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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012946
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】カルシウム材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01F 11/02 20060101AFI20240124BHJP
   B09B 3/70 20220101ALI20240124BHJP
   B09B 3/35 20220101ALI20240124BHJP
   B09B 3/80 20220101ALI20240124BHJP
【FI】
C01F11/02 Z ZAB
B09B3/70
B09B3/35
B09B3/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114793
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】坂本 遼
(72)【発明者】
【氏名】松田 拓
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】サンジーワニ ダヤニ
【テーマコード(参考)】
4D004
4G076
【Fターム(参考)】
4D004AA04
4D004BA06
4D004CA04
4D004CA13
4D004CA42
4D004CB05
4D004CB13
4D004CC03
4D004CC12
4D004DA03
4G076AA10
4G076AB09
4G076AB28
4G076AC04
4G076BA15
4G076BA25
4G076BA43
4G076DA02
4G076DA11
4G076DA25
4G076DA29
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素の排出量を削減することができ、廃棄物を用いて高純度のカルシウム材を簡便に効率良く製造することができるカルシウム材の製造方法を提供すること。
【解決手段】カルシウム成分を含有する生物由来の廃棄物と酸剤とを反応させて酸剤反応物を得る第1の反応工程と、前記酸剤反応物とアルカリ剤とを反応させてカルシウム材を得る第2の反応工程と、前記カルシウム材から不純物を分離除去する分離除去工程と、を含むカルシウム材の製造方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウム成分を含有する生物由来の廃棄物と酸剤とを反応させて酸剤反応物を得る第1の反応工程と、
前記酸剤反応物とアルカリ剤とを反応させてカルシウム材を得る第2の反応工程と、
前記カルシウム材から不純物を分離除去する分離除去工程と、
を含むことを特徴とするカルシウム材の製造方法。
【請求項2】
前記廃棄物が、貝殻、卵の殻、骨、及び生物の死骸から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のカルシウム材の製造方法。
【請求項3】
前記分離除去工程が、前記カルシウム材を真空濾過することにより行われる、請求項1に記載のカルシウム材の製造方法。
【請求項4】
前記第1の反応工程の前に、前記廃棄物を粉砕する粉砕工程を更に含む、請求項1に記載のカルシウム材の製造方法。
【請求項5】
前記酸剤が塩酸である、請求項1に記載のカルシウム材の製造方法。
【請求項6】
前記第1の反応工程が、前記廃棄物に前記酸剤を添加することにより行われる、請求項1に記載のカルシウム材の製造方法。
【請求項7】
前記アルカリ剤が水酸化ナトリウムである、請求項1に記載のカルシウム材の製造方法。
【請求項8】
前記分離除去工程が、前記カルシウム材を水に分散させた分散液を調製し、前記分散液を真空濾過することにより行われる、請求項3に記載のカルシウム材の製造方法。
【請求項9】
前記分離除去工程が、前記カルシウム材に注水しながら真空濾過することにより行われる、請求項3に記載のカルシウム材の製造方法。
【請求項10】
前記酸剤及び前記アルカリ剤がそれぞれ水を含有し、
前記酸剤中の水の質量、前記アルカリ剤中の水の質量、及び前記分離除去工程で使用する水の質量の合計質量が、前記カルシウム材中の塩の質量の20倍以上である、請求項8又は9に記載のカルシウム材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルシウム材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水酸化カルシウムは、従来、土壌中和剤、排煙脱硫剤、排ガス中の脱塩素剤、無機フィラーなどの幅広い用途に用いられている。工業的には、石灰岩などを焼成して得られた石灰石を消化機に装入し、加水して消化した後、熟成機内で熟成する方法などにより製造される。従来の水酸化カルシウムの製造方法は、天然資源を利用すること、製造工程における焼成により二酸化炭素が排出されることなどの環境負荷が問題となっている(非特許文献1参照)。
【0003】
また、水酸化カルシウムは、炭酸カルシウム、フッ化カルシウム、硝酸カルシウムなどの原料として用いられており、これらのカルシウム化合物を電子部品や光学材料の原料として使用する場合には、不純物の含有量が低いものが求められている。
【0004】
したがって、二酸化炭素の排出量を削減するなどの環境負荷を低減することができ、高純度のカルシウム材を簡便に効率良く製造することができるカルシウム材の製造方法の提供が強く望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】石灰製造事業における地球温暖化対策の取組~低炭素社会実行計画 2016年度実績報告~、平成30年2月14日、石灰製造工業会、2016年度実績フォローアップ説明会資料
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、二酸化炭素の排出量を削減することができ、廃棄物を用いて高純度のカルシウム材を簡便に効率良く製造することができるカルシウム材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> カルシウム成分を含有する生物由来の廃棄物と酸剤とを反応させて酸剤反応物を得る第1の反応工程と、
前記酸剤反応物とアルカリ剤とを反応させてカルシウム材を得る第2の反応工程と、
前記カルシウム材から不純物を分離除去する分離除去工程と、
を含むことを特徴とするカルシウム材の製造方法である。
<2> 前記廃棄物が、貝殻、卵の殻、骨、及び生物の死骸から選択される少なくとも1種である、前記<1>に記載のカルシウム材の製造方法である。
<3> 前記分離除去工程が、前記カルシウム材を真空濾過することにより行われる、前記<1>から<2>のいずれかに記載のカルシウム材の製造方法である。
<4> 前記第1の反応工程の前に、前記廃棄物を粉砕する粉砕工程を更に含む、前記<1>から<3>のいずれかに記載のカルシウム材の製造方法である。
<5> 前記酸剤が塩酸である、前記<1>から<4>のいずれかに記載のカルシウム材の製造方法である。
<6> 前記第1の反応工程が、前記廃棄物に前記酸剤を添加することにより行われる、前記<1>から<5>のいずれかに記載のカルシウム材の製造方法である。
<7> 前記アルカリ剤が水酸化ナトリウムである、前記<1>から<6>のいずれかに記載のカルシウム材の製造方法である。
<8>前記分離除去工程が、前記カルシウム材を水に分散させた分散液を調製し、前記分散液を真空濾過することにより行われる、前記<3>から<7>のいずれかに記載のカルシウム材の製造方法である。
<9> 前記分離除去工程が、前記カルシウム材に注水しながら真空濾過することにより行われる、前記<3>から<7>のいずれかに記載のカルシウム材の製造方法である。
<10> 前記酸剤及び前記アルカリ剤がそれぞれ水を含有し、
前記酸剤中の水の質量、前記アルカリ剤中の水の質量、及び前記分離除去工程で使用する水の質量の合計質量が、前記カルシウム材の質量の20倍以上である、前記<8>又は<9>に記載のカルシウム材の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、二酸化炭素の排出量を削減することができ、廃棄物を用いて高純度のカルシウム材を簡便に効率良く製造することができるカルシウム材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例1の示差熱-熱重量同時測定の結果を示す図である。
図2図2は、実施例2の示差熱-熱重量同時測定の結果を示す図である。
図3図3は、実施例3の示差熱-熱重量同時測定の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(カルシウム材の製造方法)
本発明のカルシウム材の製造方法は、第1の反応工程と、第2の反応工程と、分離除去工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0011】
<第1の反応工程>
前記第1の反応工程は、カルシウム成分を含有する生物由来の廃棄物と酸剤とを反応させて酸剤反応物を得る工程である。
【0012】
<<カルシウム成分を含有する生物由来の廃棄物>>
前記カルシウム成分を含有する生物由来の廃棄物(以下、「廃棄物」と略記することがある)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホタテ、アサリ、カキ、シジミ、サザエ、アワビ、真珠、はまぐり等の貝殻;鶏等の鳥類の卵の殻;魚類や動物の骨;生物の死骸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記廃棄物は、漁業者、割卵工場、精肉業者、家庭などから入手することができる。
【0013】
上記の通り、前記カルシウム材の製造方法の原料は廃棄物であるため、石灰岩、石灰石、サンゴ等の天然資源は含まれない。
【0014】
ホタテの貝殻の廃棄量は年間約18万トン、カキの廃棄量は年間約13万トンと推定されている。そのため、排出事業者は、貝殻等を中間処理により、炭酸カルシウムの原料にするなど、再生利用が推進されている(漁業系廃棄物処理ガイドライン(改訂)、令和2年5月、環境省環境再生・資源循環局参照)。また、日本国内の割卵工場などにおける卵の殻の廃棄量は年間約26万トンと推定されている。
これらの貝殻、卵の殻、骨などの一部は肥料などに再利用されているが、殆どは廃棄物として処理されているのが現状である。これに対し、前記カルシウム材の製造方法は、これらの廃棄物を有効利用することができるため、環境負荷低減に有効である。
【0015】
前記カルシウム成分としては、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0016】
<<酸剤>>
前記酸剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩酸、硝酸、硫酸の無機酸;酢酸等の有機酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、塩酸が好ましい。
【0017】
前記酸剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記廃棄物に含まれる炭酸カルシウムの量と過不足なく化学反応する量であることが好ましく、炭酸カルシウムのモル量の1.5倍~2.5倍のモル量であることがより好ましく、炭酸カルシウムのモル量の2倍のモル量であることが特に好ましい。前記酸剤の使用量が炭酸カルシウムのモル量の2.5倍以下、特に好ましくは2倍~2.5倍のモル量であると、前記廃棄物に含まれる炭酸カルシウムと十分に反応することができ、未反応物が生じることを抑制することができるため前記カルシウム材を高収率で得ることができる。また、前記酸剤の使用量が炭酸カルシウムのモル量の1.5倍以上、特に好ましくは1.5倍~2倍のモル量であると、第2の反応工程においてアルカリ剤の使用量の増加、及び生成される塩化ナトリウムの増加を抑制することができ、更に前記分離除去工程で使用する水の量を少量に抑えることができる。
【0018】
前記酸剤の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水等の希釈溶媒で希釈して用いてもよい。
【0019】
<<酸剤反応物>>
前記第1の反応工程では、前記廃棄物と前記酸剤とを反応させることで、酸剤反応物が析出する。
前記第1の反応工程の具体例を以下に説明する。前記カルシウム成分が、前記廃棄物中の炭酸カルシウムである場合、前記第1の反応工程における反応を化学反応式で示すと以下の通りであり、中間生成物として塩化カルシウムと、水と、二酸化炭素との混合物である酸剤反応物が得られる。
2HCl+CaCO → CaCl+HO+CO
【0020】
前記第1の反応工程において、前記廃棄物と前記酸剤とを添加する順序としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記廃棄物に前記酸剤を添加してもよく、前記酸剤に前記廃棄物を添加してもよいが、前記廃棄物に前記酸剤を添加する方法が、反応効率が向上する点で好ましい。前記酸剤に前記廃棄物を添加した場合、反応により二酸化炭素が発生した際、添加した前記廃棄物が泡に留まってしまうことがある。
【0021】
前記第1の反応工程の反応温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常、20℃~50℃程度であり、製造におけるエネルギー使用量を抑制することができる点で常温(15℃~25℃)が好ましい。
【0022】
前記第1の反応工程の反応時間としては、特に制限はなく、前記廃棄物の使用量及び前記酸剤の使用量などに応じて適宜選択することができる。
【0023】
<第2の反応工程>
前記第2の反応工程は、前記酸剤反応物とアルカリ剤とを反応させてカルシウム材を得る工程である。
【0024】
<<アルカリ剤>>
前記アルカリ剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化カリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水酸化ナトリウムが好ましい。
【0025】
前記アルカリ剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記酸剤反応物と過不足なく化学反応する量であることが好ましく、前記酸剤反応物のモル量の1.5倍~2.5倍のモル量であることがより好ましく、前記酸剤反応物のモル量の2倍のモル量であることが特に好ましい。前記アルカリ剤の使用量が前記酸剤反応物のモル量の1.5倍のモル量以上であると、前記酸剤反応物と十分に反応することができ、未反応物が生じることを抑制することができるため前記カルシウム材を高収率で得ることができる。また、前記アルカリ剤の使用量が前記酸剤反応物のモル量の2.5倍のモル量以下であると、生成される塩化ナトリウムの増加を抑制することができるため高純度のカルシウム材を得ることができ、更に前記分離除去工程で使用する水の量を少量に抑えることができる。
【0026】
前記アルカリ剤の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水等の溶媒に溶解して用いてもよい。
【0027】
<<カルシウム材>>
前記第2の反応工程では、前記酸剤反応物と前記アルカリ剤とを反応させることで、カルシウム材が析出する。
前記カルシウム材としては、特に制限はなく、使用する材料などに応じて適宜選択することができるが、水酸化カルシウムが好ましい。
【0028】
前記第2の反応工程の具体例を以下に説明する。前記酸剤反応物が塩化カルシウムであり、前記アルカリ剤が水酸化ナトリウムである場合、前記第2の反応工程における反応を化学反応式で示すと以下の通りであり、カルシウム材としての水酸化カルシウムと、副生成物である塩化ナトリウムとの混合物が得られる。
CaCl+2NaOH → Ca(OH)+2NaCl
【0029】
前記第2の反応工程において、前記酸剤反応物と前記アルカリ剤とを添加する順序としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記酸剤反応物に前記アルカリ剤を添加してもよく、前記アルカリ剤に前記酸剤反応物を添加してもよい。
【0030】
前記第2の反応工程の反応温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常、20℃~30℃程度である。
【0031】
前記第2の反応工程の反応時間としては、特に制限はなく、前記酸剤反応物の使用量及び前記アルカリ剤の使用量などに応じて適宜選択することができる。
【0032】
<分離除去工程>
前記分離除去工程は、前記第2の工程で得られた前記カルシウム材から不純物を分離除去する工程である。
前記第2の反応工程では、目的とするカルシウム材の他、副生成物として塩化ナトリウムが生成される。したがって、前記カルシウム材は、不純物である塩化ナトリウムを多量に含むものである。この塩化ナトリウムが前記カルシウム材の純度低下の主な原因であるため、前記カルシウム材を高純度で得るためには、前記分離除去工程で塩化ナトリウムを除去することが重要である。
【0033】
また、原料として用いる前記廃棄物は生物由来であるため、貝殻、卵の殻、骨、生物の死骸などの表面には不要な付着物が存在する場合がある。本発明においては、前記塩化ナトリウムに加えて、このような付着物も前記カルシウム材の不純物である。前記分離除去工程では、このような付着物も同時に除去することができるため、前記廃棄物を洗浄してから前記カルシウム材の製造方法に付すなどの手間がなく、非常に効率が良い方法である。
前記付着物としては、特に制限はなく、例えば、甲殻類の生物、藻類(ミネラル,タンパク質)等の貝殻の付着物;鶏の羽や糞等の卵の殻の付着物;身や肉等の骨の付着物などが挙げられる。
【0034】
前記分離除去工程において、前記カルシウム材から、該カルシウム材と前記不純物とを分離除去する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、前記第2の工程で得られた反応物において、前記カルシウム材は水に殆ど溶解せず、一方前記不純物としての塩化ナトリウムは水に殆ど溶解している場合が多いため、例えば、前記カルシウム材を含む前記第2の工程で得られた反応物を静置して、不純物を含む上清と、カルシウム材を含む残渣とに分離し、前記上清を除去する方法(以下、「第1の態様」と称することがある);前記カルシウム材を含む前記第2の工程で得られた反応物から真空濾過により不純物を含む画分を除去する方法(以下、「第2の態様」と称することがある)などが挙げられる。これらの中でも、前記分離除去工程が、前記第2の態様であることが、短時間で効率良く分離除去することができる点で好ましい。
【0035】
前記真空濾過は、公知の装置を用いて行うことができる。前記公知の装置としては、例えば、吸引瓶に穴あきゴム栓をし、ここに濾紙をセットした吸引ロートを取り付けた吸引濾過器(株式会社ナリカ社製)と、ポンプ(GLD-051、株式会社ULVAC社製)とを組み合わせた装置などが挙げられる。
【0036】
前記真空濾過を行う温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常、20℃~30℃程度である。
【0037】
前記真空濾過を行う圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1Pa~100Paが好ましく、0.1Pa~10Paがより好ましい。
【0038】
前記真空濾過を行う時間としては、特に制限はなく、得られるカルシウム材の量や目的とする塩分濃度などに応じて適宜選択することができる。
【0039】
ここで、前記第1の工程で使用する酸剤は、上記の通り、適宜水等の希釈溶媒で希釈して用いることができる。また、前記第2の工程で使用するアルカリ剤は、上記の通り、適宜水等の溶媒で溶解して用いることができる。これらの酸剤の希釈溶媒及びアルカリ剤の溶解用の溶媒が、前記不純物、特に塩化ナトリウムの除去に有効な量であれば、前記第2の工程で得られた反応物について、そのまま前記分離除去工程を行うことで十分に前記不純物を除去することができる。
【0040】
一方、前記酸剤の希釈溶媒及び前記アルカリ剤の溶解用の溶媒のみでは、前記不純物を除去するために十分でない場合は、前記第2の工程で得られた反応物に更に水を添加して前記分離除去工程を行うことが、前記カルシウム材を高純度で得ることができる点で好ましい。
【0041】
前記分離除去工程における水の使用量(添加量)[X]としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、前記水の使用量[X]、前記第1の工程で使用する前記酸剤中の水の質量[Y]、及び前記第2の工程で使用する前記アルカリ剤中の水の質量[Z]の合計質量[X+Y+Z]が、前記カルシウム材中の塩の質量の20倍以上となる量であることが好ましく、30倍以上となる量であることがより好ましく、40倍以上となる量であることが更に好ましい。前記水の合計質量[X+Y+Z]が多い程、前記カルシウム材中の塩濃度を低下させることができ、前記カルシウム材を高純度とすることができるため、その上限値としては特に制限はないが、コスト及び簡便性の点から、前記水の使用量[X]は、前記合計質量[X+Y+Z]が、前記カルシウム材中の塩の質量の50倍以下となる量であることが好ましい。
【0042】
具体的には、前記水の使用量[X]、前記第1の工程で使用する前記酸剤中の水の質量[Y]、及び前記第2の工程で使用する前記アルカリ剤中の水の質量[Z]の合計質量[X+Y+Z]が、下記式(1)で示される関係式を満たすことが好ましい。
合計質量[X+Y+Z]=カルシウム材中の塩の質量×N ・・・ 式(1)
ただし、前記式(1)において、「X」は前記分離除去工程における水の使用量(添加量)を示し、「Y」は前記第1の工程で使用する前記酸剤中の水の質量を示し、「Z」は前記第2の工程で使用する前記アルカリ剤中の水の質量を示し、「N」は20以上の数を示す。
【0043】
前記第2の工程で得られた反応物に更に水を添加して、前記不純物を所望の量に低下させるまで前記分離除去工程を行う場合、例えば、前記第2の工程で得られた反応物を静置して、不純物を含む上清と、カルシウム材を含む残渣とに分離し、前記上清を除去した後、得られた残渣に更に水を添加して、残渣を水に分散させた分散液を調製し、前記分散液を静置して、不純物を含む上清と、カルシウム材を含む残渣とに分離することを、必要に応じて繰り返す方法(以下、「第1Aの態様」と称することがある);前記第2の工程で得られた反応物の全量を真空濾過し、得られた残渣に更に水を添加して、残渣を水に分散させた分散液を調製し、前記分散液の真空濾過を、必要に応じて繰り返す方法(以下、「第2Aの態様」と称することがある);前記第2の工程で得られた反応物に注水しながら、前記不純物を所望の量に低下させるまで真空濾過する方法(以下、「第2Bの態様」と称することがある)などが挙げられる。
【0044】
<<第1Aの態様>>
前記第1Aの態様は、前記第2の工程で得られた反応物を静置して、不純物を含む上清と、カルシウム材を含む残渣とに分離し、前記上清を除去した後、得られた残渣に更に水を添加して、残渣を水に分散させた分散液を調製し、前記分散液を静置して、不純物を含む上清と、カルシウム材を含む残渣とに分離することを、必要に応じて繰り返す態様である。
【0045】
前記水を添加する回数としては、特に制限はなく、前記合計質量[X+Y+Z]や、前記分離除去工程に使用する容器の大きさなどに応じて適宜選択することができ、1回であってもよく、複数回であってもよい。
【0046】
<<第2Aの態様>>
前記第2Aの態様は、前記第2の工程で得られた反応物の全量を真空濾過し、得られた残渣に更に水を添加して、残渣を水に分散させた分散液を調製し、前記分散液の真空濾過を、必要に応じて繰り返す態様である。
【0047】
前記水を添加する回数としては、特に制限はなく、前記合計質量[X+Y+Z]や、前記分離除去工程に使用する容器又は機器の大きさなどに応じて適宜選択することができ、1回であってもよく、複数回であってもよい。複数回に分けて水を添加する場合は、1回毎に上記した方法で真空濾過することが、短時間で効率が良い点で好ましい。
【0048】
<<第2Bの態様>>
前記第2Bの態様は、前記第2の工程で得られた反応物に注水しながら、前記不純物を所望の量に低下させるまで真空濾過する態様である。
前記第2Bの態様は、前記第2Aの態様と比較して、真空濾過に使用する容器又は機器の大きさに拘わらず、水を複数回に分けて添加する必要がないため作業効率が良い点で好ましい。また、前記第2Bの態様は、生成されたカルシウム材が二酸化炭素に触れて逆反応を起こすことを防ぐことができ、高収率である点で好ましい。
【0049】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、乾燥工程、粉砕工程などが挙げられる。
【0050】
<<乾燥工程>>
前記乾燥工程は、前記第2の反応工程後に行ってもよく、前記分離除去工程後に行ってもよい。また、原料となる廃棄物の乾燥にも同様の乾燥工程を用いることができる。
【0051】
前記分離除去工程後に前記乾燥工程を行った場合、塊状のカルシウム材が得られる。この場合、その後の用途に応じて、後述する粉砕工程で粉砕して粉末状のカルシウム材としてもよい。
【0052】
乾燥を行う方法としては、特に制限はなく、公知の装置を用いて行うことができる。前記公知の装置としては、例えば、乾燥機(KWA-135A、株式会社共和技研製)などが挙げられる。
【0053】
前記乾燥を行う温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましい。前記温度は高い程好ましいため、その下限値としては、特に制限はない。
【0054】
前記乾燥を行う時間としては、特に制限はなく、前記カルシウム材の目的とする水分含有量、前記カルシウム材の大きさや粒形などに応じて適宜選択することができるが、24時間以下が好ましく、3時間以下がより好ましい。前記乾燥を行う時間が24時間以下であると、前記カルシウム材が逆反応することによる炭酸化の影響がほとんどない。
【0055】
<<粉砕工程>>
前記粉砕工程は、前記第1の反応工程の前に、前記廃棄物を所望の粒径粉砕する工程、又は前記乾燥工程で得られる塊状のカルシウム材を所望の粒径に粉砕する工程である。
【0056】
前記粉砕の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、公知の粉砕機を用いることができる。公知の粉砕機としては、例えば、Wonder Blender WB-1(WARING社製)などが挙げられる。
【0057】
前記粉砕の条件としては、特に制限はなく、前記廃棄物の種類又は前記カルシウム材の状態などに応じて、適宜選択することができる。
【0058】
前記カルシウム材の純度(前記カルシウム材が水酸化カルシウムである場合は、該水酸化カルシウムの濃度)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、35%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。前記純度は高い程好ましいため、その下限値としては、特に制限はない。
前記カルシウム材の純度は、示差熱-熱重量同時測定装置(例えば、hermo plus EVO2 TG-DTA8122、リガク社製)により測定することができる。
【0059】
したがって、前記カルシウム材は、その用途に応じて、中間生成物である塩化カルシウム、未反応又は逆反応による炭酸カルシウムを含んでいてもよいが、塩化ナトリウムは極力含まないことが、前記分離除去工程の簡素化の点で好ましい。
【0060】
前記カルシウム材中の塩化ナトリウムの濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、2%以下が更に好ましい。
【0061】
前記塩化ナトリウムの濃度の測定方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、食塩水濃度計で測定する方法、銀滴定法、元素分析法などが挙げられる。
【0062】
-用途-
本発明のカルシウム材の製造方法は、二酸化炭素の排出量を削減することができる低炭素な方法であり、また原料として廃棄物を用いるため、環境負荷低減に有用である。
本発明のカルシウム材の製造方法で得られたカルシウム材の用途としては、特に制限はなく、各種分野において使用可能であるが、地盤改良、コンクリート材料などとして好適に使用できる。また、高純度のカルシウム材であるため、電子部品や光学材料の原料として使用することもできる。
【実施例0063】
以下に実施例及び試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び試験例に何ら限定されるものではない。
【0064】
(実施例1)
<粉砕工程>
乾燥させたホタテ貝の殻20gを粉砕機(WonderBlenderWB-1(WARING社製)に投入し、20℃にて、回転数25,000、5分間の条件で粉砕した。得られた貝殻の粉砕物を目開き250μmの篩を用いて紛級し、この篩を通過した粉砕物を得た。この粉砕を繰り返し行い、得られた粉砕物100gをビーカーに入れた。
【0065】
<第1の反応工程>
前記粉砕物を入れたビーカーに19質量%塩酸453gを添加し、室温(20℃)で前記粉砕物が全量溶解するまで撹拌して反応させて酸剤反応物を得た。
【0066】
<第2の反応工程>
第1の反応工程で得られた酸剤反応物509gに、53質量%水酸化ナトリウム水溶液230gを添加し、室温(20℃)、1,000rpm~1,500rpmの条件で5分間撹拌して反応させ、カルシウム材739gを得た。
【0067】
<分離除去工程(第1の態様)>
カルシウム材を一晩静置した後、上澄みを除去した。
【0068】
<乾燥工程>
残ったスラリー状の残渣(水酸化カルシウム及び塩化ナトリウムを含む)を、乾燥機(KWA-135A、株式会社共和技研製)を用いて105℃にて乾燥した後、塊状物を回収した。
【0069】
(実施例2)
実施例1において、乾燥工程を行わず、分離除去工程を以下の方法に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で水酸化カルシウムを調製した。
【0070】
<分離除去工程(第2Aの態様)>
吸引瓶に穴あきゴム栓をし、ここに濾紙をセットした吸引ロートを取り付けた吸引濾過器(株式会社ナリカ社製)を準備した。前記吸引ロートに第2の反応工程で得られたカルシウム材739gを入れ、吸引瓶に繋いだポンプ(GLD-051、株式会社ULVAC社製)により、20℃、1Paの条件で吸引濾過を行った。
【0071】
次に、吸引ロートの濾紙に残った残渣150gをビーカーに移し、ここに水2,500mLを添加してスターラーを用いて撹拌した。その後、吸引瓶に穴あきゴム栓をし、ここに濾紙をセットした吸引ロートを取り付けた吸引濾過器(株式会社ナリカ社製)の吸引ロートに全量を入れ、吸引瓶に繋いだポンプ(GLD-051、株式会社ULVAC社製)により、20℃、1Paの条件で吸引濾過を行った。
同様にして水を添加して真空濾過を2回繰り返して行った。即ち、水酸化カルシウム中の塩化ナトリウムの含有量の45倍量の水を使用して真空濾過を行い、スラリー状の水酸化カルシウムを得た。
なお、水酸化カルシウム中の塩化ナトリウムの含有量は、ペン食塩水濃度計(PEN-SW(W)、株式会社アタゴ)を用いて測定した。
【0072】
(実施例3)
実施例2において、分離除去工程を以下の方法に変更したこと以外は、実施例2と同様の方法で水酸化カルシウムを調製した。
【0073】
<分離除去工程(第2Bの態様)>
吸引瓶に穴あきゴム栓をし、ここに濾紙をセットした吸引ロートを取り付けた吸引濾過器(株式会社ナリカ社製)を準備した。前記吸引ロートに第2の反応工程で得られたカルシウム材739gを入れ、吸引瓶に繋いだポンプ(GLD-051、株式会社ULVAC社製)により、20℃、1Paの条件で吸引濾過を行った。このとき、カルシウム材に水を注水しながら吸引濾過を行った。水の添加量が5,000mL、即ち、水酸化カルシウム中の塩化ナトリウムの含有量の43倍量の水を添加したところで水の添加を止め、吸引ロートに残った洗浄水と共にスラリー状の水酸化カルシウムを得た。
【0074】
実施例1~3の方法の「作業量及び作業時間」及び実施例1~3で得られた水酸化カルシウムの「純度」を以下の方法で評価し、評価結果を下記表1に示した。
【0075】
<<作業量及び作業時間>>
実施例1~3において、第2の反応工程終了時から、最終産物である水酸化カルシウムが得られるまで(実施例1は乾燥工程の終了時、実施例2及び実施例3は分離除去工程の終了時)の作業量及び作業時間について、以下の評価基準に基づき評価した。
-評価基準-
A: 短時間であり、かつ、単工程である
B: やや時間を要し、かつ、作業工程が多い
【0076】
<<純度>>
実施例1~3で得られた水酸化カルシウムの純度は、以下のようにして分析した。
実施例2及び3で得られたスラリー状の水酸化カルシウムは、乾燥機(KWA-135A、株式会社共和技研製)を用いて105℃で水分がなくなるまで乾燥した。得られた実施例2及び3の水酸化カルシウムの固形物と、実施例1で得られた塊状の水酸化カルシウムは、それぞれメノー乳鉢で粉砕し、目開き150μmの篩を用いて紛級して、粉末状の水酸化カルシウムを含む測定試料を調性した。
測定試料をアルミナ製セルに入れ、示差熱-熱重量同時測定装置(Thermo plus EVO2 TG-DTA8122、リガク社製)を用いて下記分析条件で分析した。
-分析条件-
・ 流速100mL/分間
・ 雰囲気:窒素雰囲気下
・ 温度条件:20℃/分間の昇温速度で1,000℃まで昇温した
【0077】
実施例1の結果を図1に、実施例2の結果を図2に、実施例3の結果を図3にそれぞれ示す。
図1の結果より、実施例1では、444.1℃に吸熱ピークを伴う8.61%の質量減少を確認した。図2の結果より、実施例2では、461.3℃に吸熱ピークを伴う20.68%の質量減少を確認した。図3の結果より、実施例3では、454.1℃に吸熱ピークを伴う20.39%の質量減少を確認した。
温度100℃までの質量減少率を水分蒸発とみなし、下記式(2)に基づき真の水酸化カルシウムの質量減少率(%)を算出し、下記式(3)に基づき水酸化カルシウムの純度(%)を算出した。
真の水酸化カルシウムの質量減少率(%)=A/(100-B)×100 ・・・ 式(2)
ただし、前記式(2)において「A」は吸熱ピークを伴う質量減少(%)を示し、「B」は試料に含まれる水分の蒸発量を示す。
水酸化カルシウムの純度(%)=真の水酸化カルシウムの質量減少率(%)×(74.1/18) ・・・ 式(3)
ただし、前記式(3)において、「74.1」は水酸化カルシウムの分子量であり、「18」は水の分子量である。
【0078】
【表1】
なお、表1の「製造工程」において、「〇」は該当する製造工程を実施したことを示し、「-」は該当する製造工程を実施しなかったことを示す。
【0079】
以上の結果より、実施例1~3では、従来の方法と比較して二酸化炭素を殆ど排出量することなく、廃棄物を用いてカルシウム材を簡便に効率良く得ることができた。実施例2及び3の方法では、特に高純度のカルシウム材を得ることができ、実施例3の方法では、特に効率的にカルシウム材を得ることができた。
【0080】
(試験例1)
実施例における粉砕工程について、更に以下の試験を行った。
実施例1と同様にして、乾燥させたホタテ貝の殻10g~20gを粉砕機(WonderBlender WB-1(WARING社製)に投入し、回転数25,000rpm、10秒間の条件で粉砕した。得られた貝殻の粉砕物を目開き250μmの篩、250μm~450μmの篩、250μm~850μmの篩、又は850μm~2mmの篩を用いてそれぞれ紛級し、各篩を通過した粉砕物100gを、スターラーを入れたビーカーに入れた。
次に、前記粉砕物を入れたビーカーに19質量%塩酸453gを添加し、20℃~30℃、1,000~1,500rpmの条件で5分間撹拌して反応させて酸剤反応物409gを得た。このとき、前記粉砕物が19質量%塩酸に溶解する時間を測定した。
その結果、粉砕物の粒径が大きいほど塩酸に溶解する時間が長くなった。これより、作業時間の点から、粉砕工程では、目開き250μmの篩を用いることが好ましいことが分かった。
【0081】
(試験例2)
実施例における第1の反応工程について、更に以下の試験を行った。具体的には、以下の(1)及び(2)の方法で酸剤反応物を得た。
(1)実施例1の粉砕工程で得られた粉砕物100gを、スターラーを入れたビーカーに入れ、ここに19質量%塩酸453gを添加し、20℃~30℃、1,000~1,500rpmの条件で5分間撹拌して反応させて酸剤反応物409gを得た。
(2)ビーカーに19質量%塩酸453gとスターラーを予め入れておき、ここに実施例1の粉砕工程で得られた粉砕物100gを添加し、20℃~30℃、1,000~1,500rpmの条件で10分間撹拌して反応させて酸剤反応物409gを得た。
その結果、(1)の添加方法の方が、作業効率がよいことが分かった。第1の反応工程では、二酸化炭素の発生により泡が発生する。前記(2)の方法では、粉砕物を後から添加することにより前記泡に粉砕物が留まってしまい、塩酸と反応させるために手間がかかった。
図1
図2
図3