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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129404
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
H02M3/155 E
H02M3/155 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038588
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高辻 寛之
(72)【発明者】
【氏名】細谷 達也
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA02
5H730AA15
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB57
5H730DD04
5H730ZZ01
5H730ZZ05
5H730ZZ09
5H730ZZ11
5H730ZZ12
5H730ZZ17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スイッチングノイズの輻射を抑制したスイッチング電源装置を小型に形成する。
【解決手段】スイッチング電源装置において、回路基板は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子と、第1インダクタ端子201と、配線パターン41と、第2インダクタ端子202と、出力キャパシタ32と、配線パターン42と、入力キャパシタ312と、基準電位側配線パターン502と、を含む。基準電位側配線パターン502に実装されるキャパシタ外部端子3122とインダクタ20との対向距離DIS1がキャパシタ外部端子3122のインダクタ20の側面への投影面の幅W312よりも短いことで、インダクタ20と入力基準電位側配線パターン502との間に、寄生キャパシタを有する。インダクタ20、寄生キャパシタ、基準電位側配線パターン502、入力キャパシタ312及び出力キャパシタ32は、ノイズ平衡化回路として機能する電気閉回路を形成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力キャパシタと、
前記入力キャパシタに対して電気接続された第1スイッチング素子および第2スイッチング素子と、
巻線と磁性コアとを備え、前記巻線の一方端に電気接続される第1端子と前記巻線の他方端に電気接続される第2端子とを有するインダクタと、
出力キャパシタと、
前記入力キャパシタ、前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記インダクタ、および、前記出力キャパシタが実装された回路基板と、
を備え、
前記回路基板は、
前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子の接続ノードと前記第1端子とを電気接続する第1配線パターンと、
前記第2端子と前記出力キャパシタを電気接続する第2配線パターンと、
前記入力キャパシタが実装される基準電位側配線パターンと、
を有し、
前記入力キャパシタにおける前記基準電位側配線パターンに実装されるキャパシタ外部端子と前記インダクタとの対向距離は前記キャパシタ外部端子の前記インダクタの側面への投影面の幅よりも短く、前記インダクタと前記基準電位側配線パターンとの間に寄生キャパシタを有し、
前記インダクタ、前記寄生キャパシタ、前記基準電位側配線パターン、前記入力キャパシタ、および、出力キャパシタは、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子のスイッチング動作に起因する電磁雑音の発生を相殺し、前記インダクタおよび前記第1配線パターンから輻射または伝導するコモンモードノイズの発生を抑制する電気閉回路からなるノイズ平衡化回路を構成する、
スイッチング電源装置。
【請求項2】
前記基準電位側配線パターンは、前記回路基板を平面視して、前記インダクタの実装領域に重なる領域に形成されている、
請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記回路基板は、前記入力キャパシタに電気接続する入力配線パターンを有し、
前記入力配線パターンは、前記回路基板を平面視して、前記インダクタの実装領域に重なる領域に形成されている、
請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記第2配線パターンの一部は、前記回路基板を平面視して、前記インダクタの実装領域に重なる領域に形成されている、
請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記磁性コアは、底面、第1側面、および、第2側面を有し、
前記第1端子は、前記底面と前記第1側面とに亘って形成され、
前記第2端子は、前記底面と前記第2側面とに亘って形成され、
前記第1端子における前記第1側面に形成される面積は、前記第2端子における前記第2側面に形成される面積よりも小さい、
請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
前記回路基板を正面視して、
前記第1配線パターンの面積は、前記第2配線パターンの面積よりも小さい、
請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項7】
前記第1配線パターンの面積は、前記インダクタを平面視した面積よりも小さい、
請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項8】
入力キャパシタと、
巻線と磁性コアとを備え、前記巻線の一方端に電気接続される第1端子と前記巻線の他方端に電気接続される第2端子とを有するインダクタと、
前記インダクタに対して電気接続された第1スイッチング素子および第2スイッチング素子と、
出力キャパシタと、
前記入力キャパシタ、前記インダクタ、前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、および、前記出力キャパシタが実装された回路基板と、
を備え、
前記回路基板は、
前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子の接続ノードと前記第1端子とを電気接続する第1配線パターンと、
前記第2端子と前記入力キャパシタを電気接続する第2配線パターンと、
前記入力キャパシタが実装される基準電位側配線パターンと、
を有し、
前記入力キャパシタにおける前記基準電位側配線パターンに実装されるキャパシタの外部端子と前記インダクタとの対向距離は前記外部端子の前記インダクタの側面への投影面の幅よりも短く、前記インダクタと前記基準電位側配線パターンとの間に寄生キャパシタを有し、
前記インダクタ、前記寄生キャパシタ、前記基準電位側配線パターン、前記入力キャパシタ、および、出力キャパシタは、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子のスイッチング動作に起因する電磁雑音の発生を相殺し、前記インダクタおよび前記第1配線パターンから輻射または伝導するコモンモードノイズの発生を抑制する電気閉回路からなるノイズ平衡化回路を構成する、
スイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換用のスイッチング素子を備えたスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、DC-DCコンバータが記載されている。特許文献1のDC-DCコンバータは、スイッチング素子と、スイッチング素子の出力側に接続されたインダクタとを備える。また、特許文献1のDC-DCコンバータは、シールド部材を備える。
【0003】
スイッチング素子、インダクタ、および、シールド部材は、基板に実装されている。シールド部材は、インダクタを覆うように基板に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-98853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電力変換に関係しないシールド部材を備えることで、DC-DCコンバータ(スイッチング電源装置)は、不所望に大型化してしまう。また、特許文献1の構成において、シールド部材を備えていないと、インダクタから生じるEMIノイズが外部に輻射または伝導されてしまう。
【0006】
したがって、本発明の目的は、スイッチングノイズの輻射の抑制、この輻射に起因してシャーシに伝導するコモンモードノイズを抑制した高効率かつ小型のスイッチング電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のスイッチング電源装置は、入力キャパシタと、入力キャパシタに対して電気接続された第1スイッチング素子および第2スイッチング素子と、巻線と磁性コアとを備え、巻線の一方端に電気接続される第1端子と巻線の他方端に電気接続される第2端子とを有するインダクタと、出力キャパシタと、入力キャパシタ、第1スイッチング素子、第2スイッチング素子、インダクタ、および、出力キャパシタが実装された回路基板と、を備える。
【0008】
回路基板は、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子の接続ノードと第1端子とを電気接続する第1配線パターンと、第2端子と出力キャパシタを電気接続する第2配線パターンと、入力キャパシタが実装される基準電位側配線パターンと、を有する。入力キャパシタにおける基準電位側配線パターンに実装されるキャパシタ外部端子とインダクタとの対向距離は、キャパシタ外部端子のインダクタ側面への投影面の幅よりも短く、インダクタと基準電位側配線パターンとの間に、寄生キャパシタを有する。インダクタ、寄生キャパシタ、基準電位側配線パターン、入力キャパシタ、および、出力キャパシタは、電気閉回路からなるノイズ平衡化回路を構成する。
【0009】
電気閉回路からなるノイズ平衡化回路を構成することで、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子のスイッチング動作に起因する電磁雑音の発生を相殺し、インダクタおよび第1配線パターンから輻射するスイッチングノイズによって発生してシャーシに伝導するコモンモードノイズを抑制する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、ノイズ低減部品を用いることなくノイズ平衡化回路を構成し、かつ、スイッチング動作に起因する電磁雑音の発生を相殺し、スイッチングノイズの輻射または伝導に起因してシャーシを伝導するコモンモードノイズを抑制するスイッチング電源装置を高効率かつ小型に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係るスイッチング電源装置の概略構成を示す回路図である。
図2図2は、本発明の第1の実施形態に係るスイッチング電源装置を実現する回路モジュールの一部を示す平面図である。
図3図3は、本発明の第1の実施形態に係るスイッチング電源装置におけるインダクタ付近を拡大した平面図である。
図4図4は、本発明の第1の実施形態に係るスイッチング電源装置におけるEMIノイズの流れを概略的に示す図である。
図5図5は、比較構成のスイッチング電源装置におけるEMIノイズの流れを概略的に示す図である。
図6図6は、本発明の第2の実施形態に係るスイッチング電源装置におけるインダクタの実装部分を含む構成の側面断面図である。
図7図7は、本発明の第3の実施形態に係るスイッチング電源装置におけるインダクタの実装部分を含む構成の側面断面図である。
図8図8は、本発明の第4の実施形態に係るスイッチング電源装置におけるインダクタの実装部分を含む構成の側面断面図である。
図9図9は、本発明の第5の実施形態に係るスイッチング電源装置におけるインダクタの実装部分を含む構成の側面断面図である。
図10図10は、本発明の第6の実施形態に係るスイッチング電源装置の概略構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るスイッチング電源装置について、図を参照して説明する。
【0013】
(スイッチング電源装置10の構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るスイッチング電源装置の概略構成を示す回路図である。
【0014】
図1に示すように、スイッチング電源装置10は、スイッチングIC11、インダクタ20、入力キャパシタ31、および、出力キャパシタ32を備える。
【0015】
スイッチング電源装置10は、直流電源81に電気接続されており、負荷82に電気接続されている。
【0016】
入力キャパシタ31は、直流電源81に並列に電気接続されている。入力キャパシタ31は、キャパシタを構成する構造体、キャパシタ外部端子3101、およびキャパシタ外部端子3102を備える。直流電源81の正極とキャパシタ外部端子3101とは、入力側Hi電位配線パターン43に接続されている。入力側Hi電位配線パターン43が、「入力配線パターン」に対応する。直流電源81の正極と入力キャパシタ31(キャパシタ外部端子3101)との接続点がノードND1Hである。直流電源81の負極とキャパシタ外部端子3102とは、基準電位側配線パターン50に接続されている。直流電源81の負極と入力キャパシタ31(キャパシタ外部端子3102)との接続点がノードNDlLである。
【0017】
スイッチングIC11は、スイッチング制御回路111、スイッチング素子Q1、および、スイッチング素子Q2を備える。スイッチング素子Q1が「第1スイッチング素子」に対応し、スイッチング素子Q2が「第2スイッチング素子」に対応する。スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2は、電力用半導体素子であり、例えば、N型のMOS-FETによって構成される。
【0018】
スイッチングIC11は、Hi側入力端子P01、基準電位接続端子P02、および、複数のスイッチング素子用外部端子P11、P12を備える。なお、スイッチングIC11は、他の端子も備えているが、図示および説明は省略する。
【0019】
Hi側入力端子P01は、入力側Hi電位配線パターン43に接続されている。基準電位接続端子P02は、基準電位側配線パターン50に接続されている。
【0020】
スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とは、スイッチング素子用外部端子P11、P12を通じて直列に電気接続される。より具体的には、スイッチング素子Q1のソースは、スイッチング素子用外部端子P11に接続されており、スイッチング素子Q2のドレインは、スイッチング素子用外部端子P12に接続されている。スイッチング素子用外部端子P11とスイッチング素子用外部端子P12とは、配線パターン41を通じて接続されている。これにより、スイッチング素子Q1のソースと、スイッチング素子Q2のドレインとが接続される。スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との接続点がノードND0である。
【0021】
スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2は、入力キャパシタ31に電気接続されている。より具体的には、スイッチング素子Q1のドレインは、Hi側入力端子P01、入力側Hi電位配線パターン43を通じて入力キャパシタ31のHi側のノードND1Hに接続されている。スイッチング素子Q2のソースは、基準電位接続端子P02、基準電位側配線パターン50を通じて、入力キャパシタ31のLow側のノードND1Lに接続されている。
【0022】
スイッチング素子Q1のゲートおよびスイッチング素子Q2のゲートには、スイッチング制御回路111が電気接続されている。スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2は、スイッチング制御回路111からのスイッチング制御信号によって、ドレインソース間を電気的に導通または開放する。
【0023】
インダクタ20は、巻線導体(巻線)、磁性コア、第1インダクタ端子201、および、第2インダクタ端子202を備える。巻線導体は、磁性コアに内蔵されている。第1インダクタ端子201は、巻線導体の一方端に電気接続され、第2インダクタ端子202は、巻線導体の他方端に電気接続される。磁性コアは直方体形状であり、第1インダクタ端子201は、磁性コアの一方側面から底面に形成され、第2インダクタ端子202は、磁性コアの他方側面から底面に形成される。
【0024】
出力キャパシタ32は、キャパシタを構成する構造体、キャパシタ外部端子321、およびキャパシタ外部端子322を備える。
【0025】
ノードND0には、配線パターン41を通じて、インダクタ20の第1インダクタ端子201が接続されている。配線パターン41が「第1配線パターン」に対応する。インダクタ20の第2インダクタ端子202には、配線パターン42を通じて、出力キャパシタ32のキャパシタ外部端子321が接続されている。配線パターン42が「第2配線パターン」に対応する。インダクタ20の第2インダクタ端子202と出力キャパシタ32のキャパシタ外部端子321との接続点が、ノードND2Hである。
【0026】
出力キャパシタ32のキャパシタ外部端子322は、基準電位側配線パターン50に接続されている。出力キャパシタ32のキャパシタ外部端子322と基準電位側配線パターン50との接続点が、ノードND2Lである。
【0027】
このような構成によって、スイッチング電源装置10は、降圧型DCDCコンバータを実現する。
【0028】
負荷82は、出力キャパシタ32に対して並列に電気接続されている。より具体的には、負荷82の一方端子は、出力キャパシタ32のノードND2Hに接続されている。負荷82の他方端子は、出力キャパシタ32のノードND2Lに接続されている。
【0029】
さらに、スイッチング電源装置10の基準電位側配線パターン50は、スイッチング電源装置10、直流電源81、および、負荷82が搭載される車両等のシャーシCHSに電気接続される。なお、シャーシCHSは、適宜、グランド電位に接続されている。
【0030】
(スイッチング電源装置10の物理的な構成)
図2は、本発明の第1の実施形態に係るスイッチング電源装置を実現する回路モジュールの一部を示す平面図である。
【0031】
スイッチング電源装置10は、回路基板60を備える。回路基板60は、表面61を備える。回路基板60は、絶縁性基材と、絶縁性基材に形成された各種の導体パターンとを備える。
【0032】
スイッチング電源装置10は、スイッチングIC11、インダクタ20、入力キャパシタ311、入力キャパシタ312、および、出力キャパシタ32を備える。スイッチングIC11、インダクタ20、入力キャパシタ311、入力キャパシタ312、および、出力キャパシタ32は、いわゆる実装型電子部品である。より具体的には、スイッチングIC11は、バンプ付きのICであり、インダクタ20、入力キャパシタ311、入力キャパシタ312、および、出力キャパシタ32は、チップ型電子部品である。入力キャパシタ311と入力キャパシタ312とによって、上述の等価回路における入力キャパシタ31が構成されている。
【0033】
スイッチングIC11、インダクタ20、入力キャパシタ311、入力キャパシタ312、および、出力キャパシタ32が回路基板60に実装されることで、スイッチング電源装置10は、回路モジュールとして構成される。
【0034】
(回路モジュールとしての具体的な構造)
回路基板60の表面61には、配線パターン41、配線パターン42、入力側Hi電位配線パターン43、基準電位側配線パターン501、および、基準電位側配線パターン502が形成されている。基準電位側配線パターン501、および、基準電位側配線パターン502によって、上述の等価回路における基準電位側配線パターン50が構成されている。
【0035】
配線パターン41、基準電位側配線パターン501、および、基準電位側配線パターン502は、図2のy軸に平行な方向に沿って並走して形成されている。この際、図2のx軸方向(並走する方向に直交する方向)において、配線パターン41は、基準電位側配線パターン501と基準電位側配線パターン502との間に形成されている。
【0036】
配線パターン41と基準電位側配線パターン501とは、物理的に離間しており、配線パターン単体では電気的に接続されていない。配線パターン41と基準電位側配線パターン502とは、物理的に離間しており、配線パターン単体では電気的に接続されていない。
【0037】
配線パターン42は、図2のy軸方向において、配線パターン41から離間した部分を有する。配線パターン42と配線パターン41とは、配線パターン単体では電気的に接続されていない。
【0038】
配線パターン42は、図2のx軸方向において、基準電位側配線パターン501の位置を基準として、配線パターン41と反対側に位置する部分を有する。配線パターン42と基準電位側配線パターン501とは、物理的に離間しており、配線パターン単体では電気的に接続されていない。
【0039】
入力側Hi電位配線パターン43は、図2のx軸方向において、基準電位側配線パターン502の位置を基準として、配線パターン41と反対側に位置する部分を有する。入力側Hi電位配線パターン43と基準電位側配線パターン502とは、物理的に離間しており、配線パターン単体では電気的に接続されていない。
【0040】
スイッチングIC11は、例えば、そろれぞれがバンプ形状のHi側入力端子P01、基準電位接続端子P021、基準電位接続端子P022、スイッチング素子用外部端子P11、および、スイッチング素子用外部端子P12を備える。基準電位接続端子P021、基準電位接続端子P022とによって、上述の等価回路における基準電位接続端子P02が構成されている。
【0041】
スイッチング素子用外部端子P11およびスイッチング素子用外部端子P12は、配線パターン41のy軸方向の一方端部に実装されている。Hi側入力端子P01は、入力側Hi電位配線パターン43に実装されている。基準電位接続端子P021は、基準電位側配線パターン501に実装されている。基準電位接続端子P022は、基準電位側配線パターン502のy軸方向の一方端部に実装されている。
【0042】
インダクタ20は、第1インダクタ端子201(第1端子)と第2インダクタ端子202(第2端子)とが並ぶ方向(インダクタ20の長さ方向)がy軸方向に平行になるように、回路基板60に実装されている。
【0043】
第1インダクタ端子201は、配線パターン41のy軸方向の他方端部に実装されている。インダクタ20の第2インダクタ端子202は、配線パターン42に実装されている。
【0044】
入力キャパシタ311は、y軸方向においてスイッチングIC11を基準にして、インダクタ20と反対側に実装されている。入力キャパシタ311の一方のキャパシタ外部端子は、入力側Hi電位配線パターン43に実装されており、他方のキャパシタ外部端子は、基準電位側配線パターン501に実装されている。
【0045】
入力キャパシタ312は、y軸方向においてスイッチングIC11を基準にして、インダクタ20と同じ側に実装されている。入力キャパシタ312は、キャパシタ外部端子3121とキャパシタ外部端子3122とが並ぶ方向(入力キャパシタ312の長さ方向)がx軸方向に平行になるように、回路基板60に実装されている。
【0046】
入力キャパシタ312のキャパシタ外部端子3121は、入力側Hi電位配線パターン43に実装されている。入力キャパシタ312のキャパシタ外部端子3122は、基準電位側配線パターン502のy軸方向の他方端部に実装されている。
【0047】
出力キャパシタ32は、y軸方向においてスイッチングIC11を基準にして、インダクタ20と同じ側に実装されている。出力キャパシタ32は、キャパシタ外部端子321とキャパシタ外部端子322とが並ぶ方向(出力キャパシタ32の長さ方向)がx軸方向に平行になるように、回路基板60に実装されている。
【0048】
出力キャパシタ32のキャパシタ外部端子321は、配線パターン42に実装されている。出力キャパシタ32のキャパシタ外部端子322は、基準電位側配線パターン501のy軸方向の端部に実装されている。
【0049】
図3は、本発明の第1の実施形態に係るスイッチング電源装置におけるインダクタ付近を拡大した平面図である。
【0050】
図3に示すように、インダクタ20、入力キャパシタ312は、回路基板60の表面61において近接した位置に実装されている。入力キャパシタ312は、基準電位側配線パターン502に実装されるキャパシタ外部端子3122がインダクタ20の側面(インダクタ20の長さ方向に平行な面で実装面に直交する面)に近接して対向するように、実装されている。
【0051】
この状態において、入力キャパシタ312におけるキャパシタ外部端子3122とインダクタ20との対向距離DIS1は、入力キャパシタ312側から見て、キャパシタ外部端子3122のインダクタ20の側面への投影面の幅W312よりも短い。対向距離DIS1は、キャパシタ外部端子3122のインダクタ側端部とインダクタ20の側面の最短距離を言う。このような構成とすることで、入力キャパシタ312のキャパシタ外部端子3122とインダクタ20との間に寄生キャパシタが発生する。これにより、インダクタ20と基準電位側配線パターン502との間は、寄生キャパシタCPを有する。この寄生キャパシタCPは、電力変換用の主たる電流が流れるものではなく、それよりも周波数が高いスイッチングノイズ(スイッチング動作に起因する電磁雑音)が流れる程度のものである。
【0052】
図4は、本発明の第1の実施形態に係るスイッチング電源装置におけるEMIノイズの流れを概略的に示す図である。
【0053】
インダクタ20と基準電位側配線パターン502との間には寄生キャパシタCPを有する。したがって、図4の太線矢印に示すように、スイッチングIC11のノードND0からのスイッチングノイズは、配線パターン41、インダクタ20と基準電位側配線パターン502との間の寄生キャパシタCP、基準電位側配線パターン50(501、502)、入力キャパシタ31、および、入力側Hi電位配線パターン43を通じて、スイッチングIC11に戻る。
【0054】
すなわち、スイッチング電源装置10は、スイッチングIC11、配線パターン41、インダクタ20と基準電位側配線パターン502との間の寄生キャパシタCP、基準電位側配線パターン50(501、502)、入力キャパシタ31、および、入力側Hi電位配線パターン43による電気閉回路を備える。
【0055】
スイッチングIC11から発生したスイッチングノイズは、この電気閉回路によって閉じ込められ、シャーシCHSに生じるコモンモードノイズは抑制される。また、インダクタ20から輻射したスイッチングノイズは、寄生キャパシタCPによって、この電気閉回路に導かれる。そして、連続的に発生するスイッチングノイズの位相は一定ではないので、電気閉回路に閉じ込められることで、互いに相殺される。すなわち、この電気閉回路は、スイッチングノイズを平衡化してコモンモードノイズの発生を抑制するノイズ平衡化回路として機能する。言い換えれば、スイッチング電源装置10は、ノイズ平衡化回路を備える。
【0056】
このように、上述の構成を備えることによって、スイッチング電源装置10は、スイッチングノイズの外部への輻射とシャーシCHSへの伝導を抑制することでコモンモードノイズの発生を抑制するとともに、ノイズ平衡化回路によってレベルスイッチングノイズのレベルを抑制できる。すなわち、スイッチング電源装置10は、スイッチングノイズの輻射およびコモンモードノイズの発生をより効果的に抑制できる。この際、スイッチング電源装置10は、コモンモードノイズの発生の抑制用の部材(シールド部材)を別部品として必要としないので、簡素な構成および小型化を実現できる。
【0057】
そして、スイッチング電源装置10がスイッチングノイズの輻射を抑制することで、スイッチングノイズのシャーシCHSへの重畳は、抑制され、スイッチングノイズに起因するコモンモードノイズの発生は、抑制される。これにより、スイッチング電源装置10は、シャーシCHSを備える車両の各種の電子機器へのスイッチングノイズおよびコモンモードノイズによる悪影響を抑制できる。
【0058】
さらに、スイッチング電源装置10では、インダクタ20と出力キャパシタ32との配置においても、図3の構成を備えている。なお、ここで説明するインダクタ20と出力キャパシタ32との位置関係は、必須ではないが、この位置関係であるとより良い。
【0059】
インダクタ20、出力キャパシタ32は、回路基板60の表面61において近接した位置に実装されている。出力キャパシタ32は、基準電位側配線パターン501に実装されるキャパシタ外部端子322がインダクタ20の側面(インダクタ20の長さ方向に平行な面で実装面に直交する面)に近接して対向するように、実装されている。
【0060】
この状態において、出力キャパシタ32におけるキャパシタ外部端子322とインダクタ20との対向距離DIS2は、キャパシタ外部端子322のインダクタ20の側面への投影面の幅W32よりも短い。このような構成とすることで、出力キャパシタ32のキャパシタ外部端子322とインダクタ20との間に寄生キャパシタが発生する。これにより、インダクタ20と基準電位側配線パターン501との間には、寄生キャパシタを有する。
【0061】
これにより、図4に示すインダクタ20と基準電位側配線パターン50(501、502)との間の寄生キャパシタCPをさらに大きくできる。
【0062】
したがって、スイッチングIC11から発生したスイッチングノイズは、上述の電気閉回路(ノイズ平衡化回路)に、より確実に導かれ、閉じ込められる。この結果、スイッチング電源装置10は、スイッチングノイズの外部への輻射およびコモンモードノイズの発生をさらに確実に抑制するとともに、ノイズ平衡化回路によってEMIノイズ(スイッチングノイズおよびコモンモードノイズ)をさらに確実に抑制できる。
【0063】
なお、本実施形態に係るスイッチング電源装置10の構成を備えない比較構成のスイッチング電源装置10Pでは、シャーシCHSにコモンモードノイズが流れてしまう。
【0064】
図5は、比較構成のスイッチング電源装置におけるEMIノイズの流れを概略的に示す図である。インダクタ20、入力キャパシタ31および出力キャパシタ32の配置を本願のスイッチング電源装置10のように構成しないと、インダクタ20と基準電位側配線パターン50との間に、電気閉回路を形成可能な寄生キャパシタを生じさせることができない。これにより、図5に示すように、スイッチングIC11のノードND0に接続するスイッチングノードパターンとシャーシCHSとが電気的に結合し、寄生キャパシタCpsを形成する。このため、スイッチングノイズに起因するコモンモードノイズは、寄生キャパシタCpsを通じてシャーシCHSに流れる。
【0065】
このように、比較構成のスイッチング電源装置10Pでは、シャーシCHSにコモンモードノイズが伝導(漏洩)してしまう。しかしながら、上述の構成を備えることで、本実施形態のスイッチング電源装置10は、シャーシCHSへのコモンモードノイズの伝導(漏洩)を抑制できる。
【0066】
なお、上述の構成では、スイッチング電源装置10は、チップ型電子部品の入力キャパシタ311とチップ型電子部品の入力キャパシタ312との2個を並列接続して、等価回路としての入力キャパシタ31を構成している。入力キャパシタ311と入力キャパシタ312とは、キャパシタンスおよびサイズが異なる。入力キャパシタ312のキャパシタンスは、入力キャパシタ311のキャパシタンスよりも大きく、サイズも大きい。
【0067】
そして、キャパシタンスの小さな入力キャパシタ311は、インダクタ20から遠ざけて、スイッチングIC11のHi側入力端子P01の近傍に実装されている。一方、キャパシタンスの大きな入力キャパシタ312は、インダクタ20に近接して実装されている。
【0068】
このような構成によって、等価回路として所望のキャパシタンスの入力キャパシタ31を実現するために、キャパシタンスが大きく形状が相対的に大きい入力キャパシタ312をインダクタ20に近接させて、所望の寄生キャパシタCPを確保できる。かつ、キャパシタンスが小さく形状が相対的に小さい入力キャパシタ311をスイッチングIC11ののHi側入力端子P01の近傍に電気接続することで、スイッチングIC11への瞬間的な電荷供給を可能にし、リンギングの抑制やスイッチング電源の安定動作を確保できる。
【0069】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係るスイッチング電源装置について、図を参照して説明する。図6は、本発明の第2の実施形態に係るスイッチング電源装置におけるインダクタの実装部分を含む構成の側面断面図である。図6では、インダクタの巻線導体の図示を省略している。
【0070】
第2の実施形態に係るスイッチング電源装置10Aは、第1の実施形態に係るスイッチング電源装置10に対して、基準電位側配線パターン50Aの配線パターンにおいて異なる。スイッチング電源装置10Aの他の構成は、スイッチング電源装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0071】
スイッチング電源装置10Aは、回路基板60Aによって形成される。回路基板60Aは、導体パターンからなる基準電位側配線パターン50Aを備える。
【0072】
基準電位側配線パターン50Aは、回路基板60Aの内部に形成されている。基準電位側配線パターン50Aは、平面視して(表面61に直交する方向に視て)、インダクタ20(インダクタ20の実装領域)および配線パターン41に重なっている。
【0073】
このような構成によって、インダクタ20および配線パターン41と、基準電位側配線パターン50Aとの間に、寄生キャパシタCP(図4参照)が構成される。これにより、スイッチングノイズは、ノイズ平衡化回路にさらに効果的に閉じ込めら、コモンモードノイズの発生はさらに効果的に抑制される。
【0074】
したがって、スイッチング電源装置10Aは、スイッチングノイズの外部への輻射およびコモンモードノイズの発生を、より効果的に抑制できる。
【0075】
なお、基準電位側配線パターン50Aは、インダクタ20と配線パターン41の少なくとも一方の一部に重なっていればよいが、インダクタ20と配線パターン41との両方に重なっていることが好ましい。
【0076】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係るスイッチング電源装置について、図を参照して説明する。図7は、本発明の第3の実施形態に係るスイッチング電源装置におけるインダクタの実装部分を含む構成の側面断面図である。図7では、インダクタの巻線導体の図示を省略している。
【0077】
第3の実施形態に係るスイッチング電源装置10Bは、第1の実施形態に係るスイッチング電源装置10に対して、入力側Hi電位配線パターン43Bの配線パターンにおいて異なる。スイッチング電源装置10Bの他の構成は、スイッチング電源装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0078】
スイッチング電源装置10Bは、回路基板60Bによって形成される。回路基板60Bは、導体パターンからなる入力側Hi電位配線パターン43Bを備える。
【0079】
入力側Hi電位配線パターン43Bは、回路基板60Bの内部に形成されている。入力側Hi電位配線パターン43Bは、平面視して、インダクタ20(インダクタ20の実装領域)および配線パターン41に重なっている。
【0080】
このような構成によって、インダクタ20および配線パターン41と、入力側Hi電位配線パターン43Bとの間に、寄生キャパシタが構成される。この寄生キャパシタは、電力変換用の主たる電流が流れるものではなく、それよりも周波数が高いスイッチングノイズが流れる程度のものである。これにより、スイッチングノイズは、ノイズ平衡化回路にさらに効果的に閉じ込められ、コモンモードノイズの発生はさらに効果的に抑制される。
【0081】
したがって、スイッチング電源装置10Bは、スイッチングノイズの外部への輻射およびコモンモードノイズの発生を、より効果的に抑制できる。
【0082】
なお、入力側Hi電位配線パターン43Bは、インダクタ20と配線パターン41の少なくとも一方の一部に重なっていればよいが、インダクタ20と配線パターン41との両方に重なっていることが好ましい。
【0083】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係るスイッチング電源装置について、図を参照して説明する。図8は、本発明の第4の実施形態に係るスイッチング電源装置におけるインダクタの実装部分を含む構成の側面断面図である。図8では、インダクタの巻線導体の図示を省略している。
【0084】
第4の実施形態に係るスイッチング電源装置10Cは、第1の実施形態に係るスイッチング電源装置10に対して、配線パターン42Cにおいて異なる。スイッチング電源装置10Cの他の構成は、スイッチング電源装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0085】
スイッチング電源装置10Cは、回路基板60Cによって形成される。回路基板60Cは、導体パターンからなる配線パターン42Cを備える。
【0086】
配線パターン42Cは、配線パターン420、配線パターン421、接続導体VIA42を備える。配線パターン420は、回路基板60Cの表面61に形成されている。配線パターン420は、インダクタ20が実装されている。配線パターン421は、回路基板60Cの内部に形成されている。配線パターン421は、接続導体VIA42を通じて配線パターン420に接続されている。配線パターン421は、平面視して、インダクタ20(インダクタ20の実装領域)および配線パターン41に重なっている。
【0087】
このような構成によって、インダクタ20および配線パターン41と、配線パターン421との間に、寄生キャパシタが構成される。この寄生キャパシタは、電力変換用の主たる電流が流れるものではなく、それよりも周波数が高いスイッチングノイズが流れる程度のものである。これにより、スイッチングノイズは、ノイズ平衡化回路にさらに効果的に閉じ込められ、コモンモードノイズの発生はさらに効果的に抑制される。
【0088】
したがって、スイッチング電源装置10Cは、スイッチングノイズの外部への輻射およびコモンモードノイズの発生を、より効果的に抑制できる。
【0089】
なお、配線パターン421は、インダクタ20と配線パターン41の少なくとも一方の一部に重なっていればよいが、インダクタ20と配線パターン41との両方に重なっていることが好ましい。
【0090】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態に係るスイッチング電源装置について、図を参照して説明する。図9は、本発明の第5の実施形態に係るスイッチング電源装置におけるインダクタの実装部分を含む構成の側面断面図である。図9では、インダクタの巻線導体の図示を省略している。
【0091】
第5の実施形態に係るスイッチング電源装置10Dは、第1の実施形態に係るスイッチング電源装置10に対して、インダクタ20Dにおいて異なる。スイッチング電源装置10Dの他の構成は、スイッチング電源装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0092】
図9に示すように、インダクタ20Dは、第1インダクタ端子201Dおよび第2インダクタ端子202Dを備える。第1インダクタ端子201Dは、磁性コア200の側面FS201(第1側面)および底面FB200に亘って形成されている。第2インダクタ端子202Dは、磁性コア200の側面FS202(第2側面)および底面FB200に亘って形成されている。
【0093】
第1インダクタ端子201Dの高さH201Dは、第2インダクタ端子202Dの高さH202Dよりも低い。第1インダクタ端子201Dは、側面FS201に全幅に亘って形成されている。第2インダクタ端子202Dは、側面FS202に全幅に亘って形成されている。これにより、第1インダクタ端子201Dが側面FS201に形成される面積は、第2インダクタ端子202Dが側面FS202に形成される面積よりも小さい。なお、第1インダクタ端子201Dは、底面FB200のみに形成されてもよい。
【0094】
配線パターン41は、スイッチングIC11のスイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2に接続する配線パターンであり、スイッチングノイズが重畳し易い。したがって、第1インダクタ端子201Dにもスイッチングノイズが重畳し易い。
【0095】
しかしながら、第1インダクタ端子201Dの側面の面積が小さいことで、第1インダクタ端子201Dからのスイッチングノイズの輻射は、抑制される。
【0096】
[第6の実施形態]
本発明の第6の実施形態に係るスイッチング電源装置について、図を参照して説明する。図10は、本発明の第6の実施形態に係るスイッチング電源装置の概略構成を示す回路図である。
【0097】
第1の実施形態に係るスイッチング電源装置10が降圧型DCDCコンバータであったのに対して、第6の実施形態に係るスイッチング電源装置10Eは、昇圧型DCDCコンバータである。
【0098】
図10に示すように、スイッチング電源装置10Eは、スイッチングIC11E、インダクタ20、入力キャパシタ31、および、出力キャパシタ32を備える。スイッチングIC11Eは、スイッチング制御回路(図示を省略)、スイッチング素子D1、および、スイッチング素子Q2を備える。スイッチング素子D1が「第1スイッチング素子」に対応し、スイッチング素子Q2が「第2スイッチング素子」に対応する。スイッチング素子D1およびスイッチング素子Q2は、電力用半導体素子である。
【0099】
スイッチング電源装置10Eは、直流電源81に電気接続されており、負荷82に電気接続されている。
【0100】
入力キャパシタ31は、直流電源81に並列に電気接続されている。直流電源81の正極と入力キャパシタ31との接続点がノードND1Hであり、直流電源81の負極と入力キャパシタ31との接続点がノードNDlLである。
【0101】
スイッチング素子D1とスイッチング素子Q2とは、直列に電気接続される。より具体的には、スイッチング素子D1のアノードとスイッチング素子Q2のドレインとは、電気接続されている。スイッチング素子D1とスイッチング素子Q2との接続点がノードND0である。
【0102】
ノードND1Lには、配線パターン42が接続されている。配線パターン42には、インダクタ20の第2インダクタ端子202が接続されている。インダクタ20の第1インダクタ端子201には、配線パターン41が接続されており、配線パターン41は、ノードND0に接続されている。
【0103】
スイッチング素子D1のカソードには、出力キャパシタ32の一方端子が接続されている。スイッチング素子D1のカソードと出力キャパシタ32の一方端子との接続点が、ノードND2Hである。
【0104】
出力キャパシタ32の他方端子は、基準電位側配線パターン50に接続されている。出力キャパシタ32の他方端子と基準電位側配線パターン50との接続点が、ノードND2Lである。
【0105】
このような構成において、上述のスイッチング電源装置10と同様に、入力キャパシタ31における基準電位側配線パターン50に実装されるキャパシタ外部端子とインダクタ20との対向距離を、このキャパシタ外部端子のインダクタ20の側面への投影面の幅よりも短くする。
【0106】
これにより、スイッチング電源装置10Eは、スイッチング電源装置10と同様に、スイッチングノイズの外部への輻射を抑制するとともに、コモンモードノイズの発生を抑制し、ノイズ平衡化回路によってEMIノイズのレベルを抑制できる。したがって、スイッチング電源装置10Eは、スイッチングノイズの輻射およびコモンモードノイズの発生をより効果的に抑制できる。この際、スイッチング電源装置10Eは、スイッチングノイズの輻射の抑制およびコモンモードノイズの発生の抑制用の部材(シールド部材)を別部品として必要としないので、簡素な構成および小型化を実現できる。
【0107】
また、出力キャパシタ32における基準電位側配線パターン50に実装されるキャパシタ外部端子とインダクタ20との対向距離を、このキャパシタ外部端子のインダクタ20の側面への投影面の幅よりも短くする。
【0108】
これにより、スイッチング電源装置10Eは、スイッチングノイズの外部への輻射およびコモンモードノイズの発生をさらに抑制するとともに、ノイズ平衡化回路によってEMIノイズのレベルをさらに抑制できる。
【0109】
上述の各実施形態のスイッチング電源装置において、コモンモードノイズの抑制効果は、例えば、次のように確認できる。
【0110】
第1例としては、直流電源81の正極側および負極側の配線パターンにデルタ型LISNを接続し、デルタ型LISNにスペクトラムアナライザを接続する。スペクトラムアナライザによって、デルタ型LISNの出力電圧を計測することで、コモンモードノイズの抑制効果を確認できる。
【0111】
第2例としては、直流電源81の正極側および負極側の配線パターンに電流センサ(電流プローブ)を設置し、電流センサにスペクトラムアナライザを接続する。スペクトラムアナライザによって、電流センサの出力電流を計測することで、コモンモードノイズの抑制効果を確認できる。
【0112】
第3例としては、直流電源81の負極側の配線パターンにLISNを接続し、このLISNをシャーシCHSに接続する。LISNとシャーシCHSとの接続ラインに電流センサ(電流プローブ)を設置し、電流センサにスペクトラムアナライザを接続する。スペクトラムアナライザによって、電流センサの出力電流を計測することで、コモンモードノイズの抑制効果を確認できる。
【0113】
なお、上述の各実施形態の構成は、適宜組み合わせることができ、それぞれの組み合わせに応じた作用効果を奏することができる。
【0114】
<1> 入力キャパシタと、
前記入力キャパシタに対して電気接続された第1スイッチング素子および第2スイッチング素子と、
巻線と磁性コアとを備え、前記巻線の一方端に電気接続される第1端子と前記巻線の他方端に電気接続される第2端子とを有するインダクタと、
出力キャパシタと、
前記入力キャパシタ、前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記インダクタ、および、前記出力キャパシタが実装された回路基板と、
を備え、
前記回路基板は、
前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子の接続ノードと前記第1端子とを電気接続する第1配線パターンと、
前記第2端子と前記出力キャパシタを電気接続する第2配線パターンと、
前記入力キャパシタが実装される基準電位側配線パターンと、
を有し、
前記入力キャパシタにおける前記基準電位側配線パターンに実装されるキャパシタの外部端子と前記インダクタとの対向距離は前記キャパシタ外部端子の前記インダクタの側面への投影面の幅よりも短くいことで、前記インダクタと前記基準電位側配線パターンとの間に寄生キャパシタを有し、
前記インダクタ、前記寄生キャパシタ、前記基準電位側配線パターン、前記入力キャパシタ、および、出力キャパシタは、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子のスイッチング動作に起因する電磁雑音の発生を相殺し、前記インダクタおよび前記第1配線パターンから輻射または伝導するコモンモードノイズの発生を抑制すを閉じ込める電気閉回路からなるノイズ平衡化回路を構成する、スイッチング電源装置。
【0115】
<2> 前記基準電位側配線パターンは、前記回路基板を平面視して、前記インダクタの実装領域に重なる領域に形成されている、<1>のスイッチング電源装置。
【0116】
<3> 前記回路基板は、前記入力キャパシタに電気接続する入力配線パターンを有し、
前記入力配線パターンは、前記回路基板を平面視して、前記インダクタの実装領域に重なる領域に形成されている、<1>または<2>のスイッチング電源装置。
【0117】
<4> 前記第2配線パターンの一部は、前記回路基板を平面視して、前記インダクタの実装領域に重なる領域に形成されている、<1>乃至<3>のいずれかのスイッチング電源装置。
【0118】
<5> 前記磁性コアは、底面、第1側面、および、第2側面を有し、
前記第1端子は、前記底面と前記第1側面とに亘って形成され、
前記第2端子は、前記底面と前記第2側面とに亘って形成され、
前記第1端子における前記第1側面に形成される面積は、前記第2端子における前記第2側面に形成される面積よりも小さい、<1>乃至<4>のいずれかのスイッチング電源装置。
【0119】
<6> 前記回路基板を正面視して、
前記第1配線パターンの面積は、前記第2配線パターンの面積よりも小さい、<1>乃至<5>のいずれかのスイッチング電源装置。
【0120】
<7> 前記第1配線パターンの面積は、前記インダクタを平面視した面積よりも小さい、<1>乃至<6>のいずれかのスイッチング電源装置。
【0121】
<8> 入力キャパシタと、
巻線と磁性コアとを備え、前記巻線の一方端に電気接続される第1端子と前記巻線の他方端に電気接続される第2端子とを有するインダクタと、
前記インダクタに対して電気接続された第1スイッチング素子および第2スイッチング素子と、
出力キャパシタと、
前記入力キャパシタ、前記インダクタ、前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、および、前記出力キャパシタが実装された回路基板と、
を備え、
前記回路基板は、
前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子の接続ノードと前記第1端子とを電気接続する第1配線パターンと、
前記第2端子と前記入力キャパシタを電気接続する第2配線パターンと、
前記入力キャパシタが実装される基準電位側配線パターンと、
を有し、
前記入力キャパシタにおける前記基準電位側配線パターンに実装されるキャパシタの外部端子と前記インダクタとの対向距離は前記キャパシタ外部端子の前記インダクタの側面への投影面の幅よりも短くいことで、前記インダクタと前記基準電位側配線パターンとの間に寄生キャパシタを有し、
前記インダクタ、前記寄生キャパシタ、前記基準電位側配線パターン、前記入力キャパシタ、および、出力キャパシタは、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子のスイッチング動作に起因する電磁雑音の発生を相殺し、前記インダクタおよび前記第1配線パターンから輻射または伝導するコモンモードノイズの発生を抑制すを閉じ込める電気閉回路からなるノイズ平衡化回路を構成する、
スイッチング電源装置。
【符号の説明】
【0122】
11、11E:スイッチングIC
10、10A、10B、10C、10D、10E、10P:スイッチング電源装置
20、20D:インダクタ
31:入力キャパシタ
32:出力キャパシタ
41、42、42C、420、421:配線パターン
43、43B:入力側Hi電位配線パターン
50、50A:基準電位側配線パターン
60、60A、60B、60C:回路基板
61:表面
81:直流電源
82:負荷
111:スイッチング制御回路
200:磁性コア
201、201D:第1インダクタ端子
202、202D:第2インダクタ端子
311、312:入力キャパシタ
321、322、3101、3102、3121、3122:キャパシタ外部端子
501、502:基準電位側配線パターン
CHS:シャーシ
CP、Cps:寄生キャパシタ
D1、Q1、Q2:スイッチング素子
DIS1、DIS2:対向距離
FB200:底面
FS201:側面
FS202:側面
H201D、H202D:高さ
P01:Hi側入力端子
P02、P021、P022:基準電位接続端子
P11、P12:スイッチング素子用外部端子
VIA42:接続導体
W312、W32:幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10