(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129372
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび生産システム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20240919BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
G05B23/02 302Y
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038532
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 隆樹
(72)【発明者】
【氏名】安川 和希
(72)【発明者】
【氏名】山本 博志
【テーマコード(参考)】
3C100
3C223
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA56
3C100AA58
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB34
3C223AA11
3C223BA01
3C223BB08
3C223CC01
3C223EB01
3C223EB02
3C223FF04
3C223FF09
3C223FF15
3C223FF16
3C223FF17
3C223FF35
3C223FF45
3C223GG03
3C223HH02
3C223HH03
3C223HH08
3C223HH15
(57)【要約】
【課題】生産工程に発生した異常の原因をユーザが特定しやすくするための情報を提供する。
【解決手段】複数の工程を含む生産ライン2の状況に関連する情報を処理する情報処理装置100は、複数の工程の状況を示す複数の変数に対して多変量解析を行なうことによって、単位時間ごとの統計量を算出する。情報処理装置100は、第1軸を時刻とし第2軸を統計量として統計量の時系列を表示する第1のグラフ201Aと、複数の工程のうちの少なくとも1つの工程に関する作業の属する作業カテゴリの実施期間を表わすチャート201Bとが、時間軸を揃えて並べて表示される状態監視画面201を含む画像を示す画像信号を生成する。情報処理装置100は、画像信号を表示装置である端末装置70に出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工程を含む生産ラインの状況に関連する情報を処理する情報処理装置であって、
前記複数の工程の状況を示す複数の変数を記憶するとともに、前記複数の工程のうちの少なくとも1つの工程に関する作業の属する作業カテゴリと、前記作業が実施された期間である実施期間とを含む作業記録を記憶する記憶部と、
処理部と、
出力部とを備え、
前記処理部は、
前記複数の変数に対して多変量解析を行なうことによって、単位時間ごとの統計量を算出し、
第1軸を時刻とし第2軸を前記統計量として前記統計量の時系列を表示する第1のグラフと、前記作業カテゴリの前記実施期間を表わすチャートとが、時間軸を揃えて並べて表示される状態監視画面を含む画像を示す画像信号を生成し、
前記出力部は、前記画像信号を表示装置に出力する、情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、さらに、前記統計量の前記時系列の中から選択された統計量に対する、前記複数の変数の各々の寄与度を算出して、前記複数の変数ごとの前記寄与度を表わす第2のグラフが表示される寄与度表示画面を前記画像に含む前記画像信号を生成する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、
前記寄与度に基づいて、前記複数の変数の中から主要項目を選択し、
前記画像において、前記第2のグラフにおける前記主要項目の寄与度と、前記状態監視画面の前記チャートにおける、前記主要項目に関連する前記作業カテゴリの前記実施期間とが関連付けて表示されるように、前記画像信号を生成する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記第2のグラフにおける前記主要項目の寄与度の表示色と、前記状態監視画面の前記チャートにおける、前記主要項目に関連する前記作業カテゴリの前記実施期間の表示色とを、同じ色に設定する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記作業記録は、さらに、前記作業の作業内容に関する情報を含み、
前記処理部は、前記画像において、前記作業記録の中から選択された前記作業カテゴリおよび前記実施期間に関連付けられた前記作業内容が、前記状態監視画面の前記チャートに関連付けて表示されるように、前記画像信号を生成する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
複数の工程を含む生産ラインの状況に関連する情報を処理する情報処理方法であって、
前記複数の工程の状況を示す複数の変数に対して多変量解析を行なうことによって、単位時間ごとの統計量を算出することと、
第1軸を時刻とし第2軸を前記統計量として前記統計量の時系列を表示するグラフと、前記複数の工程のうちの少なくとも1つの工程に関する作業の属する作業カテゴリの実施期間を表わすチャートとが、時間軸を揃えて並べて表示される状態監視画面を含む画像を示す画像信号を生成することと、
前記画像信号を表示装置に出力することとを備える、情報処理方法。
【請求項7】
複数の工程を含む生産ラインの状況に関連する情報を処理する情報処理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記情報処理方法は、
前記複数の工程の状況を示す複数の変数に対して多変量解析を行なうことによって、単位時間ごとの統計量を算出することと、
第1軸を時刻とし第2軸を前記統計量として前記統計量の時系列を表示するグラフと、前記複数の工程のうちの少なくとも1つの工程に関する作業の属する作業カテゴリの実施期間を表わすチャートとが、時間軸を揃えて並べて表示される状態監視画面を含む画像を示す画像信号を生成することと、
前記画像信号を表示装置に出力することとを含む、プログラム。
【請求項8】
生産システムであって、
複数の工程を含む生産ラインと、
前記複数の工程の状況に関連する情報を処理する情報処理装置とを備え、
前記情報処理装置は、
前記複数の工程の状況を示す複数の変数と、前記複数の工程のうちの少なくとも1つの工程に関する作業の属する作業カテゴリと前記作業が実施された期間である実施期間とを含む作業記録と、を取得し、
前記複数の変数に対して多変量解析を行なうことによって、単位時間ごとの統計量を算出し、
第1軸を時刻とし第2軸を前記統計量として前記統計量の時系列を表示するグラフと、前記作業カテゴリの前記実施期間を表わすチャートとが、時間軸を揃えて並べて表示される状態監視画面を含む画像を示す画像信号を生成し、
前記画像信号を受けて前記状態監視画面を表示する表示装置をさらに備える、生産システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび生産システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2017-177218号公報(特許文献1)は、多変量統計的管理プロセスおよび管理図を使用することによって、製造工程中の処理パラメータの変動を管理することを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】田村希志臣、「第3回MT法による状態診断」、標準化と品質管理、2008年、Vol.61、No.12
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の管理図は、特定の工程におけるパラメータの経時的な変化を示す。パラメータが管理範囲から外れた場合、工程に異常が発生したと判断される。ユーザにとって、パラメータの変動のみに基づいて異常の原因を特定することは容易ではない。このため、ユーザが工程を正常状態に復帰するための作業に着手するのに時間を要する可能性がある。
【0006】
本開示の目的は、生産工程に発生した異常の原因をユーザが特定しやすくするための情報を提供するための情報処理装置、情報処理方法法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一例によれば、複数の工程を含む生産ラインの状況に関連する情報を処理する情報処理装置は、複数の工程の状況を示す複数の変数を記憶するとともに、複数の工程のうちの少なくとも1つの工程に関する作業の属する作業カテゴリと、作業が実施された期間である実施期間とを含む作業記録を記憶する記憶部と、処理部と、出力部とを備える。処理部は、複数の変数に対して多変量解析を行なうことによって、単位時間ごとの統計量を算出し、第1軸を時刻とし第2軸を統計量として統計量の時系列を表示する第1のグラフと、作業カテゴリの実施期間を表わすチャートとが、時間軸を揃えて並べて表示される状態監視画面を含む画像を示す画像信号を生成する。出力部は、画像信号を表示装置に出力する。
【0008】
この開示によれば、生産工程に発生した異常の原因をユーザが特定しやすくするための情報を提供することができる。異常が発生すると、統計量が大きく変動する。統計量が大きく変動したこと、および、その変動が始まった時刻についての情報は第1のグラフによってユーザに提供される。さらに、チャートは、統計量の大きな変動が始まった時刻(あるいは、その直前に行われた作業の情報をユーザに提示する。したがって、生産工程に発生した異常の原因をユーザが特定しやすくなる。
【0009】
上述の開示において、処理部は、さらに、統計量の時系列の中から選択された統計量に対する、複数の変数の各々の寄与度を算出して、複数の変数ごとの寄与度を表わす第2のグラフが表示される寄与度表示画面を画像に含む画像信号を生成する。
【0010】
この開示によれば、ユーザに、複数の変数のうち統計量への影響(寄与)が大きい変数に関する情報を与えることができる。したがって、ユーザに、たとえば生産ラインに異常が発生したときの統計量に対する寄与の大きい変数の情報を与えることができる。
【0011】
上述の開示において、処理部は、寄与度に基づいて、複数の変数の中から主要項目を選択し、画像において、第2のグラフにおける主要項目の寄与度と、状態監視画面のチャートにおける、主要項目に関連する作業カテゴリの実施期間とが関連付けて表示されるように、画像信号を生成する。
【0012】
この開示によれば、生産ラインに異常が発生したことによって、統計量が管理範囲から外れた場合、管理範囲から外れた統計量に対する寄与が大きい変数がどの作業カテゴリに関連する変数であるかをユーザに把握させることができる。
【0013】
上述の開示において、処理部は、第2のグラフにおける主要項目の寄与度の表示色と、状態監視画面のチャートにおける、主要項目に関連する作業カテゴリの実施期間の表示色とを、同じ色に設定する。
【0014】
この開示によれば、管理範囲から外れた統計量に対する寄与が大きい変数(主要項目)と、その主要項目に関連する作業カテゴリとの関連性がユーザに容易に把握可能となる。
【0015】
上述の開示において、作業記録は、さらに、作業の作業内容に関する情報を含む。処理部は、画像において、作業記録の中から選択された作業カテゴリおよび実施期間に関連付けられた作業内容が、状態監視画面のチャートに関連付けて表示されるように、画像信号を生成する。
【0016】
この開示によれば、主要項目に関連する作業カテゴリに属する具体的な作業内容の情報をユーザに提供することができる。
【0017】
本開示の一例によれば、複数の工程を含む生産ラインの状況に関連する情報を処理する情報処理方法は、複数の工程の状況を示す複数の変数に対して多変量解析を行なうことによって、単位時間ごとの統計量を算出することと、第1軸を時刻とし第2軸を統計量として統計量の時系列を表示するグラフと、複数の工程のうちの少なくとも1つの工程に関する作業の属する作業カテゴリの実施期間を表わすチャートとが、時間軸を揃えて並べて表示される状態監視画面を含む画像を示す画像信号を生成することと、画像信号を表示装置に出力することとを備える。
【0018】
この開示によれば、生産工程に発生した異常の原因をユーザが特定しやすくするための情報を提供することができる。
【0019】
本開示の一例によれば、プログラムは、複数の工程を含む生産ラインの状況に関連する情報を処理する情報処理方法をコンピュータに実行させる。情報処理方法は、複数の工程の状況を示す複数の変数に対して多変量解析を行なうことによって、単位時間ごとの統計量を算出することと、第1軸を時刻とし第2軸を統計量として統計量の時系列を表示するグラフと、複数の工程のうちの少なくとも1つの工程に関する作業の属する作業カテゴリの実施期間を表わすチャートとが、時間軸を揃えて並べて表示される状態監視画面を含む画像を示す画像信号を生成することと、画像信号を表示装置に出力することとを含む。
【0020】
この開示によれば、生産工程に発生した異常の原因をユーザが特定しやすくするための情報を提供することができる。
【0021】
本開示の一例によれば、生産システムは、複数の工程を含む生産ラインと、複数の工程の状況に関連する情報を処理する情報処理装置とを備える。情報処理装置は、複数の工程の状況を示す複数の変数と、複数の工程のうちの少なくとも1つの工程に関する作業の属する作業カテゴリと作業が実施された期間である実施期間とを含む作業記録と、を取得し、複数の変数に対して多変量解析を行なうことによって、単位時間ごとの統計量を算出し、第1軸を時刻とし第2軸を統計量として統計量の時系列を表示するグラフと、作業カテゴリの実施期間を表わすチャートとが、時間軸を揃えて並べて表示される状態監視画面を含む画像を示す画像信号を生成する。生産システムは、画像信号を受けて状態監視画面を表示する表示装置をさらに備える。
【0022】
この開示によれば、生産工程に発生した異常の原因をユーザが特定しやすくなる。したがって、例えば、異常の原因の解明に必要な時間を短縮できる可能性が高くなる。あるいは、生産ラインが異常によって停止したとしても、その停止時間を短縮することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、生産工程に発生した異常の原因をユーザが特定しやすくするための情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施の形態に係る情報処理装置を含む生産システムの構成を示す概略図である。
【
図2】実施の形態に係る管理システムの構成例を示す模式図である。
【
図3】実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【
図4】実施の形態に係る情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図5】生産ラインで生産される製品の一例である、メカニカルリレーの主要部の構成の例を示した図である。
【
図6】端末装置によってユーザに提供される、作業記録の入力画面の例を示した図である。
【
図7】情報処理装置による、作業記録に含まれる情報と、異常の原因の候補となる項目との間の関連付けを説明するための模式図である。
【
図9】実施の形態に係る寄与度表示画面の例を示した模式図である。
【
図10】実施の形態に係る情報処理装置が端末装置に提供する状態監視画面の追加表示の例を示した模式図である。
【
図11】実施の形態に係る情報処理装置によって実行される処理の流れの一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0026】
§1 適用例
図1を参照して、本発明が適用される場面の一例について説明する。
図1は、実施の形態に係る情報処理装置を含む生産システムの構成を示す概略図である。
図1に示されるように、生産システム1は、生産ライン2と、生産ライン2の状況に関連する情報を処理する情報処理装置100と、端末装置70と、を備える。情報処理装置100は、生産ライン2と通信可能に接続されるとともに、端末装置70と通信可能に接続される。
【0027】
情報処理装置100は、生産ライン2から、生産ライン2の状況を示す複数の変数の値を繰り返し取得する。「複数の変数の値」とは、センサ(図示せず)あるいは設備(図示せず)から出力される数値データである。
【0028】
情報処理装置100が、複数の変数の値を繰り返し取得するタイミングは特に限定されない。例えば情報処理装置100は、一定の周期で複数の変数の値を取得してもよい。
【0029】
情報処理装置100は、さらに、作業記録を取得する。この作業記録は、テキストデータの形式で情報処理装置100に入力されてもよい。例えば作業記録は、端末装置70から情報処理装置100に入力される。作業記録は、たとえば生産ライン2のユーザによって作成される。ただし、作業記録はユーザによって作成されたものに限定されない。たとえば、作業記録は、エリアに設置されたカメラまたは装置の情報から作業を特定して、その特定された作業を記録することによって作成されてもよい。
【0030】
作業記録は、生産ライン2の状況に関する定性情報に相当する。作業記録は、生産ライン2の複数の工程のうちの少なくとも1つの工程に関連する作業についての情報を含む。具体的には、作業記録は、上記の作業の属する作業カテゴリ、作業の実施期間、および作業の内容に関する情報を含む。
【0031】
情報処理装置100は、取得された数値データおよび作業記録を、データ記憶部132に記憶する。情報処理装置100は、データ記憶部132から複数の変数(数値データ)を読み出して、複数の変数に対して多変量解析を行なうことによって、単位時間ごとの統計量を算出する(ステップ(1))。
【0032】
次に、情報処理装置100は、算出された統計量に基づいて、第1軸を時刻とし第2軸を統計量として統計量の時系列を表示するグラフ(第1のグラフ)を作成する。さらに、情報処理装置100は、データ記憶部132に記憶された作業記録に基づいて、作業カテゴリの実施期間を表わすチャートを作成する。チャートの形式は特に限定されないが、例えばガントチャートでありうる。情報処理装置100は、第1のグラフおよびチャートが、時間軸を揃えて並べて表示される状態監視画面を含む画像を示す画像信号を生成する。情報処理装置100は、画像信号を、端末装置70に出力する。
【0033】
端末装置70は、表示機能、入力機能、通信機能等を有するデバイスであり、例えば、パーソナルコンピュータ、あるいはタブレットなどである。端末装置70は、画像信号を受けて、画像200を表示する。
【0034】
画像200は、生産ライン2の状態の監視結果を表示する状態監視画面201を含む。状態監視画面201では、グラフ201A(第1のグラフ)およびチャート201Bが、時間軸を揃えて並べて表示される。
【0035】
さらに、情報処理装置100は、時系列の中から選択された統計量に対する、複数の変数の各々の寄与度を算出する。「時系列の中から選択された統計量」とは、例えばグラフ201Aに示された統計量の時系列の中から、ユーザによって選択された統計量である。この場合、情報処理装置100は、複数の変数ごとの寄与度を表わす第2のグラフが表示される寄与度表示画面を上記の画像に含めた画像信号を生成する。端末装置70は、選択された統計量に対する複数の変数の各々の寄与度を表わす寄与度表示画面202(第2の画面)を、状態監視画面201とともに表示する。寄与度表示画面202には、複数の変数の各々の寄与度を示すグラフ202A(第2のグラフ)が含まれる(ステップ(2))。
【0036】
さらに、情報処理装置100は、算出された統計量と、統計量の管理範囲とを比較する。情報処理装置100は、算出された統計量が管理範囲外にある場合に、生産ライン2に異常が発生していることを検知する(ステップ(3))。この場合、情報処理装置100は、グラフ201Aにおける統計量の表示において、管理範囲から外れた統計量を表わすマーカの色を、管理範囲内にある統計量を表わすマーカの色(例えば青)とは異なる色(例えば赤)に設定する。ユーザは、状態監視画面201のグラフ201Aに、通常の色とは異なる色のマーカが表示されていることを確認することによって、生産ライン2に異常が発生したことを容易に把握できる。なお、グラフ201Aの表示について、管理範囲内に警告範囲をさらに設定して、その警告範囲内にある統計量を黄色のマーカで表してもよい。
【0037】
管理範囲から外れた統計量をユーザが選択した場合、情報処理装置100は、その統計量に対する複数の変数の各々の寄与度に基づいて、複数の変数の中から、異常の発生の主な原因である主要項目を選択する。主要項目の選択は、寄与度の大きさに基づく。例えば、複数の変数のうち、最も寄与度が大きい変数、および2番目に寄与度が大きい変数が主要項目として選択される。
【0038】
情報処理装置100は、生産ライン2の異常の原因の主要項目と、その項目に関連する作業カテゴリとが関連付けて表示されるように、画像信号を生成する(ステップ(4))。具体的には、状態監視画面201および寄与度表示画面202を含む画像を表わす画像信号を生成する際に、情報処理装置100は、グラフ202Aにおける主要項目の寄与度と、状態監視画面201のチャート201Bにおける、主要項目に関連する作業カテゴリの実施期間とが関連付けて表示されるように画像信号を生成する。
【0039】
図1に示したグラフ202Aの例において、複数の変数はパラメータA~Gと示される。パラメータA~Gのうち、パラメータCが最も寄与度の大きいパラメータであり、パラメータEが2番目に寄与度の大きいパラメータである。情報処理装置100は、画像信号を生成する際に、パラメータCの寄与度の表示色およびパラメータEの寄与度の表示色を、それぞれ、赤色および黄色に設定する。グラフ202Aにおいて、パラメータCの寄与度が赤色で表示され、パラメータEの寄与度が黄色で表示される。なお、他のパラメータの寄与度(3位以下の寄与度)は、たとえば、最も大きい寄与度および2番目に大きい寄与度の表示色とは異なる色(例えば緑色)で表示されてもよい。
【0040】
チャート201Bに、3つの作業カテゴリ(カテゴリa~c)と、その各々の作業カテゴリの実施期間が表示される。カテゴリa~cのうちパラメータCに関連する作業カテゴリは、作業カテゴリcであり、パラメータEの寄与度に関連する作業カテゴリは、作業カテゴリbである。チャート201Bにおいて、作業カテゴリcの実施期間を表わすバーが、グラフ202AにおけるパラメータCの寄与度の表示色と同じ色(すなわち赤)で表示される。さらに、チャート201Bにおいて、作業カテゴリbの実施期間を表わすバーが、グラフ202AにおけるパラメータEの寄与度の表示色と同じ色(すなわち黄色)で表示される。
【0041】
情報処理装置100は、生産工程に発生した異常の原因をユーザが特定しやすくなるように、生産工程を通じて得られる情報を処理する。ユーザは、生産ラインに異常が発生した場合に、状態監視画面201および寄与度表示画面202を見ることによって、その異常と関連する作業カテゴリを把握することができる。これによりユーザは、異常の原因を推測しやすくなる。したがって、本実施形態によれば、例えば、異常の原因の解明に必要な時間を短縮できるという効果が得られやすくなる。あるいは、生産ラインが異常によって停止した場合に、その停止時間を短縮するといった効果が得られやすくなる。
【0042】
なお、本実施の形態において、統計量に対する寄与度の大きい主要項目と、その項目に関連する作業カテゴリとが関連付けられて表示される場合は、統計量が管理範囲から外れた場合のみに限定されない。たとえば上述のように、統計量の管理範囲内に警告範囲が設定されている場合には、その警告範囲内にある統計量に対する寄与度の大きさに基づいて決定される主要項目と、その関連する作業カテゴリとが関連付けられて表示されてもよい。統計量が管理範囲内であっても、統計量の推移から異常傾向がみられる場合に、寄与度あるいは寄与度が高い変数に紐づく作業を確認することが可能になる。
【0043】
§2 具体例
<システムの構成例>
図2は、実施の形態に係る管理システムの構成例を示す模式図である。
図2を参照して、生産システム1は、複数の工程を含む生産ライン2に関連付けられており、生産ライン2を管理するための機能を提供する。
【0044】
本実施の形態において、生産ライン2は、特定の製品の生産のためのラインであると限定されない。本実施の形態は、複数の工程を含む任意の生産ラインに適用できる。さらに、生産ライン2に含まれる工程の数は特に限定されない。一例として、
図2では、生産ライン2が複数の工程21~25によって構成されている。
図2中において、工程21~25を「工程1」~「工程5」とも記す。
【0045】
データ収集機器31~35は、それぞれ、工程21~25の状況に関するデータを収集する。データ収集機器31~35は、収集したデータを情報処理装置100へと送信する。データ収集機器31~35の各々は、例えばセンサ、あるいは装置、あるいは設備である。データ収集機器31~35の各々は、例えば図示しないネットワークを介して、対象の工程に関する状態情報を所定期間毎またはイベント毎に送信してもよい。
【0046】
情報処理装置100は、データ収集機器31~35の各々から、対応する工程の状況に関する情報を収集する。情報処理装置100は、その収集された情報を用いて、生産ライン2の状況を管理する。さらに情報処理装置100は、生産ライン2の状況を表示するための画面を含む画像を示す画像信号を生成する。情報処理装置100は、端末装置70に、その画像信号を出力する。
【0047】
端末装置70は、情報処理装置100による解析結果を表示する表示装置として機能する。さらに、端末装置70は、生産ラインの作業に関する記録をユーザが入力するための入力装置としても機能する。
【0048】
実施の形態に係る生産システム1は4M+1E管理を採用する。4M+1E管理とは、機械(Machine)、人(Man)、材料(Material)、方法(Method)の4M、および、環境(Environment)の1Eの視点から要因分析を行う手法である。品質管理上で生じた事象(問題)に対して、これらの視点から、原因の分析、処置・対策の設定などが検討される。
【0049】
機械(Machine)の視点には、例えば、製造設備、機器、器具などに固有に起因する要因などが分類される。
【0050】
人(Man)の視点には、例えば、作業者の経験年数・熟練度、作業者の心身的な状態、担当する作業の内容などの要因が分類される。
【0051】
材料(Material)の視点には、例えば、原料の特性、品質、材質などに起因する要因が分類される。
【0052】
方法(Method)の視点には、例えば、各工程について定められている手順などに起因する要因が分類される。
【0053】
環境(Environment)の始点には、例えば、照明、音、空気などに起因する要因が分類される。
【0054】
品質管理上に生じた何かの事象に関連する要因は単一であるとは限らず、同一の視点に属する、あるいは、異なる視点に属する複数の要因が互いに関連して当該事象を生じ生じさせることもある。このような複数の要因が互いに関連した事象を生じさせた場合には、それらの複数の要因は「複合要因」と総称されることもある。
【0055】
実施の形態に係る生産システム1は、4M+1E管理の観点から製造設備の品質管理を容易化することを一つの目的としている。本実施の形態によれば、4M+1E管理の知識を持たないユーザ(例えば、品質管理の担当者または責任者)であっても、製造設備の品質管理をより効率的かつ適切に行うことができる。
【0056】
<情報処理装置のハードウェア構成>
図3は、実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図3に示されるように、情報処理装置100は、典型的には、汎用的なコンピュータアーキテクチャに従う構造を有する。具体的には、情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro-Processing Unit)などのプロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、表示コントローラ104と、入力インターフェイス105と、通信インターフェイス106と、を含む。これらの各部は、バスを介して、互いにデータ通信可能に接続される。
【0057】
プロセッサ101は、ストレージ103に記憶されている各種のプログラムをメモリ102に展開して実行することによって、本実施の形態に従う各種処理を実現する。
【0058】
メモリ102は、典型的には、DRAMなどの揮発性の記憶装置であり、ストレージ103から読み出されたプログラムなどを記憶する。
【0059】
ストレージ103は、典型的には、ハードディスクトライブなどの不揮発性の磁気記憶装置である。ストレージ103は、プロセッサ101で実行される異常検知プログラム131を記憶する。したがって、本実施形態に係る発明は、異常検知プログラム131を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体としても実現可能である。ストレージ103にインストールされる各種のプログラムは、例えばメモリカードなどの記憶媒体に格納された状態で流通されてもよい。あるいは、ストレージ103にインストールされる各種のプログラムは、通信インターフェイス106を介して、配信サーバなどからダウンロードされることによってストレージ103に格納されてもよい。
【0060】
ストレージ103は、さらに、データ記憶部132を含む。データ記憶部132は、情報処理装置100がデータ収集機器から収集したデータ、およびユーザが端末装置70を介して入力した作業記録を保存する。
【0061】
表示コントローラ104は、端末装置70と接続されており、プロセッサ101からの内部コマンドに従って、各種の情報を表示するための信号を端末装置70へ出力する。
【0062】
入力インターフェイス105は、プロセッサ101と、端末装置70との間のデータ伝送を仲介する。すなわち、入力インターフェイス105は、ユーザが端末装置70を操作することによって情報処理装置100に与えられる、操作指令および情報を受け付ける。端末装置70から与えられる情報は、端末装置70を操作するユーザによって入力された作業記録を含む。端末装置70が有する入力デバイスは、限定されないが、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、専用コンソールなどである。
【0063】
通信インターフェイス106は、プロセッサ101と外部機器(例えば、生産ライン2に設けられたデータ収集機器(
図2を参照))との間におけるデータ伝送を仲介する。通信インターフェイス106は、典型的には、イーサネット(登録商標)あるいはUSB(Universal Serial Bus)などを含む。
【0064】
上述のような汎用的なコンピュータアーキテクチャに従う構造を有するコンピュータを利用する場合には、実施の形態に係る機能を提供するためのアプリケーションに加えて、コンピュータの基本的な機能を提供するためのOS(Operating System)がインストールされていてもよい。この場合には、実施の形態に係るプログラムは、OSの一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の順序およびタイミングで呼出して処理を実行するものであってもよい。すなわち、実施の形態に係るプログラム自体は、上記のようなモジュールを含んでおらず、OSと協働して処理が実行される場合もある。
【0065】
なお、代替的に、異常検知プログラム131の実行により提供される機能の一部もしくは全部を、専用のハードウェア回路として実装してもよい。
【0066】
<情報処理装置の機能構成>
図4は、実施の形態に係る情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。
図4に示されるように、情報処理装置100は、収集部11と、記憶部12と、算出部13と、検知部14と、選択部15と、信号生成部16と、出力部17と、を備える。算出部13と、検知部14と、選択部15と、信号生成部16とは、処理部10を構成する。
【0067】
収集部11は、入力インターフェイス105と、通信インターフェイス106と、異常検知プログラム131を実行するプロセッサ101とによって実現される。収集部11は、生産ライン2から、単位時間(例えば1分、5分など)ごとの生産ライン2の現状況を示す複数の変数の実績値を、データ収集機器(
図2を参照)から収集する。さらに収集部11は、端末装置70を介してユーザが入力した作業記録を取得する。
【0068】
記憶部12は、ストレージ103内のデータ記憶部132と、異常検知プログラム131を実行するプロセッサ101とによって実現される。記憶部12は、収集部11によって収集あるいは取得された複数の変数、および端末装置70から入力された作業記録を記憶する。
【0069】
処理部10(算出部13、検知部14、選択部15および信号生成部16)は、プロセッサ101が異常検知プログラム131を実行することにより実現される。算出部13は、複数の変数に対して多変量解析を行なうことによって単位時間ごとの統計量を算出する。多変量解析は、複数の説明変数からなる多変量データを統計的に扱う手法である。したがって算出部13は、公知の多変量解析の手法を用いればよい。例えば、算出部13は、MT(マハラノビス・タグチ)法を用いて統計量を算出してもよい。複数の変数に対してMT法を適用することにより、算出部13は、統計量としてマハラノビス距離を算出することができる。
【0070】
算出部13は、MT法以外の多変量解析を用いて統計量を算出してもよい。MT法以外の多変量解析として、例えば、PCA(Principal Component Analysis(主成分分析))、PLS(Partial Least Squares(部分的最小二乗法))、T法(Taguchi法)などを挙げることができる。
【0071】
算出部13は、さらに、算出された統計量に対する複数の変数の各々の寄与度を算出する。例えば多変量解析としてMT法が用いられる場合、算出部13は、複数の変数の値を示すデータセットを取得する。算出部13は、複数の変数から選択される1以上の変数の各組み合わせについて、当該組み合わせに対応する単位空間を用いて、データセットのマハラノビス距離を算出する。なお、各組み合わせに対応する単位空間は、生産ライン2が正常に動作しているときに得られたサンプルデータ群を用いて予め生成されてもよい。算出部13は、組み合わせごとに算出されたマハラノビス距離に基づいて、複数の変数の要因効果図を作成する。要因効果図は、各パラメータによるマハラノビス距離への影響度、すなわち寄与度を表している。
【0072】
検知部14は、算出部13によって算出された統計量を用いて、生産ライン2に異常が発生したことを検知する。例えば生産ライン2に含まれる複数の工程のうちのいずれかの工程において異常が発生した場合、統計量が変動する。検知部14は、統計量と、統計量の管理範囲とを比較して、統計量が管理範囲内にあるかどうかを判断する。統計量が管理範囲を外れた場合、検知部14は、生産ライン2に異常が発生したことを検知する。
【0073】
選択部15は、検知部14が異常の発生を検知したことに応じて、複数の変数の中から、統計量への影響度の相対的に大きい変数を選択する。例えば多変量解析としてMT法が用いられる場合、選択部15は、非特許文献1(田村希志臣、「第3回MT法による状態診断」、標準化と品質管理、2008年、Vol.61、No.12)に開示の技術を用いて、上位所定数のパラメータを抽出してもよい。上記文献に開示された方法に従い、選択部15は、算出部13によって作成された要因効果図から、要因効果の大きい上位所定数のパラメータを主要項目として抽出する。要因効果図は、各パラメータによるマハラノビス距離への影響度を表す。例えば、ある変数(「パラメータA」と呼ぶ)を含む組み合わせに対応する単位空間を用いて算出されたマハラノビス距離が、パラメータAを含まない組み合わせに対応する単位空間を用いて算出されたマハラノビス距離よりも大きい場合、パラメータAによるマハラノビス距離への影響度が大きい。したがって選択部15は、パラメータAを主要項目として抽出することができる。
【0074】
信号生成部16は、算出部13によって算出された統計量および、記憶部12に格納された作業記録を用いて、統計量の時系列を表わすグラフ(
図1に示すグラフ201A)および、作業カテゴリの実施期間を表わすチャート(
図1に示すチャート201B)が、時間軸を揃えて並べて表示される状態監視画面(
図1に示す状態監視画面201)を含む画像を示す画像信号を生成する。統計量の時系列を表わすグラフには、統計量の管理範囲を示す表示が含まれていてもよい。
【0075】
さらに、検知部14が生産ライン2に異常が発生していることを検知した場合、信号生成部16は、検知部14による検知の結果が画像に表示されるように画像信号を生成する。たとえば
図1に示すように、信号生成部16は、グラフ201Aを含む画像を表わす画像信号の生成において、管理範囲を外れた統計量を表わすマーカの表示色を、管理範囲内の統計量を表わすマーカの表示色と異なるように設定する。
【0076】
信号生成部16は、さらに、上記画像の生成において、統計量の時系列の中から選択された統計量に対する、複数の変数の各々の寄与度を取得して、寄与度表示画面が画像に含まれるように画像信号を生成してもよい。
【0077】
検知部14が生産ライン2に異常が発生していることを検知した場合、信号生成部16は、画像信号の生成において、寄与度表示画面内のグラフにおける主要項目の寄与度と、状態監視画面のチャートにおける、主要項目に関連する作業カテゴリの実施期間とを関連付けて表示するための処理を実行する。たとえば、主要項目の寄与度と、その主要項目に関連する作業カテゴリの実施期間とが同じ色によって表示されるように、信号生成部16は、主要項目の寄与度の表示色および、その主要項目に関連する作業カテゴリの実施期間の表示色を設定する。
【0078】
出力部17は、表示コントローラ104と、異常検知プログラム131を実行するプロセッサ101とによって実現される。出力部17は、処理部10(信号生成部16)によって生成された画像信号を表示装置(端末装置70)に出力する。
【0079】
端末装置70は、画像信号を処理することによって状態監視画面201を表示する。画像信号が状態監視画面201および寄与度表示画面202の両方を含む画像を示す信号である場合、端末装置70は、状態監視画面201および寄与度表示画面202を表示する。
【0080】
ユーザは、状態監視画面201のグラフ201Aを確認することにより、生産ライン2の状況の推移を把握できる。生産ライン2に異常が発生した場合、ユーザは、グラフ201Aの表示から、異常が発生したことを確認することができる。さらに、ユーザは、寄与度表示画面202と状態監視画面201のチャート201Bとを確認することにより、寄与度の大きい項目(主要項目)に関連する作業カテゴリを確認することができる。
【0081】
情報処理装置100の構成は
図4に示される構成に限定されない。たとえば、情報処理装置100は、表示機能および入力機能を有するように構成されていてもよい。この構成によれば、情報処理装置100は、
図3あるいは
図4に示す要素に加えてキーボードあるいはマウス等の入力デバイスと、表示デバイスとを含むことができる。したがって、出力部17は、その表示デバイスに画像信号を出力する。表示デバイスは、状態監視画面201および寄与度表示画面202を表示する。このように、出力部17から画像信号を受信する表示装置は、情報処理装置100とは別の装置であると限定されない。表示装置は、情報処理装置100に含まれる装置であってもよい。
【0082】
<作業記録の入力例>
以下では、本実施の形態をより具体的に説明するため、生産ライン2で生産される製品の一例として、メカニカルリレーを例示する。
【0083】
図5は、生産ラインで生産される製品の一例である、メカニカルリレーの主要部の構成の例を示した図である。
図5に示すように、メカニカルリレー5は、コイル51が巻かれた鉄心52と、鉄片53と、接点54a(A端子)と、接点54b(B端子)と、接点54c(C端子)と、ヒンジバネ55と、コイル端子56と、固定片端子57a,57bと、可動片端子57cとを含む。
【0084】
コイル端子56を通じてコイル51に電流が流れると、鉄心52が磁化される。したがって、鉄片53が鉄心52に吸着される。鉄片53が鉄心52に吸着されることにより、鉄片53に取り付けられた接点54cが、接点54bから離されるとともに接点54aと接触する。コイル51に電流が流れていないときには、ヒンジバネ55の力によって、鉄片53が鉄心52から離される。これにより、接点54cは接点54aから離されて、接点54bと接触する。
【0085】
図6は、端末装置によってユーザに提供される、作業記録の入力画面の例を示した図である。
図6に示すように、情報処理装置100は、端末装置70に、作業記録をユーザに入力させるための入力画面300を端末装置70に提供する。
【0086】
入力画面の表示形式は特に限定されるものではない。本実施の形態の理解が容易になるよう、
図6では、表形式に従う入力画面の例が示されている。
【0087】
入力画面300は、製造ライン入力欄301、工程名入力欄302、装置名入力欄303、実施日時入力欄304、作業カテゴリ入力欄305、および作業内容詳細入力欄306を含む。各レコードは、番号(No.)、製造ライン、工程名、装置名、実施日時(開始日時および終了日時)、作業カテゴリ、および作業内容によって構成される。なお、各レコードの番号は、自動的に付与されてもよい。
【0088】
ユーザは、製造ラインの情報、工程の情報、および、装置の情報を、それぞれ、製造ライン入力欄301、工程名入力欄302、装置名入力欄303に入力する。
【0089】
ユーザは、実施日時入力欄304に、作業の開始時刻および終了時刻を入力する。
【0090】
ユーザは、作業カテゴリテーブル310に登録されている複数の作業カテゴリの中から該当のカテゴリを選択する。これにより、選択された作業カテゴリが作業カテゴリ入力欄305に入力される。作業カテゴリテーブル310は、情報処理装置100に予め記憶されており、作業記録の入力の際に情報処理装置100によって読み出される。
【0091】
作業内容詳細入力欄307は自由記入欄である。ユーザは、作業内容詳細入力欄307に、作業の具体的な内容を入力することができる。
【0092】
本実施の形態では、作業の実施日時(開始時刻および終了時刻)を入力させる。開始時刻から終了時刻までの期間が、その作業の実施期間である。ユーザの入力によって決定された作業カテゴリおよび実施期間が、統計量の時系列と時間軸を揃えて状態監視画面201に表示される。
【0093】
本実施の形態では、作業記録の入力画面300によって、ユーザに、製造ライン、工程、および、装置の情報を入力させる。これによって、生産ライン2の異常の原因の上位に来た項目と、その項目に関連した定性情報とを関連付けることができる。この点について、
図7を参照しながら説明する。
【0094】
図7は、情報処理装置による、作業記録に含まれる情報と、異常の原因の候補となる項目との間の関連付けを説明するための模式図である。
図7に示すように、情報処理装置100は、作業記録履歴データテーブル300Aと、収集データ項目テーブル400とを有する。作業記録履歴データテーブル300Aは、入力画面300(
図6を参照)を介してユーザが入力した情報を格納する。したがって作業記録履歴データテーブル300Aは、製造ライン情報301A、工程名情報302A、装置名情報303A、実施日時情報304A、作業カテゴリ情報305A、および作業内容詳細情報306Aを含む。
【0095】
収集データ項目テーブル400は、項目として、製造ライン情報401、工程名情報402、装置名情報403、データ収集機器名情報404、およびデータベースカラム名情報405を含む。データベースカラム名情報405は、寄与度表示画面に表示する項目である。
【0096】
情報処理装置100は、作業記録履歴データテーブル300Aの製造ライン情報301A、工程名情報302Aおよび装置名情報303Aをキーとして、収集データ項目テーブル400を検索して、該当のレコードから、データベースカラム名情報405を抽出する。これにより、作業記録に含まれる情報と、異常の原因の候補となる項目とが関連付けられる。
【0097】
<画面の構成例>
図8は、状態監視画面の例を示した模式図である。
図8に示すように、状態監視画面201は、統計量(マハラノビス距離)の時系列を示すグラフ201Aと、イベントの作業期間を示すチャート201Bとを含む。
【0098】
グラフ201Aには、算出部13によって算出された統計量を示すマーカ210と、統計量の管理範囲(閾値)を表わすライン211とが表示される。統計量が管理範囲内にある場合、その統計量を示すマーカは、第1の色(例えば青)で表示される。
【0099】
チャート201Bは、いわゆるガントチャートである。チャート201Bを作成するため、情報処理装置100は、作業記録履歴データテーブル300Aから、作業日時(開始日時および終了日時)の情報と、作業カテゴリの情報を抽出する。チャート201Bの縦軸には、抽出された作業カテゴリ(イベント)が並べて表示される。各イベントの作業期間(開始日時から終了日時までの期間)が、バー220によって示される。
【0100】
図9は、実施の形態に係る寄与度表示画面の例を示した模式図である。例えばユーザがマウス等を操作してポインタをグラフ201Aの中のマーカに重ねることにより、そのマーカに対応する統計量が選択される。情報処理装置100は、画像内のポインタの位置の情報を端末装置70から受けることにより、選択された統計量を特定し、その選択された統計量に対する複数の寄与度を表わすグラフ202Aを含む寄与度表示画面202を端末装置70に表示させる。なお、寄与度表示画面202は、管理範囲を外れた統計量に対してのみ提供されるように限定されない。情報処理装置100は、ユーザによって選択された任意の統計量に対して、寄与度表示画面202が端末装置70に表示されるように、画像信号を生成するのでもよい。
【0101】
図8および
図9を参照して、生産ライン2に異常が発生した場合、統計量が管理範囲から外れる。マーカ212は、管理範囲から外れた統計量を示す。マーカ212は、強調表示される。例えば、マーカ212は、第1の色とは異なる第2の色(例えば赤)で表示される。
【0102】
図9には、生産ラインに異常が発生したときの統計量に対する、複数の変数の寄与度の例が示されている。寄与度表示画面202は、グラフ202Aを含む。グラフ202Aの横軸は、複数の変数を示し、グラフ202Aの縦軸は各変数の寄与度を示す。複数の変数のうち、寄与度が最も高い変数は「A端子挿入深さ」である。また、複数の変数のうち、生産ライン2の異常への寄与度が次に高い変数は「A端子曲げ角度」である。
【0103】
「A端子挿入深さ」および「A端子曲げ角度」は、主要項目に該当する。寄与度表示画面202において、主要項目の寄与度が強調表示される。例えば「A端子挿入深さ」の寄与度を表わすバー231は赤色で表示される。「A端子曲げ角度」の寄与度を表わすバー232は、黄色で表示される。他の変数の寄与度を表わすバーは、例えば青色のような、赤色および黄色と異なる色で表示される。生産ライン2に異常が発生していない場合には、すべての変数の寄与度が青色で表示されてもよい。
【0104】
図9に示されるように、寄与度表示画面202における寄与度の強調表示と、チャート201Bにおける作業期間の強調表示とが対応する。具体的には、チャート201Bにおける作業期間の強調表示に用いられる色は、寄与度表示画面202において主要因に関連する寄与度を表示する色と同じである。バー221は、寄与度の最も大きい変数に関連するイベント(「A端子フープ材供給機調整」)の実施期間を示す。バー221は、赤色で表示される。バー222は、2番目に寄与度の大きい変数に関連するイベント(「A端子曲げ機調整」)の作業時間を示す。バー222は、黄色で表示される。
【0105】
グラフ201Aのみが状態監視画面201に表示される場合、ユーザは、グラフ201Aを参照することにより、生産ライン2に異常が発生したことを検知できる。しかし、生産ライン2の異常が複数の要因によって生じた場合、ユーザにとって、グラフ201Aのみから異常の原因を特定することは困難である可能性がある。
【0106】
本実施の形態では、グラフ201Aと、チャート201Bとが時間軸を揃えて表示される。これにより、統計量と、作業カテゴリ(イベント)との間の関連性がユーザに理解しやすい。たとえばユーザは、生産ライン2に異常が発生した場合に、マーカ212によって特定される日時に最も近い日時に発生したイベントを特定することができる。このように、統計量と、その統計量に関連する定性情報とが時間軸を揃えて表示されることによって、作業イベントと生産ラインの異常との間に関連があるか否かをユーザが簡易に把握することができる。
【0107】
さらに、異常原因の主要因(上位項目)と、その主要因に関連した作業カテゴリの情報(定性情報)とが、色によって関連付けられて表示される。これにより、ユーザが、現場の作業記録と、生産ライン2の異常との関連性を把握できる。したがって、製造工程に異常が発生した場合に、その異常の原因を容易に把握することができる。
【0108】
なお、
図8の例によれば、グラフ201Aのマーカ212によって特定される異常発生の時刻は、チャート201B内のバー221、222によって表わされる作業カテゴリの実施期間の終了後の時刻である。このことは、バー221、222に対応する作業カテゴリに属する作業が実施されたことによって、生産ライン2に異常が発生したという因果関係を表わしている。
【0109】
さらに、作業内容の情報を表示した画像が状態監視画面201に含まれてもよい。
図10は、実施の形態に係る情報処理装置が端末装置に提供する状態監視画面の追加表示の例を示した模式図である。
【0110】
図10に示されるように、ユーザがマウス等を操作してポインタ223をバー221の位置に重ねる。情報処理装置100は、画像内のポインタの位置の情報を端末装置70から受けることにより、バー221が選択されたことを判断する。情報処理装置100は、バー221に対応するイベント(作業カテゴリ)および、バー221が示す実施期間を検索の条件として、作業記録履歴データテーブル300Aを検索して、該当のレコードから、作業内容詳細情報306A(
図7を参照)を抽出する。情報処理装置100は、その抽出された作業詳細内容情報を表示するためのコメント表示224がバー221に隣接した位置に表示されるように、画像信号を生成する。
【0111】
コメント表示224は、バー221と関連付けられて表示されていれば、コメント表示224の位置は特に限定されない。たとえば、ユーザがバー221を選択したときに、コメント表示224は、ポップアップウィンドウの形式で、端末装置の画面上の任意の位置に表示されるのでもよい。作業内容の情報をユーザに提供することにより、生産ラインの異常の発生の原因をユーザが把握するための詳細な情報を、ユーザに提供することができる。
【0112】
<異常原因の解析例>
本実施の形態では、ユーザが
図8および
図9に示した画面に基づいて、生産ラインの異常の原因を解析することができる。以下に仮想的な事例を説明する。
【0113】
(1) ユーザは、状態監視画面201のグラフ201Aをチェックする(
図8を参照)。グラフ201Aにおいて、マーカ212が、閾値を表わすライン211よりも上に位置する。したがって、ユーザは、生産ライン2の異常を検知する。
【0114】
(2) ユーザは、マウス等のデバイスによりマーカ212を選択する。これにより、端末装置70に、寄与度表示画面202が表示される(
図9を参照)。ユーザは、寄与度表示画面202における寄与度の表示から、主要因の項目を把握する。
図9に示す例では、「A端子挿入高さ」の寄与度を示すバー231が赤色で表示され、「A端子曲げ角度」の寄与度を表わすバー232が黄色で表示される。したがってユーザは、主要因の項目が「A端子挿入高さ」および「A端子曲げ角度」であることを把握できる。
【0115】
さらに、ユーザは、状態監視画面201(
図8を参照)を見ることにより、チャート201Bにおいて、バー221、222がそれぞれ、赤色および黄色で表示されていることを把握する。したがって、ユーザは、「A端子挿入高さ」および「A端子曲げ角度」に関連するイベントが、それぞれ、「A端子フープ材供給機調整」および「A端子曲げ機調整」であることを把握できる。
【0116】
(3) ユーザは、状態監視画面201および寄与度表示画面202から得られる情報により、どのような事象によって、異常に対する上記2つの要因の寄与が高まったのかを検討する。
【0117】
「A端子フープ材供給機調整」について調査の結果、A端子フープ材供給機に一時的な停止(「チョコ停」とも呼ばれる)があったことが分かったとする。例えばユーザは、フープ材に切れ目があったことを発見する。ユーザは、フープ材の途中から材料の硬度に変化があったため、A端子をリレーの基板に挿入する際の高さが変動したと推定する。このように、ユーザは、A端子挿入高さが異常の寄与への増大につながった原因を理解することができる。
【0118】
(4) さらに、「A端子曲げ角度」について調査の結果、ユーザは、A端子曲げ装置の金型が新しい金型に交換されたことを把握する。ユーザは、新しい金型を調査した結果、以前に使用された金型の形状と比べて、新しい金型の形状に微妙な変化があったことを把握する。このように、ユーザは、A端子曲げ角度が異常の寄与への増大につながった原因を理解することができる。
【0119】
(5) ユーザは、調査の結果に基づいて、異常の原因を解消するための対策を立てることができる。例えば「A端子挿入高さ」への対応として、フープ材を新しいものに交換するという対策が立てられる。「A端子曲げ角度」への対応として、曲げ機の角度を調整するという対策が立てられる。
【0120】
(6) さらに、製造現場から異常の原因および対策についての報告が行われる。例えば以下のような報告が行われる。
【0121】
「『A端子フープ材供給機のチョコ停』および『A端子曲げ装置の金型交換』が、これまで比較的多く生じる現象であった。これらの事象が別々のタイミングで起きた際には、製品(リレー)の品質に大きな影響がなかった。したがって、これらの事象に対しては特段の対処はされてこなかった。しかし、今回の解析の結果、これらの事象が同じタイミングで重なったことが生産ライン2の異常につながったことが分かった。したがって今後は、注意喚起を徹底する。」
【0122】
<情報処理装置による処理の流れ>
図11は、実施の形態に係る情報処理装置によって実行される処理の流れの一例を示したフローチャートである。
図3に示すプロセッサ101が異常検知プログラム131を実行することによって、
図4に示されるように情報処理装置100が構成されるとともに、
図11に示す処理が実行される。
【0123】
図11および
図4を参照して、まず、収集部11は、生産ライン2の状況を示す複数の変数に関する数値データを取得する(ステップS10)。本実施の形態では、収集部11は、データ収集機器31~35(
図2を参照)から、複数の変数に関する数値データを取得する。
【0124】
収集部11は、さらに、端末装置70から、作業記録を取得する(ステップS11)。ユーザが端末装置70に作業記録を入力すると、収集部11は、作業記録を取得する。したがって、作業記録の取得は、ステップS10の処理とは独立して行われる。
【0125】
次に、処理部10(算出部13)は、ステップS10で取得された数値データを用いて、統計量を算出する(ステップS12)。たとえば算出部13は、MT法を用いて統計量(マハラノビス距離)を算出する。さらに処理部10(算出部13)は、ステップS12で算出された統計量に対する、複数の変数の各々の寄与度を算出する(ステップS13)。
【0126】
次に、処理部10(検知部14)は、ステップS12で算出された統計量が管理範囲を外れているかどうかを判定する。統計量が管理範囲を外れている場合、検知部14は、生産ライン2に異常が発生したことを検知する。この場合(ステップS14においてYES)、処理はステップS15に進む。ステップS15において、処理部10(信号生成部16)は、異常原因の主要項目と作業カテゴリとを関連付ける表示を行うと判断する。一方、統計量が管理範囲内にある場合(ステップS14においてNO)、処理はステップS14からステップS16に進む。「統計量が管理範囲内にある」とは、生産ライン2が正常であることを意味する。
【0127】
ステップS16において、処理部10(信号生成部16)は、ステップS12の処理によって算出された統計量、および、ステップS11の処理によって取得された作業記録を用いて、状態監視画面201を含む画像200を示す画像信号を生成する。ユーザが統計量の時系列の中からある統計量を選択したことを示す情報が情報処理装置100に入力されない場合、処理はステップS16からステップS19へと進む。
【0128】
ユーザが統計量の時系列の中からある統計量を選択したことを示す情報が、端末装置70から情報処理装置100に入力された場合、処理はステップS17に進む。ステップS17において、信号生成部16は、その選択された統計量に対する複数の変数の寄与度を示す寄与度表示画面202と、状態監視画面201とが端末装置70に表示される画像200に含まれるように、画像信号を生成する。
【0129】
ステップS14において生産ライン2が正常であると判断された場合、処理は、ステップS17からステップS19へと進む。一方、生産ライン2の異常が検知された場合(すなわち、ステップS15の処理によって、異常原因の主要項目と作業カテゴリとを関連付ける表示を行うと判定された場合)、処理はステップS17からステップS18へと進む。
【0130】
ステップS18において、信号生成部16は、画像信号によって設定される寄与度の表示および作業カテゴリの実施期間の表示について、グラフ202Aにおける主要項目の寄与度の表示色と、その主要項目に対応する作業カテゴリの実施期間の表示色とを同じ色に設定する。次に処理は、ステップS18からステップS19へと進む。
【0131】
ステップS19において、出力部17は、ステップS16,S17,S18のいずれかのステップにおいて生成された画像信号を表示装置(端末装置70)に出力する。
【0132】
§3 付記
以上のように、本実施の形態は以下のような開示を含む。
【0133】
(構成1)
複数の工程(21~25)を含む生産ラインの状況に関連する情報を処理する情報処理装置(100)であって、
前記複数の工程(21~25)の状況を示す複数の変数を記憶するとともに、前記複数の工程(21~25)のうちの少なくとも1つの工程に関する作業の属する作業カテゴリと、前記作業が実施された期間である実施期間とを含む作業記録を記憶する記憶部(12,132)と、
処理部(10)と、
出力部(17)とを備え、
前記処理部(10)は、
前記複数の変数に対して多変量解析を行なうことによって、単位時間ごとの統計量を算出し、
第1軸を時刻とし第2軸を前記統計量として前記統計量の時系列を表示する第1のグラフ(201A)と、前記作業カテゴリの前記実施期間を表わすチャート(201B)とが、時間軸を揃えて並べて表示される状態監視画面(201)を含む画像(200)を示す画像信号を生成し、
前記出力部(17)は、前記画像信号を表示装置(70)に出力する、情報処理装置(100)。
【0134】
(構成2)
前記処理部(10)は、さらに、前記統計量の前記時系列の中から選択された統計量に対する、前記複数の変数の各々の寄与度を算出して、前記複数の変数ごとの前記寄与度を表わす第2のグラフ(202A)が表示される寄与度表示画面(202)を前記画像(200)に含む前記画像信号を生成する、構成1に記載の情報処理装置(100)。
【0135】
(構成3)
前記処理部(10)は、
前記寄与度に基づいて、前記複数の変数の中から主要項目を選択し、
前記画像(200)において、前記第2のグラフ(202A)における前記主要項目の寄与度と、前記状態監視画面(201)の前記チャート(201B)における、前記主要項目に関連する前記作業カテゴリの前記実施期間とが関連付けて表示されるように、前記画像信号を生成する、構成2に記載の情報処理装置(100)。
【0136】
(構成4)
前記処理部(10)は、
前記第2のグラフ(202A)における前記主要項目の寄与度の表示色と、前記状態監視画面(201)の前記チャート(201B)における、前記主要項目に関連する前記作業カテゴリの前記実施期間の表示色とを、同じ色に設定する、構成3に記載の情報処理装置(100)。
【0137】
(構成5)
前記作業記録は、さらに、前記作業の作業内容に関する情報を含み、
前記処理部(10)は、前記画像(200)において、前記作業記録の中から選択された前記作業カテゴリおよび前記実施期間に関連付けられた前記作業内容が、前記状態監視画面(201)の前記チャート(201B)に関連付けて表示されるように、前記画像信号を生成する、構成1から構成4のいずれか1項に記載の情報処理装置(100)。
【0138】
(構成6)
複数の工程(21~25)を含む生産ラインの状況に関連する情報を処理する情報処理方法であって、
前記複数の工程(21~25)の状況を示す複数の変数に対して多変量解析を行なうことによって、単位時間ごとの統計量を算出すること(S12)と、
第1軸を時刻とし第2軸を前記統計量として前記統計量の時系列を表示するグラフ(201A)と、前記複数の工程(21~25)のうちの少なくとも1つの工程に関する作業の属する作業カテゴリの実施期間を表わすチャート(201B)とが、時間軸を揃えて並べて表示される状態監視画面(201)を含む画像(200)を示す画像信号を生成すること(S16)と、
前記画像信号を表示装置(70)に出力すること(S19)とを備える、情報処理方法。
【0139】
(構成7)
複数の工程(21~25)を含む生産ラインの状況に関連する情報を処理する情報処理方法をコンピュータに実行させるプログラム(131)であって、
前記情報処理方法は、
前記複数の工程(21~25)の状況を示す複数の変数に対して多変量解析を行なうことによって、単位時間ごとの統計量を算出すること(S12)と、
第1軸を時刻とし第2軸を前記統計量として前記統計量の時系列を表示するグラフ(201A)と、前記複数の工程(21~25)のうちの少なくとも1つの工程に関する作業の属する作業カテゴリの実施期間を表わすチャート(201B)とが、時間軸を揃えて並べて表示される状態監視画面(201)を含む画像(200)を示す画像信号を生成すること(S16)と、
前記画像信号を表示装置(70)に出力すること(S19)とを含む、プログラム(131)。
【0140】
(構成8)
生産システム(1)であって、
複数の工程を含む生産ライン(2)と、
前記複数の工程の状況に関連する情報を処理する情報処理装置(100)とを備え、
前記情報処理装置(100)は、
前記複数の工程の状況を示す複数の変数と、前記複数の工程のうちの少なくとも1つの工程に関する作業の属する作業カテゴリと前記作業が実施された期間である実施期間とを含む作業記録と、を取得し、
前記複数の変数に対して多変量解析を行なうことによって、単位時間ごとの統計量を算出し、
第1軸を時刻とし第2軸を前記統計量として前記統計量の時系列を表示するグラフ(201A)と、前記作業カテゴリの前記実施期間を表わすチャート(201B)とが、時間軸を揃えて並べて表示される状態監視画面(201)を含む画像を示す画像信号を生成し、
前記画像信号を受けて前記状態監視画面(201)を表示する表示装置(70)をさらに備える、生産システム(1)。
【0141】
本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0142】
1 生産システム、2 生産ライン、5 メカニカルリレー、10 処理部、11 収集部、12 記憶部、13 算出部、14 検知部、15 選択部、16 信号生成部、17 出力部、21~25 工程、31~35 データ収集機器、51 コイル、52 鉄心、53 鉄片、54a~54c 接点、55 ヒンジバネ、56 コイル端子、57a,57b 固定片端子、57c 可動片端子、70 端末装置、100 情報処理装置、101 プロセッサ、102 メモリ、103 ストレージ、104 表示コントローラ、105 入力インターフェイス、106 通信インターフェイス、131 異常検知プログラム、132 データ記憶部、200 画像 201 状態監視画面、201A,202A グラフ、201B チャート、202 寄与度表示画面、210,212 マーカ、211 ライン、220,221,222,231,232 バー、223 ポインタ、224 コメント表示、300 入力画面、300A 作業記録履歴データテーブル、301 製造ライン入力欄、301A,401 製造ライン情報、302 工程名入力欄、302A,402 工程名情報、303 装置名入力欄、303A,403 装置名情報、304 実施日時入力欄、304A 実施日時情報、305 作業カテゴリ入力欄、305A 作業カテゴリ情報、306,307 作業内容詳細入力欄、306A 作業内容詳細情報、310 作業カテゴリテーブル、400 収集データ項目テーブル、404 データ収集機器名情報、405 データベースカラム名情報、S10~S19 ステップ。