(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012941
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23D 14/14 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
F23D14/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114787
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】白羽 悠介
(72)【発明者】
【氏名】竹内 健
【テーマコード(参考)】
3K017
【Fターム(参考)】
3K017BA10
3K017BB09
3K017BC01
3K017BE00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】枠フランジ部に従来取付けていた断熱材用の固定板を省略した燃焼装置でも、燃焼筐に対し燃焼板を位置決めできるようにする。
【解決手段】バーナ1と燃焼筐2とを備える燃焼装置であって、バーナボディ11の開放面111を覆う燃焼板の構成要素である額縁状のバーナ枠121が、開口周縁部1211からバーナボディ11側に屈曲する側板部1212と、側板部から外方に張出して、バーナボディのフランジ部112とこれに締結される燃焼筐2のフランジ部22との間に挟まれる枠フランジ部1213とを有するものにおいて、バーナ枠121の側板部1212に、燃焼筐2の内面に当接又は近接対向して、燃焼筐2に対しバーナ枠121を位置決めする突出部1214を設ける。突出部1214は、好ましくは、側板部1212の開口周縁部1211側の端から枠フランジ部1213側に離れた部分に設けられる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に混合気が供給されるバーナボディと、バーナボディの開放面を覆う燃焼板とから成るバーナと、バーナボディの開放面を囲うボディフランジ部に締結される一端の筐フランジ部を有する燃焼筐とを備える燃焼装置であって、
燃焼板は、額縁状のバーナ枠と、バーナ枠で囲われる開口部をバーナボディ側から覆う、混合気が透過する混合気透過体とを有し、バーナ枠は、開口部の周囲の開口周縁部と、開口周縁部からバーナボディ側に屈曲する側板部と、側板部のバーナボディ側の端から外方に張出して、ボディフランジ部と筐フランジ部との間に挟まれる枠フランジ部とを有するものにおいて、
バーナ枠の側板部に、燃焼筐の内面に当接又は近接対向して、燃焼筐に対しバーナ枠を位置決めする突出部が設けられることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記突出部は、前記側板部の前記開口周縁部側の端から枠フランジ部側に離れた部分に設けられることを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記突出部は、前記側板部の周方向に離隔した複数部分にのみ設けられることを特徴とする請求項1又は2記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に混合気が供給されるバーナボディと、バーナボディの開放面を覆う燃焼板とから成るバーナと、バーナボディの開放面を囲うボディフランジ部に締結される一端の筐フランジ部を有する燃焼筐とを備える燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の燃焼装置において、燃焼板として、額縁状のバーナ枠と、バーナ枠で囲われる開口部をバーナボディ側から覆う、混合気が透過する混合気透過体とを有するものを用い、混合気透過体を透過して開口部から噴出する混合気が燃焼筐内で燃焼するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このもので、バーナ枠は、開口部の周囲の開口周縁部と、開口周縁部からバーナボディ側に屈曲する側板部と、側板部のバーナボディ側の端から外方に張出して、ボディフランジ部と筐フランジ部との間に挟まれる枠フランジ部とを有している。
【0003】
ここで、従来例のものでは、バーナ枠の側板部が燃焼筐の内面からかなり離れている。そのため、バーナ枠の枠フランジ部の燃焼筐内に面する部分の幅が広くなる。そこで、枠フランジ部の燃焼筐内に面する部分を覆う断熱材を設けて、この部分への火炎からの輻射熱の入熱によるバーナ枠の過熱を抑制できるようにしている。断熱材は、枠フランジ部に取付けた固定板により保持されている。また、固定板に、燃焼筐の内面に当接又は近接対向する位置決め用の突起を設けて、燃焼筐に対し燃焼板を位置決めしている。尚、燃焼筐に対し燃焼板を位置決めするのは、火炎が燃焼筐の内面に近付き過ぎないようにして、燃焼筐の過熱を防止するためである。
【0004】
ところで、最近は、バーナ枠の側板部と燃焼筐の内面との間の距離が比較的短くなるようにした燃焼板も開発されている。このような燃焼板を用いる燃焼装置では、バーナ枠の枠フランジ部の燃焼筐内に面する部分の幅が狭くなり、この部分を断熱材で覆わなくても、バーナ枠の過熱を抑制できる。この場合には、枠フランジ部に断熱材用の固定板を取付ける必要がない。然し、固定板を省略すると、従来例の如く固定板に設けた位置決め用の突起で燃焼板を燃焼筐に対し位置決めすることができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、枠フランジ部に取付けていた断熱材用の固定板を省略した燃焼装置でも、燃焼筐に対し燃焼板を位置決めできるようにすることをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、内部に混合気が供給されるバーナボディと、バーナボディの開放面を覆う燃焼板とから成るバーナと、バーナボディの開放面を囲うボディフランジ部に締結される一端の筐フランジ部を有する燃焼筐とを備える燃焼装置であって、燃焼板は、額縁状のバーナ枠と、バーナ枠で囲われる開口部をバーナボディ側から覆う、混合気が透過する混合気透過体とを有し、バーナ枠は、開口部の周囲の開口周縁部と、開口周縁部からバーナボディ側に屈曲する側板部と、側板部のバーナボディ側の端から外方に張出して、ボディフランジ部と筐フランジ部との間に挟まれる枠フランジ部とを有するものにおいて、バーナ枠の側板部に、燃焼筐の内面に当接又は近接対向して、燃焼筐に対しバーナ枠を位置決めする突出部が設けられることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、バーナ枠の側板部に設けられる突出部により燃焼筐に対しバーナ枠、即ち、燃焼板を位置決めできる。従って、枠フランジ部に取付けていた断熱材用の固定板を省略した燃焼装置においても、燃焼筐に対し燃焼板を位置決めして、燃焼筐の過熱を防止することができる。
【0009】
また、本発明において、突出部は、側板部の開口周縁部側の端から枠フランジ部側に離れた部分に設けられることが望ましい。これによれば、混合気透過体を透過して開口部から噴出する混合気の燃焼で形成される火炎から突出部がバーナボディ側に離れ、突出部への火炎からの輻射熱の入熱が抑制される。そのため、突出部を介しての燃焼筐への伝熱による燃焼筐の温度上昇を抑制できる。
【0010】
また、本発明において、突出部は、側板部の周方向に離隔した複数部分にのみ設けられることが望ましい。これによれば、突出部を側板部の全周に亘って設けるものと異なり、突出部から燃焼筐への伝熱面積を減少させて、突出部を介しての燃焼筐への伝熱による燃焼筐の温度上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図5】実施形態の燃焼装置の構成要素であるバーナの燃焼板の分解状態の斜視図。
【
図6】組立状態の上記燃焼板の下方から見た底面図。
【
図7】(a)
図6のVIIa-VIIa線で切断した燃焼装置組立状態の要部の拡大断面図、(b)
図6のVIIb-VIIb線で切断した燃焼装置組立状態の要部の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至
図4に示す本発明の実施形態の燃焼装置は、内部に混合気(燃料ガスと一次空気との混合ガス)が供給されるバーナボディ11と、バーナボディ11の下向きの開放面111を覆う燃焼板12とから成る全一次燃焼式のバーナ1と、バーナボディ11の開放面111を囲うボディフランジ部112にビス21で締結される上端の筐フランジ部22を有する燃焼筐2とを備えている。燃焼筐2の内部には、給湯用の熱交換器3が収納されている。
【0013】
熱交換器3は、多数のフィン31とこれらフィン31を貫通する複数の吸熱管32とを備えるフィンチューブ型熱交換器で構成されている。燃焼筐2の横方向一側と他側の側板23,24の外側には、隣り合う2本の吸熱管32,32を接続するUベント管33が複数設けられており、全ての吸熱管32が直列に接続される。また、上流端の吸熱管32には、端部に入水口34aが設けられた管34が接続されている。
【0014】
また、
図4を参照して、燃焼筐2の前側の側板25の熱交換器3より上方の部分の内側には、下から順に管から成る第1と第5と第9の3本の水路4
1,4
5,4
9が側板25に接するように配置され、燃焼筐2の後側の側板26の熱交換器3より上方の部分の内側にも、下から順に管から成る第3と第7と第11の3本の水路4
3,4
7,4
11が側板26に接するように配置されている。また、燃焼筐2の横方向一側の側板23の外側には、
図1、
図3に示す如く、熱交換器3の下流端の吸熱管32を第1水路4
1に接続する接続管35が設けられ、更に、熱交換器3より上方の側板23の部分には、第3水路4
1と第5水路4
3とを接続する第4水路4
4と、第7水路4
7と第9水路4
9とを接続する第8水路4
8と、第11水路4
11に接続される第12水路4
12とが設けられている。また、燃焼筐2の横方向他側の側板24には、
図2、
図3に示す如く、熱交換器3よりも上方に位置させて、第1水路4
1と第3水路4
3とを接続する第2水路4
2と、第5水路4
5と第7水路4
7とを接続する第6水路4
6と、第9水路4
9と第11水路4
11とを接続する第10水路4
10とが設けられている。第2と第6と第10の各水路4
2,4
6,4
10と、第4と第8と第12の各水路4
4,4
8,4
12は、各側板24,23に形成した横方向内方への窪みとこの窪みを覆うように各側板24,23の外面に取付けた蓋41とで構成されている。熱交換器3で加熱された水は、第1水路4
1乃至第12水路4
12に順に流れて、第12水路4
12の端部に設けられた出湯口42からこれに接続される図外の出湯管に供給される。そして、これら第1乃至第12水路4
1~4
12に流れる水により燃焼筐2の各側板23~26が冷却されるようにしている。
【0015】
また、燃焼筐2の前側の側板25には、第5水路45と第9水路49との間の側板部分を貫通して燃焼筐2内に突出する点火電極51と接地電極52と一対のフレームロッド53,53とを有する電極部品5が装着されている。尚、電極部品5には、燃焼筐2内を視認できる覗き窓54が付設されている。
【0016】
次に、バーナ1について詳述する。バーナボディ11には、混合気を供給する図外のファンを接続する流入口113が開設されている。流入口113には、ファン停止時にバーナボディ11内に残留する混合気がファン側に逆流することを阻止する逆止弁13が装着されている。
【0017】
図5も参照して、燃焼板12は、額縁状のバーナ枠121と、バーナ枠121で囲われる開口部122をバーナボディ11側(上方)から覆う、混合気が透過する混合気透過体123とを有している。混合気透過体123は、金属繊維等の耐熱繊維の織布や不織布、又は、多孔質の焼結体等で構成することができる。また、混合気透過体123の混合気の流れ方向上流側の面である裏面(上面)には、多数の分布孔124aが形成された分布板124が重ねられている。そして、バーナボディ11内に供給された混合気が分布孔124aと混合気透過体123とを介して開口部122から噴出し、全一次燃焼(二次空気が不要な燃焼)する。尚、開口部122は、前後方向に沿う断面形状が
図4に示す如く円弧状に湾曲しており、混合気透過体123及び分布板124も同様に前後方向に沿う断面形状が円弧状に湾曲している。
【0018】
バーナ枠121は、開口部122の周囲の開口周縁部1211と、開口周縁部1211からバーナボディ11側(上方)に屈曲した側板部1212と、側板部1212の上端から外方に張出す枠フランジ部1213とを有している。開口周縁部1211の内周寄り部分には、一段下がった絞り部1211aが設けられている。そして、この絞り部1211aに混合気透過体123の周縁部を重ね、混合気透過体123の裏面に分布板124を重ねた状態で、分布板124の周縁部を絞り部1211aの外側の開口周縁部1211の部分に一定間隔でスポット溶接することにより燃焼板12を組み立てている。枠フランジ部1213は、ボディフランジ部112と筐フランジ部22との間に挟み込まれる。また、枠フランジ部1213とボディフランジ部112との間にパッキン6を介設して、バーナボディ11と燃焼板12との間のシール性を確保する。尚、パッキン6は、
図7に明示されている通り、枠フランジ部1213よりも外側に張出す部分61を有しており、この部分61がボディフランジ部112と筐フランジ部22との間に介設されて、ボディフランジ部112と筐フランジ部22との間のシール性が確保される。
【0019】
ここで、本実施形態では、バーナ枠121の側板部1212と燃焼筐2の内面、即ち、燃焼筐2の各側板23,24,25,26の内面との間の距離が短い。そのため、バーナ枠121の枠フランジ部1213の燃焼筐2内に面する部分の幅が狭くなり、この部分を断熱材で覆わなくても、バーナ枠121の過熱を抑制できる。従って、枠フランジ部1213に従来取付けていた断熱材用の固定板を省略することができる。然し、固定板を省略すると、固定板に設けていた位置決め用の突起による燃焼筐2に対する燃焼板12の位置決め機能を得られなくなる。
【0020】
そこで、本実施形態では、バーナ枠121の側板部1212に、燃焼筐2の内面に近接対向して、燃焼筐2に対しバーナ枠121を位置決めする突出部1214を設けている。これによれば、突出部1214により燃焼筐2に対しバーナ枠121、即ち、燃焼板12を位置決めできる。従って、枠フランジ部1213に取付けていた断熱材用の固定板を省略した燃焼装置においても、燃焼筐2に対し燃焼板12を位置決めして、燃焼筐2の過熱を防止することができる。
【0021】
尚、突出部1214は、側板部1212の周方向に離隔した複数部分にのみ設けられている。
図6、
図7も参照して具体的に説明すれば、バーナ枠121の横方向両側の側板部1212の部分の前後方向中央部に、燃焼筐2の横方向各側の側板23,24の内面に近接対向する♯1の突出部1214を設けると共に、バーナ枠121の前後両側の側板部1212の部分の横方向両端部に、燃焼筐2の前後各側の側板25,26の内面に近接対向する♯2の突出部1214を設けている。これによれば、突出部1214を側板部1212の全周に亘って設けるものと異なり、突出部1214から燃焼筐2への伝熱面積を減少させて、突出部1214を介しての燃焼筐2への伝熱による燃焼筐2の温度上昇を抑制できる。
【0022】
また、本実施形態では、各突出部1214を、側板部1212の開口周縁部1211側の端から枠フランジ部1213側に離れた部分に設けている。これによれば、開口部122から噴出する混合気の燃焼で形成される火炎から突出部1214がバーナボディ11側に離れ、突出部1214への火炎からの輻射熱の入熱が抑制される。そのため、突出部1214を介しての燃焼筐2への伝熱による燃焼筐2の温度上昇を一層効果的に抑制できる。
【0023】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、各突出部1212aが燃焼筐2の内面に近接対向しているが、燃焼筐2の内面に当接するように各突出部1212aを設けることも可能である。また、上記実施形態のバーナ1は、バーナボディ11の開放面111が下を向くように配置されているが、開放面111が上を向くようにバーナボディ11を配置する燃焼装置にも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0024】
1…バーナ、11…バーナボディ、111…開放面、112…ボディフランジ部、12…燃焼板、121…バーナ枠、1211…開口周縁部、1212…側板部、1213…枠フランジ部、1214…突出部、122…開口部、123…混合気透過体、2…燃焼筐、22…筐フランジ部。