(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129431
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】データ生成装置、プリンタシステム、コンピュータプログラム、および、インク吐出調整方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240919BHJP
B41J 2/21 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
G06F3/12 356
B41J2/21
G06F3/12 331
G06F3/12 308
G06F3/12 380
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038640
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 恵実
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA11
2C056EB27
2C056EB47
2C056EC79
2C056EE03
2C056FA10
(57)【要約】
【課題】印刷したい画像のインク吐出の最適な設定を比較的容易に見つける。
【解決手段】データ生成装置90は、水準設定部92にて設定された吐出パラメータSP1~SP3の水準の組み合わせに対応する印刷画像データP21を生成する。ユーザは、印刷画像データP21により印刷されたテストパターン141a~141iのうち、所望の仕上がりとなっているものを選択する。選択したテストパターンの吐出パラメータSP1~SP7の水準を印刷画像データP21の印刷の最適な設定として決定する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアにインクを吐出するインクヘッドと、前記インクヘッドと前記メディアとを相対移動させる移動機構と、を備えたインクジェットプリンタに用いられ、1または複数の吐出パラメータに基づいて前記インクヘッドと前記メディアとを相対移動させながら前記メディアに印刷するための印刷画像データを生成するデータ生成装置であって、
前記メディアに印刷する所望の画像を表す画像データを取得する画像データ取得部と、
前記各吐出パラメータについて複数の水準を設定する水準設定部と、
前記各吐出パラメータを前記各水準にそれぞれ設定して前記画像データを印刷する場合の印刷画像データを生成する印刷画像データ生成部と、を備えるデータ生成装置。
【請求項2】
前記吐出パラメータは、単位面積当たりのインク吐出量、インクの積層回数、および前記メディアと前記インクヘッドとの相対速度のうち少なくともいずれか一つを含む、請求項1に記載のデータ生成装置。
【請求項3】
前記印刷画像データ生成部は、前記画像データ取得部が取得した前記画像データの一部を用いて前記印刷画像データを生成する、請求項1に記載のデータ生成装置。
【請求項4】
前記印刷画像データに基づいて前記メディアに印刷することにより形成され、前記吐出パラメータおよび前記水準の組み合わせにそれぞれ対応する複数のテストパターンを識別するための識別情報を生成する識別情報生成部を備えている、請求項1に記載のデータ生成装置。
【請求項5】
前記水準設定部は、前記画像データのうち一部の色に対して、前記各吐出パラメータを複数の前記水準で設定する請求項1に記載のデータ生成装置。
【請求項6】
前記画像データは、少なくとも2色以上の色のデータを有し、
前記水準設定部は、前記画像データに含まれる複数の色に対してそれぞれ異なる前記吐出パラメータの前記水準を設定する、請求項1に記載のデータ生成装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のデータ生成装置と、前記インクジェットプリンタと、を備えるプリンタシステム。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1から6のいずれか一項に記載のデータ生成装置として動作させるように構成されている、コンピュータプログラム。
【請求項9】
メディアにインクを吐出するインクヘッドと、前記インクヘッドと前記メディアとを相対移動させる移動機構と、を備えたインクジェットプリンタに用いられ、1または複数の吐出パラメータに基づいて前記インクヘッドと前記メディアとを相対移動させながらインクを吐出することにより、前記メディアにテストパターンを印刷するインク吐出調整方法であって、
前記メディアに印刷する所望の画像を表す画像データを取得する画像データ取得工程と、
前記各吐出パラメータについて複数の水準を設定する水準設定工程と、
前記各吐出パラメータを前記各水準にそれぞれ設定して前記所望の画像を印刷する場合の印刷画像データを生成する印刷画像データ生成工程と、
前記印刷画像データ生成工程により生成された印刷画像データに基づいて前記インクヘッドからインクを吐出することにより、前記吐出パラメータおよび前記水準の組み合わせにそれぞれ対応する複数のテストパターンを印刷するテストパターン印刷工程と、を含むインク吐出調整方法。
【請求項10】
前記吐出パラメータは、前記テストパターンの単位面積当たりのインク吐出量、インクの積層回数、および前記メディアと前記インクヘッドとの相対速度のうち少なくともいずれか一つを含む、請求項9に記載のインク吐出調整方法。
【請求項11】
前記印刷画像データ生成工程は、前記画像データ取得工程で取得した前記画像データの一部を用いて前記印刷画像データを生成する、請求項9に記載のインク吐出調整方法。
【請求項12】
前記テストパターン印刷工程は、前記複数のテストパターンの各々を識別するための識別情報を印刷する、請求項9に記載のインク吐出調整方法。
【請求項13】
前記水準設定工程は、前記画像データに含まれる色の一部の色に対して、前記各吐出パラメータを複数の前記水準に設定する、請求項9に記載のインク吐出調整方法。
【請求項14】
前記水準設定工程は、前記画像データに含まれる複数の色に対して、それぞれ異なる前記吐出パラメータの前記水準を設定する、請求項9に記載のインク吐出調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ生成装置、プリンタシステム、コンピュータプログラム、および、インク吐出調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、メディアに印刷されたインクの状態(インクの濃さや光沢度など)を確認するために、インクの吐出の条件を変更して形成した複数のパッチをメディアに印刷するインクジェットプリンタが知られている。例えば、特許文献1には、ブラックのインクおよびクリアインクを吐出することにより、グレースケールチャートを印刷する画像形成装置が開示されている。特許文献1の画像形成装置によると、単位面積あたりに吐出されるブラックのインクの量とクリアインクの量とをそれぞれ変更した複数のパッチを形成し、複数のパッチを有するグレースケールチャートが印刷される。ユーザは、グレースケールチャートが有する各パッチの光沢度を測定し、所望の光沢度となっているパッチを選択する。このことにより、所望の光沢度となるブラックのインクの量およびクリアインクの量が決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような画像形成装置の場合、ユーザは、パッチを用いてインクの状態を確認している。しかし、ユーザが印刷したい画像では、複数の色のインクが重なり合っている場合やインクが吐出される領域の形状がパッチの形状と異なる場合がある。したがって、選択されたパッチが印刷されたときと同じ条件にて、ユーザが印刷したい画像を印刷しても、印刷物がユーザの所望する仕上がりにならない可能性がある。一方、ユーザが印刷したい画像自体を印刷し、その結果得られる印刷物を用いて仕上がりを確認することが考えられる。しかし、印刷物を用いて確認しようとすると、所望する仕上がりが得られるまで、インクの吐出の条件を変えながら印刷を繰り返す必要がある。したがって、印刷の度に都度メディアおよびインクを消費することとなる。
【0005】
本発明は、係る点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザが印刷したい画像に関するインク吐出の最適な設定を比較的容易に見つけることができるデータ生成装置、プリンタシステム、コンピュータプログラム、および、インク吐出調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るデータ生成装置は、メディアにインクを吐出するインクヘッドと、前記インクヘッドと前記メディアとを相対移動させる移動機構と、を備えたインクジェットプリンタに用いられ、1または複数の吐出パラメータに基づいて前記インクヘッドと前記メディアとを相対移動させながら前記メディアに印刷するための印刷画像データを生成するデータ生成装置であって、前記メディアに印刷する所望の画像を表す画像データを取得する画像データ取得部と、前記各吐出パラメータについて複数の水準を設定する水準設定部と、前記各吐出パラメータを前記各水準にそれぞれ設定して前記画像データを印刷する場合の印刷画像データを生成する印刷画像データ生成部と、を備えている。
【0007】
本発明のデータ生成装置によれば、前記画像データ取得部が所望の前記画像データを取得する。前記印刷画像データ生成部は、前記画像データより前記印刷画像データを生成する。前記印刷画像データ生成部は、前記水準設定部に設定された前記各吐出パラメータの複数の水準により、前記印刷画像データを生成する。前記印刷画像データを用いて前記メディアに印刷することにより、ユーザは、前記水準の違いによるインクの吐出の違いを把握しやすくなる。このことにより、最適な吐出の設定を比較的容易に見つけることができる。
【0008】
本発明に係るプリンタシステムは、上記データ生成装置と、上記インクジェットプリンタと、を備える。係るプリンタシステムによれば、インク吐出の最適な設定を比較的容易に見つけることができる。
【0009】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを上記データ生成装置として動作させるように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザが印刷したい画像に関するインク吐出の最適な設定を比較的容易に見つけることができるデータ生成装置、プリンタシステム、コンピュータプログラム、および、インク吐出調整方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係るプリンタシステムの概念図である。
【
図2】一実施形態に係るにプリンタおよびデータ生成装置の正面図である。
【
図3】一実施形態に係るプリンタの制御装置のブロック図である。
【
図4】一実施形態に係るインクヘッドの底面の構成を示す模式図である。
【
図5】画像データをRIP処理するときの模式図である。
【
図6】RIPアプリケーションの画面を示す図である。
【
図8】一実施形態に係るテストパターンを示す図である。
【
図9】テストパターンを印刷した後、本番用印刷画像データにより印刷する手順を示すフローチャートである。
【
図10】別実施形態に係るテストパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下、「プリンタ」という。)について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るプリンタシステム1の概念図である。
図1に示すように、プリンタシステム1は、プリンタ10と、データ生成装置90を備えている。プリンタ10は、データ生成装置90により生成された印刷画像データP21に基づいて、
図2に示すメディア5に印刷を行う。本実施形態に係るメディア5は、印刷が可能な媒体であれば足り、特に限定されない。メディア5は、記録紙、樹脂製のシート、シール材等であってもよい。本実施形態に係るプリンタ10は、ロールとして供給されたメディア5を順次引き出しながら、メディア5に対して印刷を行う。
【0014】
図2は、本実施形態に係るプリンタ10を示す正面図である。
図3は、本実施形態に係るプリンタシステム1のブロック図である。
図4は、プリンタ10のインクヘッド61の底面の構成を模式的に示す底面図である。
図2および
図4に示す符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれプリンタ10の前、後、左、右、上、下を意味するものとする。図面中の符号Yは走査方向(主走査方向)を示している。本実施形態では、走査方向Yは左右方向である。図面中の符号Xは搬送方向(副走査方向)を示している。本実施形態では、搬送方向Xは、前後方向であり、平面視において走査方向Yと交差(ここでは直交)する方向である。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0015】
プリンタ10は、メディア5を支持するプラテン11と、メディア5を搬送する搬送装置30と、キャリッジ移動装置40と、インクを吐出するインクヘッド61を備えるキャリッジ60と、インク供給ユニット70と、制御装置110(
図1参照)と、操作パネル150と、を備えている。搬送装置30とキャリッジ移動装置40とは、メディア5とインクヘッド61と相対移動させる移動機構20を構成している。
【0016】
搬送装置30は、プラテン11に支持されたメディア5を搬送方向Xに移動させるように構成されている。搬送装置30は、グリットローラ31と、ピンチローラ32と、フィードモータ33と、を備えている。グリットローラ31は、プラテン11に設けられている。グリットローラ31は、フィードモータ33に駆動されることにより回転する。ピンチローラ32は、グリットローラ31の上方に配置されている。ピンチローラ32は、グリットローラ31と対向するように設けられている。ピンチローラ32は、グリットローラ31に対し接近および離反が可能なように、上下に揺動自在に構成されている。メディア5がピンチローラ32とグリットローラ31との間に挟み込まれた状態でグリットローラ31が回転すると、メディア5は搬送方向Xに搬送される。フィードモータ33は、制御装置110に電気的に接続され、制御装置110によって制御されている。
【0017】
キャリッジ移動装置40は、ガイドレール41と、プーリ42と、プーリ43と、ベルト44と、スキャンモータ45と、を備えている。ガイドレール41は、プラテン11の上方に設けられている。ガイドレール41は、走査方向Yに延びている。ガイドレール41には、キャリッジ60が摺動自在に係合している。プーリ42は、ガイドレール41の左端より左方に設けられている。プーリ43は、ガイドレール41の右端より右方に設けられている。キャリッジ60は、プラテン11の上方に、プラテン11に対向するように設けられている。ベルト44は、プーリ42とプーリ43とに巻き掛けられている。右側のプーリ43には、スキャンモータ45が接続されている。ただし、スキャンモータ45は、左側のプーリ42に接続されていてもよい。スキャンモータ45が駆動して、プーリ43が回転することにより、プーリ42とプーリ43との間においてベルト44が走行する。スキャンモータ45は、制御装置110に電気的に接続され、制御装置110によって制御されている。
【0018】
キャリッジ60は、複数のインクヘッド61を備えている。
図4に示すように、インクヘッド61は、搬送方向Xの長さが走査方向Yの長さよりも長い形状に形成されている。インクヘッド61は、同じ形状かつ同じ大きさに形成されている。インクヘッド61は、搬送方向Xに並ぶ複数のノズル62と、ノズル列62aが形成されたノズル面63とを備えている。インクヘッド61のノズル62は、メディア5にインクを吐出する。本実施形態では、キャリッジ60は、5つのインクヘッド61を備えているが、インクヘッド61の数は5つに限定されない。また、インクヘッド61は、1列のノズル列62aを備えているが、2以上のノズルを備えていてもよい。また、
図3では、ノズル列62aを形成するノズル62の数は12個としているが、実際にはもっと多数(例えば200~300個程度)のノズル62が形成されている。
【0019】
図2に示すように、インク供給ユニット70は、インクタンク71と、インク供給路72と、を有している。各インクタンク71に収容されているインクがインク供給路72を通り、各インクヘッド61に供給される。
【0020】
各インクタンク71には、例えばプロセスカラーインクおよび特色インク(例えばホワイトインク、クリアインクなど)のうちの1つのインクがそれぞれ貯留されている。ただし、インクタンク71に貯留されるインクの色は特に限定されない。インクは、無色インクであってもよい。また、インクの材料も何ら限定されず、従来からインクジェットプリンタのインクの材料として用いられている各種の材料を使用することができる。上記インクは、例えば、ソルベント系(溶剤系)顔料インクや水性顔料インクであってもよい。あるいは、上記インクは、水性染料インクや、紫外線を受けて硬化する紫外線硬化型顔料インクなどであってもよい。インクタンク71は、例えばインクカートリッジであってもよいし、パウチ状のものであってもよい。
【0021】
インク供給路72は、インクタンク71とインクヘッド61とを接続する流路である。インク供給路72の一端は、インクタンク71に接続され、インク供給路72の他端は、インクヘッド61に接続されている。インク供給路72の構成は特に限定されないが、インク供給路72は、例えば可撓性を有するチューブによって構成されている。インクタンク71内のインクは、インク供給路72を流れてインクヘッド61に供給される。
【0022】
図1に示す制御装置110は、メディア5(
図2参照)への印刷に関する制御を行う装置である。制御装置110の構成は特に限定されない。制御装置110は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェア構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータ等の外部機器から印刷データ等を受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリ等の記憶装置と、を備えている。
【0023】
図3に示すように、制御装置110は、フィードモータ33と、スキャンモータ45と、インクヘッド61と、操作パネル150とに接続され、それらの動作を制御している。制御装置110の詳細な構成については、後述する。
【0024】
図2に示すように、プリンタ10の右側のサイドカバー13Rの前面には、ボタンおよびディスプレイを有する操作パネル150が配置されている。操作パネル150は、制御装置110に接続されている。
【0025】
以上、本実施形態に係るプリンタ10の構成について説明した。次に、
図5に示す画像データP20および印刷画像データP21について説明する。
図5は、画像データP20を用いて印刷画像データP21が生成されるときの模式図である。画像データP20は、ユーザが印刷を所望する画像を表すデータである。画像データP20は、例えば、PDF(Portable Document Foremat)形式のデータである。画像データP20には、写真などの他に、図形、記号、文字など、または、画像、図形、記号および文字などの組み合わせたものが含まれる。データ生成装置90は、
図5に示すように画像データP20より印刷画像データP21を生成する。本実施形態において印刷画像データP21は、画像データP20をRIP(Raster Image Processor)処理することにより得られるラスターデータまたはビットマップデータのことである。ここで、RIP処理とは、画像データP20をプリンタ10が出力可能なデータに変換する処理全般を含む。例えば、画像データP20の解像度を印刷解像度に変換する解像度変換処理や、画像データP20で表現される色をプリンタ10で使用されるインクの色で表現できるように、色データを変換する色変換処理、印刷時に吐出されるインク量を調整するインク量調整処理、画像データP20を2値化するハーフトーン処理等を含む。
図3に示すデータ生成装置90には、RIP処理をするための専用のRIPアプリケーションがインストールされている。ユーザがRIPアプリケーションを操作することにより、印刷画像データP21が生成される。印刷画像データP21には、後述する吐出パラメータSP1~SP3(
図7参照)に関する情報が含まれている。各吐出パラメータSP1~SP3を各水準に設定して画像データP20を印刷する場合のデータが印刷画像データP21である。以下の説明では、データ生成装置90の構成は、全てRIPアプリケーションが備える構成であり、かつ、データ生成装置90の動作は、全てRIPアプリケーションによる動作である。なお、データ生成装置90は、RIPアプリケーション以外の機能を有していてもよい。
【0026】
次に、データ生成装置90について説明する。
図1に示すデータ生成装置90は、メディア5への印刷を指示する装置である。データ生成装置90の構成は特に限定されない。データ生成装置90は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェア構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータ等の外部機器から画像データや形状データ等を受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリ等の記憶装置と、を備えている。データ生成装置90は、有線または無線により制御装置110と通信可能に接続している。データ生成装置90は、表示画面90aと操作機構90bとに接続している。表示画面90aには、RIPアプリケーションの操作画面が表示される。操作機構90bは、RIPアプリケーションを操作するための機構であり、例えば、マウスやキーボードである。本実施形態では、データ生成装置90、表示画面90a、および操作機構90bは、ノートパソコンによって構成されている。ただし、データ生成装置90、表示画面90a、および操作機構90bの形態は何ら限定されない。
【0027】
データ生成装置90は、コンピュータのCPUがコンピュータプログラムを実行することによって構成されるものであってもよい。かかるコンピュータプログラムには、データ生成装置90の動作が書き込まれていてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。記録媒体としては、例えば、半導体記録媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリーカード)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク)などが例示される。上記コンピュータプログラムは、上記記録媒体あるいはインターネットなどのネットワークを介して、サーバーコンピュータに送信することができる。この場合、サーバーコンピュータもまた、ここに開示される発明の一形態である。
【0028】
次に、RIPアプリケーションの操作画面について説明する。
図6は、RIPアプリケーションを起動しているときのデータ生成装置90の表示画面90aを示す図である。データ生成装置90は、
図6に示すRIP画面DP1を表示するようにプログラムされている。RIP画面DP1は、印刷画像データP21を生成することをユーザが指示するための画面である。図示は省略するが、データ生成装置90の備える表示画面90aには、例えばRIP起動アイコンが表示されている。ユーザは、上記RIP起動アイコンを選択することにより、データ生成装置90は、RIP画面DP1を表示画面90aに表示する。
【0029】
なお、以下の説明において、表示画面90aに表示されたものを「選択する」とは、例えば、データ生成装置90の操作機構90bを操作することにより、上記のものをクリックすることなどをいう。
【0030】
本実施形態では、RIP画面DP1は、選択領域AR1を有する。選択領域AR1には、複数のジョブJBがリスト化されて配置されている。ここで、ジョブとは、プリンタ10が印刷を行う画像データP20のことである。プリンタ10が順に実行するジョブのリストをジョブリストという。ジョブJBには、印刷を行うときのパラメータである吐出パラメータの情報が紐づけて保存されている。RIP画面DP2には、選択されているジョブJBに含まれる画像データP20が表示される。すなわち、編集しようとしているジョブJBの画像データP20が表示される。本実施形態では、画像データP20が可視化され表示された印刷画像IGが表示されている。各ジョブJBは、入力ボックスIBを備えている。入力ボックスIBは、後述するテストパターン141a~141i(
図8参照)の通し番号SN1~SN9(
図8参照)が示す番号のいずれか一つを入力するものである。
【0031】
図7は、ジョブJBの設定を編集する画面であるジョブ編集画面JPを示す図である。図示は省略するが、例えば、ジョブ編集画面JPは、
図6に示すジョブJBを右クリックして開かれるメニューの中から、ジョブ編集画面JPを起動する項目を選択することにより、表示画面90aに表示されるものである。
図7に示すように、ジョブ編集画面JPには、吐出パラメータSP1~SP3、色選択ボックスCCおよび決定ボタンBT21が表示されている。本実施形態におけるジョブ編集画面JPは、試し印刷を実行するときの設定を行うものである。ここで、「試し印刷」とは、ユーザが印刷したい画像、すなわち本実施形態においては、画像データP20を印刷するときの最適な設定を見つけるために実行される印刷のことを指す。最適な設定を見つけるために、複数の吐出パラメータSP1~SP3に対し、それぞれ複数の水準が設定される。試し印刷では、選択された1つまたは複数の吐出パラメータと、選択された1つまたは複数の吐出パラメータに対して設定された水準との組み合わせの数の分の印刷を一度に実行する。ただし、試し印刷は、上記の組み合わせのうち一部のみを実行するものであってもよい。
【0032】
吐出パラメータSP1~SP3は、プリンタ10がインクヘッド61、搬送装置30、およびキャリッジ移動装置40(
図2参照)を制御するときの設定である。吐出パラメータSP1~SP3は、それぞれについて複数の水準を設けることができるように構成されている。本実施形態では、吐出パラメータSP1~SP3は、それぞれ3水準まで設定できるように構成されている。ただし、水準の数は3つに限定されない。また、水準の数は吐出パラメータ毎に異なっていてもよい。吐出パラメータSP1~SP3の水準は、プルダウンボックスPBを選択することにより入力される。ただし、プルダウンボックスPBは、水準の入力方法の一例である。例えば、吐出パラメータSP1~SP3の水準は、テキストボックスにより直接入力されるものであってもよい。吐出パラメータSP1~SP3には、それぞれチェックボックスCBが設けられている。チェックボックスCBは、試し印刷において複数の水準にて印刷するか否かを決定するものである。チェックボックスCBにチェックマークが入っていない場合、プルダウンボックスPBを選択できないように構成されている。吐出パラメータSP1~SP3のチェックボックスCBにチェックマークが入っていないものについては、例えば初期設定にて試し印刷されるように構成されている。以下、吐出パラメータSP1~SP3についてそれぞれ説明する。
【0033】
吐出パラメータSP1は、テストパターンの単位面積当たりのインク量である。テストパーンの単位面積当たりのインク量とは、テストパターン141a~141i(
図8参照)を印刷するときに、テストパターン141a~141iの単位面積当たりに吐出するインクの量のことである。本実施形態では、1インチ当たりのドット数である解像度の数値を用いる。ただし、吐出パラメータSP1は、例えば、1cm
2当たりに吐出するインク量を指示するものであってもよいし、各画素に吐出するインクのサイズを指定するものであってもよい。解像度が高いほど、印刷物の画質が綺麗になるが、インクの消費量が増加する。一方、解像度が低いと、印刷物の画質が荒くなるが、インクの消費量は比較的少なくなる。
【0034】
吐出パラメータSP2は、インクの積層回数である。インクの積層回数とは、インクヘッド61(
図2参照)より吐出されることにより形成されるインクの層の数を指示するものである。例えば、インクを重ねて印刷する、所謂、オーバープリントの場合、インクの積層回数が少なすぎると、下の層のインクの色やメディア5の色が透けて見えることがある。一方、インクの積層回数が多すぎても、印刷物が分厚くなることや、インクの無駄が生じる。
【0035】
吐出パラメータSP3は、ヘッド速度である。ヘッド速度とは、インクを吐出するときのメディア5(
図2参照)に対するインクヘッド61の相対速度のことである。すなわち、メディア5に対してキャリッジ60を相対移動させるときのキャリッジ60の速度のことである。インクヘッド61は、キャリッジ60と同じ速度にて移動する。ヘッド速度は、印刷を行うときのスキャンモータ45の回転速度を変更することにより調整される。スキャンモータ45の回転速度を速くするほど、ヘッド速度が速くなり、スキャンモータの45の回転速度を遅くするほど、ヘッド速度が遅くなる。ヘッド速度が速すぎると、インクがメディア5の所望の位置に着弾しない可能性がある。一方、ヘッド速度を遅くしすぎると、印刷に要する時間が長くなり、作業効率の低下につながる。
【0036】
図7に示す色選択ボックスCCは、画像データP20のうち、ジョブ編集画面JPで設定された吐出パラメータSP1~SP3の値を適用して試し印刷を行う色を選択するボックスである。色選択ボックスCCを選択すると、複数の色から構成されたカラーパレットCPが表示される。ユーザは、ジョブ編集画面JPで設定された吐出パラメータSP1~SP3の値を適用して試し印刷を実行したい色をカラーパレットCPの中から選択する。画像データP20のうち、カラーパレットCPの中から選択された色と同一の色に対してのみ設定された吐出パラメータSP1~SP3の値を適用して試し印刷が実行される。このとき、画像データP20のうち、カラーパレットCPで選択されなかった色は、例えば、吐出パラメータSP1~SP3の値が初期設定の状態にて試し印刷される。色選択ボックスCCが選択されていない場合は、画像データP20の有する全ての色に対してジョブ編集画面JPで設定された吐出パラメータSP1~SP3の値を適用して試し印刷が実行される。
【0037】
決定ボタンBT21は、ジョブ編集画面JPに表示されている各設定を決定するものである。決定ボタンBT21を選択すると、編集中のジョブJBの情報が更新され、保存される。
【0038】
プリンタ10は、上記の吐出パラメータSP1~SP3およびその水準に基づいて試し印刷を実行する。本実施形態では、
図7に示すように、吐出パラメータSP1および吐出パラメータSP2のチェックボックスCBにチェックマークが選択されている。吐出パラメータSP1および吐出パラメータSP2は、それぞれ3水準ずつ設定されている。したがって、その組み合わせは全部で9通りである。よって、本実施形態における試し印刷は、印刷画像データP21(
図5参照)に対して、9通りの組み合わせにて印刷を実行する。
【0039】
以上、RIPアプリケーションの操作画面について説明した。次に、データ生成装置90の構成について説明する。データ生成装置90を実現するコンピュータは、プリンタ10の専用のコンピュータであってもよいし、汎用のコンピュータであってもよい。
【0040】
データ生成装置90は、画像データ取得部91と、水準設定部92と、印刷画像データ生成部93と、識別情報生成部94と、パラメータ入力部95と、送信部96と、を備えている。
【0041】
画像データ取得部91は、データ生成装置90に取り込まれた画像データP20を取得し、保存する。画像データP20は、例えばUSBメモリなどの記憶媒体や他のコンピュータ(図示せず)によりデータ生成装置90に取り込まれる。あるいは、画像データP20は、データ生成装置90により生成されるものであってもよい。
【0042】
水準設定部92は、
図7に示すジョブ編集画面JPの吐出パラメータSP1~SP3の水準を設定する。本実施形態では、
図7に示すように、吐出パラメータSP1のおよび吐出パラメータSP2についてそれぞれ3水準を設定している。
【0043】
印刷画像データ生成部93は、水準設定部92において設定された吐出パラメータSP1~SP3の水準の数に基づいて、印刷画像データP21を複数生成する。本実施形態では、
図7に示すように、吐出パラメータSP1および吐出パラメータSP2のそれぞれについて3水準が設定されている。したがって、3×3=9種類の水準の組み合わせが発生する。印刷画像データ生成部93は、印刷画像データP21に9種類の各水準の組み合わせをそれぞれ紐づけた9つの印刷画像データP21を生成する。9つの印刷画像データP21は、それぞれ
図8に示すテストパターン141a~141iを形成するデータである。なお、9つの印刷画像データP21は、単一のデータとして生成されてもよい。また、本実施形態では、試し印刷後に、印刷画像データ生成部93は、後述するパラメータ入力部95によって入力された吐出パラメータSP1~SP3の水準に基づいて、本番用印刷画像データP22を生成する。ここで、本番用印刷画像データP22とは、試し印刷の結果に基づいて、ユーザが吐出パラメータSP1~SP3の水準を1つに決定した印刷画像データである。
【0044】
識別情報生成部94は、試し印刷によってメディア5に形成されるテストパターン141a~141iをそれぞれ識別するための識別情報IFを生成する。識別情報IFは、テストパターン141a~141iを形成するときのそれぞれの吐出パラメータSP1~SP3およびその水準の情報を有している。識別情報IFは、印刷画像データP21に含まれるように生成されてもよい。
【0045】
パラメータ入力部95は、印刷画像データ生成部93が生成した印刷画像データP21のうち、選択された一つの印刷画像データP21の吐出パラメータSP1~SP3およびその水準を入力する。パラメータ入力部95は、例えば、RIPアプリケーションを操作して入力されるものでもよく、操作パネル150を操作して入力されるものであってもよい。
【0046】
送信部96は、印刷画像データ生成部93により生成された印刷画像データP21および識別情報生成部94により生成された識別情報IFを制御装置110に送信する。
【0047】
以上、データ生成装置90について説明した。次に、制御装置110の構成について説明する。制御装置110は、印刷画像データ取得部111と、テストパターン印刷部112と、画像印刷部113と、を備えている。
【0048】
印刷画像データ取得部111は、データ生成装置90の送信部96が送信した印刷画像データP21を取得する。
【0049】
テストパターン印刷部112は、印刷画像データ生成部93が生成した複数の印刷画像データP21に基づいて印刷を実行する。テストパターン印刷部112は、吐出パラメータSP1~SP3が水準設定部92により設定された複数の水準となるように、搬送装置30、キャリッジ移動装置40およびインクヘッド61を制御する。
図8は、テストパターンの一例を示す図である。
図8に示すように、メディア5には、9つのテストパターン141a~141iが印刷されている。9つのテストパターン141a~141iはそれぞれ、印刷画像データ生成部93が生成した9つの印刷画像データに基づいて試し印刷を実行したものである。
【0050】
テストパターン印刷部112は、識別情報IFに基づいて、テストパターン141a~141iにそれぞれ識別情報を印刷する。識別情報IFが印刷されることにより、
図8に示すパラメータ情報SPS1~SPS9がメディア5に印刷される。パラメータ情報SPS1~SPS9は、テストパターン141a~141iのそれぞれを試し印刷したときの吐出パラメータSP1~SP3およびその水準を示すものである。本実施形態では、解像度およびインク積層回数に対し複数の水準を設定しているため、パラメータ情報SPS1~SPS9には、「解像度」および「インク積層回数」の文字と、それぞれの水準の数値とが印刷されている。本実施形態では、パラメータ情報SPS1~SPS9に加えて、通し番号SN1~SN9もメディア5に印刷されている。通し番号SN1~SN9は、テストパターン141a~141iを識別するための便宜上の番号であり、本実施形態では、「1」~「9」の数字が印刷されている。データ生成装置90の識別情報生成部94には、通し番号SN1~SN9のそれぞれに吐出パラメータSP1~SP3およびその水準が紐づけて保存されている。
【0051】
画像印刷部113は、試し印刷後に、印刷画像データ生成部93により生成された本番用印刷画像データP22に基づいて印刷を実行する。
【0052】
以上、制御装置110の構成について説明した。次に、プリンタ10が試し印刷を行う手順を説明する。
図9は、試し印刷を行い、吐出パラメータSP1~SP3の水準を決定した後、本番用印刷画像データP22により印刷する手順を示すフローチャートである。
【0053】
ステップS101において、データ生成装置90の画像データ取得部91は、画像データP20を取得する。このとき、
図6に示すように、表示画面90aに表示されたRIP画面DP2には、印刷画像IGが表示される。
【0054】
ステップS102において、
図7に示すように、試し印刷における吐出パラメータSP1~SP3およびその水準が設定される。本実施形態では、
図7に示すように、吐出パラメータSP1および吐出パラメータSP2のチェックボックスCBが選択され、吐出パラメータSP1および吐出パラメータSP2のそれぞれについて3水準が設定されている。なお、本実施形態では、色選択ボックスCCが選択されていないため、画像データP20が有する全ての色に対して吐出パラメータSP1および吐出パラメータSP2の水準を適用する。ステップS102は、水準設定部92より実行される。ステップS103において、印刷画像データ生成部93は、ステップS102にて設定された吐出パラメータSP1~SP3およびその水準と、画像データ取得部91に保存されている画像データP20と、を紐づけて複数の試し印刷用の印刷画像データP21を生成する。さらに、ステップS103において、印刷画像データ生成部93は、水準設定部92により設定された吐出パラメータSP1~SP3およびその水準に基づいて、各印刷画像データP21の識別情報IFを生成してもよい。送信部96は、生成した印刷画像データP21を印刷画像データ取得部111に送信する。識別情報IFが生成されている場合、送信部96は、識別情報IFを印刷画像データP21とともに送信する。
【0055】
ステップS104において、印刷画像データ取得部111は、印刷画像データP21を取得する。識別情報IFが生成されている場合、印刷画像データ取得部111は、識別情報IFを取得する。テストパターン印刷部112は、印刷画像データ生成部93が生成した複数の印刷画像データP21に基づいて、試し印刷を実行する。識別情報IFが生成されている場合、テストパターン印刷部112は、識別情報IFを印刷してもよい。
【0056】
ステップS105において、パラメータ入力部95に、ユーザが所望の通りに印刷されていると判断したテストパターンにおける吐出パラメータSP1~SP3およびその水準が入力される。本実施形態では、ユーザは、
図8に示すテストパターン141a~141iのうち、所望の状態となっているものの通し番号SN1~SN9が示す数字を、
図6に示すRIP画面DP1の入力ボックスIBに入力する。通し番号SN1~SN9のいずれか一つが入力されると、通し番号SN1~SN9に紐づけて保存されている吐出パラメータSP1~SP3およびその水準がパラメータ入力部95に自動で入力される。なお、パラメータ入力部95に入力される水準は、ステップS102において設定された水準と異なる値が直接入力されるものであってもよい。
【0057】
ステップS106において、印刷画像データ生成部93は、ステップS105において入力された吐出パラメータSP1~SP3およびその水準に基づいて本番用印刷画像データP22を生成する。なお、ステップS105において入力された吐出パラメータSP1~SP3およびその水準が、ステップS102において設定された水準と同じである場合は、ステップS102で生成された印刷画像データP21と本番用印刷画像データP22とが同一の内容を有するデータとなるため、ステップS102にて生成された印刷画像データP21のいずれか一つを本番用印刷画像データP22としてよい。
【0058】
ステップS107において、画像印刷部113は、ステップS106において生成された本番用印刷画像データP22に基づいて、印刷を実行する。
【0059】
以上のように、本実施形態のデータ生成装置90によると、画像データ取得部91が画像データP20を取得する。印刷画像データ生成部93は、画像データP20より印刷画像データP21を生成する。印刷画像データ生成部93は、水準設定部92に設定された吐出パラメータSP1~SP3の複数の水準に基づいて印刷画像データP21を生成する。印刷画像データP21を用いて、プリンタ10による印刷が実行されると、テストパターン141a~141iが形成される。複数の印刷画像データP21は、設定されている吐出パラメータSP1~SP3の水準の設定が異なる。このことにより、ユーザは、吐出パラメータSP1~SP3の水準の違いによる印刷の仕上がりの違いを把握しやすくなる。したがって、ユーザは、インク吐出の最適な設定を比較的容易に見つけることができる。さらに、
図8に示すように、複数のテストパターン141a~141iが一度に印刷されるため、ユーザがインク吐出の最適な設定を見つけるまで複数回印刷を実行する必要がない。このことにより、インク吐出の最適な設定を見つける時間が比較的短くなる。
【0060】
本実施形態のデータ生成装置90によると、吐出パラメータSP1~SP3に対し、複数の水準が設定される。吐出パラメータSP1~SP3は、印刷の品質に関わるパラメータであり、これらのパラメータの組み合わせについて最適な組み合わせとその水準を設定することができる。
【0061】
本実施形態のデータ生成装置90によると、識別情報生成部94がテストパターン141a~141iをそれぞれ識別するための識別情報IFを生成する。識別情報IFが印刷されることにより、
図8に示すように、メディア5にテストパターン141a~141iとともに符号SPS1~SPS9および通し番号SN1~SN9がメディア5に印刷される。このことにより、ユーザは、テストパターン141a~141iのそれぞれについて、吐出パラメータSP1~SP3の各水準をどのように設定したうえで印刷されたものなのかを把握しやすくなる。
【0062】
以上、本発明の好適な一実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他にも種々の形態により実施することができる。
【0063】
上述した実施形態では、印刷画像データ生成部93は、画像データP20に含まれる全範囲の画像を用いて印刷画像データP21を生成していたがこれに限定されない。印刷画像データ生成部93は、画像データP20の一部のみを用いて印刷画像データP21を生成してもよい。
図10は、画像データP20の一部に基づいて印刷されたテストパターン142a~142iを示す図である。ユーザは、画像データP20のうち印刷の最適な設定を確認したい範囲が、画像データP20の一部の範囲である場合には、
図10に示すテストパターン142a~142iのように、画像データP20の一部のみについて試し印刷をすることができる。
【0064】
上述した実施形態では、画像データP20の有する全ての色に対して試し印刷を実行したがこれに限定されない。水準設定部92は、印刷画像データP21の一部の色についてのみ吐出パラメータSP1~SP3の水準を変化させて印刷してもよい。例えば、印刷画像データP21のうち、ある一色のみについて試し印刷による吐出パラメータSP1~SP3の水準による変化を確認し、他の色については、吐出パラメータSP1~SP3の水準による変化を確認する必要がない場合がある。例えば、
図7に示す色選択ボックスCCに選択された一色のみについて試し印刷を行うことより、一つの色について最適な設定を見つけることができる。
【0065】
上述した実施形態では、吐出パラメータSP1~SP3の水準の設定は1パターンのみであったがこれに限定されない。例えば、画像データP20が2色以上の異なる色のデータを有しており、それぞれの色に対して吐出パラメータSP1~SP3の水準が異なるように設定されてもよい。例えば、赤色のインクと白色のインクとをそれぞれ異なる設定にてオーバープリントする場合、
図6に示すジョブJBを複数設定すればよい。「Sample1」のジョブJBが赤色のインクのジョブであり、「Sample2」のジョブJBが白色のインクのジョブであるとする。このとき、「Sample1」のジョブJBは、
図7に示すジョブ編集画面JPにおいて色選択ボックスCCに赤色が選択されている。「Sample2」のジョブJBは、
図7に示すジョブ編集画面JPにおいて色選択ボックスCCに白色が選択されている。「Sample1」のジョブJBと「Sample2」のジョブJBとは、吐出パラメータSP1~SP3の水準が互いに異なるように設定されているものとする。このように設定することにより、異なる色のインクに対してそれぞれ異なる印刷の設定をし、試し印刷を実行することができる。
【0066】
ここで開示される技術は、様々なタイプのプリンタに適用することができる。上述した
実施形態で示したRoll-to-Rollタイプのプリンタの他、例えば、記録媒体を台の上に固定し、台を搬送方向Xに搬送し印刷する、所謂、フラットベッドタイプのプリンタにも同様に適用することができる。また、記録媒体を台の上に載置し、台に対してキャリッジを走査方向Y(主走査方向)および搬送方向X(副走査方向)に移動させて印刷する、所謂、ガントリータイプのプリンタにも同様に適用することができる。
【0067】
上述した実施形態では、データ生成装置90と制御装置110は別体であった。しかし、データ生成装置90の各部は、制御装置110に備えられていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
5 メディア
10 プリンタ
20 移動機構
61 インクヘッド
90 データ生成装置
91 画像データ取得部
92 水準設定部
93 印刷画像データ生成部
141a~141i テストパターン
SP1~SP3 吐出パラメータ
P10 画像データ
P21 印刷画像データ