(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129392
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】配管固定装置及び配管固定方法
(51)【国際特許分類】
F16L 3/12 20060101AFI20240919BHJP
F16L 3/08 20060101ALI20240919BHJP
F16L 3/18 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
F16L3/12 B
F16L3/08 D
F16L3/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038566
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】398034319
【氏名又は名称】エヌパット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【弁理士】
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】生野 真
(72)【発明者】
【氏名】石川 将司
【テーマコード(参考)】
3H023
【Fターム(参考)】
3H023AC05
3H023AC52
3H023AC64
3H023AD08
3H023AD27
3H023AE07
(57)【要約】
【課題】地震発生時に配管の長手方向への移動を抑制する。
【解決手段】配管固定装置1は、基台3の支持面3aに断熱ブロック4が設置され、断熱ブロック4の内側に配管2を設置して配管2の外周面を断熱ブロック4で包囲し、断熱ブロック4の外周面にU字状の配管固定部材5を接合させた状態で配管固定部材5の両端を基台3に固定することにより配管2を基台3に固定する。配管固定装置1は、配管2の外周面に装着され、配管2の外周面を拘束する拘束部11と、拘束部11から配管2の外方に延びる延設部12とを有する拘束部材10と、拘束部材10の延設部12に取り付けられる断熱部材20と、断熱部材20を基台3の側面3bに押圧固定することにより、拘束部材10を基台3に固定し、配管2の長手方向の移動を規制する押圧固定部材30と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台の支持面に断熱ブロックが設置され、前記断熱ブロックの内側に配管を設置して前記配管の外周面を前記断熱ブロックで包囲し、前記断熱ブロックの外周面にU字状の配管固定部材を接合させた状態で前記配管固定部材の両端を前記基台に固定することにより前記配管を前記基台に固定する配管固定装置において、
前記配管の外周面に装着され、前記配管の外周面を拘束する拘束部と、前記拘束部から前記配管の外方に延びる延設部とを有する拘束部材と、
前記拘束部材の前記延設部に取り付けられる断熱部材と、
前記断熱部材を前記基台の側面に押圧固定することにより、前記拘束部材を前記基台に固定し、前記配管の長手方向の移動を規制する押圧固定部材と、
を備えることを特徴とする配管固定装置。
【請求項2】
基台の支持面に配管が設置され、前記配管の外周面にU字状の配管固定部材を接合させた状態で前記配管固定部材の両端を前記基台に固定することにより、前記配管を前記基台に固定する配管固定装置において、
前記配管の外周面に装着され、前記配管の外周面を拘束する拘束部と、前記拘束部から前記配管の外方に延びる延設部とを有する拘束部材と、
前記延設部を前記基台の側面に押圧固定することにより、前記拘束部材を前記基台に固定し、前記配管の長手方向の移動を規制する押圧固定部材と、
を備えることを特徴とする配管固定装置。
【請求項3】
前記拘束部材は、第1部材と第2部材とを備え、
前記第1部材及び前記第2部材のそれぞれは、前記配管の外周面に接合する半円状の包囲部と、前記包囲部の一端から前記包囲部の径方向外側に延びる第1板部と、前記包囲部の他端から前記包囲部の径方向外側に延びる第2板部とを有し、
前記第1部材の前記第1板部と前記第2部材の前記第1板部とが互いに接合した状態に固定されることにより前記延設部を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の配管固定装置。
【請求項4】
前記拘束部材は、前記延設部に添設される補強板を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の配管固定装置。
【請求項5】
前記断熱部材は、前記延設部と前記基台の側面の間に配置される第1断熱部材と、前記延設部と前記押圧固定部材との間に配置される第2断熱部材とを有することを特徴とする請求項1に記載の配管固定装置。
【請求項6】
前記拘束部材は、前記配管の長手方向における幅が40mm以上であることを特徴とする請求項1、2又は5に記載の配管固定装置。
【請求項7】
基台の支持面に断熱ブロックが設置され、前記断熱ブロックの内側に配管を設置して前記配管の外周面を前記断熱ブロックで包囲し、前記断熱ブロックの外周面にU字状の配管固定部材を接合させた状態で前記配管固定部材の両端を前記基台に固定することにより前記配管を前記基台に固定する配管固定装置において前記配管の長手方向の移動を規制する配管固定方法であって、
前記配管の外周面を拘束する拘束部と、前記拘束部から前記配管の外方に延びる延設部とを有する拘束部材を前記配管に取り付ける工程と、
前記拘束部材の前記延設部に断熱部材を取り付ける工程と、
前記基台の側面に押圧固定部材を取り付け、前記押圧固定部材と前記基台の側面との間に前記断熱部材が配置された状態で前記押圧固定部材を前記基台の側面に締着させることにより、前記断熱部材を前記基台の側面に押圧固定する工程と、
を有することを特徴とする配管固定方法。
【請求項8】
基台の支持面に配管が設置され、前記配管の外周面にU字状の配管固定部材を接合させた状態で前記配管固定部材の両端を前記基台に固定することにより、前記配管を前記基台に固定する配管固定装置において前記配管の長手方向の移動を規制する配管固定方法であって、
前記配管の外周面を拘束する拘束部と、前記拘束部から前記配管の外方に延びる延設部とを有する拘束部材を前記配管に取り付ける工程と、
前記基台の側面に押圧固定部材を取り付け、前記押圧固定部材と前記基台の側面との間に前記延設部が配置された状態で前記押圧固定部材を前記基台の側面に締着させることにより、前記延設部を前記基台の側面に押圧固定する工程と、
を有することを特徴とする配管固定方法。
【請求項9】
前記拘束部と、前記延設部の少なくとも一部を包囲する状態に断熱材を配置する工程、
を更に有することを特徴とする請求項7に記載の配管固定方法。
【請求項10】
前記断熱材を配置する工程は、前記断熱部材を前記基台の側面に押圧固定する工程よりも前に行われることを特徴とする請求項9に記載の配管固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物に設置される各種配管を固定する配管固定装置及び配管固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物には様々な配管が設置される。例えば冷温水を供給する配管には、鋼管などの金属管が使用されることが多い。また、冷温水の供給量に応じて、50A(外径60.5mm)、65A(外径76.3mm)、80A(外径89.1mm)、90A(101.6mm)、100A(外径114.3mm)、200A(外径216.3mm)、300A(外径318.5mm)といった様々な外径寸法の配管が設置される。尚、300Aを超える外形寸法の配管が設置されることもある。
【0003】
この種の配管はU字バンドやU字ボルトを使用して架台やブラケットに固定され、建造物の床面や壁面、天井空間などに設置される。ここで、配管内を冷温水が流れる場合、熱損失を防止する観点から配管の外周面に断熱材(保温材)を巻付けておくことが必要となる。特に配管内を冷却水が流れる場合には、結露水が下方に滴り落ちることを防ぐために断熱材が重要となる。
【0004】
従来、架台やブラケットなどの固定部材に配管を固定する箇所において、配管の断熱性を確保するために、例えば固定部材上に断熱性を有する断熱ブロックを用いることが提案されている(例えば特許文献1)。断熱ブロックは、底部側ブロックと頂部側ブロックとを有し、底部側ブロックと頂部側ブロックとを組み合わせることでブロックの内側に配管を保持するように構成される。例えば、固定部材の上面に底部側ブロックが配置され、その底部側ブロックの上部に形成された半円状切欠部に配管が設置される。頂部側ブロックは、底部側ブロックの半円状切欠部に設置された配管の上半部を覆う状態で底部側ブロックに接合するように配置される。その状態でU字ボルトを使用して断熱ブロックの外周面を固定部材に固定することで、底部側ブロックと頂部側ブロックの内側に保持された配管が固定部材に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された固定方法では、地震発生時に、配管の長手方向に強い応力が発生した場合、U字ボルトによって固定された配管が長手方向に移動し、配管が破損するという問題がある。例えば、配管が長手方向に移動すると、配管の長手方向延設部に設けられるエルボ部分に応力が集中し、エルボ部分が破損する。また、配管が長手方向に移動すると、配管の外周面を保持している断熱ブロックに大きな衝撃が作用するため、底部側ブロック及び頂部側ブロックが破損してしまい、固定部材が配管を適切に保持できなくなるという問題もある。更には、断熱ブロックの破損により、配管の断熱性も確保できなくなるという問題もある。
【0007】
上記問題は、例えば断熱ブロックが設けられず、U字ボルトが配管の外周面に直接接合するように配置される場合も起こり得る。すなわち、U字ボルトが配管の外周面に直接接合している場合であっても、地震発生時に配管の長手方向に強い応力が発生すると、U字ボルトによって保持される配管が長手方向に移動し、配管が破損する事態が起こり得る。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためのものであり、地震発生時に、配管が長手方向に移動することを抑制できるようにした配管固定装置及び配管固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、第1に、本発明は、基台の支持面に断熱ブロックが設置され、前記断熱ブロックの内側に配管を設置して前記配管の外周面を前記断熱ブロックで包囲し、前記断熱ブロックの外周面にU字状の配管固定部材を接合させた状態で前記配管固定部材の両端を前記基台に固定することにより前記配管を前記基台に固定する配管固定装置において、前記配管の外周面に装着され、前記配管の外周面を拘束する拘束部と、前記拘束部から前記配管の外方に延びる延設部とを有する拘束部材と、前記拘束部材の前記延設部に取り付けられる断熱部材と、前記断熱部材を前記基台の側面に押圧固定することにより、前記拘束部材を前記基台に固定し、前記配管の長手方向の移動を規制する押圧固定部材と、を備えることを特徴とする構成である。
【0010】
第2に、本発明は、基台の支持面に配管が設置され、前記配管の外周面にU字状の配管固定部材を接合させた状態で前記配管固定部材の両端を前記基台に固定することにより、前記配管を前記基台に固定する配管固定装置において、前記配管の外周面に装着され、前記配管の外周面を拘束する拘束部と、前記拘束部から前記配管の外方に延びる延設部とを有する拘束部材と、前記延設部を前記基台の側面に押圧固定することにより、前記拘束部材を前記基台に固定し、前記配管の長手方向の移動を規制する押圧固定部材と、を備えることを特徴とする構成である。
【0011】
第3に、本発明は、上記第1又は第2の構成を有する配管固定装置において、前記拘束部材は、第1部材と第2部材とを備え、前記第1部材及び前記第2部材のそれぞれは、前記配管の外周面に接合する半円状の包囲部と、前記包囲部の一端から前記包囲部の径方向外側に延びる第1板部と、前記包囲部の他端から前記包囲部の径方向外側に延びる第2板部とを有し、前記第1部材の前記第1板部と前記第2部材の前記第1板部とが互いに接合した状態に固定されることにより前記延設部を形成することを特徴とする構成である。
【0012】
第4に、本発明は、上記第1又は第2の構成を有する配管固定装置において、前記拘束部材は、前記延設部に添設される補強板を更に備えることを特徴とする構成である。
【0013】
第5に、本発明は、上記第1の構成を有する配管固定装置において、前記断熱部材は、前記延設部と前記基台の側面の間に配置される第1断熱部材と、前記延設部と前記押圧固定部材との間に配置される第2断熱部材とを有することを特徴とする構成である。
【0014】
第6に、本発明は、上記第1、第2又は第5の構成を有する配管固定装置において、前記拘束部材は、前記配管の長手方向における幅が40mm以上であることを特徴とする構成である。
【0015】
第7に、本発明は、基台の支持面に断熱ブロックが設置され、前記断熱ブロックの内側に配管を設置して前記配管の外周面を前記断熱ブロックで包囲し、前記断熱ブロックの外周面にU字状の配管固定部材を接合させた状態で前記配管固定部材の両端を前記基台に固定することにより前記配管を前記基台に固定する配管固定装置において前記配管の長手方向の移動を規制する配管固定方法であって、前記配管の外周面を拘束する拘束部と、前記拘束部から前記配管の外方に延びる延設部とを有する拘束部材を前記配管に取り付ける工程と、前記拘束部材の前記延設部に断熱部材を取り付ける工程と、前記基台の側面に押圧固定部材を取り付け、前記押圧固定部材と前記基台の側面との間に前記断熱部材が配置された状態で前記押圧固定部材を前記基台の側面に締着させることにより、前記断熱部材を前記基台の側面に押圧固定する工程と、を有することを特徴とする構成である。
【0016】
第8に、本発明は、基台の支持面に配管が設置され、前記配管の外周面にU字状の配管固定部材を接合させた状態で前記配管固定部材の両端を前記基台に固定することにより、前記配管を前記基台に固定する配管固定装置において前記配管の長手方向の移動を規制する配管固定方法であって、前記配管の外周面を拘束する拘束部と、前記拘束部から前記配管の外方に延びる延設部とを有する拘束部材を前記配管に取り付ける工程と、前記基台の側面に押圧固定部材を取り付け、前記押圧固定部材と前記基台の側面との間に前記延設部が配置された状態で前記押圧固定部材を前記基台の側面に締着させることにより、前記延設部を前記基台の側面に押圧固定する工程と、を有することを特徴とする構成である。
【0017】
第9に、本発明は、上記第7の構成を有する配管固定方法において、前記拘束部と、前記延設部の少なくとも一部を包囲する状態に断熱材を配置する工程、を更に有することを特徴とする構成である。
【0018】
第10に、本発明は、上記第9の構成を有する配管固定方法において、前記断熱材を配置する工程は、前記断熱部材を前記基台の側面に押圧固定する工程よりも前に行われることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、地震発生時に、配管が長手方向に移動することを抑制できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図4】配管に作用する応力が過度に大きくなった場合の拘束部材の挙動を示す図である。
【
図5】拘束部の変形を抑制し得る拘束部材の一構成例を示す図である。
【
図6】拘束部の変形を抑制し得る拘束部材の他の構成例を示す図である。
【
図7】
図6の拘束部材を用いた配管固定装置の側面図である。
【
図8】断熱材を取り付けた配管固定装置の例を示す側面図である。
【
図10】
図9とは異なる構成の断熱部材を示す図である。
【
図11】拘束部材の他の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下において参照する各図面では互いに共通する部材に同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態における配管固定装置1を示す斜視図である。
図2は、その配管固定装置1を示す側面図である。
図1及び
図2に示すXYZ三次元座標系は、XY平面を水平面とし、Z軸方向を鉛直方向とする座標系であり、他の図に示す座標系と共通する座標系である。
図1及び
図2に示すように、配管固定装置1は、建造物に設置される配管2を基台3に固定するための装置である。配管2は、例えば鋼管などの金属管で構成され、建造物内の空調設備などに対して冷温水を供給する配管である。基台3は、例えば床面や壁面、天井空間などに設置され、水平方向に設置される配管2を支持する。基台3は、例えば軽溝形鋼やリップ溝形鋼などの形鋼によって形成され、支持面3aと、その支持面3aの左右両側から垂下する一対の側面3b,3cとを有している。基台3は、その長手方向(Y方向)に直交する水平方向(X方向)に沿って配置される配管2を、支持面3aにおいて支持する。尚、
図1では、基台3の長手方向(Y方向)において1本の配管2が基台3の取り付けられた状態を示しているが、基台3に取り付け可能な配管2の本数は1本に限られず、複数本の配管2を平行な状態で基台3に取り付けることも可能である。また、基台3が天井空間に設置される場合には、例えば基台3の長手方向(Y方向)の両端に、天井構造物から垂下する吊りボルトやアングル材などの吊り部材が固着され、その吊り部材によって基台3が天井空間の所定高さ位置に設置される。
【0023】
例えば、配管2には、冷温水が流れる。そのため、配管固定装置1は、基台3が配管2を支持する構造として断熱支持構造を採用している。具体的には、この配管固定装置1は、基台3の支持面3aに断熱ブロック4を配置し、その断熱ブロック4の内側に配管2を配置して配管2の外周面を断熱ブロック4で包囲した状態で支持する。断熱ブロック4は、基台3の支持面3aに設置される下部ブロック4aと、その下部ブロック4aの上側に配置される上部ブロック4bとの2つの部材によって構成される。下部ブロック4a及び上部ブロック4bは、例えば硬質ウレタンフォームなどの断熱材で形成される。下部ブロック4aは、基台3の支持面3aに載置可能な底面を有し、その上部には配管2の外径に対応する半円状の凹部が形成され、その凹部で配管2の外周面の下半部を支持するように構成される。上部ブロック4bは、半円状のブロック体であり、下部ブロック4aの凹部両側の接合部4cに接合し、且つ、配管2の外周面の上半部を覆う凹部を有している。配管2は、基台3に載置された下部ブロック4aの凹部に設置された後、上部ブロック4bが下部ブロック4aに接合装着されることにより、断熱ブロック4の内側に設置される。
【0024】
配管固定装置1は、断熱ブロック4の内側に配管2が設置された状態で断熱ブロック4(上部ブロック4b)の外周面にU字状の配管固定部材5を接合させ、その配管固定部材5の両端を基台3に固定することにより、配管2を基台3上に設置する。配管固定部材5は、U字バンドの両端にボルト部5aが固着されており、そのボルト部5aを基台3の支持面3aに形成された取付孔33に挿入し、支持面3aの下面側に突出するボルト部5aの先端にナット5bを装着することにより基台3に固定される。ナット5bを締め付けることにより、U字バンドが断熱ブロック4を基台3に向けて押圧するため、断熱ブロック4の内側に保持される配管2が基台3に対して一定の強度で固定される。
【0025】
上記のように配管2が基台3に取り付けられると、配管2は、その外周面が断熱ブロック4によって包囲された状態となる。そのため、基台3に固定される箇所(断熱ブロック4で包囲された箇所)において、配管2の断熱性が確保され、配管2の内側を冷温水が流れる場合に熱損失を防止することができると共に、結露水が下方に滴り落ちることを防ぐことも可能である。
【0026】
本実施形態の配管固定装置1は、上記のように基台3に取り付けられる配管2が、配管2の長手方向(X方向)に移動することを防ぐために、拘束部材10と、断熱部材20と、押圧固定部材30とを備えている。
【0027】
拘束部材10は、断熱ブロック4とは異なる位置において配管2の外周面に装着される金属製の部材であり、配管2の外周面を拘束する拘束部11と、拘束部11から配管2の外方に延びる延設部12とを有している。拘束部11は、配管2の外径に対応する内径を有する円環部であり、配管2の外周面に密着した状態に装着される。延設部12は、その拘束部11から配管2の径方向外側に延びている。
【0028】
図3は、拘束部材10の一構成例を示す図である。この拘束部材10は、第1部材13と、第2部材14とを互いに組み付けることにより形成される。第1部材13は、配管2の外周面に接合する半円状の包囲部13aと、包囲部13aの一端(下端)から包囲部13aの径方向外側に延びる第1板部13bと、包囲部13aの他端(上端)に設けられる係合部13cとを有している。第2部材14は、配管2の外周面に接合する半円状の包囲部14aと、包囲部14aの一端(下端)から包囲部14aの径方向外側に延びる第1板部14bと、包囲部14aの他端(上端)に設けられる係合部14cとを有し、第1部材13とほぼ対称な形状である。係合部13c,14cは互いに着脱可能な形状を有している。また、第1板部13b,14bには、ボルト15を挿通するための孔17が設けられている。
【0029】
第1部材13及び第2部材14は、
図3(a)に示すように、包囲部13a,14aを互いに対向させた状態に配置される。そして、包囲部13a,14aの上端に設けられた係合部13c,14cを互いに係合させ、第1板部13b,14bを互いに接合させることにより、
図3(b)に示すように、円環状の拘束部11が形成される。また、互いに接合した第1板部13b,14bをボルト15とナット16で締着することにより、拘束部11から外方に延びる延設部12が形成される。このような拘束部材10は、拘束部11が配管2の外周面に密着するように装着される。拘束部11の内径が配管2の外径と同一であるため、ボルト15とナット16が締め付けられると、拘束部材10が配管2の外周面に密着固定される。このような拘束部材10は、
図2に示すように、基台3の一方の側面3bから所定間隔の位置に、延設部12を垂下させた状態に取り付けられる。
【0030】
断熱部材20は、拘束部材10の延設部12に密着した状態に取り付けられる部材であり、例えば硬質ウレタンフォームなどの断熱性を有する硬質樹脂を用いてブロック状に形成される。
図2に示すように、断熱部材20は、基台3の側面3bと拘束部材10の延設部12との間に配置される第1断熱部材21と、拘束部材10の延設部12と押圧固定部材30との間に配置される第2断熱部材22とを備えている。すなわち、断熱部材20は、第1断熱部材21と第2断熱部材22とで拘束部材10の延設部12を挟み込むように延設部12に取り付けられる。
【0031】
押圧固定部材30は、例えば断面L型のアングル材などによって構成される金具であり、基台3の側面3bに取り付けられる。基台3の側面3bには、基台3の長手方向(Y方向)の2箇所の位置に、ボルト35を挿通する孔34が形成されており、それら2箇所の孔34に挿通される2本のボルト35に、押圧固定部材30が取り付けられる。押圧固定部材30は、断熱部材20(より具体的には、第2断熱部材22)を押圧する押圧板31が設けられている。この押圧板31は、基台3の側面3bと平行に配置され、拘束部材10の延設部12との間に第2断熱部材22を挟み込む。基台3の側面3bに取り付けられるボルト35は、押圧板31に設けられた孔に挿通され、押圧板31の反対の面に突出する先端部にナット36が装着される。それら2本のボルト35,35は、拘束部材10の延設部12及び断熱部材20を挟んで両側に配置される。
【0032】
ボルト35の先端に装着されたナット36が締め付けられると、押圧固定部材30は、断熱部材20を基台3の側面3bに向けて押圧した状態に固定される。これにより、拘束部材10の延設部12は、断熱部材20に挟まれた状態で基台3の側面3bに固定される。つまり、配管2の長手方向にいて延設部12が位置決め固定されるのである。拘束部材10の拘束部11は、配管2の外周面を拘束した状態に固定されているため、延設部12が基台3の側面3bに固定されることにより、拘束部11も配管2の外周面を拘束した状態で基台3に固定されることになる。したがって、押圧固定部材30は、拘束部材10を基台3に固定することにより、配管2の長手方向への移動を規制することができる。
【0033】
このように本実施形態の配管固定装置1は、配管2の外周面に装着され、配管2の外周面を拘束する拘束部11と拘束部11から配管2の外方に延びる延設部12とを有する拘束部材10と、拘束部材10の延設部12に取り付けられる断熱部材20(21,22)と、断熱部材20を基台3の側面3bに押圧することにより拘束部材10を基台3に固定し、配管2の長手方向の移動を規制する押圧固定部材30と、を備える構成である。このような構成によれば、配管2の外周面に固定される拘束部材10が基台3に固定されるため、地震発生時に配管2を長手方向に移動させようとする応力が作用した場合に、配管2が移動してしまうことを規制することが可能であり、基台3に対する配管2の相対変位を抑制することができる。したがって、配管固定装置1は、地震発生時における配管2の破損を防ぐことができると共に、断熱ブロック4の破損も防ぐことができる。そのため、地震が収まれば、直ぐに冷温水の供給を再開することが可能である。
【0034】
更に、本実施形態の配管固定装置1は、拘束部材10の延設部12が断熱部材20を介して基台3の側面に押圧固定されるため、拘束部材10から、基台3及び押圧固定部材30に対して熱伝導が起こりにくい構成となっている。そのため、拘束部材10から基台3や押圧固定部材30に対する熱損失を良好に防ぐことも可能である。
【0035】
上述した構成の配管固定装置1は、比較的外径寸法の小さい配管2(例えば100A以下の配管2)に対して好適に利用し得る。外径寸法の小さい配管2は、それ自体の重量が比較的軽く、また内部を流れる冷温水の流量も少ないため、地震発生時に配管2に作用する応力が比較的小さいからである。これに対し、上述した構成の配管固定装置1を比較的外径寸法の大きい配管2(例えば100Aを超える配管2)に適用した場合、地震発生時に配管2に作用する応力が比較的大きくなるため、大規模地震発生時には配管2の長手方向の移動を規制できないことがある。
【0036】
図4は、配管2に作用する応力が過度に大きくなった場合の拘束部材10の挙動を示す図である。
図4(a)に示すように、配管2の長手方向に対して拘束部材10による拘束力を超えるような強い応力が作用すると、配管2が長手方向に移動するため、拘束部材10は、延設部12に取り付けられたボルト15を支点として、矢印Fで示すように揺動する。地震発生中にそのような揺動が1回でも発生すると、
図4(b)に示すように拘束部材10の延設部12の上端部分19が開き、円環状の拘束部11の内径が配管2の外径よりも大きく変形してしまう。すると、拘束部材10による配管2の移動を規制する機能が失われてしまい、その後に更に大きな振動が生じると、配管2がその長手方向に大きく移動してしまい、配管2の破損や断熱ブロック4の破損を招く可能性がある。
【0037】
そこで、比較的外径寸法の大きい配管2(例えば100Aを超える配管2)にも適用し得るものとするためには、大規模地震発生時に拘束部11の変形を抑制し得る構成とすることが好ましい。
【0038】
図5は、拘束部11の変形を抑制し得る拘束部材10の一構成例を示す図である。
図5に示す拘束部材10は、第1板部13b,14bが接合して形成される延設部12の両側に添設される金属製の補強板18,18を備えている。補強板18,18は、拘束部材10の第1板部13b,14bと同一サイズであり、第1板部13b,14bと同じ位置にボルト15を挿通する孔17が形成されている。そのため、補強板18,18は、延設部12の両側に添設され、孔17に挿通されたボルト15の先端にナット16が締結されることにより、延設部12と一体物となる。補強板18,18の上端は、包囲部13a,14aから第1板部13b,14bに繋がる折曲部分を第1板部13b,14bの外側から補強するため、拘束部材10の姿勢変化を抑制することが可能であり、拘束部材10が揺動することを防止する。その結果、補強板18,18は、
図4(b)に示したように拘束部材10の延設部12の上端部分19が開いて変形してしまうことを抑制することができる。そのため、仮に大規模地震が発生し、配管2に過大な応力が作用したとしても、配管2が長手方向に移動してしまうことを良好に防止することが可能である。
【0039】
図6は、拘束部11の変形を抑制し得る拘束部材10の他の構成例を示す図である。
図6に示す拘束部材10は、
図5に示した拘束部材10よりも更に効果的に拘束部11の変形を抑制し得るものである。
図6に示す拘束部材10は、配管2の長手方向における拘束部11及び延設部12の幅Wが、
図5の拘束部材10よりも大きくなっている。尚、
図5に示した拘束部材10の幅Wは30mm程度であるのに対し、
図6に示す拘束部材10の幅Wは40mm以上であり、好ましくは50mm程度である。このように
図6に示す拘束部材10は、拘束部11及び延設部12の幅Wを大きくすることにより、それ自体の剛性が高まり、拘束部11による拘束力が上がる。また、配管2と拘束部11との間で滑りが生じ難くなり、拘束部材10の揺動を抑えることができる。そのため、
図6に示す拘束部材10は、
図5に示した拘束部材10よりも変形し難い構造となっている。
【0040】
また、
図6に示す拘束部材10は、幅Wが40mm以上であるため、延設部12の上端近傍にボルト15とナット16を2つずつ装着することができる。これにより、第1板部13b,14bの上端部がより強固に固定されるため、延設部12の上端部分が開いてしまうことを防止することができる。更に、
図6に示す拘束部材10は、
図5に示した拘束部材10と同様に、延設部12に添設される補強板18,18を有している。補強板18,18は、拘束部材10の延設部12の上端部分が開いてしまうことを抑制することができる。したがって、
図6に示す拘束部材10は、仮に大規模地震が発生し、配管2に過大な応力が作用したとしても、配管2が長手方向に移動してしまうことを良好に防止することが可能である。
【0041】
図7は、
図6の拘束部材10を用いた配管固定装置1を示す側面図である。
図7に示す配管固定装置1は、
図2に示したものと比較すると、拘束部材10が配管2の長手方向においてより広い範囲で配管2の外周面を拘束している。そのため、
図7に示す配管固定装置1は、
図2に示した配管固定装置1よりも配管2の長手方向への移動を規制する点でより高い効果を期待することができる。
【0042】
配管固定装置1が
図7に示す状態に取り付けられると、その後、
図8に示すように、拘束部材10が取り付けられた配管2の周囲を包囲するように断熱材40が取り付けられる。この断熱材40は、拘束部材10の拘束部11と、延設部12の少なくとも一部を包囲する状態に配置され、配管2から周囲への熱損失を防ぐ。また、拘束部材10の延設部12の一部は断熱材40から下方に突出して露出するが、延設部12には断熱部材20が密着しているため、延設部12の露出した部分からの熱損失を最小限に抑えることができる。そのため、本実施形態における配管固定装置1は、配管2の熱損失を抑えつつ、配管2の長手方向の移動を効果的に規制することが可能である。
【0043】
次に、断熱部材20の他の構成例について説明する。
図9は、断熱部材20の構成例を示す図である。
図9に示す断熱部材20は、拘束部材10の延設部12の周囲を包囲することが可能なサイズのブロック体として構成され、そのブロック体の中央に延設部12を挿入可能な孔23が形成されている。拘束部材10の延設部12は、その孔23に挿入して嵌め込まれる。ただし、拘束部材10の延設部12を断熱部材20の孔23に嵌め込んだときに隙間が生じると、拘束部材10を基台3に対して固定することができない。そのため、拘束部材10の延設部12を断熱部材20の孔23に嵌め込んだときに隙間が生じないように、孔23のサイズを延設部12のサイズに一致させておくことが好ましい。
【0044】
ここで、断熱部材20の孔23のサイズを延設部12のサイズに一致させると、延設部12を孔23に嵌め込む際に遊びがないため、断熱部材20を延設部12に対して効率的に取り付けることができない。そこで、断熱部材20を延設部12に対して取り付けやすくするため、
図10に示すような断熱部材20を採用しても良い。
図10は、
図9とは異なる構成の断熱部材20を示す図である。
図10に示す断熱部材20は、
図9と同様に形成されるブロック体を2分割した構成であり、第1断熱部材21と、第2断熱部材22とを有している。第1断熱部材21は、基台3の側面3bと拘束部材10の延設部12との間に配置され、第2断熱部材22は、拘束部材10の延設部12と押圧固定部材30との間に配置される。すなわち、断熱部材20は、第1断熱部材21と第2断熱部材22とで拘束部材10の延設部12を挟み込むように延設部12に取り付けられる。ここで、
図10に示す断熱部材20は、第1断熱部材21と第2断熱部材22とが互いにスライド可能に組み付けられている。第1断熱部材21と第2断熱部材22のスライド方向は、押圧固定部材30による押圧方向と同じである。このような断熱部材20は、延設部12に取り付ける際に第1断熱部材21と第2断熱部材22とを互いに離間させる方向にスライドさせることで、孔23のサイズを大きくすることが可能であり、断熱部材20をスムーズに延設部12に取り付けることが可能である。また、押圧固定部材30が断熱部材20を基台3の側面3bに押圧すると、第1断熱部材21と第2断熱部材22とが接近する方向にスライドするため、第1断熱部材21及び第2断熱部材22のそれぞれが延設部12を挟み込んだ状態となる。そのため、押圧固定部材30は、断熱部材20を押圧することにより、拘束部材10を基台3の側面3bに固定することができる。
【0045】
次に、拘束部材10の他の構成例について説明する。
図11は、拘束部材10の他の構成例を示す斜視図である。
図11に示す拘束部材10は、第1部材13と、第2部材14とを有し、これらが互いに組み付けられることにより形成される。第1部材13は、配管2の外周面に接合する半円状の包囲部13aと、包囲部13aの一端(下端)から包囲部13aの径方向外側に延びる第1板部13bと、包囲部13aの他端(上端)から包囲部13aの径方向外側に延びる第2板部13dとを有している。第2部材14は、配管2の外周面に接合する半円状の包囲部14aと、包囲部14aの一端(下端)から包囲部14aの径方向外側に延びる第1板部14bと、包囲部14aの他端(上端)から包囲部14aの径方向外側に延びる第2板部14dとを有している。第1部材13と第2部材14とは互いに対称な形状である。第1板部13b,14bには、ボルト15,15を挿通するための2つの孔17,17が設けられている。また、第2板部13d,14dには、ボルト38,38を挿通するための2つの孔37,37が設けられている。拘束部材10は、第1板部13b,14bを互いに接合させた状態でボルト15,15とナット16,16を締結すると共に、第2板部13d,14dを互いに接合させた状態でボルト38,38とナット39,39とを締結することにより形成される。
【0046】
上記構成を有する拘束部材10は、第2板部13d,14dに取り付けられるボルト38,38とナット39,39の締め付けが緩いとき、拘束部11が配管2の外周面を拘束していない状態となる。この状態において、拘束部材10は、配管2の外周面の周りに回転自在である。そのため、
図11に示すような拘束部材10を用いることにより、配管固定装置1を配管に組み付ける際の作業効率を向上させることができる。以下、そのような配管固定方法について説明する。
【0047】
図12乃至
図15は、本実施形態における配管固定方法の施工手順を示す図である。まず、
図12(a)に示すように、断熱ブロック4と配管固定部材5とを用いて配管2を基台3の支持面3aに取り付ける。その後、
図11に示した拘束部材10を配管2に取り付ける。このとき、拘束部材10の延設部12を配管2の上方に向けた状態で、ボルト15,15とナット16,16を締結することにより、配管2の上方の広い空間を利用して締結作業を行うことができる。そのため、ボルト15,15とナット16,16の締結作業を効率的に行うことができる。このとき、第2板部13d,14dは、未だボルト38,38とナット39,39が締結されていない状態である。
【0048】
次に
図12(b)に示すように、拘束部材10の延設部12を配管2の上方に向けた状態で、断熱部材20を延設部12に取り付ける。
図12(b)では、
図10に示した断熱部材20を取り付ける例を示している。このときも、拘束部材10の延設部12を配管2の上方に向けた状態で断熱部材20を取り付けることにより、配管2の上方の広い空間を利用して断熱部材20を取り付けることができるため、効率的に作業を行うことができる。
【0049】
次に
図13(a)に示すように、拘束部材10の延設部12を配管2の上方に向けた状態で、配管2及び拘束部材10の上半部を覆う断熱材40を取り付ける。例えば、断熱材40は、発泡スチロールなどで形成される。配管2及び拘束部材10の上半部を覆う断熱材40は、配管2の上半部のうちの1/2ずつを覆う断熱材40a,40bによって構成される。それら2つの断熱材40a,40bを、延設部12を挟んで相互に接合させることにより、
図13(b)に示すように、配管2及び拘束部11の上半部が断熱材40で覆われる。
【0050】
次に
図14(a)に示すよう、拘束部材10を配管2の周りに180度回転させる。また、拘束部材10を配管2の長手方向に沿って移動させることにより、断熱部材20を基台3の側面3bに当接させる。このとき、第2板部13d,14dには未だボルト38,38とナット39,39が締結されていないため、拘束部材10の回転及び移動をスムーズに行うことができる。
【0051】
次に
図14(b)に示すように、基台3の側面3bに押圧固定部材30を取り付ける。そして、ナット36をボルト35に対して締め付けることにより、押圧固定部材30が断熱部材20を基台3の側面3bに押圧固定する。これにより、拘束部材10を基台3に固定することができる。
【0052】
次に
図15(a)に示すように、第2板部13d,14dにボルト38,38とナット39,39を装着して締め付けることにより、第2板部13d,14dを互いに接合させた状態に固定する。これにより、拘束部11が配管2の外周面に密着固定され、配管2を拘束する。その結果、拘束部材10は、配管2の長手方向の移動を規制することができる状態となる。
【0053】
最後に、
図15(b)に示すように、拘束部材10の第2板部13d,14dが配管2の上方に位置する状態で、配管2及び拘束部材10の上半部を覆う断熱材40を取り付ける。例えば、断熱材40は、配管2の上半部のうちの1/2ずつを覆う断熱材40d,40dによって構成される。それら2つの断熱材40c,40dを、第2板部13d,14dを挟んで相互に接合させると共に、先に装着されている断熱材40a,40bにも接合させることにより、配管2及び拘束部11の全周が断熱材40で覆われる。したがって、拘束部材10が取り付けられた部分の断熱性を確保することができる。
【0054】
上記のような配管固定方法は、配管2の上方の比較的広い空間を利用して作業の一部を行うことが可能であり、作業効率に優れている。
【0055】
以上、本発明に関する好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態において説明したものに限定されるものではない。すなわち、本発明には、上記実施形態において説明したものに種々の変形例を適用したものが含まれる。
【0056】
例えば、上記実施形態では、配管2が水平方向に設置される場合を例示して説明した。しかし、これに限られるものではなく、上記実施形態で説明した配管固定装置1は、配管2を鉛直方向に設置する際にも適用可能である。
【0057】
また、上記実施形態では、断熱ブロック4の内側に配管2が設置された状態で断熱ブロック4の外周面にU字状の配管固定部材5を接合させ、その配管固定部材5の両端を基台3に固定することにより、配管2を基台3上に設置するタイプの配管固定装置1を例示した。しかし、これに限られるものではなく、上述した配管固定装置1の構成は、配管2の外周面に断熱ブロック4が設けられない場合にも適用可能である。この場合、配管固定装置1は、基台3の支持面に配管2が直接設置され、配管2の外周面にU字状の配管固定部材5を接合させた状態で配管固定部材5の両端を基台3に固定することにより、配管2を基台3に固定することができる。このような配管固定装置1は、配管2の内側を冷温水が流れるのではなく、常温の液体が流れる場合に採用される。そして配管固定装置1は、少なくとも上述した拘束部材10と押圧固定部材30とを備えることにより、地震発生時に配管2が長手方向へ移動することを抑制することができる。したがって、基台3に設置される配管2は、断熱ブロック4によって包囲された状態に設置されるものに限られない。
【符号の説明】
【0058】
1…配管固定装置、2…配管、3…基台、4…断熱ブロック、5…配管固定部材、10…拘束部材、11…拘束部、12…延設部、13…第1部材、13a…包囲部、13b…第1板部、13c…係合部、13d…第2板部、14…第2部材、14a…包囲部、14b…第1板部、14c…係合部、14d…第2板部、18…補強板、20…断熱部材、21…第1断熱部材、22…第2断熱部材、30…押圧固定部材、40…断熱材。
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