(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012936
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】脱泡装置
(51)【国際特許分類】
B01D 19/00 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
B01D19/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114781
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000239758
【氏名又は名称】兵神装備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】西村 健志
(72)【発明者】
【氏名】須原 伸久
(72)【発明者】
【氏名】上辻 英史
(72)【発明者】
【氏名】森田 剛志
(72)【発明者】
【氏名】榊原 教晃
【テーマコード(参考)】
4D011
【Fターム(参考)】
4D011AA01
4D011AC04
(57)【要約】
【課題】脱泡装置の構成を簡素化する。
【解決手段】脱泡装置100は、環状流路20を画定する流路形成部材11と、流動体Fを環状流路20へ流入させる流入口21と、流動体Fを環状流路20から流出させる流出口22と、環状流路20を部分的に仕切る仕切り部16と、流路形成部材11の少なくとも一部を環状流路20の周方向に沿って仕切り部16に対して相対的に回転させることで環状流路20内の流動体Fの圧力に勾配を生じさせるアクチュエータ29と、流出口22よりも流動体Fの圧力が低い位置で環状流路20に開口し、流動体Fに混入されている気泡Aを環状流路20から排出させる空気抜き口23と、を備える。
【選択図】
図5C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動体が通流する環状流路と、
前記環状流路の内周側に配置された内周部、前記環状流路の外周側に配置された外周部、および前記環状流路の軸方向両側に配置された一対の側壁部を有し、前記環状流路を画定する流路形成部材と、
前記流路形成部材に設けられ、前記環状流路に開口し、前記流動体を前記環状流路へ流入させる流入口と、
前記流路形成部材に設けられ、前記環状流路に開口し、前記流動体を前記環状流路から流出させる流出口と、
前記流路形成部材に設けられ、前記環状流路を部分的に仕切る仕切り部と、
前記内周部、前記外周部、および前記一対の側壁部のうちの少なくとも1つを前記環状流路の周方向に沿って前記仕切り部に対して相対的に回転させ、前記環状流路内の前記流動体が前記仕切り部を基準とする相対回転方向において前記仕切り部に向かう側ほど高圧となるようにして、前記環状流路内で前記流動体の圧力に勾配を生じさせるアクチュエータと、
前記流路形成部材に設けられ、前記流出口よりも前記流動体の前記圧力が低い位置で前記環状流路に開口し、前記流動体に混入されている気泡を前記環状流路から排出させる空気抜き口と、
を備える、脱泡装置。
【請求項2】
前記流出口が、前記環状流路の前記仕切り部により画定される高圧側の端部に開口し、前記空気抜き口が、前記環状流路の前記仕切り部を挟んで前記高圧側とは反対側の低圧側の端部に開口する、
請求項1に記載の脱泡装置。
【請求項3】
前記流入口が、前記流出口よりも前記流動体の前記圧力が低い位置且つ前記空気抜き口よりも前記流動体の前記圧力が高い位置で、前記環状流路に開口している、
請求項1または2に記載の脱泡装置。
【請求項4】
前記流入口と前記流出口が前記環状流路の軸方向に離れている、
請求項1に記載の脱泡装置。
【請求項5】
前記環状流路の周方向において異なる2点間の前記流動体の前記圧力の差を検出する圧力差センサと、
検出された前記圧力差センサに基づいて前記環状流路内の液面位置を推測する制御器と、
を更に備える、請求項1に記載の脱泡装置。
【請求項6】
前記流路形成部材は、前記内周部を構成する内側部材と、前記内側部材とは別体であり前記外周部および前記一対の側壁部の一方とを構成する第1外側部材と、前記一対の側壁部の他方を構成する第2外側部材とを含む、
請求項1に記載の脱泡装置。
【請求項7】
前記内側部材は、前記アクチュエータにより回転駆動される回転体であり、前記第1外側部材および前記第2外側部材は、前記アクチュエータによって回転駆動されない固定体であり、
前記仕切り部が、前記流入口、前記流出口、および前記空気抜き口とともに、前記固定体に設けられる、
請求項6に記載の脱泡装置。
【請求項8】
前記内側部材は、前記アクチュエータにより回転駆動される回転体であり、前記第1外側部材および前記第2外側部材は、前記アクチュエータによって回転駆動されない固定体であり、
前記仕切り部が、前記流入口、前記流出口、および前記空気抜き口とともに、前記回転体に設けられる、
請求項6に記載の脱泡装置。
【請求項9】
前記第1外側部材および前記第2外側部材が、前記アクチュエータにより回転駆動される回転体であり、前記内側部材が、前記アクチュエータによって回転駆動されない固定体であり、
前記仕切り部が、前記流入口、前記流出口、および前記空気抜き口とともに、前記固定体に設けられる、
請求項6に記載の脱泡装置。
【請求項10】
前記第2外側部材が、前記アクチュエータにより回転駆動される回転体であり、前記内側部材および前記第1外側部材が、前記アクチュエータによって回転駆動されない固定体であり、
前記仕切り部が、前記流入口、前記流出口、および前記空気抜き口とともに、前記回転体に設けられる、
請求項6に記載の脱泡装置。
【請求項11】
前記流路形成部材は、前記内周部、前記一対の側壁部の一方、および前記外周部を構成する第1部材と、前記一対の側壁部の他方を構成する第2部材とを含み、
前記第2部材が、前記アクチュエータにより回転駆動される回転体であり、前記第1部材が、前記アクチュエータによって回転駆動されない固定体であり、
前記仕切り部が、前記流入口、前記流出口、および前記空気抜き口とともに、前記回転体に設けられる、
請求項1に記載の脱泡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱泡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流動体をディスペンサより断続的に吐出するシステムにおいては、タンクからディスペンサへと流動体を供給する供給経路上に、脱泡装置が設けられる場合がある。例えば、特許文献1は、ガス透過性を有し、供給経路の一部を構成するチューブと、チューブを気密に収容する収容部と、収容部の内部を減圧する減圧ポンプとを備えた脱泡装置を開示している。流動体に含まれる泡は、ディスペンサに供給される前に、チューブを透過し、減圧された収容部の内部へと排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成によれば、収容部の内部の気密性を確保することが難しく、また、ポンプを要する。そのため、脱泡装置の構成の複雑化または大型化を招く。
【0005】
本発明は、脱泡装置の構成を簡素化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、流動体が通流する環状流路と、前記環状流路の内周側に配置された内周部、前記環状流路の外周側に配置された外周部、および前記環状流路の軸方向両側に配置された一対の側壁部を有し、前記環状流路を画定する流路形成部材と、前記流路形成部材に設けられ、前記環状流路に開口し、前記流動体を前記環状流路へ流入させる流入口と、前記流路形成部材に設けられ、前記環状流路に開口し、前記流動体を前記環状流路から流出させる流出口と、前記流路形成部材に設けられ、前記環状流路を周方向に仕切る仕切り部と、前記内周部、前記外周部、および前記一対の側壁部のうちの少なくとも1つを前記環状流路の周方向に沿って前記仕切り部に対して相対的に回転させ、前記環状流路内の前記流動体が前記仕切り部を基準とする相対回転方向において前記仕切り部に向かう側ほど高圧となるようにして、前記環状流路内で前記流動体の圧力に勾配を生じさせるアクチュエータと、前記流路形成部材に設けられ、前記流出口よりも前記流動体の前記圧力が低い位置で前記環状流路に開口し、前記流動体に混入されている気泡を前記環状流路から排出させる空気抜き口と、を備える、脱泡装置を提供する。
【0007】
ここで、気泡混じりの液をコップに注ぐと、泡が自ずと水面に浮かんでくるという良く知られた現象からもわかるとおり、流動体に混入されている泡は、流動体の内部で圧力が高い方から圧力が低い方へと自ずと移送される。上記の脱泡装置は、簡素な構成で、この原理を利用した脱泡を実現する。
【0008】
より具体的には、環状流路は、仕切り部によって周方向に仕切られ、それによりC字状となる。アクチュエータは、環状流路を画定する流路形成部材を部分的に回転させる。環状流路内の流動体の圧力は、仕切り部から見て周方向一方側で高圧となり、他方側で低圧となり、圧力勾配が、環状流路内で生じる。流動体は、流入口を介して環状流路に流入し、環状流路から流出口を介して流出する。空気抜き口は、流出口よりも流動体の圧力が低くなる位置で、環状流路に開口している。流動体が環状流路内で流入口から流出口へと流動していく過程で、流動体に混入している気泡は、低圧側である空気抜き口へと誘導され、環状流路から排出される。
【0009】
このように、環状流路を仕切り、環状流路を画定する部材を回転させるという簡易な構成で、環状流路内で流動体の圧力に勾配を生じさせることができる。そのうえで、空気抜き口を低圧側に設けるという簡易な構成で、気泡を空気抜き口へと自ずと移送させることができる。なお、部材を回転させるアクチュエータは、チャンバに負圧を印加するポンプよりも、構成が簡素である。したがって、脱泡装置の構成を簡素化できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、脱泡装置の構成を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る吐出システムを示す概念図。
【
図3】
図2のIII-III線に沿って切断して示す第1実施形態に係る脱泡器の断面図。
【
図4】圧力差センサと後側液面の位置関係を示す図。
【
図5A】流動体の流入開始段階を示す脱泡器の作用図である。
【
図5B】流動体の充填段階を示す脱泡器の作用図である。
【
図5C】定常運転状態を示す脱泡器の作用図である。
【
図7】
図6のVII-VII線に沿って切断して示す第2実施形態に係る脱泡器の断面図。
【
図12】
図11のXII-XII線に沿って切断して示す第6実施形態に係る脱泡器の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0013】
図1を参照して、第1実施形態に係る吐出システム1は、流動体Fを塗布対象に向けて断続的に吐出するという用途で、電子部品組立工場や食品工場のような製造現場に導入される。流動体Fは、気体を除き、後述する圧力勾配を生じながら流動可能な物体であれば、どのようなものでもよい。流動体Fは、水や油などの液体に限定されず、シール剤、コーティング液、マヨネーズ、あるいは魚肉のすり身のように、ゾル状またはゲル状の流動可能な物体でもよい。
【0014】
吐出システム1は、タンク2、吐出器3、供給経路4、供給ポンプ5、および脱泡器10を備える。タンク2は、流動体Fを貯留する。タンク2内の流動体Fには、気泡A(
図5Aを参照)が混入されることがある。吐出器3は、流動体Fを断続的に吐出する。吐出器3は、吐出と停止を交互に繰返し可能であればどのような形態でもよい。例えば、吐出器3は、ディスペンサ、開閉弁、あるいはポンプ(例えば、一軸偏心ねじポンプやプランジャーポンプ)で構成される。供給経路4は、タンク2から吐出器3に流動体Fを供給する。供給ポンプ5および脱泡器10は、供給経路4上に上流側からこの順で介在する。供給ポンプ5は、タンク2内の流動体Fを吸い込み、その吐出口5aより流動体Fを圧送する。吐出口5aは、供給経路4の一部を構成する吐出ライン4aを介し、脱泡器10と流体的に接続される。脱泡器10は、流動体Fから気泡Aを除去する。これにより、吐出器3は、気泡Aが混入されていない流動体Fを吐出できる。吐出システム1は、導入された製造現場で取り扱われる製品の品質向上に資する。
【0015】
脱泡器10は、例えば、製造現場の床面、吐出器3、あるいは供給ポンプ5のような据付け対象に設置される。脱泡器10は、図示例のように吐出器3に流動体Fを直接供給してもよいし、吐出器3に取外し可能に装着される不図示のカートリッジに流動体Fを供給してもよい。
【0016】
吐出システム1は、脱泡装置100を備える。脱泡装置100は、脱泡器10のほか、圧力差センサ6および制御器7を備える。脱泡装置100には、供給ポンプ5および供給経路4(特に、その吐出ライン4a)を含めることも可能である。
【0017】
図2および
図3を参照して、脱泡器10は、流路形成部材11、環状流路20、流入口、21、流出口22、空気抜き口23、およびアクチュエータ29を有する。
【0018】
流路形成部材11は、流動体Fが通流する環状流路20を画定する。流路形成部材11は、環状流路20の内周側に配置された内周部12、環状流路20の外周側に配置された外周部13、環状流路20の軸方向両側それぞれに配置された第1側壁部14および第2側壁部15、および環状流路20を周方向に仕切る仕切り部16を有する。流路形成部材11の4つの部位12~15は、複数の部品に分かれて設けられている。流路形成部材11とは、当該複数の部品の一群である。仕切り部16は、流路形成部材11を構成する部品群のいずれかに設けられ、4つの部位12~15のいずれかに一体化されている。
【0019】
流入口21、流出口22、および空気抜き口23は、流路形成部材11に設けられ、環状流路20に開口する。流入口21は、流動体Fを環状流路20へ流入させる。流出口22は、流動体Fを環状流路20から流出させる。空気抜き口23は、流動体F(
図5Aを参照)に混入されている気泡A(
図5Aを参照)を環状流路20から排出させる。
【0020】
アクチュエータ29は、内周部12、外周部13、および側壁部14,15のうちの少なくとも1つを環状流路20の周方向に沿って、中心軸線C周りに予め定められた回転方向Rに回転駆動する。アクチュエータ29は、例えば電気モータで構成される。
【0021】
本実施形態では、流路形成部材11が、内側部材11a、第1外側部材11b、および第2外側部材11cの3つの部品で構成される。内側部材11aは、円柱状であり、内周部12を構成する。第1外側部材11bは、有底筒状であり、外周部13および第1側壁部14を一体に有する。第2外側部材11cは、板状であり、第2側壁部15を構成する。内側部材11aが、第1外側部材11bおよび第2外側部材11cで閉塞された空間に収容されることで、環状流路20が形成される。アクチュエータ29は、4つの部位12~15のうち内周部12を回転駆動する。内側部材11aが、アクチュエータ29により回転駆動される回転体である。外側部材11b,11cが、据付け対象に対して定置され、アクチュエータ29によっては回転駆動されない固定体である。仕切り部16は、流入口21、流出口22、および空気抜き口23とともに固定体に設けられている。
【0022】
第1外側部材11bは、第1側壁部14の内側面と、外周部13の内周面とで画定された内空間を有する。内周面は、中心軸線Cを中心とする真円形状の断面を有する。内側面は、中心軸線Cに垂直である。内側部材11aは、第1外側部材11bの内空間に収容される。内側部材11aは、円筒状または軸状であり、第1外側部材11bと同軸状に配置される。内周部12の外周面は、真円形状の断面を有する。第2外側部材11cは、内側部材11aが第1外側部材11bに収容された状態で、外周部13の軸方向端面に接合され、第1外側部材11bの内空間を閉塞する。内周部12は、外周部13よりも僅かに短い軸長を有する。内周部12の両端面は、一対の側壁部14,15の内側面それぞれと摺接あるいは近接対向する。
【0023】
内側部材11aの外周面は、外側部材11bの内周面よりも小径である。環状流路20は、内周部11の外周面、外側部12の内周面、および側壁部14,15の内側面によって画定される。環状流路20は、軸方向に見て円環状であり、内周面と外周面との半径差に応じた流路幅を有する。環状流路20の断面形状は軸方向に一定である。
【0024】
アクチュエータ29は、固定体としての外側部材11b,11cの外面、具体的には、いずれかの側壁部14,15の外面(本実施形態では第2側壁部15)に取り付けられる。内側部材11aは、内周部12の端面から突出する伝達軸部17を有し、伝達軸部17は、アクチュエータ29が取り付けられた第2側壁部15に回転可能に支持される。アクチュエータ29によって発生される回転駆動力は、伝達軸部17に伝達される。内周部12は、伝達軸部17と一体となって中心軸線C周りに正方向Rに回転(自転)する。
【0025】
仕切り部16は、外周部13の内周面から環状流路20内へと突出する。仕切り部16の突出端部16pは、内側部材11aの外周面と同じ曲率を有する凹面を成しており、内側部材11aの外周面に摺接もしくは近接対向する。仕切り部16は、環状流路20を周方向において部分的に仕切る隔壁としての役割を果たす。仕切り部16は、軸方向に延びる。仕切り部16の一端部は、第1側壁部14の内側面と一体化される。仕切り部16の他端部は、第2側壁部15の内側面に接触あるいは近接対向される。
【0026】
図2において、回転体としての内側部材11aの回転方向である「正方向R」が、仕切り部16が存在しない角度領域内で描画された円弧矢印で表現されている。矢印のアローヘッド側(回転進行側)を正方向Rの「前側」、矢印のシャフト基点側(回転進行側と反対側)を正方向Rの「後側」とする。環状流路20は、軸方向に見て、第1端部20aから第2端部20bまで正方向Rとは逆方向(反時計回り方向)にC字状に延びる。仕切り部16は、環状流路20の第1端部20aと第2端部20bとの間で周方向に挟まれる。環状流路20は、仕切り部16の第1面16aと、仕切り部16の第2面16bとによっても画定される。固定体に設けられた仕切り部16が12時の位置にあり、正方向Rが時計回りである場合には、第1面16aおよび第1端部20aが、仕切り部16の左側にあり、第2面16bおよび第2端部20bが、仕切り部16の右側にある。以上の構成により、流動体Fは、環状流路20の第1端部20a側から仕切り部16を越えて第2端部20b側へは実質的に通過できない。
【0027】
流入口21、流出口22、および空気抜き口23は、環状流路20に開放される。これらポート21~23は、第1外側部材11bの外周部13に設けられ、外周部13の外面および内周面に開口する。流入口21は、吐出ライン4aと接続され(
図1を参照)、供給ポンプ5から供給された流動体Fを環状流路20へ流入させる。空気抜き口23は、流動体Fに混入されている気泡Aを環状流路20から排出させる。空気抜き口23は、大気開放されており、気泡Aは大気に放出される。流出口22は、気泡Aが抜かれた流動体Fを環状流路20から流出させる。
【0028】
流出口22は、第1端部20aに開口されている。空気抜き口23は、第2端部20bに開口されている。流入口21は、周方向において流出口22と空気抜き口23との間に配置されている。流入口21は、仕切り部16と直径方向に対向する位置で環状流路20に開口している。
【0029】
図4を参照して、圧力差センサ6は、環状流路20内の2点間の圧力差を検出する。圧力差センサ6は、基準圧に対するゲージ圧を検出する単一のセンサで構成されてもよく、2点の圧力をそれぞれ検出する2つのセンサで構成されてもよい。本実施形態では、圧力差センサ6が、第1圧力センサ6aおよび第2圧力センサ6bの2つのセンサで構成されており、2つのセンサの検出結果から圧力差が求められる。
【0030】
第1圧力センサ6aは、仕切り部16から反時計回り(正方向Rと逆方向)に第1設置角θ1だけ周方向に離れた第1検出位置に設置される。第1圧力センサ6aは、第1検出位置における流動体Fの圧力である第1圧力P1を検出する。第2圧力センサ6bは、仕切り部16から反時計回りに第2設置角θ2だけ周方向に離れた第2検出位置に設置される。第2圧力センサ6bは、第2検出位置における流動体Fの圧力である第2圧力P2を検出する。第2設置角θ2は、第1設置角θ1よりも大きい。本実施形態では、単なる一例として、第1設置角θ1が60度、第2設置角θ2が150度である。第1設置角θ1および第2設置角θ2は、環状流路20の流入口21と仕切り部16の第1面16aとの間に設定されている。
【0031】
図1に戻り、制御器7は、圧力差センサ6(第1圧力センサ6aおよび第2圧力センサ6b)、アクチュエータ29、および供給ポンプ5と接続される。制御器7は、吐出器3と接続されてもよい。制御器7は、脱泡装置100の稼働中にアクチュエータ29を制御し、回転体(本実施形態では、内側部材11a)を回転駆動する。制御器7は、圧力差センサ6により検出される圧力差に基づいて、環状流路20内の流動体Fの液面の位置を制御する。液面の位置を制御するため、制御器7は、一例として、供給ポンプ5の流量Qを制御する。
【0032】
以下、脱泡装置100の動作について説明する。なお、脱泡装置100の起動前には、環状流路20、流入口21、および流出口22は空である。脱泡装置100の起動により、供給ポンプ5が作動し、流動体Fが供給ポンプ5から脱泡器10に供給される。また、アクチュエータ29が作動し、回転体としての内側部材11aが回転駆動される。供給ポンプ5の吐出圧および吐出流量と、回転体の回転速度は、流動体Fの性状(例えば、粘度)に応じて適宜調整される。
【0033】
図5Aに示すように、脱泡装置100が起動されると、気泡Aが混入された流動体Fが、供給ポンプ5(
図1を参照)から吐出ライン4a(
図1を参照)を介して流入口21に供給される。
図5Bは、流動体Fが環状流路20内に充填される過程の段階を示しており、環状流路20の流動体Fの液面は、流出口22および空気抜き口23のどちらにも到達していない。
【0034】
環状流路20内に導入された流動体Fは、回転体としての内側部材11aの外周面と接触している部位周辺にて、流動体Fと外周面との間で生じる粘性摩擦により引きずられる。これにより、環状流路20内では、流動体Fの圧力が正方向R前側ほど高くなるようにして(正方向R後側ほど低圧となるようにして)、圧力勾配が生じる。流動体Fに含まれている気泡Aは、流動体F内で圧力が高い方から低い方へと移送される。すなわち、気泡Aは、正方向R後側へと自ずと移送される。
【0035】
流動体Fの後側液面FLRは、環状流路20の第2端部20bおよび空気抜き口23を介し、大気と連通する。そのため、後側液面FLRの圧力は、ほぼ大気圧である。そのため、後側液面FLRまで誘導された気泡Aは、流動体Fから抜け出すことができ、空気抜き口23を介して大気に放出される。
【0036】
図5Cは、流動体Fが環状流路20内に充填されて脱泡器10が定常運転をしている状態を示す。上記と同じ原理で、環状流路20内の流動体Fには圧力勾配が生じている。流動体Fは、流入口21を基準として前側では仕切り部16の第1面16aに接触するに至るまで満充填されている。流出口22は、第1面16aが臨む第1端部20aに開口している。すなわち、流出口22は、環状流路20内で流動体Fの圧力が極力最も高くなる部分に設けられている。相対的に高圧の流動体Fが、流出口22を介して円滑に流出していく。
【0037】
他方、流動体Fは、流入口21を基準として後側では仕切り部16の第2面16bまで達しておらず、後側液面FLRが環状流路20内に形成される。そのため、定常運転状態においても、上記と同じ原理で、後側液面FLRまで誘導された気泡Aが、流動体Fから抜け出し、空気抜き口23を介して大気に放出される。
【0038】
このように、本実施形態に係る脱泡装置100によれば、環状流路20を周方向に部分的に仕切るとともに、環状流路20を画定する流路形成部材11の一部(本実施形態では、内周部12)を回転させ、空気抜き口23を低圧側に設けるという簡易な構成で、環状流路20内で流動体Fに圧力勾配を生じさせることができ、気泡Aが空気抜き口23へと自ずと移送される。脱泡器10から、例えばより真空チャンバのような高い気密性を要求される装置を省略しても、十分な脱泡作用が得られる。また、回転駆動力を発生するアクチュエータ29は、チャンバ内に負圧を印加するアクチュエータ(真空ポンプ)よりも、構成を簡素化できる。したがって、脱泡装置100の構成を簡素化できる。
【0039】
流出口22は、環状流路20の仕切り部16により画定された高圧側の第1端部20aに開口し、空気抜き口23は、環状流路20の仕切り部16を挟んで高圧側とは反対側の低圧側の第2端部20bに開口する。流出口22と空気抜き口23とは、物理的に極力大きく離され且つ圧力差の観点からも極力大きく離される。そのため、流動体Fに含まれている気泡Aが流出口22から漏出するおそれを抑制できる。
【0040】
流入口21が、流出口22よりも流動体Fの圧力が低い位置且つ空気抜き口23よりも流動体Fの圧力が高い位置で、環状流路20に開口している。流入口20が、流出口22と空気抜き口23とが、流入口21を挟んで反対側に配置される。そのため、流動体Fに含まれている気泡Aが流出口22から漏出するおそれを抑制できる。
【0041】
環状流路20を画定する外周部13の内周面および内周部12の外周面が真円形状である。そのため、気泡Aがこれら部位12,13に引っかからず、環状流路20内で後側液面FLRへと円滑に移送される。
【0042】
図4を参照して、供給ポンプ5の吐出圧または吐出流量が過大であれば、後側液面FLRが上昇し、流動体Fが空気抜き口23を介して大気に漏出するおそれがある。そこで、制御器7は、定常運転状態において、後側液面FLRの位置を制御し、流動体Fの漏出の防止を図る。
【0043】
具体的には、制御器7は、下式(1)に基づき、後側液面FLRの位置、具体的には、仕切り部16から後側液面FLRまでの反時計回りにおける角度θwを推測する。
θw=P2×(θ2-θ1)/(P1-P2)+θ2 ……(1)
ここで、P1は第1圧力センサ6aの検出値であり、P2は第2圧力センサ6bの検出値である。
【0044】
制御器7は、後側液面FLRの角度θwの推定値を設定値と比較する。設定値は、環状流路13内の空気抜き口23の近傍に設定される。推定値が設定値を超えていると、供給ポンプ5から吐出される流動体Fの流量Qを減少させるようにして供給ポンプ5の動作を制御する。これにより、流動体Fの漏出を防止できる。
【0045】
本実施形態では、真円断面を有する外周面と内周面とが同心に配置されている。環状流路20の流路幅が周方向の全体にわたって一定となるため、圧力勾配が概略線形になる。そのため、液面位置を精度よく推定でき、液面位置を精度よく制御できる。
【0046】
次に、本発明の第2実施形態について、上記実施形態との相違を中心に説明する。
【0047】
図6および
図7を参照して、本実施形態に係る脱泡器10においても、第1実施形態と同様に、内側部材11aが内周部12を構成し、第1外側部材11bが外周部13および第1側壁部14を構成し、第2外側部材11cが第2側壁部15を構成し、アクチュエータ29が内周部12を回転駆動する。内側部材11aが回転体であり、外側部材11b,11cが固定体である。仕切り部16は、流入口21、流出口22、および空気抜き口23とともに固定体に設けられる。
【0048】
本実施形態においては、内周部12および外周部13、ひいては環状流路20が、第1実施形態と比べ、軸方向において長寸である。第1実施形態では、環状流路20が軸方向に短寸であるため、流入口21、流出口22、および空気抜き口23が軸方向において同位置に配置されていた(
図3を参照)。これに対し、本実施形態では、流出口22と空気抜き口23とが、環状流路20の軸方向に離れている。流入口21は、環状流路20の軸方向において流出口22よりも空気抜き口23と近い。流入口21および空気抜き口23は、環状流路20の一端部に開口する。流出口22は、環状流路20の軸方向の他端部に開口する。
【0049】
空気抜き口23は、流出口22が形成されている領域から軸方向にずれて配置されている。なお、3つのポート21~23の周方向の位置関係は、第1実施形態と同じである。環状流路20内の流動体の圧力は、周方向において正方向Rの前側に向かうに連れて高くなる。よって、流入口21の圧力P21、流出口22の圧力P22、および空気抜き口23の圧力P23は、P22>P21>P23を満たす。
【0050】
したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様にして、脱泡装置100の構成を簡素化できる。また、本実施形態では、流出口23が、流入口21と軸方向にも離れているため、流動体Fの環状流路20内の通過時間が長くなる。そのため、流動体Fが流出口22へと通流する間に、気泡Aがより一層空気抜き口23へと誘導される時間が長くなり、気泡Aが流出口22から漏出するおそれがより一層抑制される。
【0051】
次に、本発明の第3実施形態について、上記実施形態との相違を中心に説明する。
【0052】
図8を参照して、本実施形態に係る脱泡器10においても、第1実施形態と同様に、内側部材11aが内周部12を構成し、第1外側部材11bが外周部13および第1外側部材14を構成する。詳細図示は省略するが、第2外側部材が、
図8の紙面手前側に配置され、第2側壁部を構成する。アクチュエータ29は、内周部12を回転駆動する。内側部材11aが回転体であり、第1外側部材11bおよび第2外側部材が固定体である。軸方向の寸法は、第1実施形態と同様である。
【0053】
本実施形態においては、第1および第2実施形態とは異なり、仕切り部16が、流入口21、流出口22、および空気抜き口23とともに、回転体としての内側部材11aに設けられている。仕切り部16は、内周部12の外周面から環状流路20内へと突出する。仕切り部16の突出端部16pは、外周部13の内周面と同じ曲率を有する凸面を成し、内周面に摺接もしくは近接対向する。仕切り部16の両端部は、内周部12の両端面と面一であり、第1側壁部14および第2側壁部の内側面それぞれに摺接あるいは近接対向する。
【0054】
本実施形態では、内側部材11aの回転方向である正方向Rの前側が低圧側、後側が高圧側となる。仕切り部16を基準にすれば、外側部材11bは、内側部材11aに対して正方向Rと逆方向R´に相対回転する。この仕切り部16を基準とする外側部材11bおよび内側部材11aの相対回転方向(逆方向R´)の前側は高圧側であり、後側は低圧側である。仕切り部16の第1面16aおよび環状流路20の第1端部20aは、相対回転方向(逆方向R´)の前側にある。仕切り部16の第2面16bおよび環状流路20の第2端部20bは、相対回転方向(逆方向R´)の後側にある。内側部材11aが回転すると、第1端部20aから第2端部20bに向けて流動体Fの圧力が低くなる。
【0055】
流入口21は、周方向において第1端部20a(第1面16a)と第2端部20b(第2面16b)の中間の位置で開口しており、仕切り部16と直径方向に対向する。流出口22は、第1端部20aに開口しており、空気抜き口23は、第2端部20bに開口している。流入口21の圧力P21、流出口22の圧力P22、および空気抜き口23の圧力P23は、P22>P21>P23を満たす。
【0056】
したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様にして、脱泡装置100の構成を簡素化できる。
【0057】
次に、本発明の第4実施形態について、上記実施形態との相違を中心に説明する。
【0058】
図9を参照して、本実施形態に係る脱泡器10においても、第1実施形態と同様に、内側部材11aが内周部12を構成し、第1外側部材11bが外周部13および第1外側部材14を構成する。詳細図示は省略するが、第2外側部材が、
図9の紙面手前側に配置され、第2側壁部を構成する。アクチュエータ29は、内周部12を回転駆動する。内側部材11aが回転体であり、第1外側部材11bおよび第2外側部材が固定体である。軸方向の寸法は、第1実施形態と同様である。
【0059】
本実施形態においては、内周部12の中心C12が、外周部13の中心C13に対して偏心している。内周部12の外周面が外周部13の内周面に接触されている。仕切り部16は、これまでの実施形態のような隔壁ではなくこの接触によって構成され、回転体に設けられる。内周部12の偏心配置により、環状流路20が、C字状に形成される。仕切り部16から見て、内周部12の回転方向である正方向Rの前側が高圧側、正方向Rの後側が低圧側となる。仕切り部16から見て内周部12の回転方向である正方向Rの前側に、C字状の環状流路20の第1端部20aが形成される。仕切り部16から見て内周部12の回転方向である正方向Rの後側に、C字状の環状流路20の第2端部20bが形成される。第1端部20aから第2端部20bに向けて流動体Fの圧力が低くなる。
【0060】
仕切り部16は回転体に設けられるものの固定体に対する周方向の位置は不変であることから、流入口21、流出口22、および空気抜き口23は、固定体に設けられる。流入口21は、周方向において第1端部20a(第1面16a)と第2端部20b(第2面16b)の中間の位置で開口しており、仕切り部16と直径方向に対向する。流出口22は、第1端部20aに開口し、空気抜き口23は、第2端部20bに開口している。流入口21の圧力P21、流出口22の圧力P22、および空気抜き口23の圧力P23は、P22>P21>P23を満たす。
【0061】
したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様にして、脱泡装置100の構成を簡素化できる。
【0062】
次に、本発明の第5実施形態について、上記実施形態との相違を中心に説明する。
【0063】
図10を参照して、本実施形態に係る脱泡器10においても、第1実施形態と同様に、内側部材11aが内周部12を構成し、第1外側部材11bが外周部13および第1外側部材14を構成する。詳細図示は省略するが、第2外側部材が、
図10の紙面手前側に配置され、第2側壁部を構成する。軸方向の寸法は、第1実施形態と同様である。
【0064】
本実施形態では、第1~第4実施形態と異なり、アクチュエータ29は、少なくとも第1外側部材11bを回転駆動する。第1外側部材11bは回転体であり、内側部材11aは固定体である。第2外側部材は固定体でも回転体でもよいが、一例として回転体であるとする。第3実施形態と同様にして、仕切り部16は、流入口21、流出口22、および空気抜き口23とともに、固定体としての内側部材11aに設けられる。
【0065】
本実施形態では、仕切り部16の第1面16aおよび環状流路20の第1端部20aは、回転体としての外側部材11の回転方向である正方向Rの前側にある。仕切り部16の第2面16bおよび環状流路20の第2端部20bは、正方向Rの後側にある。外側部材12aが回転すると、流動体Fが外周部13の内周面に引きずられ、第1端部20aから第2端部20bに向けて流動体の圧力が低くなる。
【0066】
流入口21、流出口22、および空気抜き口23は、固定体としての内側部材11aに設けられている。流入口21は、周方向において第1端部20a(第1面16a)と第2端部20b(第2面16b)の中間の位置で開口しており、仕切り部16と直径方向に対向する。流出口22は、第1端部20aに開口し、空気抜き口23は、第2端部20bに開口している。流入口21の圧力P21、流出口22の圧力P22、および空気抜き口23の圧力P23は、P22>P21>P23を満たす。
【0067】
したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様にして、脱泡装置100の構成を簡素化できる。
【0068】
次に、本発明の第6実施形態について、上記実施形態との相違を中心に説明する。
【0069】
図11および
図12を参照して、本実施形態に係る脱泡器10においては、流路形成部材11が、第1部材11dおよび第2部材12eの2つの部品で構成される。第1部材11dは、内周部12、外周部13、および第1側壁部14を一体に有する。第2部材12eは、第2側壁部15を構成する。軸方向の寸法は、第1実施形態と同様である。アクチュエータ29は、第2側壁部15を回転駆動する。第2部材11eが回転体であり、第1部材11dが固定体である。仕切り部16は、流入口21、流出口22、および空気抜き口23とともに、回転体に設けられる。仕切り部16は、第2側壁部15の内側面から軸方向に突出し、第1側壁部15の内側面に摺接もしくは近接対向する。
【0070】
本実施形態では、仕切り部16の第1面16aおよび環状流路20の第1端部20aは、回転体としての第2部材11eの回転方向である正方向Rの前側にある。仕切り部16の第2面16bおよび環状流路20の第2端部20bは、正方向Rの後側にある。第2部材11eが回転すると、流動体Fが第2側壁部15の内側面に引きずられ且つ仕切り部16で押され、第1端部20aから第2端部20bに向けて流動体の圧力が低くなる。
【0071】
流入口21は、周方向において第1端部20a(第1面16a)と第2端部20b(第2面16b)の中間の位置で開口しており、仕切り部16と直径方向に対向する。流出口22は、第1端部20aに開口し、空気抜き口23は、第2端部20bに開口している。流入口21の圧力P21、流出口22の圧力P22、および空気抜き口23の圧力P23は、P22>P21>P23を満たす。
【0072】
したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様にして、脱泡装置100の構成を簡素化できる。
【0073】
次に、本発明の第7実施形態について、上記実施形態との相違を中心に説明する。
【0074】
図13を参照して、本実施形態に係る脱泡器10においても、第5実施形態と同様にして、内側部材11aが内周部12を構成し、第1外側部材11bが外周部13および第1外側部材14を構成し、第2外側部材11cが第2側壁部15を構成する。軸方向の寸法は、第1実施形態と同様である。アクチュエータ29は、少なくとも第1外側部材11bを回転駆動する。第1外側部材11bは回転体であり、内側部材11aおよび第2外側部材11cは固定体である。
【0075】
本実施形態においては、仕切り部16は、固定体としての第2外側部材11cに設けられている。仕切り部16は、第2側壁部15の内側面から軸方向に突出し、第1側壁部14の内側面に摺接しまたは近接対向する。詳細図示を省略するが、この場合、流入口、流出口、および空気抜き口は、固定体に設けることが好ましい。本実施形態においても、環状流路20内に圧力勾配を生じさせることができ、第1実施形態と同様にして、脱泡装置100の構成を簡素化できる。
【0076】
これまで、本発明の実施形態について説明したが、上記構成は本発明の範囲内で適宜変更、追加、および削除可能である。
【0077】
第2実施形態以降では、圧力差センサ6(
図1を参照)の図示が省略されているが、第2実施形態以降においても、第1実施形態と同様にして液面が制御されてもよい。液面の制御に際し、供給ポンプ5の吐出流量が制御されたが、これに加えてまたは代えて、回転体の回転速度が制御されてもよい。
【0078】
外周部13の内周面および内周部12の外周面の少なくともいずれか一方は、真円である必要はなく、例えば、楕円形状でもよい。流入口21の位置は、仕切り部16と対向する位置や環状流路20の周方向中央位置に限定されず、適宜変更可能である。供給ポンプ5は、脱泡装置100の範囲外でもよい。その場合、制御器7は、供給ポンプ5を制御する別の制御器に液面の推測結果を送信してもよい。制御器7は、液面の推測結果に基づき液面の制御のために回転体の回転速度を制御してもよい。
【0079】
上記実施形態においては、内周部12、外周部13、および側壁部14,15の少なくとも1つの部位が回転駆動される一方で回転駆動されない部位もあったが、全ての部位が回転駆動されてもよい。
【0080】
外周部13の内周面あるいは内周部12の外周面は、その径を可変に構成されてもよい。脱泡装置100は、使用状態では、単一の内側部材11aが外側部材11b,11cに収容されるが、流通状態においては、外側部材11b,11cに交換可能に装着される複数の内側部材11aを備えてもよい。複数の内側部材11aの径は、互いに異なる。取り扱われる流動体Fの性状に応じて複数の内側部材11aから1つを選択して外側部材11b,11cに装着することで、環状流路20の流路幅を流動体Fに適した値に設定できる。この場合、仕切り部16に必要な高さも変わるため、内側部材11aと同様に高さが互いに異なる複数の仕切り部16が準備されることが好ましい。
【0081】
例えば、流動体の粘度が高い場合には、流路幅を大きくすることで、トルクを下げることができる。流動体が擬塑性流体の場合には、回転体のすぐ近くでしか流動体が流動しないことから、流路幅を狭くすることで環状流路20内の円滑な流動が得られる。
【符号の説明】
【0082】
100 脱泡装置
1 吐出システム
2 タンク
3 吐出器
4 供給経路
4a 吐出ライン
5 供給ポンプ
6 圧力差センサ
7 制御器
10 脱泡器
11 流路形成部材
11a 内側部材
11b 第1外側部材
11c 第2外側部材
12 内周部
13 外周部
14 第1側壁部
15 第2側壁部
16 仕切り部
16p 突出端部
17 伝達軸部
20 環状流路
20a 第1端部
20b 第2端部
21 流入口
22 流出口
23 空気抜き口
29 アクチュエータ
A 気泡
F 流動体