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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129389
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】硬化性シロキサン樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 299/08 20060101AFI20240919BHJP
   C08G 77/20 20060101ALI20240919BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20240919BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20240919BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240919BHJP
   B32B 27/04 20060101ALI20240919BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20240919BHJP
   C08K 5/14 20060101ALN20240919BHJP
   C08L 83/07 20060101ALN20240919BHJP
【FI】
C08F299/08
C08G77/20
C08J5/24 CFH
B32B15/08 J
B32B27/00 101
B32B27/04 Z
H05K1/03 610H
C08K5/14
C08L83/07
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038563
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】518366555
【氏名又は名称】コリア アドバンスト インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ペ, ビョンス
(72)【発明者】
【氏名】カン, ソンモ
【テーマコード(参考)】
4F072
4F100
4J002
4J127
4J246
【Fターム(参考)】
4F072AA04
4F072AA07
4F072AB09
4F072AB28
4F072AD47
4F072AE02
4F072AF24
4F072AG03
4F072AG19
4F072AH04
4F072AH21
4F072AL13
4F100AB17B
4F100AB33B
4F100AG00A
4F100AK02A
4F100AK52A
4F100BA02
4F100BA07
4F100CA02A
4F100DG12A
4F100EJ82A
4F100GB31
4F100GB43
4J002CP141
4J002EK036
4J002EX037
4J002FD146
4J002FD147
4J002GQ01
4J127AA03
4J127AA04
4J127BB031
4J127BB052
4J127BB092
4J127BB111
4J127BB151
4J127BB152
4J127BC031
4J127BC062
4J127BC132
4J127BC151
4J127BD291
4J127BD302
4J127BD331
4J127BE571
4J127BE57Y
4J127BF721
4J127BF72Y
4J127BG051
4J127BG05Y
4J127BG381
4J127BG382
4J127BG38Y
4J127DA16
4J127EA05
4J127FA37
4J127FA38
4J246AA03
4J246AB01
4J246BA02X
4J246BB022
4J246BB02X
4J246CA24X
4J246CA34X
4J246CA40X
4J246FA071
4J246FA081
4J246FA131
4J246FA471
4J246FB051
4J246FC061
4J246FE22
4J246FE32
4J246HA57
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高周波領域での低い誘電率と誘電損失、低い水吸収量、優れた加工性、そして高い銅箔剥離強度を有する、高周波通信電子機器用印刷回路基板に適した硬化性シロキサン組成物を提供する。
【解決手段】ケイ素を基準に非対称構造を有する有機アルコキシシランと、ケイ素を基準に対称構造を有する有機アルコキシシランとが含まれている硬化性シロキサン組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されるケイ素を基準に非対称構造を有する第1有機アルコキシシラン、
[化学式1]
Si(OR
前記化学式1で、
は線状または分枝状のC2-20アルケニル基を含み、
はH、線状または分枝状のC1-20アルキル基、C6-20アリール基、またはC2-20アルケニル基を含み、
は線状または分枝状のC1-7アルキル基を含み、
1≦a≦2であり、0≦b≦1であり、a+b=2であり、
下記化学式2で表されるケイ素を基準に対称構造を有する第2有機アルコキシシラン、
[化学式2]
Si(OR
前記化学式2で、
はC6-20アリール基を含み、
は線状または分枝状のC1-7アルキル基を含み、
下記化学式3で表される第1有機アルコキシシランと第2有機アルコキシシランで製造されるシロキサン樹脂、そして
[化学式3]
(R SiO)(R SiO)
前記化学式3で、
1≦xであり、1≦yであり、x≦yであり、
ラジカル重合開始剤を含む、
シロキサン樹脂組成物。
【請求項2】
前記第1有機アルコキシシランは、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルフェニルジメトキシシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、アリルジメトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、ジメトキシメチル(4-ビニルフェニル)シラン、またはこれらを一つ以上含む、請求項1に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項3】
前記第2有機アルコキシシランは、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビス(4-メチルフェニル)ジメトキシシラン、ビス(4-メチルフェニル)ジエトキシシラン、ビス(o-トリル)ジメトキシシラン、ビス(o-トリル)ジエトキシシラン、ビス(m-トリル)ジエトキシシラン、ビス(m-トリル)ジメトキシシラン、ジ(ナフタレン-1-イル)ジメトキシシラン、ジ(ナフタレン-1-イル)ジエトキシシラン、またはこれらを一つ以上含む、請求項1に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項4】
下記化学式4で表されるケイ素を基準に対称構造を有する第3有機アルコキシシランをさらに含み、
[化学式4]
Si(OR
前記化学式4で、
は線状、分枝状または環状のC1-20アルキル基を含み、
は線状または分枝状のC1-7アルキル基を含み、
下記化学式5で表される第1有機アルコキシシラン、第2有機アルコキシシランおよび第3有機アルコキシシランで製造されるシロキサン樹脂をさらに含み、
[化学式5]
(R SiO)(R SiO)(R SiO)
前記化学式5で、
1≦xであり、1≦yであり、1≦zであり、x≦y+zである、
シロキサン組成物。
【請求項5】
前記第3有機アルコキシシランは、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジ-n-ブチルジメトキシシラン、ジ-n-ブチルジエトキシシラン、ジ-n-プロピルジメトキシシラン、ジ-n-プロピルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、またはこれらを一つ以上含む、請求項4に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項6】
前記第2有機アルコキシシランのモル含有量と前記第3有機アルコキシシランのモル含有量との合計が前記第1有機アルコキシシランのモル含有量より大きく、前記第2有機アルコキシシランのモル含有量が前記第3有機アルコキシシランのモル含有量より大きい、請求項4に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項7】
架橋剤(crosslinking agent)をさらに含む、請求項1に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項8】
前記架橋剤は、ビニルテトラメチルジシロキサン、ビニルペンタメチルジシロキサン、1,3-ジビニル-1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラフェニルジシロキサン、1,1,3,3-テトラビニルジメチルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラエトキシジシロキサン、1,3-ジビニルテトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジフェニルテトラキス(ジメチルシロキシ)ジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、1,5-ジビニル-3,3-ジフェニル-1,1,5,5-テトラメチルトリシロキサン、1,5-ジビニル-3-フェニルペンタメチルトリシロキサン、1,3,5-トリビニル-1,1,3,5,5-ペンタメチルトリシロキサン、2,4,6-トリビニル-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2,4,6,8-テトラビニル-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタビニル-T8-シルセスキオキサン、フェニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、フェニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリス(ビニルジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ジメチルシロキシ)フェニルシラン、トリス(ジメチルシロキシ)シラン、ジビニルベンゼン、p-ジビニルベンゼン、ビニルジメチルシラン、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリエチルシラン、ビニルトリフェニルシラン、ビニル-t-ブチルジメチルシラン、ビニル-ジ-n-オクチルメチルシラン、ビニルフェニルメチルシラン、ビニルフェニルジメチルシラン、ジビニルジメチルシラン、トリビニルシラン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルフェニルメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルジフェニルエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリ-t-ブトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(メトキシプロポキシ)シラン、トリビニルメトキシシラン、トリビニルエトキシシラン、ビニルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、ビニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、ビニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、テトラキス(ビニルジメチルシロキシ)シラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、2-プロペニルトリメチルシラン、(1-メトキシビニル)トリメチルシラン、1,2-ジビニルテトラメチルジシラン、1,4-ジビニルテトラメチルジシリルエタン、1,4-ビス(ビニルジメチルシリル)ベンゼン、1-アリル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ジアリルテトラメチルジシロキサンおよび1,3-ジアリルテトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、アリルトリイソプロピルシラン、アリルトリフェニルシラン、ジアリルジメチルシラン、ジアリルジフェニルシラン、トリアリルメチルシラン、テトラアリルシラン、アリルジメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリフェノキシシラン、アリルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチル-T8-シルセスキオキサン、1,1-ビス(トリメチルシリルメチル)エチレン、1,1-ビス(トリメトキシシリルメチル)エチレン、メタアリルトリメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、n-オクタデシルメチルジエトキシシラン、n-オクタデシルジメチルエトキシシラン、n-オクタデシルジメチルメトキシシラン、n-オクタデシルメチルジメトキシシラン、n-オクタデシルジメチルシラン、n-オクチルメチルジエトキシシラン、n-オクチルメチルジメトキシシラン、n-オクチルジメチルメトキシシラン、n-オクチルジメチルエトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、ビス(トリメチルシロキシ)メチルメトキシシラン、トリス(トリメチルシリル)シラン、1,2-ジエトキシテトラメチルジシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、n-プロピルメチルジメトキシシラン、n-プロピルジメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルエチルトリメチルシラン、ジフェニルメチルエトキシシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、ジフェニルメチルシラン、フェニルジメチルシラン、1,3-ジメチルテトラメトキシジシロキサン、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、エチルジメチルシラン、ジメチルエトキシシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、tert-ブチルジメチルシラン、ジ-tertブチルメチルシラン、1,1,2,2-テトラメチルジシラン、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン、1,5-ジエトキシヘキサメチルトリシロキサン、フェニルトリメチルシラン、1,4-ビス(4-ビニルフェノキシ)ブタン、ジ-4-ビニルベンジルエーテル、ジビニルジフェニル、ジビニルナフタレン、1-ヘプテン、1-オクテン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,6-ヘプタジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエンおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上を含む、請求項7に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項9】
前記ラジカル重合開始剤は、ペルオキシドラジカル重合開始剤を含む、請求項1に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項10】
前記ペルオキシドラジカル重合開始剤は、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、tert-ブチル-ヒドロペルオキシド、tert-アミルヒドロペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、イソプロピルクミルヒドロペルオキシド、イソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリペルオキソナン、ジ(tert-ブチル)-ペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ(tert-ブチルペルオキシ-イソプロピル)ベンゼン、tert-ブチルクミルペルオキシド、ジ-(tert-アミル)-ペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ブチル4,4-ジ(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、2,2-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、tert-アミルペルオキシ-ベンゾエート、tert-ブチルペルオキシ-アセテート、tert-ブチルペルオキシ-(2-エチルヘキシル)カーボネート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチル-ヘキサノエート、1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、tert-アミルペルオキシアセテート、tert-アミルペルオキシ-(2-エチルヘキシル)カーボネート、1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(tert-アミルペルオキシ)シクロヘキサン、tert-ブチル-モノペルオキシ-マレート、1,1’-アゾジ(ヘキサヒドロベンゾニトリル)、tert-ブチルペルオキシ-イソブチレート、tert-ブチルペルオキシジエチルアセテート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジベンゾニルペルオキシド、tert-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(3-メチルベンゾニル)ペルオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、アンモニウムペルオキソジスルフェート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、2,2’-アゾジ(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾジ(イソブチロニトリル)、ジデカノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、tert-アミルペルオキシピバレート、tert-ブチルペルオキシネオヘプタノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシピバレート、tert-ブチルペルオキシピバレート、ジセチルペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、tert-ブチルペルオキシネオデカノエート、ジ-sec-ブチルペルオキシジカーボネート、tert-アミルペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキシネオヘプタノエート、ジ(3-メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキシネオデカノエート、ジイソブチリルペルオキシドおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上を含む、請求項9に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項11】
前記シロキサン樹脂組成物の硬化物は、10GHz周波数での誘電率が3.3以下であり、10GHz周波数での誘電損失が0.005以下である、請求項1に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項12】
前記シロキサン樹脂組成物の硬化物は、ASTM D570規格により測定される吸湿性が0.1%以下である、請求項1に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項13】
ケイ素を基準に非対称構造を有する第1有機アルコキシシラン、ケイ素を基準に対称構造を有する第2有機アルコキシシラン、ケイ素を基準に対称構造を有する第3有機アルコキシシラン、そして酸または塩基触媒を混合して混合物を製造する段階、
前記混合物を攪拌して40℃~300℃で縮合反応を行う段階、
前記酸または塩基触媒を除去する段階、そして
ペルオキシドラジカル重合開始剤を添加する段階
を含むシロキサン樹脂製造方法。
【請求項14】
前記酸触媒は、塩酸、硫酸、硝酸、蟻酸、酢酸、トルエンスルホン酸、酪酸、パルミチン酸、シュウ酸、酒石酸またはこれらを一つ以上含む、請求項13に記載のシロキサン樹脂製造方法。
【請求項15】
前記塩基触媒は、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、第4級アンモニウム化合物、アンモニア、アミン化合物、またはこれらを一つ以上含む、請求項13に記載のシロキサン樹脂製造方法。
【請求項16】
前記塩基触媒を除去する段階は、有機溶媒を添加してシロキサンを溶解した後、層分離法でシロキサン樹脂が溶解された有機溶媒を塩基触媒から分離することを含む、請求項13に記載のシロキサン樹脂製造方法。
【請求項17】
請求項1~12のいずれか一項に記載のシロキサン樹脂組成物に対する硬化物およびガラスクロス(glass cloth)を含むガラス繊維強化プラスチック(Glass fabric reinforced plastic、GFRP)フィルム。
【請求項18】
請求項1~12のいずれか一項に記載のシロキサン樹脂組成物に対する硬化物およびガラスクロス(glass cloth)を含むシート。
【請求項19】
請求項18に記載のシートを含む銅張積層板(Copper clad laminate、CCL)。
【請求項20】
請求項19に記載の銅張積層板を含む印刷回路基板(Printed circuit board、PCB)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
低誘電率および低誘電損失を有する硬化性シロキサン樹脂組成物およびその製造方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
最近、スマートフォン、モノのインターネット(IoT)、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、自律走行車などの電子通信技術の発達により電子機器間の有機的な相互作用が漸次に増加することにより大容量データの速い伝送および受信が重要になってきている。そこで、データ移動の超高速化のために使用される周波数帯域が極超短波(UHF、300~3000MHz)から超高周波(SHF、3~30GHz)および極高周波(EHF、30~300GHz)へ拡張されている。しかし、既存の通信電子機器の印刷回路基板に使用されていたエポキシ複合体(FR-4)の場合、これをそのまま高周波通信で使用するには高い誘電率および高い誘電損失を有しているため適しない。また、周波数が高まる分、電気信号の伝送時に損失が急増するため、このために低誘電率および低誘電損失を有する基板材料とこれを利用した印刷回路基板の開発が必須で要求されている。
【0003】
現在まで高周波通信電子機器用印刷回路基板への適用を目的でポリイミド樹脂、フッ素系高分子樹脂、液晶結晶性ポリマー樹脂など多くの材料が提案されているが、まだその特性を完ぺきに満たしていない。例えば、ポリイミドフィルムは、高い吸湿率、誘電率、そして誘電損失により高周波通信電子機器用印刷回路基板への適用に適しない。これを克服するために、国際公開特許2019-221343および米国登録特許10299378は、互いに異なる方法でポリイミドフィルム内部に微細気孔を形成して低い誘電率を確保したが、誘電損失に対する具体的な実施形態がないため、高周波通信電子機器用印刷回路基板の材料としての適合性を判断することができない。
【0004】
また他の例として、フッ素系高分子樹脂は、高周波領域での低い誘電率と誘電損失を有するが、銅箔剥離強度が低くて印刷回路基板への適用が難しい。そこで、銅箔剥離強度の増加のために国際公開特許2020-138642は、フッ素系エラストマーとスチレン系エラストマーの混合で形成される樹脂と無機および有機フィラーの含有量を調節したが、これに関する具体的な実施例が提示されておらず、高周波通信電子機器用印刷回路基板の材料としての適合性を判断することができない。
【0005】
液晶結晶性ポリマー樹脂も低い誘電率と誘電損失を有するが、銅箔剥離強度が低くて印刷回路基板への適用が難しい。そこで、米国登録特許10765001で、液晶結晶性ポリマーと銅箔の表面粗度を不均一に形成して銅箔剥離強度を増加させたが、表面粗度を不均一にする追加的な加工過程を要するだけでなく、銅箔の表面粗度が不均一である場合、表面抵抗が増加してデータ処理速度が顕著に減少することがあり、高周波通信電子機器用印刷回路基板の材料として適しない。
【0006】
前述した材料以外にも、米国登録特許10645806で提案したポリフェニレンエーテル樹脂組成物および米国公開特許2020-0115554で提案したエポキシ樹脂組成物などの多くの材料が高周波通信電子機器用印刷回路基板の材料として提案されているが、高い誘電率と誘電損失により適しない。
【0007】
そのために、このような特性を考慮すると、現在まで提案された材料だけでは高周波通信電子機器用印刷回路基板への適用に困難があるため、これに符合する新たな高周波通信電子機器用の低誘電率および低誘電損失の基板材料の開発が必要な状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開特許2019-221343
【特許文献2】米国登録特許10299378
【特許文献3】国際公開特許2020-138642
【特許文献4】米国登録特許10765001
【特許文献5】米国登録特許10645806
【特許文献6】米国公開特許2020-0115554
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一実施形態の目的は、高周波通信電子機器用印刷回路基板への適用に適した物性を有する低誘電率、低誘電損失、そして低吸湿性を有する、硬化性シロキサン樹脂組成物を提供することにある。
【0010】
前記課題以外にも具体的に言及されていない他の課題を達成することに本発明による実施形態が使用され得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態は、ケイ素を基準に非対称構造を有する有機アルコキシシランとケイ素を基準に対称構造を有する有機アルコキシシランとが混合されてシロキサン樹脂を製造することができる硬化性シロキサン樹脂組成物を提供する。
【0012】
また、一実施形態は、硬化性シロキサン樹脂組成物の熱処理を通じて製造されるシロキサン樹脂組成物の硬化物を提供する
【0013】
また、一実施形態は、硬化性シロキサン樹脂組成物の硬化物にガラスクロス(glass cloth)を含むガラス繊維強化プラスチック(Glass fabric reinforced plastic、GFRP)フィルムまたはシートを提供する。
【0014】
また、一実施形態は、ガラス繊維強化プラスチックフィルムまたはシートを含む銅張積層板(Copper clad laminate、CCL)またはフレキシブル銅張積層板(Flexible Copper clad laminate、FCCL)を提供する。
【0015】
また、一実施形態は、銅張積層板またはフレキシブル銅張積層板を含む印刷回路基板(Printed circuit board、PCB)またはフレキシブル印刷回路基板(Flexible printed circuit boardd、PCB)提供する
【発明の効果】
【0016】
一実施形態による硬化性シロキサン樹脂組成物は、高周波領域での低い誘電率と誘電損失、低い水吸収量、優れた加工性、そして高い銅箔剥離強度を有するため、高周波通信電子機器用印刷回路基板への適用に適した物性を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施例について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。本発明は、多様な異なる形態に具現することができ、ここで説明する実施例に限定されない。また広く知られている公知技術の場合、その具体的な説明は省略する。
【0018】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0019】
明細書全体において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群より選択される一つ以上の混合または組み合わせを意味するものであって、構成要素からなる群より選択される一つ以上を含むことを意味する。
【0020】
明細書全体において、用語「アルキル基」は、それぞれ、線状または分枝状の、C1-7アルキル基またはC1-20アルキル基を含むものであり得、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコサニル、またはこれらの可能な全ての異性体を含むものであり得るが、これに制限されないこともある。
【0021】
明細書全体において、用語「アルケニル基」は、アルキル基のうち炭素数2以上のアルキル基に少なくとも一つの炭素-炭素二重結合が含まれている形態の1価の炭化水素基を意味するものであって、線状または分枝状の、C2-20アルケニル基を含むものであり得るが、これに制限されないこともある。
【0022】
明細書全体において、用語「アリール基」は、アレン(arene)の一つ以上の環に存在する水素原子の除去により形成される1価の作用基を意味し、C6-20アリール基を含むものであり得、例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル(terphenyl)、ナフチル(naphthyl)、アントリル(anthryl)、フェナントリル(phenanthryl)、ピレニル(pyrenyl)、またはこれらの可能な全ての異性体を含むものであり得るが、これに制限されないこともある。アレンは、芳香族環を有する炭化水素基であって、単環または多環の炭化水素基を含み、多環の炭素水素基は、一つ以上の芳香族環を含み、付加的な環として芳香族環または非芳香族環を含むものであり得るが、これに制限されないこともある。
【0023】
明細書全体において、用語「アルコキシ基またはアルコキシ」は、アルキル基と酸素原子が結合された形態であって、C1-20アルコキシ基を含むものであり得、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシ、オクタデシルオキシ、ノナデシルオキシ、エイコサニルオキシ、またはこれらの可能な全ての異性体を含むものであり得るが、これに制限されないこともある。
【0024】
明細書全体において、用語「シロキサン樹脂組成物」は、シロキサン樹脂を製造するための原料を含む組成物、またはシロキサン樹脂を含む組成物を意味する。
【0025】
明細書全体において、銅張積層板は、リジッド(rigid)銅張積層板またはフレキシブル(flexible)銅張積層板を全て含むことができる。
【0026】
明細書全体において、印刷回路基板は、リジッド(rigid)印刷回路基板またはフレキシブル(flexible)印刷回路基板を全て含むことができる。
【0027】
以下、一実施形態による硬化性シロキサン樹脂組成物について詳しく説明する。
【0028】
一実施形態は、ケイ素を基準に非対称構造を有する有機アルコキシシランとケイ素を基準に対称構造を有する有機アルコキシシランとが混合されてシロキサン樹脂を製造することができるシロキサン樹脂組成物である。
【0029】
ケイ素を基準に対称構造を有する有機アルコキシシランは、電子機器用印刷回路基板への適用に適した誘電特性を有するのに重要な要素として作用する。
【0030】
より詳しくは、高周波領域で主鎖を基準に全体高分子の分子構造が対称性が大きくなる場合、全体高分子の分極率が低くなり、双極子モーメントが低くなるため、低誘電率および低誘電損失の特性を有するのに有利である。また、主鎖を基準に対称をなしている側鎖自体の双極子モーメントが小さい場合、全体高分子の分極率が低くなり、双極子モーメントが低くなるため、低誘電率および低誘電損失の特性を有するのに有利である。
【0031】
例えば、ケイ素を基準に対称構造を有する有機アルコキシシランのモル量がケイ素を基準に非対称構造を有する有機アルコキシシランより小さい場合、高周波通信電子機器用印刷回路基板への適用に適した誘電特性を得ることができない。また、ケイ素を基準に対称構造を有する有機アルコキシシランの中でもアリール基を含むケイ素を基準に対称構造を有する有機シロキサンのモル量が多いほど双極子モーメントが低くなって高周波通信電子機器用印刷回路基板への適用にさらに適した誘電特性を有する。これは後述する実施例および比較例の実験結果により確認される。
【0032】
例えば、ケイ素を基準に対称構造を有する有機アルコキシシロキサンは、アリール基を含むケイ素を基準に対称構造を有する有機アルコキシシロキサンを含み、これにより、シロキサン樹脂の低誘電率と低誘電損失性能が改善され得る。また、ケイ素を基準に対称構造を有する有機アルコキシシロキサンは、アルキル基を含むケイ素を基準に対称構造を有する有機アルコキシシロキサンを選択的にさらに含むことができ、この場合、シロキサン樹脂の低誘電率と低誘電損失性能がより改善され得る。なお、ケイ素を基準に対称構造を有する有機アルコキシシロキサンでアリール基を含むケイ素を基準に対称構造を有する有機アルコキシシロキサンがアルキル基を含むケイ素を基準に対称構造を有する有機アルコキシシロキサンよりも多く使用される場合、双極子モーメントが減少してシロキサン樹脂の低誘電率と低誘電損失性能が極大化することができる。
【0033】
例えば、ケイ素を基準に非対称構造を有する第1有機アルコキシシランは、下記化学式1で表され得る。
【0034】
[化学式1]
Si(OR
化学式1で、
は線状または分枝状のC2-20アルケニル基を含み、
はH、線状または分枝状のC1-20アルキル基、C6-20アリール基、またはC2-20アルケニル基を含み、
は線状または分枝状のC1-7アルキル基を含み、
1≦a≦2であり、0≦b≦1であり、a+b=2である。
【0035】
ケイ素を基準に非対称構造を有する第1有機アルコキシシランは、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルフェニルジメトキシシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、アリルジメトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、ジメトキシメチル(4-ビニルフェニル)シラン、またはこれらを一つ以上含むことができる。
【0036】
例えば、ケイ素を基準に対称構造を有する第2有機アルコキシシランと第3有機アルコキシシランは、それぞれ下記化学式2と化学式3で表され得る。
【0037】
[化学式2]
Si(OR
前記化学式2で、
はC6-20アリール基を含み、
は線状または分枝状のC1-7アルキル基を含む。
[化学式3]
Si(OR
前記化学式3で、
は線状、分枝状または環状のC1-20アルキル基を含み、
は線状または分枝状のC1-7アルキル基を含む。
【0038】
前記化学式2で表されるケイ素を基準に対称構造を有する第2有機アルコキシシランは、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビス(4-メチルフェニル)ジメトキシシラン、ビス(4-メチルフェニル)ジエトキシシラン、ビス(o-トリル)ジメトキシシラン、ビス(o-トリル)ジエトキシシラン、ビス(m-トリル)ジエトキシシラン、ビス(m-トリル)ジメトキシシラン、ジ(ナフタレン-1-イル)ジメトキシシラン、ジ(ナフタレン-1-イル)ジエトキシシラン、またはこれらを一つ以上含むことができる。
【0039】
前記化学式3で表されるケイ素を基準に対称構造を有する第3有機アルコキシシランは、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジ-n-ブチルジメトキシシラン、ジ-n-ブチルジエトキシシラン、ジ-n-プロピルジメトキシシラン、ジ-n-プロピルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、またはこれらを一つ以上含むことができる。
【0040】
ケイ素を基準に非対称構造を有する第1有機アルコキシシラン、ケイ素を基準に対称構造を有する第2有機アルコキシシラン、ケイ素を基準に対称構造を有する第3有機アルコキシシランの加水分解および縮合反応によりシロキサン樹脂が製造され得る。製造されるシロキサン樹脂は、下記化学式4で表され得る。
【0041】
[化学式4]
(R SiO)(R SiO)(R SiO)
前記化学式4で、
は線状または分枝状のC2-20アルケニル基を含み、
はH、線状または分枝状のC1-20アルキル基、C6-20アリール基、またはC2-20アルケニル基を含み、
はC6-20アリール基を含み、
は線状、分枝状または環状のC1-20アルキル基を含み、
1≦a≦2であり、0≦b≦1であり、a+b=2であり、
1≦xであり、1≦yであり、1≦zであり、x≦y+zである。
【0042】
シロキサン樹脂製造方法は、ケイ素を基準に非対称構造を有する第1有機アルコキシシラン、ケイ素を基準に対称構造を有する第2有機アルコキシシラン、ケイ素を基準に対称構造を有する第3有機アルコキシシラン、そして酸または塩基触媒を混合して混合物を製造する段階、混合物を攪拌して40℃~300℃で縮合反応を行う段階、酸または塩基触媒を除去する段階、そしてペルオキシドラジカル重合開始剤を添加する段階を含む。
有機アルコキシシランの加水分解および縮合反応でシロキサン樹脂を製造する場合、シロキサン樹脂の縮合度が顕著に増加すると共に硬直性が増加する効果を得てシロキサン樹脂組成物の誘電率および誘電損失が急激に減少することができる。例えば有機アルコキシシランと有機シランジオールの非加水縮合反応で樹脂を製造する場合、縮合度が落ちてシロキサン樹脂組成物より高い誘電率および誘電損失を有するようになる。
シロキサン樹脂を製造する場合、有機アルコキシシランの加水分解および縮合反応中の反応温度、反応雰囲気、水の量、酸または塩基触媒の種類と量などの反応条件の調節を通じて行われ得る。
【0043】
酸触媒は、塩酸、硫酸、硝酸、蟻酸、酢酸、トルエンスルホン酸、酪酸、パルミチン酸、シュウ酸、酒石酸またはこれらを一つ以上含むことができる。
【0044】
塩基触媒は、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、第4級アンモニウム化合物、アンモニア、アミン化合物、またはこれらを一つ以上含むことができる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムの中で選択されるアルカリ金属化合物、水酸化バリウム一水化物、水酸化バリウム八水和物、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムの中で選択されるアルカリ土類金属化合物、テトラアルキルアンモニウムシラノレート、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムクロライドおよびテトラブチルアンモニウムフッ化物の中で選択される第4級アンモニウム化合物、アンモニア、アミン化合物およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0045】
例えば、有機アルコキシシランの加水分解および縮合反応を通じてシロキサン樹脂を製造する場合、有機アルコキシシラン、水、酸または塩基触媒の混合物を窒素雰囲気下で40~300℃で2~48時間攪拌して行うことができる。この時、混合物に水は有機アルコキシシランの1モルに対して0.5~10モルの含有量で含まれ得、酸または塩基触媒は有機アルコキシシランの1モルに対して0.001~0.1モルの含有量で含まれ得るが、これに制限されないこともある。
【0046】
有機アルコキシシランの加水縮合反応中に酸および塩基触媒を添加する場合、製造されたシロキサン樹脂の吸湿率減少を通じた電気的安定性の確保のために通常広く知られた物理的あるいは化学的方法により酸および塩基触媒を除去することができるが、これに制限されないこともある。
【0047】
シロキサン樹脂組成物は、その物性を高周波通信電子機器用印刷回路基板に適するようにするための追加的な架橋剤(crosslinking agent)を含むことができるが、これに制限されないこともある。
【0048】
架橋剤は、ビニルテトラメチルジシロキサン、ビニルペンタメチルジシロキサン、1,3-ジビニル-1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラフェニルジシロキサン、1,1,3,3-テトラビニルジメチルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラエトキシジシロキサン、1,3-ジビニルテトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジフェニルテトラキス(ジメチルシロキシ)ジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、1,5-ジビニル-3,3-ジフェニル-1,1,5,5-テトラメチルトリシロキサン、1,5-ジビニル-3-フェニルペンタメチルトリシロキサン、1,3,5-トリビニル-1,1,3,5,5-ペンタメチルトリシロキサン、2,4,6-トリビニル-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2,4,6,8-テトラビニル-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタビニル-T8-シルセスキオキサン、フェニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、フェニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリス(ビニルジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ビニルジメチルシロキシ)フェニルシラン、トリス(ジメチルシロキシ)シラン、ジビニルベンゼン、p-ジビニルベンゼン、ビニルジメチルシラン、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリエチルシラン、ビニルトリフェニルシラン、ビニル-t-ブチルジメチルシラン、ビニル-ジ-n-オクチルメチルシラン、ビニルフェニルメチルシラン、ビニルフェニルジメチルシラン、ジビニルジメチルシラン、トリビニルシラン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルフェニルメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルジフェニルエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリ-t-ブトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(メトキシプロポキシ)シラン、トリビニルメトキシシラン、トリビニルエトキシシラン、ビニルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、ビニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、ビニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、テトラキス(ビニルジメチルシロキシ)シラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、2-プロペニルトリメチルシラン、(1-メトキシビニル)トリメチルシラン、1,2-ジビニルテトラメチルジシラン、1,4-ジビニルテトラメチルジシリルエタン、1,4-ビス(ビニルジメチルシリル)ベンゼン、1-アリル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ジアリルテトラメチルジシロキサンおよび1,3-ジアリルテトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、アリルトリイソプロピルシラン、アリルトリフェニルシラン、ジアリルジメチルシラン、ジアリルジフェニルシラン、トリアリルメチルシラン、テトラアリルシラン、アリルジメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリフェノキシシラン、アリルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチル-T8-シルセスキオキサン、1,1-ビス(トリメチルシリルメチル)エチレン、1,1-ビス(トリメトキシシリルメチル)エチレン、メタアリルトリメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、n-オクタデシルメチルジエトキシシラン、n-オクタデシルジメチルエトキシシラン、n-オクタデシルジメチルメトキシシラン、n-オクタデシルメチルジメトキシシラン、n-オクタデシルジメチルシラン、n-オクチルメチルジエトキシシラン、n-オクチルメチルジメトキシシラン、n-オクチルジメチルメトキシシラン、n-オクチルジメチルエトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、ビス(トリメチルシロキシ)メチルメトキシシラン、トリス(トリメチルシリル)シラン、1,2-ジエトキシテトラメチルジシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、n-プロピルメチルジメトキシシラン、n-プロピルジメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルエチルトリメチルシラン、ジフェニルメチルエトキシシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、ジフェニルメチルシラン、フェニルジメチルシラン、1,3-ジメチルテトラメトキシジシロキサン、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、エチルジメチルシラン、ジメチルエトキシシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、tert-ブチルジメチルシラン、ジ-tert-ブチルシラン、1,1,2,2-テトラメチルジシラン、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン、1,5-ジエトキシヘキサメチルトリシロキサン、フェニルトリメチルシラン、1,4-ビス(4-ビニルフェノキシ)ブタン、ジ-4-ビニルベンジルエーテル、ジビニルジフェニル、ジビニルナフタレン、1-ヘプテン、1-オクテン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,6-ヘプタジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエンおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0049】
シロキサン樹脂組成物は、シロキサンおよび架橋剤に含まれるアルケニル基の重合のためのペルオキシドラジカル重合開始剤を含むことができる。
【0050】
ペルオキシドラジカル重合開始剤は、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、tert-ブチル-ヒドロペルオキシド、tert-アミルヒドロペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、イソプロピルクミルヒドロペルオキシド、イソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリペルオキソナン、ジ(tert-ブチル)-ペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ(tert-ブチルペルオキシ-イソプロピル)ベンゼン、tert-ブチルクミルペルオキシド、ジ-(tert-アミル)-ペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ブチル4,4-ジ(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、2,2-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、tert-アミルペルオキシ-ベンゾエート、tert-ブチルペルオキシ-アセテート、tert-ブチルペルオキシ-(2-エチルヘキシル)カーボネート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチル-ヘキサノエート、1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、tert-アミルペルオキシアセテート、tert-アミルペルオキシ-(2-エチルヘキシル)カーボネート、1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(tert-アミルペルオキシ)シクロヘキサン、tert-ブチル-モノペルオキシ-マレート、1,1’-アゾジ(ヘキサヒドロベンゾニトリル)、tert-ブチルペルオキシ-イソブチレート、tert-ブチルペルオキシジエチルアセテート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジベンゾニルペルオキシド、tert-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(3-メチルベンゾニル)ペルオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、アンモニウムペルオキソジスルフェート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、2,2’-アゾジ(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾジ(イソブチロニトリル)、ジデカノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、tert-アミルペルオキシピバレート、tert-ブチルペルオキシネオヘプタノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシピバレート、tert-ブチルペルオキシピバレート、ジセチルペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、tert-ブチルペルオキシネオデカノエート、ジ-sec-ブチルペルオキシジカーボネート、tert-アミルペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキシネオヘプタノエート、ジ(3-メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキシネオデカノエート、ジイソブチリルペルオキシドおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0051】
ペルオキシドラジカル重合開始剤は、シロキサン樹脂組成物が電子機器用印刷回路基板への適用に適した銅箔剥離強度を有するのに重要な要素として作用する。
【0052】
例えば、シロキサン樹脂組成物と銅箔が接触した状態でペルオキシドラジカル重合開始剤の開始により硬化が行われる場合、銅箔表面のヒドロキシル基とシロキサン樹脂組成物にあるアルケニル基との化学的結合を誘導するため、銅箔とシロキサン樹脂組成物のとの間に高い強度の接合が可能であり、高い銅箔剥離強度を有するようになる。
【0053】
ペルオキシドラジカル重合開始剤は、ケイ素を基準に非対称構造を有する有機アルコキシシランとケイ素を基準に対称構造を有する有機アルコキシシラン100重量部に対して0.01重量部~5重量部以下含まれ得る。
【0054】
ペルオキシドラジカル重合開始剤は、40℃~300℃の温度範囲で施される熱処理により行われ得る。
【0055】
熱処理は、5分~6時間の時間範囲で施され得るが、これに制限されないこともある。
ペルオキシドラジカル重合開始剤の使用により、シロキサン樹脂組成物が硬化してシロキサン硬化物を製造することができる。
【0056】
シロキサン硬化物は、10GHz周波数での誘電率が3.2以下であり、10GHz周波数での誘電損失が0.005以下である特徴を有することができ、これは高周波通信電子機器用印刷回路基板への適用に適した誘電特性である。
【0057】
シロキサン樹脂に添加されている酸または塩基触媒を物理的および化学的方法で除去した後、シロキサン樹脂組成物を硬化して低誘電率および低誘電損失のシロキサン硬化物を製造する場合、吸湿率が0.1%以下である特徴を有することができ、これは高周波通信電子機器用印刷回路基板への適用に適した吸湿率特性である。例えば、酸または塩基触媒を除去する段階は、有機溶媒を添加してシロキサン樹脂を溶解した後、層分離法でシロキサン樹脂が溶解された有機溶媒を酸または塩基触媒から分離することを含むことができる。
【0058】
一実施形態は、シロキサン硬化物にガラスクロスを含んでガラス繊維強化プラスチックフィルムまたはシートを提供することができる。
【0059】
ガラスクロスは、Aガラス(A glass)、Cガラス(C glass)、Dガラス(D glass)、Eガラス(E glass)、ARガラス(AR glass)、Rガラス(R glass)、Sガラス(S glass)、S-2ガラス(S-2 glass)、Tガラス(T glass)、NEガラス(NE glass)、E-CRガラス(E-CR glass)、クォーツ(guartz)およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上を含むガラス繊維で製作したガラス繊維(woven glass fabric)、ガラス不織布(non-woven glass fabric)またはこれらの混合物を含むことができるが、これに制限されないこともある。
【0060】
シロキサン硬化物にガラスクロスを含んでガラス繊維強化プラスチックフィルムまたはシートを製造する場合、熱膨張係数を顕著に低めて熱加工に有利であり、追加的な誘電損失の減少効果も期待することができる。
【0061】
一実施形態は、ガラス繊維強化プラスチックフィルムまたはシートを含む銅張積層板またはフレキシブル銅張積層板を提供することができる。
【0062】
銅張積層板またはフレキシブル銅張積層板を製造時、ガラスクロスを含むシロキサン樹脂組成物に銅箔を接着した状態で熱処理条件により製造する場合、前述のように追加的な接着剤なしに優れた銅箔剥離強度を有することができ、これは高周波通信電子機器用印刷回路基板への適用に適した銅箔剥離強度特性である。
【0063】
一実施形態は、銅張積層板またはフレキシブル銅張積層板を含む印刷回路基板またはフレキシブル印刷回路基板を提供することができる。
【0064】
硬化性シロキサン樹脂組成物は、耐吸湿性、熱加工性、耐熱性、銅箔との高接着力、低誘電率および低誘電損失などを有するものであり、高周波通信電子機器用印刷回路基板に適した物性をバランスよく実現することができる。
【0065】
以下、実施例を挙げて本発明についてより詳細に説明するが、下記の実施例は、本発明の実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるのではない。
【0066】
実施例1
ビニルメチルジメトキシシラン(Dimethoxymethylvinylsilane、Gelest社)、ジフェニルジメトキシシラン(Dimethoxydiphenylsilane、Gelest社)と水酸化ナトリウム水溶液(NaOH(aq)、Samchun社)が1:1:2モル比率で混合される。次に、混合物が80℃で窒素雰囲気下で12時間攪拌される。攪拌後に得られたシロキサン樹脂で塩基触媒を除去するために、混合物はメチルイソブチルケトン(MIBK、Samchun社)および水(HO)と共に1:2:1重量比で混合される。溶解度差によりシロキサンが溶解されているMIBK層と塩基触媒が溶解されている水層とが分離される。MIBK層だけ得て減圧蒸発器を利用して、-0.1MPa、120℃で2時間にかけてMIBKを増発させて、最終的にシロキサン樹脂が得られる。
【0067】
製造されたシロキサン樹脂にシロキサン樹脂100重量部に対してジ(tert-ブチル)-ペルオキシド(DTBP、Sigma Aldrich社)を1重量部添加して、硬化用シロキサン組成物が製造される。
【0068】
製造された硬化用シロキサン組成物を熱処理(4hr、150℃)して、シロキサン硬化物が製造される。
【0069】
実施例2
ビニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランと水酸化ナトリウム水溶液を0.4:0.6:1のモル比率で混合したことを除き、前述した実施例1と同様な方法で、シロキサン硬化物が製造される。
【0070】
実施例3
ビニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランと水酸化ナトリウム水溶液を0.3:0.7:1のモル比率で混合したことを除き、前述した実施例1と同様な方法で、シロキサン硬化物が製造される。
【0071】
実施例4
ビニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン(Dimethoxydimethylsilane、Gelest社)と水酸化ナトリウム水溶液を0.15:0.3:0.05:1のモル比率で混合したことを除き、前述した実施例1と同様な方法で、シロキサン硬化物が製造される。
【0072】
実施例5
ビニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランと塩酸(HCl(aq)、Samchun社)を0.4:0.6:1のモル比率で混合したことを除き、前述した実施例1と同様な方法で、シロキサン組成物が製造され、シロキサン硬化物が製造される。
【0073】
実施例6
前述した実施例1で製造したシロキサン組成物に、架橋剤としてオクタビニル-T8-シルセスキオキサン(Octavinyl-T8-silsesquioxane、Hybrid Plastics社)を添加したことを除き、前述した実施例1と同様な方法で、シロキサン硬化物が製造される。
【0074】
実施例7
前述した実施例1で製造したシロキサン組成物をガラスクロス(NE-glass、#1037、Nittobo社)に含浸させた後に硬化させて、ガラス繊維強化プラスチックフィルムが製造される。
【0075】
実施例8
前述した実施例2で製造したシロキサン組成物をガラスクロス(NE-glass、#1037)に含浸させた後に硬化させて、ガラス繊維強化プラスチックフィルムが製造される。
【0076】
実施例9
前述した実施例3で製造したシロキサン組成物をガラスクロス(NE-glass、#1037)に含浸させた後に硬化させて、ガラス繊維強化プラスチックフィルムが製造される。
【0077】
実施例10
前述した実施例4で製造したシロキサン組成物をガラスクロス(NE-glass、#1037)に含浸させた後に硬化させて、ガラス繊維強化プラスチックフィルムが製造される。
【0078】
実施例11
前述した実施例2で製造したシロキサン組成物をガラスクロス(Quartz glass、SQX 2116C-04、ShinEtsu社)に含浸させた後に硬化させて、ガラス繊維強化プラスチックフィルムが製造される。
【0079】
実施例12
前述した実施例2で製造したシロキサン組成物をガラスクロス(NE-glass、#1037)に含浸させた後、両面に銅箔を覆った状態で硬化させて、銅張積層板が製造される。
【0080】
比較例1
ビニルメチルジメトキシシランと水酸化ナトリウム水溶液を1:2のモル比率で混合したことを除き、前述した実施例1と同様な方法で、シロキサン組成物が製造され、シロキサン硬化物が製造される。
【0081】
比較例2
ビニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルシランジオール(Diphenylsilandiol、Gelest社)と水酸化バリウム一水化物(Ba(OH)2H2O、Sigma Aldrich社)を1:1:0.002のモル比率で混合したことを除き、前述した実施例1と同様な方法で、シロキサン組成物が製造され、シロキサン硬化物が製造される。
【0082】
比較例3
塩基触媒の除去過程を除いては前述した実施例1と同様な方法で、シロキサン樹脂組成物が製造され、シロキサン硬化物が製造される。
【0083】
比較例4
ビニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランと水酸化ナトリウム水溶液を1:1:2のモル比率で混合したことを除き、前述した実施例1と同様な方法で、シロキサン組成物が製造され、シロキサン硬化物が製造される。
【0084】
比較例5
前述した比較例1で製造したシロキサン組成物をガラスクロス(NE-glass、#1037)に含浸させた後に硬化させて、ガラス繊維強化プラスチックフィルムが製造される。
【0085】
比較例6
前述した比較例2で製造したシロキサン組成物をガラスクロス(NE-glass、#1037)に含浸させた後に硬化させて、ガラス繊維強化プラスチックフィルムが製造される。
【0086】
比較例7
前述した比較例3で製造したシロキサン組成物をガラスクロス(NE-glass、#1037)に含浸させた後に硬化させて、ガラス繊維強化プラスチックフィルムが製造される。
【0087】
実験例1-誘電率および誘電損失の測定実験
実施例1~9、11、12および比較例1~6により製造されたシロキサン硬化物およびガラス繊維強化プラスチックフィルムの10GHzでの誘電率および誘電損失は、ベクターネットワーク分析器(Vector Network analyzer、Keysight、N5222B)と共振器(Split post dielectric resonator、QWED、10GHz用)を利用して測定し、その測定結果が下記表1に記載する。
【0088】
実験例2-耐吸湿性の測定実験
実施例1~9、11、12および比較例1~6により製造されたシロキサン硬化物およびガラス繊維強化プラスチックフィルムの耐吸湿性は、ASTM D570規格により測定し、その測定結果が下記表1に記載する。
【0089】
実験例3-熱膨張係数の測定実験
実施例1~9、11、12および比較例1~6により製造されたシロキサン硬化物およびガラス繊維強化プラスチックフィルムの熱膨張係数は、TMA(Thermo Mechanical Analyzer、SS6100、SII Co.)を利用して測定する。測定基準は、窒素雰囲気下で約5℃/分の昇温率で約225℃まで加熱して約50~150℃の温度範囲での熱膨張係数値を測定し、その測定結果が下記表1に記載する。
【0090】
実験例4-銅箔剥離強度の測定実験
実施例10により製造された銅張積層板の銅箔とガラス繊維強化プラスチックフィルムの剥離強度は、ASTM D6862規格により測定し、その測定結果が下記表1に記載する。
【0091】
【表1】
【0092】
表1を参照すれば、実施例1~11によるシロキサン硬化物またはガラス繊維強化プラスチックは、全て10GHzで3.3以下の誘電率、0.005以下の誘電損失を有するため、優れた低誘電特性を有する。
【0093】
表1を参照すれば、実施例7~11によるガラス繊維強化プラスチックは、全て10GHzで実施例1~6によるシロキサン硬化物よりそれぞれ低い誘電損失を有するため、シロキサン硬化物にガラスクロスを含んでガラス繊維強化プラスチックフィルムまたはシートを製造する場合、追加的な誘電損失の減少効果が現れる。
【0094】
表1を参照すれば、実施例1~11によるシロキサン硬化物またはガラス繊維強化プラスチックは、フィルムは全て0.1%以下の吸湿性を有するため、優れた耐吸湿性を有する。
【0095】
表1を参照すれば、実施例1~6によるシロキサン硬化物の熱膨張係数は、全て50ppm/℃以上であるが、実施例7~11によるガラス繊維強化プラスチックの熱膨張係数は15ppm/℃以下である。そのために、シロキサン硬化物にガラスクロスを含んでガラス繊維強化プラスチックフィルムまたはシートを製造する場合、熱加工の側面で高周波通信電子機器用印刷回路基板への適用に非常に適した特性が現れる。
【0096】
表1を参照すれば、実施例12による銅張積層板の銅箔剥離強度は、1.5N/mmで優れた接着力を有するため、このような銅張積層板は、高周波通信電子機器用印刷回路基板に非常に適している。
【0097】
反面、表1を参照すれば、比較例1~6によるシロキサン硬化物またはガラス繊維強化プラスチックフィルムは、全て10GHzで0.005以上の誘電損失を有するため、高周波通信電子機器用印刷回路基板への適用に適しない。
【0098】
また、表1を参照すれば、比較例3および7によるシロキサン硬化物またはガラス繊維強化プラスチックフィルムは、0.1%以上の吸湿性を有するため、高周波通信電子機器用印刷回路基板への適用に適しない。
【0099】
以上で本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される第1有機アルコキシシラン、
[化学式1]
Si(OR
前記化学式1で、
は線状または分枝状のC2-20アルケニル基を含み、
はH、線状または分枝状のC1-20アルキル基、C6-20アリール基、またはC2-20アルケニル基を含み、
は線状または分枝状のC1-7アルキル基を含み、
1≦a<2であり、0<b≦1であり、a+b=2であり、
下記化学式2で表される第2有機アルコキシシラン、
[化学式2]
Si(OR
前記化学式2で、
はC6-20アリール基を含み、
は線状または分枝状のC1-7アルキル基を含み、
下記化学式3で表される1:1~3:7のモル比率で混合される第1有機アルコキシシランと第2有機アルコキシシランで製造されるシロキサン樹脂、そして
[化学式3]
(R SiO)(R SiO)
前記化学式3で、
1≦xであり、1≦yであり、x≦yであり、
ラジカル重合開始剤を含む、
シロキサン樹脂組成物。
【請求項2】
前記第1有機アルコキシシランは、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルフェニルジメトキシシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、アリルジメトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、ジメトキシメチル(4-ビニルフェニル)シラン、またはこれらを一つ以上含む、請求項1に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項3】
前記第2有機アルコキシシランは、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビス(4-メチルフェニル)ジメトキシシラン、ビス(4-メチルフェニル)ジエトキシシラン、ビス(o-トリル)ジメトキシシラン、ビス(o-トリル)ジエトキシシラン、ビス(m-トリル)ジエトキシシラン、ビス(m-トリル)ジメトキシシラン、ジ(ナフタレン-1-イル)ジメトキシシラン、ジ(ナフタレン-1-イル)ジエトキシシラン、またはこれらを一つ以上含む、請求項1に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項4】
下記化学式4で表される第3有機アルコキシシランをさらに含み、
[化学式4]
Si(OR
前記化学式4で、
は線状、分枝状または環状のC1-20アルキル基を含み、
は線状または分枝状のC1-7アルキル基を含み、
下記化学式5で表される第1有機アルコキシシラン、第2有機アルコキシシランおよび第3有機アルコキシシランで製造されるシロキサン樹脂をさらに含み、
[化学式5]
(R SiO)(R SiO)(R SiO)
前記化学式5で、
1≦xであり、1≦yであり、1≦zであり、x≦y+zであり、
前記第2有機アルコキシシランのモル含有量と前記第3有機アルコキシシランのモル含有量との合計が前記第1有機アルコキシシランのモル含有量より大きく、前記第2有機アルコキシシランのモル含有量が前記第3有機アルコキシシランのモル含有量より大きい、
請求項1に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項5】
前記第3有機アルコキシシランは、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジ-n-ブチルジメトキシシラン、ジ-n-ブチルジエトキシシラン、ジ-n-プロピルジメトキシシラン、ジ-n-プロピルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、またはこれらを一つ以上含む、請求項4に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項6】
架橋剤(crosslinking agent)をさらに含む、請求項1に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項7】
前記架橋剤は、ビニルテトラメチルジシロキサン、ビニルペンタメチルジシロキサン、1,3-ジビニル-1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラフェニルジシロキサン、1,1,3,3-テトラビニルジメチルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラエトキシジシロキサン、1,3-ジビニルテトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジフェニルテトラキス(ジメチルシロキシ)ジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、1,5-ジビニル-3,3-ジフェニル-1,1,5,5-テトラメチルトリシロキサン、1,5-ジビニル-3-フェニルペンタメチルトリシロキサン、1,3,5-トリビニル-1,1,3,5,5-ペンタメチルトリシロキサン、2,4,6-トリビニル-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2,4,6,8-テトラビニル-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタビニル-T8-シルセスキオキサン、フェニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、フェニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリス(ビニルジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ジメチルシロキシ)フェニルシラン、トリス(ジメチルシロキシ)シラン、ジビニルベンゼン、p-ジビニルベンゼン、ビニルジメチルシラン、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリエチルシラン、ビニルトリフェニルシラン、ビニル-t-ブチルジメチルシラン、ビニル-ジ-n-オクチルメチルシラン、ビニルフェニルメチルシラン、ビニルフェニルジメチルシラン、ジビニルジメチルシラン、トリビニルシラン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルフェニルメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルジフェニルエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリ-t-ブトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(メトキシプロポキシ)シラン、トリビニルメトキシシラン、トリビニルエトキシシラン、ビニルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、ビニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、ビニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、テトラキス(ビニルジメチルシロキシ)シラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、2-プロペニルトリメチルシラン、(1-メトキシビニル)トリメチルシラン、1,2-ジビニルテトラメチルジシラン、1,4-ジビニルテトラメチルジシリルエタン、1,4-ビス(ビニルジメチルシリル)ベンゼン、1-アリル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ジアリルテトラメチルジシロキサンおよび1,3-ジアリルテトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、アリルトリイソプロピルシラン、アリルトリフェニルシラン、ジアリルジメチルシラン、ジアリルジフェニルシラン、トリアリルメチルシラン、テトラアリルシラン、アリルジメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリフェノキシシラン、アリルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチル-T8-シルセスキオキサン、1,1-ビス(トリメチルシリルメチル)エチレン、1,1-ビス(トリメトキシシリルメチル)エチレン、メタアリルトリメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、n-オクタデシルメチルジエトキシシラン、n-オクタデシルジメチルエトキシシラン、n-オクタデシルジメチルメトキシシラン、n-オクタデシルメチルジメトキシシラン、n-オクタデシルジメチルシラン、n-オクチルメチルジエトキシシラン、n-オクチルメチルジメトキシシラン、n-オクチルジメチルメトキシシラン、n-オクチルジメチルエトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、ビス(トリメチルシロキシ)メチルメトキシシラン、トリス(トリメチルシリル)シラン、1,2-ジエトキシテトラメチルジシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、n-プロピルメチルジメトキシシラン、n-プロピルジメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルエチルトリメチルシラン、ジフェニルメチルエトキシシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、ジフェニルメチルシラン、フェニルジメチルシラン、1,3-ジメチルテトラメトキシジシロキサン、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、エチルジメチルシラン、ジメチルエトキシシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、tert-ブチルジメチルシラン、ジ-tertブチルメチルシラン、1,1,2,2-テトラメチルジシラン、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン、1,5-ジエトキシヘキサメチルトリシロキサン、フェニルトリメチルシラン、1,4-ビス(4-ビニルフェノキシ)ブタン、ジ-4-ビニルベンジルエーテル、ジビニルジフェニル、ジビニルナフタレン、1-ヘプテン、1-オクテン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,6-ヘプタジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエンおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上を含む、請求項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項8】
前記ラジカル重合開始剤は、ペルオキシドラジカル重合開始剤を含む、請求項1に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項9】
前記ペルオキシドラジカル重合開始剤は、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、tert-ブチル-ヒドロペルオキシド、tert-アミルヒドロペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、イソプロピルクミルヒドロペルオキシド、イソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリペルオキソナン、ジ(tert-ブチル)-ペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ(tert-ブチルペルオキシ-イソプロピル)ベンゼン、tert-ブチルクミルペルオキシド、ジ-(tert-アミル)-ペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ブチル4,4-ジ(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、2,2-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、tert-アミルペルオキシ-ベンゾエート、tert-ブチルペルオキシ-アセテート、tert-ブチルペルオキシ-(2-エチルヘキシル)カーボネート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチル-ヘキサノエート、1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、tert-アミルペルオキシアセテート、tert-アミルペルオキシ-(2-エチルヘキシル)カーボネート、1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(tert-アミルペルオキシ)シクロヘキサン、tert-ブチル-モノペルオキシ-マレート、1,1’-アゾジ(ヘキサヒドロベンゾニトリル)、tert-ブチルペルオキシ-イソブチレート、tert-ブチルペルオキシジエチルアセテート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジベンゾニルペルオキシド、tert-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(3-メチルベンゾニル)ペルオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、アンモニウムペルオキソジスルフェート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、2,2’-アゾジ(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾジ(イソブチロニトリル)、ジデカノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、tert-アミルペルオキシピバレート、tert-ブチルペルオキシネオヘプタノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシピバレート、tert-ブチルペルオキシピバレート、ジセチルペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、tert-ブチルペルオキシネオデカノエート、ジ-sec-ブチルペルオキシジカーボネート、tert-アミルペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキシネオヘプタノエート、ジ(3-メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキシネオデカノエート、ジイソブチリルペルオキシドおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上を含む、請求項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項10】
前記シロキサン樹脂組成物の硬化物は、10GHz周波数での誘電率が3.3以下であり、10GHz周波数での誘電損失が0.005以下である、請求項1に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項11】
前記シロキサン樹脂組成物の硬化物は、ASTM D570規格により測定される吸湿性が0.1%以下である、請求項1に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項12】
下記化学式1:
Si(OR
(前記化学式1で、
は線状または分枝状のC 2-20 アルケニル基を含み、
はH、線状または分枝状のC 1-20 アルキル基、C 6-20 アリール基、またはC 2-20 アルケニル基を含み、
は線状または分枝状のC 1-7 アルキル基を含み、
1≦a≦2であり、0≦b≦1であり、a+b=2である)
で表される第1有機アルコキシシランと、
下記化学式2:
Si(OR
(前記化学式2で、
はC 6-20 アリール基を含み、
は線状または分枝状のC 1-7 アルキル基を含む)
で表される第2有機アルコキシシランと、
下記化学式4:
Si(OR
(前記化学式4で、
は線状、分枝状または環状のC 1-20 アルキル基を含み、
は線状または分枝状のC 1-7 アルキル基を含む)
で表される第3有機アルコキシシランと、
酸または塩基触媒を混合して混合物を製造する段階、
前記混合物を攪拌して40℃~300℃で縮合反応を行う段階、
前記酸または塩基触媒を除去する段階、そして
ペルオキシドラジカル重合開始剤を添加する段階
を含み、
前記第2有機アルコキシシランのモル含有量と前記第3有機アルコキシシランのモル含有量との合計が前記第1有機アルコキシシランのモル含有量より大きく、前記第2有機アルコキシシランのモル含有量が前記第3有機アルコキシシランのモル含有量より大きい、
シロキサン樹脂組成物の製造方法。
【請求項13】
前記酸触媒は、塩酸、硫酸、硝酸、蟻酸、酢酸、トルエンスルホン酸、酪酸、パルミチン酸、シュウ酸、酒石酸またはこれらを一つ以上含む、請求項12に記載のシロキサン樹脂組成物の製造方法。
【請求項14】
前記塩基触媒は、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、第4級アンモニウム化合物、アンモニア、アミン化合物、またはこれらを一つ以上含む、請求項12に記載のシロキサン樹脂組成物の製造方法。
【請求項15】
前記塩基触媒を除去する段階は、有機溶媒を添加してシロキサンを溶解した後、層分離法でシロキサン樹脂が溶解された有機溶媒を塩基触媒から分離することを含む、請求項12に記載のシロキサン樹脂組成物の製造方法。
【請求項16】
請求項1~11のいずれか一項に記載のシロキサン樹脂組成物硬化物およびガラスクロス(glass cloth)を含むガラス繊維強化プラスチック(Glass fabric reinforced plastic、GFRP)フィルム。
【請求項17】
請求項1~11のいずれか一項に記載のシロキサン樹脂組成物硬化物およびガラスクロス(glass cloth)を含むシート。
【請求項18】
請求項17に記載のシートを含む銅張積層板(Copper clad laminate、CCL)。
【請求項19】
請求項18に記載の銅張積層板を含む印刷回路基板(Printed circuit board、PCB)。