IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-プロジェクター 図1
  • 特開-プロジェクター 図2
  • 特開-プロジェクター 図3
  • 特開-プロジェクター 図4
  • 特開-プロジェクター 図5
  • 特開-プロジェクター 図6
  • 特開-プロジェクター 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129355
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】プロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240919BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240919BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240919BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240919BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20240919BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G03B21/00 E
G02F1/13 505
G02F1/1335
G02F1/13357
H04N5/74 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038503
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 典生
【テーマコード(参考)】
2H088
2H291
2H391
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2H088EA13
2H088EA15
2H088HA13
2H088HA25
2H088HA28
2H088MA06
2H291FA11Z
2H291FA25Z
2H291FA30Z
2H291FA56X
2H291FA56Z
2H291FA62X
2H291FA62Z
2H291FA64X
2H291FA66X
2H291FA66Z
2H291FA68X
2H291FA85Z
2H291FA86Z
2H291FA87Z
2H291FA88Z
2H291LA03
2H291LA31
2H291MA12
2H291PA42
2H391BA01
2H391BA12
2H391BA13
2H391BA23
2H391BA26
2H391BA29
2H391EA29
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA32
2K203FA44
2K203FA62
2K203GB05
2K203HA65
2K203HA69
2K203MA01
5C058BA35
5C058EA02
5C058EA51
(57)【要約】
【課題】液晶パネルからの光を効率良く投射できる、プロジェクターを提供する。
【解決手段】本発明のプロジェクターは、光源装置と光変調装置と投射光学装置とを備え、光変調装置は、液晶パネルと、光源装置から射出された第1、第2、第3色光がそれぞれ異なる角度で入射するマルチレンズアレイと、光屈折体アレイと、を有する。液晶パネルは複数の画素を有し、複数の画素の各々は第1、第2、第3サブ画素を有する。マルチレンズアレイは、第1、第2、第3色光が異なる角度で入射する複数のレンズを有する。光屈折体アレイは、第1、第2画素の境界を跨ぐ第1光屈折体と、第1、第3画素との境界を跨ぐ第2光屈折体と、を有する。第1画素の第1サブ画素からの第1色光と第2画素の第3サブ画素からの第3色光とは第1光屈折体に入射し、第1画素の第3サブ画素からの第3色光と第3画素の第1サブ画素からの第1色光とは第2光屈折体に入射する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに色が異なる第1色光、第2色光および第3色光を含む光を射出する光源装置と、
前記光源装置から射出された前記第1色光、前記第2色光および前記第3色光を画像信号に基づいて変調する光変調装置と、
前記光変調装置から射出された光を投射する投射光学装置と、を備え、
前記光変調装置は、
1つの液晶パネルと、
前記液晶パネルの光入射側に設けられ、前記光源装置から射出された前記第1色光、前記第2色光および前記第3色光がそれぞれ異なる角度で入射するマルチレンズアレイと、
前記液晶パネルの光射出側に設けられた光屈折体アレイと、を有し、
前記液晶パネルは、第1画素、第2画素および第3画素を含む複数の画素を有し、
前記複数の画素の各々は、
前記マルチレンズアレイにより集光された前記第1色光が入射する第1サブ画素と、
前記第1サブ画素の第1方向に隣接して配置され前記マルチレンズアレイにより集光された前記第2色光が入射する第2サブ画素と、
前記第2サブ画素の前記第1方向に隣接して配置され前記マルチレンズアレイにより集光された前記第3色光が入射する第3サブ画素と、を有し、
前記マルチレンズアレイは、前記複数の画素各々に対応して設けられ、前記第1色光、前記第2色光および前記第3色光がそれぞれ異なる角度で入射する複数のレンズを有し、
前記光屈折体アレイは、
前記複数の画素のうち前記第1画素と前記第1画素の前記第1方向側に隣接する前記第2画素との境界を跨いで配置される第1光屈折体と、
前記第1画素と前記第1画素の前記第1方向とは反対側に隣接する前記第3画素との境界を跨いで配置される第2光屈折体と、を有し、
前記第1画素の前記第3サブ画素から射出された前記第3色光と前記第2画素の前記第1サブ画素から射出された前記第1色光とは、前記第1光屈折体に入射し、
前記第1画素の前記第1サブ画素から射出された前記第1色光と前記第3画素の前記第3サブ画素から射出された前記第3色光とは、前記第2光屈折体に入射する、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
前記光屈折体アレイは、前記第1方向において前記第1光屈折体と前記第2光屈折体との間に配置され、前記第2色光が入射する第3光屈折体をさらに有し、
前記第1画素の前記第2サブ画素から射出された前記第2色光は、前記第3光屈折体に入射する、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記第1光屈折体および前記第2光屈折体の各々は、前記マルチレンズアレイにおける前記レンズの配列ピッチと等しいピッチで配置されたレンズで構成され、
前記第1方向における前記画素の大きさをaとしたとき、
前記第1光屈折体および前記第2光屈折体におけるレンズ境界の位置は、前記第1画素および前記第2画素の境界、または、前記第1画素および前記第3画素の境界に対して、0.2a以上0.5a以下ずれている、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記第1光屈折体の光軸と前記第2光屈折体の光軸との間の距離をDとし、
前記第1光屈折体の前記第2光屈折体側の端部と前記第2光屈折体の前記第1光屈折体側の端部との間の距離をD1としたとき、
D1は、D1≦0.5Dであることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記D1は、D1>0であって、
前記光屈折体アレイは、前記第1光屈折体と前記第2光屈折体との間に平面部を有する
ことを特徴とする請求項4に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記第1光屈折体はレンズ光軸に対して対称な形状を有するレンズであり、
前記第1光屈折体の前記レンズ光軸は、前記第1方向に直交し、前記マルチレンズアレイ、前記液晶パネルおよび前記光屈折体アレイが並ぶ第2方向において、前記第1画素と前記第2画素との境界線上に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記第1光屈折体および前記第2光屈折体の各々は、前記液晶パネルから離間するにつれて外形が先細り、先端が平面からなる円錐台形状を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、白色光を射出する光源と、光源から射出した白色光を赤色光、緑色光および青色光に分離する3つのダイクロイックミラーと、赤色光、緑色光および青色光に対応する3つのサブ画素で構成された複数の画素を含む1つの液晶パネルと、液晶パネルの光入射側に配置され、3つのサブ画素ごとに配置された複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズアレイと、を備えたプロジェクターが開示されている。このプロジェクターでは、ダイクロイックミラーにより白色光から分離した各色光を液晶パネルにおける3つのサブ画素に対して異なる角度で入射させる。
【0003】
下記特許文献2には、1つの液晶パネルと、液晶パネルの光入射側に配置され液晶パネルの各画素に対応する複数のレンズを有する光入射側レンズアレイと、液晶パネルの光射出側に配置され液晶パネルの各画素に対応する複数のレンズを有する光射出側レンズアレイと、を備えた透過型表示装置が開示されている。この透過型表示装置では、光射出側レンズアレイを設けることで液晶パネルの各画素から射出された光の拡がりを抑えることで光のロスを低減するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-206813号公報
【特許文献2】特開平03-267918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、上記特許文献1のプロジェクターの構成において、液晶パネルから射出される光のロスを低減するため、上記特許文献2の構成を組み合わせることで光射出側にマイクロレンズアレイをさらに配置することも考えられる。
しかしながら、液晶パネルのある画素において3つのサブ画素のうち両端の2つのサブ画素から射出された色光は、ある画素に対応するマイクロレンズの隣りのマイクロレンズに入射することで発散光となり、投射レンズに取り込むことができず光損失となる恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の1つの態様によれば、互いに色が異なる第1色光、第2色光および第3色光を含む光を射出する光源装置と、前記光源装置から射出された前記第1色光、前記第2色光および前記第3色光を画像信号に基づいて変調する光変調装置と、前記光変調装置にて変調された光を投射する投射光学装置と、を備え、前記光変調装置は、前記光源装置から射出された前記第1色光、前記第2色光および前記第3色光がそれぞれ異なる角度で入射するマルチレンズアレイと、前記マルチレンズアレイから射出された光が入射する1つの液晶パネルと、前記液晶パネルから射出された光が入射する光屈折体アレイと、を有し、前記液晶パネルは、第1画素、第2画素および第3画素を含む複数の画素を有し、前記複数の画素の各々は、前記マルチレンズアレイにより集光された前記第1色光が入射する第1サブ画素と、前記第1サブ画素の第1方向に隣接して配置され前記マルチレンズアレイにより集光された前記第2色光が入射する第2サブ画素と、前記第2サブ画素の前記第1方向に隣接して配置され前記マルチレンズアレイにより集光された前記第3色光が入射する第3サブ画素と、を有し、前記マルチレンズアレイは、前記複数の画素各々に対応して設けられた複数のマクロレンズを有し、前記光屈折体アレイは、前記複数の画素のうち前記第1画素と前記第1画素の前記第1方向の一方側に隣接する前記第2画素との境界を跨いで配置される第1光屈折体と、前記第1画素と前記第1画素の前記第1方向の他方側に隣接する前記第3画素との境界を跨いで配置される第2光屈折体と、を有する、プロジェクターが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
図2】液晶パネルの要部を示す断面図である。
図3】比較例の液晶パネルの要部構成を示す図である。
図4】第2実施形態の光屈折体アレイの構成を示す図である。
図5】第3実施形態の光屈折体アレイの構成を示す図である。
図6】第4実施形態の光屈折体アレイの構成を示す図である。
図7】第5実施形態の光屈折体アレイの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0009】
(第1実施形態)
図1は本実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
本実施形態のプロジェクター1は、光源装置10から射出された光を変調して画像情報に応じた画像を形成し、形成された画像をスクリーン等の被投射面上に拡大して投射する。つまり、本実施形態のプロジェクター1は、光源装置10から射出された光を1つの液晶パネル22を含む光変調装置20により変調して画像を形成し、形成された画像を投射する。本実施形態のプロジェクター1は、いわゆる、単板方式のプロジェクターである。
【0010】
プロジェクター1において、画像光の主光線が通る軸を主光軸AXと定義する。なお、以下の説明において、必要に応じてXYZ直交座標系を用いて説明する。Z軸は、プロジェクター1を設置する空間の鉛直方向に沿う軸である。X軸は、主光軸AXと平行な軸である。Y軸は、プロジェクターの水平方向に沿う軸であってX軸およびZ軸に直交する軸である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、光源装置10と、光変調装置20と、投射光学装置30と、を備えている。
光源装置10は、光源11と、コリメーター光学系12と、光源用第1レンズアレイ13と、光源用第2レンズアレイ14と、偏光変換素子15と、色分離光学系16と、重畳光学系17と、を備える。光源装置10のうちの色分離光学系16および重畳光学系17と、光変調装置20および投射光学装置30とは、プロジェクター1の主光軸AXに沿って配置されている。
【0012】
光源11は白色LEDで構成され、互いに色が異なる赤色光、緑色光および青色光を含む白色光LWを射出する。なお、本実施形態では光源としてLEDを用いたが、これに限られずランプやレーザーダイオードを使用した光源や太陽光を集光して光源としても用いることもできる。
【0013】
コリメーター光学系12は、光源11から発光された白色光LWを平行化して光源用第1レンズアレイ13へと導く。コリメーター光学系12は第1レンズ12aおよび第2レンズ12bで構成される。
【0014】
光源用第1レンズアレイ13は、光源11から入射される白色光LWの中心軸、すなわち、光源11の照明光軸AX1に直交する面内にマトリクス状に配列された複数のレンズ13aを有する。光源用第1レンズアレイ13は、複数のレンズ13aによって光源11から入射される白色光LWを複数の部分光束に分割する。
【0015】
光源用第2レンズアレイ14は、照明光軸AX1に直交する面内にマトリクス状に配列されるとともに、光源用第1レンズアレイ13の複数のレンズ13aに対応した複数のレンズ14aを有する。各レンズ14aには、当該レンズ14aに対向するレンズ13aから射出された部分光束が入射される。各レンズ14aは、部分光束を偏光変換素子15に入射させる。
【0016】
偏光変換素子15は、偏光分離膜と、位相差板としての1/2波長板と、がアレイ状に並んだ構成を有する。偏光変換素子15は、光源用第2レンズアレイ14から射出された光を所定の直線偏光に変換する。これにより、光変調装置20に入射する光の偏光方向を、後述する光変調装置20の光入射側に配置された入射側偏光板21の透過軸方向に一致させることができる。
【0017】
偏光変換素子15により直線偏光に変換された白色光LWは、色分離光学系16に入射する。色分離光学系16は、第1ダイクロイックミラー16Bと、第2ダイクロイックミラー16Gと、ミラー16Rと、を有し、白色光LWを赤色光LRと緑色光LGと青色光LBとに分離する。本実施形態において、赤色光LRは「第1色光」、緑色光LGは「第2色光」、青色光LBは「第3色光」に相当する。
【0018】
第1ダイクロイックミラー16Bは青色波長帯の光を選択的に透過し他の波長帯は反射する特性を有する誘電体多層膜により構成される。第1ダイクロイックミラー16Bは光源11の照明光軸AX1上に配置され、照明光軸AX1と45°の角度をなす。
第1ダイクロイックミラー16Bは、白色光LWのうちの青色光LBを透過させることで+X方向に射出し、白色光LWのうち緑色光LGおよび赤色光LRを含む光を透過させることで-Y方向に射出する。
【0019】
第2ダイクロイックミラー16Gは、赤色波長帯の光を選択的に透過し緑色波長帯の光を反射する特性を有する誘電体多層膜により構成される。第2ダイクロイックミラー16Gは第1ダイクロイックミラー16Bの-Y側に設けられ、第1ダイクロイックミラー16Bと平行に配置される。
第2ダイクロイックミラー16Gは、第1ダイクロイックミラー16Bから入射する緑色光LGおよび赤色光LRを含む光のうち緑色光LGを反射することで+X方向に射出し、赤色光LRを透過させることで-Y方向に射出する。
【0020】
ミラー16Rは、第2ダイクロイックミラー16Gの-Y側に設けられ、第2ダイクロイックミラー16Gと平行に配置される。
ミラー16Rは、第2ダイクロイックミラー16Gから入射する赤色光LRを反射することで+X方向に射出する。
【0021】
このようにして色分離光学系16は白色光LWをY方向において赤色光LRと緑色光LGと青色光LBとに分離した状態で重畳光学系17に入射させることができる。すなわち、赤色光LR、緑色光LGおよび青色光LBは、後述する重畳光学系17の重畳レンズ17Aの光入射面の異なる場所に入射する。
【0022】
重畳光学系17は、重畳レンズ17Aとフィールドレンズ17Bとを含む。
【0023】
重畳レンズ17Aおよびフィールドレンズ17Bは、赤色光LR、緑色光LGおよび青色光LBを光変調装置20に対して重畳して入射させる。具体的に、赤色光LR、緑色光LGおよび青色光LBは、重畳光学系17およびフィールドレンズ17Bによって、Y方向において、光変調装置20に設けられた後述する入射側マルチレンズアレイ24の各レンズ24aに対して異なる角度で入射する。
【0024】
光変調装置20は、光源装置10から射出された青色光LB、緑色光LGおよび赤色光LRを画像信号に基づいて変調する。
光変調装置20は、入射側偏光板21と、1つの液晶パネル22と、射出側偏光板23と、液晶パネル22の光入射面に設けられた入射側マルチレンズアレイ24と、液晶パネル22の光射出面に設けられた光屈折体アレイ25と、を備えている。入射側偏光板21は、白色光LWのうち所定方向の直線偏光を透過して液晶パネル22側に入射させる。入射側偏光板21と射出側偏光板23とは、入射側偏光板21の偏光軸と射出側偏光板23の偏光軸とが直交するように配置されている。
【0025】
投射光学装置30は投射レンズから構成されており、光変調装置20から射出された光をスクリーンなどの被投射面上に投射することで所定の画像を表示する。投射光学装置30を構成する投射レンズの枚数については、特に限定されず、1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。
【0026】
図2は液晶パネル22の要部を示す断面図である。
図2に示すように、液晶パネル22は、素子基板220と、対向基板221と、液晶層222と、を備えている。液晶パネル22は複数の画素Pを有する画素領域PAを備えている。複数の画素Pは、画素領域PAの水平方向、すなわち横方向にあたるY方向と、画素領域PAの垂直方向、すなわち縦方向にあたるZ方向と、にマトリクス状に配列されている。
【0027】
複数の画素Pは第1画素P1と第2画素P2と第3画素P3とを含む。本実施形態において、第1画素P1、第2画素P2および第3画素P3は複数の画素PのうちY方向において隣接して配置された3つの画素である。第2画素P2、第1画素P1および第3画素P3は、Y方向において、この順に配置される。
具体的に第1画素P1は第2画素P2および第3画素P3に挟まれた画素であり、第2画素P2は第1画素P1の+Y側に隣接する画素であり、第3画素P3は第1画素P1の-Y側に隣接する画素である。
【0028】
各画素Pは、第1サブ画素PRと、第2サブ画素PGと、第3サブ画素PBと、から構成される。以下、第1サブ画素PR、第2サブ画素PGおよび第3サブ画素PBを、単にサブ画素PR、PG、PBと略記することもある。
各画素Pにおいて、各サブ画素PR、PG、PBはY方向に配列される。第1サブ画素PRは、画素P内の最も+Y側に位置し、第2サブ画素PGは第1サブ画素PRの-Y側に隣接して配置され、第3サブ画素PBは第2サブ画素PGの-Y側に隣接して配置される。本実施形態において、Y方向は「第1方向」に相当する。
第1サブ画素PRには後述のように赤色光LRが入射し、第2サブ画素PGには後述のように緑色光LGが入射し、第3サブ画素PBには後述のように青色光LBが入射する。
【0029】
本実施形態の液晶パネル22は所謂ストライプ配列の画素領域PAを有している。具体的に、画素領域PAにおいて、Z方向で隣り合う画素Pの各サブ画素PR,PG,PB同士がZ方向に並んでいる。各サブ画素PR,PG,PBは遮光部材であるブラックマトリクスBMにより区画された領域である。液晶パネル22は、画像信号に基づいて各サブ画素PR,PG,PBに配置される液晶層222への印加電圧を調整することで所望の明るさの画像光を生成する。
【0030】
液晶パネル22の対向基板221の光入射側には、入射側マルチレンズアレイ24が設けられている。入射側マルチレンズアレイ24は、各画素Pに対応して設けられた複数のレンズ24aを有する。なお、入射側マルチレンズアレイ24は対向基板221に接着層を介して貼り付けられた別体構成でも良いし、対向基板221と一体化された構成でもよい。
本実施形態において、入射側マルチレンズアレイ24は「マルチレンズアレイ」に相当する。
【0031】
図2に示すように、本実施形態のプロジェクター1において、赤色光LR、緑色光LGおよび青色光LBは、Y方向において、入射側マルチレンズアレイ24の各レンズ24aに対して異なる角度で入射する。赤色光LRは各レンズ24aのレンズ光軸に対して-Y側から+Y側に向かう斜め方向に入射し、緑色光LGは各レンズ24aのレンズ光軸に沿う+X方向に入射し、青色光LBは各レンズ24aのレンズ光軸に対して+Y側から-Y側に向かう斜め方向に入射する。入射側マルチレンズアレイ24の各レンズ24aの光入射面24a1における各色光LR,LG,LBの入射角度の違いは、液晶パネル22の各サブ画素PR、PG、PB内での入射位置の違いとして反映される。
【0032】
これにより、入射側マルチレンズアレイ24の各レンズ24aは、斜め方向から入射する赤色光LRを各画素Pの第1サブ画素PRに集光し、平行に入射する緑色光LGを各画素Pの第2サブ画素PGに集光し、緑色光LGに対して赤色光LRとは反対の斜め方向から入射する青色光LBを第3サブ画素PBに集光する。なお、本明細書で言う「集光」とは、光が必ずしも各サブ画素PR,PG,PB内の1点に集まらなくてもよく、デフォーカス状態であっても、各サブ画素PR,PG,PB内にある程度集まることによって各サブ画素をより多く通過できれば良い。
【0033】
各サブ画素PR,PG,PBにおいて変調された各色光LR,LG,LBは液晶パネル22の射出側に設けられた光屈折体アレイ25に入射する。光屈折体アレイ25は複数の光屈折体を有する。複数の光屈折体は、第1光屈折体25aと、第2光屈折体25bと、第3光屈折体25cと、を含む。
【0034】
第1光屈折体25aは、第1画素P1と第2画素P2との境界を跨いで配置される。第1画素P1と第2画素P2との境界とは、2つの画素をY方向において隔てるX方向に沿う仮想線で示される第1境界線K1で規定される。
【0035】
第2光屈折体25bは、第1画素P1と第3画素P3との境界を跨いで配置される。第1画素P1と第3画素P3との境界とは、2つの画素をY方向において隔てるX方向に沿う仮想線で示される第2境界線K2で規定される。
【0036】
第3光屈折体25cは、第1光屈折体25aと第2光屈折体25bとの間に配置される。
以下、第1光屈折体25a、第2光屈折体25bおよび第3光屈折体25cをまとめて単に「各光屈折体25a、25b、25c」と称す場合もある。
【0037】
各光屈折体25a、25b、25cを含む複数の光屈折体は凸レンズで構成される。各光屈折体25a、25b、25cはレンズ光軸に対して対称な形状を有するレンズである。本実施形態の場合、第1光屈折体25aおよび第2光屈折体25bは同じ凸レンズで構成され、第3光屈折体25cはそれぞれの第1光屈折体25aおよび第2光屈折体25bよりも小型の凸レンズで構成される。なお、各光屈折体25a、25b、25cを構成するレンズは球面レンズでも良いし、非球面レンズでもよい。
【0038】
ここで、比較例の構成を例に挙げて説明する。
図3は比較例の液晶パネルの要部構成を示す図である。図3に示すように、比較例の液晶パネル122は、液晶パネルの光入射側に光屈折体アレイ25の代わりに入射側マルチレンズアレイ24と対をなす光射出側マルチレンズアレイ26を配置した点で本実施形態の構成と異なっている。なお、光射出側マルチレンズアレイ26以外の本実施形態と共通の構成については同じ符号を付して説明する。
【0039】
比較例の液晶パネル122において、光射出側マルチレンズアレイ26は入射側マルチレンズアレイ24と同一の構成を有している。具体的に光射出側マルチレンズアレイ26は各画素Pに対応して設けられた複数のレンズ260を有しており、各レンズ260は入射側マルチレンズアレイ24の各レンズ24aと対をなすように配置される。以下の説明において、複数のレンズ260のうち、液晶パネル122の第1画素P1に対応するレンズを第1レンズ261、液晶パネル122の第2画素P2に対応するレンズを第2レンズ262、液晶パネル122の第3画素P3に対応するレンズを第3レンズ263と称す場合がある。
【0040】
第1画素P1の第1サブ画素PRから赤色光LRの一部、もしくは多くは、第1画素P1に対応する第1レンズ261に入射する。赤色光LRのうち第1レンズ261に入射した第1成分LR1は、第1レンズ261を透過することで液晶パネル122の中心を通るプロジェクターの主光軸AXに沿う方向に偏向される。このため、第1レンズ261を透過することで主光軸AXに沿う方向に偏向された赤色光LRの第1成分LR1は、液晶パネル22の後段に位置する投射光学装置30を効率よく透過することで画像光として投射される。
【0041】
一方、赤色光LRは所定の拡がりをもった状態で射出されるため、赤色光LRのうち第2画素P2側に拡がった成分は第1レンズ261ではなく、第2画素P2に対応した第2レンズ262に入射する。このように第2レンズ262に入射した赤色光LRの第2成分LR2は、第2レンズ262を透過することでプロジェクターの主光軸AXから離れる方向に偏向される。このため、第2レンズ262を透過することで主光軸AXから離れる方向に偏向された赤色光LRの第2成分LR2は、液晶パネル22の後段に位置する投射光学装置30を効率よく透過できない恐れがある。
【0042】
このように比較例の液晶パネル122では、第1画素P1の第1サブ画素PRから赤色光LRの一部が投射光学装置30に入射できず、光源装置10の光を画像光として効率良く利用できない恐れがある。
また、第1画素P1の第3サブ画素PBから射出された青色光LBの一部についても、第1画素P1の第1サブ画素PRから射出された赤色光LRと同様、第1画素P1の-Y側に隣接する第3画素P3に対応する第3レンズ263に入射することでプロジェクターの主光軸AXから離れる方向に偏向されることで投射光学装置30に入射することができない恐れがある。
【0043】
なお、上記説明では、第1画素P1、第2画素P2および第3画素P3を例に挙げて説明したが、他の画素Pにおいても隣接する3つの画素Pにおいて同様のことが言える。
したがって、比較例の構成では、光源装置10の光を画像光として効率良く利用することが難しかった。
【0044】
これに対して、本実施形態のプロジェクター1では、図2に示すように、第1画素P1と第2画素P2との境界を跨いで配置された第1光屈折体25aに対して、第1画素P1の第1サブ画素PRから射出された赤色光LRと第2画素P2の第3サブ画素PBから射出された青色光LBとが入射する。また、第1画素P1と第3画素P3との境界を跨いで配置された第2光屈折体25bに対して、第1画素P1の第3サブ画素PBから射出された青色光LBと第3画素P3の第1サブ画素PRから射出された赤色光LRとが入射する。
【0045】
第1画素P1の第1サブ画素PRと第2画素P2の第3サブ画素PBとは、第1画素P1および第2画素P2の境界を挟んで互いに略対称となる位置に配置されている。このため、第1画素P1の第1サブ画素PRから第1光屈折体25aへの赤色光LRの入射方向と、第2画素P2の第3サブ画素PBから第1光屈折体25aへの青色光LBの入射方向とは、第1画素P1および第2画素P2の境界を挟んで互いに略対称となる。
【0046】
第1光屈折体25aは、第1画素P1の第1サブ画素PRから射出されてレンズ光軸25axに対して、-Y側から+Y側に向かう斜め方向に入射する赤色光LRを-Y側に偏向させつつ、第2画素P2の第3サブ画素PBから射出されてレンズ光軸25axに対して、+Y側から-Y側に向かう斜め方向に入射する青色光LBを+Y側に偏向させる。
これにより、第1光屈折体25aは、赤色光LRおよび青色光LBを液晶パネル122の中心を通るプロジェクター1の主光軸AXに沿う方向に偏向することができる。
【0047】
また、第1画素P1の第3サブ画素PBと第3画素P3の第1サブ画素PRとは、第1画素P1および第3画素P3の境界を挟んで互いに略対称となる位置に配置されている。このため、第1画素P1の第3サブ画素PBから第2光屈折体25bへの青色光LBの入射方向と、第3画素P3の第1サブ画素PRから第2光屈折体25bへの赤色光LRの入射方向とは、第1画素P1および第3画素P3の境界を挟んで互いに略対称となる。
【0048】
第2光屈折体25bは、第1画素P1の第3サブ画素PBから射出されてレンズ光軸25bxに対して、+Y側から-Y側に向かう斜め方向に入射する青色光LBを+Y側に偏向させつつ、第3画素P3の第1サブ画素PRから射出されてレンズ光軸25bxに対して、-Y側から+Y側に向かう斜め方向に入射する赤色光LRを-Y側に偏向させる。
これにより、第2光屈折体25bは、赤色光LRおよび青色光LBを液晶パネル122の中心を通るプロジェクター1の主光軸AXに沿う方向に偏向することができる。
【0049】
本実施形態において、第1光屈折体25aのレンズ光軸25axは、Y方向に直交し、入射側マルチレンズアレイ24、液晶パネル22および光屈折体アレイ25が並ぶX方向において、第1画素P1と第2画素P2との第1境界線K1上に配置されている。本実施形態において、X方向とは「第2方向」に相当する。
この構成によれば、第1光屈折体25aは、第1画素P1の第1サブ画素PRから入射する赤色光LRと第2画素P2の第3サブ画素PBから入射する青色光LBとに対して同程度の偏向力を与えることができる。
【0050】
第2光屈折体25bのレンズ光軸25bxは、X方向において、第1画素P1と第3画素P3との第2境界線K2上に配置されている。
この構成によれば、第2光屈折体25bは、第1画素P1の第3サブ画素PBから入射する青色光LBと第3画素P3の第1サブ画素PRから入射する赤色光LRとに対して同程度の偏向力を与えることができる。
【0051】
第3光屈折体25cのレンズ光軸25cxは、X方向において、第1画素P1の第2サブ画素PGの中心上に配置されている。
この構成によれば、第3光屈折体25cは、第1画素P1の第2サブ画素PGから入射する緑色光LGに対してY方向において偏向力をバランス良く与えることでプロジェクター1の主光軸AXに沿う方向に緑色光LGを射出することができる。
【0052】
なお、第3光屈折体25cのY方向の幅は、第2サブ画素PGから拡がった状態で入射する緑色光LGを飲み込み可能な大きさに設定される。これは、仮に第3光屈折体25cのY方向の幅が緑色光LGの拡がり幅よりも狭いと、第1光屈折体25aと第2光屈折体25bとの界面部分あるいは第1光屈折体25aと第3光屈折体25cとの界面部分に緑色光LGが入射してしまう。これら2つの光屈折体の界面部分では急激な角度変化が生じるため、界面部分に入射した光は全反射されたり、主光軸AXから大きく離れた方向に偏向されることで投射光学装置30に入射できなくなる恐れがあるためである。
【0053】
以上のように本実施形態のプロジェクター1は、互いに色が異なる赤色光LR、緑色光LGおよび青色光LBを含む白色光LWを射出する光源装置10と、光源装置10から射出された赤色光LR、緑色光LGおよび青色光LBを画像信号に基づいて変調する光変調装置20と、光変調装置20から射出された光を投射する投射光学装置30と、を備える。光変調装置20は、1つの液晶パネル22と、液晶パネル22の光入射側に設けられ、光源装置10から射出された赤色光LR、緑色光LGおよび青色光LBがそれぞれ異なる角度で入射する入射側マルチレンズアレイ24と、液晶パネル22の光射出側に設けられた光屈折体アレイ25と、を有する。液晶パネル22は、第1画素P1、第2画素P2および第3画素P3を含む複数の画素Pを有する。複数の画素Pの各々は、入射側マルチレンズアレイ24により集光された赤色光LRが入射する第1サブ画素PRと、第1サブ画素PRのY方向に隣接して配置され入射側マルチレンズアレイ24により集光された緑色光LGが入射する第2サブ画素PGと、第2サブ画素PGのY方向に隣接して配置され入射側マルチレンズアレイ24により集光された青色光LBが入射する第3サブ画素PBと、を有する。入射側マルチレンズアレイ24は、複数の画素Pの各々に対応して設けられ、赤色光LR、緑色光LGおよび青色光LBがそれぞれ異なる角度で入射する複数のレンズ24aを有する。光屈折体アレイ25は、複数の画素Pのうち第1画素P1と第1画素P1の+Y側に隣接する第2画素P2との第1境界線K1を跨いで配置される第1光屈折体25aと、第1画素P1と第1画素P1の-Y側に隣接する第3画素P3との第2境界線K2を跨いで配置される第2光屈折体25bと、を有する。第1画素P1の第1サブ画素PRから射出された赤色光LRと第2画素P2の第3サブ画素PBから射出された青色光LBとは、第1光屈折体25aに入射する。第1画素P1の第3サブ画素PBから射出された青色光LBと第3画素P3の第1サブ画素PRから射出された赤色光LRとは、第2光屈折体25bに入射する。
また、光屈折体アレイ25は、Y方向において第1光屈折体25aと第2光屈折体25bとの間に配置され、緑色光LGが入射する第3光屈折体25cをさらに有し、第1画素P1の第2サブ画素PGから射出された緑色光LGは、第3光屈折体25cに入射する。
【0054】
本実施形態のプロジェクター1によれば、各光屈折体25a、25b、25cを含む光屈折体アレイ25を備えることで、液晶パネル22の各画素Pから射出される赤色光LR、緑色光LGおよび青色光LBを主光軸AXに沿う方向に偏向することで投射光学装置30を効率良く透過させ画像光として有効に利用できる。
【0055】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態のプロジェクターの構成について説明する。
第2実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と同様であり、光屈折体アレイの構成が第1実施形態とは異なる。以下では第1実施形態と共通部分については説明を省略し、第1実施形態と共通の部材および構成については同じ符号を付して説明する。
【0056】
図4は本実施形態のプロジェクターにおける液晶パネルの要部を示す断面図である。具体的に図4は液晶パネルの射出側に設けられた光屈折体アレイ125の構成を示す図である。
【0057】
図4に示すように、本実施形態の光屈折体アレイ125は、第1光屈折体125aと、第2光屈折体125bとを有し、第3光屈折体を有しない。光屈折体アレイ125において、第1光屈折体125aと第2光屈折体125bとは平面部125cを介して一体に形成されている。
【0058】
第1光屈折体125aは第1画素P1と第2画素P2との第1境界線K1上に配置され、第2光屈折体125bは第1画素P1と第3画素P3との第2境界線K2上に配置される。第1光屈折体125aおよび第2光屈折体125bは凸レンズで構成される。
【0059】
第1光屈折体125aのレンズ光軸125axと第2光屈折体125bのレンズ光軸125bxとのY方向の距離をDとし、平面部125cのY方向の幅をD1とする。なお、D1については、第1光屈折体125aにおける第2光屈折体125bの配置されている側の端部と第2光屈折体125bにおける第1光屈折体125aの配置されている側の端部との間のY方向の距離と言い換えることもできる。
【0060】
ここで、第1画素P1の中央に位置する第2サブ画素PGから射出された緑色光LGは所定の拡がりを持つため、緑色光LGのY方向の両端成分は第1光屈折体125aおよび第2光屈折体125bに入射することになる。
【0061】
仮に、D1が0.5Dを超えると、第1光屈折体125aおよび第2光屈折体125bのY方向のサイズが小さくなることで、第1光屈折体125aおよび第2光屈折体125bを設けたことによる効果が小さくなる。
このような理由から、本実施形態の場合、平面部125cのY方向の幅D1と距離Dとの関係は、D1≦0.5Dの関係を満たすようにした。
【0062】
本実施形態の光屈折体アレイ125によれば、平面部125cのY方向の幅D1と距離Dとの関係がD1≦0.5Dを満たすため、第1光屈折体125aと第2光屈折体125bとから構成される場合であっても、液晶パネル22の各画素Pから射出される赤色光LR、緑色光LGおよび青色光LBが投射光学装置30を効率良く透過することができる。
【0063】
また、0<D1≦0.5Dにおいて、光屈折体アレイ125が第1光屈折体125aと第2光屈折体125bとの間に平面部125cを有することにより、投射光学装置30から射出される画像光の明るさ向上に寄与する。特に、平面部125cが第2サブ画素PGに対向する場合、すなわち、第2サブ画素PGから射出された緑色光LGが平面部125cに入射する場合は、緑が比視感度が高い色であるため、投射光学装置30によって投射される画像光の明るさ向上への寄与がさらに大きくなります。
【0064】
なお、D1≦0.5Dの関係において、D1≦0となる場合でも同様に、液晶パネル22の各画素Pから射出される赤色光LR、緑色光LGおよび青色光LBが投射光学装置30を効率良く透過することができる。なお、D1≦0となる場合は、例えば、第1光屈折体125aの端部と第2光屈折体125bの端部とが互いに接する場合や、一方の端部が他方の光屈折体に重なるような場合である。この場合、第1光屈折体125aと第2光屈折体125bとの間に平面部125cが存在しない。
【0065】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態のプロジェクターの構成について説明する。
第3実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と同様であり、光屈折体アレイの構成が第1実施形態とは異なる。以下では第1実施形態と共通部分については説明を省略し、第1実施形態と共通の部材および構成については同じ符号を付して説明する。
【0066】
図5は本実施形態のプロジェクターにおける液晶パネルの要部を示す断面図である。具体的に図5は液晶パネルの射出側に設けられた光屈折体アレイ225の構成を示す図である。
【0067】
図5に示すように、本実施形態の光屈折体アレイ225を構成する複数の光屈折体は、第1光屈折体225aと第2光屈折体225bとを含む。以下、第1光屈折体225aおよび第2光屈折体225bをまとめて単に「各光屈折体225a、225b」と称す場合もある。
【0068】
各光屈折体225a、225bを含む複数の光屈折体は入射側マルチレンズアレイ24の各レンズ24aと同一の構成を有する。すなわち、本実施形態の光屈折体アレイ225は、入射側マルチレンズアレイ24と同一の部材であり、各光屈折体225a、225bの各々は入射側マルチレンズアレイ24における各レンズ24aの配列ピッチと等しいピッチで配置されたレンズで構成されている。本実施形態において、光屈折体225a、225bとはY方向に並ぶ複数の光屈折体のうち隣り合う任意の2つの光屈折体に相当する。
【0069】
各光屈折体225a、225bはY方向において各レンズ24aと異なる位置に配置されている。具体的に、第1光屈折体225aを構成する凸レンズは第1画素P1と第2画素P2との第1境界線K1上に配置され、第2光屈折体225bを構成する凸レンズは第1画素P1と第3画素P3との第2境界線K2上に配置される。
【0070】
本実施形態の光屈折体アレイ225において、Y方向における画素Pの大きさをaとしたとき、第1光屈折体225aおよび第2光屈折体225bにおけるレンズ境界Rの位置は、第1画素P1および第3画素P3の境界である第2境界線K2に対して、0.2a以上0.5a以下ずれている。
【0071】
仮に位置ずれが0.2aより小さくなると、上述した比較例の構成に近づく。つまり、各画素Pの両端に位置する第1サブ画素PRおよび第3サブ画素PBから射出された各色光LR,LBが主光軸AXから離れる方向に偏向されることで投射光学装置30を効率良く透過することができなくなる。また、位置ずれが0.5aを超えると折り返しが発生するので上限は0.5aとなる。
【0072】
本実施形態の光屈折体アレイ225によれば、上述のようにレンズ境界Rの第2境界線K2に対する位置ずれ量RDが0.2a以上0.5a以下を満たすため、光屈折体アレイ225として入射側マルチレンズアレイ24と同一の部材を用いた場合であっても、液晶パネル22の各画素Pから射出される赤色光LR、緑色光LGおよび青色光LBが投射光学装置30を効率良く透過することができる。
【0073】
なお、上記説明では、第2境界線K2に対するレンズ境界Rの位置を例に挙げて説明したが、第2境界線K2に対するレンズ境界Rの位置で規定した場合でも同様のことが言える。この場合において、第1光屈折体225aおよび第2光屈折体225bにおけるレンズ境界Rの位置は、第1画素P1および第2画素P2の境界である第1境界線K1に対して、0.2a以上0.5a以下ずれていればよい。この場合においても、同様に、液晶パネル22の各画素Pから射出される赤色光LR、緑色光LGおよび青色光LBが投射光学装置30を効率良く透過することができる。
【0074】
(第4実施形態)
続いて、第4実施形態のプロジェクターの構成について説明する。
第4実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と同様であり、光屈折体アレイの構成が第1実施形態とは異なる。以下では第1実施形態と共通部分については説明を省略し、第1実施形態と共通の部材および構成については同じ符号を付して説明する。
【0075】
図6は本実施形態のプロジェクターにおける液晶パネルの要部を示す断面図である。具体的に図6は液晶パネルの射出側に設けられた光屈折体アレイ325の構成を示す図である。
【0076】
図6に示すように、本実施形態の光屈折体アレイ325を構成する複数の光屈折体は、第1光屈折体325aと第2光屈折体325bと第3光屈折体325cとを含む。第1光屈折体325aは第1画素P1と第2画素P2との第1境界線K1上に配置され、第2光屈折体325bは第1画素P1と第3画素P3との第2境界線K2上に配置される。第3光屈折体325cは、第1光屈折体325aと第2光屈折体325bとの間に配置される。
以下、第1光屈折体325a、第2光屈折体325bおよび第3光屈折体325cをまとめて単に「各光屈折体325a、325b、325c」と称す場合もある。
【0077】
各光屈折体325a、325b、325cを含む複数の光屈折体は円錐台形状を有する。以下、第1光屈折体325aを例に挙げ、円錐台形状、および、この形状による効果について説明する。
第1光屈折体325aは、液晶パネル22から離間する+X方向に向かうにつれて外形が先細るとともに先端41が平面からなる円錐台形状を有する。つまり、第1光屈折体325aは入射した光を偏向させるが、光を集光するレンズ機能を有しない形状を有する。本実施形態の場合、各光屈折体325a、325b、325cは一体化されている。
【0078】
第1光屈折体325aの側面40は-X側から+X側に向かうにつれて主光軸AXに近づく方向に傾斜する面である。本実施形態の場合、側面40は、根元側(-X)が平面で構成されるとともに先端41側(+X)に向かうにつれて一部が球面や非球面等の曲面で構成される。
【0079】
第1光屈折体325aを先端41側(+X側)から平面視した際、第1光屈折体325aは円形状でも良いし、画素Pの形状に合わせてZ方向に長軸を有する略楕円形状でも良い。
【0080】
上述したように第1画素P1の中央に位置する第2サブ画素PGから射出された緑色光LGは所定の拡がりを持つため、緑色光LGのY方向の両端成分LG1は第1光屈折体325aおよび第2光屈折体325b並びに第1光屈折体325aおよび第3光屈折体325cに入射することになる。
【0081】
例えば、緑色光LGの+Y側に位置する一端成分LG2の一部は第3光屈折体325cに隣接する第1光屈折体325aに入射する。
ここで、比較例として、各光屈折体325a、325b、325cが球面レンズから構成されていた場合について考える。つまり、図6中の二点鎖線で示すように、第1光屈折体325aがレンズで構成された場合について考える。
この場合において、緑色光LGの一端成分LG20は第1光屈折体325aのレンズ面により集光されることで主光軸AXからより離間する+Y側に大きく偏向される。このため、投射光学装置30は緑色光LGの一端成分LG20を取り込むことができなくなる。
【0082】
これに対して本実施形態の光屈折体アレイ325によれば、上述のように各光屈折体325a、325b、325cが円錐台形状を有するため、側面40がレンズ機能を有さない形状となっている。これにより、緑色光LGの一端成分LG2が第1光屈折体325aの側面40に入射した場合でも、レンズ機能を有さない側面40は一端成分LG2を少し屈折させるものの進行方向を大きく偏向することがない。よって、緑色光LGの一端成分LG2が主光軸AXから離間する+Y側に大きく偏向されることで投射光学装置30に取り込むことができないといった不具合を抑制することができる。
【0083】
したがって、本実施形態の光屈折体アレイ325によれば、上述のように円錐台形状を有する各光屈折体325a、325b、325cを備えることで、液晶パネル22の各画素Pから射出される色光のうち特に緑色光LGが投射光学装置30を効率良く透過することができる。
【0084】
(第5実施形態)
続いて、第5実施形態のプロジェクターの構成について説明する。
第5実施形態のプロジェクターは光源装置の構成が第1実施形態とは異なる。以下では第1実施形態と共通部分については説明を省略し、第1実施形態と共通の部材および構成については同じ符号を付して説明する。
【0085】
図7は本実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
図7に示すように、本実施形態のプロジェクター101は、光源装置110と、光変調装置20と、投射光学装置30と、を備えている。
光源装置110は、第1光源111Rと、第2光源111Gと、第3光源111Bと、第1コリメーター光学系112Rと、第2コリメーター光学系112Gと、第3コリメーター光学系112Bと、赤色光用第1レンズアレイ113Rと、緑色光用第1レンズアレイ113Gと、青色光用第1レンズアレイ113Bと、赤色光用第2レンズアレイ114Rと、緑色光用第2レンズアレイ114Gと、青色光用第2レンズアレイ114Bと、偏光変換素子115と、重畳光学系17と、を備える。
【0086】
第1光源111Rは赤色LEDで構成され、赤色光LRを射出する。第2光源111Gは緑色LEDで構成され、緑色光LGを射出する。第3光源111Bは青色LEDで構成され、青色光LBを射出する。
第1光源111R、第2光源111Gおよび第3光源111Bは主光軸AXに直交するY方向に-Y側から+Y側に向かって、この順に、配置されている。
【0087】
第1コリメーター光学系112Rは、第1光源111Rから発光された赤色光LRを平行化して赤色光用第1レンズアレイ113Rへと導く。第2コリメーター光学系112Gは、第2光源111Gから発光された緑色光LGを平行化して緑色光用第1レンズアレイ113Gへと導く。第3コリメーター光学系112Bは、第3光源111Bから発光された青色光LBを平行化して青色光用第1レンズアレイ113Bへと導く。
【0088】
赤色光用第1レンズアレイ113Rは、第1光源111Rの照明光軸RXに直交する面内にマトリクス状に配列された複数のレンズ113Raを有する。赤色光用第1レンズアレイ113Rは、複数のレンズ113Raによって第1光源111Rから入射される赤色光LRを複数の部分光束に分割する。
【0089】
緑色光用第1レンズアレイ113Gは、第2光源111Gの照明光軸GXに直交する面内にマトリクス状に配列された複数のレンズ113Gaを有する。緑色光用第1レンズアレイ113Gは、複数のレンズ113Gaによって第2光源111Gから入射される緑色光LGを複数の部分光束に分割する。
【0090】
青色光用第1レンズアレイ113Bは、第3光源111Bの照明光軸BXに直交する面内にマトリクス状に配列された複数のレンズ113Baを有する。青色光用第1レンズアレイ113Bは、複数のレンズ113Baによって第3光源111Bから入射される青色光LBを複数の部分光束に分割する。
【0091】
本実施形態において、赤色光用第1レンズアレイ113R、緑色光用第1レンズアレイ113Gおよび青色光用第1レンズアレイ113Bは、一体に形成されていても良いし、別体で形成されていてもよい。
【0092】
赤色光用第2レンズアレイ114Rは、第1光源111Rの照明光軸RXに直交する面内にマトリクス状に配列されるとともに、赤色光用第1レンズアレイ113Rの複数のレンズ113Raに対応した複数のレンズ114Rbを有する。各レンズ114Rbには、当該レンズ114Rbに対向するレンズ113Raから射出された部分光束が入射される。各レンズ114Rbは、部分光束を偏光変換素子115に入射させる。
【0093】
緑色光用第2レンズアレイ114Gは、第2光源111Gの照明光軸GXに直交する面内にマトリクス状に配列されるとともに、緑色光用第1レンズアレイ113Gの複数のレンズ113Gaに対応した複数のレンズ114Gbを有する。各レンズ114Gbには、当該レンズ114Gbに対向するレンズ113Gaから射出された部分光束が入射される。各レンズ114Gbは、部分光束を偏光変換素子115に入射させる。
【0094】
青色光用第2レンズアレイ114Bは、第3光源111Bの照明光軸BXに直交する面内にマトリクス状に配列されるとともに、青色光用第1レンズアレイ113Bの複数のレンズ113Baに対応した複数のレンズ114Bbを有する。各レンズ114Bbには、当該レンズ114Bbに対向するレンズ113Baから射出された部分光束が入射される。各レンズ114Bbは、部分光束を偏光変換素子115に入射させる。
【0095】
本実施形態の偏光変換素子115は、Y方向において、赤色光用第2レンズアレイ114R、緑色光用第2レンズアレイ114Gおよび青色光用第2レンズアレイ114Bからの各色光を飲み込み可能な幅を有する。
【0096】
このように本実施形態の光源装置110は、第1実施形態の光源装置10と異なり、第1光源111R、第2光源111Gおよび第3光源111Bを個別に備えることで、互いに色が異なる赤色光LR、緑色光LGおよび青色光LBを含む光を重畳光学系17に入射させることができる。すなわち、光源装置110は、重畳光学系17の重畳レンズ17Aの光入射面の異なる場所に赤色光LR、緑色光LGおよび青色光LBを入射させる。
【0097】
このような構成に基づいて、本実施形態のプロジェクター101は、赤色光LR、緑色光LGおよび青色光LBを、Y方向において、光変調装置20に設けられた後述する入射側マルチレンズアレイ24の各レンズ24aに対して異なる角度で入射させることができる。
なお、その他の構成は第1実施形態のプロジェクター1と共通であるため、説明を省略する。
【0098】
本実施形態のプロジェクター101においても、第1実施形態のプロジェクター1と同様、液晶パネル22の光射出側に光屈折体アレイ25を備えることで、液晶パネル22の各画素Pから射出される赤色光LR、緑色光LGおよび青色光LBが投射光学装置30を効率良く透過させ画像光として有効に利用することができる。
【0099】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
その他、プロジェクターを構成する各種構成要素の数、配置、形状および材料等の具体的な構成は、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。
【0100】
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)
互いに色が異なる第1色光、第2色光および第3色光を含む光を射出する光源装置と、
前記光源装置から射出された前記第1色光、前記第2色光および前記第3色光を画像信号に基づいて変調する光変調装置と、
前記光変調装置から射出された光を投射する投射光学装置と、を備え、
前記光変調装置は、
1つの液晶パネルと、
前記液晶パネルの光入射側に設けられ、前記光源装置から射出された前記第1色光、前記第2色光および前記第3色光がそれぞれ異なる角度で入射するマルチレンズアレイと、
前記液晶パネルの光射出側に設けられた光屈折体アレイと、を有し、
前記液晶パネルは、第1画素、第2画素および第3画素を含む複数の画素を有し、
前記複数の画素の各々は、
前記マルチレンズアレイにより集光された前記第1色光が入射する第1サブ画素と、
前記第1サブ画素の第1方向に隣接して配置され前記マルチレンズアレイにより集光された前記第2色光が入射する第2サブ画素と、
前記第2サブ画素の前記第1方向に隣接して配置され前記マルチレンズアレイにより集光された前記第3色光が入射する第3サブ画素と、を有し、
前記マルチレンズアレイは、前記複数の画素各々に対応して設けられ、前記第1色光、前記第2色光および前記第3色光がそれぞれ異なる角度で入射する複数のレンズを有し、
前記光屈折体アレイは、
前記複数の画素のうち前記第1画素と前記第1画素の前記第1方向の一方側に隣接する前記第2画素との境界を跨いで配置される第1光屈折体と、
前記第1画素と前記第1画素の前記第1方向の他方側に隣接する前記第3画素との境界を跨いで配置される第2光屈折体と、を有し、
前記第1画素の前記第1サブ画素から射出された前記第1色光と前記第2画素の前記第3サブ画素から射出された前記第3色光とは、前記第1光屈折体に入射し、
前記第1画素の前記第3サブ画素から射出された前記第3色光と前記第3画素の前記第1サブ画素から射出された前記第1色光とは、前記第2光屈折体に入射する、
ことを特徴とするプロジェクター。
【0101】
この構成のプロジェクターによれば、第1光屈折体および第2光屈折体を含む光屈折体アレイを備えることで、液晶パネルの各画素から射出される第1赤色光および第3色光をプロジェクターの主光軸に沿う方向に偏向することで投射光学装置に効率良く入射させて画像光として有効に利用することができる。
【0102】
(付記2)
前記光屈折体アレイは、前記第1方向において前記第1光屈折体と前記第2光屈折体との間に配置され、前記第2色光が入射する第3光屈折体をさらに有し、
前記第1画素の前記第2サブ画素から射出された前記第2色光は、前記第3光屈折体に入射する、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
【0103】
この構成によれば、第3光屈折体25cを備えることで、第1画素の第2サブ画素から射出された第2色光の拡がりを抑えることで投射光学装置30を効率良く透過させることができる。
【0104】
(付記3)
前記第1光屈折体および前記第2光屈折体の各々は、前記マルチレンズアレイにおける前記レンズの配列ピッチと等しいピッチで配置されたレンズで構成され、
前記第1方向における前記画素の大きさをaとしたとき、
前記第1光屈折体および前記第2光屈折体におけるレンズ境界の位置は、前記第1画素および前記第2画素の境界、または、前記第1画素および前記第3画素の境界に対して、0.2a以上0.5a以下ずれている、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
【0105】
位置ずれが0.2aより小さくなると、各画素の両端に位置する第1サブ画素および第3サブ画素から射出された各色光がプロジェクターの主光軸から離れる方向に偏向されることで投射光学装置に入射できなる。また、位置ずれが0.5aを超えると折り返しが発生するため、上限は0.5aとなる。
これに対して、位置ずれが0.2a以上0.5a以下を満たせば、光屈折体アレイとしてマルチレンズアレイと同一の部材を用いた場合であっても、液晶パネルの各画素から射出される各色光が投射光学装置を効率良く透過させることができる。
【0106】
(付記4)
前記第1光屈折体の光軸と前記第2光屈折体の光軸との間の距離をDとし、
前記第1光屈折体の前記第2光屈折体側の端部と前記第2光屈折体の前記第1光屈折体側の端部との間の距離をD1としたとき、
D1の範囲は、D1≦0.5Dであることを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
【0107】
第1光屈折体の光軸と第2光屈折体の光軸との間の距離Dに対して、第1光屈折体の第2光屈折体側の端部と第2光屈折体の第1光屈折体側の端部との間の距離D1を、D1≦0.5Dとすることにより、液晶パネルの各画素から射出される赤色光、緑色光および青色光が投射光学装置を効率良く透過することができる。
【0108】
(付記5)
前記D1は、D1>0であって、
前記光屈折体アレイは、前記第1光屈折体と前記第2光屈折体との間に平面部を有する
ことを特徴とする付記4に記載のプロジェクター。
【0109】
この構成によれば、第2サブ画素から射出される光の光線角度が深くなる方向に偏向する度合いが緩和されるため、結果として投写光学装置の透過率が改善され、投射光学装置から射出される画像光の明るさ向上に寄与する。
【0110】
(付記6)
前記第1光屈折体はレンズ光軸に対して対称な形状を有するレンズであり、
前記第1光屈折体の前記レンズ光軸は、前記第1方向に直交し、前記マルチレンズアレイ、前記液晶パネルおよび前記光屈折体アレイが並ぶ第2方向において、前記第1画素と前記第2画素との境界線上に配置されている、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
【0111】
この構成によれば、第1光屈折体が第1画素の第1サブ画素から入射する第1色光と第2画素の第3サブ画素から入射する第3色光とに対して同程度の偏向力を与えることができる。
【0112】
(付記7)
前記第1光屈折体および前記第2光屈折体の各々は、基部から先端部に向かって外形が先細るとともに前記先端部の頂部が平面からなる円錐台形状を有する、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
【0113】
この構成によれば、円錐台形状を有する各光屈折体を備えることで、液晶パネルの各画素から射出される色光のうち特に第2色光が投射光学装置を効率良く透過することができる。
【符号の説明】
【0114】
1,101…プロジェクター、10,110…光源装置、24a…レンズ、20…光変調装置、22…液晶パネル、24…入射側マルチレンズアレイ(マルチレンズアレイ)、25,125,225,325…光屈折体アレイ、25a,225a,325a…光屈折体、25a,125a,225a,325a…第1光屈折体、25ax,25bx,25cx,125ax,125bx…レンズ光軸、25b,125b,225b,325b…第2光屈折体、25c,325c…第3光屈折体、30…投射光学装置、41…先端、LR…赤色光(第1色光)、LG…緑色光(第2色光)、LB…青色光(第3色光)、P…画素、P1…第1画素、P2…第2画素、P3…第3画素、PR…第1サブ画素、PG…第2サブ画素、PB…第3サブ画素、R…レンズ境界。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7