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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129497
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】製造システム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 39/04 20060101AFI20240919BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
B23Q39/04 Z
B23Q39/04 C
B23Q39/04 G
B23Q39/04 H
B23Q11/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038737
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 崇
(72)【発明者】
【氏名】森下 敏之
【テーマコード(参考)】
3C011
3C042
【Fターム(参考)】
3C011AA14
3C042RA11
3C042RA22
3C042RB11
3C042RC10
3C042RD00
(57)【要約】
【課題】デジタルツイン工場を実現することに寄与することができる製造システムを提供する。
【解決手段】全てのモジュール16が床面12に置かれた据付状態では、他方側モジュール163の上側レール部282と下側レール部283は、一方側モジュール162の上側溝342aと下側溝343aとの何れにも嵌まり込まない。据付状態から一方側モジュール162が他方側モジュール163に対し上側へ相対的に所定量LU変位した第1変位状態では、他方側モジュール163の下側レール部283は、一方側モジュール162の下側溝343aに嵌まり込む。そして、据付状態から他方側モジュール163が一方側モジュール162に対し上側へ相対的に所定量LU変位した第2変位状態では、他方側モジュール163の上側レール部282は、一方側モジュール162の上側溝342aに嵌まり込む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク(80)が第1方向(D1)に沿って搬送され、該第1方向の一方側から他方側へ並んで床面(12)上に置かれる複数のモジュール(16、162、163)から構成され、前記ワークに対し所定作業を施す製造システム(10)であって、
前記複数のモジュールのうちの1つであり、前記所定作業のうちの一工程を実行する一方側モジュール(162)と、
前記複数のモジュールのうちの1つであり、前記所定作業のうち前記一工程とは別の他工程を実行し、前記一方側モジュールに対し前記第1方向の前記他方側に隣り合って配置される他方側モジュール(163)とを備え、
前記複数のモジュールはそれぞれ、前記第1方向の前記一方側に向いた一方側側面(601)と、前記第1方向の前記他方側に向いた他方側側面(602)と、前記一方側側面から突き出た基部(281)と該基部に対し上側へ延び前記一方側側面から前記第1方向に離れて設けられ前記第1方向に垂直で且つ前記床面に沿った第2方向(D2)に延伸する上側レール部(282)と前記基部に対し下側へ延び前記一方側側面から前記第1方向に離れて設けられ前記第2方向に延伸する下側レール部(283)とを有し前記一方側側面に固定された一方側案内部(28)と、上側へ窪んだ溝形状を成し前記第2方向に延伸し前記第2方向の一方側が開放された上側溝(342a)が形成され前記他方側側面に固定された上側溝形成部(342)と、下側へ窪んだ溝形状を成し前記第2方向に延伸し前記第2方向の前記一方側が開放された下側溝(343a)が形成され前記他方側側面に固定された下側溝形成部(343)とを有し、
前記一方側モジュールと前記他方側モジュールとが両方とも前記床面に置かれた据付状態では、前記他方側モジュールの前記上側レール部と前記下側レール部は、前記一方側モジュールの前記上側溝と前記下側溝との何れにも嵌まり込まず該上側溝よりも下側かつ該下側溝よりも上側に位置し、
前記据付状態から前記一方側モジュールが前記他方側モジュールに対し上側へ相対的に所定量(LU)変位した第1変位状態では、前記他方側モジュールの前記下側レール部は、前記一方側モジュールの前記下側溝形成部に対する前記第2方向への相対移動が可能な嵌合で前記一方側モジュールの前記下側溝に嵌まり込み、
前記据付状態から前記他方側モジュールが前記一方側モジュールに対し上側へ相対的に前記所定量変位した第2変位状態では、前記他方側モジュールの前記上側レール部は、前記一方側モジュールの前記上側溝形成部に対する前記第2方向への相対移動が可能な嵌合で前記一方側モジュールの前記上側溝に嵌まり込む、製造システム。
【請求項2】
前記上側溝形成部は、前記上側溝に前記第1方向の前記一方側から面する上側一方溝側面(342b)を有し、
前記下側溝形成部は、前記下側溝に前記第1方向の前記一方側から面する下側一方溝側面(343b)を有し、
前記複数のモジュールはそれぞれ、前記上側一方溝側面と前記下側一方溝側面との間に設けられ前記上側一方溝側面と前記下側一方溝側面とのそれぞれにつながり前記第1方向の前記一方側へ窪んだ凹形状を成す中間側面(341a)を有し、
前記据付状態では、前記他方側モジュールの前記上側レール部のうち前記第1方向の最も前記一方側に位置する部位(282b)と、前記下側レール部のうち前記第1方向の最も前記一方側に位置する部位(283b)は、前記一方側モジュールの前記中間側面の前記凹形状が上下方向に占める範囲(R2g)内に入る、請求項1に記載の製造システム。
【請求項3】
前記複数のモジュールはそれぞれ、前記一方側側面から突き出て前記第1方向に移動可能に支持され前記一方側側面から突き出る向きに付勢された突出ピン(42)と、上側第1突部(462)と上側第2突部(463)と下側第1突部(464)と下側第2突部(465)とを有し前記他方側側面に固定されたピン係合部(46)とを有し、
前記上側第1突部は、前記他方側側面から突き出るように形成され、
前記上側第2突部は、前記他方側側面から突き出るように形成され、前記上側第1突部に対し間隔をあけて前記第2方向の他方側に並んで配置され、
前記下側第1突部は、前記他方側側面から突き出るように形成され、前記上側第1突部に対し間隔をあけて下側に並んで配置され、
前記下側第2突部は、前記他方側側面から突き出るように形成され、前記下側第1突部に対し間隔をあけて前記第2方向の前記他方側に並んで配置され且つ前記上側第2突部に対し間隔をあけて下側に並んで配置され、
前記上側第1突部と前記下側第1突部はそれぞれ、前記第2方向の前記一方側ほど前記他方側側面に近づく一方側傾斜面(462a、464a)を前記第2方向の前記一方側に有し、
前記上側第2突部と前記下側第2突部はそれぞれ、前記第2方向の前記他方側ほど前記他方側側面に近づく他方側傾斜面(463a、465a)を前記第2方向の前記他方側に有し、
前記一方側傾斜面と前記他方側傾斜面はそれぞれ、前記ピン係合部に嵌まり込む相手側の前記突出ピンが前記第1方向の前記一方側へ最も突き出たときの該突出ピンの先端(421)よりも前記第1方向の前記一方側の位置にまで延設され、
前記第1変位状態では、前記他方側モジュールの前記突出ピンは、前記一方側モジュールの前記下側第1突部と前記下側第2突部との間に嵌まり込み、
前記第2変位状態では、前記他方側モジュールの前記突出ピンは、前記一方側モジュールの前記上側第1突部と前記上側第2突部との間に嵌まり込み、
前記据付状態では、前記他方側モジュールの前記突出ピンは、前記一方側モジュールの前記上側第1突部および前記上側第2突部よりも下側かつ前記一方側モジュールの前記下側第1突部および前記下側第2突部よりも上側に位置する、請求項1に記載の製造システム。
【請求項4】
前記複数のモジュールはそれぞれ、前記他方側側面から突き出て前記第1方向に移動可能に支持され前記他方側側面から突き出る向きに付勢された突出ピン(42)と、上側第1突部(462)と上側第2突部(463)と下側第1突部(464)と下側第2突部(465)とを有し前記一方側側面に固定されたピン係合部(46)とを有し、
前記上側第1突部は、前記一方側側面から突き出るように形成され、
前記上側第2突部は、前記一方側側面から突き出るように形成され、前記上側第1突部に対し間隔をあけて前記第2方向の他方側に並んで配置され、
前記下側第1突部は、前記一方側側面から突き出るように形成され、前記上側第1突部に対し間隔をあけて下側に並んで配置され、
前記下側第2突部は、前記一方側側面から突き出るように形成され、前記下側第1突部に対し間隔をあけて前記第2方向の前記他方側に並んで配置され且つ前記上側第2突部に対し間隔をあけて下側に並んで配置され、
前記上側第1突部と前記下側第1突部はそれぞれ、前記第2方向の前記一方側ほど前記一方側側面に近づく一方側傾斜面(462a、464a)を前記第2方向の前記一方側に有し、
前記上側第2突部と前記下側第2突部はそれぞれ、前記第2方向の前記他方側ほど前記一方側側面に近づく他方側傾斜面(463a、465a)を前記第2方向の前記他方側に有し、
前記一方側傾斜面と前記他方側傾斜面はそれぞれ、前記ピン係合部に嵌まり込む相手側の前記突出ピンが前記第1方向の前記他方側へ最も突き出たときの該突出ピンの先端(421)よりも前記第1方向の前記他方側の位置にまで延設され、
前記第1変位状態では、前記一方側モジュールの前記突出ピンは、前記他方側モジュールの前記下側第1突部と前記下側第2突部との間に嵌まり込み、
前記第2変位状態では、前記一方側モジュールの前記突出ピンは、前記他方側モジュールの前記上側第1突部と前記上側第2突部との間に嵌まり込み、
前記据付状態では、前記一方側モジュールの前記突出ピンは、前記他方側モジュールの前記上側第1突部および前記上側第2突部に対し下側かつ前記他方側モジュールの前記下側第1突部および前記下側第2突部に対し上側に位置する、請求項1に記載の製造システム。
【請求項5】
前記複数のモジュールはそれぞれ、前記突出ピンが嵌まり込む相手側の前記ピン係合部の前記上側第1突部と前記上側第2突部と前記下側第1突部と前記下側第2突部との何れからも前記突出ピンが前記第1方向に間隔(GP)をあけた状態で該突出ピンの位置を保持できるピンロック機構(401)を有している、請求項3または4に記載の製造システム。
【請求項6】
前記複数のモジュールはそれぞれ、搬送機器(82)によって持ち上げられた状態で搬送可能なものであり、
前記複数のモジュールはそれぞれ、前記搬送機器が該モジュールを上側へ持ち上げる際に接触するモジュール下端部(603)を該モジュールの下側に有し、
前記複数のモジュールのそれぞれにおいて、前記上側溝形成部、前記下側溝形成部、および前記一方側案内部は、前記突出ピンと前記ピン係合部とに対し下側に配置されている、請求項3または4に記載の製造システム。
【請求項7】
前記複数のモジュールはそれぞれ、該モジュールのうち前記第1方向の前記他方側に設けられた上下位置決め部(55)と、該モジュールの中で上下方向の位置が拘束されながら前記第1方向に移動可能に設けられた連結シャフト(57)と、該モジュールの中で前記ワークを前記第1方向に搬送する搬送装置(51)とを有し、
前記搬送装置は、前記第1方向の前記一方側に設けられた搬送一端部(512)と前記第1方向の前記他方側に設けられ上側へ付勢された搬送他端部(513)とを有し、前記搬送一端部にて揺動可能に支持され、
前記複数のモジュールのそれぞれにおいて、前記上下位置決め部は、前記搬送他端部と共に上下に移動し、
前記連結シャフトは、前記第1方向の前記他方側ほど下側に位置するシャフト傾斜面(571)と、該シャフト傾斜面の下端(571a)から前記第1方向に沿って前記第1方向の前記他方側へ延伸するシャフト下面(572)とを有し、
前記据付状態において、前記他方側モジュールの前記連結シャフトは前記一方側モジュール内へ進入するように前記第1方向の前記一方側へ突き出され、その場合、前記一方側モジュールの前記上下位置決め部と前記搬送他端部は、該上下位置決め部が前記他方側モジュールの前記シャフト傾斜面に接触しながら下側へ移動し、該上下位置決め部が前記他方側モジュールの前記シャフト下面に接触した状態で上下方向に位置決めされる、請求項1に記載の製造システム。
【請求項8】
前記複数のモジュールはそれぞれ、該モジュールのうち前記第1方向の前記一方側に設けられた上下位置決め部(55)と、該モジュールの中で上下方向の位置が拘束されながら前記第1方向に移動可能に設けられた連結シャフト(57)と、該モジュールの中で前記ワークを前記第1方向に搬送する搬送装置(51)とを有し、
前記搬送装置は、前記第1方向の前記一方側に設けられ上側へ付勢された搬送一端部(512)と前記第1方向の前記他方側に設けられた搬送他端部(513)とを有し、前記搬送他端部にて揺動可能に支持され、
前記複数のモジュールのそれぞれにおいて、前記上下位置決め部は、前記搬送一端部と共に上下に移動し、
前記連結シャフトは、前記第1方向の前記一方側ほど下側に位置するシャフト傾斜面(571)と、該シャフト傾斜面の下端(571a)から前記第1方向に沿って前記第1方向の前記一方側へ延伸するシャフト下面(572)とを有し、
前記据付状態において、前記一方側モジュールの前記連結シャフトは前記他方側モジュール内へ進入するように前記第1方向の前記他方側へ突き出され、その場合、前記他方側モジュールの前記上下位置決め部と前記搬送一端部は、該上下位置決め部が前記一方側モジュールの前記シャフト傾斜面に接触しながら下側へ移動し、該上下位置決め部が前記一方側モジュールの前記シャフト下面に接触した状態で上下方向に位置決めされる、請求項1に記載の製造システム。
【請求項9】
前記複数のモジュールはそれぞれ、互いに隣り合うモジュールの前記搬送装置同士の間で前記ワークの搬送を中継する中継部(52)を有し、
前記複数のモジュールのそれぞれにおいて、前記中継部は、該中継部を有するモジュール内に収まった姿勢から、前記連結シャフトが進入する相手側のモジュール内へ部分的に入り込んだ姿勢へと、前記連結シャフトが前記第1方向に突き出す動作に連動して姿勢変化する、請求項7または8に記載の製造システム。
【請求項10】
前記搬送装置は、前記ワークが固定されたパレット(801)が載る搬送面(511a)を有し、
前記複数のモジュールはそれぞれ、前記所定作業に含まれる所定の工程を実行する動作機器(22)と、前記動作機器のうちの基部(221)が固定されたモジュール基礎部(60)と、前記搬送面に対し下側に設けられ前記モジュール基礎部に対する前記第1方向および前記第2方向への変位を阻止されながら上下方向に移動可能に前記モジュール基礎部に支持されたリフタ部(62)とを有し、
前記所定作業の実行中に前記動作機器が前記所定の工程を実行する場合には、前記リフタ部は、前記パレットが前記搬送面から離れるまで前記パレットを持ち上げる、請求項7または8に記載の製造システム。
【請求項11】
前記リフタ部は、上側を向いて突き出た複数の突起(622)を有し、
前記リフタ部が前記パレットを持ち上げた場合に、前記複数の突起は、前記パレットの下面(801a)に形成された複数の穴(801b)にそれぞれ嵌合する、請求項10に記載の製造システム。
【請求項12】
電源遮断部(183)を備え、
前記複数のモジュールはそれぞれモジュール側コネクタ(66、68)を有し、
前記モジュール側コネクタには、前記複数のモジュールのうち前記第1方向に並ぶモジュール同士を電気的に接続する接続ケーブル(20)が有するケーブル側コネクタ(202、203)が差し込まれ、
前記モジュール側コネクタと前記ケーブル側コネクタはそれぞれ、前記モジュールに電力供給する電源経路(211)の一部を構成する電源端子(211a、211b、211c、211d)と、プロテクティブアース(83)へ電気的につながる接地経路(212、213)の一部を構成する接地端子(212a、212c、213a、213c)とを有し、
前記ケーブル側コネクタが前記モジュール側コネクタから抜かれる場合に前記モジュール側コネクタと前記ケーブル側コネクタとの間で前記電源端子同士が互いに離れるよりも前記接地端子同士の方が先に離れるように、前記モジュール側コネクタと前記ケーブル側コネクタとがそれぞれ有する前記電源端子の長さと前記接地端子の長さとが設定されており、
前記電源遮断部は、前記接地経路のうち前記接地端子が含まれる所定区間の抵抗値(Rpe)が所定の抵抗閾値(Rx)以上になった場合には前記電源経路を遮断する、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の製造システム。
【請求項13】
前記モジュール側コネクタは、前記複数のモジュールのそれぞれにおいて、該モジュールのうち前記第2方向の前記一方側の側面(604)には設けられず、前記第2方向の前記一方側とは反対側の他方側の側面(605)に設けられている、請求項12に記載の製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに対し所定作業を施す製造システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の製造システムとして、例えば特許文献1に記載された製造システムが知られている。この特許文献1の製造システムは、ワークに対して自動的に作業を施す複数のユニットセルを備えている。
【0003】
その複数のユニットセルは、ワークの搬送方向に並んで配置されている。そして、各ユニットセルはそれぞれワーク搬送機能を備えており、複数のユニットセルの物理的なつなぎ方を変えることにより、製造システムにおける搬送ラインを変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-151770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、コンピュータ上で工程・ラインの仮想設計・構築を行いそれを現実の工場で即座に再現するデジタルツイン工場を実現することの要請が高まっている。そのデジタルツイン工場の実現のためには、例えば、コンピュータ上で設計したものを現実の工場に転写するように、特段の技能を要することなく現実の工場に再現できる技術が必要になる。
【0006】
ここで、発明者は、特許文献1の製造システムのように、複数のユニットセル(別言すると、モジュール)から構成される製造システムを用いて、デジタルツイン工場を実現することを想定した。
【0007】
しかしながら、製造システムのモジュールのような生産設備の入れ替えを行う場合には、一般的に、その入れ替えた生産設備の水平出しや芯出しなど専門的な熟練作業が必要とされる。このような専門的な熟練作業が必要とされることは、コンピュータ上で設計された工程・ライン等を即座に現実の工場に再現する上で妨げとなる。要するに、そのような熟練作業が必要とされることは、デジタルツイン工場を実現する上で妨げとなる。
【0008】
これに対し、特許文献1には、モジュールを入れ替える際に必要とされる専門的な熟練作業を如何に無くし又は軽減するかについて一切記載されていない。発明者の詳細な検討の結果、以上のようなことが見出された。
【0009】
本発明は上記点に鑑みて、デジタルツイン工場を実現することに寄与することができる製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の製造システムは、
ワーク(80)が第1方向(D1)に沿って搬送され、その第1方向の一方側から他方側へ並んで床面(12)上に置かれる複数のモジュール(16、162、163)から構成され、ワークに対し所定作業を施す製造システム(10)であって、
複数のモジュールのうちの1つであり、所定作業のうちの一工程を実行する一方側モジュール(162)と、
複数のモジュールのうちの1つであり、所定作業のうち一工程とは別の他工程を実行し、一方側モジュールに対し第1方向の他方側に隣り合って配置される他方側モジュール(163)とを備え、
複数のモジュールはそれぞれ、第1方向の一方側に向いた一方側側面(601)と、第1方向の他方側に向いた他方側側面(602)と、一方側側面から突き出た基部(281)とその基部に対し上側へ延び一方側側面から第1方向に離れて設けられ第1方向に垂直で且つ床面に沿った第2方向(D2)に延伸する上側レール部(282)と基部に対し下側へ延び一方側側面から第1方向に離れて設けられ第2方向に延伸する下側レール部(283)とを有し一方側側面に固定された一方側案内部(28)と、上側へ窪んだ溝形状を成し第2方向に延伸し第2方向の一方側が開放された上側溝(342a)が形成され他方側側面に固定された上側溝形成部(342)と、下側へ窪んだ溝形状を成し第2方向に延伸し第2方向の一方側が開放された下側溝(343a)が形成され他方側側面に固定された下側溝形成部(343)とを有し、
一方側モジュールと他方側モジュールとが両方とも床面に置かれた据付状態では、他方側モジュールの上側レール部と下側レール部は、一方側モジュールの上側溝と下側溝との何れにも嵌まり込まずその上側溝よりも下側かつその下側溝よりも上側に位置し、
据付状態から一方側モジュールが他方側モジュールに対し上側へ相対的に所定量(LU)変位した第1変位状態では、他方側モジュールの下側レール部は、一方側モジュールの下側溝形成部に対する第2方向への相対移動が可能な嵌合で一方側モジュールの下側溝に嵌まり込み、
据付状態から他方側モジュールが一方側モジュールに対し上側へ相対的に所定量変位した第2変位状態では、他方側モジュールの上側レール部は、一方側モジュールの上側溝形成部に対する第2方向への相対移動が可能な嵌合で一方側モジュールの上側溝に嵌まり込む。
【0011】
上記した構成により、一方側モジュールまたは他方側モジュールを入れ替える際に、その一方側モジュールと他方側モジュールとのうち入替対象のモジュールを所定量リフトアップすれば、製造システムは第1変位状態または第2変位状態になる。
【0012】
そのため、入替対象のモジュールは、そのモジュールの入替え作業中、上側溝と上側レール部との嵌合または下側溝と下側レール部との嵌合によって、第2方向へ移動可能にガイドされる。そして、入替対象のモジュールに替わって新たに導入される新モジュールも、同様に第2方向へ移動可能にガイドされながら複数のモジュールの並びの中に導入される。
【0013】
従って、複数のモジュールのうちの何れかを入れ替える際に、その入替えで新たに導入される新モジュールの第1方向の位置を容易に定めて、その新モジュールを床面上に置くことができる。そして、据付状態では、上側レール部と下側レール部は上側溝と下側溝との何れからも解放されるので、例えばワークに対する所定作業中、モジュールの相互間で、一方側案内部、上側溝形成部、または下側溝形成部を介した振動の伝達などを抑制することができる。要するに、製造システムの稼働中に個々のモジュールの加工精度または検査精度に悪影響を与える現象を抑制することができる。
【0014】
このようなことから、モジュールの入替え作業において専門的な熟練作業が減るので、デジタルツイン工場を実現することに寄与することができる。
【0015】
なお、出願書類中の各欄において、各要素に括弧付きの参照符号が付されている場合がある。この場合、参照符号は、同要素と後述する実施形態に記載の具体的構成との対応関係の単なる一例を示すものであるにすぎない。よって、本発明は、参照符号の記載によって、何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態において、製造システムの外観を模式的に示した正面図である。
図2図1のII方向の矢視図であって、製造システムの上面図である。
図3】第1実施形態の製造システムのモジュール列に含まれる一方側モジュールの入替え作業において、一方側モジュールがハンドリフトによってリフトアップされモジュール列から撤去される際の様子を模式的に示した図であって、図2に相当する図である。
図4】第1実施形態において、モジュールの単体を模式的に示した正面図である。
図5図4のV方向の矢視図であって、モジュールの左側面図である。
図6図4のVI方向の矢視図であって、モジュールの右側面図である。
図7】第1実施形態において、他方側モジュールの一方側案内部と一方側モジュールの他方側案内部との相対的な位置関係を示した図であって、据付状態におけるその位置関係を(a)に、第1変位状態におけるその位置関係を(b)に、第2変位状態におけるその位置関係を(c)にそれぞれ示した図である。
図8】第1実施形態において、一方側モジュールのピン係合部と他方側モジュールの突出ピン機構部とを図4と同じ向きで表示すると共に、ピン保持部を断面図示した図である。
図9図8のIX方向の矢視図であって、突出ピンの非ロック状態を示した図である。
図10図8のX-X断面から突出ピンとロックレバーとを抜粋して表示した断面図である。
図11図9と同じ向きの視図であって、突出ピンのロック状態を示した図である。
図12図8のXII-XII断面を示した断面図である。
図13】第1実施形態において、一方側モジュールのピン係合部と他方側モジュールの突出ピン機構部との相対的な位置関係を示した図であって、据付状態におけるその位置関係を(a)に、第1変位状態におけるその位置関係を(b)に、第2変位状態におけるその位置関係を(c)にそれぞれ示した図である。
図14】第1実施形態において図1のXIV部分を拡大して模式的に示した部分拡大図であって、搬送コンベアの搬送姿勢と連結シャフトの差込み状態とを示した図である。
図15図14のXV-XV断面を示した断面図である。
図16図14のXVI方向の矢視図である。
図17】第1実施形態において搬送コンベアの自由姿勢と連結シャフトの退避状態とを模式的に示した図であって、図14に相当する図である。
図18図16のXVIII-XVIII断面を示すと共に、搬送姿勢と退避姿勢との間で姿勢変化する乗継コンベアの動作を示し、搬送コンベアを二点鎖線で簡略図示した断面図である。
図19】第1実施形態において図15のXIX部分を拡大して模式的に示した部分拡大図であって、リフタ部が可動範囲下端位置にまで下降した状態を示した図である。
図20】リフタ部が可動範囲上端位置にまで上昇した状態を示した図であって、図19に相当する図である。
図21】第1実施形態において、制御盤および複数のモジュールが第1、第2接続ケーブルを介して電気的に接続された状態を模式的に示した図である。
図22図21のXXII部分の端子構造とその周辺の電気回路とを模式的に示した図であって、第2ケーブルコネクタが第2コネクタに差し込まれた状態を表示した図である。
図23図22のXXIII部分を抜粋し、第2コネクタに差し込まれていた第2ケーブルコネクタが第2コネクタから抜かれる途中の状態を表示した図である。
図24】第1実施形態において、制御装置が実行する制御処理を示したフローチャートである。
図25】第1実施形態の製造システムのモジュール列に含まれる一方側モジュールの入替え作業において、新たな一方側モジュールがハンドリフトによってリフトアップされモジュール列に導入される際の様子を模式的に示した図であって、図3に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、実施形態を説明する。なお、後述する他の実施形態を含む以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0018】
(第1実施形態)
図1図2に示すように、本実施形態の製造システム10は、ワーク80(図14参照)に対し所定作業を施すフレキシブル生産システムであり、例えば工場内に設置される。この製造システム10は、工場の床面12に沿った方向である第1方向D1の一方側から他方側へ並んで床面12上に置かれた複数のモジュール16から構成されている。そして、製造システム10では、ワーク80が第1方向D1に搬送される。
【0019】
また、製造システム10は、各モジュール16を個別に入替可能に構成されている。例えば、複数のモジュール16はそれぞれ、搬送機器であるハンドリフト82によって持ち上げられた状態で搬送可能なものである。
【0020】
なお、本実施形態の説明では、上下方向Dg(別言すれば、鉛直方向Dg)に垂直な一方向が第1方向D1と称され、その第1方向D1と上下方向Dgとに垂直な方向が第2方向D2と称される。また、図2では、第1方向D1の一方側が紙面左側とされ、第1方向D1の一方側とは反対側の他方側が紙面右側とされ、第2方向D2の一方側が紙面上側とされ、第2方向D2の一方側とは反対側の他方側が紙面下側とされる。また、工場の床面12は鉛直上向きの平面状の載置面であるので、第1方向D1と第2方向D2はそれぞれ床面12に沿った方向であると言える。
【0021】
製造システム10は、上記した複数のモジュール16のほかに、制御盤18、第1接続ケーブル19、および複数の第2接続ケーブル20を備えている。第1接続ケーブル19は、複数のモジュール16の並びであるモジュール列161のうち第1方向D1の最も一方側に位置するモジュール16と制御盤18とを電気的に接続する。また、複数の第2接続ケーブル20はそれぞれ、モジュール列161のうち互いに隣り合うモジュール16同士を電気的に接続する。
【0022】
詳細には、第1接続ケーブル19は、複数の電線が束になった電線束191と、その電線束191の一端に設けられた一端側コネクタ192と、電線束191の他端に設けられた他端側コネクタ193とを有している。その一端側コネクタ192が、モジュール列161のうち第1方向D1の最も一方側に位置するモジュール16が有する後述の第1コネクタ66に差し込まれて接続されている。そして、他端側コネクタ193が、制御盤18が有するコネクタ181(図21参照)に差し込まれて接続されている。これらのコネクタ接続によって第1接続ケーブル19は、上記のように第1方向D1の最も一方側に位置するモジュール16と制御盤18とを電気的に接続する。なお、第2接続ケーブル20によるモジュール16相互の電気的接続については後述する。
【0023】
図1図4図6に示すように、複数のモジュール16はそれぞれ、製造システム10が行う所定作業のうち一部の工程を担当する。そのため、複数のモジュール16はそれぞれ、その所定作業のうちそのモジュール16が担当する所定の工程を実行する動作機器22を有している。
【0024】
複数のモジュール16はそれぞれ、上記した動作機器22のほかに、上部ケース24、複数の脚部26、一方側案内部28、他方側案内部34、突出ピン機構部40、ピン係合部46、搬送機構部50、モジュール基礎部60、リフタ部62、第1コネクタ66、および第2コネクタ68を有している。なお、図4図6では、搬送機構部50およびリフタ部62の図示は省略され、動作機器22の図示は簡略化されている。
【0025】
図1図4図6に示すように、上部ケース24は、モジュール16のうちの上部でモジュール16の外殻を構成し、略直方体形状を成している。動作機器22はこの上部ケース24内に収容されている。上部ケース24は透明なケース部材で構成されて動作機器22を囲んでいるので、外部から動作機器22を視認することができるようになっている。
【0026】
モジュール基礎部60は、モジュール16の中で動作機器22の基礎になる構成要素であり、高い剛性を備えるように構成されている。モジュール基礎部60は上部ケース24に対し下側に配置され、その上部ケース24はモジュール基礎部60に固定されている。また、モジュール基礎部60の上部には、動作機器22のうちの基部221(図15参照)が固定されている。モジュール基礎部60内には、例えば電源装置、リレー、および制御機器などから構成される不図示のメインユニットが配置されている。このメインユニットは、動作機器22に対し下側に配置されている。
【0027】
モジュール基礎部60は、一方側側面601と他方側側面602とモジュール下端部603と第2方向第1側面604と第2方向第2側面605とを有している。また、モジュール基礎部60は、上部ケース24の下側でモジュール16の外部へ露出しているので、これら一方側側面601、他方側側面602、第2方向第1側面604、および第2方向第2側面605はそれぞれ、モジュール16の側面でもある。また、モジュール基礎部60が有するモジュール下端部603は、モジュール16の下端部でもある。
【0028】
一方側側面601は、モジュール16のうち第1方向D1の一方側に設けられ、第1方向D1の一方側に向いている。他方側側面602は、モジュール16のうち第1方向D1の他方側に設けられ、第1方向D1の他方側に向いている。第2方向第1側面604は、モジュール16のうち第2方向D2の一方側に設けられ、第2方向D2の一方側に向いている。第2方向第2側面605は、モジュール16のうち第2方向D2の他方側に設けられ、第2方向D2の他方側に向いている。
【0029】
モジュール下端部603は、モジュール16のうち下側に設けられ、下側を向いて床面12に対向するモジュール下端面を形成している。すなわち、モジュール16は、このモジュール下端部603をモジュール16の下側に有している。このモジュール下端部603には、図3のハンドリフト82がモジュール16を上側へ持ち上げる際にそのハンドリフト82のフォーク821が下側から接触する。
【0030】
図1図4図6に示すように、複数の脚部26は、モジュール下端部603から下側に突き出すように形成され、モジュール下端部603に固定されている。複数の脚部26はそれぞれ、第1方向D1および第2方向D2に相互間隔をあけて配置され、モジュール16が床面12に置かれた場合にその床面12とモジュール下端部603との間に介在する。従って、その場合、モジュール基礎部60は複数の脚部26を介して床面12上に設置され、複数の脚部26は、床面12とモジュール下端部603との間にハンドリフト82のフォーク821が挿入される隙間を形成している。
【0031】
一方側案内部28と他方側案内部34は互いに嵌まり合うことで、複数のモジュール16の並びに対し所定のモジュール16が第2方向D2に出し入れされる場合に、その出し入れされる所定のモジュール16を第2方向D2にガイドする役割を果たす。
【0032】
図4図5図7の(a)に示すように、一方側案内部28は、互いに一体に固定された基部281と上側レール部282と下側レール部283とを有している。基部281は一方側側面601から突き出るように形成され、第2方向D2に延伸している。そして、基部281は一方側側面601に対し接触し固定されている。すなわち、基部281が一方側側面601に固定されることで、一方側案内部28が一方側側面601に固定されている。
【0033】
上側レール部282は、基部281に対し上側へ延び、一方側側面601から第1方向D1に離れて設けられている。上側レール部282は第2方向D2に延伸している。そして、上側レール部282は、その上側レール部282の下端位置にて基部281に連結している。
【0034】
また、上側レール部282は複数のコロ282aを有している。その複数のコロ282aは球形状を成し、何れの方向にも回転可能に上側レール部282の中で支持され、第2方向D2に相互間隔をあけて並んで配置されている。また、複数のコロ282aは、上側レール部282において第1方向D1の一方側にも他方側にも僅かに突出した配置となっている。従って、上側レール部282に対し第1方向D1の一方側または他方側から接触する部材は、上側レール部282のうち複数のコロ282aの何れかに接触する。
【0035】
下側レール部283は、上側レール部282に対し基部281を挟んで上下方向Dgに対称な構成になっている。すなわち、下側レール部283は、基部281に対し下側へ延び、一方側側面601から第1方向D1に離れて設けられている。下側レール部283は第2方向D2に延伸している。そして、下側レール部283は、その下側レール部283の上端位置にて基部281に連結している。
【0036】
また、下側レール部283は複数のコロ283aを有している。その複数のコロ283aは球形状を成し、何れの方向にも回転可能に下側レール部283の中で支持され、第2方向D2に相互間隔をあけて並んで配置されている。また、複数のコロ283aは、下側レール部283において第1方向D1の一方側にも他方側にも僅かに突出した配置となっている。従って、下側レール部283に対し第1方向D1の一方側または他方側から接触する部材は、下側レール部283のうち複数のコロ283aの何れかに接触する。
【0037】
図4図6図7の(a)に示すように、他方側案内部34は、互いに一体に固定された固定部341と上側溝形成部342と下側溝形成部343とを有している。その固定部341は、他方側側面602に対し接触し固定されている。すなわち、固定部341が他方側側面602に固定されることで、他方側案内部34の全体が他方側側面602に固定されている。
【0038】
また、固定部341は、その固定部341のうち他方側側面602に対向し接触する側とは反対側すなわち第1方向D1の他方側に形成された中間側面341aを備えている。この中間側面341aは、第1方向D1の他方側を向いて第2方向D2に延伸している。
【0039】
上側溝形成部342は、固定部341よりも上側に配置され、固定部341の上端に連結している。上側溝形成部342は、上下方向Dgに反転した断面U字形状を成している。すなわち、上側溝形成部342には、上側へ窪んだ溝形状を成す上側溝342aが形成されている。この上側溝342aは第2方向D2に延伸している。そして、上側溝342aにおける第2方向D2の一方側の溝端と第2方向D2の他方側の溝端は何れも開放されている。
【0040】
上側溝形成部342は、上側溝342aに面する複数の溝側面のうちの1つである上側一方溝側面342bを有している。この上側一方溝側面342bは、上側溝342aに第1方向D1の一方側から面する。
【0041】
また、上側溝形成部342は、上側溝342aに第1方向D1の他方側から面する側壁の先端である上側溝側壁先端342cを有している。
【0042】
下側溝形成部343は、固定部341よりも下側に配置され、固定部341の下端に連結している。下側溝形成部343は、上側溝形成部342に対し上下方向Dgに対称な形状を成している。別言すれば、下側溝形成部343は断面U字形状を成している。すなわち、下側溝形成部343には、下側へ窪んだ溝形状を成す下側溝343aが形成されている。この下側溝343aは第2方向D2に延伸している。そして、下側溝343aにおける第2方向D2の一方側の溝端と第2方向D2の他方側の溝端は何れも開放されている。
【0043】
下側溝形成部343は、下側溝343aに面する複数の溝側面のうちの1つである下側一方溝側面343bを有している。この下側一方溝側面343bは、下側溝343aに第1方向D1の一方側から面する。
【0044】
また、下側溝形成部343は、下側溝343aに第1方向D1の他方側から面する側壁の先端である下側溝側壁先端343cを有している。
【0045】
また、他方側案内部34において、中間側面341aは、上側一方溝側面342bと下側一方溝側面343bとの間に設けられている。中間側面341aは、その中間側面341aの上端で上側一方溝側面342bに接続し、中間側面341aの下端で下側一方溝側面343bに接続している。
【0046】
従って、第1方向D1の位置関係において、中間側面341aは、上側溝342aおよび下側溝343aに対し第1方向D1の一方側に配置されている。そして、中間側面341aは、他方側案内部34の内側に形成され上側溝342aと下側溝343aとの間に位置する中間空間34aに対し、第1方向D1の一方側から面している。その一方で、その中間空間34aは、第1方向D1の他方側に開放された空間となっている。別言すれば、上側溝側壁先端342cと下側溝側壁先端343cは上下方向Dgに離れて対向し、その上側溝側壁先端342cと下側溝側壁先端343cとの間で、中間空間34aは開放されている。
【0047】
また、中間側面341aは、第1方向D1の一方側へ窪んだ凹形状を成している。この中間側面341aの凹形状は、第2方向D2における固定部341の全長にわたって形成されている。
【0048】
図4図6に示す突出ピン機構部40とピン係合部46は互いに嵌まり合うことで、モジュール列161(図1参照)に対し所定のモジュール16が第2方向D2に出し入れされる場合に、その所定のモジュール16を位置決めする役割を果たす。
【0049】
図4図5図8図9に示すように、突出ピン機構部40は、ピン保持部41、突出ピン42、バネ43、およびロックレバー44を有している。ピン保持部41は一方側側面601に対し接触し固定されている。すなわち、ピン保持部41が一方側側面601に固定されることで、突出ピン機構部40が一方側側面601に固定されている。
【0050】
また、ピン保持部41には、第1方向D1に延伸するピン挿入穴41aが形成されている。このピン挿入穴41aは、第1方向D1の一方側が開放され且つ第1方向D1の他方側が塞がった止まり穴である。
【0051】
突出ピン42は例えば円柱形状または略円柱形状を成し、第1方向D1の一方側にピン先端421を有し、第1方向D1の他方側にピン基端422を有している。突出ピン42はピン挿入穴41aに挿入され、突出ピン42のうちピン先端421を含む一部分はピン保持部41から第1方向D1の一方側に突き出て露出している。
【0052】
バネ43は例えば圧縮コイルバネであり、ピン挿入穴41a内に配置されている。そして、バネ43は、そのピン挿入穴41a内においてバネ43の伸縮方向を第1方向D1として圧縮状態で、ピン基端422とピン挿入穴41aの底面41bとの間に配置されている。
【0053】
このように突出ピン42が配置されているので、突出ピン42は、一方側側面601から突き出て、モジュール基礎部60に対し第1方向D1に移動可能に支持されている。そして、突出ピン42は、一方側側面601から突き出る向き(すなわち、第1方向D1の一方側)へバネ43によって付勢されている。なお、図8図9は、突出ピン42が第1方向D1の一方側へ最も突き出た移動位置(すなわち、最突出位置)にある状態で図示されている。
【0054】
ロックレバー44は突出ピン42と一体構成になっており、突出ピン42から径方向外側へ突き出るように形成されている。そして、ピン保持部41は、ロック孔411aが形成されたロック孔形成部411を有している。そのロック孔411aは、ピン挿入穴41aに接続しピン挿入穴41aから突出ピン42の径方向の外側へ開口している。ロックレバー44は、このロック孔411a内を通って露出している。
【0055】
また、ロックレバー44がロック孔411a内に配置される範囲内で、突出ピン42とロックレバー44は、図10の矢印A1、A2で示されるように、突出ピン42の中心軸線Cpまわりに回転可能となっている。例えば、突出ピン42を最突出位置から第1方向D1の他方側へ押し込んだ所定位置でロックレバー44を図10の矢印A1のように回転しロック孔形成部411に引っ掛けることで、その所定位置に突出ピン42を保持することができる。
【0056】
すなわち、ロックレバー44とロック孔形成部411は、第1方向D1における突出ピン42の位置を所定位置であるロック位置に保持できるピンロック機構401を構成している。図11は、ピンロック機構401によって突出ピン42がロック位置にロックされたロック状態を表示し、図8図9、後述の図13は、ピンロック機構401による突出ピン42のロックが解除された非ロック状態を表示している。
【0057】
図4図6図8図9図12に示すように、ピン係合部46は、突出基部461、上側第1突部462、上側第2突部463、下側第1突部464、および下側第2突部465を有している。
【0058】
突出基部461は他方側側面602に沿って拡がった形状を成している。突出基部461は他方側側面602に対し接触し固定されている。すなわち、突出基部461が他方側側面602に固定されることで、ピン係合部46が他方側側面602に固定されている。
【0059】
上側第1突部462、上側第2突部463、下側第1突部464、および下側第2突部465は、突出基部461から第1方向D1の他方側へ突き出るように形成されている。すなわち、上側第1突部462、上側第2突部463、下側第1突部464、および下側第2突部465は、他方側側面602から第1方向D1の他方側へ突き出るように形成されている。例えば、その上側第1突部462、上側第2突部463、下側第1突部464、および下側第2突部465の先端位置は、第1方向D1では互いに同じになっている。
【0060】
上側第2突部463は、上側第1突部462に対し間隔をあけて第2方向D2の他方側に並んで配置されている。従って、上側第1突部462と上側第2突部463は、その上側第1突部462と上側第2突部463との間に上側係合溝46aを形成している。
【0061】
下側第2突部465は、下側第1突部464に対し間隔をあけて第2方向D2の他方側に並んで配置されている。従って、下側第1突部464と下側第2突部465は、その下側第1突部464と下側第2突部465との間に下側係合溝46bを形成している。
【0062】
また、下側第1突部464は、上側第1突部462に対し間隔をあけて下側に並んで配置され、下側第2突部465は、上側第2突部463に対し間隔をあけて下側に並んで配置されている。従って、第2方向D2に延伸した溝である中間溝46cが、上側第1突部462と下側第1突部464との間から上側第2突部463と下側第2突部465との間に亘るように形成されている。この中間溝46cは、第2方向D2の一方側にも他方側にも抜けた溝となっている。
【0063】
そして、上側係合溝46aは中間溝46cに対し上側に配置され、上側係合溝46aの下端にて中間溝46cに連結している。これに対し、下側係合溝46bは中間溝46cに対し下側に配置され、下側係合溝46bの上端にて中間溝46cに連結している。
【0064】
図8図9図12に示すように、上側第1突部462は、第2方向D2の一方側ほど他方側側面602に近づく一方側傾斜面462aを第2方向D2の一方側に有している。これと同様に、下側第1突部464は、第2方向D2の一方側ほど他方側側面602に近づく一方側傾斜面464aを第2方向D2の一方側に有している。上側第1突部462の一方側傾斜面462aは上側第1突部462の先端462bにまで達しており、下側第1突部464の一方側傾斜面464aは下側第1突部464の先端464bにまで達している。これら一方側傾斜面462a、464aは、例えば共通の平面に含まれるように形成されている。
【0065】
また、上側第2突部463は、第2方向D2の他方側ほど他方側側面602に近づく他方側傾斜面463aを第2方向D2の他方側に有している。これと同様に、下側第2突部465は、第2方向D2の他方側ほど他方側側面602に近づく他方側傾斜面465aを第2方向D2の他方側に有している。上側第2突部463の他方側傾斜面463aは上側第2突部463の先端463bにまで達しており、下側第2突部465の他方側傾斜面465aは下側第2突部465の先端465bにまで達している。これら他方側傾斜面463a、465aは、例えば共通の平面に含まれるように形成されている。
【0066】
上記の傾斜面462a~465aは、モジュール16の入替作業で新たなモジュール16が搬入される際に、その新たなモジュール16が第2方向D2の他方側へ挿入される途中において、傾斜面462a~465aに対向する相手側の突出ピン42に接触する。図9では、モジュール16の入替作業において上記新たなモジュール16が挿入される向きが、矢印M1で示されている。
【0067】
そして、傾斜面462a~465aは、相手側の突出ピン42に接触すると、上記新たなモジュール16が第2方向D2の他方側へ移動することに伴って、図9の二点鎖線Lpで示されるように相手側の突出ピン42を第1方向D1の他方側へ押し込むように作用する。なお、上記の傾斜面462a~465aは、一方側傾斜面462a、他方側傾斜面463a、一方側傾斜面464a、および他方側傾斜面465aをまとめて記載したものである。
【0068】
ここで、互いに隣接するモジュール16同士の間では、ピン係合部46に対し相手側の突出ピン42が嵌まり込む。その相手側の突出ピン42とは、ピン係合部46と突出ピン42とのうちピン係合部46を基準とした表現であって、そのピン係合部46を有するモジュール16に対し第1方向D1の他方側に隣接するモジュール16が有する突出ピン42を意味する。
【0069】
逆に、ピン係合部46と突出ピン42とのうち突出ピン42を基準として表現すれば、その突出ピン42が嵌まり込むピン係合部46は、突出ピン42に対する相手側のピン係合部46と称される。すなわち、その相手側のピン係合部46とは、突出ピン42を有するモジュール16に対し第1方向D1の一方側に隣接するモジュール16が有するピン係合部46を意味する。
【0070】
本実施形態では、ピン係合部46の各傾斜面462a~465aは、相手側の突出ピン42が第1方向D1の一方側へ最も突き出たときのピン先端421よりも第1方向D1の一方側の位置にまで延設されている。なお、各傾斜面462a~465aは各傾斜面462a、463a、464a、465aと同じ意味である。
【0071】
また、図11に示すように、突出ピン42は、ロック位置では、相手側のピン係合部46の上側第1突部462と上側第2突部463と下側第1突部464と下側第2突部465との何れからも第1方向D1に間隔GPをあけた状態になる。その突出ピン42のロック位置とは、ピンロック機構401によってロック状態とされた突出ピン42の位置である。
【0072】
また、図4図6に示すように、複数のモジュール16のそれぞれにおいて、一方側案内部28および他方側案内部34は、突出ピン機構部40およびピン係合部46に対し下側に配置されている。そして、一方側案内部28および他方側案内部34は、モジュール16が上下方向Dgに占める範囲のうち下側に偏って配置されている。
【0073】
ここで、図1図2に示すように、製造システム10を構成する複数のモジュール16のうち任意に選択される1つのモジュール16を一方側モジュール162と呼ぶこととする。そして、複数のモジュール16のうち一方側モジュール162に対し第1方向D1の他方側に隣り合って配置されるモジュール16を他方側モジュール163と呼ぶこととする。
【0074】
この場合、一方側モジュール162は、製造システム10が行う所定作業のうちの一工程を実行し、他方側モジュール163は、その所定作業のうち上記一工程とは別の他工程を実行する。なお、一方側モジュール162と他方側モジュール163との相互関係について後述されるが、モジュール列161のうち互いに隣り合うモジュール16同士の相互関係は何れも、その一方側モジュール162と他方側モジュール163との相互関係と同様である。
【0075】
例えば製造システム10が所定作業を実行する稼働時には、モジュール列161は、全てのモジュール16が床面12に置かれた据付状態になる。この据付状態では、当然、一方側モジュール162と他方側モジュール163も床面12に置かれている。
【0076】
また、モジュール列161において一方側モジュール162の入替え作業が行われる場合には、一方側モジュール162はハンドリフト82(図3参照)によって床面12から所定量LU持ち上げられた状態になる。すなわち、モジュール列161は、据付状態から一方側モジュール162が他方側モジュール163に対し上側へ相対的に所定量LU変位した第1変位状態になる。
【0077】
逆に、モジュール列161において他方側モジュール163の入替え作業が行われる場合には、他方側モジュール163はハンドリフト82によって床面12から所定量LU持ち上げられた状態になる。すなわち、モジュール列161は、据付状態から他方側モジュール163が一方側モジュール162に対し上側へ相対的に所定量LU変位した第2変位状態になる。この所定量LUとは、言い換えれば、ハンドリフト82がモジュール16を持ち上げるときのリフトアップ量である。なお、本実施形態で用いられる各図は、特に断りのない限り、据付状態を前提として図示している。そして、本実施形態の説明は、特に断りのない限り、据付状態を前提とした説明である。
【0078】
上記した据付状態、第1変位状態、第2変位状態において、他方側モジュール163の一方側案内部28と一方側モジュール162の他方側案内部34との位置関係はそれぞれ、図7の(a)、(b)、(c)のようになる。
【0079】
すなわち、モジュール列161の据付状態では、図7の(a)に示すように、他方側モジュール163の上側レール部282と下側レール部283は、一方側モジュール162の上側溝342aと下側溝343aとの何れにも嵌まり込まない。そして、その他方側モジュール163の上側レール部282と下側レール部283は中間空間34a内に収容される。言い換えると、据付状態では、他方側モジュール163の上側レール部282と下側レール部283は、上側溝342aよりも下側かつ下側溝343aよりも上側に位置する。従って、据付状態では、他方側モジュール163の一方側案内部28の全体が、上下方向Dgにおける上側溝側壁先端342cと下側溝側壁先端343cとの間の範囲である先端間上下範囲R1g内に入る。
【0080】
そして、据付状態では、他方側モジュール163の上側レール部282のうち第1方向D1の最も一方側に位置する部位282bは、一方側モジュール162の中間側面341aの凹形状が上下方向Dgに占める範囲である凹形状上下範囲R2g内に入る。それと共に、据付状態では、他方側モジュール163の下側レール部283のうち第1方向D1の最も一方側に位置する部位283bも、一方側モジュール162における凹形状上下範囲R2g内に入る。
【0081】
なお、上側レール部282のうち第1方向D1の最も一方側に位置する部位282bは、具体的には、上側レール部282のコロ282aのうち第1方向D1の一方側の頂部である。そして、下側レール部283のうち第1方向D1の最も一方側に位置する部位283bは、具体的には、下側レール部283のコロ283aのうち第1方向D1の一方側の頂部である。
【0082】
また、モジュール列161の第1変位状態では、図7の(b)に示すように、他方側モジュール163の下側レール部283は、一方側モジュール162の下側溝343aに嵌まり込む。この下側レール部283が下側溝343aに嵌まり込んだ嵌合は、他方側モジュール163の下側レール部283が一方側モジュール162の下側溝形成部343に対し第2方向D2へ相対移動することが可能な嵌合になる。
【0083】
例えば、その第2方向D2への相対移動が可能な嵌合は、第1方向D1における下側溝343aの幅が、第1方向D1における下側レール部283の最大幅であるコロ283aの直径よりも若干大きくされることによって実現されている。
【0084】
このように第1変位状態では、下側レール部283が下側溝343aに嵌まり込むことで、一方側モジュール162の第2方向D2への移動を、他方側モジュール163の下側レール部283によってガイドすることが可能となる。
【0085】
また、モジュール列161の第2変位状態では、図7の(c)に示すように、他方側モジュール163の上側レール部282は、一方側モジュール162の上側溝342aに嵌まり込む。この上側レール部282が上側溝342aに嵌まり込んだ嵌合は、他方側モジュール163の上側レール部282が一方側モジュール162の上側溝形成部342に対し第2方向D2へ相対移動することが可能な嵌合になる。
【0086】
例えば、その第2方向D2への相対移動が可能な嵌合は、第1方向D1における上側溝342aの幅が、第1方向D1における上側レール部282の最大幅であるコロ282aの直径よりも若干大きくされることによって実現されている。
【0087】
このように第2変位状態では、上側レール部282が上側溝342aに嵌まり込むことで、他方側モジュール163の第2方向D2への移動を、一方側モジュール162の上側溝形成部342によってガイドすることが可能となる。
【0088】
続いて、一方側モジュール162のピン係合部46と他方側モジュール163の突出ピン機構部40との位置関係に言及すると、その位置関係は、据付状態、第1変位状態、第2変位状態においてそれぞれ、図13の(a)、(b)、(c)のようになる。
【0089】
すなわち、モジュール列161の据付状態では、図12図13の(a)に示すように、他方側モジュール163の突出ピン42のうち一方側モジュール162のピン係合部46に嵌まり込んでいる部分の全体が、そのピン係合部46の中間溝46c内に入っている。別言すると、その据付状態では、他方側モジュール163の突出ピン42は、一方側モジュール162の上側第1突部462および上側第2突部463よりも下側かつ一方側モジュール162の下側第1突部464および下側第2突部465よりも上側に位置する。
【0090】
また、モジュール列161の第1変位状態では、図12図13の(b)に示すように、他方側モジュール163の突出ピン42は、一方側モジュール162の下側第1突部464および下側第2突部465との間に嵌まり込む。別言すると、その第1変位状態では、他方側モジュール163の突出ピン42は、一方側モジュール162の下側係合溝46bに嵌まり込む。
【0091】
また、モジュール列161の第2変位状態では、図12図13の(c)に示すように、他方側モジュール163の突出ピン42は、一方側モジュール162の上側第1突部462および上側第2突部463との間に嵌まり込む。別言すると、その第2変位状態では、他方側モジュール163の突出ピン42は、一方側モジュール162の上側係合溝46aに嵌まり込む。
【0092】
搬送機構部50の説明

図14図16に示すように、搬送機構部50は、搬送装置である搬送コンベア51、乗継コンベア52、固定支持体53、可動支持体54、上下位置決め部55、バネ56、連結シャフト57、一方側ストッパ581、および他方側ストッパ582を備えている。なお、図14、後述の図17図18では、モジュール16の上部ケース24が二点鎖線で簡略化して図示され、搬送機構部50等が模式的に示されている。
【0093】
固定支持体53は、モジュール16の中で第1方向D1の一方側寄りに配置され、モジュール基礎部60から上側へ延伸するように形成されている。すなわち、固定支持体53は、その固定支持体53の下端にてモジュール基礎部60に固定されている。また、固定支持体53には、第1方向D1に貫通し連結シャフト57が嵌入されるシャフト支持孔53aが形成されている。
【0094】
可動支持体54は、モジュール16の中で第1方向D1の他方側寄りに配置され、上下方向Dgに延伸するように形成されている。可動支持体54は、モジュール基礎部60に対し上下方向Dgに移動可能なようにモジュール基礎部60によって支持されている。具体的には、モジュール基礎部60に、上側へ開口し下側が塞がれ上下方向Dgに延伸した止まり穴である支持穴60aが形成され、可動支持体54は、その支持穴60aに対し上側から嵌入されている。従って、可動支持体54は、モジュール基礎部60に対し上下方向Dgに移動可能であるが、第1方向D1および第2方向D2には移動不能である。
【0095】
バネ56は例えば圧縮コイルバネであり、支持穴60a内に配置されている。そして、バネ56は、その支持穴60a内においてバネ56の伸縮方向を上下方向Dgとして、可動支持体54の下端面541と支持穴60aの底面60bとの間に配置されている。このようにバネ56が設けられているので、可動支持体54はバネ56によって上側へ付勢されている。
【0096】
上下位置決め部55は、モジュール16のうち第1方向D1の他方側に設けられ、可動支持体54に一体固定されている。従って、上下位置決め部55は、バネ56によって可動支持体54と共に上側へ付勢され、可動支持体54と共に上下方向Dgに移動する。
【0097】
連結シャフト57は、第1方向D1に延伸した形状を成し、第1方向D1に移動可能なようにシャフト支持孔53aに嵌入されている。従って、連結シャフト57は、固定支持体53およびモジュール基礎部60に対し上下方向Dgには移動不能である。言い換えると、連結シャフト57は、モジュール16の中で上下方向Dgの位置が拘束されながら第1方向D1に移動可能に設けられている。
【0098】
また、連結シャフト57は、第1方向D1の所定の可動範囲内で、アクチュエータ501によって第1方向D1へ移動させられる。連結シャフト57が可動範囲内で第1方向D1の最も一方側に移動した差込み状態は図14に示され、連結シャフト57が可動範囲内で第1方向D1の最も他方側に移動した退避状態は図17に示されている。
【0099】
また、連結シャフト57は、シャフト傾斜面571とシャフト下面572とを有している。シャフト傾斜面571は、連結シャフト57のうち第1方向D1の一方側の一端から形成され、第1方向D1の他方側ほど下側に位置するように第1方向D1に対し傾斜している。シャフト下面572は、シャフト傾斜面571の下端571aから第1方向D1に沿って第1方向D1の他方側へ延伸している。
【0100】
図14図16に示すように、搬送コンベア51はベルトコンベアであり、モジュール16の中でワーク80を第1方向D1に搬送する。搬送コンベア51は第1方向D1の一方側から他方側へワーク80を搬送しても、その逆向きにワーク80を搬送しても構わないが、本実施形態では第1方向D1の一方側から他方側へワーク80を搬送する。
【0101】
搬送コンベア51は、一対の搬送コンベアベルト511と、一方側搬送プーリ512と、他方側搬送プーリ513と、不図示のモータとを有している。一方側搬送プーリ512は、固定支持体53の上部に回転可能に支持されており、第2方向D2へ延びる軸心C1pを中心に回転する。他方側搬送プーリ513は、可動支持体54の上部に回転可能に支持されており、第2方向D2へ延びる軸心C2pを中心に回転する。
【0102】
このような各搬送プーリ512、513の配置から、一方側搬送プーリ512は、搬送コンベア51のうち第1方向D1の一方側に設けられた搬送一端部を構成する。そして、他方側搬送プーリ513は、搬送コンベア51のうち第1方向D1の他方側に設けられ上側へ付勢された搬送他端部を構成する。
【0103】
また、他方側搬送プーリ513は可動支持体54に回転可能に支持されているので、他方側搬送プーリ513は、上記した上下位置決め部55および可動支持体54と共に上下方向Dgに移動する。そして、他方側搬送プーリ513は、バネ56によって、上下位置決め部55および可動支持体54と共に上側へ付勢されている。
【0104】
一対の搬送コンベアベルト511は例えばゴム製である。一対の搬送コンベアベルト511は、相互間隔をあけて第2方向D2に並んで配置されている。また、一対の搬送コンベアベルト511は一方側搬送プーリ512と他方側搬送プーリ513との両方に亘るように、それらの搬送プーリ512、513に巻かれている。そして、搬送コンベア51は、一対の搬送コンベアベルト511の上面を、ワーク80が固定されたパレット801が載る搬送面511aとして有している。
【0105】
以上のように構成された搬送コンベア51は、図17の矢印A3で示されるように揺動可能に一方側搬送プーリ512にて支持されている。すなわち、搬送コンベア51は、一方側搬送プーリ512の軸心C1pを中心にモジュール基礎部60に対して揺動可能なように、固定支持体53によって支持されている。別言すると、搬送コンベア51は、一方側搬送プーリ512まわりに揺動可能になりながら支持されている。
【0106】
図16図18に示すように、乗継コンベア52はベルトコンベアであり、互いに隣り合うモジュール16の搬送コンベア51同士の間でワーク80の搬送を中継する中継部として機能する。乗継コンベア52も、搬送コンベア51と同様に第1方向D1の一方側から他方側へワーク80を搬送する。
【0107】
また、乗継コンベア52は、ワーク80の搬送時に搬送コンベア51と連動して駆動される構成になっている。例えば、乗継コンベア52は、搬送コンベア51が駆動されればそれと同時に駆動され、搬送コンベア51が停止すればそれと同時に停止する。
【0108】
乗継コンベア52は、一対の乗継コンベアベルト521と、一方側乗継プーリ522と、他方側乗継プーリ523とを有している。他方側乗継プーリ523は一方側搬送プーリ512と同軸に設けられ、一方側搬送プーリ512の軸心C1pを中心に回転する。一方側乗継プーリ522は、一方側搬送プーリ512の軸心C1pと平行な軸心を中心に回転する。例えば、一方側乗継プーリ522と他方側乗継プーリ523は、固定支持体53によってそれぞれ回転可能に支持されている。
【0109】
一対の乗継コンベアベルト521は例えばゴム製である。一対の乗継コンベアベルト521は、第2方向D2において一対の搬送コンベアベルト511の間に配置されている。また、一対の乗継コンベアベルト521は相互間隔をあけて第2方向D2に並んで配置されている。一対の乗継コンベアベルト521は一方側乗継プーリ522と他方側乗継プーリ523との両方に亘るように、それらの乗継プーリ522、523に巻かれている。
【0110】
以上のように構成された乗継コンベア52は、図18の矢印A4、A5で示されるように姿勢変化する。具体的に、乗継コンベア52は、その乗継コンベア52を有するモジュール16内に収まった退避姿勢と、連結シャフト57が進入する相手側のモジュール16内へ部分的に入り込んだ搬送姿勢との間で姿勢変化する。その連結シャフト57が進入する相手側のモジュール16とは、言い換えると、乗継コンベア52を有するモジュール16に対し第1方向D1の一方側に隣接するモジュール16である。
【0111】
図18では、退避姿勢の乗継コンベア52が二点鎖線Laで表示され、搬送姿勢の乗継コンベア52が実線Lbで示されている。すなわち、一方側乗継プーリ522は、乗継コンベア52の退避姿勢では他方側乗継プーリ523に対し下側に位置し、搬送姿勢では他方側乗継プーリ523に対し第1方向D1の一方側に位置する。
【0112】
例えば、乗継コンベア52は連結シャフト57に対しリンク機構等を介して機械的に連動するように連結されており、連結シャフト57の第1方向D1の移動に伴い、アクチュエータ501によって姿勢変化させられる。詳細には、乗継コンベア52は退避姿勢から搬送姿勢へと、連結シャフト57が第1方向D1の一方側へ突き出す動作に連動して矢印A4のように姿勢変化する。要するに、連結シャフト57が図17に示す退避状態であるときは、乗継コンベア52は、図18の二点鎖線Laで示される退避姿勢になり、連結シャフト57が図14に示す差込み状態であるときは、乗継コンベア52は、図18の実線Lbで示される搬送姿勢になる。この搬送姿勢になると、乗継コンベア52の乗継コンベアベルト521の上面521aは、上下方向Dgで、搬送コンベア51の搬送面511aと略同じ高さになる。
【0113】
一方側ストッパ581と他方側ストッパ582は、ワーク80を載せたパレット801の搬送中に、そのパレット801の移動を一時的に止める役割を果たす。一方側ストッパ581と他方側ストッパ582は、第2方向D2において一対の搬送コンベアベルト511の間に配置されている。一方側ストッパ581は、他方側ストッパ582に対し間隔をあけて第1方向D1の一方側に配置されている。一方側ストッパ581と他方側ストッパ582との間隔は、搬送コンベア51の搬送面511a上のパレット801がそれらストッパ581、582の間に入るように設定されている。
【0114】
一方側ストッパ581は、モジュール基礎部60から上側へ延伸しており、その一方側ストッパ581の上端581aを上下移動できるようにモジュール基礎部60に支持されている。他方側ストッパ582もこれと同様に、モジュール基礎部60から上側へ延伸しており、その他方側ストッパ582の上端582aを上下移動できるようにモジュール基礎部60に支持されている。矢印A1s(図14参照)で示される一方側ストッパ581の上下移動と矢印A2sで示される他方側ストッパ582の上下移動は互いに独立して、例えば不図示のアクチュエータによって行われる。
【0115】
一方側ストッパ581の上下移動では、一方側ストッパ581の上端581aが搬送コンベア51の搬送面511aよりも下側の下端移動位置と搬送面511aよりも上側の上端移動位置との間で移動する。他方側ストッパ582の上下移動では、他方側ストッパ582の上端582aが搬送コンベア51の搬送面511aよりも下側の下端移動位置と搬送面511aよりも上側の上端移動位置との間で移動する。例えば、その一方側ストッパ581の上端移動位置と他方側ストッパ582の上端移動位置は上下方向Dgでは同じ位置になり、一方側ストッパ581の下端移動位置と他方側ストッパ582の下端移動位置も上下方向Dgでは同じ位置になる。
【0116】
ここで、モジュール列161の据付状態における他方側モジュール163の連結シャフト57の作動と、これに連動する一方側モジュール162の搬送コンベア51の作動について説明する。
【0117】
例えば、一方側モジュール162または他方側モジュール163をモジュール列161に対し出し入れする作業では、モジュール列161は、第1変位状態または第2変位状態から据付状態に遷移する過程がある。そのようにモジュール列161の状態が遷移した場合、例えば据付状態に遷移した当初では、他方側モジュール163の連結シャフト57は、図17に示すように退避状態になっている。そして、一方側モジュール162の搬送コンベア51は、その搬送コンベア51の軸心C2pがバネ56によって持ち上げられ軸心C1pよりも上側に位置する自由姿勢になっている。
【0118】
そのため、据付状態において、他方側モジュール163の連結シャフト57は、図17の矢印A6のように退避状態から一方側モジュール162内へ進入するように第1方向D1の一方側へ突き出される場合がある。その場合、他方側モジュール163の連結シャフト57が突き出される途中で、その連結シャフト57のシャフト傾斜面571が、一方側モジュール162の上下位置決め部55に接触する。それから連結シャフト57が更に突き出されると、一方側モジュール162の上下位置決め部55と可動支持体54と他方側搬送プーリ513は、その上下位置決め部55が他方側モジュール163のシャフト傾斜面571に接触しながら矢印A7のように下側へ移動する。
【0119】
そして、連結シャフト57はストローク端まで突き出されると、図14に示すように差込み状態になる。そして、その差込み状態では、一方側モジュール162の上下位置決め部55と可動支持体54と他方側搬送プーリ513は、上下位置決め部55が他方側モジュール163のシャフト下面572に接触した状態で上下方向Dgに位置決めされる。
【0120】
すなわち、その場合、図14に示すように一方側モジュール162の搬送コンベア51は、それの軸心C2pの上下方向Dgの位置が他方側モジュール163の軸心C1pの位置に揃えられた搬送姿勢になる。詳細に言うと、その搬送姿勢では、一方側モジュール162の軸心C2pが、上下方向Dgにおいて、他方側モジュール163の軸心C1pの位置を含んだ所定の上下範囲内に収まる。その所定の上下範囲とは、一方側モジュール162と他方側モジュール163の各搬送コンベア51が、互いの搬送コンベア51の上下位置ズレに起因してワーク80の搬送に支障を来さない範囲である。
【0121】
次に、リフタ部62について説明する。図14図19に示すように、リフタ部62は、ワーク80が固定されたパレット801を持ち上げる昇降装置である。具体的に、製造システム10の所定作業の実行中に動作機器22が所定の工程を実行する場合に、その所定の工程の実行に先立って、リフタ部62は、パレット801が搬送コンベア51の搬送面511aから上側へ離れるまでパレット801を持ち上げる。
【0122】
詳細には、図19図20に示すように、リフタ部62は、搬送コンベア51の搬送面511aに対し下側に設けられ、パレット801を持ち上げていない状態ではリフタ部62の全体が搬送面511aに対し下側に位置する。そして、リフタ部62は、モジュール基礎部60に対する第1方向D1および第2方向D2への変位を阻止されながら上下方向Dgに移動可能にモジュール基礎部60に支持されている。例えば、その第1方向D1および第2方向D2への変位の阻止は、モジュール基礎部60に形成され上下方向Dgに延びるガイド孔607と、そのガイド孔607に嵌入され上下方向Dgに延びるリフタ部62の軸部材623との関係によって実現される。
【0123】
リフタ部62の昇降動作は、例えばモジュール基礎部60に設けられたアクチュエータ606によって所定の可動範囲内で行われる。例えば、図19には、その可動範囲の下側の端位置すなわち可動範囲下端位置にあるリフタ部62が表示され、図20には、可動範囲の上側の端位置すなわち可動範囲上端位置にあるリフタ部62が表示されている。
【0124】
また、リフタ部62は、そのリフタ部62のうちの上端部分に設けられた昇降台621と、複数の突起622とを有している。昇降台621は、第2方向D2において一対の搬送コンベアベルト511の間に配置されている。そして、昇降台621は、上側を向いた上面621aを有している。この上面621aは、パレット801を持ち上げる際にはパレット801の下面801aに対向する。
【0125】
複数の突起622は、昇降台621の上面621aから上側を向いて突き出ている。また、パレット801の下面801aには、下側から上側へ凹んだ複数の下面穴801bが形成されている。なお、図14図17では、突起622の図示が省略されている。
【0126】
図19に示すように、リフタ部62が可動範囲下端位置にある場合には、昇降台621の上面621aおよび複数の突起622は何れも、搬送コンベア51の搬送面511aよりも下側に位置する。これに対し、リフタ部62が可動範囲上端位置にある場合には、図20に示すように、昇降台621の上面621aおよび複数の突起622は何れも、搬送コンベア51の搬送面511aよりも上側に位置する。
【0127】
そして、リフタ部62がパレット801を持ち上げた場合、例えばリフタ部62が可動範囲下端位置から可動範囲上端位置へ移動した場合には、図20に示すように、リフタ部62の複数の突起622はパレット801の複数の下面穴801bにそれぞれ嵌合する。それと共に、昇降台621の上面621aはパレット801の下面801aに接触する。
【0128】
このようにリフタ部62は、可動範囲下端位置から可動範囲上端位置へ移動することにより、パレット801が搬送コンベア51の搬送面511aから上側へ離れるまでパレット801を持ち上げる。例えば図20に示すように、リフタ部62がパレット801を持ち上げて可動範囲上端位置にある場合には、パレット801の下面801aと搬送コンベア51の搬送面511aとの間に隙間Z1が生じる。
【0129】
以上のように構成された搬送機構部50におけるワーク80の搬送時の動作について説明する。図14に示すように、製造システム10の所定作業の実行中、動作機器22による作業が終わったワーク80がモジュール16内から第1方向D1の他方側へ搬出される場合、リフタ部62が可動範囲下端位置にまで下降する。そして、一方側ストッパ581が上端移動位置にまで上昇する一方で、他方側ストッパ582が下端移動位置にまで下降する。その上で、搬送コンベア51が駆動される。
【0130】
これにより、作業の終わったワーク80を載せたパレット801が第1方向D1の他方側へ搬出され、それと共に、次の作業対象になるワーク80を載せたパレット801が第1方向D1の一方側からモジュール16内に搬入されてくる。そして、その搬入されてきたパレット801は第1方向D1の一方側から一方側ストッパ581に当たって止まる。次に、他方側ストッパ582が上端移動位置にまで上昇する。その上昇完了後に、一方側ストッパ581が下端移動位置にまで下降し、その下降完了後に、搬送コンベア51が駆動される。その搬送コンベア51が駆動されると、パレット801は他方側ストッパ582に当たって止まり、その後に搬送コンベア51が停止する。このとき、パレット801はリフタ部62の昇降台621の直上に位置する。
【0131】
その搬送コンベア51が停止すると、一方側ストッパ581が上端移動位置にまで上昇する。そして、リフタ部62が可動範囲上端位置にまで上昇し、これによりリフタ部62はパレット801を搬送コンベア51の搬送面511aから持ち上げる。そして、パレット801が持ち上げられた状態で、動作機器22は、パレット801上のワーク80に対し作業を開始する。その動作機器22による作業が終わると、その作業の終わったワーク80は、上記したようにモジュール16内から搬出される。搬送機構部50では、製造システム10の所定作業の実行中、このような動作が繰り返される。
【0132】
図2図4に示すように、第1、第2コネクタ66、68は、モジュール16のうち第2方向D2の他方側の側面である第2方向第2側面605に設けられている。そして、その第1、第2コネクタ66、68は、モジュール16のうち第2方向第2側面605以外の側面である第2方向第1側面604、一方側側面601、および他方側側面602には設けられていない。
【0133】
第1、第2コネクタ66、68は、隣接するモジュール16同士を互いに電気的に接続するための電気コネクタである。第1コネクタ66は第2コネクタ68に対し第1方向D1の一方側に配置されている。
【0134】
そして、第1コネクタ66は、その第1コネクタ66を有するモジュール16に対し第1方向D1の一方側に隣接するモジュール16の第2コネクタ68に第2接続ケーブル20を介して電気的に接続される。これに対し、第2コネクタ68は、その第2コネクタ68を有するモジュール16に対し第1方向D1の他方側に隣接するモジュール16の第1コネクタ66に第2接続ケーブル20を介して電気的に接続される。
【0135】
詳細には、第2接続ケーブル20は、複数の電線が束になった電線束201と、その電線束201の一端に設けられた第1ケーブルコネクタ202と、その電線束201の他端に設けられた第2ケーブルコネクタ203とを有している。そして、第1コネクタ66には第1ケーブルコネクタ202が差し込まれて接続され、第2コネクタ68には第2ケーブルコネクタ203が差し込まれて接続されている。
【0136】
すなわち、それらコネクタ66、68、202、203のうち第1、第2コネクタ66、68はモジュール16が有するモジュール側コネクタであり、第1、第2ケーブルコネクタ202、203は第2接続ケーブル20が有するケーブル側コネクタである。そして、図2図21に示すように、複数の第2接続ケーブル20はそれぞれ、複数のモジュール16のうち第1方向D1に並ぶモジュール16同士を電気的に接続する。
【0137】
また、モジュール列161のうち第1方向D1の最も他方側に配置されたモジュール16の第2コネクタ68にはエンドコネクタ69が接続されている。
【0138】
また、図21図22に示すように、第1コネクタ66は複数のオス端子を含んだオスコネクタとして構成され、第2コネクタ68は複数のメス端子を含んだメスコネクタとして構成されている。従って、第1ケーブルコネクタ202は複数のメス端子を含んだメスコネクタとして構成され、第2ケーブルコネクタ203複数のオス端子を含んだオスコネクタとして構成されている。
【0139】
その第1、第2コネクタ66、68が有する複数の端子には、電源端子211a、211bと、PE端子212aと、PEリターン端子213aのほか、例えば信号線をつなぐ信号端子など不図示の種々の端子が含まれる。そして、第1、第2ケーブルコネクタ202、203が有する複数の端子には、電源端子211c、211dと、PE端子212cと、PEリターン端子213cのほか、例えば信号線をつなぐ信号端子など不図示の種々の端子が含まれる。
【0140】
なお、図22では、信号端子など一部の端子の図示は省略され、複数のコネクタのうち第2コネクタ68と第2ケーブルコネクタ203とが代表して図示されている。また、図22のXXIII部分は図21のXXII部分に相当する。
【0141】
上記した電源端子211a、211b、211c、211dはそれぞれ、モジュール16に電力供給する電源経路211の一部を構成している。PE端子212a、212cはそれぞれ、プロテクティブアース83へ電気的につながるPE経路212の一部を構成している。PEリターン端子213a、213cはそれぞれ、プロテクティブアース83へPE経路212を介して電気的につながるPEリターン経路213の一部を構成している。PE経路212とPEリターン経路213は、プロテクティブアース83へ電気的につながる接地経路に該当し、PE端子212a、212cとPEリターン端子213a、213cは、その接地経路の一部を構成する接地端子に該当する。
【0142】
なお、PE経路212とPEリターン経路213はエンドコネクタ69内で短絡されている。また、電源経路211は、製造システム10の外部に設けられた交流電源84へ電気的に接続されている。また、PE経路212とPEリターン経路213の記載中の「PE」とは、「protective earth」の略である。また、プロテクティブアース83は保護接地とも呼ばれる。
【0143】
図22図23に示すように、第2ケーブルコネクタ203が第2コネクタ68から抜かれる場合に第2ケーブルコネクタ203および第2コネクタ68の各端子同士が互い離れるタイミングがずれるように、コネクタ68、203の各端子の長さが設定されている。
【0144】
詳細には、第2ケーブルコネクタ203が第2コネクタ68から抜かれる場合、第2コネクタ68の電源端子211a、211bと第2ケーブルコネクタ203の電源端子211c、211dとが互いに離れるよりも、PE端子212a、212c同士の方が先に離れる。そして、その場合、第2コネクタ68の電源端子211a、211bと第2ケーブルコネクタ203の電源端子211c、211dとが互いに離れるよりも、PEリターン端子213a、213c同士の方が先に離れる。
【0145】
なお、上記のことは第2ケーブルコネクタ203と第2コネクタ68との組合せについてであるが、第1ケーブルコネクタ202と第1コネクタ66との組合せについても同様である。更に、上記のことは、第1接続ケーブル19の一端側コネクタ192と第1コネクタ66との組合せ、および第1接続ケーブル19の他端側コネクタ193と制御盤18のコネクタ181との組合せについても同様である。
【0146】
図22に示すように、制御盤18は、モジュール列161を制御するための装置である。制御盤18は、元電源スイッチ182、制御装置183、第1遮断スイッチ184、第2遮断スイッチ185、および抵抗測定装置186などを備えている。
【0147】
元電源スイッチ182は作業者に操作されるスイッチである。例えば、元電源スイッチ182は、作業者の操作によって、オフ位置とオン位置とに択一的に切り替えられる。
【0148】
元電源スイッチ182は、オフ位置とオン位置との切り替わりに応じて、第1遮断スイッチ184を動作させるほか、制御盤18自体のオンオフも切り替える。すなわち、元電源スイッチ182がオン位置に切り替えられると、制御盤18に電力供給され制御盤18のディスプレイ装置などが作動する。これに対し、元電源スイッチ182がオフ位置に切り替えられると、制御盤18に電力供給されなくなるので、制御盤18のディスプレイ装置などが非作動となる。
【0149】
第1遮断スイッチ184と第2遮断スイッチ185はそれぞれ、電源経路211の一部を構成している。第1遮断スイッチ184と第2遮断スイッチ185はそれぞれ、電源経路211を開閉するスイッチであり、電源経路211において互いに直列に接続されている。従って、第1遮断スイッチ184と第2遮断スイッチ185との少なくとも一方が開かれれば電源経路211は遮断され、第1遮断スイッチ184と第2遮断スイッチ185との両方が閉じれば電源経路211は電力供給可能になる。
【0150】
第1遮断スイッチ184は例えば元電源スイッチ182に対し機械的に連動する。元電源スイッチ182がオフ位置に切り替えられると第1遮断スイッチ184は開かれ、それにより電源経路211は遮断される。逆に、元電源スイッチ182がオン位置に切り替えられると第1遮断スイッチ184は閉じられる。
【0151】
第2遮断スイッチ185は、制御装置183によって制御されるリレーである。
【0152】
抵抗測定装置186は、制御盤18内に引き込まれたPE経路212の一部であるPE測定箇所186aと、制御盤18内に引き込まれたPEリターン経路213の一部であるPEリターン測定箇所186bとの間の抵抗値Rpeを測定する。
【0153】
言い換えると、抵抗測定装置186は、直列接続されたPE経路212とPEリターン経路213とのうちの所定区間の抵抗値Rpeを測定する。そして、その所定区間には、複数のモジュール16が有する全てのPE端子212a、212cおよびPEリターン端子213a、213cが含まれている。抵抗測定装置186が測定した抵抗値Rpeは、抵抗測定装置186から制御装置183へ逐次出力される。
【0154】
制御装置183は、図示しないCPU、RAM、ROM、不揮発性リライタブルメモリ等を備えたマイクロコンピュータとしての構成を有する電子制御装置である。すなわち、制御装置183は、非遷移的実体的記録媒体であるROMまたは不揮発性リライタブルメモリに格納されたコンピュータプログラムを読み出して実行する。このコンピュータプログラムが実行されることで、コンピュータプログラムに対応する方法が実行される。すなわち、制御装置183は、そのコンピュータプログラムに従って、図24の制御処理など種々の制御処理を実行する。
【0155】
図24は、制御装置183が実行する制御処理を示したフローチャートである。制御装置183は、例えば元電源スイッチ182がオン位置に切り替えられ制御盤18に電源投入されると、図24の制御処理を開始する。
【0156】
図24に示すように、制御装置183は、まず、ステップS01にて、抵抗測定装置186から抵抗値Rpeを知得する。ステップS01の次はステップS02へ進む。
【0157】
ステップS02では、制御装置183は、抵抗値Rpeが所定の抵抗閾値Rx以上であるか否かを判定する。その抵抗閾値Rxは、抵抗値Rpeがその抵抗閾値Rx未満であれば、PE経路212が漏電時に電流を逃がす役割を果たせると判断できるように、予め定められている。例えば、抵抗閾値Rxは、0.1Ω程度とされている。
【0158】
ステップS02において、抵抗値Rpeが抵抗閾値Rx以上であると判定された場合には、ステップS03へ進む。その一方で、抵抗値Rpeが抵抗閾値Rx未満であると判定された場合には、ステップS01へ戻る。
【0159】
ステップS03では、制御装置183は第2遮断スイッチ185を制御して、その第2遮断スイッチ185を開く。これにより、制御装置183は電源経路211を遮断する。ステップS03の次はステップS01へ戻る。
【0160】
上記した制御処理から判るように、本実施形態の制御装置183は、抵抗値Rpeが所定の抵抗閾値Rx以上になった場合に電源経路211を遮断する電源遮断部として機能する。なお、上述した図24の各ステップでの処理は、それぞれの機能を実現する機能部を構成し、制御装置183は、その機能部を備えている。
【0161】
以上のように構成された製造システム10において、製造ラインの組み替え等のために、モジュール列161のうち例えば一方側モジュール162を入れ替えるモジュール入替作業について説明する。そのモジュール入替作業では、先ず、図17に示すように、一方側モジュール162の連結シャフト57と他方側モジュール163の連結シャフト57とが退避状態とされる。この連結シャフト57の作動は、作業者によって行われてもよいが、本実施形態では制御盤18からの指令により自動的に行われる。なお、本実施形態では、一方側および他方側モジュール162、163以外の他のモジュール16が有する連結シャフト57は差込み状態のままとされる。
【0162】
次に、作業者は、制御盤18に設けられた図22の元電源スイッチ182をオン位置からオフ位置に切り替える。これにより、一方側モジュール162を含む各モジュール16への電力供給が遮断される。
【0163】
次に、図3に示すように、作業者は、モジュール列161から撤去対象の一方側モジュール162に接続されている第1、第2ケーブルコネクタ202、203を、その一方側モジュール162の第1、第2コネクタ66、68からそれぞれ抜いて外す。
【0164】
第1、第2ケーブルコネクタ202、203を外した後、作業者は、図11に示すように、一方側モジュール162のピンロック機構401を操作して一方側モジュール162の突出ピン42を、相手側のピン係合部46から外れたロック状態にする。それと共に、作業者は、他方側モジュール163のピンロック機構401を操作して他方側モジュール163の突出ピン42もロック状態にする。
【0165】
次に、作業者は、図3に示すように、撤去対象の一方側モジュール162の下側へハンドリフト82のフォーク821を第2方向D2の一方側から挿入し、ハンドリフト82で撤去対象の一方側モジュール162を床面12から所定量LUだけ持ち上げる。そして、作業者は、ハンドリフト82で一方側モジュール162を持ち上げたまま、矢印B1で示されるように第2方向D2の一方側へ移動させてモジュール列161から撤去する。
【0166】
その撤去後、作業者は、他方側モジュール163のピンロック機構401を操作して他方側モジュール163の突出ピン42をロック状態から非ロック状態へ切り替える。また、作業者は、図25に示すように、ハンドリフト82を使って、新たに導入される導入対象の一方側モジュール162を床面12から所定量LUだけ持ち上げたリフトアップ状態で搬送してくる。このとき、導入対象の一方側モジュール162では、突出ピン42は予め非ロック状態とされている。
【0167】
そして、作業者は、導入対象の一方側モジュール162をリフトアップ状態のまま、図25の矢印B2で示されるように、モジュール列161のうち撤去対象の一方側モジュール162が置かれていた場所に、ハンドリフト82で第2方向D2の一方側から挿入する。
【0168】
このとき、図7の(b)に示すように、一方側モジュール162の他方側案内部34と他方側モジュール163の一方側案内部28とが互いに嵌まり合う。これと同様に、一方側モジュール162の一方側案内部28と、モジュール列161で一方側モジュール162に対し第1方向D1の一方側に隣接するモジュール16(別言すると、一方側隣りのモジュール16)の他方側案内部34も互いに嵌まり合う。従って、導入対象の一方側モジュール162は、他方側モジュール163の一方側案内部28と一方側隣りのモジュール16の他方側案内部34とに第2方向D2へ案内されながら、第2方向D2の一方側から他方側へ挿入されることになる。
【0169】
作業者は、導入対象の一方側モジュール162を第2方向D2の他方側へ挿入し、第2方向D2において撤去対象の一方側モジュール162が置かれていた位置にまで移動させる。その位置にまで導入対象の一方側モジュール162が到達すると、図9図12に示すように、他方側モジュール163の突出ピン42が一方側モジュール162の下側係合溝46bに嵌まり込む。それと共に、一方側モジュール162の突出ピン42が一方側隣りのモジュール16の上側係合溝46aに嵌まり込む。これによって、作業者は、導入対象の一方側モジュール162を第2方向D2へ移動させる動作を終了する。そして、作業者は、導入対象の一方側モジュール162をリフトアップ状態から下降させ床面12に下ろす。これで、モジュール列161は据付状態になる。
【0170】
次に、作業者は、図2に示すように、導入対象の一方側モジュール162の第1、第2コネクタ66、68に第1、第2ケーブルコネクタ202、203をそれぞれ差し込んで、第2接続ケーブル20を導入対象の一方側モジュール162に接続する。第2接続ケーブル20の接続後に、作業者は、図22の元電源スイッチ182をオフ位置からオン位置に切り替える。これにより、一方側モジュール162を含む各モジュール16への電力が供給される。
【0171】
そして、作業者は、制御盤18の入力機器に所定の完了入力操作を行うことで、一方側モジュール162の連結シャフト57と他方側モジュール163の連結シャフト57とを図17の退避状態から図14の差込み状態へ切り替える。これで、一方側モジュール162を入れ替える作業は終了する。
【0172】
上述したように、本実施形態によれば、第1変位状態では、図7の(b)に示すように、他方側モジュール163の下側レール部283は、一方側モジュール162の下側溝343aに嵌まり込む。そして、第2変位状態では、図7の(c)に示すように、他方側モジュール163の上側レール部282は、一方側モジュール162の上側溝342aに嵌まり込む。
【0173】
このような構成により、一方側モジュール162または他方側モジュール163を入れ替える際に、その一方側および他方側モジュール162、163のうち入替対象のモジュール16を所定量LUリフトアップすれば、モジュール列161は第1または第2変位状態になる。
【0174】
そのため、入替対象のモジュール16は、そのモジュール16の入替え作業中、上側溝342aと上側レール部282との嵌合、または下側溝343aと下側レール部283との嵌合によって、第2方向D2へ移動可能にガイドされる。そして、入替対象のモジュール16に替わって新たに導入されるモジュール16も、同様に第2方向D2へ移動可能にガイドされながらモジュール列161の中に導入される。
【0175】
従って、複数のモジュール16のうちの何れかを入れ替える際に、その入替えで新たに導入されるモジュール16の第1方向D1の位置を容易に定めて、その新たに導入されるモジュール16を床面12上に置くことができる。
【0176】
そして、据付状態では、図7の(a)に示すように、他方側モジュール163の上側レール部282と下側レール部283は、一方側モジュール162の上側溝342aと下側溝343aとの何れにも嵌まり込まない。すなわち、据付状態では、上側レール部282と下側レール部283は上側溝342aと下側溝343aとの何れからも解放される。そのため、例えば製造システム10の稼働中、モジュール16の相互間それぞれで、一方側案内部28と他方側案内部34とを介した振動の伝達などを抑制することができる。要するに、製造システム10の稼働中に個々のモジュール16の加工精度または検査精度に悪影響を与える現象を抑制することができる。
【0177】
このようなことから、モジュール16の入替え作業において専門的な熟練作業が減るので、デジタルツイン工場を実現することに寄与することができる。
【0178】
(1)また、本実施形態によれば、図7の(a)に示すように、据付状態では、他方側モジュール163の上側レール部282のうち第1方向D1の最も一方側に位置する部位282bは、一方側モジュール162における凹形状上下範囲R2g内に入る。その一方側モジュール162における凹形状上下範囲R2gとは、一方側モジュール162の中間側面341aの凹形状が上下方向Dgに占める範囲である。それと共に、据付状態では、他方側モジュール163の下側レール部283のうち第1方向D1の最も一方側に位置する部位283bも、一方側モジュール162における凹形状上下範囲R2g内に入る。
【0179】
従って、据付状態において、中間側面341aが凹形状ではなく平面状である場合と比較して、他方側案内部34とその他方側案内部34に対向する相手側の一方側案内部28とが接触しにくい。そのため、互いに隣り合うモジュール16同士の間において他方側案内部34と相手側の一方側案内部28とを介した振動の伝達などを、より確実に抑制することが可能である。
【0180】
(2)また、本実施形態によれば、第1変位状態では、図12図13の(b)に示すように、他方側モジュール163の突出ピン42は、一方側モジュール162の下側第1突部464および下側第2突部465との間に嵌まり込む。そして、第2変位状態では、図12図13の(c)に示すように、他方側モジュール163の突出ピン42は、一方側モジュール162の上側第1突部462および上側第2突部463との間に嵌まり込む。
【0181】
従って、モジュール入替え作業において、モジュール列161に新たに導入される導入対象のモジュール16を、その両隣りのモジュール16との間での突出ピン42とピン係合部46との嵌合により、第2方向D2に容易に位置決めすることができる。
【0182】
そして、図13の(a)に示すように、据付状態では、他方側モジュール163の突出ピン42は、一方側モジュール162の上側第1突部462および上側第2突部463よりも下側に位置する。それと同時に、他方側モジュール163の突出ピン42は、一方側モジュール162の下側第1突部464および下側第2突部465よりも上側に位置する。
【0183】
このことにより、据付状態では、導入対象のモジュール16とその両隣りのモジュール16との間において、突出ピン42は、相手側のピン係合部46の上側係合溝46aと下側係合溝46bとの何れにも嵌まり込ままい。すなわち、その突出ピン42は、相手側のピン係合部46に起因して第2方向D2に拘束されることがない。
【0184】
そのため、例えば製造システム10の稼働中、モジュール16の相互間で、突出ピン42とピン係合部46とを介した振動の伝達などを抑制することができる。要するに、製造システム10の稼働中に個々のモジュール16の加工精度または検査精度に悪影響を与える現象を抑制することができる。
【0185】
(3)また、本実施形態によれば、図11に示すように、ロックレバー44とロック孔形成部411は、第1方向D1における突出ピン42の位置を所定位置であるロック位置に保持できるピンロック機構401を構成している。そして、突出ピン42は、ロック位置では、相手側のピン係合部46の上側第1突部462と上側第2突部463と下側第1突部464と下側第2突部465との何れからも第1方向D1に間隔GPをあけた状態になる。
【0186】
従って、モジュール16の入替え作業において、モジュール列161から撤去対象のモジュール16を搬出する際に、突出ピン42と相手側のピン係合部46との嵌合に阻害されることなく、撤去対象のモジュール16を第2方向D2の一方側へ移動させることができる。
【0187】
(4)ここで、ハンドリフト82に所定量LUリフトアップされたモジュール16が第2方向D2へ移動される場合を想定する。その場合、互いにガイドし合う一方側案内部28と相手側の他方側案内部34との間の摩擦力と、ハンドリフト82のフォーク821とモジュール下端部603との摩擦力とに起因して、フォーク821上のモジュール16に捩じりが生じるおそれがある。
【0188】
これに対し、本実施形態によれば、図4に示すように、複数のモジュール16のそれぞれにおいて、一方側案内部28および他方側案内部34は、突出ピン機構部40およびピン係合部46に対し下側に配置されている。
【0189】
すなわち、一方側案内部28と他方側案内部34との配置が突出ピン機構部40とピン係合部46との配置に干渉することを回避しつつ、一方側案内部28と他方側案内部34とをモジュール下端部603に近づけて設けることが可能である。そして、一方側案内部28と他方側案内部34とがモジュール下端部603に近いほど、上記捩じりを生じさせる上記摩擦力それぞれの作用点同士が上下方向Dgに近づくことになる。
【0190】
そのため、第2方向D2へ移動されるハンドリフト82上のモジュール16に生じうる上記捩じりに起因したそのモジュール16の姿勢崩れを防止しやすくなり、ハンドリフト82によるモジュール16の移動を安定して行うことができる。
【0191】
(5)また、本実施形態によれば、据付状態において、他方側モジュール163の連結シャフト57は、図17の矢印A6のように退避状態から一方側モジュール162内へ進入するように第1方向D1の一方側へ突き出される場合がある。その場合、他方側モジュール163の連結シャフト57が突き出される途中で、その連結シャフト57のシャフト傾斜面571が、一方側モジュール162の上下位置決め部55に接触する。それから連結シャフト57が更に突き出されると、一方側モジュール162の上下位置決め部55と可動支持体54と他方側搬送プーリ513は、その上下位置決め部55が他方側モジュール163のシャフト傾斜面571に接触しながら矢印A7のように下側へ移動する。
【0192】
そして、連結シャフト57はストローク端まで突き出されると、図14に示すように差込み状態になる。そして、その差込み状態では、一方側モジュール162の上下位置決め部55と可動支持体54と他方側搬送プーリ513は、上下位置決め部55が他方側モジュール163のシャフト下面572に接触した状態で上下方向Dgに位置決めされる。
【0193】
このような連結シャフト57とその連結シャフト57が突き出された先にある相手側の搬送コンベア51との連動により、互いに隣り合うモジュール16同士の間で搬送コンベア51の高さ調整を、熟練技術を必要とせずに簡便に行うことが可能である。
【0194】
(6)また、本実施形態によれば、図18に示すように、乗継コンベア52は、その乗継コンベア52を有するモジュール16内に収まった退避姿勢と、連結シャフト57が進入する相手側のモジュール16内へ部分的に入り込んだ搬送姿勢との間で姿勢変化する。この姿勢変化は連結シャフト57の動作に連動しており、連結シャフト57が第1方向D1に突き出す動作に連動して、乗継コンベア52は、退避姿勢から搬送姿勢へと矢印A4のように姿勢変化する。
【0195】
従って、モジュール16の入替え作業を、乗継コンベア52に起因して妨げられることなく行うことが可能である。
【0196】
(7)また、本実施形態によれば、図20に示すように、製造システム10の所定作業の実行中に動作機器22が所定の工程を実行する場合に、リフタ部62は、パレット801が搬送コンベア51の搬送面511aから上側へ離れるまでパレット801を持ち上げる。
【0197】
これにより、動作機器22による所定の工程の実行中にはパレット801の姿勢が搬送コンベア51の姿勢の影響を受けないので、搬送コンベア51を動作機器22に対し精度よく設置する必要がない。従って、搬送コンベア51の姿勢調整を行う熟練技術を必要とせずに簡便にモジュール16の入替え作業を行うことが可能である。
【0198】
(8)また、本実施形態によれば、リフタ部62がパレット801を持ち上げた場合に、リフタ部62の複数の突起622はパレット801の複数の下面穴801bにそれぞれ嵌合する。従って、パレット801がリフタ部62に持ち上げられた状態において、パレット801を昇降台621上に安定して保持することができる。
【0199】
(9)また、本実施形態によれば、第2ケーブルコネクタ203が第2コネクタ68から抜かれる場合、次のようになる。すなわち、その場合、図22図23に示すように、第2コネクタ68の電源端子211a、211bと第2ケーブルコネクタ203の電源端子211c、211dとが互いに離れるよりも、PE端子212a、212c同士の方が先に離れる。そして、図24に示すように、制御装置183は、抵抗値Rpeが所定の抵抗閾値Rx以上になった場合に電源経路211を遮断する。
【0200】
従って、電源経路211がモジュール16へ電力供給可能な状態にあっても、第2ケーブルコネクタ203が第2コネクタ68から抜け切る前に電源経路211が遮断される。従って、モジュール16の入替え作業中にコネクタを外す作業において、作業者の感電防止を図ることができる。また、電源端子211a、211b、211c、211dは、信号端子などの他の端子と比較して剛性が高いので、コネクタが抜け切らない状態を保持しやすい。
【0201】
更に、プロテクティブアース83およびPE経路212の機能確保のために抵抗値Rpeを測定する構成を利用して、上記した作業者の感電を防止する機能を付加することができる。
【0202】
(10)また、本実施形態によれば、第1、第2コネクタ66、68は、モジュール16のうち第2方向第1側面604には設けられず、第2方向第2側面605に設けられている。すなわち、モジュール16において第2方向D2の他方側には第1、第2コネクタ66、68が設けられている。
【0203】
そのため、モジュール16の入替え作業において作業者は、モジュール16に対する第2方向D2の他方側からモジュール16の下側へハンドリフト82を挿入しにくい。従って、モジュール16の入替え作業において作業者がモジュール16の下側へハンドリフト82を挿入する作業は、第2方向D2の一方側からに統一されることになる。その結果、作業者の作業バラツキを小さくすることができる。
【0204】
(他の実施形態)
(1)上述の実施形態において、図1では、製造システム10を構成する複数のモジュール16は互いに同じ大きさとして表示されているが、これは一例である。製造システム10を構成できれば、その複数のモジュール16は互いに同じ大きさである必要はなく、互いに同じ形状である必要もない。
【0205】
(2)上述の実施形態において、図1では、各モジュール16が有する動作機器22として例えばロボットアームが図示されているが、これは一例である。各モジュール16が有する動作機器22は互いに異なるものであってもよい。そして、各モジュール16が有する動作機器22としては、ロボットアーム以外の例えばボール盤や、検査装置など種々の機器が想定される。
【0206】
(3)上述の実施形態では、図4に示すように、突出ピン機構部40は一方側側面601に固定され、ピン係合部46は他方側側面602に固定されているが、これは一例である。例えば、突出ピン機構部40とピン係合部46との配置および向きが、図4および図8に対して第1方向D1に反転していても差し支えない。そのようにした場合には、例えば、突出ピン機構部40は他方側側面602に固定され、ピン係合部46は一方側側面601に固定される。
【0207】
(4)上述の実施形態では、図14図16に示すように、搬送機構部50の固定支持体53と連結シャフト57と乗継コンベア52は、可動支持体54および上下位置決め部55に対し第1方向D1の一方側に配置されているが、これは一例である。例えば、搬送機構部50が、図14図16に対して第1方向D1に反転した構成になっていても差し支えない。
【0208】
そのように搬送機構部50が第1方向D1に反転した構成では、例えば、固定支持体53と連結シャフト57と乗継コンベア52は、可動支持体54および上下位置決め部55に対し第1方向D1の他方側に配置される。そして、連結シャフト57は、第1方向D1の他方側へ突き出す動作によって、退避状態から差込み状態になる。
【0209】
(5)上述の実施形態では、一方側モジュール162の入替え作業において、撤去対象の一方側モジュール162が搬出される際には、一方側モジュール162の連結シャフト57と他方側モジュール163の連結シャフト57とが退避状態とされる。そして、一方側および他方側モジュール162、163以外の他のモジュール16が有する連結シャフト57は差込み状態のままとされるが、これは一例である。
【0210】
例えば、その一方側モジュール162の入替え作業において一方側モジュール162の搬出の際には、モジュール列161に含まれる全てのモジュール16の連結シャフト57が退避状態とされても差し支えない。この場合、作業者が第2接続ケーブル20を導入対象の一方側モジュール162に接続し、制御盤18の入力機器に所定の完了入力操作を行った場合には、全てのモジュール16の連結シャフト57が退避状態から差込み状態へ切り替えられる。
【0211】
(6)上述の実施形態では、図5に示すように、上側レール部282と下側レール部283は、その全長にわたって第2方向D2に連続して延伸しているが、これは一例である。例えば、上側レール部282は、第2方向D2に断続して複数に分かれて設けられ、第2方向D2に間隔をあけて並んで配置されていても差し支えない。このことは、下側レール部283についても同様である。
【0212】
(7)上述の実施形態では、図22に示すように、製造システム10に電力供給する交流電源84は単相の交流電源であるが、三相の交流電源であってもよいし、直流電源であってもよい。
【0213】
(8)なお、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。また、上記実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0214】
また、上記実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0215】
また、本開示に記載の制御装置183及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御装置183及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御装置183及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0216】
(本発明の特徴)
[請求項1]
ワーク(80)が第1方向(D1)に沿って搬送され、該第1方向の一方側から他方側へ並んで床面(12)上に置かれる複数のモジュール(16、162、163)から構成され、前記ワークに対し所定作業を施す製造システム(10)であって、
前記複数のモジュールのうちの1つであり、前記所定作業のうちの一工程を実行する一方側モジュール(162)と、
前記複数のモジュールのうちの1つであり、前記所定作業のうち前記一工程とは別の他工程を実行し、前記一方側モジュールに対し前記第1方向の前記他方側に隣り合って配置される他方側モジュール(163)とを備え、
前記複数のモジュールはそれぞれ、前記第1方向の前記一方側に向いた一方側側面(601)と、前記第1方向の前記他方側に向いた他方側側面(602)と、前記一方側側面から突き出た基部(281)と該基部に対し上側へ延び前記一方側側面から前記第1方向に離れて設けられ前記第1方向に垂直で且つ前記床面に沿った第2方向(D2)に延伸する上側レール部(282)と前記基部に対し下側へ延び前記一方側側面から前記第1方向に離れて設けられ前記第2方向に延伸する下側レール部(283)とを有し前記一方側側面に固定された一方側案内部(28)と、上側へ窪んだ溝形状を成し前記第2方向に延伸し前記第2方向の一方側が開放された上側溝(342a)が形成され前記他方側側面に固定された上側溝形成部(342)と、下側へ窪んだ溝形状を成し前記第2方向に延伸し前記第2方向の前記一方側が開放された下側溝(343a)が形成され前記他方側側面に固定された下側溝形成部(343)とを有し、
前記一方側モジュールと前記他方側モジュールとが両方とも前記床面に置かれた据付状態では、前記他方側モジュールの前記上側レール部と前記下側レール部は、前記一方側モジュールの前記上側溝と前記下側溝との何れにも嵌まり込まず該上側溝よりも下側かつ該下側溝よりも上側に位置し、
前記据付状態から前記一方側モジュールが前記他方側モジュールに対し上側へ相対的に所定量(LU)変位した第1変位状態では、前記他方側モジュールの前記下側レール部は、前記一方側モジュールの前記下側溝形成部に対する前記第2方向への相対移動が可能な嵌合で前記一方側モジュールの前記下側溝に嵌まり込み、
前記据付状態から前記他方側モジュールが前記一方側モジュールに対し上側へ相対的に前記所定量変位した第2変位状態では、前記他方側モジュールの前記上側レール部は、前記一方側モジュールの前記上側溝形成部に対する前記第2方向への相対移動が可能な嵌合で前記一方側モジュールの前記上側溝に嵌まり込む、製造システム。
[請求項2]
前記上側溝形成部は、前記上側溝に前記第1方向の前記一方側から面する上側一方溝側面(342b)を有し、
前記下側溝形成部は、前記下側溝に前記第1方向の前記一方側から面する下側一方溝側面(343b)を有し、
前記複数のモジュールはそれぞれ、前記上側一方溝側面と前記下側一方溝側面との間に設けられ前記上側一方溝側面と前記下側一方溝側面とのそれぞれにつながり前記第1方向の前記一方側へ窪んだ凹形状を成す中間側面(341a)を有し、
前記据付状態では、前記他方側モジュールの前記上側レール部のうち前記第1方向の最も前記一方側に位置する部位(282b)と、前記下側レール部のうち前記第1方向の最も前記一方側に位置する部位(283b)は、前記一方側モジュールの前記中間側面の前記凹形状が上下方向に占める範囲(R2g)内に入る、請求項1に記載の製造システム。
[請求項3]
前記複数のモジュールはそれぞれ、前記一方側側面から突き出て前記第1方向に移動可能に支持され前記一方側側面から突き出る向きに付勢された突出ピン(42)と、上側第1突部(462)と上側第2突部(463)と下側第1突部(464)と下側第2突部(465)とを有し前記他方側側面に固定されたピン係合部(46)とを有し、
前記上側第1突部は、前記他方側側面から突き出るように形成され、
前記上側第2突部は、前記他方側側面から突き出るように形成され、前記上側第1突部に対し間隔をあけて前記第2方向の他方側に並んで配置され、
前記下側第1突部は、前記他方側側面から突き出るように形成され、前記上側第1突部に対し間隔をあけて下側に並んで配置され、
前記下側第2突部は、前記他方側側面から突き出るように形成され、前記下側第1突部に対し間隔をあけて前記第2方向の前記他方側に並んで配置され且つ前記上側第2突部に対し間隔をあけて下側に並んで配置され、
前記上側第1突部と前記下側第1突部はそれぞれ、前記第2方向の前記一方側ほど前記他方側側面に近づく一方側傾斜面(462a、464a)を前記第2方向の前記一方側に有し、
前記上側第2突部と前記下側第2突部はそれぞれ、前記第2方向の前記他方側ほど前記他方側側面に近づく他方側傾斜面(463a、465a)を前記第2方向の前記他方側に有し、
前記一方側傾斜面と前記他方側傾斜面はそれぞれ、前記ピン係合部に嵌まり込む相手側の前記突出ピンが前記第1方向の前記一方側へ最も突き出たときの該突出ピンの先端(421)よりも前記第1方向の前記一方側の位置にまで延設され、
前記第1変位状態では、前記他方側モジュールの前記突出ピンは、前記一方側モジュールの前記下側第1突部と前記下側第2突部との間に嵌まり込み、
前記第2変位状態では、前記他方側モジュールの前記突出ピンは、前記一方側モジュールの前記上側第1突部と前記上側第2突部との間に嵌まり込み、
前記据付状態では、前記他方側モジュールの前記突出ピンは、前記一方側モジュールの前記上側第1突部および前記上側第2突部よりも下側かつ前記一方側モジュールの前記下側第1突部および前記下側第2突部よりも上側に位置する、請求項1または2に記載の製造システム。
[請求項4]
前記複数のモジュールはそれぞれ、前記他方側側面から突き出て前記第1方向に移動可能に支持され前記他方側側面から突き出る向きに付勢された突出ピン(42)と、上側第1突部(462)と上側第2突部(463)と下側第1突部(464)と下側第2突部(465)とを有し前記一方側側面に固定されたピン係合部(46)とを有し、
前記上側第1突部は、前記一方側側面から突き出るように形成され、
前記上側第2突部は、前記一方側側面から突き出るように形成され、前記上側第1突部に対し間隔をあけて前記第2方向の他方側に並んで配置され、
前記下側第1突部は、前記一方側側面から突き出るように形成され、前記上側第1突部に対し間隔をあけて下側に並んで配置され、
前記下側第2突部は、前記一方側側面から突き出るように形成され、前記下側第1突部に対し間隔をあけて前記第2方向の前記他方側に並んで配置され且つ前記上側第2突部に対し間隔をあけて下側に並んで配置され、
前記上側第1突部と前記下側第1突部はそれぞれ、前記第2方向の前記一方側ほど前記一方側側面に近づく一方側傾斜面(462a、464a)を前記第2方向の前記一方側に有し、
前記上側第2突部と前記下側第2突部はそれぞれ、前記第2方向の前記他方側ほど前記一方側側面に近づく他方側傾斜面(463a、465a)を前記第2方向の前記他方側に有し、
前記一方側傾斜面と前記他方側傾斜面はそれぞれ、前記ピン係合部に嵌まり込む相手側の前記突出ピンが前記第1方向の前記他方側へ最も突き出たときの該突出ピンの先端(421)よりも前記第1方向の前記他方側の位置にまで延設され、
前記第1変位状態では、前記一方側モジュールの前記突出ピンは、前記他方側モジュールの前記下側第1突部と前記下側第2突部との間に嵌まり込み、
前記第2変位状態では、前記一方側モジュールの前記突出ピンは、前記他方側モジュールの前記上側第1突部と前記上側第2突部との間に嵌まり込み、
前記据付状態では、前記一方側モジュールの前記突出ピンは、前記他方側モジュールの前記上側第1突部および前記上側第2突部に対し下側かつ前記他方側モジュールの前記下側第1突部および前記下側第2突部に対し上側に位置する、請求項1または2に記載の製造システム。
[請求項5]
前記複数のモジュールはそれぞれ、前記突出ピンが嵌まり込む相手側の前記ピン係合部の前記上側第1突部と前記上側第2突部と前記下側第1突部と前記下側第2突部との何れからも前記突出ピンが前記第1方向に間隔(GP)をあけた状態で該突出ピンの位置を保持できるピンロック機構(401)を有している、請求項3または4に記載の製造システム。
[請求項6]
前記複数のモジュールはそれぞれ、搬送機器(82)によって持ち上げられた状態で搬送可能なものであり、
前記複数のモジュールはそれぞれ、前記搬送機器が該モジュールを上側へ持ち上げる際に接触するモジュール下端部(603)を該モジュールの下側に有し、
前記複数のモジュールのそれぞれにおいて、前記上側溝形成部、前記下側溝形成部、および前記一方側案内部は、前記突出ピンと前記ピン係合部とに対し下側に配置されている、請求項3ないし5のいずれか1つに記載の製造システム。
[請求項7]
前記複数のモジュールはそれぞれ、該モジュールのうち前記第1方向の前記他方側に設けられた上下位置決め部(55)と、該モジュールの中で上下方向の位置が拘束されながら前記第1方向に移動可能に設けられた連結シャフト(57)と、該モジュールの中で前記ワークを前記第1方向に搬送する搬送装置(51)とを有し、
前記搬送装置は、前記第1方向の前記一方側に設けられた搬送一端部(512)と前記第1方向の前記他方側に設けられ上側へ付勢された搬送他端部(513)とを有し、前記搬送一端部にて揺動可能に支持され、
前記複数のモジュールのそれぞれにおいて、前記上下位置決め部は、前記搬送他端部と共に上下に移動し、
前記連結シャフトは、前記第1方向の前記他方側ほど下側に位置するシャフト傾斜面(571)と、該シャフト傾斜面の下端(571a)から前記第1方向に沿って前記第1方向の前記他方側へ延伸するシャフト下面(572)とを有し、
前記据付状態において、前記他方側モジュールの前記連結シャフトは前記一方側モジュール内へ進入するように前記第1方向の前記一方側へ突き出され、その場合、前記一方側モジュールの前記上下位置決め部と前記搬送他端部は、該上下位置決め部が前記他方側モジュールの前記シャフト傾斜面に接触しながら下側へ移動し、該上下位置決め部が前記他方側モジュールの前記シャフト下面に接触した状態で上下方向に位置決めされる、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の製造システム。
[請求項8]
前記複数のモジュールはそれぞれ、該モジュールのうち前記第1方向の前記一方側に設けられた上下位置決め部(55)と、該モジュールの中で上下方向の位置が拘束されながら前記第1方向に移動可能に設けられた連結シャフト(57)と、該モジュールの中で前記ワークを前記第1方向に搬送する搬送装置(51)とを有し、
前記搬送装置は、前記第1方向の前記一方側に設けられ上側へ付勢された搬送一端部(512)と前記第1方向の前記他方側に設けられた搬送他端部(513)とを有し、前記搬送他端部にて揺動可能に支持され、
前記複数のモジュールのそれぞれにおいて、前記上下位置決め部は、前記搬送一端部と共に上下に移動し、
前記連結シャフトは、前記第1方向の前記一方側ほど下側に位置するシャフト傾斜面(571)と、該シャフト傾斜面の下端(571a)から前記第1方向に沿って前記第1方向の前記一方側へ延伸するシャフト下面(572)とを有し、
前記据付状態において、前記一方側モジュールの前記連結シャフトは前記他方側モジュール内へ進入するように前記第1方向の前記他方側へ突き出され、その場合、前記他方側モジュールの前記上下位置決め部と前記搬送一端部は、該上下位置決め部が前記一方側モジュールの前記シャフト傾斜面に接触しながら下側へ移動し、該上下位置決め部が前記一方側モジュールの前記シャフト下面に接触した状態で上下方向に位置決めされる、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の製造システム。
[請求項9]
前記複数のモジュールはそれぞれ、互いに隣り合うモジュールの前記搬送装置同士の間で前記ワークの搬送を中継する中継部(52)を有し、
前記複数のモジュールのそれぞれにおいて、前記中継部は、該中継部を有するモジュール内に収まった姿勢から、前記連結シャフトが進入する相手側のモジュール内へ部分的に入り込んだ姿勢へと、前記連結シャフトが前記第1方向に突き出す動作に連動して姿勢変化する、請求項7または8に記載の製造システム。
[請求項10]
前記搬送装置は、前記ワークが固定されたパレット(801)が載る搬送面(511a)を有し、
前記複数のモジュールはそれぞれ、前記所定作業に含まれる所定の工程を実行する動作機器(22)と、前記動作機器のうちの基部(221)が固定されたモジュール基礎部(60)と、前記搬送面に対し下側に設けられ前記モジュール基礎部に対する前記第1方向および前記第2方向への変位を阻止されながら上下方向に移動可能に前記モジュール基礎部に支持されたリフタ部(62)とを有し、
前記所定作業の実行中に前記動作機器が前記所定の工程を実行する場合には、前記リフタ部は、前記パレットが前記搬送面から離れるまで前記パレットを持ち上げる、請求項7ないし9のいずれか1つに記載の製造システム。
[請求項11]
前記リフタ部は、上側を向いて突き出た複数の突起(622)を有し、
前記リフタ部が前記パレットを持ち上げた場合に、前記複数の突起は、前記パレットの下面(801a)に形成された複数の穴(801b)にそれぞれ嵌合する、請求項10に記載の製造システム。
[請求項12]
電源遮断部(183)を備え、
前記複数のモジュールはそれぞれモジュール側コネクタ(66、68)を有し、
前記モジュール側コネクタには、前記複数のモジュールのうち前記第1方向に並ぶモジュール同士を電気的に接続する接続ケーブル(20)が有するケーブル側コネクタ(202、203)が差し込まれ、
前記モジュール側コネクタと前記ケーブル側コネクタはそれぞれ、前記モジュールに電力供給する電源経路(211)の一部を構成する電源端子(211a、211b、211c、211d)と、プロテクティブアース(83)へ電気的につながる接地経路(212、213)の一部を構成する接地端子(212a、212c、213a、213c)とを有し、
前記ケーブル側コネクタが前記モジュール側コネクタから抜かれる場合に前記モジュール側コネクタと前記ケーブル側コネクタとの間で前記電源端子同士が互いに離れるよりも前記接地端子同士の方が先に離れるように、前記モジュール側コネクタと前記ケーブル側コネクタとがそれぞれ有する前記電源端子の長さと前記接地端子の長さとが設定されており、
前記電源遮断部は、前記接地経路のうち前記接地端子が含まれる所定区間の抵抗値(Rpe)が所定の抵抗閾値(Rx)以上になった場合には前記電源経路を遮断する、請求項1ないし11のいずれか1つに記載の製造システム。
[請求項13]
前記モジュール側コネクタは、前記複数のモジュールのそれぞれにおいて、該モジュールのうち前記第2方向の前記一方側の側面(604)には設けられず、前記第2方向の前記一方側とは反対側の他方側の側面(605)に設けられている、請求項12に記載の製造システム。
【符号の説明】
【0217】
16 モジュール
80 ワーク
162 一方側モジュール
163 他方側モジュール
282 上側レール部
283 下側レール部
342a 上側溝
343a 下側溝
601 一方側側面
602 他方側側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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