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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129341
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】複合コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20240919BHJP
   H01R 13/46 20060101ALI20240919BHJP
   G02B 6/36 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
H01R13/52 301E
H01R13/52 301H
H01R13/46 D
G02B6/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038483
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】生田 勝也
(72)【発明者】
【氏名】一尾 敏文
【テーマコード(参考)】
2H036
5E087
【Fターム(参考)】
2H036QA03
2H036QA11
2H036QA56
5E087EE07
5E087JJ06
5E087LL03
5E087LL04
5E087LL13
5E087LL17
5E087MM05
5E087PP06
5E087QQ04
5E087RR12
5E087RR29
(57)【要約】
【課題】簡素な構成を有し、構成部材の種類を少なく抑えて防水を施すことができる複合コネクタを提供する。
【解決手段】第一、二の接続部2,3と、第一、二の収容部41,42を備え、前記第一、二の収容部に前記第一、二の接続部をそれぞれ収容するハウジング4と、それぞれ前記第一、二の収容部に後端側から挿入される第一、二の防水栓5a,5bと、を有し、前記第二の接続部の後端は、前記第一の接続部の後端よりも前方に位置し、前記ハウジングは、前記第一の収容部の箇所と前記第二の収容部の箇所とで、後端の前後方向の位置が揃っており、前記第二の防水栓は、少なくとも後端側の一部の領域が、前記第一の防水栓と同じ構造を有しており、前記第二の収容部への前記第二の防水栓の挿入深さが位置決め部材によって規定されることで、前記第一の防水栓と前記第二の防水栓の間で、後端の前後方向の位置が相互に揃っている、複合コネクタ1とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ前方にて外部の部材との光接続または電気接続を行う第一の接続部および第二の接続部と、
第一の収容部と第二の収容部を備え、前記第一の収容部および前記第二の収容部に前記第一の接続部および前記第二の接続部をそれぞれ収容するハウジングと、
それぞれ前記第一の収容部および前記第二の収容部に後端側から挿入される第一の防水栓および第二の防水栓と、を有し、
前記第二の収容部に収容された前記第二の接続部の後端は、前記第一の収容部に収容された前記第一の接続部の後端よりも前方に位置し、
前記ハウジングは、前記第一の収容部の箇所と前記第二の収容部の箇所とで、後端の前後方向の位置が揃っており、
前記第二の防水栓は、少なくとも後端側の一部の領域が、前記第一の防水栓と同じ構造を有しており、
前記第二の収容部へ前記第二の防水栓の挿入深さが位置決め部材によって規定されることで、前記第一の防水栓と前記第二の防水栓の間で、後端の前後方向の位置が相互に揃っている、複合コネクタ。
【請求項2】
前記第一の接続部は、外部の部材との光接続を行う光接続部であり、
前記第二の接続部は、外部の部材との電気接続を行う電気接続部である、請求項1に記載の複合コネクタ。
【請求項3】
前記第一の防水栓および前記第二の防水栓は、同じ防水栓として構成され、
前記位置決め部材は、前記第二の収容部内に設置された部材であり、前記第二の防水栓の先端面に当接することで、前記第二の防水栓の前記挿入深さを規定する、請求項1または請求項2に記載の複合コネクタ。
【請求項4】
前記位置決め部材は、リブまたはスリーブとして構成されている、請求項3に記載の複合コネクタ。
【請求項5】
前記第二の防水栓は、
前記第一の防水栓と同じ構造を有する後方部位と、
前記後方部位の前方に、前記後方部位と一体に連続して設けられた前方部位と、を有しており、
前記位置決め部材は、前記第二の接続部の後端面であり、前記第二の防水栓の先端面に当接することで、前記第二の防水栓の前記挿入深さを規定する、請求項1または請求項2に記載の複合コネクタ。
【請求項6】
前記第二の防水栓には、前記後方部位と前記前方部位の境界に、視認可能なマーカが設けられている、請求項5に記載の複合コネクタ。
【請求項7】
前記複合コネクタは、防水栓カバーをさらに備え、
前記第一の防水栓および前記第二の防水栓は、後端側の領域が、前記ハウジングの後端から外側に突出しており、
前記防水栓カバーは、前記ハウジングの外側から、前記第一の防水栓および前記第二の防水栓の後端の突出箇所に接触し、前記第一の防水栓および前記第二の防水栓を、一括して、前記ハウジングに収容された状態に保持する、請求項1または請求項2に記載の複合コネクタ。
【請求項8】
前記防水栓カバーは、前後方向に交差する分割方向に分割された、2つの分割部材より構成され、
前記2つの分割部材は、相互に同じ構造を有している、請求項7に記載の複合コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバを用いた光ケーブルは、多量の情報の高速通信が可能であることから、家庭用、産業用等の情報通信に広く利用されている。また、自動車には、カーナビゲーションシステム等、各種の電子機器が装備されているが、それらの機器における通信にも、光ケーブルを用いた光通信が使用され始めている。特に近年、自動車分野において、通信の高速化が加速しているが、数Gbpsを超えるような高速の通信を、電気ケーブルによって行うことには課題が多く、通信の高速化に伴って、車載通信機器において、高速通信に対応可能な光ケーブルの重要性がますます高まっている。光ケーブルの先端には、光フェルール等を備えた光接続部が取り付けられ、その光接続部を介して、光ケーブルが通信装置等に接続される。
【0003】
一方で、光ケーブルは、通信装置を作動させるのに必要なエネルギーを供給する用途には適しておらず、光ケーブルと合わせて、金属線を備えた電気ケーブルも使用される。電気ケーブルの先端には、電気接続端子等を備えた電気接続部が取り付けられ、その電気接続部を介して、電気ケーブルが通信装置等に接続される。光ケーブルおよび電気ケーブルを通信装置等の機器に簡便に接続できるようにするために、光ケーブルと電気ケーブルを一括して機器に接続できるコネクタが開発されている。その種の光-電気複合コネクタは、特許文献1等に開示されており、一部では実用化も行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2007/088863号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光接続や電気接続を行うコネクタにおいては、コネクタ内部に水が浸入しないように、ゴム等よりなる防水栓が取り付けられる場合がある。特に、車載機器においては、環境中からの水の浸入を防ぐために、コネクタに防水栓が設けられる場合も多い。上記の光接続部と電気接続部のように、複数の種類の接続部材を1つのハウジングに収容して、複合コネクタを構成している場合には、ハウジングにおいて、それらの接続部材が配置された箇所を、それぞれ防水する必要が生じる。しかし、光接続部と電気接続部のように、異なる種類の接続部材は、形状や寸法が異なっており、長さも相互に異なっている場合が多い。例えば、図4に示すように、光接続部2においては、電気接続部3よりも、長さ方向の寸法が大きくなっていることが多い。
【0006】
このように、相互に長さの異なる複数種の接続部2,3を含む複合コネクタ100の後端部に、水の浸入を抑制するための防水栓を設けるとすれば、図4に示すように、ハウジング140の後端部145に段差を設け、電気接続部3側の後端部の位置を、光接続部2側の後端部の位置よりも前方に配置したうえで、光接続部2と電気接続部3のそれぞれの後方に、防水栓150,150を取り付ける構造が考えられる。この形態を採用する場合に、光接続部2側と電気接続部3側に同じ防水栓150,150を用いることができるが、複合コネクタ100の形状が、ハウジング140の後端部145に段差を有する特殊な形状のものになってしまう。すると、例えば、防水栓150,150をハウジング140に取り付けた状態に保持するための防水栓カバーを設けるとすれば、光接続部2側と電気接続部3側で、独立した防水栓カバーを別々に取り付ける必要が生じる。あるいは、光接続部2側と電気接続部3側で一体に連続した防水栓カバーを設け、両方の防水栓150,150を一括して保持できる形態とするならば、防水栓カバーとして、ハウジング140の後端部145の形状に合わせて、光接続部2側と電気接続部3側で段差を有する特殊な形状のものを用いる必要が生じる。
【0007】
このように、共通のハウジングに、種類の異なる複数の接続部材を収容した複合コネクタにおいて、防水栓によって防水を施すためには、構成部材の形状が特殊なものになったり、使用する部材の種類や数が多くなったりしやすい。複合コネクタの構成を簡素なものにするためには、ハウジングや防水栓、防水栓カバー等の構成部材として、簡素な形状のものを用い、構成部材の数や種類も少なく抑えることが好ましい。
【0008】
上記に鑑み、簡素な構成を有し、構成部材の種類を少なく抑えて防水を施すことができる複合コネクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の複合コネクタは、それぞれ前方にて外部の部材との光接続または電気接続を行う第一の接続部および第二の接続部と、第一の収容部と第二の収容部を備え、前記第一の収容部および前記第二の収容部に前記第一の接続部および前記第二の接続部をそれぞれ収容するハウジングと、それぞれ前記第一の収容部および前記第二の収容部に後端側から挿入される第一の防水栓および第二の防水栓と、を有し、前記第二の収容部に収容された前記第二の接続部の後端は、前記第一の収容部に収容された前記第一の接続部の後端よりも前方に位置し、前記ハウジングは、前記第一の収容部の箇所と前記第二の収容部の箇所とで、後端の前後方向の位置が揃っており、前記第二の防水栓は、少なくとも後端側の一部の領域が、前記第一の防水栓と同じ構造を有しており、前記第二の収容部への前記第二の防水栓の挿入深さが位置決め部材によって規定されることで、前記第一の防水栓と前記第二の防水栓の間で、後端の前後方向の位置が相互に揃っている。
【発明の効果】
【0010】
本開示にかかる複合コネクタは、簡素な構成を有し、構成部材の種類を少なく抑えて防水を施すことができる複合コネクタとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の一実施形態にかかる複合コネクタの全体構成を示す斜視図である。
図2図2は、上記複合コネクタのハウジングを切断し、上方から見た状態を示す部分断面図である。
図3図3Aおよび図3Bはそれぞれ、変形形態にかかる複合コネクタを示す部分断面図である。
図4図4は、ハウジングの後端に段差を有する形態の複合コネクタを示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。本開示にかかる複合コネクタは、以下の構成を有する。
【0013】
[1]本開示にかかる複合コネクタは、それぞれ前方にて外部の部材との光接続または電気接続を行う第一の接続部および第二の接続部と、第一の収容部と第二の収容部を備え、前記第一の収容部および前記第二の収容部に前記第一の接続部および前記第二の接続部をそれぞれ収容するハウジングと、それぞれ前記第一の収容部および前記第二の収容部に後端側から挿入される第一の防水栓および第二の防水栓と、を有し、前記第二の収容部に収容された前記第二の接続部の後端は、前記第一の収容部に収容された前記第一の接続部の後端よりも前方に位置し、前記ハウジングは、前記第一の収容部の箇所と前記第二の収容部の箇所とで、後端の前後方向の位置が揃っており、前記第二の防水栓は、少なくとも後端側の一部の領域が、前記第一の防水栓と同じ構造を有しており、前記第二の収容部への前記第二の防水栓の挿入深さが位置決め部材によって規定されることで、前記第一の防水栓と前記第二の防水栓の間で、後端の前後方向の位置が相互に揃っている。
【0014】
上記複合コネクタにおいては、ハウジングが、第一の収容部の箇所と第二の収容部の箇所で後端の前後方向位置が揃っており、両箇所の間に段差を有さない単純な形状をとる。また、第一の防水栓と第二の防水栓が、少なくとも後端側の一部の領域が共通の構造を有しており、同一種の防水栓を使用すること、あるいは同一種の防水栓の前方側に切断等の加工を適宜加えて使用することで、第一の防水栓と第二の防水栓を、別の種類の防水栓として準備しなくてもよい。
【0015】
上記複合コネクタにおいては、ハウジング内において、第一の接続部の後端よりも第二の接続部の後端が前方に位置していることから、ハウジングの後端と第一の接続部の後端との間の距離よりも、ハウジングの後端と第二の接続部の後端との間の距離の方が長くなるものの、位置決め部材が存在することにより、第二の防水栓が、その長い距離の領域に過剰に深く挿入されることなく、第一の防水栓との間で後端の位置を揃えることができる。そのため、ハウジングに防水栓を取り付けた状態において、段差のない単純な形状のハウジングの後端部に、第一の防水栓および第二の防水栓が、同じ構造を有する後端部側の領域を、同じ長さで突出させた状態となる。よって、ハウジングの後端側に、防水栓カバー等の外付け部材を取り付ける場合に、その外付け部材を、第一の防水栓側と第二の防水栓側で同様の構造を有する、単純な形状のものとすることができる。また、その外付け部材を対称性の高い形状を有するものとできるため、外付け部材を複数の部品に分割して構成する場合に、同じ構造を有する部品を複数用いて、その外付け部材を構成することができる。
【0016】
このように、本実施形態にかかる複合コネクタにおいては、ハウジングおよび任意に取り付ける外付け部材を簡素な構成を有するものとできる。また、防水栓および外付け部材として準備すべき部材の種類を少なく抑えることができる。
【0017】
[2]上記[1]の態様において、前記第一の接続部は、外部の部材との光接続を行う光接続部であり、前記第二の接続部は、外部の部材との電気接続を行う電気接続部であるとよい。光接続部と電気接続部を備えた光-電気複合コネクタは、車載用の通信機器等、光通信と給電の両方が必要な機器に設置する用途等で、重要性が増している。光フェルールをはじめとする複数の部材を備えている光接続部の方が、電気接続部よりも前後方向の寸法が長くなり、光接続部と電気接続部の先端を揃えて両者を並べた際に、電気接続部の方が、後端が前方に配置されることが多い。しかし、そのような場合にも、光接続部を第一の接続部とし、電気接続部を第二の接続部として、本開示の複合コネクタを構成すれば、構成が簡素で、かつ構成部材の種類を抑えて防水を施すことのできる光-電気複合コネクタとなる。なお、光接続部と光接続を行う外部の部材、および電気接続部と電気接続を行う外部の部材は、相互に独立したものでも、光-電気複合コネクタのように一体になったものでも、いずれでもよい。
【0018】
[3]上記[1]または[2]の態様において、前記第一の防水栓および前記第二の防水栓は、同じ防水栓として構成され、前記位置決め部材は、前記第二の収容部内に設置された部材であり、前記第二の防水栓の先端面に当接することで、前記第二の防水栓の前記挿入深さを規定するものであるとよい。第一の接続部よりも第二の接続部の方が、後端が前方に位置することにより、第二の収容部において、第二の接続部の後方に大きな空間が生じることになるが、第二の収容部内に位置決め部材が設けられており、その位置決め部材に第二の防水栓の先端面が当接することで、第二の防水部が上記空間内に過剰に深く挿入されず、後端の位置を第一の防水栓と揃えることができる。そのため、第二の防水栓として、第一の接続部の後方の狭い空間に合わせた長さの短いものを適用することが可能となる。第一の防水栓と第二の防水栓を同じ防水栓として構成することで、準備しておく防水栓を1種類のみとし、しかもその1種類の防水栓を、加工等を経ずにそのまま、第一の防水栓および第二の防水栓の両方として使用することができる。
【0019】
[4]上記[3]の態様において、前記位置決め部材は、リブまたはスリーブとして構成されているとよい。すると、第二の収容部に第二の防水栓が過剰に深く挿入されるのを効果的に阻止できる位置決め部材を、簡素な構成で設けることができる。リブ状の位置決め部材は、第二の収容部の内壁に固定して、あるいは内壁と一体に形成すればよい。スリーブ状の位置決め部材は、第二の収容部に挿入するだけであっても、第二の収容部の壁面に固定してもよい。
【0020】
[5]あるいは、上記[1]または[2]の態様において、前記第二の防水栓は、前記第一の防水栓と同じ構造を有する後方部位と、前記後方部位の前方に、前記後方部位と一体に連続して設けられた前方部位と、を有しており、前記位置決め部材は、前記第二の接続部の後端面であり、前記第二の防水栓の先端面に当接することで、前記第二の防水栓の前記挿入深さを規定するとよい。第一の接続部よりも第二の接続部の方が後端の位置が前方にあることにより、第二の収容部において、第二の接続部の後方に大きな空間が生じるが、後方部位に加えて前方部位を有することにより第一の防水栓よりも前後方向に大きな寸法を有する第二の防水栓が、その空間に深い位置まで挿入されることになる。そして、その第二の防水栓が、第二の接続部の後端面に当接することで、位置決めされる。この形態においては、第二の接続部自体が位置決め部材として機能するので、ハウジング内に別途位置決め部材を設ける必要はなく、ハウジングの構成を簡素なものとすることができる。また、第二の防水栓と同じ防水栓に対して、切断等によって前方部位を除去して後方部位のみを残すことで、第一の防水栓を得ることができるので、準備すべき防水栓を1種類のみとし、防水に要する部材の種類を少なく抑えることができる。
【0021】
[6]上記[5]の態様において、前記第二の防水栓には、前記後方部位と前記前方部位の境界に、視認可能なマーカが設けられているとよい。この場合には、第二の防水栓と同じ防水栓に対して、切断等によって、マーカよりも前方の領域を除去して、マーカよりも後方の領域のみを残すことで、第一の防水栓を得ることができる。このように、防水栓にマーカを設けておくことで、第一の防水栓への加工を、正確に、また簡便に行うことができる。
【0022】
[7]上記[1]から[6]のいずれか1つの態様において、前記複合コネクタは、防水栓カバーをさらに備え、前記第一の防水栓および前記第二の防水栓は、後端側の領域が、前記ハウジングの後端から外側に突出しており、前記防水栓カバーは、前記ハウジングの外側から、前記第一の防水栓および前記第二の防水栓の後端の突出箇所に接触し、前記第一の防水栓および前記第二の防水栓を、一括して、前記ハウジングに収容された状態に保持するとよい。防水栓カバーは、第一の防水栓および第二の防水栓を、ハウジングの第一の収容部および第二の収容部に挿入した状態に安定に保持するものとなる。本開示の複合コネクタにおいては、ハウジングの後端の前後方向位置が、第一の収容部の箇所と第二の収容部の箇所とで揃っており、両箇所の間に段差を有さないこと、および第一の防水栓と第二の防水栓の間で、後端の前後方向の位置が相互に揃っていることにより、複合コネクタの後端から防水栓が突出した箇所の構造が、第一の接続部側と第二の接続部側で同じになっている。そのため、この突出箇所に接触する防水栓カバーを、段差や、第一の接続部側と第二の接続部側で大きく異なった形状等、特殊な構造を有さない簡素なものとすることができる。
【0023】
[8]上記[7]の態様において、前記防水栓カバーは、前後方向に交差する分割方向に分割された、2つの分割部材より構成され、前記2つの分割部材は、相互に同じ構造を有しているとよい。上記のように、本開示の複合コネクタにおいては、複合コネクタの後端から防水栓が突出した箇所の構造が、第一の接続部側と第二の接続部側で同じになっている。このように、防水栓カバーを取り付ける領域が、第一の接続部側と第二の接続部側で対称性の高い構造を有していることにより、防水栓カバーを分割部材より構成する場合に、それらの分割部材として、同じ構造のものを、方向を異ならせて配置し、防水栓カバーを組み上げることができる。これにより、防水栓カバーを構成する部品の種類を少なく抑えることができる。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態にかかる複合コネクタについて、図面を用いて詳細に説明する。本明細書において、「円形」、「同一」等、部材の形状や配置を示す語には、幾何的に厳密な概念のみならず、複合コネクタとして一般に許容される範囲の誤差も含むものとする。
【0025】
<複合コネクタの構造>
図1および図2に、本開示の一実施形態にかかる複合コネクタ1を、それぞれ斜視図および部分断面図にて表示する。図1の斜視図は、複合コネクタ1を後方側から見たものである。図2の部分断面図は、複合コネクタ1を上方から見たものであり、ハウジング4および防水リング6のみ切断して表示している。また、図1では、防水栓カバー8を上下の分割部材8a,8bを結合していない状態で示し、図2では防水栓カバー8は省略している。
【0026】
本実施形態においては、複合コネクタ1は、光-電気複合コネクタとして構成されており、光ケーブルC1と電気ケーブルC2の集合体の先端に接続され、光通信のための光接続と、導通のための電気接続を同時に行うものである。本実施形態にかかる複合コネクタ1は、通信機器やプリント回路基板等の部材に固定されるものではなく、光ケーブルC1および電気ケーブルC2とともに、相手方コネクタに対して着脱可能となったケーブルコネクタとして構成されている。
【0027】
本実施形態にかかる複合コネクタ1は、第一の接続部として、光ケーブルC1に結合され、外部の光接続部材との光接続を行う光接続部2を有する。また、第二接続部として、電気ケーブルC2に結合され、外部の電気接続部材との電気接続を行う電気接続部3を有している。複合コネクタ1はさらに、光接続部2および電気接続部3を一括して収容するハウジング4、またハウジング4の内部の空間を防水するための2つの防水栓5a,5bおよび防水リング6を含んでいる。
【0028】
本明細書において、光接続部2および電気接続部3が、外部の部材と接続され、それぞれ光接続および電気接続を形成する方向を、前方(+x方向)とし、その反対の、光接続部2および電気接続部3に光ケーブルC1および電気ケーブルC2が接続される方向を後方(-x方向)とする。また、光接続部2と電気接続部3が並んで配置される並び方向を幅方向(±y方向)とする。そして、前後方向および幅方向に直交する方向を上下方向(±z方向)とする。
【0029】
光接続部2は、光サブハウジング(図2で見えている部材)の内部に、光フェルールを収容している。加えて、光サブハウジングには、光フェルールを前方に向かって付勢するバネ部材や光フェルールに光ケーブルC1を結合するためのかしめ部材等、光フェルール以外の部材も適宜収容される。光サブハウジングの前端面に開口が形成されており、その開口から相手方コネクタを構成する光接続部材の光フェルールが進入し、両光フェルールの間に光接続が形成される。光接続部2には、光フェルールが1つのみ含まれていても、複数の光フェルールが共通の光サブハウジングに収容されていてもよい。
【0030】
電気接続部3は、電気サブハウジング(図2で見えている部材)の内部に、電気接続端子を収容している。電気サブハウジングの前端面に貫通孔が形成されており、その貫通孔から相手方コネクタを構成する電気接続部材の電気接続端子が進入し、両電気接続端子の間に電気接続が形成される。電気接続部3を構成する電気接続端子の種類は特に限定されず、嵌合型のメス端子またはオス端子等を例示することができる。電気接続部3には、電気接続端子が1つのみ含まれていても、複数の電気接続端子が共通の電気サブハウジングに収容されていてもよい。また、電気接続部3は、電気サブハウジングを備えず、電気接続端子が直接ハウジング4に収容される形態としてもよい。この場合は、電気接続端子自体が電気接続部3となる。なお、本明細書においては、相手方コネクタとして、光接続部材と電気接続部材を一括して備えた光-電気複合型のコネクタを想定しているが、光接続部材と電気接続部材がそれぞれ独立したコネクタに含まれていてもよい。
【0031】
光接続部2と電気接続部3は、前後方向に沿った長さが相互に異なっている。具体的には、光接続部2の方が電気接続部3よりも長くなっている。これは、光接続部2の方が、多数の構成部材を光サブハウジング内に備えているためである。また、電気接続部3における相手方電気接続部材との接続が嵌合接続によるものであるのに対し、光接続部2における相手方光接続部材との接続が、光フェルールの先端面の突き合わせによるものであり、前後方向に比較的大きな空間を要するためである。
【0032】
ハウジング4は、複合コネクタ1の外郭を構成する部材である。図示した形態では、ハウジング4は、2つの分割部材4a,4bより構成されており、2つの分割部材4a,4bが、前後方向に入れ子状に結合されて、中空筒状のハウジング4を構成している。ハウジング4の内部には、第一の収容部としての光接続部用収容部41と、第二の収容部としての電気接続部用収容部42が設けられている。光接続部用収容部41は、光接続部2を収容する空間であり、電気接続部用収容部42は、電気接続部3を収容する空間である。光接続部用収容部41および電気接続部用収容部42は、ハウジング4の内部において、それぞれ前後方向に沿って延びており、幅方向に相互に離間して並べて、形成されている。
【0033】
ハウジング4において、光接続部用収容部41および電気接続部用収容部42に、それぞれ光接続部2および電気接続部3を収容すると、光接続部2と電気接続部3が、それぞれの中心軸を前後方向に向け、幅方向に間隔を空けて並ぶことになる。この際、光接続部2の方が電気接続部3よりも前後方向に沿った寸法が長いことに対応して、両接続部2,3の先端の位置を揃えていても、電気接続部2の後端が、光接続部3の後端よりも前方に位置することになる。ハウジング4は、後端部45が、光接続部用収容部41の箇所と、電気接続部用収容部42の箇所とで、前後方向の位置が揃っている。つまり、ハウジング4の後端部が、光接続部用収容部41の後方の箇所と、電気接続部用収容部42の後方の箇所とで、同一平面をなしている。そのため、ハウジング4の内部で、電気接続部3に占められずに電気接続部用収容部42の後方に残される空間は、光接続部2に占められずに光接続部用収容部41の後方に残される空間よりも、前後方向に大きな領域を占めることになる。
【0034】
複合コネクタ1には、外部からの水等の液体の浸入を抑制するための防水部材として、防水リング6および防水栓5a,5bが設けられている。防水リング6は、ゴム等の弾性体よりなるリング状の部材であり、ハウジング4の内部の空間のうち、嵌合接続のためにハウジング4内に進入した相手方コネクタが突き当たる箇所に配置されている。詳細には、ハウジング4の内部において、防水リング6は、光接続部用収容部41および電気接続部用収容部42の外周を一括して囲む内部壁43の外周に嵌め込まれた状態で、相手方コネクタが進入する嵌合空間44、つまりハウジング4の外壁と内部壁43の間の空間の奥(後端)の位置に、配置されている。この防水リング6が、ハウジング4を構成する2つの分割部材4a,4bの間の箇所、および複合コネクタ1と相手方コネクタの間の嵌合箇所から水が浸入するのを抑制する。
【0035】
2つの防水栓5a,5bは、ゴム等の弾性体よりなる閉塞栓であり、ハウジング4の後端部にそれぞれ取り付けられる。具体的には、第一の防水栓としての光接続部用防水栓5aが、光接続部用収容部41に後端から挿入され、第二の防水栓としての電気接続部用防水栓5bが、電気接続部用収容部42に後端から挿入される。2つの防水栓5a,5bは、それぞれ光接続部用収容部41および電気接続部用収容部42を液密に閉塞する。光接続部用防水栓5aおよび電気接続部用防水栓5bには、それぞれ前後方向に沿った貫通孔が設けられており、それらの貫通孔に、それぞれ光ケーブルC1および電気ケーブルC2が挿通されている。2つの防水栓5a,5bの存在により、ハウジング4に後端部から水等の液体が浸入するのが抑制され、防水リング6の存在と合わせて、複合コネクタ1に防水性が付与される。防水性は、自動車等、屋外で使用される機器に複合コネクタ1が搭載される場合に、重要となる。
【0036】
本実施形態において、光接続部用防水栓5aと電気接続部用防水栓5bは、同じ防水栓として構成されている。つまり、同一の形状および大きさを有し、同じ材料よりなっている。上記のように、光接続部2の後方の空間は、前後方向に沿って狭いため、光接続部用収容部41に挿入された光接続部用防水栓5aは、前方側の一部が光接続部用収容部41内に収容された状態で、先端面が光接続部2の後端に当接する。光接続部用防水栓5aの後方側の残りの部位は、ハウジング4の外側に突出した状態となる。
【0037】
一方、電気接続部用収容部42の内部には、位置決め部材として、リブ7が設けられている。リブ7は、電気接続部用収容部42の幅方向両側の内壁面から、電気接続部用収容部42の内側へと突出した1対の部材である。リブ7は、電気接続部用収容部42の壁面に固定して、あるいは壁面と一体に、設けられている。リブ7の大きさおよび位置は、電気接続部用収容部42に後端側から挿入した電気接続部用防水栓5bの先端面に当接するように設定されている。詳細には、電気接続部用収容部42に挿入して先端面をリブ7に当接させた電気接続部用防水栓5bの後端の前後方向位置が、光接続部用収容部41に所定の挿入深さ(前方への進入長)で挿入した光接続部用防水栓5aの後端の位置に揃うように、リブ7の位置が設定されている。つまり、電気接続部用収容部42への電気接続部用防水栓5bの挿入深さがリブ7によって規定されることで、電気接続部用防水栓5bも光接続部用防水栓5aと同様に、前方側の一部の部位が電気接続部用収容部42に収容され、後方側の残りの部位は、ハウジング4の外側に突出した状態となる。そして、2つの防水栓5a,5bの後端の位置が相互に揃い、2つの防水栓5a,5bがハウジング4の後端側に突出した部位の形状および寸法が、相互に同じとなる。電気接続部用収容部42への電気接続部用防水栓5bの挿入深さがリブ7によって規定されることで、ハウジング4内において、電気接続部3の後方には、電気接続部用防水栓5bに占められない空間が残ることになる。
【0038】
さらに、任意ではあるが、本実施形態にかかる複合コネクタ1は、ハウジング4の外側に取り付ける外付け部材として、防水栓カバー8を有していることが好ましい。防水栓カバー8は、ハウジング4の後方の箇所、また光接続部用防水栓5aおよび電気接続部用防水栓5bのうち、ハウジング4の後端から突出した箇所に接触し、防水栓5a,5bを押さえ込むことで、それら防水栓5a,5bをハウジング4に収容された状態に、つまりハウジング4から抜けないように、安定に保持する役割を果たす。防水栓カバー8は、2つの防水栓5a,5bの両方を一括して、そのような状態に保持する。
【0039】
本実施形態において、防水栓カバー8は、上下方向を分割方向として、その分割方向に2つに分割されており、2つの分割部材8a,8bより構成されている。上下の分割部材8a,8bが、防水栓5a,5bが後方に突出した箇所を含め、ハウジング4の後端部およびその近傍の部位を、上下から挟み込むように配置される。そして、上下の分割部材8a,8bが相互に結合されて、防水栓カバー8を構成する。
【0040】
ここで、防水栓カバー8の上下の分割部材8a,8bは、相互に同じ形状を有している。2つの分割部材8a,8bのそれぞれは、後端に、幅方向に並んだ2つの半円形の切り欠きとして、防水栓包囲部81,81を有するとともに、幅方向の一端に、第一の係合部82を有し、幅方向の他端に、第二の係合部82を有している。第一の係合部82と第二の係合部83は、それぞれ係合部の形に着目すると、相互に対向して配置した際に、相互に係合可能な形状を有している。2つの分割部材8a,8bは、ハウジング4の上方と下方に、上下方向を相互に逆にしてそれぞれ配置される。つまり、上方の分割部材8aは防水栓包囲部81,81を下に向けて、下方の分割部材8bは防水栓囲部81,81を上に向けて、それぞれ配置される。上方の分割部材8aの下方の端縁と、下方の分割部材8bの上方の端縁を突き合わせることで、両分割部材8a,8bの防水栓包囲部81,81が、円形の貫通孔を形成し、防水栓5a,5bの突出部を上下から押さえ込むものとなる。この際、幅方向の一方側において、上方の分割部材8aの第一の係合部82と下方の分割部材8bの第二の係合部83が係合される。また、幅方向の他方側において、上方の分割部材8aの第二の係合部83と下方の分割部材8bの第一の係合部82が係合される。
【0041】
本実施形態にかかる複合コネクタ1は、以上の構造を有することにより、簡素な構成を有し、かつ、防水のための構成部材の種類を少なく抑えながら、防水を施したものとなっている。まず、相互に長さの異なる光接続部2と電気接続部3をハウジング4に収容しており、ハウジング4に収容された光接続部2と電気接続部3の後端の位置が相互に異なっているにもかかわらず、ハウジング4の後端は、光接続部2側と電気接続部3側で前後方向の位置が揃ったものとなっており、図4に示す形態のハウジング140のような段差を有していない。つまり、光接続部用収容部41の後方の箇所と、光接続部用収容部42の後方の箇所との間で、ハウジング4の後端部45の位置が、前後方向にずれていない。このように、ハウジング4は、同じ寸法の接続部を複数含む一般的なコネクタの場合と同様に、後端部が平面的になった簡素な構造を有している。
【0042】
そして、光接続部用防水栓5aと電気接続部用防水栓5bが同じ防水栓として構成されていることで、複合コネクタ1において防水のために準備する必要のある防水栓が、1種類で済んでいる。上記のように、光接続部2と電気接続部3の後端の位置が相互に異なっており、電気接続部3の後端の方が前方に位置することから、光接続部2側に合わせた前後方向の寸法が短い防水栓を、電気接続部3側にもそのまま用いる場合に、もし電気接続部3側で防水栓5bの位置決めが行われないとすれば、電気接続部用収容部42の内部に防水栓5bが深く入り込みすぎてしまう可能性がある。しかし、本実施形態においては、位置決め部材としてのリブ7が電気接続部用収容部42内に設けられており、防水栓5bとの当接によって防水栓5bの挿入深さを規定することで、電気接続部用収容部42に防水栓5bが過剰に深く進入するのを阻止することができる。
【0043】
また、本実施形態にかかる複合コネクタ1においては、上記のように、ハウジング4の後端部において、光接続部2側と電気接続部3側に段差が設けられていないことと、リブ7によって電気接続部用防水栓5bの挿入深さが制限されることにより、光接続部用防水栓5aと電気接続部用防水栓5bの後端の位置が、前後方向において相互に揃っている。そのため、複合コネクタ1の後方部分に着目すると、同じ防水栓が2つ、幅方向に並んで、ハウジング4の後方に同じ量だけ突出した状態となっており、上記防水栓カバー8をはじめとして、ハウジング4の後方に取り付ける外付け部材として、幅方向両側で同じ構造を有する簡素な構造のものを用いることができる。外付け部材を、幅方向の中途部に段差を有する特殊な形状のものとすることや、光接続部2側と電気接続部3側で独立した2つの部材として構成することも必要ない。このように、外付け部材についても、構造を簡素なものとすることができる。
【0044】
さらに、本実施形態にかかる複合コネクタ1においては、上記で説明した防水栓カバー8の上下の分割部材8a,8bを同一の構造を有するものとして構成したように、外付け部材を複数の分割部材より構成する場合に、それら分割部材を構成する部品の種類を少なく抑えることが可能となる。これは、複合コネクタ1の後方部分において、光接続部2側と電気接続部3側で、同じ防水栓が幅方向に並んで、同じ量だけ突出した状態となっており、複合コネクタ1の後方部分の構造が、幅方向に対称となっていることによる。このようにハウジング4と防水栓5a,5bの集合体が対称性の高い構造を有していることで、外付け部材を、上下方向および/または幅方向に分割して構成した際に、同一の分割部材を対称に配置することで、ハウジング4および防水栓5a,5bに対する関係性が、それらの分割部材の間で同じになるため、それらの分割部材として同じ形状のものを適用することができる。図4の複合コネクタ100のように、後方部分の構造が、光接続部2側と電気接続部3側で異なっている場合に、光接続部2側から電気接続部3側にわたり、両側の防水栓150,150を一括して保持する防水栓カバーを上下分割式で設けるとすれば、上下の分割部材として、同一のものを適用することはできない。
【0045】
<その他の実施形態>
上記で説明した実施形態においては、複合コネクタ1に備えられる2か所の防水栓5a,5bが同じ防水栓として構成され、電気接続部用収容部42内に位置決め部材としてリブ7を設けることで、電気接続部用防水栓5bが過剰に深く挿入されるのを防ぎ、2つの防水栓5a,5bの後端の位置が相互に揃うようにした。しかし、防水栓および位置決め部材は、このような構成のものに限られず、電気接続部用防水栓が、少なくとも後端側の一部の領域が、光接続部用防水栓と同じ構造を有しているものであり、かつ電気接続部用収容部42への挿入深さが位置決め部材によって規定されることで、光接続部用防水栓と電気接続部用防水栓の間で後端の前後方向位置が相互に揃うものであればよい。以下、代表的な変形形態について説明する。以下では、上記の複合コネクタ1と共通する構成については、説明を省略する。
【0046】
上記で説明した複合コネクタ1では、電気接続部用収容部42内に設置され、光接続部用防水栓5aと同じ構造を有する電気接続部用防水栓5bに対して、挿入深さを規定するための位置決め部材として、リブ7が設けられていた。しかし、そのように、電気接続部用収容部42内に設置される形態の位置決め部材は、リブ7に限られない。リブ7以外の形態をとる位置決め部材として、スリーブ7’を例示することができる。図3Aに、スリーブ7’を備えた複合コネクタ1Aを部分断面図にて示す。
【0047】
リブ7が、電気接続部用収容部42の壁面に固定して、あるいは壁面と一体に、幅方向両側から電気接続部用収容部42の中に突出する部材として設けられたのに対し、スリーブ7’は、筒状の部材として構成されて、電気接続部用収容部42内に配置されている(筒状部内の構造を点線にて表示)。スリーブ7’は、電気接続部用収容部42の中に挿入されているだけでも、さらに電気接続部用収容部42の壁面に対して固定されていてもかまわない。電気接続部用収容部42の後端に電気接続部用防水栓5bを挿入すると、電気接続部用防水栓5bの先端面がスリーブ7’の後端縁に当接し、それによって、電気接続部用防水栓5bの挿入深さが規定される。
【0048】
さらに、上記で説明した複合コネクタ1,1Aではいずれも、光接続部用防水栓5aと電気接続部用防水栓5bが前後方向の全域で同じ構造を有するものであったが、電気接続部用防水栓5b’を、後方の一部の領域のみ、光接続部用防水栓5a’と同じ構造を有する形態とすることもできる。つまり、光接続部用防水栓5a’の構造の前方に、別の構造を付加したものを、電気接続部用防水栓5b’とすることもできる。この場合にも、位置決め部材によって、電気接続部用収容部42への電気接続部用防水栓5b’の挿入深さを規定することで、光接続部用防水栓5a’と電気接続部用防水栓5b’の後端の位置を揃え、ハウジング4の後方に突出する箇所の構造が、光接続部用防水栓5a’と電気接続部用防水栓5b’で同じになるようにすればよい。すると、上記で複合コネクタ1,1Aについて説明したように、ハウジング4の後方部分に着目すると、同じ防水栓が幅方向に並んで、ハウジング4の後方に同じ量だけ突出したのと同じ状態が得られ、外付け部材の構造の簡素化、および防水のための構成部品の種類の抑制に効果を発揮する。
【0049】
そのような形態として、図3Bに示す複合コネクタ1Bのように、電気接続部用防水栓5b’を、光接続部用防水栓5a’と同じ構造を有する後方部位51と、その後方部位の前方に、後方部位51と一体に連続して設けられた前方部位52を有するものとして形成する形態を、例示することができる。この場合に、電気接続部用防水栓5b’は、光接続部用防水栓5a’よりも前後方向の寸法が長いものとなり、例えば、光接続部用防水栓5a’を前方に延長した構造を有する。この場合には、電気接続部用防水栓5b’が、前方部位52において、光接続部用防水栓5a’よりも電気接続部用収容部42の前方まで深く挿入されることになるが、その前方部位52の先端面が、位置決め部材に当接することで、電気接続部用防水栓5b’の挿入深さが規定され、光接続部用防水栓5a’と電気接続部用防水栓5b’で後端の位置が揃う。
【0050】
この場合に、位置決め部材としては、上記のリブ7やスリーブ7’のような部材を、電気接続部用収容部42の深い位置に設置してもよいが、その代わりに、電気接続部3自体を位置決め部材として利用することができる。具体的には、図3Bに示すように、電気接続部3の後端面(電気サブハウジングの後端面)を位置決め部材とし、その後端面に、長い電気接続部用防水栓5b’の先端面が当接することで、電気接続部用防水栓5b’の挿入深さを規定するように構成することができる。すると、電気接続部用防水栓5b’の挿入深さを規定する機能に特化した位置決め部材を設けなくても、電気接続部用防水栓5b’の挿入深さを規定し、光接続部用防水栓5a’と電気接続部用防水栓5b’の後端の位置を揃えることができる。
【0051】
この形態において、光接続部用防水栓5a’は、電気接続部用防水栓5b’と同じ、前後方向に長い防水栓を用いて形成することができる。つまり、電気接続部用防水栓5b’と同じ防水栓のうち、前方部位52を切断等によって除去し、後方部位51のみを残すことで、前後方向に短い光接続部用防水栓5a’を得ることができる。この場合にも、光接続部用防水栓5a’と電気接続部用防水栓5b’を、同じ防水栓を用いて準備することができるため、防水に必要な部材の種類を少なく抑えることができる。
【0052】
ここで、電気接続部用防水栓5b’には、前方部位52と後方部位51の境界に、視認可能なマーカ53が設けられていることが好ましい。マーカ53としては、塗料等によって前方部位52と後方部位51の境界にライン等のしるしを表示する形態を好適に例示することができる。上記のとおり、前方部位52と後方部位51は一体に連続しており、防水栓5b’の形状だけでは、それらの間の境界を明確に認識することが難しい場合もあるが、マーカ53を付すことで、その境界を明確に認識することができる。そして、電気接続部用防水栓5b’と同じ防水栓から前方部位52を除去して光接続部用防水栓5a’を作製する際に、そのマーカ53の位置で、切断等によって前方部位52と後方部位51を分離すればよい。このように、マーカ53を利用することで、所定の長さを有する光接続部用防水栓5a’を、簡便に、また正確に製造することができる。なお、光接続部用防水栓5a’の先端部に、切断痕等、前方部位52を除去する操作によって生じる痕跡や、残存したマーカ53の一部分が存在している場合には、それらの構造が、その光接続部用防水栓5a’が電気接続部用防水栓5b’と同じ防水栓から作製されたものであることを示す証左となる。
【0053】
以上に説明した形態では、第一の接続部2として、光接続部を適用し、第二の接続部3として電気接続部を適用したが、第一の接続部2と第二の接続部3は、それらの組み合わせに限られない。第一の接続部2と第二の接続部3は、それぞれ任意に、光接続部または電気接続部のいずれかであるとよい。ともに光接続部である形態、ともに電気接続部である形態、いずれか一方が光接続部であり、他方が電気接続部である形態のいずれであってもよい。いずれの形態をとる場合にも、第二の接続部3の前後方向の寸法が、第一の接続部2よりも大きいこと等により、第二の収容部42に収容された第二の接続部3の後端が、第一の収容部41に収容された第一の接続部2の後端よりも前方に位置していればよい。また、上記で説明した形態では、ハウジング4に光接続部と電気接続部が1つずつ収容されていたが、同じ寸法を有する第一の接続部2が複数、および/または同じ寸法を有する第二の接続部3が複数、ハウジング4内に収容されていてもよい。この場合にも、各第一の接続部2と各第二の接続部3、およびそれらに対応する各収容部41,42および防水栓5a,5bの間に、上記で説明したのと同様の関係が成り立つものとすればよい。
【0054】
さらに、ハウジングに、第一の接続部2と第二の接続部3の2種類だけではなく、3種類以上の接続部が収容されており、所定の収容部に収容されたそれら3種以上の接続部の後端の位置が、相互に異なる形態をとっていてもよい。この場合にも、それら3種以上の接続部のうち任意に選択した2つを第一の接続部2および第二の接続部3とした際に、上記に説明した構成を満たすものとすればよい。つまり、各収容部の箇所で、ハウジングの後端の前後方向位置が揃っており、かつ、各収容部に挿入される防水栓が、少なくとも後端側の一部の領域が同じ構造を有するものであればよい。そして、最も後端の位置が後方にある接続部に対応する防水栓を除く各防水栓に対して、収容部への挿入深さが位置決め部材によって規定されることで、全防水栓の後端の位置が相互に揃っていればよい。
【0055】
本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1,1A,1B 複合コネクタ
2 光接続部(第一の接続部)
3 電気接続部(第二の接続部)
4 ハウジング
4a,4b 分割部材
41 光接続部用収容部(第一の収容部)
42 電気接続部用収容部(第二の収容部)
43 内部壁
44 嵌合空間
45 ハウジングの後端部
5a,5a’ 光接続部用防水栓(第一の防水栓)
5b,5b’ 電気接続部用防水栓(第二の防水栓)
51 後方部位
52 前方部位
53 マーカ
6 防水リング
7 リブ(位置決め部材)
7’ スリーブ(位置決め部材)
8 防水栓カバー
8a,8b 分割部材
81 防水栓包囲部
82 第一の係合部
83 第二の係合部
C1 光ケーブル
C2 電気ケーブル
図1
図2
図3
図4