(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129403
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】電池モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20240919BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20240919BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20240919BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20240919BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20240919BHJP
H01M 50/59 20210101ALI20240919BHJP
H01M 50/35 20210101ALI20240919BHJP
H01M 50/367 20210101ALI20240919BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240919BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/213
H01M50/507
H01M50/271 B
H01M50/588
H01M50/59
H01M50/35 201
H01M50/367
H01M50/204 401H
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038583
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 恭介
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H012AA01
5H012CC10
5H040AA01
5H040AA03
5H040AA28
5H040AA33
5H040AT01
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY05
5H040AY08
5H040CC05
5H040DD03
5H040JJ02
5H040NN03
5H043AA05
5H043AA19
5H043AA20
5H043CA03
5H043CA05
5H043FA04
5H043HA04E
5H043LA22F
(57)【要約】
【課題】電池モジュールにセル集合体を容易に収容することができ、しかも、バスバーのショートや電池セルの熱暴走に対応することのできる電池モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】電池モジュール1の製造方法は、セル集合体21の正極バスバー30および負極バスバー31と、電池セル20との間に、セパレータ40を設け、セパレータ40に上方に延在する突出部41を設ける工程と、正極バスバー30および負極バスバー31の上方に絶縁プレート50を突出部41が絶縁プレート50を貫通するように設置する工程と、突出部41を把持してセル集合体21をケース10に収容した後、絶縁プレート50の上方から突出した前記突出部41を切断する工程とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の略円柱形に形成された電池セルと、前記電池セルの正極端子に電気的に接続される正極バスバーと、前記電池セルの負極端子に電気的に接続される負極バスバーとを備えたセル集合体を備えた電池モジュールの製造方法において、
前記セル集合体の前記正極バスバーおよび前記負極バスバーと、前記電池セルとの間に、セパレータを設け、前記セパレータに上方に延在する突出部を設ける工程と、
前記正極バスバーおよび前記負極バスバーの上方に絶縁プレートを前記突出部が前記絶縁プレートを貫通するように設置する工程と、
前記突出部を把持して前記セル集合体をケースに収容した後、前記絶縁プレートの上方から突出した前記突出部を切断する工程とを備える、
ことを特徴とする電池モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記突出部を切断した後、前記絶縁プレートを取り外し、前記ケースの上方に蓋を設置して前記電池モジュールを形成する工程をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の電池モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、円筒状の電池セルを複数個有する電池モジュールを開示する。この電池モジュールは、電極板と、ホルダーと、パイプ状部材の集合体と、複数の電池セルとを備え、単電池の上下に設けられた電極を電極板に接続することで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電池モジュールにおいては、複数のセル集合体を電池モジュールのケースに収容する際に、隙間無く収容する必要があるため、作業者の手などを挿入するスペースがないため、セル集合体の収容作業に手間がかかる課題がある。
また、電池モジュールのケースにセル集合体を収容した後、ケースに蓋を設置する必要があるが、蓋とセル集合体の各電池セルとの間隔が少ないと、バスバーのショートを招いたり、電池セルが熱暴走した場合に、電池セルから発生するガスの流路を確保することができないという課題がある。
本発明は、前記した点に鑑みてなされたものであり、電池モジュールにセル集合体を容易に収容することができ、しかも、バスバーのショートや電池セルの熱暴走に対応することのできる電池モジュールの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る電池モジュールの製造方法は、複数の略円柱形に形成された電池セルと、前記電池セルの正極端子に電気的に接続される正極バスバーと、前記電池セルの負極端子に電気的に接続される負極バスバーとを備えたセル集合体を備えた電池モジュールの製造方法において、前記セル集合体の前記正極バスバーおよび前記負極バスバーと、前記電池セルとの間に、セパレータを設け、前記セパレータに上方に延在する突出部を設ける工程と、前記正極バスバーおよび前記負極バスバーの上方に絶縁プレートを前記突出部が前記絶縁プレートを貫通するように設置する工程と、前記突出部を把持して前記セル集合体をケースに収容した後、前記絶縁プレートの上方から突出した前記突出部を切断する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電池モジュールに突出部を設け、突出部をクランプで把持することで電池モジュールを持ち上げることができるので、セル集合体を電池モジュールのケースに収容する際に、作業者の手などを挿入して作業する必要がなく、容易にケースに対してセル集合体を隙間無く収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1に係る電池モジュールの概略斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係るセル集合体を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態1に係る電池モジュールを組み立てる際の電池モジュール把持工程を示す説明図である。
【
図4】実施の形態1に係る電池モジュールを組み立てる際の吐出部切断工程を示す説明図である。
【
図5】実施の形態1に係る電池モジュールを組み立てる際の最終工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施の形態1]
以下、図面を参照しながら、実施の形態1に係る電池モジュール1について説明する。
【0009】
図1は、電池モジュール1の概略斜視図である。
図1に示すように、電池モジュール1は、箱型のケース10を備えている。ケース10の一端側には、フロントプレート11が設けられている。ケース10の他端側であってフロントプレート11に対向する側には、エンドプレート12が設けられている。ケース10の両側には、一対のサイドプレート13が設けられている。
そして、フロントプレート11、エンドプレート12およびサイドプレート13で囲まれた領域に、セル集合体を収容するセル収容部14が形成される。
フロントプレート11には、後述するセル集合体の正極バスバーおよび負極バスバーに接続されるターミナルバスバー15およびコネクタ16が設けられている。
【0010】
次に、複数の電池セルで構成されるセル集合体21について説明する。
図2は、本実施の形態のセル集合体示す斜視図である。
図2に示すように、複数の電池セル20は、本実施の形態においては、前方に向かう列に沿って3本が並べて配置されており、この3つの列が左右方向に合計6列に亘って配置されている。すなわち、電池セル20は18本が配置されている。前後方向に向かう列は、右方から第1列L1、第2列L2、第3列L3、第4列L4、第5列L5、第6列L6と呼ぶ。
【0011】
第1列L1、第3列L3、第5列L5の電池セル20は、左方側面視において同じ位置に配置されている。第2列L2、第4列L4、第6列L6の電池セル20は、左方側面視において同じ位置に配置されている。第2列L2の電池セル20は、第1列L1の電池セル20から電池セル20の半径の幅だけずらすように配置されている。
このように配列された電池セル20の一群をセル集合体21と呼ぶ。
なお、セル集合体21を構成する電池セル20の数は任意に設定することができる。
【0012】
電池セル20は、円筒状のセル本体22と、セル本体22の上面中央に突出して形成された正極端子23と、電池セル20の下面側に設けられた負極端子24と、を備えている。
正極端子23と負極端子24とは、セル本体22の内部で絶縁されている。
セル集合体21のうち、第1列L1、第3列L3、第5列L5の電池セル20は、上面に正極端子23が位置するように配置され、第2列L2、第4列L4、第6列L6の電池セル20は、上面に負極端子24が位置するように配置されている。
【0013】
セル集合体21の上方には、上面に正極端子23が配置された電池セル20の当該正極端子23に電気的に接続される正極バスバー30が配置されている。
また、セル集合体21の上方には、上面に負極端子24が配置された電池セル20の当該負極端子24に電気的に接続される負極バスバー31が配置されている。
正極バスバー30と負極バスバー31とは電気的に絶縁されている。
負極バスバー31の一側には、6つの電池セル20ごとに1つの負極用端子34が設けられている。すなわち、本実施の形態においては、3つの負極用端子34が設けられている。
【0014】
各電池セル20の上方には、各電池セル20の位置決めを行うセパレータ40が配置されている。セパレータ40は、各電池セル20の上部外周部分を支持するものである。
セパレータ40は、正極バスバー30および負極バスバー31を配置することで、正極バスバー30および負極バスバー31と、電池セル20との間に挟み込まれて保持されている。
【0015】
セパレータ40の上面であって各電池セル20の境界部分には、上方に延在する複数の突出部41が設けられている。突出部41は、円柱状に形成されており、1つのセル集合体21の両側部分にそれぞれ1つずつ設けられている。
セル集合体21の上面側には、絶縁プレート50が配置されている。絶縁プレート50は、平面視で略長方形に形成されており、突出部41は、絶縁プレート50を貫通して、絶縁プレート50の上面側に露出するように設けられている。
【0016】
次に、本実施の形態の電池モジュール1の製造方法について説明する。
図3は、電池モジュール1を組み立てる際の電池モジュール1把持工程を示す説明図である。
図4は、電池モジュール1を組み立てる際の吐出部切断工程を示す説明図である。
図5は、電池モジュール1を組み立てる際の最終工程を示す説明図である。
【0017】
本実施の形態において電池モジュール1を組み立てる場合は、まず、
図2に示すように、セル集合体21の上面側に絶縁プレート50を設置する。
そして、
図3に示すように、クランプ装置60を用い、クランプ装置60のクランプ61によりセル集合体21の突出部41を把持する。この状態で、セル集合体21を持ち上げ、電池モジュール1のケース10内に収容する。
【0018】
このようにセル集合体21に突出部41を設け、突出部41をクランプ61で把持することでセル集合体21を持ち上げることができるので、セル集合体21を電池モジュール1のケース10に収容する際に、作業者の手などを挿入して作業する必要がなく、ケース10に対してセル集合体21を隙間無く収容することができる。
また、ケース10にセル集合体21を接着剤により接着する場合には、絶縁プレート50は、接着の際に押圧する部材として利用することができ、接着後は、セル集合体21の位置を固定する部材としても利用することができる。
【0019】
そして、電池モジュール1のケース10にセル集合体21を収容した後、
図4に示すように、絶縁プレート50の上面から突出している突出部41をカッタ62などで切断する。
その後、絶縁プレート50をセル集合体21から取り外す。これにより、絶縁プレート50の厚さ分だけ突出した突出部41を有するセル集合体21が形成される。
【0020】
その後、
図5に示すように、ケース10に蓋17を装着することで、電池モジュール1が完成する。蓋17は、突出部41の先端部により支持される。
この状態で、突出部41が設けられているので、正極バスバー30および負極バスバー31の上方に、突出部41の長さ分だけ離隔した状態で、蓋17が支持される。
これにより、正極バスバー30および負極バスバー31と、蓋17との間に所定の絶縁距離を確保することができる。そのため、セル集合体21とケース10との接着が仮に外れた場合でも、正極バスバー30および負極バスバー31の接触は、各電池セル20の移動を抑制することができる。
【0021】
また、正極バスバー30および負極バスバー31と、蓋17との間に所定の空間が形成されるので、この空間を電池セル20の冷却流路として利用することができる。また、空間により、電池セル20が熱暴走した場合に、発生するガスの流路を確保することができる。
【0022】
そして、電池モジュール1を使用する場合には、ターミナルバスバー15に電動製品を接続することで、電動製品に電力を供給することができる。
【0023】
以上説明したように、本実施の形態に係る電池モジュール1の製造方法は、複数の略円柱形に形成された電池セル20と、電池セル20の正極端子に電気的に接続される正極バスバー30と、前記電池セル20の負極端子に電気的に接続される負極バスバー31とを備えたセル集合体21を備える。セル集合体21の正極バスバー30および負極バスバー31と、電池セル20との間に、セパレータ40を設け、セパレータ40に上方に延在する突出部41を設ける工程と、正極バスバー30および負極バスバー31の上方に絶縁プレート50を突出部41が絶縁プレート50を貫通するように設置する工程と、突出部41を把持してセル集合体21をケース10に収容した後、絶縁プレート50の上方から突出した前記突出部41を切断する工程とを備える。
これにより、セル集合体21のセパレータ40に突出部41を設け、突出部41をクランプ61で把持することでセル集合体21を持ち上げることができるので、セル集合体21を電池モジュール1のケース10に収容する際に、作業者の手などを挿入して作業する必要がなく、容易にケース10に対してセル集合体21を隙間無く収容することができる。
【0024】
また、本実施の形態においては、突出部41を切断する工程の後、絶縁プレート50を取り外し、ケース10の上方に蓋17を設置して電池モジュール1を形成する。
これにより、正極バスバー30および負極バスバー31の上方に、突出部41の長さ分だけ離隔した状態で、蓋17が支持されるため、正極バスバー30および負極バスバー31と、蓋17との間に所定の空間を確保することができる。そのため、セル集合体21とケース10との接着が仮に外れた場合でも、正極バスバー30および負極バスバー31の接触は、各電池セル20の移動を抑制することができ、また、正極バスバー30および負極バスバー31と蓋17との間の空間を電池セル20の冷却流路として利用することができる。さらに、正極バスバー30および負極バスバー31と蓋17との間の空間により、電池セル20が熱暴走した場合に、発生するガスの流路を確保することができる。
【0025】
[他の実施の形態]
上述した実施の形態は、本発明の一様態を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【0026】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0027】
(構成1)複数の略円柱形に形成された電池セルと、前記電池セルの正極端子に電気的に接続される正極バスバーと、前記電池セルの負極端子に電気的に接続される負極バスバーとを備えたセル集合体を備えた電池モジュールの製造方法において、前記セル集合体の前記正極バスバーおよび前記負極バスバーと、前記電池セルとの間に、セパレータを設け、前記セパレータに上方に延在する突出部を設ける工程と、前記正極バスバーおよび前記負極バスバーの上方に絶縁プレートを前記突出部が前記絶縁プレートを貫通するように設置する工程と、前記突出部を把持して前記セル集合体をケースに収容した後、前記絶縁プレートの上方から突出した前記突出部を切断する工程とを備える、ことを特徴とする電池モジュールの製造方法。
この構成によれば、電池モジュールに突出部を設け、突出部をクランプで把持することで電池モジュールを持ち上げることができるので、セル集合体を電池モジュールのケースに収容する際に、作業者の手などを挿入して作業する必要がなく、容易にケースに対してセル集合体を隙間無く収容することができる。
【0028】
(構成2)
前記突出部を切断した後、前記絶縁プレートを取り外し、前記ケースの上方に蓋を設置して前記電池モジュールを形成する工程をさらに備える、ことを特徴とする構成1に記載の電池モジュールの製造方法。
この構成によれば、正極バスバーおよび負極バスバーの上方に、突出部の長さ分だけ離隔した状態で、蓋が支持されるため、正極バスバーおよび負極バスバーと、蓋との間に所定の空間を確保することができる。そのため、セル集合体とケースとの接着が仮に外れた場合でも、正極バスバーおよび負極バスバーの接触は、各電池セルの移動を抑制することができ、また、正極バスバーおよび負極バスバーと蓋との間の空間を電池セルの冷却流路として利用することができる。さらに、正極バスバーおよび負極バスバーと蓋との間の空間により、電池セルが熱暴走した場合に、発生するガスの流路を確保することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 電池モジュール
10 ケース
11 フロントプレート
12 エンドプレート
13 サイドプレート
14 セル収容部
15 ターミナルバスバー
16 コネクタ
17 蓋
20 電池セル
21 セル集合体
22 セル本体
23 正極端子
24 負極端子
30 正極バスバー
31 負極バスバー
34 負極用端子
40 セパレータ
41 突出部
50 絶縁プレート
60 クランプ装置
61 クランプ
62 カッタ