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特開2024-12939砕石杭形成用アタッチメント及びそれを備える砕石杭形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012939
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】砕石杭形成用アタッチメント及びそれを備える砕石杭形成装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/08 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
E02D3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114785
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】507301486
【氏名又は名称】株式会社 尾鍋組
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾鍋 哲也
【テーマコード(参考)】
2D043
【Fターム(参考)】
2D043DA07
2D043DB02
2D043DB05
2D043DB09
2D043DB29
(57)【要約】
【課題】 クラッチ機構の正常な作動が損なわれることを抑制する。
【解決手段】 砕石杭形成用アタッチメントは、砕石投入孔が形成される円筒部と、円筒部内に回転可能に配置されるシャフトと、シャフトから円筒部に駆動力を伝達するクラッチ機構を備えている。クラッチ機構は、円筒部とシャフトの一方に固定された第1係合部材52と、円筒部とシャフトの他方に回動可能に支持された第2係合部材54を備える。シャフトが正転方向に回転するときは、第1係合部材と第2係合部材が当接して係合し、シャフトの回転を円筒部に伝達する。シャフトが反転方向に回転するときは、第2係合部材が第1係合部材を乗り越え、シャフトの回転が円筒部に伝達されない。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に挿入されて空間を形成し、前記空間に砕石を投入して砕石杭を形成する砕石杭形成用のアタッチメントであって、
その側面に砕石投入孔が形成される円筒部と、
前記円筒部内に回転可能に配置され、駆動装置から伝達される駆動力により回転するシャフトと、
前記駆動装置から前記シャフトに正転方向の駆動力が伝達される場合は、前記シャフトと前記円筒部とが一体となって前記正転方向に回転し、前記駆動装置から前記シャフトに反転方向の駆動力が伝達される場合は、前記シャフトが前記反転方向に回転する一方で前記円筒部が前記反転方向に回転しないように、前記シャフトの回転を前記円筒部に伝達するクラッチ機構と、を備え、
前記クラッチ機構は、
前記円筒部の上部と前記シャフトの一方に設けられた第1係合部材と、
前記円筒部の上部と前記シャフトの他方に設けられた回動軸の周りに回動可能に支持された第2係合部材と、を備え、
前記第2係合部材は、前記回動軸周りの角度位置が第1角度となる第1状態と、前記回動軸周りの角度位置が第2角度となる第2状態と、に回動可能となっており、
前記第2係合部材は、外力が作用しない状態では、その自重によって前記第2状態から前記第1状態となるように付勢されており、
前記クラッチ機構は、
前記シャフトが前記正転方向に回転する場合は、前記第1状態の前記第2係合部材が前記第1係合部材に係合して、前記シャフトの回転を前記円筒部に伝達し、
前記シャフトが前記反転方向に回転する場合は、前記第1状態の前記第2係合部材が前記第1状態から前記第2状態となって前記第1係合部材を乗り越えることで、前記シャフトの前記反転方向の回転を前記円筒部に伝達しないように構成されている、砕石杭形成用アタッチメント。
【請求項2】
前記クラッチ機構は、前記円筒部の上部と前記シャフトの一方に固定された第1リング板と、前記円筒部の上部と前記シャフトの他方に固定された第2リング板と、をさらに備えており、
前記第1リング板の上面は、前記第2リング板の下面と対向しており、
前記第1係合部材は、前記第1リング板の上面に設けられたノックであり、
前記第2係合部材は、前記第2リング板の下面に設けられた前記回動軸に回動可能に支持されたノック爪である、請求項1に記載の砕石杭形成用アタッチメント。
【請求項3】
前記第1リング板は、前記シャフトに固定されており、
前記第第2リング板は、前記円筒部の上部に固定されている、請求項2に記載の砕石杭形成用アタッチメント。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のアタッチメントと、
正転方向と反転方向の回転駆動力を発生させて、前記アタッチメントを駆動する駆動装置と、を備える、砕石杭形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、砕石杭形成用アタッチメント及びそれを備える砕石杭形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液状化対策等の地盤改良のために、地中に砕石杭を形成する方法が知られている。地中に砕石杭を形成する方法としては、地中に挿入されて空間を形成し、その形成した空間に砕石を投入して砕石杭を形成するアタッチメントを用いることがある。この種のアタッチメントは、砕石投入孔が形成される円筒部と、円筒部内に回転可能に配置されたシャフトを備えている。シャフトは、回転駆動力を発生させる駆動装置に接続されている。円筒部は、クラッチ機構を介してシャフトに接続されている。駆動装置が正転方向の回転駆動力を発生させると、その回転駆動力によりシャフト及び円筒部が回転し、アタッチメントは地中に挿入されながら地中を掘削する。地中を掘削することで形成された空間には、円筒部の側面に設けられる砕石投入孔から砕石が投入される。そして、駆動装置が反転方向の回転駆動力を発生させると、シャフトが反転方向に回転し、円筒部内に投入された砕石を押圧しながら地中に排出する。この際、シャフトの回転は円筒部には伝達されず、円筒部は回転しない状態で地中から引き抜き抜かれる。例えば、特許文献1には、砕石杭形成用のアタッチメントの一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-248885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、この種のアタッチメントでは、クラッチ機構によって、地中を掘削する際はシャフトの回転を円筒部に伝達し、砕石を地中に排出する際はシャフトの回転が円筒部に伝達されないようにする。このため、クラッチ機構が正常に作動しないと、シャフトの正転方向の回転が円筒部に伝達されず、地中を掘削することができなかったり、あるいは、シャフトの反転方向の回転が円筒部に伝達され、地中に砕石を排出することができなかったりする。従来のクラッチ機構では、機構内に侵入した小石や砂利により正常な作動が阻害されてしまう虞があった。本明細書は、クラッチ機構内に小石や砂利が侵入したとしても、クラッチ機構の正常な作動が損なわれることを抑制する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示するアタッチメントは、地中に挿入されて空間を形成し、空間に砕石を投入して砕石杭を形成する砕石杭形成用のアタッチメントである。このアタッチメントは、その側面に砕石投入孔が形成される円筒部と、円筒部内に回転可能に配置され、駆動装置から伝達される駆動力により回転するシャフトと、駆動装置からシャフトに正転方向の駆動力が伝達される場合は、シャフトと円筒部とが一体となって正転方向に回転し、駆動装置からシャフトに反転方向の駆動力が伝達される場合は、シャフトが反転方向に回転する一方で円筒部が反転方向に回転しないように、シャフトの回転を円筒部に伝達するクラッチ機構と、を備えている。クラッチ機構は、円筒部の上部とシャフトの一方に設けられた第1係合部材と、円筒部の上部とシャフトの他方に設けられた回動軸の周りに回動可能に支持された第2係合部材と、を備えている。第2係合部材は、回動軸周りの角度位置が第1角度となる第1状態と、回動軸周りの角度位置が第2角度となる第2状態と、に回動可能となっている。第2係合部材は、外力が作用しない状態では、その自重によって第2状態から第1状態となるように付勢されている。クラッチ機構は、シャフトが正転方向に回転する場合は、第1状態の第2係合部材が第1係合部材に係合してシャフトの回転を円筒部に伝達し、シャフトが反転方向に回転する場合は、第1状態の第2係合部材が第1状態から第2状態となって第1係合部材を乗り越えることで、シャフトの反転方向の回転を円筒部に伝達しないように構成されている。
【0006】
上記のアタッチメントでは、円筒部とシャフトが相対的に回転すると、第1係合部材も円筒部とシャフトの一方と一体となって他方に対して相対回転する。したがって、クラッチ機構には、第1係合部材が円筒部とシャフトの他方に対して相対回転するための空間が形成される。また、第2係合部材が円筒部とシャフトの他方に回動可能に支持されていることから、クラッチ機構には、第2係合部材が回動するための空間が形成される。すなわち、第2係合部材を直線的に移動させる場合と比較して大きな空間が形成される。これらのため、クラッチ機構内には、第1係合部材及び第2係合部材の周囲に比較的に大きな空間が形成される。したがって、クラッチ機構に小石や砂利等が侵入しても、これらによってクラッチ機構の正常な作動が不能となることを抑制することができる。また、第2係合部材は、その自重によって第2状態から第1状態となるように付勢されており、第2係合部材を第2状態から第1状態に戻すための付勢手段(ばね等)が不要となっている。これにより、クラッチ機構の構成が簡易となり、クラッチ機構の正常な作動が損なわれることを抑制することができる。
【0007】
また、本明細書は、上記のアタッチメントを備えた砕石杭形成装置を開示する。すなわち、本明細書に開示する砕石杭形成装置は、上記のアタッチメントと、回転駆動力を発生させてアタッチメントを駆動する駆動装置と、を備える。この砕石杭形成装置によると、クラッチ機構の正常な作動が維持され、砕石杭を好適に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例に係る砕石杭形成装置の概略構成を示す図。
図2】アタッチメントのみを別の角度から見た図。
図3図1に示すアタッチメントの先端部分を縦断面で示す一部縦断面図。
図4】クラッチ機構の概略構成を示す斜視図。
図5】クラッチ機構を構成するノックとノック爪を平面視したときの位置関係を説明するための図。
図6】クラッチ機構の動作を説明するための図(回転駆動力を伝達しない状態)。
図7】クラッチ機構の動作を説明するための図(回転駆動力を伝達する状態)。
図8】変形例のクラッチ機構の動作を説明するための図(回転駆動力を伝達しない状態)。
図9】変形例のクラッチ機構の動作を説明するための図(回転駆動力を伝達する状態)。
図10】他の変形例のクラッチ機構の概略構成を示す模式図。
図11図10に示すクラッチ機構の動作を説明するための図(回転駆動力を伝達する状態)。
図12図10に示すクラッチ機構の動作を説明するための図(回転駆動力を伝達しない状態)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(特徴1)本明細書が開示するアタッチメントでは、クラッチ機構は、円筒部の上部とシャフトの一方に固定された第1リング板と、円筒部の上部とシャフトの他方に固定された第2リング板と、をさらに備えていてもよい。第1リング板の上面は、第2リング板の下面と対向していてもよい。第1係合部材は、第1リング板の上面に設けられたノックであってもよい。第2係合部材は、第2リング板の下面に設けられた回動軸に回動可能に支持されたノック爪であってもよい。このような構成によると、第1リング板と第2リング板との間に空間が形成され、その空間内にノックとノック爪が配置される。これによって、ノックとノック爪が比較的広い空間に配置され、クラッチ機構の正常な作動を好適に維持することができる。
【0010】
(特徴2)本明細書が開示するアタッチメントでは、第1リング板はシャフトに固定されていてもよい。第2リング板は円筒部の上部に固定されていてもよい。
【実施例0011】
以下、本実施例に係る砕石杭形成装置100について説明する。図1に示すように、砕石杭形成装置100は、建設機械としての地盤改良機40と、地盤改良機40に装着されたアタッチメント10を備えている。地盤改良機40は、図1に示されるように、地盤改良機本体構造1と、運転席としてのキャビン7と、低接地圧で不整地を移動可能な無限軌道であるクローラ6と、施工時において地盤改良機40の揺動を抑制するアウトリガー5と、を備える。
【0012】
地盤改良機40は、さらに、アタッチメント10を操作するための構成として、アタッチメント10に出力軸27を介して回転駆動力を供給する駆動装置11と、昇降ガイドレール9を有するリーダー4と、駆動装置11及びアタッチメント10を昇降ガイドレール9に沿って昇降する昇降台17と、リーダー4を支持するためのリーダー取付ベース2と、リーダー4の傾きを操作する油圧シリンダー3と、リーダー4の下端部においてリーダー4と一体的に形成されている延長脚柱8と、を備えている。
【0013】
図1及び図2に示すように、アタッチメント10は、フィン13が設けられた円筒部12と、シャフト22(図3に図示)と、ジョイントロッド26と、螺旋部14と、円筒部12の振れ止め用の包囲枠30と、昇降台17に取り付けられるハンガーステー18と、トップカバーケース16と、砕石投入装置32と、包囲枠30を支持する支持プレート37と、砕石投入装置32を支持する支持アーム39と、アタッチメント10による施工状態を管理する施工管理装置41と、を備えている。
【0014】
円筒部12は、その側面に軸方向に沿って形成された砕石投入孔15を備えている。砕石投入孔15は、円筒部12の軸方向に伸びており、弾性変形可能なゴム製又は樹脂製の扉としての開閉扉20によって塞がれている。
【0015】
砕石投入装置32は、ホッパー部33と、ホッパー部33の下部に配置されるシュート部34を備えている。砕石投入孔15は、アタッチメント10が地中を掘削する際には、開閉扉20によって閉じられている。これによって、砕石投入孔15から円筒部12内に土砂が侵入することを防止できる。また、円筒部12内に砕石を投入する際には、開閉扉20が開けられる。これによって、砕石投入装置32に投入した砕石を砕石投入孔15から円筒部12内に投入することができる。また、砕石投入孔15が軸方向に沿って長孔として設けられていることによって、円筒部12が上昇しても砕石投入位置を変更することなく、砕石を円筒部12内に投入することができる。
【0016】
図1及び図2に示すように、螺旋部14は、円筒部12の先端に位置しており、シャフト22(図3に図示)の先端側に一体回転可能に連結されている。螺旋部14の先端には掘削翼が設けられている。掘削翼は、螺旋部14の先端に向かうにしたがって径が大きくなる螺旋状に形成されている。掘削翼の略全体は円筒部12内に配置されており、掘削翼の先端の一部のみが円筒部12の先端から突出している。円筒部12の外周囲には螺旋状のフィン13が設けられている。フィン13は、螺旋部14の螺旋(すなわち、掘削翼)と同一方向の螺旋形状を有している。すなわち、掘削する際には、円筒部12と螺旋部14は、同一方向に回転することになる。これにより、螺旋部14の掘削によって生じた掘削土砂がフィン13によって地表に運搬されることになる。
【0017】
図3に示すように、シャフト22は、円筒部12内においてその中心軸に沿って回転可能に配置された部材であり、一定の直径(約8cm)を有する鋼管からなる。円筒部12内における複数の箇所には放射ステー24が設けられ、それら放射ステー24を介して軸受け管23が固定されている。シャフト22はこれらの軸受け管23に挿通されることで支持されている。
【0018】
シャフト22の基端側は、ジョイントロッド26に連結されている。ジョイントロッド26は、円筒部12の上端においてトップカバーケース16より一部を突出させた状態で配置されるとともに、駆動装置11の出力軸27に連結されている。ジョイントロッド26は、出力軸27の回転駆動力に応じて回転し、その回転駆動力を一体的に連結されたシャフト22を介して螺旋部14に伝達する。また、ジョイントロッド26には、リング板51(「第1リング板」の一例)が固定されている。リング板51は、トップカバーケース16内の下端部に位置している。リング板51の外周面とトップカバーケース16の内周面との間にはわずかな隙間が形成され、トップカバーケース16に対してリング板51が回転可能となっている。
【0019】
トップカバーケース16(「円筒部の上部」の一例)は、円筒状に形成されており、円筒部12の後端部(基端部)に取付けられ、円筒部12と一体化されている。トップカバーケース16の上端には、リング状のリング板55(「第2リング板」の一例)が配置されている。このため、リング板55の下面とリング板51の上面は対向している。リング板55の外周縁は、トップカバーケース16に溶接等によって固定され、リング板55によってトップカバーケース16の上端が閉じられている。ジョイントロッド26は、リング板55の中央の貫通孔を貫通している。リング板55には、軸受け部57が設けられ、軸受け部57によってジョイントロッド26が回転可能に支持されている。このため、ジョイントロッド26(シャフト22)が回転駆動されても、円筒部12はジョイントロッド26(シャフト22)と共に回転することはなく、フリーな状態が保たれる。なお、上記の説明から明らかなように、リング板55とジョイントロッド26の間の隙間は、軸受け部57によって閉じられている。
【0020】
トップカバーケース16内には、クラッチ機構C1が配設されている。クラッチ機構C1は、駆動装置11が掘削時の回転方向に螺旋部14を駆動する際には、螺旋部14(すなわち、ジョイントロッド26及びシャフト22)と円筒部12を一体として回転させる。一方、クラッチ機構C1は、駆動装置11が掘削時の回転方向と逆方向に螺旋部14を駆動する際は、螺旋部14(すなわち、ジョイントロッド26及びシャフト22)を反転方向に回転させる一方で、螺旋部14(すなわち、ジョイントロッド26及びシャフト22)から円筒部12への動力伝達を遮断して円筒部12の回転を停止させる。以下、円筒部12と螺旋部14が同一方向に回転する方向、すなわち、掘削時の回転方向を「正転方向」といい、掘削時の回転方向と逆方向に回転する方向を「反転方向」ということがある。また、正転方向の回転を右回転(時計回り)とし、反転方向の回転を左回転(反時計回り)として説明する。
【0021】
図4~7に示すように、クラッチ機構C1は、ジョイントロッド26(シャフト22)に固定されたリング板51と、トップカバーケース16(円筒部12)に固定されたリング板55と、リング板51の上面に設けられたノック52と、リング板55の下面に回動可能に支持されたノック爪54により構成されている。なお、図4では、ノック爪54とノック52を図示するためにトップカバーケース16及びリング板55等の図示を省略している。
【0022】
図5に示すように、リング板51の上面には2つのノック52が設けられている。2つのノック52は、平面視するとジョイントロッド26の回転軸Aに対して点対称な位置に配置されている。図6,7に示すように、ノック52は側面視すると三角形状を呈しており、リング板51の上面に対して鋭角となる第1傾斜面52aと、リング板51の上面に対して鈍角となる第2傾斜面52bを有している。
【0023】
図4,6,7に示すように、ノック爪54は、取付板58を介してリング板55の下面に取付けられている。具体的には、ノック爪54は回動軸56を有し、回動軸56は一対の取付板58に回動可能に支持され、一対の取付板58がリング板55の下面に固定されている。これによって、ノック爪54はリング板55に対して回動可能に支持されている。図6,7から明らかなように、リング板51とリング板55の間の間隔は、ノック爪54の先端から基端までの長さより短くされている。このため、ノック爪54は、回動軸56の軸線周りを一回転することはできず、ノック爪54がリング板51の上面に当接する角度位置(図7に示す状態(「第1状態」の一例)))と、ノック爪54がノック52を乗り越える角度位置(図6に示す状態(「第2状態」の一例)))との間で回動可能となっている。なお、ノック爪54は、ばね等によって付勢されておらず、重力のみが作用する。このため、ノック爪54に外力が作用しない状態では、ノック爪54は、その自重によって図6に示す状態から図7に示す状態となるように付勢されている。
【0024】
図5に示すように、ノック爪54は、リング板55の下面に2つ取付けられている。2つのノック爪54は、平面視するとジョイントロッド26の回転軸Aに対して点対称な位置に配置されている。また、2つのノック爪54は、一方のノック爪54が一方のノック52と係合すると、他方のノック爪54が他方のノック52と係合するように、2つのノック52に対して配置されている。図6,7に示すように、ノック爪54は、回動軸56側の寸法が大きく、先端に向かって寸法が小さくなる尖った形状を有している。ノック爪54の先端を尖った形状(楔形状)とすることで、ノック52の第1傾斜面52aとリング板51の上面との間にノック爪54の先端が係合するようになっている。
【0025】
次に、砕石杭形成装置100が砕石杭を形成する際の砕石杭形成装置100の動作について説明する。
【0026】
まず、アタッチメント10の位置合わせを行う。アタッチメント10の位置合わせは、クローラ6の駆動によって地盤改良機40の位置と方向とを調整することによって行われる。なお、地盤改良機40の位置と方向を調整した後、地盤改良機40は、アウトリガー5によって地面に固定されてもよい。これにより、施工時における地盤改良機40の揺動や位置ずれを抑制することができる。
【0027】
次いで、アタッチメント10を地中に挿入して、地中を掘削する。具体的には、地盤改良機40を地面に固定した後、駆動装置11を駆動させながらアタッチメント10を下降させる。この際、駆動装置11は、正転方向の回転駆動力を発生するように駆動する。駆動装置11が正転方向の回転駆動力を発生すると、クラッチ機構C1によって、螺旋部14及び円筒部12が正転方向に回転する。すなわち、駆動装置11が正転方向の回転駆動力を発生すると、ジョイントロッド26及びシャフト22が正転方向に回転し、これによってジョイントロッド26に固定されたリング板51も正転方向に回転する。ここで、ノック爪54の回動軸56周りの角度位置は、その自重によって、その先端がリング板51の上面に当接する角度位置(図7に示す状態)となっている。このため、リング板51が正転方向に回転すると、図7に示すように、ノック爪54がリング板51の上面に固定されたノック52の第1傾斜面52aに当接する。この際、ノック爪54の先端は、ノック52の第1傾斜面52aとリング板51の上面との間の隙間に係合し、ノック爪54が回動不能な状態となる。このため、リング板51(すなわち、ジョイントロッド26)が正転方向に回転すると、これに応じてリング板55も正転方向に回転する。リング板55が正転方向に回転するため、リング板55に固定されたトップカバーケース16及び円筒部12も正転方向に回転する。
【0028】
上記のように、螺旋部14及び円筒部12が正転方向に回転することで、アタッチメント10が地中に挿入されて掘削される。地中の掘削によって排出される土砂は、円筒部12の外周に運ばれ、フィン13によって地表に排出される。アタッチメント10が所定の深さまで到達すると、駆動装置11の正転回転の駆動を停止し、掘削を終了する。
【0029】
次いで、アタッチメント10を上昇させ、地中に砕石杭を形成する。砕石杭の形成は、以下の手順で行われる。まず、開閉扉20を開いた状態で、砕石投入装置32に砕石を投入する。砕石投入装置32に投入された砕石は、砕石投入孔15を介して円筒部12内に投入される。次に、反転方向の回転駆動力が発生するように、駆動装置11を駆動する。すると、螺旋部14は、反転方向に回転し、円筒部12内に投入された砕石を螺旋部14から押圧しながら円筒部12外に排出する。これによって、アタッチメント10が地中から押し出されると共に、円筒部12で形成した空間に砕石杭が形成される。
【0030】
ここで、駆動装置11が反転方向の回転駆動力を発生すると、クラッチ機構C1によって螺旋部14のみが反転方向に回転し、円筒部12は正転方向にも反転方向にも回転しない状態となる。すなわち、駆動装置11が反転方向の回転駆動力を発生すると、ジョイントロッド26及びシャフト22が反転方向に回転し、これによってジョイントロッド26に固定されたリング板51も反転方向に回転する。ここで、ノック爪54は、その自重によって、その先端がリング板51の上面に当接している。このため、リング板51が反転方向に回転すると、図6に示すように、ノック爪54がノック52の第2傾斜面52bに当接する。ノック爪54の第2傾斜面52bへ当接した後、さらにジョイントロッド26及びリング板51が反転方向に回転すると、ノック爪54は第2傾斜面52bに案内されて回動軸56周りに回動し、ノック52を乗り越える位置(図6に示す状態)に移動する。そして、リング板51がさらに反転方向に回転すると、ノック爪54は、自重によって回動軸56周りに回動し、その先端がリング板51の上面に当接する位置に戻る。以下、リング板51が反転方向に回転している間、ノック爪54がノック52を乗り越える動作を繰り返す。これによって、ジョイントロッド26の反転方向の回転が円筒部12には伝達されず、円筒部12は回転を停止した状態を維持する。このため、円筒部12に設けられる砕石投入孔15の位置が周方向に変化することを回避することができ、砕石投入装置32の位置を調整することなく円筒部12内へ砕石を投入することができる。そして、アタッチメント10が地表まで押し出されると、駆動装置11の反転方向の駆動を停止し、砕石杭の形成が終了する。
【0031】
本実施例のアタッチメント10では、リング板51とリング板55との間に比較的に広い空間が形成され、その空間内にノック52とノック爪54が配置される。このため、リング板51とリング板55との間の空間に土砂や小石が侵入したとしても、これらによってノック爪54の正常な動作が阻害されることを抑制することができる。また、ノック爪54は、リング板55の下面に回動可能に支持されており、ノック爪54を付勢するばね等の機械的要素も設けられていない。このため、ノック爪54は、リング板55の下方の空間を自由に回動することができ、ノック爪54とノック52の間に土砂等が噛み込んだ状態となってしまうことを抑制することができる。その結果、クラッチ機構C1の正常な作動が維持され、砕石杭を好適に形成することができる。
【0032】
なお、上述した実施例では、リング板55の下面に回動可能に支持されたノック爪54と、リング板51の上面に設けられたノック52によってクラッチ機構C1を構成したが、本明細書に開示の技術は、このような例に限られない。例えば、図8,9に示すように、リング板55の下面にノック66を設け、リング板51の上面にノック爪64を回動可能に支持してもよい。かかる構成において、ノック爪64は、取付板60を介してリング板51の上面に取付けられ、取付板60によって回動軸62周りに回動可能に支持される。そして、ノック爪64は回動軸62周りに回動することで、ノック爪64の下端がリング板51の上面から離間した状態(図8に示す状態)と、ノック爪64の下端がリング板51の上面に当接した状態(図9に示す状態)とに切替わることができる。ノック爪64の重心は、回動軸62の位置よりも右側に位置していることから、ノック爪64は自重によって図8に示す状態から図9に示す状態となるように付勢されている。かかる構成においても、ジョイントロッド26及びシャフト22が正転方向に回転すると、ノック爪64とノック66が係合し、ジョイントロッド26及びシャフト22の正転方向の回転を円筒部12に伝達することができる。また、ジョイントロッド26及びシャフト22が反転方向に回転すると、ノック爪64がノック66を乗り越えるため、ジョイントロッド26及びシャフト22の反転方向の回転を円筒部12に伝達されないようにすることができる。
【0033】
また、例えば、図10~12に示すように、円筒部12に固定されたリング板70の下面に回動可能に支持された第1棒状部材72と、ジョイントロッド26に固定された第2棒状部材76によりクラッチ機構を構成してもよい。このような例では、第1棒状部材72は、その上端に回動軸74が設けられ、その下方の部位で第2棒状部材76に当接可能となっている。第1棒状部材72には、ばね等の付勢手段は設けられておらず、外力が作用しない状態では自重により垂下した状態となっている(図10、11に示す状態)。また、第1棒状部材72は、垂下した状態から一方には回転するが、他方には回転しないようにストッパ78により回転が規制される。一方、第2棒状部材76は、ジョイントロッド26から径方向に伸び、第1棒状部材72と当接可能となる。かかる構成において、ジョイントロッド26が正転方向に回転すると、第2棒状部材76は第1棒状部材72に当接する。この際、第1棒状部材72の回動をストッパ78により規制することで、第2棒状部材76と第1棒状部材72が一体となって正転方向に回転し、これにより円筒部12が正転方向に回転する(図11に示す状態)。一方、ジョイントロッド26が反転方向に回転する際は、第2棒状部材76は第1棒状部材72に当接すると、第1棒状部材72が回転軸周りに回動することで、第1棒状部材72が第2棒状部材76を乗り越え、第2棒状部材76のみがジョイントロッド26と共に反転方向に回転する。これによって、ジョイントロッド26の反転方向の回転が円筒部12に伝達されることを遮断することができる。
【0034】
また、本実施例は、掘削した土砂を地表面に排出するタイプ(いわゆる、排土タイプ)のアタッチメント10であったが、このような例に限られない。本明細書に開示の技術は、例えば、掘削した土砂を地表面に排出しない無排土タイプのアタッチメントにおいても採用することができる。
【0035】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0036】
10 アタッチメント
11 駆動装置
12 円筒部
15 砕石投入孔
51,55 リング板
52 ノック
54 ノック爪
100 砕石杭形成装置
C1 クラッチ機構
図1
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