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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129350
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/01 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038496
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】荒川 悠太
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056FA04
2C056FA10
2C056HA05
2C056HA07
2C056HA08
2C056HA09
2C056HA10
2C056HA11
2C056HA37
2C056HA38
(57)【要約】
【課題】ヘッドユニットの取付作業を簡易にする。
【解決手段】プリンタは、ヘッドユニット10の取付ユニット20に対する位置決めが行われずかつ連通口12yと連通口22yとが互いに連通しない第1状態と、付勢部品291により上記位置決めが行われかつ連通口12yと連通口22yとが互いに連通した第2状態とを取り得る。取付ユニット20の流路部材21及び位置決め部として機能する付勢部品291が共にヘッドユニット10に対して相対的に移動することで、第1状態から第2状態へと移行する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出口及び前記吐出口に連通する第1連通口を有する第1流路が形成された第1流路部材を含むヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットを着脱可能に支持する取付ユニットであって、第2連通口を有する第2流路が形成された第2流路部材と、位置決め部と、を含む取付ユニットと、を備え、
前記ヘッドユニットの前記取付ユニットに対する位置決めが行われずかつ前記第1連通口と前記第2連通口とが互いに連通しない第1状態と、前記位置決め部により前記位置決めが行われかつ前記第1連通口と前記第2連通口とが互いに連通した第2状態と、を取り得るものであり、
前記第2流路部材及び前記位置決め部が共に前記ヘッドユニットに対して相対的に移動することで、前記第1状態から前記第2状態へと移行することを特徴とする、液体吐出装置。
【請求項2】
前記取付ユニットは、前記ヘッドユニットを支持する支持部材をさらに含み、
前記支持部材は、凹部及び凸部の一方を有し、
前記ヘッドユニットは、前記一方と嵌合可能な、凹部及び凸部の他方を有することを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記ヘッドユニットが前記凸部を中心として回動することで、前記ヘッドユニットが前記第2流路部材に向けて移動することを特徴とする、請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記取付ユニットは、前記支持部材に回動可能に取り付けられた回動部材をさらに含み、
前記位置決め部は、前記回動部材に配置され、
前記回動部材が回動することで、前記位置決め部が前記ヘッドユニットに向けて移動することを特徴とする、請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記第1流路部材は、前記吐出口が開口した吐出面と、前記吐出面と反対側の反対面と、前記吐出面及び前記反対面を繋ぐ第1面であって、前記第1連通口が開口した第1面とを有することを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記第2流路部材は、前記第2連通口が開口した第2面を有し、前記第2面と平行な方向に移動可能であることを特徴とする、請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記第2面は、前記第2連通口と異なる位置に、突起及び穴の一方を有し、
前記第1面は、前記一方と嵌合可能な、突起及び穴の他方を有することを特徴とする、請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記突起及び穴の一方は、前記第2面の隅に配置され、
前記突起及び穴の他方は、前記第1面の隅に配置されたことを特徴とする、請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記第2面は、前記突起及び穴の一方を2つ有し、
前記第1面は、前記突起及び穴の他方を2つ有し、
2つの前記穴は、第1穴と、前記第1穴よりも細長い第2穴とを含むことを特徴とする、請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記ヘッドユニットは、第1端子を有する第1電子部材をさらに含み、
前記取付ユニットは、第2端子を有する第2電子部材をさらに含み、
前記第1状態において、前記第1端子と前記第2端子とが互いに離隔し、
前記第2状態において、前記第1端子と前記第2端子とが互いに接触し、
前記第2電子部材、前記第2流路部材及び前記位置決め部が共に前記ヘッドユニットに対して相対的に移動することで、前記第1状態から前記第2状態へと移行することを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記第2端子は、第1位置以外の第2位置に配置され、
前記第1位置は、前記第2連通口よりも下方でかつ前記第2連通口と鉛直方向に重なることを特徴とする、請求項10に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記第1流路部材は、前記吐出口が開口した吐出面と、前記吐出面と反対側の反対面と、前記吐出面及び前記反対面を繋ぐ第1面であって、前記第1電子部材が配置された第1側面とを有することを特徴とする、請求項10に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
前記第2電子部材は、前記第2端子が配置された第3面を有し、前記第3面と平行な方向に移動可能であることを特徴とする、請求項12に記載の液体吐出装置。
【請求項14】
前記第3面は、前記第2端子と異なる位置に、突起及び穴の一方を有し、
前記第1電子部材における前記第1端子が配置された第4面は、前記一方と嵌合可能な、突起及び穴の他方を有することを特徴とする、請求項13に記載の液体吐出装置。
【請求項15】
前記突起及び穴の一方は、前記第3面の隅に配置され、
前記突起及び穴の他方は、前記第4面の隅に配置されたことを特徴とする、請求項14に記載の液体吐出装置。
【請求項16】
前記第3面は、前記突起及び穴の一方を2つ有し、
前記第1面は、前記突起及び穴の他方を2つ有し、
2つの前記穴は、第3穴と、前記第3穴よりも細長い第4穴とを含むことを特徴とする、請求項14に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドユニットとヘッドユニットを着脱可能に支持する取付ユニットとを備えた液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヘッドユニットをキャリッジ(取付ユニット)に取り付ける際に、ステップS105においてヘッドユニットをキャリッジに対して位置決めした後、ステップS107においてヘッドユニットの流路とキャリッジの液体供給ユニット(第2流路部材)の流路とを連通させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-109377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、ヘッドユニットを取付ユニットに取り付ける作業が、複数の工程を含み、煩雑である。
【0005】
本発明の目的は、ヘッドユニットの取付作業が簡易な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る液体吐出装置は、吐出口及び前記吐出口に連通する第1連通口を有する第1流路が形成された第1流路部材を含むヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを着脱可能に支持する取付ユニットであって、第2連通口を有する第2流路が形成された第2流路部材と、位置決め部と、を含む取付ユニットと、を備え、前記ヘッドユニットの前記取付ユニットに対する位置決めが行われずかつ前記第1連通口と前記第2連通口とが互いに連通しない第1状態と、前記位置決め部により前記位置決めが行われかつ前記第1連通口と前記第2連通口とが互いに連通した第2状態と、を取り得るものであり、前記第2流路部材及び前記位置決め部が共に前記ヘッドユニットに対して相対的に移動することで、前記第1状態から前記第2状態へと移行することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係るプリンタ1の内部を示す概略平面図である。
図2】プリンタ1に含まれるヘッドユニット10の断面図である。
図3】ヘッドユニット10を取付ユニット20に取り付ける作業の第1工程を示す側面図である。
図4】ヘッドユニット10を取付ユニット20に取り付ける作業の第2工程を示す側面図である。
図5】ヘッドユニット10を取付ユニット20に取り付ける作業が完了した状態を示す側面図である。
図6】(a)は、取付ユニットの流路部材21における連通口22yが開口した側面21sを示す図である。(b)は、取付ユニットの電子部材25における端子26が配置された表面25sを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態に係るプリンタ1は、図1に示すように、筐体1aと、ヘッドユニット10と、取付ユニット20と、走査機構30と、タンクユニット40と、搬送機構50と、制御部90とを備えている。ヘッドユニット10、取付ユニット20、走査機構30、タンクユニット40、搬送機構50及び制御部90は、筐体1aの内部に配置されている。
【0009】
ヘッドユニット10は、流路部材11を含む。流路部材11には、複数の吐出口12xを有する流路12が形成されている。流路部材11は本発明の「第1流路部材」に該当し、流路12は本発明の「第1流路」に該当する。
【0010】
吐出口12xは、走査方向に並ぶ4つの列11C,11M,11Y,11Kを構成している。各列11C,11M,11Y,11Kは、搬送方向に並ぶ複数の吐出口12xで構成されている。列11Cを構成する吐出口12xはシアンのインク、列11Mを構成する吐出口12xはマゼンタのインク、列11Yを構成する吐出口12xはイエローのインク、列11Kを構成する吐出口12xはブラックのインクを、それぞれ吐出する。
【0011】
流路12は、図2に示すように、列11C,11M,11Y,11K(図1参照)のそれぞれに対応する4つの共通流路12aと、吐出口12x毎に個別の個別流路12bとを含む。各共通流路12aに、複数の個別流路12bが連通している。各個別流路12bは、圧力室12pを含み、共通流路12aの出口から圧力室12pを経て吐出口12xに至る流路である。
【0012】
4つの共通流路12aは、それぞれ、当該列11C,11M,11Y,11Kに属する複数の個別流路12bに連通する一端領域と、連通口12y(図3参照)に連通する他端とを有する。連通口12yは流路12の一端であり、吐出口12xは流路12の他端である。連通口12yは、本発明の「第1連通口」に該当し、吐出口12xに連通している。
【0013】
流路部材11は、下面11aと、下面11aと反対側の上面11bとを有する。吐出口12xは下面11aに開口し、圧力室12pは上面11bに開口している。下面11aは本発明の「吐出面」に該当し、上面11bは本発明の「反対面」に該当する。
【0014】
ヘッドユニット10は、さらに、図2に示すように、アクチュエータ部材13と、ドライバIC14とを含む。
【0015】
アクチュエータ部材13は、流路部材11の上面11bに複数の圧力室12pを覆うように配置された金属製の振動板13aと、振動板13aの上面に配置された圧電層13bと、圧電層13bの上面に複数の圧力室12pのそれぞれと対向するように配置された複数の個別電極13cとを含む。
【0016】
振動板13a及び複数の個別電極13cは、信号線14sを介してドライバIC14と電気的に接続されている。ドライバIC14は、制御部90の制御により、振動板13aの電位をグランド電位に維持する一方、個別電極13cの電位を変化させる。個別電極13cの電位は、所定の駆動電位とグランド電位との間で変化する。個別電極13cの電位の変化に応じて、振動板13a及び圧電層13bにおいて各個別電極13cと各圧力室12pとで挟まれた部分(アクチュエータ13x)が変形する。これにより、圧力室12pの容積が変化し、圧力室12p内のインクに圧力が付与され、吐出口12xからインクが吐出される。アクチュエータ13xは、個別電極13c毎に設けられており、当該個別電極13cに供給される電位に応じて独立して変形可能である。
【0017】
ヘッドユニット10は、さらに、電子部材15(図3図5参照)を含む。電子部材15は、本発明の「第1電子部材」に該当するものであり、図2に示すドライバIC14を搭載しかつ信号線14sが配線されたFPC(フレキシブルプリント配線板)の一端に設けられている。FPCの一端は電子部材15に接続され、FPCの他端はアクチュエータ部材13に接続されている。
【0018】
取付ユニット20は、ヘッドユニット10を着脱可能に支持するものであり、図3図5に示すように、流路部材11と接続される流路部材21と、電子部材15と電気的に接続される電子部材25とを含む。流路部材21には、4本のチューブ60(図1参照)のそれぞれに対応する流路22が形成されている。流路部材21は本発明の「第2流路部材」に該当し、流路22は本発明の「第1流路」に該当する。電子部材25は本発明の「第2電子部材」に該当する。流路22の一端は、チューブ60に連通している。
【0019】
走査機構30は、図1に示すように、取付ユニット20を支持する一対のガイド31,32と、取付ユニット20に連結されたベルト33と、走査モータ34とを含む。ガイド31,32及びベルト33は、走査方向に延びている。制御部90の制御により走査モータ34が駆動されると、ベルト33が走行し、ガイド31,32に沿って取付ユニット20が走査方向に移動する。
【0020】
搬送機構50は、ローラ対51,52と、搬送モータとを有する。制御部90の制御により搬送モータが駆動されると、ローラ対51,52のローラが回転する。ローラ対51,52が用紙100を挟持した状態でローラ対51,52のローラが回転することで、用紙100が搬送方向に搬送される。
【0021】
タンクユニット40は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクをそれぞれ貯留する4つのタンク40C,40M,40Y,40Kを含む。4つのタンク40C,40M,40Y,40Kは、それぞれ、チューブ60及び流路部材21(図3図5参照)を介して、流路部材11の各色の流路12に連通している。
【0022】
走査方向、搬送方向及び鉛直方向は、互いに直交する。
【0023】
次いで、ヘッドユニット10及び取付ユニット20の構成についてより詳細に説明する。
【0024】
ヘッドユニット10において、流路部材11は、図3に示すように、下面11aと、上面11bと、下面11a及び上面11bを繋ぐ4つの側面とを有する。
【0025】
4つの側面のうち、走査方向と直交する2つの側面11eには、凸部11xが設けられている。凸部11xは、側面11eの下端かつ搬送方向下流端に配置されており、側面11eから走査方向に突出している。
【0026】
4つの側面のうち、搬送方向下流側を向く1つの側面11sには、4つの管11tが設けられている。各管11tの先端に、連通口12yが開口している。4つの管11t及び連通口12yは、走査方向に並んでいる。側面11sは、本発明の「第1面」に該当する。
【0027】
側面11sにおける、管11tの上方に、電子部材15が配置されている。電子部材15は、その表面15sに、走査方向に並ぶ4つの端子16(図6(b)参照)を有する。端子16は本発明の「第1端子」に該当し、表面15sは本発明の「第4面」に該当する。
【0028】
取付ユニット20は、図3に示すように、支持部材27と、支持部材27に回動可能に取り付けられた回動部材29とを含む。
【0029】
支持部材27は、ヘッドユニット10を支持するものであり、凹部27x及び開口27yを有する。凹部27xは、流路部材11の凸部11xと嵌合可能である。開口27yは、図4に示すように、ヘッドユニット10が取付ユニット20に取り付けられるときに、流路部材11を収容可能である。
【0030】
回動部材29は、支持部材27の搬送方向上流端に、回動軸29xを中心として回動可能に取り付けられている。回動軸29xは、走査方向に延びている。
【0031】
回動部材29において、回動軸29xとは反対側の先端には、付勢部品291が配置されている。付勢部品291は、樹脂部品にばねが取り付けられたものであり、本発明の「位置決め部」に該当する。
【0032】
流路部材21は、4つの管21tが設けられた側面21sを有する。側面21sは、搬送方向上流側を向いており、本発明の「第2面」に該当する。側面21sにおいて、各管21tの先端に、流路22の他端である連通口22yが開口している。連通口22yは、流路部材11の連通口12y(図5参照)と連通可能であり、本発明の「第2連通口」に該当する。4つの管21t及び連通口22yは、走査方向に並んでいる(図6(a)参照)。
【0033】
電子部材25は、流路部材21の側面21sに対して搬送方向の上流側、かつ、管21tよりも上方に配置されている。電子部材25は、4つの端子26(図6(b)参照)が配置された表面25sを有する。表面25sは、本発明の「第3面」に該当する。4つの端子26は、走査方向に並んでいる。端子26は、端子16よりも一回り小さいサイズであり、本発明の「第2端子」に該当する。端子26は、連通口22yよりも上方に配置されている。
【0034】
次いで、ヘッドユニット10を取付ユニット20に取り付けるための作業工程について説明する。
【0035】
先ず、図3に示すように、取付ユニット20において、回動部材29を開位置に配置した状態で、ヘッドユニット10を、側面11sが搬送方向下流側を向いた状態で、搬送方向下流かつ下方に向かう斜め方向(矢印A方向)に移動させる。これにより、図4に示すように、凸部11xを凹部27xに嵌合させる。このとき、ヘッドユニット10は側面11sが搬送方向下流側かつ上方の斜め上方を向いた状態であり、流路部材11の下部が開口27yに収容されている。
【0036】
その後、回動部材29を、図4に示す開位置から、矢印B方向に回動させることで、図5に示す閉位置に移動させる。回動部材29を閉位置に配置させることで、ヘッドユニット10を取付ユニット20に取り付ける作業が完了する。
【0037】
回動部材29が開位置(図4参照)から閉位置(図5参照)に移動するとき、回動部材29は、ヘッドユニット10に接触し、ヘッドユニット10を搬送方向下流側に押圧する。これに伴い、ヘッドユニット10は、凸部11xを中心として回動し、流路部材21及び電子部材25に向けて移動する。そして、図5に示すように、管11tが管21t内に挿入されることで連通口12yと連通口22yとが互いに連通し、かつ、電子部材15の端子16と電子部材25の端子26とが互いに接触する。これにより、流路12,22の接続と、端子16,26の接続とが実現される。
【0038】
流路部材21は、図6(a)に示すように、側面21sと平行な方向に移動可能に、支持部材27に連結されている。側面21sは、連通口22yと異なる位置に、2つの穴21v1,21v2を有する。穴21v1は本発明の「第1穴」に該当し、穴21v2は本発明の「第2穴」に該当する。穴21v1,21v2は共に、側面21sの隅に配置されている。穴21v1は側面21sの走査方向の一端に配置され、穴21v2は側面21sの走査方向の他端に配置されている。穴21v1は真円形状であるのに対し、穴21v2は走査方向に長い楕円形状である。穴21v2は、穴21v1よりも走査方向に細長い。つまり、穴21v2の走査方向の長さは、穴21v1の走査方向の長さよりも長い。
【0039】
流路部材11は、連通口12yが開口した側面11sに、穴21v1,21v2と嵌合可能な2つの突起11vを有する。各突起11vは円柱状である。突起11vは、側面11sの隅に配置されている。
【0040】
突起11vが穴21v1,21v2に嵌合されることで、流路部材11の側面11sと流路部材21の側面21sとの位置決めが行われる。
【0041】
電子部材25は、図6(b)に示すように、表面25sと平行な方向に移動可能に、支持部材27に連結されている。表面25sは、端子26と異なる位置に、2つの穴25u1,25u2を有する。穴25u1は本発明の「第3穴」に該当し、穴25u2は本発明の「第4穴」に該当する。穴25u1,25u2は共に、表面25sの隅に配置されている。穴25u1は表面25sの走査方向の一端に配置され、穴25u2は表面25sの走査方向の他端に配置されている。穴25u1は真円形状であるのに対し、穴25u2は走査方向に長い楕円形状である。穴25u2は、穴25u1よりも走査方向に細長い。つまり、穴25u2の走査方向の長さは、穴25u1の走査方向の長さよりも長い。
【0042】
電子部材15は、端子16が配置された表面15sに、穴25u1,25u2と嵌合可能な2つの突起11uを有する。各突起11uは円柱状である。突起11uは、表面15sの隅に配置されている。
【0043】
突起11uが穴25u1,25u2に嵌合されることで、電子部材15の表面15sと電子部材25の表面25sとの位置決めが行われる。
【0044】
回動部材29が開位置(図4参照)から閉位置(図5参照)に移動するとき、付勢部品291は、回動部材29と共にヘッドユニット10に向けて移動する。付勢部品291が、ヘッドユニット10に接触し、ヘッドユニット10を搬送方向下流側かつ下方に押圧する。回動部材29が閉位置(図5参照)にあるとき、ヘッドユニット10は、付勢部品291によって下方及び搬送方向下流側に付勢され、支持部材27に対して位置決めされる。
【0045】
このように、プリンタ1は、ヘッドユニット10の取付ユニット20に対する位置決めが行われず、連通口12yと連通口22yとが互いに連通せず、かつ、端子16と端子26とが互いに離隔した第1状態(図3及び図4参照)と、ヘッドユニット10の取付ユニット20に対する位置決めが行われ、連通口12yと連通口22yとが互いに連通しかつ端子16と端子26とが互いに接触した第2状態(図5参照)とを取り得る。取付ユニット20の付勢部品291、流路部材21及び電子部材25が共にヘッドユニット10に対して相対的に移動することで、第1状態から第2状態へと移行する。
【0046】
プリンタ1は、第2状態において、制御部90により搬送モータ、走査モータ34及びドライバIC14を制御することで、用紙100の搬送と用紙100に対するインクの吐出とを行う。これにより、用紙100に画像が記録される。
【0047】
以上に述べたように、本実施形態によれば、取付ユニット20の流路部材21及び付勢部品291が共にヘッドユニット10に対して相対的に移動することで、第1状態から第2状態へと移行する(図4及び図5参照)。この場合、流路12,22の接続とヘッドユニット10の位置決めとを一工程で実現可能であり、ヘッドユニット10を取付ユニット20に取り付ける作業が簡易である。
【0048】
支持部材27は凹部27xを有し、ヘッドユニット10は凹部27xと嵌合可能な凸部11xを有する。この場合、凹部27xと凸部11xとを嵌合させるという簡易な構成で、ヘッドユニット10を支持部材27に支持させることができる。
【0049】
位置決め部として機能する付勢部品291は、回動部材29に配置されている。回動部材29が回動することで、付勢部品291がヘッドユニット10に向けて移動する。この場合、回動部材29を回動させるという簡易な作業で、付勢部品291をヘッドユニット10に向けて移動させることができる。
【0050】
流路部材11において、下面11aとは異なる側面11sに、連通口12yが開口している(図3図5参照)。この場合、流路12,22の接続に係る作業が側面11sで行われる一方、ヘッドユニット10(ひいては吐出口12x)の位置決めに係る作業が下面11aで行われ、両作業が互いの妨げにならない。したがって、流路12,22の接続とヘッドユニット10の位置決めとの両方を確実に行える。
【0051】
流路部材21は、側面21sと平行な方向に移動可能である(図6(a)参照)。この場合、流路12,22の接続の際に流路22の位置が側面21sと平行な方向において調整されるため、流路12,22の接続を簡易かつ精度よく行うことができる。
【0052】
側面21sは穴21v1,21v2を有し、側面11sは穴21v1,21v2と嵌合可能な突起11vを有する(図6(a)参照)。この場合、流路12,22の接続の前に、突起11vと穴21v1,21v2との嵌合によって面11s,21s同士を位置決めすることで、流路12,22の接続を精度よく行える。
【0053】
穴21v1,21v2は側面21sの隅に配置され、突起11vは側面11sの隅に配置されている(図6(a)参照)。この場合、突起11vと穴21v1,21v2との嵌合に係る作業が側面21sの隅で行われる一方、流路12,22の接続に係る作業が側面21sの中央で行われ、両作業が互いの妨げにならない。したがって、突起11vと穴21v1,21v2との嵌合と流路12,22の接続との両方を確実に行える。
【0054】
2つの穴21v1,21v2のうち、一方の穴21v2は、他方の穴21v1よりも細長い(図6(a)参照)。この場合、突起11vと穴21v1,21v2との嵌合に係る作業を容易に行える。
【0055】
取付ユニット20の電子部材25、流路部材21、及び、位置決め部として機能する付勢部品291が、共にヘッドユニット10に対して相対的に移動することで、第1状態から第2状態へと移行する(図4及び図5参照)。この場合、ヘッドユニット10の位置決めと、流路12,22の接続と、端子16,26の接続とを、一工程で実現可能であり、ヘッドユニット10を取付ユニット20に取り付ける作業が極めて簡易である。
【0056】
端子26は、連通口22yよりも上方の位置(第2位置)に配置されている(図5参照)。第2位置は、第1位置(連通口22yよりも下方でかつ連通口22yと鉛直方向に重なる位置)以外の位置である。端子26が第1位置に配置された場合、連通口12y,22y同士の接続部から漏れ出たインクが端子16,26に付着し、電子部材15,25に不具合が生じる。この点、本構成では、端子26が第2位置に配置されたことで、電子部材15,25に不具合が生じない。
【0057】
流路部材11において、下面11aとは異なる側面11sに、電子部材15が配置されている(図3図5参照)。この場合、端子16,26の接続に係る作業が側面11sで行われる一方、ヘッドユニット10(ひいては吐出口12x)の位置決めに係る作業が下面11aで行われ、両作業が互いの妨げにならない。したがって、端子16,26の接続とヘッドユニット10の位置決めとの両方を確実に行える。
【0058】
電子部材25は、表面25sと平行な方向に移動可能である(図6(b)参照)。この場合、端子16,26の接続の際に端子26の位置が表面25sと平行な方向において調整されるため、端子16,26の接続を簡易かつ精度よく行うことができる。
【0059】
表面25sは穴25u1,25u2を有し、表面15sは穴25u1,25u2と嵌合可能な突起11uを有する(図6(b)参照)。この場合、端子16,26の接続の前に、突起11uと穴25u1,25u2との嵌合によって面21s,25s同士を位置決めすることで、端子16,26の接続を精度よく行える。
【0060】
穴25u1,25u2は表面25sの隅に配置され、突起11uは表面15sの隅に配置されている(図6(b)参照)。この場合、突起11uと穴25u1,25u2との嵌合に係る作業が表面25sの隅で行われる一方、端子16,26の接続に係る作業が表面25sの中央で行われ、両作業が互いの妨げにならない。したがって、突起11uと穴25u1,25u2との嵌合と端子16,26の接続との両方を確実に行える。
【0061】
2つの穴25u1,25u2のうち、一方の穴25u2は、他方の穴25u1よりも細長い(図6(b)参照)。この場合、突起11uと穴25u1,25u2との嵌合の際に穴25u2に挿入された突起11uが穴25u2内において移動可能であるため、突起11uと穴25u1,25u2との嵌合に係る作業を容易に行える。
【0062】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0063】
ヘッドユニットの位置決めと、流路接続と、端子接続とが、同時に実現されることに限定されず、これらのタイミングがずれてもよい。
【0064】
第1連通口及び第2連通口は、上述の実施形態ではタンクから第1流路に供給される液体が流れる開口であるが、これに限定されない。例えば、第1連通口及び第2連通口は、第1流路からタンクに帰還される液体が流れる開口であってもよい。
【0065】
上述の実施形態では、端子26は、連通口22yよりも上方の位置にあるが、これに限定されない。例えば、端子26は、連通口22yよりも下方であって、連通口22yと鉛直方向に重ならない位置にあってもよい。
【0066】
ヘッドユニットは、シリアル式に限定されず、ライン式であってもよい。ヘッドユニットがライン式の場合、取付ユニットは、ヘッドユニットと共に液体吐出装置の筐体に対して移動せず、液体吐出装置の筐体に固定されてよい。
【0067】
吐出対象は、用紙に限定されず、例えば布、基板、プラスチック部材等であってもよい。
【0068】
吐出口から吐出される液体は、インクに限定されず、任意の液体(例えば、インク中の成分を凝集又は析出させる処理液等)であってよい。
【0069】
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリ、コピー機、複合機等にも適用可能である。また、本発明は、画像の記録以外の用途で使用される液体吐出装置(例えば、基板に導電性の液体を吐出して導電パターンを形成する液体吐出装置)にも適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 プリンタ(液体吐出装置)
10 ヘッドユニット
11 流路部材(第1流路部材)
11a 下面(吐出面)
11b 上面(反対面)
11s 側面(第1面)
11v 突起
11u 突起
11x 凸部
12 流路(第1流路)
12x 吐出口
12y 連通口(第1連通口)
15 電子部材(第1電子部材)
15s 表面(第4面)
16 端子(第1端子)
20 取付ユニット
21 流路部材(第2流路部材)
21s 側面(第2面)
21v1 穴(第1穴)
21v2 穴(第2穴)
22 流路(第2流路)
22y 連通口(第2連通口)
25 電子部材(第2電子部材)
25s 表面(第3面)
25u1 穴(第3穴)
25u2 穴(第4穴)
26 端子(第2端子)
27 支持部材
27x 凹部
29 回動部材
291 付勢部品(位置決め部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6