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特開2024-12940二酸化炭素固定化装置及び二酸化炭素固定化方法
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  • 特開-二酸化炭素固定化装置及び二酸化炭素固定化方法 図1
  • 特開-二酸化炭素固定化装置及び二酸化炭素固定化方法 図2A
  • 特開-二酸化炭素固定化装置及び二酸化炭素固定化方法 図2B
  • 特開-二酸化炭素固定化装置及び二酸化炭素固定化方法 図2C
  • 特開-二酸化炭素固定化装置及び二酸化炭素固定化方法 図2D
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012940
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】二酸化炭素固定化装置及び二酸化炭素固定化方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20240124BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20240124BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20240124BHJP
   B28C 9/02 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
C01B32/50
B28C9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114786
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】坂本 遼
(72)【発明者】
【氏名】松田 拓
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】サンジーワニ ダヤニ
【テーマコード(参考)】
4D002
4G056
4G146
【Fターム(参考)】
4D002AA02
4D002AA08
4D002AA09
4D002AA12
4D002AA16
4D002AA18
4D002AA21
4D002AA22
4D002AA28
4D002AA32
4D002AA33
4D002AC05
4D002AC07
4D002AC10
4D002BA02
4D002BA14
4D002CA06
4D002DA01
4D002DA02
4D002DA03
4D002DA05
4D002DA06
4D002DA07
4D002DA08
4D002DA11
4D002DA12
4D002DA16
4D002DA31
4D002DA32
4D002DA47
4D002DA66
4D002EA01
4D002EA02
4D002EA13
4D002FA02
4D002GA01
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB01
4D002GB02
4D002GB04
4D002GB05
4D002GB09
4D002GB11
4D002GB20
4D002HA01
4D002HA03
4G056CD48
4G146JA02
4G146JB09
4G146JC29
4G146JD02
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素を含むガスから二酸化炭素を簡便かつ効率良く固定化することができる二酸化炭素固定化装置及び二酸化炭素固定化方法の提供。
【解決手段】アルカリ性水溶液を収容する収容手段と、二酸化炭素を含むガスの気泡を、平均気泡径300μm以下となるようにして前記収容手段に供給するガス供給手段と、前記アルカリ性水溶液と、平均気泡径300μm以下の前記二酸化炭素を含むガスの気泡とを接触させ、前記アルカリ性水溶液中に前記二酸化炭素を固定化する固定化手段と、を有する二酸化炭素固定化装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ性水溶液を収容する収容手段と、
二酸化炭素を含むガスの気泡を、平均気泡径300μm以下となるようにして前記収容手段に供給するガス供給手段と、
前記アルカリ性水溶液と、平均気泡径300μm以下の前記二酸化炭素を含むガスの気泡とを接触させ、前記アルカリ性水溶液中に前記二酸化炭素を固定化する固定化手段と、
を有することを特徴とする二酸化炭素固定化装置。
【請求項2】
更に、前記二酸化炭素を含むガスを発生させるガス発生手段を有する、請求項1に記載の二酸化炭素固定化装置。
【請求項3】
前記アルカリ性水溶液のpHが10以上である、請求項1に記載の二酸化炭素固定化装置。
【請求項4】
前記アルカリ性水溶液がコンクリートを洗浄後の水である、請求項1に記載の二酸化炭素固定化装置。
【請求項5】
前記二酸化炭素を含むガスにおける前記二酸化炭素の濃度が50,000ppm以上である、請求項1に記載の二酸化炭素固定化装置。
【請求項6】
前記ガス発生手段がプレキャストコンクリートの養生に用いられるボイラーであり、
前記二酸化炭素を含むガスが、プレキャストコンクリートの養生におけるボイラー排ガスである、請求項2に記載の二酸化炭素固定化装置。
【請求項7】
前記固定化手段で前記アルカリ性水溶液中に前記二酸化炭素を固定化した処理液のpHが9.5以下である、請求項1に記載の二酸化炭素固定化装置。
【請求項8】
前記アルカリ性水溶液のpHの調整に用いられる、請求項7に記載の二酸化炭素固定化装置。
【請求項9】
二酸化炭素を含むガスの気泡を、平均気泡径300μm以下となるようにしてアルカリ性水溶液に供給するガス供給工程と、
前記アルカリ性水溶液と、平均気泡径300μm以下の前記二酸化炭素を含むガスの気泡とを接触させ、前記アルカリ性水溶液中に前記二酸化炭素を固定化する固定化工程と、
を含むことを特徴とする二酸化炭素固定化方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素固定化装置及び二酸化炭素固定化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化対策のひとつとして、大気中の二酸化炭素の含有量を減らすことが要求されている。大気中の二酸化炭素の含有量の増加の要因のひとつとして、例えば、コンクリート工場、発電所、製鉄所などのボイラー排ガスに含まれる二酸化炭素が大気中に放出されることが挙げられる。
【0003】
そのため、大気中から二酸化炭素を固定化する技術として、化学吸収法、物理吸収法、膜分離法、吸着分離法、深冷分離法などが用いられている。例えば、ガス排出設備から排出された処理対象ガス中の二酸化炭素を、アミンを含む吸収液に吸収させ、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液と、前記二酸化炭素が除去された前記処理対象ガスを含む吸収塔排出ガスとを排出する吸収塔を備える二酸化炭素回収システムが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この提案の技術では、吸収液への二酸化炭素の吸収効率が十分満足できるものではないという問題があった。
【0004】
したがって、二酸化炭素を含むガスから二酸化炭素を簡便かつ効率良く固定化する二酸化炭素固定化装置及び二酸化炭素固定化方法の提供が強く求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-198825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、二酸化炭素を含むガスから二酸化炭素を簡便かつ効率良く固定化することができる二酸化炭素固定化装置及び二酸化炭素固定化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> アルカリ性水溶液を収容する収容手段と、
二酸化炭素を含むガスの気泡を、平均気泡径300μm以下となるようにして前記収容手段に供給するガス供給手段と、
前記アルカリ性水溶液と、平均気泡径300μm以下の前記二酸化炭素を含むガスの気泡とを接触させ、前記アルカリ性水溶液中に前記二酸化炭素を固定化する固定化手段と、
を有することを特徴とする二酸化炭素固定化装置である。
<2> 更に、前記二酸化炭素を含むガスを発生させるガス発生手段を有する、前記<1>に記載の二酸化炭素固定化装置である。
<3> 前記アルカリ性水溶液のpHが10以上である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の二酸化炭素固定化装置である。
<4> 前記アルカリ性水溶液がコンクリートを洗浄後の水である、前記<1>から<3>のいずれかに記載の二酸化炭素固定化装置である。
<5> 前記二酸化炭素を含むガスにおける前記二酸化炭素の濃度が50,000ppm以上である、前記<1>から<4>のいずれかに記載の二酸化炭固定化収装置である。
<6> 前記ガス発生手段がプレキャストコンクリートの養生に用いられるボイラーであり、
前記二酸化炭素を含むガスが、プレキャストコンクリートの養生におけるボイラー排ガスである、前記<2>から<5>のいずれかに記載の二酸化炭素固定化装置である。
<7> 前記固定化手段で前記アルカリ性水溶液中に前記二酸化炭素を固定化した処理液のpHが9.5以下である、前記<1>から<6>のいずれかに記載の二酸化炭素固定化装置である。
<8> 前記アルカリ性水溶液のpHの調整に用いられる、前記<7>に記載の二酸化炭素固定化装置である。
<9> 二酸化炭素を含むガスの気泡を、平均気泡径300μm以下となるようにしてアルカリ性水溶液に供給するガス供給工程と、
前記アルカリ性水溶液と、平均気泡径300μm以下の前記二酸化炭素を含むガスの気泡とを接触させ、前記アルカリ性水溶液中に前記二酸化炭素を固定化する固定化工程と、
を含むことを特徴とする二酸化炭素固定化方法である。
<10> アルカリ性の廃液を収容する収容手段と、
二酸化炭素を含むガスの気泡を、平均気泡径300μm以下となるようにして前記収容手段に供給するガス供給手段と、
前記アルカリ性水溶液と、平均気泡径300μm以下の前記二酸化炭素を含むガスの気泡とを接触させ、前記アルカリ性水溶液中に前記二酸化炭素を固定化し、前記アルカリ性水溶液のpHを低下させるpH低下手段と、
を有することを特徴とする廃液処理装置である。
<11> 更に、前記二酸化炭素を含むガスを発生させるガス発生手段を有する、前記<10>に記載の廃液処理装置である。
<12> 前記アルカリ性の廃液のpHが12以上である、前記<10>から<11>のいずれかに記載の廃液処理装置である。
<13> 前記アルカリ性の廃液がコンクリートを洗浄後の水である、前記<10>から<12>のいずれかに記載の廃液処理装置である。
<14> 前記二酸化炭素を含むガスにおける前記二酸化炭素の濃度が50,000ppm以上である、前記<10>から<13>のいずれかに記載の廃液処理装置である。
<15> 前記ガス発生手段がプレキャストコンクリートの養生に用いられるボイラーであり、
前記二酸化炭素を含むガスが、プレキャストコンクリートの養生におけるボイラー排ガスである、前記<11>から<14>のいずれかに記載の廃液処理装置である。
<16> 前記pH低下手段で前記アルカリ性水溶液中に前記二酸化炭素を固定化した処理液のpHが9.5以下である、前記<10>から<15>のいずれかに記載の廃液処理装置である。
<17> 二酸化炭素を含むガスの気泡を、平均気泡径300μm以下となるようにしてアルカリ性水溶液に供給するガス供給工程と、
前記アルカリ性水溶液と、平均気泡径300μm以下の前記二酸化炭素を含むガスの気泡とを接触させ前記アルカリ性水溶液中に前記二酸化炭素を固定化し、前記アルカリ性水溶液のpHを低下させるpH低下工程と、
を含むことを特徴とする廃液処理方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、二酸化炭素を含むガスから二酸化炭素を簡便かつ効率良く固定化することができる二酸化炭素固定化装置及び二酸化炭素固定化方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の二酸化炭素固定化装置の一例を示す概略説明図である。
図2A図2Aは、実施例1及び実施例2における二酸化炭素の通気時間と、CO吸収積算量との関係を示すグラフである。実施例1の結果は破線で示し、実施例2の結果は実線で示す。また、点線は、供給したCO積算量がアルカリ性水溶液中に100%吸収された場合の予測線を示す。グラフにおいて、縦軸はCO吸収積算量(mL)であり、横軸は通気時間(秒)である。
図2B図2Bは、比較例1~4における二酸化炭素の通気時間と、CO吸収積算量との関係を示すグラフである。比較例1の結果は一点鎖線で示し、比較例2の結果は破線で示し、比較例3の結果は実線で示し、比較例4の結果は二点鎖線で示す。また、点線は、供給したCO積算量がアルカリ性水溶液又は水道水中に100%吸収された場合の予測線を示す。グラフにおいて、縦軸はCO吸収積算量(mL)であり、横軸は通気時間(秒)である。
図2C図2Cは、実施例3、並びに、比較例5及び6における二酸化炭素の通気時間と、CO吸収積算量との関係を示すグラフである。実施例3の結果は一点鎖線で示し、比較例5の結果は実線で示し、比較例6の結果は破線で示す。また、点線は、供給したCO積算量がアルカリ性水溶液又は水道水中に100%吸収された場合の予測線を示す。グラフにおいて、縦軸はCO吸収積算量(mL)であり、横軸は通気時間(秒)である。
図2D図2Dは、比較例7における二酸化炭素の通気時間と、CO吸収積算量との関係を示すグラフである。比較例7の結果は実線で示す。また、点線は、供給したCO積算量が水道水中に100%吸収された場合の予測線を示す。グラフにおいて、縦軸はCO吸収積算量(mL)であり、横軸は通気時間(秒)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(二酸化炭素固定化装置及び二酸化炭素固定化方法)
本発明の二酸化炭素固定化装置は、収容手段と、ガス供給手段と、固定化手段と、を有し、更にガス発生手段を有することが好ましく、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
【0011】
本発明の二酸化炭素固定化方法は、ガス供給工程と、固定化工程と、を含み、更にガス発生工程を含むことが好ましく、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
本発明の二酸化炭素固定化方法は、本発明の二酸化炭素固定化装置によって好適に行われる。
【0012】
以下に、本発明の二酸化炭素固定化装置の説明と併せて、本発明の二酸化炭素固定化方法について詳細に説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
【0013】
なお、本明細書において「二酸化炭素固定化」又は「二酸化炭素の固定化」とは、化学反応により二酸化炭素を炭素化合物に変換することを意味する。地球温暖化の原因ガスである二酸化炭素は化学反応により、気体、液体、又は固体状の炭素化合物に変換することによって、二酸化炭素を削減することができる。また、当該炭素化合物として、例えば燃料のような有用物質を得ることで、二酸化炭素を資源として利用することができる。
【0014】
<収容手段>
前記収容手段は、アルカリ性水溶液を収容することができる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、容器を有することが好ましく、更に水量検知部、温度計測部、pH測定部などを有することがより好ましい。
【0015】
<<容器>>
前記容器は、内部に前記アルカリ性水溶液を収容する容器である。
前記容器としては、内部に前記アルカリ性水溶液を収容することができる限り、特に制限はなく、公知のタンク、コンテナなどを用いることができる。
前記容器の形状、構造、及び大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後述する固定化工程において、前記アルカリ性水溶液と、二酸化炭素を含むガスと接触させることができる形状及び構造であることが好ましい。
【0016】
前記容器の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、耐アルカリ性及び耐水性を有するものが好ましく、例えば、合成樹脂、金属材料などが挙げられる。
【0017】
前記合成樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル、ウレタン樹脂、ポリエチレン(低密度、中密度、又は高密度)、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
また、前記容器は、少なくとも前記アルカリ性水溶液と接触する内側面が耐アルカリ性を有するものであることが好ましい。このためには、耐アルカリ性容器を用いる方法、一般的な容器の内側面を、耐アルカリ性を有する材料でコーティングする方法などを用いることができる。
【0019】
なお、本発明において耐アルカリ性は、JIS K 7114:2001に基づき確認することができる。
【0020】
<<水量検知部>>
前記水量検知部は、前記アルカリ性水溶液の容量を検知する部材である。
前記水量検知部としては、特に制限はなく、公知の水量センサなどを用いることができる。
【0021】
<<温度計測部>>
前記温度計測部は、前記アルカリ性水溶液の温度を検知する部材である。
前記温度検知部としては、特に制限はなく、公知の温度計などを用いることができる。
なお、後述する固定化工程において、前記容器内で、前記アルカリ性水溶液と、二酸化炭素を含むガスと接触させるため、前記温度計測部は、前記固定化工程において、前記アルカリ性水溶液中に二酸化炭素を固定化した処理液の温度の測定にも用いられる。
【0022】
<<pH測定部>>
前記pH測定部は、前記アルカリ性水溶液のpHを検知する部材である。
前記pH測定部としては、特に制限はなく、公知のpH測定器などを用いることができる。
なお、後述する固定化工程において、前記容器内で、前記アルカリ性水溶液と、二酸化炭素を含むガスと接触させるため、前記pH測定部は、前記固定化工程において、前記アルカリ性水溶液中に二酸化炭素を固定化した処理液のpHの測定にも用いられる。
【0023】
-アルカリ性水溶液-
前記アルカリ性水溶液のpHとしては、特に制限はなく、使用するアルカリ性水溶液の種類などに応じて適宜選択することができるが、10以上が好ましく、11以上がより好ましく、12以上が更に好ましく、13以上が特に好ましい。前記アルカリ性水溶液のpHが10以上であると、二酸化炭素の固定化率が良好である。
前記アルカリ性水溶液のpHは、例えば、pHメーター(HM-31P、東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて測定することができる。
【0024】
前記アルカリ性水溶液としては、適宜調製したものを使用してもよく、コンクリートを洗浄後の水(以下、「コンクリート洗浄水」と称することがある)であってもよい。
【0025】
前記アルカリ性水溶液を調製する方法としては、例えば、水をアルカリ剤でアルカリ性にする方法などが挙げられる。
【0026】
前記アルカリ剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物;モノエタノールアミン、エチルアミノエタノール、イソプロパアミノエタノール、テトラメチルジアミノヘキサン等のアミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
前記水酸化カルシウムとしては、消石灰や生石灰等の石灰を使用してもよく、これらを併用してもよい。消石灰及び生石灰は、建築又は土木部材などの廃材から再生されたものを使用してもよい。
なお、生石灰は主成分として酸化カルシウムを含有する石灰であり、消石灰は主成分として水酸化カルシウムを含有する石灰であるが、前記アルカリ性水溶液を調製することができれば、他の成分として炭酸カルシウム(例えば、カルサイト、アラゴナイト、バテライト、塩基性炭酸カルシウム、非晶質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムなど)、ドロマイト(CaMg(CO)などを含有していてもよい。
【0028】
また、前記水酸化カルシウムとしては、カルシウム成分を含有する生物由来の廃棄物から得たものであってもよい。
前記カルシウム成分を含有する生物由来の廃棄物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホタテ、アサリ、カキ、シジミ、サザエ、アワビ、真珠、はまぐり等の貝殻;鶏等の鳥類の卵の殻;魚類や動物の骨;生物の死骸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記廃棄物は、漁業者、割卵工場、精肉業者、家庭などから入手することができる。
【0029】
ホタテの貝殻の廃棄量は年間約18万トン、カキの廃棄量は年間約13万トンと推定されている。そのため、排出事業者は、貝殻等を中間処理により、炭酸カルシウムの原料にするなど、再利用が推進されている(漁業系廃棄物処理ガイドライン(改訂)、令和2年5月、環境省環境再生・資源循環局参照)。また、日本国内の割卵工場などにおける卵の殻の廃棄量は年間約26万トンと推定されている。
これらの貝殻、卵の殻、骨などの一部は肥料などに再利用されているが、殆どは廃棄物として処理されているのが現状である。これに対し、前記水酸化カルシウムの原料として、前記カルシウム成分を含有する生物由来の廃棄物を有効利用することで、環境負荷低減に有効である。
【0030】
前記カルシウム成分を含有する生物由来の廃棄物から前記水酸化カルシウムを得る方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記生物由来の廃棄物が含有する前記カルシウム成分としては、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
前記カルシウム成分を含有する生物由来の廃棄物から前記水酸化カルシウムを得る方法の具体例としては、炭酸カルシウムを含有する生物由来の廃棄に、酸剤(例えば、塩酸、硝酸、硫酸の無機酸;酢酸等の有機酸など)を添加して下記化学反応式(1)で示す反応を行い、次に、得られた塩化カルシウムに、アルカリ剤(例えば、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化カリウムなど)を添加して下記化学反応式(2)で示す反応を行うことにより得る方法などが挙げられる。なお、下記化学反応式(2)で得られた水酸化カルシウムは、公知の方法により精製されてもよい。
2HCl+CaCO → CaCl+HO+CO ・・・ 化学反応式(1)
CaCl+2NaOH → Ca(OH)+2NaCl ・・・ 化学反応式(2)
【0031】
また、本明細書において、「コンクリートを洗浄後の水」とは、コンクリートの製造に使用したミキサー、容器、スコップ、試験機器等の器具を洗浄して得られる水を意味する。一般的にコンクリートを製造する材料として使用されるセメントは、該セメント内に含まれる鉱物(例えば、石灰)が水と反応(水和反応)して水酸化カルシウムを生成するため強アルカリ性である。そのため、コンクリートの製造の際に使用した前記器具を洗浄した水も強アルカリ性となる。
日本の環境省の一般排水基準では、海域以外の公共用水域に排出されるものについてはpH5.8以上pH8.6以下とすること、海域に排出されるものについてはpH5.0以上9.0以下とすることが定められている(環境省「一般排水基準」: https://www.env.go.jp/water/impure/haisui.html参照)。そのため、コンクリートを洗浄後の水は、中和処理を行わなければ廃棄できず、その簡便かつ効率の良い廃棄方法が求められている。
【0032】
これらの中でも、前記アルカリ性水溶液は、前記コンクリート洗浄水を使用することが、プレキャストコンクリート分野における環境負荷低減の点で好ましい。
【0033】
前記アルカリ性水溶液の温度としては、特に制限はなく、広い範囲の条件のアルカリ性水溶液を用いることができる。
【0034】
<ガス供給手段及びガス供給工程>
前記ガス供給手段は、二酸化炭素を含むガスの気泡を、平均気泡径300μm以下となるようにして前記収容手段に供給する手段である。
前記ガス供給工程は、二酸化炭素を含むガスの気泡を、平均気泡径300μm以下となるようにして前記収容手段に供給する工程である。
前記ガス供給工程は、前記ガス供給手段により好適に行われる。
【0035】
前記ガス供給手段としては、二酸化炭素を含むガスの気泡を、平均気泡径300μm以下となるようにして前記収容手段に供給することができる限り、特に制限はなく、公知の手段の中から適宜選択することができるが、気泡形成部を有することが好ましく、ガス吸引部、流路、ガス流量制御部、ガス圧力制御部などを有することがより好ましい。
【0036】
<<気泡形成部>>
前記気泡形成部は、平均気泡径300μm以下の前記二酸化炭素を含むガスの気泡を形成する部材であり、前記アルカリ性水溶液と接するように設けることが好ましい。
【0037】
前記気泡形成部としては、気泡を形成することができる限り、特に制限はなく、公知のマイクロバブル発生器、ナノバブル発生器などを使用することができ、例えば、マイクロ・ナノバブラー(平均気泡径:72.9μm、気泡径分布ピーク:60μm~70μm、有限会社翠水製)、焼結金属エレメントEB(材質:ブロンズ、公称ろ過精度:2μm~100μm、SMC株式会社製)、焼結金属エレメントES(材質:ステンレス、公称ろ過精度:2μm~100μm、SMC株式会社製)、などを使用することができる。
【0038】
前記二酸化炭素を含むガスの平均気泡径は300μm以下であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記二酸化炭素を含むガスの平均気泡径が300μm超であると、前記二酸化炭素を含むガスから二酸化炭素を効率良く固定化することができない。なお、前記二酸化炭素を含むガスの平均気泡径が小さい程、前記二酸化炭素を含むガスから二酸化炭素を効率良く固定化することができるため、前記二酸化炭素を含むガスの平均気泡径の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0039】
ここで、本明細書において、平均気泡径とは、以下の方法で測定した気泡径の平均値である。
具体的には、前記アルカリ性水溶液中の二酸化炭素を含むガスを、ハイスピードカメラ(一眼カメラ、レンズ焦点距離:300mm)で撮影し、撮影画像中の複数の気泡の中から、ピントの合った気泡を無作為に100個選定する。
画像解析ソフト(ClickMeasure(フリーソフト))を用いて撮影画像を取り込み、倍率を1.5倍に変換する。次に、ツールバーの「円中心入力」を選択し、選定した気泡の画像の外周の3点をクリックし、気泡(円)の中心をポイントとして登録する。これにより、気泡の半径が算出されるため、算出された半径の2倍の値を「気泡径」とする。
この方法で、選定した100個の気泡について、それぞれ気泡径を算出し、100個の平均値を「平均気泡径」とする。
【0040】
<<ガス吸引部>>
前記ガス吸引部は、前記二酸化炭素を含むガスを吸引し、該二酸化炭素を含むガスを前記流路へ導入する部材である。
【0041】
前記二酸化炭素固定化装置外から前記二酸化炭素を含むガスを吸引する場合、前記ガス吸引部は、該二酸化炭素固定化装置外に通じる吸引口を有していることが好ましい。
【0042】
前記二酸化炭素固定化装置が、後述するガス発生手段を有する場合、前記ガス吸引部は、該ガス発生手段と連通した吸引口を有していることが好ましい。
【0043】
前記吸引口の形状、構造、及び数としては、前記二酸化炭素を含むガスを吸引できる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0044】
前記ガス吸引部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガスポンプなどが挙げられる。
【0045】
-二酸化炭素を含むガス-
前記二酸化炭素を含むガスとしては、前記二酸化炭素を含む限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公地の方法で製造された二酸化炭素のみからなるガス;大気等の天然ガス;石炭、重油、天然ガス等を燃料とする火力発電所の排ガス;鉄鋼所の排ガス;コンクリート工場の排ガス;化学プラントの排ガス;バイオ発酵ガスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、各種排ガスは、環境負荷低減の点から、省エネルギーで二酸化炭素を固定化することが求められるものであるため、前記二酸化炭素固定化装置及び前記二酸化炭素固定化方法に好適に用いられる。なお、前記各種排ガスには、該排ガスを処理して二酸化炭素の濃度を高めたガス(例えば、ボイラー排ガスから二酸化炭素を回収し、ガスボンベに圧縮した二酸化炭素など)も含まれる。
【0046】
なお、前記二酸化炭素を含むガスは、二酸化炭素以外のガスを含有してもよい。
前記二酸化炭素以外のガスとしては、特に制限はなく、例えば、窒素、酸素、水蒸気、一酸化炭素、硫化水素、硫化カルボニル、二酸化硫黄、二酸化窒素、メタン、水素などが挙げられる。また、後述する有害物質を含んでいてもよい。
【0047】
前記二酸化炭素を含むガスにおける二酸化炭素の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50,000ppm以上が好ましく、100,000ppm以上がより好ましく、150,000ppm以上が更に好ましい。
前記二酸化炭素を含むガスにおける二酸化炭素の濃度は、例えば、燃焼排ガス分析計(HT-1200NT、ホダカ株式会社製)により測定することができる。
なお、上記した通り、前記二酸化炭素を含むガスから二酸化炭素を濃縮して前記好ましい二酸化炭素の濃度としてもよい。
【0048】
前記二酸化炭素を含むガスの圧力、温度などとしては、特に制限はなく、広い範囲の条件の二酸化炭素を含むガスを用いることができる。
【0049】
<<流路>>
前記流路は、二酸化炭素を含むガスを、前記二酸化炭素固定化装置外又は前記ガス発生手段から前記収容手段に供給するための流路である。
前記流路としては、前記二酸化炭素を含むガスが通過することができれば、その形状、構造、材質などとしては、特に制限はなく、前記ガスの性質などに応じて適宜選択することができ、例えば、チューブ状(管状)の流路などが挙げられる。
前記流路は、前記二酸化炭素固定化装置外又は前記ガス発生手段から前記収容手段に供給した二酸化炭素を含むガスが逆流しないような蓋や弁などを有していることが好ましい。
【0050】
<<ガス流量制御部>>
前記ガス流量制御部は、前記二酸化炭素を含むガスを前記収容手段に供給する際に、該二酸化炭素を含むガスの流量を制御する部材であり、前記ガス吸引部、前記流路の途中、又は前記収容手段と前記流路との連通部などに設けることができる。
前記ガス流量制御部としては、特に制限はなく、公知のガス流量計などを使用することができ、例えば、アンプ分離型気体用流量センサ(型式:FD-A1、株式会社キーエンス製)などを使用することができる。
【0051】
<<ガス圧力制御部>>
前記ガス圧力は、前記二酸化炭素を含むガスを前記収容手段に供給する際のガスの圧力を制御する部材であり、前記ガス吸引部、前記流路の途中、又は前記収容手段と前記流路との連通部などに設けることができる。
前記ガス圧力制御部としては、特に制限はなく、公知のガス圧力調整器などを使用することができ、例えば、炭酸ガス用ノーヒーター型圧力調整器(NP1シリーズ、株式会社 ユタカ製)などを使用することができる。
【0052】
<固定化手段及び固定化工程>
前記固定化手段は、前記アルカリ性水溶液と、平均気泡径300μm以下の前記二酸化炭素を含むガスの気泡とを接触させ、前記アルカリ性水溶液中に前記二酸化炭素を固定化する手段である。
前記固定化工程は、前記アルカリ性水溶液と、平均気泡径300μm以下の前記二酸化炭素を含むガスの気泡とを接触させ、前記アルカリ性水溶液中に前記二酸化炭素を固定化する工程である。
前記固定化工程は、前記固定化手段により好適に行われる。前記固定化工程及び前記固定化手段により、前記アルカリ性水溶液中に前記二酸化炭素を含むガス中の二酸化炭素が固定化されると、前記二酸化炭素が除去されたガスが発生する。
【0053】
前記固定化工程は、前記収容手段の前記容器内で行われるため、前記収容手段における前記容器は、前記固定化手段としても使用し得る。前記固定化手段は、撹拌部、ガス量検知部を有することが好ましい。
【0054】
前記アルカリ性水溶液と、平均気泡径300μm以下の前記二酸化炭素を含むガスの気泡とを接触させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記収容手段内の前記アルカリ性水溶液に対して、平均気泡径300μm以下の前記二酸化炭素を含むガスの気泡を吹き込む方法、前記収容手段内の前記アルカリ性水溶液と、平均気泡径300μm以下の前記二酸化炭素を含むガスの気泡とを気液混合する方法などが挙げられる。
【0055】
前記アルカリ性水溶液と、平均気泡径300μm以下の前記二酸化炭素を含むガスの気泡とを接触させる時間としては、特に制限はなく、所望の二酸化炭素の固定化率などに応じて適宜選択することができる。
【0056】
前記固定化手段による二酸化炭素の固定化率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましく、90%以上が特に好ましい。
【0057】
前記二酸化炭素の固定化率は、下記式(1)に基づき算出することができる。
二酸化炭素の固定化率(%)={供給したCO積算量(mL)-CO蓄積量(mL)}/供給したCO積算量(mL)×100 ・・・ 式(1)
前記式(1)において、「供給したCO積算量(mL)」は、前記固定化手段のガス供給手段によって前記アルカリ性水溶液に供給した二酸化炭素の合計量を意味し、前記ガス量検知部によって検知することができる。また、前記ガス供給手段のガス流量制御部による前記二酸化炭素を含むガスの流量と、前記二酸化炭素を含むガスを前記アルカリ性水溶液に供給した時間と、前記二酸化炭素を含むガスにおける二酸化炭素の濃度から算出することもできる。
また、前記式(1)において、「CO蓄積量(mL)」は、前記二酸化炭素を含有するガスから二酸化炭素が除去され、前記収容手段中に蓄積した二酸化炭素の合計量を意味し、前記固定化手段のガス量検知部によって検知することができる。
【0058】
<<撹拌部>>
前記撹拌部は、前記アルカリ性水溶液を撹拌する部材である。
前記固定化手段が前記撹拌部を有する場合、前記アルカリ性水溶液と前記二酸化炭素を含むガスの気泡とを効率良く接触させることができ、二酸化炭素の固定化率が向上する点で好ましい。
【0059】
前記撹拌部としては、特に制限はなく、公知の撹拌羽根などを用いることができる。
前記撹拌羽根としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロペラ、タービン、ディスパーなどが挙げられる。
【0060】
前記アルカリ性水溶液を撹拌する際の剪断速度、剪断応力などとしては、特に制限はなく、広い範囲の条件で実施することができる。
【0061】
<<ガス量検知部>>
前記ガス量検知部は、前記収容手段の前記容器内のガス量を検知する部材である。
前記ガス量検知部としては、特に制限はなく、公知のガス量センサなどを用いることができ、二酸化炭素の濃度を測定できるセンサであることがより好ましい。
【0062】
前記固定化手段が前記ガス量検知部を有する場合、前記二酸化炭素が除去されたガス量の測定や、前記二酸化炭素が除去されたガス中の二酸化炭素の濃度の測定を行うことができる。
なお、前記ガス量検知部は、前記ガス供給工程において、供給された前記二酸化炭素を含むガス量の測定も行うことができる。
【0063】
なお、前記固定化工程では、前記収容手段内又は前記アルカリ性水溶液に更に公知の二酸化炭素吸収剤などを添加して併用してもよい。
【0064】
-処理液-
前記処理液は、前記アルカリ性水溶液中に前記二酸化炭素を固定化した液であり、前記アルカリ性水溶液と比較して、炭酸濃度が高いものである。また、前記アルカリ性水溶液と前記二酸化炭素との反応により、炭酸カルシウム等の固形分も含まれる。
前記処理液中の炭酸濃度としては、特に制限はなく、前記二酸化炭素を含むガス中の二酸化炭素の濃度などに応じて適宜選択することができる。
前記アルカリ性水溶液又は前記処理液中の炭酸濃度は、公知の炭酸濃度測定機により測定することができる。
【0065】
前記処理液のpHとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、9.5以下が好ましく、9.0以下がより好ましく、8.6以下が更に好ましい。前記処理液のpHが9.5以下であると、該処理液を廃棄する際にpHを廃棄可能なpHとするために使用する酸の使用量を少量とすることができる点で好ましい。また、前記処理液のpHが8.6以下であると、該処理液を廃棄する際にそのまま廃棄することができるため更に好ましい。
【0066】
特に、前記アルカリ性水溶液が前記コンクリート洗浄水である場合、該コンクリート洗浄水は強アルカリ性であるため、pHを下げてから廃棄する必要がある。そのため、従来、コンクリート工場、特にプレキャストコンクリート工場では、硫酸、塩酸、硝酸等の強酸を常備し、コンクリート洗浄水に強酸を多量に添加する方法が用いられてきた。
【0067】
例えば、pH12.6のコンクリート洗浄水をpH7.0とするために必要な硫酸の使用量は20molである。これに対し、前記二酸化炭素固定化装置及び前記二酸化炭素固定化方法により、pH12.6のコンクリート洗浄水のpHを、例えばpH10.0まで下げた場合、pH10.0のコンクリート洗浄水をpH7.0とするために必要な硫酸の使用量は0.05molとなる。この場合、硫酸の使用量は、従来の方法と比較して、99.7%低減することができるため、コスト的に有利である。
【0068】
また、強酸による処理は危険が伴うが、前記二酸化炭素固定化装置及び前記二酸化炭素固定化方法によりコンクリート洗浄水のpHを予め下げることで、酢酸、硫化水素、シュウ酸、炭酸、リン酸等の弱酸を使用しても、廃棄可能なpHまで下げることが可能となり、取扱い性や安全性の点でも有利である。
【0069】
-二酸化炭素が除去されたガス-
本明細書において、「二酸化炭素が除去されたガス」(以下、「処理ガス」と称することがある)は、前記二酸化炭素を含有するガスと比較して、二酸化炭素濃度が低減されたガスを意味する。したがって、前記処理ガスは、前記二酸化炭素を含むガスから二酸化炭素が完全に除去されていてもよく、完全に除去されていないものであってもよい。
【0070】
前記処理ガスにおける二酸化炭素濃度としては、環境負荷低減の点から低い程好ましい。具体的には、前記処理ガスにおける二酸化炭素濃度としては、30,000ppm以下が好ましく、20,000ppm以下がより好ましく、10,000ppm以下が更に好ましい。
【0071】
前記固定化手段による二酸化炭素の除去率は、前記二酸化炭素の固定化率と同義であり、好ましい範囲等も同じである。
【0072】
<ガス発生手段及びガス発生工程>
前記ガス発生手段は、二酸化炭素を含むガスを発生させる手段である。前記ガス発生手段は、前記収容手段と、前記ガス供給手段との間に設けることが好ましい。
前記ガス発生工程は、二酸化炭素を含むガスを発生させる工程である。前記ガス発生工程は、前記ガス供給工程の前に含むことが好ましい。
前記ガス発生工程は、前記ガス発生手段により好適に行われる。
【0073】
前記ガス発生手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の二酸化炭素発生装置;火力発電所、鉄鋼所、コンクリート工場、化学プラント等のボイラーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0074】
前記公知の二酸化炭素発生装置としては、例えば、灯油、石油、LPガスなどを燃焼させて二酸化炭素を発生させる燃焼式二酸化炭素発生装置、液化炭酸ガス式二酸化炭素発生装置などが挙げられる。
【0075】
前記コンクリート工場、特にプレキャストコンクリート工場では蒸気養生を行うため、これに伴う排ガスが排出される。一方、前記した通り、コンクリート洗浄水は強アルカリ性である。したがって、プレキャストコンクリート工場においては、排ガスと、コンクリート洗浄水とを別々に廃棄しなければならなかった。
これに対し、前記二酸化炭素固定化装置及び前記二酸化炭素固定化方法は、前記排ガス中の二酸化炭素を、前記コンクリート洗浄水中に固定化することで、該排ガス中の二酸化炭素の濃度を低減させることができ、かつ、前記コンクリート洗浄水のpHを下げることができるため、環境負荷に関与する排ガス中の二酸化炭素及びコンクリート洗浄水(即ち、廃液)を同時に処理することができ、非常に有用なものである。
【0076】
したがって、前記二酸化炭素固定化装置においては、前記ガス発生手段がプレキャストコンクリートの養生に用いられるボイラーであり、前記二酸化炭素を含むガスが、プレキャストコンクリートの養生におけるボイラー排ガスであることが好ましい。
【0077】
<その他の手段及びその他の工程>
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分離手段、有害物質除去手段、制御手段、温度調節手段、循環手段、排出手段などが挙げられる。
【0078】
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分離工程、有害物質除去工程、制御工程、冷却工程、循環工程、排出工程などが挙げられる。
【0079】
<分離手段及び分離工程>
前記分離手段は、前記固定化手段で回収された前記処理液と、前記処理ガスとを分離する手段である。
前記分離工程は、前記固定化工程で回収された前記処理液と、前記処理ガスとを分離する工程である。
前記分離工程は、前記分離手段により好適に行われる。
前記分離手段は、処理ガス吸引部と、処理液排出部と、処理液回収部と、流路と、を有することが好ましい。
【0080】
<<処理ガス吸引部>>
前記処理ガス吸引部は、前記固定化工程で回収され、前記収容手段内に蓄積された処理ガスを、前記収容手段から吸引する部材であり、前記収容手段と連通した吸引口を有していることが好ましい。
【0081】
前記吸引口の形状、構造、及び数、並びに、前記処理ガス吸引部が前記処理ガスを吸引する方法としては、特に制限はないが、前記ガス吸引部と同様とすることができる。
【0082】
<<処理液排出部>>
前記処理液排出部は、前記固定化工程で、前記収容手段内で回収された処理液を、処理液回収部に排出する部材であり、前記収容手段と前記処理液回収部との流路の間に設けることが好ましい。
前記処理液排出部としては、特に制限はなく、公知のバルブを使用することができる。
【0083】
<<処理液回収部>>
前記処理液回収部は、前記固定化工程で回収された処理液を収容する部材である。前記収容手段の容器と、前記処理液回収部とは、流路で連通してなる。
前記処理液回収部としては、前記処理液を収容することができれば、特に制限はなく、例えば、容器などが挙げられる。
前記容器としては、前記収容手段の容器と同様のものを使用することができる。
【0084】
<<流路>>
前記流路は、前記処理ガス吸引部から前記処理ガスを排出する流路、前記収容手段と前記処理液回収部との間の流路などが挙げられる。
前記流路は、前記処理ガス吸引部から吸引された処理ガスが逆流しないような蓋や弁などを有していることが好ましい。また、前記流路は、前記収容手段から排出され、前記処理液回収部に回収された処理液が逆流しないような蓋や弁、前記処理液中に含まれる固形分(例えば、炭酸カルシウム)を除去するフィルターなどを有していることが好ましい。
【0085】
<有害物質除去手段及び有害物質除去工程>
前記有害物質除去手段は、前記二酸化炭素を含むガス又は前記処理ガスから、二酸化炭素以外の有害物質を除去する手段である。前記有害物質除去手段は、前記ガス供給手段の前、前記ガス発生手段と前記ガス供給手段との間、前記収容手段と前記分離手段との間、及び前記分離手段と後述する排出手段との間の少なくともいずれかに有することが好ましい。
前記有害物質除去手段としては、特に制限はなく、有害物質の種類などに応じて、適宜公知のフィルター、有害物質除去装置などを使用することができる。
【0086】
前記有害物質除去工程は、前記二酸化炭素を含むガス又は前記処理ガスから、二酸化炭素以外の有害物質を除去する工程である。前記有害物質除去工程は、前記有害物質除去手段により好適に行われる。
前記有害物質除去工程は、前記ガス供給工程の前、前記ガス発生工程と前記供給工程の間、前記収容工程と前記分離工程の間、及び前記分離工程と後述する排出工程との間の少なくともいずれかに含まれることが好ましい。
【0087】
前記二酸化炭素を含むガスには、前記二酸化炭素以外の有害物質を含んでいることがある。前記有害物質としては、例えば、アクリロニトリル、アセトアルデヒド、塩化ビニルモノマー、塩化メチル、クロム及びその化合物、六価クロム化合物、クロロホルム、酸化エチレン、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、水銀及びその化合物、ダイオキシン類、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、トルエン、ニッケル化合物、ヒ素及びその化合物、1,3-ブタジエン、ベリリウム及びその化合物、ベンゼン、ベンゾ[a]ピレン、ホルムアルデヒド、マンガン及びその化合物、一酸化炭素、炭化水素、硫酸化物、窒素酸化物、粒子状物質(例えば、煤塵)、塩素、フッ素化合物などが挙げられる。
したがって、前記二酸化炭素固定化装置及び前記二酸化炭素固定化方法が、それぞれ前記有害物質除去手段及び前記有害物質除去工程を有することにより、前記処理ガスからこのような二酸化炭素以外の有害物質を除去することができ、環境負荷低減の点で有利である。
【0088】
<制御手段及び制御工程>
前記制御手段は、前記二酸化炭素固定化装置における各手段を制御する手段である。
前記制御工程は、前記二酸化炭素固定化装置における各工程を制御する工程である。
前記制御工程は、前記制御手段により好適に行われる。
【0089】
前記制御手段としては、特に制限はなく、例えば、コンピューターなどが挙げられる。
【0090】
<温度調節手段及び温度調節工程>
前記温度調節手段は、前記アルカリ性水溶液の温度(前記収容手段の温度)、前記二酸化炭素を含むガスの温度等の前記二酸化炭素固定化装置内の各手段の温度を調製する手段である。
前記温度調節工程は前記アルカリ性水溶液の温度(前記収容手段の温度)、前記二酸化炭素を含むガスの温度等の前記二酸化炭素固定化装置内の各工程における温度を調節する工程である。
前記温度調節工程は、前記温度調節手段により好適に行われる。
【0091】
前記温度調節手段としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ヒーター、ヒートポンプ、太陽光パネル等の加熱機器;空冷ラジエータ、クーリングタワー、チラー等の冷却機器などが挙げられる。前記加熱機器及び前記冷却機器を有することにより、所望の温度に調節することができる。また、前記温度調節手段は、熱交換器を有していてもよい。
【0092】
<<循環手段及び循環工程>>
前記循環手段は、前記アルカリ性水溶液及び前記処理液を循環する手段である。
前記循環工程は、前記アルカリ性水溶液及び前記処理液を循環する工程である。
前記循環工程は、前記循環手段により好適に行われる。前記循環手段及び前記循環工程は、特にコンクリート工場、中でもプレキャストコンクリート工場において使用される場合に有することが好ましい。
【0093】
前記循環手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の送液ポンプなどが挙げられる。
【0094】
例えば、前記二酸化炭素固定化装置がコンクリートの洗浄する器具と連通する流路を有する場合、前記循環手段は、前記アルカリ性水溶液としてのコンクリート洗浄水を前記収容手段に送液し、次に前記固定化工程で回収された前記処理液を前記処理液回収部に送液し、次に前記処理液回収部から処理液を、コンクリートを洗浄する器具へ送液することができる。
このように、前記二酸化炭素固定化装置及び二酸化炭素固定化方法において、コンクリートの製造工程におけるコンクリートの洗浄手段と共に循環させて、前記処理液をコンクリートの洗浄に再利用することで、前記処理液を自然界に排出することないため、環境負荷低減、コスト、作業効率などの点で有利である。
【0095】
以下に、本発明の二酸化炭素固定化装置及び二酸化炭素固定化工程の一例について、図を用いて詳細に説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
図1は、本発明の二酸化炭素固定化装置100の一例を示す概略説明図である。
収容手段である容器1内には、アルカリ性水溶液2が収容される。アルカリ性水溶液2は、容器1に直接投入してもよく、コンクリート洗浄器具200から流路L1を介して投入しもよい。また、これらはそれぞれ独立して行ってよく、同時に行ってもよい。容器1の内部には、撹拌部3を有していてもよい。また、容器1の内部には、図示しない水量検知部、温度計測部、及びpH計測部を有していてもよい。水量検知部はアルカリ性水溶液2の量を検知し、温度計測部はアルカリ性水溶液2の温度を検知する。また、アルカリ性水溶液2は、図示しない温度調節手段により温度を制御することができる。アルカリ性水溶液2が所望の量及び温度に達した場合に、ガス供給手段から二酸化炭素を含むガスを容器1内に供給することが好ましい。
【0096】
次に、ガス供給手段としてのガス吸引部4a又は4bから二酸化炭素を含むガスを容器1内のアルカリ性水溶液2に供給する。二酸化炭素を含むガスを二酸化炭素固定化装置100の外、例えば、大気中から供給する場合、ガス吸引部4aから流路L2を介して容器1内のアルカリ性水溶液2に二酸化炭素を含むガスを供給する。二酸化炭素を含むガスをガス発生手段8から供給する場合、ガス吸引部4bから流路L3を介して容器1内のアルカリ性水溶液2に二酸化炭素を含むガスを供給する。図1では、二酸化炭素固定化装置100内にガス発生手段8を有する態様を示しているが、ガス発生手段8は、二酸化炭素固定化装置100の外に設けてもよい。例えば、プレキャストコンクリート工場においては、プレキャストコンクリートの養生に用いられるボイラーをガス発生手段8とし、ボイラー排ガスを流路L3に連通させる構成とすることができる。ガス吸引部4a及びガス吸引部4bを介した二酸化炭素を含むガスの供給は、それぞれ独立して行ってもよく、同時に行ってもよい。
【0097】
二酸化炭素を含むガスの気泡は、ガス供給手段としての気泡形成部6a又は6bにより、容器1内のアルカリ性水溶液2に供給する。このとき、固定化手段としての撹拌部3によりアルカリ性水溶液2を撹拌することが好ましい。なお、容器1内に供給された二酸化炭素を含むガスの量は、容器1内の図示しないガス量検知部が検知し、好ましくは、ガス量検知部により二酸化炭素を含むガス中の二酸化炭素濃度を検知する。流路L2及び流路L3は、途中にガス圧力制御部14a又は14bや、ガス流量制御部5a又は5bを有し、ガス吸引部4a又は4bから二酸化炭素を含むガスを容器1に供給する際に、該二酸化炭素を含むガスの圧力及び/又は流量を所望の圧力及び/又は流量に制御することができる。また、二酸化炭素を含むガスは、図示しない温度調節手段により温度を制御することができる。このようにして、アルカリ性水溶液2中に二酸化炭素を含むガス中の二酸化炭素を高効率で固定化することで、容器1内で処理液13となり、処理ガス(二酸化炭素が除去されたガス)7が発生する。
【0098】
次に、処理液13のpHをpH計測部により測定し、処理液13のpHが廃棄可能な範囲である場合は、容器1から処理液排出部としてのバルブ11aを開き、流路L4を介して二酸化炭素固定化装置100の外に排水し、廃棄する。この際、流路L4は、容器1内に伸び、図示しないポンプ等で処理液13を吸い上げながら排水する構成であってもよい。また、処理液13は、容器1から処理液排出部としてのバルブ11bを開き、流路L10を介して処理液回収部12に導入し、ここで一時的に保存することもできる。処理液回収部12に保存された処理液13は、バルブ11cを開き、流路L5を介して二酸化炭素固定化装置100の外に排水し、廃棄する。また、プレキャストコンクリート工場においては、処理液回収部12に保存された処理液13は、バルブ11dを開き、流路L6を介してコンクリート洗浄器具200に送液し、コンクリートの製造工程におけるコンクリートの洗浄に再利用し、流路L1を介して再度容器1に送液することもできる。この場合、処理液13のpHが廃棄可能な範囲でなくでもよい。廃棄可能な範囲でない処理液13は、アルカリ性水溶液2と比較してpHが低下しているため、コンクリート洗浄水として有用である。なお、アルカリ性水溶液2と処理液13の各流路における送液は、図示しない循環手段としての送液ポンプを用いて行うことができる。
【0099】
また、容器1と流路L4との間、容器1と流路L10との間、処理液回収部12と流路L5との間、処理液回収部12と流路L6との間には、それぞれ独立して、図示しないフィルターを設けてもよい。二酸化炭素を含むガスがアルカリ性水溶液2に供給され、これらが反応すると、炭酸カルシウム等の固形分が生成される。そのため、前記フィルターは、処理液13と共に前記固形分の排出を抑制することができる。
【0100】
容器1内に前記固形分を留めるようにする場合は、容器1と流路L4との間、又は容器1と流路L10との間にフィルターを設けることが好ましい。この場合、容器1は、処理液13を生成する反応槽として機能するだけでなく、前記固形分の貯蔵槽としても機能し得る。
【0101】
また、処理液回収部12内に前記固形分を留めるようにする場合は、処理液回収部12と流路L5との間、又は処理液回収部12と流路L6との間にフィルターを設けることが好ましい。この場合、処理液回収部12は、処理液13を保存する処理液13保存槽として機能するだけでなく、前記固形分の貯蔵槽としても機能し得る。
【0102】
更に、バルブ11bと処理液回収部12との間に切替えバルブ15を設け、処理液13は流路L10を介して処理液回収部12に回収し、前記固形分は流路11を介して固形分回収部16に回収してもよい。
【0103】
なお、ここで得られた炭酸カルシウムの用途としては、特に制限はなくカルシウム化合物の通常の用途に用いることができ、例えば、電子部品や光学材料の原料などが挙げられる。
【0104】
また、回収された処理ガス7は、容器1から処理ガス吸引部9aにより吸引され、流路L7を介して二酸化炭素固定化装置100の外に排出する。処理ガス7が二酸化炭素以外の有害物質を含む場合は、容器1から処理ガス吸引部9bにより吸引され、流路L8を介して有害物質除去手段10に送られ、二酸化炭素以外の有害物質を除去してから、流路L9を介して二酸化炭素固定化装置100の外に排出することもできる。
以上の一連の工程は、図示しない制御手段によって制御することができる。
【0105】
以上のように、本発明の二酸化炭素固定化装置及び二酸化炭素固定化方法は、二酸化炭素を含むガスから二酸化炭素を簡便かつ効率良く固定化することができ、大気汚染やバイオ発酵ガス等の自然界における二酸化炭素の軽減に有用であり、更には、火力発電所、鉄鋼所、コンクリート工場、化学プラント等の排ガスによる二酸化炭素の軽減や排ガスの再利用などにも有用である。
【0106】
前記二酸化炭素を含むガスは、二酸化炭素固定化装置外から吸引することができるため、例えば、本発明の二酸化炭素固定化装置及び二酸化炭素固定化方法をコンクリート工場において使用する場合、該コンクリート工場の周辺地域で発生した二酸化炭素を、コンクリート洗浄水に対して使用することで、周辺地域の二酸化炭素を処理する拠点となり得、かつコンクリート工場ではコンクリート洗浄水のpH低減に使用することができる。
このように、本発明の二酸化炭素固定化装置及び二酸化炭素固定化方法は、特に、コンクリート工場、中でもプレキャストコンクリート工場において好ましく利用され、プレキャストコンクリートの養生に伴って発生する排ガスと、コンクリート洗浄水という、それぞれ異なる廃棄処理が必要であったものを、同時に廃棄処理することができるという利点を有する。
【0107】
(廃液処理装置及び廃液処理方法)
本発明の廃液処理装置は、収容手段と、ガス供給手段と、pH低下手段と、を有し、更にガス発生手段を有することが好ましく、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
【0108】
本発明の廃液処理方法は、ガス供給工程と、pH低下工程と、を含み、更にガス発生工程を含むことが好ましく、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
本発明の廃液処理方法は、本発明の廃液処理装置によって好適に行われる。
【0109】
前記廃液処理装置における収容手段、ガス供給手段、ガス発生手段、及びその他の手段は、本発明の二酸化炭素固定化装置と同様であるため、詳細な説明は省略する。
また、前記廃液処理方法におけるガス供給工程、ガス発生工程、及びその他の工程も、本発明の二酸化炭素固定化方法と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0110】
-アルカリ性の廃液-
前記アルカリ性の廃液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記コンクリート洗浄水、前記水酸化カルシウムの製造に伴い発生する水(例えば、前記酸剤中の水、前記アルカリ剤中の水、前記水酸化カルシウムの製造方法において得られた水酸化カルシウムの分離又は洗浄に使用した水等)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記アルカリ性の廃液は、前記コンクリート洗浄水であることが、プレキャストコンクリート分野における環境負荷低減の点で好ましい。
【0111】
前記アルカリ性の廃液のpHとしては、特に制限はないが、11以上が好ましく、12以上がより好ましく、13以上が更に好ましい。
【0112】
<pH低下手段及びpH低下工程>
前記pH低下手段は、前記アルカリ性の廃液と、平均気泡径300μm以下の前記二酸化炭素を含むガスの気泡とを接触させ、前記アルカリ性水溶液中に前記二酸化炭素を固定化し、前記アルカリ性水溶液のpHを低下させる手段である。
前記pH低下工程は、前記アルカリ性の廃液と、平均気泡径300μm以下の前記二酸化炭素を含むガスの気泡とを接触させ、前記アルカリ性水溶液中に前記二酸化炭素を固定化し、前記アルカリ性水溶液のpHを低下させる工程である。
前記pH低下工程は、前記pH低下手段により好適に行われる。
【0113】
本明細書において、「アルカリ性水溶液のpHを低下させる」とは、前記収容手段に収容されたアルカリ性の廃液、又は前記ガス供給工程における前記アルカリ性の廃液と比べて、前記pH低下工程又は前記pH低下手段により、前記アルカリ性水溶液中に前記二酸化炭素を固定化された処理液のpHが少なくとも低下していることを意味する。
【0114】
前記処理液のpHとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、9.5以下が好ましく、9.0以下がより好ましく、8.6以下が更に好ましい。
【0115】
前記pH低下工程は、前記収容手段の前記容器内で行われるため、前記収容手段における前記容器は、前記pH低下手段としても使用し得る。前記pH低下手段は、撹拌部、ガス量検知部を有することが好ましい。
前記撹拌部及び前記ガス量検知部としては、前記二酸化炭素固定化装置に記載のものと同様のものを用いることができる。
【0116】
前記廃液処理装置及び前記廃液処理方法の具体的な態様としては、前記二酸化炭素固定化装置及び前記二酸化炭素固定化方法と同様であり、図1における固定化手段をpH低下手段としても使用することができる。
【0117】
本発明の前記廃液処理装置及び前記廃液処理方法は、特に、コンクリート工場、中でもプレキャストコンクリート工場において好ましく利用され、プレキャストコンクリートの養生に伴って発生する排ガスと、コンクリート洗浄水という、それぞれ異なる廃棄処理が必要であったものを、同時に廃棄処理することができるという利点を有する。
【実施例0118】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0119】
(実施例1)
<コンクリート洗浄水の調製>
ミキサー(DHS-600、日工株式会社製)を用いて、普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートを製造し、得られたコンクリートを取り出した。次に、水道水を使用し、ミキサーを回して洗浄し、コンクリート洗浄水100Lを得た。得られたコンクリート洗浄水のpHは12.6であり、以下でアルカリ性水溶液として使用した。
【0120】
次に、このコンクリート洗浄水13Lを水浴(21.6L容、縦:30cm、横:45cm、高さ:16cm)に入れた。
なお、pHは、pHメーター(HM-31P、東亜ディーケーケー株式会社製)で測定した。以下の実施例及び比較例において、pHの測定は同様の方法で行った。
【0121】
<二酸化炭素の固定化>
コンクリート洗浄水を収容した水浴中に、メスシリンダー(500mL容)の上口がコンクリート洗浄水中に浸かるように逆さにし、メスシリンダーの500mLの目盛りが、水浴中のコンクリート洗浄水の水面よりも上部となるようにして設置し、前記メスシリンダー内全体に水浴中のコンクリート洗浄水を満たした。なお、このとき、メスシリンダーの上口と、水浴底面との距離は10cmであった。
【0122】
次に、二酸化炭素ボンベからメスシリンダーの上口内にポリ塩化ビニル製ホース(ブレードホース、内径:6mm、外径:11mm)を通し、該ホースの途中に流量計(アンプ分離型気体用流量センサ、型式:FD-A1、株式会社キーエンス製)を設置した。メスシリンダーの上口内の前記ホースの先端には、バルブ(マイクロ・ナノバブラー、平均気泡径:72.9μm、気泡径分布ピーク:60μm~70μm、有限会社翠水製)を取り付けた。
また、水浴中にpHメーター(HM-31P、東亜ディーケーケー株式会社製)を設置した。
【0123】
二酸化炭素ボンベから、流量計を用いて500mL/分間の流量で二酸化炭素を送り出し、コンクリート洗浄水を満たしたメスシリンダー内に、バルブを通して二酸化炭素を導入した。メスシリンダー内のコンクリート洗浄水への二酸化炭素の導入開始から5秒間毎にメスシリンダーの目盛りを利用して、メスシリンダーの底部に溜まった二酸化炭素の蓄積量(以下、「CO蓄積量」と称することがある)を測定した。CO蓄積量が500mLに達した時点(CO蓄積量がメスシリンダーの目盛りの500mLに達した時点)で二酸化炭素導入を停止した。なお、実施例1では、二酸化炭素の導入開始から170秒間後にCO蓄積量が500mLに達した。
【0124】
<評価>
二酸化炭素導入停止直後に、水浴中(メスシリンダーから約5cm離れた箇所)のpHをpHメーターで測定したところ、pH9.1であった。
【0125】
また、下記式(2)に基づきアルカリ性水溶液(コンクリート洗浄水)への二酸化炭素の固定化率を算出したところ、メスシリンダー内のアルカリ性水溶液への二酸化炭素の導入開始から170秒間後の二酸化炭素の固定化率は65%であった。
二酸化炭素の固定化率(%)=CO吸収積算量(mL)/供給したCO積算量(mL)×100 ・・・ 式(2)
CO吸収積算量(mL)=供給したCO積算量(mL)-CO蓄積量(mL) ・・・ 式(3)
供給したCO積算量(mL)=500(mL)÷60×X(秒間) ・・・ 式(4)
ただし、前記式(2)において、「CO吸収積算量(mL)」は、アルカリ性水溶液(コンクリート洗浄水)に吸収された二酸化炭素の積算量を意味し、前記式(3)により算出される。また、前記式(2)及び前記式(3)において、「供給したCO積算量(mL)」は、二酸化炭素ボンベからアルカリ性水溶液(コンクリート洗浄水)を満たしたメスシリンダー内に供給された二酸化炭素の合計量を意味し、前記式(4)により算出される。
前記式(4)において、「X」は二酸化炭素ボンベからアルカリ性水溶液(コンクリート洗浄水)を満たしたメスシリンダー内に二酸化炭素を供給した時間を示す。
前記式(3)において、「CO蓄積量(mL)」は、二酸化炭素ボンベからアルカリ性水溶液(コンクリート洗浄水)を満たしたメスシリンダー内に二酸化炭素を供給してからX秒間後(即ち、式(4)のXと同じ時間)におけるメスシリンダーの底部に溜まった二酸化炭素の蓄積量を示す。
【0126】
CO吸収積算量を経時的に測定した結果を図2Aに示す。なお、図2Aにおいて、点線は、供給したCO積算量(mL)がアルカリ性水溶液中に100%固定化された場合(即ち、供給したCO積算量(mL)=CO蓄積量(mL))の予測線を示す。
【0127】
(実施例2)
<水酸化カルシウム飽和水の調製>
水道水80Lを撹拌しながら、飽和するまで水酸化カルシウムを入れ、水酸化カルシウム飽和水を調製した。得られた水酸化カルシウム飽和水のpHは12.9であった。この水酸化カルシウム飽和水13Lを水浴(21.6L容、縦:30cm、横:45cm、高さ:16cm)に入れた。
【0128】
<二酸化炭素の固定化>
実施例1の二酸化炭素の固定化において、アルカリ性水溶液としてのコンクリート洗浄水を水酸化カルシウム飽和水に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、CO蓄積量が500mLに達した直後のpH測定、二酸化炭素の固定化率の算出、及びCO吸収積算量の算出を行った。結果を下記表1に示す。また、CO吸収積算量を経時的に測定した結果を図2Aに示す。なお、実施例2では、二酸化炭素の導入開始から205秒間後にCO蓄積量が500mLに達した。
【0129】
(実施例3)
<二酸化炭素の固定化>
実施例2の二酸化炭素の固定化において、メスシリンダーの上口内のホースの先端に取り付けたバルブを、マイクロ・ナノバブラー(平均気泡径:72.9μm、気泡径分布ピーク:60μm~70μm、有限会社翠水製)から、焼結金属エレメントES(材質:ステンレス、公称ろ過精度:2μm、SMC株式会社製)に変更し、二酸化炭素の流量を500mL/分間から200mL/分間に変更したこと以外は、実施例2と同様の方法で、CO蓄積量が500mLに達した直後のpH測定、二酸化炭素の固定化率の算出、及びCO吸収積算量の算出を行った。結果を下記表1に示す。また、CO吸収積算量を経時的に測定した結果を図2Cに示す。なお、実施例3では、二酸化炭素の導入開始から465秒間後にCO蓄積量が500mLに達した。
【0130】
(比較例1)
<二酸化炭素の固定化>
実施例1の二酸化炭素の固定化において、コンクリート洗浄水を水道水に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、CO蓄積量が500mLに達した直後のpH測定、二酸化炭素の固定化率の算出、及びCO吸収積算量の算出を行った。結果を下記表1に示す。また、CO吸収積算量を経時的に測定した結果を図2Bに示す。図2Bにおいて、点線は、図2Aと同様に、供給したCO積算量(mL)が水道水又はアルカリ性水溶液中に100%固定化された場合(即ち、供給したCO積算量(mL)=CO蓄積量(mL))の予測線を示す。なお、比較例1では、二酸化炭素の導入開始から140秒間後にCO蓄積量が500mLに達した。
【0131】
(比較例2)
<二酸化炭素の固定化>
実施例1の二酸化炭素の固定化において、メスシリンダーの上口内のホースの先端にバルブを取り付けず、二酸化炭素ボンベから、流量計を用いて500mL/分間の流量で二酸化炭素を送り出し、コンクリート洗浄水を満たしたメスシリンダー内に、ポリ塩化ビニル製ホース(ブレードホース、内径:6mm、外径:11mm)から直接二酸化炭素を導入したこと以外は、実施例1と同様の方法で、CO蓄積量が500mLに達した直後のpH測定、二酸化炭素の固定化率の算出、及びCO吸収積算量の算出を行った。結果を下記表1に示す。また、CO吸収積算量を経時的に測定した結果を図2Bに示す。なお、比較例2では、二酸化炭素の導入開始から85秒間後にCO蓄積量が500mLに達した。
【0132】
(比較例3)
<二酸化炭素の固定化>
実施例2の二酸化炭素の固定化において、メスシリンダーの上口内のホースの先端にバルブを取り付けず、二酸化炭素ボンベから、流量計を用いて500mL/分間の流量で二酸化炭素を送り出し、水酸化カルシウム飽和水を満たしたメスシリンダー内に、ポリ塩化ビニル製ホース(ブレードホース、内径:6mm、外径:11mm)から直接二酸化炭素を導入したこと以外は、実施例2と同様の方法で、CO蓄積量が500mLに達した直後のpH測定、二酸化炭素の固定化率の算出、及びCO吸収積算量の算出を行った。結果を下記表1に示す。また、CO吸収積算量を経時的に測定した結果を図2Bに示す。なお、比較例3では、二酸化炭素の導入開始から90秒間後にCO蓄積量が500mLに達した。
【0133】
(比較例4)
<二酸化炭素の固定化>
比較例1の二酸化炭素の固定化において、メスシリンダーの上口内のホースの先端にバルブを取り付けず、二酸化炭素ボンベから、流量計を用いて500mL/分間の流量で二酸化炭素を送り出し、水道水を満たしたメスシリンダー内に、ポリ塩化ビニル製ホース(ブレードホース、内径:6mm、外径:11mm)から直接二酸化炭素を導入したこと以外は、比較例1と同様の方法で、CO蓄積量が500mLに達した直後のpH測定、二酸化炭素の固定化率の算出、及びCO吸収積算量の算出を行った。結果を下記表1に示す。また、CO吸収積算量を経時的に測定した結果を図2Bに示す。なお、比較例4では、二酸化炭素の導入開始から80秒間後にCO蓄積量が500mLに達した。
【0134】
(比較例5)
<二酸化炭素の固定化>
実施例3の二酸化炭素の固定化において、水酸化カルシウム飽和水を水道水に変更したこと以外は、実施例3と同様の方法で、CO蓄積量が500mLに達した直後のpH測定、二酸化炭素の固定化率の算出、及びCO吸収積算量の算出を行った。結果を下記表1に示す。また、CO吸収積算量を経時的に測定した結果を図2Cに示す。なお、比較例5では、二酸化炭素の導入開始から260秒間後にCO蓄積量が500mLに達した。
【0135】
(比較例6)
<二酸化炭素の固定化>
実施例2の二酸化炭素の固定化において、メスシリンダーの上口内のホースの先端に取り付けたバルブを、マイクロ・ナノバブラー(平均気泡径:72.9μm、気泡径分布ピーク:60μm~70μm、有限会社翠水製)から、焼結金属エレメントES(材質:ステンレス、公称ろ過精度:120μm、SMC株式会社製)に変更し、二酸化炭素の流量を500mL/分間から200mL/分間に変更したこと以外は、実施例2と同様の方法で、CO蓄積量が500mLに達した直後のpH測定、二酸化炭素の固定化率の算出、及びCO吸収積算量の算出を行った。結果を下記表1に示す。また、CO吸収積算量を経時的に測定した結果を図2Cに示す。なお、比較例6では、二酸化炭素の導入開始から365秒間後にCO蓄積量が500mLに達した。
【0136】
(比較例7)
<二酸化炭素の固定化>
比較例6の二酸化炭素の固定化において、水酸化カルシウム飽和水を水道水に変更したこと以外は、比較例6と同様の方法で、CO蓄積量が500mLに達した直後のpH測定、二酸化炭素の固定化率の算出、及びCO吸収積算量の算出を行った。結果を下記表1に示す。また、CO吸収積算量を経時的に測定した結果を図2Dに示す。なお、比較例7では、二酸化炭素の導入開始から130秒間後にCO蓄積量が500mLに達した。
【0137】
<<二酸化炭素の平均気泡径の測定>>
実施例1~3及び比較例1~7の二酸化炭素の固定化の工程において、バルブ又はホースからアルカリ性水溶液又は水道水に導入される二酸化炭素の平均気泡径を以下の方法で算出した。
アルカリ性水溶液又は水道水中の二酸化炭素を含むガスを、ハイスピードカメラ(一眼カメラ、レンズ焦点距離:300mm)で撮影し、撮影画像中の複数の気泡の中から、ピントの合った気泡を無作為に100個選定した。
画像解析ソフト(ClickMeasure(フリーソフト))を用いて撮影画像を取り込み、倍率を1.5倍に変換した。次に、ツールバーの「円中心入力」を選択し、選定した気泡の画像の外周の3点をクリックし、気泡(円)の中心をポイントとして登録した。これにより、気泡の半径が算出されるため、算出された半径の2倍の値を「気泡径」とした。
この方法で、選定した100個の気泡について、それぞれ気泡径を算出し、100個の平均値を「平均気泡径」とした。結果を下記表1に示す。
【0138】
【表1】
【符号の説明】
【0139】
100 二酸化炭素固定化装置
200 コンクリート洗浄器具
1 容器
2 アルカリ性水溶液
3 撹拌部
4a ガス吸引部
4b ガス吸引部
5a ガス流量制御部
5b ガス流量制御部
6a 気泡形成部
6b 気泡形成部
7 処理ガス
8 ガス発生手段
9a 処理ガス吸引部
9b 処理ガス吸引部
10 有害物質除去手段
11a バルブ
11b バルブ
11c バルブ
11d バルブ
12 処理液回収部
13 処理液
14a ガス圧力制御部
14b ガス圧力制御部
15 切替えバルブ
16 固形分回収部
L1 流路
L2 流路
L3 流路
L4 流路
L5 流路
L6 流路
L7 流路
L8 流路
L9 流路
L10 流路
L11 流路
図1
図2A
図2B
図2C
図2D