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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129370
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】タグ
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
G06K19/077 304
G06K19/077 220
G06K19/077 280
G06K19/077 144
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038530
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】嶋岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】加賀谷 仁
(57)【要約】
【課題】物品に付け替えられたものかどうかを正確に判断する。
【解決手段】互いに重ね合わされて接着された表面シート10及び裏面シート20と、表面シート10と裏面シート20との間に挟み込まれたRFIDタグ30と、商品タグ1を物品に取り付けるための取り付け紐40とを有し、取り付け紐40には導電性配線41が内蔵され、RFIDタグ30は、2本の検知用配線を有し、導電性配線41を介した2本の検知用配線間の導通状態を非接触送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に取り付けられるタグであって、
互いに重ね合わされて接着された表面シートと裏面シートと、
前記表面シートと前記裏面シートとの間に挟み込まれた無線通信体と、
前記タグを物品に取り付けるための紐体と、を有し、
前記無線通信体は、
通信用のアンテナ及び2本の検知用配線と、
前記アンテナ及び2本の検知用配線と接続され、前記2本の検知用配線間の導通状態を検出し、その検出結果を前記アンテナを介して非接触送信するICチップと、を有し、
前記紐体には導電性配線が内蔵され、前記導電性配線の一端が前記2本の検知用配線のうち第1配線に接続されており、前記導電性配線の他端が前記2本の検知用配線のうち第2配線に接続される、タグ。
【請求項2】
請求項1に記載のタグにおいて、
前記表面シートは、前記導電性配線の他端が前記第2配線と接続するための領域となる接続部を有し、
前記第2配線は、前記ICチップと接続していない端部側に前記導電性配線の他端と接続するための接続端子部を有し、
前記接続端子部は、前記接続部に対向する領域に設けられている、タグ。
【請求項3】
請求項1に記載のタグにおいて、
前記導電性配線と前記第2配線とが、前記導電性配線及び前記検知用配線以外の導電性部材を介して電気的に接続された、タグ。
【請求項4】
請求項3に記載のタグにおいて、
前記導電性部材がカシメによって固定されている、タグ。
【請求項5】
物品に取り付けられるタグであって、
互いに重ね合わされて接着された表面シートと裏面シートと、
前記表面シートと前記裏面シートとの間に挟み込まれた無線通信体と、
前記タグを物品に取り付けるための紐体と、を有し、
前記無線通信体は、
通信用のアンテナ及び2本の検知用配線と、
前記アンテナ及び2本の検知用配線と接続され、前記2本の検知用配線間の導通状態を検出し、その検出結果を前記アンテナを介して非接触送信するICチップと、を有し、
前記紐体には導電性配線が内蔵され、前記導電性配線の一端が前記2本の検知用配線のうち第1配線に接続され、前記導電性配線の他端が前記2本の検知用配線のうち第2配線に接続される、タグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品への付け替え防止機能を有するタグに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、店舗等で販売される商品は、品名や価格等が表示されたタグが添付されて販売されている。このようなタグは、商品の出所を表示するものもあり、ブランド品等においては、いわゆるブランドタグが添付されることで、その商品が偽物ではないことが証明される。しかしながら、特にブランドタグにおいては、商品の偽物を販売するためにタグが付け替えられる場合がある。
【0003】
特許文献1には、アンテナの一部を紐となる部分に内蔵させ、商品から外すために紐を切るとアンテナが断線して回路的に破壊されることで、ICチップから情報が読み取ることができなくなり、再使用ができなくなる商品タグが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-11114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された商品タグにおいては、商品から外すために紐を切るとアンテナが断線して回路的に破壊されるため、ICチップから何の情報も読み取ることができなくなる。一方、ICチップが故障している場合、アンテナが断線していなくてもICチップからは何の情報も読み取ることができない。そのため、ICチップが故障している場合、タグが付け替えられていないものであっても付け替えられたものと判断されてしまい、タグが付け替えられたものかどうかを正確に判断することができなくなってしまう。
【0006】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、物品に付け替えられたものかどうかを正確に判断することができるタグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、
物品に取り付けられるタグであって、
互いに重ね合わされて接着された表面シートと裏面シートと、
前記表面シートと前記裏面シートとの間に挟み込まれた無線通信体と、
前記タグを物品に取り付けるための紐体と、を有し、
前記無線通信体は、
通信用のアンテナ及び2本の検知用配線と、
前記アンテナ及び2本の検知用配線と接続され、前記2本の検知用配線間の導通状態を検出し、その検出結果を前記アンテナを介して非接触送信するICチップと、を有し、
前記紐体には導電性配線が内蔵され、前記導電性配線の一端が前記2本の検知用配線のうち第1配線に接続されており、前記導電性配線の他端が前記2本の検知用配線のうち第2配線に接続される。
【0008】
上記のように構成された本発明においては、紐体によって物品に取り付けられた状態では、紐体に内蔵された導電性配線の一端が、無線通信体の2本の検知用配線のうち第1配線に接続され、導電性配線の他端が2本の検知用配線のうち第2配線に接続されている。これにより、2本の検知用配線が導電性配線を介して導通している。一方、物品からタグを取り外すために紐体が切断されると、導電性配線が断線することになる。これにより、2本の検知用配線が導通していない状態となる。そして、この2本の検知用配線間の導通状態の検出結果が、ICチップから通信用のアンテナを介して非接触送信され、非接触送信された情報が読取手段において読み取られることで、タグが物品から取り外されたものであるかどうかが判断されることになる。
【0009】
このように、紐体が切断されていない場合と、紐体が切断された場合とで、2本の検知用配線間の導通状態が変化し、この導通状態の検出結果に基づいてタグが物品から取り外されたものであるかどうかが判断されることになる。これにより、タグが付け替えられたものかどうかが正確に判断されることになる。
【0010】
また、表面シートが、導電性配線の他端が第2配線と接続するための領域となる接続部を有し、第2配線が、ICチップと接続していない端部側に導電性配線の他端と接続するための接続端子部を有し、接続端子部が接続部に対向する領域に設けられていてもよい。
【0011】
このように構成されたものにおいては、導電性配線の他端を第2の配線に接続させやすくなる。
【0012】
また、導電性配線と第2配線とが、導電性配線及び検知用配線以外の導電性部材を介して電気的に接続されてもよい。
【0013】
このように構成されたものにおいては、紐体によってタグを物品に取り付けた後に、紐体に内蔵された導電性配線を任意の導電性部材を介して検知用配線に電気的に接続することができる。
【0014】
また、導電性部材がカシメによって固定されてもよい。
【0015】
このように構成されたものにおいては、タグを物品から取り外した後に再度付け替えることが非常に困難となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、紐体が切断されていない場合と、紐体が切断された場合とで、2本の検知用配線間の導通状態が変化し、この導通状態の検出結果に基づいてタグが物品から取り外されたものであるかどうかが判断されることになる。これにより、物品に付け替えられたものかどうかを正確に判断することができる。
【0017】
また、表面シートが、導電性配線の他端が第2配線と接続するための領域となる接続部を有し、第2配線が、ICチップと接続していない端部側に導電性配線の他端と接続するための接続端子部を有し、接続端子部が接続部に対向する領域に設けられているものにおいては、導電性配線の他端を第2の配線に接続させやすくなる。
【0018】
また、導電性配線と第2配線とが、導電性配線及び検知用配線以外の導電性部材を介して電気的に接続されるものにおいては、紐体によってタグを物品に取り付けた後に、紐体に内蔵された導電性配線を任意の導電性部材を介して検知用配線に電気的に接続することができる。
【0019】
また、導電性部材がカシメによって固定されるものにおいては、タグを物品から取り外した後に再度付け替えることを非常に困難とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のタグの一実施形態を示す図であり、(a)は商品に取り付けられる前の状態における正面図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)は商品に取り付けられた状態における正面図である。
図2図1に示したRFIDタグの構成を示す図である。
図3図1及び図2に示した商品タグの使用方法を説明するための図である。
図4図1及び図2に示した商品タグの商品への取り付け方法を説明するための図である。
図5図1及び図2に示した商品タグが付け替えられた際の作用を説明するための図である。
図6図1及び図2に示した商品タグが商品に付け替えられたものかどうかを判断するためのシステムの一例を示す図である。
図7図6に示したシステムにおいて図1及び図2に示した商品タグの商品への付け替えの有無を判断する方法を説明するためのフローチャートである。
図8】本発明のタグの他の実施形態を示す図であり、(a)は商品に取り付けられる前の状態における正面図、(b)は商品に取り付けられた状態における正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
(タグの構成)
図1は、本発明のタグの一実施形態を示す図であり、(a)は商品に取り付けられる前の状態における正面図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)は商品に取り付けられた状態における正面図である。図2は、図1に示したRFIDタグ30の構成を示す図である。
【0023】
本実施形態は図1及び図2に示すように、表面シート10と裏面シート20との間にRFIDタグ30が挟み込まれてなる商品タグ1である。すなわち、本実施形態における商品タグ1は、表面シート10とRFIDタグ30と裏面シート20とがこの順で積層されて構成されている。
【0024】
表面シート10は、例えば厚紙等から構成されている。表面シート10の表面には、取り付け紐40の端部が接続されるための接続部11が設けられているとともに、取り付け紐40の端部を接続部11に接続することを指示する指示マーク12が表示されている。表面シート10のRFIDタグ30との積層面には、接着後の剥離が困難な粘着剤が塗工されることで、接着層(不図示)が積層されている。なお、接着後の剥離が困難とは、表面シート10とRFIDタグ30とが接着された後に人間の手によって剥離した場合に、表面シート10やRFIDタグ30自体が裂かれたり厚み方向に紙間剥離したりする程度に強く接着されていることである。
【0025】
裏面シート20は、例えば厚紙等から構成されている。裏面シート20は、表面シート10と同一形状を有しており、RFIDタグ30との積層面には、接着後の剥離が困難な粘着剤が塗工されることで、接着層(不図示)が積層されている。
【0026】
RFIDタグ30は、本願発明にて無線通信体の一例となるものである。RFIDタグ30は図2に示すように、ベース基材35の一方の面に、非接触通信用のアンテナ32及び2本の検知用配線33a,33bが形成されているとともに、ICチップ31が搭載されている。そして、表面シート10と裏面シート20とのそれぞれと接着されている。これにより、表面シート10と裏面シート20とが、RFIDタグ30を介して接着された状態となっている。なお、RFIDタグ30が積層される向きは、アンテナ32及び検知用配線33a,33bが形成された面が、表面シート10と対向する向きであっても裏面シート20に対向する向きであってもよい。ただし、後述するように、検知用配線33bに接続された接続端子部34bが、表面シート10の接続部11に対向するように配置する必要がある。なお、無線通信体として、RFIDタグ30を用いずに、表面シート10または裏面シート20の互いの接着面にアンテナ32及び検知用配線33a,33bを形成するとともに、ICチップ31を配置した構成としてもよい。
【0027】
ベース基材35は、紙やフィルム等から構成されている。
【0028】
アンテナ32は、ベース基材35の一方の面に、二等辺三角形の2つの導体部32a,32bが空隙を介して並んで構成されている。なお、アンテナ32の形状としてはこれに限らず、2つの帯状の導体部が空隙を介して直線状に並んだものや、1つの導体部から構成されたもの等、様々なものが考えられる。
【0029】
2本の検知用配線33a,33bは、それぞれ一方の端部がICチップ31に接続され、そこからICチップ31から離れる方向に互いに並行して延びて終端している。検知用配線33aは、本願発明にて第1配線の一例となるものであって、検知用配線33bは、本願発明にて第2配線の一例となるものである。2本の検知用配線33a,33bのうち一方の検知用配線33bには、ICチップ31に接続された端部とは反対側の端部(終端した側の端部)に接続端子部34bが接続されている。接続端子部34bは、導電性材料からなり、表面シート10の接続部11に対向するように設けられている。
【0030】
ICチップ31は、2つのアンテナ端子(不図示)と、2つの検知用端子(不図示)とが設けられている。そして、これらアンテナ端子及び検知用端子が設けられた面が搭載面となって、ベース基材35のアンテナ32及び検知用配線33a,33bが形成された面に、配置、搭載され、異方性導電ペースト(不図示)によって固定されている。ICチップ31のアンテナ端子はそれぞれアンテナ32に接続され、ICチップ31の検知用端子は、検知用配線33a,33bのそれぞれの一方の端部に接続されている。そして、異方性導電ペーストによって、アンテナ端子がアンテナ32に、検知用端子が検知用配線33a,33bにそれぞれ導通している。ICチップ31は、アンテナ32を介した非接触通信によって得た電力による電流を検知用配線33a,33bに流すことで検知用配線33a,33b間の抵抗値を検出する。そして、検出したその抵抗値に基づいて検知用配線33a,33b間の導通状態を検出し、その検出結果をデジタル情報に変換してフラグ情報としてアンテナ32を介して非接触送信する。
【0031】
取り付け紐40は、本願発明にて紐体の一例となるものである。取り付け紐40は、導電性配線41の周囲に絶縁性材料が巻き付けられて構成されており、これにより、導電性配線41を内蔵している。導電性配線41は、取り付け紐40の両端にて絶縁性材料から表出しており、一方の端部は、表面シート10と裏面シート20との間に挟み込まれ、検知用配線33aの端部34aに接続されている。導電性配線41の他方の端部は、商品タグ1が商品に取り付けられる前の状態においては、図1(a)に示すように、何も接続されていない。これにより、商品タグ1が商品に取り付けられる前の状態においては、取り付け紐40の一端がフリーな状態となっており、取り付け紐40はループを形成していない。
【0032】
上記のように構成された商品タグ1は、後述するように、取り付け紐40によって用いて商品等の物品に取り付けられて使用される。その際、取り付け紐40によって商品等の物品に取り付けられた状態では、図1(c)に示すように、導電性部材の一例となる金属ピン42が接続部11に刺されることで、表面シート10と裏面シート20とを貫通した状態となる。これにより、導電性配線41が金属ピン42と接することで電気的に導通した状態で取り付け紐40はループを形成することになる。
【0033】
(タグの使用方法)
以下に、上記のように構成された商品タグ1の使用方法について説明する。
【0034】
図3は、図1及び図2に示した商品タグ1の使用方法を説明するための図である。
【0035】
図1及び図2に示した商品タグ1は図3に示すように、取り付け紐40によって物品の一例となる商品2に取り付けられて使用される。このように、商品2は商品タグ1が添付された状態で、店舗等において販売されることになる。
【0036】
商品タグ1には、表面シート10に、商品2についての情報が表示されるとともに、商品2の価格等の情報が表示されている。そのため、消費者は、商品タグ1に表示された情報によって商品2の出所等の詳細な情報や価格を知ることができる。また、特に商品2がブランド品の場合、商品タグ1は、いわゆるブランドタグとしても機能する。すなわち、商品タグ1によって、商品2が偽物ではないことが証明されることになる。
【0037】
図4は、図1及び図2に示した商品タグ1の商品への取り付け方法を説明するための図である。
【0038】
図1及び図2に示した商品タグ1は、上述したように、商品タグ1が商品に取り付けられる前の状態においては、取り付け紐40の一端がフリーな状態となっており、取り付け紐40はループを形成していない。そのため、図4(a)に示すように、取り付け紐40を商品2の取っ手2aに通すことができる。
【0039】
その後、取り付け紐40に内蔵された導電性配線41の何も接続されていない側の端部を、指示マーク12に従って接続部11に対向させる。そして、図1(b)に示したように金属ピン42を接続部11に刺し、表面シート10、RFIDタグ30及び裏面シート20を貫通させ、金属ピン42を商品タグ1の表裏から加圧して塑性変形させる。これにより、金属ピン42がカシメによって商品タグ1に固定されることになる。
【0040】
このようにして、取り付け紐40のフリーとなっていた側の端部が表面シート10上に固定され、図4(b)に示すように取り付け紐40でループが形成され、商品タグ1が商品2に取り付けられることになる。
【0041】
この際、上述したように、検知用配線33bに接続された接続端子部34bが、表面シート10の接続部11に対向するように設けられている。そのため、導電性配線41を接続部11に対向させた状態で金属ピン42を接続部11に刺し、表面シート10、RFIDタグ30及び裏面シート20を貫通させると、導電性配線41が金属ピン42を介して接続端子部34bと導通した状態となる。つまり、接続部11の役割は、その対向する領域に接続端子部34bがあることを示すとともに、検知用配線33bが表出していなくても接続部11に金属ピン42を刺しさえすれば、導電性配線41を検知用配線33bと接続できる旨を示すものである。
【0042】
(タグの付け替えの有無の判断方法)
以下に、上述した商品タグ1の商品2への付け替えの有無の判断方法について説明する。
【0043】
図5は、図1及び図2に示した商品タグ1が付け替えられた際の作用を説明するための図である。
【0044】
図1及び図2に示した商品タグ1は、上述したように、導電性配線41の一方の端部が、表面シート10と裏面シート20との間に挟み込まれ、検知用配線33aの端部34aに接続されている。また、商品タグ1が図3に示したように商品2に取り付けられた状態においては、導電性配線41は、金属ピン42を介して接続端子部34bと導通した状態となっている。
【0045】
そのため、商品タグ1が図3に示したように商品2に取り付けられた状態においては、図5(a)に示すように、2本の検知用配線33a,33bが、導電性配線41を介して導通した状態となっている。
【0046】
一方、商品2から商品タグ1を取り外すために取り付け紐40が切断されると、図5(b)に示すように、導電性配線41の一部が断線して断線部43が生じることになる。それにより、2本の検知用配線33a,33b間が導通せず、非導通状態となる。
【0047】
このように、商品タグ1が商品2に取り付けられた状態においては、2本の検知用配線33a,33b間が導通状態となり、商品2から商品タグ1を取り外された状態においては、2本の検知用配線33a,33b間が非導通状態となる。そこで、検知用配線33a,33b間の導通状態を検出することで、商品2に取り付けられた商品タグ1が付け替えられたものかどうかを判断することができる。
【0048】
以下に、上述した作用を利用して商品タグ1が商品2に付け替えられたものかどうかを判断する具体的な方法について説明する。
【0049】
図6は、図1及び図2に示した商品タグ1が商品2に付け替えられたものかどうかを判断するためのシステムの一例を示す図である。
【0050】
図1及び図2に示した商品タグ1が商品2に付け替えられたものかどうかを判断するためのシステムとしては、図6に示すように、リーダライタ3と、管理用パソコン4とを有するシステムが考えられる。
【0051】
リーダライタ3は、読取手段となって商品タグ1に対して非接触通信が可能なものである。また、管理用パソコン4は、処理手段となってリーダライタ3と有線または無線を介して接続されている。なお、読取手段のみならず処理手段が内蔵されたハンディターミナルをリーダライタとして用いることも考えられ、その場合、管理用パソコンが不要となる。
【0052】
図7は、図6に示したシステムにおいて図1及び図2に示した商品タグ1の商品2への付け替えの有無を判断する方法を説明するためのフローチャートである。
【0053】
図1及び図2に示した商品タグ1においては、リーダライタ3が商品タグ1の通信可能範囲にて翳されることで、リーダライタ3にて商品タグ1が検出される(ステップS1)。するとまず、リーダライタ3から、商品タグ1に電力が供給されるとともに、検知用配線33a,33b間の導通状態の検出及びその検出結果の送信をする旨の命令が商品タグ1に対して送信される(ステップS2)。
【0054】
リーダライタ3から供給された電力が商品タグ1にて得られるとともに、リーダライタ3から送信された命令が商品タグ1のアンテナ32を介してICチップ31にて受信されると(ステップS3)、リーダライタ3から供給された電力によって検知用配線33a,33bに電流が供給される。
【0055】
ICチップ31においては、供給された電流を用いて検知用配線33a,33b間の抵抗値が検出されることで、検知用配線33a,33b間の導通状態が検出されることになる(ステップS4)。ここで、商品タグ1が図3に示したように商品2に取り付けられた場合は、上述したように、2本の検知用配線33a,33bが、導電性配線41を介して導通した状態となっている。そのため、ICチップ31においては、検知用配線33a,33bが導電性配線41を介して導通した抵抗値が検出されることになる。
【0056】
ここで、検知用配線33a,33bが導電性配線41を介して導通した導通状態となっている場合は、検出される抵抗値は、最大でも検知用配線33a,33bが導電性配線41を介して接続された抵抗値となる。そのため、ICチップ31においては、検出された抵抗値が、検知用配線33a,33bが導電性配線41を介して接続された抵抗値以下である場合は、検知用配線33a,33b間が導通状態にあると判断される。そして、その判断結果が検知用配線33a,33b間の導通状態の検出結果としてデジタル情報に変換され、検知用配線33a,33b間が導通状態であることを示すフラグ情報としてアンテナ32を介してリーダライタ3に非接触送信される(ステップS5)。なお、検知用配線33a,33b間が非導通状態となっている場合にICチップ31にて検出される抵抗値は、後述するようにほぼ無限大となる。そのため、ICチップ31において、検知用配線33a,33b間が導通状態にあると判断するための抵抗値として、検知用配線33a,33bが導電性配線41を介して接続された抵抗値よりも大きな一定の閾値以下のものを用いてもよい。
【0057】
一方、商品2から商品タグ1を取り外すために取り付け紐40が切断されると、上述したように、2本の検知用配線33a,33b間が導通せず、非導通状態となる。その状態においては、リーダライタ3から供給された電力によって検知用配線33a,33bに電流が供給されても、検知用配線33a,33b間が非導通状態となっていることから検知用配線33a,33bには電流が流れない。そのため、ICチップ31において検出される抵抗値は、ほぼ無限大となる。
【0058】
ICチップ31においては、検出された抵抗値がほぼ無限大である場合は、検知用配線33a,33b間が非導通状態になっていると判断される。そして、その判断結果が検知用配線33a,33bの導通状態の検出結果としてデジタル情報に変換され、検知用配線33a,33bが非導通状態であることを示すフラグ情報としてアンテナ32を介してリーダライタ3に非接触送信される。なお、検知用配線33a,33b間が導通状態である場合にICチップ31にて検出される抵抗値は、上述したように、最大でも検知用配線33a,33bが導電性配線41を介して接続された抵抗値となる。そのため、ICチップ31において、検知用配線33a,33b間が非導通状態であると判断するための抵抗値として、検知用配線33a,33bが導電性配線41を介して接続された抵抗値よりも大きな一定の閾値以上のものを用いてもよい。
【0059】
このように、リーダライタ3においては、商品タグ1にて検出された検知用配線33a,33b間の導通状態を、アンテナ32を介して非接触送信させることになる。
【0060】
上記のようにして商品タグ1からリーダライタ3に非接触送信された検出結果がリーダライタ3にて受信されると(ステップ6)、リーダライタ3にて受信された検出結果は管理用パソコン4に転送される(ステップ7)。
【0061】
リーダライタ3から転送されてきた検出結果は管理用パソコン4にて受信される(ステップ8)。管理用パソコン4においては、商品タグ1からリーダライタ3に非接触送信され、管理用パソコン4に転送されてきた検出結果に基づいて、商品2に取り付けられた商品タグ1が付け替えられたものかどうかが判断されることになる(ステップ9)。具体的には、リーダライタ3から管理用パソコン4に転送されてきた検出結果において、検知用配線33a,33b間が導通状態である場合は、商品タグ1が付け替えられたものではないと判断される。また、検知用配線33a,33b間が非導通状態である場合は、商品タグ1が付け替えられたものであると判断されることになる。
【0062】
このように、本実施形態においては、商品タグ1から送信された、検知用配線33a,33b間の導通状態を示すフラグ情報に基づいて、商品タグ1が付け替えられたものであるかどうかが判断される。ここで、商品タグ1のICチップ31が故障している場合は、リーダライタ3から検知用配線33a,33b間の導通状態の検出結果の送信をする旨の命令が商品タグ1に対して送信されても、それに対して商品タグ1からは何も送信されてこない。そのため、商品タグ1が付け替えられていないものが付け替えられたものと判断されてしまうことがなくなり、商品2に付け替えられたものかどうかを正確に判断することができる。
【0063】
また、本実施形態においては、導電性配線41と検知用配線33bとが、表面シート10、RFIDタグ30及び裏面シート20を貫通した金属ピン42によって接続される。それにより、検知用配線33a,33bを表面シート10や裏面シート20から表出させることなく、取り付け紐40によって商品タグ1を商品2に取り付ける際に、容易に導電性配線41を検知用配線33bに接続させて商品タグ1を取り付けることができる。
【0064】
また、本実施形態においては、金属ピン42が接続部11に刺され、金属ピン42がカシメによって商品タグ1に固定される。それにより、商品タグ1を商品2から取り外すことが困難となり、さらに商品2から取り外した商品タグ1を再度商品2に取り付けることも困難となる。
【0065】
なお、金属ピン42を介して導電性配線41と検知用配線33bとが接続されれば、金属ピン42をカシメによって商品タグ1に固定するものには限らない。例えば金属ピン42を接続部11に刺すだけの構成であってもよく、金属ピン42の裏面シート20側に突出した部分を留める部材を設けてもよい。また、金属ピン42の代わりにホチキスの針で導電性配線41と検知用配線33bとを接続してもよい。その場合、指示マーク12として、ホチキスで留める部分を明示しておくことが好ましい。
【0066】
(他の実施形態)
図8は、本発明のタグの他の実施形態を示す図であり、(a)は商品に取り付けられる前の状態における正面図、(b)は商品に取り付けられた状態における正面図である。
【0067】
本実施形態は図8に示すように、図1に示したものに対して、取り付け紐40の導電性配線41とRFIDタグ30の接続端子部34bとの接続方法が異なる商品タグ101である。
【0068】
本実施形態における表面シート110は、RFIDタグ30の接続端子部34bに対向する領域に表裏貫通した孔部13が形成されている。
【0069】
このように構成された商品タグ101を図3に示したように商品2に取り付ける場合は、図8(b)に示すように、取り付け紐40に内蔵された導電性配線41の検知用配線33aに接続されていない側の端部を、孔部13を介して接続端子部34bに接触させる。
【0070】
そして、その状態にてはんだ44を用いて導電性配線41と接続端子部34bとを接続、導通させる。そのため、本実施形態においては、なお、アンテナ32及び検知用配線33a,33bが形成された面が表面シート10と対向するように、RFIDタグ30が表面シート110と裏面シート20との間に挟み込まれている。
【0071】
このようにして、取り付け紐40のフリーとなっていた側の一端が表面シート110上に固定され、図8(b)に示すように取り付け紐40でループが形成され、商品タグ1が商品2に取り付けられることになる。この際、導電性配線41がはんだ44を介して接続端子部34bと導通した状態となる。
【0072】
なお、上述した実施形態においては、導電性配線41の一方の端部が検知用配線33aの端部34aに接続されている。そして、商品タグ1,101を商品2に取り付けた後に、導電性配線41の他方の端部が金属ピン42やはんだ44によって、検知用配線33bに接続された接続端子部34bに接続される。しかしながら、商品タグ1,101を商品2に取り付けた後に、導電性配線41の一方の端部を検知用配線33aに接続し、導電性配線41の他方の端部を検知用配線33bに接続する構成としてもよい。
【0073】
また、本発明のタグは、商品タグに限らず、添付する物品等が偽物ではないことを証明するものであれば、様々なタグに適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1,101 商品タグ
2 商品
2a 取っ手
3 リーダライタ
4 管理用パソコン
10,110 表面シート
11 接続部
12 指示マーク
13 孔部
20 裏面シート
30 RFIDタグ
31 ICチップ
32 アンテナ
32a,32b 導体部
33a,33b 検知用配線
34a 端部
34b 接続端子部
35 ベース基材
40 取り付け紐
41 導電性配線
42 金属ピン
43 断線部
44 はんだ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8