(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129533
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
B41J2/14 603
B41J2/14 605
B41J2/14 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038816
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】324006865
【氏名又は名称】理想テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 哲哉
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AG45
2C057AG68
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】冷却性能を向上できる液体吐出ヘッドを提供すること。
【解決手段】実施形態にかかる液体吐出ヘッドは、マニフォールドを備える。マニフォールドは、供給路を有する。供給路は、第1流路と、第2流路と、を有する。第1流路は複数のノズルを有するノズル列に連通する圧力室に連通するとともに長手方向が前記ノズル列に沿って配置される。第2流路は、前記第1流路に接続されるとともに前記第1流路の長手方向に沿って並列に配置される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルを有するノズル列に連通する圧力室に連通するとともに長手方向が前記ノズル列に沿って配置される第1流路と、前記第1流路に接続されるとともに前記第1流路の長手方向に沿って並列に配置される第2流路と、を有する供給路を有する、マニフォールドを備える、液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記第2流路から前記第1流路に液体が供給される合流位置は、前記ノズル列における吐出対象のノズルが配される有効領域において、前記ノズル列の長手方向の両端10%の範囲を除く中央領域に配置される、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
複数の前記圧力室を構成するアクチュエータを備え、
前記供給路は、前記アクチュエータの、前記ノズルとは反対側の領域を通って配置され、
前記第2流路が前記第1流路に合流する合流位置は、前記ノズル列の方向において、前記第2流路に液体が供給される供給位置とは反対側に配置される、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
複数の前記圧力室を構成する前記アクチュエータと、前記マニフォールドと、を有するヘッド本体を一対備え、
一対の前記ヘッド本体は、前記供給路の方向が前記長手方向において互いに逆向きに配列される、請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
複数の前記圧力室と、複数の圧力室の間に形成される複数の空気室とを、一方向に交互に有するアクチュエータを備え、
前記マニフォールドは前記アクチュエータの一方側に配置され、
前記アクチュエータの他方側に配置されるとともに、前記圧力室に連通するノズルを有するノズルプレートを備える、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液体吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年インクジェットプリンタにおいては生産性の高い高速印字の需要が高まっており、使用される液体吐出ヘッドにおいても高周波でインクを吐出し追従させる必要がある。このため、吐出部のアクチュエータ周辺の駆動発熱量が増加する傾向にある。そこで、発熱部の近傍に冷却用流路を設けて冷却性能を向上する技術が提案されている。液体吐出ヘッドにおいて、冷却構造が複雑かつ大型になると、サイズアップやコストアップといった課題が生じる。
【0003】
また、例えば所定の方向に沿ってインクの供給路が設けられる液体吐出ヘッドにおいては、インクの供給側から排出側に向かってアクチュエータの熱量を運ぶことになるため、部位によって温度が異なる。このような温度差は印字性能を低下させる原因となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は冷却性能を向上できる液体吐出ヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態にかかる液体吐出ヘッドは、マニフォールドを備える。マニフォールドは、供給路を有する。供給路は、第1流路と、第2流路と、を有する。第1流路は複数のノズルを有するノズル列に連通する圧力室に連通するとともに長手方向が前記ノズル列に沿って配置される。第2流路は、前記第1流路に接続されるとともに前記第1流路の長手方向に沿って並列に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る液体吐出ヘッドの構成を示す斜視図。
【
図2】第1の実施形態に係る液体吐出ヘッドの構成を示す下面図。
【
図3】第1の実施形態に係るヘッド本体の構成を一部断面で示す斜視図。
【
図4】第1の実施形態に係るマニフォールドユニットの構成を示す斜視図。
【
図5】同マニフォールドユニットの構成を一部断面で示す斜視図。
【
図7】同マニフォールドユニットの第1マニフォールドの斜視図。
【
図8】同マニフォールドユニットにおける流路の構成を示す説明図。
【
図9】第1の実施形態に係る液体吐出ヘッドの温度分布を示すグラフ。
【
図10】比較例にかかる液体吐出ヘッドの温度分布を示すグラフ。
【
図11】実施形態に係る液体吐出装置の構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、第1の実施形態に係る液体吐出ヘッド1及び液体吐出ヘッド1を用いた液体吐出装置2について、
図1乃至
図11を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係る液体吐出ヘッド1の構成を示す斜視図である。
図2は、液体吐出ヘッド1の構成を示す下面図である。
図3は、ヘッド本体の構成を一部断面で示す斜視図である。
図4は、マニフォールドユニット12の構成を示す斜視図、
図5はマニフォールドユニット12を一部切欠して断面を示す斜視図、
図6は同断面図である。
図5は、液体吐出ヘッド1のマニフォールドの構成を示す斜視図であり、
図6はヘッド本体のインク流路を示す説明図である。
図7は、第1マニフォールド1214の斜視図であり、
図8は第1マニフォールド1214の構成及び供給路1211の説明図である。
図9は液体吐出ヘッド1の温度分布を示すグラフであり、
図10は比較例にかかる液体吐出ヘッドの温度分布を示すグラフである。
図11は、液体吐出装置2を示す説明図である。図中X、Y、Zは互いに直交する3方向をそれぞれ示す。なお、各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示している。
【0009】
液体吐出ヘッド1は、例えば、
図11に示すインクジェット記録装置などの液体吐出装置2に設けられるシェアモードのインクジェットヘッドである。液体吐出ヘッド1は例えば圧力室1131と空気室1132とを交互に備える独立駆動構造である。液体吐出ヘッド1は、液体吐出装置2に設けられた液体収容部としての供給タンク2132を含むヘッドユニット2130に設けられる。
【0010】
液体吐出ヘッド1は、供給タンク2132に貯留された液体としてのインクが供給される。なお、液体吐出ヘッド1は、インクを循環させない非循環式のヘッドであってもよく、また、インクを循環させる循環式のヘッドであってもよい。本実施形態において、液体吐出ヘッド1は、非循環式のヘッドの例を用いて説明する。また、液体吐出ヘッド1は、液体吐出装置2に設けられた冷却装置2116に接続され、発熱部及びインクの温度制御を行う冷却用液体(冷却水)が供給される。液体吐出ヘッド1は、冷却装置2116とともに、水冷循環構造を構成する。
【0011】
図1乃至
図8に示すように、液体吐出ヘッド1は、ヘッド本体11と、マニフォールドユニット12と、カバー15と、を備える。例えば、液体吐出ヘッド1は、アクチュエータ113を一対有するヘッド本体11を二組有する、サイドシュータタイプの4列一体構造ヘッドである。
【0012】
ヘッド本体11は、液体を吐出する。ヘッド本体11は、基板111と、枠体112と、複数の圧力室1131及び複数の空気室1132を有するアクチュエータ113と、ノズルプレート114と、を備える。
【0013】
ヘッド本体11は、アクチュエータ113の複数の圧力室1131と連通する共通液室116を有する。複数の圧力室1131の一次側とは、液体の流れる方向における複数の圧力室1131の上流側である。複数の圧力室1131の二次側とは、液体の流れる方向における複数の圧力室1131の下流側である。
【0014】
また、ヘッド本体11は、基板111及びアクチュエータ113に形成される電極膜で構成される電極部を有する。具体的には、ヘッド本体11は、電極部として、アクチュエータ113の複数の圧力室1131をそれぞれ駆動する複数の個別電極と、複数の圧力室1131を同時に駆動する単数又は複数の共通電極と、を有する。
【0015】
本実施形態の例においては、ヘッド本体11がアクチュエータ113を2つ有し、共通液室116は、1つの第1共通液室1161、及び、2つの第2共通液室1162を有する例を用いて説明する。共通液室116は、例えば、アクチュエータ113の複数の圧力室1131の一次側の開口(圧力室1131の入口)と連通する第1共通液室1161と、アクチュエータ113の複数の圧力室1131の二次側の開口(圧力室1131の出口)と連通する第2共通液室1162と、を有する。
【0016】
基板111は、例えばアルミナなどのセラミックス材料により矩形板状に形成される。基板111は、例えば、一方向(X方向)に長い矩形状に形成される。基板111の一方側の主面であり研磨面を構成する表面115には、電極膜が形成される。基板111の表面115には、基板111の短手方向(Y方向)に並んで一対のアクチュエータ113が設けられる。基板111は、液体が通る開口である単数の供給口1111と、を有する。供給口1111は、基板111の両主面間を貫通する貫通孔である。
【0017】
なお、基板111の裏面はマニフォールド121に対向し、マニフォールド121の対向面に形成され冷却水が流れる第1冷却流路1213を形成する溝を覆う。すなわち基板111は、マニフォールド121とともに第1冷却流路1213を形成する。
【0018】
供給口1111は、インクを第1共通液室1161に供給する入口である。供給口1111は、基板111の短手方向の中央に形成される貫通孔である。供給口1111は、基板111の長手方向に沿って延びる。換言すると、供給口1111は、例えば、アクチュエータ113の長手方向及び第1共通液室1161の長手方向に沿って一方向に長い長孔である。供給口1111は、一対のアクチュエータ113の間に設けられ、第1共通液室1161と対向する位置に開口する。
【0019】
供給口1111の内壁面には、共通電極119の一部が形成される。
【0020】
基板111上にはアクチュエータ113及び枠体112が設けられる。基板111における枠体112の内側はインクが配される接液領域となり、枠体112の外側は各種電子部品が接続可能な実装領域となる。
【0021】
枠体112は、基板111の一方の主面に接着剤等により固定される。枠体112は、基板111に設けられた供給口1111、及び、アクチュエータ113を囲う。
【0022】
例えば、枠体112は、矩形枠状に形成されることで、枠体112の長手方向に沿って一方向に長い開口を形成する。枠体112は表面の一部が凹む段構造を有していてもよい。枠体112の開口には、一対のアクチュエータ113、及び供給口1111が配置される。枠体112は、ノズルプレート114と基板111との間においてアクチュエータ113の周りを囲み、内部に液体を保持可能に構成される。
【0023】
一対のアクチュエータ113は、基板111の表面115に接着される。一対のアクチュエータ113は供給口1111を挟んで二列に並んで基板111に設けられる。アクチュエータ113は、一方向に長い板状に形成される。アクチュエータ113は、枠体112の開口内に配置され、基板111の表面115に接着される。
【0024】
アクチュエータ113は、長手方向の中央側に、長手方向に等間隔に配置された複数の圧力室1131と、長手方向に等間隔に配置されるとともに、隣り合う圧力室1131の間に配置された空気室1132と、を有する。換言すると、アクチュエータ113には、長手方向に沿って、複数の圧力室1131及び空気室1132が交互に配置される。複数の圧力室1131及び複数の空気室1132は並び方向と交差する方向、例えばアクチュエータ113の短手方向に、延出する。
【0025】
アクチュエータ113の基板111とは反対側の面である頂面部は、ノズルプレート114に接着される。アクチュエータ113は、長手方向に等間隔に並んで配置され、長手方向に直交する方向に沿う複数の溝が形成される。複数の溝は、複数の圧力室1131と、複数の空気室1132と、を形成する。換言すると、アクチュエータ113は、長手方向に等間隔に並んで配置された、間に溝を形成する壁を構成する駆動素子である複数の圧電体1133を有する。複数の圧電体1133は、隣り合う圧電体1133の間に複数の圧力室1131及び複数の空気室1132を形成し、駆動電圧が印加することで、圧力室1131の容積を変化させる。
【0026】
アクチュエータ113は、例えば、短手方向の幅が、頂部側から基板111側に向かって漸次大きくなる。アクチュエータ113の長手方向に直交する方向(短手方向)に沿った断面の断面形状は、台形状に形成される。即ち、アクチュエータ113は、短手方向の側面部に傾斜する傾斜面1134を有する。側面部(傾斜面1134)は、第1共通液室1161及び第2共通液室1162に対向配置される。傾斜面1134には、所定のパターンにて電極膜が形成される。
【0027】
具体例として、アクチュエータ113は、一方向に長い矩形板状の二枚の圧電材料を、互いの分極方向が逆向きとなるように対向して接着した積層圧電部材により形成される。ここで、圧電材料は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)である。アクチュエータ113は、例えば熱硬化性を有するエポキシ系接着剤によって基板111の表面115に接着される。そして、アクチュエータ113は、例えば、切削加工等によって、傾斜面1134を構成する。また、併せて、基板111及びアクチュエータ113は、例えば、研磨加工によって、表面115が研磨され、研磨面が形成される。また、アクチュエータ113は、例えば、切削加工複数の圧力室1131及び複数の空気室1132を形成する複数の溝が形成され、隣り合う溝の間を区切る側壁である圧電体(駆動素子)1133が形成される。
【0028】
また、アクチュエータ113には、個別電極や共通電極を構成する電極膜が所定のパターンにて形成される。
【0029】
圧力室1131は、液体吐出ヘッド1による印字等の動作時に、変形することで、インクをノズル1141から噴射させる。圧力室1131は、入口が第1共通液室1161に開口し、出口が第2共通液室1162に開口する。圧力室1131は、入口からインクが流入し、出口からインクが流出する。なお、圧力室1131は、入口及び出口として説明した両開口からインクが流入する構成であってもよい。圧力室1131を構成する溝内には、個別電極がそれぞれ形成される。
【0030】
空気室1132は、入口側及び出口側が、感光性樹脂等により形成された防液壁によって塞がれることで、第1共通液室1161及び第2共通液室1162と隔てられる。空気室1132の防液壁は、空気室1132を形成する溝内において電極上に、紫外線硬化樹脂を注した後、露光マスク等を用いて、露光する領域、例えば、溝の入口側及び出口側である両端部に紫外線を照射することで形成される。このような防液壁は、空気室1132へのインクの侵入を防止する。また、空気室1132は、ノズルプレート114によって塞がれ、ノズル1141が配置されない。よって、空気室1132には、インクが流入しない。
【0031】
ノズルプレート114は、板状に形成される。ノズルプレート114は、枠体112の基板111とは反対側の主面に接着剤等により固定される。ノズルプレート114は、複数の圧力室1131と対向する位置に形成された複数のノズル1141を有する。本実施形態において、ノズルプレート114は、複数のノズル1141が一方向に並ぶノズル列1142を二列有する。
【0032】
第1共通液室1161は、一対のアクチュエータ113の両端部を除く中央側の間に形成され、供給口1111から各アクチュエータ113の複数の圧力室1131の一次側の開口(入口)へのインクの流路を構成する。第1共通液室1161は、アクチュエータ113の長手方向に沿って延びる。第1共通液室1161はインクの流路の一部を構成する。
【0033】
第2共通液室1162は、各アクチュエータ113と枠体112との間にそれぞれ形成される。第2共通液室1162は、複数の圧力室1131の二次側の開口(出口)からのインクの流路を形成する。第2共通液室1162は、アクチュエータ113の長手方向に沿って延びる。第2共通液室1162は、インクの流路の一部を構成する。
【0034】
複数の個別電極は、圧電体である複数の圧電体1133に個別に駆動電圧を印加する。複数の個別電極は、各圧力室1131を個別に変形させる。個別電極は、基板111に形成された配線パターン及びアクチュエータ113に形成された配線パターンにより形成される。
【0035】
共通電極は、複数の圧電体1133の全てに同じ駆動電圧を印加する。共通電極は、複数の圧力室1131を同時に変形させる。共通電極は、基板111に形成された配線パターン及びアクチュエータ113に形成された配線パターンにより形成される。
【0036】
アクチュエータ113の個別電極または共通電極は、カバー15内に配置されるとともにドライバICを搭載した回路基板に接続される。例えば回路基板は、ドライバICにより駆動電圧をアクチュエータ113の配線パターンに印加することでアクチュエータ113を駆動し、圧力室1131の容積を増減させて、ノズル1141から液滴を吐出させる。
【0037】
図3乃至
図8に示すように、マニフォールドユニット12は、マニフォールド121と、天板122と、インク供給管123と、インク排出管124と、冷却水供給管125と、冷却水排出管126と、を備える。なお、インク供給管123、インク排出管124、冷却水供給管125及び冷却水排出管126の数は適宜設定できる。
【0038】
マニフォールド121は、板状又はブロック状に形成される。マニフォールド121は、基板111の供給口1111と連続するとともに液体供給流路を形成する供給路1211と、基板111の排出口に連続するとともに液体排出路を形成する排出路1212と、冷却用の流体の流路を形成する第1冷却流路1213と、を備える。なお、マニフォールド121は、一対のヘッド本体11に接続されることから、一対の供給路1211及び一対の排出路1212を有する。
【0039】
マニフォールド121の一方の主面は、基板111の主面に固定される。また、マニフォールド121は、基板111が固定される主面とは反対の主面に、天板122が設けられる。また、マニフォールド121には、インク供給管123、インク排出管124、第1冷却水供給管125及び第1冷却水排出管126が、天板122を介して固定される。
【0040】
マニフォールド121は、例えば、第1マニフォールド1214と、第2マニフォールド1215と、を備える。マニフォールド121は、第1マニフォールド1214及び第2マニフォールド1215が一体に組み立てられることで形成され、供給路1211、排出路1212及び第1冷却流路1213を形成する。
【0041】
第1マニフォールド1214は、矩形板状に形成される。第1マニフォールド1214は、例えば、一対の供給路1211の一部、一対の排出路1212の一部、及び第1冷却流路1213の一部を構成する溝及び開口が形成される。供給路1211及び排出路1212の一部を構成する溝及び開口は、供給路1211及び排出路1212の形状や、他の流体流路の形状に基づいて、配置や大きさ等が適宜設定される。
【0042】
第1マニフォールド1214は、供給路1211を構成する開口や溝として、直線状に延びるメインスリット12141と、メインスリット12141の側方からメインスリット12141に合流するサブスリット12142と、を有する。
【0043】
メインスリット12141は、マニフォールドを積層方向に貫通するスリット溝であり、基板111の供給口1111に連続するとともに、他方側が第2マニフォールド1215の拡張スリット12151に重ねて配置される。
【0044】
サブスリット12142は、第1マニフォールド1214の第2マニフォールド1215に対向する対向面の一部が凹む溝であり、メインスリット12141の側部に平行して長手方向に直線状に延びる直線部12143と、直線部12143から屈曲してメインスリット12141の中途部に連続する連結部12144と、を有する。サブスリット12142の直線部12143の一方の端部はインク供給管123に接続される。
【0045】
また、第1マニフォールド1214において、冷却流路1213の一部を形成する開口や溝として、一対の冷却溝12145や一対の開口12146が形成される。例えば冷却溝12145は基板111側に開口する溝であり、メインスリット12141の両側部にそれぞれ形成され、ノズル列1142方向に延びる。冷却開口12146は第1マニフォールド1214を厚さ方向に貫通するスリットであり冷却溝12145の端部と第2マニフォールド1215の冷却孔12154とを連続する。
【0046】
なお、第1マニフォールド1214において、部分的にスリットの一部を覆う補強壁が設けられていてもよい。
【0047】
第2マニフォールド1215は、矩形板状に形成される。第2マニフォールド1215は、例えば、一対の供給路1211の一部、一対の排出路1212の一部及び第1冷却流路1213の一部を構成する溝及び開口が形成される。供給路1211及び排出路1212の一部を構成する溝及び開口は、供給路1211及び排出路1212の形状や、他の流体流路の形状に基づいて、配置や大きさ等が適宜設定される。
【0048】
第2マニフォールド1215は、供給路1211を構成する開口や溝として、直線状に延びる拡張スリット12151を有する。拡張スリット12151はメインスリット12141上に重なる位置に配置されメインスリット12141よりも幅が大きい貫通溝である。拡張スリット12151はメインスリット12141に連通する。具体的には、拡張スリット12151は、メインスリット12141に対して、サブスリット12142と反対側の側方、すなわち一対のアクチュエータが向かい合う中央側に向けて、所定幅拡張する。なお、第2マニフォールド1215の開口部の天井部にはダンパー127が設けられ、供給路1211の天井部はダンパー127によって覆われる。なお、説明のため、第2マニフォールド1215の内部に形成される孔や溝の一部は、
図8の流路形状として、その位置及び形状を示している。
【0049】
また、第2マニフォールド1215には、
図8に流路形状を示すように、拡張スリットの一端側に連通し、排出路1212の一部を形成する、排出孔12153が形成される。
【0050】
また、第2マニフォールド1215は、
図8に流路形状を示すように、第1冷却流路1213の一部を形成する冷却孔12154を長手方向の両端にそれぞれ有する。一方の冷却孔12154は、一対のヘッド本体11の一対の第1マニフォールド1214にそれぞれ形成される一対の冷却溝12145の端部と、冷却水供給管125と、に連通し、第1冷却流路1213の一部を形成する。他方の冷却孔12154は、一対のヘッド本体11の一対の第1マニフォールド1214の一対の冷却溝12145の端部と、冷却水排出管126に連通し、冷却流路1213を形成する。
【0051】
これらの第1マニフォールド1214と、第2マニフォールド1215の開口、溝、孔によって、マニフォールド121に供給路1211、排出路1212、及び第1冷却流路1213が形成される。
【0052】
供給路1211は、インク供給管123及び基板111の供給口1111を流体的に接続する。供給路1211は、インク供給管123及び供給口1111の間の液体の流路である。供給路1211は、第1マニフォールド1214に形成されたメインスリット12141及びサブスリット12142と、第2マニフォールド1215に形成される拡張スリット12151とにより所定形状に形成される。
【0053】
供給路1211は、発熱部を通る位置に配置される。具体的には、アクチュエータ113の側部を通って配置される。
【0054】
供給路1211は、圧力室1131に連通するとともに長手方向がノズル列に沿って配置されるメイン流路部1216(第1流路)と、メイン流路部1216に接続されるとともにメイン流路部1216の長手方向に沿って並列に配置されるサブ流路部1217(第2流路)と、を有する。
【0055】
メイン流路部1216は、アクチュエータ113の長手方向に沿って延びる方体状の液室であり、供給口1111に連通する。メイン流路部1216は例えばアクチュエータ113の側部を通って配置される。
【0056】
サブ流路部1217は、メイン流路部1216の側部に沿って延びるとともに、所定箇所で屈曲してメイン流路部1216の合流位置PB(合流部)に至る流路を形成する。サブ流路部1217は、供給管123に接続される。すなわち供給管123からの液体はサブ流路部1217を通ってメイン流路部1216に供給される。
【0057】
このような供給路1211において、液体は、供給管123が接続される端部である供給位置PAから、サブ流路部1217の合流位置PBを回り、メイン流路部1216に流れ込む。そして、メイン流路部1216において、液体は、合流位置PBから、両端位置PC,PDに向けて供給される。
【0058】
なお、サブ流路部1217がメイン流路部1216に合流する合流位置PBは、長手方向において、有効領域RAの両端10%を除く中央領域RBに設けられる。例えば有効領域RAは、ノズル列1142における吐出対象のノズル114が配置される領域、あるいは駆動対象の圧力室1131が配置される領域とする。すなわち第1方向においてサブ流路部1217はメイン流路部1216よりも短い範囲に設定される。
【0059】
また、サブ流路部1217がメイン流路部1216に接続される合流位置PBは、ノズル列方向の長手方向において、中央よりも、供給位置PAとは反対側の領域に配置される。すなわち、液体は、供給位置PAがある一端側から、長手方向中央を超えて他端側の合流位置PBを回って、メイン流路部1216及び供給口1111を経て共通液室1161に供給され、共通液室1161から各圧力室1131へ供給される。
【0060】
例えば、本実施形態において、一対のヘッド本体11が、同じ部材を用いて、互い違いに、組付けられている。そして、一対のヘッド本体11は、供給路1211の方向が長手方向において互いに逆向きに配列される。つまり、一対のヘッド本体11において、供給位置PAは互いに長手方向中心に対して反対側に配置されるとともに、合流位置PBは互いに長手方向中心に対して反対側に配置される。すなわち、一方のヘッド本体11においては、一端側の供給位置PAから、他端側の中央領域RBにある合流位置PBを通り、もう一方のヘッド本体11においては、反対に、他端側の供給位置PAから、一端側の中央領域RBにある合流位置PBを通って、液体がメイン流路部1216に流れこむことになる。
【0061】
排出路1212は、孔や溝によってマニフォールド121に形成される流路である。排出路1212は、例えば、インク排出管124に流体的に接続される。
【0062】
第1冷却流路1213は、孔や溝によってマニフォールド121に形成される流路である。例えば第1冷却流路1213は、マニフォールド121の基板111の裏面に対向する主面に形成される溝12145を有し、当該溝12145の開口が基板111によって覆われることで所定の流路が形成される。第1冷却流路1213は、第1冷却水供給管125及び第1冷却水排出管126を流体的に接続し、液体吐出部であるヘッド本体11を冷却する。
【0063】
一例として第1冷却流路1213は、各アクチュエータ113に対して1つずつ、形成される。例えば、第1冷却流路1213は、基板111において、供給口1111が形成される中央側とは反対側の外側の側部に、それぞれ形成され、アクチュエータ113の長手方向に沿って延びる。第1冷却流路1213は、冷却水供給管125及び冷却水排出管126を流体的に接続する。
【0064】
第1冷却流路1213の一次側及び二次側の両端は、マニフォールド121の一方の主面に設けられた第1冷却水供給管125及び第1冷却水排出管126にそれぞれ接続される。第1冷却流路1213は、マニフォールド121に固定される基板111と熱交換が可能に形成される。
【0065】
天板122は、マニフォールド121の基板111が設けられる面とは反対の面に設けられる。天板122は、インク供給管123、インク排出管124、第1冷却水供給管125及び第1冷却水排出管126をマニフォールド121の供給路1211、排出路1212及び第1冷却流路1213と連通させる開口を有する。
【0066】
例えば、天板122は、2つの板状部材により形成される。一方の板状部材にインク供給管123及びインク排出管124の一方、並びに、第1冷却水供給管125及び第1冷却水排出管126の一方が設けられる。また、他方の板状部材にインク供給管123及びインク排出管124の他方、並びに、第1冷却水供給管125及び第1冷却水排出管126の他方が設けられる。
【0067】
インク供給管123は、供給路1211に接続される。インク排出管124は、排出路1212に接続される。本実施形態において液体吐出ヘッド1は、ヘッド本体11を一対備えることから、インク供給管123及びインク排出管124は、それぞれ一対設けられる。第1冷却水供給管125及び第1冷却水排出管126は、第1冷却流路1213の一次側及び二次側に接続される。
【0068】
ダンパー127は、弾性変形可能な薄膜状又はシート状に形成される。
図6に示すように、ダンパー127は、第2マニフォールド1215に形成された供給路1211の天井部を覆う。ダンパー127は、供給路1211の圧力変動に応じて弾性変形する。ダンパー127は、一方の面が供給路1211と対向する。
【0069】
具体例として、ダンパー127は、ポリイミド製フィルムにより形成される。ダンパー127は、一方向(第1方向X)に長い供給路1211の天井部の開口の長手方向(第1方向X)と同方向に長い、矩形状に形成される。
【0070】
カバー15は、例えば、一対のヘッド本体11の側面、及びマニフォールドユニット12を覆う外郭体151と、一対のヘッド本体11のノズルプレート114側の一部を覆うマスクプレートと、を備える。
【0071】
また、外郭体151は、例えば、マニフォールドユニット12のうちインク供給管123、インク排出管124、冷却水供給管125及び冷却水排出管126を、外部に露出させる。
【0072】
マスクプレートは、一対のヘッド本体11のうち、複数のノズル1141及びノズルプレート114の複数のノズル1141の周囲を除く部位を覆う。
【0073】
このように構成された液体吐出ヘッド1は、ヘッド本体11に、各圧電体1133に駆動電圧をそれぞれ個別に印加できる複数の個別電極118、及び、全ての圧電体1133に駆動電圧を印加できる共通電極119を有する。
【0074】
このため、液体吐出ヘッド1は、複数の圧力室1131を選択的に、個別に、又は、共通して駆動することができる。そして、圧力室1131が駆動すると、圧力室1131がシェアモード変形し、圧力室1131内に供給されたインクが加圧される。よって、液体吐出ヘッド1は、加圧されたインクを、圧力室1131に対向するノズル1141から選択的に吐出することができる。
【0075】
また、共通電極119は、基板111のアクチュエータ113の表面115、アクチュエータ113の傾斜面1134及び空気室1132内面に加えて、基板111に形成された供給口1111の内周面にも形成される。
【0076】
液体吐出ヘッド1は、マニフォールドユニット12によって、液体吐出部であるヘッド本体11を冷却する。第2冷却水供給管133から供給された冷却水は、第1冷却流路1213を通り、第2冷却水排出管134から排出される。そして、第1冷却流路1213を流れる冷却水がヘッド本体11を冷却する。
【0077】
以下、液体吐出ヘッド1を有する液体吐出装置2について、
図11を参照して説明する。液体吐出装置2は、筐体2111と、媒体供給部2112と、画像形成部2113と、媒体排出部2114と、支持装置である搬送装置2115と、メンテナンス装置2117と、制御部2118と、を備える。また、液体吐出装置2は、液体吐出ヘッド1に供給するインクの温度を調整する冷却装置を備えている。
【0078】
液体吐出装置2は、媒体供給部2112から画像形成部2113を通って媒体排出部2114に至る所定の搬送路2001に沿って、吐出対象物である記録媒体として例えば用紙Pを搬送しながらインク等の液体を吐出することで、用紙Pに画像形成処理を行うインクジェットプリンタである。
【0079】
媒体供給部2112は複数の給紙カセット21121を備える。画像形成部2113は、用紙を支持する支持部2120と、支持部2120の上方に対向配置された複数のヘッドユニット2130と、を備える。媒体排出部2114は、排紙トレイ21141を備える。
【0080】
支持部2120は、画像形成を行う所定領域にループ状に備えられる搬送ベルト21201と、搬送ベルト21201を裏側から支持する支持プレート21202と、搬送ベルト21201の裏側に備えられた複数のベルトローラ21203と、を備える。
【0081】
ヘッドユニット2130は、複数のインクジェットヘッドである液体吐出ヘッド1と、各液体吐出ヘッド1上にそれぞれ搭載された液体タンクとしての複数の供給タンク2132と、インクを供給するポンプ2134と、液体吐出ヘッド1と供給タンク2132とを接続する接続流路2135と、を備える。
【0082】
本実施形態において、液体吐出ヘッド1としてシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色の液体吐出ヘッド1と、これらの各色のインクをそれぞれ収容する4色の供給タンク2132を備える。供給タンク2132は接続流路2135によって液体吐出ヘッド1に接続される。
【0083】
ポンプ2134は、例えば圧電ポンプで構成される送液ポンプである。ポンプ2134は、制御部2118に接続され、制御部2118により駆動制御される。
【0084】
接続流路2135は、液体吐出ヘッド1のインク供給管123に接続される供給流路を備える。また、接続流路2135は、液体吐出ヘッド1のインク排出管124に接続される回収流路を備える。例えば、液体吐出ヘッド1が非循環式の場合には、回収回路は、メンテナンス装置2117に接続され、液体吐出ヘッド1が循環式の場合には、回収流路は、供給タンク2132に接続される。
【0085】
搬送装置2115は、媒体供給部2112の給紙カセット21121から画像形成部2113を通って媒体排出部2114の排紙トレイ21141に至る搬送路2001に沿って、用紙Pを搬送する。搬送装置2115は、搬送路2001に沿って配置される複数のガイドプレート対21211~21218と、複数の搬送用ローラ21221~21228と、を備えている。搬送装置2115は、用紙Pを液体吐出ヘッド1に相対移動可能に支持する。
【0086】
冷却装置2116は、冷却水タンク21161、冷却水を供給する配管やチューブ等の冷却用回路21162、冷却水を供給するポンプ及び冷却水の温度を調整する冷却器等を有する。冷却装置2116は、冷却器で所定の温度に調整した冷却水タンク21161の冷却水を、ポンプの送水によって冷却用回路21162を介して第2冷却水供給管133に供給する。また、冷却装置2116は、第1冷却流路1213及び第2冷却流路1312を通って第2冷却水排出管134から排出された水を、冷却用回路21162を介して冷却水タンク21161に回収する。なお、冷却器は、例えば、クーラーである。
【0087】
メンテナンス装置2117は、例えば、メンテナンス時にノズルプレート114の外面に残存するインクを吸引し、回収する。また、液体吐出ヘッド1が非循環式である場合には、メンテナンス装置2117は、メンテナンス時に、ヘッド本体11内のインクを回収する。このようなメンテナンス装置2117は、回収したインクを貯留するトレイやタンク等を有する。
【0088】
制御部2118は、プロセッサの一例としてのCPU21181と、各種のプログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)、各種の可変データや画像データなどを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等のメモリと、外部からのデータの入力及び外部へのデータの出力をするインターフェイス部と、を備える。
【0089】
このように構成された液体吐出ヘッド1及び液体吐出装置2によれば、アクチュエータ113などの発熱部領域を通過する流路を複数本設けることにより、冷却効果を向上できる。本実施形態においてマニフォールド121の供給路1211はアクチュエータ113が配置される領域である発熱部領域を通る配置であり、アクチュエータ113の駆動発熱部近傍の熱を迅速に移動させることができる。また、メイン流路部1216とサブ流路部1217の合流位置PBを中央領域RBに設けることにより、冷却効果をより向上させることができる。そして、サブ流路部1217の供給位置PAと合流位置PBが、メイン流路部1216に対して、一端側と他端側にそれぞれ配置される構成とすることで、液体を吐出した際に、列方向で温度差が生じることを抑制でき、印字品質を良好に保つことができる。
【0090】
また、本実施形態において、一対のヘッド本体11は、流路が逆向きとなるように、組付けられており、一方のヘッド本体11では、一端側から、他端側の領域にある合流位置を通って、もう一方のヘッド本体11では、反対に、他端側から、一端側の領域にある合流位置を通って、液体がメイン流路部1216に流れこむことになる。
図9は本実施形態にかかる液体吐出ヘッド1の熱分布を示すグラフであり、
図10は、比較例として、サブ流路部を備えない液体吐出ヘッドの熱分布を示すグラフである。
図9、
図10は4列のノズル列1142のY方向の一方の端部の列11421と、他方の端部の列11422の2列について、長手方向の等間隔の10箇所で、それぞれ温度を測定した結果を示す。
【0091】
例えば比較例にかかる液体吐出ヘッドは、一対のアクチュエータの中央を通る一本の供給路を有する。
図9及び
図10において、横軸はノズル列方向の位置を示し、縦軸は一対のヘッド本体のアクチュエータ113の温度分布を示す。
図9及び
図10によれば、本実施形態にかかる液体吐出ヘッド1のようにサブ流路部1217を形成することで、アクチュエータ113の部位による熱分布を均一化し、部位ごとの温度を小さくすることができる。このため、温度管理がしやすく、バランスのよい印字性能が得られる。
【0092】
すなわち、
図10に示す比較例の構成では、インクの供給側から排出側に向かって熱を運ぶことになり、高温側と低温側の熱バランスがクロスする関係となっている。この状態で液体を吐出すると、複数列の印字精度は均一にならず印字不良の原因となり得る。
【0093】
これに対して
図9に示す本実施形態の構成では、マニフォールド12の供給路1211は発熱部領域を通る配置であり、アクチュエータ113の駆動発熱部近傍の熱を迅速に移動させることができる。
【0094】
合流位置PBがメイン流路部1216の端部である場合、圧力損失が大きくなり抵抗が大きくなり、吐出バランスが均一にならない。また、合流位置PBがメイン流路部1216の中央であると、冷却効果が低くなる。これに対して、合流位置PBを、有効領域RAの両端10%を除く中央領域RBのうち、中心よりも供給位置PAとは反対側の位置に配置したことで、流体抵抗を抑えるとともに、適度な流路長さを確保することができる。したがって、常温あるいは比較的低温で供給されるインクに対して、マニフォールドに備えている冷却様流路の範囲でインクを適正温度に温めることができる。したがって、安定したインク吐出を実現できる配置となる。
【0095】
また、上記実施形態において、幅広の拡張スリット12151を形成することで、共通液室の容量を確保できる。
【0096】
なお、本発明の実施形態は上述した構成に限定されない。
【0097】
例えば上述した例において、一対のアクチュエータ113の間に長孔である供給口1111が配置さる例を示したが、これに限られるものではなく、供給口1111の形状、数、及び配置は適宜設定可能である。また、基板111の所定箇所に排出口が設けられていてもよい。
例えば、上述した例では、メイン流路に対して、供給孔の反対側の側部に並列に流れるサブ流路を1つずつ有する例を示したが、これに限られるものではない。例えば1つのメイン流路に対して両側部に、一対のサブ流路が配置される構成としてもよい。また、一対のサブ流路は、例えば供給位置と合流位置がノズル列方向において逆側に配置される。
【0098】
上述した例では、マニフォールド12が二つの第1マニフォールド1214及び第2マニフォールド1215によって構成される例を示したが、これに限られるものではなく、1つの部材で構成されていてもよい。また、メイン流路部1216について第2マニフォールド1215の流路の幅が拡張する例としたがこれに限られるものではなく、同じ幅であってもよい。
【0099】
例えば、上述した例では、液体吐出ヘッド1は、一対のヘッド本体11を設ける構成を説明したがこれに限定されず、一つのヘッド本体11を有する構成としてもよい。また、ヘッド本体11は、一対のアクチュエータ113を設ける構成を説明したが、これに限定されない。例えば、ヘッド本体11は、一つのアクチュエータ113を有する構成としてもよい。
【0100】
また、上述した例では、液体吐出ヘッド1は、非循環式の例を説明したが循環式でもよい。
【0101】
また、上記実施形態においては、一例として、圧力室1131の一方側が供給側であり、他方側が排出側であり、インクが圧力室1131の一方側から流入して他方側から流出するインクジェットヘッドを例示したがこれに限られるものではない。例えば圧力室1131の両側の共通液室が供給側であって、両側からインクが流入する構成であってもよい。また供給側と排出側が逆であってもよく、あるいは切り替え可能に構成されていてもよい。
【0102】
また、上記実施形態においては、サイドシュータタイプのインクジェットヘッドを例示したが、これに限られるものではなく、エンドシュータタイプであってもよい。
【0103】
また、例えば、吐出する液体は印字用のインクに限られるものではなく、例えばプリント配線基板の配線パターンを形成するための導電性粒子を含む液体を吐出する装置等であってもよい。
【0104】
また、上記実施形態において、インクジェットヘッドは、インクジェットプリンタ等の液体吐出装置に用いられる例を示したが、これに限られるものではなく、例えば3Dプリンタ、産業用の製造機械、医療用途にも用いることが可能であり、小型軽量化及び低コスト化が可能である。
【0105】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、基板の端面に共通電極が形成されているため、高い印字品質を確保できる。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
1…液体吐出ヘッド、2…液体吐出装置、11…ヘッド本体、12…マニフォールドユニット、15…カバー、111…基板、112…枠体、113…アクチュエータ、114…ノズルプレート、115…表面、116…共通液室、118…個別電極、119…共通電極、121…マニフォールド、122…天板、123…インク供給管、124…インク排出管、125…冷却水供給管、126…冷却水排出管、127…ダンパー、133…冷却水供給管、134…冷却水排出管、142…ノズル列、143…プリント配線基板、151…外郭体、1111…供給口、1131…圧力室、1132…空気室、1133…圧電体、1134…傾斜面、1141…ノズル、1142…ノズル列、1161…第1共通液室、1162…第2共通液室、1211…供給路、1212…排出路、1213…第1冷却流路、1214…第1マニフォールド、1215…第2マニフォールド、1216…メイン流路部、1217…サブ流路部、1312…第2冷却流路、1314…開口、2001…搬送路、2111…筐体、2112…媒体供給部、2113…画像形成部、2114…媒体排出部、2115…搬送装置、2116…冷却装置、2117…メンテナンス装置、2118…制御部、2120…支持部、2130…ヘッドユニット、2132…供給タンク、2134…ポンプ、2135…接続流路、12141…メインスリット、12142…サブスリット、12143…直線部、12144…連結部、12145…冷却溝、12146…開口、12151…拡張スリット、12153…排出孔、12154…冷却孔、21121…給紙カセット、21141…排紙トレイ、21161…冷却水タンク、21162…冷却用回路、21181…CPU、21201…搬送ベルト、21202…支持プレート、21203…ベルトローラ、21211~21218…ガイドプレート対、21221~21228…搬送用ローラ。