(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129488
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】ディスク装置
(51)【国際特許分類】
G11B 33/12 20060101AFI20240919BHJP
G11B 33/14 20060101ALI20240919BHJP
G11B 33/08 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
G11B33/12 313C
G11B33/14 501W
G11B33/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038722
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 匡輝
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 久
(57)【要約】
【課題】筺体の気密性を維持しつつ、組立精度の向上を図ることが可能なディスク装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、ディスク装置は、底壁および枠状の側壁を有するベース12と、側壁に接合されベースの開口を閉塞するトップカバー16と、を具備した筐体10と、筐体の内に配置された回転可能なディスク状の記録媒体と、トップカバーに固定された上面板50aとベースの一側面に対向する側面板50bとを有するプロテクトカバー50と、側面板とベースの一側面との間に挟まれた衝撃吸収材51と、を備えている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁および前記底壁の周縁に沿って立設された枠状の側壁を有するベースと、前記側壁に接合されたトップカバーと、を具備する筐体と、
前記筐体の内に配置された回転可能なディスク状の記録媒体と、
前記トップカバーに固定された上面板と前記ベースの一側面に対向する側面板とを有するプロテクトカバーと、
前記側面板と前記ベースの前記一側面との間に挟まれた衝撃吸収材と、
を備えるディスク装置。
【請求項2】
前記衝撃吸収材は、前記側面板の内面に貼付された第1主面と、前記一側面に貼付された第2主面と、を有している、請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
前記側面板は、前記衝撃吸収材の全体を覆う大きさに形成されている、請求項1に記載のディスク装置。
【請求項4】
前記筐体は、前記一側面に形成された凹所を備え、前記凹所は、ある深さの底面を有し、
前記衝撃吸収材は前記凹所の内に配置され前記底面に貼付されている、請求項2に記載のディスク装置。
【請求項5】
前記ベースの前記側壁は、互いに対向する一対の長側壁と互いに対向する一対の短側壁とを含み、前記一側面を構成する前記長側壁あるいは前記短側壁は、前記衝撃吸収材の所定の厚さ分だけ薄い壁厚を有している、請求項2に記載のディスク装置。
【請求項6】
インターフェースコネクタが実装された回路基板を更に備え、
前記回路基板は、前記筐体の底面に対向して前記筐体に取り付けられ、前記インターフェースコネクタは、前記プロテクトカバーの前記側面板とほぼ整列して位置する接続端縁を有している、請求項1に記載のディスク装置。
【請求項7】
前記筐体は、前記ベースに固定され前記ベースの開口を閉塞する内カバーを更に備え、前記トップカバーは前記内カバーに対向して配置され、周縁部が前記ベースに溶接により接合され、前記筐体内に、空気よりも密度の低いガスが封入されている、請求項1に記載のディスク装置。
【請求項8】
前記プロテクトカバーおよび前記衝撃吸収材を含む前記筐体の寸法は、ディスク装置の規格で定められた寸法の範囲内に設定されている、請求項1に記載のディスク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスク装置として、磁気ディスクドライブは、ベースおよびトップカバーを有する筐体を備え、この筐体内に、回転可能な磁気ディスクおよび磁気ヘッドを支持したアクチュエータが配設されている。トップカバーを覆うプロテクトカバーあるいはシールドカバーを備えたディスクドライブが提案されている。
ディスクドライブをラックのスロットに挿入する際、あるいは、ディスクドライブを落下した際、筐体の側面側から衝撃を受ける場合がある。上記プロテクトカバーでは、このような筐体の側面側から受ける衝撃を充分に低減することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7362541号明細書
【特許文献2】米国特許第5600509号明細書
【特許文献3】米国特許第7283323号明細書
【特許文献4】米国特許第6052255号明細書
【特許文献5】米国特許第6243228号明細書
【特許文献6】米国特許第6324054号明細書
【特許文献7】米国特許第9460756号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の実施形態の課題は、耐衝撃性の向上したディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、ディスク装置は、底壁および前記底壁の周縁に沿って立設された枠状の側壁を有するベースと、前記側壁に接合され前記ベースの開口を閉塞するトップカバーと、を具備した筐体と、前記筐体の内に配置された回転可能なディスク状の記録媒体と、前記トップカバーに固定された上面板と前記ベースの一側面に対向する側面板とを有するプロテクトカバーと、前記側面板と前記ベースの前記一側面との間に挟まれた衝撃吸収材と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るハードディスクドライブ(HDD)の斜視図。
【
図2】
図2は、プロテクトカバーおよび衝撃吸収材の斜視図。
【
図3】
図3は、プロテクトカバーを外した状態の前記HDDの斜視図。
【
図4】
図4は、前記HDDの一側面部を示す斜視図。
【
図5】
図5は、前記HDDの一側面に衝撃吸収材を取り付けた状態の前記HDDの斜視図。
【
図6】
図6は、前記プロテクトカバーが取り付けられ前記HDDの一側面部を示す斜視図。
【
図7】
図7は、前記プロテクトカバーが取り付けられ前記HDDの一側面部を示す側面図。
【
図8】
図8は、前記HDDの内部構造を示すHDDの分解斜視図。
【
図9】
図9は、前記HDDの底面側および制御回路基板を示す斜視図。
【
図10】
図10は、比較例に係るHDD(カバーなし)の衝撃値の測定結果を示す図。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係るHDDの衝撃値の測定結果を示す図。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係る他のHDDの衝撃値の測定結果を示す図。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係るHDDの一側面部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下図面を参照しながら、実施形態に係るディスク装置ついて説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更であって容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
以下、ディスク装置として、実施形態に係るハードディスクドライブ(HDD)について詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るHDDの外観を示す斜視図である。
図2は、プロテクトカバーを取り外した状態のHDDを示す斜視図である。
【0009】
図1に示すように、HDDは、ほぼ矩形箱状の筐体10を備えている。筐体10は、上面の開口した矩形状のベース12と、ベース12に接合されベースの上部開口を閉塞したトップカバー16と、を有している。トップカバー16の周縁部は、例えば、溶接により、ベース12に接合されている。後述するように、HDDは、筐体10の内に配置された、複数枚の磁気ディスク、複数の磁気ヘッド、アクチュエータアッセンブリ、VCM等を備えている。
ここで、筐体10の長手方向を第1方向X、長手方向と直交する幅方向を第2方向Yと定義する。
【0010】
筐体10の第1方向Xの一端部にプロテクトカバー50が取り付けられ、ベース12とトップカバー16との接合部の一部を覆っている。プロテクトカバー50は、トップカバー16に固定されたほぼ矩形状の上面板50aと筐体10の短辺側の一側面に対向した矩形状の側面板50bと、を一体に有している。プロテクトカバー50は、例えば、ステンレスの板材を折り曲げて構成されている。側面板50bは上面板50aに対して略90度折り曲げられている。
筐体10の底面の側にプリント回路基板40が設けられている。プリント回路基板40にインターフェースコネクタ44が実装されている。インターフェースコネクタ44は、プロテクトカバー50の側面板50bと対向する筐体10の側面に隣接して位置している。
【0011】
筐体10の第1方向Xの長さをL1、筐体10の第2方向Yの幅をW1、筐体10の高さ(厚さ)をT1とした場合、これらの寸法は、HDD規格で定められた範囲内の寸法に設定されている。例えば、長さL1は最大147mm以下、幅W1は最大101.85mm以下、高さH1は最大26.1mm以下、に設定されている。これらの長さL1、幅W1、高さT1は、プロテクトカバー50およびプリント回路基板40を含む筐体10の寸法である。
【0012】
図2は、プロテクトカバーの内面側を示す斜視図である。図示のように、上面板50aおよび側面板50bは、それぞれ筐体10の第2方向Yの幅W1よりも僅かに小さい幅W2に形成されている。側面板50bの高さ方向(第1方向Xおよび第2方向Yと直交する方向)の高さT2は、筐体10の高さT1よりも僅かに小さい寸法、例えば、T1の70~95%程度、に設定されている。
【0013】
プロテクトカバー50は、側面板50bの内面の側に設けられた衝撃吸収材51を含んでいる。衝撃吸収材51は、矩形板状に形成され、互いに対向する第1主面および第2主面を有している。衝撃吸収材51は、長さW3、幅T3、所定の厚さを有している。長さW3は、側面板50bの幅W2よりも僅かに小さい。幅T3は、側面板50bの幅W2よりも僅かに小さい。衝撃吸収材51の厚さは、例えば、1~3mm程度に形成される。
一例では、衝撃吸収材51は、ウレタンフォームを用いている。衝撃吸収材としては、その他、ゴム、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、紙、あるいは、これらの複合材など、種々の材料を選択可能である。後述するように、衝撃吸収材51として、三進興産株式会社(Sanshin Enterprises Co.,Ltd.)製のソルボセイン(商品名)、1mm厚、あるいは、Aearo Technologies LLC製の3M-CF-42EG(商品名)、1.9mm厚、などを用いてもよい。
【0014】
衝撃吸収材51の第1主面は、接着剤、両面テープ等により、側面板50bの内面に貼付される。衝撃吸収材51は、側面板50bの下端縁の側に配置されている。衝撃吸収材51の下縁および両側縁は、側面板50bの下縁および両側縁からそれぞれ内側に僅かにずれて位置している。これにより、衝撃吸収材51は、その全面が側面板50bで覆われている。
プロテクトカバー50は、上面板50aの両側縁からほぼ垂直に延出した一対の爪部53を有している。なお、
図2において、上面板50aの内面に接着剤あるいは両面テープ52が設けられている。
【0015】
図3は、プロテクトカバーを装着前のHDDを示す斜視図、
図4は、筐体の短辺側の端部を示す斜視図である。
図3に示すように、筐体10のベース12は、後述する矩形状の底壁と底壁の周縁部に沿って立設された枠状の側壁13とを一体に有している。側壁13は、互いに対向する一対の長側壁12bと互いに対向する一対の短側壁12cとを含んでいる。一対の長側壁12bは、それぞれ第1方向Xに延在し、一対の短側壁12cは、それぞれ第2方向Yに延在している。トップカバー16の側壁13の上端部に接合されている。
【0016】
図3および
図4に示すように、筐体10の一側面、ここでは、インターフェースコネクタ44が設けられている側の短側壁12cの外面、に凹所15が形成されている。凹所15は、前述したプロテクトカバー50の衝撃吸収材51を収容可能な大きさおよび形状に形成されている。凹所15は、一例では、ほぼ矩形状に形成され、短側壁12cの幅W1よりも僅かいに小さい幅および短側壁12cの高さよりも僅かに小さい高さを有している。また、凹所15は、数mm程度の深さに形成され、平坦な底面15aを有している。
【0017】
図5は、凹所15に衝撃吸収材51を配置した状態のHDDを示す斜視図である。図示のように、衝撃吸収材51は、凹所15内に配置され、その第2主面が接着剤、両面テープ等により凹所15の底面15aに貼付される。衝撃吸収材51は、厚さのほぼ半分の領域が凹所15に収容され、短側壁15cの大部分を覆っている。
【0018】
図6は、プロテクトカバー50を取り付けた状態のHDDを示す斜視図、
図7は、プロテクトカバー50を取り付けた状態のHDDの短辺側端部の側面図である。
図示のように、プロテクトカバー50は、筐体10の第1方向Xの一端部に取り付けられ、ベース12とトップカバー16との接合部の一部を覆っている。プロテクトカバー50の上面板50aは、例えば、
図2に示した両面テープ52により、トップカバー16に貼付され、トップカバー16とほぼ面一に位置している。上面板50aの一対の爪部53は、長側壁12bの上端部の外面にそれぞれ係合している。
【0019】
側面板50bは、筐体10の短側壁12cの外面と対向して位置している。側面板50bは、上面板50aから短側壁12cの下端部近傍まで延び、短側壁12cの外面のほぼ全面を覆っている。また、
図4に示したように、予め衝撃吸収材51が側面板50bの内面に貼り付けられている。この衝撃吸収材51を短側壁12cの凹所15の底面15aに貼り付けることにより、側面板50bは衝撃吸収材51を介して短側壁12cに固定されている。衝撃吸収材51は、短側壁12cと側面板50bとの間に挟まれ、同時に、側面板50bにより全面が覆われている。
【0020】
図7に示すように、側面板50bを短側壁12cに取り付けた状態において、衝撃吸収材51の少なくとも一部、ここでは、厚さ方向の約半分の領域部分が凹所15の内に収容されている。すなわち、第1方向Xの長さ(衝撃吸収材51の厚さ方向に長さに相当)の約半分の長さを凹所15により吸収している。そのため、側面板50bを含むHDDの第1方向Xの長さL1を凹所15の深さ分だけ低減し、所定規格範囲内の長さに収めることができる。なお、インターフェースコネクタ44の接続側の端縁は、側面板50bとほぼ整列して位置している。あるいは、インターフェースコネクタ44の接続側の端は、側面板50bから第1方向Xに僅かに突出していてもよい。
【0021】
次に、筐体10の構成およびHDDの内部構造について説明する。
図8は、HDDの内部構造を示すHDDの分解斜視図である。
図8に示すように、筐体10は、上面の開口した矩形箱状のベース12と、複数のねじ13によりベース12にねじ止めされベース12の上部開口を閉塞する内カバー14と、内カバー14に重ねて配置され、周縁部がベース12に溶接される外カバー(トップカバー)16と、を有している。ベース12は、内カバー14と隙間を置いて対向する矩形状の底壁12aと、底壁12aの周縁部に沿って立設された枠状の側壁13とを有し、例えば、アルミニウムにより一体に成形されている。側壁13は、互いに対向する一対の長側壁12bと互いに対向する一対の短側壁12cとを含んでいる。側壁13の上端面に、ほぼ矩形枠状の固定リブ12dが突設されている。
【0022】
内カバー14は、例えば、ステンレスにより矩形板状に形成されている。内カバー14は、その周縁部がねじ13によりベース12の側壁13の上面にねじ止めされ、固定リブ12dの内側に固定される。トップカバー16は、例えば、アルミニウムにより矩形板状に形成されている。トップカバー16は、内カバー14よりも僅かに大きな平面寸法を有している。トップカバー16は、その周縁部が全周に亘って、ベース12の固定リブ12dに溶接され、ベース12に気密に接合される。ベース12および内カバー14により、気密な内部空間(ガス充填領域)が規定されている。
【0023】
内カバー14およびトップカバー16のそれぞれには、筐体10内と外部とを連通する通気孔56、58が形成されている。筐体10の内部空間の空気は、通気孔56、58を通して排気され、更に、これらの通気孔56、58を通して、筐体10の内部空間に空気よりも密度の低い低密度ガス(不活性ガス)、例えば、ヘリウムが封入される。トップカバー16の外面には、通気孔58を塞ぐように例えばシール(封止体)60が貼付される。
【0024】
筐体10内には、記録媒体としての複数、例えば、10枚の磁気ディスク18、および磁気ディスク18を支持および回転させるスピンドルモータ19が設けられている。スピンドルモータ19は、底壁12a上に配設されている。各磁気ディスク18は、例えば、直径95mm(3.5インチ)に形成され、その上面および/または下面に磁気記録層を有している。磁気ディスク18は、スピンドルモータ19の図示しないハブに互いに同軸的に嵌合され、更に、クランプばね20によりクランプされている。これにより、各磁気ディスク18は、ベース12の底壁12aと平行に支持されている。磁気ディスク18は、スピンドルモータ19により所定の回転数で回転される。なお、磁気ディスク18の枚数は10枚に限られず、9枚以下あるいは11枚以上としてもよい。
【0025】
筐体10内には、磁気ディスク18に対して情報の記録、再生を行なう複数の磁気ヘッド17、および、これらの磁気ヘッド17を磁気ディスク18に対して移動自在に支持したアクチュエータアッセンブリ22が設けられている。また、筐体10内には、アクチュエータアッセンブリ22を回動および位置決めするボイスコイルモータ(以下VCMと称する)24、磁気ヘッド17が磁気ディスク18の最外周に移動した際、磁気ヘッド17を磁気ディスク18から離間したアンロード位置に保持するランプロード機構25、および変換コネクタ等の電子部品が実装された基板ユニット(FPCユニット)21が設けられている。ランプロード機構25は、ベース12に立設されたランプ80を有している。
【0026】
アクチュエータアッセンブリ22は、透孔を有するアクチュエータブロック29と、透孔内に設けられた軸受ユニット(ユニット軸受)28と、アクチュエータブロック29から延出する複数、例えば、11本のアーム32と、各アーム32に取付けられたサスペンションアッセンブリ(ヘッドジンバルアッセンブリ:HGAと称する場合もある)30と、サスペンションアッセンブリ30に支持された磁気ヘッド17と、を備えている。底壁12aに支持シャフト26が立設されている。アクチュエータブロック29は、軸受ユニット28により、支持シャフト26の回りで回動自在に支持されている。
【0027】
FPCユニット21は、ベース部21aと、ベース部21aの一側縁から延出した細長い帯状の中継部21bと、中継部21bの先端に連続して設けられた接合部21cと、を一体に有している。ベース部21a、中継部21b、および接合部21cは、フレキシブルプリント配線基板(FPC)により形成されている。変換コネクタ、複数のコンデンサ等の電子部品がベース部21aに実装され、FPCの配線に電気的に接続されている。ベース部21aは、ベース12の底壁12a上に設置されている。中継部21bは、ベース部21aの側縁からアクチュエータブロック29に向かって延びている。中継部21bの延出端に設けられた接合部21cは、アクチュエータブロック29の側面(設置面)に貼付およびねじ止め固定されている。接合部21cに多数の接続パッドが設けられている。アクチュエータアッセンブリ22の各磁気ヘッド17は、配線部材(フレキシャ)を介して接合部21cの接続パッドに電気的に接続されている。これにより、FPCユニット21は、磁気ヘッド17およびVCM24のボイスコイルに電気的に接続されている。
【0028】
図9は、HDDの底面側およびプリント回路基板を示す斜視図である。図示のように、プリント回路基板(制御回路基板と称する場合もある)40がベース12の底壁12aの外面に設置され、複数のねじM1により底壁12aにねじ止め固定されている。プリント回路基板40は、底壁12aの一方の短辺(磁気ディスク18から離間している短辺)とほぼ整列して位置する端辺40aと、この端辺40aとほぼ直交して延び底壁12aの一対の長辺とほぼ整列して位置する一対の側辺40b、40cと、を有している。プリント回路基板40は、外側に露出した外面および反対側の内面を有している。プリント回路基板40は、内面が底壁12aに対向した状態で、ベース12に取り付けられている。
プリント回路基板40は、底壁12aの面積の約半分の大きさに形成されている。プリント回路基板40は、底壁12aに形成された浅い凹所に配置されている。これにより、プリント回路基板40の外面は、底壁12aの外面と面一に位置している。
【0029】
プリント回路基板40の内面には、外部機器に接続されるインターフェースコネクタ44、ベース12側のコネクタに接続される中継コネクタ42、スピンドルモータ19に接続されるコネクタ端子部43c、その他、図示しない複数の電子部品が実装されている。プリント回路基板40は、スピンドルモータ19の動作を制御するとともに、FPCユニット21を介してVCM24および磁気ヘッド17の動作を制御する制御回路基板を構成している。
【0030】
インターフェースコネクタ44は、端辺40aに沿ってプリント回路基板40に実装されている。インターフェースコネクタ44の接続側の端は、端辺40aとほぼ面一に並んでいる。中継コネクタ42は、底壁12aの側に設けられた図示しない中継コネクタを介して基板ユニット21に接続される。コネクタ端子部43cは、底壁12aに貼付された接続FPC30の一端部に接続される。接続FPC30の他端は、スピンドルモータ19に電気的に接続されている。これにより、プリント回路基板40は、基板ユニット21およびスピンドルモータ19に電気的に接続される。
【0031】
上記のように構成された本実施形態に係るHDDおよび比較例に係るHDDについて、落下試験を行いHDDに作用する衝撃値を検証した。詳細には、衝撃吸収材51としてソルボセイン(商品名)、1mm厚を用いた本実施形態に係るHDDと、衝撃吸収材51として3M-CF-42EG(商品名)、1.9mm厚を用いた本実施形態に係るHDDと、比較例に係るプロテクトカバー無し、衝撃吸収材無しのHDDと、のそれぞれを、プロテクトカバー側の側面を下に向けた状態で高さ50mmから定盤の上に落下させ、HDDに作用する衝撃値を測定した。
図10、
図11、
図12は、それぞれのHDDの測定結果を示している。
図示のように、比較例に係るHDD(プロテクトカバー無し、衝撃吸収材無し)と比較して、プロテクトカバーおよび衝撃吸収材を取り付けた本実施形態に係るHDDでは衝撃値が大幅に低減している。本実施形態に係るHDDの衝撃吸収効果が確認された。
【0032】
以上のように構成された第1実施形態に係るHDDによれば、筐体10の一側面をプロテクトカバーの側面板で覆い、側面板と筐体側壁との間に衝撃吸収材51を挟み込むことで、HDDの側面方向からの衝撃を吸収、低減することが可能となる。これにより、HDDの耐衝撃性が向上する。また、衝撃吸収材51をプロテクトカバー50で覆うことにより、衝撃吸収材51の劣化や剥離を防止することができる。これにより、プロテクトカバー50および衝撃吸収材51による衝撃低減効果を長期間に亘り安定して維持することできる。
本実施形態によれば、筐体10の一側面に凹所15を設け、衝撃吸収材51の少なくとも一部を凹所15に配置する構成としている。そのため、プロテクトカバー50と筐体側壁との間に衝撃吸収材51を配置した場合でも、HDDの寸法をHDD規格の範囲内に収めることができる。
以上のことから、第1実施形態によれば、耐衝撃性の向上した磁気ディスク装置を提供することができる。
【0033】
なお、プロテクトカバーおよび衝撃吸収材の設置箇所は、筐体10のインターフェースコネクタ側の側面部だけに限定されることなく、筐体10のインターフェースコネクタと反対側の短側壁部、あるいは、筐体の長側壁部に設置しても良い。また、プロテクトカバーおよび衝撃吸収材の設置箇所は、1箇所に限らず、複数箇所に設置してもよい。
【0034】
次に、他の実施形態に係るHDDについて説明する。なお、以下に説明する他の実施形態において、前述した第1実施形態と同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を簡略化あるいは省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に詳しく説明する。
【0035】
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態に係るHDDにおいて、プロテクトカバーを取り外した状態のHDDの一側面部を示す斜視図、
図14は、第2実施形態に係るHDDの側面図である。
第2実施形態では、筐体10の側壁12cの構成が第1実施形態と相違している。第1実施形態では、短側壁12cの一部に凹所15を設けている。第2実施形態では、
図13に示すように、インターフェースコネクタ44の側に位置する短側壁12cの全体について、第1方向Xの厚さを小さく設定している。短側壁12cの外面、すなわち、側面15bは、平坦に形成され、かつ、他方の短側壁12cの側に所定長さdpだけ近ついている。このように、短側壁12cは、衝撃吸収材51の所定の厚さ分だけ、例えば、衝撃吸収材51の厚さの約1/2の分(dP)だけ薄い壁厚に形成されている。
【0036】
図14に示すように、プロテクトカバー50は、筐体10の第1方向Xの一端部に取り付けられ、ベース12とトップカバー16との接合部の一部を覆っている。プロテクトカバー50の上面板50aは、両面テープにより、トップカバー16に貼付され、トップカバー16とほぼ面一に位置している。上面板50aの一対の爪部53は、長側壁12bの上端部の外面にそれぞれ係合している。
【0037】
プロテクトカバー50の側面板50bは、筐体10の短側壁12cの外面(側面)15bと対向して位置している。側面板50bは、上面板50aから短側壁12cの下端部近傍かつインターフェースコネクタ44の近傍、まで延び、短側壁12cの側面15bのほぼ全面を覆っている。また、衝撃吸収材51は、短側壁12cと側面板50bとの間に挟まれている。衝撃吸収材51は、接着剤、両面テープなどにより、側面板50bの内面に貼付され、更に、接着剤、両面テープなどにより、短側壁12cの側面15bに貼付されている。これにより、側面板50bは、衝撃吸収材51を介して、短側壁12cに固定されている。衝撃吸収材51は、短側壁12cと側面板50bとの間に挟まれ、同時に、側面板50bにより全面が覆われている。
【0038】
図14に示すように、側面板50bを短側壁12cに取り付けた状態において、衝撃吸収材51の厚さ(第1方向Xの長さ)の約半分の部分は、短側壁12cを薄くした分dPにより吸収される。そのため、衝撃吸収材51を設けた場合でも、側面板50bおよび衝撃吸収材51を含むHDDの第1方向Xの長さL1を薄くした分dPだけ低減し、所定規格範囲内の長さに収めることができる。一例では、長さL1は、147mm以下に設定されている。
【0039】
第2実施形態において、HDDの他の構成は、前述した第1実施形態に係るHDDの構成と共通である。そして、第2実施形態に係るHDDにおいても、前述した第1実施形態に係るHDDと同様の作用効果を得ることができる。第2実施形態によれば、耐衝撃性が向上した磁気ディスク装置を提供することができる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、プロテクトカバーおよび衝撃吸収材の形状、寸法、材質は、前述した実施形態に限らず、適宜、他の形状、寸法、材質を選択可能である。
【符号の説明】
【0041】
10…筐体、12…ベース、12a…底壁、12b…長側壁、12c…短側壁、
13…側壁、14…内カバー、15…凹所、16…外カバー(トップカバー)、
17…磁気ヘッド、18…磁気ディスク、19…スピンドルモータ、
22…ヘッドアクチュエータ、40…プリント回路基板、
44…インターフェ―スコネクタ、50…プロテクトカバー、50a…上面板、
50b…側面板、51…衝撃吸収材