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特開2024-129537車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129537
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/037 20060101AFI20240919BHJP
   B60H 1/00 20060101ALN20240919BHJP
【FI】
B60R16/037
B60H1/00 103Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038823
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智裕
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA60
3L211DA85
3L211EA25
3L211FB04
3L211FB16
(57)【要約】
【課題】車載機器に対するユーザごとの設定を好適に登録、管理することができる車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】車両のユーザが所望する車両に搭載されている車載機器の設定に関する設定情報がユーザごとに紐付けられているユーザ設定情報を記憶する記憶部と、ユーザ設定情報の設定情報が示す設定値を、対応する車載機器に設定する設定部と、車載機器から現在の設定値である現在設定値を取得し、ユーザ設定情報の設定値を、取得した現在設定値に更新する更新部と、を備え、設定部は、車両を今回使用するユーザとして選択された使用ユーザに対応するユーザ設定情報である使用ユーザ設定情報の設定値を、前回の設定を再現する再現設定値として車載機器に設定し、更新部は、使用ユーザ設定情報において、再現設定値として車載機器に設定した設定値を、取得した現在設定値に更新する、車載機器設定装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のユーザごとに、前記車両に搭載されている車載機器の設定に関する設定情報を紐付ける車載機器設定装置であって、
前記ユーザが所望する前記設定情報が前記ユーザごとに紐付けられているユーザ設定情報を記憶する記憶部と、
前記ユーザ設定情報に紐付けられている前記設定情報が示す設定値を、対応する前記車載機器に設定する設定部と、
前記車載機器から、現在設定されている設定値である現在設定値を取得し、前記ユーザ設定情報に紐付けられている前記設定情報が示す前記設定値を、取得した前記現在設定値に更新する更新部と、
を備え、
前記設定部は、前記車両を今回使用する前記ユーザとして選択された使用ユーザに対応する前記ユーザ設定情報である使用ユーザ設定情報に紐付けられている前記設定情報が示す前記設定値を、対応する前記車載機器における前回の設定を再現する再現設定値として、対応する前記車載機器に設定し、
前記更新部は、前記使用ユーザ設定情報に紐付けられている前記設定情報において、前記再現設定値として対応する前記車載機器に設定した前記設定値を、取得した前記現在設定値に更新する、
車載機器設定装置。
【請求項2】
前記車載機器との間で通信を行う通信部、をさらに備え、
前記更新部は、前記通信部を介して前記現在設定値を取得する、
請求項1に記載の車載機器設定装置。
【請求項3】
前記更新部は、前記設定部によって対応する前記車載機器への前記再現設定値の設定が完了した後に、前記現在設定値を取得し、前記再現設定値として対応する前記車載機器に設定した前記設定値を、取得した前記現在設定値に更新する、
請求項2に記載の車載機器設定装置。
【請求項4】
前記更新部は、前記使用ユーザによる前記車載機器に対する操作によって前記現在設定値が変更された場合に、変更された前記現在設定値である変更設定値を取得し、前記再現設定値として対応する前記車載機器に設定した前記設定値を、取得した前記変更設定値に更新する、
請求項2または請求項3に記載の車載機器設定装置。
【請求項5】
前記更新部は、取得できない前記現在設定値がある場合、前記取得できない前記現在設定値の再度の取得を繰り返す、
請求項4に記載の車載機器設定装置。
【請求項6】
前記再現設定値は、前記設定値が初期値の状態である、あるいは、前記設定値が設定されていない未設定の状態である前記設定値を含む、
請求項5に記載の車載機器設定装置。
【請求項7】
車両のユーザごとに、前記車両に搭載されている車載機器の設定に関する設定情報を紐付ける車載機器設定装置のコンピュータが、
記憶部に記憶された、前記ユーザが所望する前記設定情報が前記ユーザごとに紐付けられているユーザ設定情報のうち、前記車両を今回使用する前記ユーザとして選択された使用ユーザに対応する前記ユーザ設定情報である使用ユーザ設定情報に紐付けられている前記設定情報が示す設定値を、対応する前記車載機器における前回の設定を再現する再現設定値として、対応する前記車載機器に設定し、
前記車載機器から、現在設定されている前記設定値である現在設定値を取得し、
前記使用ユーザ設定情報に紐付けられている前記設定情報において、前記再現設定値として対応する前記車載機器に設定した前記設定値を、取得した前記現在設定値に更新する、
車載機器設定方法。
【請求項8】
車両のユーザごとに、前記車両に搭載されている車載機器の設定に関する設定情報を紐付ける車載機器設定装置のコンピュータに、
記憶部に記憶された、前記ユーザが所望する前記設定情報が前記ユーザごとに紐付けられているユーザ設定情報のうち、前記車両を今回使用する前記ユーザとして選択された使用ユーザに対応する前記ユーザ設定情報である使用ユーザ設定情報に紐付けられている前記設定情報が示す設定値を、対応する前記車載機器における前回の設定を再現する再現設定値として、対応する前記車載機器に設定させ、
前記車載機器から、現在設定されている前記設定値である現在設定値を取得させ、
前記使用ユーザ設定情報に紐付けられている前記設定情報において、前記再現設定値として対応する前記車載機器に設定させた前記設定値を、取得させた前記現在設定値に更新させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載されている種々の車載機器を動作させるための設定を、車両のユーザごとに設定する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。さらに、近年では、例えば、スマートキーなどの無線通信式の携帯キーと連動し、車載機器の設定を、携帯キーを携帯しているユーザに合わせて設定することも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-152073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、例えば、空調装置における温度や風量などの設定値をユーザに紐付けられた個人設定とする場合、車両が備える設定装置に新規のユーザが登録されたときや、すでに登録されているユーザが選択されたときに、設定装置が、空調装置に現在設定されている設定値を取得して、新規のユーザの個人設定として登録、選択されたユーザの個人設定の更新を行っている。しかしながら、設定装置は、新規のユーザの登録時や、登録済みのユーザの選択時に、何らかの要因によって空調装置から現在の設定値を取得することができないことも考えられる。この場合、ユーザが空調装置に対して設定を変更する操作を行わなければ、個人設定は、初期値、あるいは以前の設定値から更新されないことになってしまう。このように、従来の技術では、個人設定の更新が阻害される場合についての考慮が成されていなかった。つまり、従来の技術では、必ずしもユーザにとって利便性が向上するものとは限らない場合があった。
【0005】
本発明は、上記の課題認識に基づいてなされたものであり、車載機器に対するユーザごとの設定を好適に登録、管理することができる車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとしている。つまり、本発明は、ユーザに合わせた車載機器の設定を登録することにより、利便性の向上を目的としたものである。そして、延いては交通の安全性をより一層改善して持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る車載機器設定装置は、車両のユーザごとに、前記車両に搭載されている車載機器の設定に関する設定情報を紐付ける車載機器設定装置であって、前記ユーザが所望する前記設定情報が前記ユーザごとに紐付けられているユーザ設定情報を記憶する記憶部と、前記ユーザ設定情報に紐付けられている前記設定情報が示す設定値を、対応する前記車載機器に設定する設定部と、前記車載機器から、現在設定されている設定値である現在設定値を取得し、前記ユーザ設定情報に紐付けられている前記設定情報が示す前記設定値を、取得した前記現在設定値に更新する更新部と、を備え、前記設定部は、前記車両を今回使用する前記ユーザとして選択された使用ユーザに対応する前記ユーザ設定情報である使用ユーザ設定情報に紐付けられている前記設定情報が示す前記設定値を、対応する前記車載機器における前回の設定を再現する再現設定値として、対応する前記車載機器に設定し、前記更新部は、前記使用ユーザ設定情報に紐付けられている前記設定情報において、前記再現設定値として対応する前記車載機器に設定した前記設定値を、取得した前記現在設定値に更新する、車載機器設定装置である。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記車載機器設定装置は、前記車載機器との間で通信を行う通信部、をさらに備え、前記更新部は、前記通信部を介して前記現在設定値を取得するものである。
【0008】
(3):上記(2)の態様において、前記更新部は、前記設定部によって対応する前記車載機器への前記再現設定値の設定が完了した後に、前記現在設定値を取得し、前記再現設定値として対応する前記車載機器に設定した前記設定値を、取得した前記現在設定値に更新するものである。
【0009】
(4):上記(2)または(3)の態様において、前記更新部は、前記使用ユーザによる前記車載機器に対する操作によって前記現在設定値が変更された場合に、変更された前記現在設定値である変更設定値を取得し、前記再現設定値として対応する前記車載機器に設定した前記設定値を、取得した前記変更設定値に更新するものである。
【0010】
(5):上記(4)の態様において、前記更新部は、取得できない前記現在設定値がある場合、前記取得できない前記現在設定値の再度の取得を繰り返すものである。
【0011】
(6):上記(5)の態様において、前記再現設定値は、前記設定値が初期値の状態である、あるいは、前記設定値が設定されていない未設定の状態である前記設定値を含むものである。
【0012】
(7):この発明の一態様に係る車載機器設定方法は、車両のユーザごとに、前記車両に搭載されている車載機器の設定に関する設定情報を紐付ける車載機器設定装置のコンピュータが、記憶部に記憶された、前記ユーザが所望する前記設定情報が前記ユーザごとに紐付けられているユーザ設定情報のうち、前記車両を今回使用する前記ユーザとして選択された使用ユーザに対応する前記ユーザ設定情報である使用ユーザ設定情報に紐付けられている前記設定情報が示す設定値を、対応する前記車載機器における前回の設定を再現する再現設定値として、対応する前記車載機器に設定し、前記車載機器から、現在設定されている前記設定値である現在設定値を取得し、前記使用ユーザ設定情報に紐付けられている前記設定情報において、前記再現設定値として対応する前記車載機器に設定した前記設定値を、取得した前記現在設定値に更新する、車載機器設定方法である。
【0013】
(8):この発明の一態様に係るプログラムは、車両のユーザごとに、前記車両に搭載されている車載機器の設定に関する設定情報を紐付ける車載機器設定装置のコンピュータに、記憶部に記憶された、前記ユーザが所望する前記設定情報が前記ユーザごとに紐付けられているユーザ設定情報のうち、前記車両を今回使用する前記ユーザとして選択された使用ユーザに対応する前記ユーザ設定情報である使用ユーザ設定情報に紐付けられている前記設定情報が示す設定値を、対応する前記車載機器における前回の設定を再現する再現設定値として、対応する前記車載機器に設定させ、前記車載機器から、現在設定されている前記設定値である現在設定値を取得させ、前記使用ユーザ設定情報に紐付けられている前記設定情報において、前記再現設定値として対応する前記車載機器に設定させた前記設定値を、取得させた前記現在設定値に更新させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
上述した(1)~(8)の態様によれば、車載機器に対するユーザごとの設定を好適に登録、管理することができる車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る車載機器設定装置の構成および使用環境の一例を示す図である。
図2】実施形態の車載機器設定装置において設定する車載機器の操作環境の一例を示す図である。
図3】実施形態の車載機器設定装置においてユーザ設定情報を更新する処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図4】実施形態の車載機器設定装置が更新するユーザ設定情報の一例を示す図である。
図5】実施形態の車載機器設定装置においてユーザ設定情報を更新する別の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図6】実施形態の車載機器設定装置が更新するユーザ設定情報の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0017】
図1は、実施形態に係る車載機器設定装置の構成および使用環境の一例を示す図である。車載機器設定装置100は、車両Mに搭載されている車載機器200の設定や制御を行う装置である。図1には、車載機器200の一例として、空調システム202を示している。
【0018】
空調システム202は、例えば、エア・コンディショナー(air conditioner)などの空調装置であり、ユーザによって、温度や風量などが設定、制御される。図1には、ユーザが空調システム202の設定や制御を変更するための操作装置300として、ダイヤル302と、ボタン304とのそれぞれを備えている場合の一例を示している。ダイヤル302は、例えば、空調システム202に近接した位置に配置され、ユーザが回転させることによって空調システム202の設定や制御を行うものである。ボタン304は、例えば、空調システム202に近接した位置に配置され、ユーザが押下することによって空調システム202の設定や制御を行うものである。空調システム202は、ユーザによるダイヤル302やボタン304の操作に応じた設定や制御の状態を、通知装置400によってユーザに通知する。図1には、通知装置400として、表示部402を備えている場合の一例を示している。表示部402は、ダイヤル302やボタン304に近接した位置に配置され、ユーザがダイヤル302やボタン304を操作することによって空調システム202の設定や制御の状態が変更される様子を視覚的にユーザに通知する。空調システム202は、ユーザによって設定や制御の状態が変更されると、変更された設定値の情報を、車載機器設定装置100に出力する。
【0019】
図1では、車両Mに搭載されている車載機器200として空調システム202を示したが、車載機器200は、空調システム202に限定されるものでない。つまり、車両Mが備える車載機器200としては、空調システム202に代えて、または加えて、他の車載機器を含んでもよい。この場合、他の車載機器も、ユーザによって設定や制御の状態が変更されると、変更された設定値の情報を、車載機器設定装置100に出力する。
【0020】
車載機器設定装置100は、車両Mが備える車載機器200(ここでは、空調システム202)により出力された設定値を、ユーザごとに管理する。つまり、車載機器設定装置100は、ユーザが操作装置300を操作することによって設定や制御の状態を変更したときの空調システム202の設定値を、空調システム202の設定や制御を変更したユーザに紐付けて管理する。
【0021】
このため、車載機器設定装置100は、空調システム202の設定や制御を変更した、あるいは変更する可能性があるユーザを認識(特定)する。このユーザを認識(特定)する処理は、例えば、車両Mにおいて種々の動作(車載機器200の動作を含む)を制御する、不図示の車載機器制御装置が行う。図1には、空調システム202の設定や制御を変更した、あるいは変更する可能性があるユーザを認識(特定)するためのインターフェース装置500として、ディスプレイ502と、入力部504とのそれぞれを備えている場合の一例を示している。インターフェース装置500は、例えば、車両Mの車幅方向の中央付近のセンターコンソール内、あるいはダッシュボードの上部に配置され、ディスプレイ502と入力部504と組み合わせによって、タッチパネルとして構成されている。ディスプレイ502は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)などの表示装置を備える。入力部504は、例えば、ディスプレイ502の画面に対するユーザの操作を検出する押圧センサなどの検出装置を備える。不図示の車載機器制御装置は、車両Mにユーザが乗車した際に、車両Mのユーザを選択するための選択ボタンが配置された選択画面をディスプレイ502に表示させ、ユーザがディスプレイ502の画面上で選択ボタンに対して操作(例えば、タップ操作や、長押し操作など)を行うことによって、今回車両Mに乗車しているユーザを認識(特定)する。不図示の車載機器制御装置は、例えば、スマートキーなどの無線通信式の携帯キーと連動し、携帯キーを携帯しているユーザが車両Mに乗車した際に、携帯キーに関連付けられているユーザを、今回車両Mに乗車しているユーザとして認識(特定)してもよい。車載機器設定装置100は、不図示の車載機器制御装置が認識(特定)したユーザの情報を取得する。車載機器設定装置100は、取得したユーザの情報が表すユーザと空調システム202の設定値とを紐付けることによって、空調システム202の設定値をユーザごとに管理する。
【0022】
図2は、実施形態の車載機器設定装置100において設定する車載機器200(空調システム202)の操作環境の一例を示す図である。図2には、操作装置300が備えるダイヤル302として、ダイヤル302D、ダイヤル302P、およびダイヤル302Vと、操作装置300が備えるボタン304として、ボタン304W、およびボタン304Fとのそれぞれを配置している一例を示している。さらに、図2には、通知装置400が備える表示部402として、表示部402D、表示部402P、表示部402V、表示部402W、および表示部402Fのそれぞれを配置している一例を示している。
【0023】
ダイヤル302Dは、ユーザが回転させることによって空調システム202が調整する車両Mの運転席側の温度を設定(変更)するための温度設定ダイヤルであり、ユーザがダイヤル302Dを操作して設定(変更)した温度を表示部402Dが表示することによってユーザに通知する。ダイヤル302Pは、ユーザが回転させることによって空調システム202が調整する車両Mの助手席側の温度を設定(変更)するための温度設定ダイヤルであり、ユーザがダイヤル302Pを操作して設定(変更)した温度を表示部402Pが表示することによってユーザに通知する。ダイヤル302Vは、ユーザが回転させることによって空調システム202が調整した空気(風)を車両Mの車室内に送り出す際の風量を設定(変更)するための風量設定ダイヤルであり、ユーザがダイヤル302Vを操作して設定(変更)した風量を表示部402Vが表示することによってユーザに通知する。ボタン304Wは、ユーザが押下することによって空調システム202が調整した空気(風)を車両Mの車室内に送り出す方向(風向き)を切り換える(変更する)ための風向き切り替えボタンである。ボタン304Wによって切り換える風向きには、例えば、「顔」、「足元」、「顔および足元」などの方向がある。ユーザがボタン304Wを操作して切り換えた(変更した)風向きを表示部402Wが表示することによってユーザに通知する。ボタン304Fは、ユーザが押下することによって空調システム202が調整した空気(風)を車両Mの前方のフロント窓ガラスの方向に送り出す、いわゆる、デフロスターを作動させるか否かを選択するための風向き切り替えボタンである。ユーザがボタン304Fを操作してフロント窓ガラスの方向に空気(風)を送り出すことを選択した場合には、例えば、ボタン304F内に配置されたLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)などの発光素子で構成される表示部402Fを点灯させることによってユーザに通知する。
【0024】
そして、図2には、インターフェース装置500(ディスプレイ502および入力部504)を配置している一例を示し、車両Mのユーザを選択するための選択ボタンが配置された選択画面をディスプレイ502に表示させている状態の一例を示している。図2に示した選択画面の一例では、「ユーザA」、「ユーザB」、「ゲストユーザ」、および「新規登録」のそれぞれの選択ボタンを表示している。ユーザがいずれかの選択ボタンに対して操作することにより、今回車両Mに乗車しているユーザ(つまり、車両Mを今回使用するユーザ)を認識(特定)する。ここで、ユーザが「ユーザA」の選択ボタンを操作した場合には、過去に車両Mに乗車した際に登録したユーザAが、今回車両Mに乗車しているユーザとして認識(特定)される。ユーザが「ユーザB」の選択ボタンを操作した場合には、過去に車両Mに乗車した際に登録したユーザAとは異なるユーザBが、今回車両Mに乗車しているユーザとして認識(特定)される。ユーザが「ゲストユーザ」の選択ボタンを操作した場合には、今回車両Mに乗車しているユーザは、車両Mを通常使用しない(一時的に車両Mを使用する)ユーザとして認識(特定)される。ユーザが「新規登録」の選択ボタンを操作した場合には、過去に車両Mに乗車したことはないが、今後、車両Mを通常使用するユーザとして認識(特定)される。この場合、不図示の車載機器制御装置は、新規登録するユーザを識別するための登録名称(例えば、上記の「ユーザA」や「ユーザB」など)を入力するための入力画面をディスプレイ502に表示させ、入力画面に対するユーザの操作に基づいて、新規登録するユーザを識別するための登録名称の情報を登録する。車載機器設定装置100は、不図示の車載機器制御装置が登録した新規のユーザの情報(登録名称)を取得た場合、今回の新規のユーザを、新たに空調システム202の設定値を管理するユーザとして、空調システム202の設定値を紐付ける。
【0025】
図2に示した一例では、ユーザが操作装置300を操作することによって、空調システム202の設定や制御を変更する場合を示したが、空調システム202の設定や制御を変更する方法は、操作装置300を操作する方法に限定されるものでない。例えば、空調システム202の設定や制御を変更する操作を行うための、操作装置300や通知装置400と同様の機能が割り当てられた操作ボタンや通知領域などを配置した操作画面をディスプレイ502に表示させ、ユーザがディスプレイ502の画面上で操作ボタンに対して操作を行うことによって、空調システム202の設定や制御を変更するようにしてもよい。
【0026】
[車載機器設定装置の構成]
図1に戻り、車載機器設定装置100は、例えば、記憶部110と、通信部120と、設定部130と、更新部140と、を備える。
【0027】
設定部130と、更新部140とは、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサと、プログラム(ソフトウェア)を記憶した記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)とを備え、プロセッサがプログラムを実行することによりそれぞれの構成要素の機能が実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)などによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、専用のLSIによって実現されてもよい。ここで、プログラム(ソフトウェア)は、予め車載機器設定装置100が備えるROM(Read Only Memory)や、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体が車載機器設定装置100の備えるドライブ装置に装着されることで、車載機器設定装置100が備える記憶装置にインストールされてもよい。プログラム(ソフトウェア)は、他のコンピュータ装置からネットワークを介してダウンロードされて、車載機器設定装置100が備える記憶装置にインストールされてもよい。
【0028】
車載機器設定装置100は、車載機器200の設定値を管理するアプリケーション(以下、「設定値管理アプリケーション」という)を実行することにより、それぞれの車載機器200(ここでは、空調システム202)の設定値を、ユーザごとに管理する。以下の説明においては、設定部130と、更新部140との構成が、設定値管理アプリケーションを実行することにより、車両Mが備える空調システム202の設定値を、ユーザごとに管理するものとするが、それぞれの動作や処理は、設定部130あるいは更新部140のそれぞれが行うものとする。
【0029】
記憶部110には、例えば、ユーザ設定情報112が記憶される。ユーザ設定情報112は、ユーザごとに、車両Mが備える車載機器200に対するユーザが所望する設定に関する情報(以下、「設定情報」という)が紐付けられている情報である。設定情報には、車載機器200において設定や制御を変更することができる設定項目や、その設定項目の設定値を表す情報が含まれている。設定情報の初期状態では、設定項目の設定値として、初期値や未設定が対応付けられている。初期値は、例えば、車載機器200に対して予め定めた標準の値(デフォルト値)である。未設定は、例えば、設定値が設定されていないことを表すものである。ユーザ設定情報112の初期状態では、ユーザは紐付けられていない。ユーザ設定情報112は、例えば、ユーザが、自身を、車両Mを使用するユーザとして、不図示の車載機器制御装置に登録した場合に、記憶部110に記憶される。車両Mを使用するユーザが複数登録された場合、ユーザ設定情報112は、ユーザごとに設定情報が紐付けられて記憶される。
【0030】
ここで、ユーザ設定情報112の一例について説明する。図1には、記憶部110に記憶しているユーザ設定情報112の一例を示している。図1に示したユーザ設定情報112では、例えば、ユーザAに対応した空調システム202の設定情報として、「温度」の設定項目の設定値=「25℃」が対応付けられており、「風量」の設定項目の設定値=「5」が対応付けられており、「風向き」の設定項目の設定値=「顔」が対応付けられている。図1に示したユーザ設定情報112では、例えば、ゲストユーザに対応した空調システム202の設定情報として、「温度」の設定項目の設定値=「初期値」が対応付けられており、「風量」の設定項目の設定値=「初期値」が対応付けられており、「風向き」の設定項目の設定値=「初期値」が対応付けられている。ここで、「温度」の設定項目の初期値は、例えば、「25℃」である。「風量」の設定項目の初期値は、例えば、「3」である。「風向き」の設定項目の初期値は、例えば、「顔および足元」である。図1に示したユーザ設定情報112では、例えば、新規登録するユーザ(以下、「新規登録ユーザ」という)に対応した空調システム202の設定情報として、「温度」の設定項目の設定値=「初期値」が対応付けられており、「風量」の設定項目の設定値=「初期値」が対応付けられており、「風向き」の設定項目の設定値=「未設定」が対応付けられている。ここで、「温度」および「風量」の設定項目の初期値は、ゲストユーザの初期値と同じ設定値である。一方、「風向き」の設定項目の未設定は、例えば、空調システム202において「風向き」を設定していないことを表す。未設定は、例えば、空調システム202に現在設定されている設定値から変更しないことを表すものであってもよい。例えば、空調システム202において現在設定されている「風向き」の設定項目の設定値が、設定値=「足元」である場合、新規登録ユーザに対応する初期状態のユーザ設定情報112では、「風向き」の設定項目の設定値=「足元」を表すものであってもよい。
【0031】
通信部120は、車載機器200との間で通信を行う。通信部120は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信線などの多重通信線やシリアル通信線、無線通信網など、車両Mが備える車載機器200(ここでは、空調システム202)と通信を行うため通信インターフェースを備える。以下の説明においては、通信部120が、CAN通信によって空調システム202との間で通信を行うものとする。
【0032】
設定部130は、記憶部110に記憶されているユーザ設定情報112に基づいて車載機器200の設定を行う。より具体的には、設定部130は、記憶部110に今回車両Mに乗車しているユーザのユーザ設定情報112が記憶されている場合には、今回のユーザに対応するユーザ設定情報112に紐付けられている設定情報に示されたそれぞれの設定値を車載機器200に設定する。つまり、設定部130は、今回のユーザが、前回車両Mに乗車していたときの車載機器200の設定や制御を再現するために、記憶部110に記憶されているユーザ設定情報112に紐付けられている設定情報に示されたそれぞれの設定値(以下、「再現設定値」という)を、車載機器200に設定する。以下の説明においては、記憶部110に記憶されているユーザ設定情報112のうち、今回車両Mに乗車しているユーザ(つまり、過去に車両Mを使用した際に登録したユーザ)に対応するユーザ設定情報112を、「使用ユーザ設定情報112U」といって、記憶部110に記憶されている他のユーザ(つまり、今回車両Mを使用しないユーザ)に対応するユーザ設定情報112と区別する。そして、今回車両Mに乗車しているユーザ(今回車両Mを使用するユーザ)を「使用ユーザ」ともいう。
【0033】
更新部140は、通信部120を介して、空調システム202に設定されている現在の設定値を取得する。つまり、更新部140は、通信部120と空調システム202との間のCAN通信によって、空調システム202に設定されている現在の設定値(以下、「現在設定値」という)を取得する。より具体的には、更新部140は、例えば、設定部130がユーザ設定情報112(より具体的には、使用ユーザ設定情報112U)に基づいて車載機器200の設定を完了した後に、現在設定値を取得する。更新部140は、例えば、使用ユーザが操作装置300を操作して空調システム202の設定や制御が変更された場合に、変更された現在設定値を、新たな現在設定値(以下、「変更設定値」という)として取得する。使用ユーザによって空調システム202の設定や制御が変更されたか否かは、例えば、空調システム202や、操作装置300、不図示の車載機器制御装置からの通知を受けたか否かによって判定してもよい。
【0034】
そして、更新部140は、ユーザ設定情報112に紐付けられている設定情報に含まれるそれぞれの設定値(つまり、再現設定値)を、取得した現在設定値(変更設定値を含む)に更新する。より具体的には、更新部140は、使用ユーザ設定情報112Uに紐付けられている設定情報に含まれるそれぞれの設定値を、取得した現在設定値や変更設定値に更新して、記憶部110に記憶させる。ここで、例えば、使用ユーザ設定情報112Uが、ゲストユーザや新規登録ユーザのユーザ設定情報112である場合、この使用ユーザ設定情報112Uに紐付けられている設定情報に含まれるそれぞれの設定値は、上述したように、「初期値」や「未設定」である。この「初期値」や「未設定」は、ゲストユーザや新規登録ユーザが前回車両Mに乗車していたときの空調システム202の設定や制御を再現するための値ではないが、予め定めた標準の状態を再現する値であるため、再現設定値と等価なものであると考えることができる。このため、更新部140は、使用ユーザ設定情報112Uに紐付けられている設定情報に含まれるそれぞれの設定値が「初期値」や「未設定」である場合でも、取得した現在設定値や変更設定値に更新して、記憶部110に記憶させる。
【0035】
ところで、例えば、通信部120と空調システム202との間のCAN通信が、何らかの要因によって正常に行われないことも考えられる。つまり、更新部140は、現在設定値(変更設定値を含む)を正常に取得することができないことも考えられる。このため、更新部140は、正常に取得することができなかった現在設定値を再度取得する。更新部140は、ユーザ設定情報112に紐付けられている設定情報に示されたそれぞれの設定値の中に、正常に取得することができなかった現在設定値が含まれている場合には、現在設定値の再度の取得を繰り返す。更新部140は、正常に取得することができなかった現在設定値の再度の取得を、設定情報に示された全ての設定値を現在設定値に更新するまで繰り返してもよいし、予め定めた回数だけ繰り返してもよい。例えば、使用ユーザ設定情報112Uが、ゲストユーザや新規登録ユーザのユーザ設定情報112である場合、この使用ユーザ設定情報112Uに紐付けられている設定情報に示されたそれぞれの設定値は、「初期値」や「未設定」である。このため、更新部140は、「初期値」や「未設定」である設定値が、全て現在設定値に更新されるまで、正常に取得することができなかった現在設定値の再度の取得を繰り返す。
【0036】
ここで、使用ユーザ設定情報112Uが新規登録ユーザのユーザ設定情報112である場合には、この使用ユーザ(新規登録ユーザ)は今後も車両Mを通常使用するユーザであるため、更新部140は、全ての設定値が現在設定値に更新されるまで、現在設定値の再度の取得を繰り返すことが好適である。一方、使用ユーザ設定情報112Uがゲストユーザのユーザ設定情報112である場合には、この使用ユーザ(ゲストユーザ)は一時的に車両Mを使用するユーザであるため、全ての設定値が現在設定値に更新されるまで、現在設定値の再度の取得を繰り返さなくてもよいとも考えられる。このため、更新部140は、全ての設定値が現在設定値に更新されていない場合でも、予め定めた回数だけ現在設定値の取得を繰り返した後には、正常に取得することができなかった現在設定値の再度の取得を終了するようにしてもよい。しかしながら、ゲストユーザが、車両Mから降車する際に、「新規登録」の選択ボタンを操作して、新規登録ユーザとして登録することも考えられる。このため、更新部140は、使用ユーザ設定情報112Uがゲストユーザのユーザ設定情報112であった場合でも、全ての設定値が現在設定値に更新されるまで、現在設定値の再度の取得を繰り返すことが好適である。
【0037】
このため、ユーザ設定情報112を、設定値が更新されたか否かを表すフラグ情報や、更新日時を表す情報を含める構成とし、更新部140は、これらの情報を参照して、ユーザ設定情報112に紐付けられている設定情報に示された全ての設定値が現在設定値に更新されたか否かを判定するようにしてもよい。
【0038】
[車載機器設定装置におけるユーザ設定情報の更新の処理の一例]
次に、車載機器設定装置100がユーザ設定情報112を更新する処理の流れの一例について説明する。
【0039】
図3は、実施形態の車載機器設定装置100においてユーザ設定情報112を更新する処理の流れの一例を示すシーケンス図である。図3には、車載機器設定装置100の動作(処理)、および車載機器設定装置100と空調システム202との間で行われるCAN通信での情報(データ)のやり取りの一例を示している。図3に示したシーケンス図は、使用ユーザが新規登録ユーザである場合において、車載機器設定装置100が新規登録ユーザに対応するユーザ設定情報112を更新する場合の処理の流れの一例である。
【0040】
図4は、実施形態の車載機器設定装置100が更新するユーザ設定情報112の一例を示す図である。図4の(a)~図4の(c)のそれぞれには、図3に示した車載機器設定装置100の処理のそれぞれの段階におけるユーザ設定情報112の一例を示している。以下の説明においては、図3に示す車載機器設定装置100の処理において、図4に示すそれぞれのユーザ設定情報112の一例を適宜参照して説明する。
【0041】
車載機器設定装置100は、今回車両Mに乗車した使用ユーザが「新規登録」の選択ボタンを操作し、不図示の車載機器制御装置から新規登録ユーザの情報(登録名称)を取得すると、まず、更新部140は、図4の(a)に示したような、新規登録ユーザに対応する初期状態のユーザ設定情報112を新規作成して、記憶部110に記憶させる(ステップS100)。図4の(a)には、空調システム202の設定情報に「初期値」あるいは「未設定」が対応付けられている初期状態のユーザ設定情報112の一例を示している。より具体的には、初期状態のユーザ設定情報112には、図4の(a)に示したように、空調システム202の設定情報として、「温度」の設定項目の設定値が「初期値」であり、「風量」の設定項目の設定値が「初期値」であり、「風向き」の設定項目の設定値が「未設定」である。
【0042】
このとき、設定部130は、初期状態のユーザ設定情報112に紐付けられている設定情報に示されたそれぞれの設定値を、空調システム202に設定してもよい。この場合、設定値=「初期値」(設定値が「未設定」を含んでもよい)は、「再現設定値」の一例である。
【0043】
その後、更新部140は、空調システム202から現在設定値(「温度」、「風量」、「風向き」)を取得する(ステップS110)。このとき、更新部140は、通信部120に、空調システム202に対して現在設定値の情報を要求(リクエスト)するCAN通信(設定値リクエスト)を送信させ、空調システム202が、更新部140からの要求に応じた現在設定値の情報を返答(レスポンス)するCAN通信(設定値レスポンス)を送信することによって、通信部120が、受信したCAN通信(設定値レスポンス)に含まれる現在設定値を取得する。空調システム202は、例えば、車両Mに乗車した新規登録ユーザによって不図示のイグニッションスイッチ(イグニッションキーであってもよい)がオン状態(IG_ON)にされた場合や、空調システム202を起動する不図示の起動ボタンが押下された場合など、起動した最初(一回目)は、更新部140からのCAN通信(設定値リクエスト)の有無にかかわらず、更新部140に対して現在設定値を送信する構成であってもよい。
【0044】
更新部140は、初期状態のユーザ設定情報112に紐付けられている設定情報に含まれるそれぞれの設定値を、取得した現在設定値に更新する(ステップS120)。そして、更新部140は、正常に取得することができなかった未取得の現在設定値があるか否かを確認する(ステップS130)。ステップS130において、未取得の現在設定値がないことが確認された場合、更新部140は、処理をステップS160に進める。
【0045】
一方、ステップS130において、未取得の現在設定値があることが確認された場合、更新部140は、空調システム202に対して、未取得の現在設定値の送信を要求する(ステップS140)。このとき、更新部140は、通信部120に、空調システム202に対して未取得の現在設定値の情報を要求するCAN通信(設定値リクエスト)を送信させる。
【0046】
ここでは、ステップS110において、空調システム202から「温度」の設定項目の設定値=「25℃」、「風量」の設定項目の設定値=「5」、および「風向き」の設定項目の設定値=「顔」のそれぞれの現在設定値が送信されたものの、「風量」の設定項目の現在設定値を正常に取得することができなかったものとする。この場合、ステップS120の処理において更新部140が更新したユーザ設定情報112は、図4の(b)に示したように、図4の(a)に示した初期状態のユーザ設定情報112に対して、「温度」の設定項目の設定値である「初期値」が「25℃」に更新され、「風向き」の設定項目の設定値である「未設定」が「顔」に更新されているものの、「風量」の設定項目の設定値である「初期値」は、「初期値」のままとなる。この場合、更新部140は、ステップS130において、未取得の現在設定値があることを確認し、ステップS140において、通信部120に、「風量」の設定項目の現在設定値の情報を要求するCAN通信(設定値リクエスト)を送信させる。
【0047】
空調システム202は、未取得の現在設定値(ここでは、「風量」)の情報を要求するCAN通信(設定値リクエスト)を受信すると、更新部140から要求された未取得の現在設定値の情報を返答するCAN通信(設定値レスポンス)を送信する。これにより、更新部140は、空調システム202から未取得の現在設定値(ここでは、「風量」)を取得する(ステップS142)。
【0048】
更新部140は、ステップS120の処理において更新したユーザ設定情報112に紐付けられている設定情報において、現在設定値が未取得であった設定値を、再度取得した現在設定値に更新する(ステップS150)。そして、更新部140は、処理をステップS130に戻して、正常に取得することができなかった未取得の現在設定値があるか否かを再度確認する。ステップS130において、未取得の現在設定値があることが再度確認された場合、更新部140は、ステップS140~ステップS150の処理を繰り返す。
【0049】
ここでは、ステップS142において、空調システム202から、要求した「風量」の設定項目の設定値=「5」の現在設定値を正常に取得することができたものとする。この場合、ステップS150の処理において更新部140が更新したユーザ設定情報112は、図4の(c)に示したように、図4の(b)に示した初期状態のユーザ設定情報112に対して、「風量」の設定項目の設定値である「初期値」が「5」に更新されているものとなる。言い換えれば、図4の(a)に示した初期状態のユーザ設定情報112に対して、「温度」の設定項目の設定値である「初期値」が「25℃」に更新され、「風量」の設定項目の設定値である「初期値」は、「5」に更新され、「風向き」の設定項目の設定値である「未設定」が「顔」に更新されているものとなる。
【0050】
この場合、更新部140は、それぞれの設定項目の設定値を現在設定値に更新したユーザ設定情報112を、記憶部110に記憶(保持)させる(ステップS160)。つまり、更新部140は、図4の(c)に示したユーザ設定情報112を、記憶部110に記憶(保持)させる。そして、更新部140は、ユーザ設定情報112を更新する今回の一連の処理を終了する。
【0051】
以降、車載機器設定装置100は、新規登録ユーザが操作装置300を操作して、現在の空調システム202の設定や制御の状態を変更したとき(ステップS170)に、空調システム202から変更後の現在設定値(変更設定値)を取得して、ステップS120~ステップS160の処理を再度行う。つまり、更新部140は、更新後のユーザ設定情報112に紐付けられている設定情報に含まれるそれぞれの設定値を、変更設定値に再度更新する。
【0052】
このような処理の流れによって、車載機器設定装置100は、新規登録ユーザに対応する初期状態のユーザ設定情報112を新規作成して記憶部110に記憶させ、その後、ユーザ設定情報112の設定値を、空調システム202から取得した現在設定値に更新する。これにより、車載機器設定装置100は、ユーザ設定情報112に含まれる空調システム202の設定値が、新規登録ユーザが車両Mから降車するときの現在設定値(変更設定値を含む)となるように、管理することができる。言い換えれば、車載機器設定装置100は、ユーザ設定情報112に紐付けられている設定情報に含まれるそれぞれの設定値を、ユーザ(今回は新規登録ユーザ)に紐付けて管理することができる。これにより、車載機器設定装置100は、新規登録ユーザが、再度車両Mを使用するために乗車した際に、空調システム202の設定や制御の状態を、前回車両Mから降車したときの状態にすることができる。これは、新規登録ユーザが車両Mに再度乗車した際に、空調システム202の設定や制御の状態を、過去に車両Mに乗車したときの状態に変更する操作を再度行わなくてもよくなるため、車両Mを通常使用するユーザとして登録したユーザにとって有効である(利便性が向上する)。
【0053】
[車載機器設定装置におけるユーザ設定情報の更新の処理の別の一例]
図3および図4を用いて説明した車載機器設定装置100におけるユーザ設定情報112の更新の処理では、更新部140が、新規登録ユーザに対応するユーザ設定情報112を更新する場合について説明した。ここで、上述したように、更新部140が更新して管理するユーザ設定情報112は、同じユーザが再度車両Mを使用するために乗車した際に、空調システム202の設定や制御の状態を、前回車両Mから降車したときの状態に再現することができる。そして、再度車両Mを使用するために乗車したユーザは、前回車両Mから降車したときの状態の空調システム202に対して、さらに設定や制御の状態を変更することができる。以下に、この場合において、車載機器設定装置100が、ユーザ設定情報112、つまり、使用ユーザ設定情報112Uを更新する処理の流れの一例について説明する。
【0054】
図5は、実施形態の車載機器設定装置100においてユーザ設定情報112(使用ユーザ設定情報112U)を更新する別の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。図5に示したシーケンス図では、過去に車両Mに乗車した際に登録したユーザAが車両Mに再度乗車した際に、前回降車したときの状態に再現し、その後、ユーザA(使用ユーザ)が空調システム202の設定や制御の状態を変更した際に、使用ユーザ設定情報112Uを更新する場合の処理の流れの一例を示している。図5には、車載機器設定装置100の動作(処理)、および車載機器設定装置100と空調システム202との間で行われるCAN通信での情報(データ)のやり取りの一例を示している。図5に示したシーケンス図では、図3に示したシーケンス図の処理と同様の処理に、同一のステップ番号を付与している。
【0055】
図6は、実施形態の車載機器設定装置100が更新するユーザ設定情報112(使用ユーザ設定情報112U)の別の一例を示す図である。図6の(a)~図6の(c)のそれぞれには、図5に示した車載機器設定装置100の処理のそれぞれの段階におけるユーザAのユーザ設定情報112の一例を示している。以下の説明においては、図4に示した新規登録ユーザのユーザ設定情報112と、図6に示したユーザAのユーザ設定情報112とを区別するため、図6に示したユーザAのユーザ設定情報112を、「使用ユーザ設定情報112Ua」という。以下の説明においては、図5に示す車載機器設定装置100の処理において、図6に示すそれぞれの使用ユーザ設定情報112Uaの一例を適宜参照して説明する。
【0056】
車載機器設定装置100は、ユーザAが車両Mに乗車して「ユーザA」の選択ボタンを操作し、不図示の車載機器制御装置からユーザAが使用ユーザとして認識(特定)されたことが通知されると、まず、設定部130は、記憶部110に記憶されている、図6の(a)に示したような、ユーザAに対応する使用ユーザ設定情報112Uaを記憶部110から読み出す(ステップS200)。そして、設定部130は、読み出した使用ユーザ設定情報112Uaに紐付けられている設定情報に示されたそれぞれの設定値を、再現設定値として空調システム202に設定する(ステップS202)。図6の(a)には、空調システム202の設定情報として、「温度」の設定項目の設定値が「25℃」であり、「風量」の設定項目の設定値が「5」であり、「風向き」の設定項目の設定値が「顔」である、使用ユーザ設定情報112Uaの一例を示している。
【0057】
その後、例えば、ユーザAが不図示のイグニッションスイッチ(イグニッションキーであってもよい)をオン状態(IG_ON)にして(ステップS210)、車両Mを運転する。このとき、更新部140は、通信部120に、空調システム202に対して現在設定値の情報を要求するCAN通信(設定値リクエスト)を送信させ、空調システム202が、更新部140からの要求に応じた現在設定値の情報を返答するCAN通信(設定値レスポンス)を送信することによって、通信部120が、受信したCAN通信(設定値レスポンス)に含まれる現在設定値を取得してもよい。これにより、更新部140は、設定部130がステップS202の処理において設定した使用ユーザ設定情報112Uaに紐付けられている設定情報に示されたそれぞれの設定値が、空調システム202に正しく設定されているか否かを確認することができる。空調システム202は、ユーザAによって不図示のイグニッションスイッチがオン状態(IG_ON)にされた場合や、空調システム202を起動する不図示の起動ボタンが押下された場合など、起動した最初(一回目)は、更新部140からのCAN通信(設定値リクエスト)の有無にかかわらず、更新部140に対して現在設定値を送信する構成であってもよい。
【0058】
その後、ユーザAが操作装置300を操作して、現在の空調システム202の設定や制御の状態を変更する(ステップS220)と、更新部140は、空調システム202から変更後の現在設定値(変更設定値)を含む現在設定値(「温度」、「風量」、「風向き」)を取得する(ステップS222)。このとき、更新部140は、例えば、空調システム202や、操作装置300、不図示の車載機器制御装置からの通知を受けたことによって、ユーザAによって空調システム202の設定や制御が変更されたことを判定してもよい。空調システム202の設定や制御が変更されたことを判定した場合、更新部140は、通信部120に、空調システム202に対して現在設定値の情報を要求するCAN通信(設定値リクエスト)を送信させ、通信部120が受信した、空調システム202からの現在設定値の情報を返答するCAN通信(設定値レスポンス)に含まれる現在設定値を取得する。空調システム202は、例えば、ユーザAによって設定や制御の状態が変更された場合、更新部140からのCAN通信(設定値リクエスト)の有無にかかわらず、更新部140に対して現在設定値を送信する構成であってもよい。
【0059】
更新部140は、図3に示したシーケンス図の処理と同様に、使用ユーザ設定情報112Uaに紐付けられている設定情報に含まれるそれぞれの設定値を、取得した現在設定値に更新する(ステップS120)。そして、更新部140は、図3に示したシーケンス図の処理におけるステップS130~ステップS150の処理と同様に、未取得の現在設定値がないことが確認されるまで、未取得の現在設定値の取得を繰り返す。そして最後に、更新部140は、図3に示したシーケンス図の処理と同様に、それぞれの設定項目の設定値を現在設定値に更新した使用ユーザ設定情報112Uaを、記憶部110に記憶(保持)させて(ステップS160)、使用ユーザ設定情報112Uaを更新する今回の一連の処理を終了する。
【0060】
ここでは、ステップS220において、ユーザAが、「風量」と「風向き」とのそれぞれの設定値を変更したものとする。より具体的には、ユーザAが、「風量」の設定項目の設定値を「3」に、「風向き」の設定項目の設定値を「顔および足元(顔+足元)」に、それぞれ変更したものとする。そして、ステップS222において、空調システム202から「温度」の設定項目の設定値=「25℃」、「風量」の設定項目の設定値=「3」、および「風向き」の設定項目の設定値=「顔+足元」のそれぞれの現在設定値が送信されたものの、「風向き」の設定項目の現在設定値を正常に取得することができなかったものとする。この場合、ステップS120の処理において更新部140が更新した使用ユーザ設定情報112Uaは、図6の(b)に示したように、図6の(a)に示した使用ユーザ設定情報112Uaに対して、「温度」の設定項目の設定値は「25℃」に更新(ただし、更新前後で同じ設定値)され、「風量」の設定項目の設定値である「5」は、「3」に更新されているものの、「風向き」の設定項目の設定値である「顔」は、「顔」のままとなる。この場合、更新部140は、ステップS130において、未取得の現在設定値があることを確認し、ステップS140において、通信部120に、「風向き」の設定項目の現在設定値の情報を要求するCAN通信(設定値リクエスト)を送信させる。
【0061】
空調システム202は、未取得の現在設定値(ここでは、「風向き」)の情報を要求するCAN通信(設定値リクエスト)を受信すると、更新部140から要求された未取得の現在設定値の情報を返答するCAN通信(設定値レスポンス)を送信する。これにより、更新部140は、空調システム202から未取得の現在設定値(ここでは、「風向き」)を取得する(ステップS142)。
【0062】
ここでは、ステップS142において、空調システム202から、要求した「風向き」の設定項目の設定値=「顔+足元」の現在設定値を正常に取得することができたものとする。この場合、ステップS150の処理において更新部140が更新した使用ユーザ設定情報112Uaは、図6の(c)に示したように、図6の(b)に示した使用ユーザ設定情報112Uaに対して、「風向き」の設定項目の設定値である「顔」が「顔+足元」に更新されているものとなる。言い換えれば、図6の(a)に示した使用ユーザ設定情報112Uaに対して、「温度」の設定項目の設定値である「25℃」がそのまま(ただし、設定値は更新されている)で、「風量」の設定項目の設定値である「5」は、「3」に更新され、「風向き」の設定項目の設定値である「顔」が「顔+足元」に更新されているものとなる。これにより、更新部140は、ステップS160において、図6の(c)に示した使用ユーザ設定情報112Uaを、記憶部110に記憶(保持)させて、使用ユーザ設定情報112Uaを更新する今回の一連の処理を終了する。
【0063】
以降も、不図示のイグニッションスイッチがオン状態である間、更新部140は、ユーザA(使用ユーザ)が操作装置300を操作して空調システム202の設定や制御の状態を変更した際に、空調システム202から変更後の現在設定値(変更設定値)を含む現在設定値を取得して、ステップS120~ステップS160の処理を再度行う。つまり、更新部140は、更新後の使用ユーザ設定情報112Uaに紐付けられている設定情報に含まれるそれぞれの設定値を、変更設定値を含む現在設定値に再度更新する。
【0064】
このような処理の流れによって、車載機器設定装置100は、ユーザA(使用ユーザ)の使用ユーザ設定情報112Uaの設定値を再現設定値として空調システム202に設定した後、空調システム202から取得した、ユーザAが設定や制御の状態を変更した現在設定値(変更設定値)に更新する。これにより、車載機器設定装置100は、使用ユーザ設定情報112Uaに含まれる空調システム202の設定値が、ユーザAが車両Mから降車するときの現在設定値(変更設定値を含む)となるように、管理することができる。言い換えれば、車載機器設定装置100は、使用ユーザ設定情報112Uaに含まれる空調システム202の設定値が、常に最新の設定値となるように、管理することができる。このことにより、車載機器設定装置100は、ユーザAが、再度車両Mを使用するために乗車した際に、空調システム202の設定や制御の状態を、前回車両Mから降車したときの状態にすることができる。これは、ユーザAが車両Mに再度乗車した際に、空調システム202の設定や制御の状態を、過去に車両Mに乗車したときの状態に変更する操作を再度行わなくてもよくなるため、車両Mを通常使用するユーザとして登録したユーザにとって有効である(利便性が向上する)。
【0065】
上記に述べたとおり、実施形態の車載機器設定装置100によれば、それぞれのユーザ(登録済みのユーザ)に紐付けたユーザ設定情報112を記憶部110に記憶させて管理する。より具体的には、実施形態の車載機器設定装置100では、更新部140が、記憶部110に記憶されているユーザ設定情報112の設定情報に示された設定値を、通信部120と空調システム202との間のCAN通信(現在設定値の情報を要求(リクエスト)および返答(レスポンス)を含む)によって空調システム202から取得した現在設定値(変更設定値)に更新する。これにより、実施形態の車載機器設定装置100では、それぞれのユーザに対応するユーザ設定情報112に含まれる空調システム202の設定値が、それぞれのユーザが車両Mから降車するときの現在設定値(変更設定値を含む)となるように、管理することができる。つまり、実施形態の車載機器設定装置100は、記憶部110に記憶しているユーザ設定情報112に含まれる空調システム202の設定値が、常に最新の設定値となるように、管理することができる。このことにより、実施形態の車載機器設定装置100は、同じユーザが、再度車両Mを使用するために乗車した際に、空調システム202の設定や制御の状態を、前回車両Mから降車したときの状態にすることができる。これにより、実施形態の車載機器設定装置100では、同じユーザが車両Mに再度乗車した際に、空調システム202の設定や制御の状態を、過去に車両Mに乗車したときの状態に変更する操作を再度行わなくてもよくなり、ユーザごとに(ユーザに合わせて)好適に空調システム202の設定や制御を行うことができ、車両Mを通常使用するユーザとして登録したユーザの利便性を向上させることができる。
【0066】
上述した実施形態では、車載機器200が空調システム202である場合の例で説明した。しかしながら、これはあくまで一例であり、上述したように、空調システム202に代えて、または加えて、他の車載機器を含んでもよい。例えば、他の車載機器としては、パワーウインドウや、サンルーフ、サンシェード、室内灯、マップライト、メモリシート、シートヒータ/クーラー、ドアロック、メータ装置、ヘッドアップディスプレイ(Head Up Display:HUD)、運転モード設定装置、および運転支援装置のそれぞれのうち、いずれか一つあるいは複数であってもよい。
【0067】
パワーウインドウは、例えば、車両Mの運転席側、助手席側、後部座席の左右に配置された窓ガラスを開閉するための装置であり、この場合、車載機器設定装置100は、窓ガラスを開閉する際の動作に関する設定値を、ユーザごとに管理する。サンルーフは、例えば、車両Mの車室の天井部分に配置された開口部のガラスあるいは鉄板などを開閉するための装置であり、この場合、車載機器設定装置100は、開口部を開閉する際の動作に関する設定値を、ユーザごとに管理する。サンシェードは、例えば、車両Mの後方の窓ガラス部や後部座席の左右の窓ガラス部から入射する日差しを遮る遮光部を開閉するための装置であり、この場合、車載機器設定装置100は、遮光部を開閉する際の動作に関する設定値を、ユーザごとに管理する。室内灯と、マップライトとのそれぞれは、例えば、車両Mの車室内の照明機器であり、この場合、車載機器設定装置100は、照明機器の点灯、消灯、点灯時の明るさなどに関する設定値を、ユーザごとに管理する。メモリシートは、例えば、座面の位置や高さ、背もたれの角度などを制御、調整して、車両Mを運転する際にユーザが所望した位置(いわゆる、シートポジション)を記憶することができるものであり、この場合、車載機器設定装置100は、運転席側の座席の位置に関する設定値を、ユーザごとに管理する。シートヒータ/クーラーは、例えば、運転席側(助手席側や後部座席を含んでもよい)の座席が備える温度調整機能を制御、調整することができるものであり、この場合、車載機器設定装置100は、座席の温度に関する設定値を、ユーザごとに管理する。ドアロックは、例えば、ユーザが車両Mから降車して離れる際に動作するセキュリティ機能の動作を設定するための装置であり、この場合、車載機器設定装置100は、セキュリティ機能の起動や動作に関する設定値を、ユーザごとに管理する。メータ装置と、HUDとのそれぞれは、例えば、ユーザが所望した情報が表示されるように、それぞれの表示項目を設定することができるものであり、この場合、車載機器設定装置100は、表示させる表示項目に関する設定値を、ユーザごとに管理する。運転モード設定装置は、例えば、ノーマル走行モード、スポーツ走行モード、コンフォート走行モードなどといわれるような、車両Mを運転する際にユーザが所望した走行モードとなるように、車両Mの駆動に関連する種々の項目を設定するための装置であり、この場合、車載機器設定装置100は、車両Mの走行モードの起動や、動作、制御など、車両Mの駆動に関連する種々の設定値を、ユーザごとに管理する。運転支援装置は、例えば、自動運転や運転支援の運転モードが、ユーザが所望した運転モードとなるように、車両Mの運転モードに関連する種々の項目を設定するための装置であり、この場合、車載機器設定装置100は、車両Mの運転モードの起動や、動作、制御など、車両Mの運転支援に関連する種々の設定値を、ユーザごとに管理する。
【0068】
しかしながら、車載機器200が、空調システム202に代えて、または加えて、他の車載機器を含んでいる場合でも、車載機器設定装置100におけるユーザ設定情報112の更新の処理は、上述した実施形態と等価な処理を行えばよい。従って、電力変換装置20が空調システム202以外である場合の車載機器設定装置100の処理に関する詳細な説明は省略する。
【0069】
以上説明した実施形態の車載機器設定装置100によれば、車両Mのユーザごとに、車両Mに搭載されている車載機器200の設定に関する設定情報を紐付ける車載機器設定装置100であって、ユーザが所望する設定情報がユーザごとに紐付けられているユーザ設定情報112を記憶する記憶部110と、ユーザ設定情報112に紐付けられている設定情報が示す設定値を、対応する車載機器200に設定する設定部130と、車載機器200から、現在設定されている設定値である現在設定値を取得し、ユーザ設定情報112に紐付けられている設定情報が示す設定値を、取得した現在設定値に更新する更新部140と、を備え、設定部130は、車両Mを今回使用するユーザとして選択された使用ユーザに対応するユーザ設定情報112である使用ユーザ設定情報112Uに紐付けられている設定情報が示す設定値を、対応する車載機器200における前回の設定を再現する再現設定値として、対応する車載機器200に設定し、更新部140は、使用ユーザ設定情報112Uに紐付けられている設定情報において、再現設定値として対応する車載機器200に設定した設定値を、取得した現在設定値に更新することにより、車載機器に対するユーザごとの設定を好適に登録、管理することができる。これにより、車載機器設定装置100が搭載された車両Mでは、車両Mを通常使用するユーザとして登録したユーザの利便性を向上させることができる。
【0070】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
車両のユーザごとに、前記車両に搭載されている車載機器の設定に関する設定情報を紐付ける車載機器設定装置が、
ハードウェアプロセッサと、
プログラムを記憶した記憶装置と、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、
記憶部に記憶された、前記ユーザが所望する前記設定情報が前記ユーザごとに紐付けられているユーザ設定情報のうち、前記車両を今回使用する前記ユーザとして選択された使用ユーザに対応する前記ユーザ設定情報である使用ユーザ設定情報に紐付けられている前記設定情報が示す設定値を、対応する前記車載機器における前回の設定を再現する再現設定値として、対応する前記車載機器に設定し、
前記車載機器から、現在設定されている前記設定値である現在設定値を取得し、
前記使用ユーザ設定情報に紐付けられている前記設定情報において、前記再現設定値として対応する前記車載機器に設定した前記設定値を、取得した前記現在設定値に更新する、
ように構成されている、車載機器設定装置。
【0071】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0072】
100・・・車載機器設定装置
110・・・記憶部
112・・・ユーザ設定情報
120・・・通信部
130・・・設定部
140・・・更新部
200・・・車載機器
202・・・空調システム
300・・・操作装置
302,302D,302P,302V・・・ダイヤル
304,304W,304F・・・ボタン
400・・・通知装置
402,402D,402P,402V,402W,402F・・・表示部
500・・・インターフェース装置
502・・・ディスプレイ
504・・・入力部
M・・・車両
図1
図2
図3
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図5
図6