(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012943
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】測定モジュール
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
A01G7/00 603
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114790
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】水谷 学世
(57)【要約】
【課題】背丈のある植物であっても、当該植物の状態を継続的に且つ精度良く検出可能な測定モジュールを提供する。
【解決手段】測定モジュールは、植物を支持するように立設される中空の支柱と、支柱の内部と外部とを連通する少なくとも1つの導入口と、支柱の内部において少なくとも1つの導入口と対応する位置に配置され、植物の匂いを検出する少なくとも1つの匂いセンサと、支柱に接続され、導入口から支柱の内部へ外気を吸引するポンプと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を支持するように立設される中空の支柱と、
前記支柱の内部と外部とを連通する少なくとも1つの導入口と、
前記支柱の内部において前記少なくとも1つの導入口と対応する位置に配置され、前記植物の匂いを検出する少なくとも1つの匂いセンサと、
前記支柱に接続され、前記導入口から前記支柱の内部へ外気を吸引するポンプと、
を備える、測定モジュール。
【請求項2】
前記支柱は、
中空柱状の本体部と、
前記本体部の内部と連通する少なくとも1つの中空箱状の収容部と、を有し、
前記少なくとも1つの導入口は、前記少なくとも1つの収容部と前記外部とを連通し、
前記少なくとも1つの匂いセンサは、前記少なくとも1つの収容部の内部に配置される、請求項1に記載の測定モジュール。
【請求項3】
各収容部と前記本体部との接続部分は、各収容部よりも縮径される、請求項2に記載の測定モジュール。
【請求項4】
前記少なくとも1つの収容部は、前記本体部に着脱可能に取り付けられる、請求項2に記載の測定モジュール。
【請求項5】
前記支柱は、中空柱状を呈しており、
前記少なくとも1つの導入口は、前記支柱の側面に設けられる、請求項1に記載の測定モジュール。
【請求項6】
前記導入口は、前記支柱の内部から前記外部に向けて拡開するテーパー面を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の測定モジュール。
【請求項7】
周囲の温度、湿度、及び二酸化炭素濃度の少なくとも1つを検出する環境センサを更に有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の測定モジュール。
【請求項8】
前記少なくとも1つの導入口は、複数の導入口であって、
前記少なくとも1つの匂いセンサは、複数の匂いセンサであって、
前記複数の匂いセンサのそれぞれは、前記複数の導入口のそれぞれと対応する位置に配置される、請求項1~5のいずれか一項に記載の測定モジュール。
【請求項9】
前記複数の導入口及び前記複数の匂いセンサは、前記支柱の高さ方向において等間隔で配列される、請求項8に記載の測定モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、植物の代謝生成物を非破壊で計測する装置を開示する。装置は、植物の花柄または葉柄の一部に光を照射し、その透過光又は反射光と、照射光との光量差を測定することにより、植物の代謝生成物を測定する。上方に伸びる植物を測定する場合には、装置は、植物の代謝生成物の通過路である葉柄及び花柄の少なくとも一方に固定され、支柱により支えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置では、葉体及び果実等、植物の特定の部分しか測定できない。したがって、特許文献1に記載の装置では、トマト等、数メートルにおよぶ背丈のある植物の状態を、継続的に計測できないおそれがある。本開示は、背丈が高い植物であっても、当該植物の状態を簡易な構成で継続的に検出できる測定モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る測定モジュールは、中空の支柱、少なくとも1つの導入口、少なくとも1つの匂いセンサ、及び、ポンプを備える。支柱は、植物を支持するように立設される。少なくとも1つの導入口は、支柱の内部と外部とを連通する。少なくとも1つの匂いセンサは、支柱の内部において少なくとも1つの導入口と対応する位置に配置され、植物の匂いを検出する。ポンプは、支柱に接続され、導入口から支柱の内部へ外気を吸引する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の各側面及び各実施形態によれば、背丈が高い植物であっても、当該植物の状態を簡易な構成で継続的に検出可能な測定モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る測定モジュールの一例を概略的に示す構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示される測定モジュールの内部を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、変形例の測定モジュールの内部を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の概要]
最初に、本開示の実施形態の概要を説明する。
【0009】
(条項1) 本開示の一側面に係る測定モジュールは、中空の支柱、少なくとも1つの導入口、少なくとも1つの匂いセンサ、及び、ポンプを備える。支柱は、植物を支持するように立設される。少なくとも1つの導入口は、支柱の内部と外部とを連通する。少なくとも1つの匂いセンサは、支柱の内部において少なくとも1つの導入口と対応する位置に配置され、植物の匂いを検出する。ポンプは、支柱に接続され、導入口から支柱の内部へ外気を吸引する。
【0010】
この測定モジュールにおいては、中空の支柱が、植物を支持するように立設される。この支柱の内部では、支柱の内部と外部とを連通する少なくとも1つの導入口と対応する位置に、植物の匂いを検出する匂いセンサが配置される。そして、支柱に接続されたポンプが、上記少なくとも1つの導入口から支柱の内部へ外気を吸引する。植物は支柱に支持され、植物から発せられる匂い物質は、ポンプの吸引によって少なくとも1つの導入口を介して支柱の内部に取り込まれ、少なくとも1つの匂いセンサによって検出される。植物から発せられる匂い物質は植物の状態に応じて変化する。この測定モジュールは、匂いセンサによって匂い物質を検出することにより、光を用いて植物の状態を検出する場合と比べて、測定部位を詳細に決定して測定部位に光を当てるといった事前準備が不要となる。このため、この測定モジュールは、植物が成長し、又は、風等の外力が加わることによって、測定部位の位置がずれたとしても、継続して植物の状態を検出できる。そして、この測定モジュールは、匂いセンサへ匂い物質を誘導する流路を、植物を支持する支柱に兼用させることで、配管と支柱とを別個に設ける場合と比べて、より少ない部品点数で構成できる。よって、この測定モジュールによれば、植物の背丈が高い場合であっても、植物の状態を簡易な構成で継続的に検出できる。
【0011】
(条項2) 条項1に記載の測定モジュールにおいて、支柱は、中空柱状の本体部と、本体部の内部と連通する少なくとも1つの中空箱状の収容部と、を有し、少なくとも1つの導入口は、少なくとも1つの収容部と外部とを連通し、少なくとも1つの匂いセンサは、少なくとも1つの収容部の内部に配置されてもよい。この場合、測定モジュールは、匂い物質を収容部内に取り込み、収容部の内部において雰囲気中の匂い物質の濃度を高めることができる。よって、測定モジュールは、植物の状態をより精度良く検出できる。
【0012】
(条項3) 条項2に記載の測定モジュールにおいて、各収容部と本体部との接続部分は、各収容部よりも縮径されてもよい。この場合、測定モジュールは、例えば、植物自体、及び植物を支柱に固定するための紐等を接続部分に絡ませやすくできる。
【0013】
(条項4) 条項2又は3に記載の測定モジュールにおいて、少なくとも1つの収容部は、本体部に着脱可能に取り付けられてもよい。この場合、測定者は、例えば、植物の葉体がつく箇所等、所望の箇所に匂いセンサを配置できる。
【0014】
(条項5) 条項1に記載の測定モジュールにおいて、支柱は、中空柱状を呈しており、少なくとも1つの導入口は、支柱の側面に設けられてもよい。この場合、匂いセンサを配置するためのスペースを支柱外部に設ける必要がなくなる。よって、この測定モジュールは、省スペース化を図ることができる。
【0015】
(条項6) 条項1~5のいずれか一項に記載の測定モジュールにおいて、導入口は、支柱の内部から外部に向けて拡開するテーパー面を含んでもよい。この場合、測定モジュールは、支柱の内部に植物の周囲の空気をより多く取り込むことができる。
【0016】
(条項7) 条項1~6のいずれか一項に記載の測定モジュールは、周囲の温度、湿度、及び二酸化炭素濃度の少なくとも1つを検出する環境センサを更に有してもよい。この場合、測定モジュールは、環境センサの検出結果を踏まえて植物の状態を検出できる。
【0017】
(条項8) 条項1~7のいずれか一項に記載の測定モジュールにおいて、少なくとも1つの導入口は、複数の導入口であって、少なくとも1つの匂いセンサは、複数の匂いセンサであって、複数の匂いセンサのそれぞれは、複数の導入口のそれぞれと対応する位置に配置されてもよい。この場合、測定モジュールは、植物における複数の箇所の匂いを検出できるため、植物の状態をより精度良く検出できる。
【0018】
(条項9) 条項8に記載の測定モジュールにおいて、複数の導入口及び複数の匂いセンサは、支柱の高さ方向において等間隔で配列されてもよい。この場合、測定モジュールは、植物において下方から上方にかけて複数の箇所の匂いを検出できるため、背丈が高い植物であっても、植物の状態をより精度良く検出できる。
【0019】
[本開示の実施形態の例示]
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0020】
[測定モジュールの一例]
図1は、実施形態に係る測定モジュール1の一例を概略的に示す構成図である。
図2は、
図1に示される測定モジュール1の内部を概略的に示す図である。
図1及び
図2に示される測定モジュール1は、植物Tを支持しながら植物Tの状態を測定するためのモジュールである。植物Tの状態の例としては、植物Tの健康状態、及び植物Tの生育状態が挙げられる。植物Tは、測定対象となる植物であって、例えば、トマト、及びリンゴ等である。一例として、植物Tは、箱状の培地B(地面)で栽培される。なお、
図2では、培地Bの図示が省略されている。
【0021】
測定モジュール1は、無線又は有線通信により、外部のサーバ(図示せず)と通信可能に構成され、当該サーバに対して、測定した情報等、種々のデータを送信可能に構成される。サーバは、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、RAM(Random AccessMemory)及びROM(Read Only Memory)等のメモリと、タッチパネル、マウス、キーボード、及びディスプレイ等の入出力装置と、ネットワークカード等の通信装置とを含むコンピュータシステムとして構成されてもよい。サーバは、メモリに記憶されているコンピュータプログラムに基づくプロセッサの制御のもとで各ハードウェアを動作させることにより、植物Tの状態を認識する機能を実現する。
【0022】
測定モジュール1は、支柱2、複数の導入口3、複数の匂いセンサ4、複数の環境センサ5、ガス管6、及びポンプ7を備える。支柱2は、中空であって、植物Tを支持するように培地Bに立設される。支柱2は、本体部21及び複数の収容部22を有する。
【0023】
本体部21は、支柱2における立設される部分である。本体部21は、例えば、植物Tの茎の近傍に配置される。本体部21は、培地Bに立設されてもよいし、培地Bが小さい場合、及び培地Bの損傷の防止を図る場合等には、培地Bに隣接するように立設されてもよい。
図2に示されるように、本体部21は、中空柱状を呈する。本体部21の内部21aは、本体部21の高さ方向に延びる空洞である。なお、測定モジュール1がビニールハウスのような施設内に設けられる場合、本体部21の上部は、植物Tよりも上方において地面と水平方向に延在する植物Tの固定用の紐24に括り付けられていてもよい。
【0024】
複数の収容部22は、本体部21の外側に配置され、本体部21の内部21aと連通する。各収容部22は、支柱2における匂いセンサ4を収容する部分である。各収容部22は、中空箱状を呈する。このような各収容部22の内部22aは、各匂いセンサ4を収容するための空間を含む。各収容部22は、例えば、手に取って扱える程度のサイズである。
図2に示されるように、各収容部22の角部は、面取りされた形状である。各収容部22は、本体部21と一体に構成されてもよく、本体部21に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0025】
支柱2は、複数の接続部分23を更に有する。各接続部分23は、各収容部22と本体部21との間に配置され、各収容部22と本体部21とを接続する。各収容部22は、各接続部分23を介して、本体部21の内部21aと連通する。各接続部分23は、各収容部22よりも縮径される。換言すれば、各接続部分23の開口面積(本体部21から接続部分23が延在する方向に垂直な開口の面積)は、各収容部22の開口面積(上記延在する方向に垂直な開口の面積)よりも小さい。各接続部分23が縮径されることにより、例えば、植物Tが支柱2に巻き付きやすくなり、また、植物Tを支柱2に固定するための紐24等を各接続部分23に絡ませやすくできる。
【0026】
このように、支柱2の内部2aにおいては、中空状の複数の収容部22の内部22aが、複数の接続部分23を介して、中空状の本体部21の内部21aと連通する。これにより、後述するポンプ7が本体部21の内部21aの空気を吸引することで、支柱2の内部2aには、各収容部22から本体部21に向かって流れる空気の流路が形成されることとなる。
【0027】
複数の導入口3は、支柱2の内部2aと外部とを連通する。本実施形態では、各導入口3は、各収容部22に形成される。各導入口3は、例えば、収容部22と外部とを連通する開口である。一例として、各導入口3は、収容部22における本体部21とは反対側の部分に位置する。導入口3は、テーパー面31を含む。テーパー面31は、支柱2の内部2a(より詳細には、収容部22の内部22a)から外部に向けて拡開する。換言すれば、導入口3の少なくとも一部は、皿穴である。導入口3は、テーパー面31を含むことによって、支柱2の内部2aに植物Tの周囲の空気をより多く取り込むことができる。
【0028】
複数の匂いセンサ4は、支柱2に設けられる。本実施形態では、各匂いセンサ4は、
図2に示されるように、各収容部22の内部22aに収容される。一例として、各匂いセンサ4は、各導入口3の近傍に位置するように、各収容部22の内部22a側の底面に配置される。このように、各匂いセンサ4は、支柱2の内部2aにおいて各導入口3と対応する位置に配置される。
【0029】
各匂いセンサ4は、植物Tの匂いを検出する。より詳細には、各匂いセンサ4は、植物Tに含まれる匂い物質を検出する。植物Tに含まれる匂い物質は、植物Tから直接発せられる物質に限られず、植物Tに付着する異物から発せされる物質、及び植物Tの近傍に付着する異物から発せれる物質を含む。
【0030】
匂いセンサ4が検出する物質は、例えば、緑の香り物質、テルペン類物質、硫黄系物質、及びカビ臭物質の少なくとも1つを含む。また、匂いセンサ4は、緑の香り物質、テルペン類物質、硫黄系物質、及びカビ臭物質に加えて、他の物質を検出してもよい。
【0031】
緑の香り物質は、炭素数六つの骨格を持つアルデヒド、アルコール、及びそれらのエステル等の揮発性物質である。具体的には、緑の香り物質は、ヘキセノール(青葉アルコール)、及びセキセナール(青葉アルデヒド)等である。テルペン類物質は、(C5H8)nの不飽和炭化水素を基本骨格とする有機化合物、及びテルペンアルコール等の物質である。具体的には、テルペン類物質は、α-ピネン、及びβ-カリオフィレン等である。硫黄系物質は、植物Tの腐敗臭を発する硫化水素等の硫化化合物である。具体的には、硫黄系物質は、ジメチルスルフィド等である。カビ臭物質は、カビ、トリクロロアニソール、ジェオスミン、及びメチルイソボルネオール等である。
【0032】
匂いセンサ4が緑の香り物質を検出することにより、上記サーバに植物Tの食害状態を検出させることができる。また、匂いセンサ4がテルペン類物質を検出することにより、上記サーバに植物Tの環境ストレス状態を検出させることが可能となる。また、匂いセンサ4が硫黄系物質を検出することにより、上記サーバに植物Tの腐敗状態を検出させることができる。さらに、匂いセンサ4がカビ臭物質を検出することにより、上記サーバに植物Tのカビ発生を検出させることができる。
【0033】
匂いセンサ4は、一例として、検出物質と反応する有機膜を金属半導体に塗布したセンサである。匂いセンサ4の有機膜は、例えば、ポリアニリンを含む。匂いセンサ4の金属半導体は、例えば、酸化スズ(SnO2)を含む。ただし、匂いセンサ4は、匂い物質の検出が可能なセンサであればよい。匂いセンサ4は、複数の異なる匂い物質を検出する場合、複数のセンサによって構成されてもよい。
【0034】
複数の環境センサ5は、支柱2に設けられる。各環境センサ5は、植物Tの生育環境を検出するためのセンサである。各環境センサ5は、植物Tの周囲の温度、湿度、及び二酸化炭素濃度の環境値の少なくとも1つの環境値を検出する。各環境センサ5は、環境値として温度を検出する場合、温度計を含み、環境値として湿度を検出する場合、湿度計を含む。各環境センサ5は、環境値として二酸化炭素を検出する場合、二酸化炭素濃度計を含む。また、各環境センサ5は、植物Tの周囲の温度、湿度、及び二酸化炭素濃度以外の環境値を更に検出してもよい。各環境センサ5は、例えば、各収容部22の外壁面に取り付けられている。各環境センサ5の位置は、植物Tの生育環境を検出可能な位置であればよく、限定されない。
【0035】
本実施形態では、複数の収容部22、複数の導入口3、複数の匂いセンサ4、及び複数の環境センサ5は、本体部21の高さ方向において互いに等間隔に配列される。
【0036】
図2に示されるように、ガス管6は、中空管状を呈し、本体部21の培地B側の端部と、ポンプ7との間に配置される。ガス管6は、本体部21の培地B側の端部及びポンプ7のそれぞれに接続される。ポンプ7は、ガス管6を介して、支柱2に接続される。具体的には、ポンプ7は、ガス管6を介して、本体部21の内部21aと連通する。ポンプ7は、例えば、支柱2の本体部21に隣接するように配置される。ポンプ7は、培地Bの隣に設置されてもよいし、培地Bよりも上に設置されてもよい。なお、
図1では、ポンプ7の図示が省略されている。
【0037】
ポンプ7は、例えば、バッテリー、及び外部電源等の電源供給用の機器(図示せず)に電気的に接続されており、当該機器から電力を供給されることにより駆動する。ポンプ7は、駆動により、ガス管6の内部の空気、本体部21の内部21aの空気、ひいては各収容部22の内部22aの空気を吸引する。つまり、ポンプ7は、各収容部22に形成されている各導入口3から、支柱2の内部2aへ外気を吸引する。
【0038】
[測定モジュールの動作]
次に、測定モジュール1の動作の一例について説明する。まず、植物Tが植えられている培地Bにおいて、植物Tの茎に隣接するように、支柱2の本体部21が立設される。そして、植物Tが支柱2に支持される。具体的には、紐24等によって、支柱2の本体部21、及び複数の接続部分23等に植物Tが括り付けられる。これにより、植物Tは、支柱2に沿って成長するように誘引される。また、本体部21の培地B側の端部が、ガス管6を介して、ポンプ7に接続される。各匂いセンサ4、及び各環境センサ5は、上記サーバに通信可能に接続され、ポンプ7は、電源供給用の機器に電気的に接続される。
【0039】
続いて、ポンプ7が駆動すると、支柱2の内部2aの気流が制御される。具体的には、ポンプ7によって、ガス管6の内部の空気、本体部21の内部21aの空気、ひいては各収容部22の内部22aの空気が吸引される。これにより、各収容部22に形成された各導入口3から、各収容部22の内部22aへ外気が吸引される。このように、ポンプ7が駆動する間、測定モジュール1においては、植物Tの周囲の外気が支柱2の内部2aに導入される状態が継続される。つまり、ポンプ7が駆動する間、植物Tの匂い物質が、各匂いセンサ4に触れやすい状態になる。そして、このような状態で、各匂いセンサ4が植物Tの匂いを検出し、各環境センサ5が少なくとも1つの環境値を検出する。各匂いセンサ4が検出したデータ、及び各環境センサ5が検出したデータは、上記サーバに送信される。
【0040】
以上の測定モジュール1の動作により、少なくとも1つの環境値のデータが加味されつつ、各匂いセンサ4が検出したデータに基づいて、植物Tの状態が把握可能となる。サーバは、各匂いセンサ4の配置位置を記憶しておき、各匂いセンサ4の配置位置と各匂いセンサ4が検出したデータとを関連付けてもよい。各匂いセンサ4の配置位置と検出されたデータとを関連付けることにより、サーバは、植物Tの高さ方向における状態を把握及び管理できる。
【0041】
各収容部22が本体部21に着脱可能に取り付けられる場合、各収容部22の取付位置は、植物Tの成長に合わせて測定者によって適宜変更されてもよい。測定者は、例えば、植物Tの葉体Taがつく箇所等、所望の箇所に各匂いセンサ4を配置できる。
【0042】
[実施形態のまとめ]
測定モジュール1においては、中空の支柱2が、植物Tを支持するように培地Bに立設される。この支柱2の内部2aでは、支柱2の内部2aと外部とを連通する各導入口3と対応する位置に、各匂いセンサ4が配置される。そして、支柱2に接続されたポンプ7が、各導入口3から支柱2の内部2aへ外気を吸引する。植物Tは支柱2に支持され、植物Tから発せられる匂い物質は、ポンプ7の吸引によって各導入口3を介して支柱2の内部2aに取り込まれ、各匂いセンサ4によって検出される。植物Tから発せられる匂い物質は植物Tの状態に応じて変化する。この測定モジュール1は、匂いセンサ4によって匂い物質を検出することにより、光を用いて植物Tの状態を検出する場合と比べて、測定部位を詳細に決定して測定部位に光を当てるといった事前準備が不要となる。このため、この測定モジュール1は、植物Tが成長し、又は、風等の外力が加わることによって、測定部位の位置がずれたとしても、継続して植物Tの状態を検出できる。そして、この測定モジュール1は、匂いセンサ4へ匂い物質を誘導する流路を、植物Tを支持する支柱2に兼用させることで、配管と支柱2とを別個に設ける場合と比べて、より少ない部品点数で構成できる。よって、この測定モジュール1によれば、植物Tの背丈が高い場合であっても、植物Tの状態を簡易な構成で継続的に検出できる。
【0043】
測定モジュール1は、匂いセンサ4によって匂い物質を検出する。よって、測定モジュール1は、カメラ等、植物Tを視覚的に監視する装置を用いて得られる視覚的なデータと比較して、植物Tの生体情報をより直接的に示すデータを得ることができる。
【0044】
測定モジュール1においては、本体部21の内部21aと複数の収容部22とが連通するため、ポンプ7の数が1台であっても、各収容部22の内部22aの気流の制御が可能となる。よって、測定モジュール1は、効率的に植物Tの匂い物質を検出できる。
【0045】
支柱2は、植物Tの添え木としての機能、及び匂いセンサ4の支持機能に加えて、内部2aが中空状であることにより、ポンプ7とともに匂いセンサ4の検知能力を向上させる機能を有する。よって、測定モジュール1は、1つの支柱2に上記3つの機能を持たせることができる。
【0046】
測定モジュール1は、匂い物質を各収容部22内に取り込み、各収容部22の内部22aにおいて雰囲気中の匂い物質の濃度を高めることができる。よって、測定モジュール1は、植物Tの状態をより精度良く検出できる。
【0047】
測定モジュール1は、各匂いセンサ4が各導入口3と対応する位置に配置されることにより、植物Tにおける複数の箇所の匂いを検出できる。このため、測定モジュール1は、植物Tの状態をより精度良く検出できる。
【0048】
測定モジュール1は、複数の導入口3及び複数の匂いセンサ4が支柱2の高さ方向において等間隔で配列されることにより、植物Tにおいて下方から上方にかけて複数の箇所の匂いを検出できる。このため、測定モジュール1は、背丈が高い植物Tであっても、植物Tの状態をより精度良く検出できる。
【0049】
一般に、植物Tは、植物Tの高さ方向において低い箇所の葉体Taから枯れていく。また、植物Tの高さ方向において高い箇所の葉体Taは新しい葉体である。このような前提において、例えば、高い箇所の葉体Taの匂いが、他の箇所の葉体Taの匂いと異なる場合、植物Tは病気、及び食害等に侵されていることが示唆される。この点、測定モジュール1は、植物Tにおいて下方から上方にかけて複数の箇所の匂いを検出できるため、背丈が高い植物Tの健康状態が悪化しても早期に検出できる。
【0050】
[変形例]
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上記の例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。
【0051】
上記実施形態では、支柱2の高さ方向において互いに等間隔で配置された複数の導入口3、複数の収容部22、複数の複数の匂いセンサ4、及び複数の環境センサ5を説明した。しかしながら、複数の導入口3、複数の収容部22、複数の複数の匂いセンサ4、及び複数の環境センサ5のそれぞれは、等間隔に配置されなくてもよい。また、導入口3の数、収容部22の数、匂いセンサ4の数、及び環境センサ5の数のそれぞれは、1つであってもよい。その場合、本体部21には、1つの収容部22が取り付けられ、当該収容部22に収容された1つの匂いセンサ4が、1つの導入口3と対応する位置に配置され、1つの環境センサ5が当該収容部22の外壁面に配置されてもよい。
【0052】
上記実施形態では、各環境センサ5は、各収容部22の外壁に取り付けられていた。しかしながら、各環境センサ5の位置については限定されない。各環境センサ5は、例えば、各収容部22の内部22aに配置されてもよい。この場合、ポンプ7により気流が制御された環境下で各環境センサ5が環境値を検出するため、測定モジュール1は、環境値のばらつきを低減できる。
【0053】
支柱2は、複数の接続部分23を有しなくてもよい。その場合、各収容部22は、本体部21に直接的に接続されてもよい。各導入口3は、テーパー面31を含んでいなくてもよい。測定モジュール1は、ガス管6を備えなくてもよい。その場合、本体部21は、ポンプ7と直接的に接続されてもよい。測定モジュール1は、環境センサ5を備えなくてもよい。
【0054】
本開示に係る支柱の態様は、上記実施形態に限定されない。
図3は、変形例の測定モジュール1Aの内部を概略的に示す構成図である。
図3に示される例では、支柱2Aは、中空柱状を呈しており、複数の導入口3Aは、支柱2Aの側面に設けられる。支柱2Aの内部2bには、複数の匂いセンサ4Aが配置されている。具体的には、各匂いセンサ4Aは、支柱2Aの内部2bにおいて、各導入口3Aと対応する位置に配置される。一例として、各匂いセンサ4Aは、支柱2Aの内側壁から支柱2Aの高さ方向と垂直な方向に延びる板Hに固定される。ただし、各匂いセンサ4Aの固定方法については限定されない。この変形例によれば、匂いセンサ4Aを配置するためのスペースを支柱2Aの外部に設ける必要がなくなる。よって、測定モジュール1Aは、省スペース化を図ることができる。また、測定モジュール1Aは、測定モジュール1Aの重心を安定させることができる。
【符号の説明】
【0055】
1,1A…測定モジュール、2,2A…支柱、2a,2b…支柱の内部、3,3A…導入口、4,4A…匂いセンサ、5…環境センサ、7…ポンプ、21…本体部、21a…本体部の内部、22…収容部、22a…収容部の内部、23…接続部分、31…テーパー面、T…植物。