(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129517
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】間欠塗布装置
(51)【国際特許分類】
B05C 5/02 20060101AFI20240919BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
B05C5/02
B05C11/10
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038769
(22)【出願日】2023-03-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】福井 慎也
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA12
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA24
4F041BA36
4F041BA38
4F041CA02
4F041CA13
4F041CA17
4F041CA18
4F042AA22
4F042BA08
4F042BA12
4F042BA27
4F042CA01
4F042CB03
4F042CB08
4F042CB11
4F042CB19
4F042DF23
(57)【要約】
【課題】 塗布用ノズルのスリット状吐出口を被塗布体に近づけて、被塗布体に塗液を塗布する動作と、前記のスリット状吐出口を被塗布体から離して、被塗布体への塗布を停止させる動作との切り換えが簡単に行えるようにする。
【解決手段】 塗布用ノズル10先端部のスリット状吐出口11から塗液収容部12内の塗液Pを、被塗布体1の表面に間欠的に塗布するにあたり、塗布用ノズルを被塗布体に対してスライド可能に設けると共に、塗布用ノズルに回転カム部材45を設け、回転カム部材を回転させて、塗布用ノズルを被塗布体に近接させた塗布位置と、塗布位置から離間させた離間位置に移動させ、塗布位置において、塗布用ノズルにより被塗布体に塗液を塗布させる一方、離間位置において、塗布用ノズルによる被塗布体への塗液の塗布を停止させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、塗布用ノズルの塗液収容部内における塗液を、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に間欠的に吐出させて、被塗布体の表面に塗液を間欠的に塗布する間欠塗布装置において、前記の塗布用ノズルを被塗布体に対して近接・離間させる方向にスライド可能に設け、前記の塗布用ノズルを被塗布体から離間させる方向に付勢する付勢手段と、前記の塗布用ノズルを被塗布体に近接・離間させる方向に移動させる移動手段として、前記の塗布用ノズルに回転カム部材を設け、前記の回転カム部材を回転させて、前記の塗布用ノズルを、前記の付勢手段に抗して被塗布体に近接させた塗布位置と、塗布位置から離間させた離間位置との間で移動させ、塗布用ノズルを前記の塗布位置に移動させた状態で、塗布用ノズルにより被塗布体に塗液を塗布させる一方、前記の塗布用ノズルを前記の離間位置に移動させた状態で、塗布用ノズルによる被塗布体への塗液の塗布を停止させることを特徴とする間欠塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の間欠塗布装置において、前記の回転カムを回転させて、前記の塗布用ノズルを、前記の付勢手段に抗して被塗布体に近接させた前記の塗布位置と、塗布位置から離間させた前記の離間位置との間で移動させるにあたり、回転する回転カム部材の外周面が当接される当止め部材を被塗布体から離れた反対側の位置に設け、前記の回転カム部材の径が小さくなった小径部が前記の当止め部材に当接された状態では、前記の塗布用ノズルが付勢手段によって付勢されて前記の離間位置で維持される一方、前記の回転カム部材の径が大きくなった大径部が前記の当止め部材に当接された状態では、前記の回転カム部材の回転軸が前記の当止め部材から離れるように押されて、前記の塗布用ノズルが前記の付勢手段に抗して被塗布体に近接した塗布位置に移動されるようにしたことを特徴とする間欠塗布装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の間欠塗布装置において、塗布用ノズルを前記の塗布位置に移動させた状態で、塗布用ノズルにより被塗布体に塗液を塗布させる一方、前記の塗布用ノズルを前記の離間位置に移動させた状態で、塗布用ノズルによる被塗布体への塗液の塗布を停止させるにあたり、前記の塗液収容部内において前記の回転カム部材と一緒に回転して前記のスリット状吐出口の開閉を行なう回転シャッター部材を設け、前記の回転カム部材を回転させて塗布用ノズルを前記の離間位置に移動させた状態では、前記の回転シャッター部材によって前記のスリット状吐出口を閉塞させて、被塗布体への塗液の塗布を停止させる一方、前記の回転カム部材を回転させて塗布用ノズルを前記の塗布位置に移動させた状態では、前記の回転シャッター部材によって前記のスリット状吐出口を閉じないようにして、塗液収容部内における塗液をスリット状吐出口から被塗布体に塗布させることを特徴とする間欠塗布装置。
【請求項4】
請求項3に記載の間欠塗布装置において、前記の回転シャッター部材の外周部に、前記の塗液収容部内における塗液を前記のスリット状吐出口に導く案内用凹部を設け、前記の回転シャッター部材における案内用凹部以外の部分により前記のスリット状吐出口を閉塞させて、被塗布体への塗液の塗布を停止させる一方、前記の案内用凹部を前記のスリット状吐出口の位置に導いて、塗液収容部内における塗液を前記の案内用凹部を通してスリット状吐出口に導き、塗液収容部内における塗液をスリット状吐出口から被塗布体に塗布させることを特徴とする間欠塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、塗布用ノズルの塗液収容部内における塗液を、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に間欠的に吐出させて、被塗布体の表面に塗液を間欠的に塗布する間欠塗布装置に関するものである。特に、前記のような間欠塗布装置において、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に間欠的に吐出させるにあたり、塗布用ノズルのスリット状吐出口を被塗布体に近づけて、被塗布体に塗液を吐出させる動作と、塗布用ノズルのスリット状吐出口を被塗布体から離して、被塗布体への塗液の吐出を停止させる動作との切り換えが簡単に行え、被塗布体の表面への塗液の塗布を停止させる際に、スリット状吐出口から被塗布体の表面に供給される塗液の液切れをよくして、良好な間欠塗布が簡単に行えるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、塗布用ノズルの塗液収容部内における塗液を、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に間欠的に吐出させて、被塗布体の表面に塗液を間欠的に塗布するようにした間欠塗布装置が知られている。
【0003】
そして、このような間欠塗布装置としては、例えば、特許文献1、2に示されるように、塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させながら、塗布用ノズルから被塗布体に塗液を吐出させる動作と、被塗布体への塗液の吐出を停止させる動作とを切り換えるにあたり、塗布用ノズルの塗液収容部内に塗液を供給する塗液供給管に弁部材を設け、この弁部材を開けて、塗液収容部内に塗液を供給し、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に塗液を吐出させる一方、前記の弁部材を閉じて、塗液収容部内への塗液の供給を停止させて、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に塗液を吐出させないようにしている。
【0004】
しかし、前記のような間欠塗布装置において、前記のように塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させながら、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させるのを停止させた場合、スリット状吐出口から被塗布体の表面に供給される塗液の液切れが悪く、スリット状吐出口と被塗布体の表面との間にある塗液が、相対的に移動する塗布用ノズルと被塗布体との間で引っ張られ、被塗布体の表面に塗布される塗液の状態にばらつきが生じるという問題があった。
【0005】
また、従来においては、特許文献3に示されるように、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から走行する被塗布体の表面に塗液を吐出させて、被塗布体の表面に塗液を塗布させる塗布装置において、被塗布体の表面に塗液を供給するのを停止させるにあたり、塗布用ノズルを塗布位置から離間位置に導いて被塗布体の表面から離間させると共に、塗布用ノズルよりも塗布方向上流側における上方の位置に空気吹き付けノズルを設け、塗布用ノズルを塗布位置と離間位置との間で移動している間に、前記の空気吹き付けノズルから空気を塗布用ノズルに吹き付けて、塗布用ノズルのスリット状吐出口に存在する塗液を、塗布用ノズルの下方に設けた液受けパンに回収させるようにしたものが示されている。
【0006】
しかし、特許文献3に示されるものにおいては、被塗布体の表面への塗液の供給を停止させるのに多くの動作が必要になり、このような動作を行うための設備に多くのコストがかかると共に、塗布用ノズルのスリット状吐出口を被塗布体に近づけて、被塗布体に塗液を吐出させる動作と、塗布用ノズルのスリット状吐出口を被塗布体から離して、被塗布体への塗液の吐出を停止させる動作とを簡単に切り換えることが困難で、被塗布体に塗液を吐出させる動作と、被塗布体への塗液の吐出を停止させる動作とを短時間で切り換えて、被塗布体の表面に塗液を短い間隔で間欠塗布することができないという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-130513号公報
【特許文献2】特開2021-104479号公報
【特許文献3】特開2002-301417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、塗布用ノズルの塗液収容部内における塗液を、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に間欠的に吐出させて、被塗布体の表面に塗液を間欠的に塗布する間欠塗布装置において、特に、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から塗液を被塗布体に間欠的に吐出させるあたり、塗布用ノズルのスリット状吐出口を被塗布体に近づけて、被塗布体に塗液を吐出させる動作と、塗布用ノズルのスリット状吐出口を被塗布体から離して、被塗布体への塗液の吐出を停止させる動作とを切り換えるようにした間欠塗布装置における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0009】
すなわち、本発明においては、前記のような間欠塗布装置において、塗布用ノズルのスリット状吐出口を被塗布体に近づけて、被塗布体に塗液を吐出させる動作と、塗布用ノズルのスリット状吐出口を被塗布体から離して、被塗布体への塗液の吐出を停止させる動作との切り換えが簡単に行え、被塗布体の表面への塗液の塗布を停止させる際に、スリット状吐出口から被塗布体の表面に供給される塗液の液切れをよくして、良好な間欠塗布が簡単に行えるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る間欠塗布装置においては、前記のような課題を解決するため、塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、塗布用ノズルの塗液収容部内における塗液を、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に間欠的に吐出させて、被塗布体の表面に塗液を間欠的に塗布する間欠塗布装置において、前記の塗布用ノズルを被塗布体に対して近接・離間させる方向にスライド可能に設け、前記の塗布用ノズルを被塗布体から離間させる方向に付勢する付勢手段と、前記の塗布用ノズルを被塗布体に近接・離間させる方向に移動させる移動手段として、前記の塗布用ノズルに回転カム部材を設け、前記の回転カム部材を回転させて、前記の塗布用ノズルを、前記の付勢手段に抗して被塗布体に近接させた塗布位置と、塗布位置から離間させた離間位置との間で移動させ、塗布用ノズルを前記の塗布位置に移動させた状態で、塗布用ノズルにより被塗布体に塗液を塗布させる一方、前記の塗布用ノズルを前記の離間位置に移動させた状態で、塗布用ノズルによる被塗布体への塗液の塗布を停止させるようにした。
【0011】
そして、本発明に係る間欠塗布装置においては、被塗布体の表面に塗液を間欠的に塗布するにあたり、前記のように回転カムを回転させて、前記の塗布用ノズルを、前記の付勢手段に抗して被塗布体に近接させた前記の塗布位置と、塗布位置から離間された前記の離間位置との間で移動させ、塗布用ノズルを前記の塗布位置に移動させた状態で、塗布用ノズルにより被塗布体に塗液を塗布させる一方、前記の塗布用ノズルを前記の離間位置に移動させた状態で、塗布用ノズルによる被塗布体への塗液の塗布を停止させるようにしたため、塗布用ノズルのスリット状吐出口を被塗布体の表面に塗液を間欠的に塗布することが簡単に行えるようになると共に、被塗布体の表面への塗液の塗布を停止させる際に、塗布用ノズルを被塗布体から離間させることにより、被塗布体の表面に供給される塗液の液切れをよくし、良好な間欠塗布が行えるようになる。
【0012】
ここで、本発明に係る間欠塗布装置において、前記のように回転カムを回転させて、前記の塗布用ノズルを、前記の付勢手段に抗して被塗布体に近接させた塗布位置と、塗布位置から離間させた前記の離間位置との間で移動させるにあたっては、回転する回転カム部材の外周面が当接される当止め部材を被塗布体から離れた反対側の位置に設け、前記の回転カム部材の径が小さくなった小径部が前記の当止め部材に当接された状態では、前記の塗布用ノズルが付勢手段によって付勢されて前記の離間位置で維持される一方、前記の回転カム部材の径が大きくなった大径部が前記の当止め部材に当接された状態では、前記の回転カム部材の回転軸が前記の当止め部材から離れるように押されて、前記の塗布用ノズルが、前記の付勢手段に抗して被塗布体に近接した塗布位置に移動されるようにすることができる。
【0013】
また、本発明に係る間欠塗布装置において、塗布用ノズルを前記の塗布位置に移動させた状態で、塗布用ノズルにより被塗布体に塗液を塗布させる一方、前記の塗布用ノズルを前記の離間位置に移動させた状態で、塗布用ノズルによる被塗布体への塗液の塗布を停止させるにあたっては、前記の塗液収容部内において前記の回転カム部材と一緒に回転して前記のスリット状吐出口の開閉を行なう回転シャッター部材を設け、前記の回転カム部材を回転させて塗布用ノズルを前記の離間位置に移動させた状態では、前記の回転シャッター部材によって前記のスリット状吐出口が閉塞されて、被塗布体への塗液の塗布が停止されるようにする一方、前記の回転カム部材を回転させて塗布用ノズルを前記の塗布位置に移動させた状態では、前記の回転シャッター部材によって前記のスリット状吐出口が閉じられないようにして、塗液収容部内における塗液がスリット状吐出口から被塗布体に塗布されるようにすることができる。
【0014】
また、前記のように前記の回転カム部材を回転させて塗布用ノズルを前記の離間位置に移動させた状態では、前記の回転シャッター部材によって前記のスリット状吐出口を閉塞させて、被塗布体への塗液の塗布を停止させる一方、前記の回転カム部材を回転させて塗布用ノズルを前記の塗布位置に移動させた状態では、前記の回転シャッター部材によって前記のスリット状吐出口を閉じないようにして、塗液収容部内における塗液をスリット状吐出口から被塗布体に塗布させるにあたっては、前記の回転シャッター部材の外周部に、前記の塗液収容部内における塗液を前記のスリット状吐出口に導く案内用凹部を設け、前記の回転シャッター部材における案内用凹部以外の部分により前記のスリット状吐出口を閉塞させて、被塗布体への塗液の塗布を停止させる一方、前記の案内用凹部を前記のスリット状吐出口の位置に導いて、塗液収容部内における塗液を前記の案内用凹部を通してスリット状吐出口に導き、塗液収容部内における塗液をスリット状吐出口から被塗布体に塗布させるようにすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る間欠塗布装置においては、被塗布体の表面に塗液を間欠的に塗布するにあたり、前記のように回転カムを回転させて、前記の塗布用ノズルを、前記の付勢手段に抗して被塗布体に近接させた塗布位置と、塗布位置から離間させた離間位置との間で移動させ、塗布用ノズルを前記の塗布位置に移動させた状態で、塗布用ノズルにより被塗布体に塗液を塗布させる一方、前記の塗布用ノズルを前記の離間位置に移動させた状態で、塗布用ノズルによる被塗布体への塗液の塗布を停止させるようにしたため、塗布用ノズルのスリット状吐出口から被塗布体の表面に塗液を間欠的に塗布することが簡単に行えるようになると共に、被塗布体の表面への塗液の塗布を停止させる際に、塗布用ノズルが被塗布体から離間されることにより、被塗布体の表面に供給される塗液の液切れがよくなり、良好な間欠塗布が行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る間欠塗布装置において、塗布用ノズルを被塗布体から離れた離間位置に移動させて、塗布用ノズルによる被塗布体への塗液の塗布を停止させた状態を示した概略側面図である。
【
図2】同実施形態に係る間欠塗布装置において、塗布用ノズルを被塗布体から離れた離間位置に移動させて、塗布用ノズルによる被塗布体への塗液の塗布を停止させた状態を示した概略断面図である。
【
図3】同実施形態に係る間欠塗布装置において、塗布用ノズルを被塗布体から離れた離間位置に移動させて、塗布用ノズルによる被塗布体への塗液の塗布を停止させた状態を示した概略平面図である。
【
図4】同実施形態に係る間欠塗布装置において、塗布用ノズルを被塗布体に近接させた塗布位置に移動させて、塗布用ノズルから被塗布体に塗液の塗布する状態を示した概略側面図である。
【
図5】同実施形態に係る間欠塗布装置において、塗布用ノズルを被塗布体に近接させた塗布位置に移動させて、塗布用ノズルから被塗布体に塗液の塗布する状態を示した概略断面図である。
【
図6】同実施形態に係る間欠塗布装置において、塗布用ノズルを被塗布体に近接させた塗布位置に移動させて、塗布用ノズルから被塗布体に塗液の塗布する状態を示した概略平面図である。
【
図7】従来の間欠塗布装置を用いて被塗布体に塗液を間欠塗工させた場合において、塗工部分の終端部の中央部が膨らんで、塗工不良が発生した状態を示した概略平面図である。
【
図8】同実施形態に係る間欠塗布装置を用いて、被塗布体に塗液を間欠塗工させる場合において、塗工部分の終端部が直線状になって、良好な塗工が行える状態を示した概略平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る間欠塗布装置を、添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明における間欠塗布装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0018】
図1~
図6に示す実施形態における間欠塗布装置においては、帯状の被塗布体1をバックロール2の外周に沿って走行させるようにし、前記の被塗布体1を介してバックロール2と対向するようにして、塗液Pを吐出させるスリット状吐出口11が被塗布体1の走行方向と直交するように塗布用ノズル10を配置させている。
【0019】
ここで、この実施形態の間欠塗布装置においては、前記の塗布用ノズル10をスライドガイド21の上にスライド可能にセットし、前記の被塗布体1に対して近接・離間させる方向にスライドさせるようにしている。
【0020】
そして、この実施形態の間欠塗布装置においては、前記の塗布用ノズル10を被塗布体1から離間させる方向に付勢する付勢手段30として、前記の被塗布体1と反対側の位置にシリンダー31を固定して設けると共に、このシリンダー31の伸縮ロッド32に設けた取付部材33を、前記の塗布用ノズル10における被塗布体1と反対側の面に取り付け、前記のシリンダー31の伸縮ロッド32を収縮させるようにして、前記の塗布用ノズル10を被塗布体1から離間させる方向に付勢するようにしている。
【0021】
ここで、この実施形態の間欠塗布装置においては、前記の塗布用ノズル10を被塗布体1に近接・離間させる方向に移動させる移動手段40として、モーター41のモーター軸42にカップリング43により連結された回転軸44を、前記の塗布用ノズル10に回転可能に設けると共に、前記の回転軸44に対し、回転カム部材45として、径が小さい小径部を構成する真円の基準リング451と、径が大きい大径部を構成する一部が切り欠かれたカムリング452とを取り付けている。なお、この実施形態の間欠塗布装置においては、回転カム部材45として、回転軸44に対して、基準リング451とカムリング452とを取り付けるようにしたが、基準リング451とカムリング452とを合わせた形状を持つ1つの回転カム部材45を用いるようにすることもできる。
【0022】
また、この実施形態の間欠塗布装置においては、前記の回転カム部材45を介して被塗布体1の反対側の位置に、前記の回転カム部材45が回転して、前記の基準リング451やカムリング452の外周面が当接される当止め部材46を設けている。
【0023】
そして、前記の回転カム部材45が回転されて、
図1~
図3に示すように、小径部の基準リング451の外周面が、前記の当止め部材46に当接された状態では、前記の塗布用ノズル10が前記のシリンダー31によって被塗布体1から離れる方向に付勢され、塗布用ノズル10がスライドガイド21の上を被塗布体1から離れる方向にスライドされて、塗布用ノズル10が塗布位置から離間された離間位置で維持されるようになっている。
【0024】
一方、前記の回転カム部材45が回転されて、
図4~
図6に示すように、基準リング451より径が大きい大径部のカムリング452の外周面が、前記の当止め部材46に当接された状態では、塗布用ノズル10を被塗布体1から離れる方向に付勢しているシリンダー31に抗して、塗布用ノズル10がカムリング452によって被塗布体1側に押され、塗布用ノズル10がスライドガイド21の上を被塗布体1に近づく方向にスライドされて、塗布用ノズル10が被塗布体1に近接した塗布位置に移動されるようになっている。
【0025】
そして、この実施形態の間欠塗布装置においては、塗液供給管13に設けたバルブ13aを開けて、塗液Pを塗布用ノズル10の塗液収容部12内に供給させるようにし、前記のように塗布用ノズル10が塗布位置から離間された離間位置にある状態では、塗布用ノズル10の塗液収容部12内における塗液Pがスリット状吐出口11から被塗布体1に吐出されないようにする一方、塗布用ノズル10が被塗布体1に近接した塗布位置にある状態では、塗布用ノズル10の塗液収容部12内における塗液Pがスリット状吐出口11から被塗布体1に吐出されるようにし、被塗布体1の表面に塗液Pが間欠的に塗布されるようにしている。
【0026】
ここで、前記のように被塗布体1の表面に塗液Pを間欠的に塗布させるにあたっては、円柱状になった棒状体の外周面に軸方向に沿って案内用凹部14aが凹設された回転シャッター部材14を、塗液Pが収容された塗液収容部12内に回転可能に設け、この回転シャッター部材14を前記の回転軸44に取り付け、前記のモーター41によって回転させるようにしている。
【0027】
そして、前記のモーター41によって回転軸44が回転されて、塗布用ノズル10が塗布位置から離間された離間位置にある状態では、
図2に示すように、前記の回転シャッター部材14の外周面に凹設された案内用凹部14aが塗布用ノズル10のスリット状吐出口11から離れた位置にあって、スリット状吐出口11が回転シャッター部材14の外周面によって閉塞された状態になり、塗布用ノズル10の塗液収容部12内における塗液Pが、スリット状吐出口11から被塗布体1の表面に塗布されないようになっている。
【0028】
一方、モーター41によって回転軸44が回転されて、塗布用ノズル10が被塗布体1に近接した塗布位置にある状態では、
図5に示すように、前記の回転シャッター部材14の外周面に凹設された案内用凹部14aが塗布用ノズル10のスリット状吐出口11の位置に導かれて、塗液Pが収容された塗液収容部12とスリット状吐出口11とが回転シャッター部材14に凹設された案内用凹部14aによって連通されるようになり、塗布用ノズル10の塗液収容部12内における塗液Pが案内用凹部14aを通してスリット状吐出口11に導かれて、スリット状吐出口11から被塗布体1の表面に塗液Pが塗布されるようになっている。
【0029】
この実施形態の間欠塗布装置においては、前記のようにモーター41によって回転軸44が回転されて、この回転軸44に取り付けた回転カム部材45における基準リング451が当止め部材46に当接されると、塗布用ノズル10が被塗布体1から離れた離間位置に導かれると共に、前記の回転シャッター部材14に凹設された案内用凹部14aが塗布用ノズル10のスリット状吐出口11から離れて、スリット状吐出口11が回転シャッター部材14の外周面によって閉塞された状態になり、塗布用ノズル10の塗液収容部12内における塗液Pがスリット状吐出口11から被塗布体1の表面に塗布されなくなる。
【0030】
一方、モーター41によって回転軸44が回転されて、この回転軸44に取り付けた回転カム部材45における基準リング451より径が大きい大径部のカムリング452の外周面が前記の当止め部材46に当接されると、シリンダー31に抗して、塗布用ノズル10が被塗布体1に近接した塗布位置に導かれると共に、前記の回転シャッター部材14に凹設された案内用凹部14aがスリット状吐出口11の位置に導かれ、案内用凹部14aによって塗液Pが収容された塗液収容部12とスリット状吐出口11が連通された状態になり、塗液収容部12内における塗液Pが、案内用凹部14aを通してスリット状吐出口11に導かれ、スリット状吐出口11から被塗布体1の表面に塗液Pが塗布されるようになる。
【0031】
このため、この実施形態の間欠塗布装置においては、回転シャッター部材14と回転カム部材45を連動させることにより、前記のようにモーター41によって回転軸44が回転させるだけで、塗布用ノズル10を被塗布体1から離間させて、スリット状吐出口11から被塗布体1の表面に塗液Pを塗布するのを停止させる動作と、塗布用ノズル10を被塗布体1に近接する塗布位置に導いて、スリット状吐出口11から被塗布体1の表面に塗液Pを塗布させる動作とを何度も繰り返して行えるようになり、被塗布体1の表面に塗液Pを間欠的に塗布する操作が簡単に行えるようになると共に、被塗布体1の表面への塗液Pの塗布を停止させる際に、塗布用ノズル10を被塗布体1から離間させるため、被塗布体1の表面に供給される塗液Pの液切れをよくすることができ、
図7に示した従来のように、塗工部分の終端部の中央部が膨らんで、塗工不良が発生するということがなく、
図8に示すように、塗工部分の終端部が直線状になって、良好な間欠塗布が行えるようになる。
【0032】
また、この実施形態の間欠塗布装置においては、前記のモーター41によって回転軸44を回転させる速さや、回転シャッター部材14に凹設された案内用凹部14aの形状等を変更させることにより、被塗布体1の表面に間欠塗布させる塗液Pの間隔や、間欠塗布させる塗液Pの塗布形状等を簡単に変更させることができる。
【0033】
また、この実施形態の間欠塗布装置においては、円柱状になった棒状体の外周面に軸方向に沿って案内用凹部14aが凹設された回転シャッター部材14を、塗液Pが収容された塗液収容部12内に回転可能に設け、この回転シャッター部材14を回転させて、被塗布体1の表面に塗液Pを間欠的に塗布させるようにしたが、被塗布体1の表面に塗液Pを間欠的に塗布させる手段はこのようなものに限定されない。
【0034】
また、この実施形態の間欠塗布装置においては、回転カム部材45の形状等を変更させて、交換可能とすることにより、塗布用ノズル10が被塗布体1から離間されたり、近接されたりする距離やタイミングを調整することができる。
【0035】
また、この実施形態の間欠塗布装置においては、回転カム部材45として、基準リング451と大径部のカムリング452とを設けるようにしたため、回転カム部材45全体を交換しなくても、基準リング451と大径部のカムリング452との何れかを交換させることにより、塗布用ノズル10が被塗布体1から離間されたり、近接されたりする距離やタイミングを別々に調整することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 :被塗布体
2 :バックロール
10 :塗布用ノズル
11 :スリット状吐出口
12 :塗液収容部
13 :塗液供給管
13a :バルブ
14 :回転シャッター部材
14a :案内用凹部
21 :スライドガイド
30 :付勢手段
31 :シリンダー
32 :伸縮ロッド
33 :取付部材
40 :移動手段
41 :モーター
42 :モーター軸
43 :カップリング
44 :回転軸
45 :回転カム部材
46 :当止め部材
451 :基準リング
452 :カムリング
P :塗液