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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012944
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】家畜保定装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 15/04 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
A01K15/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114791
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】502275528
【氏名又は名称】有限会社レベルアップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】福澤 寛幸
(57)【要約】      (修正有)
【課題】家畜に対する各種作業の容易性の向上。
【解決手段】家畜保定装置aは、支柱1とフレーム2とロープ通し具3を備え、支柱は、前方に立設され、フレームは、支柱から後方へ向かって幅方向に拡開するように形成された拡開フレーム20を有し、ロープ通し具は、支柱に対して拡開フレームよりも上方に取り付けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱とフレームとロープ通し具を備え、
支柱は、前方に立設され、
フレームは、支柱から後方へ向かって幅方向に拡開するように形成された拡開フレームを有し、
ロープ通し具は、支柱に対して拡開フレームよりも上方に取り付けられていることを特徴とする家畜保定装置。
【請求項2】
家畜の前脚が載る前脚載置台を備え、前脚載置台は、前脚載置面を有し、前脚載置面は、家畜の後脚が載る後脚載置面よりも高い位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の家畜保定装置。
【請求項3】
フレームは、拡開フレームの後端から後方に連設された胴側フレームを有し、胴側フレームは、支柱の前後方向の径線に沿う中心線に対して平行に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の家畜保定装置。
【請求項4】
フレームは、拡開フレームの後端から後方に連設された胴側フレームを有し、胴側フレームは、支柱の前後方向の径線に沿う中心線に対して平行に設けられ、体形基準線に沿う円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の家畜保定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜を保定する家畜保定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家畜である牛の品評会では、体形や姿勢、毛並み等を見て種牛としてのランクを競うものが知られている。
このため、生産者は、牛の体形や姿勢、毛並み等を良くするための調教や手入れ等の各種作業を行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、大きくて重い牛に代表される家畜に対する各種作業は、極めて難しいものであり、重労働であった。
このため、家畜に対する各種作業の容易性の向上が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述の課題を解決するために請求項1記載による家畜保定装置は、支柱とフレームとロープ通し具を備え、支柱は、前方に立設され、フレームは、支柱から後方へ向かって幅方向に拡開するように形成された拡開フレームを有し、ロープ通し具は、支柱に対して拡開フレームよりも上方に取り付けられていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明に係る一実施形態の家畜保定装置の正面図である。
図2図1の平面図である。
図3図1の右側面図である。
図4図1の左側面図である。
図5図1の左側面側斜視図である。
図6図1の右側面側斜視図である。
図7図1の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態の家畜保定装置aを説明する。
以下の説明では、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
本実施形態で例示する家畜保定装置aは、家畜である牛b自身が良い姿勢で立てるようにする調教、牛bの体形や毛並みを整えるブラッシングや洗体を行うのに用いられるものとしている。
本発明では、牛bの人工授精や削蹄、他の家畜である馬のブラッシングや洗体を行う家畜保定装置aとしても利用できる。
【0007】
[保定装置の基本構成]
家畜保定装置aは、図1図7に示すように、設置枠10の前方(牛bの頭部側)に立設された支柱1と、支柱1と設置枠10に一体に取り付けられたフレーム2と、支柱1に取り付けられたロープ通し具3と、牛bの前脚b1を載せる前脚載置台4を備えている。
フレーム2は、図2に示すように、支柱1から幅方向に間を開けて2本並べられており、2本のフレームの間を牛bが入る家畜保定空間200とし、後方(牛bの尻側)を出入り空間201としている。
設置枠10は、図2及び図7に示すように、支柱1とフレーム2を支持し、家畜保定装置aを地面にしっかりと設置するものであり、前後に長い長方形状の金属製で、長さ・幅ともに牛bの体長及び体幅よりも大きい枠体が用いられる。
このような家畜保定装置aは、牛bの鼻先b6を支柱1に向けて後方の出入り空間201から家畜保定空間200に入れ、牛bに付けられた鼻輪ロープcをロープ通し具3に通して固定することで、前脚b1が前脚載置台4に載った状態で、家畜保定空間200に牛bが保定される。
図中符号202は、家畜保定装置aを設置する際に地面に敷設されるシートであり、シート202上で牛bを歩かせることによって、牛bの前脚b1や後脚b2を汚さないようにしている。
【0008】
[支柱の構成]
支柱1は、図1図7に示すように、設置枠10の前側に、且つ幅方向において中心となる位置に溶接等により固定して立設された金属製の丸パイプ管であり、外周面にフレーム2が溶接により固定され、フレーム2よりも上方にロープ通し具3が取り付けられている。
【0009】
[フレームの構成]
フレーム2は、支柱1と同じく金属製の丸パイプ管であり、図2図6に示すように、支柱1側を頂点として後方へ向かって幅方向に拡開するように平面略V字形に形成された拡開フレーム20と、拡開フレーム20の後端から後方に連設された胴側フレーム21を備えている。
フレーム2の高さ位置は、牛bの胴部b3のおよそ半分程度の位置に設定されており、フレーム2の外側からブラッシングや洗体を行いやすく、且つ牛bの姿勢を確認する際に邪魔にならない高さにしている。
【0010】
拡開フレーム20は、図1及び図2に示すように、頂点である前端部分を支柱2の周面に突き合わせて溶接等により固定され、後端部分を胴側フレーム21の前方側の丸く折り曲げた部分の外周面に突き合わせて溶接等により固定されている。
家畜保定空間200のうち拡開フレーム20の間は、牛bの首部b4から頭部b5が位置する頭部側保定空間2000である。
頭部側保定空間2000は、図2に示すように、平面略V字形に形成された拡開フレーム20により、平面視において拡開フレーム20の後端から支柱1側に向かって先細る形状にされている。
このような頭部側保定空間2000の形状は、図2に示すように牛bを上方から見たときの胴部b3と首部b4の境付近から鼻先b6までの形状に合わせたものである。
すなわち、頭部側保定空間2000の形状を、胴部b3に比べて幅狭であって、胴部b3と首部b4の境付近から鼻先b6までの形状に合わせることで、平面幅方向における拡開フレーム2と首部b4の境付近から鼻先b6までの間隔が広くならないようにすることができる。
したがって、拡開フレーム2の外側からの首部b4から鼻先b6までの範囲のブラッシングや洗体を行いやすくすることができる。
【0011】
胴側フレーム21は、図1図5図6に示すように、前方の中途部分を丸く折り曲げて設置枠10に向かう前縦部210と、後方の中途部分を丸く折り曲げて設置枠10に向かう後縦部211を有し、前縦部210、後縦部211の下端が設置枠10に溶接等により固定されている。
家畜保定空間200のうち胴側フレーム21の間は、牛bの胴部b3が位置する胴部側保定空間2100である。
胴側フレーム21は、図2に示すように、支柱1の前後方向の径線に沿う中心線CLに対して平行に設けられており、胴部側保定空間2100が牛bの胴部b3に合わせた平面形状となるようにされている。
すなわち、平面幅方向における胴側フレーム21と胴部b3との間隔を略一定にできるため、胴側フレーム21の外側から胴部b3のブラッシングや洗体を行いやすくすることができる。
【0012】
拡開フレーム20と胴側フレーム21は、図1図5図6に示すように、下方へ膨らむ円弧状に形成されている。
このような拡開フレーム20と胴側フレーム21の円弧形状は、フレーム2の外側から牛bのブラッシングや洗体を行う際の作業者の手の動きに合わせてされたものである。
また、このような胴側フレーム21の円弧形状は、牛bの側面から見た体形基準に合わせた円弧であり、牛bの胴部b3の上部から首部b4の上部至るライン及び牛bの胴部b3下部のラインの形状を胴側フレーム21の円弧形状と合わせて見ることで確かめることができる。
拡開フレーム20と胴側フレーム21は、前述の円弧形状に限らず直線形状としてもよい。
【0013】
[ロープ通し具の構成]
ロープ通し具3は、図1図6に示すように、支柱1の外側に嵌合する筒体30と、筒体30の外周に設けられた略U字形のロープ巻き付け部31を備えており、支柱1に対して上下スライド自在、且つ所望位置にボルト32によって固定でき、ボルト32を緩めることによって上下スライドさせることができるようになっている。
ロープ通し具3は、牛bを姿勢よく立たせるための調教時に鼻輪ロープcを通して固定するものである。
【0014】
本実施形態では、上下2つのロープ通し具3を備えており、通常の調教時においては、牛bのサイズに合わせて鼻先b6が上向きとなる位置に上下スライドさせて固定する。
このようなロープ通し具3は、鼻輪ロープcをロープ巻き付け部31に巻き付けたときにゆるみにくいようにして、牛bの鼻先b6の上向き状態を確実に保持できるようにしている。
ロープ通し具3は1つでもよい。
【0015】
このようなロープ通し具3は、牛bの鼻先b6を持ち上げることができる位置に固定して鼻輪ロープcを巻き付けることで、牛bが立った状態で頭部b5が上向きとなるように保持でき、これによって、頭部b5の後端に連続する首部b4の上部から連続する胴部b3の上部にわたるラインがきれいな姿勢で牛bを立たせる調教を行うことができる。
【0016】
[前脚載置台の構成]
前脚載置台4は、図1図3図7に示すように、牛bの前脚b1を載せるものであり、上面に前脚載置面40を有している。
前脚載置面40は、牛bの後脚b2が載る後脚載置面2021よりも高い位置に設けられており、牛bが家畜保定空間200に正常に入った状態において、前脚b1が前脚載置面40に載ることで、前脚b1が後脚b2よりも高い位置で接地するため、体重が後脚b2にかかることになる。
すなわち、牛bが家畜保定空間200で立っているだけで、後脚b2に体重がかかり、牛bの尻から腿の筋肉が自然と鍛えられ、牛bの後側の尻から腿の形状を良好なものとすることができる。
また、前脚載置面40に前脚b1を載せて牛bの後脚b2に体重をかけることは、ロープ通し具3に鼻輪ロープcを通して牛bの鼻先b6を持ち上げて頭部b5を上向きにすることでより効果的となる。
前脚載置台4は、図1及び図7に示すように、高さ調整自在な脚部41が四隅に取り付けられており、この脚部41の高さ調整によって前脚載置台4を上下動させることで、前脚載置面40の高さを牛bのサイズや状況に応じて変更することができる。
また、前脚載置台4は、着脱自在であって、必要に応じて設置する。
【0017】
図1及び図3において仮想線で示す治具5は、前脚b1と後脚b2との前後の間隔を保つと共に、左右の後脚b2の間隔を保つ調教をするためのものであり、着脱自在であって、必要に応じて設置する。
この治具5は、接地した後脚b2の蹄b20の前端に接触させて、前脚b1と後脚b2の前後の間隔をバランスよく保つことで、側方から見たときにきれいに見えるように立たせる調教を行うことができる。
また、治具5は、左右の後脚b2の蹄b20の内側に接触させて、左右の後脚b2の間隔や角度をバランスよく保つことで、後方から見たときにきれいに見えるように立たせる調教を行うことができる。
【0018】
以上の構成とする家畜保定装置aは、牛bに対する調教や手入れ等の各種作業の容易性を向上させることができる。
【0019】
以上、本発明に係る実施形態の家畜保定装置aを、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0020】
また、前述の各実施形態は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0021】
a:家畜保定装置
b:牛
b1:前脚
b2:後脚
1:支柱
2:フレーム
20:拡開フレーム
21:胴側フレーム
3:ロープ通し具
4:前脚載置台
40:前脚載置面
2021:後脚載置面
CL:中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7