(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129525
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】塵芥投入判別機能のついた塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
B65F 3/00 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
B65F3/00 A
B65F3/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038779
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】岡野 啓一
(72)【発明者】
【氏名】山内 正輝
(72)【発明者】
【氏名】尾原 歩希
(72)【発明者】
【氏名】早川 千鶴
(72)【発明者】
【氏名】福原 健大朗
(72)【発明者】
【氏名】木原 柊平
【テーマコード(参考)】
3E024
【Fターム(参考)】
3E024AA01
3E024BA01
3E024CA02
3E024DC01
3E024HA04
3E024HB02
3E024HC02
3E024HD05
3E024HD06
3E024HE02
(57)【要約】
【課題】 より正確に塵芥袋の投入を判断することのできる塵芥収集車を提供する。
【解決手段】 塵芥投入箱3の投入口33に投入された塵芥は、塵芥積込装置2によって、塵芥収容箱1に送り込まれる。塵芥収容箱1の下部には、塵芥の重量を算出するため、塵芥収容箱1の重量を計測する計量器LSが設けられている。塵芥投入箱3の上部には、投入口33近傍を撮像するための撮像部CMが設けられている。制御部201は、撮像部CMからの撮像画像と、計量器LSからの計量データの変化とに基づいて、塵芥が投入されたことを推定する。以上のように、撮像画像だけでなく計量器LSからの計量データも考慮して推定しているので、塵芥の投入をより正確に推定することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥を計量するための計量装置を有する塵芥収集車であって、
塵芥を収容するための塵芥収容箱と、
塵芥を投入するための投入口を有する塵芥投入箱と、
前記塵芥投入箱に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込む積込機構と、
前記塵芥投入箱の投入口近傍を撮像する撮像部と、
前記撮像部の撮像画像および前記計量装置による計測重量の変化に基づいて、塵芥が投入口に投入されたことを判定する制御部と、
を備えた塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は塵芥収集車に関し、特にその塵芥投入判別機能に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、塵芥の容量を判断する目的などから、塵芥収集車に投入された塵芥袋の個数を計数することが行われている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、塵芥収集車後部の塵芥投入箱の上部にカメラを設け、その撮像画像に基づいて投入された塵芥袋の個数を計数することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の技術では、次のような問題があった。
【0006】
カメラにて撮像した画像に基づいて塵芥の投入を判断しているので、判定を誤ることもあった。
【0007】
この発明は、上記のような問題点を解決して、より正確に塵芥の投入を判断することのできる塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る塵芥収集車は、塵芥を計量するための計量装置を有する塵芥収集車であって、塵芥を収容するための塵芥収容箱と、塵芥を投入するための投入口を有する塵芥投入箱と、前記塵芥投入箱に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込む積込機構と、前記塵芥投入箱の投入口近傍を撮像する撮像部と、前記撮像部の撮像画像および前記計量装置による計測重量の変化に基づいて、塵芥が投入口に投入されたことを判定する制御部とを備えている。
【0009】
したがって、より正確に塵芥の投入を判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】この発明の一実施形態による塵芥収集車Vの機能的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.機能的構成
図1に、この発明の一実施形態による塵芥収集車Vの機能的構成を示す。塵芥投入箱3の投入口33に投入された塵芥は、塵芥積込装置2によって、塵芥収容箱1に送り込まれる。塵芥収容箱1の下部には、塵芥の重量を算出するため、塵芥収容箱1の重量を計測する計量器LSが設けられている。
【0012】
塵芥投入箱3の上部には、投入口33近傍を撮像するための撮像部CMが設けられている。
【0013】
制御部201は、撮像部CMからの撮像画像と、計量器LSからの計量データの変化とに基づいて、塵芥が投入されたことを推定する。
【0014】
以上のように、撮像画像だけでなく計量器LSからの計量データも考慮して推定しているので、塵芥の投入をより正確に推定することができる。
【0015】
2.塵芥収集車の機構
図2に示す塵芥収集車Vは、ベース車両Vbと、架装物Kを備えている。ベース車両Vbは、運転席キャビンC、車体F、タイヤWなどを備えている。架装物Kは、車体F上に設けられている。この実施形態では、塵芥収集作業用の架装物Kを用いている。
【0016】
架装物Kの塵芥収容箱1は、収集した塵芥を収容するための筐体である。塵芥収容箱1の後部には、塵芥を投入するための塵芥投入箱3が設けられている。塵芥投入箱3を後部から見た図を、
図3Aに示す。作業者がハンドル34をもって上方に持ち上げることにより、開閉カバー31が上方に移動し、塵芥投入のための投入口33が現れる。
【0017】
塵芥を積み込む際、塵芥投入箱3の投入口33に投入された塵芥は、以下の動作によって塵芥積込装置2により塵芥収容箱1に送り込まれる。
図2に示すように、投入された塵芥は、矢印MVの方向に回転される圧縮板5により、塵芥積込装置2の中に取り込まれる。圧縮板5は、シリンダA3によって回転されるようになっている。続いて、シリンダA2によって、圧縮板5が二点鎖線で示す位置まで上方向に移動される。これにより、塵芥が圧縮されつつ積込口OHから塵芥収容箱1に積み込まれる。
【0018】
塵芥投入箱3の上部には、撮像部であるカメラCMが設けられ、投入口33近傍を撮像している。
【0019】
塵芥収容箱1の下部には、塵芥収容箱1の重量を計量するための計量器であるロードセルLSが設けられている。
【0020】
塵芥投入箱3の近傍には、作業者が操作を行うための操作部CRが設けられている。
図3Aに、操作部CRを含む塵芥収集車Vの後部を示す。
図3Bに、操作部CRの詳細を示す。
【0021】
この実施形態においては、重量を表示するための表示器DSと、スイッチボードSWBとによって操作部CRが構成されている。
【0022】
表示器DSには、ロードセンサLSによって計量・算出した塵芥の重量を表示するディスプレイDSPが設けられている。さらに、塵芥の重量を計測する際にオフセットを行うための風袋引きスイッチCR-FSW、計量開始を指示する計量スイッチCR-KSWが設けられている。
【0023】
スイッチボードSWBには、積込を開始するために塵芥積込装置2を駆動させる積込スイッチCR-TSW、塵芥積込装置2の操作モードを決定する動作モード選択スイッチCR-MSW、塵芥積込装置2を停止させるための停止スイッチCR-SSWが設けられている。
【0024】
ベース車両VbのエンジンEは、車輪Wに駆動力を付与する。エンジンEには、変速機10を介して動力取出装置PTOが接続されている。動力取出装置PTOは、制御信号に応じて、変速機10の動力を、車輪Wを駆動させるために用いるか、架装物Kを駆動させるために用いるかを切り替えることができる。架装物Kを駆動させる場合には、変速機10の出力は、上記のピストンA1~A4を駆動させるための油圧ポンプPに与えられる。
【0025】
上記各部の制御を行うためベース車両Vbには車両側制御装置UVが設けられ、架装物Kには制御部201である架装物側制御装置UKが設けられている。いずれの制御装置UV、UKも、この実施形態ではCPUを用いて実現しているが、その一部または全部をハードウエアロジックによって実現するようにしてもよい。
【0026】
図4に、車両側制御装置UVと架装物側制御装置UKを示す。車両側制御装置UVは、動力取出装置PTOを制御し、エンジンEの動力を、タイヤWによる走行と、架装物Kの作動に使えるように切り替える。
【0027】
架装物側制御装置UKは、動力取出装置PTOからの動力に基づいて油圧ポンプP1~P4を動作させ、シリンダA1~A4の駆動を制御する。
【0028】
また、架装物側制御装置UKは、ロードセルLSから計量データを取得し、ディスプレイDSPに、計量して算出した計量値を表示する。また、カメラCMからの撮像画像を取得する。さらに、架装物側制御装置UKは、風袋引きスイッチCR-FSW、計量スイッチCR-KSW、積込スイッチCR-TSW、動作モード選択スイッチCR-MSW、停止スイッチCR-SSWからの信号を取得する。
【0029】
また、架装物側制御装置UKには、キャビンCに設けられたキャビン制御装置であるマイコンUFが接続されている。マイコンUFには、操作パネルCFが接続され、操作パネルCFには、風袋引スイッチ、計量スイッチなどが設けられている。これにより、キャビンCからの操作を可能としている。
【0030】
マイコンUFには、ブルーツース(商標)などの近距離無線通信を行う近距離無線通信ユニット63が接続されている。これにより、作業者の持つスマートフォンなどから近距離無線通信によって、マイコンUFを介して、架装物側制御装置UKに指示を与えることができる。したがって、作業者のスマートフォンからの操作を可能としている。
【0031】
3.積込処理
図5に、積込処理のフローチャートを示す。作業者が風袋引スイッチCR-FSWを操作すると(ステップS1)、架装物側制御装置UKは、ロードセルLSから計測値を取得し、これをオフセット重量として記録する(ステップS2)。
【0032】
続いて、カメラCMから1フレーム分の撮像画像を取得し、ロードセルLSから計量値を取得する(ステップS3)。取得された撮像画像の例を
図6に示す。架装物側制御装置UKは、撮像画像に基づいて、塵芥の入れられた塵芥袋が投入されたかどうかを判断する(ステップS4)。この判断は、たとえば、以下のようにして行う。
【0033】
作業者が塵芥袋を手に取ってから投入口33に投入されるまで、同一の塵芥袋が複数のフレームに渡って撮像されることになる。したがって、フレーム画像において塵芥袋が認識されると、次のフレームにおいて同一の塵芥袋を追跡し、さらに先のフレームにおいて塵芥袋が撮像画像から消えれば、投入されたものと判断するようにしている。
【0034】
まず、画像中に塵芥袋があるかどうかを判断する。可能性のある塵芥袋の画像データに基づいてAIによる推定モデルを機械学習した学習済推定モデルを用いることができる。推定モデルとしては、たとえばYOLO(You Only Look Once)を用いることができる。なお、機械学習モデルを用いずに、可能性のある塵芥袋の画像的特徴(色、形状、大きさなど)を記録しておき、これと照合することで判断するようにしてもよい。
【0035】
画像中に塵芥袋がなければ、ステップS7を経てステップS3に進み、次のフレームの画像についての処理を行う。
【0036】
画像中に塵芥袋があれば、この塵芥袋が次の画像フレームにもあるかどうかを追跡する(ステップS9)。作業者による塵芥袋の投入時の移動操作は概ね所定の速度内に収まっているので、容易に追跡することができる。追跡していた塵芥袋が撮像画像の投入口33において消失すれば、塵芥袋が投入されたと判断できる。
【0037】
投入されたと判断した場合、架装物側制御装置UKは、ロードセルLSから取得している計量値が直前値から所定値以上増加したか否かを判断する(ステップS5)。所定値以上増加していれば、塵芥袋が投入されたものとして、投入数を計数する(ステップS6)。所定値以上増加していなければ、塵芥袋は投入されなかったものとする。
【0038】
計量スイッチCR-KSWが押されるまで、架装物側制御装置UKは、上記の撮像画像の取得、計量値の取得、画像による塵芥袋投入判断、計量値による確認を繰り返して実行する(ステップS3~S6)。
【0039】
作業者により計量スイッチCR-KSWが操作されると、架装物側制御装置UKは、ロードセルLSから計量値を取得し、オフセット重量との差に基づいて投入された塵芥の重量を算出する(ステップS8)。
【0040】
以上のようにして、投入された塵芥袋の個数と重量を算出することができる。この実施形態では、画像に基づく塵芥袋投入の判断だけでなく、重量変化も考慮して、塵芥袋が投入されたかどうかを判断している。したがって、より正確に塵芥袋の投入を検出することができる。
【0041】
4.変形例(その他)
(1)上記実施形態では、画像による塵芥袋投入の判断と、重量による塵芥袋投入の判断が、いずれも投入であると判断した場合に、塵芥袋投入であると判断している。しかし、いずれか一方が投入であると判断した場合に、塵芥袋投入であると判断するようにしてもよい。
【0042】
また、画像による塵芥袋投入の確からしさを数値で算出し、重量による塵芥袋投入の確からしさを数値で算出して、双方の確からしさを用いて塵芥袋投入であると判断するようにしてもよい。
【0043】
(2)上記実施形態では、画像による塵芥袋投入の判断を前提として、重量による塵芥袋投入の判断を重ねて行っている。しかし、重量による塵芥袋投入の判断を前提として、画像による塵芥袋投入の判断を重ねて行うようにしてもよい。
【0044】
(3)上記実施形態では、重量変化が所定値以上であるかどうかによって投入の有無を判断している。しかし、重量変化を時系列に記録しておき、その傾向に基づいて判断するようにしてもよい。たとえば、塵芥袋投入時の重量変化によって学習させた学習済推定モデルを用いて、塵芥袋投入の有無を判断するようにしてもよい。
【0045】
(4)上記実施形態では、塵芥袋の投入を判断するようにしている。しかし、袋以外の容器に収納されてまとめられた塵芥などについても適用することができる。
【0046】
(5)上記実施形態では、塵芥が投入されたかどうかを画像から推定するようにしている。しかし、画像に基づいて塵芥の種類も推定するようにしてもよい。
【0047】
(6)上記変形例は互いに組み合わせて実施可能である。