼働して折割カッターホルダー92がガラス板11の周縁エリア56bの端切線形成終点135cから上昇する(ホルダー上昇手段)。ホルダー上昇手段によって折割カッターホルダー92を上昇させた後、X軸第1及び第2アクチュエーター86a,86b及びY軸第1及び第2アクチュエーター88a,88bの作動によって第1及び第2折割装置75a,75bを第1回(初回)の押圧エリアに移動させる(折割装置移動手段)。
【0160】
折割装置移動手段によって第1及び第2折割装置75a,75bを第1回(初回)の押圧エリアに移動させた後、
図30に示すように、第1押圧部材昇降機構96a(第2昇降機構)によって第1及び第2折割装置75a,75bの第1押圧部材95aが上下方向へ下降し、第1押圧部材95aの第1押圧面104aと第1及び第2支持部材107a,107bの第1及び第2支持面116a,116bとがガラス板11の本体部56a及び周縁エリア56bを挟み込む(ガラス板挟持手段)。
【0161】
ガラス板挟持手段では、第1押圧部材昇降機構96aによって第1及び第2折割装置75a,75bの第1押圧部材95aが下降したときに、第1押圧部材95aの半円環状に成形された第1押圧面104aが外形切出線K1を跨いで(横切って)外形切出線K1の外側近傍に延びるガラス板11の周縁エリア56bの上面12と外形切出線K1の内側近傍に延びるガラス板11の本体部56aの上面12とに当接する。
【0162】
ガラス板挟持手段では、第2支持部材昇降機構108(第4昇降機構)によって第1及び第2支持部材107a,107bが上昇したときに、第2支持部材107bの円環状に成形された第2支持面116bが外形切出線K1を跨いで(横切って)外形切出線K1の外側近傍に延びるガラス板11の周縁エリア56bの下面13と外形切出線K1の内側近傍に延びるガラス板11の本体部56aの下面13とを支持し、第1支持部材107aの真円状に成形された第1支持面116aが外形切出線K1の内側近傍に延びるガラス板11の本体部56aの下面13を支持するとともに、第1支持面116aの外周縁近傍が外形切出線K1の外側近傍に延びるガラス板11の周縁エリア56bの下面13を支持する。
【0163】
ガラス板挟持手段によって第1押圧部材95aの第1押圧面104aと第1及び第2支持部材107a,107bの第1及び第2支持面116a,116bとがガラス板11の本体部56a及び周縁エリア56bを挟み込んだ後、第2支持部材昇降機構108(第4昇降機構)によって第2支持部材107bが第1回(初回)の押圧エリアにおいて上下方向へ下降する(第2支持部材下降手段)。第2支持部材107bが下降すると、ガラス板11の下面13と第2支持面116bとの間に間隙(第1支持面116aと第2支持面116bとの間に段差)が形成される。尚、第1押圧部材95aの第1押圧面104aと第1支持部材107aの第1支持面116aとによるガラス板11の本体部56aの挟み込みが維持される。
【0164】
第2支持部材下降手段によって第2支持部材107bが下降した後、第1押圧部材95aの第1押圧面104a及び第1支持部材107aの第1支持面116aによるガラス板11の本体部56aの挟み込みを維持しつつ、第2押圧部材昇降機構96b(第3昇降機構)によって第2押圧部材95bが上下方向へ下降し、第2押圧部材95bの円環状に成形された第2押圧面104bが外形切出線K1の外側近傍に延びるガラス板11の周縁エリア56bの上面12に当接し、第2押圧部材95bの第2押圧面104bが外形切出線K1の外側に延びるガラス板11の周縁エリア56bを下方へ押圧する。第2押圧面104bが周縁エリア56bを下方へ押圧することで、周縁エリア56bが折割られる(縁部折割手段)。縁部折割手段では、ガラス板11の本体部56aと周縁エリア56bとが切り離される。折割られた(切り離された)ガラス板11の周縁エリア56bは、ベルトコンベア77の上に残存する。
【0165】
第1回(初回)の押圧エリアにおいて縁部折割手段によって周縁エリア56bを折割った後、第2支持部材昇降機構108(第4昇降機構)によって第2支持部材107bが上下方向へ上昇し、第1押圧部材昇降機構96a(第2昇降機構)によって第1押圧部材95aが上下方向へ上昇するとともに、第2押圧部材昇降機構96b(第3昇降機構)によって第2押圧部材95bが上下方向へ上昇する。
【0166】
第1及び第2押圧部材95a,95b及び第2支持部材107bが上昇した後、第1及び第2折割装置75a,75bをガラス板11の周縁エリア56bの第2回(次回)の端切線形成箇所に移動させる(折割装置移動手段)。第1折割治具84aがガラス板11の幅方向外方における第2回(次回)の端切線形成箇所の折割開始位置に位置し、第2折割治具84bがガラス板11の幅方向外方における第2回(次回)の端切線形成箇所の折割開始位置に位置する。尚、第1及び第2折割装置75a,75bと同期(シンクロ)して第1及び第2支持装置76a,76bが第2回(次回)の端切線形成箇所の折割開始位置に移動する。
【0167】
第1及び第2折割装置75a,75bが第2回(次回)の端切線形成箇所におけるの折割開始位置に移動した後、ホルダー昇降機構94(第1昇降機構)が稼働して折割カッターホルダー92がガラス板11の周縁エリア56bの上面12に向かって下降し(ホルダー下降手段)、折割カッターホイール93が第2押圧部材95bの中央に形成された貫通孔105から下方へ露出して折割カッターホイール93が第2回(次回)の端切線形成箇所におけるガラス板11の上面12に所定の押圧力で当接する。
【0168】
ホルダー下降手段によって折割カッターホルダー92が第2回(次回)の端切線形成箇所におけるガラス板11の周縁エリア56bの上面12に下降(当接)した後、既述のように、第1及び第2折割治具84a,84b(折割治具)が円形状に走行をして円軌跡を画き、又は、第1及び第2折割治具84a,84bが端切線形成始点135aに向かって直線状に走行し、折割カッターホイール93にキャスター効果が発現して折割カッターホイール93の周縁101の転動(移動)方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)に向き(転動方向変更手段)、折割カッターホイール93の周縁101の転動(移動)方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行方向(仮想端切線の延びる方向)へ変更される。
【0169】
折割カッターホイール93の周縁101の転動方向を第1及び第2折割治具84a,84bの走行方向(仮想端切線の延びる方向)へ変更し、折割カッターホイール93の転動方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行方向と同一になった後、第1折割治具84a及び第2折割治具84bが端切線形成始点135aから外形切出線K1の近傍の端切線形成終点135cに向かって直線状に走行し、折割カッターホイール93がガラス板11の周縁エリア56bの端切線形成箇所に端切線形成始点135aから端切線形成終点135cに向かって延びる直線状の第2回(次回)の端切線K2(スクライブ)を形成する(端切線形成手段)。
【0170】
ガラス板11の周縁エリア56bの第2回(次回)の端切線形成箇所に端切線K2を形成した後、ホルダー昇降機構94(第1昇降機構)によって折割カッターホルダー92がガラス板11の周縁エリア56bの端切線形成終点135cから上昇する(ホルダー上昇手段)。折割カッターホルダー92が上昇した後、第1及び第2折割装置75a,75bが第2回(次回)の押圧エリアに移動する(折割装置移動手段)。
【0171】
第1及び第2折割装置75a,75bが第2回(次回)の押圧エリアに移動した後、第1押圧部材昇降機構96a(第2昇降機構)によって第1及び第2折割装置75a,75bの第1押圧部材95aが上下方向へ下降し、第2回(次回)の押圧エリアにおいて第1押圧部材95aの第1押圧面104aと第1及び第2支持部材107a,107bの第1及び第2支持面116a,116bとがガラス板11の本体部56a及び周縁エリア56bを挟み込む(ガラス板挟持手段)。第1押圧部材95aの第1押圧面104aと第1及び第2支持部材107a,107bの第1及び第2支持面116a,116bとがガラス板11の本体部56a及び周縁エリア56bを挟み込んだ後、第2支持部材昇降機構108(第4昇降機構)によって第2支持部材107bが第2回(次回)の押圧エリアにおいて上下方向に下降する(第2支持部材下降手段)。
【0172】
第2支持部材107bが下降した後、第1押圧部材95aの第1押圧面104a及び第1支持部材107aの第1支持面116aによるガラス板11の本体部56aの挟み込みを維持しつつ、第2押圧部材昇降機構96b(第3昇降機構)によって第2押圧部材95bが上下方向へ下降し、第2回(次回)の押圧エリアにおいて第2押圧部材95bの第2押圧面104bが外形切出線K1の外側に延びるガラス板11の周縁エリア56bを下方へ押圧する。第2押圧面104bが周縁エリア56bを下方へ押圧することで、周縁エリア56bが折割られる(縁部折割手段)。折割られた(切り離された)ガラス板11の周縁エリア56bは、ベルトコンベア77の上に残存する。
【0173】
ガラス板加工システム10(折割装置75a,75b)は、ホルダー昇降機構94(第1昇降機構)、第1及び第2押圧部材昇降機構96a,96b(第2及び第3昇降機構)によって折割カッターホイール93と第1及び第2押圧部材95a,95bが上昇した後、第1及び第2折割装置75a,75bがガラス板11の上面の側において前後方向(水平方向)、幅方向(水平方向)、斜め方向(水平方向)へ移動し(折割装置移動手段)、第2支持部材昇降機構108(第4昇降機構)によって第2支持部材107bが上昇した後、第1及び第2支持装置76a,76bがガラス板11の下面13の側において第1及び第2折割装置75a,75bと同期(シンクロ)して前後方向(水平方向)、幅方向(水平方向)、斜め方向(水平方向)へ移動し(支持装置移動手段)、折割装置移動手段及び支持装置移動手段によって第1及び第2折割装置75a,75bと第1及び第2支持装置76a,76bとが同期して移動した後、第1折割装置75aと第1支持装置76aとが連携するとともに、第2折割装置75bと第2支持装置76bとが連携して端切線形成手段とガラス板挟持手段と縁部折割手段とを実施する。既述の手順を繰り返し、端切線K2が形成されたガラス板11のすべての周縁エリア56bが折割られる。尚、ガラス板11の大きさ(面積)や厚み寸法、外形切出線K1によって作られるガラス板11の本体の形状によって端切線K2の数が決定される。
【0174】
折割加工が終了し、折割加工後のガラス板11がガラス板第3ホルダー40cによって上方へ持ち上げられた後、コントローラは、コンベア駆動モータ78の制御部に駆動信号(ON信号)を送信する。駆動信号を受信したコンベア駆動モータ78の制御部は、ベルトコンベア77を駆動させ、ベルトコンベア77が幅方向の一方から他方へ向かって移動する。ベルトコンベア77の幅方向の移動によってベルトコンベア77に残存するガラス板11の折割られた周縁エリア56b(周縁部)が幅方向の一方から他方へ向かって次第に移動し、周縁エリア56bがベルトコンベア77から落下してダストボックス(図示せず)に収容される(廃棄される)。
【0175】
ガラス板11の折割加工が終了した後、ガラス板第3ホルダー40cによって折割加工後のガラス板11の本体部56aが折割加工エリア21から研削加工エリア22へ搬送され、ガラス板11の本体部56aが研削加工テーブル117に載置される。本体部56aが研削加工テーブル117に載置された後、コントローラは、研削加工テーブル117のバキューム機構の制御部に駆動信号(ON信号)を送信するとともに、第1サーボモータ34の制御部に後退信号(ON信号)を送信する。駆動信号を受信したバキューム機構の制御部は、バキューム機構を駆動させる。バキューム機構の駆動によってガラス板11の本体部56aが吸着パッド119(研削加工テーブル117)に吸着保持される。
【0176】
後退信号を受信した第1サーボモータ34の制御部は、第1サーボモータ34を駆動させる。第1サーボモータ34の軸の回転によって第1スライドブロックが第1ガイドフレーム30の前方から後方へ向かって前後方向へ移動し、それによって第1走行フレーム32とともに研削装置118が研削加工エリア22において前後方向後方へ移動し、研削装置118がガラス板11の本体部56aの第1角部(前側縁)の幅方向外方(研削加工開始位置)に位置する。尚、研削装置118は、切込装置55と同期してガラス板11の本体部56aの周縁部(側縁、前後端縁)を移動する。
【0177】
研削装置118がガラス板11の本体部56aの第1角部の幅方向外方(研削加工開始位置)に位置した後、コントローラは、第1サーボモータ34の制御部に停止信号(OFF信号)を送信するとともに、第14サーボモータ120の制御部に駆動信号(ON信号)を送信する。停止信号を受信した第1サーボモータ34の制御部は、第1サーボモータ34を停止させ、駆動信号を受信した第14サーボモータ120の制御部は、第14サーボモータ120を駆動させる。
【0178】
第14サーボモータ120の軸の回転によってスライドブロック63bが研削加工エリア22の他方の側縁部48bから一方の側縁部48aに向かって送りネジ60bを幅方向へ移動し、それによって研削加工テーブル117が研削加工エリア22の他方の側縁48b部の側から一方の側縁部48aの側に向かって幅方向へ移動し、研削装置117の研削ホイール127がガラス板11の本体部56aの第1角部に位置する。ガラス板11の本体部56aの第1角部は、研削治具121のカバー129のスリット131に進入する。
【0179】
研削装置118の研削ホイール127がガラス板11の第1角部に位置した後、コントローラは、研削装置118の第15~第17サーボモータ122~124の制御部に駆動信号(ON信号)及びNC制御信号を送信し、第1サーボモータ34の制御部に後退信号(ON信号)及びNC制御信号を送信するとともに、第14サーボモータ120の制御部にNC制御信号を送信する。尚、スピンドルモータ130は、ガラス板11が研削加工テーブル117に載置される以前に常時駆動している。駆動信号、NC制御信号を受信した第15~第17サーボモータ122~124の制御部及びスピンドルモータ130の制御部、第1サーボモータ34の制御部、第14サーボモータ120の制御部は、第15~第17サーボモータ122~124、スピンドルモータ130、第1サーボモータ34、第14サーボモータ120を駆動し、ガラス板11の本体部56aの一方の側縁近傍(一方の側縁部)に対してNC制御による輪郭制御運動を実施し、研削ホイール127がガラス板11の本体部56aの一方の側縁近傍を研削加工する(研削加工手段)。
【0180】
後退信号(ON信号)を受信した第1サーボモータ34の制御部は、研削加工中(切込加工中)に第1サーボモータ34を駆動させて研削装置118を研削加工エリア22において前後方向後方へ移動させ、第14サーボモータ120の制御部は、研削加工中(切込加工中)に第14サーボモータ120を駆動させて研削装置118を研削加工エリア22において幅方向へ往復動させる。研削装置118の研削ホイール127は、ガラス板11の本体部56aの縁(外形切出線K1)に沿ってガラス板11の本体部56aの一方の側縁近傍(一方の側縁部)を研削しつつ、ガラス板11の第1角部から第2角部に向かって移動する。
【0181】
研削装置118の研削ホイール127によってガラス板11の本体部56aの一方の側縁近傍(一方の側縁部)の研削加工が終了し、研削ホイール127がガラス板11の本体部56aの第2角部に位置した後、研削加工テーブル117が研削加工エリア22の一方の側縁部48aの側から他方の側縁部48bの側に向かって幅方向へ移動し、研削加工テーブル117の幅方向への移動に伴って研削ホイール127がガラス板11の本体部56aの後端縁近傍(後端縁部)を研削加工する(研削加工手段)。
【0182】
研削加工中(切込加工中)における第14サーボモータ120、第1サーボモータ34の駆動により、研削装置118の研削ホイール127がガラス板11の本体部56aの縁(外形切出線K1)に沿ってガラス板11の本体部56aを研削しつつ、研削ホイール127が本体部56aの第2角部18b→第3角部18c→第4角部18d→第1角部18aに向かって順に移動する。研削ホイール127によるガラス板11の本体部56aの研削加工が終了すると、研削装置118がガラス板11の本体部56aの第1角部(前端縁)の幅方向外方(研削加工開始位置)に移動し、待機する。
【0183】
ガラス板11の本体部56aの研削加工が終了した後、ガラス板第4ホルダー40dによって研削加工後のガラス板11の本体部56aが研削加工エリア22から搬出エリア23へ搬送される。搬出エリア23では、切込加工、折割加工、研削加工が終了したガラス板11の本体部56aが搬出コンベア134によって搬出エリア23の後端部から前端部に向かって前方へ移動し、各加工が終了したガラス板11の本体部56aが搬出エリア23から搬出される。
【0184】
各加工が終了したガラス板11の本体部56aが搬出エリア23の搬出コンベア134に位置すると、研削加工が終了したガラス板11の本体部56aが研削加工エリア22の研削加工テーブル117に位置し、折割加工が終了したガラス板11の本体部56aが折割加工エリア21の折割加工テーブル74に位置するとともに、切込加工が終了したガラス板11が切込加工エリア20の切込加工テーブル54に位置し、第1位置決め手段及び第2位置決め手段によって位置決めが行われた加工前のガラス板11が搬入エリア19の搬入コンベア43に位置する。このように、ガラス板加工システム10では、複数のガラス板11が搬入エリア19から搬出エリア23に向かって順に搬送され、複数のガラス板11の加工が連続して行われる。
【0185】
ガラス板加工システム10は、前記特許文献1に開示のガラス板加工システムに設置されたθ軸サーボモータやその回転力を折割カッターホルダーに伝達する伝達部材(プーリやベルト等)を設置する必要はなく、ガラス板加工システム10の小型化や省エネ化、低コスト化を図ることができる。更に、折割加工においてθ軸サーボモータを回転させて折割カッターホイール93の周縁101の転動方向をガラス板11の周縁エリア56の仮想端切線の延びる方向(第1及び第2折割治具84a,84b(折割治具)の走行方向)と同一にする必要はなく、端切線K2の形成の度毎にθ軸サーボモータを用いて折割カッターホイール93の周縁101の転動方向を変える必要がないから、ガラス板加工システム10における折割加工の短時間化及び効率化を図ることができる。
【符号の説明】
【0186】
10 ガラス板加工システム
11 ガラス板
12 上面
13 下面
14 第1側縁(一方の側縁)
15 第2側縁(他方の側縁)
16 前端縁
17 後端縁
18a~18d 第1~第4角部
19 搬入エリア
20 切込加工エリア
21 折割加工エリア
22 研削加工エリア
23 搬出エリア
24 搬送機構
25 機械台
26a,26b 第1及び第2ピラー
27 固定フレーム
28 第1移動ユニット
29 第2移動ユニット
30 第1ガイドフレーム
31 第1ガイドレール
32 第1走行フレーム
33 第1ガイドシュー
34 第1サーボモータ
35 第2ガイドフレーム
36 第2ガイドレール
37 第2走行フレーム
38 ガイドシュー
39 第2サーボモータ
40a~40d ガラス板第1~第4ホルダー
41 パッド設置プレート
42 吸着パッド
43 搬入コンベア
44 ストッパー
45 ローラー
45a ローラー
46 ローラー昇降機構
47 移動機構
48a 一方の側縁部
48b 他方の側縁部
49 軸
50 ロッド
51 第3サーボモータ
52 移動アーム
53 当接部材
54 切込加工テーブル
55 切込装置
56a 本体部
56b 周縁エリア
57a,57b ベースレーン
58a 第1移動機構
58b 第2移動機構
59a,59b 走行ガイドレール
60a,60b 送りネジ
61 第4サーボモータ
62a,62b ガイドシュー
63a,63b スライドブロック(ハウジングナット)
64 切込治具
65 エアシリンダー
66 第5サーボモータ
67 切込カッターホイール
68 切込カッターホルダー
69 カッター昇降軸
70 カッター昇降ガイド
71 支持軸
72 ブラケット
73 タイミングベルト
74 折割加工テーブル
75 折割装置
75a 第1折割装置
75b 第2折割装置
76a 第1支持装置
76b 第2支持装置
77 ベルトコンベア
78 コンベア駆動モータ
79 ベルト
80 プーリ
81 キャリアローラ
82 コンベアフレーム
83 懸垂フレーム
84a 第1折割治具
84b 第2折割治具
85 第6サーボモータ(X軸サーボモータ)
86a X軸第1アクチュエーター
86b X軸第2アクチュエーター
87 第7サーボモータ(Y軸サーボモータ)
88a Y軸第1アクチュエーター
88b Y軸第2アクチュエーター
89a 第1アクチュエーターフレーム
89b 第2アクチュエーターフレーム
90 第8サーボモータ(X軸サーボモータ)
91 第9サーボモータ(Y軸サーボモータ)
92 折割カッターホルダー
93 折割カッターホイール
94 ホルダー昇降機構
95a 第1押圧部材
95b 第2押圧部材
96a 第1押圧部材昇降機構(第2昇降機構)
96b 第2押圧部材昇降機構(第2昇降機構)
97 ホルダー本体
98 ホルダーヘッド
99 ベアリング
100 回転軸
101 周縁
102 連結部
103 ブラケット
104a 第1押圧面
104b 第2押圧面
105 貫通孔
106 ガイドフレーム
107a 第1支持部材
107b 第2支持部材
108 第2支持部材昇降機構(第4昇降機構)
109 第10サーボモータ(X軸サーボモータ)
110a X軸第3アクチュエーター
110b X軸第4アクチュエーター
111 第11サーボモータ(Y軸サーボモータ)
112a Y軸第3アクチュエーター
112b Y軸第4アクチュエーター
113a X軸第3アクチュエーターフレーム
113b X軸第4アクチュエーターフレーム
113c Y軸第3アクチュエーターフレーム
113d Y軸第4アクチュエーターフレーム
114 第12サーボモータ
115 第13サーボモータ
116a 第1支持面
116b 第2支持面
117 研削加工テーブル
118 研削装置
119 吸着パッド
120 第14サーボモータ
121 研削治具
122 第15サーボモータ
123 第16サーボモータ
124 第17サーボモータ
125 研削ホイール昇降ネジ
126 研削ホイール切込ネジ
127 研削ホイール
128 研削ホルダー
129 カバー
130 スピンドルモータ
131 スリット
132 モータハウジング
133 ブラケット
134 搬出コンベア
135a 端切線形成始点
135b 転動方向変更始点
135c 端切線形成終点
K1 外形切出線(切込線)
K2 端切線
L1 位置決め第1基準(仮想位置決め第1基準線)
L2 位置決め第2基準(仮想位置決め第2基準線)(中心線)
O1 側縁の前後方向中心
O2 カッターホルダー中心軸線
O3 カッターホイール軸線
S 離間寸法(偏芯寸法)
【手続補正書】
【提出日】2023-08-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の窓用ガラス板、液晶用ガラス板等の加工対象のガラス板の周縁エリアに端切線を形成し、端切線が形成されたガラス板の周縁エリアを折割る折割装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス板を搬入する搬入コンベアと、搬入コンベアの前方に位置する切込加工エリアと、切込加工エリアの前方に位置する折割加工エリアと、折割加工エリアの前方に位置する研削加工エリアと、研削加工エリアの前方に位置する搬出コンベアと、ガラス板を搬入コンベアから各加工エリアに搬送する搬送機構と形成されたガラス板加工システムが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
このガラス板加工システムの切込加工エリアは、位置決めされたガラス板を載置した状態で幅方向へ移動する第1移動機構を有する切込加工テーブルと、前後方向へ移動可能な切込装置とを有する。切込加工エリアでは、切込装置が切込加工テーブルに載置されたガラス板の周縁エリアの幅方向外方へ向かって前後方向後方へ移動した後、第1移動機構によって切込加工テーブルが切込装置に向かって幅方向へ移動し、切込装置を利用して切込加工テーブルに載置されたガラス板に外形切出線を形成する。折割加工エリアは、切込加工後のガラス板を載置する折割加工テーブルと、前後方向及び幅方向へ移動可能な折割装置とを有する。折割加工エリアでは、折割装置が折割加工テーブルに向かって前後方向後方へ移動した後、折割装置を利用して折割加工テーブルに載置されたガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に端切線(スクライブ)を形成するとともにガラス板の外形切出線の外側の周縁エリアを折割る。
【0004】
研削加工エリアは、折割加工後の位置決めされたガラス板本体を載置した状態で幅方向へ移動する第2移動機構を有する研削加工テーブルと、前後方向へ移動可能な研削装置とを有する。研削加工エリアでは、研削装置が研削加工テーブルに載置されたガラス板本体の周縁の幅方向外方へ向かって前後方向後方へ移動した後、第2移動機構によって研削加工テーブルが研削装置に向かって幅方向へ移動し、研削装置を利用して研削加工テーブルに載置されたガラス板本体の周縁を研削する。尚、切込加工と研削加工とは同期して行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に開示のガラス板加工システムの折割装置は、折割治具と、第1昇降機構(エアーシリンダー)と、押圧ローラーと、第2昇降機構(エアーシリンダー)とから形成されている。折割治具は、ガラス板の周縁エリアの所定の端切線形成箇所に端切線を形成する折割カッターホイールと、折割カッターホイールの上方に位置して折割カッターホイールを支持する折割カッターホルダーとから形成されている。折割カッターホルダーは、連結部を備えたホルダー本体と、ホルダー本体の先端に取り付けられたホルダーヘッドとを有する。折割カッターホルダーは、θ軸サーボモータの回転により、上下方向へ延びるカッターホルダー中心軸線に対して周り方向(軸回り)へ回転する。
【0007】
ホルダーヘッドは、ベアリングを介してホルダー本体に連結され、折割カッターホルダーのカッターホルダー中心軸線に対して周り方向(θ方向)へ回転可能である。ホルダー本体には、カッターホルダー中心軸線の周り方向へのホルダーヘッドの回転を規制する回転角度規制ピンが挿入されている。回転角度規制ピンによってカッターホルダー中心軸線の周り方向へのホルダーヘッドの回転が5~10°に規制されている。折割カッターホイールは、転動軸を介してホルダーヘッドの先端に回転可能に取り付けられている。折割カッターホイールの上下方向へ延びるカッターホイール軸線は、ホルダー本体のカッターホルダー中心軸線に対して径方向外方へ偏芯している。
【0008】
特許文献1に開示のガラス板加工システムにおける折割加工は、以下のとおりである。折割装置の折割治具と押圧ローラーとがX軸アクチュエーター及びY軸アクチュエーターによって前後方向(X方向)及び幅方向(Y方向)へ移動し、折割治具の折割カッターホイールがガラス板の外形切出線の外側近傍に位置し、押圧ローラーがガラス板の外形切出線の外側の周縁エリアに位置する。次に、θ軸サーボモータが回転することで、折割カッターホルダーがカッターホルダー中心軸線の周り方向(θ方向)へ回転し、折割カッターホイールの転動方向がガラス板の周縁エリアにおける仮想端切線の延びる方向(折割治具の移動方向)へ変わる。
【0009】
折割カッターホイールの転動方向が仮想端切線の延びる方向(折割治具の移動方向)と同一になった後、第1昇降機構によって折割治具がガラス板の上面であって外形切出線の外側近傍に向かって下降し、折割カッターホイールがガラス板の上面であって外形切出線の外側近傍に当接する。次に、折割装置がガラス板の外形切出線の外側近傍の端切線形成始点からガラス板の周縁の端切線形成終点に向かって直線状に移動し、折割カッターホイールによってガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に端切線を形成する。ガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に端切線を形成した後、折割装置の折割治具がガラス板の周縁エリアの所定の箇所に移動する。次に、第2昇降機構によって押圧ローラーがガラス板の上面に向かって下降し、ガラス板の上面に当接した押圧ローラーがガラス板の周縁エリアを下方に押圧することで、ガラス板の本体からガラス板の外形切出線の外側に延びる周縁エリアを折割る。
【0010】
特許文献1に開示のガラス板加工システムにおける折割加工では、ガラス板の外形切出線の外側近傍の端切線形成始点からガラス板の周縁に向かって端切線が形成されるが、端切線形成始点では端切線の深さが浅くなり、押圧ローラーによって周縁エリアを折割るときに、ガラス板の折割が端切線の端切線形成終点であるガラス板の周縁から端切線形成始点に向かうとともに外形切出線に伝わり、ガラス板の周縁エリアの折割が不十分になる場合があるとともに、ガラス板の周縁エリアにおける外形切出線の外側近傍に折割されないかえし(バリ)が生じる場合がある。
【0011】
又、θ軸サーボモータの回転により、折割カッターホイールの転動方向をガラス板の周縁エリアの端切線形成始点から端切線形成終点に向かう仮想端切線の延びる方向(折割治具の移動方向)へ変えるが、ガラス板加工システムにθ軸サーボモータやその回転力を折割カッターホルダーに伝達する伝達部材(プーリやベルト等)を設置しなければならず、システムの小型化や省エネ化、低コスト化を図ることができなかった。更に、折割加工においてθ軸サーボモータを回転させて折割カッターホイールの転動方向をガラス板の周縁エリアの仮想端切線の延びる方向(折割治具の移動方向)と同一にしなければならず、端切線の形成の度毎にθ軸サーボモータを用いて折割カッターホイールの転動方向を変える必要があり、折割加工の短時間化及び効率化を図ることができなかった。
【0012】
本発明の目的は、折割加工においてガラス板の折割を外形切出線から端切線に向かって伝えることができ、ガラス板の外形切出線の外側の周縁エリア全体を円滑かつ確実に折割ることができる折割装置を提供することにある。本発明の他の目的は、ガラス板を外形切出線に沿って綺麗に折割ることができ、外形切出線の外側近傍におけるかえし(バリ)の発生を防ぐことができる折割装置を提供することにある。本発明の他の目的は、θ軸サーボモータや伝達部材(プーリやベルト等)を利用することなく、折割加工において折割カッターホイールの転動方向をガラス板の周縁エリアの仮想端切線の延びる方向(折割治具の移動方向)へ容易に変えることができ、小型化や省エネ化、低コスト化を図ることができる折割装置を提供することにある。本発明の他の目的は、折割加工の短時間化及び効率化を図ることができる折割装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するための本発明の前提は、加工対象のガラス板に端切線を形成する折割カッターホイールと折割カッターホイールを支持する折割カッターホルダーとを備えた折割治具を利用し、ガラス板に外形切出線を形成した後、外形切出線の外側に延びるガラス板の周縁エリアに折割治具によって端切線を形成し、端切線が形成されたガラス板の周縁エリアを折割る折割装置である。
【0014】
前記前提における本発明の特徴は、折割装置が、折割治具をガラス板の外周縁を含むその近傍における端切線形成始点から外形切出線の外側近傍の端切線形成終点に向かって移動させ、ガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に端切線形成始点から端切線形成終点に向かって延びる端切線を形成することにある。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る折割装置によれば、折割治具をガラス板の外周縁を含むその近傍における端切線形成始点から外形切出線の外側近傍の端切線形成終点に向かって移動させ、ガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に端切線形成始点から端切線形成終点に向かって延びる端切線を形成するから、端切線形成終点である外形切出線の外側近傍において端切線の深さが浅くなることはなく、端切線形成終点を含むその近傍において十分な深さの端切線を形成することができ、外形切出線の外側に延びるガラス板の周縁エリアを折割るときに、ガラス板の折割が外形切出線から外形切出線の外側近傍の端切線の端切線形成終点に伝わるとともに端切線形成終点から端切線の端切線形成始点に伝わり、折割加工においてガラス板の折割を外形切出線から端切線に向かって伝えることができ、ガラス板の外形切出線の外側の周縁エリア全体を円滑かつ確実に折割ることができる。折割装置は、外形切出線と端切線とにおいてガラス板の周縁エリアを確実に割断することができ、ガラス板を外形切出線に沿って綺麗に折割ることができるとともに、外形切出線の外側近傍におけるかえし(バリ)の発生を防ぐことができる。
【0016】
端切線形成始点がガラス板の外周縁又は外周縁から内側に至近距離離間した位置或いは外周縁から外側に至近距離離間した位置であり、端切線形成終点が外形切出線から外側に至近距離離間した位置である折割装置は、外形切出線から外側に至近距離離間した位置である端切線形成終点を含むその近傍において十分な深さの端切線を形成することができ、外形切出線の外側に延びるガラス板の周縁エリアを折割るときに、ガラス板の折割が外形切出線からその外側に至近距離離間した位置である端切線形成終点に伝わるとともに端切線形成終点からガラス板の外周縁又は外周縁から内側に至近距離離間した位置或いは外周縁から外側に至近距離離間した位置である端切線の端切線形成始点に伝わり、折割加工においてガラス板の折割を外形切出線から端切線に向かって伝えることができ、ガラス板の外形切出線の外側の周縁エリア全体を円滑かつ確実に折割ることができる。
【0017】
折割カッターホイールの上下方向へ延びるカッターホイール軸線が折割カッターホルダーの上下方向へ延びるカッターホルダー中心軸線に対して径方向外方へ偏芯し、折割カッターホイールが折割カッターホルダーに対してカッターホルダー中心軸線の周り方向へ360°回転可能であり、折割治具をガラス板の周縁エリアの上面に平行して上面を端切線形成始点から端切線形成終点に向かってわずかに走行させ、又は、折割治具をガラス板の周縁エリアの上面に平行して上面を端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かってわずかに走行させ、ガラス板の周縁エリアの上面に当接する折割カッターホイールをカッターホルダー中心軸線の周り方向へ回転させ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向へ変更し、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向へ変更した後、折割治具が端切線形成終点に向かって走行することで、折割カッターホイールが折割治具の走行方向に沿ってガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に端切線を形成する折割装置は、折割カッターホイールのカッターホイール軸線が折割カッターホルダーのカッターホルダー中心軸線に対して径方向外方へ偏芯しているから、折割治具がガラス板の周縁エリアの上面の端切線形成始点から端切線形成終点に向かってわずかに走行(移動)し、又は、折割治具がガラス板の周縁エリアの上面の端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かってわずかに走行(移動)するだけで、折割カッターホイールがカッターホルダー中心軸線の周り方向(軸回り)へ回転し、折割カッターホイールの転動方向を迅速かつ容易に変えることができ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行(移動)方向と同一にすることができる。折割装置は、折割治具がガラス板の周縁エリアの上面に平行して上面を端切線形成始点から端切線形成終点に向かってわずかに走行し、又は、折割治具がガラス板の周縁エリアの上面に平行して上面を端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かってわずかに走行することで、ガラス板の周縁エリアの上面に当接する折割カッターホイールがカッターホルダー中心軸線の周り方向へ回転し、折割カッターホイールの転動方向が折割治具の走行(移動)方向と同一になるから、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向)に一致させることができ、ガラス板の縁部における端切線形成の一連の動きのうちの初動において折割カッターホイールの転動方向と折割治具の走行方向とを同一にすることができる。折割装置は、それが前記特許文献1に開示のガラス板加工システムと比較し、システムにθ軸サーボモータやその回転力を折割カッターホルダーに伝達する伝達部材(プーリやベルト等)を設置する必要はなく、ガラス板加工システムの小型化や省エネ化、低コスト化を図ることができる。更に、折割加工においてθ軸サーボモータを回転させて折割カッターホイールの転動方向をガラス板の周縁エリアの仮想端切線の延びる方向(折割治具の走行方向)と同一にする必要はなく、端切線の形成の度毎にθ軸サーボモータを用いて折割カッターホイールの転動方向を変える必要もないから、ガラス板加工システムにおける折割加工の短時間化及び効率化を図ることができる。折割装置は、端切線形成終点を含むその近傍において十分な深さの端切線を形成することができ、折割加工においてガラス板の折割を外形切出線から端切線に向かって伝えることができるとともに、外形切出線と端切線とにおいてガラス板の周縁エリアを確実に割断することができ、ガラス板の外形切出線の外側の周縁エリア全体を円滑かつ確実に折割ることができる。
【0018】
折割カッターホルダーを上下方向へ昇降させる第1昇降機構を含み、ガラス板の周縁エリアに対する端切線の形成時に、第1昇降機構によって折割カッターホルダーをガラス板の周縁エリアの上面に向かうとともに端切線形成始点又はその近傍に向かって下降させるとともに、折割カッターホイールをガラス板の周縁エリアの上面に当接させ、折割治具を端切線形成始点から端切線形成終点に向かってわずかに走行させ、又は、折割治具を端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かってわずかに走行させ、折割カッターホイールの転動方向が折割治具の走行方向と同一になった後、折割治具を端切線形成終点に向かって直線状に走行させることで、折割カッターホイールが折割治具の走行方向に沿ってガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に直線状の端切線を形成する折割装置は、第1昇降機構によって折割カッターホルダーをガラス板の縁部の上面に下降させた後、折割治具を端切線形成始点から端切線形成終点に向かってわずかに走行させ、又は、折割治具を端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かってわずかに走行させることで、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向と同一にすることができ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の周縁エリアの仮想端切線の延びる方向)に確実に一致させることができる。折割装置は、端切線形成終点を含むその近傍において十分な深さの端切線を形成することができ、折割加工においてガラス板の折割を外形切出線から端切線に向かって伝えることができるとともに、外形切出線と端切線とにおいてガラス板の周縁エリアを確実に割断することができ、ガラス板の外形切出線の外側の周縁エリア全体を円滑かつ確実に折割ることができる。
【0019】
ガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に端切線を形成した後、第1昇降機構によって折割カッターホルダーを前記端切線形成終点においてガラス板の上面から上昇させ、折割カッターホルダーを上昇させた後、折割治具をガラス板の周縁エリアの次回の端切線形成箇所に移動させ、折割治具を次回の端切線形成箇所に移動させた後、第1昇降機構によって折割カッターホルダーを次回の端切線形成箇所においてガラス板の周縁エリアの上面に向かうとともに端切線形成始点又はその近傍に向かって下降させ、折割カッターホルダーをガラス板の周縁エリアの上面に向かって下降させて周縁エリアの上面に当接させ、次回の端切線形成箇所におけるガラス板の周縁エリアの上面において折割治具を端切線形成始点から端切線形成終点に向かってわずかに走行させ、又は、次回の端切線形成箇所におけるガラス板の周縁エリアの上面において折割治具を端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かってわずかに走行させ、折割カッターホイールの転動方向を前記折割治具の走行方向へ変更し、折割カッターホイールの転動方向が折割治具の走行方向と同一になった後、次回の端切線形成箇所において折割治具を端切線形成終点に向かって直線状に走行させることで、折割カッターホイールが次回の端切線形成箇所に直線状の端切線を形成する折割装置は、加工対象のガラス板の周縁エリアにおける各端切線形成箇所において、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の周縁エリアの仮想端切線の延びる方向)に一致させつつ、それら端切線形成箇所に端切線を形成することができ、短時間に複数の端切線をガラス板の周縁エリアに効率よく形成することができる。
【0020】
端切線形成始点において端切線形成終点に向かって折割治具に円軌跡を画かせ、又は、端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かって折割治具に円軌跡を画かせることで、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向へ変更する折割装置は、ガラス板の周縁エリアにおける端切線形成始点において端切線形成終点に向かって折割治具に円軌跡を画かせ、又は、ガラス板の周縁エリアにおける端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かって折割治具に円軌跡を画かせることで、カッターホルダー中心軸線の周り方向(軸回り)へ折割カッターホイールを確実に回転させることができ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の周縁エリアの仮想端切線の延びる方向)に正確に一致させることができる。折割装置は、折割カッターホルダーの回転中心周りに折割カッターホイール自体を回転運動させ、折割カッターホイール自体を回転運動させる回転制御軸を折割カッターホルダーのカッターホルダー中心軸線とし、折割カッターホイールの転動方向(折割治具の走行方向)に回転制御軸の角度を合わせることによって偏芯による誤差を最小限にすることができる。
【0021】
ガラス板の周縁エリアにおける仮想端切線の延びる方向と端切線形成始点に向かう折割治具の走行方向とのなす角度が90°以下になるように、端切線形成箇所におけるガラス板の周縁エリアの上面において折割治具を端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かって直線状に走行させ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向へ変えた後、端切線形成始点において折割治具の走行方向を90°以下の角度で仮想端切線の延びる方向へ方向転換させ、折割治具を仮想端切線の延びる方向へ走行させる折割装置は、カッターホルダー中心軸線の周り方向(軸回り)へ折割カッターホイールを確実に回転させることができ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の周縁エリアの仮想端切線の延びる方向)に正確に一致させることができる。折割装置は、折割カッターホルダーの回転中心周りに折割カッターホイール自体を回転運動させ、折割カッターホイール自体を回転運動させる回転制御軸を折割カッターホルダーのカッターホルダー中心軸線とし、折割カッターホイールの転動方向(折割治具の走行方向)に回転制御軸の角度を合わせることによって偏芯による誤差を最小限にすることができる。
【0022】
端切線形成箇所のガラス板の周縁エリアにおける仮想端切線に沿って折割治具を端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かって走行させ、又は、折割治具をガラス板の周縁エリアにおける仮想端切線上を端切線形成始点の近傍から端切線形成始点に向かって走行させ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向へ変えた後、端切線形成始点において折割治具を反転させて仮想端切線の延びる方向へ折割治具の走行方向を方向転換させ、折割治具を端切線形成始点から端切線形成終点に向かって仮想端切線の延びる方向へ走行させる折割装置は、カッターホルダー中心軸線の周り方向(軸回り)へ折割カッターホイールを確実に回転させることができ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の周縁エリアの仮想端切線の延びる方向)に正確に一致させることができる。折割装置は、折割カッターホルダーの回転中心周りに折割カッターホイール自体を回転運動させ、折割カッターホイール自体を回転運動させる回転制御軸を折割カッターホルダーのカッターホルダー中心軸線とし、折割カッターホイールの転動方向(折割治具の走行方向)に回転制御軸の角度を合わせることによって偏芯による誤差を最小限にすることができる。
【0023】
端切線が形成されたガラス板の周縁エリアを押圧する押圧部材と、押圧部材を昇降させる第2昇降機構とを含み、折割カッターホイールによってガラス板の周縁エリアの端切線形成箇所に端切線が形成された後、押圧部材を第2昇降機構によってガラス板の周縁エリアに向かって下降させ、押圧部材がガラス板の周縁エリアを下方に向かって押圧することで、ガラス板の本体からガラス板の周縁エリアを折割る折割装置は、第2昇降機構によってガラス板の外形切出線の外側の周縁エリアの上面に当接した押圧部材がガラス板の周縁エリアを下方に向かって押圧することで、ガラス板の縁部の上面に当接した押圧部材がガラス板の縁部を下方に向かって押圧することで、外形切出線と端切線とにおいてガラス板の周縁エリアを確実に割断することができ、ガラス板の外形切出線の外側の周縁エリアを確実に折割ることができるとともに、折割加工を短時間に効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】折割装置を含むガラス板加工システムの側面図。
【
図3】ガラス板加工システムによって加工される加工対象のガラス板の一例を示す上面図。
【
図7】切込加工テーブル及び研削加工テーブルの上面図。
【
図8】切込加工テーブル及び研削加工テーブルの側面図。
【
図9】切込加工テーブル及び研削加工テーブルの移動を説明する図。
【
図10】切込加工エリアに設置された一例として示す切込装置の側面図。
【
図21】支持装置を露出させた折割加工テーブルの上面図。
【
図22】正面から支持装置を見た折割加工テーブルの正面図。
【
図25】折割カッターホイールの転動方向変更の一例を示す図。
【
図26】折割カッターホイールの転動方向変更の他の一例を示す図。
【
図27】折割カッターホイールの転動方向変更の他の一例を示す図。
【
図28】折割カッターホイールの転動方向変更の他の一例を示す図。
【
図29】折割カッターホイールの転動方向変更の他の一例を示す図。
【
図30】折割カッターホイールの転動方向変更の他の一例を示す図。
【
図31】折割加工における折割手順の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付の図面を参照し、本発明に係る折割装置の詳細を説明すると、以下のとおりである。
図1は、折割装置75を含むガラス板加工システム10の側面図であり、
図2は、
図1のガラス板加工システム10の上面図である。
図3は、ガラス板加工システム10によって加工される加工対象のガラス板11の一例を示す上面図である。
図3では、ガラス板11を搬入エリア19において位置決めされた状態で示す。
図1~
図3では、前後方向(X軸方向)を矢印X、幅方向(Y軸方向)を矢印Yで示し、上下方向(Z軸方向)を矢印Zで示す。
【0026】
ガラス板加工システム10において加工される加工対象のガラス板11(加工前のガラス板11)は、
図3に示すように、所定面積の上面12及び下面13を有するとともに、所定の厚みを有し、その平面形状が幅方向へ長い矩形(四角形)に成形されている。ガラス板11は、幅方向へ離間対向して前後方向へ延びる第1側縁14(一方の側縁)及び第2側縁15(他方の側縁)と、前後方向へ離間対向して幅方向へ延びる前端縁16及び後端縁17と、第1~第4角部18a~18dとを有する。尚、加工対象のガラス板の平面形状が矩形(四角形)以外の他の多角形に成形される場合があるとともに、ガラス板の各縁が湾曲したカーブを描くように成形される場合があり、ガラス板の形状としてはあらゆる形状が含まれる。
【0027】
ガラス板加工システム10は、加工対象のガラス板11(板状ガラス)に対し、切込加工、折割加工、研削加工を行う。ガラス板加工システム10は、その制御がコントローラ(図示せず)によって行われる。コントローラは、中央処理部(CPU又はMPU)とメモリ(メインメモリ及びキャッシュメモリ)とを備え、独立したオペレーティングシステムによって動作するコンピュータであり、大容量ハードディスク(大容量記憶領域)を内蔵している。
【0028】
コントローラの大容量ハードディスク(大容量記憶領域)には、加工対象の各ガラス板11の名称や品番、加工対象の各ガラス板11の大きさ(面積)や形状によって異なるガラス板11の複数の座標データ(ガラス板11の両側縁の座標、前後端縁の座標、第1~第4角部18a~18dの座標、ガラス板11の中心の座標等)、ガラス板11の画像データ(平面画像(6面画像)や立体画像(3D画像))がガラス板11を特定するガラス板特定情報(ガラス板特定識別子)に関連付けられた状態で記憶(格納)されている。ガラス板特定情報は、ガラス板11の製造番号やシリアル番号等が使用される他、コントローラがガラス板11を特定するユニークな識別子を生成し、生成した識別子をガラス板特定情報にすることもできる。
【0029】
コントローラは、切込(切断)加工エリア20における切込(切断)加工、折割エリア21における折割加工、研削加工エリア22における研削加工において、大容量ハードディスクに記憶したガラス板11の座標データを利用して搬入エリア19及び折割装置75をNC制御する。NC制御においてコントローラは、加工を開始する位置(XY平面座標)、加工方向の変更位置を座標によって数値化し、X軸(前後方向)及びY軸(幅方向)の2軸の動作方向、距離、速度を数値化する。命令座標及び軸を数値化した信号を切込装置55、折割装置75、研削装置118に送信(入力)する。NC制御では、「座標→軸→命令」を繰り返すことにより、加工したい形状を正確に表現する。
【0030】
ガラス板加工システム10は、加工前のガラス板11を投入する搬入エリア19と、加工後のガラス板11を搬出する搬出エリア23と、搬入エリア19及び搬出エリア23の間に配置されてガラス板11を加工する各加工エリア20~22と、前後方向後方(上流)から前方(下流)に向かってガラス板11を加工エリア20~22、搬出エリア23に順に搬送する搬送機構24とを有する。
【0031】
それら加工エリア20~22は、搬入エリア19の前後方向前方(下流)に位置する切込加工エリア20と、切込加工エリア20の前後方向前方(下流)に位置する折割加工エリア21と、折割加工エリア21の前後方向前方(下流)に位置する研削加工エリア22とから形成されている。切込加工エリア20や折割加工エリア21、研削加工エリア22は、前後方向へ長い四角形に成形された機械台25の上に作られている。
【0032】
搬送機構24は、機械台25の後部に位置して上下方向へ延びる一対の第1ピラー26aと、機械台25の前部に位置して上下方向へ延びる一対の第2ピラー26bと、第1及び第2ピラー26a,26bの間に位置して前後方向へ延びる固定フレーム27と、固定フレーム27の一方の側部に設置された第1移動ユニット28(第1移動手段)と、前記固定フレーム27とは別の固定フレーム27の下部に設置された第2移動ユニット29(第2移動手段)とを有する。
【0033】
第1移動ユニット28は、切込装置55及び研削装置118を前後方向(X軸方向)へ前進後退(直線移動)させる。第1移動ユニット28は、第1ガイドフレーム30と、一対の第1ガイドレール31と、第1送りネジ(ボールネジ)(図示せず)と、第1走行フレーム32と、複数の第1スライドブロック(ハウジングナット)(図示せず)と、一対の第1ガイドシュー33と、第1サーボモータ34とから形成されている(
図11参照)。
【0034】
固定フレーム27と第1ガイドフレーム30とは、第1及び第2ピラー26a,26bの間で連結されて前後方向へ延びている。それら第1ガイドレール31は、上下方向へ離間対向し、所定の固定手段によって第1ガイドフレーム30の一方の側部に固定されて前後方向へ延びている。第1送りネジ(ボールネジ)は、それら第1ガイドレール31の間に位置し、第1ガイドフレーム30の一方の側部に固定された複数の軸受け(図示せず)に回転可能に支持されて前後方向へ延びている。
【0035】
第1走行フレーム32は、第1ガイドフレーム30の一方の側部に所定間隔離間して前後方向へ延びている。それら第1スライドブロック(ボールねじナット)は、前後方向へ所定間隔離間して並び、第1走行フレーム32の第1ガイドフレーム30に対向する対向面に所定の固定手段によって固定されている。それら第1ガイドシュー33は、上下方向へ離間対向し、第1走行フレーム32の第1ガイドフレーム30に対向する対向面に所定の固定手段によって固定されて前後方向へ延びている。第1サーボモータ34は、第1ガイドフレーム30の前端部に位置し、ブラケットを介して第2ピラー26bに連結されている。第1サーボモータ34は、その軸が第1送りネジの他方の端部に連結・固定されている。
【0036】
第1サーボモータ34の軸が反時計回り方向へ回転すると、第1送りネジが反時計回り方向へ回転し、それによって第1スライドブロックが第1ガイドフレーム30の前方から後方へ向かって前後方向へ移動し、第1スライドブロックの移動によって第1走行フレーム32が第1ガイドフレーム30の前方から後方へ向かって前後方向へ直進移動する。逆に、第1サーボモータ34の軸が時計回り方向へ回転すると、第1送りネジが時計回り方向へ回転し、それによって第1スライドブロックが第1ガイドフレーム30の後方から前方へ向かって前後方向へ移動し、第1スライドブロックの移動によって第1走行フレーム32が第1ガイドフレーム30の後方から前方へ向かって前後方向へ直進移動する。
【0037】
第2移動ユニット29は、ガラス板第1~第4ホルダー40a~40dを前後方向(X軸方向)へ前進後退(直線移動)させる。第2移動ユニット29は、第2ガイドフレーム35と、一対の第2ガイドレール36と、第2送りネジ(ボールネジ)(図示せず)と、第2走行フレーム37と、複数の第2スライドブロック(ハウジングナット)(図示せず)と、一対のガイドシュー38と、第2サーボモータ39と、ガラス板第1~第4ホルダー40a~40d(ガラス板第1~第4リフター)とから形成されている(
図15参照)。
【0038】
固定フレーム27と第2ガイドフレーム35とは、第1及び第2ピラー26a,26bの間で連結されて前後方向へ延びている。それら第2ガイドレール36は、幅方向へ離間対向し、所定の固定手段によって第2ガイドフレーム35の下部に固定されて前後方向へ延びている。第2送りネジ(ボールネジ)は、それら第2ガイドレール36の間に位置し、第2ガイドフレーム35の下部に固定された複数の軸受け(図示せず)に回転可能に支持されて前後方向へ延びている。
【0039】
第2走行フレーム37は、第2ガイドフレーム35の下部に位置して前後方向へ延びている。それら第2スライドブロック(ハウジングナット)は、幅方向へ所定間隔離間して並び、第2走行フレーム37の第2ガイドフレーム35に対向する対向面に所定の固定手段によって固定されている。それらガイドシュー38は、幅方向へ離間対向し、第2走行フレーム37の第2ガイドフレーム35に対向する対向面に所定の固定手段によって固定されて前後方向へ延びている。第2サーボモータ39は、第2ガイドフレーム35の後端部に位置し、第2ガイドフレーム35に固定されている。第2サーボモータ39は、その軸がタイミングベルト(及び/又はギア)を介して第2送りネジの一方の端部に連結・固定されている。
【0040】
第2サーボモータ39の軸が時計回り方向へ回転すると、第2送りネジが反時計回り方向へ回転し、それによって第2スライドブロックが第2ガイドフレーム35の後方から前方へ向かって前後方向へ移動し、第2スライドブロックの移動によって第2走行フレーム37(ガラス板第1~第4ホルダー40a~40d)が第2ガイドフレーム35の後方から前方へ向かって前後方向へ直進移動する。逆に、第2サーボモータ39の軸が反時計回り方向へ回転すると、第2送りネジが反時計回り方向へ回転し、それによって第2スライドブロックが第2ガイドフレーム35の前方から後方へ向かって前後方向へ移動し、第2スライドブロックの移動によって第2走行フレーム37(ガラス板第1~第4ホルダー40a~40d)が第2ガイドフレーム35の前方から後方へ向かって前後方向へ直進移動する。第1及び第2サーボモータ34,39の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、信号線(有線又は無線)を介してコントローラに接続されている。
【0041】
ガラス板第1~第4ホルダー40a~40dは、第2走行フレーム37の下部に取り付けられて走行フレーム37から下方へ延在し、前後方向へ等間隔離間して並んでいる。ガラス板第1~第4ホルダー40a~40dは、前後方向へ延びるパッド設置プレート41と、パッド設置プレート41に設置されてガラス板11を吸着保持する吸着パッド42と、エアーバキュームポンプを備えたバキューム機構(エアー吸引装置)(図示せず)及びパッド昇降機構(図示せず)とを有する。パッド昇降機構には、エアシリンダーが使用されている。バキューム機構及びパッド昇降機構(エアシリンダー)の発停を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0042】
ガラス板第1ホルダー40aは、搬入エリア19から切込加工エリア20に向かって前進するとともに、切込加工エリア20から搬入エリア19に向かって後退する。ガラス板第2ホルダー40bは、切込加工エリア20から折割加工エリア21に向かって前進するとともに、折割加工エリア21から切込加工エリア20に向かって後退する。ガラス板第3ホルダー40cは、折割加工エリア21から研削加工エリア22に向かって前進するとともに、研削加工エリア22から折割加工エリア21に向かって後退する。ガラス板第4ホルダー40dは、研削加工エリア22から搬出エリア23に向かって前進するとともに、搬出エリア23から研削加工エリア22に向かって後退する。
【0043】
図4は、搬入エリア19の側面図であり、
図5は、搬入エリア19の上面図である。
図6は、搬入エリア19の正面図である。搬入エリア19は、搬入コンベア43と、ストッパー44及びローラー45と、一対のローラー昇降機構46と、移動機構47とを有する。搬入エリア19は、
機械台25の床面から上方へ延びる脚部によって支持されている。搬入エリア19では、第1位置決め手段(第1位置決め工程)と第2位置決め手段(第2位置決め工程)とが実施され、各加工エリア20~22に向かうガラス板11の位置決めが行われる。
【0044】
搬入エリア19の一方の側縁部48aには、前後方向へ延びる位置決め第1基準L1が設定され、幅方向へ延びる位置決め第2基準L2(
図3参照)が設定されている。位置決め第1基準L1は、ガラス板11の幅方向の一方において前後方向へ延びる第1側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁を基準に仮想された前後方向へ直状に延びる仮想線となる。最外側縁は、例えば、ガラス板11の第1側縁14(一方の側縁)が湾曲したカーブを描く場合、最も幅方向外方に位置する曲線の頂点となる。又、ガラス板11の第1側縁14(一方の側縁)が前後方向へ直状に延びている場合、その側縁14が最外側縁となる。
【0045】
位置決め第1基準L1には、ガラス板11の幅方向の一方において前後方向へ延びる第1側縁14(一方の側縁)のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁を位置させる。ここで、最外側縁を位置決め第1基準L1に位置させるとは、最外側縁が位置決め第1基準L1に完全に一致する場合の他、最外側縁が位置決め第1基準L1の幅方向内方近傍(直近)に位置する場合、又は、最外側縁が位置決め第1基準L1の幅方向外方近傍(直近)に位置する場合を含む。
【0046】
位置決め第2基準L2には、ガラス板11の幅方向の一方において前後方向へ延びる第1側縁14(一方の側縁)の前後方向中心O1(ガラス板11の前後方向の寸法を二分して幅方向へ延びる中心線L2)を位置させる。ここで、前後方向中心O1(中心線L2)を位置決め第2基準L2に位置させるとは、前後方向中心O1が位置決め第2基準L2に完全に一致する場合の他、前後方向中心O1が位置決め第2基準L2の前後方向前方近傍(直近)に位置する場合、又は、前後方向中心O1が位置決め第2基準L2の前後方向後方近傍(直近)に位置する場合を含む。
【0047】
コントローラ(ガラス板加工システム10)は、大容量ハードディスクに記憶したガラス板11の座標データを利用し、ガラス板11の幅方向の寸法を算出し、算出したガラス板11の幅方向(Y軸方向)の寸法の相違に応じてガラス板11の第1側縁14(一方の側縁)を位置決め第1基準L1(仮想位置決め第1基準線)に位置させるための幅方向への第1移動寸法(第1移動距離)を決定するとともに、決定した第1移動寸法に基づいて第3サーボモータ51の軸の回転数(ガラス板11を幅方向へ第1移動寸法だけ移動させるための軸の回転数)を決定する。コントローラは、決定した第1移動寸法及び決定した第3サーボモータ51の軸の回転数をガラス板11のガラス板特定情報に関連付けた状態で大容量ハードディスクに記憶(格納)する。
【0048】
コントローラは、大容量ハードディスクに記憶した各ガラス板11の座標データを利用し、ガラス板11の前後方向(X軸方向)の寸法を算出し、算出したガラス板11の前後方向の寸法の相違に応じてガラス板11の一方の側縁14の前後方向中心O1を位置決め第2基準L2(仮想位置決め第2基準線)に位置させるための搬入コンベア43の前後方向後方への第2移動寸法(第2移動距離)を決定する。コントローラは、決定した第2移動寸法をガラス板11のガラス板特定情報(ガラス板特定識別子)に関連付けた状態で大容量ハードディスクに記憶(格納)する。
【0049】
コントローラは、加工形状の座標データから切込装置55及び研削装置118の前後方向への移動寸法(移動距離)を算出し、算出した移動寸法に基づいて第1サーボモータ34の軸の回転数(切込装置55及び研削装置118を前後方向へ移動寸法だけ移動させる軸の回転数)を決定する。コントローラは、決定した移動寸法及び決定した第1サーボモータ34の軸の回転数をガラス板11のガラス板特定情報に関連付けた状態で大容量ハードディスクに記憶(格納)する。
【0050】
搬入コンベア43は、
図4~
図6示すように、前後方向(X軸方向)へ延びる複数の無限軌道であり、幅方向(Y軸方向)へ所定間隔離間して並んでいる。搬入コンベア43の発停や搬送距離を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。搬入コンベア43は、ガラス板11を搬入エリア19の後端部から前端部に向かって前後方向へ搬送する。ストッパー44は、搬入エリア19の前端部に設置されて幅方向へ離間して並んでいる。ストッパー44には、それら搬入コンベア43によって搬入エリア19の後端部から前端部に向かって前方へ移動するガラス板11の前端縁16が当接する。ストッパー44の後方には、非接触センサー(図示せず)が設置されている。非接触センサーは、コントローラに接続され、ガラス板11の前端縁16を検出すると、ガラス板11の移動が減速し、ガラス板11の前端縁16が設定時間だけストッパー44へ当接する。
【0051】
ローラー45は、複数のそれらが前後方向へ延びる軸49に回転可能に取り付けられ、それら軸49とともに搬入コンベア43の間に設置されている。ローラー45は、前後方向へ所定寸法離間して並ぶとともに幅方向へ所定寸法離間して並んでいる。それらローラー45は、幅方向へ向かって時計回り方向と反時計回り方向とへ回転し、ガラス板11の下面13に当接してガラス板11を幅方向へ移動可能に支持する。それら軸49は、軸受けを介してその下方に位置する台座に取り付けられている。
【0052】
それらローラー45のうちのローラー45aと軸49との間には、ローラー45aの回転抵抗を増加させる抵抗板(ゴムリング)(図示せず)が取り付けられている。ローラー45aは、抵抗板によって軸49との抵抗が増加し、ローラー45aに回転抵抗を超える回転力を与えなければローラー45aが回転することはなく、ローラー45aの自由な回転が抵抗板によって阻止されている。それらローラー45の上にガラス板11が載置された場合、回転抵抗の大きいローラー45aによってガラス板11の幅方向への自由な移動が阻止される。
【0053】
それらローラー昇降機構46は、軸49を取り付けた台座の下方に設置され、幅方向へ所定寸法離間して並んでいる。ローラー昇降機構46にはエアシリンダーが使用され、ローラー昇降機構46(エアシリンダー)によって台座とともにそれら軸49及びそれらローラー45が上下方向へ昇降する。ローラー昇降機構46の上昇寸法や下降寸法は、事前に設定されている。ローラー昇降機構46の発停を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0054】
尚、搬入コンベア43がガラス板11を搬送中では、ローラー昇降機構46によってそれらローラー45(台座及び軸49)が搬入コンベア43の下方へ下降し、それらローラー45がガラス板11の下面13に当接しない。ローラー昇降機構46によってそれらローラー45が上昇すると、ローラー45の周縁部の一部がそれら搬入コンベア43の上方へ露出し、ローラー45によってガラス板11が搬入コンベア43の上方へ持ち上げられる。
【0055】
移動機構47は、それら搬入コンベア43及びそれらローラー45の上方に位置するロッド50と、ロッド50に設置された第3サーボモータ51と、ロッド50に設置されて第3サーボモータ51の軸に連結された送りネジ(送りネジ機構)(図示せず)と、ロッド50から下方へ延びる移動アーム52と、移動アーム52の下端部に設置された当接部材53とを備えている。
【0056】
ロッド50は、第1ピラー26aの後面に取り付けられて幅方向へ延びている。移動アーム52は、送りネジに移動可能に設置され、第3サーボモータ51の軸の回転による送りネジの回転によって、ロッド50に沿って幅方向の一方と他方とへ直線移動する。当接部材53は、移動アーム52の幅方向への移動に伴って移動アーム52とともに幅方向の一方と他方とへ直線移動する。当接部材53は、ローラー昇降機構46によって上昇したローラー45がガラス板11の下面13に当接した状態で、ガラス板11の第2側縁15(他方の側縁)に当接し、ガラス板11が幅方向へ移動するようにガラス板11を幅方向へ押圧する。 第3サーボモータ51の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0057】
図7は、切込加工テーブル54及び研削加工テーブル117の上面図であり、
図8は、切込加工テーブル54及び研削加工テーブル117の側面図である。
図9は、切込加工テーブル54及び研削加工テーブル117の移動を説明する図であり、
図10は、切込加工エリア20に設置された一例として示す切込装置55の側面図である。
図11は、切込装置55の正面図である。
図7,8では、前後方向(X軸方向)を矢印X、幅方向(Y軸方向)を矢印Yで示し、上下方向(Z軸方向)を矢印Zで示す。
【0058】
切込加工エリア20は、搬入エリア19において位置決めされたガラス板11を載置する切込加工テーブル54(切込加工台)と、切込加工テーブル54に載置されたガラス板11の周縁エリア56b(周縁部)に外形切出線K1(切込線)を入れる切込装置55(切断装置)とを備えている。
【0059】
切込加工テーブル54は、機械台25の床面に固定された幅方向へ長いベースレーン57aの上に設置されている。切込加工テーブル54は、第1移動機構58aを利用し、位置決めされたガラス板11を載置した状態で幅方向へ移動する。第1移動機構58aは、走行ガイドレール59aと、送りネジ60a(ボールネジ)と、第4サーボモータ61と、ガイドシュー62aと、スライドブロック63a(ハウジングナット)とから形成されている。
【0060】
それら走行ガイドレール59aは、ベースレーン57aの上面に設置されて幅方向へ延びている。送りネジ60a(ボールネジ)は、ベースレーン57aの上面であって走行ガイドレール59aの側方に設置されて幅方向へ延びている。第4サーボモータ61は、機械台25の後方に設置され、切込加工テーブル54を幅方向へ往復動させる。第4サーボモータ61の軸には、送りネジ60aの他方の端部が連結されている。
【0061】
送りネジ60aは、ベースレーン57aに固定された軸受け(図示せず)に回転可能に支持されている。ガイドシュー62aは、切込加工テーブル54の下面に取り付けられて幅方向へ延びている。ガイドシュー62aは、走行ガイドレール59aに摺動可能に嵌合している。スライドブロック63a(ハウジングナット)は、切込加工テーブル54の下面であってガイドシュー62aの間に取り付けられている。スライドブロック63aは、送りネジ60aに回転可能に螺着されている。
【0062】
第4サーボモータ61の軸が時計回り方向(第4サーボモータ61を正面から見たときの回転方向)へ回転すると、送りネジ60aが時計回り方向へ回転し、それによってスライドブロック63aが切込加工エリア20の側縁部48b(他方の側縁部)から側縁部48a(一方の側縁部)に向かって送りネジ60aを幅方向へ移動するとともに、スライドブロック63aの移動によって切込加工テーブル54が切込加工エリア20の側縁部48bから側縁部48aに向かって幅方向へ移動する。逆に、第4サーボモータ61の軸が反時計回り方向へ回転すると、送りネジ60aが反時計回り方向へ回転し、それによってスライドブロック63aが切込加工エリア20の側縁部48a(一方の側縁部)から側縁部48b(他方の側縁部)に向かって送りネジ60aを幅方向へ移動するとともに、スライドブロック63aの移動によって切込加工テーブル54が切込加工エリア20の側縁部48aから側縁部48bに向かって幅方向へ移動する。
【0063】
切込装置55は、切込治具64と、エアシリンダー65及び第5サーボモータ66とを備えている。切込治具64は、切込カッターホイール67と、切込カッターホルダー68と、カッター昇降軸69と、カッター昇降ガイド70とから形成されている。切込カッターホイール67は、ベアリング(図示せず)を介して切込カッターホルダー68に連結され、介在するベアリングの軸心に沿って自在に回転する。切込カッターホイール67は、ガラス板11の周縁エリア56b(周縁部)に外形切出線K1を形成する。
【0064】
切込カッターホルダー68は、切込カッターホイール67の直上に位置してカッターホイール67に連結され、カッターホイール67を支持する。カッター昇降軸69は、切込カッターホルダー68の直上に位置してカッターホルダー68に連結され、カッターホルダー68を支持する。カッター昇降ガイド70は、カッター昇降軸69の直上に位置してカッター昇降軸69に連結され、カッター昇降軸69を支持する。切込治具64(エアシリンダー65を含む)は、エアシリンダー65の直上に位置して切込治具64を回転可能に支持する支持軸71に連結されている。支持軸71は、その直上に位置するブラケット72に取り付けられている。ブラケット72は、前後方向(X軸方向)へ前進後退(直線移動)する搬送機構24の第1移動ユニット28に連結されている。
【0065】
エアシリンダー65は、カッター昇降軸69の直上に設置されている。エアシリンダー65は、切込カッターホイール67(切込カッターホルダー68)を上下方向(Z軸方向)へ昇降させ、ガラス板11の周縁エリア56bへの外形切出線K1(切込線)の形成時にカッターホイール67をガラス板11の上面12に向かって下降させてカッターホイール67に切込圧(下方への押圧力)を加える。第5サーボモータ66は、その軸がタイミングベルト73を介して支持軸71に連結されている。第5サーボモータ66は、切込治具64(切込カッターホイール67)の切込方向の向きを(XY平面に直交する軸まわりの角度)を調整する。
【0066】
切込装置55では、コントローラから送信されたNC制御信号に基づいて第5サーボモータ66の制御部がモータ66の軸を回転させ、切込治具64(切込カッターホイール67)をNC制御し、NC制御に従って切込治具64がガラス板11の周縁エリア56b(周縁部)に加工したい形状どおりの外形切出線K1を形成する。第4及び第5サーボモータ61,66の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0067】
図12は、折割加工テーブル74の上面図であり、
図13は、折割加工テーブル74の側面図である。折割加工エリア21は、搬入エリア19において位置決めされるとともに切込加工エリア20において切込加工が行われた後のガラス板11を載置する折割加工テーブル74と、折割加工テーブル74に載置されたガラス板11の外形切出線K1(切込線)の外側に位置する周縁エリア56b(周縁部)を折割る折割装置75と、ガラス板11を支持する支持装置76
a,76bとを備えている。
【0068】
折割加工テーブル74は、幅方向(Y軸方向)へ走行するベルトコンベア77と、ベルトコンベア77を走行させるコンベア駆動モータ78とから形成され、機械台25の床面に固定されたベース盤の上に設置されている。ベルトコンベア77は、幅方向へ延びるベルト79と、ベルト79を支持する複数のプーリ80及びキャリアローラ81と、ベルト79、プーリ80、キャリアローラ81を支持するコンベアフレーム82とから形成されている。ベルトコンベア77には、切込加工後のガラス板11が載置される。ベルトコンベア77は、折割装置75によって折り割られたガラス板11の周縁エリア56bを幅方向の他方(側縁部48aから側縁部48b)へ搬送し、ガラス板11の折割りされた周縁エリア56bをダストボックス(図示せず)に廃棄する。
【0069】
コンベア駆動モータ78は、その軸がタイミングベルトによってプーリ80に連結されている。コンベア駆動モータ78の発停を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。コンベア駆動モータ78の軸の回転速度(ベルトの走行速度)は、事前に設定され、回転速度がコンベア駆動モータ78の特定情報に関連付けられた状態でコントローラの大容量ハードディスクに記憶(格納)されている。コンベア駆動モータ78の軸が時計回り方向へ回転すると、その回転がタイミングベルトを介してプーリ80に伝達され、プーリ80が時計回り方向へ回転し、プーリ80の回転によってベルト79が幅方向の他方に向かって走行する。
【0070】
図14は、折割装置75の側面図であり、
図15は、折割装置75の正面図である。
図16は、折割装置75の上面図であり、
図17,18は、折割装置75の拡大正面図である。
図19は、第1及び第2折割治具84a,84bの部分破断側面図であり、
図20は、第1及び第2折割治具84a,84bの正面図である。
図17では、折割カッターホイール93が下降し、第1及び第2押圧部材95a,95bが上昇した状態を示す。
図18は、折割カッターホイール93が上昇し、第1及び第2押圧部材95a,95bが下降した状態を示す。
【0071】
折割装置75は、幅方向へ離間する2台の第1折割装置75a及び第2折割装置75bから形成されている。第1折割装置75aは、第1ガイドフレーム30に連結され、第2折割装置75bは、懸垂フレーム83に連結されている。懸垂フレーム83は、第2ガイドフレーム35の側部に連結されている。第1折割装置75aは、第1折割治具84a(折割治具)と、第6サーボモータ85(X軸サーボモータ)及びX軸第1アクチュエーター86aと、第7サーボモータ87(Y軸サーボモータ)及びY軸第1アクチュエーター88aと、X軸第1アクチュエーターフレーム89a及びY軸第1アクチュエーターフレーム89cとを有する。X軸第1アクチュエーターフレーム89aとY軸第1アクチュエーターフレーム89cとは、それらの一端部において一連に繋がっている。
【0072】
第2折割装置75bは、第2折割治具84b(折割治具)と、第8サーボモータ90(X軸サーボモータ)及びX軸第2アクチュエーター86bと、第9サーボモータ91(Y軸サーボモータ)及びY軸第2アクチュエーター88bと、X軸第2アクチュエーターフレーム89b及びY軸第2アクチュエーターフレーム89dとを有する。X軸第2アクチュエーターフレーム89bとY軸第2アクチュエーターフレーム89dとは、それらの一端部において一連に繋がっている。
【0073】
第1及び第2折割治具84a,84bは、
図19,20に示すように、折割カッターホルダー92と、折割カッターホイール93と、ホルダー昇降機構94(第1昇降機構)と、外形切出線K1(切込線)及び端切線K2が形成されたガラス板11の本体部56a(外形切出線K1の内側に延びるガラス板11)を下方へ押圧する第1押圧部材95aと、外形切出線K1(切込線)及び端切線K2が形成されたガラス板11の周縁エリア56b(外形切出線K1の外側に延びるガラス板11)を下方へ押圧する第2押圧部材95bと、第1押圧部材昇降機構96a(第2昇降機構)と、第2押圧部材昇降機構96b(第2昇降機構)とから形成されている。折割カッターホルダー92は、折割カッターホイール93の上方に位置して折割カッターホイール93を支持する。折割カッターホルダー92は、連結部を備えたホルダー本体97と、ホルダー本体97の先端に取り付けられたホルダーヘッド98とを有する。
【0074】
折割カッターホイール93は、加工対象のガラス板11の周縁エリア56b(外形切出線K1の外側に延びるガラス板11の周縁部)に端切線K2(スクライブ)を形成する。折割カッターホイール93は、転動軸100を介してホルダーヘッド98の先端に回転(転動)可能に取り付けられ、転動軸100を中心にその周縁101が転動する。折割カッターホイール93の上下方向へ延びるカッターホイール軸線O3は、折割カッターホルダー92(ホルダー本体97)の上下方向へ延びるカッターホルダー中心軸線O2に対して径方向外方へ偏芯している(ズレている)。カッターホルダー中心軸線O2に対するカッターホイール軸線O3の幅方向への離間寸法S(偏芯寸法)は、0.5~2mmの範囲にある。
【0075】
ホルダーヘッド98は、ベアリング99を介してホルダー本体97に連結され、介在するベアリング99の軸心に沿って自在に回転し、折割カッターホルダー92のカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(θ方向)へ360°回転可能である。ホルダーヘッド98は、カッターホルダー中心軸線O2を中心に時計回り方向及び反時計回り方向へ回転する。ホルダーヘッド98が回転することで、折割カッターホルダー92に対して折割カッターホイール93(カッターホルダー中心軸線O2に対して偏芯するカッターホイール軸線O3を有する折割カッターホイール93)がカッターホルダー中心軸線O2の周り方向へ360°回転可能である。折割カッターホイール93は、カッターホルダー中心軸線O2を中心に時計回り方向及び反時計回り方向へ回転する。
【0076】
折割カッターホイール93は、そのカッターホイール軸線O3がカッターホルダー中心軸線O2に対して径方向外方へ偏芯しているから、第1及び第2折割治具84a,84b(折割カッターホルダー92)がガラス板11の上面12を所定の方向へ走行(移動)したときに、折割カッターホイール93の周縁101の転動(移動)方向が第1及び第2折割治具84a,84b(折割カッターホルダー92)の走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)に向くキャスター効果を発揮する。
【0077】
ホルダー昇降機構94(第1昇降機構)は、ホルダー本体97の直上に設置され、折割カッターホルダー92(ホルダー本体97)の連結部102に連結されている。ホルダー昇降機構94は、固定部材によってブラケット103に固定されている。ホルダー昇降機構94(第1昇降機構)には、エアシリンダーが使用されている。ホルダー昇降機構94(エアシリンダー)は、第1及び第2折割治具84a,84bの折割カッターホルダー92(折割カッターホイール93)を上下方向(Z軸方向)へ昇降(上下動)させる。ホルダー昇降機構94は、ガラス板11の周縁エリア56bに対する折割加工時にカッターホイール93をガラス板11の上面12に向かって下降させ、カッターホイール93に端切圧(下方への押圧力)を加える(付与する)。ホルダー昇降機構の上昇寸法や下降寸法は、事前に設定されている。
【0078】
第1押圧部材95aは、ゴム弾性を有するゴム又は合成樹脂から作られている。第1押圧部材95aは、第2押圧部材95bの外側近傍に位置して第2押圧部材95bの周り方向へ延在している。第1押圧部材95aは、ガラス板11の上面12に当接する所定面積の第1押圧面104aを有する。第1押圧面104aは、第2押圧部材95bを取り囲む半円環状に成形されている。
【0079】
第1押圧部材昇降機構96a(第2昇降機構)は、第1押圧部材95aの幅方向側方に位置し、固定部材によってブラケット103に固定されている。第1押圧部材昇降機構96aには、エアシリンダーが使用されている。第1押圧部材昇降機構96aは、第1及び第2折割治具84a,84bの第1押圧部材95aを上下方向(Z軸方向)へ昇降(上下動)させる。
【0080】
第1押圧部材昇降機構96a(第2昇降機構)は、ガラス板11の周縁エリア56bに対する折割加工時に第1押圧部材95aをガラス板11の上面12に向かって下降させ、第1押圧部材95aに下方への押圧力を加える。第1押圧部材95aの上昇寸法や下降寸法は、事前に設定されている。一方のブラケット103は、X軸第1アクチュエーターフレーム89a及びY軸第1アクチュエーターフレーム89cに摺動可能に取り付けられている。
【0081】
第2押圧部材95bは、ゴム弾性を有するゴム又は合成樹脂から作られている。第2押圧部材95bは、折割カッターホイール93の外側近傍に位置して折割カッターホイール93の周り方向へ延在している。第2押圧部材95bは、ガラス板11の上面12に当接する所定面積の第2押圧面104bを有する。第2押圧面104bは、折割カッターホイール93を取り囲む円環状に成形されている。第2押圧部材95bの中央には、上下方向へ貫通する貫通孔105が穿孔(形成)されている。
【0082】
第2押圧部材昇降機構96b(第3昇降機構)は、第2押圧部材95bの幅方向側方に位置し、固定部材によってブラケット103に固定されている。第2押圧部材昇降機構96bには、エアシリンダーが使用されている。第2押圧部材昇降機構96bは、第1及び第2折割治具84a,84bの第2押圧部材95bを上下方向(Z軸方向)へ昇降(上下動)させる。第2押圧部材昇降機構96b(第3昇降機構)は、ガラス板11の周縁エリア56bに対する折割加工時に第2押圧部材95bをガラス板11の上面12に向かって下降させ、第2押圧部材95bに下方への押圧力を加える。第2押圧部材95bの上昇寸法や下降寸法は、事前に設定されている。他方のブラケット103は、X軸第2アクチュエーターフレーム89b及びY軸第2アクチュエーターフレーム89dに摺動可能に取り付けられている。
【0083】
ホルダー昇降機構94(第1昇降機構)の発停を制御する制御部、第1押圧部材昇降機構96a(第2昇降機構)の発停を制御する制御部、第2押圧部材昇降機構96b(第3昇降機構)の発停を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。ホルダー昇降機構94は、折割カッターホルダー92(折割カッターホイール93)を昇降させる。第1押圧部材昇降機構96aは、第1押圧部材95aを昇降させる。第2押圧部材昇降機構96bは、第2押圧部材95bを昇降させる。
【0084】
第6サーボモータ85(X軸サーボモータ)は、X軸第1アクチュエーターフレーム89aに設置され、その軸がX軸第1アクチュエーター86aに連結されている。X軸第1アクチュエーター86aは、ネジ部とガイド部とを有する(図示せず)。第6サーボモータ85の軸が時計回り方向へ回転すると、X軸第1アクチュエーター86aのネジ部が時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ブラケット103とともに第1折割装置75aの第1折割治具84aがX軸第1アクチュエーターフレーム89aに沿って前後方向前方に向かって移動する。第6サーボモータ85の軸が反時計回り方向へ回転すると、X軸第1アクチュエーター86aのネジ部が反時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ブラケット103とともに第1折割装置75aの第1折割治具84aがX軸第1アクチュエーターフレーム89aに沿って前後方向後方に向かって移動する。
【0085】
第7サーボモータ87(Y軸サーボモータ)は、Y軸第1アクチュエーターフレーム89cに設置され、その軸がY軸第1アクチュエーター88aに連結されている。Y軸第1アクチュエーター88aは、ネジ部とガイド部とを有する(図示せず)。第7サーボモータ87の軸が時計回り方向へ回転すると、Y軸第1アクチュエーター88aのネジ部が時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ブラケット103とともに第1折割装置75aの第1折割治具84aがY軸第1アクチュエーターフレーム89cに沿って幅方向の一方へ向かって移動する。第7サーボモータ87の軸が反時計回り方向へ回転すると、Y軸第1アクチュエーター88aのネジ部が反時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ブラケット103とともに第1折割装置75aの第1折割治具84aがY軸第1アクチュエーターフレーム89cに沿って幅方向の他方へ向かって移動する。第6及び第7サーボモータ85,87の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0086】
第8サーボモータ90(X軸サーボモータ)は、X軸第2アクチュエーターフレーム89bに設置され、その軸がX軸第2アクチュエーター86bに連結されている。X軸第2アクチュエーター86bは、ネジ部とガイド部とを有する(図示せず)。第8サーボモータ90の軸が時計回り方向へ回転すると、X軸第2アクチュエーター86bのネジ部が時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ブラケット103とともに第2折割装置75bの第2折割治具84bがX軸第2アクチュエーターフレーム89bに沿って前後方向前方に向かって移動する。第8サーボモータ90の軸が反時計回り方向へ回転すると、X軸第2アクチュエーター86bのネジ部が反時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ブラケット103とともに第2折割装置75bの第2折割治具84bがX軸第2アクチュエーターフレーム89bに沿って前後方向後方に向かって移動する。第8及び第9サーボモータ90,91の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0087】
図21は、
第1及び第2支持装置76
a,76bを露出させた折割加工テーブル74の上面図であり、
図22は、正面から支持装置76
a,76bを見た折割加工テーブル74の正面図である。支持装置76は、幅方向へ離間する2台の第1支持装置76a及び第2支持装置76bから形成されている。第1及び第2支持装置76a,76bは、ガイドフレーム106に連結されている。
【0088】
第1支持装置76aは、第1支持部材107a及び第2支持部材107bと、第2支持部材107bを上下方向へ昇降させる第2支持部材昇降機構108(第4昇降機構)と、第10サーボモータ109(X軸サーボモータ)及びX軸第3アクチュエーター110aと、第11サーボモータ111(Y軸サーボモータ)及びY軸第3アクチュエーター112aと、X軸第3アクチュエーターフレーム113a及びY軸第3アクチュエーターフレーム113cとを有する。
【0089】
第2支持装置76bは、第1支持部材107a及び第2支持部材107bと、第2支持部材107bを上下方向へ昇降させる第2支持部材昇降機構108(第4昇降機構)と、第12サーボモータ114(X軸サーボモータ)及びX軸第4アクチュエーター110bと、第13サーボモータ115(Y軸サーボモータ)及びY軸第4アクチュエーター112bと、X軸第4アクチュエーターフレーム113b及びY軸第4アクチュエーターフレーム113dとを有する。
【0090】
第1支持部材107aは、第2支持部材107bの径方向内方に位置し、ガラス板11の下面13を支持する所定面積の第1支持面116aを有する。第1支持面116aは、平坦な真円状に成形されている。第2支持部材107bは、第1支持部材107aの径方向外方に位置し、ガラス板11の下面13を支持する所定面積の第2支持面116bを有する。第2支持面116bは、第1支持部材107a(第1支持面116a)を取り囲む平坦な円環状に成形されている。
【0091】
第2支持部材昇降機構108(第4昇降機構)は、第2支持部材107bの直下に位置し、固定部材によってガイドフレーム106に固定されている。第2支持部材昇降機構108には、エアシリンダーが使用されている。第2支持部材昇降機構108は、第1及び第2支持装置76a,76bの第2支持部材107bを上下方向(Z軸方向)へ昇降(上下動)させる。第2支持部材昇降機構108は、ガラス板11の周縁エリア56bに対する折割加工時に第2支持部材107bをガラス板11の下面13から下降させ、ガラス板11の下面13と第2支持面116bとの間に間隙(第1支持面116aと第2支持面116bとの間に段差)を作る。第2支持部材107bの下降寸法は、事前に設定されている。第2支持部材昇降機構108(第4昇降機構)の発停を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0092】
第10サーボモータ109(X軸サーボモータ)は、X軸第3アクチュエーターフレーム113aに設置され、その軸がX軸第3アクチュエーター110aに連結されている。X軸第3アクチュエーター110aは、ネジ部とガイド部とを有する(図示せず)。第10サーボモータ109の軸が時計回り方向へ回転すると、X軸第3アクチュエーター110aのネジ部が時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ガイドフレーム106とともに第1支持装置76aがX軸第3アクチュエーターフレーム113aに沿って前後方向前方に向かって移動する。第10サーボモータ109の軸が反時計回り方向へ回転すると、X軸第3アクチュエーター110aのネジ部が反時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ガイドフレーム106とともに第1支持装置76aがX軸第3アクチュエーターフレーム113aに沿って前後方向後方に向かって移動する。
【0093】
第11サーボモータ111(Y軸サーボモータ)は、Y軸第3アクチュエーターフレーム113cに設置され、その軸がY軸第3アクチュエーター112aに連結されている。Y軸第3アクチュエーター112aは、ネジ部とガイド部とを有する(図示せず)。第11サーボモータ111の軸が時計回り方向へ回転すると、Y軸第3アクチュエーター112aのネジ部が時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ガイドフレーム106とともに第1支持装置76aがY軸第3アクチュエーターフレーム113cに沿って幅方向の一方へ向かって移動する。第11サーボモータ111の軸が反時計回り方向へ回転すると、Y軸第3アクチュエーター112aのネジ部が反時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ガイドフレーム106とともに第1支持装置76aがY軸第3アクチュエーターフレーム113cに沿って幅方向の他方へ向かって移動する。尚、第1支持装置76aは、第1折割装置75a(第1折割治具84a)と同期(シンクロ)して前後方向及び幅方向(水平方向)へ移動する。第10及び第11サーボモータ109,111の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0094】
第12サーボモータ114(X軸サーボモータ)は、X軸第4アクチュエーターフレーム113bに設置され、その軸がX軸第4アクチュエーター110bに連結されている。X軸第4アクチュエーター110bは、ネジ部とガイド部とを有する(図示せず)。第12サーボモータ114の軸が時計回り方向へ回転すると、X軸第4アクチュエーター110bのネジ部が時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ガイドフレーム106とともに第2支持装置76bがX軸第4アクチュエーターフレーム113bに沿って前後方向前方に向かって移動する。第12サーボモータ114の軸が反時計回り方向へ回転すると、X軸第4アクチュエーター110bのネジ部が反時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ガイドフレーム106とともに第2支持装置76bがX軸第4アクチュエーターフレーム113bに沿って前後方向後方に向かって移動する。
【0095】
第13サーボモータ115(Y軸サーボモータ)は、Y軸第4アクチュエーターフレーム113dに設置され、その軸がY軸第4アクチュエーター112bに連結されている。Y軸第4アクチュエーター112bは、ネジ部とガイド部とを有する(図示せず)。第13サーボモータ115の軸が時計回り方向へ回転すると、Y軸第4アクチュエーター112bのネジ部が時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ガイドフレーム106とともに第2支持装置76bがY軸第4アクチュエーターフレーム113dに沿って幅方向の一方へ向かって移動する。第13サーボモータ115の軸が反時計回り方向へ回転すると、Y軸第4アクチュエーター112bのネジ部が反時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ガイドフレーム106とともに第2支持装置76bがY軸第4アクチュエーターフレーム113dに沿って幅方向の他方へ向かって移動する。尚、第2支持装置76bは、第2折割装置75b(第2折割治具84b)と同期(シンクロ)して前後方向及び幅方向(水平方向)へ移動する。第12及び第13サーボモータ114,115の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0096】
図23は、研削加工エリア22に設置された一例として示す研削装置118の正面図であり、
図24は、研削装置118の側面図である。研削加工エリア22は、搬入エリア19において位置決めされ、切込加工エリア20において切込加工が行われるとともに折割加工エリア21において折割加工が行われた後のガラス板11を載置する研削加工テーブル117(研削加工台)と、研削加工テーブル117に載置されたガラス板11の本体部56aの縁(周縁)を研削する研削装置118とを備えている。
【0097】
研削加工テーブル117は、機械台25の床面に固定された幅方向へ長いベースレーン57bの上に設置されている(
図7参照)。研削加工テーブル117は、ガラス板11を吸着保持する複数の吸着パッド119と、吸着パッド119を負圧にして吸着パッド119に吸着力を付与するバキューム機構(エアーバキュームポンプ)(図示せず)とを備えている。バキューム機構の発停を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0098】
研削加工テーブル117は、第2移動機構58bを利用し、位置決めされたガラス板11を載置した状態で幅方向へ移動する。第2移動機構58bは、走行ガイドレール59bと、送りネジ60b(ボールネジ)と、第14サーボモータ120と、ガイドシュー62bと、スライドブロック63b(ハウジングナット)とから形成されている。それら走行ガイドレール59bは、ベースレーン57bの上面に設置されて幅方向へ延びている。送りネジ60b(ボールネジ)は、ベースレーン57bの上面であって走行ガイドレール59bの側方に設置されて幅方向へ延びている。第14サーボモータ120は、ベースレーン57bに設置され、研削加工テーブル117を幅方向へ往復動させる。第14サーボモータ120の軸には、送りネジ60bの他方の端部が連結されている。第14サーボモータ120の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0099】
送りネジ60bは、ベースレーン57bに固定された軸受け(図示せず)に回転可能に支持されている。ガイドシュー62bは、研削加工テーブル117の下面に取り付けられて幅方向へ延びている。ガイドシュー62bは、走行ガイドレール59bに摺動可能に嵌合している。スライドブロック63b(ハウジングナット)は、研削加工テーブル117の下面であってガイドシュー62bの間に取り付けられている。スライドブロック63bは、送りネジ60bに回転可能に螺着されている。
【0100】
第14サーボモータ120の軸が時計回り方向へ回転すると、送りネジ60bが時計回り方向へ回転し、それによってスライドブロック63bが研削加工エリア22の他方の側縁部48bから一方の側縁部48aに向かって送りネジ60bの幅方向へ移動するとともに、スライドブロック63bの移動によって研削加工テーブル117が研削加工エリア22の他方の側縁部48bから一方の側縁部48aに向かって幅方向へ移動する。第14サーボモータ120の軸が反時計回り方向へ回転すると、送りネジ60bが反時計回り方向へ回転し、それによってスライドブロック63bが研削加工エリア22の一方の側縁部48aから他方の側縁部48bに向かって送りネジ60bの幅方向へ移動するとともに、スライドブロック63bの移動によって研削加工テーブル117が研削加工エリア22の一方の側縁部48aから他方の側縁部48bに向かって幅方向へ移動する。
【0101】
尚、第14サーボモータ120は、切込加工エリア20の第4サーボモータ61と同期して駆動し、切込加工テーブル54の切込加工エリア20の他方の側縁部48bから一方の側縁部48aへの移動に同期(シンクロ)して研削加工テーブル117が研削加工エリア22の他方の側縁部48bから一方の側縁部48aに向かって移動し、又は、切込加工テーブル54の切込加工エリア20の一方の側縁部48aから他方の側縁部48bへの移動に同期(シンクロ)して研削加工テーブル117が研削加工エリア22の一方の側縁部48aから他方の側縁部48bに向かって移動する。
【0102】
研削装置118は、研削治具121と、第15サーボモータ122(研削Z軸サーボモータ)と、第16サーボモータ123(昇降サーボモータ)と、第17サーボモータ124(切込サーボモータ)と、研削ホイール昇降ネジ125と、研削ホイール切込ネジ126とを備えている。研削治具121は、研削ホイール127と、研削ホルダー128と、カバー129と、スピンドルモータ130とから形成されている。研削ホイール127は、所定の直径を有する円盤状に成形され、その外周面によってガラス板11の本体部56aの縁(周縁)を研削する。
【0103】
研削ホルダー128は、研削ホイール127の直上に位置して研削ホイール127を回転可能に支持する。カバー129は、研削ホイール127の直下に位置して研削ホイール127全体を包被する。カバー129は、研削治具121に着脱可能に取り付けられている。カバー129には、ガラス板11の本体部56aの縁(周縁)を挿入するスリット131が形成されている。スピンドルモータ130は、研削ホイール127(研削ホルダー128)の直上に位置し、モータハウジング132に設置・収容されている。スピンドルモータ130は、その軸が研削ホイール127の中心に連結されている。スピンドルモータ130の軸の回転によって研削ホイール127が回転する。モータハウジング132は、ブラケット133を介して第1走行フレーム32に固定されている。スピンドルモータ130の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0104】
第15サーボモータ122(研削Z軸サーボモータ)は、研削治具121の後方近傍に位置し、ブラケット133を介して第1走行フレーム32に連結・固定されている。第15サーボモータ122は、その軸がモータハウジング132の支持軸に連結されている。第15サーボモータ122は、研削ホイール127の外周面がガラス板11の本体部56aの縁(周縁)に平行に当接するように、研削ホイール127の軸方向の姿勢(軸まわりの角度)を微調整する。
【0105】
第16サーボモータ123(昇降サーボモータ)は、モータハウジング132(スピンドルモータ130)の幅方向外方近傍に位置し、モータハウジング132に連結・固定されている。第16サーボモータ123は、その軸が研削ホイール昇降ネジ125に連結され、研削ホイール昇降ネジ125を回転させる。第16サーボモータ123は、ガラス板11の厚み寸法に応じて研削ホイール127(モータハウジング132)を上下動させ、研削ホイール127の高さがガラス板11の本体部56aの縁の高さに一致して研削ホイール127の外周面がガラス板11の本体部56aの縁に当接するように、研削ホイール127の高さを微調整する。
【0106】
ガラス板11の加工を開始する初期設定において、研削ホイール127の取付基準面から溝の中心までの距離がコントローラに入力される。コントローラは、入力された距離に基づいて第16サーボモータ123の軸の回転数を算出し、算出した回転数を第16サーボモータ123の制御部に送信する。第16サーボモータ123の制御部は、コントローラから受信した回転数で第16サーボモータ123の軸を回転させる。第16サーボモータ123の軸が時計回り方向へ所定の回転数で回転すると研削ホイール昇降ネジ125が時計回り方向へ回転しつつネジ125が下降し、それによって研削ホイール127(モータハウジング132)が下降する。第16サーボモータ123の軸が反時計回り方向へ所定の回転数で回転すると研削ホイール昇降ネジ125が反時計回り方向へ回転しつつネジ125が上昇し、それによって研削ホイール127(モータハウジング132)が上昇する。加工するガラス板11の厚み寸法が同一である限り、研削ホイール127の高さの微調整を一度設定すれば、それ以降の調整は行われない。
【0107】
第17サーボモータ124(切込サーボモータ)は、第16サーボモータ123(昇降サーボモータ)の直下であってモータハウジング132(スピンドルモータ130)の幅方向外方近傍に位置し、モータハウジング132に連結・固定されている。第17サーボモータ124は、その軸が研削ホイール切込ネジ126に連結され、研削ホイール切込ネジ126を回転させる。第17サーボモータ124は、研削ホイール127の外周面直径に応じて研削ホイール127(モータハウジング132)を幅方向へ移動させ、研削ホイール127の外周面がガラス板11の本体部56aの縁(周縁)に当接するように、研削ホイール127の切込深さを微調整する。第15~第17サーボモータ122~124の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。
【0108】
ガラス板11の加工を開始する初期設定において、研削ホイール127の径(直径)がコントローラに入力される。コントローラは、入力された研削ホイール127の径(直径)に基づいて第17サーボモータ124の軸の回転数を算出し、算出した回転数を第17サーボモータ124の制御部に送信する。第17サーボモータ124の制御部は、コントローラから受信した回転数で第17サーボモータ124の軸を回転させる。第17サーボモータ124の軸が時計回り方向へ所定の回転数で回転すると研削ホイール切込ネジ126が時計回り方向へ回転しつつネジ126が前後方向後方へ移動し、それによって研削ホイール127(モータハウジング132)が前後方向後方へ移動する。第17サーボモータ124の軸が反時計回り方向へ所定の回転数で回転すると研削ホイール切込ネジ126が反時計回り方向へ回転しつつネジ126が前後方向前方へ移動し、それによって研削ホイール127(モータハウジング132)が前後方向前方へ移動する。研削ホイール127の径(直径)が同一である限り、研削ホイール127の前後方向の位置の微調整を一度設定すれば、それ以降の調整は行われない。
【0109】
搬出エリア23には、搬出コンベア134が設置されている。搬出エリア23は、機械台25の床面から上方へ延びる脚部によって支持されている。搬出コンベア134は、前後方向(X方向)へ延びる複数の無限軌道であり、幅方向(Y方向)へ所定間隔離間して並んでいる。それら搬出コンベア134の発停や搬送距離を制御する制御部は、信号線を介してコントローラに接続されている。それら搬出コンベア134は、ガラス板11を搬出エリア23の後端部から前端部に向かって前後方向へ搬送する。
【0110】
以下、ガラス板11の加工(切込加工、折割加工、研削加工)の一例を説明する。加工開始時では、ガラス板第1ホルダー40aが搬入エリア19の上方に待機し、ガラス板第2ホルダー40bが切込加工エリア20の上方に待機しているとともに、ガラス板第3ホルダー40cが折割加工エリア21の上方に待機し、ガラス板第4ホルダー40dが研削加工エリア22の上方に待機している。
【0111】
コントローラに接続されたタッチパネル(出力装置)には、各種複数のガラス板画像が表示(出力)される。タッチパネルに表示された各種複数のガラス板画像から加工対象の特定のガラス板11をクリック(タップ)(選択)する。特定のガラス板11を選択すると、コントローラは、そのガラス板11に施す加工に対するNC制御プログラムを選択する。コントローラは、研削ホイール127の取付基準面から溝の中心までの距離の入力エリア、ガラス板11の前後方向の寸法入力エリア、研削ホイール127の径(直径)入力エリアをタッチパネルに表示する。
【0112】
研削ホイール127の取付基準面から溝の中心までの距離の入力エリアに距離を入力し、研削ホイール127の径(直径)入力エリアに径を入力した後、タッチパネルに表示された入力ボタンをクリック(タップ)する。距離、径が入力されると、コントローラは、第16サーボモータ123を駆動して研削ホイール127(モータハウジング132)を上下動させ、研削ホイール127の高さを微調整するとともに、第17サーボモータ124を駆動して研削ホイール127(モータハウジング132)を幅方向へ移動させ、研削ホイール127の前後方向の位置を微調整する。それら微調整が終了した後、コントローラは、加工開始ボタンを出力装置に出力(表示)する。加工開始ボタンをクリック(タップ)すると、ガラス板11の加工が開始される。
【0113】
選択された加工対象(加工前)のガラス板11が搬入エリア19に搬入される。尚、搬入エリア19では、第1位置決め手段と第2位置決め手段とが実施される。加工対象のガラス板11は、自動供給装置(図示せず)によって搬入エリア19の搬入コンベア43に自動的に供給される。自動供給装置には上面12及び下面13の面積が同一(大きさが同一)の加工対象の複数枚のガラス板11が上下方向へ積重ねられ、ガラス板11が1枚毎に自動供給装置から搬入コンベア43へ供給される。
【0114】
搬入エリア19におけるガラス板11の位置決め手順の一例は、以下のとおりである。コントローラは、搬入コンベア43の制御部に搬送信号(ON信号)を送信し、前進信号を受信した搬入コンベア43の制御部は、それら搬入コンベア43を駆動させる。搬入エリア19に搬入されたガラス板11は、その下面13が搬入コンベア43に当接した状態で搬入コンベア43の上に載置される。ガラス板11は、その第1側縁14(一方の側縁)が搬入エリア19の一方の側縁部48aに並行し、その第2側縁15(他方の側縁)が搬入エリア19の他方の側縁部48bに並行する。
【0115】
搬入コンベア43の上に載置されたガラス板11は、搬入コンベア43によって搬入エリア19の後方から前方へ向かって次第に移動する。ストッパー44の後方に設置された非接触センサーがガラス板11の前端縁16を検出すると、検出信号がコントローラに送信され、コントローラが搬入コンベア43の制御部に減速信号を送信する。減速信号を受信した搬入コンベア43の制御部が搬入コンベア43減速させた後、ガラス板11の前端縁16がストッパー44に当接する。
【0116】
次に、コントローラは、搬入コンベア43の制御部に停止信号(OFF信号)を送信し、停止信号を受信した搬入コンベア43の制御部は、搬入コンベア43の駆動を停止させる。コントローラは、ガラス板11の第1側縁14の前後方向中心O1を搬入エリア19の位置決め第2基準L2に位置させるための搬入コンベア43の前後方向後方への第2移動寸法を搬入コンベア43の制御部に送信するとともに、搬入コンベア43の制御部に後退信号(ON信号)を送信する。
【0117】
第2移動寸法及び後退信号を受信した搬入コンベア43の制御部は、それら搬入コンベア43を駆動させ、搬入コンベア43によってガラス板11を前後方向後方へ第2移動寸法移動させる。搬入コンベア43がガラス板11を前後方向後方へ第2移動寸法移動させると、ガラス板11の幅方向の一方の側縁の前後方向中心O1が搬入エリア19における位置決め第2基準L2に位置する(第2位置決め手段)。
【0118】
ガラス板11を前後方向後方へ第2移動寸法移動させた後、コントローラは、搬入コンベア43の制御部に停止信号(OFF信号)を送信し、停止信号を受信した搬入コンベア43の制御部は、搬入コンベア43の駆動を停止させる。次に、コントローラは、それらローラー昇降機構46の制御部に上昇信号(ON信号)を送信する。上昇信号を受信したローラー昇降機構46の制御部は、それらローラー昇降機構46を上昇させる。ローラー昇降機構46の上昇によってそれらローラー45が上昇し、ローラー45の周縁部の一部がそれら搬入コンベア43の上方へ露出し、上昇したローラー45がガラス板11の下面13に当接した状態でローラー45がガラス板11を搬入コンベア43の上方へ持ち上げる。
【0119】
ローラー昇降機構46の上昇が完了した後、コントローラは、ガラス板11の第1側縁14を位置決め第1基準L1に位置させるための移動機構47の幅方向への第1移動寸法(第1移動距離)から算出した第3サーボモータ51の回転数をモータ51の制御部に送信するとともに、第3サーボモータ51の制御部に正回転信号(ON信号)を送信する。第3サーボモータ51の回転数及び正回転信号を受信した制御部は、第3サーボモータ51を駆動させ、モータ51の軸を所定の回転数だけ時計回り方向へ回転させる。
【0120】
第3サーボモータ51の軸の時計回り方向への回転による送りネジの回転によって移動アーム52とともに当接部材53がその移動開始点から幅方向の一方へ次第に移動する。幅方向の一方へ移動する当接部材53がガラス板11の第2側縁15に当接し、当接部材53がガラス板11を幅方向の他方から一方へ移動させるようにガラス板11の第2側縁15を幅方向へ押圧する。当接部材53に押圧されたガラス板11がローラー45上を幅方向の他方から一方へ向かって幅方向へ移動し、ガラス板11の幅方向の第1側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁が搬入エリア19における位置決め第1基準L1に位置する(第1位置決め手段)。
【0121】
当接部材53の幅方向の一方への移動が終了し、ガラス板11の幅方向の第1側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁が搬入エリア19における位置決め第1基準L1に位置すると、コントローラは、第3サーボモータ51の制御部に停止信号(OFF信号)を送信する。停止信号を受信した第3サーボモータ51の制御部は、第3サーボモータ51の駆動を停止させる。第3サーボモータ51の駆動が停止した後、コントローラは、第3サーボモータ51の制御部に逆回転信号(ON信号)を送信する。逆回転信号を受信した第3サーボモータ51の制御部は、第3サーボモータ51を駆動させ、第3サーボモータ51の軸を所定の回転数だけ反時計回り方向へ回転させる。
【0122】
第3サーボモータ51の軸の反時計回り方向への回転による送りネジの回転によって移動アーム52とともに当接部材53が幅方向の他方へ次第に移動し、当接部材53が移動開始点に戻る。当接部材53が移動開始点に戻った後、コントローラは、第3サーボモータ51の制御部に停止信号(OFF信号)を送信するとともに、ローラー昇降機構46の制御部に下降信号(ON信号)を送信する。停止信号を受信した第3サーボモータ51の制御部は、第3サーボモータ51の駆動を停止させ、下降信号を受信したローラー昇降機構46の制御部は、それらローラー昇降機構46を下降させる。ローラー昇降機構46が下降すると、第1位置決め手段及び第2位置決め手段によって位置決めされたガラス板11の下面13が搬入コンベア43に当接する。
【0123】
第1位置決め手段及び第2位置決め手段によってガラス板11の位置決めが完了した後、コントローラは、ガラス板第1ホルダー40aの昇降機構の制御部に下降信号(ON信号)を送信する。下降信号を受信した昇降機構の制御部は、昇降機構によって吸着パッド42をガラス板11の上面12に向かって下降させる。ガラス板第1ホルダー40aの吸着パッド42がガラス板11の上面12に当接した後、コントローラは、ガラス板第1ホルダー40aのバキューム機構の制御部に吸引信号(ON信号)を送信する。吸引信号を受信したバキューム機構の制御部は、バキューム機構を起動させる。
【0124】
バキューム機構を起動によって、搬入エリア19に位置するガラス板11が吸着パッド42に吸引される。コントローラは、ガラス板第1ホルダー40aのパッド昇降機構の制御部に上昇信号(ON信号)を送信する。上昇信号を受信したパッド昇降機構の制御部は、パッド昇降機構によって吸着パッド42を上昇させる。搬入エリア19における第1位置決め手段及び第2位置決め手段によって位置決めされたガラス板11は、吸着パッド42に吸着された状態で吸着パッド42とともに上昇する。
【0125】
吸着パッド42(ガラス板11)が上昇した後、コントローラは、第2サーボモータ39の制御部に前進信号(ON信号)を送信する。前進信号を受信した第2サーボモータ39の制御部は、第2サーボモータ39を駆動させる。第2サーボモータ39の軸の回転によってスライドブロックが第2ガイドフレーム35の後方から前方へ向かって前後方向へ移動し、それによってガラス板第1ホルダー40a(吸着パッド42に吸着されたガラス板11)が搬入エリア19から切込加工エリア20に移動する(ガラス板移動手段)。尚、スライドブロックの移動により、ガラス板第1ホルダー40aとともにガラス板第2~第4ホルダー40b~40dが前後方向前方へ移動する。
【0126】
ガラス板第1ホルダー40aが切込加工エリア20に移動した後、コントローラは、ガラス板第1ホルダー40aのパッド昇降機構の制御部に下降信号(ON信号)を送信する。下降信号を受信したパッド昇降機構の制御部は、パッド昇降機構によって吸着パッド42(ガラス板11)を切込加工エリア20の切込加工テーブル54の上に下降させる。ガラス板第1ホルダー40aの吸着パッド42に吸着されたガラス板11が切込加工テーブル54に当接した後、コントローラは、ガラス板第1ホルダー40aのバキューム機構の制御部に停止信号(OFF信号)を送信する。停止信号を受信したバキューム機構の制御部は、バキューム機構の起動を停止させる。バキューム機構が停止することで、ガラス板11に対する吸着パッド42の吸着が解除され、位置決めされたガラス板11が切込加工テーブル54に載置される。尚、ガラス板11が切込加工テーブル54に載置されると、切込加工テーブル54に設置された吸着パッド(図示せず)にガラス板11の下面13が吸着保持される。
【0127】
次に、コントローラは、ガラス板第1ホルダー40aのパッド昇降機構の制御部に上昇信号(ON信号)を送信し、上昇信号によってガラス板第1ホルダー40a(パッド昇降機構)が切込加工テーブル54の上方へ上昇する。ガラス板第1ホルダー40aが上昇した後、コントローラから第2サーボモータ39の制御部に後退信号(ON信号)が送信され、第2サーボモータ39の軸の回転によってガラス板第1ホルダー40aが切込加工エリア20から搬入エリア19に移動し、ガラス板第1ホルダー40aが搬入エリア19の上方で待機する。ガラス板第1ホルダー40aとともにガラス板第2~第4ホルダー40b~40dも前後方向後方へ移動し、ガラス板第2ホルダー40bが切込加工エリア20の上方で待機し、ガラス板第3ホルダー40cが折割加工エリア21の上方で待機するとともに、ガラス板第4ホルダー40dが研削加工エリア22の上方で待機する。
【0128】
切込加工後のガラス板11のガラス板第2ホルダー40bによる切込加工エリア20から折割加工エリア21への搬送手順(ガラス板移動手段)、折割加工後のガラス板11のガラス板第3ホルダー40cによる折割加工エリア21から研削加工エリア22への搬送手順(ガラス板移動手段)、研削加工後のガラス板11のガラス板第4ホルダー40dによる研削加工エリア22から搬出エリア23への搬送手順(ガラス板移動手段)は、ガラス板第1ホルダー40aによるガラス板11の搬入エリア19から切込加工エリア20へのそれと同一であるから、ガラス板第2~第4ホルダー40b~40dによる搬送手順の説明は省略する。
【0129】
ガラス板11が切込加工テーブル54に載置された後、コントローラは、第1サーボモータ34の制御部に後退信号(ON信号)を送信する。後退信号を受信した第1サーボモータ34の制御部は、第1サーボモータ34を駆動させる。第1サーボモータ34の軸の回転によって第1スライドブロックが第1ガイドフレーム30の前方から後方へ向かって前後方向へ移動し、それによって第1走行フレーム32とともに切込装置55が切込加工エリア20において前後方向後方へ移動し、切込装置55がガラス板11の第1角部18a(前端縁16)の幅方向外方(切込加工開始位置)に位置する。
【0130】
切込加工では、ガラス板11が切込加工テーブル54に載置されると、図示はしていないが、切込加工テーブル54に設置された吸着パッドがガラス板11の下面13に当接し、バキューム機構が起動して吸着パッドがガラス板11の下面13を吸着保持する。ガラス板11が切込加工テーブル54の吸着パッドによって吸着保持された状態でガラス板11に対する以下の切込加工が行われる。
【0131】
切込装置55がガラス板11の第1角部18aの幅方向外方に位置した後、コントローラは、第1サーボモータ34の制御部に停止信号(OFF信号)を送信するとともに、第4サーボモータ61の制御部に駆動信号(ON信号)を送信する。停止信号を受信した第1サーボモータ34の制御部は、第1サーボモータ34を停止させ、駆動信号を受信した第4サーボモータ61の制御部は、第4サーボモータ61を駆動させる。第4サーボモータ61の軸の回転によってスライドブロック63aが切込加工エリア20の他方の側縁部48bから一方の側縁部48aに向かって送りネジ60aを幅方向へ移動し、それによって切込加工テーブル54が切込加工エリア20の他方の側縁部48bの側から一方の側縁部48aの側に向かって幅方向へ移動し、切込装置55の切込カッターホイール67がガラス板11の第1角部18aに位置する。
【0132】
切込装置55の切込カッターホイール67がガラス板11の第1角部18aに位置した後、コントローラは、切込装置55のエアシリンダー65及び第5サーボモータ66の制御部に駆動信号(ON信号)及びNC制御信号を送信し、第1サーボモータ34の制御部に後退信号(ON信号)及びNC制御信号を送信するとともに、第4サーボモータ61の制御部にNC制御信号を送信する。駆動信号(ON信号)やNC制御信号を受信した切込装置55のエアシリンダー65の制御部、第5サーボモータ66の制御部、第1サーボモータ34の制御部、第4サーボモータ61の制御部は、エアシリンダー65及び第5サーボモータ66、第1サーボモータ34、第4サーボモータ61を駆動し、ガラス板11の第1側縁14近傍(第1側縁部)に対してNC制御による輪郭制御運動を実施し、切込カッターホイール67がガラス板11の第1側縁14近傍(第1側縁部)を切込加工する(切込加工手段)。
【0133】
エアシリンダー65及び第5サーボモータ66、第1サーボモータ34、第4サーボモータ61の駆動により、切込カッターホイール67がNC制御による輪郭制御運動によってガラス板11に外形切出線K1を形成しつつ、第1角部18a→第2角部18b→第3角部18c→第4角部18d→第1角部18aに向かって順に移動する。切込カッターホイール67によるガラス板11への切込加工が終了すると、切込装置55がガラス板11の第1角部18a(前端縁16)の幅方向外方(切込加工開始位置)に移動し、待機する。
【0134】
図25は、折割カッターホイール93の転動方向変更の一例を示す図であり、
図26は、折割カッターホイール93の転動方向変更の他の一例を示す図である。
図27は、折割カッターホイール93の転動方向変更の他の一例を示す図であり、
図28は、折割カッターホイール93の転動方向変更の他の一例を示す図である。
図29は、折割カッターホイール93の転動方向変更の他の一例を示す図であり、
図30は、折割カッターホイール93の転動方向変更の他の一例を示す図である。
図31は、折割加工における折割手順の一例を示す図である。
【0135】
ガラス板11の周縁エリア56bに対して切込加工が終了した後、ガラス板第2ホルダー40bによって切込加工後のガラス板11が切込加工エリア20から折割加工エリア21へ搬送される。折割加工エリア21では、切込加工後のガラス板11の外形切出線K1の外側に延びる周縁エリア56bに複数の端切線K2が形成されるとともに、外形切出線K1と端切線がK2とに囲繞されたガラス板11の周縁エリア56bが折割られる。
【0136】
折割加工では、図示はしていないが、研削加工エリア22から折割加工エリア21に移動したガラス板第3ホルダー40cがパッド昇降機構によって折割加工エリア21の折割加工テーブル74の上に下降し、ガラス板第3ホルダー40cの吸着パッド42が折割加工テーブル74に載置されたガラス板11の上面12に当接し、バキューム機構が起動して吸着パッド42がガラス板11を吸着しつつ、ガラス板第3ホルダー40cの吸着パッド42がガラス板11を下方へ押圧する。折割加工中、ガラス板11がガラス板第3ホルダー40cの吸着パッド42によって押圧下に支持される。
【0137】
切込加工後のガラス板11が折割加工テーブル74に載置された後、コントローラは、第1折割装置75a及び第2折割装置75bのホルダー昇降機構94(第1昇降機構)、第1押圧部材昇降機構96a(第2昇降機構)、第2押圧部材昇降機構96b(第3昇降機構)、第6サーボモータ85(X軸サーボモータ)、第7サーボモータ87(Y軸サーボモータ)、第8サーボモータ90(X軸サーボモータ)、第9サーボモータ91(Y軸サーボモータ)の各制御部に駆動信号(ON信号)を送信する。駆動信号を受信したホルダー昇降機構94の制御部、第1及び第2押圧部材昇降機構96a,96bの制御部、第6~第9サーボモータ85,87,90,91の制御部は、ホルダー昇降機構94、第1及び第2押圧部材昇降機構96a,96b、第6~第9サーボモータ85,87,90,91を駆動する。尚、あらかじめ設定された走行軌跡(折割軌跡)に沿って第1及び第2折割装置75a,75bがガラス板11の上面12を走行するように、コントローラからホルダー昇降機構94、第1及び第2押圧部材昇降機構96a,96b、第6~第9サーボモータ85,87,90,91に走行指令(走行信号)が送信される。
【0138】
ホルダー昇降機構94、第1及び第2押圧部材昇降機構96a,96b、第6~第9サーボモータ85,87,90,91が駆動した第1折割装置75aは、第1折割治具84a(折割治具)がX軸第1アクチュエーター86a及びY軸第1アクチュエーター88aによって前後方向及び幅方向(斜め方向)へ移動し、第1折割治具84aがガラス板11の第1角部18aの幅方向外方の第1(初回)の端切線形成エリアにおける折割開始位置に位置する。ホルダー昇降機構94、第1及び第2押圧部材昇降機構96a,96b、第6~第9サーボモータ85,87,90,91が駆動した第2折割装置75bは、その第2折割治具84b(折割治具)がX軸第2アクチュエーター86b及びY軸第2アクチュエーター88bによって前後方向及び幅方向(斜め方向)へ移動し、第2折割治具84bがガラス板11の第4角部18dの幅方向外方の第1(初回)の端切線形成エリアにおける折割開始位置に位置する。
【0139】
第1折割治具84aがガラス板11の第1角部18aの折割開始位置(幅方向外方)に位置した後、X軸第1アクチュエーター86a及びY軸第1アクチュエーター88aによって前後方向、幅方向、斜め方向へ移動し、第1回(初回)の端切線形成箇所であってガラス板11の周縁エリア56bの外周縁から内側に至近距離離間した位置である端切線形成始点135aに移動する。第1折割治具84aが端切線形成始点に移動した後、ホルダー昇降機構94(第1昇降機構)が稼働して折割カッターホルダー92がガラス板11の周縁エリア56bの上面12に向かって下降する(ホルダー下降手段)。
【0140】
第2折割治具84bがガラス板11の第4角部18dの折割開始位置(幅方向外方)に位置した後、X軸第2アクチュエーター86b及びY軸第2アクチュエーター88bによって前後方向、幅方向、斜め方向へ移動し、第1回(初回)の端切線形成箇所であってガラス板11の外周縁から内側に至近距離離間した位置である端切線形成始点135aに移動する。第2折割治具84bが端切線形成始点135aに移動した後、ホルダー昇降機構94(第1昇降機構)が稼働して折割カッターホルダー92がガラス板11の周縁エリア56bの上面12に向かって下降する(ホルダー下降手段)。尚、端切線形成始点135aがガラス板11の周縁エリア56bの外周縁であってもよく、又は、ガラス板11の上面12の上方であってガラス板11の周縁エリア56bの外周縁から外側に至近距離離間した位置であってもよい。
【0141】
折割カッターホルダー92が下降すると、折割カッターホイール93が第2押圧部材95bの中央に形成された貫通孔105から下方へ露出する。折割カッターホイール93が貫通孔105の下方へ露出すると、折割カッターホイール93が端切線形成始点135aにおけるガラス板11の上面12に所定の押圧力で当接する。このとき折割カッターホイール93の転動方向が決まっておらず、折割カッターホイール93の周縁101が四方のいずれかに向き、折割カッターホイール93の転動方向がガラス板11の周縁エリア56bにおける仮想端切線の延びる方向に一致していない。仮想端切線の延びる方向は、端切線形成始点135aから端切線形成終点135cに向かう方向である。端切線形成終点135cは、外形切出線K1から外側に至近距離離間した周縁エリア56bの位置である。
【0142】
コントローラは、折割カッターホイール93が所定の方向へ走行(移動)するように第6及び第7サーボモータ85,87の制御部に走行信号(ON信号)を送信する。走行信号を受信した第6及び第7サーボモータ85,87の制御部は、第7サーボモータ85,87を駆動する。第6及び第7サーボモータ85,87の駆動によってX軸第1アクチュエーター86a及びY軸第1アクチュエーター88aが作動し、折割カッターホイール93が所定の方向へわずかに走行(移動)することで、折割カッターホイール93にキャスター効果が発現し、折割カッターホイール93がカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転し、折割カッターホイール93の周縁101の転動(移動)方向が第1折割治具84a(折割カッターホルダー92)の走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)に向く(転動方向変更手段)。
【0143】
コントローラは、折割カッターホイール93が所定の方向へ走行(移動)するように第8及び第9サーボモータ90,91の制御部に走行信号(ON信号)を送信する。走行信号を受信した第8及び第9サーボモータ90,91の制御部は、第8及び第9サーボモータ90,91を駆動する。第8及び第9サーボモータ90,91の駆動によってX軸第2アクチュエーター86b及びY軸第2アクチュエーター88bが作動し、折割カッターホイール93が所定の方向へわずかに走行(移動)することで、折割カッターホイール93にキャスター効果が発現し、折割カッターホイール93がカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転し、折割カッターホイール93の周縁101の転動(移動)方向が第2折割治具84b(折割カッターホルダー92)の走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)に向く(転動方向変更手段)。
【0144】
尚、折割カッターホイール93(第1及び第2折割治具84a,84b)の所定の方向への走行寸法(移動寸法)は、0.8~8mm、好ましくは、1~5mmである。又、端切線形成始点135aとガラス板11の周縁エリア56bの周縁との離間寸法は、1~15mmの範囲、好ましくは、3~10mmの範囲にあり、端切線形成終点135cと外形切出線K1との離間寸法は、1~10mmの範囲、好ましくは、1~5mmの範囲にある。
【0145】
折割カッターホイール93の転動方向変更の一例は、
図25に示すように、端切線形成始点135aから外方へわずかに離間した周縁エリア56bの外周縁の内側近傍の転動方向変更始点135bから端切線形成始点135aに向かって第1折割治具84a(折割治具)及び第2折割治具84b(折割治具)が直線状に走行(移動)し(走行寸法:0.8~8mm、好ましくは、1~5mm)、折割カッターホイール93の周縁101が端切線形成始点135aに位置したときに、折割カッターホイール93の周縁101の転動(移動)方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)に向かう。
【0146】
折割装置75は、折割カッターホイール93のカッターホイール軸線O3が折割カッターホルダー92(ホルダー本体97)のカッターホルダー中心軸線O2に対して径方向外方へ偏芯し、折割カッターホイール93がキャスター効果を有するから、周縁エリア56bの外縁の内側近傍の転動方向変更始点135bから端切線形成始点135aに向かって第1折割治具84a及び第2折割治具84bを直線状にわずかに走行させるだけで(折割治具84a,84bが端切線K2の端切線形成始点135aを含むその近傍から所定の方向へわずかに走行(移動)するだけで)、折割カッターホイール93がカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)へ回転し、折割カッターホイール93の周縁101の転動(回転)方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)へ向き、カッターホイール軸線の周り方向(軸回り)へ折割カッターホイール93を確実に回転させることができ、折割カッターホイール93の周縁101の転動方向を迅速かつ容易に変えることができるとともに、折割カッターホイール93の転動方向を折割治具84a,84bの走行方向(仮想端切線の延びる方向)に正確に一致させることができる。
【0147】
折割カッターホイール93の転動方向変更の他の一例は、
図26に示すように、端切線形成始点135aから側方へわずかに離間した転動方向変更始点135bから端切線形成始点135aに向かって第1折割治具8
4a(折割治具)及び第2折割治具8
4b(折割治具)が円形状(半円形状)に走行(移動)し(走行寸法:0.8~8mm、好ましくは、1~5mm)、折割カッターホイール93の周縁101が180°旋回して円軌跡(半円軌跡)を画き、カッターホイール93の周縁101が端切線形成始点135aに位置したときに、折割カッターホイール93の周縁101の転動(移動)方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)に向かう。
【0148】
折割カッターホイール93の転動方向変更の他の一例は、
図27,28に示ように、端切線形成始点135aの近傍の転動方向変更始点135bから端切線形成始点135aに向かって第1折割治具8
4a(折割治具)及び第2折割治具8
4b(折割治具)が円形状(真円状)に走行(移動)し(走行寸法:0.8~8mm、好ましくは、1~5mm)、又は、転動方向変更始点135bから端切線形成始点135aに向かって第1折割治具8
4a及び第2折割治具8
4bが円形状(真円状)に走行し(走行寸法:0.8~8mm、好ましくは、1~5mm)、折割カッターホイール93の周縁101が360°旋回して円軌跡(真円)を画き、カッターホイール93の周縁101が再び端切線形成始点135aに位置したときに、折割カッターホイール93の周縁101の転動(移動)方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行(移動)方向である仮想端切線の延びる方向に向かう。
図26では、端切線形成始点135aが第1折割治具84aと第2折割治具84bとが画く円軌跡(真円)の接点に位置し、端切線K2が円軌跡(真円)の接線方向へ延びている。
図27では、端切線形成始点135aが第1折割治具84aと第2折割治具84bとが画く円軌跡(真円)の上に位置し、端切線K2が円軌跡(真円)の径方向へ延びている。
【0149】
折割装置75は、第1及び第2折割治具84a,84bが端切線K2の端切線形成始点135aを含むその近傍から円形状に走行(移動)して円軌跡を画くだけで(折割治具84a,84bが端切線K2の端切線形成始点135aを含むその近傍から所定の方向へわずかに走行(移動)するだけで)、折割カッターホイール93がカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)へ回転し、折割カッターホイール93の周縁101の転動(回転)方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)へ向くから、カッターホイール軸線の周り方向(軸回り)へ折割カッターホイール93を確実に回転させることができ、折割カッターホイール93の周縁101の転動方向を迅速かつ容易に変えることができるとともに、折割カッターホイール93の転動方向を折割治具84a,84bの走行方向(仮想端切線の延びる方向)に正確に一致させることができる。
【0150】
折割カッターホイール93の転動方向変更の他の一例は、
図29に示すように、端切線形成始点135aから側方へわずかに離間した転動方向変更始点135bから端切線形成始点135aに向かって直線状に延びる走行線と端切線形成始点135aから端切線形成終点135cに向かって直線状に延びる仮想端切線とのなす角度が90°(又は90°以下)になるように、第1折割治具84a及び第2折割治具84bを転動方向変更始点135bから端切線形成始点135aに向かって直線状(直線軌道)にわずかに走行(走行寸法:0.8~8mm、好ましくは、1~5mm)させ、折割カッターホイール93の転動方向を走行線の延びる方向へ変えた後、端切線形成始点135aにおいて第1折割治具84a及び第2折割治具84bの走行方向を90°(又は90°以下)の角度で仮想端切線の延びる方向へ方向転換させ、第1折割治具84a及び第2折割治具84bを仮想端切線の延びる方向へ走行させる。尚、
図28では、直線状の走行線と直線状の仮想端切線とのなす角度が90°の場合を説明したが、走行線と仮想端切線とのなす角度が45°、30°、15°等の90°以下であればよい。
【0151】
折割装置75は、ガラス板11の周縁エリア56bにおける仮想端切線の延びる方向と端切線形成始点135aに向かう第1折割治具84a及び第2折割治具84bの走行方向とのなす角度が90°以下になるように、端切線形成箇所におけるガラス板11の周縁エリア56bの上面12において第1及び第2折割治具84a,84bを転動方向変更始点135bから端切線形成始点135aに向かって直線状に走行させ、折割カッターホイール93の転動方向を折割治具の走行方向へ変えた後、端切線形成始点135aにおいて第1及び第2折割治具84a,84bの走行方向を90°以下の角度で仮想端切線の延びる方向へ方向転換させるだけで(折割治具84a,84bが端切線K2の端切線形成始点135aを含むその近傍から所定の方向へわずかに走行(移動)するだけで)、折割カッターホイール93がカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)へ回転し、折割カッターホイール93の周縁101の転動(回転)方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)へ向くから、カッターホイール軸線の周り方向(軸回り)へ折割カッターホイール93を確実に回転させることができ、折割カッターホイール93の周縁101の転動方向を迅速かつ容易に変えることができるとともに、折割カッターホイール93の転動方向を折割治具84a,84bの走行方向(仮想端切線の延びる方向)に正確に一致させることができる。
【0152】
折割カッターホイール93の転動方向変更の他の一例は、
図30に示すように、端切線形成始点135aから仮想端切線(端切線形成終点135c)に向かってわずかに離間した転動方向変更始点135bから仮想端切線上に沿って端切線形成始点135aに向かって直線状(直線軌道)にわずかに走行(走行寸法:0.8~8mm、好ましくは、1~5mm)させ、又は、端切線形成始点135aから仮想端切線(端切線形成終点135c)に向かってわずかに離間した転動方向変更始点135bから仮想端切線上を端切線形成始点135aに向かって直線状(直線軌道)にわずかに走行(走行寸法:0.8~8mm、好ましくは、1~5mm)させ、折割カッターホイール93の転動方向を仮想端切線の延びる方向へ変えた後、端切線形成始点135aにおいて第1折割治具84a及び第2折割治具84bを反転(180°Uターン)させて仮想端切線の延びる方向へ第1折割治具84a及び第2折割治具84bの走行方向を方向転換させ、第1折割治具84a及び第2折割治具84bを仮想端切線の延びる方向へ走行させる。
【0153】
折割装置75は、端切線形成箇所のガラス板11の周縁エリア56bにおける仮想端切線に沿って折割治具84a,84bを端切線形成始点135a近傍から端切線形成始点135aに向かって走行させ、又は、折割治具84a,84bをガラス板11の周縁エリア56bにおける仮想端切線上を端切線形成始点135a近傍から端切線形成始点135aに向かって走行させ、折割カッターホイール93の転動方向を折割治具の走行方向へ変えた後、端切線形成始点135aにおいて折割治具84a,84bを反転させて仮想端切線の延びる方向へ折割治具84a,84bの走行方向を方向転換させるだけで(折割治具84a,84bが端切線K2の端切線形成始点135aを含むその近傍から所定の方向へわずかに走行(移動)するだけで)、折割カッターホイール93がカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)へ回転し、折割カッターホイール93の周縁101の転動(回転)方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)へ向くから、カッターホイール軸線の周り方向(軸回り)へ折割カッターホイール93を確実に回転させることができ、折割カッターホイール93の周縁101の転動方向を迅速かつ容易に変えることができるとともに、折割カッターホイール93の転動方向を折割治具84a,84bの走行方向(仮想端切線の延びる方向)に正確に一致させることができる。
【0154】
折割装置75は、折割装置75の第1及び第2折割治具84a,84bをガラス板11の周縁エリア56bの外周縁を含むその近傍における端切線形成始点135aから外形切出線K1の外側近傍の端切線形成終点135cに向かって移動させ、ガラス板11の周縁エリア56bの端切線形成箇所に端切線形成始点135aから端切線形成終点135cに向かって延びる端切線K2を形成するから、外形切出線K1から外側に至近距離離間した位置である端切線形成終点135cを含むその近傍において端切線K2の深さが浅くなることはなく、端切線形成終点135cを含むその近傍において十分な深さの端切線K2を形成することができ、外形切出線K1の外側に延びるガラス板11の周縁エリア56bを折割るときに、ガラス板11の折割が外形切出線K1からその外側に至近距離離間した位置である端切線形成終点135cに伝わるとともに端切線形成終点135cからガラス板11の外周縁又は外周縁から内側に至近距離離間した位置或いはガラス板11の上面12の上方であって外周縁から外側に至近距離離間した位置である端切線K2の端切線形成始点135aに伝わり、折割加工においてガラス板11の折割を外形切出線K1から各端切線K2に向かって伝えることができ、ガラス板11の外形切出線K1の外側の周縁エリア56b全体を円滑かつ確実に折割ることができる。折割装置75a,75bは、外形切出線K1と各端切線K2とにおいてガラス板11の周縁エリア56bを確実に割断することができ、ガラス板11を外形切出線K1に沿って綺麗に折割ることができるとともに、外形切出線K1の外側近傍における折割り(割断)不足によるかえし(バリ)の発生を防ぐことができる。
【0155】
折割装置75は、加工対象のガラス板11の周縁エリア56bにおける各端切線形成箇所において、折割カッターホイール93の周縁101の転動方向を第1及び第2折割治具84a,84bの走行方向(ガラス板11の周縁エリア56bの仮想端切線の延びる方向)に一致させつつ、それら端切線形成箇所に端切線K2を入れることができ、短時間に複数の端切線K2をガラス板11の周縁エリア56bの端切線形成箇所に効率よく形成することができる。折割装置75a,75bは、折割カッターホルダー92のカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)へ(回転中心周りに)折割カッターホイール93自体を回転運動させ、折割カッターホイール93自体を回転運動させる回転制御軸を折割カッターホルダー92のカッターホルダー中心軸線O2とし、折割カッターホイール93の転動方向(折割治具84a,84bの移動方向)に回転制御軸の角度を合わせることによって偏芯による誤差を最小限にすることができる。
【0156】
ガラス板加工システム10は、第1及び第2折割治具84a,84bを端切線形成始点135a又はその近傍におけるガラス板11の周縁エリア56bの上面12に平行してガラス板11の上面12を所定の方向へ向かってわずかに走行させる(円軌跡、又は、直線軌道)ことで、折割カッターホイール93がキャスター効果を発揮し、折割カッターホイール93の周縁101の転動方向が第1折割治具84aの走行方向(仮想端切線の延びる方向)に変更されるとともに、折割カッターホイール93の周縁101の転動方向が第2折割治具84bの走行方向(仮想端切線の延びる方向)に変更される。
【0157】
転動方向変更手段によって折割カッターホイール93の周縁101の転動方向を第1及び第2折割治具84a,84bの走行方向(仮想端切線の延びる方向)へ変更し、折割カッターホイール93の転動方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行方向と同一になった後、第1折割治具84a及び第2折割治具84bが端切線形成始点135aから外形切出線K1の近傍の端切線形成終点135cに向かって直線状に走行し、折割カッターホイール93がガラス板11の周縁エリア56bの端切線形成箇所に端切線形成始点135aから端切線形成終点135cに向かって延びる直線状の第1回(初回)の端切線K2(スクライブ)を形成する(端切線形成手段)。第1折割治具84aと第2折割治具84bとは同一の速度で走行する。
【0158】
端切線形成手段では、第1支持装置76aが第1折割装置75aと同期して移動しつつ、第1及び第2支持部材107a,107bの第1及び第2支持面116a,116bがガラス板11の外形切出線K1の外側に延びる周縁エリア56bの下面13を支持した状態で、第1折割治具84aの折割カッターホイール93がガラス板11の周縁エリア56bに端切線K2を形成する。折割装置は、第1及び第2支持部材107a,107bの第1及び第2支持面116a,116bがガラス板11の周縁エリア56bの下面13を支持することで周縁エリア56bの弾性変形を防ぐことができ、ガラス板11の周縁エリアを水平に保持した状態で、周縁エリア56bに端切線K2を確実に形成することができる。
【0159】
ガラス板11の周縁エリア56bの第1回(初回)の端切線形成箇所に端切線K2を形成した後、ホルダー昇降機構94(第1昇降機構)が稼働して折割カッターホルダー92がガラス板11の周縁エリア56bの端切線形成終点135cから上昇する(ホルダー上昇手段)。ホルダー上昇手段によって折割カッターホルダー92を上昇させた後、X軸第1及び第2アクチュエーター86a,86b及びY軸第1及び第2アクチュエーター88a,88bの作動によって第1及び第2折割装置75a,75bを第1回(初回)の押圧エリアに移動させる(折割装置移動手段)。
【0160】
折割装置移動手段によって第1及び第2折割装置75a,75bを第1回(初回)の押圧エリアに移動させた後、
図30に示すように、第1押圧部材昇降機構96a(第2昇降機構)によって第1及び第2折割装置75a,75bの第1押圧部材95aが上下方向へ下降し、第1押圧部材95aの第1押圧面104aと第1及び第2支持部材107a,107bの第1及び第2支持面116a,116bとがガラス板11の本体部56a及び周縁エリア56bを挟み込む(ガラス板挟持手段)。
【0161】
ガラス板挟持手段では、第1押圧部材昇降機構96aによって第1及び第2折割装置75a,75bの第1押圧部材95aが下降したときに、第1押圧部材95aの半円環状に成形された第1押圧面104aが外形切出線K1を跨いで(横切って)外形切出線K1の外側近傍に延びるガラス板11の周縁エリア56bの上面12と外形切出線K1の内側近傍に延びるガラス板11の本体部56aの上面12とに当接する。
【0162】
ガラス板挟持手段では、第2支持部材昇降機構108(第4昇降機構)によって第1及び第2支持部材107a,107bが上昇したときに、第2支持部材107bの円環状に成形された第2支持面116bが外形切出線K1を跨いで(横切って)外形切出線K1の外側近傍に延びるガラス板11の周縁エリア56bの下面13と外形切出線K1の内側近傍に延びるガラス板11の本体部56aの下面13とを支持し、第1支持部材107aの真円状に成形された第1支持面116aが外形切出線K1の内側近傍に延びるガラス板11の本体部56aの下面13を支持するとともに、第1支持面116aの外周縁近傍が外形切出線K1の外側近傍に延びるガラス板11の周縁エリア56bの下面13を支持する。
【0163】
ガラス板挟持手段によって第1押圧部材95aの第1押圧面104aと第1及び第2支持部材107a,107bの第1及び第2支持面116a,116bとがガラス板11の本体部56a及び周縁エリア56bを挟み込んだ後、第2支持部材昇降機構108(第4昇降機構)によって第2支持部材107bが第1回(初回)の押圧エリアにおいて上下方向へ下降する(第2支持部材下降手段)。第2支持部材107bが下降すると、ガラス板11の下面13と第2支持面116bとの間に間隙(第1支持面116aと第2支持面116bとの間に段差)が形成される。尚、第1押圧部材95aの第1押圧面104aと第1支持部材107aの第1支持面116aとによるガラス板11の本体部56aの挟み込みが維持される。
【0164】
第2支持部材下降手段によって第2支持部材107bが下降した後、第1押圧部材95aの第1押圧面104a及び第1支持部材107aの第1支持面116aによるガラス板11の本体部56aの挟み込みを維持しつつ、第2押圧部材昇降機構96b(第3昇降機構)によって第2押圧部材95bが上下方向へ下降し、第2押圧部材95bの円環状に成形された第2押圧面104bが外形切出線K1の外側近傍に延びるガラス板11の周縁エリア56bの上面12に当接し、第2押圧部材95bの第2押圧面104bが外形切出線K1の外側に延びるガラス板11の周縁エリア56bを下方へ押圧する。第2押圧面104bが周縁エリア56bを下方へ押圧することで、周縁エリア56bが折割られる(縁部折割手段)。縁部折割手段では、ガラス板11の本体部56aと周縁エリア56bとが切り離される。折割られた(切り離された)ガラス板11の周縁エリア56bは、ベルトコンベア77の上に残存する。
【0165】
第1回(初回)の押圧エリアにおいて縁部折割手段によって周縁エリア56bを折割った後、第2支持部材昇降機構108(第4昇降機構)によって第2支持部材107bが上下方向へ上昇し、第1押圧部材昇降機構96a(第2昇降機構)によって第1押圧部材95aが上下方向へ上昇するとともに、第2押圧部材昇降機構96b(第3昇降機構)によって第2押圧部材95bが上下方向へ上昇する。
【0166】
第1及び第2押圧部材95a,95b及び第2支持部材107bが上昇した後、第1及び第2折割装置75a,75bをガラス板11の周縁エリア56bの第2回(次回)の端切線形成箇所に移動させる(折割装置移動手段)。第1折割治具84aがガラス板11の幅方向外方における第2回(次回)の端切線形成箇所の折割開始位置に位置し、第2折割治具84bがガラス板11の幅方向外方における第2回(次回)の端切線形成箇所の折割開始位置に位置する。尚、第1及び第2折割装置75a,75bと同期(シンクロ)して第1及び第2支持装置76a,76bが第2回(次回)の端切線形成箇所の折割開始位置に移動する。
【0167】
第1及び第2折割装置75a,75bが第2回(次回)の端切線形成箇所におけるの折割開始位置に移動した後、ホルダー昇降機構94(第1昇降機構)が稼働して折割カッターホルダー92がガラス板11の周縁エリア56bの上面12に向かって下降し(ホルダー下降手段)、折割カッターホイール93が第2押圧部材95bの中央に形成された貫通孔105から下方へ露出して折割カッターホイール93が第2回(次回)の端切線形成箇所におけるガラス板11の上面12に所定の押圧力で当接する。
【0168】
ホルダー下降手段によって折割カッターホルダー92が第2回(次回)の端切線形成箇所におけるガラス板11の周縁エリア56bの上面12に下降(当接)した後、既述のように、第1及び第2折割治具84a,84b(折割治具)が円形状に走行をして円軌跡を画き、又は、第1及び第2折割治具84a,84bが端切線形成始点135aに向かって直線状に走行し、折割カッターホイール93にキャスター効果が発現して折割カッターホイール93の周縁101の転動(移動)方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)に向き(転動方向変更手段)、折割カッターホイール93の周縁101の転動(移動)方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行方向(仮想端切線の延びる方向)へ変更される。
【0169】
折割カッターホイール93の周縁101の転動方向を第1及び第2折割治具84a,84bの走行方向(仮想端切線の延びる方向)へ変更し、折割カッターホイール93の転動方向が第1及び第2折割治具84a,84bの走行方向と同一になった後、第1折割治具84a及び第2折割治具84bが端切線形成始点135aから外形切出線K1の近傍の端切線形成終点135cに向かって直線状に走行し、折割カッターホイール93がガラス板11の周縁エリア56bの端切線形成箇所に端切線形成始点135aから端切線形成終点135cに向かって延びる直線状の第2回(次回)の端切線K2(スクライブ)を形成する(端切線形成手段)。
【0170】
ガラス板11の周縁エリア56bの第2回(次回)の端切線形成箇所に端切線K2を形成した後、ホルダー昇降機構94(第1昇降機構)によって折割カッターホルダー92がガラス板11の周縁エリア56bの端切線形成終点135cから上昇する(ホルダー上昇手段)。折割カッターホルダー92が上昇した後、第1及び第2折割装置75a,75bが第2回(次回)の押圧エリアに移動する(折割装置移動手段)。
【0171】
第1及び第2折割装置75a,75bが第2回(次回)の押圧エリアに移動した後、第1押圧部材昇降機構96a(第2昇降機構)によって第1及び第2折割装置75a,75bの第1押圧部材95aが上下方向へ下降し、第2回(次回)の押圧エリアにおいて第1押圧部材95aの第1押圧面104aと第1及び第2支持部材107a,107bの第1及び第2支持面116a,116bとがガラス板11の本体部56a及び周縁エリア56bを挟み込む(ガラス板挟持手段)。第1押圧部材95aの第1押圧面104aと第1及び第2支持部材107a,107bの第1及び第2支持面116a,116bとがガラス板11の本体部56a及び周縁エリア56bを挟み込んだ後、第2支持部材昇降機構108(第4昇降機構)によって第2支持部材107bが第2回(次回)の押圧エリアにおいて上下方向に下降する(第2支持部材下降手段)。
【0172】
第2支持部材107bが下降した後、第1押圧部材95aの第1押圧面104a及び第1支持部材107aの第1支持面116aによるガラス板11の本体部56aの挟み込みを維持しつつ、第2押圧部材昇降機構96b(第3昇降機構)によって第2押圧部材95bが上下方向へ下降し、第2回(次回)の押圧エリアにおいて第2押圧部材95bの第2押圧面104bが外形切出線K1の外側に延びるガラス板11の周縁エリア56bを下方へ押圧する。第2押圧面104bが周縁エリア56bを下方へ押圧することで、周縁エリア56bが折割られる(縁部折割手段)。折割られた(切り離された)ガラス板11の周縁エリア56bは、ベルトコンベア77の上に残存する。
【0173】
ガラス板加工システム10(折割装置75a,75b)は、ホルダー昇降機構94(第1昇降機構)、第1及び第2押圧部材昇降機構96a,96b(第2及び第3昇降機構)によって折割カッターホイール93と第1及び第2押圧部材95a,95bが上昇した後、第1及び第2折割装置75a,75bがガラス板11の上面の側において前後方向(水平方向)、幅方向(水平方向)、斜め方向(水平方向)へ移動し(折割装置移動手段)、第2支持部材昇降機構108(第4昇降機構)によって第2支持部材107bが上昇した後、第1及び第2支持装置76a,76bがガラス板11の下面13の側において第1及び第2折割装置75a,75bと同期(シンクロ)して前後方向(水平方向)、幅方向(水平方向)、斜め方向(水平方向)へ移動し(支持装置移動手段)、折割装置移動手段及び支持装置移動手段によって第1及び第2折割装置75a,75bと第1及び第2支持装置76a,76bとが同期して移動した後、第1折割装置75aと第1支持装置76aとが連携するとともに、第2折割装置75bと第2支持装置76bとが連携して端切線形成手段とガラス板挟持手段と縁部折割手段とを実施する。既述の手順を繰り返し、端切線K2が形成されたガラス板11のすべての周縁エリア56bが折割られる。尚、ガラス板11の大きさ(面積)や厚み寸法、外形切出線K1によって作られるガラス板11の本体の形状によって端切線K2の数が決定される。
【0174】
折割加工が終了し、折割加工後のガラス板11がガラス板第3ホルダー40cによって上方へ持ち上げられた後、コントローラは、コンベア駆動モータ78の制御部に駆動信号(ON信号)を送信する。駆動信号を受信したコンベア駆動モータ78の制御部は、ベルトコンベア77を駆動させ、ベルトコンベア77が幅方向の一方から他方へ向かって移動する。ベルトコンベア77の幅方向の移動によってベルトコンベア77に残存するガラス板11の折割られた周縁エリア56b(周縁部)が幅方向の一方から他方へ向かって次第に移動し、周縁エリア56bがベルトコンベア77から落下してダストボックス(図示せず)に収容される(廃棄される)。
【0175】
ガラス板11の折割加工が終了した後、ガラス板第3ホルダー40cによって折割加工後のガラス板11の本体部56aが折割加工エリア21から研削加工エリア22へ搬送され、ガラス板11の本体部56aが研削加工テーブル117に載置される。本体部56aが研削加工テーブル117に載置された後、コントローラは、研削加工テーブル117のバキューム機構の制御部に駆動信号(ON信号)を送信するとともに、第1サーボモータ34の制御部に後退信号(ON信号)を送信する。駆動信号を受信したバキューム機構の制御部は、バキューム機構を駆動させる。バキューム機構の駆動によってガラス板11の本体部56aが吸着パッド119(研削加工テーブル117)に吸着保持される。
【0176】
後退信号を受信した第1サーボモータ34の制御部は、第1サーボモータ34を駆動させる。第1サーボモータ34の軸の回転によって第1スライドブロックが第1ガイドフレーム30の前方から後方へ向かって前後方向へ移動し、それによって第1走行フレーム32とともに研削装置118が研削加工エリア22において前後方向後方へ移動し、研削装置118がガラス板11の本体部56aの第1角部(前側縁)の幅方向外方(研削加工開始位置)に位置する。尚、研削装置118は、切込装置55と同期してガラス板11の本体部56aの周縁部(側縁、前後端縁)を移動する。
【0177】
研削装置118がガラス板11の本体部56aの第1角部の幅方向外方(研削加工開始位置)に位置した後、コントローラは、第1サーボモータ34の制御部に停止信号(OFF信号)を送信するとともに、第14サーボモータ120の制御部に駆動信号(ON信号)を送信する。停止信号を受信した第1サーボモータ34の制御部は、第1サーボモータ34を停止させ、駆動信号を受信した第14サーボモータ120の制御部は、第14サーボモータ120を駆動させる。
【0178】
第14サーボモータ120の軸の回転によってスライドブロック63bが研削加工エリア22の他方の側縁部48bから一方の側縁部48aに向かって送りネジ60bを幅方向へ移動し、それによって研削加工テーブル117が研削加工エリア22の他方の側縁48b部の側から一方の側縁部48aの側に向かって幅方向へ移動し、研削装置118の研削ホイール127がガラス板11の本体部56aの第1角部に位置する。ガラス板11の本体部56aの第1角部は、研削治具121のカバー129のスリット131に進入する。
【0179】
研削装置118の研削ホイール127がガラス板11の第1角部に位置した後、コントローラは、研削装置118の第15~第17サーボモータ122~124の制御部に駆動信号(ON信号)及びNC制御信号を送信し、第1サーボモータ34の制御部に後退信号(ON信号)及びNC制御信号を送信するとともに、第14サーボモータ120の制御部にNC制御信号を送信する。尚、スピンドルモータ130は、ガラス板11が研削加工テーブル117に載置される以前に常時駆動している。駆動信号、NC制御信号を受信した第15~第17サーボモータ122~124の制御部及びスピンドルモータ130の制御部、第1サーボモータ34の制御部、第14サーボモータ120の制御部は、第15~第17サーボモータ122~124、スピンドルモータ130、第1サーボモータ34、第14サーボモータ120を駆動し、ガラス板11の本体部56aの一方の側縁近傍(一方の側縁部)に対してNC制御による輪郭制御運動を実施し、研削ホイール127がガラス板11の本体部56aの一方の側縁近傍を研削加工する(研削加工手段)。
【0180】
後退信号(ON信号)を受信した第1サーボモータ34の制御部は、研削加工中(切込加工中)に第1サーボモータ34を駆動させて研削装置118を研削加工エリア22において前後方向後方へ移動させ、第14サーボモータ120の制御部は、研削加工中(切込加工中)に第14サーボモータ120を駆動させて研削装置118を研削加工エリア22において幅方向へ往復動させる。研削装置118の研削ホイール127は、ガラス板11の本体部56aの縁(外形切出線K1)に沿ってガラス板11の本体部56aの一方の側縁近傍(一方の側縁部)を研削しつつ、ガラス板11の第1角部から第2角部に向かって移動する。
【0181】
研削装置118の研削ホイール127によってガラス板11の本体部56aの一方の側縁近傍(一方の側縁部)の研削加工が終了し、研削ホイール127がガラス板11の本体部56aの第2角部に位置した後、研削加工テーブル117が研削加工エリア22の一方の側縁部48aの側から他方の側縁部48bの側に向かって幅方向へ移動し、研削加工テーブル117の幅方向への移動に伴って研削ホイール127がガラス板11の本体部56aの後端縁近傍(後端縁部)を研削加工する(研削加工手段)。
【0182】
研削加工中(切込加工中)における第14サーボモータ120、第1サーボモータ34の駆動により、研削装置118の研削ホイール127がガラス板11の本体部56aの縁(外形切出線K1)に沿ってガラス板11の本体部56aを研削しつつ、研削ホイール127が本体部56aの第2角部18b→第3角部18c→第4角部18d→第1角部18aに向かって順に移動する。研削ホイール127によるガラス板11の本体部56aの研削加工が終了すると、研削装置118がガラス板11の本体部56aの第1角部(前端縁)の幅方向外方(研削加工開始位置)に移動し、待機する。
【0183】
ガラス板11の本体部56aの研削加工が終了した後、ガラス板第4ホルダー40dによって研削加工後のガラス板11の本体部56aが研削加工エリア22から搬出エリア23へ搬送される。搬出エリア23では、切込加工、折割加工、研削加工が終了したガラス板11の本体部56aが搬出コンベア134によって搬出エリア23の後端部から前端部に向かって前方へ移動し、各加工が終了したガラス板11の本体部56aが搬出エリア23から搬出される。
【0184】
各加工が終了したガラス板11の本体部56aが搬出エリア23の搬出コンベア134に位置すると、研削加工が終了したガラス板11の本体部56aが研削加工エリア22の研削加工テーブル117に位置し、折割加工が終了したガラス板11の本体部56aが折割加工エリア21の折割加工テーブル74に位置するとともに、切込加工が終了したガラス板11が切込加工エリア20の切込加工テーブル54に位置し、第1位置決め手段及び第2位置決め手段によって位置決めが行われた加工前のガラス板11が搬入エリア19の搬入コンベア43に位置する。このように、ガラス板加工システム10では、複数のガラス板11が搬入エリア19から搬出エリア23に向かって順に搬送され、複数のガラス板11の加工が連続して行われる。
【0185】
ガラス板加工システム10は、前記特許文献1に開示のガラス板加工システムに設置されたθ軸サーボモータやその回転力を折割カッターホルダーに伝達する伝達部材(プーリやベルト等)を設置する必要はなく、ガラス板加工システム10の小型化や省エネ化、低コスト化を図ることができる。更に、折割加工においてθ軸サーボモータを回転させて折割カッターホイール93の周縁101の転動方向をガラス板11の周縁エリア56bの仮想端切線の延びる方向(第1及び第2折割治具84a,84b(折割治具)の走行方向)と同一にする必要はなく、端切線K2の形成の度毎にθ軸サーボモータを用いて折割カッターホイール93の周縁101の転動方向を変える必要がないから、ガラス板加工システム10における折割加工の短時間化及び効率化を図ることができる。
【符号の説明】
【0186】
10 ガラス板加工システム
11 ガラス板
12 上面
13 下面
14 第1側縁(一方の側縁)
15 第2側縁(他方の側縁)
16 前端縁
17 後端縁
18a~18d 第1~第4角部
19 搬入エリア
20 切込加工エリア
21 折割加工エリア
22 研削加工エリア
23 搬出エリア
24 搬送機構
25 機械台
26a,26b 第1及び第2ピラー
27 固定フレーム
28 第1移動ユニット
29 第2移動ユニット
30 第1ガイドフレーム
31 第1ガイドレール
32 第1走行フレーム
33 第1ガイドシュー
34 第1サーボモータ
35 第2ガイドフレーム
36 第2ガイドレール
37 第2走行フレーム
38 ガイドシュー
39 第2サーボモータ
40a~40d ガラス板第1~第4ホルダー
41 パッド設置プレート
42 吸着パッド
43 搬入コンベア
44 ストッパー
45 ローラー
45a ローラー
46 ローラー昇降機構
47 移動機構
48a 一方の側縁部
48b 他方の側縁部
49 軸
50 ロッド
51 第3サーボモータ
52 移動アーム
53 当接部材
54 切込加工テーブル
55 切込装置
56a 本体部
56b 周縁エリア
57a,57b ベースレーン
58a 第1移動機構
58b 第2移動機構
59a,59b 走行ガイドレール
60a,60b 送りネジ
61 第4サーボモータ
62a,62b ガイドシュー
63a,63b スライドブロック(ハウジングナット)
64 切込治具
65 エアシリンダー
66 第5サーボモータ
67 切込カッターホイール
68 切込カッターホルダー
69 カッター昇降軸
70 カッター昇降ガイド
71 支持軸
72 ブラケット
73 タイミングベルト
74 折割加工テーブル
75 折割装置
75a 第1折割装置
75b 第2折割装置
76a 第1支持装置
76b 第2支持装置
77 ベルトコンベア
78 コンベア駆動モータ
79 ベルト
80 プーリ
81 キャリアローラ
82 コンベアフレーム
83 懸垂フレーム
84a 第1折割治具
84b 第2折割治具
85 第6サーボモータ(X軸サーボモータ)
86a X軸第1アクチュエーター
86b X軸第2アクチュエーター
87 第7サーボモータ(Y軸サーボモータ)
88a Y軸第1アクチュエーター
88b Y軸第2アクチュエーター
89a X軸第1アクチュエーターフレーム
89b X軸第2アクチュエーターフレーム
89c Y軸第1アクチュエーターフレーム
89d Y軸第2アクチュエーターフレーム
90 第8サーボモータ(X軸サーボモータ)
91 第9サーボモータ(Y軸サーボモータ)
92 折割カッターホルダー
93 折割カッターホイール
94 ホルダー昇降機構
95a 第1押圧部材
95b 第2押圧部材
96a 第1押圧部材昇降機構(第2昇降機構)
96b 第2押圧部材昇降機構(第2昇降機構)
97 ホルダー本体
98 ホルダーヘッド
99 ベアリング
100 回転軸
101 周縁
102 連結部
103 ブラケット
104a 第1押圧面
104b 第2押圧面
105 貫通孔
106 ガイドフレーム
107a 第1支持部材
107b 第2支持部材
108 第2支持部材昇降機構(第4昇降機構)
109 第10サーボモータ(X軸サーボモータ)
110a X軸第3アクチュエーター
110b X軸第4アクチュエーター
111 第11サーボモータ(Y軸サーボモータ)
112a Y軸第3アクチュエーター
112b Y軸第4アクチュエーター
113a X軸第3アクチュエーターフレーム
113b X軸第4アクチュエーターフレーム
113c Y軸第3アクチュエーターフレーム
113d Y軸第4アクチュエーターフレーム
114 第12サーボモータ
115 第13サーボモータ
116a 第1支持面
116b 第2支持面
117 研削加工テーブル
118 研削装置
119 吸着パッド
120 第14サーボモータ
121 研削治具
122 第15サーボモータ
123 第16サーボモータ
124 第17サーボモータ
125 研削ホイール昇降ネジ
126 研削ホイール切込ネジ
127 研削ホイール
128 研削ホルダー
129 カバー
130 スピンドルモータ
131 スリット
132 モータハウジング
133 ブラケット
134 搬出コンベア
135a 端切線形成始点
135b 転動方向変更始点
135c 端切線形成終点
K1 外形切出線(切込線)
K2 端切線
L1 位置決め第1基準(仮想位置決め第1基準線)
L2 位置決め第2基準(仮想位置決め第2基準線)(中心線)
O1 側縁の前後方向中心
O2 カッターホルダー中心軸線
O3 カッターホイール軸線
S 離間寸法(偏芯寸法)