(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129508
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】硬化性樹脂組成物及び層間絶縁材料
(51)【国際特許分類】
C08G 59/20 20060101AFI20240919BHJP
H01B 3/40 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
C08G59/20
H01B3/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038755
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】増井 良平
(72)【発明者】
【氏名】三好 久美子
(72)【発明者】
【氏名】脇岡 さやか
(72)【発明者】
【氏名】竹田 幸平
【テーマコード(参考)】
4J036
5G305
【Fターム(参考)】
4J036AA01
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5G305DA16
(57)【要約】
【課題】硬化後の誘電特性、耐熱性、及び、接着性に優れる硬化性樹脂組成物を提供する。また、該硬化性樹脂組成物を用いてなる層間絶縁材料を提供する。
【解決手段】硬化性樹脂と硬化剤とを含有し、前記硬化性樹脂は、エポキシ化合物を含み、前記エポキシ化合物は、1分子中に1つのエポキシ基と、該エポキシ基以外のヘテロ環とを有する単官能エポキシ化合物を含み、前記エポキシ化合物100質量部中における前記1分子中に1つのエポキシ基と、該エポキシ基以外のヘテロ環とを有する単官能エポキシ化合物の含有量が20質量部未満である硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性樹脂と硬化剤とを含有し、
前記硬化性樹脂は、エポキシ化合物を含み、
前記エポキシ化合物は、1分子中に1つのエポキシ基と、該エポキシ基以外のヘテロ環とを有する単官能エポキシ化合物を含み、
前記エポキシ化合物100質量部中における前記1分子中に1つのエポキシ基と、該エポキシ基以外のヘテロ環とを有する単官能エポキシ化合物の含有量が20質量部未満である
ことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
更に、無機充填剤を含有する請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記無機充填剤は、シリカである請求項2記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記硬化性樹脂組成物の固形分全体100質量部中における前記無機充填剤の含有量が50質量部以上である請求項2又は3記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
更に、ポリマー成分を含有する請求項1、2又は3記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記ポリマー成分は、ポリイミドである請求項5記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1、2又は3記載の硬化性樹脂組成物を用いてなる層間絶縁材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性樹脂組成物に関する。また、本発明は、該硬化性樹脂組成物を用いてなる層間絶縁材料に関する。
【背景技術】
【0002】
低収縮であり、接着性、絶縁性、及び、耐薬品性に優れるエポキシ化合物等の硬化性樹脂は、多くの工業製品に使用されている。特に、プリント配線板の層間絶縁材料等に用いられる硬化性樹脂組成物には、低誘電率、低誘電正接といった誘電特性が必要となる。このような誘電特性に優れる硬化性樹脂組成物として、例えば、特許文献1、2には、硬化性樹脂と、硬化剤として特定の構造を有する化合物とを含有する樹脂組成物が開示されており、特許文献3には、ビフェニル構造を有する1官能エポキシ樹脂及び硬化剤を含有する樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-186551号公報
【特許文献2】国際公開第2016/114286号
【特許文献3】特開2018-95749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
硬化性樹脂組成物について、硬化後の誘電正接を更に低くするためには、シリカ等の無機充填剤を多量に配合することが考えられるが、無機充填剤を多量に配合した場合、銅等の金属からなる被着体に剥がれが生じることがあった。また、従来の樹脂組成物は、硬化後の耐熱性と誘電特性とを両立することが困難であった。
本発明は、硬化後の誘電特性、耐熱性、及び、接着性に優れる硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該硬化性樹脂組成物を用いてなる層間絶縁材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示1は、硬化性樹脂と硬化剤とを含有し、上記硬化性樹脂は、エポキシ化合物を含み、上記エポキシ化合物は、1分子中に1つのエポキシ基と、該エポキシ基以外のヘテロ環とを有する単官能エポキシ化合物を含み、上記エポキシ化合物100質量部中における上記1分子中に1つのエポキシ基と、該エポキシ基以外のヘテロ環とを有する単官能エポキシ化合物の含有量が20質量部未満である硬化性樹脂組成物である。
本開示2は、更に、無機充填剤を含有する本開示1の硬化性樹脂組成物である。
本開示3は、上記無機充填剤は、シリカである本開示2の硬化性樹脂組成物である。
本開示4は、上記硬化性樹脂組成物の固形分全体100質量部中における上記無機充填剤の含有量が50質量部以上である本開示2又は3の硬化性樹脂組成物である。
本開示5は、更に、ポリマー成分を含有する本開示1、2、3又は4の硬化性樹脂組成物である。
本開示6は、上記ポリマー成分は、ポリイミドである本開示5の硬化性樹脂組成物である。
本開示7は、本開示1、2、3、4、5又は6の硬化性樹脂組成物を用いてなる層間絶縁材料である。
以下に本発明を詳述する。
【0006】
本発明者らは、硬化性樹脂組成物に、1分子中に1つのエポキシ基と、該エポキシ基以外のヘテロ環とを有する単官能エポキシ化合物を、エポキシ化合物中で特定量未満となるようにして用いることを検討した。その結果、硬化後の誘電特性、耐熱性、及び、接着性に優れる硬化性樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂を含有する。
上記硬化性樹脂は、エポキシ化合物を含む。
上記エポキシ化合物は、1分子中に1つのエポキシ基と、該エポキシ基以外のヘテロ環とを有する単官能エポキシ化合物(以下、「本発明にかかる単官能エポキシ化合物」ともいう)を含む。本発明にかかる単官能エポキシ化合物を後述する含有量となるようにして含むことにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化後の誘電特性、耐熱性、及び、接着性に優れるものとなる。
【0008】
本発明にかかる単官能エポキシ化合物は、5%重量減少温度の好ましい下限が190℃である。本発明にかかる単官能エポキシ化合物の5%重量減少温度が190℃以上であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物が耐熱性により優れるものとなる。本発明にかかる単官能エポキシ化合物の5%重量減少温度のより好ましい下限は200℃である。
また、本発明にかかる単官能エポキシ化合物の5%重量減少温度の好ましい上限は特にないが、実質的な上限は285℃である。
なお、上記5%重量減少温度は、熱重量測定装置を用いて、昇温速度10℃/minで30℃から500℃までの昇温条件で熱重量測定を行うことにより導出することができる。上記熱重量測定装置としては、例えば、TG/DTA6200(日立ハイテクサイエンス社製)等が挙げられる。
【0009】
本発明にかかる単官能エポキシ化合物は、溶解度パラメータ(以下、「SP値」ともいう)の好ましい下限が17.3(J/cm3)1/2である。本発明にかかる単官能エポキシ化合物のSP値が17.3(J/cm3)1/2以上であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物が接着性により優れるものとなる。本発明にかかる単官能エポキシ化合物のSP値のより好ましい下限は25.2(J/cm3)1/2である。
また、本発明にかかる単官能エポキシ化合物のSP値の好ましい上限は25.9(J/cm3)1/2である。
なお、本明細書において上記SP値は、Fedorsの推算法により算出される値である。
【0010】
本発明にかかる単官能エポキシ化合物の有するエポキシ基以外のヘテロ環としては、例えば、ピロリン環、ピロール環、チオフェン環、フラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、チアゾール環、オキサゾール環、テトラヒドロチオフェン環、テトラヒドロフラン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環等が挙げられる。なかでも、上記ヘテロ環は、ヘテロ原子として窒素原子を含むことが好ましい。
また、本発明にかかる単官能エポキシ化合物は、上記ヘテロ環を含む構造としてマレイミド構造又はカルバゾール構造を有することが好ましい。
【0011】
本発明にかかる単官能エポキシ化合物としては、具体的には例えば、N-グリシジルフタルイミド、4-グリシジルオキシカルバゾール、4-ニトロスチレンエポキシド等が挙げられる。なかでも、N-グリシジルフタルイミド、4-グリシジルオキシカルバゾールが好ましい。本発明にかかる単官能エポキシ化合物は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0012】
上記エポキシ化合物100質量部中における本発明にかかる単官能エポキシ化合物の含有量は、20質量部未満である。本発明にかかる単官能エポキシ化合物の含有量が20質量部未満であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化後の誘電特性、耐熱性、及び、接着性に優れるものとなる。本発明にかかる単官能エポキシ化合物の含有量は、15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましい。
また、特に銅等の金属からなる被着体に対する接着性を向上させる観点からは、上記エポキシ化合物100質量部中における本発明にかかる単官能エポキシ化合物の含有量は、8質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましい。
【0013】
上記エポキシ化合物は、本発明にかかる単官能エポキシ化合物以外の単官能エポキシ化合物を含有しないことが好ましい。即ち、本発明にかかる単官能エポキシ化合物以外のエポキシ化合物としては、多官能エポキシ化合物が好ましい。
上記多官能エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールE型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、2,2’-ジアリルビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノール型エポキシ化合物、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ化合物、レゾルシノール型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、スルフィド型エポキシ化合物、ジフェニルエーテル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、ナフチレンエーテル型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、オルトクレゾールノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、アルキルポリオール型エポキシ化合物、ゴム変性型エポキシ化合物、グリシジルエステル化合物等が挙げられる。上記多官能エポキシ化合物は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0014】
上記硬化性樹脂は、上記エポキシ化合物以外の他の硬化性樹脂を含んでいてもよい。
上記他の硬化性樹脂を含む場合、上記硬化性樹脂100質量部中における上記エポキシ化合物の含有量の好ましい下限は30質量部、より好ましい下限は50質量部である。
上記硬化性樹脂は、上記エポキシ化合物の含有量が100質量部、即ち、上記エポキシ化合物のみからなるものであってもよい。
【0015】
上記他の硬化性樹脂としては、例えば、シアネート化合物、フェノール化合物、イミド化合物、マレイミド化合物、シリコーン化合物、アクリル化合物、フッ素化合物等が挙げられる。上記他の硬化性樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0016】
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含有する。
上記硬化剤としては、例えば、活性エステル系硬化剤、イミドオリゴマー系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、チオール系硬化剤、アミン系硬化剤、シアネート系硬化剤等が挙げられる。なかでも、得られる硬化性樹脂組成物が硬化後の誘電特性及び耐熱性により優れるものとなることから、活性エステル系硬化剤が好ましい。
【0017】
上記活性エステル系硬化剤は、両末端に多環式芳香族環カルボニルオキシ基を有することが好ましい。両末端に多環式芳香族環カルボニルオキシ基を有することにより、樹脂成分との相溶性に優れるものとなり、得られる硬化性樹脂組成物の硬化物が低誘電正接等の誘電特性により優れるものとなる。
【0018】
上記多環式芳香族環カルボニルオキシ基は、多環式アリールカルボニルオキシ基であってもよいし、多環式ヘテロアリールカルボニルオキシ基であってもよい。即ち、上記多環式芳香族環カルボニルオキシ基が有する多環式芳香族環は、多環式アリール基であってもよいし、多環式ヘテロアリール基であってもよい。
上記多環式アリールカルボニルオキシ基に含まれる多環式アリール基は、置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。また、上記多環式ヘテロアリールカルボニルオキシ基に含まれる多環式ヘテロアリール基は、置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。
上記多環式アリール基としては、例えば、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。なかでもナフチル基が好ましい。
上記多環式ヘテロアリール基としては、例えば、キノリル基、アクリジン基、インドリル基、ベンゾチエニル基等が挙げられる。
上記多環式アリールカルボニルオキシ基としては、具体的には例えば、ナフチルカルボニルオキシ基、アントリルカルボニルオキシ基等が挙げられる。なかでも、ナフチルカルボニルオキシ基が好ましい。
上記多環式ヘテロアリールカルボニルオキシ基としては、具体的には例えば、キノリルカルボニルオキシ基、アクリジンカルボニルオキシ基、インドリルカルボニルオキシ基、ベンゾチエニルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0019】
上記活性エステル系硬化剤の分子量の好ましい下限は500、好ましい上限は4万である。上記分子量がこの範囲であることにより、上記活性エステル系硬化剤は、樹脂成分との相溶性により優れるものとなり、得られる硬化性樹脂組成物が硬化後の誘電特性により優れるものとなる。上記活性エステル系硬化剤の分子量のより好ましい下限は1000、より好ましい上限は15000である。
なお、本明細書において上記「分子量」は、分子構造が特定される化合物については、構造式から求められる分子量であるが、重合度の分布が広い化合物及び変性部位が不特定な化合物については、数平均分子量を用いて表す場合がある。本明細書において上記「数平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で溶媒としてテトラヒドロフランを用いて測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による数平均分子量を測定する際に用いるカラムとしては、例えば、JAIGEL-2H-A(日本分析工業社製)等が挙げられる。
また、上記活性エステル系硬化剤の活性エステル当量の好ましい上限は5000である。上記活性エステル当量の上限が5000以下であることにより、上記活性エステル系硬化剤は、樹脂成分との相溶性により優れるものとなり、得られる硬化性樹脂組成物が硬化後の誘電特性により優れるものとなる。上記活性エステル系硬化剤の活性エステル当量のより好ましい上限は4000、更に好ましい上限は3000である。上記活性エステル系硬化剤の活性エステル当量の下限は特に限定されないが、通常250以上である。
なお、上記「活性エステル当量」は、エステル化合物の分子量を該エステル化合物に含まれるエステル基の数で除した値を意味する。
【0020】
上記硬化性樹脂と上記硬化剤(後述する硬化促進剤を含有する場合は更に硬化促進剤)との合計100質量部中における上記硬化剤の含有量の好ましい下限は20質量部であり、好ましい上限は80質量部である。上記硬化剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が、硬化性及び保存安定性により優れるものとなり、かつ、硬化後の誘電特性及び耐熱性により優れるものとなる。上記硬化剤の含有量のより好ましい下限は25質量部であり、より好ましい上限は75質量部である。
【0021】
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に、硬化促進剤を含有することが好ましい。上記硬化促進剤を含有することにより、硬化時間を短縮させて生産性を向上させることができる。
【0022】
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、3級アミン系硬化促進剤、ホスフィン系硬化促進剤、リン系硬化促進剤、光塩基発生剤、スルホニウム塩系硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、保存安定性に優れることから、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。上記硬化促進剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0023】
上記硬化促進剤の含有量は、上記硬化性樹脂と上記硬化剤と上記硬化促進剤との合計100質量部に対して、好ましい下限が0.01質量部、好ましい上限が10質量部である。上記硬化促進剤の含有量がこの範囲であることにより、優れた接着性等を維持したまま、硬化時間を短縮させる効果により優れるものとなる。上記硬化促進剤の含有量のより好ましい下限は0.05質量部、より好ましい上限は5質量部である。
【0024】
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に、無機充填剤を含有することが好ましい。
上記無機充填剤を含有することにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化後の誘電特性により優れるものとなる。
【0025】
上記無機充填剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、ベーマイト等が挙げられる。なかでも、シリカが好ましい。上記無機充填剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0026】
上記無機充填剤の平均粒子径の好ましい下限は0.2μm、好ましい上限は5μmである。上記無機充填剤の平均粒子径がこの範囲であることにより、塗工性等を悪化させることなく、硬化性樹脂組成物中における分散性により優れるものとなり、硬化後の誘電特性と接着性とを両立する効果により優れるものとなる。上記無機充填剤の平均粒子径のより好ましい下限は0.5μm、より好ましい上限は2μmである。
なお、上記無機充填剤の平均粒子径は、粒度分布測定装置を用いて、上記無機充填剤を溶媒(水、有機溶媒等)に分散させて測定することができる。上記粒度分布測定装置としては、例えば、NICOMP 380ZLS(PARTICLE SIZING SYSTEMS社製)等が挙げられる。
【0027】
上記硬化性樹脂組成物の固形分全体100質量部中における上記無機充填剤の含有量の好ましい下限は50質量部である。上記無機充填剤の含有量が50質量部以上であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が硬化後の誘電特性により優れるものとなる。上記無機充填剤の含有量のより好ましい下限は65質量部、更に好ましい下限は70質量部である。
また、塗工性及び接着性の観点から、上記硬化性樹脂組成物の固形分全体100質量部中における上記無機充填剤の含有量の好ましい上限は73質量部、より好ましい上限は71質量部である。
なお、本明細書において、上記「硬化性樹脂組成物の固形分全体」とは、硬化性樹脂組成物が後述する溶剤を含む場合は該溶剤以外の成分全体を意味する。
【0028】
本発明の硬化性樹脂組成物は、応力緩和、靭性付与等を目的として有機充填剤を含有してもよい。
上記有機充填剤としては、例えば、シリコーンゴム粒子、アクリルゴム粒子、ウレタンゴム粒子、ポリアミド粒子、ポリアミドイミド粒子、ポリイミド粒子、ベンゾグアナミン粒子、及び、これらのコアシェル粒子等が挙げられる。なかでも、ポリアミド粒子、ポリアミドイミド粒子、ポリイミド粒子が好ましい。上記有機充填剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0029】
上記有機充填剤の含有量は、上記硬化性樹脂と上記硬化剤(上記硬化促進剤を含有する場合は更に上記硬化促進剤)との合計100質量部に対して、好ましい上限が300質量部である。上記有機充填剤の含有量がこの範囲であることにより、優れた接着性等を維持したまま、得られる硬化物が靭性等により優れるものとなる。上記有機充填剤の含有量のより好ましい上限は200質量部である。
【0030】
本発明の硬化性樹脂組成物は、分散剤を含有してもよい。
上記分散剤を含有することにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、上記無機充填剤の分散状態を均一にすることができ、硬化物が接着性により優れるものとなる。
【0031】
上記分散剤としては、例えば、ポリウレタン系分散剤、脂肪酸系分散剤、ポリアミノ系分散剤、ポリアクリレート系分散剤等が挙げられる。なかでも、ポリウレタン系分散剤が好ましい。上記分散剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0032】
上記硬化性樹脂組成物の固形分全体100質量部中における上記分散剤の含有量の好ましい下限は0.05質量部、好ましい上限は1.0質量部である。上記分散剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が硬化後の誘電特性と接着性とを両立する効果により優れるものとなる。上記分散剤の含有量のより好ましい下限は0.1質量部、より好ましい上限は0.7質量部である。
【0033】
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に、ポリマー成分を含有することが好ましい。上記ポリマー成分は、造膜成分としての役割を果たす。
【0034】
上記ポリマー成分の数平均分子量の好ましい下限は3000、好ましい上限は10万である。上記ポリマー成分の数平均分子量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が硬化前における可撓性及び加工性、及び、硬化後の耐熱性により優れるものとなる。上記ポリマー成分の数平均分子量のより好ましい下限は5000、より好ましい上限は8万である。
【0035】
上記ポリマー成分としては、例えば、ポリイミド、フェノキシ樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリマレイミド、シアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル等が挙げられる。なかでも、耐熱性の観点から、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリマレイミドが好ましく、ポリイミドがより好ましい。上記ポリマー成分は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0036】
上記ポリマー成分の含有量は、上記硬化性樹脂と上記硬化剤(上記硬化促進剤を含有する場合は更に上記硬化促進剤)との合計100質量部に対して、好ましい下限が0.5質量部、好ましい上限が20質量部である。上記ポリマー成分の含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物の硬化物が耐熱性により優れるものとなる。上記ポリマー成分の含有量のより好ましい下限は1質量部、より好ましい上限は10質量部である。
【0037】
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で難燃剤を含有してもよい。
上記難燃剤としては、例えば、ベーマイト型水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水和物、ハロゲン系化合物、りん系化合物、窒素化合物等が挙げられる。なかでも、ベーマイト型水酸化アルミニウムが好ましい。上記難燃剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0038】
上記難燃剤の含有量は、上記硬化性樹脂と上記硬化剤(上記硬化促進剤を含有する場合は更に上記硬化促進剤)との合計100質量部に対して、好ましい上限が200質量部である。上記難燃剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が優れた接着性等を維持したまま、難燃性に優れるものとなる。上記難燃剤の含有量のより好ましい上限は150質量部である。
【0039】
上記硬化性樹脂組成物は、塗工性等の観点から溶剤を含有してもよい。
上記溶剤としては、塗工性や保存安定性等の観点から、沸点が200℃未満の溶剤が好ましい。
上記沸点が200℃未満の溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、ハロゲン系溶剤、エーテル系溶剤、含窒素系溶剤等が挙げられる。
上記アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ノルマルブチルアルコール、ターシャリーブチルアルコール、2-エチルヘキサノール等が挙げられる。
上記ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
上記エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸アミル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等が挙げられる。
上記炭化水素系溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、イソオクタン、ノルマルデカン、ノルマルヘプタン等が挙げられる。
上記ハロゲン系溶剤としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン等が挙げられる。
上記エーテル系溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、3-メトキシブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、4-メチルアニソール等が挙げられる。
上記含窒素系溶剤としては、例えば、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
なかでも、取り扱い性や硬化剤の溶解性等の観点から、沸点が60℃以上200℃未満のケトン系溶剤、沸点が60℃以上200℃未満のエステル系溶剤、及び、沸点が60℃以上200℃未満のエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。このような溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソブチル、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール等が挙げられる。
上記溶剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が組み合わせて用いられてもよい。
なお、上記「沸点」は、101kPaの条件で測定される値、又は、沸点換算図表等で101kPaに換算された値を意味する。
【0040】
上記溶剤を含む硬化性樹脂組成物100質量部中における上記溶剤の含有量の好ましい下限は20質量部、好ましい上限は90質量部である。上記溶剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が塗工性等により優れるものとなる。上記溶剤の含有量のより好ましい下限は30質量部、より好ましい上限は80質量部である。
【0041】
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で反応性希釈剤を含有してもよい。
上記反応性希釈剤としては、接着信頼性の観点から、1分子中に2つ以上の反応性官能基を有する反応性希釈剤が好ましい。
【0042】
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に、カップリング剤、貯蔵安定化剤、ブリード防止剤、フラックス剤、レベリング剤等の添加剤を含有してもよい。
【0043】
本発明の硬化性樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、混合機を用いて、硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填剤やポリマー成分等とを混合する方法等が挙げられる。上記混合機としては、例えば、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー等が挙げられる。
【0044】
本発明の硬化性樹脂組成物を基材フィルム上に塗工し、乾燥させることにより、本発明の硬化性樹脂組成物からなる硬化性樹脂組成物フィルムを得ることができ、該硬化性樹脂組成物フィルムを硬化させて硬化物を得ることができる。
【0045】
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物の23℃における誘電正接の好ましい上限が0.0035である。上記硬化物の23℃における誘電正接がこの範囲であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、多層プリント配線板等の層間絶縁材料に好適に用いることができる。上記硬化物の23℃における誘電正接のより好ましい上限は0.0030である。
なお、上記「誘電正接」は、誘電率測定装置及びネットワークアナライザーを用いて1.0GHzの条件で測定される値である。なお、上記「誘電正接」を測定する硬化物は、厚さを40~200μmとした上記硬化性樹脂組成物フィルムを190℃で90分間加熱することにより得ることができる。
【0046】
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化後の5%重量減少温度の好ましい下限が380℃である。上記硬化後の5%重量減少温度が380℃以上であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、特に耐熱性を要する用途に好適に用いることができる。本発明の硬化性樹脂組成物の硬化後の5%重量減少温度の好ましい下限は390℃である。
また、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化後の5%重量減少温度の好ましい上限は特にないが、実質的な上限は400℃である。
なお、上記5%重量減少温度を測定する硬化性樹脂組成物の硬化物としては、硬化性樹脂組成物を乾燥後の厚さが100μmとなるように基材PETフィルム上に塗工し、乾燥させた後、190℃で1時間加熱することにより硬化させたものが用いられる。
【0047】
本発明の硬化性樹脂組成物は、広い用途に用いることができる。例えば、プリント配線基板用接着剤、フレキシブルプリント回路基板のカバーレイ用接着剤、銅張積層板、半導体接合用接着剤、層間絶縁材料、プリプレグ、LED用封止剤、構造材料用接着剤等に用いることができる。
特に、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物が低誘電率、低誘電正接であり、誘電特性に優れるため、多層プリント配線板等の層間絶縁材料に好適に用いることができる。本発明の硬化性樹脂組成物を用いてなる層間絶縁材料もまた、本発明の1つである。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、硬化後の誘電特性、耐熱性、及び、接着性に優れる硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物を用いてなる層間絶縁材料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0050】
(ポリイミド樹脂溶液の作製)
撹拌機、分水器、及び、窒素ガス導入管を備えた反応容器に4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物(東京化成工業社製)54.6質量部、及び、シクロヘキサノン200質量部を仕込み、溶解させた。得られた溶液に、ダイマージアミンであるプリアミン1074(クローダ社製)56.1質量部とシクロヘキサノン55.0質量部の混合溶液を滴下した後、150℃で8時間かけてイミド化反応を行い、ポリイミド樹脂溶液を得た。なお、得られたポリイミド樹脂溶液の固形分濃度は30質量%、ポリイミド樹脂の数平均分子量は25000であった。
【0051】
(実施例1~5、比較例1~5)
表1に記載された配合比に従い、各材料を撹拌混合し、実施例1~5、比較例1~5の各硬化性樹脂組成物を作製した。
【0052】
(単官能エポキシ化合物の5%重量減少温度)
実施例1~5、比較例2~5で用いたものと同じ単官能エポキシ化合物について、熱重量測定装置(日立ハイテクサイエンス社製、「TG/DTA6200」)を用いて、昇温速度10℃/minで30℃から500℃までの昇温条件で熱重量測定を行い、5%重量減少温度を導出した。結果を表1に示した。
【0053】
(硬化性樹脂組成物の硬化後の5%重量減少温度)
得られた各硬化性樹脂組成物を、乾燥後の厚さが100μmとなるように基材PETフィルム上に塗工し、乾燥させた後、190℃で1時間加熱することにより、硬化物を得た。
得られた硬化物について、熱重量測定装置(日立ハイテクサイエンス社製、「TG/DTA6200」)を用いて、昇温速度10℃/minで30℃から500℃までの昇温条件で熱重量測定を行い、5%重量減少温度を導出した。結果を表1に示した。
【0054】
<評価>
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
【0055】
(誘電特性)
得られた各硬化性樹脂組成物を基材PETフィルム上に塗工し、乾燥させることにより、基材PETフィルムと、該基材PETフィルム上に厚さが40μmの硬化性樹脂組成物層とを有する未硬化積層フィルムを得た。得られた未硬化積層フィルムを幅2mm、長さ80mmの大きさに裁断した。裁断後の未硬化積層フィルムの硬化性樹脂組成物層から基材PETフィルムを剥離し、ラミネーターを用いて硬化性樹脂組成物層を5層重ね合わせて厚さ約200μmの積層体を得た。得られた積層体を190℃で90分間加熱して、硬化体を得た。得られた硬化体について、空洞共振摂動法誘電率測定装置CP521(関東電子応用開発社製)及びネットワークアナライザーN5224A PNA(キーサイトテクノロジー社製)を用いて、空洞共振法で23℃にて、周波数1.0GHzにて誘電正接を測定した。
誘電正接が0.0030以下であった場合を「◎」、誘電正接が0.0030を超え0.0035以下であった場合を「○」、誘電正接が0.0035を超えた場合を「×」として、誘電特性を評価した。
【0056】
(耐熱性)
得られた各硬化性樹脂組成物を、厚みが約20μmとなるようにポリイミド基材(東レ・デュポン社製、「カプトン100H」、厚さ25μm)上に塗工し、乾燥させることにより、ポリイミド基材上に硬化性樹脂組成物フィルムを有する積層体を得た。得られた積層体を1cm幅にカットし、硬化性樹脂組成物面側に厚さ35μmの銅箔(福田金属箔粉工業社製、電解銅箔の光沢面、「CF-T8G-UN-35」)を積層して、190℃、3MPa、1時間の条件で熱プレスを行い、硬化性樹脂組成物層を硬化させ試験片を得た。得られた試験片を40℃、90%RHの環境下96時間放置した後、260℃で20秒間加熱するリフロー試験を行った。リフロー試験後の10個の試験片について、目視にて膨れを確認した。
全ての試験片で膨れが確認されなかった場合を「◎」、1個の試験片に膨れが確認された場合を「○」、2個以上の試験片に膨れが確認された場合を「×」として、耐熱性を評価した。
【0057】
(銅箔に対する接着性)
得られた各硬化性樹脂組成物を、厚みが約20μmとなるようにポリイミド基材(東レ・デュポン社製、「カプトン100H」、厚さ25μm)上に塗工し、乾燥させることにより、ポリイミド基材上に硬化性樹脂組成物フィルムを有する積層体を得た。得られた積層体を1cm幅にカットし、硬化性樹脂組成物面側に厚さ35μmの銅箔(福田金属箔粉工業社製、電解銅箔の光沢面、「CF-T8G-UN-35」)を積層して、190℃、3MPa、1時間の条件で熱プレスを行い、硬化性樹脂組成物層を硬化させ試験片を得た。作製後24時間以内の試験片について、引張試験機(ORIENTEC社製、「UCT-500」)により、25℃において剥離速度50mm/minで90°ピール試験を行って剥離強度を測定した。
初期接着力が6N/cm以上であった場合を「◎」、4N/cm以上6N/cm未満であった場合を「○」、4N/cm未満であった場合を「×」として、銅箔に対する接着性を評価した。
【0058】
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明によれば、硬化後の誘電特性、耐熱性、及び、接着性に優れる硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物を用いてなる層間絶縁材料を提供することができる。