(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129359
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】本体装置、操作端末装置及びシステム並びに通信制御方法
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20240919BHJP
F24F 11/56 20180101ALI20240919BHJP
【FI】
H04Q9/00 341B
H04Q9/00 301D
F24F11/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038510
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小塩 智弘
【テーマコード(参考)】
3L260
5K048
【Fターム(参考)】
3L260BA32
3L260BA33
3L260BA64
3L260CB85
3L260FC33
5K048AA16
5K048BA08
5K048DA02
5K048DB01
5K048DC01
5K048EB02
5K048EB04
5K048FC03
5K048HA04
5K048HA06
(57)【要約】
【課題】 本体装置と操作端末装置との間で無線通信を行うシステムにおいて、操作端末装置の消費電力を抑制する。
【解決手段】 本発明は、操作端末装置及び情報通信端末装置のいずれかにより遠隔的に操作される本体装置である。該装置は、所定の無線通信規格に従って、該操作端末装置及び該情報通信端末装置の各々の従通信モジュールとの間で同期通信が可能な主通信モジュールと、該操作端末装置及び該情報通信端末装置の少なくともいずれかから送信される操作コマンドに従って該本体装置の動作を制御する制御ボードとを備える。該制御ボードは、該操作端末装置から該操作コマンドを受信することなく該情報通信端末装置から該操作コマンドを連続して受信した回数を示す連続受信回数が所定の回数を上回った場合に、該主通信モジュールと該操作端末装置の該従通信モジュールとの間の該同期通信を切断するように制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作端末装置及び情報通信端末装置のいずれかにより遠隔的に操作される本体装置であって、
所定の無線通信規格に従って、前記操作端末装置及び前記情報通信端末装置の各々の従通信モジュールとの間で同期通信が可能な主通信モジュールと、
前記操作端末装置及び前記情報通信端末装置の少なくともいずれかから送信される操作コマンドに従って前記本体装置の動作を制御する制御ボードと、を備え、
前記制御ボードは、前記操作端末装置から前記操作コマンドを受信することなく前記情報通信端末装置から前記操作コマンドを連続して受信した回数を示す連続受信回数が所定の回数を上回った場合に、前記主通信モジュールと前記操作端末装置の前記従通信モジュールとの間の前記同期通信を切断する、
本体装置。
【請求項2】
前記制御ボードは、前記操作端末装置から前記操作コマンドを受信した場合に、前記連続受信回数をリセットする、
請求項1に記載の本体装置。
【請求項3】
前記制御ボードは、前記操作端末装置から前記操作コマンドを受信していない時間を示す未受信時間が所定の時間を経過した場合に、前記操作端末装置の前記従通信モジュールとの前記同期通信を切断するように制御する、
請求項1に記載の本体装置。
【請求項4】
前記制御ボードは、前記操作端末装置から前記操作コマンドを受信した場合に、前記未受信時間をリセットする、
請求項3に記載の本体装置。
【請求項5】
前記所定の無線通信規格は、Bluetooth Low Energy(BLE)であり、
前記主通信モジュールは、前記BLEにおけるセントラルとして動作し、
各前記従通信モジュールは、前記BLEにおけるペリフェラルとして動作する、
請求項1に記載の本体装置。
【請求項6】
本体装置をユーザが遠隔的に操作するための操作端末装置であって、
所定の無線通信規格に従って、前記本体装置の主通信モジュールとの間で同期通信を行うための従通信モジュールと、
前記ユーザの操作に基づく操作コマンドを、前記従通信モジュールを介して、前記本体装置に送信するように制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記本体装置が前記操作端末装置から前記操作コマンドを受信することなく情報通信端末装置から前記操作コマンドを連続して受信した回数を示す連続受信回数を前記本体装置から取得し、
前記本体装置から取得した前記連続受信回数が所定の回数を上回った場合に、前記本体装置の前記主通信モジュールとの間の同期通信を切断し、前記従通信モジュールの動作を停止するように制御する、
操作端末装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記本体装置と所定の時間間隔で行われる前記同期通信により前記連続受信回数を取得する、
請求項6に記載の操作端末装置。
【請求項8】
本体装置と、ユーザが前記本体装置を遠隔的に操作するための操作端末装置とを備えるシステムであって、
前記本体装置は、
所定の無線通信規格に従って、前記操作端末装置及び情報通信端末装置の各々の従通信モジュールとの間で同期通信を行うための主通信モジュールと、
前記操作端末装置及び前記情報通信端末装置の少なくともいずれかから送信される操作コマンドに従って前記本体装置の動作を制御する制御ボードと、を備え、
前記操作端末装置は、
前記所定の無線通信規格に従って、前記本体装置の主通信モジュールとの間で同期通信を行うための従通信モジュールと、
前記ユーザの操作に基づく操作コマンドを、前記従通信モジュールを介して、前記本体装置に送信するように制御する制御部と、を備え、
前記本体装置の前記制御ボードは、前記操作端末装置から前記操作コマンドを受信することなく前記情報通信端末装置から前記操作コマンドを連続して受信した回数を示す連続受信回数が所定の回数を上回った場合に、前記操作端末装置の前記従通信モジュールとの接続を切断するように制御する、
システム。
【請求項9】
本体装置と、ユーザが前記本体装置を遠隔的に操作するための操作端末装置とを備えるシステムであって、
前記本体装置は、
所定の無線通信規格に従って、前記操作端末装置及び情報通信端末装置の各々の従通信モジュールとの間で同期通信を行うための主通信モジュールと、
前記操作端末装置及び前記情報通信端末装置の少なくともいずれかから送信される操作コマンドに従って前記本体装置の動作を制御する制御ボードと、を備え、
前記操作端末装置は、
前記所定の無線通信規格に従って、前記本体装置の主通信モジュールとの間で同期通信を行うための従通信モジュールと、
前記ユーザの操作に基づく操作コマンドを、前記従通信モジュールを介して、前記本体装置に送信するように制御する制御部と、を備え、
前記本体装置の前記制御ボードは、前記操作端末装置から前記操作コマンドを受信することなく前記情報通信端末装置から前記操作コマンドを連続して受信した回数を示す連続受信回数を前記操作端末装置に送信し、
前記操作端末装置の前記制御部は、
前記本体装置から取得した前記連続受信回数が所定の回数を上回った場合に、前記本体装置の前記主通信モジュールとの接続を切断し、前記従通信モジュールの動作を停止するように制御する、
システム。
【請求項10】
本体装置と、ユーザが前記本体装置を遠隔的に操作するための操作端末装置との間の通信制御方法であって、
所定の無線通信規格に従って、前記本体装置の主通信モジュールと前記操作端末装置及び情報通信端末装置の各々の従通信モジュールとの間で同期通信を確立することと、
前記本体装置が前記操作端末装置から操作コマンドを受信することなく前記情報通信端末装置から前記操作コマンドを連続して受信した回数を示す連続受信回数をカウントすることと、
前記連続受信回数が所定の回数を上回った場合に、前記操作端末装置の前記従通信モジュールとの間の前記同期通信を切断するように制御することと、を含む、
通信制御方法。
【請求項11】
本体装置と、ユーザが前記本体装置を遠隔的に操作するための操作端末装置との間の通信制御方法であって、
所定の無線通信規格に従って、前記本体装置の主通信モジュールと前記操作端末装置及び情報通信端末装置の各々の従通信モジュールとの間で同期通信を確立することと、
前記本体装置が前記操作端末装置から操作コマンドを受信することなく前記情報通信端末装置から前記操作コマンドを連続して受信した回数を示す連続受信回数をカウントすることと、
前記本体装置が、前記連続受信回数を前記操作端末装置に送信し、前記操作端末装置が、前記連続受信回数を取得することと、
前記操作端末装置が、取得された前記連続受信回数が所定の回数を上回ったと判断した場合に、前記操作端末装置の前記従通信モジュールとの間の前記同期通信を切断するように制御することと、を含む、
通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体装置、操作端末装置及びシステム並びに通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルデバイス間の近距離無線通信規格として、Bluetooth(登録商標)が広く普及している。また、このBluetooth(登録商標)の規格の一部であるBluetooth Low Energy(以下「BLE」という。)は、低消費電力及び低コスト化に特化した規格である。
【0003】
BLEでは、BLEデバイスがセントラル又はペリフェラルのいずれかの役割で通信を行う。セントラル(「マスタ」と呼ばれることもある)として動作するセントラル機器は、通信の制御を行う役割を担い、ペリフェラル(「スレーブ」と呼ばれることもある)として動作するペリフェラル機器は、セントラル機器から送信される要求に応答することにより通信を実現する。例えば、下記特許文献1は、BLEに従って無線通信が可能な複数の装置を含む無線通信システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
BLEでは、セントラル機器とペリフェラル機器との間の接続が確立すると、これら接続状態にあるセントラル機器とペリフェラル機器との間で、コネクションイベントと呼ばれる同期通信に関する処理が所定の時間間隔(「コネクションインターバル」と呼ばれている。)で行われる。このため、低消費電力化を謳うBLEといえども、このような同期通信は、当該デジタルデバイスがバッテリ駆動の場合、その消費を早めてしまう一因となる。
【0006】
したがって、BLEを本体装置とリモートコントローラとの間の無線通信システムに採用した場合、ペリフェラル機器である操作端末装置としてのリモートコントローラ(いわゆるリモコン)のバッテリ寿命が比較的短くなってしまうという懸念がある。このため、バッテリ交換が頻繁に発生すると、交換作業の煩わしさや交換費用が増加するため、製品自体の訴求力を阻害する要因となる。
【0007】
一方、近年世の中に広く普及したスマートフォンは、BLEを標準で搭載していることから、本体装置に対するリモコンとして利用することが考えられている。スマートフォンは、通常ユーザの日常生活の中でバッテリの充電がなされることから、BLEを通信システムに採用したリモコンにあったバッテリに関する上記の課題は考慮する必要がない。しかしスマートフォンを持っていない、あるいはその操作に不慣れなユーザも多くいることからリモコンなくすことは現実的ではなく、そのため、バッテリに関する上記の課題は依然として存在していた。
【0008】
そこで、本発明は、本体装置と操作端末装置との間で無線通信を行うシステムにおいて、操作端末装置の消費電力を抑制することを目的とする。
【0009】
より具体的には、本発明は、BLEに従ってセントラルとの間で無線通信を行うバッテリ駆動型のペリフェラルの消費電力を抑制することでペリフェラル機器のバッテリの交換頻度を減らし、使い勝手の良い(ユーザビリティの高い)ペリフェラル機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明は、以下に示す発明特定事項乃至は技術的特徴を含んで構成される。
【0011】
本発明は、操作端末装置(例えば、リモコン)及び情報通信端末装置(例えば、スマートフォン)のいずれかにより遠隔的に操作される本体装置である。該本体装置は、所定の無線通信規格に従って、該操作端末装置及び該情報通信端末装置の各々の従通信モジュールとの間で同期通信が可能な主通信モジュールと、該操作端末装置及び該情報通信端末装置の少なくともいずれかから送信される操作コマンドに従って該本体装置の動作を制御する制御ボードと、を備える。そして、該制御ボードは、該操作端末装置から該操作コマンドを受信することなく該情報通信端末装置から該操作コマンドを連続して受信した回数を示す連続受信回数が所定の回数を上回る場合に、該主通信モジュールと該操作端末装置の該従通信モジュールとの間の該同期通信を切断するように制御する。
【0012】
また、別の観点に従う本発明は、本体装置をユーザが遠隔的に操作するための操作端末装置である。該操作端末装置は、所定の無線通信規格に従って、該本体装置の主通信モジュールとの間で同期通信を行うための従通信モジュールと、該ユーザの操作に基づく操作コマンドを、該従通信モジュールを介して、該本体装置に送信するように制御する制御部と、を備える。該制御部は、該本体装置が該操作端末装置から該操作コマンドを受信することなく情報通信端末装置から該操作コマンドを連続して受信した回数を示す連続受信回数を該本体装置から取得する。該制御部は、該本体装置から取得した該連続受信回数が所定の回数を上回る場合に、該本体装置の該主通信モジュールとの間の同期通信を切断し、該従通信モジュールの動作を停止するように制御する。
【0013】
また、別の観点に従う本発明は、本体装置と、ユーザが該本体装置を遠隔的に操作するための操作端末装置とを備えるシステムである。該本体装置は、所定の無線通信規格に従って、該操作端末装置及び情報通信端末装置の各々の従通信モジュールとの間で同期通信を行うための主通信モジュールと、該操作端末装置及び該情報通信端末装置の少なくともいずれかから送信される操作コマンドに従って該本体装置の動作を制御する制御ボードと、を備える。また、該操作端末装置は、該所定の無線通信規格に従って、該本体装置の主通信モジュールとの間で同期通信を行うための従通信モジュールと、該ユーザの操作に基づく操作コマンドを、該従通信モジュールを介して、該本体装置に送信するように制御する制御部と、を備える。該本体装置の該制御ボードは、該操作端末装置から該操作コマンドを受信することなく該情報通信端末装置から該操作コマンドを連続して受信した回数を示す連続受信回数が所定の回数を上回る場合に、該操作端末装置の該従通信モジュールとの接続を切断するように制御する。
【0014】
また、別の観点に従う本発明は、本体装置と、ユーザが該本体装置を遠隔的に操作するための操作端末装置とを備えるシステムである。該本体装置は、所定の無線通信規格に従って、該操作端末装置及び情報通信端末装置の各々の従通信モジュールとの間で同期通信を行うための主通信モジュールと、該操作端末装置及び該情報通信端末装置の少なくともいずれかから送信される操作コマンドに従って該本体装置の動作を制御する制御ボードと、を備える。また、該操作端末装置は、該所定の無線通信規格に従って、該本体装置の主通信モジュールとの間で同期通信を行うための従通信モジュールと、該ユーザの操作に基づく操作コマンドを、該従通信モジュールを介して、該本体装置に送信するように制御する制御部と、を備える。そして、該本体装置の該制御ボードは、該操作端末装置から該操作コマンドを受信することなく該情報通信端末装置から該操作コマンドを連続して受信した回数を示す連続受信回数を該操作端末装置に送信する。一方、該操作端末装置の該制御部は、該本体装置から取得した該連続受信回数が所定の回数を上回る場合に、該本体装置の該主通信モジュールとの接続を切断し、該従通信モジュールの動作を停止するように制御する。
【0015】
また、別の観点に従う本発明は、本体装置と、ユーザが該本体装置を遠隔的に操作するための操作端末装置との間の通信制御方法である。該方法は、所定の無線通信規格に従って、該本体装置の主通信モジュールと該操作端末装置及び情報通信端末装置の各々の従通信モジュールとの間で同期通信を確立することと、該本体装置が該操作端末装置から操作コマンドを受信することなく該情報通信端末装置から該操作コマンドを連続して受信した回数を示す連続受信回数をカウントすることと、該連続受信回数が所定の回数を上回る場合に、該操作端末装置の該従通信モジュールとの間の該同期通信を切断するように制御することと、を含む。
【0016】
また、別の観点に従う本発明は、本体装置と、ユーザが該本体装置を遠隔的に操作するための操作端末装置との間の通信制御方法である。該方法は、所定の無線通信規格に従って、該本体装置の主通信モジュールと該操作端末装置及び情報通信端末装置の各々の従通信モジュールとの間で同期通信を確立することと、該本体装置が該操作端末装置から操作コマンドを受信することなく該情報通信端末装置から該操作コマンドを連続して受信した回数を示す連続受信回数をカウントすることと、該本体装置が、該連続受信回数を該操作端末装置に送信し、該操作端末装置が、該連続受信回数を取得することと、該操作端末装置が、取得された該連続受信回数が所定の回数を上回ると判断する場合に、該操作端末装置の該従通信モジュールとの間の該同期通信を切断するように制御することと、を含む。
【0017】
なお、本明細書等において、手段とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの手段が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段の機能が1つの物理的手段により実現されても良い。また、「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、BLEに従ってセントラルとの間で無線通信を行うバッテリ駆動型のペリフェラルの消費電力を抑制することができる。したがって、ペリフェラルのバッテリの交換頻度を減らし、ユーザビリティの向上を図ることができる。
【0019】
本発明の他の技術的特徴、目的、及び作用効果乃至は利点は、添付した図面を参照して説明される以下の実施形態により明らかにされる。本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果があっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムが適用される空気調和システムの構成の一例を示すブロックダイアグラムである。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける室内機の機能的構成の一例を示すブロックダイアグラムである。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける操作端末装置の機能的構成の一例を示すブロックダイアグラムである。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける操作端末装置3の外観構成の一例を示す図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明の一実施形態に係る空気調和システムの概略動作の一例を説明するためのシーケンスチャートである。
【
図5B】
図5Bは、本発明の一実施形態に係る空気調和システムの概略動作の一例を説明するためのシーケンスチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける室内機の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける操作端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける室内機の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける操作端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける室内機の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図11】
図11は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムの概略動作の一例を説明するためのシーケンスチャートである。
【
図12】
図12は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける室内機の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図13】
図13は、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1における操作端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(例えば各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0022】
<第1の実施形態>
本実施形態は、室内機(本体装置)と操作端末装置(例えば、リモコン)及び情報通信端末装置(例えば、スマートフォン)の各々とが所定の無線通信規格で同期通信可能に接続されるシステムにおいて、室内機が、操作端末装置から操作コマンドを受信することなく、情報通信端末装置から操作コマンドを所定回数受信した場合、操作端末装置との接続(無線同期通信)を切断するように制御する。これにより、操作端末装置は、必要最小限の機能のみを動作状態にして、通信モジュール等の機能を停止状態にする態様である。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムが適用される空気調和システムの構成の一例を示すブロックダイアグラムである。同図に示すように、空気調和システム1は、例えば、空気調和機の室内機2と、ユーザが室内機2を遠隔的に操作可能な操作端末装置3及び情報通信端末装置4とを備えるシステムである。また、図示しないが、空気調和システム1は、室内機2に電気配線及び冷媒配管によって接続された室外機を含む。
【0024】
室内機2は、例えば室内に配置され、室内の空気を調和する空気調和システムの一部である。室内機2は、熱交換器やファンを備え、熱交換器により冷媒と室内空気との間で熱交換を行い適切な温度及び湿度に調節された空気をファンにより室内に送出することで、室内の暖房、冷房、除湿等を行う。本開示において、室内機2は、操作端末装置3との関係において、本体装置とも称される。
【0025】
操作端末装置3は、ユーザが室内機2を遠隔的に操作するためのデバイスであり、リモートコントローラ(いわゆる「リモコン」)と称されている。一般的には、操作端末装置3は、室内機2に付随する。操作端末装置3は、据置型であっても良いし、これに限られず、手持ち型であっても良い。
【0026】
情報通信端末装置4は、操作端末装置3と同様に、ユーザが同情報端末装置を操作することにより、室内機2を遠隔的に操作することができる。つまり、情報通信端末装置4は、操作端末装置3の代替又は補完のデバイスとしてユーザに利用される。情報通信端末装置4は、室内機2を制御するためのアプリケーションプログラムが実装されている。情報通信端末装置4は、内蔵するプロセッサ(図示せず)の制御の下、オペレーティングシステム上でアプリケーションプログラムを実行することにより動作する種々のハードウェアとの協働により、操作端末装置3と同等の機能を実現する。
【0027】
無線通信システム10は、室内機2と操作端末装置3及び情報通信端末装置4との間での無線通信を実現するためのシステムである。無線通信システム10は、室内機2に組み込まれる通信モジュールと、これと対となる操作端末装置3及び情報通信端末装置4の各々に組み込まれる通信モジュールとから構成される。本開示において、室内機2に組み込まれる通信モジュールは主通信モジュール24に相当する。また、操作端末装置3に組み込まれる通信モジュールは第1の従通信モジュール35に相当し、情報通信端末装置4に組み込まれる通信モジュールは第2の従通信モジュール41に相当する。BLEでいうセントラルは、主通信モジュール24の一態様であり、また、ペリフェラルは、第1の従通信モジュール35及び第2の従通信モジュール41の一態様である。本開示では、無線通信システム10は、BLEに従った無線通信を実現するシステムであるものとする。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける室内機の機能的構成の一例を示すブロックダイアグラムである。同図に示すように、室内機2は、例えば、制御ボード21と、空気調和機構22と、センサ23と、主通信モジュール24とを含む。
【0029】
制御ボード21は、例えば、室内機2の動作を統括的に制御するためのプロセッサ(マイクロコンピュータ)211、メモリ212、及び外部インターフェース213等を含み構成される制御回路である。メモリ212は、例えば組み込み型制御プログラム及び各種の設定データ等を記憶する。
【0030】
制御ボード21は、プロセッサの制御の下、制御プログラムを実行し、例えば、ユーザによる操作端末装置3又は情報通信端末装置4の操作に応答して、運転モード(例えば、冷房運転、暖房運転、除湿運転等)を切り替えたり、設定値(例えば温度等)を変更したりするように、室内機2を制御する。
【0031】
制御ボード21は、プロセッサの制御の下、操作端末装置3から操作コマンドを受信することなく、情報通信端末装置4から操作コマンドを受信した回数(以下「連続受信回数」という。)をカウントする機能を有する。さらに、制御ボード21は、情報通信端末装置4からの操作コマンドの連続受信回数をカウントアップしている間に、操作端末装置3から操作コマンドを受信した場合に、連続受信回数をリセットし、再度、連続受信回数をカウントアップしていく機能を有する。制御ボード21は、カウントアップした連続受信回数を例えばカウンタレジスタ(図示せず)に保持する。制御ボード21は、室内機2の運転停止によっては、連続受信回数をリセットしない。更に、制御ボード21は、カウントしている連続受信回数が所定の回数(例えば10回)を上回ったか否かを監視する。所定の回数は、例えば10回であるが、これに限られない。そして、制御ボード21は、連続受信回数が所定の回数を上回ったと判断する場合、後述する主通信モジュール24の動作を停止するように制御する。
【0032】
なお、ユーザが例えば設定温度を1℃ずつ上げる又は下げるような操作の場合、ユーザが情報通信端末装置4を操作するごとに、室内機2は操作コマンドを連続して受信することになる。このような場合は、ユーザが所望の温度に設定を変更したということになり、実質的に1回の操作と見なすこともできる。このとき制御ボード21は、一定時間内(例えば3分以内)に複数回受信する操作コマンドは、1回の操作コマンドの受信とみなしてカウントアップするようにしても良い。これによりユーザによる実質的な操作回数を適切にカウントすることができる。
【0033】
また、他の実施形態で説明されるように、制御ボード21は、プロセッサの制御の下、図示しないタイマーにより、操作端末装置3から操作コマンドを受信していない時間(以下「未受信時間」という)を計測する機能を有しても良い。つまり、制御ボード21は、操作端末装置3から操作コマンドを受信した時点から計時を開始し、操作端末装置3から次の操作コマンドを受信した時点でタイマー(未受信時間)をリセットし、再び計時を開始する。制御ボード21は、室内機2の運転停止中も、計測を行う。例えば、気候的に室内機2の利用頻度が減る時期には、未受信時間は長くなる傾向にある。制御ボード21は、タイマーにより計時した未受信時間を例えばカウンタレジスタ(図示せず)に保持する。更に、制御ボード21は、計時している未受信時間が所定の時間を経過したか否かを監視する。所定の時間とは、例えば168h(24h×7日)とすればよい。そして、制御ボード21は、未受信時間が所定の時間を超えたと判断した場合、主通信モジュール24の動作を停止するように制御する。この場合、制御ボード21は、連続受信回数が所定の回数を上回ったと判断し、かつ、未受信時間が所定の時間を超えたと判断する場合に、主通信モジュール24の動作を停止するように制御しても良い。
【0034】
外部インターフェース213は、制御ボード21と、空気調和機構22、センサ23、及び主通信モジュール24とを接続するインターフェース回路である。
【0035】
空気調和機構22は、室内機2のうち、熱交換器、コンプレッサ、ファン、ルーバー等からなる機構系の構成物である。空気調和機構22は、制御ボード21からの制御を受け、室内機2は室外機との協働により、熱交換器において冷媒と室内空気との間で熱交換を行い、適切な温度及び湿度に調節された空気を室内に吹き出す。
【0036】
センサ23は、空気調和システム1の動作を適切に保つために、各種の物理量を検出する素子である。センサ23は、例えば、各種の環境センサを含み構成される。同図では、温度センサ23a、湿度センサ23b、及び人感センサ23cが示されている。
【0037】
主通信モジュール24は、操作端末装置3の第1の従通信モジュール35及び情報通信端末装置4の第2の従通信モジュールの各々との間で無線通信を実現するための通信インターフェース回路である。上述のとおり、主通信モジュール24は、BLE(Bluetooth Low Energy)規格でいうセントラルとして機能する。なお、本例では、主通信モジュール24は、制御ボード21とは別に構成されているが、これに限られず、制御ボード21の一部として構成されても良い。
【0038】
図3は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける操作端末装置の機能的構成の一例を示すブロックダイアグラムである。同図に示すように、操作端末装置3は、例えば、制御部31と、記憶部32と、ユーザインターフェース部33と、センサ34と、第1の従通信モジュール35といった機能を備える。
【0039】
制御部31は、操作端末装置3の動作を統括的に制御する。制御部31は、例えば、プロセッサを含み構成される。また、記憶部32は、制御部31の利用に供されるメモリモジュールであり、例えば組み込み型制御プログラムや各種の設定データ等を記憶する。制御部31は、操作端末装置3を通常モード及びスリープモードのいずれかで動作するように制御する。スリープモードは、通常モードでの動作よりも低い消費電力で動作するモードである。例えば、スリープモードは、制御部31の一部及びセンサ34といった操作端末装置3の動作に必要な最小限の機能へ電力を供給して、それらを動作状態にする一方、ユーザインターフェース部33や第1の従通信モジュール35といった他の機能への電力の供給を停止し、それらを停止状態にするモードである。また、制御部31のプロセッサの動作周波数が低くなるよう変更されても良い。これにより、操作端末装置3全体の消費電力を抑制することができる。なお、スリープモードは、待機モードや省電力モードと称されることもあるが、その名称は拘らず、要は、少なくとも第1の従通信モジュール35への電力の供給を停止するものであれば良い。
【0040】
ユーザインターフェース部33は、制御部31による制御の下、ユーザにインタラクティブな操作を提供するユーザインターフェースを実現する。ユーザインターフェース部33は、例えば、タッチパネルである。また、ユーザインターフェース部33は、音声ガイダンス等を発するためのスピーカやユーザによる音声コマンド等を集音するマイク等を含んでいても良い。
【0041】
センサ34は、対象物(ここではユーザ)が接近又は操作したことを検出する操作センサである。センサ34は、ユーザがセンサ34の前方で手をかざしたり、ジェスチャーをしたりすることで、アクティブ信号を制御部31に出力する。センサ34は、例えば赤外線センサであるが、これに限られない。他の例として、センサ34は、ユーザが直接的に触れることでアクティブ信号を出力する接触センサである。更に他の例として、センサ34は、加速度センサである。このような加速度センサは、ユーザが操作端末装置3を手にすることを検出して、アクティブ信号を出力する。なお、センサ34は、ユーザの操作を検出するものであるから、ユーザインターフェース部33の一部とみなすこともできるが、本開示では、便宜的にユーザインターフェース部33とセンサ34とは分けて説明している。
【0042】
第1の従通信モジュール35は、室内機2との間で無線通信を実現するための通信インターフェース回路である。上述のとおり、第1の従通信モジュール35は、BLEでのペリフェラルとして機能する。なお、本例では、第1の従通信モジュール35は、制御部31とは別に構成されているが、これに限らず、制御部31の一部として構成されても良い。
【0043】
図4は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける操作端末装置3の外観構成の一例を示す図である。同図に示すように、操作端末装置3は、筐体301の上面に、ユーザインターフェース部33が設けられた形状を有している。
【0044】
筐体301は、操作端末装置3の略外観を規定し、例えば、ABS等の樹脂材料により形成される。本例では、筐体301は、略円筒状の形状を有し、ユーザインターフェース部33が形成された上面301aは、手前(正面)から奥(背面)に向けて僅かに傾斜している。
【0045】
ユーザは、例えば、スリープモードにある操作端末装置3に対して、センサ34上で手をかざすことにより、制御部31は、これを検出して、操作端末装置3の動作モードをスリープモードから通常モードに切り替える。通常モードにある操作端末装置3は、ユーザによるユーザインターフェース部33への各種の操作を受け付けて、これにより、室内機2を遠隔的に操作する。
【0046】
図5A及び5Bは、本発明の一実施形態に係る空気調和システムの概略動作の一例を説明するためのシーケンスチャートである。具体的には、これらの図は、空気調和システム1における室内機2と操作端末装置3及び情報通信端末装置4との間の処理動作を説明している。室内機2の処理は、制御ボード21のプロセッサが制御プログラムを実行することにより実現される一方、操作端末装置3の処理は、制御部31のプロセッサが制御プログラムを実行することにより他の機能と協働して、実現される。また、情報通信端末装置4の処理は、プロセッサがアプリケーションプログラムを実行することにより他の機能と協働して、実現される。まず、同
図Aを参照し、室内機2と操作端末装置3との間のペアリング及び室内機2と情報通信端末装置4との間のペアリングを説明する。次に、同
図Bを参照し、室内機2と操作端末装置3との間のペアリングの解消及び再確立を説明する。
【0047】
同
図Aに示すように、室内機2及び操作端末装置3は、各々、例えば電源ON等により起動する(S501A及びS501B)。起動時には、例えば、以下に述べるペアリングに関する各種のパラメータの初期化を行う。BLEにおいて、多数のパラメータが定義されているが、本開示に関係するものとしては、例えば、コネクションインターバル、コネクションスレーブレイテンシー(以下「スレーブレイテンシー」という。)、コネクションスーパービジョンタイムアウト(以下「タイムアウト」という。)等が挙げられる。コネクションインターバルは、コネクションイベントと呼ばれるデータパケットの送受信の時間間隔であり、また、チャネルのホッピングが行われる周期を示す。スレーブレイテンシーは、ペリフェラルにおいて送信すべきデータパケットがない場合に、ペリフェラルがコネクションイベントを無視できる回数から算出される時間を示す。この時間は、例えばコネクションイベントの発生間隔が20msの場合、それに前述の回数を乗じたものとなる。つまり、スレーブレイテンシーの値を大きくすることで、データパケットの送信遅延時間は増えるが、ペリフェラルは、接続状態を維持したままで無線通信に要する消費電力を抑制できる。タイムアウトは、通信が切断したと判断する時間である。室内機2及び操作端末装置3が各々起動した後、ユーザは、室内機2と操作端末装置3との間の同期通信を確立するために、ペアリングの指示を行う。これを受けて、室内機2及び操作端末装置3は、ペアリング処理を実行する(S502A及びS502B)。
【0048】
ペアリングでは、概略的には、まず、室内機2の主通信モジュール24は、スキャナとして機能して、操作端末装置3の第1の従通信モジュール35を発見するために、スキャニングを行う一方、第1の従通信モジュール35は、アドバタイザとして機能して、アドバタイジングを行う。つまり、第1の従通信モジュール35は、アドバタイジングにより、特定の周波数帯においてチャネルを切り替えながらデータパケット(アドバタイジングパケット)を送信し、主通信モジュール24は、該データパケットを受信することで、第1の従通信モジュール35を発見する。
【0049】
主通信モジュール24は、第1の従通信モジュール35を発見すると、次に、イニシエータとして機能して、コネクション要求を第1の従通信モジュール35に送信し、第1の従通信モジュール35は、該コネクション要求に応答する。また、主通信モジュール24は、ペアリングにおいて取得した第1の従通信モジュール35のデバイスアドレス等のボンディング情報を、制御ボード21の制御の下、メモリ212に格納する一方、第1の従通信モジュール35は、主通信モジュール24のデバイスアドレス等のボンディング情報を、制御部31の制御の下、記憶部32に格納する。デバイスアドレスは、BLEデバイスを識別するために割り当てられた識別子である。これにより、主通信モジュール24と第1の従通信モジュール35との間のペアリングは完了し、主通信モジュール24と第1の従通信モジュール35とは同期通信が確立する(すなわち、接続状態となる)。これにより、主通信モジュール24はセントラルとして機能する一方、第1の従通信モジュール35はペリフェラルとして機能する。
【0050】
接続状態にある主通信モジュール24と第1の従通信モジュール35とは、コネクションインターバルでコネクションイベントと呼ばれるデータパケットの交換を行うことで、双方向の同期通信が確立する(S503)。これにより、室内機2は、図示しないタイマーにより未受信時間の計測を開始する。
【0051】
同期通信が確立した状態で、例えば、ユーザは、操作端末装置3のユーザインターフェース部33を操作して、室内機2に運転開始(例えば暖房ON)を指示すると、操作端末装置3は、制御部31の制御の下、第1の従通信モジュール35から室内機2の主通信モジュール24に運転開始コマンドを送信し、これを受けて、室内機2は、制御ボード21の制御の下、運転を開始する。
【0052】
一方で、室内機2及び情報通信端末装置4は、同様に、ペアリング処理を実行し(S504A及びS504C)、これにより、室内機2の主通信モジュール24と情報通信端末装置4の第2の従通信モジュール41との間で双方向の同期通信が確立する(S505)。これらの処理ステップは、上述したものと同じであるので、その説明を省略する。
【0053】
同期通信が確立した後、室内機2は、制御ボード21の制御の下、操作端末装置3又は情報通信端末装置4からの種々の操作(すなわち、操作コマンド)を受け付ける。例えば、ユーザが、操作端末装置3のユーザインターフェース部33を操作して、設定温度の変更を指示すると、操作端末装置3は、制御部31の制御の下、第1の従通信モジュール35から室内機2の主通信モジュール24に設定温度変更コマンドを送信する。これを受けて、室内機2は、制御ボード21の制御の下、室内機2の設定温度を変更する。この場合、室内機2は、連続受信回数及び未受信時間をリセットし、その後にそれぞれの計測を再開する。
【0054】
次に、
図5Bを参照し、例えば、ユーザが、情報通信端末装置4のユーザインターフェースを介して、設定温度の変更の運転操作を行うと、情報通信端末装置4は、プロセッサの制御の下、第2の従通信モジュール41から室内機2の主通信モジュール24に設定温度変更コマンドを送信する(S506C)。これを受けて、室内機2は、制御ボード21の制御の下、室内機2の設定温度を変更する運転制御を行う(S506A)。このとき、室内機2は、連続受信回数を1つカウントアップする(S507A)。本例では、ユーザは、操作端末装置3を操作することなく、情報通信端末装置4を複数回連続して操作して、室内機2を遠隔的に操作するものとする。
【0055】
制御ボード21は、連続受信回数をカウントアップするごとに、連続受信回数が所定の回数(例えば10回)を上回ったか否かを判断する。制御ボード21は、連続受信回数が所定の回数を上回ったと判断した場合には、主通信モジュール24と操作端末装置3の第1の従通信モジュール35との間の同期通信を切断する処理を行う(S508A)。例えば、主通信モジュール24は、操作端末装置3の第1の従通信モジュール35に対してターミネートパケットを送信して接続を強制的に切断する。或いは、主通信モジュール24は、第1の従通信モジュール35に対して、一定の期間、コネクションインターバルでのコネクションイベントによるデータパケットの送信を停止し、これにより、第1の従通信モジュール35は、同期通信の切断を検出し、データパケットの送信を停止し通信を切断する(S508B)。
【0056】
操作端末装置3の制御部31は、同期通信の切断が検出されると、所定時間(例えば10秒)経過後にスリープモードに移行するように制御する(S509B)。すなわち、制御部31は、その一部及びセンサ34以外の機能への電力の供給を停止するように制御する。これにより、操作端末装置3の消費電力を抑制することができる。とりわけ、本開示では、第1の従通信モジュール35への電力の供給は停止され、BLEの下で無線通信に伴う消費電力を抑制することができる。
【0057】
その後、例えば、室内に入ってきたユーザは、室内機2を操作するために、操作端末装置3のセンサ34上で例えば手をかざす。これにより、センサ34は、アクティブ信号を制御部31に出力し、制御部31は、ユーザの操作があったことを検出し、操作端末装置3をスリープモードから通常モードに移行させる(S510B)。すなわち、制御部31は、停止していた機能に電力が供給されるように制御して、その動作を再開させる。これにより、スリープモードにより電力の供給が停止されていた第1の従通信モジュール35は、通常モードへの移行により、電力の供給が再開され、動作を再開する。動作を再開した第1の従通信モジュール35は、接続の再確立を試みるために、記憶部32に格納されているボンディング情報のデバイスアドレスが示す主通信モジュール24との間でペアリングのためアドバタイジングを開始する(S511B)。
【0058】
主通信モジュール24は、上述したように、スキャニングにより第1の従通信モジュール35を発見すると、第1の従通信モジュール35にコネクション要求を送信し、第1の従通信モジュール35がこれに応答することにより、接続状態となる。これにより、主通信モジュール24と第1の従通信モジュール35とは、コネクションイベントによる同期通信が再び確立する(S512)。なお、同期通信が再開した後、上述したように、情報通信端末装置4からの操作コマンドの連続受信回数が所定の回数を上回ると、再度、同期通信は切断される。
【0059】
このように、室内機2は、操作端末装置3から操作コマンドを受信することなく、情報通信端末装置4から複数の操作コマンドを連続して受信する場合に、操作端末装置3との同期通信を切断するように制御し、これにより、制御部31は、操作端末装置3をスリープモードに移行させる。したがって、操作端末装置3は、必要最小限の機能のみを動作状態にして、第1の従通信モジュール35等の機能を停止状態にするため、電力の消費を抑えることができる。その後、ユーザが例えば操作端末装置3を操作すると、センサ34はこれを検知し、制御部31は、操作端末装置3を通常モードに移行させ、再度、室内機2と再接続するので、ユーザは操作端末装置3により室内機2を遠隔的に操作することができるようになる。
【0060】
なお、上記のように、主通信モジュール24と第1の従通信モジュールとの間の同期通信を切断する代わりに、制御ボード21は、主通信モジュール24を介して、スレーブレイテンシーの値が大きくなるように、第1の従通信モジュール35を制御しても良い。これにより、第1の従通信モジュール35は、送信すべきデータパケットがない場合にコネクションイベントを無視できることができるため、同期のための通信の時間間隔が長くなり、接続状態を維持したままであっても無線通信に要する消費電力を抑制できるようになる。或いは、制御ボード21は、主通信モジュール24と第1の従通信モジュールとの間の同期通信を切断する前に、スレーブレイテンシーの値が大きくなるように、第1の従通信モジュール35を制御しても良い。データパケットの送信遅延時間は増えるが、ペリフェラルは、接続状態を維持したままで無線通信に要する消費電力を抑制できる。例えば、制御ボード21は、連続受信回数が所定の回数-3回となったと判断した場合に、主通信モジュール24を介して、スレーブレイテンシーの値が大きくなるように、第1の従通信モジュール35を制御し、その後、連続受信回数が所定の回数に達したと判断する場合に、同期通信を切断するように制御しても良い。
【0061】
図6は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける室内機の動作を説明するためのフローチャートである。具体的には、同図は、
図5Aに示した室内機2の主通信モジュール24による初回のペアリング処理(S502A)を説明するためのフローチャートである。
【0062】
同図を参照して、まず、室内機2は電源が投入され又はリセットボタンが押下されることにより起動し、制御ボード21の制御の下、主通信モジュール24は、上述したように各種のパラメータの初期化処理を行う(S601)。例えば、主通信モジュール24は、コネクションインターバル、スレーブレイテンシー、及びタイムアウト等のパラメータの値をメモリ212に記憶されている初期値に設定する。初期値は空気調和システム1の設計時に実験等により予め定められ、メモリ212に記憶されている。
【0063】
次に、主通信モジュール24は、制御ボード21の制御の下、例えば室内機2に設けられた操作端末装置3とペアリングを開始するための特定のボタンの押下、すなわちペアリング操作があった場合(S602のYes)、スキャニングを開始する(S603)。スキャニングは、特定の周波数帯(例えば2.4GHz帯)においてアドバタイジングチャネルを切り替えながらアドバタイジングパケットの受信を試みる。
【0064】
主通信モジュール24は、スキャニングの間、操作端末装置3の第1の従通信モジュール35によるアドバタイジングパケットを受信したか否かを監視する(S604)。主通信モジュール24は、アドバタイジングパケットを受信すると(S604のYes)、コネクションの要求処理を行う(S605)。すなわち、主通信モジュール24は、アドバタイジングパケットを送信した第1の従通信モジュール35に対して、コネクション要求を送信する。コネクション要求には、例えば、主通信モジュール24のデバイスアドレス、アクセスアドレス、ホッピング、コネクションインターバル、スレーブレイテンシー、及びタイムアウト等の各種のパラメータを含む。
【0065】
主通信モジュール24は、コネクション要求に対する第1の従通信モジュール35からの応答を受けて、受信した第1の従通信モジュール35のデバイスアドレス等のパラメータをボンディング情報としてメモリ212に格納する(S606)。これにより、主通信モジュール24と第1の従通信モジュール35とは接続状態となる。すなわち、主通信モジュール24と第1の従通信モジュール35とは、所定の時間間隔(コネクションインターバル=例えば500ms)で行われるコネクションイベントにより同期通信が可能になる。
【0066】
図7は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける操作端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。具体的には、同図は、
図5Aに示した操作端末装置3の第1の従通信モジュール35による初回のペアリング処理(S502B)を説明するためのフローチャートである。
【0067】
同図を参照して、操作端末装置3はバッテリが装置にセットされ又はリセットボタンが押下されることにより起動し、制御部31の制御の下、第1の従通信モジュール35は、初期化処理を行う(S701)。例えば、第1の従通信モジュール35は、コネクションインターバル、スレーブレイテンシー、及びタイムアウト等のパラメータの値を記憶部32に記憶されている初期値に設定する。初期値は空気調和システム1の設計時に実験等により予め定められ、記憶部32に記憶されている。
【0068】
次に、第1の従通信モジュール35は、制御部31の制御の下、ペアリング操作があったか否かを監視する(S702)。第1の従通信モジュール35は、ペアリング操作があったと判断される場合(S702のYes)、アドバタイジングを開始する(S703)。アドバタイジングは、特定の周波数帯(例えば2.4GHz帯)において、所定の時間間隔でアドバタイジングチャネルを切り替えながら、アドバタイジングパケットを送信する。
【0069】
続いて、第1の従通信モジュール35は、タイムアウトで示される期間(例えば3秒)内に、主通信モジュール24からコネクション要求があったか否かを監視する(S704及びS705)。第1の従通信モジュール35は、タイムアウトで示される期間内に、主通信モジュール24からコネクション要求を受信できなかったと判断した場合(S705のYes)、今回のペアリング操作による処理を無効にして、再度、ペアリング操作があったか否かを監視する(S702)。
【0070】
一方、第1の従通信モジュール35は、タイムアウトで示される期間内に、主通信モジュール24からコネクション要求を受信したと判断した場合(S704のYes)、該コネクション要求に応答するために、自身のパラメータを主通信モジュール24に送信する(S706)。続いて、第1の従通信モジュール35は、受信したコネクション要求に含まれるパラメータを主通信モジュール24とのボンディング情報として記憶部32に格納する。これにより、主通信モジュール24と第1の従通信モジュール35とは接続状態となり、同期通信が可能になる。
【0071】
なお、情報通信端末装置4の第2の従通信モジュール41による初回のペアリング処理(S504C)は、
図7に示したものと基本的に同じであるため、その説明を省略する。
【0072】
図8は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける室内機の動作を説明するためのフローチャートである。具体的には、同図は、室内機2による同期通信の切断処理を説明するためのフローチャートである。
【0073】
同図に示すように、室内機2の制御ボード21は、連続受信回数を保持するカウンタレジスタをリセットし(S801)、続いて、操作端末装置3又は情報通信端末装置4から操作コマンドを受信したか否かを監視する(S802)。
【0074】
制御ボード21は、操作コマンドを受信したと判断した場合(S802のYes)、続いて、制御ボード21は、受信した操作コマンドが操作端末装置3から受信されたものであるか否かを判断する(S803)。なお、図示していないが、制御ボード21は、受信した操作コマンドに応じて室内機2を制御する。
【0075】
制御ボード21は、操作コマンドが操作端末装置3から受信されたものであると判断した場合(S803のYes)、カウンタをリセットし(S801)、次の操作コマンドを受信したか否かを監視する(S802)。これに対して、制御ボード21は、操作コマンドが操作端末装置3から受信されたものでない、すなわち、情報通信端末装置4から操作コマンドを受信したと判断する場合(S803のNo)、制御ボード21は、連続受信回数をカウントアップする(S804)。
【0076】
続いて、制御ボード21は、連続受信回数が所定の回数(例えば10回)を上回ったか否かを判断する(S805)。制御ボード21は、連続受信回数が所定の回数を上回っていないと判断する場合(S805のNo)、制御ボード21は、次の操作コマンドを受信したか否かの監視を続ける(S802)。
【0077】
一方、制御ボード21は、連続受信回数が所定の回数を上回ったと判断する場合(S805のYes)、制御ボード21は、操作端末装置3との間の同期通信を切断する切断処理を行う(S806)。例えば、制御ボード21は、主通信モジュール24にターミネートパケットを送信するように制御し、接続を強制的に切断する。或いは、制御ボード21は、主通信モジュール24が、一定の期間、コネクションインターバルでのコネクションイベントによるデータパケットの送信を停止するように制御する。
【0078】
このように、制御ボード21は、操作コマンドを情報通信端末装置4から受信するごとに連続受信回数をカウントアップする一方、操作コマンドを操作端末装置3から受信するとこれまでカウントアップした連続受信回数をリセットする。そして、制御ボード21は、連続受信回数が所定の回数に達した場合に、ユーザは操作端末装置3を利用していないものと判断して、操作端末装置3との同期通信を切断する。これにより、操作端末装置3は、スリープモードに入ることができ、消費電力を抑えることができる。
【0079】
図9は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける操作端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。具体的には、同図は、スリープモードから通常モードに復帰する際の操作端末装置3による再接続処理を説明するためのフローチャートである。
【0080】
スリープモードへ移行後、制御部31は、センサ34によりユーザの操作を検出したか否かを判断する(S901)。ユーザの操作を検出しない場合(S901のNo)、ユーザの操作を検出するまで待機する。そして、例えば、室内に戻ってきたユーザが操作端末装置3のセンサ34の前方で手をかざすことで、センサ34はアクティブ信号を出力し、これを受けて、制御部31は、ユーザの操作があったことを認識する。制御部31は、ユーザの操作を検出したと判断すると(S901のYes)、操作端末装置3を通常モードに移行させて(S902)、これにより、第1の従通信モジュール35の動作を再開させ、アドバタイジングを開始する(S903)。
【0081】
続いて、第1の従通信モジュール35は、コネクション要求があるか否かを確認する(S904)。コネクション要求がなかった場合(S904のNo)、続いてタイムアウトとして規定される時間(例えば48時間)が経過したかと確認する(S905)。タイムアウトとして規定される時間が経過していない場合(S905のNo)、再びコネクション要求があるか否かの確認に戻る(S904)。タイムアウトとして規定される時間が経過していた場合(S905のYes)、操作端末装置3は、スリープモードへと移行する(S906)。そして再びユーザによる操作を検出したか否かの判定に戻る(S901)。
【0082】
一方、コネクション要求を受信したと判断した場合(S904のYes)、ボンディング情報があるか否かを確認する(S907)。ボンディング情報がなかった場合(S907のNo)、アドバタイジングチャネルを切り替えて、アドバタイジングを継続する(S903)。
【0083】
一方、ボンディング情報があった場合(S907のYes)、該ボンディング情報に基づいて、コネクション要求に応答するコネクション要求応答処理を行う(S908)。これにより、主通信モジュール24と第1の従通信モジュール35とは接続状態となり、同期通信が可能になる。
【0084】
以上のように、本実施形態によれば、室内機2が、操作端末装置3から操作コマンドを受信することなく、情報通信端末装置4から操作コマンドを所定の回数受信した場合、操作端末装置3との同期通信を切断するように制御し、これにより、操作端末装置3は、ユーザによる操作を検知するための機能のみを動作状態にして、他の機能を停止状態にするので、操作端末装置3全体の消費電力を更に抑制することができる。これにより、操作端末装置3におけるコネクションイベントによる同期通信に伴う消費電力を抑制することができ、第1の従通信モジュール35のバッテリの消費を抑制することができる。
【0085】
<第2の実施形態>
本実施形態は、第1の実施形態の変形であり、室内機と操作端末装置及び情報通信端末装置の各々とが所定の無線通信規格で同期通信可能に接続されるシステムにおいて室内機が、情報通信端末装置から複数の操作コマンドを連続して受信する一方、操作端末装置から操作コマンドを最後に受信した時点から所定の時間が経過した場合に、操作端末装置との同期通信を切断するように制御する態様である。
【0086】
図10は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける室内機の動作を説明するためのフローチャートである。
【0087】
同図に示すように、室内機2の制御ボード21は、未受信時間を計時するためのタイマーをリセットして、計時を開始する(S1001)。続いて、操作端末装置3又は情報通信端末装置4から操作コマンドの受信を監視する(S1002)。
【0088】
制御ボード21は、操作コマンドを受信したと判断した場合(S1002のYes)、続いて、制御ボード21は、受信した操作コマンドを操作端末装置3から受信したか否かを判断する(S1003)。なお、図示していないが、制御ボード21は、受信した操作コマンドに応じて室内機2を制御する。
【0089】
制御ボード21は、操作コマンドを操作端末装置3から受信したと判断した場合(S1003のYes)、タイマーをリセットして、計時を開始する(S1001)。続いて、制御ボード21は、次の操作コマンドを受信するまで監視を続ける(S1003)。これに対して、制御ボード21は、操作コマンドを操作端末装置3からは受信していない、すなわち、操作コマンドを情報通信端末装置4から受信したと判断した場合(S1003のNo)、続いて、制御ボード21は、未受信時間が所定の時間(未受信時間)を経過したか否かを判断する(S1004)。
【0090】
制御ボード21は、未受信時間が所定の時間を経過していないと判断した場合(S1004のNo)、制御ボード21は、S1001の処理に戻り、タイマーをリセットして、計時を開始し(S1001)、次の操作コマンドの受信の監視を続ける(S1002)。
【0091】
一方、制御ボード21は、未受信時間が所定の時間を経過したと判断した場合(S1004のYes)、制御ボード21は、情報通信端末装置4との接続があるか否かを判断する(S1005)。制御ボード21は、情報通信端末装置4との接続があると判断した場合(S1005のYes)、制御ボード21は、操作端末装置3との間の同期通信を切断する処理を行う(S1006)。例えば、制御ボード21は、主通信モジュール24にターミネートパケットを送信するように制御し、接続を強制的に切断する。或いは、制御ボード21は、主通信モジュール24が、一定の期間、コネクションインターバルでのコネクションイベントによるデータパケットの送信を停止するように制御する。
【0092】
このように、制御ボード21は、操作コマンドを受信していない時間(未受信時間)をタイマーで計時しながら、制御ボード21は、操作コマンドを操作端末装置3から受信するとこれまで経時していたタイマーをリセットする。そして、制御ボード21は、未受信時間が所定の時間を上回った場合に、情報通信端末装置4との接続が維持されていることを条件に、ユーザは操作端末装置3を利用していないものと判断して、操作端末装置3との同期通信を切断する。また、制御ボード21は、情報通信端末装置4との接続がないと判断した場合(S1005のNo)、制御ボード21は、S1001の処理に戻る。
【0093】
以上のように、本実施形態によれば、室内機2が、操作端末装置3から操作コマンドを所定の時間以上受信することなかった場合に、操作端末装置との同期通信を切断するように制御し、これにより、操作端末装置は、必要最小限の機能のみを動作状態にして、他の機能を停止状態にするので、操作端末装置3全体の消費電力を更に抑制することができる。これにより、操作端末装置3におけるコネクションイベントによる同期通信に伴う消費電力を抑制することができ、第1の従通信モジュール35のバッテリの消費を抑制することができる。
【0094】
<第3の実施形態>
本実施形態は、上記実施形態の変形であり、室内機と操作端末装置及び情報通信端末装置の各々とが所定の無線通信規格で同期通信可能に接続されるシステムにおいて、室内機が、操作端末装置から操作コマンドを受信することなく、情報通信端末装置から操作コマンドを連続して受信した場合に、その連続受信回数を操作端末装置に送信し、操作端末装置は、連続受信回数が所定の回数を上回ったと判断した場合に、操作端末装置との同期通信を切断するように制御し、これにより、操作端末装置は、必要最小限の機能のみを動作状態にして、通信モジュール等の機能を停止状態にする態様である。
【0095】
図11は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムの概略動作の一例を説明するためのシーケンスチャートである。具体的には、同図は、空気調和システム1における室内機2と操作端末装置3及び情報通信端末装置4との間でのペアリング(
図5A参照)後の処理動作を説明している。
【0096】
同図に示すように、例えば、ユーザが、情報通信端末装置4に対し、温度設定を変更する操作を行うと、情報通信端末装置4は、第2の従通信モジュール41から室内機2の主通信モジュール24に設定温度変更コマンドを送信する(S1101C)。室内機2の制御ボード21はこのコマンドを受信して、室内機2の設定温度を変更する制御を行う(S1101A)。このとき、室内機2は、連続受信回数を1つカウントアップする(S1102A)。本例では、ユーザは、操作端末装置3を操作することなく、情報通信端末装置4を連続して操作して、室内機2を遠隔的に操作するものとする。
【0097】
続いて、制御ボード21は、連続受信回数をカウントアップすると、これをコネクションイベントにおいて操作端末装置3に送信する(S1103A)。これに応答して、操作端末装置3は、制御部31の制御の下、室内機2から連続受信回数を取得する(S1103B)。制御ボード21は、情報通信端末装置4から設定温度変更コマンドを受信するごとに、連続受信回数をカウントアップして、これを操作端末装置3に送信する(S1101A~S1103A)。
【0098】
制御部31は、連続受信回数を取得するごとに、取得された連続受信回数が所定の回数を上回っているか否かを判断する。制御部31は、連続受信回数が所定の回数を上回っていると判断した場合、室内機2の主通信モジュール24と操作端末装置3の第1の従通信モジュール35との間の同期通信を切断するように制御を行う(S1104B)。すなわち、操作端末装置3の第1の従通信モジュール35は、コネクションインターバルでのコネクションイベントによるデータパケットの送信を停止する。
【0099】
主通信モジュール24は、コネクションイベントによるデータパケットの受信がなくなったことから、第1の従通信モジュール35が同期通信の切断を行ったと判断し、自モジュールにおいても切断処理を行う(S1104A)。
【0100】
続いて、制御部31は、同期通信の切断後、所定の時間が経過した後、スリープモードに移行する(S1105B)。すなわち、制御部31は、その一部及びセンサ34以外の機能への電力の供給を停止するように制御する。これにより、操作端末装置3全体の消費電力を抑制することができる。とりわけ、本開示では、第1の従通信モジュール35への電力の供給は停止され、BLEの下で無線通信に伴う消費電力を抑制することができる。
【0101】
その後、室内に入ってきたユーザは、室内機2を操作するために、操作端末装置3のセンサ34上で例えば手をかざす。これにより、センサ34は、アクティブ信号を制御部31に出力し、制御部31は、ユーザの存在を検出し、操作端末装置3をスリープモードから通常モードに移行させる(S1106B)。すなわち、制御部31は、停止していた機能に電力が供給されるように制御して、その動作を再開させる。動作を再開した第1の従通信モジュール35は、接続の再確立を試みるために、記憶部32に格納されているボンディング情報のデバイスアドレスが示す第1の従通信モジュール35との間でペアリングのためアドバタイジングを開始する(S1107B)。すなわち、スリープモードにより電力の供給が停止されていた第1の従通信モジュール35は、通常モードの移行により、電力の供給が再開され、動作を再開する。
【0102】
主通信モジュール24は、上述したように、スキャニングにより第1の従通信モジュール35を発見すると、第1の従通信モジュール35にコネクション要求を送信し、第1の従通信モジュール35がこれに応答することにより、接続状態となる。これにより、主通信モジュール24と第1の従通信モジュール35とは、コネクションイベントによる同期通信が可能になる(S1108)。
【0103】
図12は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける室内機の動作を説明するためのフローチャートである。具体的には、同図は、室内機2における連続受信回数の送信処理を説明するためのフローチャートである。
【0104】
室内機2の制御ボード21は、連続受信回数を保持するカウンタレジスタをリセットし(S1201)、続いて、操作端末装置3又は情報通信端末装置4から操作コマンドの受信を監視する(S1202)。
【0105】
制御ボード21は、操作コマンドを受信したと判断した場合(S1202のYes)、続いて、制御ボード21は、受信した操作コマンドが操作端末装置3から受信されたものであるか否かを判断する(S1203)。なお、図示していないが、制御ボード21は、受信した操作コマンドに応じて室内機2を制御する。
【0106】
制御ボード21は、操作コマンドが操作端末装置3から受信されたものであると判断した場合(S1203のYes)、カウンタをリセットし(S1201)、次の操作コマンドの受信を監視する(S1202)。これに対して、制御ボード21は、操作コマンドが操作端末装置3から受信されたものでない、すなわち、情報通信端末装置4から操作コマンドを受信したと判断する場合(S1203のNo)、制御ボード21は、連続受信回数をカウントアップする(S1204)。続いて、制御ボード21は、カウントアップされた連続受信回数を操作端末装置3に送信するように制御する(S1205)。その後、制御ボード21は、次の操作コマンドを受信するまで再び監視を続ける(S1202のNo)。
【0107】
図13は、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1における操作端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。具体的には、同図は、室内機2から受信した連続受信回数に基づく操作端末装置3の動作を説明するためのフローチャートである。
【0108】
上述したように、室内機2は、情報通信端末装置4から操作コマンドを受信すると、連続受信回数をカウントアップし、これを操作端末装置3に送信する。一方、同図に示すように、操作端末装置3の制御部31は、連続受信回数を室内機2から受信したか否かを監視している(S1301)。
【0109】
制御部31は、連続受信回数を室内機2から受信すると(S1301のYes)、受信した連続受信回数が所定の回数を上回っているか否かを判断する(S1302)。制御部31は、受信した連続受信回数が所定の回数を上回っていないと判断した場合(S1302のNo)、連続受信回数を室内機2から受信したか否かを監視する動作に戻る(S1301)。このとき、例えば連続受信回数と所定の回数との差が一定の数(例えば5)より小さくなった場合に、制御部31は、スレーブレイテンシーの値が大きくなるように、第1の従通信モジュール35を制御しても良い。
【0110】
これに対して、制御部31が受信した運転停止時間が所定のしきい値を上回っていると判断した場合(S1302のYes)、第1の従通信モジュール35は、コネクションイベントの送信を停止させて、これにより、主通信モジュール24と第1の従通信モジュール35との間の通信を切断させる(S1303)。続いて、制御部31は、通信を切断させた後、所定の時間が経過した時点で、操作端末装置3をスリープモードに移行させる(S1304)。これにより、例えば、通信切断直後であってもユーザが操作端末装置3を操作した場合などは、直ちに通信の再接続処理が行われるので、ユーザに対し操作端末装置3の反応が鈍いなどの動作に対するストレスを与えることを回避できる。スリープモードでは、例えば、制御部31の一部、及びセンサ34といった必要最小限の機能のみが動作する。これにより、BLEの下で消費電力を抑制することができる。
【0111】
スリープモードへ移行後、制御部31は、センサ34によりユーザの操作を検出するまで待機する(S1305)。例えば、室内に戻ってきたユーザが操作端末装置3のセンサ34の前方で手をかざすことで、センサ34はアクティブ信号を出力し、これを受けて、制御部31は、ユーザの操作があったことを認識する。制御部31は、ユーザの操作を検出したと判断すると(S1305のYes)、制御部31は、操作端末装置3を通常モードに移行させて(S1306)、これにより、第1の従通信モジュール35の動作を再開させ、アドバタイジングを開始する(S1307)。
【0112】
続いて、第1の従通信モジュール35は、スリープモードに入るか否かを決定するタイムアウト時間内に、主通信モジュール24からコネクション要求があったか否かを監視する(S1308及びS1309)。第1の従通信モジュール35は、タイムアウト時間内に、主通信モジュール24からコネクション要求を受信できなかったと判断した場合(S909のYes)、上述したように、制御部31は、操作端末装置3をスリープモードに移行させて(S1304)、再び、ユーザの操作があるまで待機する(S1305)。
【0113】
一方、第1の従通信モジュール35は、タイムアウト時間内に、主通信モジュール24からコネクション要求を受信したと判断した場合(S1308のYes)、第1の従通信モジュール35は、記憶部32にボンディング情報が格納されているか否かを判断する(S1310)。第1の従通信モジュール35は、記憶部32にボンディング情報が格納されていないと判断した場合(S1310のNo)、アドバタイジングチャネルを切り替えて、アドバタイジングを継続する(S1307)。
【0114】
第1の従通信モジュール35は、記憶部32にボンディング情報が格納されていると判断した場合(S1310のYes)、該ボンディング情報に基づいて、コネクション要求に応答し(S1311)、これにより、主通信モジュール24と第1の従通信モジュール35とは接続状態となり、同期通信が可能になる。
【0115】
以上のように、本実施形態によれば、室内機2が、操作端末装置3から操作コマンドを受信することなく、情報通信端末装置4から操作コマンドを連続して受信する場合に、その連続受信回数を操作端末装置3に送信し、操作端末装置3が、連続受信回数が所定の回数を上回ったか否かを判断する。そして、操作端末装置3は、連続受信回数が所定の回数を上回ったと判断する場合に、室内機2との同期通信を切断するように制御し、これにより、操作端末装置3は、必要最小限の機能のみを動作状態にして、他の機能を停止状態にするので、操作端末装置3全体の消費電力を更に抑制することができる。これにより、操作端末装置3におけるコネクションイベントによる同期通信に伴う消費電力を抑制することができ、第1の従通信モジュール35のバッテリの消費を抑制することができる。
【0116】
上記各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0117】
例えば、本明細書に開示される方法においては、その結果に矛盾が生じない限り、ステップ、動作又は機能を並行して又は異なる順に実施しても良い。説明されたステップ、動作及び機能は、単なる例として提供されており、ステップ、動作及び機能のうちのいくつかは、発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略でき、また、互いに結合させることで一つのものとしてもよく、また、他のステップ、動作又は機能を追加してもよい。
【0118】
また、本明細書では、さまざまな実施形態が開示されているが、一の実施形態における特定のフィーチャ(技術的事項)を、適宜改良しながら、他の実施形態に追加し、又は該他の実施形態における特定のフィーチャと置換することができ、そのような形態も本発明の要旨に含まれる。
【符号の説明】
【0119】
1…空気調和システム
10…無線通信システム
2…室内機
21…制御ボード
211…プロセッサ
212…メモリ
213…外部インターフェース
22…空気調和機構
23…センサ
23a…温度センサ
23b…湿度センサ
23c…人感センサ
24…主通信モジュール
3…操作端末装置
31…制御部
32…記憶部
33…ユーザインターフェース部
34…センサ
35…第1の従通信モジュール
301…筐体
4…情報通信端末装置
41…第2の従通信モジュール