(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129438
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】データ生成装置、カッティングシステム、コンピュータプログラム、および、カッティング調整方法
(51)【国際特許分類】
B26D 5/00 20060101AFI20240919BHJP
B26D 3/08 20060101ALI20240919BHJP
B41J 11/66 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
B26D5/00 F
B26D3/08 Z
B41J11/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038654
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 恵実
(72)【発明者】
【氏名】成田 沙由理
【テーマコード(参考)】
2C058
3C024
【Fターム(参考)】
2C058LC02
3C024AA07
3C024AA08
(57)【要約】
【課題】カッティングの最適な設定を容易に見つける。
【解決手段】データ生成装置90は、水準設定部94にて設定されたカットパラメータCP1~CP7の水準の組み合わせに対応するカットデータP11を生成する。ユーザは、カットデータP11により形成されたテストパターン141a~141iのうち、所望の形状となっているものを決定する。決定したテストパターンのカットパラメータCP1~CP7の水準をカットデータP11の最適な設定として決定する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアを切断するカット刃を有するカッティングヘッドと、前記メディアと前記カッティングヘッドとを相対移動させる移動機構と、を備えたカッティング装置に用いられ、1または複数のカットパラメータに基づいて前記メディアと前記カッティングヘッドとを相対移動させて前記メディアを切断するためのカットデータを生成するデータ生成装置であって、
所望のカット線を取得するカット線取得部と、
前記各カットパラメータについて複数の水準を設定する水準設定部と、
前記各カットパラメータを前記各水準にそれぞれ設定して前記カット線を切断する場合のカットデータを生成するカットデータ生成部と、を備えるデータ生成装置。
【請求項2】
前記カットパラメータは、前記メディアが切断されるときに前記メディアが前記カット刃から受ける圧力であるカット圧、前記メディアが切断されるときの前記メディアと前記カッティングヘッドとの相対速度であるカット速度、前記カット刃の中心に対する前記カット刃の刃先の先端の距離のずれの補正値であるオフセット、前記カット線がミシン目である場合における連続する切断線の長さ、のうち少なくともいずれか一つを含む、請求項1に記載のデータ生成装置。
【請求項3】
前記カットデータ生成部は、前記カット線取得部が取得した前記カット線の一部を用いて前記カットデータを生成する請求項1に記載のデータ生成装置。
【請求項4】
前記カットデータに基づいて前記メディアを切断することにより形成され、前記カットパラメータおよび前記水準の組み合わせにそれぞれ対応する複数のテストパターンを識別するための識別情報を生成する識別情報生成部を備えている、請求項1に記載のデータ生成装置。
【請求項5】
前記カットデータに基づいて前記メディアを切断することにより形成され、前記カットパラメータおよび前記水準の組み合わせにそれぞれ対応する複数のテストパターンに印刷するためのデータである印刷画像データを生成する印刷画像データ生成部を備える、請求項1に記載のデータ生成装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のデータ生成装置と、前記カッティング装置と、を備えるカッティングシステム。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1から5のいずれか一項に記載のデータ生成装置として動作させるように構成されている、コンピュータプログラム。
【請求項8】
メディアを切断するカット刃を有するカッティングヘッドと、前記メディアと前記カッティングヘッドとを相対移動させる移動機構と、を備えたカッティング装置に用いられ、1または複数のカットパラメータに基づいて前記メディアと前記カッティングヘッドとを相対移動させて前記メディアを切断することにより、テストパターンを形成するカッティング調整方法であって、
所望のカット線を取得するカット線取得工程と、
前記各カットパラメータについて複数の水準を設定する水準設定工程と、
前記各カットパラメータを前記各水準にそれぞれ設定して前記カット線を切断する場合のカットデータを生成するカットデータ生成工程と、
前記カットデータ生成工程により生成されたカットデータに基づいて前記メディアを切断することにより、前記カットパラメータおよび前記水準の組み合わせにそれぞれ対応する複数のテストパターンを形成するテストパターン形成工程と、を含むカッティング調整方法。
【請求項9】
前記カットパラメータは、前記メディアが切断されるときに前記メディアが前記カット刃から受ける圧力であるカット圧、前記メディアが切断されるときの前記メディアと前記カッティングヘッドとの相対速度であるカット速度、前記カット刃の中心に対する前記カット刃の刃先の先端の距離のずれの補正値であるオフセット、前記カット線がミシン目である場合における連続する切断線の長さのうち少なくともいずれか一つを含む、請求項8に記載のカッティング調整方法。
【請求項10】
前記カットデータ生成工程は、前記カット線取得工程で取得した前記カット線の一部を用いて前記カットデータを生成する、請求項8に記載のカッティング調整方法。
【請求項11】
前記テストパターン形成工程において、前記複数のテストパターンの各々を識別するための識別情報を前記メディアに印刷する、請求項8に記載のカッティング調整方法。
【請求項12】
前記テストパターン形成工程において、前記複数のテストパターンに印刷するデータである印刷画像データの印刷を実行する、請求項8に記載のカッティング調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ生成装置、カッティングシステム、コンピュータプログラム、および、カッティング調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙や樹脂シートなどからなるメディアを切断するカッティング装置が知られている。係るカッティング装置は、カッターを把持するカッティングヘッドがメディアに対して相対移動することにより、メディアを所望の形状に切断する。係るカッティング装置では、メディアを所望の通り切断することができるか否かについて、事前にテストが実行される。例えば、特許文献1には、メディアが切断された位置に基づいてカッターの刃先のずれを検出することが可能なカッティング装置が開示されている。特許文献1のカッティング装置によると、所定のライン上においてカッティングヘッドを一方側から他方側へ移動させることにより、テストパターンの切り込みを形成する。そして、テストパターンの切り込みの位置から、カッターの刃先のずれが検出される。ユーザは、検出されたカッターの刃先のずれを考慮して、メディアを切断する位置を補正する。このことにより、メディアを切断する位置が所望の位置に対してずれることが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記のようなカッティング装置の場合、テストパターンは、カッティングヘッドを所定のライン上で移動させることにより形成されたものである。テストパターンの形状は、実際に作成するカットデータの切り込み形状とは異なるものである。また、カッティング装置によるメディアの切断の仕上がりは、メディアの材質や切断する形状による影響を受ける。したがって、実際に作成するカットデータと無関係なテストパターンに基づいて切り込み位置を補正しても、実際のカットデータによる切断を実行すると、切断位置が所望の位置からずれるなどの不良が発生する可能性がある。
【0005】
本発明は、係る点に鑑みてなされたものであり、その目的は、所望の切断形状に対して、カッティングの最適な設定を比較的容易に見つけることができるデータ生成装置、カッティング装置、コンピュータプログラム、および、カッティング調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るデータ生成装置は、メディアを切断するカット刃を有するカッティングヘッドと、前記メディアと前記カッティングヘッドとを相対移動させる移動機構と、を備えたカッティング装置に用いられ、1または複数のカットパラメータに基づいて前記メディアと前記カッティングヘッドとを相対移動させて前記メディアを切断するためのカットデータを生成するデータ生成装置であって、所望のカット線を取得するカット線取得部と、前記各カットパラメータについて複数の水準を設定する水準設定部と、前記各カットパラメータを前記各水準にそれぞれ設定して前記カット線を切断する場合のカットデータを生成するカットデータ生成部と、を備えている。
【0007】
本発明のデータ生成装置によれば、前記カット線取得部が所望の前記カット線を取得する。前記カットデータ生成部は、前記カット線より前記カットデータを生成する。前記カットデータ生成部は、前記水準設定部に設定された前記各カットパラメータの複数の水準に基づいて前記カットデータを生成する。前記カットデータを用いて、前記カッティング装置により前記メディアをカッティングすることにより、ユーザは、前記水準の違いによるカッティングの仕上がりの違いを把握しやすくなる。このことにより、最適なカッティングの設定を比較的容易に見つけることができる。
【0008】
本発明に係るカッティングシステムは、上記データ生成装置と、上記カッティング装置と、を備える。このカッティングシステムによれば、カッティングの最適な設定を比較的容易に見つけることができる。
【0009】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを上記データ生成装置として動作させるように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、所望の切断形状に対して、カッティングの最適な設定を比較的容易に見つけることができるデータ生成装置、カッティング装置、コンピュータプログラム、および、カッティング調整方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係るカッティングシステムの概念図である。
【
図2】一実施形態に係るにカッティング装置の斜視図である。
【
図3】連結された状態の印刷ヘッドおよびカッティングヘッドの正面図である。
【
図4】分離された状態の印刷ヘッドおよびカッティングヘッドの正面図である。
【
図5】一実施形態に係るカッティング装置のブロック図である。
【
図6】カットデータおよび印刷画像データを取得、生成するときの模式図である。
【
図8】カッティングの設定を行う画面を示す図である。
【
図10】カット刃におけるオフセットを示す模式図である。
【
図11】一実施形態に係るテストパターンを示す図である。
【
図12】テストパターンを形成した後、本番用カットデータによりカッティングする手順を示すフローチャートである。
【
図13】別実施形態に係るテストパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るカッティングシステム1の概念図である。
図1に示すように、カッティングシステム1は、カッティング装置10と、データ生成装置90と、を備えている。カッティング装置10は、データ生成装置90により生成されたカットデータP11に基づいて、メディア5(
図2参照)を切断する。
【0014】
図2は、本実施形態に係るカッティング装置10の斜視図である。本実施形態に係るカッティング装置10は、メディア5に対してカッティングを行う他、印刷も行うように構成されている。本実施形態に係るメディア5は、カッティングおよび印刷が可能な媒体であれば足り、特に限定されない。メディア5は、記録紙、樹脂製のシート、シール材等であってもよい。本実施形態に係るカッティング装置10は、ロールとして供給されたメディア5を順次引き出しながら、メディア5に対して印刷およびカッティングを行う。本明細書において「カッティング」、「切断」とは、メディア5の厚み方向の全体を切断する場合(例えば、シール材の台紙および剥離紙の両方を切断する場合)と、メディア5の厚み方向の一部を切断する場合(例えば、シール材の台紙は切断せず、剥離紙のみを切断する場合)とを含む。
【0015】
カッティング装置10は、メディア5を支持するプラテン11と、メディア5を搬送する搬送装置30と、ヘッド移動装置40と、メディア5に対し印刷を行う印刷ヘッド60と、メディア5を切断するカッティングヘッド70と、制御装置110と、操作パネル150と、を備えている。搬送装置30とヘッド移動装置40とは、メディア5に対する印刷ヘッド60およびカッティングヘッド70の位置を変化させる移動機構20を構成している。
【0016】
詳細は後述するが、印刷ヘッド60およびカッティングヘッド70は、図示Y方向に移動可能に構成されている。また、メディア5は、プラテン11上を図示X方向に搬送されるように構成されている。以下では、Y方向を走査方向(主走査方向)ともいい、X方向を搬送方向(副走査方向)ともいう。以下の説明では、左、右、上、下とは、カッティング装置10の正面にいる作業者から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、カッティング装置10を正面から見たときに、カッティング装置10から遠ざかる方を前方、カッティング装置10に近づく方を後方とする。走査方向Yは、ここでは、左右方向である。搬送方向Xは、ここでは、前後方向である。走査方向Yはメディア5の幅方向に対応し、搬送方向Xはメディア5の長手方向(ロールの巻き方向)に対応する。
図2の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表している。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
【0017】
搬送装置30は、プラテン11に支持されたメディア5を搬送方向Xに移動させるように構成されている。搬送装置30は、グリットローラ31と、ピンチローラ32と、フィードモータ33(
図5参照)と、を備えている。グリットローラ31は、プラテン11に設けられている。グリットローラ31は、フィードモータ33に駆動されることによって回転する。ピンチローラ32は、グリットローラ31の上方に配置されている。ピンチローラ32は、グリットローラ31と対向するように設けられている。ピンチローラ32は、グリットローラ31に対し接近および離反が可能なように、上下に揺動自在に構成されている。メディア5がピンチローラ32とグリットローラ31との間に挟み込まれた状態において、グリットローラ31が回転すると、メディア5は搬送方向Xに搬送される。フィードモータ33は、制御装置110に電気的に接続され、制御装置110によって制御されている。
【0018】
ヘッド移動装置40は、印刷ヘッド60およびカッティングヘッド70を走査方向Yに移動させるように構成されている。
図3および
図4は、印刷ヘッド60およびカッティングヘッド70の正面図である。そのうち、
図3は、印刷ヘッド60とカッティングヘッド70とが連結された状態を示している。
図4は、印刷ヘッド60とカッティングヘッド70とが分離された状態を示している。ヘッド移動装置40は、印刷ヘッド60とカッティングヘッド70とが連結された状態では、両者を一体で移動させる。また、ヘッド移動装置40は、印刷ヘッド60とカッティングヘッド70とが分離された状態では、カッティングヘッド70だけを単独で移動させる。
【0019】
図3および
図4に示すように、ヘッド移動装置40は、ガイドレール41と、ベルト42と、スキャンモータ43(
図5参照)と、を備えている。ガイドレール41は、プラテン11の上方に設けられている。ガイドレール41は走査方向Yに延びている。ガイドレール41には、印刷ヘッド60とカッティングヘッド70とが摺動自在に係合している。カッティングヘッド70は、印刷ヘッド60よりも左方でガイドレール41に係合されている。印刷ヘッド60およびカッティングヘッド70は、それぞれプラテン11の上方に、プラテン11に対向するように設けられている。
【0020】
カッティングヘッド70の背面上部には、走査方向Yに延びるベルト42が固定されている。ベルト42は、スキャンモータ43に接続されている。スキャンモータ43が回転すると、ベルト42が走査方向Yに走行する。これにより、カッティングヘッド70は走査方向Yに移動する。スキャンモータ43は、制御装置110に電気的に接続され、制御装置110によって制御されている。
【0021】
印刷ヘッド60とカッティングヘッド70とは、連結部材80によって連結され、または分離される。連結部材80は、印刷ヘッド60に設けられた第1連結部材81と、カッティングヘッド70に設けられた第2連結部材82とを有している。第1連結部材81は、印刷ヘッド60の左側部分に設けられている。第2連結部材82は、カッティングヘッド70の右側部分に設けられている。本実施形態では、連結部材80は、磁力を利用して印刷ヘッド60とカッティングヘッド70とを連結する。第1連結部材81と第2連結部材82のうちの一方は、磁石を備え、他方は磁石に吸着する磁性体を備えている。ただし、連結部材80は磁力を利用するものに限られず、係合部材等の他の構成を備えたものであってもよい。印刷ヘッド60とカッティングヘッド70とは、第1連結部材81と第2連結部材82とが接触することにより連結される。
【0022】
印刷ヘッド60の右側には、L字状に形成された受け金具62が設けられている。また、ガイドレール41の右端付近には、印刷ヘッド60を固定するためのロック装置85が設けられている。以下、印刷ヘッド60が固定されるガイドレール41の右端の位置を待機位置と称する。ロック装置85は、受け金具62に引っ掛けられるフック86と、フック86をロック位置(
図4参照)と非ロック位置(
図3参照)との間で移動させるロック用ソレノイド87(
図5参照)とを備えている。ロック用ソレノイド87は、制御装置110に電気的に接続され、制御装置110によって制御されている。
【0023】
図3に示すように、印刷ヘッド60による印刷を行う際には、フック86が非ロック位置に設定される。カッティングヘッド70が右方に移動し、第1連結部材81と第2連結部材82とが接触すると、印刷ヘッド60とカッティングヘッド70とが連結される。その結果、印刷ヘッド60は、カッティングヘッド70とともに走査方向Yに移動可能となる。
【0024】
一方、カッティングヘッド70によるカッティングの際には、
図4に示すように、印刷ヘッド60が待機位置に位置付けられ、ロック装置85のフック86がロック位置に設定される。これにより、印刷ヘッド60の移動が阻止される。カッティングヘッド70が左方へ移動すると、第1連結部材81と第2連結部材82とが離反し、印刷ヘッド60とカッティングヘッド70との連結が解除される。その結果、印刷ヘッド60が待機位置に待機した状態で、カッティングヘッド70が走査方向Yに移動可能となる。
【0025】
印刷ヘッド60は、複数のインクヘッド61を備えている。ここでは、印刷ヘッド60は、5つのインクヘッド61を備えている。複数のインクヘッド61は、走査方向Yに並んで配置されている。複数のインクヘッド61の下面には、それぞれ、インクを吐出する複数のノズル(図示せず)が形成されている。複数のノズルは、搬送方向Xに並んで配置されている。5つのインクヘッド61は、互いに異なる5つの色、例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインク、ホワイトインクを吐出するように構成されている。ただし、インクヘッド61の個数は5個に限定されず、インクヘッド61が吐出するインクの色も何ら限定されない。また、インクヘッド61は無色のインクが吐出されるように構成されていてもよい。
【0026】
インクヘッド61は、例えば、インクジェットヘッドによって構成されている。しかし、印刷ヘッド60の印刷方式はインクジェット方式に限らず、印刷ヘッド60はインクジェットヘッドを備えたものに限定されない。印刷ヘッド60は、例えばドットインパクト方式の印刷を行うインクヘッドを備えていてもよい。
【0027】
カッティングヘッド70は、メディア5を切断するカット刃71と、ソレノイド72とを備えている。カット刃71は、ソレノイド72によって上下方向に移動されるように構成されている。ソレノイド72に供給される電流値を制御することにより、カット刃71は上下方向に移動してメディア5に接触し、あるいはメディア5から離反する。ソレノイド72は、制御装置110に電気的に接続され、制御装置110によって制御されている。
【0028】
本実施形態では、移動機構20の一部としてのヘッド移動装置40は、カッティングヘッド70を単独で、または、印刷ヘッド60とカッティングヘッド70との両者を一体で、走査方向Yに移動させる。また、移動機構20の一部としての搬送装置30は、メディア5を搬送方向Xに移動させる。しかし、移動機構20の構成は、そのような構成に限定されない。移動機構20は、カッティングヘッド70およびメディア5のうちの少なくとも一方を移動させることによってカッティングヘッド70に対するメディア5の位置を変化させる構成を有していればよく、他の構成は限定されない。例えば、印刷ヘッドがいわゆるラインヘッドで構成され、移動しないものであってもよい。また、印刷ヘッド60とカッティングヘッド70との両者を一体で移動させる場合でも、移動機構20は、印刷ヘッド60を移動させる第1移動機構と、カッティングヘッド70を移動させる第2移動機構とに分離されていてもよい。さらに、移動機構20は、例えば、印刷ヘッド60およびカッティングヘッド70の一方または両方を左右方向および前後方向に移動させ、メディア5を移動させなくてもよい。
【0029】
プラテン11は、メディア5への印刷およびメディア5を切断する際、メディア5を支持するものである。
図2に示すように、プラテン11は、走査方向Yに延びている。プラテン11の下方には、走査方向Yに延びるカッターパッド12が配置されている。
図3および
図4に示すように、カッターパッド12は、カット刃71の下方に位置している。メディア5の厚み方向の全部を切断するカッティングの設定の場合、ソレノイド72がONしてカット刃71が下ろされると、カット刃71の先端は、カッターパッド12に到達する。カッターパッド12は、カット刃71を受ける部材である。カッターパッド12は、カット刃71よりも柔らかい素材、例えば、ゴムにより形成されている。そこで、カット刃71は、カッターパッド12に当接すると、カッターパッド12に食い込む。これにより、カット刃71の損傷が防止される。カッターパッド12は、帯状に形成されている。カッターパッド12は、プラテン11に形成された走査方向Yに延びる溝に嵌め込まれている。
【0030】
図2に示す制御装置110は、メディア5の切断およびメディア5への印刷に関する制御を行う装置である。
図5は、カッティングシステム1のブロック図である。制御装置110の構成は特に限定されない。制御装置110は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェア構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータ等の外部機器から印刷データやカッティングデータ等を受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリ等の記憶装置と、を備えている。
【0031】
図5に示すように、制御装置110は、フィードモータ33と、スキャンモータ43と、インクヘッド61と、ソレノイド72と、ロック用ソレノイド87と、操作パネル150とに接続され、それらの動作を制御している。制御装置110の詳細な構成については、後述する。
【0032】
図2に示すように、カッティング装置10の右側のサイドカバー13Rの前面には、ボタンおよびディスプレイを有する操作パネル150が配置されている。操作パネル150は、制御装置110に接続されている。なお、操作パネル150はボタンのみで構成されていてもよいし、タッチパネル式のディスプレイのみで構成されていてもよい。
【0033】
以上、本実施形態に係るカッティング装置10について説明した。次に、
図6に示す形状データP10、画像データP20、カットデータP11、印刷画像データP21について説明する。データ生成装置90は、
図6に示すように形状データP10よりカットデータP11を取得し、画像データP20より印刷画像データP21を生成する。本実施形態において印刷画像データP21は、画像データP20をRIP(Raster Image Processor)処理することにより得られるラスターデータまたはビットマップデータのことである。
図5に示すデータ生成装置90には、カットデータP11および印刷画像データP21を生成するための専用のアプリケーションがインストールされている。ユーザがアプリケーションを操作することにより、カットデータP11および印刷画像データP21が生成される。
【0034】
形状データP10は、ユーザが所望する切断の形状を表すデータである。形状データP10は、例えば、PDF(Portable Document Foremat)形式のデータである。後述するデータ生成装置90のカット線取得部91により、形状データP10に含まれる線LN1(
図6参照)は、カット線LN2(
図6参照)として認識される。線LN1は、ユーザが所望する切断の形状の輪郭を示すものである。形状データP10には、後述するカット線LN2の線種の情報が含まれていてもよい。画像データP20は、ユーザが印刷することを所望する画像を表すデータである。画像データP20は、例えば、PDF形式のデータである。画像データP20には、写真などの他に、図形、記号、文字など、または、画像、図形、記号および文字などの組み合わせたものが含まれる。なお、形状データP10と画像データP20とは、単一のデータであってもよい。また、画像データP20が用いられず、カッティングのみ実行されてもよい。
【0035】
カットデータP11は、カット線LN2、後述するカット線LN2の線種およびカットパラメータCP1~CP7(
図8参照)に関する情報が含まれたデータである。すなわち、カットデータP11は、カッティングヘッド70および移動機構20を制御するのに必要な情報を含むデータである。各カットパラメータCP1~CP7を各水準に設定してカット線LN2を切断する場合のデータがカットデータP11である。カッティング装置10は、カット線LN2に沿ってメディア5を切断する。カット線LN2は、例えばベクター形式のデータである。
【0036】
印刷画像データP21は、画像データP20がRIP処理されることにより生成されるデータである。印刷画像データP21は、印刷ヘッド60により印刷可能な形式のデータである。RIP処理とは、画像データP20を印刷画像データP21に変換する処理である。印刷画像データP21に基づいて、カッティング装置10がメディア5(
図2参照)に印刷を実行する。
【0037】
以上、形状データP10、画像データP20、カットデータP11および印刷画像データP21について説明した。次に、データ生成装置90について説明する。
図1に示すデータ生成装置90は、メディア5の切断およびメディア5への印刷を指示する装置である。データ生成装置90の構成は特に限定されない。データ生成装置90は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェア構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータ等の外部機器から画像データや形状データ等を受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリ等の記憶装置と、を備えている。データ生成装置90は、有線または無線により制御装置110と通信可能に接続している。
【0038】
データ生成装置90は、表示画面90aと操作機構90bとに接続している。表示画面90aには、アプリケーションの操作画面が表示される。操作機構90bは、アプリケーションを操作するための機構であり、例えば、マウスやキーボードである。本実施形態では、データ生成装置90、表示画面90a、および操作機構90bは、ノートパソコンによって構成されている。ただし、データ生成装置90、表示画面90a、および操作機構90bの形態は何ら限定されない。
【0039】
データ生成装置90は、コンピュータのCPUがコンピュータプログラムを実行することによって構成されるものであってもよい。かかるコンピュータプログラムには、データ生成装置90の動作が書き込まれていてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。記録媒体としては、例えば、半導体記録媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリーカード)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク)などが例示される。上記コンピュータプログラムは、上記記録媒体あるいはインターネットなどのネットワークを介して、サーバーコンピュータに送信することができる。この場合、サーバーコンピュータもまた、ここに開示される発明の一形態である。
【0040】
次にアプリケーションの操作画面について説明する。
図7は、アプリケーションを起動しているときのデータ生成装置90の表示画面90aを示す図である。アプリケーションは、
図7に示す画面DP1を表示するようにプログラムされている。画面DP1は、カットデータP11や印刷画像データP21を作成することをユーザが指示するための画面である。図示は省略するが、データ生成装置90の備える表示画面90aには、例えば起動アイコンが表示されている。ユーザが上記起動アイコンを選択することにより、画面DP1が表示画面90aに表示される。
【0041】
なお、以下の説明において、表示画面90aに表示されたものを「選択する」とは、例えば、データ生成装置90の操作機構90bを操作することにより、上記のものをクリックすることなどをいう。
【0042】
本実施形態では、画面DP1は、選択領域AR1を有する。選択領域AR1には、複数のジョブJBがリスト化されて配置されている。ここで、ジョブとは、カッティング装置10がカッティングを行う形状データのことである。ジョブには、画像データが含まれていてもよい。カッティング装置10が順に実行するジョブのリストをジョブリストという。ジョブJBには、カッティングを行うときのパラメータであるカットパラメータの情報が紐づけて保存されている。画面DP2には、選択されているジョブJBに含まれる形状データおよび/または画像データが表示される。すなわち、編集しようとしているジョブJBの形状データおよび/または画像データが表示される。本実施形態では、形状データP10に画像データP20が重畳して表示されたカッティング画像CIが表示されている。各ジョブJBは、入力ボックスIBを備えている。入力ボックスIBは、後述するテストパターン141a~141i(
図11参照)の通し番号SN1~SN9(
図11参照)が示す番号のいずれか一つを入力するものである。
【0043】
図8は、ジョブJBの設定を編集する画面であるジョブ編集画面JPを示す図である。図示は省略するが、例えば、ジョブ編集画面JPは、
図7に示すジョブJBを右クリックして開かれるメニューの中から、ジョブ編集画面JPを起動する項目を選択することにより、表示画面90aに表示されるものである。ジョブ編集画面JPには、線種選択ボタンBT11、線種選択ボタンBT12、カットパラメータCP1~CP7および決定ボタンBT21が表示されている。本実施形態におけるジョブ編集画面JPは、試しカットを実行するときの設定を行うものである。ここで、「試しカット」とは、ユーザが所望する形状、すなわち本実施形態においては、形状データP10の形状をカッティングするときの、最適な設定を見つけるために実行されるカッティングのことを指す。最適な設定を見つけるために、複数のカットパラメータCP1~CP7に対し、それぞれ複数の水準が設定される。試しカットでは、選択された1つまたは複数のカットパラメータと、選択された1つまたは複数のカットパラメータに対して設定された水準と、の組み合わせの数の分のカッティングを一度に実行する。ただし、試しカットは、上記の組み合わせのうち一部のみを実行するものであってもよい。
【0044】
線種選択ボタンBT11および線種選択ボタンBT12は、
図6に示すカット線LN2の線種を選択するものである。
図8において、線種選択ボタンBT11が選択されたとき、カット線LN2は、連続カット線となるように構成されている。線種選択ボタンBT12が選択されたとき、カット線LN2は、ミシン目となるように構成されている。本実施形態では、BT11が選択されている状態を示しており、線種選択ボタンBT11の周囲が枠に囲まれて表示されている。ここで、ミシン目とは、
図9に示すように、カット刃71がメディア5を上下方向に貫通している状態のカッティングと、カット刃71がメディア5を上下方向に貫通しない状態のカッティングとを繰り返すことにより形成される。
図9は、ミシン目を形成するときのカット刃71とメディア5の位置関係を示す模式図である。カット刃71が高さ位置R1にあるとき、カット刃71は、上方から下方に向かってメディア5の上面5aに刺さり、カット刃71の先端71aは、メディアの下面5bに到達している。高さ位置R1において、カット刃71が移動することにより、メディア5が切断される。一方、カット刃71が高さ位置R2にあるとき、カット刃71は、上方から下方に向かってメディア5の上面5aに刺さっているが、カット刃71の先端71aは、メディアの下面5bに到達していない。したがって、高さ位置R2においてカット刃71が移動しても、メディア5は厚み方向に完全には切断されない。ここで厚み方向とは、メディア5における上下方向を指す。ここでは、カット刃71が高さ位置R1の位置にあるときのカッティングをダイカットという。ここでは、カット刃71が高さ位置R2の位置にあるときのカッティングをハーフカットという。ダイカットとハーフカットとが順に繰り返されることにより、ミシン目が形成される。カット刃71の高さの調整は、ソレノイド72(
図3参照)に供給される電流値を制御することにより調整される。なお、ダイカットまたはハーフカットのいずれか一つを所定の間隔を空けて繰り返すことにより、カット刃71の進行する方向において、切断線が所定の間隔で配置されるようにミシン目を形成してもよい。ここで、切断線とは、カット刃71がメディア5に刺さった状態において移動することによりメディア5に形成される線状の切れ込みのことである。
【0045】
図8に示すカットパラメータCP1~CP7は、カッティング装置10がカッティングヘッド70(
図2参照)および移動機構20(
図2参照)を制御するときの設定である。カットパラメータCP1~CP7は、それぞれについて複数の水準を設けることができるように構成されている。本実施形態では、カットパラメータCP1~CP7は、それぞれ3水準まで設定できるように構成されている。ただし、水準の数は、3つに限定されない。また、水準の数はカットパラメータ毎に異なっていてもよい。カットパラメータCP1~CP7の水準は、プルダウンボックスPBを選択することにより入力される。ただし、プルダウンボックスPBは水準の入力方法の一例である。例えば、カットパラメータCP1~CP7の水準は、テキストボックスにより値を直接入力するものであってもよい。カットパラメータCP1~CP7には、それぞれチェックボックスCBが設けられている。チェックボックスCBは、試しカットにおいて複数の水準にてカッティングするか否かを決定するものである。チェックボックスCBにチェックマークが記載されているカットパラメータCP1~CP7は、複数の水準を用いてカッティングが実行される。チェックボックスにチェックマークの入っていないカットパラメータCP1~CP7は、例えば、初期設定の値のままカッティングが実行されるように構成されている。チェックボックスCBにチェックマークが入っていない場合、プルダウンボックスPBを選択できないように構成されている。以下、カットパラメータCP1~CP7についてそれぞれ説明する。
【0046】
カットパラメータCP1のカット圧は、
図3に示すように、カット刃71がメディア5を切断するときに、カット刃71がメディア5に加える押圧力のことである。カット圧は、ソレノイド72に供給される電流値を制御し、カット刃71の高さが変更されることにより調整される。すなわち、ソレノイド72に供給される電流値が大きいほど、カット刃71の下降位置が低くなってカット圧が高くなり、ソレノイド72に供給される電流値が小さいほど、カット刃71の下降位置が高くなってカット圧が低くなる。カット圧が低すぎる場合、メディア5が厚み方向に完全に切断されず、所望の形状に切断することができない。一方、カット圧が高すぎる場合、カット圧が加わる方向にメディア5が曲がる可能性がある。
【0047】
カットパラメータCP2のカット速度は、本実施形態では、メディア5に対してカッティングヘッド70を相対移動させるときのカッティングヘッド70の速度のことである。カット速度は、カッティングを行うときのスキャンモータ43(
図5参照)の回転速度を変更することにより調整される。スキャンモータ43の回転速度を速くするほど、カット速度が速くなり、スキャンモータの43の回転速度を遅くするほど、カット速度が遅くなる。カット速度が速すぎると、メディア5が切断できない箇所が発生する可能性がある。一方、カット速度を遅くすると、カッティングに要する時間が長くなり、作業効率の低下につながる。なお、カット速度は、カッティングヘッド70に対してメディア5を相対移動させるときのメディアの搬送速度であってもよい。すなわち、カット速度は、メディア5とカッティングヘッド70を相対移動させる相対速度である。
【0048】
カットパラメータCP3のオフセットは、
図10に示すカット刃71の中心CLの位置とカット刃71の先端71aの位置との距離を補正する補正値である。
図10は、カット刃71の模式図である。カット刃71は、
図10に示す矢印の方向に進行する。
図10に示すように、カット刃71の中心CLと、カット刃71の先端71aとは、距離X1の分ずれている。カッティングが実行されるとき、カット刃71の位置は、カット刃71の中心CLの位置にて指定される。一方、メディア5(
図3参照)は、カット刃71の先端71aの位置から切断される。したがって、カット刃71の中心CLの位置と実際にメディア5が切断される位置とは、距離X1の分ずれることになる。この距離X1を、オフセットの値として補正する必要がある。距離X1は、カット刃71の摩耗等によっても変化するため、カッティングを行うカットデータに応じて距離X1を補正する必要がある。
【0049】
カットパラメータCP4のダイカット長は、ミシン目を形成する際にダイカットをする長さのことである。ダイカット長は、ミシン目における1つの連続した切断線の長さのことであってもよい。カットパラメータCP5のダイカット圧は、ダイカットをするときのカット圧のことである。ダイカット圧は、ミシン目における1つの連続した切断線を切断するときのカット圧のことであってもよい。ダイカット長およびダイカット圧は、線種選択ボタンBT12が選択され、線種がミシン目であるときにのみ設定可能なように構成されている。
【0050】
カットパラメータCP6のハーフカット長は、ミシン目を形成する際にハーフカットをする長さのことである。ハーフカット長は、ミシン目における隣り合う切断線の間隔のことであってもよい。カットパラメータCP7のハーフカット圧は、ハーフカットをするときのカット圧のことである。ハーフカット圧は、0[kgf]であってもよい。ハーフカット長およびハーフカット圧は、線種選択ボタンBT12が選択され、線種がミシン目であるときにのみ設定可能なように構成されている。
【0051】
決定ボタンBT21は、ジョブ編集画面JPに表示されている各設定を決定するものである。決定ボタンBT21を選択すると、編集中のジョブJBの情報が更新され、保存される。
【0052】
カッティング装置10は、上記の線種、カットパラメータCP1~CP7およびその水準に基づいて試しカットを実行する。本実施形態では、
図8に示すジョブ編集画面JPにおいて、BT11が選択されているため、線種は、連続カット線である。カットパラメータCP1のカット圧およびカットパラメータCP2のカット速度のチェックボックスCBにチェックマークが選択されている。カット圧およびカット速度は、それぞれ3水準ずつ設定されている。したがって、その組み合わせは全部で9通りである。よって、本実施形態における試しカットは、形状データP10(
図6参照)に対して、9通りの組み合わせにてカッティングを実行する。
【0053】
以上、アプリケーションの操作画面について説明した。次に、データ生成装置90の構成について説明する。
図5に示すように、データ生成装置90は、カット線取得部91と、画像データ取得部92と、RIP処理部93と、水準設定部94と、カットデータ生成部95と、識別情報生成部96と、パラメータ入力部97と、送信部98と、を備えている。データ生成装置90を実現するコンピュータは、カッティング装置10の専用のコンピュータであってもよいし、汎用のコンピュータであってもよい。本実施形態において、データ生成装置90の各部は、データ生成装置90にインストールされているアプリケーションにより実行されるものである。
【0054】
カット線取得部91は、データ生成装置90に取り込まれた形状データP10を取得し、カット線LN2を取得する。形状データP10は、例えばUSBメモリなどの記憶媒体や他のコンピュータ(図示せず)によりデータ生成装置90に取り込まれる。あるいは、形状データP10は、データ生成装置90により生成されるものであってもよい。
図6に示すように、カット線取得部91は、形状データP10に含まれる線LN1をカット線LN2として取得する。カット線LN2は、ユーザにより位置や形状が編集されるものであってもよい。カット線取得部91は、形状データP10に含まれるカット線LN2の線種の情報を取得してもよい。
【0055】
図5に示す画像データ取得部92は、カット線取得部91と同様に、データ生成装置90に取り込まれた画像データP20を取得し、保存する。画像データP20は、データ生成装置90により生成されるものであってもよい。
【0056】
RIP処理部93は、
図6に示すように、画像データP20をRIP処理することにより、印刷画像データP21を生成する。RIP処理部93は、本発明における印刷画像データ生成部の一例である。
【0057】
水準設定部94は、
図8に示すジョブ編集画面JPの線種、カットパラメータCP1~CP7の水準を設定する。本実施形態では、
図8に示すように、カットパラメータCP1のカット圧およびカットパラメータCP2のカット速度についてそれぞれ3水準を設定している。
【0058】
カットデータ生成部95は、水準設定部94により設定されたカットパラメータCP1~CP7の水準の数に基づいて、カットデータP11を複数生成する。本実施形態では、
図8に示すように、カット圧およびカット速度のそれぞれについて3水準が設定されている。したがって、3×3=9種類の水準の組み合わせが発生する。カットデータ生成部95は、カットデータP11に9種類の各水準の組み合わせをそれぞれ紐づけた9つのカットデータP11を生成する。9つのカットデータP11は、それぞれ
図11に示すテストパターン141a~141iを形成するデータである。なお、9つのカットデータP11は、単一のデータとして生成されてもよい。また、本実施形態では、試しカット後にカットデータ生成部95は、後述するパラメータ入力部97により入力された線種およびカットパラメータCP1~CP7の水準に基づいて、本番用カットデータP12を生成する。ここで、本番用カットデータP12とは、試しカットの結果に基づいて、ユーザが線種およびパラメータCP1~CP7の水準を1つに決定したカットデータである。
【0059】
識別情報生成部96は、試しカットによってメディア5に形成されるテストパターン141a~141iをそれぞれ識別するための識別情報IFを生成する。識別情報IFは、テストパターン141a~141iを形成するときのそれぞれのカットパラメータCP1~CP7およびその水準の情報を有している。
【0060】
パラメータ入力部97は、カットデータ生成部95が生成したカットデータP11のうち、選択された一つのカットデータP11の線種、カットパラメータCP1~CP7およびその水準を入力する。パラメータ入力部97は、例えば、アプリケーションを操作して入力されるものでもよく、操作パネル150を操作して入力されるものであってもよい。
【0061】
送信部98は、カットデータ生成部95により生成されたカットデータP11、RIP処理部93により生成された印刷画像データP21および識別情報生成部96により生成された識別情報IFを制御装置110に送信する。
【0062】
以上、データ生成装置90の備える各部について説明した。次に、
図5に示す制御装置110について説明する。
図5に示すように、制御装置110は、カットデータ取得部111と、印刷画像データ取得部112と、識別情報取得部113と、テストパターン形成部114と、識別情報印刷部115と、画像印刷部116と、カッティング制御部117と、を備えている。
【0063】
カットデータ取得部111は、データ生成装置90の送信部98が送信したカットデータP11を取得する。印刷画像データ取得部112は、送信部98が送信した印刷画像データP21を取得する。識別情報取得部113は、送信部98が送信した識別情報IFを受信する。
【0064】
テストパターン形成部114は、カットデータ生成部95が生成した複数のカットデータP11に基づいて試しカットを実行する。テストパターン形成部114は、線種およびカットパラメータCP1~CP7が水準設定部94により設定された複数の水準となるように、移動機構20やソレノイド72を制御する。
図11は、テストパターンの一例を示す図である。
図11に示すように、メディア5には、9つのテストパターン141a~141iが形成されている。9つのテストパターン141a~141iはそれぞれ、カットデータ生成部95が生成した9つのカットデータに基づいてメディア5に試しカットを実行したものである。
【0065】
識別情報印刷部115は、識別情報生成部96が生成した識別情報IFに基づいて、テストパターン141a~141iにそれぞれ識別情報を印刷する。識別情報IFが印刷されることにより、
図11に示すパラメータ情報CPS1~CPS9がメディア5に印刷される。パラメータ情報CPS1~CPS9は、テストパターン141a~141iのそれぞれを試しカットしたときのカットパラメータCP1~CP7およびその水準を示すものである。本実施形態では、カット圧およびカット速度に対し複数の水準を設定しているため、パラメータ情報CPS1~CPS9には、「カット圧」および「カット速度」の文字と、それぞれの水準の数値とが印刷されている。パラメータ情報CPS1~CPS9は、識別情報印刷部115が移動機構20およびインクヘッド61を制御することにより、メディア5に印刷される。本実施形態では、パラメータ情報CPS1~CPS9に加えて、
図11に示す通し番号SN1~SN9もメディア5に印刷されている。通し番号SN1~SN9は、テストパターン141a~141iを識別するための便宜上の番号であり、本実施形態では、「1」~「9」の数字が印刷されている。データ生成装置90の識別情報生成部96には、通し番号SN1~SN9のそれぞれにカットパラメータCP1~CP7およびその水準が紐づけて保存されている。
【0066】
画像印刷部116は、テストパターン141a~141iのそれぞれに対し印刷画像データP21(
図6参照)を印刷する。画像印刷部116は、移動機構20およびインクヘッド61を制御することにより印刷画像データP21をメディア5に印刷する。
図11に示すように、テストパターン141a~141iには、それぞれ印刷画像IMが印刷される。印刷画像IMは、印刷画像データP21が印刷されたものである。また、画像印刷部116は、試しカット後に、本番用カットデータP12に基づいてカッティングされたカットパターンに対し印刷画像データP21を印刷する。
【0067】
カッティング制御部117は、カットデータ生成部95により生成された本番用カットデータP12に基づいて、カッティングを実行する。
【0068】
以上、制御装置110について説明した。次に、カッティングシステム1によりカッティングを行う手順を説明する。
図12は、試しカットを行い、カットパラメータCP1~CP7の水準を決定した後、本番用カットデータP12によりカッティングする手順を示すフローチャートである。
【0069】
ステップS101において、カット線取得部91は、
図6に示すように、形状データP10に含まれる線LN1をカット線LN2として取得し、画像データ取得部92は、画像データP20を取得する。このとき、
図7に示すように、表示画面90aには、カット線LN2および画像データP20が重畳したカッティング画像CIが表示されている。ステップS101において、カット線取得部91は、形状データP10に含まれるカット線LN2の線種の情報を取得してもよい。
【0070】
ステップS102において、
図8に示すように、試しカットにおける線種、カットパラメータCP1~CP7およびその水準が設定される。ステップS102は、水準設定部94により実行される。ステップS103において、カットデータ生成部95は、ステップS102にて設定された線種、カットパラメータCP1~CP7およびその水準と、ステップS101にて取得されたカット線LN2と、に基づいて複数のカットデータP11を生成する。また、ステップS103において、RIP処理部93は、画像データP20をRIP処理することにより、印刷画像データP21を生成してもよい。さらに、ステップS103において、識別情報生成部96は、水準設定部94により設定された線種、カットパラメータCP1~CP7およびその水準に基づいて、各カットデータP11の識別情報IFを生成してもよい。送信部98は、生成したカットデータP11をカットデータ取得部111に送信する。印刷画像データP21が生成されている場合、送信部98は、印刷画像データP21を印刷画像データ取得部112に送信する。識別情報IFが生成されている場合、送信部98は、識別情報IFを識別情報取得部113に送信する。
【0071】
ステップS104において、カットデータ取得部111は、カットデータP11を取得する。印刷画像データP21が生成されている場合、印刷画像データ取得部112が印刷画像データP21を取得する。識別情報IFが生成されている場合、識別情報取得部113が識別情報IFを取得する。テストパターン形成部114は、カットデータ生成部95が生成した複数のカットデータP11に基づいて、カッティングを実行する。すなわち、ステップS104において、試しカットが実行される。ステップS104において、識別情報印刷部115は、識別情報IFを印刷してもよい。さらに、ステップS104において、画像印刷部116は、印刷画像データP21に基づいて印刷してもよい。
【0072】
ステップS105において、パラメータ入力部97に、ユーザが所望の通りにカッティングされていると判断したテストパターンにおける線種、カットパラメータCP1~CP7およびその水準が入力される。本実施形態では、ユーザは、
図11に示すテストパターン141a~141iのうち、所望の形状となっているものの通し番号SN1~SN9のいずれか一つを、
図7に示す画面DP1の入力ボックスIBに入力する。通し番号SN1~SN9のいずれか一つが入力されると、通し番号SN1~SN9に紐づけて保存されている線種、カットパラメータCP1~CP7およびその水準がパラメータ入力部97に自動で入力される。なお、パラメータ入力部97に入力される水準は、ステップS102において設定された水準と異なる値が直接入力されるものであってもよい。
【0073】
ステップS106において、カットデータ生成部95は、ステップS105において入力された線種、カットパラメータCP1~CP7およびその水準と、カット線取得部91で取得されたカット線LN2と、に基づいて本番用カットデータP12を生成する。なお、ステップS105において入力された線種、カットパラメータCP1~CP7およびその水準が、ステップS102において設定された水準と同じである場合は、ステップS103で生成されたカットデータP11と本番用カットデータP12とが同一の内容を有するデータとなるため、ステップS102で生成されたカットデータP11のいずれか一つを本番用カットデータP12としてよい。
【0074】
ステップS107において、カッティング制御部117は、ステップS106において生成された本番用カットデータP12に基づいて、カッティングを実行する。さらに、ステップS107において、画像印刷部116は、印刷画像データP21に基づいてメディア5に印刷をしてもよい。
【0075】
以上のように、本実施形態のデータ生成装置90によると、カット線取得部91が所望のカット線LN2を取得する。カットデータ生成部95は、カット線LN2を切断するカットデータP11を生成する。カットデータ生成部95は、水準設定部94に設定されたカットパラメータCP1~CP7の複数の水準に基づいてカットデータP11を生成する。カットデータP11を用いて、カッティング装置10によるカッティングが実行されると、テストパターン141a~141iが形成される。線種、カットパラメータCP1~CP7およびその水準がそれぞれ異なるテストパターン141a~141iが形成されることにより、カッティングの仕上がりの違いをユーザが把握しやすくなる。したがって、ユーザは、最適なカッティングの設定を容易に見つけることができる。さらに、
図11に示すように、複数のテストパターン141a~141iを一度に形成することができるため、ユーザが最適なカッティングの設定を見つけるまで複数回カッティングを実行する必要がない。このことにより、最適なカッティングの設定を見つける時間が比較的短くなる。
【0076】
本実施形態のデータ生成装置90によると、カットパラメータCP1~CP7に対し、複数の水準が設定される。カットパラメータCP1~CP7は、カッティングの品質に関わるパラメータであり、これらのパラメータの組み合わせについて最適な組み合わせとその水準を設定することができる。
【0077】
本実施形態のデータ生成装置90によると、識別情報生成部96は、テストパターン141a~141iをそれぞれ識別するための識別情報IFを生成する。識別情報IFが印刷されることにより、
図11に示すように、テストパターン141a~141iとともにパラメータ情報CPS1~CPS9および通し番号SN1~SN9がメディア5に印刷される。このことにより、ユーザは、テストパターン141a~141iのそれぞれについて、カットパラメータCP1~CP7の各水準がどのように設定されてカッティングされたものなのかを把握しやすくなる。
【0078】
本実施形態のデータ生成装置90によると、RIP処理部93が印刷画像データP21を生成する。印刷画像データP21が印刷されることにより、
図11に示すように、テストパターン141a~141iに印刷画像IMが形成される。したがって、ユーザは、テストパターン141a~141iの形状に対する印刷画像IMの位置にずれが生じていないかを、カッティングの仕上がりの確認と同時に把握することができる。
【0079】
以上、本発明の好適な一実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他にも種々の形態により実施することができる。
【0080】
上述した実施形態では、カットデータ生成部95は、カット線取得部91で取得されたカット線LN2の全範囲を用いてカットデータP11を生成していたがこれに限定されない。カットデータ生成部95は、カット線LN2の一部のみを用いてカットデータP11を生成してもよい。
図13は、カット線LN2の一部に基づいて作成されたテストパターン142a~142iを示す図である。ユーザは、カッティングの最適な設定を確認したい範囲が、形状データP10の一部の範囲である場合には、
図13に示すテストパターン142a~142iのように、カット線LN2の一部の形状のみについて試しカットすることができる。
【0081】
ここで開示される技術は、様々なタイプのプリンタに適用することができる。上述した
実施形態で示したRoll-to-Rollタイプのカッティング装置の他、例えば、記録媒体を台の上に固定し、台を搬送方向Xに搬送する、所謂、フラットベッドタイプのカッティング装置にも同様に適用することができる。また、記録媒体を台の上に載置し、台に対してキャリッジを走査方向Y(主走査方向)および搬送方向X(副走査方向)に移動させてカッティングする、所謂、ガントリータイプのカッティング装置にも同様に適用することができる。
【0082】
上述した実施形態では、データ生成装置90と制御装置110は別体であった。しかし、データ生成装置90の各部は、制御装置110に備えられていてもよい。
【符号の説明】
【0083】
5 メディア
10 カッティング装置
20 移動機構
70 カッティングヘッド
71 カット刃
90 データ生成装置
91 カット線取得部
94 水準設定部
95 カットデータ生成部
CP1~CP7 カットパラメータ
LN2 カット線
P11 カットデータ