IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TDK株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-磁気センサ 図1
  • 特開-磁気センサ 図2
  • 特開-磁気センサ 図3
  • 特開-磁気センサ 図4
  • 特開-磁気センサ 図5
  • 特開-磁気センサ 図6
  • 特開-磁気センサ 図7
  • 特開-磁気センサ 図8
  • 特開-磁気センサ 図9
  • 特開-磁気センサ 図10
  • 特開-磁気センサ 図11
  • 特開-磁気センサ 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129393
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】磁気センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/09 20060101AFI20240919BHJP
   G01R 33/02 20060101ALI20240919BHJP
   H10N 50/10 20230101ALI20240919BHJP
【FI】
G01R33/09
G01R33/02 V
H10N50/10 U
H10N50/10 Z
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038569
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】礒田 剛大
(72)【発明者】
【氏名】太田 憲和
(72)【発明者】
【氏名】渡部 司也
(72)【発明者】
【氏名】平林 啓
【テーマコード(参考)】
2G017
5F092
【Fターム(参考)】
2G017AA02
2G017AA10
2G017AC07
2G017AD55
2G017AD63
2G017BA09
5F092AA01
5F092AA12
5F092AB01
5F092AC08
5F092AC12
5F092BB16
5F092BB30
5F092BB33
5F092BC03
5F092BC04
5F092BC07
5F092CA23
5F092EA01
5F092FA08
(57)【要約】
【課題】配線の抵抗値を小さくすることができる磁気センサを実現する。
【解決手段】磁気センサ1は、互いに反対側に位置する第1の端面30aおよび第2の端面30bを有する軟磁性体30と、第1の端面30aの近傍に配置された第1のMR素子20Aと、第2の端面30bの近傍に配置された第2のMR素子20Bと、第1のMR素子20Aと第2のMR素子20Bとを電気的に接続すると共に、第1のMR素子20Aと第2のMR素子20Bとが並ぶ第1の方向に直交する第2の方向から見たときに軟磁性体30と重なる部分を含む第1のリード41と、を備えている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに反対側に位置する第1の端面および第2の端面を有する軟磁性体と、
前記第1の端面の近傍に配置された第1の磁気抵抗効果素子と、
前記第2の端面の近傍に配置された第2の磁気抵抗効果素子と、
前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子とを電気的に接続すると共に、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子とが並ぶ第1の方向に直交する第2の方向から見たときに前記軟磁性体と重なる部分を含む第1のリードと、
を備えたことを特徴とする磁気センサ。
【請求項2】
前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子の各々は、所定の方向の磁化を有する磁化固定層と、印加される磁界に応じて方向が変化可能な磁化を有する自由層とを含み、
前記第1の磁気抵抗効果素子の前記磁化固定層の前記磁化は、第1の磁化方向の成分を含み、
前記第2の磁気抵抗効果素子の前記磁化固定層の前記磁化は、前記第1の磁化方向とは反対の第2の磁化方向の成分を含むことを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項3】
前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子の各々は、前記第1の方向および前記第2の方向の各々と交差する第3の方向に長い形状を有していることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項4】
前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子の各々は、所定の方向の磁化を有する磁化固定層と、印加される磁界に応じて方向が変化可能な磁化を有する自由層とを含むと共に、バイアス磁界が前記第1の方向および前記第2の方向の各々と交差する方向に前記自由層に印加されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項5】
前記第1の磁気抵抗効果素子、前記第2の磁気抵抗効果素子および前記第1のリードの各々は、前記第1の方向および前記第2の方向の各々と交差する第3の方向における寸法である幅を有し、
前記第1のリードは、前記第1のリードの前記幅が、前記第1の磁気抵抗効果素子および前記第2の磁気抵抗効果素子の各々の前記幅以上になる部分を含むことを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項6】
前記軟磁性体は、前記第2の方向に平行な方向の成分を含む入力磁界を受けて、前記第1の方向に平行な方向の成分を含む出力磁界を発生するように構成されたヨークであることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項7】
前記第1のリードは、前記軟磁性体と前記第1および第2の磁気抵抗効果素子との間の位置、または、前記第1のリードと前記軟磁性体との間に前記第1および第2の磁気抵抗効果素子を挟む位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項8】
更に、それぞれ前記軟磁性体を含む複数の軟磁性構造体と、
それぞれ前記第1の磁気抵抗効果素子、前記第2の磁気抵抗効果素子および前記第1のリードを含む複数の素子対と、
複数の素子対を電気的に接続する複数の第2のリードと、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項9】
前記複数の素子対は、隣接する第1の素子対および第2の素子対を含み、
前記複数の第2のリードは、前記第1の素子対の前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子の一方を、いかなる磁気抵抗効果素子も介在させずに、前記第2の素子対に電気的に接続する特定の第2のリードを含み、
前記第1の素子対の前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子の他方は、前記第1の素子対の前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子の前記一方を介して、前記第2の素子対に電気的に接続されていることを特徴とする請求項8記載の磁気センサ。
【請求項10】
前記第1の素子対および前記第2の素子対は、前記第1の方向に並んでいることを特徴とする請求項9記載の磁気センサ。
【請求項11】
前記特定の第2のリードは、前記第1の素子対の前記第2の磁気抵抗効果素子と前記第2の素子対の前記第1の磁気抵抗効果素子とを電気的に接続することを特徴とする請求項10記載の磁気センサ。
【請求項12】
前記第1の素子対および前記第2の素子対は、前記第1の方向および前記第2の方向の各々と交差する第3の方向に並んでいることを特徴とする請求項9記載の磁気センサ。
【請求項13】
前記特定の第2のリードは、前記第1の素子対の前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の素子対の前記第1の磁気抵抗効果素子とを電気的に接続することを特徴とする請求項12記載の磁気センサ。
【請求項14】
前記複数の軟磁性構造体は、前記第1の素子対の前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との間に配置された前記軟磁性体である第1の軟磁性体と、前記第2の素子対の前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との間に配置された前記軟磁性体である第2の軟磁性体とを含み、
前記第1の素子対の前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子は、前記第2の軟磁性体よりも、前記第1の軟磁性体により近い位置に配置されていることを特徴とする請求項9記載の磁気センサ。
【請求項15】
更に、第1のポートと、
第2のポートと、
第3のポートと、
を備え、
前記複数の素子対は、回路構成上前記第1のポートと前記第2のポートとの間に設けられた少なくとも1つの第1の素子対と、回路構成上前記第2のポートと前記第3のポートとの間に設けられた少なくとも1つの第2の素子対とを含むことを特徴とする請求項8記載の磁気センサ。
【請求項16】
前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子の各々は、所定の方向の磁化を有する磁化固定層と、印加される磁界に応じて方向が変化可能な磁化を有する自由層とを含み、
前記第1の磁気抵抗効果素子の前記磁化固定層の前記磁化は、第1の磁化方向の成分を含み、
前記第2の磁気抵抗効果素子の前記磁化固定層の前記磁化は、前記第1の磁化方向とは反対の第2の磁化方向の成分を含み、
前記第1の方向において、前記少なくとも1つの第1の素子対の前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子が並ぶ順序と、前記少なくとも1つの第2の素子対の前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子が並ぶ順序は、互いに反対であることを特徴とする請求項15記載の磁気センサ。
【請求項17】
請求項1記載の磁気センサの製造方法であって、
前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子の各々は、所定の方向の磁化を有する磁化固定層と、印加される磁界に応じて方向が変化可能な磁化を有する自由層とを含み、
前記製造方法は、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子を形成する工程を含み、
前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子を形成する工程は、
それぞれ、後に前記磁化固定層となる初期磁化固定層と、前記自由層とを含む複数の初期磁気抵抗効果素子を形成する工程と、
レーザ光と外部磁界とを用いて、前記複数の初期磁気抵抗効果素子のうち後に前記第1の磁気抵抗効果素子になる初期磁気抵抗効果素子の前記初期磁化固定層の前記磁化の方向を固定すると共に、前記複数の初期磁気抵抗効果素子のうち後に前記第2の磁気抵抗効果素子になる初期磁気抵抗効果素子の前記初期磁化固定層の前記磁化の方向を固定する工程とを含むことを特徴とする磁気センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟磁性体と磁気抵抗効果素子とを含む磁気センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の用途で、磁気センサが利用されている。磁気センサとしては、基板上に設けられたスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子を用いたものが知られている。スピンバルブ型の磁気抵抗効果素子は、方向が固定された磁化を有する磁化固定層と、印加磁界の方向に応じて方向が変化可能な磁化を有する自由層と、磁化固定層と自由層の間に配置されたギャップ層とを有している。基板上に設けられたスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子は、基板の面に平行な方向の磁界に対して感度を有するように構成される場合が多い。
【0003】
一方、磁気センサを含むシステムでは、基板上に設けられた磁気抵抗効果素子によって、基板の面に垂直な方向の磁界を検出したい場合がある。これを実現する磁気センサとしては、軟磁性体よりなる1つ以上の磁界変換素子を備えた磁気センサが知られている。磁界変換素子は、基板の面に垂直な方向の磁界を、基板の面に平行な方向の磁界に変換して、磁気抵抗効果素子に与える。このような磁気センサは、例えば特許文献1に記載されている。
【0004】
特許文献1には、磁界変換部と複数の磁気抵抗効果素子と配線部とを備えた磁気センサが開示されている。磁界変換部は、複数のヨークを含んでいる。複数のヨークの各々は、一方向に長い形状を有し、入力磁界を受けて出力磁界を発生する。複数の磁気抵抗効果素子は、複数のヨークの各々の両側に複数個ずつ配置されている。複数個の磁気抵抗効果素子の各々は、複数のヨークの各々の長手方向に長い形状を有している。配線部は、複数のヨークの各々の長手方向に沿って並ぶ複数個の磁気抵抗効果素子を直列に接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-174196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
磁気センサの感度を高めるためには、磁気センサにおける磁気抵抗効果素子の占有面積を大きくすることが効果的である。一方、磁気センサが搭載される装置の小型化に伴って、磁気センサの小型化も要求されている。磁気抵抗効果素子の占有面積を大きくしたり、磁気センサを小型化したりしようとすると、複数の磁気抵抗効果素子を電気的に接続するための配線の幅が小さくなる。その結果、配線の抵抗値が大きくなり、磁気センサの感度が低下してしまうという問題があった。この問題は、特に、ヨークのような一方向に長い構造物に沿って配置された複数の磁気抵抗効果素子を直列に接続する配線を含む磁気センサにおいて顕著になる。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、複数の磁気抵抗効果素子を電気的に接続する配線の抵抗値を小さくすることができる磁気センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の磁気センサは、互いに反対側に位置する第1の端面および第2の端面を有する軟磁性体と、第1の端面の近傍に配置された第1の磁気抵抗効果素子と、第2の端面の近傍に配置された第2の磁気抵抗効果素子と、第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子とを電気的に接続すると共に、第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子とが並ぶ第1の方向に直交する第2の方向から見たときに軟磁性体と重なる部分を含む第1のリードと、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の磁気センサでは、第1のリードは、軟磁性体と重なる部分を含んでいる。これにより、本発明によれば、複数の磁気抵抗効果素子を電気的に接続する配線の抵抗値を小さくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサを示す平面図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサの配線と複数の素子対を模式的に示す平面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサの回路構成を示す回路図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサの一部を示す斜視図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサの一部を示す側面図である。
図6】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサの一部を示す平面図である。
図7】本発明の第1の実施の形態における磁気抵抗効果素子を示す斜視図である。
図8】比較例の磁気センサの一部を示す平面図である。
図9】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサの変形例の一部を示す側面図である。
図10】本発明の第2の実施の形態に係る磁気センサの配線と複数の素子対を模式的に示す平面図である。
図11】本発明の第3の実施の形態に係る磁気センサの配線と複数の素子対を模式的に示す平面図である。
図12】本発明の第4の実施の形態における磁気センサシステムを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1ないし図3を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサの概略の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る磁気センサ1を示す平面図である。図2は、本実施の形態に係る磁気センサ1の配線と複数の素子対を模式的に示す平面図である。図3は、本実施の形態に係る磁気センサ1の回路構成を示す回路図である。
【0012】
本実施の形態に係る磁気センサ1は、例えば、地磁気センサの一部として用いられるものである。磁気センサ1は、電源ポートVと、グランドポートGと、第1の出力ポートE1と、第2の出力ポートE2と、第1の抵抗部R1と、第2の抵抗部R2と、第3の抵抗部R3と、第4の抵抗部R4とを備えている。第1ないし第4の抵抗部R1~R4の各々は、複数の磁気抵抗効果素子(以下、MR素子と記す。)を含んでいる。
【0013】
図3に示したように、第1の抵抗部R1は、回路構成上、電源ポートVと第1の出力ポートE1との間に設けられている。第2の抵抗部R2は、回路構成上、グランドポートGと第1の出力ポートE1との間に設けられている。第3の抵抗部R3は、回路構成上、グランドポートGと第2の出力ポートE2との間に設けられている。第4の抵抗部R4は、回路構成上、電源ポートVと第2の出力ポートE2との間に設けられている。なお、本出願において、「回路構成上」という表現は、物理的な構成における配置ではなく、回路図上での配置を指すために用いている。
【0014】
電源ポートVには、所定の大きさの電圧または電流が印加される。グランドポートGはグランドに接続される。
【0015】
電源ポートV、グランドポートG、第1の出力ポートE1および第2の出力ポートE2のうちの任意の3つのポートは、本発明における「第1のポート」、「第2のポート」および「第3のポート」に対応する。例えば、電源ポートVとグランドポートGが、それぞれ「第1のポート」および「第3のポート」に対応していてもよい。この場合、第1の出力ポートE1が「第2のポート」に対応していてもよいし、第2の出力ポートE2が「第2のポート」に対応していてもよい。
【0016】
図2に示したように、磁気センサ1は、更に、配線40を備えている。第1の抵抗部R1は、配線40によって、電源ポートVおよび第1の出力ポートE1に電気的に接続されている。第2の抵抗部R2は、配線40によって、グランドポートGおよび第1の出力ポートE1に電気的に接続されている。第3の抵抗部R3は、配線40によって、グランドポートGおよび第2の出力ポートE2に電気的に接続されている。第4の抵抗部R4は、配線40によって、電源ポートVおよび第2の出力ポートE2に電気的に接続されている。
【0017】
図1および図2に示したように、磁気センサ1は、更に、基板10を備えている。電源ポートV、グランドポートG、第および第2の出力ポートE1,E2、第1ないし第4の抵抗部R1~R4、ならびに配線40は、基板10に設けられている。
【0018】
ここで、図1および図2に示したように、X方向、Y方向、Z方向を定義する。X方向、Y方向、Z方向は、互いに直交する。また、X方向とは反対の方向を-X方向とし、Y方向とは反対の方向を-Y方向とし、Z方向とは反対の方向を-Z方向とする。本実施の形態では特に、基板10の面に垂直な一方向を、Z方向とする。
【0019】
また、以下、基準の位置に対してZ方向の先にある位置を「上方」と言い、基準の位置に対して「上方」とは反対側にある位置を「下方」と言う。また、磁気センサ1の構成要素に関して、Z方向の端に位置する面を「上面」と言い、-Z方向の端に位置する面を「下面」と言う。また、「Z方向から見たとき」という表現は、Z方向に離れた位置から対象物を見ることを意味する。
【0020】
図1および図2は、基板10における第1ないし第4の抵抗部R1~R4の配置の一例を示している。この例では、第1および第2の抵抗部R1,R2は、基板10のY方向の端部に沿って、X方向に平行な方向に並んでいる。第2の抵抗部R2は、第1の抵抗部R1に対して、X方向の先に配置されている。
【0021】
第3および第4の抵抗部R3,R4は、基板10の-Y方向の端部に沿って、X方向に平行な方向に並んでいる。第4の抵抗部R4は、第3の抵抗部R3に対して、-X方向の先に配置されている。また、第3の抵抗部R3は、第2の抵抗部R2に対して、-Y方向の先に配置されている。第4の抵抗部R4は、第1の抵抗部R1に対して、-Y方向の先に配置されている。
【0022】
なお、基板10における第1ないし第4の抵抗部R1~R4の配置は、図1および図2に示した例に限られない。例えば、第1ないし第4の抵抗部R1~R4は、X方向に平行な方向またはY方向に平行な方向に、所定の順序で配置されていてもよい。
【0023】
第1ないし第4の抵抗部R1~R4の各々は、それぞれ軟磁性体30を含む複数の軟磁性構造体と、それぞれ第1のMR素子20A、第2のMR素子20Bおよび第1のリード41を含む複数の素子対と、複数の素子対を電気的に接続する複数の第2のリード42とを含んでいる。なお、第1および第2のリード41,42は、後で説明する図5に示されている。第1および第2のリード41,42は、配線40の一部を構成する。
【0024】
図2では、便宜上、第1ないし第4の抵抗部R1~R4の各々に含まれる素子対の数を3つにしている。しかし、第1ないし第4の抵抗部R1~R4の各々に含まれる素子対の数は、3つよりも多くてもよい。第1ないし第4の抵抗部R1~R4の各々において、第1のMR素子20Aと第2のMR素子20Bは、配線40(第1および第2のリード41,42)によって、交互に電気的に接続されている。
【0025】
次に、図4ないし図6を参照して、軟磁性体30、第1および第2のMR素子20A,20B、ならびに第1および第2のリード41,42について詳しく説明する。図4は、磁気センサ1の一部を示す斜視図である。図5は、磁気センサ1の一部を示す側面図である。図6は、磁気センサの一部を示す平面図である。図4ないし図6は、磁気センサ1の一部として、第1の抵抗部R1の一部または第3の抵抗部R3の一部を示している。
【0026】
軟磁性体30は、Z方向に平行な方向の入力磁界成分を含む入力磁界を受けて、X方向に平行な方向の出力磁界成分を含む出力磁界を発生するように構成されたヨークである。軟磁性体30は、例えばY方向に長い直方体形状を有している。本実施の形態では、複数の軟磁性構造体の各々は、軟磁性体30のみを含んでいる。なお、複数の軟磁性構造体の各々は、軟磁性体30以外の他の軟磁性体を含んでいてもよい。他の軟磁性体は、軟磁性体30と同じ形状を有していてもよいし、軟磁性体30とは異なる形状を有していてもよい。
【0027】
軟磁性体30は、互いに反対側に位置する第1の端面30aおよび第2の端面30bを有している。図5に示したように、第1および第3の抵抗部R1,R3では、第1の端面30aは、軟磁性体30の-X方向の端に位置し、第2の端面30bは、軟磁性体30のX方向の端に位置する。図示しないが、第2および第4の抵抗部R2,R4では、第1の端面30aは、軟磁性体30のX方向の端に位置し、第2の端面30bは、軟磁性体30の-X方向の端に位置する。
【0028】
なお、図5に示した例とは逆に、第1および第3の抵抗部R1,R3において、第1の端面30aが軟磁性体30のX方向の端に位置し、第2の端面30bが軟磁性体30の-X方向の端に位置していてもよい。この場合、第2および第4の抵抗部R2,R4では、第1の端面30aは、軟磁性体30の-X方向の端に位置し、第2の端面30bは、軟磁性体30のX方向の端に位置する。
【0029】
第1および第2のMR素子20A,20Bの各々は、軟磁性体30から発生される出力磁界成分を検出可能な位置に配置されている。第1のMR素子20Aは、軟磁性体30の第1の端面30aの近傍に配置されている。第2のMR素子20Bは、軟磁性体30の第2の端面30bの近傍に配置されている。本実施の形態では特に、複数の軟磁性構造体(軟磁性体30)の数は、複数の素子対の数と同じである。1つの軟磁性体30は、1つの素子対を構成する第1のMR素子20Aと第2のMR素子20Bとの間に配置されている。また、第1および第2のMR素子20A,20Bの各々は、軟磁性体30の下方に配置されている。また、第1および第2のMR素子20A,20Bの各々は、Y方向に長い形状を有している。
【0030】
複数の軟磁性体30は、X方向とY方向にそれぞれ複数個ずつ並ぶように配列されている。複数の素子対は、複数の軟磁性体30に合わせて、X方向とY方向にそれぞれ複数個ずつ並ぶように配列されている。
【0031】
ここで、図5を参照して、1つの素子対について説明する。1つの素子対では、第1のMR素子20Aと第2のMR素子20Bは、X方向に平行な方向に並んでいる。第1のMR素子20Aと第2のMR素子20Bは、第1のリード41によって電気的に接続されている。図5に示した例では、第1のリード41は、第1のリード41と軟磁性体30との間に第1および第2のMR素子20A,20Bを挟む位置に配置され、第1のMR素子20Aの下面と第2のMR素子20Bの下面に接続されている。
【0032】
第1のリード41は、Z方向から見たときに、軟磁性体30と重なる部分を含んでいる。すなわち、第1のリード41は、軟磁性体30の下方を通過するように延在して、第1のMR素子20Aと第2のMR素子20Bとを接続している。本実施の形態では特に、第1のリード41は、X方向に延在している。
【0033】
次に、図5を参照して、X方向に隣接する2つの素子対について説明する。以下、2つの素子対の一方を第1の素子対と言い、2つの素子対の他方を第2の素子対と言う。第2のリード42は、第1の素子対の第1のMR素子20Aと第2のMR素子20Bの一方を、いかなるMR素子も介在させずに、第2の素子対に電気的に接続する。
【0034】
図5に示した例、すなわち第1および第3の抵抗部R1,R3では、特定の第1のリード41は、第1の素子対の第1のMR素子20Aを、いかなるMR素子も介在させずに、この第1のMR素子20Aの-X方向側に隣接する第2の素子対の第2のMR素子20Bに電気的に接続する。第1の素子対の第2のMR素子20Bは、第2の素子対には、直接的には接続されていない。
【0035】
また、他の特定の第1のリード41は、第1の素子対の第2のMR素子20Bを、いかなるMR素子も介在させずに、この第2のMR素子20BのX方向側に隣接する他の第2の素子対の第1のMR素子20Aに電気的に接続する。第1の素子対の第1のMR素子20Aは、他の第2の素子対には、直接的には接続されていない。
【0036】
上記の第1および第3の抵抗部R1,R3においてX方向に隣接する2つの素子対についての説明は、第2および第4の抵抗部R2,R4にも当てはまる。第1の抵抗部R1または第3の抵抗部R3においてX方向に隣接する2つの素子対についての説明中の、第1のMR素子20Aと第2のMR素子20Bとを入れ替えれば、第2および第4の抵抗部R2,R4においてX方向に隣接する2つの素子対についての説明になる。
【0037】
次に、図6を参照して、配線40の形状について説明する。第1ないし第4の抵抗部R1~R4の各々において、複数の第1のリード41および複数の第2のリード42は、配線40の一部を構成する。第1ないし第4の抵抗部R1~R4において、Z方向から見たときの配線40の形状は、ミアンダ形状である。
【0038】
図6に示したように、配線40は、複数の第1の部分40Aと、複数の第2の部分40Bとを含んでいる。図6では、第1の部分40Aと第2の部分40Bとの境界を、点線で示している。複数の第1の部分40Aの各々は、X方向に平行な方向に延在している。また、複数の第1の部分40Aは、Y方向に並ぶように配列されている。複数の第1の部分40Aの各々は、複数の第1のリード41および複数の第2のリード42によって構成されている。
【0039】
複数の第2の部分40Bの各々は、Y方向に隣接する2つの第1の部分40Aを接続している。複数の第2の部分40Bの各々は、第2のリード42の一部によって構成されている。
【0040】
次に、図6を参照して、Y方向に隣接する2つの素子対(第1の素子対と第2の素子対)について説明する。第1の部分40Aの長手方向の一端の近傍に位置する第1の素子対は、他の第1の部分40Aの長手方向の一端の近傍に位置する第2の素子対に接続されている。第2のリード42(第1の部分40Aの一部と他の第1の部分40Aの一部と第2の部分40B)は、第1の素子対の第1のMR素子20Aと第2のMR素子20Bの一方を、いかなるMR素子も介在させずに、第2の素子対に電気的に接続する。
【0041】
図6に示した例、すなわち第1の抵抗部R1または第3の抵抗部R3では、特定の第2のリード42は、図6における上下方向の中央に位置する特定の第1の部分40Aの-X方向側の一端の近傍に位置する第1の素子対の第1のMR素子20Aを、いかなるMR素子も介在させずに、この第1のMR素子20Aの-Y方向側に隣接する第2の素子対の第1のMR素子20Aに電気的に接続する。第1の素子対の第2のMR素子20Bは、第2の素子対には、直接的には接続されていない。
【0042】
また、他の特定の第2のリード42は、特定の第1の部分40AのX方向側の一端の近傍に位置する他の第1の素子対の第2のMR素子20Bを、いかなるMR素子も介在させずに、この第2のMR素子20BのY方向側に隣接する他の第2の素子対の第2のMR素子20Bに電気的に接続する。他の第1の素子対の第1のMR素子20Aは、他の第2の素子対には、直接的には接続されていない。
【0043】
第1の部分40Aの長手方向の両端の近傍に位置する2つの素子対以外の少なくとも1つの素子対は、Y方向または-Y方向に隣接する他の素子対には、直接的には接続されていない。
【0044】
図6が第1の抵抗部R1の一部を示している場合、上記の説明は、第3の抵抗部R3にも当てはまってもよい。あるいは、第3の抵抗部R3では、特定の第2のリード42は、特定の第1の部分40Aの-X方向側の一端の近傍に位置する第1の素子対の第1のMR素子20Aを、この第1のMR素子20AのY方向側に隣接する第2の素子対の第1のMR素子20Aに電気的に接続してもよく、他の特定の第2のリード42は、特定の第1の部分40AのX方向側の一端の近傍に位置する他の第1の素子対の第2のMR素子20Bを、この第2のMR素子20Bの-Y方向側に隣接する他の第2の素子対の第2のMR素子20Bに電気的に接続してもよい。
【0045】
上記の第1および第3の抵抗部R1,R3においてY方向に隣接する2つの素子対についての説明は、第2および第4の抵抗部R2,R4にも当てはまる。第1および第3の抵抗部R1,R3においてY方向に隣接する2つの素子対についての説明中の、第1のMR素子20Aと第2のMR素子20Bとを入れ替えれば、第2および第4の抵抗部R2,R4においてY方向に隣接する2つの素子対についての説明になる。
【0046】
次に、図6を参照して、第1のMR素子20A、第2のMR素子20Bおよび配線40(第1および第2のリード41,42)の形状について説明する。第1のMR素子20A、第2のMR素子20Bおよび配線40の各々は、Y方向に平行な方向における寸法である幅を有している。第1のMR素子20Aの幅は、第1のMR素子20Aの長手方向の寸法でもある。第2のMR素子20Bの幅は、第2のMR素子20Bの長手方向の寸法でもある。
【0047】
第1ないし第4の抵抗部R1~R4の各々において、配線40(第1のリード41および第2のリード42)は、配線40の幅(第1のリード41の幅および第2のリード42の幅)が、第1のMR素子20Aおよび第2のMR素子20Bの各々の幅以上になる部分を含んでいる。図6に示したように、配線40の第1の部分40Aの幅は、一定であってもよい。あるいは、配線40の第1の部分40Aの幅は、一定ではなくてもよい。
【0048】
なお、図6では、便宜上、軟磁性体30のY方向に平行な方向における寸法が、配線40の幅よりも小さくなるように描かれている。しかし、軟磁性体30の上記の寸法は、配線40の幅以上であってもよい。
【0049】
次に、図7を参照して、第1および第2のMR素子20A,20Bの構成について説明する。図7は、第1および第2のMR素子20A,20Bを示す斜視図である。第1および第2のMR素子20A,20Bの構成は、後述する磁化固定層の磁化の方向を除いて同じである。
【0050】
第1および第2のMR素子20A,20Bは、いずれも、スピンバルブ型のMR素子である。第1および第2のMR素子20A,20Bの各々は、方向が固定された磁化を有する磁化固定層22と、印加される磁界の方向に応じて方向が変化可能な磁化を有する自由層24と、磁化固定層22と自由層24の間に配置されたギャップ層23とを有している。第1および第2のMR素子20A,20Bは、TMR(トンネル磁気抵抗効果)素子でもよいし、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子でもよい。TMR素子では、ギャップ層23はトンネルバリア層である。GMR素子では、ギャップ層23は非磁性導電層である。第1および第2のMR素子20A,20Bでは、自由層24の磁化の方向が磁化固定層22の磁化の方向に対してなす角度に応じて抵抗値が変化し、この角度が0°のときに抵抗値は最小値となり、角度が180°のときに抵抗値は最大値となる。
【0051】
第1および第2のMR素子20A,20Bの各々は、Y方向に平行な方向に長い形状を有している。これにより、第1および第2のMR素子20A,20Bの各々の自由層24は、磁化容易軸方向がY方向に平行な方向となる形状異方性を有している。そのため、印加される磁界が存在しない状態では、自由層24の磁化の方向は、Y方向に平行な方向になっている。X方向に平行な方向の出力磁界成分が存在する場合には、出力磁界成分の方向および強度に応じて、自由層24の磁化の方向が変化する。従って、自由層24の磁化の方向が磁化固定層22の磁化の方向に対してなす角度は、第1および第2のMR素子20A,20Bの各々が受けた出力磁界成分の方向および強度によって変化する。そのため、第1および第2のMR素子20A,20Bの各々の抵抗値は、出力磁界成分に対応したものとなる。なお、磁化容易軸方向は、形状異方性、すなわち形状異方性によるバイアス磁界によらずに、自由層24に対してバイアス磁界を印加する磁石を設けることにより、Y方向に平行な方向に設定することができる。
【0052】
第1および第2のMR素子20A,20Bの各々は、更に、反強磁性層21を有している。反強磁性層21、磁化固定層22、ギャップ層23および自由層24は、この順に積層されている。反強磁性層21は、反強磁性材料よりなり、磁化固定層22との間で交換結合を生じさせて、磁化固定層22の磁化の方向を固定する。なお、磁化固定層22は、いわゆるセルフピン止め型の固定層(Synthetic Ferri Pinned 層、SFP層)であってもよい。セルフピン止め型の固定層は、強磁性層、非磁性中間層および強磁性層を積層させた積層フェリ構造を有し、2つの強磁性層を反強磁性的に結合させてなるものである。磁化固定層22がセルフピン止め型の固定層である場合、反強磁性層21を省略してもよい。
【0053】
なお、第1および第2のMR素子20A,20Bの各々における層21~24の配置は、図7に示した配置とは上下が反対でもよい。
【0054】
次に、図2および図3を参照して、磁化固定層22の磁化の方向について説明する。第1のMR素子20Aの磁化固定層22の磁化は、第1の磁化方向の成分を含んでいる。第2のMR素子20Bの磁化固定層22の磁化は、第1の磁化方向とは反対の第2の磁化方向の成分を含んでいる。本実施の形態では特に、第1の磁化方向はX方向であり、第2の磁化方向は-X方向である。図2および図3において、第1のMR素子20Aに描かれた矢印は、第1の磁化方向を表し、第2のMR素子20Bに描かれた矢印は、第2の磁化方向を表している。
【0055】
なお、磁化固定層22の磁化が特定の磁化方向の成分を含んでいる場合、特定の磁化方向の成分は、磁化固定層22の磁化の主成分であってもよい。あるいは、磁化固定層22の磁化は、特定の磁化方向に直交する方向の成分を含んでいなくてもよい。本実施の形態では、磁化固定層22の磁化が特定の磁化方向の成分を含んでいる場合、磁化固定層22の磁化の方向は、特定の磁化方向またはほぼ特定の磁化方向になる。
【0056】
次に、図2および図3を参照して、第1ないし第4の抵抗部R1~R4の各々における第1および第2のMR素子20A,20Bが並ぶ順序について説明する。第1および第3の抵抗部R1,R3では、複数の素子対の各々において、第1のMR素子20Aと第2のMR素子20Bは、X方向にこの順に並んでいる。第2および第4の抵抗部R2,R4では、複数の素子対の各々において、第1のMR素子20Aと第2のMR素子20Bは、-X方向にこの順に並んでいる。すなわち、本実施の形態では、X方向に平行な方向において、第1および第3の抵抗部R1,R3の複数の素子対の第1のMR素子20Aと第2のMR素子20Bが並ぶ順序と、第2および第4の抵抗部R2,R4の複数の素子対の第1のMR素子20Aと第2のMR素子20Bが並ぶ順序は、互いに反対である。
【0057】
次に、図2および図3を参照して、磁気センサ1が生成する少なくとも1つの検出信号について詳しく説明する。入力磁界成分が存在せず、その結果、出力磁界成分も存在しない状態では、第1および第2のMR素子20A,20Bの各々の自由層24の磁化の方向は、Y方向に平行な方向になっている。第1および第3の抵抗部R1,R3では、入力磁界成分の方向がZ方向の場合、第1のMR素子20Aが受ける出力磁界成分の方向はX方向になり、第2のMR素子20Bが受ける出力磁界成分の方向は-X方向になる。この場合、第1のMR素子20Aの自由層24の磁化の方向は、Y方向に平行な方向からX方向に向かって傾き、第2のMR素子20Bの自由層24の磁化の方向は、Y方向に平行な方向から-X方向に向かって傾く。その結果、出力磁界成分が存在しない状態と比べて、第1および第2のMR素子20A,20Bの各々の抵抗値は減少し、第1および第3の抵抗部R1,R3の各々の抵抗値も減少する。
【0058】
第2および第4の抵抗部R2,R4では、入力磁界成分の方向がZ方向の場合、第1のMR素子20Aが受ける出力磁界成分の方向は-X方向になり、第2のMR素子20Bが受ける出力磁界成分の方向はX方向になる。この場合、第1のMR素子20Aの自由層24の磁化の方向は、Y方向に平行な方向から-X方向に向かって傾き、第2のMR素子20Bの自由層24の磁化の方向は、Y方向に平行な方向からX方向に向かって傾く。その結果、出力磁界成分が存在しない状態と比べて、第1および第2のMR素子20A,20Bの各々の抵抗値は増加し、第2および第4の抵抗部R2,R4の各々の抵抗値も増加する。
【0059】
入力磁界成分の方向が-Z方向の場合は、出力磁界成分の方向と、第1ないし第4の抵抗部R1~R4の各々の抵抗値の変化は、上述の入力磁界成分の方向がZ方向の場合とは逆になる。
【0060】
第1および第2のMR素子20A,20Bの各々の抵抗値の変化量は、第1および第2のMR素子20A,20Bの各々が受ける出力磁界成分の強度に依存する。出力磁界成分の強度が大きくなると、第1および第2のMR素子20A,20Bの各々の抵抗値は、その増加量またはその減少量がそれぞれ大きくなる方向に変化する。出力磁界成分の強度が小さくなると、第1および第2のMR素子20A,20Bの各々の抵抗値は、その増加量またはその減少量がそれぞれ小さくなる方向に変化する。出力磁界成分の強度は、入力磁界成分の強度に依存する。
【0061】
このように、入力磁界成分の方向と強度が変化すると、第1ないし第4の抵抗部R1~R4のそれぞれの抵抗値は、第1および第3の抵抗部R1,R3の各々の抵抗値が増加すると共に第2および第4の抵抗部R2,R4の各々の抵抗値が減少するか、第1および第3の抵抗部R1,R3の各々の抵抗値が減少すると共に第2および第4の抵抗部R2,R4の各々の抵抗値が増加するように変化する。これにより、図1ないし図3に示した第1の出力ポートE1と第2の出力ポートE2の各々の電位が変化する。磁気センサ1は、第1および第2の出力ポートE1,E2の電位に対応する2つの信号、または第1および第2の出力ポートE1,E2の電位差に対応する信号を、少なくとも1つの検出信号として生成する。少なくとも1つの検出信号は、自由層24の磁化の方向が磁化固定層22の磁化の方向に対してなす角度に応じて変化する。
【0062】
次に、本実施の形態に係る磁気センサ1のその他の構成について簡単に説明する。図示しないが、基板10を除く磁気センサ1の構成要素は、基板10を除く磁気センサ1の構成要素の周囲に配置された図示しない絶縁層と共に、基板10の上に積層されている。また、電源ポートV、グランドポートGならびに第1および第2の出力ポートE1,E2は、図示しない絶縁層から露出するように形成される。
【0063】
次に、本実施の形態に係る磁気センサ1の製造方法について簡単に説明する。磁気センサ1の製造方法は、基板10の上に複数の第1のMR素子20Aおよび複数の第2のMR素子20Aを形成する工程と、配線40を形成する工程とを含んでいる。
【0064】
複数の第1のMR素子20Aおよび複数の第2のMR素子20Bを形成する工程では、まず、後に複数の第1のMR素子20Aおよび複数の第2のMR素子20Bとなる複数の初期MR素子を形成する。複数の初期MR素子の各々は、少なくとも、後に磁化固定層22となる初期磁化固定層と、自由層24と、ギャップ層23とを含んでいる。
【0065】
次に、レーザ光と、所定の方向の外部磁界とを用いて、初期磁化固定層の磁化の方向を、上記の所定の方向に固定する。例えば、後に複数の第1のMR素子20Aになる複数の初期MR素子では、第1の磁化方向(X方向)の外部磁界を印加しながら、複数の初期MR素子に対してレーザ光を照射する。レーザ光の照射が完了すると、初期磁化固定層の磁化の方向は、第1の磁化方向に固定される。これにより、初期磁化固定層は磁化固定層22になり、複数の初期MR素子は、複数の第1のMR素子20Aになる。
【0066】
また、後に複数の第2のMR素子20Bになる他の複数の初期MR素子では、外部磁界の方向を第2の磁化方向(-X方向)とすることにより、他の複数の初期MR素子の各々の初期磁化固定層の磁化の方向を、第2の磁化方向に固定することができる。このようにして、複数の第2のMR素子20Aが形成される。
【0067】
次に、本実施の形態に係る磁気センサ1の作用および効果について説明する。本実施の形態に係る磁気センサ1は、互いに反対側に位置する第1の端面30aおよび第2の端面30bを有する軟磁性体30と、第1の端面30aの近傍に配置された第1のMR素子20Aと、第2の端面30bの近傍に配置された第2のMR素子20Bと、第1のMR素子20Aと第2のMR素子20Bとを電気的に接続する第1のリード41と、を備えている。本実施の形態では、第1のリード41は、Z方向から見たときに軟磁性体30と重なる部分を含んでいる。これにより、本実施の形態によれば、軟磁性体30と重ならないように配線40を形成する場合に比べて、配線40の抵抗値を小さくすることができる。
【0068】
図8は、比較例の配線140を備えた比較例の磁気センサの一部を示す平面図である。図8は、本実施の形態における第1の抵抗部R1の一部または第3の抵抗部R3の一部に相当する部分を示している。Z方向から見たときの比較例の配線140の形状は、ミアンダ形状である。
【0069】
比較例の配線140は、それぞれY方向に並んだ複数個の第1のMR素子20Aを電気的に接続する複数の第1の部分140Aと、それぞれY方向に並んだ複数個の第2のMR素子20Bを電気的に接続する複数の第2の部分140Bと、それぞれX方向に隣接する第1の部分140Aと第2の部分140Bとを接続する第3の部分140Cとを含んでいる。図8では、第1の部分140Aと第3の部分140Cとの境界と、第2の部分140Bと第3の部分140Cとの境界を、それぞれ点線で示している。
【0070】
複数の第1の部分140Aの各々の幅(短手方向の寸法)は、第1のMR素子20Aの短手方向の寸法とほぼ等しくなる。複数の第2の部分140Bの各々の幅(短手方向の寸法)は、第2のMR素子20Bの短手方向の寸法とほぼ等しくなる。そのため、比較例の磁気センサでは、比較的、配線140の抵抗が大きくなる。
【0071】
これに対し、本実施の形態では、図6に示したように、配線40の幅(短手方向の寸法)は、第1および第2のMR素子20A,20Bの各々の長手方向の寸法すなわち第1および第2のMR素子20A,20Bの各々の幅とほぼ等しくすることが可能である。これにより、本実施の形態によれば、比較例に比べて、配線40の抵抗値を小さくすることができる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、磁気センサ1における第1および第2のMR素子20A,20Bの占有面積を同じにして比較すると、配線40の抵抗値を相対的に小さくすることができ、これにより、磁気センサ1の感度を高めることができる。また、本実施の形態によれば、磁気センサ1における第1および第2のMR素子20A,20Bの占有面積を小さくしても、配線40の抵抗値が大きくなることを抑制することができる。また、本実施の形態によれば、比較例に比べて配線40の抵抗値を小さくすることができることから、磁気センサ1の感度を保持しながら、第1および第2のMR素子20A,20Bの占有面積を小さくして、磁気センサ1を小型化することができる。
【0073】
[変形例]
次に、図9を参照して、本実施の形態に係る磁気センサ1の変形例について説明する。図9は、図5に対応する側面図である。変形例では、第1のリード41は、軟磁性体30と第1および第2のMR素子20A,20Bとの間に配置され、第1のMR素子20Aの上面と第2のMR素子20Bの上面に接続されている。
【0074】
[第2の実施の形態]
次に、図10を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。図10は、本実施の形態に係る磁気センサの配線と複数の素子対を模式的に示す平面図である。
【0075】
本実施の形態では、複数の軟磁性構造体(軟磁性体30)の数は、複数の素子対の数よりも少ない。1つの軟磁性体30は、Y方向に並ぶ複数の素子対を構成する複数の第1のMR素子20Aと複数の第2のMR素子20Bとの間に配置されている。
【0076】
また、第1ないし第4の抵抗部R1~R4の各々は、少なくとも1つの軟磁性体30を含んでいる。少なくとも1つの軟磁性体30が複数の軟磁性体30である場合、第1ないし第4の抵抗部R1~R4の各々において、複数の軟磁性体30は、X方向に並ぶように配列されていてもよい。
【0077】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0078】
[第3の実施の形態]
次に、図11を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。図11は、本実施の形態に係る磁気センサの配線と複数の素子対を模式的に示す平面図である。
【0079】
本実施の形態では、第1ないし第4の抵抗部R1~R4の各々における複数の軟磁性構造体(軟磁性体30)の姿勢と複数の素子対の姿勢が、第1の実施の形態と異なっている。複数の軟磁性構造体(軟磁性体30)の姿勢と複数の素子対の姿勢は、Z方向から見たときに、第1の実施の形態に示した姿勢から、時計回り方向に90°回転した姿勢になっている。
【0080】
本実施の形態では、軟磁性体30は、Z方向に平行な方向の入力磁界成分を含む入力磁界を受けて、Y方向に平行な方向の出力磁界成分を含む出力磁界を発生するように構成されている。軟磁性体30は、例えばX方向に長い直方体形状を有している。
【0081】
第1および第3の抵抗部R1,R3では、軟磁性体30の第1の端面30aは、軟磁性体30の-Y方向の端に位置し、軟磁性体30の第2の端面30bは、軟磁性体30の-X方向の端に位置する。第2および第4の抵抗部R2,R4では、軟磁性体30の第1の端面30aは、軟磁性体30のY方向の端に位置し、軟磁性体30の第2の端面30bは、軟磁性体30の-Y方向の端に位置する。
【0082】
第1および第2のMR素子20A,20Bの各々は、X方向に長い形状を有している。1つの素子対では、第1のMR素子20Aと第2のMR素子20Bは、Y方向に平行な方向に並んでいる。図示しないが、第1のリード41は、Y方向に延在している。
【0083】
本実施の形態では、第1の磁化方向は-Y方向であり、第2の磁化方向はY方向である。すなわち、本実施の形態では、第1のMR素子20Aの磁化固定層22の磁化は、-Y方向の成分を含み、第2のMR素子20Bの磁化固定層22の磁化は、Y方向の成分を含んでいる。
【0084】
第1および第3の抵抗部R1,R3では、複数の素子対の各々において、第1のMR素子20Aと第2のMR素子20Bは、-Y方向にこの順に並んでいる。第2および第4の抵抗部R2,R4では、複数の素子対の各々において、第1のMR素子20Aと第2のMR素子20Bは、Y方向にこの順に並んでいる。
【0085】
出力磁界成分の方向と、第1ないし第4の抵抗部R1~R4の各々の抵抗値の変化の関係は、第1の実施の形態と同じである。
【0086】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0087】
[第4の実施の形態]
次に、図12を参照して、本発明の第4の実施の形態について説明する。図12は、本実施の形態における磁気センサシステムを示す斜視図である。
【0088】
磁気センサシステム100は、磁気センサ1と、所定の磁界を発生する磁界発生部とを備えている。
【0089】
本実施の形態では、磁界発生部は、発生する磁界の一部である部分磁界が磁気センサ1に印加されるように構成された磁石2である。この部分磁界は、Z方向に平行な第1の磁界成分Hzと、X方向に平行な第2の磁界成分Hxとを含んでいる。
【0090】
磁石2の磁化の方向はX方向であり、第2の磁界成分Hxの方向は-X方向である。第1の磁界成分Hzの方向は、所定の位置からX方向に移動するとZ方向になり、所定の位置から-X方向に移動すると-Z方向になる。
【0091】
磁気センサシステム100の磁気センサ1は、第1ないし第3のいずれかの実施の形態に係る磁気センサ1であってもよい。この場合、磁気センサ1は、第1の磁界成分Hzを検出するように構成される。
【0092】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1ないし第3のいずれかの実施の形態と同様である。
【0093】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、請求の範囲の要件を満たす限り、軟磁性体30、第1のMR素子20A、第2のMR素子20B、第1のリード41および第2のリード42の各々の形状、配置および数は、各実施の形態に示した例に限られず、任意である。
【0094】
また、軟磁性体30は、第1のMR素子20A、第2のMR素子20B、第1のリード41および第2のリード42の下方に配置されていてもよい。この場合、第1のリード41は、軟磁性体30の上方を跨ぐように延在して、第1のMR素子20Aと第2のMR素子20Bとを接続する。
【0095】
以上説明したように、本発明の磁気センサは、互いに反対側に位置する第1の端面および第2の端面を有する軟磁性体と、第1の端面の近傍に配置された第1の磁気抵抗効果素子と、第2の端面の近傍に配置された第2の磁気抵抗効果素子と、第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子とを電気的に接続すると共に、第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子とが並ぶ第1の方向に直交する第2の方向から見たときに軟磁性体と重なる部分を含む第1のリードと、を備えている。
【0096】
本発明の磁気センサにおいて、第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子の各々は、所定の方向の磁化を有する磁化固定層と、印加される磁界に応じて方向が変化可能な磁化を有する自由層とを含んでいてもよい。第1の磁気抵抗効果素子の磁化固定層の磁化は、第1の磁化方向の成分を含んでいてもよい。第2の磁気抵抗効果素子の磁化固定層の磁化は、第1の磁化方向とは反対の第2の磁化方向の成分を含んでいてもよい。
【0097】
また、本発明の磁気センサにおいて、第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子の各々は、第1の方向および第2の方向の各々と交差する第3の方向に長い形状を有していてもよい。
【0098】
また、本発明の磁気センサにおいて、第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子の各々は、所定の方向の磁化を有する磁化固定層と、印加される磁界に応じて方向が変化可能な磁化を有する自由層とを含むと共に、バイアス磁界が第1の方向および第2の方向の各々と交差する方向に自由層に印加されるように構成されていてもよい。
【0099】
また、本発明の磁気センサにおいて、第1の磁気抵抗効果素子、第2の磁気抵抗効果素子および第1のリードの各々は、第1の方向および第2の方向の各々と交差する第3の方向における寸法である幅を有していてもよい。第1のリードは、第1のリードの幅が、第1の磁気抵抗効果素子および第2の磁気抵抗効果素子の各々の幅以上になる部分を含んでいてもよい。
【0100】
また、本発明の磁気センサにおいて、軟磁性体は、第2の方向に平行な方向の成分を含む入力磁界を受けて、第1の方向に平行な方向の成分を含む出力磁界を発生するように構成されたヨークであってもよい。
【0101】
また、本発明の磁気センサにおいて、第1のリードは、軟磁性体と第1および第2の磁気抵抗効果素子との間の位置、または、第1のリードと軟磁性体との間に第1および第2の磁気抵抗効果素子を挟む位置に配置されていてもよい。
【0102】
また、本発明の磁気センサは、更に、それぞれ軟磁性体を含む複数の軟磁性構造体と、それぞれ第1の磁気抵抗効果素子、第2の磁気抵抗効果素子および第1のリードを含む複数の素子対と、複数の素子対を電気的に接続する複数の第2のリードと、を備えていてもよい。
【0103】
本発明の磁気センサが複数の軟磁性構造体、複数の素子対および複数の第2のリードを備えている場合、複数の素子対は、隣接する第1の素子対および第2の素子対を含んでいてもよい。複数の第2のリードは、第1の素子対の第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子の一方を、いかなる磁気抵抗効果素子も介在させずに、第2の素子対に電気的に接続する特定の第2のリードを含んでいてもよい。第1の素子対の第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子の他方は、第1の素子対の第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子の一方を介して、第2の素子対に電気的に接続されていてもよい。第1の素子対および第2の素子対は、第1の方向に並んでいてもよい。特定の第2のリードは、第1の素子対の第2の磁気抵抗効果素子と第2の素子対の第1の磁気抵抗効果素子とを電気的に接続してもよい。
【0104】
複数の素子対が隣接する第1の素子対および第2の素子対を含む場合、第1の素子対および第2の素子対は、第1の方向および第2の方向の各々と交差する第3の方向に並んでいてもよい。特定の第2のリードは、第1の素子対の第1の磁気抵抗効果素子と第2の素子対の第1の磁気抵抗効果素子とを電気的に接続してもよい。
【0105】
複数の素子対が隣接する第1の素子対および第2の素子対を含む場合、複数の軟磁性構造体は、第1の素子対の第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子との間に配置された軟磁性体である第1の軟磁性体と、第2の素子対の第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子との間に配置された軟磁性体である第2の軟磁性体とを含んでいてもよい。第1の素子対の第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子は、第2の軟磁性体よりも、第1の軟磁性体により近い位置に配置されていてもよい。
【0106】
また、本発明の磁気センサが複数の軟磁性構造体、複数の素子対および複数の第2のリードを備えている場合、本発明の磁気センサは、更に、第1のポートと、第2のポートと、第3のポートと、を備えていてもよい。複数の素子対は、回路構成上第1のポートと第2のポートとの間に設けられた少なくとも1つの第1の素子対と、回路構成上第2のポートと第3のポートとの間に設けられた少なくとも1つの第2の素子対とを含んでいてもよい。第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子の各々は、所定の方向の磁化を有する磁化固定層と、印加される磁界に応じて方向が変化可能な磁化を有する自由層とを含んでいてもよい。第1の磁気抵抗効果素子の磁化固定層の磁化は、第1の磁化方向の成分を含んでいてもよい。第2の磁気抵抗効果素子の磁化固定層の磁化は、第1の磁化方向とは反対の第2の磁化方向の成分を含んでいてもよい。第1の方向において、少なくとも1つの第1の素子対の第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子が並ぶ順序と、少なくとも1つの第2の素子対の第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子が並ぶ順序は、互いに反対であってもよい。
【0107】
また、本発明の磁気センサの製造方法は、第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子を形成する工程を含んでいる。第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子の各々は、所定の方向の磁化を有する磁化固定層と、印加される磁界に応じて方向が変化可能な磁化を有する自由層とを含んでいる。第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子を形成する工程は、それぞれ、後に磁化固定層となる初期磁化固定層と、自由層とを含む複数の初期磁気抵抗効果素子を形成する工程と、レーザ光と外部磁界とを用いて、複数の初期磁気抵抗効果素子のうち後に第1の磁気抵抗効果素子になる初期磁気抵抗効果素子の初期磁化固定層の磁化の方向を固定すると共に、複数の初期磁気抵抗効果素子のうち後に第2の磁気抵抗効果素子になる初期磁気抵抗効果素子の初期磁化固定層の磁化の方向を固定する工程とを含んでいる。
【符号の説明】
【0108】
1…磁気センサ、2…磁石、10…基板、20A…第1のMR素子、20B…第2のMR素子、21…反強磁性層、22…磁化固定層、23…ギャップ層、24…自由層、30…軟磁性体、30a…第1の端面、30b…第2の端面、40…配線、41…第1のリード、42…第2のリード、100…磁気センサシステム、R1…第1の抵抗部、R2…第2の抵抗部、R3…第3の抵抗部、R4…第4の抵抗部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12