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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012954
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】媒体給送装置及び画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 9/06 20060101AFI20240124BHJP
   B65H 9/00 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
B65H9/06
B65H9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114810
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】並木 政樹
(72)【発明者】
【氏名】首藤 亮一
【テーマコード(参考)】
3F102
【Fターム(参考)】
3F102AA03
3F102AA14
3F102AB01
3F102BA02
3F102BB02
3F102DA07
(57)【要約】
【課題】斜行補正機構を備える媒体給送装置における斜行補正精度を向上する。
【解決手段】原稿Pと接触可能な進出位置と搬送経路から退避する退避位置とに変位可能な第1レバー部材180A及び第2レバー部材180Bと、幅方向における搬送経路の一部を遮断する遮断位置と搬送経路を遮断せずに開放する開放位置とに変位可能な第1負荷部材190A及び第2負荷部材190Bと、を有する斜行補正機構200を備え、第1負荷部材190A及び第2負荷部材190Bは遮断位置に位置するときに幅方向から見て搬送ローラー14の少なくとも一部と重なる媒体給送装置1。
【選択図】図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が載置される載置部と、
前記媒体が搬送される搬送経路と、
前記載置部に載置された前記媒体を給送する給送ローラーと、
給送される前記媒体の斜行を補正する斜行補正機構と、
を備え、
前記斜行補正機構は、
前記媒体と接触可能であって前記搬送経路に進出している進出位置と、前記媒体が接触して通過することにより前記搬送経路から退避する退避位置と、に変位可能な、第1レバー部材及び第2レバー部材と、
前記媒体の給送方向において前記第1レバー部材及び前記第2レバー部材よりも下流に設けられ、前記給送方向と交差する幅方向における前記搬送経路の一部を遮断する遮断位置と、前記搬送経路を遮断せずに開放する開放位置と、に変位可能な、第1負荷部材及び第2負荷部材と、
を有し、
前記給送ローラーは、前記幅方向において前記第1負荷部材と前記第2負荷部材との間に設けられ、
前記第1負荷部材及び前記第2負荷部材は、前記遮断位置に位置するときに、前記幅方向から見て前記給送ローラーの少なくとも一部と重なり、
前記第1負荷部材は、前記第1レバー部材が前記進出位置に位置するときに前記遮断位置に位置し、前記第1レバー部材が前記退避位置に位置するときに前記遮断位置から前記開放位置に変位可能に構成され、
前記第2負荷部材は、前記第2レバー部材が前記進出位置に位置するときに前記遮断位置に位置し、前記第2レバー部材が前記退避位置に位置するときに前記遮断位置から前記開放位置に変位可能に構成されることを特徴とする媒体給送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体給送装置において、
前記給送ローラーと対向配置され、前記載置部に前記媒体が複数枚重ねて載置された場合に前記給送ローラーとともに前記媒体をニップして前記媒体を分離する分離部と、
を備え、
前記遮断位置に位置する前記第1負荷部材及び前記第2負荷部材と搬送される前記媒体とが接触する接触位置と、前記給送ローラーと前記分離部とのニップ位置と、が前記幅方向から見て重なることを特徴とする媒体給送装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の媒体給送装置において、
前記第1レバー部材及び前記第2レバー部材は、前記進出位置に位置するときに、前記幅方向から見て前記給送ローラーの少なくとも一部と重なることを特徴とする媒体給送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の媒体給送装置において、
前記斜行補正機構は、前記幅方向に沿って第1斜行補正部及び第2斜行補正部を有し、
前記第1斜行補正部は、前記第1レバー部材と、前記第1負荷部材が前記遮断位置から前記開放位置に変位することを規制する第1規制位置と、前記規制を解除する第1非規制位置と、に変位可能な第1当接部と、一端に前記第1レバー部材が設けられるとともに他端に前記第1当接部が設けられる第1回動軸と、を有し、
前記第2斜行補正部は、前記第2負荷部材が前記遮断位置から前記開放位置に変位することを規制する第2規制位置と、前記規制を解除する第2非規制位置と、に変位可能な第2当接部と、一端に前記第2レバー部材が設けられるとともに他端に前記第2当接部が設けられる第2回動軸と、を有し、
前記第1当接部は、前記第1レバー部材が前記進出位置に位置するときに前記第1規制位置に位置し、前記第1レバー部材が前記退避位置に位置するときに前記第1非規制位置に位置し、
前記第2当接部は、前記第2レバー部材が前記進出位置に位置するときに前記第2規制位置に位置し、前記第2レバー部材が前記退避位置に位置するときに前記第2非規制位置に位置することを特徴とする媒体給送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の媒体給送装置において、
前記給送ローラーは、前記幅方向において、前記第1レバー部材及び前記第2負荷部材と、前記第2レバー部材及び前記第1負荷部材と、の間に設けられることを特徴とする媒体給送装置。
【請求項6】
請求項5に記載の媒体給送装置において、
前記第1レバー部材は、前記給送方向において、前記第2負荷部材の少なくとも一部と重なる位置に設けられ、
前記第2レバー部材は、前記給送方向において、前記第1負荷部材の少なくとも一部と重なる位置に設けられることを特徴とする媒体給送装置。
【請求項7】
請求項4に記載の媒体給送装置において、
前記給送ローラーは、前記幅方向において、前記第1レバー部材及び前記第1負荷部材と、前記第2レバー部材及び前記第2負荷部材と、の間に設けられることを特徴とする媒体給送装置。
【請求項8】
請求項1に記載の媒体給送装置において、
前記給送ローラーと対向配置され、前記載置部に前記媒体が複数枚重ねて載置された場合に前記給送ローラーとともに前記媒体をニップして前記媒体を分離する分離部と、
前記載置部に載置された前記媒体の先端を前記給送ローラーと前記分離部とのニップ位置に案内するセットガイドと、
を備え、
前記セットガイドは、前記媒体の厚さに応じて前記分離部と前記給送ローラーとの間の距離を調節可能であり、
前記斜行補正機構は、前記セットガイドに設けられることを特徴とする媒体給送装置。
【請求項9】
請求項8に記載の媒体給送装置において、
前記セットガイドは、前記給送方向において前記ニップ位置よりも上流側に配置されるとともに前記幅方向において前記給送ローラーの両端であって前記斜行補正機構よりも前記給送ローラーに近い位置に設けられ、前記給送ローラーに対して進退することで前記給送ローラーに押し付ける第1位置と前記給送ローラーから離間する第2位置とに切り替え可能な押し付けレバーを有し、
前記押し付けレバーは、前記第2位置において複数枚重ねて載置された前記媒体のうちの前記分離部によって分離され先行して給送された先行媒体の前記給送方向における後端が前記ニップ位置を通過した後に、前記第1位置において複数枚重ねて載置された前記媒体のうちの前記先行媒体以外の後続媒体を前記給送ローラーに押し付け可能に構成されていることを特徴とする媒体給送装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の媒体給送装置であって、
前記分離部の周囲の少なくとも一部に開閉可能に配置されるとともに開状態となることで前記分離部を取り外し可能に設けられ、閉状態となることで前記搬送経路の少なくとも一部を形成する経路部材を備え、
前記セットガイドは、前記経路部材に設けられることを特徴とする媒体給送装置。
【請求項11】
請求項1または請求項2に記載の媒体給送装置と、
前記搬送経路を搬送される前記媒体の画像を読み取る読取部と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体給送装置及び画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な媒体給送装置が使用されている。このうち、搬送される媒体の斜行を補正する斜行補正機構を備える媒体搬送装置がある。例えば、特許文献1には、媒体の搬送経路に、第1ストッパ及び第2ストッパと、第1レバー及び第2レバーと、を有する斜行補正機構を備える媒体搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-37478号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の媒体搬送装置においては、媒体の搬送方向において、媒体搬送部である分離部、第1フィードローラー及び第2フィードローラーから離れた位置に斜行補正機構を備えているので、例えば、薄い媒体のようなコシの弱い媒体などを用いた場合に斜行補正精度が低下する場合があった。媒体搬送部による媒体のニップ位置などからの距離が遠くなるほど媒体のコシは弱くなり、媒体の搬送方向の先端を突き当てて斜行を補正する斜行補正機構などにおいては、該距離が遠くなるほど媒体は撓りやすくなり斜行補正精度が低下する傾向となるためである。このため、斜行補正機構を備える従来の媒体搬送装置においては、斜行補正精度を向上することが課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明の媒体給送装置は、媒体が載置される載置部と、前記媒体が搬送される搬送経路と、前記載置部に載置された前記媒体を給送する給送ローラーと、給送される前記媒体の斜行を補正する斜行補正機構と、を備え、前記斜行補正機構は、前記媒体と接触可能であって前記搬送経路に進出している進出位置と、前記媒体が接触して通過することにより前記搬送経路から退避する退避位置と、に変位可能な、第1レバー部材及び第2レバー部材と、前記媒体の給送方向において前記第1レバー部材及び前記第2レバー部材よりも下流に設けられ、前記給送方向と交差する幅方向における前記搬送経路の一部を遮断する遮断位置と、前記搬送経路を遮断せずに開放する開放位置と、に変位可能な、第1負荷部材及び第2負荷部材と、を有し、前記給送ローラーは、前記幅方向において前記第1負荷部材と前記第2負荷部材との間に設けられ、前記第1負荷部材及び前記第2負荷部材は、前記遮断位置に位置するときに、前記幅方向から見て前記給送ローラーの少なくとも一部と重なり、前記第1負荷部材は、前記第1レバー部材が前記進出位置に位置するときに前記遮断位置に位置し、前記第1レバー部材が前記退避位置に位置するときに前記遮断位置から前記開放位置に変位可能に構成され、前記第2負荷部材は、前記第2レバー部材が前記進出位置に位置するときに前記遮断位置に位置し、前記第2レバー部材が前記退避位置に位置するときに前記遮断位置から前記開放位置に変位可能に構成されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】装置本体が通常読み取り姿勢にあるスキャナーを前方から視た斜視図。
図2】装置本体が通常読み取り姿勢にあるスキャナーを後方から視た斜視図。
図3】装置本体が通常読み取り姿勢にあって、第3ユニットを開いたスキャナーを前方から視た斜視図。
図4】装置本体が通常読み取り姿勢にあって、第1ユニットを上方から視た平面図。
図5】装置本体が通常読み取り姿勢にあって、第1ユニットに対して第2ユニットを開いたスキャナーを幅方向から視た断面図。
図6】装置本体が通常読み取り姿勢にあるスキャナーの原稿搬送路を幅方向から視た断面図。
図7】装置本体が冊子読み取り姿勢にあるスキャナーの原稿搬送路を幅方向から視た断面図。
図8】第1ユニットの背面カバーを外したスキャナーを後方から視た斜視図。
図9】スキャナーの制御系統を示すブロック図。
図10】装置本体の姿勢切り替えを行う際の制御を示すフローチャート。
図11】分離ローラーの周辺構成を上方側から見た図。
図12】ガイド部材及びセットガイドの周辺構成を上方側から見た図。
図13】ガイド部材及びセットガイドの周辺構成を下方側から見た図。
図14】ガイド部材及びセットガイドの周辺構成を示す斜視図。
図15】ガイド部材及びセットガイドの周辺構成を側面側から見た図。
図16】セットフラップ及びセットフラップを駆動する機構の一部を示す斜視図。
図17】分離ローラー周辺構成を示す側断面図。
図18】セットガイドの動作を説明する図であって、(A)は給送待機状態を示す図、(B)は分離ローラーを変位させた状態を示す図。
図19】セットガイドの動作を説明する図であって、(A)はシート状の原稿を複数枚給送する際の状態を示す図、(B)は冊子状の原稿を給送する際の状態を示す図。
図20】押し付けレバーの動作を説明する図であって、(A)は原稿給送途中の状態を示す図、(B)は給送される原稿の後端が給送ローラーと分離ローラーとの接触位置から抜けた状態を示す図。
図21】斜行補正機構を説明するための図であって、第1レバー部材及び第2レバー部材に媒体が突き当たる前の状態を表す斜視図。
図22】斜行補正機構を説明するための図であって、図21で表される状態から第1レバー部材に媒体が突き当たり、第1当接部が第1負荷部材から離れた状態を表す斜視図。
図23】斜行補正機構を説明するための図であって、第1当接部が第1負荷部材から離れた状態となったことで、第1負荷部材が図22で表される遮断位置から開放位置に変位した状態を表す斜視図。
図24】斜行補正機構を説明するための図であって、(A)は図21に対応し媒体が突き当たる前において第1レバー部材が進出位置に位置する状態を表す側面図、(B)は図22に対応し媒体が第1レバー部材に突き当たることで第1レバー部材が退避位置に位置する状態を表す側面図。
図25】斜行補正機構を説明するための図であって、(A)は図21に対応し媒体が突き当たる前において第1負荷部材が遮断位置に位置する状態を表す側面図、(B)は図22に対応し媒体が第1レバー部材に突き当たることで第1当接部が第1負荷部材から離れる様子を模式的に表す側面図、(C)は図23に対応し第1当接部が第1負荷部材から離れた状態となったことで第1負荷部材が遮断位置から開放位置に変位した状態を表す側面図。
図26】斜行補正機構を説明するための図であって、(A)は媒体が第1レバー部材に突き当たった瞬間を表す側面図、(B)は媒体が第1レバー部材に突き当たったことで第1負荷部材が遮断位置から開放位置に変位した状態を表す側面図、(C)は媒体が第2レバー部材に突き当たった瞬間を表す側面図を表す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を概略的に説明する。
本発明の第1の態様に係る媒体給送装置は、媒体が載置される載置部と、前記媒体が搬送される搬送経路と、前記載置部に載置された前記媒体を給送する給送ローラーと、給送される前記媒体の斜行を補正する斜行補正機構と、を備え、前記斜行補正機構は、前記媒体と接触可能であって前記搬送経路に進出している進出位置と、前記媒体が接触して通過することにより前記搬送経路から退避する退避位置と、に変位可能な、第1レバー部材及び第2レバー部材と、前記媒体の給送方向において前記第1レバー部材及び前記第2レバー部材よりも下流に設けられ、前記給送方向と交差する幅方向における前記搬送経路の一部を遮断する遮断位置と、前記搬送経路を遮断せずに開放する開放位置と、に変位可能な、第1負荷部材及び第2負荷部材と、を有し、前記給送ローラーは、前記幅方向において前記第1負荷部材と前記第2負荷部材との間に設けられ、前記第1負荷部材及び前記第2負荷部材は、前記遮断位置に位置するときに、前記幅方向から見て前記給送ローラーの少なくとも一部と重なり、前記第1負荷部材は、前記第1レバー部材が前記進出位置に位置するときに前記遮断位置に位置し、前記第1レバー部材が前記退避位置に位置するときに前記遮断位置から前記開放位置に変位可能に構成され、前記第2負荷部材は、前記第2レバー部材が前記進出位置に位置するときに前記遮断位置に位置し、前記第2レバー部材が前記退避位置に位置するときに前記遮断位置から前記開放位置に変位可能に構成されることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、第1負荷部材及び第2負荷部材は、遮断位置に位置するときに、幅方向から見て給送ローラーの少なくとも一部と重なる。すなわち、媒体の給送方向において、給送ローラーから離れていない位置に斜行補正機構を備えている。したがって、例え薄い媒体のようなコシの弱い媒体などを用いても、媒体のコシが弱くならない位置で斜行補正を行うことできることで媒体の撓りを抑制しつつ斜行補正を行うことができ、斜行補正精度を向上することができる。
【0009】
また、本発明の第2の態様は、前記第1の態様の媒体給送装置において、前記給送ローラーと対向配置され、前記載置部に前記媒体が複数枚重ねて載置された場合に前記給送ローラーとともに前記媒体をニップして前記媒体を分離する分離部と、を備え、前記遮断位置に位置する前記第1負荷部材及び前記第2負荷部材と搬送される前記媒体とが接触する接触位置と、前記給送ローラーと前記分離部とのニップ位置と、が前記幅方向から見て重なることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、給送ローラーとともに媒体をニップして媒体を分離する分離部を備える。そして、遮断位置に位置する第1負荷部材及び第2負荷部材と搬送される媒体とが接触する接触位置と、給送ローラーと分離部とのニップ位置と、が幅方向から見て重なる。媒体は給送ローラーと分離部とのニップ位置から近いほどコシが強く、このような構成とすることで接触位置とニップ位置とが近いことで媒体のコシが弱くならない位置で斜行補正を行うことできる。したがって、媒体の撓りを抑制しつつ斜行補正を行うことができ、斜行補正精度を向上することができる。
【0011】
また、本発明の第3の態様は、前記第1または第2の態様の媒体給送装置において、前記第1レバー部材及び前記第2レバー部材は、前記進出位置に位置するときに、前記幅方向から見て前記給送ローラーの少なくとも一部と重なることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、第1レバー部材及び第2レバー部材は、進出位置に位置するときに、幅方向から見て搬送ローラーの少なくとも一部と重なる。すなわち、第1レバー部材及び第2レバー部材を第1負荷部材及び第2負荷部材に対して搬送方向において近くに配置することができる。このような構成とすることで、斜行を高い精度で補正することができる。
【0013】
また、本発明の第4の態様は、前記第3の態様の媒体給送装置において、前記斜行補正機構は、前記幅方向に沿って第1斜行補正部及び第2斜行補正部を有し、前記第1斜行補正部は、前記第1レバー部材と、前記第1負荷部材が前記遮断位置から前記開放位置に変位することを規制する第1規制位置と、前記規制を解除する第1非規制位置と、に変位可能な第1当接部と、一端に前記第1レバー部材が設けられるとともに他端に前記第1当接部が設けられる第1回動軸と、を有し、前記第2斜行補正部は、前記第2負荷部材が前記遮断位置から前記開放位置に変位することを規制する第2規制位置と、前記規制を解除する第2非規制位置と、に変位可能な第2当接部と、一端に前記第2レバー部材が設けられるとともに他端に前記第2当接部が設けられる第2回動軸と、を有し、前記第1当接部は、前記第1レバー部材が前記進出位置に位置するときに前記第1規制位置に位置し、前記第1レバー部材が前記退避位置に位置するときに前記第1非規制位置に位置し、前記第2当接部は、前記第2レバー部材が前記進出位置に位置するときに前記第2規制位置に位置し、前記第2レバー部材が前記退避位置に位置するときに前記第2非規制位置に位置することを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、第1レバー部材が進出位置に位置するときに第1規制位置に位置し、第1レバー部材が退避位置に位置するときに第1非規制位置に位置する第1当接部と、第2レバー部材が進出位置に位置するときに第2規制位置に位置し、第2レバー部材が退避位置に位置するときに第2非規制位置に位置する第2当接部と、を有している。このようにレバー部材と負荷部材の動きが直接的ではなく間接的に連動する構成とすることで、斜行補正機構を簡単に構成することができる。
【0015】
また、本発明の第5の態様は、前記第4の態様の媒体給送装置において、前記給送ローラーは、前記幅方向において、前記第1レバー部材及び前記第2負荷部材と、前記第2レバー部材及び前記第1負荷部材と、の間に設けられることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、給送ローラーは、幅方向において、第1レバー部材及び第2負荷部材と、第2レバー部材及び第1負荷部材と、の間に設けられる。このように、幅方向において距離の離れた、第1レバー部材と第1負荷部材とをリンクさせ、第2レバー部材と第2負荷部材とをリンクさせることで、斜行が所定の角度よりも大きくなることを効果的に抑制することができる。また、レバー部材に対する負荷部材のリンク先が給送ローラーを跨ぐ構成とすることで、幅の狭い媒体に対しても効果的に斜行を補正することができる。
【0017】
また、本発明の第6の態様は、前記第5の態様の媒体給送装置において、前記第1レバー部材は、前記給送方向において、前記第2負荷部材の少なくとも一部と重なる位置に設けられ、前記第2レバー部材は、前記給送方向において、前記第1負荷部材の少なくとも一部と重なる位置に設けられることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、第1レバー部材は給送方向において第2負荷部材の少なくとも一部と重なる位置に設けられ、第2レバー部材は給送方向において第1負荷部材の少なくとも一部と重なる位置に設けられる。このような構成とすることで、レバー部材と負荷部材との幅方向における距離を短くでき、例えば、幅の狭い媒体に対しても特に効果的に斜行を補正することができる。
【0019】
また、本発明の第7の態様は、前記第4の態様の媒体給送装置において、前記給送ローラーは、前記幅方向において、前記第1レバー部材及び前記第1負荷部材と、前記第2レバー部材及び前記第2負荷部材と、の間に設けられることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、給送ローラーは、幅方向において、第1レバー部材及び第1負荷部材と、第2レバー部材及び第2負荷部材と、の間に設けられる。このように、幅方向において距離の近い、第1レバー部材と第1負荷部材とをリンクさせ、第2レバー部材と第2負荷部材とをリンクさせることで、レバー部材と負荷部材とのリンク機構を小型化することができる。
【0021】
また、本発明の第8の態様は、前記第1の態様の媒体給送装置において、前記給送ローラーと対向配置され、前記載置部に前記媒体が複数枚重ねて載置された場合に前記給送ローラーとともに前記媒体をニップして前記媒体を分離する分離部と、前記載置部に載置された前記媒体の先端を前記給送ローラーと前記分離部とのニップ位置に案内するセットガイドと、を備え、前記セットガイドは、前記媒体の厚さに応じて前記分離部と前記給送ローラーとの間の距離を調節可能であり、前記斜行補正機構は、前記セットガイドに設けられることを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、媒体の厚さに応じて分離部と給送ローラーとの間の距離を調節可能なセットガイドを備える。媒体の厚さによって分離部と給送ローラーとの間の距離が調節されるので、例えば、所定の厚みを超える媒体が分離部に突き当たって給送不能となることを抑制することができる。また、斜行補正機構はセットガイドに設けられる。このようにセットガイドと斜行補正機構が一体構造となっていることで、媒体搬送装置を小型化することができる。
【0023】
また、本発明の第9の態様は、前記第8の態様の媒体給送装置において、前記セットガイドは、前記給送方向において前記ニップ位置よりも上流側に配置されるとともに前記幅方向において前記給送ローラーの両端であって前記斜行補正機構よりも前記給送ローラーに近い位置に設けられ、前記給送ローラーに対して進退することで前記給送ローラーに押し付ける第1位置と前記給送ローラーから離間する第2位置とに切り替え可能な押し付けレバーを有し、前記押し付けレバーは、前記第2位置において複数枚重ねて載置された前記媒体のうちの前記分離部によって分離され先行して給送された先行媒体の前記給送方向における後端が前記ニップ位置を通過した後に、前記第1位置において複数枚重ねて載置された前記媒体のうちの前記先行媒体以外の後続媒体を前記給送ローラーに押し付け可能に構成されていることを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、給送ローラーから離間する第2位置において複数枚重ねて載置された媒体のうちの分離部によって分離され先行して給送された先行媒体の給送方向における後端がニップ位置を通過した後に、給送ローラーに押し付ける第1位置において複数枚重ねて載置された媒体のうちの先行媒体以外の後続媒体を給送ローラーに押し付け可能な押し付けレバーを有する。このため、先行媒体が給送された後に後続媒体が給送方向の上流側に勢いよく戻されることを抑制することができる。
【0025】
また、本発明の第10の態様は、前記第8または第9の態様の媒体給送装置において、前記分離部の周囲の少なくとも一部に開閉可能に配置されるとともに開状態となることで前記分離部を取り外し可能に設けられ、閉状態となることで前記搬送経路の少なくとも一部を形成する経路部材を備え、前記セットガイドは、前記経路部材に設けられることを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、開状態となることで分離部を取り外し可能に設けられ、閉状態となることで搬送経路の少なくとも一部を形成する経路部材を備える。このため、経路部材を開状態とすることで、簡単に分離部を交換等することができる。
【0027】
第11の態様に係る画像読取装置は、第1から第10の態様のいずれか1つの媒体給送装置と、前記搬送経路を搬送される前記媒体の画像を読み取る読取部と、を備えることを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、画像読取装置において、上述した第1から第10の態様のいずれか1つの作用効果が得られる。
【0029】
以下、本発明を具体的に説明する。
以下では画像読取装置の一例として、原稿の第1面とその反対の第2面のうち少なくとも一面を読み取り可能なスキャナー1を例に挙げる。スキャナー1は、後述する読取部に対して原稿を移動させつつ読み取りを行う、所謂シートフィードタイプのスキャナーである。本明細書において原稿には、シート状の原稿のみならず、カード状の原稿や冊子状の原稿が含まれるものとする。原稿は、媒体の一例である。
【0030】
尚、各図において示すX-Y-Z座標系は、X軸方向が装置幅方向であり原稿幅方向でもある。Y軸方向は装置奥行き方向であり、Z軸方向は鉛直方向に沿った方向である。本実施形態では、+Y方向を装置背面から前面に向かう方向とし、-Y方向を装置前面から背面に向かう方向とする。また、装置前面から見て左方向を+X方向、右方向を-X方向とする。また、以下では原稿が搬送されていく方向を「下流」といい、これと反対の方向を「上流」と称する場合がある。
【0031】
本実施形態のスキャナー1は、媒体給送装置の一例である原稿給送装置150を備えている。本実施形態において原稿給送装置150は、スキャナー1から、後述する第1読取部32と第2読取部33を除いた構成とする。但しスキャナー1は原稿を給送する観点において、第1読取部32と第2読取部33を含むスキャナー1の全体を原稿給送装置150としても良い。また、スキャナー1は原稿を内部で搬送するので媒体搬送装置とみなすこともできる。本実施形態に係るスキャナー1は、装置本体2と、装置本体2を回転可能に支持する本体支持部6とを備えている。装置本体2は、第1ユニット3、第2ユニット4、及び第3ユニット5を備えて構成されている。
【0032】
第2ユニット4と第3ユニット5は、フレーム回転軸64a(図3参照)を中心に回転可能に設けられている。フレーム回転軸64aは、X軸方向に平行な回転軸中心を成す回転軸である。第2ユニット4と第3ユニット5は、第1ユニット3に対し、フレーム回転軸64aを中心に一体となって回転することができる(図5参照)。第2ユニット4と第3ユニット5を第1ユニット3に対し回転させることで、図5に示す様に原稿搬送路(原稿Pの搬送経路)の一部を露呈させることができる。特に、後述する原稿給送経路R1と読み取り搬送路R2を露呈させることができる。ユーザーはロック解除部8aを-X方向にスライドさせることで、第1ユニット3に対する第2ユニット4のロックを解除でき、第2ユニット4を開くことができる。
【0033】
また第3ユニット5は、第1ユニット3及び第2ユニット4に対し、フレーム回転軸64aを中心に回転することができる(図3参照)。第3ユニット5を第1ユニット3及び第2ユニット4に対し回転させることで、図3に示す様に原稿搬送路の一部を露呈させることができる。特に、後述する反転搬送路R3を露呈させることができる。
【0034】
装置本体2は本体支持部6に対して本体回転軸6c(図8参照)を中心に回転可能であり、本実施形態において装置本体2は回転することで2つの姿勢を保持可能である。装置本体2の2つの姿勢は図6図7に示されており、以降において図6の姿勢を通常読み取り姿勢と称し、図7の姿勢を冊子読み取り姿勢と称する。通常読み取り姿勢は装置本体2の第1姿勢の一例であり、冊子読み取り姿勢は装置本体2の第2姿勢の一例である。なお、図6及び図7はX軸方向において同じ位置で切断した断面図であるが、図5図6及び図7とはX軸方向において異なる位置で切断した断面図である。
【0035】
図6に示す角度α1と、図7に示す角度α2は、それぞれ後述する読み取り搬送路R2の延長線Lと装置の載置面Gとの成す角度である。冊子読み取り姿勢の場合の角度α2は、通常読み取り姿勢の場合の角度α1よりも小さくなる。通常読み取り姿勢では、スキャナー1を載置する載置面Gへの装置本体2の投影面積が最も小さくなり、即ち装置本体2のフットプリントが最も小さくなる姿勢となる。尚、本明細書におけるフットプリントとは装置本体2を上方から見下ろした際の装置本体2のX-Y平面における占有面積である。通常読み取り姿勢は、シート状の原稿、即ち剛性の低く撓み易い原稿の読み取りに適する。冊子読み取り姿勢は、プラスチックカードや冊子等の、剛性が高く撓み難い原稿の読み取りに適する。
【0036】
装置前面には、電源ボタンを含む複数の操作ボタンで構成される操作部7が設けられている。また装置の周囲を構成する側面のうち+X方向の側面には、図2に示す様に第1接続部71、第2接続部72、及び第3接続部73が設けられている。第1接続部71は、接続対象の一例であるUSB Type-Aのプラグ(不図示)が接続される接続部である。第2接続部72は、接続対象の一例であるUSB Type-Cのプラグ(不図示)が接続される接続部である。第3接続部73は、装置本体2に電力を供給する為の電源プラグ(不図示)が接続される接続部である。尚、USBはUniversal Serial Busの略称であり、Type-AとType-CはそれぞれUSB規格において規定された複数の種類の一つである。
【0037】
第1接続部71には、USBケーブル(不図示)を介して外部機器を接続できるほか、記憶媒体、例えばUSBメモリ(不図示)を接続できる。そして制御部80(図9参照)は、第1接続部71に接続された記憶媒体に対し読み取りデータを保存することができる。また第2接続部72には、USBケーブル(不図示)を介して外部機器を接続できる。第1接続部71、第2接続部72、及び第3接続部73は、装置背面側に位置する回路基板79(図8参照)に設けられる。尚、本実施形態では装置本体2は第2接続部72に接続された外部機器から電力の供給を受けることも可能に構成されている。
【0038】
続いて図6図7を参照してスキャナー1における原稿搬送路の構成について説明する。給送される原稿は、原稿支持部11によって傾斜姿勢に支持される。符号Pは、支持される原稿を示している。原稿支持部11に複数枚の原稿が支持された場合には、最上位の原稿が給送ローラー14によって下流に送り出される。給送ローラー14は、原稿支持部11に支持された原稿の上面に接する。原稿支持部11は上部開閉部10に形成されている。上部開閉部10は不図示の回転軸を中心に回転可能であり、回転することで給送口13を開閉する。図1は上部開閉部10を閉じた状態を示し、図2は上部開閉部10を開いた状態を示している。上部開閉部10は、第1ユニット3を構成する。
【0039】
原稿支持部11には、図3及び図4に示す様に原稿のサイドエッジをガイドする一対のエッジガイド12a、12bが設けられている。一対のエッジガイド12a、12bは、原稿幅方向(X軸方向)にスライド可能に設けられている。一対のエッジガイド12a、12bは、原稿幅方向の中心位置を挟んで互いに離間し、或いは互いに接近する様に、不図示のラックピニオン機構によって連動する様に設けられている。即ちスキャナー1は、所謂センター給送方式を採用する。
【0040】
給送ローラー14は、第2ユニット4に設けられる。第2ユニット4を第1ユニット3に対して閉じると、給送ローラー14は後述する分離ローラー15と接触する。第2ユニット4を第1ユニット3に対して開くと、給送ローラー14は分離ローラー15から離間する。給送ローラー14は、後述する搬送モーター50から動力を得て回転する。第1ユニット3において給送ローラー14と対向する位置には、分離ローラー15が設けられる。分離ローラー15は、不図示のトルクリミッターによって回転トルクが付与されており、原稿の重送を抑制する。尚、分離ローラー15に代えて分離パッドを採用しても良い。分離ローラー15は、原稿幅方向における中心位置に設けられている(図4参照)。また、分離ローラー15と対向する位置に設けられる給送ローラー14も原稿幅方向における中心位置に設けられている。
【0041】
給送ローラー14と対向配置される分離部の一例である分離ローラー15は、給送ローラー14に対して進退可能であるとともに、不図示のトルクリミッターの作用により回転トルクが生じ原稿の分離を行うことが可能な分離状態と、トルクリミッターの作用が生じず原稿の分離を行わない非分離状態とを取り得る。装置本体2が通常読み取り姿勢にある際には分離ローラー15は分離状態となり、装置本体2が冊子読み取り姿勢にある際には分離ローラー15は非分離状態となる。
【0042】
給送ローラー14と分離ローラー15の下流には、第1搬送ローラー対16が設けられている。第1搬送ローラー対16は、第1ユニット3に設けられる第1下ローラー17と、第2ユニット4に設けられる第1上ローラー18とで構成される。第1上ローラー18は、第1下ローラー17に対して進退可能に設けられているとともに、不図示の押圧部材、例えばコイルばねによって第1下ローラー17に向けて押圧されている。第1下ローラー17と第1上ローラー18は、ともに後述する搬送モーター50から動力を得て回転する。第1下ローラー17と第1上ローラー18は、それぞれ原稿幅方向における中心位置を挟む様に2つ設けられている(図4参照)。第2ユニット4を第1ユニット3に対して閉じると、第1下ローラー17と第1上ローラー18は接触する。第2ユニット4を第1ユニット3に対して開くと、第1上ローラー18は第1下ローラー17から離間する(図5参照)。
【0043】
第1搬送ローラー対16の下流には、第1読取部32と第2読取部33とが対向配置されている。第1読取部32は、第1ユニット3に設けられ、第2読取部33は、第2ユニット4に設けられる。第1読取部32は、原稿支持部11に支持された原稿の下面(第1面)を読み取り、第2読取部33は、原稿支持部11に支持された原稿の上面(第2面)を読み取る。第2読取部33は、第1読取部32に対して進退可能に設けられているとともに、不図示の押圧部材、例えばコイルばねによって第1読取部32に向けて押圧されている。本実施形態において第1読取部32及び第2読取部33は、密着型イメージセンサーモジュール(CISM)で構成される。符号32aは、第1読取部32を構成するコンタクトガラスであり、符号33aは、第2読取部33を構成するコンタクトガラスである。
【0044】
第1読取部32と第2読取部33の下流には、第2搬送ローラー対20が設けられている。第2搬送ローラー対20は、第1ユニット3に設けられる第2下ローラー21と、第2ユニット4に設けられる第2上ローラー22とで構成される。第2上ローラー22は、第2下ローラー21に対して進退可能に設けられているとともに、不図示の押圧部材、例えばコイルばねによって第2下ローラー21に向けて押圧されている。第2下ローラー21と第2上ローラー22は、ともに後述する搬送モーター50から動力を得て回転する。第2下ローラー21と第2上ローラー22は、それぞれ原稿幅方向における中心位置を挟む様に2つ設けられている(図4参照)。第2ユニット4を第1ユニット3に対して閉じると、第2下ローラー21と第2上ローラー22は接触する。第2ユニット4を第1ユニット3に対して開くと、第2上ローラー22は第2下ローラー21から離間する(図5参照)。
【0045】
図6図7において符号R1で示す一点鎖線は原稿給送路であり、原稿給送経路R1は給送ローラー14と分離ローラー15とのニップ位置から、第1搬送ローラー対16のニップ位置までとする。また図6図7において符号R2で示す破線は読み取り搬送路であり、読み取り搬送路R2は第1搬送ローラー対16のニップ位置から、第2搬送ローラー対20のニップ位置までとする。読み取り搬送路R2は、第1読取部32及び第2読取部33と対向する原稿搬送路である。
【0046】
装置本体2が図6に示す通常読み取り姿勢にある場合、読み取り搬送路R2に対し下流には、読み取りの行われた原稿を上向きに反転させて排出する際の反転搬送路R3が形成される。反転搬送路R3は、第2搬送ローラー対20のニップ位置より下流の原稿搬送路であって、図6において二点鎖線で示す様に斜め下方向に搬送される原稿を湾曲反転させて第1排出口37から斜め上方向に排出する為の原稿搬送路である。装置本体2が図7に示す冊子読み取り姿勢にある場合、読み取り搬送路R2に対し下流には、読み取りの行われた原稿を反転させずに排出する際の非反転搬送路R4が形成される。非反転搬送路R4は、第2搬送ローラー対20のニップ位置より下流の原稿搬送路であって、図7において二点鎖線で示す様に読み取り搬送路R2において斜め下方向に搬送される原稿をそのまま湾曲反転させずに第2排出口38から斜め下方向に排出する為の原稿搬送路である。尚、第2搬送ローラー対20は、非反転搬送路R4から原稿を排出する排出ローラー対として機能する。
【0047】
反転搬送路R3と非反転搬送路R4の切り替えは、搬送路切り替え手段を構成するフラップ部材としてのフラップ35により行われる。フラップ35はフラップ回転軸35aを中心に回転可能であり、回転することで、読み取り搬送路R2に反転搬送路R3を接続し、或いは読み取り搬送路R2に非反転搬送路R4を接続する。読み取り搬送路R2に反転搬送路R3を接続するとは、反転搬送路R3を利用できる状態にする意味であり、また非反転搬送路R4を利用できない状態にする意味である。同様に読み取り搬送路R2に非反転搬送路R4を接続するとは、非反転搬送路R4を利用できる状態にする意味であり、また反転搬送路R3を利用できない状態にする意味である。
【0048】
本実施形態においてフラップ35は、装置本体2の姿勢切り替えに連動して回転する様に構成されている。装置本体2の姿勢切り替えに連動してフラップ35を回転させる構成として、本実施形態では第1ソレノイド86(図9参照)を採用する。各種制御を行う制御部80(図9参照)は、後述する第1姿勢検出センサー87或いは第2姿勢検出センサー88の検出信号をもとに装置本体2の姿勢を検知し、それに基づいて第1ソレノイド86を駆動してフラップ35を回転させる。尚、フラップ35を回転させる手段は第1ソレノイド86に限らずモーター等の他のアクチュエーターであっても良い。また或いは、フラップ35は装置本体2の姿勢に連動して機械的に回転する様に構成しても良い。
【0049】
反転搬送路R3には、第3搬送ローラー対24と第4搬送ローラー対28が設けられている。第3搬送ローラー対24は、第3ユニット5に設けられる第3駆動ローラー25と、第2ユニット4に設けられる第3従動ローラー26とで構成される。第3従動ローラー26は、第3駆動ローラー25に対して進退可能に設けられているとともに、不図示の押圧部材、例えばコイルばねによって第3駆動ローラー25に向けて押圧されている。第3駆動ローラー25は、搬送モーター50により駆動される。第3従動ローラー26は、従動回転するローラーである。
【0050】
第4搬送ローラー対28は、第3ユニット5に設けられる第4駆動ローラー29と、第2ユニット4に設けられる第4従動ローラー30とで構成される。第4従動ローラー30は、第4駆動ローラー29に対して進退可能に設けられているとともに、不図示の押圧部材、例えばコイルばねによって第4駆動ローラー29に向けて押圧されている。第4駆動ローラー29は、搬送モーター50により駆動される。第4従動ローラー30は、従動回転するローラーである。
【0051】
第3駆動ローラー25、第3従動ローラー26、第4駆動ローラー29、及び第4従動ローラー30は、それぞれ原稿幅方向における中心位置を挟む様に2つ設けられている(図3参照)。第3ユニット5を第2ユニット4に対して閉じると、第3駆動ローラー25と第3従動ローラー26は接触し、第4駆動ローラー29と第4従動ローラー30も接触する。第3ユニット5を第2ユニット4に対して開くと、第3駆動ローラー25と第3従動ローラー26は離間し、第4駆動ローラー29と第4従動ローラー30も離間する。
【0052】
反転搬送路R3を搬送される原稿は、第4搬送ローラー対28によって-Y方向成分を含む斜め上方に排出され、第2ユニット4の上面4aによって傾斜姿勢に支持される。
【0053】
本実施形態において装置本体2は、制御部80の制御のもと、姿勢切り替えモーター40(図8参照)の動力によって回転し、姿勢を切り換える。制御部80は、スキャナー1に接続された外部機器500からの入力情報に基づき姿勢切り替えモーター40を制御する。図8は、装置背面の外観を構成する背面カバー66(図2参照)を外した状態を示している。符号41は、姿勢切り替えモーター40の回転を装置本体2の回転に変換する回転変換手段を示している。姿勢切り替えモーター40と回転変換手段41は、装置幅方向において-X方向の側面寄りに設けられている。装置幅方向において-X方向の側面寄りとは、X軸方向における装置中心位置よりも-X方向に位置することを意味する。
【0054】
第1ユニット3の基体を構成する第1フレーム63には、X軸方向に間隔を空けて二つの被支持部63bが設けられている。本体支持部6には、X軸方向に間隔を空けて二つの本体回転軸6cが設けられている。第1フレーム63即ち装置本体2は、被支持部63bを本体回転軸6cが貫通することで、本体回転軸6cを中心に回転可能となっている。本体回転軸6cは、X軸方向に平行な回転軸中心を成す回転軸である。
【0055】
姿勢切り替えモーター40は、第1フレーム63に設けられる。第1フレーム63は、読み取り搬送路R2に沿った形状を成している。姿勢切り替えモーター40は、傾斜姿勢に設けられた第1フレーム63の背面側に設けられる。回転変換手段41は、第1ユニット3において回転可能に設けられ姿勢切り替えモーター40の動力により回転する歯車47bと、本体支持部6に固定され歯車47bと噛み合う歯部が設けられる立壁部6aと、を有している。該歯部は、立壁部6aの本体回転軸6c周りに形成されている。
【0056】
姿勢切り替えモーター40、及び上述した回転変換手段41の構成のうち立壁部6aの歯部を除く構成は、第1ユニット3即ち装置本体2に設けられている。従って姿勢切り替えモーター40の動力によって歯車47bが回転すると、装置本体2が回転し、姿勢が切り換わる。
【0057】
尚、制御部80(図9参照)は、姿勢切り替えモーター40の回転方向などに基づき、装置本体2の姿勢を検知することができる。但し本実施形態では、後述する第1姿勢検出センサー87と第2姿勢検出センサー88が設けられており、制御部80はこれらセンサーの検出信号に基づいて装置本体2の姿勢を検知することもできる。装置本体2の通常読み取り姿勢と冊子読み取り姿勢は、停止している姿勢切り替えモーター40に対し電力を供給し、ホールド状態とされることで保持される。
【0058】
尚、上述した実施形態では、姿勢切り替えモーター40の動力によって装置本体2の姿勢を切り替えるが、これに代えて、或いはこれに加えて、ユーザーが装置本体2に力を加えることで装置本体2の姿勢を切り替える構成としても良い。
【0059】
続いて図9を参照してスキャナー1における制御系統について説明する。制御部80は原稿の給送、搬送、排出制御及び読み取り制御を含め、その他スキャナー1の各種制御を行う。制御部80には操作部7からの信号が入力される。
【0060】
制御部80は、搬送モーター50、及び姿勢切り替えモーター40を制御する。本実施形態では各モーターはDCモーターである。制御部80には、第1読取部32と第2読取部33からの読み取りデータが入力され、また、各読取部を制御する為の信号が制御部80から各読取部に送信される。制御部80には、載置検出部92(図5参照)、重送検出部91、第1原稿検出部93、第2原稿検出部94、第1姿勢検出センサー87、第2姿勢検出センサー88、第1回転検出部89、第2回転検出部90、のこれら検出手段からの信号も入力される。
【0061】
第1回転検出部89は、図8に示す様に、装置本体2において-X方向の端部に設けられる検出部である。制御部80は、搬送モーター50の回転量を第1回転検出部89によって検出することで原稿搬送路に設けられた各ローラーの回転量を把握できる。第1回転検出部89は、回転円板89aと検出部89bとを備えたロータリーエンコーダーである。また、第2回転検出部90は、姿勢切り替えモーター40の回転軸40aに設けられる回転円板と、検出部とを備えたロータリーエンコーダーである。制御部80は、姿勢切り替えモーター40の回転量を第2回転検出部90によって検出することで、姿勢切り替えモーター40の回転方向と回転量とを把握できる。
【0062】
制御部80は、CPU81、フラッシュROM82、及びRAM83を備えている。CPU81はフラッシュROM82に格納されたプログラムに従って各種演算処理を行い、スキャナー1全体の動作を制御する。記憶手段の一例であるフラッシュROM82は読み出し及び書き込みが可能な不揮発性メモリである。記憶手段の一例であるRAM83には、一時的に各種情報が格納される。制御部80が備えるインタフェース84は、図2を参照して説明した第1接続部71と第2接続部72とで構成される。制御部80はこのインタフェース84を介して外部機器500とのデータの送受信を行う。
【0063】
続いてその他の各検出部について説明する。載置検出部92は、給送ローラー14の上流に設けられた検出部である。制御部80は、載置検出部92から送信される信号により、原稿支持部11上の原稿の有無を検知できる。第1原稿検出部93は、給送ローラー14と第1搬送ローラー対16との間に設けられた検出部である。制御部80は、第1原稿検出部93から送信される信号により、検出位置における原稿の先端或いは後端の通過を検知できる。
【0064】
重送検出部91は、給送ローラー14と第1搬送ローラー対16との間に設けられた検出部であり、原稿給送経路R1を挟んで対向配置される超音波発信部及び超音波受信部を備えて成る。制御部80は、重送検出部91から送信される信号により、原稿の重送を検知できる。第2原稿検出部94は、第1搬送ローラー対16と、第1読取部32及び第2読取部33との間に設けられた検出部であり、制御部80は、第2原稿検出部94から送信される信号により、検出位置における原稿の先端或いは後端の通過を検知できる。
【0065】
次に、制御部80が行う処理の一例を、図10を参照して説明する。図10は、装置本体2の姿勢切り替えを行う際の制御部80の処理を示すフローチャートである。図10において制御部80は、原稿読み取り指示を受けると(ステップS101においてY:Yes)、装置本体2の姿勢切り替えを行う必要があるか否かを判断する(ステップS102)。ここで、原稿読み取り指示は一例として外部機器500(図9参照)から受けるものとする。外部機器500では、読み取る原稿の種類を設定することができ、制御部80は、読み取る原稿の種類がカード状の原稿や冊子状の原稿である場合には装置本体2の姿勢を冊子読み取り姿勢とし、読み取る原稿の種類がシート状の原稿である場合には装置本体2の姿勢を通常読み取り姿勢とする。
【0066】
ステップS102では、取得した原稿種類と、現在の装置本体2の姿勢とを比較して、装置本体2の姿勢を切り替えるか否かを判断する。その結果、姿勢切り替えが不要であれば(ステップS102においてN:No)、姿勢切り替え制御は行わずに原稿を読み取る(ステップS106)。姿勢切り替えが必要であれば(ステップS102においてY:Yes)、制御部80は目標姿勢に基づき(ステップS103)、目標姿勢が冊子読み取り姿勢であれば装置本体2の姿勢を冊子読み取り姿勢に切り替え(ステップS104)、また原稿搬送路を非反転搬送路R4へ切り替える(ステップS105)。尚、ステップS104、S105は同時に実行しても構わない。そして、原稿を読み取る(ステップS106)。
【0067】
また制御部80は目標姿勢に基づき(ステップS103)、目標姿勢が通常読み取り姿勢であれば装置本体2の姿勢を通常読み取り姿勢に切り替え(ステップS107)、また原稿搬送路を反転搬送路R3へ切り替える(ステップS108)。尚、ステップS107、S108は同時に実行しても構わない。そして、原稿を読み取る(ステップS106)。尚、装置本体2が通常読み取り姿勢にある場合、重送検出部91の検出情報を有効とし、装置本体2が冊子読み取り姿勢にある場合、重送検出部91の検出情報を無効とすることも好適である。
【0068】
以上の様にスキャナー1は、装置の載置面Gに載置される本体支持部6と、本体支持部6に支持される装置本体2と、を備えている。装置本体2は、原稿を搬送する原稿搬送路であって、原稿を読み取る第1読取部32及び第2読取部33と対向する読み取り搬送路R2と、読み取り搬送路R2より下流の原稿搬送路であって、読み取りの行われた原稿を上向きに反転させて排出する際の反転搬送路R3と、読み取り搬送路R2より下流の原稿搬送路であって、読み取りの行われた原稿を反転させずに排出する際の非反転搬送路R4とを備えている。また読み取り搬送路R2に接続する原稿搬送路を反転搬送路R3及び非反転搬送路R4のいずれかに切り替えるフラップ35を備えている。
【0069】
装置本体2は、本体支持部6に対し回転可能に取り付けられ、回転することで通常読み取り姿勢(図6)と、読み取り搬送路R2が載置面Gと成す角度が通常読み取り姿勢より小さくなる冊子読み取り姿勢(図7)とに切り替え可能である。フラップ35は、装置本体2が通常読み取り姿勢をとる際に読み取り搬送路R2を反転搬送路R3に接続し、装置本体2が冊子読み取り姿勢をとる際に読み取り搬送路R2を非反転搬送路R4に接続する。
【0070】
スキャナー1は、非反転搬送路R4を利用することにより撓み難い原稿を良好に搬送することができる。撓み難い原稿には、冊子やカードが含まれる。そしてフラップ35は、装置本体2が通常読み取り姿勢をとる際に読み取り搬送路R2を反転搬送路R3に接続し、装置本体2が冊子読み取り姿勢をとる際に読み取り搬送路R2を非反転搬送路R4に接続する。これにより、通常読み取り姿勢をとる際に非反転搬送路R4を利用して原稿を排出するよりも、原稿の排出方向を載置面Gに沿った方向とすることができる。その結果、通常読み取り姿勢をとる際に非反転搬送路R4を利用して原稿を排出する形態に比べてサイズの大きい原稿を排出することができる。また装置本体2を通常読み取り姿勢とすることで、読み取り搬送路R2と載置面Gとの成す角度を冊子読み取り姿勢よりも大きくすることができ、装置本体2のフットプリントを抑制できる。
【0071】
また装置本体2の姿勢切り替えは、操作部7を構成するボタンによって行う様に構成しても良い。例えば、操作部7を構成するボタンの一つを姿勢切り替えボタンに割り当て、現在姿勢が通常読み取り姿勢にある際に上記姿勢切り替えボタンがユーザーによって押下されると、制御部80はステップS104、S105を実行する。また現在姿勢が冊子読み取り姿勢にある際に上記姿勢切り替えボタンがユーザーによって押下されると、制御部80は姿勢切り替えモーター40を制御してステップS107、S108を実行する。
【0072】
続いて図11以降及び必要に応じてその他の図を参照して、給送ローラー14及び分離ローラー15の周辺構成について詳説する。ここで、図11以降における矢印Sは給送方向に対応する。分離ローラー15の周辺には、図11に示す様にガイド部材151、セットガイド153、セットフラップ155、押し付けレバー157及び斜行補正機構200が設けられている。斜行補正機構200の詳細については後述する。
【0073】
図4で表されるように、ガイド部材151は、第1フレーム63に設けられている。そして、図12から図15で表されるように、ガイド部材151に、セットガイド153、セットフラップ155、押し付けレバー157及び斜行補正機構200が設けられている。ガイド部材151は枠状の部材であり、その内側に分離ローラー15、セットガイド153、セットフラップ155、押し付けレバー157及び斜行補正機構200が配置された状態となる。なお、図13では、セットフラップ155を省略している。ガイド部材151は不図示のスナップフィット構造によって第1フレーム63に対し着脱可能に設けられ、装着された状態で原稿Pの搬送経路の一部を形成する。
【0074】
セットガイド153は図11から図15に示す様にX軸方向の両側に回転軸153aを有している。ガイド部材151には図14に示す様にX軸方向の両側に軸受部151aが形成されており、セットガイド153の回転軸153aが軸受部151aによって回転可能に軸支される。尚、第1フレーム63には、X軸方向の両側に不図示の規制構造が形成されており、ガイド部材151が第1フレーム63に装着された際、セットガイド153の回転軸153aが該規制構造によって給送方向の移動が規制される。
【0075】
セットガイド153におけるX軸方向の両側には不図示のねじりコイルばねが設けられており、ガイド部材151とセットガイド153との間に押圧力を生じさせる。セットガイド153は該ねじりコイルばねにより、回転軸153aを中心として給送方向Sの下流が給送ローラー14に向かう回転方向(図14における回転方向Rb)に押圧される。
【0076】
セットガイド153におけるX軸方向の両側面には図13に示す様に当接部153jが形成されており、この当接部153jがガイド部材151の下側に当接することで、セットガイド153の回転(回転方向Rb)が規制される。尚、図5に示す様に第2ユニット4が第1ユニット3に対し開いた状態において、当接部153jがガイド部材151の下側に当接する。この状態から第2ユニット4を第1ユニット3に対し閉じると、給送ローラー14がセットガイド153の長リブ153c、153dに当接し、これによりセットガイド153は図14における回転方向Raに所定量回転する。この状態では、当接部153jはガイド部材151の下側から離間することとなる。
【0077】
セットガイド153には、原稿給送方向に延びるリブがX軸方向に所定間隔で複数形成されている。この複数のリブは、長リブ153c及び153dと、これら長リブよりも給送方向Sの長さが短い短リブ153e及び153fと、で構成される。ここで、複数のリブはX軸方向において原稿Pの中心を通る直線に対して線対称となる様に配置されている。具体的には、長リブ153cと長リブ153dとが原稿Pの中心を通る直線に対してX軸方向において対称となる様に配置され、短リブ153eと短リブ153fとが原稿Pの中心を通る直線に対してX軸方向において対称となる様に配置されている。ただし、リブは必ずしも原稿Pの中心を通る直線に対してX軸方向において対称となる様に配置されていなくとも良い。
【0078】
図11で表されるように、長リブ153cと長リブ153dは、トルクリミッターの外周を形成する円筒部98bに当接可能な位置に形成されており、セットガイド153が回転方向Raに回転した際に長リブ153c、153dが円筒部98bに当接できる様に構成されている。
【0079】
セットガイド153には図12に示す様に二つの軸部153hが形成されており、軸部153hには押し付けレバー157が図12などに示す様に軸支される。符号157aは、押し付けレバー157において軸部153hと嵌合する軸嵌合部である。本実施形態において押し付けレバー157の回転中心位置とセットガイド153の回転中心位置とは一致している。尚、押し付けレバー157の回転中心位置とセットガイド153の回転中心位置とが異なる様に構成しても良い。押し付けレバー157に隣接する位置には不図示のねじりコイルばねが設けられており、押し付けレバー157とセットガイド153との間に押圧力を生じさせる。押し付けレバー157は該コイルばねにより、軸部153hを中心として給送方向Sの下流が給送ローラー14に向かう回転方向(回転方向Ra)に押圧される。即ち押し付けレバー157は該コイルばねによって、先端部157bが給送ローラー14に向かう方向に押圧される。
【0080】
セットガイド153には図11図14及び図17に示す様に当接部153kが形成されており、押し付けレバー157が当接部153kに当接することで、押し付けレバー157の回転(回転方向Rb)が規制される。尚、図5に示す様に第2ユニット4が第1ユニット3に対し開いた状態において、押し付けレバー157が当接部153kに当接する。この状態から第2ユニット4を第1ユニット3に対し閉じると、給送ローラー14が押し付けレバー157に当接し、これにより押し付けレバー157は回転方向Raに所定量回転する。当接部153kによって第2ユニット4が開いた状態における押し付けレバー157の回転限度が規制されることで、第2ユニット4を閉じた際に押し付けレバー157が適切に回転できる。この状態では、押し付けレバー157は当接部153kから僅かに離間することとなる。
【0081】
尚、図11から図14に示す様に二つの押し付けレバー157のうち一方は、セットガイド153における長リブ153cと当該長リブ153cに対して+X方向に位置する短リブ153eとの間から原稿Pの搬送経路に向けて突出する。また二つの押し付けレバー157のうち他方は、セットガイド153における長リブ153dと当該長リブ153dに対して-X方向に位置する短リブ153fとの間から原稿Pの搬送経路に向けて突出する。また二つの押し付けレバー157は、原稿Pの中心を通る直線に対してX軸方向において対称となる位置に配置されている。また二つの押し付けレバー157は、それぞれ独立して回転可能である。また二つの押し付けレバー157は、X軸方向において給送ローラー14の領域内にあり、また給送ローラー14の両端部に位置する。
【0082】
図11及び図12などで表されるように、二つのセットフラップ155が配置される。二つのセットフラップ155は図16に示す様にX軸方向に延びる略軸状の基部155aに設けられており、一体となって回転する。基部155aにおいてX軸方向の両側には軸部155bが形成されており、軸部155bがセットフラップ155の回転軸となる。軸部155bは、第1フレーム63において回転可能に支持される。
【0083】
図16において+X方向の軸部155bに対して+X方向には、カムフォロワ部155cが形成されている。カムフォロワ部155cには、セットフラップカム163が当接可能に設けられている。セットフラップカム163は軸165の-X方向端部に固定され、軸165の+X方向端部にはワンウェイクラッチ167を介して歯車166が設けられている。歯車166には搬送モーター50の駆動力が伝達され、搬送モーター50の回転に伴い歯車166が回転する。搬送モーター50の動力は、歯車166とワンウェイクラッチ167を介して軸165に伝達される。
【0084】
セットフラップカム163にはばね164が設けられている。ばね164は不図示の第1ばね掛け部とセットフラップカム163に押圧力を付与し、これによりセットフラップカム163、つまり軸165には回転方向Rbの押圧力が作用している。図16は、給送待機状態を示しており、この状態ではカムフォロワ部155cがセットフラップカム163に当接し、セットフラップ155は原稿給送経路を塞ぐ状態となっている。この状態では、セットされる原稿Pの先端がセットフラップ155に当接し、給送ローラー14と分離ローラー15との間への入り込みが規制されている。尚、この状態ではセットフラップカム163即ち軸165はワンウェイクラッチ167の作用によって回転方向Rbへの回転が規制されている。また歯車166は、搬送モーター50との間の動力伝達経路における負荷によって停止している。
【0085】
この状態から搬送モーター50が正転し、歯車166が回転方向Rbに回転すると、軸165はばね164の押圧力により回転方向Rb方向に回転し、即ちセットフラップカム163が回転方向Rbに回転する。これによりセットフラップカム163がカムフォロワ部155cから外れ、そしてセットフラップ155が回転方向Raに回転して、セットフラップ155が原稿給送経路R1から退避する。セットフラップ155が原稿給送経路R1から退避すると、セットされた原稿Pが給送ローラー14と分離ローラー15との間に向かうことができる。尚、搬送モーター50の正転により、原稿Pの搬送経路に設けられた各ローラーは原稿Pを下流に搬送する方向に回転する。このとき、図16の歯車166は回転方向Rbに回転し続けるが、ワンウェイクラッチ167の作用によって軸165には搬送モーター50のトルクが伝達されない。
【0086】
セットフラップ155が原稿給送経路R1から退避している状態で搬送モーター50が逆転すると、図16において歯車166は回転方向Ra方向に回転する。歯車166が回転方向Raに回転すると、ワンウェイクラッチ167の作用によって軸165に回転方向Raのトルクが伝達される。これにより軸165即ちセットフラップカム163は、ばね164の押圧力に抗して回転方向Raに回転し、カムフォロワ部155cを押し上げ、セットフラップ155が回転方向Rbに回転して図16に示す状態に戻る。
【0087】
以上が分離ローラー15周辺の構成であり、以下、セットガイド153について更に説明する。上述した様に図17は原稿Pの給送を開始する直前の状態(給送開始状態)を示している。符号T1は給送ローラー14と分離ローラー15との接触位置(ニップ位置)であり、両ローラーが弾性変形していないと仮定する場合の接触位置である。符号T2はセットガイド153と給送ローラー14との接触位置であり、符号T3は押し付けレバー157の先端部157bと給送ローラー14との接触位置である。図示する様に、接触位置T2は接触位置T1より給送方向上流にあり、また接触位置T3は接触位置T2より給送方向上流にある。尚、符号Saは第1フレーム63の上面によって形成される経路形成面である。
【0088】
図18図19は図の煩雑化を避ける為、セットフラップ155と押し付けレバー157の図示を省略したものである。図18(A)は図17に対応する図であり、この給送開始状態では、冊子状の原稿など厚い媒体を使用しない限り、セットガイド153の長リブ153c、153dと円筒部98bとの間には隙間dが形成されている。またセットガイド153は、給送ローラー14に対して進出している為、接触位置T1に向かう原稿給送経路R1を狭めている。セットガイド153はセットされる原稿の厚さが所定厚を超えると隙間dが無くなり、そして図18(B)に示す様に長リブ153dによって円筒部98b即ち分離ローラー15が押し下げられる。これにより、分離ローラー15は給送ローラー14から離間する。以上がセットガイド153と分離ローラー15との係わり合いである。
【0089】
図19(A)は、シート状の原稿Ptが複数枚載置された際の給送開始状態であり、この状態では長リブ153c、153dは円筒部98bに対し離間しており、分離ローラー15を押し下げていない。一例としてシート状の原稿Ptによる原稿束の厚みが2mm未満の場合、長リブ153c、153dは円筒部98bに接触しない。尚、この状態ではセットガイド153の上面153pが原稿Ptの先端に対し予備分離作用を付与する。セットガイド153の上面153pは、上述した長リブ153c、153dと短リブ153e、153fを含むセットガイド153全体の上面で形成される。
【0090】
図19(B)は、冊子状の原稿Pbが載置された後に給送された状態である。この状態に至る過程において、冊子状の原稿Pbによってセットガイド153が押し下げられ、長リブ153c、153dが円筒部98bに当接し、分離ローラー15を押し下げ、給送ローラー14と分離ローラー15との間に隙間が形成される。一例として冊子状の原稿Pbの厚みが2mm以上の場合、長リブ153c、153dは円筒部98bに接触する。なお、冊子状の原稿Pbが給送ローラー14により搬送されると、冊子状の原稿Pbにより分離ローラー15が押し下げられる。冊子状の原稿Pbが給送ローラー14及び分離ローラー15にニップされて搬送されているとき、図19(B)に示す様に長リブ153c、153dが円筒部98bから離間していることが好ましい。分離ローラー15がセットガイド153により押し下げられないため、分離ローラー15が給送ローラー14との間で冊子状の原稿Pbを安定してニップすることができる。
【0091】
以上の様にスキャナー1或いは原稿給送装置150は、給送ローラー14と分離ローラー15との接触位置T1に対し原稿給送方向の上流にセットガイド153を備えている。セットガイド153は原稿の厚さに応じて給送ローラー14に対して進退可能であり、給送ローラー14に対して進出することで接触位置T1に向かう原稿給送経路R1を狭める。セットガイド153は、分離ローラー15との係わり合いが可能であり、厚さが所定厚を超える原稿Pによって給送ローラー14から退避する方向に押し下げられる際に、分離ローラー15を給送ローラー14から離れる方向に変位させる。この様に厚さが所定厚を超える原稿Pを給送する場合には当該原稿Pが分離ローラー15と給送ローラー14との間に入り込む前に、予め分離ローラー15が給送ローラー14から離間されるので、厚さが所定厚を超える原稿Pが分離ローラー15に突き当たって給送不能となることを抑制できる。
【0092】
また図19(A)に示す様に原稿支持部11に複数枚のシート状の原稿Ptが支持された際、セットガイド153の上面は、原稿Ptの先端に対し分離作用を付与する。これにより給送ローラー14と分離ローラー15とによる原稿Ptの分離に先立ってセットガイド153による分離が行われることで、より確実に原稿Ptを分離することができる。
【0093】
またセットガイド153は、原稿Pの給送方向Sに延びるリブ(長リブ153c、長リブ153d、短リブ153e、短リブ153f)を複数備え、複数のリブは、給送方向Sと交差する方向である幅方向(X軸方向)において、原稿Pの中心を通る直線に対してX軸方向において対称となる様に配置されている。これによりセットガイド153が原稿Pに付与する摩擦力が幅方向において左右均等となり、これにより原稿Pの斜行を抑制できる。
【0094】
また幅方向において原稿Pの中心を通る直線は給送ローラー14の中心位置と分離ローラー15の中心位置とを通り、複数のリブのうち直線に近い二つのリブである長リブ153c、153dは、幅方向において分離ローラー15を挟んで位置するとともに、給送ローラー14の領域内に位置する。これにより接触位置T1に向かう原稿給送経路を適切に狭めることができ、接触位置T1に向かう原稿の枚数を適切に規制することができる。その結果、分離ローラー15による分離作用を適切に得ることができる。
【0095】
また本実施形態において給送ローラー14と対向配置される分離部は、回転可能な分離ローラー15で構成され、セットガイド153は、分離ローラー15の回転中心を中心とする円筒部98bと当接することで分離ローラー15と係わり合う構成である。そして図18を参照して説明した様に原稿の厚さが所定厚以下の場合、セットガイド153と円筒部98bとの間には隙間dがあり、原稿の厚さが所定厚を超えると、セットガイド153が円筒部98bに当接して分離ローラー15を給送ローラー14から離れる方向に変位させる。これにより、分離ローラー15を確実に給送ローラー14から離間させることができる。尚、本実施形態ではトルクリミッターの外周を構成する円筒部98bをセットガイド153が押し下げる構成であるが、分離ローラー15の回転軸をセットガイド153が押し下げる構成であっても良い。いずれの場合も、セットガイド153が分離ローラー15を他の部材を介して間接的に押し下げる構成であるが、セットガイド153が分離ローラー15を直接押し下げる構成であっても良い。
【0096】
続いて押し付けレバー157の動きについて図20を参照して説明する。尚、図20ではセットフラップ155の図示は省略している。図20において符号P1は給送される原稿、符号Pdは原稿P1の下側の原稿束、符号P2は原稿束Pdのうち最上位の媒体であって原稿P1に続いて給送される原稿である。図20(A)は、原稿P1の給送途中の状態を示しており、この状態では給送ローラー14の正転(矢印Rg方向)によって給送ローラー14が原稿P1に対し給送方向Sの下流への送り力を付与し、またこれに伴って原稿束Pdも給送方向Sの下流に向かおうとする。この為、原稿束Pdが押し付けレバー157を不図示のコイルばねのばね力に抗して押し下げ、押し付けレバー157はセットガイド153から上方に突出しない状態となる。
【0097】
尚この状態では、押し付けレバー157は円筒部98bと接触せず、押し付けレバー157は分離ローラー15を押し下げない。これにより分離ローラー15が給送ローラー14から離れるタイミングが不適切となることを防止できる。
【0098】
次に、図20(A)の状態から原稿P1の後端が給送ローラー14と分離ローラー15との接触位置T1を通過すると、分離ローラー15に回転負荷を付与していたトルクリミッターのスプリングバックが生じ、分離ローラー15が逆転する(矢印Rj方向)。本実施形態において給送ローラー14にはワンウェイクラッチが設けられていない為、分離ローラー15の逆転に伴って給送ローラー14も逆転する(矢印Rh方向)。
【0099】
ここで給送ローラー14が自由に逆転可能であると、給送ローラー14の逆転によって原稿P2を含む原稿束Pdが給送方向Sの上流に勢い良く戻され、これにより顕著な斜行や不送りが生じる虞がある。しかしながら押し付けレバー157が設けられており、給送される原稿P1の後端が接触位置T1を抜けた後、押し付けレバー157の先端部157bによって原稿束Pdが給送ローラー14に向けて押し付けられる。これにより原稿束Pdが給送方向Sの上流に勢い良く戻される現象が抑制され、斜行や不送り等の給紙不良を抑制できる。特に本実施形態では、原稿支持部11に支持された原稿のうち最上位のものから給送する構成である為、給送ローラー14の逆転によって給送方向Sの上流に戻されようとする最上位の原稿P2は斜行が生じ易く、また給送方向Sの上流に戻され易い。しかしながら上述した押し付けレバー157の作用により、原稿P2が給送方向Sの上流に勢い良く戻される現象が抑制され、斜行や不送り等の給紙不良を抑制できる。
【0100】
また本実施形態において押し付けレバー157は、回転軸となる軸部153hを中心に回転することにより先端部157bが給送ローラー14に対して進退し、軸部153hは先端部157bに対し給送方向Sの上流に位置する。ここで、給送ローラー14の逆転によって原稿Pが給送方向Sの上流に戻されようとする際に、原稿Pと接触する押し付けレバー157が回転方向Rbに回転し易いと、原稿Pが給送方向Sの上流に戻され易くなる。しかしながら軸部153hは先端部157bに対し給送方向Sの上流に位置するので、原稿Pと接触する押し付けレバー157が回転し難い構成となり、給送ローラー14の逆転によって原稿Pが上流に戻される現象を効果的に抑制できる。
【0101】
またセットガイド153には、押し付けレバー157の先端部157bが給送ローラー14に進出する方向の押し付けレバー157の回転限度を規制する当接部153kが設けられている。これにより押し付けレバー157の回転方向Rbの回転がより確実に抑制され、給送ローラー14の逆転によって原稿Pが上流に戻される現象を効果的に抑制できる。
【0102】
また本実施形態では、押し付けレバー157はX軸方向、即ち給送方向Sと交差する方向である幅方向において、給送ローラー14の領域内に設けられる。これにより押し付けレバー157によって原稿を給送ローラー14に対し確実に押し付けることができ、給送ローラー14の逆転によって媒体が上流に戻される現象をより確実に抑制できる。
【0103】
また本実施形態において押し付けレバー157は、一つの給送ローラー14に対し、幅方向における両端部に設けられる。これにより給送ローラー14の逆転によって原稿Pが上流に戻されようとする際の斜行を抑制できる。尚、X軸方向において給送ローラー14が複数設けられた場合、押し付けレバー157は、複数の給送ローラー14の全体に対し両端部に設けることが好適である。これにより原稿Pが上流に戻されようとする際の斜行を抑制できる。また押し付けレバー157を複数設ける構成に代えて、例えばX軸方向における中央位置に一つ設けても良い。
【0104】
また本実施形態において複数の押し付けレバー157は、独立して給送ローラー14に対し進退可能である。ここで仮に複数の押し付けレバー157が一体に進退する構成であると、複数の押し付けレバー157のそれぞれによる原稿Pの押し付け状態に差異が生じ、原稿Pの斜行が生じる虞がある。例えば一方の押し付けレバー157が原稿に接し、他方の押し付けレバー157が原稿Pと接しないと、原稿Pの斜行が生じる。しかしながら本実施形態では、複数の押し付けレバー157は独立して給送ローラー14に対し進退可能であるので、複数の押し付けレバー157のそれぞれが原稿Pを適切に押し付け、上記の斜行を抑制できる。
【0105】
また本実施形態においては図17を参照して説明した様に押し付けレバー157が給送ローラー14に当接する接触位置T3は、セットガイド153が給送ローラー14に当接する接触位置T2よりも上流にあるので、給送ローラー14の逆転によって原稿Pが上流に戻されようとする際、より長い期間、原稿Pを押し付けることができ、給送ローラー14の逆転によって原稿Pが上流に戻される現象をより確実に抑制できる。
【0106】
また、不図示のコイルばねが押し付けレバー157を押圧する押圧力は、不図示のコイルばねがセットガイド153を押圧する押圧力より小さい。このため、原稿Pを給送する際に押し付けレバー157が原稿給送経路R1から退避し易くなり、押し付けレバー157が原稿Pの給送を阻害することを抑制できる。
【0107】
上記のように、本実施形態のスキャナー1は、媒体である原稿Pが載置される載置部である原稿支持部11と、原稿Pが搬送される搬送経路である原稿給送経路R1、読み取り搬送路R2、反転搬送路R3、非反転搬送路R4と、原稿Pを搬送経路において搬送する搬送ローラーのうちの1つとしての給送ローラー14と、を備えており、さらに、搬送される原稿Pの斜行を補正する斜行補正機構200を備えている。そこで、次に、斜行補正機構200について詳細に説明する。図21から図23は、本実施形態の斜行補正機構200を表している。図21から図23で表される斜行補正機構200は、図13で表されるように、セットガイド153に取り付けられている。
【0108】
本実施形態の斜行補正機構200は、ともに給送方向Sにおける給送ローラー14と分離ローラー15とのニップ位置である接触位置T1よりも上流に設けられ、搬送されてきた原稿Pを検出することが可能なレバー部材180と、幅方向における一部の位置において原稿Pの搬送を妨げることが可能な負荷部材190と、を有している。そして、本実施形態の斜行補正機構200は、図21から図23で表されるように、レバー部材180のうちの第1レバー部材180Aと負荷部材190のうちの第1負荷部材190Aとを有する第1斜行補正部200Aと、レバー部材180のうちの第2レバー部材180Bと負荷部材190のうちの第2負荷部材190Bとを有する第2斜行補正部200Bと、を有している。
【0109】
ここで、第1レバー部材180A及び第2レバー部材180Bは、原稿Pと接触可能であって原稿Pの搬送経路に進出している進出位置と、原稿Pが接触して通過することにより原稿Pの搬送経路から退避する退避位置と、に変位可能である。ここで、図21は、第1レバー部材180A及び第2レバー部材180Bがともに進出位置にある状態を表している。そして、図21に対応する図24(A)は、第1レバー部材180Aが進出位置にある状態を表している。図14及び図24(A)で表されるように、進出位置にある第1レバー部材180A及び第2レバー部材180Bは、セットガイド153に接触することで位置決めされている。一方、図22は、斜行して搬送された原稿Pの先端Pe(図24参照)が第1レバー部材180A及び第2レバー部材180Bのうちの第1レバー部材180Aのみに接触して第1レバー部材180Aが進出位置から退避位置に変位した状態を表している。なお、図26(A)は原稿Pの先端Peが第1レバー部材180Aに接触した瞬間を表している。また、図26(A)の状態に引き続いて原稿Pの搬送にしたがって第1レバー部材180Aは進出位置から退避位置に変位するとともに、図26(B)で表されるように原稿Pの搬送が続行される。図26(B)においては、第1レバー部材180Aは退避位置に位置している。そして、図22に対応する図24(B)は、第1レバー部材180Aが退避位置にある状態を表している。
【0110】
第1負荷部材190A及び第2負荷部材190Bは、給送方向Sにおいて第1レバー部材180A及び第2レバー部材180Bよりも下流に設けられ、給送方向Sと交差する幅方向における搬送経路の一部を遮断する遮断位置と、搬送経路を遮断せずに開放する開放位置と、に変位可能である。ここで、図21及び図22は、第1負荷部材190A及び第2負荷部材190Bがともに遮断位置にある状態を表している。そして、図21に対応する図25(A)及び図22に対応する図25(B)は、第1負荷部材190Aが遮断位置にある状態を表している。図14及び図25(A)で表されるように、遮断位置にある第1負荷部材190A及び第2負荷部材190Bは、セットガイド153に接触することで位置決めされている。一方、図23は、斜行して搬送された原稿Pの先端Peが第1レバー部材180Aに接触して第1レバー部材180Aが進出位置から退避位置に変位した状態と、第1負荷部材190Aが遮断位置から開放位置に変位した状態と、を表している。そして、図23に対応する図25(C)は第1負荷部材190Aが開放位置にある状態を表している。
【0111】
なお、図21から図25を用いたレバー部材180及び負荷部材190の動作に関する上記の説明は、斜行して搬送された原稿Pの先端Peが第1レバー部材180A及び第2レバー部材180Bのうちの第1レバー部材180Aのみに接触する斜行方向で搬送された場合、すなわち、原稿幅方向において第1レバー部材180A側の先端Peが第2レバー部材180B側の先端Peよりも先行する斜行搬送の場合の説明である。一方、原稿幅方向において第2レバー部材180B側の先端Peが第1レバー部材180A側の先端Peよりも先行する斜行搬送の場合は、上記の説明において、第1レバー部材180Aと第2レバー部材180Bとを逆に読み替え、第1負荷部材190Aと第2負荷部材190Bとを逆に読み替えることでレバー部材180及び負荷部材190の動作を説明することができる。
【0112】
ここで、給送ローラー14は幅方向において第1負荷部材190Aと第2負荷部材190Bとの間に設けられ、図24及び図25で表されるように第1負荷部材190A及び第2負荷部材190Bは、遮断位置に位置するときに、幅方向から見て給送ローラー14の一部と重なる。そして、上記のように、第1負荷部材190Aは、第1レバー部材180Aが進出位置に位置するときに遮断位置に位置し、第1レバー部材180Aが進出位置から変位して退避位置に位置するときに遮断位置から開放位置に変位可能に構成されている。また、第2負荷部材190Bは、第2レバー部材180Bが進出位置に位置するときに遮断位置に位置し、第2レバー部材180Bが進出位置から変位して退避位置に位置するときに遮断位置から開放位置に変位可能に構成されている。
【0113】
このように、第1負荷部材190A及び第2負荷部材190Bは、遮断位置に位置するときに、幅方向から見て給送ローラー14の少なくとも一部と重なる構成とすることが好ましい。別の表現をすると、給送方向Sにおいて給送ローラー14から離れていない位置に斜行補正機構200を備えることが好ましい。このような構成とすることで、例え薄い媒体のようなコシの弱い媒体などを用いても、媒体のコシが弱くならない位置(給送ローラー14から近い位置)で斜行補正を行うことできることで媒体の撓りを抑制しつつ斜行補正を行うことができ、斜行補正精度を向上することができるためである。
【0114】
また、上記のように、本実施形態のスキャナー1は、搬送ローラーとして原稿支持部11に載置された原稿Pを給送する給送ローラー14と、給送ローラー14と対向配置され、原稿支持部11に原稿Pが複数枚重ねて載置された場合に給送ローラー14とともに原稿Pをニップして原稿Pを分離する分離部としての分離ローラー15と、を備えている。そして、図25(A)及び図25(B)で表されるように、遮断位置に位置する第1負荷部材190A及び第2負荷部材190Bと搬送される原稿Pとが接触する接触位置T4が、給送ローラー14と分離ローラー15とのニップ位置である接触位置T1と、が幅方向から見て重なる配置となっている。原稿Pなどの媒体は給送ローラー14と分離ローラー15とのニップ位置から近いほどコシが強く、このような構成とすることで接触位置T4と接触位置T1とが近いことで媒体のコシが弱くならない位置で斜行補正を行うことできる。したがって、本実施形態のスキャナー1は、媒体の撓りを抑制しつつ斜行補正を行うことができ、斜行補正精度を向上することができる。
【0115】
また、図24(A)で表されるように、第1レバー部材180A及び第2レバー部材180Bは、進出位置に位置するときに、幅方向から見て給送ローラー14の一部と重なっている。このように、第1レバー部材180A及び第2レバー部材180Bは、進出位置に位置するときに、幅方向から見て給送ローラー14などの搬送ローラーの少なくとも一部と重なることが好ましい。このような構成とすることで、第1レバー部材180A及び第2レバー部材180Bを第1負荷部材190A及び第2負荷部材190Bに対して給送方向において近くに配置することができ、斜行を高い精度で補正することができる。
【0116】
また、図21から図23で表されるように、本実施形態の斜行補正機構200は、幅方向に沿って第1斜行補正部200A及び第2斜行補正部200Bを有している。ここで、第1斜行補正部200Aは、第1レバー部材180Aと、第1負荷部材190Aが遮断位置から開放位置に変位することを規制する第1規制位置と、規制を解除する第1非規制位置と、に変位可能な第1当接部182Aと、一端に第1レバー部材180Aが設けられるとともに他端に第1当接部182Aが設けられる第1回動軸181Aと、を有している。また、第2斜行補正部200Bは、第2レバー部材180Bと、第2負荷部材が遮断位置から開放位置に変位することを規制する第2規制位置と、規制を解除する第2非規制位置と、に変位可能な第2当接部182Bと、一端に第2レバー部材180Bが設けられるとともに他端に第2当接部182Bが設けられる第2回動軸181Bと、を有している。図25(A)で表されるように、第1レバー部材180Aが進出位置に位置するとき、第1規制位置に位置する第1当接部182Aと遮断位置に位置する第1負荷部材190Aとの間には、隙間が設けられている。搬送される原稿Pが第1負荷部材190Aを押すことで、第1負荷部材と第1当接部182Aが当接する。そして、第1当接部182Aは、図22及び図23で表されるように第1レバー部材180Aが退避位置に位置するときに、第1非規制位置に位置する。これにより、第1負荷部材190Aが遮断位置から開放位置に変位可能な状態になり、搬送される原稿Pの先端Peが第1負荷部材190Aを押すことで、第1負荷部材190Aは遮断位置から開放位置に変位する(図25(B)及び図25(C)参照)。同様に、第2レバー部材180Bが進出位置に位置するとき、第2規制位置に位置する第2当接部と第2負荷部材との間には隙間が設けられている。搬送される原稿Pが第2負荷部材190Bを押すことで、第2負荷部材と第2当接部182Bが当接する。第2当接部182Bは、第2レバー部材180Bが退避位置に位置するときに、第2非規制位置に位置する。これにより、第2負荷部材190Bが遮断位置から開放位置に変位可能な状態になり、搬送される原稿Pの先端が第2負荷部材を押すことで、遮断位置から開放位置に変位する。
【0117】
本実施形態の斜行補正機構200のように、レバー部材180と負荷部材190の動きが直接的ではなく間接的に連動する構成とすることで、斜行補正機構200を簡単に構成することができる。なお、本実施形態の斜行補正機構200においては、当接部182(第1当接部182A及び第2当接部182B)を有することで、レバー部材180(第1レバー部材180A及び第2レバー部材180B)と負荷部材190(第1負荷部材190A及び第2負荷部材190B)の動きが直接的に連動しない構成となっている。しかしながら、レバー部材180が進出位置から退避位置に変位するのに直接的に連動して負荷部材190も遮断位置から開放位置に変位する構成としてもよい。すなわち、負荷部材190(第1負荷部材190A及び第2負荷部材190B)は、レバー部材180(第1レバー部材180A及び第2レバー部材180B)が進出位置から退避位置に変位するのに伴って、遮断位置から開放位置に変位可能に構成されていてもよい。
【0118】
ここで、図21から図23を参照してさらに詳細に説明すると、本実施形態の斜行補正機構200は、第1斜行補正部200A及び第2斜行補正部200Bともに、レバー部材180、回動軸181(第1回動軸181A、第2回動軸181B)、当接部182及び負荷部材190を備えている。そして、これらに加え、原稿Pの搬送経路において原稿の搬送をガイドするガイド部183(第1ガイド部183A、第2ガイド部183B)と、回動軸181を回転方向Rbに付勢するコイルバネ184(第1コイルバネ184A、第2コイルバネ184B)と、負荷部材190を回転方向Rbに付勢するコイルバネ191(第1コイルバネ191A、第2コイルバネ191B)と、を備えている。ここで、図25(B)及び図25(C)で表されるように、負荷部材190は、回転軸190aを有しており、レバー部材180が進出位置から退避位置に変位することで当接部182が規制位置から非規制位置に変位したあと、搬送される原稿Pの先端に押されることで、回転方向Raに回転する構成となっている。また、負荷部材190は、原稿Pの後端が負荷部材190を通りすぎたあと、コイルバネ191のバネ力により回転方向Rbに回転する構成となっている。規制位置に位置する当接部182と遮断位置に位置する負荷部材190との間に隙間を設けることによって、搬送された原稿Pの後端が負荷部材190およびレバー部材180を通りすぎた後、当接部182と負荷部材190とが規制位置および遮断位置に戻りやすくなる。
【0119】
コイルバネ184のバネ力は弱く、原稿Pが搬送されることによりレバー部材180が原稿Pの先端により押されると回動軸181は回転方向Raに回転する。回動軸181が回転方向Raに回転すると、図25(B)で表されるように当接部182は規制位置から非規制位置に変位するので、図25(C)で表されるように負荷部材190は搬送される原稿Pの先端Peに押されることで回転方向Raに回転する構成となっている。また、負荷部材190は、原稿Pの後端が負荷部材190を通りすぎたあと、コイルバネ191のバネ力により回転方向Rbに回転する。
【0120】
すなわち、本実施形態の斜行補正機構200は、原稿Pを搬送する際において、原稿幅方向において先行する側の原稿Pの先端Peをレバー部材180で検出し、原稿幅方向において先行する側のそれ以上の原稿Pの搬送を負荷部材190で抑制するとともに原稿幅方向において後行する側の原稿Pの搬送を許容し斜行の程度を改善させる。そして、原稿幅方向において後行する側の原稿Pの先端Peをレバー部材180で検出すると、装置幅方向の両側において原稿Pの搬送を許容する。例えば、図26を用いて説明すると、原稿幅方向において先行する側の原稿Pの先端Peを第1レバー部材180Aで検出する。そして、図26(B)で表されるように原稿幅方向において後行する側の第1負荷部材190Aを遮断位置から開放位置に変位させ、図26(C)で表されるように原稿幅方向において後行する側の原稿Pの先端Peを第2レバー部材180Bで検出するまで原稿Pの搬送を続行する。この際、原稿幅方向において先行する側の第2負荷部材190Bは遮断位置に位置したままなので斜行の程度は改善する。そして、後行する側の原稿Pの先端Peを第2レバー部材180Bで検出すると第2負荷部材190Bを遮断位置から開放位置に変位させて原稿Pの全体を遮断することなく搬送する。以上が、本実施形態の斜行補正機構200の斜行補正動作の概要の説明となる。
【0121】
本実施形態のスキャナー1において、給送ローラー14は、幅方向において、第1レバー部材180A及び第2負荷部材190Bと、第2レバー部材180B及び第1負荷部材190Aと、の間に設けられている。すなわち、幅方向において距離の離れた、第1レバー部材180Aと第1負荷部材190Aとをリンクさせ、第2レバー部材180Bと第2負荷部材190Bとをリンクさせている。このような構成とすることで、斜行が所定の角度よりも大きくなることを効果的に抑制することができる。また、レバー部材180に対する負荷部材190のリンク先が給送ローラー14を跨ぐ構成とすることで、幅の狭い原稿Pに対しても効果的に斜行を補正することができる。
【0122】
また、図21から図23で表されるように、第1レバー部材180Aは給送方向Sにおいて第2負荷部材190Bの一部と重なる位置に設けられ、第2レバー部材180Bは給送方向Sにおいて第1負荷部材190Aの一部と重なる位置に設けられている。このように、第1レバー部材180Aが給送方向Sにおいて第2負荷部材190Bの少なくとも一部と重なる位置に設けられ、第2レバー部材180Bが給送方向Sにおいて第1負荷部材190Aの少なくとも一部と重なる位置に設けられる構成とすることが好ましい。このような構成とすることで、レバー部材180と負荷部材190との幅方向における距離を短くでき、例えば、幅の狭い原稿Pに対しても特に効果的に斜行を補正することができる。なお、本実施形態においては、このように、レバー部材180が給送方向Sにおいて負荷部材190の少なくとも一部と重なる位置に設けられる。しかしながら、レバー部材180が給送方向Sにおいて負荷部材190と重ならない位置に設けられる構成、別の表現をすると、第1レバー部材180A及び第2レバー部材180Bが、幅方向において、第1負荷部材190Aと第2負荷部材190Bとの間に設けられる構成としてもよい。
【0123】
さらには、給送ローラー14などの搬送ローラーが、幅方向において、第1レバー部材180A及び第1負荷部材190Aと、第2レバー部材180B及び第2負荷部材190Bと、の間に設けられる構成としてもよい。別の表現をすると、幅方向において距離の近い、第1レバー部材180Aと第1負荷部材190Aとをリンクさせ、第2レバー部材180Bと第2負荷部材190Bとをリンクさせる構成としてもよい。このような構成とすることで、レバー部材180と負荷部材190とのリンク機構を小型化することができる。
【0124】
また、本実施形態のスキャナー1は、原稿支持部11に載置された原稿Pの先端Peを給送ローラー14と分離ローラー15とのニップ位置に案内するセットガイド153を備えているが、上記のように、セットガイド153は、原稿Pの厚さに応じて給送ローラー14と分離ローラー15との間の距離を調節可能である。そして、斜行補正機構200は、図13などで表されるように、セットガイド153に設けられている。原稿Pの厚さに応じて給送ローラー14と分離ローラー15との間の距離を調節可能なセットガイド153を備えることで、原稿Pの厚さによって給送ローラー14と分離ローラー15との間の距離が調節されるので、例えば、所定の厚みを超える原稿Pが分離ローラー15に突き当たって給送不能となることを抑制することができる。また、斜行補正機構200がセットガイド153に設けられ、セットガイド153と斜行補正機構200が一体構造となっていることで、媒体搬送装置を小型化することができる。
【0125】
また、セットガイド153は、給送方向Sにおいてニップ位置である接触位置T1よりも上流側に配置されるとともに幅方向において給送ローラー14の両端であって斜行補正機構200のレバー部材180や負荷部材190よりも給送ローラー14に近い位置に設けられている。そして、セットガイド153は、給送ローラー14に対して進退することで給送ローラー14に押し付ける第1位置(図17参照)と給送ローラー14から離間する第2位置(図20参照)とに切り替え可能な押し付けレバー157を有している。ここで、図20で表されるように、押し付けレバー157は、第2位置において複数枚重ねて載置された原稿Pのうちの分離ローラー15によって分離され先行して給送された先行媒体(図20の原稿P1)の給送方向Sにおける後端が接触位置T1を通過した後に、第1位置において複数枚重ねて載置された原稿Pのうちの先行媒体以外の後続媒体(図20の原稿P2)を給送ローラー14に押し付け可能に構成されている。このため、本実施形態のスキャナー1は、先行媒体が給送された後に後続媒体が給送方向Sの上流側に勢いよく戻されることを抑制することができる。
【0126】
また、本実施形態のスキャナー1においては、経路部材の役割を兼ねるガイド部材151は、分離ローラー15の周囲の少なくとも一部に開閉可能に配置されるとともに開状態となることで分離ローラー15を取り外し可能に設けられ、閉状態となることで搬送経路の少なくとも一部を形成している。そして、セットガイド153は、ガイド部材151に設けられている。分離ローラー15はその寿命などにより定期的に交換等することがあるが、本実施形態のスキャナー1は、ガイド部材151を開状態とすることで、簡単に分離ローラー15を交換等することができる。
【0127】
本発明は上記において説明した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。例えば、本実施形態のスキャナー1においては、幅方向において第1負荷部材190Aと第2負荷部材190Bとの間に設けられ、第1負荷部材190A及び第2負荷部材190Bが遮断位置に位置するときに幅方向から見て重なる位置に設けられる、搬送ローラーは、給送ローラー14であった。しかしながら、給送ローラー14の代わりに、第1搬送ローラー対16や第2搬送ローラー対20などを構成する搬送ローラーなどが、幅方向において第1負荷部材190Aと第2負荷部材190Bとの間に設けられ、第1負荷部材190A及び第2負荷部材190Bが遮断位置に位置するときに幅方向から見て重なる位置に設けられる構成などとしてもよい。この場合、矢印Sは搬送方向に対応する。
【0128】
また、例えば、本実施形態のスキャナー1においては、レバー部材180及び負荷部材190が共に原稿Pの搬送経路の下側に設けられており下側から上側に進出する構成となっているが、レバー部材180及び負荷部材190の少なくとも一方が原稿Pの搬送経路の上側に設けられ上側から下側に進出する構成としてもよい。本実施形態のスキャナー1のように、レバー部材180及び負荷部材190が共に原稿Pの搬送経路の下側に設けられており下側から上側に進出する構成とすることで、原稿Pが進出位置に位置するレバー部材180及び遮断位置に位置する負荷部材190からすり抜ける虞を低減することができる。一方、レバー部材180及び負荷部材190の少なくとも一方が原稿Pの搬送経路の上側に設けられ上側から下側に進出する構成とする場合、進出位置に位置するレバー部材180及び遮断位置に位置する負荷部材190が搬送経路の下面を超える位置まで下がる構成とすることで、原稿Pがすり抜ける虞を低減することができる。
【0129】
また上述した実施形態は、スキャナーに代表される画像読取装置に適用した例を説明したが、プリンターに代表される記録装置に適用することもできる。即ち上記実施形態における原稿を被記録媒体とし、読取部を被記録媒体に記録を行う記録部とすることで、記録装置において上述した実施形態と同様な作用効果が得られる。記録装置の一例としてはインクジェットプリンターが挙げられ、記録部の一例としてはインクジェット式記録ヘッドが挙げられる。
【符号の説明】
【0130】
1…スキャナー(媒体搬送装置、画像読取装置)、2…装置本体、3…第1ユニット(下部ユニット)、4…第2ユニット(上部ユニット)、4a…上面、5…第3ユニット、6…本体支持部、6a…立壁部、6c…本体回転軸、7…操作部、8a…ロック解除部、10…上部開閉部、11…原稿支持部(載置部)、12a、12b…エッジガイド、13…給送口、14…給送ローラー(搬送ローラー)、15…分離ローラー、16…第1搬送ローラー対、17…第1下ローラー、18…第1上ローラー、20…第2搬送ローラー対、21…第2下ローラー、22…第2上ローラー、24…第3搬送ローラー対、25…第3駆動ローラー、26…第3従動ローラー、28…第4搬送ローラー対、29…第4駆動ローラー、30…第4従動ローラー、32…第1読取部、32a…コンタクトガラス、33…第2読取部、33a…コンタクトガラス、35…フラップ、35a…フラップ回転軸、37…第1排出口、38…第2排出口、40…姿勢切り替えモーター、41…回転変換手段、47b…歯車、50…搬送モーター、63…第1フレーム、63b…被支持部、64a…フレーム回転軸、66…背面カバー、71…第1接続部(USB Type-A)、72…第2接続部(USB Type-C)、73…第3接続部(DCジャック)、79…回路基板、80…制御部、81…CPU、82…フラッシュROM、83…RAM、84…インタフェース、86…第1ソレノイド、87…第1姿勢検出センサー、88…第2姿勢検出センサー、89…第1回転検出部、89a…回転円板、89b…検出部、90…第2回転検出部、91…重送検出部、92…載置検出部、93…第1原稿検出部、94…第2原稿検出部、98b…円筒部、150…原稿給送装置、151…ガイド部材(経路部材)、151a…軸受部、153…セットガイド、153a…回転軸、153c、153d…長リブ、153e、153f…短リブ、153h…軸部、153j…当接部、153k…当接部、153p…上面、155…セットフラップ、155a…基部、155b…軸部、155c…カムフォロワ部、157…押し付けレバー(押付部)、157a…軸嵌合部、157b…先端部、163…セットフラップカム、164…ばね、165…軸、166…歯車、167…ワンウェイクラッチ、180…レバー部材、180A…第1レバー部材、180B…第2レバー部材、181…回動軸、181A…第1回動軸、181B…第2回動軸、182…当接部、182A…第1当接部、182B…第2当接部、183…ガイド部、183A…第1ガイド部、183B…第2ガイド部、184…コイルバネ、184A…第1コイルバネ、184B…第2コイルバネ、190…負荷部材、190A…第1負荷部材、190B…第2負荷部材、190a…回転軸、200…斜行補正機構、200A…第1斜行補正部、200B…第2斜行補正部、500…外部機器、R1…原稿給送経路(搬送経路)、R2…読み取り搬送路(搬送経路)、R3…反転搬送路(搬送経路)、R4…非反転搬送路(搬送経路)
図1
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