(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129440
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20240919BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20240919BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
H04R1/10 104E
A61B5/02 310C
A61B5/02 310G
A61B5/0245 100B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038657
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】319006047
【氏名又は名称】シャープセミコンダクターイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】銭 岩
(72)【発明者】
【氏名】大西 雅也
(72)【発明者】
【氏名】河辺 勇
【テーマコード(参考)】
4C017
5D005
【Fターム(参考)】
4C017AA09
4C017AA10
4C017AB08
4C017AC28
4C017DD14
4C017EE01
4C017EE15
4C017FF05
4C017FF17
5D005BB01
5D005BB07
5D005BB11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】利便性を向上させる情報処理装置及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、情報処理装置の本体と、前記本体において、それぞれ異なる方向を向いて配置れ、且つ、少なくとも1つがユーザが前記情報処理装置を装着した装着状態において前記ユーザの生体情報を取得可能な位置に配置される、複数のセンサと、音を出力可能な音出力部と、前記複数のセンサにより物体が近接していると判定した場合、前記音出力部から前記音を出力させる、制御部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置の本体と、
前記本体において、それぞれ異なる方向を向いて配置れ、且つ、少なくとも1つがユーザが前記情報処理装置を装着した装着状態において前記ユーザの生体情報を取得可能な位置に配置される、複数のセンサと、
音を出力可能な音出力部と、
前記複数のセンサにより物体が近接していると判定した場合、前記音出力部から前記音を出力させる、制御部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
物体の近接を検出する近接モードと、前記ユーザが前記情報処理装置を装着状態であるか否かを判定する生体モードと、を切り替えて、前記情報処理装置を動作させ、
前記近接モードにおいて、前記複数のセンサにより物体が近接していると判定した場合、前記生体モードに移行させ、
前記生体モードにおいて、前記ユーザが前記情報処理装置を装着状態であるか否かを判定した場合、前記近接モードに移行させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記生体モードにおいて、前記ユーザが前記情報処理装置を装着状態でないと判定した場合、前記音出力部からの前記音の出力を停止させる、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記生体モードにおいて、前記ユーザが前記情報処理装置を装着状態であると判定した場合、前記音出力部からの前記音の出力を継続させたまま、前記近接モードに移行させ、
前記近接モードにおいて、前記複数のセンサにより物体が近接していないと判定した場合、前記前記音出力部からの前記音の出力を停止させる、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記センサは、測定光を射出する発光部と、前記発光部から射出された前記測定光に対する反射光を受光する受光部と、を備え、
前記制御部は、前記発光部から射出させる前記測定光の強度を、前記近接モードよりも前記生体モードの場合に強くさせる、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置の本体と、前記本体において、それぞれ異なる方向を向いて配置され、且つ、少なくとも1つがユーザが前記情報処理装置を装着した装着状態において前記ユーザの生体情報を取得可能な位置に配置される、複数のセンサと、音を出力可能な音出力部と、を備える、前記情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
前記複数のセンサにより物体が近接しているか否かを判定するステップと、
前記物体が近接していると判定した場合、前記音出力部から前記音を出力させるステップと、
を含む、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体への装着を認識すると、電子回路に電力を供給する装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された装置は、脈拍を検知した場合に電子回路に電力を供給するため、電子回路に電力を供給するまでに、少なくとも脈拍を検知するまでの時間を必要とする。具体的には、人の脈拍は、約1秒間に1回であるため、脈拍を検知するまでに少なくとも数秒間の時間を要する。そのため、ユーザが装置を装着してから電子回路に電力が供給されるまで、一定の時間が必要となる。そのため、利便性を向上する余地がある。
【0005】
本開示は、上述の問題に鑑みてなされたものである。本開示の目的は、利便性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態の情報処理装置は、情報処理装置の本体と、前記本体において、それぞれ異なる方向を向いて配置れ、且つ、少なくとも1つがユーザが前記情報処理装置を装着した装着状態において前記ユーザの生体情報を取得可能な位置に配置される、複数のセンサと、音を出力可能な音出力部と、前記複数のセンサにより物体が近接していると判定した場合、前記音出力部から前記音を出力させる、制御部と、を備える。
【0007】
本開示の一形態の情報処理方法は、情報処理装置の本体と、前記本体において、それぞれ異なる方向を向いて配置され、且つ、少なくとも1つがユーザが前記情報処理装置を装着した装着状態において前記ユーザの生体情報を取得可能な位置に配置される、複数のセンサと、音を出力可能な音出力部と、を備える、前記情報処理装置により実行される情報処理方法であって、前記複数のセンサにより物体が近接しているか否かを判定するステップと、前記物体が近接していると判定した場合、前記音出力部から前記音を出力させるステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る情報処理装置の外観斜視図である。
【
図2】
図1の情報処理装置を他の方向から見た場合の外観斜視図である。
【
図3】
図1の情報処理装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図2の制御部が実行する音の出力処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図2の受光部で受光される反射光の受光強度と制御部が実行する出力処理との一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面において、同一又は同等の構成要素には同一の符号を付し、同一又は同等の構成要素に関する説明が重複する場合は適宜省略する。
【0010】
図1及び
図2は、一実施形態に係る情報処理装置1の外観斜視図である。具体的には、
図1及び
図2は、それぞれ異なる方向から見た場合の情報処理装置1の外観斜視図である。
【0011】
情報処理装置1は、ユーザが装着して使用する装置である。本実施形態では、例えば
図1及び
図2に示すように、情報処理装置1は、ユーザが耳に装着して使用するワイヤレスイヤホンであるとして、以下説明する。しかしながら、情報処理装置1は、必ずしもワイヤレスイヤホンでなくてもよく、本明細書で説明する処理を実行可能な、ユーザが装着できる任意の装置により構成することができる。情報処理装置1は、特に、ユーザが装着した状態において、ユーザの脈波を取得可能な身体の部位に接触するものである。
【0012】
本実施形態に係る情報処理装置1は、
図1及び
図2に示すように、本体2とイヤーピース3とを備える。本体2は、情報処理装置1としてのイヤホンの外形を形成する筐体である。本体2は、例えば本明細書で説明する処理を実行するための機能部を、内部に有する。イヤーピース3は、ユーザが情報処理装置1を装着した状態(以下、単に「装着状態」ともいう)において、ユーザの耳の外耳道に挿入される。イヤーピース3は、例えばシリコンなどで構成される。なお、
図1及び
図2に示す本体2及びイヤーピース3の形状は、一例にすぎず、他の適宜の形状とすることができる。
【0013】
本実施形態に係る情報処理装置1は、
図1及び
図2に示すように、本体2に、第1センサ4aと第2センサ4bとを備える。本明細書において、第1センサ4aと第2センサ4bとを区別しない場合には、これらをまとめて「センサ4」ともいう。
【0014】
センサ4は、物体の近接を検出可能であるとともに、情報処理装置1の装着状態において、ユーザの生体情報を取得可能なセンサである。センサ4として、例えばユーザの脈波を取得可能な脈波センサを用いることができる。本実施形態では、センサ4は、例えばユーザの生体情報としての脈波を取得可能な光電式脈波センサである。ただし、センサ4は、脈波を取得可能な脈波センサに限られない。例えば、センサ4は、血流量を測定可能なセンサや、脈拍を測定可能なセンサなど、ユーザの生体情報を取得可能な適宜のセンサを用いることができる。
【0015】
第1センサ4a及び第2センサ4bは、本体2において、情報処理装置1の装着状態でユーザの生体情報を取得可能な位置に配置される。例えば、第1センサ4a及び第2センサ4bは、本体2において、情報処理装置1の装着状態でユーザの耳の一部に接触又は対向する位置に配置される。一例として、第1センサ4aは、情報処理装置1の装着状態で耳珠又は対耳珠に接触又は対向する位置に配置される。一例として、第2センサ4bは、情報処理装置1の装着状態で耳甲介に接触又は対向する位置に配置される。これにより、情報処理装置1の装着状態において、第1センサ4aは、耳珠又は対耳珠で脈波を測定することができ、第2センサ4bは、耳甲介で脈波を測定することができる。つまり、第1センサ4a及び第2センサ4bは、情報処理装置1の装着状態で、いずれも生体情報を取得可能である。しかしながら、必ずしも、第1センサ4a及び第2センサ4bの双方が、情報処理装置1の装着状態で、生体情報を取得可能でなくてもよい。複数のセンサのうち、少なくとも1つが、情報処理装置1の装着状態で生体情報を取得可能に構成されていればよい。
【0016】
また、
図1及び
図2に示すように、第1センサ4aと第2センサ4bとは、本体2において、それぞれ異なる方向を向いて配置される。言い換えると、第1センサ4aと第2センサ4bとは、本体2において、後述する測定光を射出する方向が異なるように配置される。つまり、第1センサ4aと第2センサ4bとは、射出された測定光に対する反射光(散乱光)を受光する方向が異なる。従って、第1センサ4a及び第2センサ4bは、本体2において、それぞれ異なる方向を向いて配置され、且つ、少なくとも1つが情報処理装置1の装着状態でユーザの生体情報を取得可能な位置に配置される。
【0017】
第1センサ4aと第2センサ4bとは、本体2において、異なる位置に配置されていてよい。あるいは、第1センサ4aと第2センサ4bとは、本体2が複数の面を含んで構成される場合、それぞれ異なる面上に配置されていてもよい。第1センサ4aと第2センサ4bとは、例えば情報処理装置1が机などの平面上に載置された場合に、第1センサ4a及び第2センサ4bから射出される測定光が、いずれも当該平面上に向かって射出されないような位置に配置されていればよい。
【0018】
図3は、
図1の情報処理装置1の概略構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、情報処理装置1は、第1センサ4a、第2センサ4b、音出力部5、制御部6、記憶部7及び通信部8を備える。
図3に示す各機能部を構成するハードウェアは、例えば情報処理装置1の本体2の内部に設けられる。
【0019】
本実施形態において、第1センサ4a及び第2センサ4bは、同一の機能及び構成を有する。例えば、センサ4は、発光部41及び受光部42を備える。
【0020】
発光部41は、例えばレーザ光やLED(Light Emitting Diode)光などの測定光を射出する。発光部41が射出する測定光は、例えば、血液中に含まれる所定の成分を検出可能な波長を有する。発光部41は、例えばLD(レーザダイオード:Laser Diode)やLEDにより構成される。
【0021】
受光部42は、光を受光する。具体的には、受光部42は、発光部41から射出された測定光に対する反射光(散乱光)を受光する。受光部42は、例えばPD(フォトダイオード:Photo Diode)により構成される。受光部42は、受光した反射光の光電変換信号を制御部6に送信する。
【0022】
音出力部5は、音を出力可能なデバイスである。音出力部5は、例えば音を出力するスピーカにより構成される。音出力部5は、制御部6の制御に基づき、例えば音楽などコンテンツの音を出力する。
【0023】
制御部6は、情報処理装置1の各機能部をはじめとして、情報処理装置1の全体を制御及び管理する。制御部6は、例えば記憶部7に格納された制御プログラムを動作させるなどして、各種制御を行う。制御部6は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)などの制御デバイスにより構成することができる。本実施形態において、制御部6は、センサ4の出力、つまりセンサ4から受信した信号に基づいて、音出力部5からの音の出力を制御する。制御部6が実行する音の出力処理の詳細については、後述する。
【0024】
記憶部7は、プログラム及びデータを記憶可能な記憶媒体である。記憶部7は、例えば半導体メモリなどで構成することができる。具体的には、記憶部7は、例えばレジスタ又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)により構成することができる。記憶部7は、例えば制御部6を動作させるためのプログラムなどを記憶する。例えば、記憶部7は、音の出力処理を制御部6に実行させるためのプログラムを、記憶する。
【0025】
通信部8は、外部装置との情報通信を実行する。例えば、通信部8は、例えばネットワークを介して、外部装置としてのスマートフォン又はコンピュータ等の端末装置と情報通信を実行する。あるいは、通信部8は、例えばケーブルなどの通信路を介して、外部装置と情報通信を実行してもよい。通信部8は、情報通信の方式に応じて、適宜のインタフェースを含んで構成されている。
【0026】
本実施形態では、情報処理装置1は、例えば外部装置としての端末装置と接続された状態で使用される。情報処理装置1は、例えば通信部8により、Bluetooth(登録商標)などの方式を用いて、端末装置と情報通信可能に接続される。制御部6は、例えば外部装置としての端末装置で再生されるコンテンツの音を、音出力部5から出力させる。ただし、音出力部5から出力される音のコンテンツは、必ずしも外部装置で再生されるものでなくてもよい。例えば記憶部7にコンテンツが記憶されており、制御部6は、記憶部7に記憶されたコンテンツの音を音出力部5から出力させてもよい。この場合、情報処理装置1は、必ずしも通信部8を備えていなくてもよい。
【0027】
本実施形態において、情報処理装置1は、近接モード及び生体モードという2つのモードのいずれかで動作する。具体的には、制御部6は、センサ4から受信した信号の信号強度に基づいて、近接モード及び生体モードを切り替えて、情報処理装置1を動作させる。
【0028】
近接モードは、センサ4を用いて物体の近接を検出するためのモードである。近接モードでは、制御部6は、センサ4の発光部41から射出される測定光の強度を、生体モードにおいてセンサ4の発光部41から射出される測定光の強度よりも弱くする。具体的には、制御部6は、発光部41に供給される電流を、生体モードの場合よりも小さくすることで、発光部41から射出される測定光の強度を弱くすることができる。例えば、制御部6は、測定モードにおいて、7.2mAの電流を発光部41に供給する。
【0029】
受光部42は、受光した反射光の受光強度に応じた光電変換信号を制御部6に送信する。制御部6は、近接モードにおいて、受光部42から受信した光電変換信号に基づき、センサ4に物体が近接しているか否かを判定する。例えば、制御部6は、光電変換信号の強度が所定の閾値以上である場合に、反射光の受光強度が所定の強度閾値以上であると判定し、物体が近接していると判定する。一方、制御部6は、光電変換信号の強度が、所定の閾値未満である場合に、反射光の受光強度が所定の強度閾値未満であると判定し、物体が近接していないと判定する。閾値は、センサ4の仕様などに応じて、適宜定められてよい。制御部6は、第1センサ4a及び第2センサ4bのそれぞれについて、物体が近接しているか否かを判定する。
【0030】
なお、物体が近接しているか否かの判定に用いられる強度閾値は、条件に応じて複数設けられていてもよい。例えば、強度閾値として、物体が近接していないと判断されている場合に、物体が近接したか否かを判定するために用いられる第1強度閾値と、物体が近接していると判断されている場合に、物体が近接しなくなったか否かを判定するために用いられる第2強度閾値と、が設けられていてよい。この場合、制御部6は、物体が近接していないと判定している状況においては、光電変換信号の強度に基づいて反射光の受光強度が第1閾値以上となったか否かを判定する。制御部6は、反射光の受光強度が第1強度閾値以上となったと判定した場合に、物体が近接していると判定する。一方、制御部6は、物体が近接していると判定している状況においては、光電変換信号の強度に基づいて反射光の受光強度が第2強度閾値未満となったか否かを判定する。制御部6は、反射光の受光強度が第2強度閾値未満となったと判定した場合に、物体が近接しなくなったと判定する。なお、第1強度閾値と第2強度閾値との大小関係については、適宜定めることができ、本実施形態では、第1強度閾値が、第2強度閾値よりも大きいとする。
【0031】
また、物体が近接しているか否かの判定に用いられる強度閾値は、センサ4ごとに異なっていてもよい。つまり、本実施形態で示す例では、第1センサ4aと第2センサ4bとで、判定に用いられる強度閾値が異なっていてもよい。従って、本実施形態では、第1センサ4aでの判定に用いられる第1強度閾値及び第2強度閾値と、第2センサ4bでの判定に用いられる第1強度閾値及び第2強度閾値とが設定されている。
【0032】
生体モードは、ユーザが情報処理装置1を装着状態であるか否かを判定するためのモードである。具体的には、生体モードでは、センサ4を用いて、近接している物体が生体(ユーザ)であるかが判定される。近接している物体が生体である場合、ユーザが情報処理装置1を装着状態であると判定され、近接している物体が生体でない場合、ユーザが情報処理装置1を装着状態でないと判定される。詳細については後述するが、生体モードは、制御部6が、近接モードにおいて、物体の近接を検出した場合に実行される。
【0033】
生体モードでは、制御部6は、センサ4の発光部41から射出される測定光の強度を、近接モードにおいてセンサ4の発光部41から射出される測定光の強度よりも強くする。具体的には、制御部6は、発光部41に供給される電流を、近接モードの場合よりも大きくすることで、発光部41から射出される測定光の強度を強くすることができる。例えば、制御部6は、生体モードにおいて、16mAの電流を発光部41に供給する。
【0034】
受光部42は、受光した反射光の受光強度に応じた光電変換信号を制御部6に送信する。制御部6は、近接モードにおいて、受光部42から受信した光電変換信号に基づき、近接している物体が生体であるか否かを判定する。例えば、制御部6は、光電変換信号の強度の変化に基づいて、近接している物体が生体であるか否かを判定する。
【0035】
具体的には、例えばユーザが情報処理装置1を装着したことにより、物体の近接が検出された場合、近接している物体は生体(ユーザ)である。この場合、受光部42が受光する反射光は、発光部41から射出された測定光が、情報処理装置1を装着しているユーザの身体の内部組織で反射した光である。このとき、受光部42で受光される反射光の強度は、ユーザの脈動に伴って、原則として一定の周波数で変化する。そのため、制御部6は、受光部42から受信した光電変換信号に基づき、ユーザの脈動に相当する一定の周波数での反射光の受光強度の変化を検出した場合、近接している物体が生体であると判定する。
【0036】
一方、例えばセンサ4にユーザでない物体が近接又は接触した場合、受光部42が受光する反射光は、発光部41から射出された測定光が、当該物体で反射した光である。この場合、受光部42で受光される反射光の強度は、ユーザの脈動に伴う変化を生じない。そのため、制御部6は、受光部42から受信した光電変換信号に基づき、ユーザの脈動に相当する一定の周波数での反射光の受光強度の変化を検出していない場合、近接している物体が生体でないと判定する。
【0037】
制御部6は、上述したように生体モードにおいて、発光部41から射出される測定光の強度を強くすることにより、身体の内部組織で反射されて受光部42で受光される反射光の受光強度を強くすることができる。これにより、身体の内部組織における脈動の変化を、より捉えやすくなる。
【0038】
図4は、制御部6が実行する音の出力処理の一例を示すフローチャートである。
図5は、受光部42で受光される反射光の受光強度と制御部6が実行する出力処理との一例を示す模式図である。
図5において、横軸は時間の経過を示し、縦軸は受光部42で受光される反射光の受光強度を示す。また、
図5では、第1センサ4aの受光部42における受光強度の変化を実線で示し、第2センサ4bの受光部42における受光強度の変化を破線で示す。
【0039】
図4に示すフローの開始時において、情報処理装置1は、外部装置と通信接続されており、外部装置は、コンテンツを再生可能な状態であるとする。また、
図4に示すフローの開始時において、制御部6は、近接モードで情報処理装置1を動作させているとする。このとき、制御部6は、例えば7.2mAの電流を発光部41に供給し、発光部41から測定光が射出される。受光部42は、反射光を受光し、受光した反射光の受光強度に応じた光電変換信号を制御部6に送信する。
【0040】
まず、制御部6は、複数のセンサ4により、物体が近接しているか否かを判定する。例えば、制御部6は、受光部42から受信した光電変換信号に基づき、センサ4の受光部42における反射光の受光強度が、第1強度閾値以上となったか否かを判定する(ステップS11)。
【0041】
例えば、
図5に示す例において、時刻t0からt2までは、センサ4における受光強度が、第1受光強度未満である。この場合、制御部6は、センサ4の受光部42における反射光の受光強度が、第1強度閾値S1以上となっていないと判定する。特に、
図5の時刻t0からt1の間は、例えばユーザが情報処理装置1を手で保持しているなどにより、センサ4に近接する物体が検出されていない状態である。時刻t1からt2の間は、例えばユーザが情報処理装置1であるイヤホンを、耳に装着している段階における受光強度の変化の様子を示している。また、時刻t2において、受光部42における受光強度が第1受光強度となる。この場合、制御部6は、センサ4の受光部42における反射光の受光強度が、第1強度閾値S1以上となったと判定する。
【0042】
なお、制御部6は、ステップS11において、情報処理装置1が備える全てのセンサ4について、受光部42における反射光の受光強度が第1強度閾値S1以上となったか否かを判定する。本実施形態では、情報処理装置1は、第1センサ4aと第2センサ4bとを備えるため、制御部6は、第1センサ4a及び第2センサ4bの双方について、受光部42における反射光の受光強度が第1強度閾値S1以上となったか否かを判定する。第1センサ4a及び第2センサ4bの少なくともいずれかについて、反射光の受光強度が第1強度閾値S1未満である場合、制御部6は、反射光の受光強度が第1強度閾値S1以上となっていないと判定する(ステップS11のNo)。
【0043】
上述のとおり、本実施形態では、情報処理装置1は、第1センサ4aと第2センサ4bとを備えており、測定光を射出する方向が異なるように配置されている。つまり、第1センサ4aと第2センサ4bとは、射出された測定光に対する反射光(散乱光)を受光する方向が異なるよう配置されている。第1センサ4aと第2センサ4bをこのように配置することにより、本体2を例えば机のような平面上に載置した場合、第1センサ4aと第2センサ4bのうち、少なくとも一方は、机からの反射光(散乱光)を受光しないようにすることができる。すなわち、本体2を例えば机のような平面上に載置した場合、第1センサ4a及び第2センサ4bの少なくともいずれかについて、反射光の受光強度が第1強度閾値S1以上となっていないと判定できる(ステップS11のNo)。
【0044】
制御部6は、物体が近接していないと判定した場合、すなわち反射光の受光強度が第1強度閾値S1未満であると判定した場合(ステップS11のNo)、反射光の受光強度が第1強度閾値S1以上であると判定するまで、近接モードのままステップS11を繰り返す。
【0045】
一方、制御部6は、物体が近接していると判定した場合、すなわち反射光の受光強度が第1強度閾値S1以上となったと判定した場合(ステップS11のYes)、音出力部5から音を出力させる(ステップS12)。例えば、制御部6は、通信接続されている外部装置で再生されているコンテンツの音の信号を音出力部5に印加することにより、音出力部5から音を出力させる。
【0046】
受光部42における反射光の受光強度が第1強度閾値S1以上となったときは、ユーザが情報処理装置1を装着して音を聞こうとしている可能性がある。そのため、制御部6は、受光部42における反射光の受光強度が第1強度閾値S1以上となったときに、音出力部5から音を出力させることにより、ユーザが情報処理装置1を装着したときに、すぐに音を出力し、ユーザに対してコンテンツの音を提供することができる。そのため、ユーザにとっての利便性が向上する。
【0047】
また、制御部6は、反射光の受光強度が第1強度閾値S1以上となったと判定した場合(ステップS11のYes)、情報処理装置1を近接モードから生体モードに移行させる(ステップS13)。
図4に示すフローでは、ステップS13は、ステップS12の後に記載されているが、実際には、ステップS12と同時に実行されてよい。従って、例えば
図5に示すように、時刻t2で受光部42における受光強度が第1受光強度となったときに、情報処理装置1は、生体モードに移行する。
【0048】
制御部6は、ステップS13で生体モードに移行させた場合、センサ4の発光部41から射出される測定光の強度を、近接モードにおいてセンサ4の発光部41から射出される測定光の強度よりも強くする。例えば、制御部6は、生体モードに移行した場合、16mAの電流を発光部41に供給する。
【0049】
そして、制御部6は、センサ4の受光部42における反射光の受光強度に応じた光電変換信号を受信する(ステップS14)。
【0050】
制御部6は、ステップS14で受信した光電変換信号に基づいて、ユーザが情報処理装置1を装着状態であるか否かを判定する(ステップS15)。装着状態であるか否かの判定方法は、上述の通りである。すなわち、制御部6は、受光部42から受信した光電変換信号に基づき、ユーザの脈動に相当する一定の周波数での反射光の受光強度の変化を検出した場合、近接している物体が生体であると判定する。この場合、制御部6は、ユーザが情報処理装置1を装着状態であると判定する(ステップS15のYes)。一方、制御部6は、受光部42から受信した光電変換信号に基づき、ユーザの脈動に相当する一定の周波数での反射光の受光強度の変化を検出していない場合、近接している物体が生体でないと判定する。この場合、制御部6は、ユーザが情報処理装置1を装着状態でないと判定する(ステップS15のNo)。
【0051】
なお、制御部6は、第1センサ4a及び第2センサ4bの少なくとも一方の受光部42における反射光の受光強度に基づいて、ユーザが情報処理装置1を装着状態であるか否かを判定してよい。例えば、本実施形態では、第1センサ4aが、情報処理装置1の装着状態で耳珠又は対耳珠に接触又は対向する位置に配置され、第2センサ4bが、情報処理装置1の装着状態で耳甲介に接触又は対向する位置に配置される。一般に、センサ4を用いた脈波を検出する場合、脈波が測定のしやすい部位には個人差があり得るが、例えば
図5に示す例では、耳珠又は対耳珠(つまり第1センサ4aによる測定箇所)の方が、受光強度が高い。このような状況は、例えば情報処理装置1を装着するユーザが、第2センサ4bと耳甲介との距離よりも第1センサ4aと耳珠又は対耳珠の距離の方が近い場合などに発生し得る。そのため、制御部6は、脈波が測定しやすい耳珠又は対耳珠に接触又は対向する位置に配置される、第1センサ4aの受光部42における反射光の受光強度を用いて、情報処理装置1を装着状態であるか否かを判定してよい。ただし、制御部6は、第1センサ4aと第2センサ4bとの双方の受光部42における反射光の受光強度に基づいて、ユーザが情報処理装置1を装着状態であるか否かを判定してもよい。
【0052】
例えば、
図5に示す例では、時刻t2に生体モードに移行すると、センサ4の発光部41から射出される測定光の強度が、近接モードのときよりも強くなる。そのため、生体モードにおける受光部42での反射光の受光強度も、近接モードのときよりも強くなる。ユーザが情報処理装置1を装着状態である場合、第1センサ4aの受光部42における反射光の受光強度は、
図5に示すように、ユーザの脈動に応じて一定の周期で変化する。そのため、制御部6は、第1センサ4aの受光部42における反射光の受光強度に基づいて、ユーザが情報処理装置1を装着状態であるか否かを判定することができる。
【0053】
なお、
図5では、生体モードにおける第2センサ4bの受光部42における反射光の受光強度が一定の強度であるように図示されている。しかしながら、第2センサ4bの仕様などによっては、第2センサ4bの受光部42における反射光の受光強度も、第1センサ4aの受光部42における反射光の受光強度と同様に、ユーザの脈動に応じて一定の周期で変化し得る。その場合には、制御部6は、第2センサ4bの受光部42における反射光の受光強度に基づいて、ユーザが情報処理装置1を装着状態であるか否かを判定してもよい。
【0054】
制御部6は、ステップS14において、例えば所定時間、光電変換信号を受信し、当該所定時間に受信した光電変換信号に基づいて、ユーザが情報処理装置1を装着状態であるか否かを判定することができる。所定時間は、センサ4の仕様や、受信した光電変換信号などに応じて適宜定められてよい。
【0055】
例えば、ユーザが情報処理装置1を装着する動作を行っている間は、ユーザに対する情報処理装置1の装着状態が定まっておらず、ユーザが装着状態を調整している場合がある。このように装着状態を調整している状態では、受光部42における反射光の受光強度が安定せず、装着状態であるか否かを正確に判定することができない可能性が高まる。そこで、制御部6は、例えば生体モードに移行してから所定の待機時間を設けてもよい。例えば、
図5に示す例では、時刻t2において、受光部42における受光強度が第1強度閾値S1以上となるが、この段階では、情報処理装置1の装着が完全には終わっておらず、ユーザが装着状態を調整している場合がある。
【0056】
待期期間は、装着状態が安定するまでの期間であり、制御部6は、例えば待期期間における反射光の受光強度を、情報処理装置1が装着状態であるか否かの判定に用いない。待機時間は、例えば一定の長さの時間(例えば数秒間)などのように、予め定められていてよい。あるいは、待機時間は、予め定められていなくてもよく、例えば、制御部6が、受光部42から受信した光電変換信号に基づいて定めてもよい。この場合、制御部6は、光電変換信号に基づいて導出される受光部42における反射光の受光強度の変化が、例えば一定の周期となるなど、安定した状態となるまでを、待機時間として定めることができる。
図5に示す例では、時刻t2からt3までが、待機時間である。
【0057】
制御部6は、待機時間経過後の判定時間に受光部42から受信した光電変換信号に基づき、ユーザが情報処理装置1を装着状態であるか否かを判定してよい。判定時間は、例えば一定の長さの時間(例えば数秒間)などのように、情報処理装置1を装着状態であるか否かを判定可能なデータを収集する長さの時間として、予め定められていてよい。
図5に示す例では、時刻t3からt4までが判定時間である。
【0058】
このように、制御部6は、待機時間及び判定時間を含む所定時間(
図5における時刻t2からt4の間の時間)、光電変換信号を受信し、当該所定時間に受信した光電変換信号に基づいて、ユーザが情報処理装置1を装着状態であるか否かを判定することができる。
【0059】
制御部6は、ユーザが情報処理装置1を装着状態であると判定した場合(ステップS15のYes)、音出力部5から音を出力させた状態のまま、情報処理装置1を生体モードから近接モードに移行させる(ステップS16)。つまり、制御部6は、ユーザが情報処理装置1を装着状態であると判定した場合(ステップS15のYes)、音出力部5からの音の出力を継続させる。
図5に示す例では、制御部6は、時刻t4で、ユーザが情報処理装置1を装着状態であると判定し、情報処理装置1を近接モードに移行させる。これにより、ユーザが情報処理装置1を装着状態である場合には、音が出力された状態のまま、情報処理装置1が近接モードに移行する。
【0060】
制御部6は、ステップS16で近接モードに移行させた場合、センサ4の発光部41から射出される測定光の強度を、生体モードにおいてセンサ4の発光部41から射出される測定光の強度よりも弱くする。例えば、制御部6は、近接モードに移行した場合、7.2mAの電流を発光部41に供給する。受光部42は、反射光を受光し、受光した反射光の受光強度に応じた光電変換信号を制御部6に送信する。
【0061】
制御部6は、近接モードにおいて、複数のセンサ4により物体が近接しているか否かを判定する。具体的には、制御部6は、受光部42から受信した光電変換信号に基づき、センサ4の受光部42における反射光の受光強度が、第2強度閾値未満となったか否かを判定する(ステップS17)。
【0062】
例えば、
図5に示す例において、時刻t4からt6までは、センサ4における受光強度が、第2受光強度以上である。この場合、制御部6は、センサ4の受光部42における反射光の受光強度が、第2強度閾値S2未満となっていないと判定する。特に、
図5の時刻t4からt5の間は、例えば情報処理装置1が装着状態であり、ユーザが情報処理装置1を用いてコンテンツの音を聞いている状態である。ユーザは、例えば時刻t5において、情報処理装置1の装着状態を解除する動作を開始する。例えば、ユーザは、情報処理装置1であるイヤホンを耳から外す動作を、時刻t5に開始する。すると、センサ4と生体(例えばユーザの耳)との距離が大きくなるため、例えば
図5の時刻t5からt7に模式的に示すように、受光部42における反射光の受光強度が徐々に低下する。このとき、時刻t6において、受光部42における受光強度が第2受光強度未満となる。この場合、制御部6は、センサ4の受光部42における反射光の受光強度が、第2強度閾値S2未満となったと判定する。
図5に示す例では、例えば時刻t7において、ユーザは、情報処理装置1の装着状態を解除する動作を完了する。
【0063】
なお、制御部6は、ステップS17において、情報処理装置1が備える全てのセンサ4について、受光部42における反射光の受光強度が第2強度閾値S2未満となったか否かを判定する。本実施形態では、情報処理装置1は、第1センサ4aと第2センサ4bとを備えるため、制御部6は、第1センサ4a及び第2センサ4bの双方について、受光部42における反射光の受光強度が第2強度閾値S2未満となったか否かを判定する。第1センサ4a及び第2センサ4bの少なくともいずれかについて、反射光の受光強度が第2強度閾値S2以上である場合、制御部6は、反射光の受光強度が第2強度閾値S2未満となっていないと判定する(ステップS17のNo)。ただし、情報処理装置1の仕様などに応じて、制御部6は、ステップS17において、第1センサ4a及び第2センサ4bの少なくともいずれかについて、反射光の受光強度が第2強度閾値S2未満となった場合に、反射光の受光強度が第2強度閾値S2未満となったと判定してもよい。
【0064】
制御部6は、物体が近接していると判定した場合、すなわち反射光の受光強度が第2強度閾値S2以上であると判定した場合(ステップS17のNo)、反射光の受光強度が第2強度閾値S2未満であると判定するまで、音出力部5から音の出力を継続したままステップS17を繰り返す。
【0065】
一方、制御部6は、物体が近接していないと判定した場合、すなわち反射光の受光強度が第2強度閾値S2未満となったと判定した場合(ステップS17のYes)、音出力部5からの音の出力を停止させる(ステップS18)。受光部42における反射光の受光強度が第2強度閾値S2未満となったときは、ユーザが情報処理装置1の装着状態を解除したことが想定される。そのため、制御部6は、受光部42における反射光の受光強度が第2強度閾値S2未満となったときに、音出力部5からの音の出力を停止させることにより、ユーザによる操作を必要とすることなく、自動的に音の出力を停止させることができる。これにより、ユーザの利便性を向上できるとともに、ユーザがコンテンツの音を聞いていないと想定される場合における電力消費を抑えることができる。
【0066】
制御部6は、ステップS18により、
図4のフローを終了する。制御部6は、ステップS18で音の出力を停止した後、つまり
図4のフローを終了した後、再び冒頭から
図4のフローを実行してよい。
【0067】
ステップS15において、制御部6は、ユーザが情報処理装置1を装着状態でないと判定した場合(ステップS15のNo)、音出力部5からの音の出力を停止させる(ステップS19)。ユーザが情報処理装置1を装着状態でない場合には、音出力部5から音を出力しても、ユーザが聞いていないことになるため、制御部6は、自動的に音の出力を停止させることにより、不要な電力消費を抑えることができる。
【0068】
なお、受光強度が第1強度閾値S1以上となったと判定されたものの(ステップS11のYes)、ユーザが情報処理装置1を装着状態でないと判定される場合(ステップS15のNo)の例として、例えば、情報処理装置1がポケットやカバンの中に入れられる場合がなどが想定される。すなわち、情報処理装置1がポケットやカバンの中に入れられた場合、情報処理装置1の周囲の物体がセンサ4に近接することにより、受光強度が第1強度閾値S1以上となったと判定され得る(ステップS11のYes)。しかしながら、この場合には、ユーザが情報処理装置1を装着しているわけではないため、制御部6により、ユーザが情報処理装置1を装着状態でないと判定される(ステップS15のNo)。そのため、このような場合には、音出力部5からの音の出力が停止される(ステップS19)。
【0069】
また、制御部6は、ユーザが情報処理装置1を装着状態でないと判定した場合(ステップS15のNo)、情報処理装置1を生体モードから近接モードに移行させる(ステップS20)。
図4に示すフローでは、ステップS20は、ステップS19の後に記載されているが、実際には、ステップS19と同時に実行されてよい。
【0070】
図4のステップS16及びステップS20に示すように、制御部6は、ステップS15においてユーザが情報処理装置1を装着状態であるか否かを判定した後、判定結果にかからわず、情報処理装置1を生体モードから近接モードに移行させる。ただし、制御部6は、判定結果に応じて、音出力部5からの音の出力を継続させるか、音の出力を停止させるかという点において、異なる。
【0071】
ステップS20で近接モードに移行した場合、制御部6は、ステップS16と同様に、センサ4の発光部41から射出される測定光の強度を、生体モードにおいてセンサ4の発光部41から射出される測定光の強度よりも弱くする。例えば、制御部6は、近接モードに移行した場合、7.2mAの電流を発光部41に供給する。受光部42は、反射光を受光し、受光した反射光の受光強度に応じた光電変換信号を制御部6に送信する。
【0072】
制御部6は、近接モードにおいて、複数のセンサ4により物体が近接しているか否かを判定する。具体的には、制御部6は、受光部42から受信した光電変換信号に基づき、センサ4の受光部42における反射光の受光強度が、第2強度閾値S2未満となったか否かを判定する(ステップS21)。ステップS21における処理は、ステップS17と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0073】
制御部6は、反射光の受光強度が第2強度閾値S2以上であると判定した場合(ステップS21のNo)、反射光の受光強度が第2強度閾値S2未満であると判定するまで、音出力部5から音の出力を継続したままステップS21を繰り返す。反射光の受光強度が第2強度閾値S2以上であると判定され続ける限り、情報処理装置1は、例えばポケットやカバンの中に入れられた状態が継続していると考えられる。
【0074】
一方、制御部6は、反射光の受光強度が第2強度閾値S2未満となったと判定した場合(ステップS21のYes)、
図4のフローを終了する。制御部6は、
図4のフローを終了した後、再び冒頭から
図4のフローを実行してよい。
【0075】
このように、本実施形態に係る情報処理装置1では、制御部6が、複数のセンサ4により物体が近接していると判定した場合、音出力部5から前記音を出力させる。そのため、ユーザが情報処理装置1を装着したときに、ユーザによる何らの操作も必要とすることなく、すぐに音が出力され、ユーザに対してコンテンツの音が提供される。そのため、ユーザにとっての利便性が向上する。
【0076】
なお、上記実施形態では、情報処理装置1が、音出力部5を備えるイヤホンであると説明したが、情報処理装置1は、必ずしもイヤホンにより構成されていなくてもよい。例えば、情報処理装置1は、音出力部5を必ずしも備えていなくてもよく、音出力部5に代わる他の被制御部を備えていてもよい。この場合においても、制御部6は、上記実施形態と同様の処理を行うことにより、物体が近接しているか否か、及び、ユーザが情報処理装置1を装着状態であるか否かに基づいて、被制御部の動作開始及び停止を制御することができる。この場合にも、ユーザが情報処理装置1を装着した場合に、被制御部が自動的に動作開始するため、利便性を向上させることができる。
【0077】
本開示を諸図面及び実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各機能部又は各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の機能部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 情報処理装置
2 本体
3 イヤーピース
4 センサ
4a 第1センサ
4b 第2センサ
5 音出力部
6 制御部
7 記憶部
8 通信部
41 発光部
42 受光部