(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129498
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】トンネル調査装置及びトンネル調査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/84 20060101AFI20240919BHJP
G01N 21/954 20060101ALI20240919BHJP
E21F 17/00 20060101ALI20240919BHJP
E02B 5/00 20060101ALI20240919BHJP
E03F 7/00 20060101ALI20240919BHJP
E03F 3/04 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
G01N21/84 B
G01N21/954 Z
E21F17/00
E02B5/00 Z
E03F7/00
E03F3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038738
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】田中 勉
【テーマコード(参考)】
2D063
2G051
【Fターム(参考)】
2D063BA37
2D063EA03
2G051AA90
2G051AB02
2G051AB20
2G051AC15
2G051AC16
2G051AC17
2G051BA20
2G051BB01
2G051CA04
2G051CA06
2G051CA07
(57)【要約】
【課題】多様なトンネルに対応可能なトンネル調査装置を提供する。
【解決手段】トンネル調査装置が、走行ロボットと飛行ロボットと連結ケーブルと操作端末とを備えている。走行ロボットは、トンネルを走行可能に構成され、トンネルの壁面の撮像に使用される第1機器を搭載している。飛行ロボットは、撮像に使用される第2機器と、第2機器を搭載するバルーンとを備えている。走行ロボットと飛行ロボットとは、連結ケーブルによって物理的に連結されている。操作端末は、飛行ロボットと走行ロボットとを操作する。連結ケーブルの走行ロボットと飛行ロボットとの間の部分の長さは調節可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルを走行可能に構成され、前記トンネルの壁面の撮像に使用される第1機器を搭載する走行ロボットと、
前記撮像に使用される第2機器と、前記第2機器を搭載するバルーンとを備える飛行ロボットと、
前記飛行ロボットと前記走行ロボットとを物理的に連結する連結ケーブルと、
前記飛行ロボットと前記走行ロボットとを操作する操作端末と、
を備え、
前記連結ケーブルの前記走行ロボットと前記飛行ロボットとの間の部分の長さが調節可能である
トンネル調査装置。
【請求項2】
トンネルを走行可能に構成され、前記トンネルの壁面の撮像に使用される第1機器を搭載する走行ロボットと、
前記撮像に使用される第2機器と、前記第2機器を搭載するバルーンとを備える飛行ロボットと、
前記飛行ロボットと前記走行ロボットとを物理的に連結する連結ケーブルと、
前記飛行ロボットと前記走行ロボットとを操作する操作端末と、
を備え、
前記走行ロボットが、前記連結ケーブルの巻き取り及び巻き出しを行うように構成された巻き取り/巻き出し機構を備える
トンネル調査装置。
【請求項3】
前記巻き取り/巻き出し機構が、前記操作端末からの指示に応じて前記連結ケーブルの巻き取り及び巻き出しを行うように構成された
請求項2に記載のトンネル調査装置。
【請求項4】
前記走行ロボットに搭載される前記第1機器が、前記トンネルの前記壁面を撮像する撮像装置を含み、
前記飛行ロボットに搭載される前記第2機器が、前記トンネルの前記壁面を照明する照明装置を含む
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトンネル調査装置。
【請求項5】
前記連結ケーブルが、前記走行ロボットから前記飛行ロボットに電力の供給が可能であるように構成された
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトンネル調査装置。
【請求項6】
更に、前記走行ロボットに連結され、前記トンネルを走行可能に構成された給電ロボットを備え、
前記給電ロボットが、バッテリを搭載しており、前記バッテリに蓄積された電力を前記走行ロボットに供給可能に構成された
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトンネル調査装置。
【請求項7】
前記飛行ロボットが、更に、
前記バルーンの上部に取り付けられた、一対の車輪を備えるステアリング機構を備え、
前記ステアリング機構が、前記一対の車輪の角度を変更可能であるように構成されている
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトンネル調査装置。
【請求項8】
走行ロボットにトンネルを走行させることと、
連結ケーブルによって前記走行ロボットに物理的に連結された飛行ロボットを前記トンネルの内部で飛行させることと、
前記飛行ロボットに搭載された撮像装置を用いて前記トンネルの壁面の画像を取得することと、
前記走行ロボットが前記トンネル内を走行不能になったときに、前記走行ロボットに搭載された巻き取り/巻き出し機構から前記連結ケーブルを巻き出すことと、を備える
トンネル調査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル調査装置及びトンネル調査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルは、経年劣化し得るので、トンネルの安全で安定的な供用のためには、トンネルの状態を定期的に調査(又は検査)することが望ましい。特に、大きな地震が発生したような場合には、トンネルの健全性を確認するためにトンネルの壁面を調査することが望ましい。
【0003】
トンネルを調査する装置としては、クローラ(無限軌道、履帯とも呼ばれる)型、ドローン型、船型等の各種の調査ロボットが開発され存在している。クローラ型調査ロボットは、クローラを用いてトンネルの底面を走行しながらトンネルの壁面の調査(例えば、壁面の撮像)を行うように構成される。ドローン型調査ロボットは、トンネル内を飛行しながらトンネルの壁面の調査を行うように構成される。船型調査ロボットは、トンネル内に水路が存在する場合に使用可能であり、水路を航行しながらトンネルの壁面の調査を行うように構成される。
【0004】
加えて、本出願の出願人は、先に、水路トンネルの壁面を調査するための調査ロボット(水路トンネル検査装置)に関する特許出願を行っている(特開2018-199915号公報、特開2020-200704号公報及び特開2021-169754号公報参照)。これらの特許出願は、水路トンネルの内部を自律的に飛行しながら壁面を検査する飛行船型の水路トンネル検査装置を開示している。飛行船型の調査ロボットは、浮力を得るためのエネルギーを節約できるため、少ないエネルギー(例えば、少ない電力)でトンネル内を飛行してトンネルの壁面を調査することができる。このような利点を有する飛行船型の調査ロボットは、長大なトンネル(例えば、水路トンネル)の調査に好適である。
【0005】
しかしながら、いずれの種類の調査ロボットでも、様々な形状、状態にある水路トンネルの調査には単独では対応できないのが現状である。例えば、クローラ型の調査ロボットでは、トンネル内に障害物、大きな凹凸がある場合には走行不能となる。加えて、クローラ型の調査ロボットを大断面のトンネルにおいて使用する場合には、特にトンネルの上部には照明の光が届きにくいため、照度が低下し、撮像画像の解像度の低下の懸念がある。ドローン型の調査ロボットは、バッテリ容量や飛行速度により調査距離及び/又は検査精度に懸念がある。また、ドローン型の調査ロボットはトンネル内で漏水がある場合には飛行が困難になり得る。船型の調査ロボットは、トンネル内に水路が設置されている場合にしか使用できず、また、水流の速さに影響を受けるため、精度を必要とする調査が困難な場合がある。飛行船型の調査ロボットは、風上から風下に追い風に乗って飛行しながら調査を行うので、調査後は、調査ロボットの終着箇所(例えば、トンネル出口)で人が調査ロボットを回収する必要があり、運用の自由度の問題がある。飛行船型の調査ロボットでは、人の立ち入りができない終着箇所まで飛行して調査を行うことは困難である。
【0006】
したがって、多様なトンネルに対応可能なトンネル調査装置を提供する技術的ニーズが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-199915号公報
【特許文献2】特開2020-200704号公報
【特許文献3】特開2021-169754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的の一つは、多様なトンネルに対応可能なトンネル調査装置を提供することにある。本発明の他の目的及び新規な特徴は、以下の開示から当業者には理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の観点では、トンネル調査装置が、走行ロボットと飛行ロボットと連結ケーブルと操作端末とを備えている。走行ロボットは、トンネルを走行可能に構成され、トンネルの壁面の撮像に使用される第1機器を搭載している。飛行ロボットは、撮像に使用される第2機器と、第2機器を搭載するバルーンとを備えている。走行ロボットと飛行ロボットとは、連結ケーブルによって物理的に連結されている。操作端末は、飛行ロボットと走行ロボットとを操作する。連結ケーブルの走行ロボットと飛行ロボットとの間の部分の長さは調節可能である。
【0010】
本発明の他の観点では、トンネル調査装置が、走行ロボットと飛行ロボットと連結ケーブルと操作端末とを備えている。走行ロボットは、トンネルを走行可能に構成され、トンネルの壁面の撮像に使用される第1機器を搭載している。飛行ロボットは、撮像に使用される第2機器と、第2機器を搭載するバルーンとを備えている。走行ロボットと飛行ロボットとは、連結ケーブルによって物理的に連結されている。操作端末は、飛行ロボットと走行ロボットとを操作する。走行ロボットは、連結ケーブルの巻き取り及び巻き出しを行うように構成された巻き取り/巻き出し機構を備えている。
【0011】
本発明の他の観点では、トンネル調査方法が、走行ロボットにトンネルを走行させることと、連結ケーブルによって走行ロボットに物理的に連結された飛行ロボットをトンネルの内部で飛行させることと、走行ロボットに搭載された機器と飛行ロボットに搭載された撮像装置とを用いてトンネルの壁面の画像を取得することと、走行ロボットがトンネル内を走行不能になったときに、走行ロボットに搭載された巻き取り/巻き出し機構から連結ケーブルを巻き出すことと、を備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、多様なトンネルに対応可能なトンネル調査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態におけるトンネル調査装置の全体構成を示す概念図である。
【
図2】一実施形態における走行ロボットの構成を示す側面図である。
【
図3】一実施形態における計測ユニットの構成を示すシステム図である。
【
図4】一実施形態における飛行ロボットの構成を示す側面図である。
【
図5】一実施形態における飛行ロボットの構成を示すシステム図である。
【
図6】一実施形態における撮像モジュールの構成を示す側面図である。
【
図7A】一実施形態におけるローラ式ガイドの構成を図示している。
【
図7B】一実施形態におけるローラ式ガイドの構成を図示している。
【
図8】給電ロボットが電力の供給に使用される実施形態を図示している。
【
図9】一実施形態における飛行ロボットの構成を示す斜視図である。
【
図10】一実施形態におけるステアリング機構の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、一実施形態におけるトンネル調査装置100の全体構成を示す概念図である。トンネル調査装置100は、トンネルの壁面を撮像して撮像画像を取得するように構成されており、取得した撮像画像に基づくトンネルの壁面の調査に使用される。
【0015】
図示された実施形態では、トンネル調査装置100が、トンネルを走行可能に構成された走行ロボット1と、トンネル内を飛行可能に構成された飛行ロボット2とを備えている。本実施形態では、走行ロボット1が、トンネルの底面を走行するクローラ型ロボットとして構成されており、飛行ロボット2がバルーン21を備える飛行船型ロボットとして構成されている。浮力を発生するために、バルーン21には空気より比重が小さい気体、例えば、ヘリウムが封入されており、飛行ロボット2は、バルーン21が発生する浮力を用いて飛行する。トンネル調査装置100は、走行ロボット1及び飛行ロボット2に搭載される機器(例えば、撮像装置及び照明装置)を用いてトンネルの壁面を撮像して撮像画像を取得するように構成される。走行ロボット1及び飛行ロボット2の構成については後に詳細に説明する。
【0016】
トンネル調査装置100は、更に、走行ロボット1と飛行ロボット2とを操作するためのユーザインターフェースとして機能する操作端末3を備えている。操作端末3は、走行ロボット1と飛行ロボット2と通信可能に構成されており、ユーザは、操作端末3を操作することで走行ロボット1の走行と飛行ロボット2の飛行を遠隔的に制御することができる。また、走行ロボット1と飛行ロボット2とを用いて取得されたトンネルの壁面の撮像画像が操作端末3に送信され、送信された撮像画像が操作端末3の表示画面に表示され、及び/又は、操作端末3の記録装置に保存される。
【0017】
走行ロボット1と飛行ロボット2とは、連結ケーブル4によって物理的に連結されている。このような構成によれば、連結ケーブル4の長さによって飛行ロボット2の位置を走行ロボット1の周囲の所望の範囲に限定でき、また、必要に応じて走行ロボット1で飛行ロボット2を牽引できるので、トンネルの調査の制約を緩和し、及び/又は、調査の精度を向上させることができる。
【0018】
例えば、飛行船型の調査ロボットは、一般には風上から風下に向かって飛行して調査を行うので、調査を終了した位置で調査ロボットを回収する必要がある。したがって、調査を終了する位置が人の立ち入りができない場所であるような調査は実施できない。一方、本実施形態のトンネル調査装置100では、走行ロボット1によって飛行ロボット2を牽引することで走行ロボット1と飛行ロボット2とを調査を終了した位置から調査ロボットの回収するために望ましい位置、例えば、調査を開始した元の位置に移動させることができる。これにより、調査における運用の制約を緩和することができる。
【0019】
また、走行ロボット1と飛行ロボット2とが連結ケーブル4によって連結される構成では、連結ケーブル4の長さを調整することで飛行ロボット2をトンネルの中心付近で飛行させることができる。これは、飛行ロボット2に搭載された撮像装置でトンネルの壁面を撮影して得られる撮像画像の画質を向上させるために好適である。連結ケーブル4によって走行ロボット1と飛行ロボット2とを連結することは、飛行ロボット2がトンネルの壁面に衝突することを防ぐためにも有用である。
【0020】
更に、走行ロボット1と飛行ロボット2とが連結ケーブル4によって連結される構成では、走行ロボット1に搭載された撮像装置によってトンネルの壁面を撮像するときに飛行ロボット2に搭載された照明装置を用いて壁面を照明することができる。これは、特に大断面のトンネルの調査においてトンネルの壁面の撮像の際に十分な照度を確保し、トンネルの調査の精度を向上させるために好適である。
【0021】
一実施形態では、連結ケーブル4として、例えば、合成樹脂ワイヤ(例えば、テグス)、金属ワイヤのような、走行ロボット1と飛行ロボット2とを純粋に物理的に連結するケーブルを使用してもよい。強度に対する質量及び体積が小さい合成樹脂ワイヤを使用することは、走行ロボット1及び/又は飛行ロボット2による電力消費を低減するために有用である。他の実施形態では、連結ケーブル4として、電力の伝送が可能なケーブルを使用してもよい。このような実施形態では、走行ロボット1から飛行ロボット2に電力を供給することで、飛行ロボット2に搭載される機器を小型化することができる。
【0022】
一実施形態では、
図1に図示されているように、走行ロボット1が連結ケーブル4の巻き取り及び巻き出しが可能に構成された巻き取り/巻き出し機構11を備えていてもよい。このような構成では、巻き取り/巻き出し機構11により、連結ケーブル4の走行ロボット1と飛行ロボット2との間の部分の長さ(即ち、連結ケーブル4のうち巻き取り/巻き出し機構11から繰り出されている部分の長さ)が調節可能である。巻き取り/巻き出し機構11は、操作端末3からの指示に応じて連結ケーブル4をその内部に巻き取り、又は、連結ケーブル4を内部から巻き出すように構成されてもよい。このような構成では、走行ロボット1が障害物等のためにトンネル内で停止した場合でも、巻き取り/巻き出し機構11から連結ケーブル4を巻き出して飛行ロボット2を飛行させることでトンネルの壁面の調査(例えば、壁面の撮像)を続行することができる。また、調査が完了した後には、連結ケーブル4を巻き取ることで飛行ロボット2を回収することもできる。以下、走行ロボット1と飛行ロボット2の構成の実施形態について詳細に説明する。
【0023】
図2は、一実施形態による走行ロボット1の構成を示す側面図である。図示された実施形態では、走行ロボット1が、上述の巻き取り/巻き出し機構11に加え、ベースマシン12と、除振台13と、計測ユニット14と、バッテリ15とを備えている。
【0024】
巻き取り/巻き出し機構11は、上述のように、連結ケーブル4の巻き取り及び巻き出しが可能に構成されている。一実施形態では、巻き取り/巻き出し機構11は、ローラ111によって連結ケーブル4を巻き取り、又は、及び巻き出すように構成されている。ローラ111は、電動であってもよく、この場合、ローラ111が、ユーザによる操作端末3への操作に応じて連結ケーブル4を巻き取り、又は、連結ケーブル4を内部から巻き出すように構成されてもよい。
【0025】
ベースマシン12は、走行ロボット1がトンネルの底面を走行するための機構であり、図示された実施形態では、ベースマシン12が、一対のクローラ121(1つのみ図示)と、制御装置122とを備えている。制御装置122は、操作端末3と通信可能に構成されており、操作端末3からの指令に応じてクローラ121を作動させる。これにより、走行ロボット1は、ユーザによる操作端末3への操作に応じてトンネルの底面を走行する。一実施形態では、ベースマシン12が、トンネルの内部形状を計測するLIDAR(Light Detection And Ranging)123を搭載してもよい。このような実施形態では、制御装置122は、LIDAR123によって得られたトンネルの内部形状の情報にSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を適用して、トンネル内の位置把握及びトンネルの環境地図作成を行うように構成されてもよい。
【0026】
除振台13は、ベースマシン12の上に載置されており、ベースマシン12の動作時に計測ユニット14の各機器に伝わる振動を抑制するように構成されている。
【0027】
計測ユニット14は、トンネルの壁面の状態を調査するための計測を行う。本実施形態では、計測ユニット14は、トンネルの壁面を撮像して撮像画像を取得するように構成されている。図示された実施形態では、計測ユニット14が、フレーム141と、撮像装置142と、照明装置143と、前方カメラ144と、後方カメラ145と、エンコーダ146と、制御装置147とを備えている。フレーム141は、除振台13の上に載置されており、撮像装置142、照明装置143、前方カメラ144、後方カメラ145及び制御装置147を保持している。
【0028】
撮像装置142は、トンネルの壁面を撮像して撮像画像を取得する。複数の撮像装置142が、トンネルの壁面に向かう様々な方向に向けられており、これにより、トンネルの壁面の広い範囲が撮影可能になっている。
図2において符号142aは、上向きの撮像装置142の視野を概念的に示している。
【0029】
照明装置143は、トンネルの壁面の撮像時にトンネルを照明する。複数の照明装置143が、トンネルの壁面に向かう様々な方向に向けられており、これにより、トンネルの壁面の広い範囲が照明可能になっている。符号143aは、上向きの照明装置143が発する光ビームを概念的に示している。照明装置143としては、LED(light emitting diode)ライトが用いられてもよい。
【0030】
前方カメラ144は、走行ロボット1の前方を撮影するように構成され、後方カメラ145は、走行ロボット1の後方を撮影するように構成されている。前方カメラ144及び後方カメラ145によって取得された画像は操作端末3に送られて操作端末3の表示画面に表示される。ユーザは、表示画面に表示された走行ロボット1の前方及び後方の画像を見て走行ロボット1及び飛行ロボット2を操作することができる。
【0031】
エンコーダ146は、走行ロボット1の走行距離を計測するように構成されている。走行ロボット1の走行距離は、トンネル内の位置情報として使用され得る。例えば、トンネルの入口からの走行距離は、トンネル内の位置を示す情報として使用可能である。
【0032】
バッテリ15は、ベースマシン12及び計測ユニット14に電力を供給するように構成されている。ベースマシン12のクローラ121は、バッテリ15からの電力で動作する。加えて、計測ユニット14の撮像装置142、照明装置143、前方カメラ144、後方カメラ145、エンコーダ146及び制御装置147は、バッテリ15から供給される電力で動作する。巻き取り/巻き出し機構11が電動のローラ111を備えている実施形態では、バッテリ15によってローラ111に電力を供給してもよい。
【0033】
図3は、一実施形態による計測ユニット14の構成を示すシステム図である。図示されている実施形態では、撮像装置142、照明装置143、前方カメラ144、後方カメラ145及びエンコーダ146が制御装置147に接続されている。制御装置147は、操作端末3と通信可能に構成されており、ユーザによる操作端末3への操作に応じて撮像装置142、照明装置143、前方カメラ144及び後方カメラ145を作動させる。加えて、制御装置147は、撮像装置142、前方カメラ144及び後方カメラ145によって取得された画像、及び、エンコーダ146によって取得された走行ロボット1の走行距離の情報を操作端末3に送信するように構成される。なお、
図3では計測ユニット14が5つの撮像装置142と3つの照明装置143とを備える構成が図示されているが、撮像装置142及び照明装置143の数は適宜に変更可能である。また、計測ユニット14は、前方カメラ144及び後方カメラ145に加え、追加の確認用カメラを備えていてもよい。
【0034】
図4は、一実施形態による飛行ロボット2の構成を示す側面図であり、
図5は、一実施形態による飛行ロボット2の構成を示すシステムブロック図である。
図4に図示されている実施形態では、飛行ロボット2が、上述のバルーン21に加え、撮像モジュール22と、推進スラスタ23と、水平スラスタ24と、機体25とを備えている。
【0035】
撮像モジュール22は、バルーン21の前後方向の一端、例えば前端に接合されている。
図4の実施形態では、撮像モジュール22がバルーン21の中心軸21a上の位置に接合されている。
図6は、一実施形態における撮像モジュール22の構成を図示している。図示された実施形態では、撮像モジュール22が、撮像装置221と照明装置222と台座223を備えている。撮像装置221は、トンネルの壁面を撮像して撮像画像を取得する。撮像装置221として、360°カメラが使用されてもよい。照明装置222は、壁面の撮像の際にトンネルの壁面を照明する。照明装置222としては、LEDライトが用いられてもよい。台座223は、バルーン21に接合され、撮像装置221と照明装置222とを所望の位置に支持する。
【0036】
図4に戻り、推進スラスタ23は、バルーン21の前後方向の一端、例えば後端に接合されており、飛行ロボット2の前後方向に推力を発生する推力発生機構として構成されている。また、水平スラスタ24は、バルーン21の下部に接合されており、横方向に推力を発生する推力発生機構として構成されている。図示された実施形態では、前後方向に異なる位置に2つの水平スラスタ24が設けられている。水平スラスタ24は、飛行ロボット2を横方向に平行移動させるための推力の発生、及び、飛行ロボット2を水平面内で旋回させるための推力の発生に用いられる。2つの水平スラスタ24が発生する推力の大きさ及び方向は、同一とは限らない。水平スラスタ24が互いに逆方向に推力を発生すると、飛行ロボット2は水平面内で旋回する。
【0037】
機体25は、バルーン21の下部に接合されており、2つの垂直スラスタ26と、航法センサシステム27と、制御装置28と、バッテリ29とを搭載している。図示された実施形態では、上述の連結ケーブル4が機体25に結合されている。ただし、連結ケーブル4が飛行ロボット2に結合する位置は、適宜に変更可能である。
【0038】
垂直スラスタ26は、垂直方向(水平面に垂直な方向)に推力を発生するように構成されており、飛行ロボット2のトンネルの底面からの高さを制御するための推力の発生に用いられる。
【0039】
航法センサシステム27は、トンネルの壁面の構造の情報及びトンネル内における飛行ロボット2の位置及び姿勢の情報を取得する。一実施形態では、航法センサシステム27は、LIDARのようなレーザ測距センサ、超音波センサ、慣性航法装置、速度計、高度計等を備えていてもよい。
【0040】
制御装置28は、操作端末3と通信可能に構成されており、飛行ロボット2の各機器から得られた情報を操作端末3に送信し、ユーザによる操作端末3への操作に応じて飛行ロボット2の各機器を作動させる。
図5を参照しながら更に説明すると、制御装置28は、撮像モジュール22の撮像装置221によって取得された撮像画像、及び、航法センサシステム27によって取得されたトンネルの壁面の構造の情報及びトンネル内における飛行ロボット2の位置及び姿勢の情報を操作端末3に送信する。更に、制御装置28は、ユーザによる操作端末3への操作に応じて撮像モジュール22、推進スラスタ23、水平スラスタ24及び垂直スラスタ26を作動させる。
【0041】
一実施形態では、飛行ロボット2は、自律的にトンネル内における位置及び姿勢の制御を行うように構成されてもよい。このような実施形態では、制御装置28は、航法センサシステム27によって得られた情報に基づいて推進スラスタ23、水平スラスタ24及び垂直スラスタ26を制御して所望の向きに推力を発生し、これによって飛行ロボット2のトンネル内の位置及び姿勢を制御する。
【0042】
バッテリ29は、飛行ロボット2の各機器に電力を供給する。連結ケーブル4が電力を伝送可能に構成され、走行ロボット1から飛行ロボット2に電力が供給される実施形態では、連結ケーブル4を介して走行ロボット1から送られる電力が、バッテリ29に蓄積されてもよい。
【0043】
図4を再度に参照して、一実施形態では、バルーン21の上部にローラ式ガイド30が取り付けられ、バルーン21の側部にローラ式ガイド31が取り付けられる。ローラ式ガイド30、31は、飛行ロボット2がトンネルの壁面に接触したときに接触の影響を小さくし、飛行の安定性を向上するために設けられている。
【0044】
図7Aは、一実施形態における、バルーン21の上部に取り付けられるローラ式ガイド30の構成を図示する斜視図である。図示した実施形態では、ローラ式ガイド30が、バルーン21の表面に装着されるベース部301と、ベース部301に接合された一対のアーム302と、アーム302の先端に結合されたローラ303とを備えている。ベース部301は、一対のアーム302を支持するように構成されている。アーム302は、弾性変形可能な材料、例えば、炭素繊維強化プラスチックやガラス繊維強化プラスチックで形成される。ローラ303は、1対のアーム302の間に挟まれており、各アーム302に回転可能に結合されている。このような構造のローラ式ガイド30は、飛行ロボット2が過剰に上昇してトンネルの上側の壁面に接触したときに接触の影響を抑制することができる。
【0045】
図7Bは、一実施形態における、バルーン21の側部に接合されるローラ式ガイド31の構成を示す斜視図である。図示されている実施形態では、ローラ式ガイド31が、バルーン21に接合されるベース部311と、ベース部311に接合されたアーム312と、アーム312の先端に結合されたローラ313と、アーム312を支持する支持部材314と、支持部材314に接合された連結プレート315とを備えている。ローラ313は、アーム312に回転可能に結合されている。連結プレート315は、支持部材314の位置決めに用いられる。ローラ式ガイド31は、アーム312のベース部311に対する角度が調節可能であるように構成されており、このような構成は、アーム312の先端に設けられたローラ313のバルーン21からの距離をトンネルの幅に応じて調節することを可能にする。ローラ313のバルーン21からの距離は、ローラ313がトンネルの壁面に接触する頻度に影響するので、ローラ313のバルーン21からの距離を適正に調節することは、飛行ロボット2の飛行の安定性の向上に寄与する。
【0046】
続いて、
図1~
図7Bに図示した構成のトンネル調査装置100を用いたトンネルの調査の一実施形態について説明する。本実施形態では、走行ロボット1と飛行ロボット2とが連結ケーブル4によって連結されていることの利点を生かしたトンネルの調査が行われる。
【0047】
トンネルの調査を行う場合、まず、走行ロボット1と飛行ロボット2とがトンネルの調査を開始する位置、例えば、トンネルの入口に用意される。更に、空気より比重が小さい気体、例えばヘリウムが飛行ロボット2のバルーン21に封入される。連結ケーブル4によって走行ロボット1と飛行ロボット2とを連結する構成は、バルーン21に封入される気体の量を精密に調整する必要がない点で好適である。一般に、飛行船型のロボットをトンネル内で飛行させる場合、ロボットがトンネルの壁面に衝突することを防ぎ、及び/又は、飛行による電力消費を低減するために、バルーンに封入される気体の量を調節してバルーンが発生する浮力が調整される場合がある。一方、連結ケーブル4によって走行ロボット1と飛行ロボット2とが連結される本実施形態の構成では、飛行ロボット2の位置が走行ロボット1の周囲の一定範囲に制約されるので、バルーン21が十分に大きな浮力を発生可能であることしか求められない。よって、バルーン21の浮力の調整は容易である。
【0048】
更に、連結ケーブル4の走行ロボット1と飛行ロボット2との間の部分の長さ(即ち、連結ケーブル4のうち巻き取り/巻き出し機構11から繰り出されている部分の長さ)が調節される。
図4に図示されている構成の飛行ロボット2によってトンネルの壁面を撮影する場合には、撮像モジュール22がトンネルの中心付近に位置することが望ましく、連結ケーブル4は、撮像モジュール22がトンネルの中心付近に位置するように調節される。
図4に図示された構成の飛行ロボット2では、撮像モジュール22がバルーン21の中心軸21a上に位置しているので、バルーン21の中心軸21aがトンネルの中心付近に位置することになる。
【0049】
連結ケーブル4の調節によって撮像モジュール22がトンネルの中心付近に位置している状態で、走行ロボット1と飛行ロボット2とが作動されてトンネルの壁面の撮像画像が取得される。走行ロボット1はユーザによる操作端末3の操作に応じて走行し、飛行ロボット2はユーザによる操作端末3の操作に応じて飛行する。操作端末3のユーザ操作を容易にするために、走行ロボット1の前方カメラ144及び後方カメラ145によって取得された画像が操作端末3に送信され、操作端末3の表示画面に表示されてもよい。更に、走行ロボット1の計測ユニット14の撮像装置142及び飛行ロボット2の撮像モジュール22によってトンネルの壁面の撮像画像が取得される。
【0050】
取得された撮像画像は、操作端末3に送信されて記憶装置に格納され、及び/又は、操作端末3の表示画面に表示されてもよい。また、走行ロボット1の撮像装置142によって取得された撮像画像は、走行ロボット1に設けられた記憶装置(例えば、計測ユニット14の制御装置147に設けられた記憶装置)に格納されてもよい。更に、飛行ロボット2の撮像モジュール22によって取得された撮像画像は、飛行ロボット2に設けられた記憶装置(例えば、制御装置28に設けられた記憶装置)に格納されてもよい。一実施形態では、走行ロボット1の撮像装置142及び/又は飛行ロボット2の撮像モジュール22によって取得された撮像画像が、走行ロボット1のエンコーダ146によって測定された走行距離に関連づけられて格納される。走行ロボット1の走行距離は、概ね、トンネル内の位置に対応しているので、撮像画像をエンコーダ146によって測定された走行距離に関連づけられて格納することで、撮像画像とトンネル内の位置との対応関係を把握することが容易になる。撮像画像の取得は連続的に行われてもよいし、ユーザによる操作端末3の操作によって指定されたタイミングで撮像画像が取得されてもよい。
【0051】
トンネルの壁面の撮像の際には、走行ロボット1の計測ユニット14の照明装置143及び/又は飛行ロボット2の撮像モジュール22の照明装置222によってトンネルの壁面が照明される。特に、大断面のトンネルを調査する場合、トンネルの底面を走行する走行ロボット1に搭載された照明装置143では、特にトンネルの上部の壁面を十分な明るさで照明できない事態が起こり得る。しかしながら、本実施形態のトンネル調査装置100では、トンネルの中心付近を飛行する飛行ロボット2に搭載された照明装置222でトンネルの壁面を照明することができる。したがって、トンネルの壁面の全体にわたって十分な照度を確保しながら撮像画像を取得することができる。
【0052】
トンネルの調査が終了した後、走行ロボット1と飛行ロボット2とが回収される。調査を終了した位置が、人の立ち入りが許容される場所である場合、調査を終了した位置で走行ロボット1と飛行ロボット2とを回収してもよい。一方、調査を終了した位置が人の立ち入りが許容されない場所である場合には、走行ロボット1で飛行ロボット2を牽引しながら、走行ロボット1と飛行ロボット2とを人の立ち入りが許容される回収位置(例えば、トンネルの調査を開始する位置)まで移動させた後で走行ロボット1と飛行ロボット2とを回収してもよい。走行ロボット1で飛行ロボット2を牽引するので、走行ロボット1と飛行ロボット2の回収位置が調査を終了した位置よりも風上にあっても、走行ロボット1と飛行ロボット2とを回収位置まで移動させることができる。
【0053】
トンネルの底面に起伏がある場合、トンネルの調査すべき範囲の途中で走行ロボット1を停止せざるを得ない状況が生じ得る。このような場合には、巻き取り/巻き出し機構11から連結ケーブル4を巻き出す(繰り出す)ことで飛行ロボット2を走行ロボット1から離れて飛行させることにより、飛行ロボット2単独でトンネルの調査を続行することができる。巻き取り/巻き出し機構11によって連結ケーブル4を巻き取れば飛行ロボット2は走行ロボット1の近傍の位置まで戻ってくるので、飛行ロボット2単独での調査が終了した後で飛行ロボット2を回収することも容易である。巻き取り/巻き出し機構11は、操作端末3に対するユーザ操作に基づいて操作端末3から発せられる指示に応じて連結ケーブル4を巻き出し、巻き取るように構成されてもよい。
【0054】
トンネル調査装置100が長時間運用される場合、例えば長大なトンネルを調査する場合、走行ロボット1及び飛行ロボット2の消費電力が増加する。このような場合、
図8に図示されているように、給電ロボット6が走行ロボット1に連結されてもよい。給電ロボット6は、ベースマシン61とバッテリ62とを備えている。給電ロボット6は、ケーブル63によって走行ロボット1に連結されている。ベースマシン61は、給電ロボット6がトンネルの底面を走行するための機構であり、走行ロボット1のベースマシン12と同様に、一対のクローラを備えている。ケーブル63は電力を伝送可能であるように構成されており、給電ロボット6は、バッテリ62に蓄積されている電力を、ケーブル63を介して走行ロボット1に電力を供給する。走行ロボット1と飛行ロボット2とを連結する連結ケーブル4が電力を伝送可能に構成されている場合には、更に、走行ロボット1及び連結ケーブル4を介してバッテリ62から飛行ロボット2に電力を供給してもよい。給電ロボット6を使用することにより、より長大なトンネルを調査することが可能になる。
【0055】
飛行ロボット2の構成は、
図4に図示された構成に限定されず、様々に変更され得る。
図4は、飛行ロボット2の位置及び姿勢が、バルーン21の中心軸21aがトンネルの中心付近になるように制御されることが好適な飛行ロボット2の構成を図示しているが、他の構成も可能である。
【0056】
図9は、他の実施形態による飛行ロボット5の構成を図示している。
図9の実施形態の飛行ロボット5は、バルーン51と、機体52と、撮像モジュール53と、一対の推進スラスタ54と、LIDAR55と、システムボックス56と、バッテリ57と、ステアリング機構58、59と、距離計60とを備えている。後に詳細に説明するように、飛行ロボット5は、ステアリング機構58、59をトンネルの天井に押し当てながら飛行することができるような構成を有している。
【0057】
バルーン51は、飛行ロボット5の飛行のための浮力を発生する。バルーン51には空気より比重が小さい気体、例えば、ヘリウムが封入されており、飛行ロボット5は、バルーン51が発生する浮力を用いて飛行する。
【0058】
機体52は、バルーン51の下端に結合されており、撮像モジュール53、LIDAR55、システムボックス56及びバッテリ57を保持する棒状の構造部材として構成されている。
【0059】
撮像モジュール53は、機体52の前後方向の一端、例えば前端に接合されている。撮像モジュール53は、トンネルの壁面を撮像して撮像画像を取得する撮像装置531と照明装置532とを備えている。撮像装置531は、トンネルの壁面を撮像して撮像画像を取得する。撮像装置531としては、360°カメラが使用されてもよい。照明装置532は、壁面の撮像のときにトンネルの壁面を照明する。照明装置532としては、LEDライトが用いられてもよい。
【0060】
推進スラスタ54は、飛行ロボット5の前後方向に推力を発生する推力発生機構として構成されている。図示された実施形態では、バルーン51の下部の左右に一対の推進スラスタ54が設けられている。推進スラスタ54は、飛行ロボット5の移動及び姿勢制御のための推力を発生する。推進スラスタ54が発生する推力を適切に制御することにより、飛行ロボット5を所望の方向に移動させ、所望の姿勢に制御することができる。
【0061】
LIDAR55は、システムボックス56の下端に接合されており、トンネルの壁面の構造の情報及びトンネル内における飛行ロボット5の位置及び姿勢の情報を取得する。
【0062】
システムボックス56は、操作端末3と通信可能に構成されており、飛行ロボット5の各機器から得られた情報を操作端末3に送信し、ユーザによる操作端末3への操作に応じて飛行ロボット5の各機器を作動させる制御装置として構成されている。より具体的には、システムボックス56は、撮像モジュール53によって取得された撮像画像、及び、LIDAR55によって取得されたトンネルの壁面の構造の情報及びトンネル内における飛行ロボット5の位置及び姿勢の情報を操作端末3に送信する。更に、システムボックス56は、ユーザによる操作端末3への操作に応じて撮像モジュール53及び推進スラスタ54を作動させる。
【0063】
バッテリ57は、飛行ロボット5の各機器に電力を供給する。連結ケーブル4が電力を伝送可能に構成され、走行ロボット1から飛行ロボット5に電力が供給される実施形態では、連結ケーブル4を介して走行ロボット1から送られる電力が、バッテリ57に蓄積されてもよい。
【0064】
ステアリング機構58、59は、バルーン51の上部に取り付けられており、飛行ロボット5がステアリング機構58、59をトンネルの天井に押し当てながら飛行する際に、飛行ロボット5を操舵するように構成されている。ステアリング機構58、59は、前後方向に異なる位置にあり、ステアリング機構58が前方に位置し、ステアリング機構59が後方に位置している。
【0065】
図10は、ステアリング機構58の構造を概略的に示す斜視図である。ステアリング機構58は、台座581と、タイロッド582、583と、ステアリングボックス584と、1対の車輪585とを備えている。台座581は、ステアリング機構58をバルーン51に結合するための構造体であり、ベルト586によってバルーン51に固定されている。タイロッド582、583のそれぞれの一端はステアリングボックス584に結合されており、他端には車輪585が回転可能に連結されている。
【0066】
タイロッド582、583及びステアリングボックス584は、車輪585が略平行な状態を保ったまま車輪585の角度を変更可能であるように構成されている。
図9ではタイロッド582、583及びステアリングボックス584の構造が概略的に図示されているが、タイロッド582、583及びステアリングボックス584の構造としては、ボールナット式、ラックアンドピニオン式等、ステアリング機構として広く用いられている構造が使用され得る。ステアリングボックス584には車輪585の角度を調節するためのサーボ機構(図示されない)が内蔵されており、サーボ機構を作動させることによって車輪585を所望の角度に向けることができるように構成されている。飛行ロボット5が飛行する際に車輪585がトンネルの天井に押し当てられる場合には、車輪585の角度によって飛行ロボット5を操舵することができる。
【0067】
ステアリングボックス584は、飛行ロボット5の前後方向に垂直かつ鉛直面に平行である面内においてタイロッド582、583がスイング可能であるように、台座581の軸581aに軸支されている。このような構成によれば、トンネルに起伏がある場合であっても車輪585が起伏に追随して動くことが可能であり、飛行ロボット5の飛行を安定化させることができる。
【0068】
後方のステアリング機構59も、
図9に図示されているステアリング機構58と同様に構成される。ただし、後方のステアリング機構59については、ステアリングボックス584が台座581に固定的に連結されてもよい。
【0069】
距離計60は、飛行ロボット5がステアリング機構58、59をトンネルの天井に押し当てながら飛行する際の飛行ロボット5の移動距離を計測する。距離計60は、ステアリング機構58、59がトンネルの天井に押し当てられたときに距離計60もトンネルの天井に押し当てられるように構成されている。一実施形態では、飛行ロボット5の移動距離が、トンネル内の位置情報として使用され得る。例えば、トンネルの入口からの移動距離は、トンネル内の位置を示す情報として使用可能である。一実施形態では、走行ロボット1の撮像装置142及び/又は飛行ロボット5の撮像モジュール53によって取得された撮像画像が、距離計60によって測定された飛行ロボット5の移動距離に関連づけられて格納されてもよい。飛行ロボット5の移動距離は、概ね、トンネル内の位置に対応しているので、撮像画像を飛行ロボット5の移動距離に関連づけられて格納することで、撮像画像とトンネルの位置との対応関係を把握することが容易になる。
【0070】
図9の飛行ロボット5が使用される場合には、飛行ロボット5の撮像モジュール53がトンネルの中心付近に位置するように連結ケーブル4の走行ロボット1と飛行ロボット5との間の部分の長さが調節されてもよい。その代わりに、飛行ロボット5のステアリング機構58、59及び距離計60がトンネルの天井に押し当てられるように連結ケーブル4の走行ロボット1と飛行ロボット5との間の部分の長さが調節されてもよい。
【0071】
以上には、様々な実施形態が具体的に記載されているが、本明細書に開示された技術が様々な変更と共に実施され得ることは当業者には自明的であろう。
【符号の説明】
【0072】
1 :走行ロボット
2 :飛行ロボット
3 :操作端末
4 :連結ケーブル
5 :飛行ロボット
6 :給電ロボット
11 :巻き取り/巻き出し機構
12 :ベースマシン
13 :除振台
14 :計測ユニット
15 :バッテリ
21 :バルーン
21a :中心軸
22 :撮像モジュール
23 :推進スラスタ
24 :水平スラスタ
25 :機体
26 :垂直スラスタ
27 :航法センサシステム
28 :制御装置
29 :バッテリ
30、31:ローラ式ガイド
51 :バルーン
52 :機体
53 :撮像モジュール
54 :推進スラスタ
55 :LIDAR
56 :システムボックス
57 :バッテリ
58、59:ステアリング機構
60 :距離計
61 :ベースマシン
62 :バッテリ
63 :電力ケーブル
100 :トンネル調査装置
111 :ローラ
121 :クローラ
122 :制御装置
123 :LIDAR
141 :フレーム
142 :撮像装置
143 :照明装置
144 :前方カメラ
145 :後方カメラ
146 :エンコーダ
147 :制御装置
221 :撮像装置
222 :照明装置
223 :台座
301 :ベース部
302 :アーム
303 :ローラ
311 :ベース部
312 :アーム
313 :ローラ
314 :支持部材
315 :連結プレート
531 :撮像装置
532 :照明装置
581 :台座
581a :軸
582 :タイロッド
583 :タイロッド
584 :ステアリングボックス
585 :車輪
586 :ベルト