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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129492
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】車両用運転支援システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/04 20060101AFI20240919BHJP
   G06T 7/20 20170101ALI20240919BHJP
   G06T 7/246 20170101ALI20240919BHJP
   G06V 10/70 20220101ALI20240919BHJP
   G06V 20/59 20220101ALI20240919BHJP
【FI】
G08G1/04 C
G06T7/20 300Z
G06T7/246
G06V10/70
G06V20/59
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038729
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】橋本 龍司
(72)【発明者】
【氏名】徳山 雄生
(72)【発明者】
【氏名】田岡 巧
(72)【発明者】
【氏名】河村 知史
(72)【発明者】
【氏名】三上 優樹
【テーマコード(参考)】
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5H181AA06
5H181AA16
5H181CC04
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL07
5H181LL08
5L096BA04
5L096CA04
5L096DA01
5L096DA02
5L096FA09
5L096FA60
5L096FA62
5L096FA69
5L096GA51
5L096HA02
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】乗員の着座が完了している旨の判定である着座判定を正確に行う。
【解決手段】運転支援システムは、乗員11を輸送する車両に搭載され、車両の運転者の運転を支援する。運転支援システムは、乗員11の画像情報を検出するカメラと、制御部と、を備える。制御部は、カメラから取得した画像情報に基づいて乗員11の頭部11aの所定点Pを検出し、所定点Pが位置していると乗員11が着座していることを推定できる領域を着座領域Rとすると、着座領域Rに所定点Pが位置している場合に着座判定条件が成立しているとして、乗員11の着座が完了している旨の判定である着座判定を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員を輸送する車両に搭載され、前記車両の運転者の運転を支援する車両用運転支援システムであって、
前記乗員の画像情報を検出するカメラと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記カメラから取得した前記画像情報に基づいて前記乗員の上半身の所定点を検出し、
前記所定点が位置していると前記乗員が着座していることを推定できる領域を着座領域とすると、前記着座領域に前記所定点が位置している場合に着座判定条件が成立しているとして、前記乗員の着座が完了している旨の判定である着座判定を行う、車両用運転支援システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記所定点の動作速度と、第1所定時間内での前記所定点の変位量平均値と、前記所定点の加速度と、第2所定時間内での前記所定点の動作速度平均値と、のうち少なくとも1つを検出し、検出した前記動作速度が所定速度未満であることと、検出した前記変位量平均値が第1平均値未満であることと、検出した前記加速度が所定加速度未満であることと、検出した前記動作速度平均値が第2平均値未満であることと、のうち少なくとも1つが成立し且つ前記着座判定条件が成立している場合に前記着座判定を行う、請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項3】
前記所定点は、少なくとも前記乗員の頭部に位置する、請求項1又は請求項2に記載の車両用運転支援システム。
【請求項4】
前記所定点が位置していると前記乗員が起立していることを推定できる領域を起立領域とすると、
前記制御部は、前記着座判定が行われた前記乗員の前記所定点が前記起立領域に位置している場合に起立判定条件が成立しているとして、前記乗員が着座している状態から起立した旨の判定である起立判定を行う、請求項1又は請求項2に記載の車両用運転支援システム。
【請求項5】
前記制御部は、着座している前記乗員の前記所定点の高さが高いほど、前記起立領域の下限高さが高くなるように前記起立領域を前記乗員ごとに設定する、請求項4に記載の車両用運転支援システム。
【請求項6】
前記制御部は、着座している前記乗員の前記所定点の高さが変化した後に前記所定点の高さが所定期間維持されたことを条件に、変化後の前記所定点の高さに基づいて前記起立領域を再設定する、請求項5に記載の車両用運転支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
乗員を輸送する車両に搭載されるとともに、車両の運転者の運転を支援する車両用運転支援システムが知られている。例えば、特許文献1に記載の車両用運転支援システムは、乗員の画像情報を検出するカメラを備えるとともに、カメラから取得した画像情報に基づいて各種の処理を行っている。また、車両用運転支援システムでは、乗員の着座が完了している旨の判定である着座判定を行うことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-185985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カメラによって乗員の全身の画像情報を検出する場合、乗員の体の一部が他の乗員や乗員が車両内に持ち込んだ手荷物などによって隠れることにより、カメラによる画像情報の検出を正確に行えないおそれがある。この場合、カメラから取得した画像情報に基づいて着座判定を行うと、着座判定を正確に行えないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための車両用運転支援システムの各態様を記載する。
[態様1]乗員を輸送する車両に搭載され、前記車両の運転者の運転を支援する車両用運転支援システムであって、前記乗員の画像情報を検出するカメラと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記カメラから取得した前記画像情報に基づいて前記乗員の上半身の所定点を検出し、前記所定点が位置していると前記乗員が着座していることを推定できる領域を着座領域とすると、前記着座領域に前記所定点が位置している場合に着座判定条件が成立しているとして、前記乗員の着座が完了している旨の判定である着座判定を行う、車両用運転支援システム。
【0006】
上記構成によれば、上半身は、下半身よりも他の乗員や乗員が車両内に持ち込んだ手荷物などによって隠れにくい。そのため、カメラによって正確な乗員の画像情報を検出できるため、制御部は、正確な乗員の画像情報に基づいて所定点を検出できる。したがって、乗員の着座が完了している旨の判定である着座判定を正確に行うことができる。
【0007】
[態様2]前記制御部は、前記所定点の動作速度と、第1所定時間内での前記所定点の変位量平均値と、前記所定点の加速度と、第2所定時間内での前記所定点の動作速度平均値と、のうち少なくとも1つを検出し、検出した前記動作速度が所定速度未満であることと、検出した前記変位量平均値が第1平均値未満であることと、検出した前記加速度が所定加速度未満であることと、検出した前記動作速度平均値が第2平均値未満であることと、のうち少なくとも1つが成立し且つ前記着座判定条件が成立している場合に前記着座判定を行う、[態様1]に記載の車両用運転支援システム。
【0008】
上記構成によれば、所定点の動作速度、所定点の変位量平均値、所定点の加速度、及び所定点の動作速度平均値のいずれにもよらず着座判定条件が成立しているときに着座判定を行う場合よりも、着座判定をより正確に行うことができる。
【0009】
[態様3]前記所定点は、少なくとも前記乗員の頭部に位置する、[態様1]又は[態様2]に記載の車両用運転支援システム。
上記構成によれば、頭部は人の体のうちで比較的重い部位であるため、人が動く際には頭が動作方向に傾く傾向にある。そのため、頭部は、上半身の中でも最も人の動きと関連性が高い。こうした人の動きと関連性が高い頭部に所定点が少なくとも位置するため、所定点に基づく着座判定をより正確に行うことができる。
【0010】
[態様4]前記所定点が位置していると前記乗員が起立していることを推定できる領域を起立領域とすると、前記制御部は、前記着座判定が行われた前記乗員の前記所定点が前記起立領域に位置している場合に起立判定条件が成立しているとして、前記乗員が着座している状態から起立した旨の判定である起立判定を行う、[態様1]~[態様3]のいずれか一つに記載の車両用運転支援システム。
【0011】
上記構成によれば、着座していた乗員が起立したときに起立判定を正確に行うことができる。
[態様5]前記制御部は、着座している前記乗員の前記所定点の高さが高いほど、前記起立領域の下限高さが高くなるように前記起立領域を前記乗員ごとに設定する、[態様4]に記載の車両用運転支援システム。
【0012】
上記構成によれば、乗員の背の高さに応じて、乗員が起立したときの上半身の位置は異なる。乗員ごとに起立領域を設定することで、乗員の背の高さに合った起立領域を設定できる。したがって、起立判定をより正確に行うことができる。
【0013】
[態様6]前記制御部は、着座している前記乗員の前記所定点の高さが変化した後に前記所定点の高さが所定期間維持されたことを条件に、変化後の前記所定点の高さに基づいて前記起立領域を再設定する、[態様5]に記載の車両用運転支援システム。
【0014】
上記構成によれば、乗員の着座中に乗員の姿勢が変化すると所定点の高さが変化するおそれがあるが、そうした変化後の所定点の高さに基づいて起立領域を再設定することにより、乗員の起立領域に乗員の姿勢変化を反映させることができる。したがって、起立判定をより正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、乗員の着座が完了している旨の判定である着座判定を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】車両用運転支援システムを示す模式図である。
図2】着座領域を示す模式図である。
図3】着座領域を示す模式図である。
図4】起立領域を示す模式図である。
図5】制御部によって着座判定と未着座判定とが行われる条件を示す表である。
図6】制御部によって起立判定と着座継続判定とが行われる条件を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、車両用運転支援システムを具体化した一実施形態を図面にしたがって説明する。
<車両用運転支援システムの概要>
図1および図2に示すように、車両用運転支援システム10は、乗員11を輸送する車両12に搭載される。車両12は、乗合型車両であってもよいし、自家用乗用車であってもよい。すなわち、車両用運転支援システム10が搭載される車両12としては、バス、電車、及び自家用車両等の各種車両を採用可能である。
【0018】
図1に示すように、車両用運転支援システム10は、車両12の運転者の運転を支援するものである。なお、本実施形態の車両12は、車両12に乗車する運転手の手動操作によって運転されるものである。すなわち、本実施形態の車両12の運転者とは、車両12に乗車するとともに手動操作によって車両12を運転する運転手である。
【0019】
車両用運転支援システム10は、カメラ13を備える。カメラ13としては、例えば、RGBカメラやTOF(Time Of Flight)カメラ等が挙げられる。カメラ13は、1種類のカメラで構成されてもよいし、複数の種類のカメラで構成されてもよい。
【0020】
カメラ13は、乗員11の画像情報を検出する。具体的には、カメラ13は、車両12に乗車した乗員11の画像情報を検出する。カメラ13が検出する画像情報は、静止画であってもよいし、動画であってもよい。カメラ13は、画像情報を繰り返し検出する。例えば、カメラ13は、画像情報の検出を所定の周期で繰り返し行ってもよい。
【0021】
図1および図3に示すように、車両用運転支援システム10は、カメラ13を複数備えてもよい。複数のカメラ13は、互いに異なる領域での画像情報を検出できる位置に配置されている。カメラ13は、上記の領域にいる乗員11のうち、一部の乗員11の画像情報を取得してもよいし、全ての乗員11の画像情報を取得してもよい。
【0022】
1台のカメラ13によって複数の乗員11の画像情報を取得する場合、複数のカメラ13の各々が1人ずつの乗員11の画像情報を取得する場合よりも、車両12に搭載するカメラ13の数を低減できる。これにより、カメラ13の設置に係るコストを低減できる。
【0023】
なお、車両12の幅方向を幅方向Xともいう。車両12の高さ方向を高さ方向Yともいう。車両12の奥行方向を奥行方向Zともいう。幅方向Xは、車両12の左右方向と一致する。高さ方向Yは車両12の上下方向と一致する。奥行方向Zは、車両12の前後方向と一致する。本実施形態の車両12は、複数の座席15が奥行方向Zに並んだ座席列15aを有する。座席列15aは、車両12内において、幅方向Xに互いに離れて2つ位置する。車両12内において、2つの座席列15aの幅方向Xの間には、乗員11が通行可能な通路12aが位置する。
【0024】
図1に示すように、車両用運転支援システム10は、運転手通知部30と、乗員通知部31と、を備える。運転手通知部30は、通知を運転手に行うものである。運転手通知部30は、例えば、通知内容を画面表示することで運転手に通知を行う表示部である。表示部としては、例えば、運転席の付近に設けられたディスプレイが挙げられる。運転手は、画面表示を目視することによって運転手通知部30による通知を認識できる。なお、運転手通知部30は、表示部に限らない。例えば、運転手通知部30は、音声によって通知を運転手に行うものや、ライトの点滅等で通知を運転手に行うものであってもよい。
【0025】
乗員通知部31は、通知を乗員11に行うものである。乗員通知部31は、例えば、音声によって乗員11に通知を行うものである。なお、乗員通知部31は、音声によって乗員11に通知を行うものに限らない。例えば、乗員通知部31は、画面表示によって通知を乗員11に行うものであってもよい。
【0026】
<制御部>
車両用運転支援システム10は、制御部20を備える。制御部20は、例えば、プロセッサ23と、記憶部24と、を備える。記憶部24は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部24は、処理をプロセッサ23に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部24、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御部20は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御部20は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ23、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。制御部20は、車両用運転支援システム10の専用のものであってもよいし、車両12のECU(Electronic Control Unit)と兼用してもよい。
【0027】
制御部20は、カメラ13、運転手通知部30、および乗員通知部31の各々と電気的に接続されている。制御部20は、運転手通知部30および乗員通知部31を制御可能である。
【0028】
図1および図2に示すように、制御部20は、カメラ13から乗員11の画像情報を取得する。制御部20は、カメラ13から取得した画像情報に基づいて乗員11の上半身としての頭部11aの所定点Pを検出する。すなわち所定点Pは、乗員11の頭部11aに位置する。具体的には、制御部20は、取得した画像情報に基づいて、頭部11aの複数の特徴点を抽出する。複数の特徴点とは、例えば、乗員11の眉、目、鼻、口、および輪郭などに位置する。制御部20は、抽出した複数の特徴点から乗員11の頭部11aの所定点Pを設定する。所定点Pとしては、例えば、頭部11aの中心を示す点、頭部11aの重心を示す点、および眉と眉との中間を示す点などが挙げられる。制御部20は、乗員11ごとに所定点Pを設定する。
【0029】
制御部20は、例えば、学習済みモデルを用いて画像情報から頭部11aの所定点Pを判別する。学習済みモデルとは、例えば、画像情報に含まれる乗員11ごとにラベルを付した学習データを用いて学習を行ったものである。学習済みモデルは、例えば、記憶部24に記憶されているデータである。
【0030】
制御部20は、カメラ13から画像情報を繰り返し取得することにより、乗員11の頭部11aの所定点Pを連続的に監視する。これにより、制御部20は、所定点Pの移動を監視できる。なお、車両12内での乗員11の移動、立った状態の乗員11が座席15に座る動作、および座席15に座った状態の乗員11が起立する動作に伴って、頭部11aの位置は変位する。そのため、制御部20は、所定点Pの移動を監視することで、乗員11の動作を監視できる。
【0031】
制御部20は、所定点Pの動作速度Sと、第1所定時間T1内での所定点Pの変位量平均値DAと、所定点Pの加速度ATと、第2所定時間T2内での所定点Pの動作速度平均値SAと、のうち少なくとも1つを検出する。例えば、制御部20は、一定時間前に取得した画像情報に基づく所定点Pの位置と、直近に取得した画像情報に基づく所定点Pの位置と、に基づいて所定点Pの動作速度Sを算出する。例えば、制御部20は、第1所定時間T1内で画像情報を3回以上取得するとともに、連続する2回分の画像情報に基づく所定点Pの位置同士を比較することによって所定点Pの変位量を算出する。そして、例えば制御部20は、上記の所定点Pの変位量の算出を第1所定時間T1内で取得した全ての画像情報について行うとともに、算出された全ての所定点Pの変位量の平均値を算出することで、第1所定時間T1内での所定点Pの変位量平均値DAを算出する。例えば、制御部20は、一定時間前に取得した画像情報に基づく所定点Pの位置と、直近に取得した画像情報に基づく所定点Pの位置と、に基づいて所定点Pの加速度ATを算出する。例えば、制御部20は、第2所定時間T2内で画像情報を3回以上取得するとともに、その3回以上取得された画像情報について上記の所定点Pの動作速度Sの算出方法と同様に所定点Pの動作速度Sを複数算出する。そして、例えば、制御部20は、こうして算出された複数の動作速度Sの平均値を算出することによって、第2所定時間T2内での所定点Pの動作速度平均値SAを算出する。なお、第1所定時間T1と第2所定時間T2とは、互いに同じ時間であってもよいし、異なる時間であってもよい。本実施形態における制御部20は、第1所定時間T1内での所定点Pの変位量平均値DAを検出する。
【0032】
図2および図3に示すように、所定点Pが位置していると乗員11が着座していることを推定できる領域を着座領域Rとする。記憶部24は、着座領域Rを記憶している。着座領域Rは、車両12ごとに予め設定されている。着座領域Rとは、例えば、任意の一点を原点として座標で示したデータである。着座領域Rは、例えば、車両12内の直方体状の領域である。着座領域R内での位置は、幅方向Xでの位置を示すX座標、高さ方向Yでの位置を示すY座標、および奥行方向Zでの位置を示すZ座標によって示される。
【0033】
着座領域Rは、具体的には、車両12内の座席15を含む領域である。着座領域Rは、車両12の複数の座席15を含む領域であってもよい。着座領域Rは、座席列15aに含まれる一部の座席15を含んでもよいし、座席列15aに含まれるすべての座席15を含んでもよい。本実施形態の着座領域Rは、車両12の通路12aを挟んで幅方向Xの両側に設定されている。着座領域Rは、X座標がXa未満であり、かつY座標がYa未満であり、かつZ座標がZa未満である領域である。
【0034】
図4に示すように、制御部20は、乗員11が座席15に着座している状態から起立したか否かを判断するための判断領域を設定する。判断領域は、例えば、任意の一点を原点として座標で示したデータである。判断領域は、例えば、車両12内の直方体状の領域である。判断領域内での位置は、幅方向Xでの位置を示すX座標、高さ方向Yでの位置を示すY座標、および奥行方向Zでの位置を示すZ座標によって示される。すなわち、判断領域内での高さはY座標によって示される。
【0035】
判断領域は、第1領域A、第2領域B、第3領域C、および第4領域Dを含む。第1領域Aは、X座標の値が値Xb未満であり、かつY座標の値が値Yb以上であり、かつZ座標の値が値Zb未満である領域である。第2領域Bは、X座標の値が値Xb以上であり、かつY座標の値が値Yb以上であり、かつZ座標の値が値Zb未満である領域である。第3領域Cは、X座標の値が値Xb未満であり、かつY座標の値が値Yb未満であり、かつZ座標の値が値Zb未満である領域である。第4領域Dは、X座標の値が値Xb以上であり、かつY座標の値が値Yb未満であり、かつZ座標の値が値Zb未満である領域である。
【0036】
第3領域Cは、車両12内の座席15を含む領域である。第3領域Cは、車両12の複数の座席15を含む領域であってもよい。第3領域Cは、座席列15aに含まれる一部の座席15を含んでもよいし、座席列15aに含まれるすべての座席15を含んでもよい。第1領域A、第2領域B、および第4領域Dは、例えば、座席15を含まない領域である。第1領域Aは、第3領域Cよりも高さ方向Yの上方に位置する。第2領域Bは、第1領域Aと幅方向Xに並んでいる。第4領域Dは、第3領域Cと幅方向Xに並んでいる。
【0037】
乗員11が座席15に着座した状態が継続されると、乗員11に設定された所定点Pは第3領域Cおよび第4領域Dの少なくとも一方に位置した状態が継続される。言い換えると、第3領域Cおよび第4領域Dは、これら領域に所定点Pが位置していると乗員11が座席15に着座した状態が継続されていると推定できる領域である。なお、所定点Pが第4領域Dに位置する場合、所定点Pが設定された乗員11は、頭部11aが座席15から幅方向Xにずれた位置となるように座席15に着座しながら上半身を傾けていることが推定される。
【0038】
座席15に着座した状態の乗員11が起立すると、乗員11に設定された所定点Pは第1領域Aおよび第2領域Bのいずれかに移動する。言い換えると、第1領域Aおよび第2領域Bは、所定点Pが位置していると乗員11が起立していることを推定できる領域である。すなわち、本実施形態において、第1領域Aおよび第2領域Bは、起立領域に相当する。Y座標の値が値Ybとなる高さ方向Yでの位置が、起立領域の下限高さに相当する。座席15に着座した状態の乗員11が起立すると、その乗員11に設定された所定点Pは、第3領域Cおよび第4領域Dのうちのいずれかの領域から第1領域Aおよび第2領域Bのうちのいずれかの領域に移動する。
【0039】
制御部20は、起立領域としての第1領域Aおよび第2領域Bを乗員11ごとに設定する。詳細には、例えば、座席15に2人の乗員11が着座していると仮定する。この2人の乗員11のうち一方の乗員11を第1乗員21といい、他方の乗員11を第2乗員22という。第1乗員21に設定された所定点Pを第1所定点P1という。第2乗員22に設定された所定点Pを第2所定点P2という。第2乗員22の背の高さは、第1乗員21の背の高さよりも高いとする。この場合、座席15に第1乗員21及び第2乗員22が座席15に着座している状態において、第2所定点P2の高さは第1所定点P1の高さよりも高い。制御部20は、第2所定点P2が設定された第2乗員22に対して、下限高さであるY座標の値Ybが値Yb2となるように、第1領域Aおよび第2領域Bを設定する。制御部20は、第1所定点P1が設定された第1乗員21に対して、下限高さであるY座標の値Ybが値Yb2よりも小さい値である値Yb1となるように、第1領域Aおよび第2領域Bを設定する。こうして、制御部20は、着座している乗員11の所定点Pの高さが高いほど、第1領域Aおよび第2領域Bの下限高さが高くなるように第1領域Aおよび第2領域Bを乗員11ごとに設定する。
【0040】
なお、本実施形態の制御部20は、上記の第1領域Aおよび第2領域Bの乗員11ごとの設定に加えて、第3領域Cおよび第4領域Dを乗員11ごとに設定する。詳細には、例えば、制御部20は、第2所定点P2が設定された第2乗員22に対して、Y座標の値が値Yb2未満となるように第3領域Cおよび第4領域Dを設定する。制御部20は、第1所定点P1が設定された第1乗員21に対して、Y座標の値が値Yb1未満となるように第3領域Cおよび第4領域Dを設定する。こうして、制御部20は、着座している乗員11の所定点Pの高さが高いほど、第3領域Cおよび第4領域Dの上限高さが高くなるように第3領域Cおよび第4領域Dを乗員11ごとに設定する。
【0041】
本実施形態の制御部20は、着座している乗員11の頭部11aの所定点Pの高さが高いほど、第1領域Aおよび第3領域Cの幅方向Xの大きさが大きくなるように、第1領域Aおよび第3領域Cを乗員11ごとに設定する。詳細には、例えば、制御部20は、第2乗員22に対して、X座標の値が値Xb2未満となるように第1領域Aおよび第3領域Cを設定する。制御部20は、第1乗員21に対して、X座標の値が値Xb2よりも小さい値である値Xb1未満となるように第1領域Aおよび第3領域Cを設定する。こうして、制御部20は、着座している乗員11の所定点Pの高さが高いほど、第1領域Aおよび第3領域Cの幅方向Xの大きさが大きくなるように、第1領域Aおよび第3領域Cを乗員11ごとに設定する。
【0042】
本実施形態の制御部20は、第2領域Bおよび第4領域Dを乗員11ごとに設定する。詳細には、例えば、制御部20は、第2乗員22に対して、X座標の値が値Xb2以上となるように第2領域Bおよび第4領域Dを設定する。制御部20は、第1乗員21に対して、X座標の値が値Xb1以上となるように第2領域Bおよび第4領域Dを設定する。
【0043】
例えば、乗員11に対して起立領域としての第1領域Aおよび第2領域Bが上記の通り設定された後、着座した状態で乗員11の姿勢が変化すると、乗員11の所定点Pの高さが変化するおそれがある。そこで、制御部20は、着座している乗員11の所定点Pの高さが変化した後に所定点Pの高さが所定期間T3維持されたことを条件に、変化後の所定点Pの高さに基づいて起立領域としての第1領域Aおよび第2領域Bを再設定する。詳細には、所定点Pが設定された乗員11に対して、上記の変化後の所定点Pの高さが高いほど下限高さであるY座標の値Ybが高くなるように、起立領域としての第1領域Aおよび第2領域Bを再設定する。着座している乗員11の所定点Pの高さが変化した後に所定点Pの高さが所定期間T3維持されたといった条件が成立する度に、制御部20は上記の再設定を繰り返し行ってもよい。
【0044】
<着座判定処理>
図2及び図5に示すように、制御部20は、着座判定処理を行う。着座判定処理において、制御部20は、着座領域Rに所定点Pが位置している場合に着座判定条件が成立しているとして、乗員11の着座が完了している旨の判定である着座判定を行う。また、制御部20は、着座領域R外に所定点Pが位置している場合に着座判定条件が成立していないとして、乗員11の着座が完了していない旨の判定である未着座判定を行う。着座判定条件が成立するとき、乗員11の頭部11aは着座領域R内に位置することとなる。着座判定条件が成立していないとき、乗員11の頭部11aは着座領域R外に位置することとなる。
【0045】
実施形態の制御部20は、以下条件のうち少なくとも1つが成立することを着座判定の条件に含む。上記条件は、検出した所定点Pの動作速度Sが所定速度SP未満であること、検出した変位量平均値DAが第1平均値A1未満であること、検出した加速度ATが所定加速度AP未満であること、検出した動作速度平均値SAが第2平均値A2未満であることである。すなわち、制御部20は、動作速度S、変位量平均値DA、加速度AT、及び動作速度平均値SAに関する上記の条件のうち、少なくとも1つが成立し且つ着座判定条件が成立している場合に着座判定を行う。
【0046】
なお、所定速度SPは、着座領域Rに所定点Pが位置する状態で所定点Pの動作速度Sが所定速度SP未満であるときに、所定点Pが設定された乗員11が座席15への着座が完了したと判断できる速度である。座席15に着座しようと乗員11が移動するときの頭部11aなどの上半身の移動速度よりも、座席15への着座が完了した状態の乗員11の頭部11aなどの上半身の移動速度が低い傾向にある。そのため、上記のように所定速度SPと所定点Pの動作速度Sとを比較することで乗員11が座席15に着座したか否かを判断できる。
【0047】
また、第1平均値A1は、着座領域Rに所定点Pが位置する状態で所定点Pの変位量平均値DAが第1平均値A1未満であるときに、所定点Pが設定された乗員11が座席15への着座が完了したと判断できる値である。座席15に着座しようと乗員11が移動するときの頭部11aなどの上半身の変位量平均値DAよりも、座席15への着座が完了した状態の乗員11の頭部11aなどの上半身の変位量平均値DAが低い傾向にある。そのため、上記のように所定点Pの変位量平均値DAと第1平均値A1とを比較することで乗員11が座席15に着座したか否かを判断できる。
【0048】
また、所定加速度APは、着座領域Rに所定点Pが位置する状態で所定点Pの加速度ATが所定加速度AP未満であるときに、所定点Pが設定された乗員11が座席15への着座が完了したと判断できる値である。座席15に着座しようと乗員11が移動するときの頭部11aなどの上半身の加速度ATよりも、座席15への着座が完了した状態の乗員11の頭部11aなどの上半身の加速度ATが低い傾向にある。そのため、上記のように所定点Pの加速度ATと所定加速度APとを比較することで乗員11が座席15に着座したか否かを判断できる。
【0049】
また、第2平均値A2は、着座領域Rに所定点Pが位置する状態で所定点Pの動作速度平均値SAが第2平均値A2未満であるときに、所定点Pが設定された乗員11が座席15への着座が完了したと判断できる値である。座席15に着座しようと乗員11が移動するときの頭部11aなどの上半身の動作速度平均値SAよりも、座席15への着座が完了した状態の乗員11の頭部11aなどの上半身の動作速度平均値SAが低い傾向にある。そのため、上記のように所定点Pの動作速度平均値SAと第2平均値A2とを比較することで乗員11が座席15に着座したか否かを判断できる。
【0050】
本実施形態における制御部20は、検出した変位量平均値DAが第1平均値A1未満であることが成立し且つ着座判定条件が成立している場合に着座判定を行う。制御部20は、検出した変位量平均値DAが第1平均値A1以上である場合には、着座判定条件が成立していても着座判定を行わずに未着座判定を行う。制御部20は、着座判定条件が成立していない場合には、検出した変位量平均値DAによらず未着座判定を行う。
【0051】
<起立判定処理>
図4及び図6に示すように、制御部20は、起立判定処理を行う。制御部20は、着座判定処理によって着座判定が行われた乗員11を対象に起立判定処理を行う。そのため、起立判定処理は、座席15に着座した状態の乗員11を対象に行われる処理である。
【0052】
起立判定処理において、制御部20は、着座判定が行われた乗員11の所定点Pが起立領域に位置している場合に起立判定条件が成立しているとして、乗員11が着座している状態から起立した旨の判定である起立判定を行う。詳細には、制御部20は、着座判定が行われた乗員11の所定点Pが起立領域としての第1領域Aに位置している場合、乗員11が場所移動する直前である旨の判定である移動直前判定を行う。制御部20は、着座判定が行われた乗員11の所定点Pが起立領域としての第2領域Bに位置している場合、乗員11が場所移動している旨の判定である移動判定を行う。本実施形態において、移動直前判定及び移動判定が起立判定に相当する。
【0053】
起立判定処理において、制御部20は、着座判定が行われた乗員11の所定点Pが起立領域外である第3領域Cおよび第4領域Dのいずれかの領域に位置している場合に、起立判定条件が成立していないとして、着座継続判定を行う。着座継続判定とは、乗員11が着座している状態が継続されている旨の判定である。
【0054】
<運転手通知部による通知>
本実施形態の制御部20は、乗員11に対して未着座判定が行われたときに、乗員11が未着座である旨の通知を運転手通知部30に行わせる。制御部20は、対象となる乗員11全員に対して着座判定がなされたときに、乗員11が着座している旨の通知を運転手通知部30に行わせる。これにより、例えば、車両12が停車している状況下において、運転手通知部30による着座している旨の通知を受けてから、運転手は車両12を発車させることにより、乗員11の姿勢が安定した状態で車両12を発車させることができる。
【0055】
<乗員通知部による通知>
本実施形態の制御部20は、乗員11に対して起立判定が行われたときに、乗員11に注意を促す内容の通知を乗員通知部31に行わせる。ここで、例えば車両12の走行中である状況下において、乗員11が着座した状態から起立すると、乗員11が転倒するおそれがある。こうした乗員11が転倒するおそれのある状況にて、上記の乗員通知部31による通知が行われることで、場所移動を行う乗員11に注意を促すことができる。そのため、乗員11の転倒を抑制できる。
【0056】
制御部20は、移動直前判定を行った場合と、移動判定を行った場合とで、乗員通知部31による通知の内容を異ならせてもよい。例えば、制御部20は、移動判定を行った場合に、移動直前判定を行った場合よりも、強く注意喚起を促す内容の通知を行ってもよい。
【0057】
<実施形態の作用>
次に、実施形態の作用について説明する。
車両12への乗員11の乗車時など、乗員11が座席15に着座しようとするとき、乗員11の座席15への着座が完了するまでは、乗員11に設定された所定点Pが着座領域R外に位置する。こうした場合、制御部20は、着座判定条件が成立しないとして、着座判定を行わない。また、乗員11の座席15への着座完了の直前では、所定点Pが着座領域R内に位置するが、所定点Pの変位量平均値DAが第1平均値A1以上となる。こうした場合、着座判定条件が成立するが、制御部20は着座判定を行わない。乗員11の座席15への着座が完了すると、所定点Pが着座領域R内に位置するとともに所定点Pの変位量平均値DAが第1平均値A1未満となる。この場合、制御部20は、着座判定条件が成立しているとして、着座判定を行う。
【0058】
車両12の走行している状況下などで、乗員11の場所移動に際して、座席15に着座していた乗員11が座席15から起立することがある。乗員11の座席15への着座が継続される間は、乗員11の所定点Pは起立領域外に位置する。この場合、制御部20は、起立判定条件が成立していないとして、起立判定を行わない。着座していた乗員11が起立すると、乗員11の所定点Pは起立領域に位置するようになる。この場合、制御部20は、起立判定条件が成立しているとして、起立判定を行う。
【0059】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)制御部20は、カメラ13から取得した画像情報に基づいて乗員11の上半身としての頭部11aの所定点Pを検出する。所定点Pが位置していると乗員11が着座していることを推定できる領域を着座領域Rとすると、制御部20は、着座領域Rに所定点Pが位置している場合に着座判定条件が成立しているとして、乗員11の着座が完了している旨の判定である着座判定を行う。上半身としての頭部11aは、下半身よりも他の乗員11や乗員11が車両12内に持ち込んだ手荷物などによって隠れにくい。そのため、カメラ13によって正確な乗員11の画像情報を検出できるため、制御部20は、正確な乗員11の画像情報に基づいて所定点Pを検出できる。したがって、乗員11の着座が完了している旨の判定である着座判定を正確に行うことができる。
【0060】
(2)制御部20は、所定点Pの動作速度Sを検出し、検出した動作速度Sが所定速度SP未満であり且つ着座判定条件が成立している場合に着座判定を行う。そのため、所定点Pの動作速度S、所定点Pの変位量平均値DA、所定点Pの加速度AT、及び所定点Pの動作速度平均値SAのいずれにもよらず着座判定条件が成立しているときに着座判定を行う場合よりも、着座判定をより正確に行うことができる。
【0061】
(3)所定点Pは、少なくとも乗員11の頭部11aに位置する。頭部11aは人の体のうちで比較的重い部位であるため、人が動く際には頭部11aが動作方向に傾く傾向にある。そのため、頭部11aは、上半身の中でも最も人の動きと関連性が高い。こうした人の動きと関連性が高い頭部11aに所定点Pが少なくとも位置するため、所定点Pに基づく着座判定をより正確に行うことができる。
【0062】
(4)制御部20は、着座判定が行われた乗員11の所定点Pが起立領域に位置している場合に起立判定条件が成立しているとして、乗員11が着座している状態から起立した旨の判定である起立判定を行う。したがって、着座していた乗員11が起立したときに起立判定を正確に行うことができる。
【0063】
(5)制御部20は、着座している乗員11の所定点Pの高さが高いほど、起立領域の下限高さが高くなるように起立領域を乗員11ごとに設定する。乗員11の背の高さに応じて、乗員11が起立したときの上半身としての頭部11aの位置は異なる。上記のように乗員11ごとに起立領域を設定することで、乗員11の背の高さに合った起立領域を設定できる。したがって、起立判定をより正確に行うことができる。
【0064】
(6)制御部20は、着座している乗員11の所定点Pの高さが変化した後に所定点Pの高さが所定期間T3維持されたことを条件に、変化後の所定点Pの高さに基づいて起立領域としての第1領域Aおよび第2領域Bを再設定する。そのため、乗員11の着座中に乗員11の姿勢が変化すると所定点Pの高さが変化するおそれがあるが、そうした変化後の所定点Pの高さに基づいて第1領域Aおよび第2領域Bを再設定できる。これにより、乗員11の第1領域Aおよび第2領域Bに乗員11の姿勢変化を反映させることができる。したがって、起立判定をより正確に行うことができる。
【0065】
(7)制御部20は、カメラ13から取得した画像情報に基づいて乗員11の上半身としての頭部11aの所定点Pを検出するとともに、所定点Pに基づいて着座判定を行う。そのため、例えば、カメラ13から取得した画像情報に基づいて乗員11の全身の画像データを検出するとともにその画像データに基づいて着座判定を行う場合よりも、必要な学習済みモデルを低減できる。したがって、学習済みモデルの用意に係る作業工数を低減できる。また、上記実施形態によれば、上記のように乗員11の全身の画像データに基づいて着座判定を行う場合よりも、着座判定に係る処理速度を速めることができる。
【0066】
(8)制御部20は、所定点Pの動作速度Sと、第1所定時間T1内での所定点Pの変位量平均値DAと、所定点Pの加速度ATと、第2所定時間T2内での所定点Pの動作速度平均値SAと、のうち少なくとも所定点Pの変位量平均値DAを検出する。制御部20は、少なくとも変位量平均値DAが第1平均値A1未満であることが成立し且つ着座判定条件が成立している場合に着座判定を行う。仮に乗員11の瞬間的な動き等により所定点Pは瞬間的に変位しうるが、検出された変位量平均値DAに基づいて上記のように着座判定が行われるため、所定点Pの変位に係る値を平均化せずに用いて着座判定を行う場合と比較して着座判定の誤判定を抑制できる。
【0067】
<変更例>
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0068】
・第3領域Cと第4領域Dとの境界を削除することで、第3領域Cおよび第4領域Dを1つの領域としてもよい。
・第1領域Aと第2領域Bとの境界を削除することで、第1領域Aおよび第2領域Bを1つの起立領域としてもよい。この場合、制御部20は、着座判定が行われた乗員11の所定点Pが起立領域に位置している場合に起立判定条件が成立するとして、乗員11が着座している状態から起立した旨の判定である起立判定を行う。
【0069】
・制御部20は、着座している乗員11の所定点Pの高さが変化した際に、変化後の所定点Pの高さに基づいて起立領域を再設定することを省略してもよい。この場合の制御部20は、例えば起立領域の設定後に所定点Pが変位しても、所定点Pの変化前と同じ起立領域を用いて起立判定を行う。
【0070】
・制御部20は、起立領域を乗員11ごとに異ならせなくてもよい。この場合、制御部20は、予め設定された起立領域に基づいて、起立判定を行う。
・制御部20は、起立判定処理の実行を省略してもよい。
【0071】
・所定点Pは、乗員11の頭部11aのみに位置する形態に限らない。例えば、所定点Pは、乗員11の肩などの頭部11a以外の上半身に位置していてもよい。所定点Pは、上記の頭部11a以外の部分と頭部11aとの各々に位置していてもよい。要するに、所定点Pは、乗員11の上半身に位置していればよい。
【0072】
・制御部20は、検出した動作速度Sが所定速度SP未満であることが成立し且つ着座判定条件が成立している場合に着座判定を行ってもよい。制御部20は、検出した加速度ATが所定加速度AP未満であることが成立し且つ着座判定条件が成立している場合に着座判定を行ってもよい。制御部20は、検出した動作速度平均値SAが第2平均値A2未満であることが成立し且つ着座判定条件が成立している場合に着座判定を行ってもよい。制御部20は、上記の動作速度Sに関する条件、加速度ATに関する条件、動作速度平均値SAに関する条件、及び変位量平均値DAが第1平均値A1未満であることといった4つの条件のうち、少なくとも2つ以上の条件が成立する場合に着座判定を行ってもよい。こうした場合、制御部20は、動作速度S、加速度AT、動作速度平均値SA、及び変位量平均値DAのうち、着座判定に用いられるパラメータを少なくとも検出する。
【0073】
・制御部20は、所定点Pの動作速度S、加速度AT、動作速度平均値SA、及び変位量平均値DAのいずれにもよらず着座判定条件が成立しているときに着座判定を行ってもよい。
【0074】
・車両12の運転者は、車両12に乗車するとともに手動操作によって車両12を運転する運転手に限らない。例えば、車両12の運転者は、車両12に乗車しないとともに、遠隔操作によって車両12を運転する操作者であってもよい。この場合、制御部20によって着座判定が行われるときに、この着座判定が信号として制御部20から操作者が操作する機器に発信されることで、操作者は着座判定が行われた旨を認識できる。また、例えば、車両12の運転者は、遠隔操作によって車両12を運転する操作装置であってもよい。この場合、制御部20によって着座判定が行われるときに、この着座判定が信号として制御部20から操作装置に発信されることで、操作装置は着座判定が行われたことを踏まえた制御を行える。なお、この変更例においては、車両用運転支援システム10から運転手通知部30および乗員通知部31の少なくとも一方を省略してもよい。
【符号の説明】
【0075】
A1…第1平均値
A2…第2平均値
AP…所定加速度
AT…加速度
DA…変位量平均値
P…所定点
R…着座領域
S…動作速度
SA…動作速度平均値
SP…所定速度
T1…第1所定時間
T2…第2所定時間
10…車両用運転支援システム
11…乗員
11a…頭部
12…車両
13…カメラ
20…制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6