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特開2024-129548後方物体確認装置及び後方物体確認システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129548
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】後方物体確認装置及び後方物体確認システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038839
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000142665
【氏名又は名称】株式会社慶洋エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 聡
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC24
5H181LL02
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】車両の後退時に車両の後方に進入してくる物体の危険度を客観的に判定する後方物体確認装置を提供する。
【解決手段】後方物体確認システム1は、車両の後方を撮影するカメラ2と、カメラの画像を表示するモニター3と、後方物体確認装置7を有する。後方物体確認装置7は、車両の後端からの距離及び車幅を示す警告ラインWL2,WL1を調整しておき(図6~10)、後退時に警告ラインをモニターに表示させ、進入してくる物体の存在領域Aと警告ラインの位置関係に応じて物体の危険度を判定し、ブザー4で警報を発出する(図11、12)。警告ラインWL2,WL1は、道路上に設けた標識ラインSL1,2(図4、5)に合致するようにモニター上で調整する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後方にある物体を確認する後方物体確認装置であって、
車両の後端からの距離及び車幅を示す警告ラインを任意に調整して表示装置に表示させるとともに、撮影装置により撮影されて前記表示装置に表示された物体と、調整された前記警告ラインの位置関係に応じて、物体の危険度を判定する手段を具備することを特徴とする後方物体確認装置。
【請求項2】
車両の後方にある物体を確認する後方物体確認システムであって、
車両の後端部に設けられて車両の後方の画像を撮影する撮影装置と、
車両に搭載されて前記撮影装置が撮影した車両の後方の画像を表示する表示装置と、
車両の後端からの距離及び車幅を示す警告ラインを任意に調整して前記表示装置に表示させるとともに、前記表示装置に表示された物体と調整された前記警告ラインの位置関係に応じて物体の危険度を判定する後方物体確認装置と、
を具備することを特徴とする後方物体確認システム。
【請求項3】
前記後方物体確認装置による判定の結果に基づいて必要な警報を出力する警報出力装置を備えたことを特徴とする請求項2に記載の後方物体確認システム。
【請求項4】
前記後方物体確認装置は、
車両の後端からの距離及び車幅を示すために前記表示装置に表示した前記警告ラインを、車両の後方の路上に設定した標識ラインと適合するように調整して前記表示装置に表示させる警告ライン表示・調整部と、
車両が後退する際に前記表示装置に表示された物体の存在領域を検出し、前記表示装置に表示された調整済みの前記警告ラインと前記存在領域の位置関係に応じて物体の危険度を判定する障害物判定部と、
を有することを特徴とする請求項3に記載の後方物体確認システム。
【請求項5】
前記警告ラインは、車両の車幅を区画する車幅警告ラインと、前記車幅警告ラインと直交するラインであって車両が後退する方向に関する車両の後端からの距離を示す距離警告ラインを含んでおり、
標識ラインは、車両の車幅を区画する車幅標識ラインと、前記車幅標識ラインと直交するラインであって車両が後退する方向に関する車両の後端からの距離を示す距離標識ラインを含むことを特徴とする請求項4に記載の後方物体確認システム。
【請求項6】
前記存在領域は、物体の周囲を囲む表示であって、前記車幅警告ライン及び前記距離警告ラインとの位置関係に応じて異なる色彩で表示されることを特徴とする請求項5に記載の後方物体確認システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が後退する際に、車両の後方にある物体を確認し、必要であれば警報を出力することができる後方物体確認装置乃至システムに係り、特に車両の後方における物体の検出範囲を任意に設定することができる後方物体確認装置乃至システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
国土交通省は、2021年6月9日に、「後退時車両直後確認装置に係る協定規則(第158号)」が国際連合欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)において新たに採択されたこと等を踏まえ、我が国においてもこれらの規則を導入するとともに、改正された他の規則を保安基準に反映させることなどを目的として保安基準の改正等を行うことを発表し、2021年6月10日には「後退時車両直後確認装置に係る基準」が施行された。これにより、トラック等の新車については、バックカメラなどの後退時車両直後確認装置の搭載が義務化されることになった。前記基準によれば、バックカメラの場合、車体の後方0.3mから3.5mまでの範囲が確認できるとともに、ポールや子供等を想定して高さ0.8mの物体を確認できる性能が必要とされることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
車両の後部にカメラを取り付けて車両の後方の画像を運転席のモニターに表示し、車庫入れ時等、車両を後退させる際に、車両の後方の人物、物体等を視認して安全を確認するバックモニターは、既に広く使用されている。しかしながら、今般の法改正により搭載が義務化された後退時車両直後確認装置において、具体的な後方の距離を示して求められているように、車体の後方の所定範囲における安全を、バックモニター上におけるドライバーの肉眼による目測だけで誤りなく確認することは、実際には必ずしも容易とは言えなかった。
【0004】
本願発明は、以上説明した従来の技術及びその課題に鑑みてなされたものであり、車両が後退する際に、車両の後方に存在する物体を確認するための後方物体確認装置乃至システムであって、車両の後端からの距離を示す警告ラインを任意に調整してバックモニターに表示させることができ、車両が後退する際にモニターに表示された物体と、調整された警告ラインの位置関係に応じて、物体の危険度を客観的に判定することができる後方物体確認装置乃至システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載された後方物体確認装置は、
車両の後方にある物体を確認する後方物体確認装置であって、
車両の後端からの距離及び車幅を示す警告ラインを任意に調整して表示装置に表示させるとともに、撮影装置により撮影されて前記表示装置に表示された物体と、調整された前記警告ラインの位置関係に応じて、物体の危険度を判定する手段を具備することを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載された後方物体確認システムは、
車両の後方にある物体を確認する後方物体確認システムであって、
車両の後端部に設けられて車両の後方の画像を撮影する撮影装置と、
車両に搭載されて前記撮影装置が撮影した車両の後方の画像を表示する表示装置と、
車両の後端からの距離及び車幅を示す警告ラインを任意に調整して前記表示装置に表示させるとともに、前記表示装置に表示された物体と調整された前記警告ラインの位置関係に応じて物体の危険度を判定する後方物体確認装置と、
を具備することを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載された後方物体確認システムは、請求項2に記載の後方物体確認システムにおいて、
前記後方物体確認装置による判定の結果に基づいて必要な警報を出力する警報出力装置を備えたことを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載された後方物体確認システムは、請求項3に記載の後方物体確認システムにおいて、
前記後方物体確認装置が、
車両の後端からの距離及び車幅を示すために前記表示装置に表示した前記警告ラインを、車両の後方の路上に設定した標識ラインと適合するように調整して前記表示装置に表示させる警告ライン表示・調整部と、
車両が後退する際に前記表示装置に表示された物体の存在領域を検出し、前記表示装置に表示された調整済みの前記警告ラインと前記存在領域の位置関係に応じて物体の危険度を判定する障害物判定部と、
を有することを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載された後方物体確認システムは、請求項4に記載の後方物体確認システムにおいて、
前記警告ラインは、車両の車幅を区画する車幅警告ラインと、前記車幅警告ラインと直交するラインであって車両が後退する方向に関する車両の後端からの距離を示す距離警告ラインを含んでおり、
標識ラインは、車両の車幅を区画する車幅標識ラインと、前記車幅標識ラインと直交するラインであって車両が後退する方向に関する車両の後端からの距離を示す距離標識ラインを含むことを特徴としている。
【0010】
請求項6に記載された後方物体確認システムは、請求項5に記載の後方物体確認システムにおいて、
前記存在領域は、物体の周囲を囲む表示であって、前記車幅警告ライン及び前記距離警告ラインとの位置関係に応じて異なる色彩で表示されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載された後方物体確認装置によれば、車両の後方の画像と、車両の後端からの距離及び車幅を示す警告ラインが表示装置に重ねて表示される。また、表示装置の表示画面に入り込んできた物体と、警告ラインの位置関係に応じて、当該物体が車両に衝突するか否かについての危険度が判定される。ドライバーは、車両を後退させる際には、車両後方にある物体の危険度を表示装置の表示画面上で警告ラインを目安として確認できるため、安全な運転を行なうことができる。
【0012】
請求項2に記載された後方物体確認システムによれば、請求項1に記載された後方物体確認装置と同様の効果が得られる他、後方撮影装置による判定の結果に基づいて、警報出力装置が必要な警報を出力することができるので、車両の後方にある物体の危険度の確認を表示装置の表示画面を視認することのみで行なう場合に較べ、安全性がより向上するという効果も得られる。
【0013】
請求項3に記載された後方物体確認システムによれば、使用前の調整作業において、後方物体確認装置の警告ライン表示・調整部を用いることにより、車両の後端からの距離を示す警告ラインを表示装置上に表示させ、さらに、車両の後方の路上に予め設けておいた標識ラインと、表示装置上の警告ラインとが合致するように、表示装置の表示画面上で警告ラインの位置を調整することができる。そして、調整作業後、車両を後退させる際には、後方物体確認装置の障害物判定部が、表示装置の表示画面に表示された物体の存在領域を検出し、表示装置の表示画面における警告ラインと存在領域の位置関係に応じて物体の危険度を判定できるので、ドライバーは当該判定に基づいて物体と車両が接触しないように安全に運転を行なうことができる。
【0014】
請求項4に記載された後方物体確認システムによれば、使用前の調整作業において、表示装置の表示画面上に表示された車幅警告ライン及び距離警告ラインを、表示装置の表示画面上に表示された道路上の車幅標識ライン及び距離標識ラインに、それぞれ合致させることにより、表示装置の表示画面上で警告ラインが示す範囲を、所望の車幅及び車両からの距離にて設定することができる。
【0015】
請求項5に記載された後方物体確認システムによれば、車両を後退させる際、表示装置の表示画面上に表示された物体の存在領域は、表示装置の表示画面上に表示された警告ラインとの位置関係に応じて異なる色彩で表示されるため、ドライバーは当該物体の危険度を、表示された色彩から直感的に知得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態の後方物体確認装置の全体構成を示す模式構造図である。
図2】実施形態の後方物体確認装置の全体構成を示す制御ブロック図である。
図3】実施形態の後方物体確認装置のモニターにおける表示画面の一例を模式的に示す図である。
図4】実施形態の後方物体確認装置が搭載された車両を示す図であって、分図(a)はカメラの搭載位置を示す側面図、分図(b)は車両の後方の路上に設定された調整時の目印となる標識ラインの一例を示す平面図である。
図5】実施形態の後方物体確認装置において、警告ラインの調整を行なうための目印となる標識ラインを、車両の後方の路上に設定する作業を示す斜視図である。
図6】実施形態の後方物体確認装置のモニターにおける表示画面の一例を示す図であって、車両の後方の路上に設定された標識ラインの画像と、調整前の警告ラインが重ねて表示された状態を示す図である。
図7】実施形態の後方物体確認装置のモニターに表示された警告ラインを示す図であって、車幅警告ラインと距離警告ラインの移動による調整の順序を示す作業指示図である。
図8】実施形態の後方物体確認装置のモニターにおける警告ラインの調整表示画面であって、4本の距離警告ラインを対応する4本の距離標識ラインに合致させた状態を示す図である。
図9】実施形態の後方物体確認装置のモニターにおける警告ラインの調整表示画面であって、1本の車幅警告ライン(左側)を対応する1本の車幅標識ライン(左側)に合致させた状態を示す図である。
図10】実施形態の後方物体確認装置のモニターにおける警告ラインの調整表示画面であって、残りの車幅警告ライン(右側)を、応する残りの車幅標識ライン(右側)に合致させた状態を示す図である。
図11】実施形態の後方物体確認装置のモニターにおいて、物体の存在領域と警告ラインとの位置関係を模式的に示す表示画面の図である。
図12】実施形態の後方物体確認装置のモニターにおける表示画面の一例を模式的に示す図である。
図13】分図(a)は、車両の後方の路上に設定する標識ラインの第2の形状例を示す平面図であり、分図(b)は、分図(a)に示す標識ラインを用いて調整した警告ラインを示す表示画面の図である。
図14】分図(a)は、車両の後方の路上に設定する標識ラインの第3の形状例を示す平面図であり、分図(b)は、分図(a)に示す標識ラインを用いて調整した警告ラインを示す表示画面の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1図3を参照して実施形態に係る後方物体確認システム1の構成を説明する。
以下に説明する実施形態の後方物体確認システム1は、前述した「後退時車両直後確認装置に係る基準」に適合するものであり、車両の後方、例えば0.3mから3.5mまでの距離と、当該車両の車幅とで区切られる所定の警告範囲を、モニター上で確認できる性能を有している。ところが、カメラによる撮影では、モニターの表示画面30上に表示される警告範囲は、カメラを搭載する車両の車幅、カメラを取り付ける位置(特に高さ)等によって異なってくる。
【0018】
そこで、本実施形態では、車両後方の道路上にテープを貼付して所定の警告範囲を実際に作成し、モニターの表示画面30上で、制御表示としての警告ラインをテープの警告範囲に合わせて位置調整できるようにした。これによって、車幅やカメラの仕様及び設置高さ等の条件が異なる如何なるタイプの車両であろうとも、また目標とする所定の警告範囲が如何なる寸法であろうとも、モニター上に表示する警告ラインの位置や大きさ要求される警告範囲に合わせて任意に調整することができる。
【0019】
図1の模式構成図に示す本実施形態の後方物体確認システム1は、ドライバーが車両の後方を確認するために車両に搭載されて使用されるシステムであって、車両の後方の画像を撮影する撮影装置としてのカメラ2と、カメラ2が撮影した画像を表示する表示装置としてのモニター3と、警報出力装置としてのブザー4と、情報取得手段としてのGPS(全地球測位装置)アンテナ5と、マイクを兼ねた手動録画スイッチ6と、これら各構成要素が接続された後方物体確認装置7を備えている。
【0020】
なお、図1に示す構成例のカメラ2とモニター3は、車両の後方を撮影して表示する従来の単機能の後方確認装置で使用されていたものであり、これらを本実施形態の後方物体確認装置7に接続して流用している。従って、カメラ2とモニター3は図示しない電源ケーブルで車載電源に接続されているが、車載電源に接続された後方物体確認装置7から供給するようにしてもよい。なお、GPSアンテナ5は位置情報を取得して後方物体確認装置7に提供する。また、手動録画スイッチ6を操作することにより、モニター3に表示されている画像を録画して位置情報や時間情報とともに後述する記憶部12(図2参照。)に保存することができる。
【0021】
図2の制御ブロック図に示すように、後方物体確認装置7は、後方物体確認のための各種制御を統括して行なう機能の中心である制御部8を備えている。すなわち、制御部8は、カメラ2及びモニター3との間で映像信号及び制御信号の送受信を行い、図3に示すように、モニター3に車両後方の映像と、これに重ねて各種の制御画像を表示させ、また表示画面30に表示された物体を検知して種別を判断し、必要に応じてブザー4を制御して警報を発生させる等の制御を、他の機能部分と協働して統括的に実行する機能を備えている。
【0022】
図3は、後方物体確認装置7のモニター3における表示画面30の一例を示す図である。この図に示すように、モニター3の表示画面30に表示される画像としては、車両後方の実映像(図3では、駐車場を区画する白線W、他の自動車C、パイロンP等が表示されている。)の他、前記所定の警告範囲を示す制御画像である警告ラインWL(車幅警告ラインWL1及び距離警告ラインWL2(WL21,WL22,WL23,WL24)、物体を検知したことを示す枠状の存在領域A、車両の位置座標20、タイムスタンプ21、車両の移動方向22、録画状態23、マイク状態24、GPS受信状態25及び外部記憶媒体であるメモリーカードの状態26等がある。
【0023】
図2に示すように、後方物体確認装置7は、警告ライン表示・調整部9を有している。警告ライン表示・調整部9は、制御部8に接続されており、制御部8と協働することにより、車両の後端からの距離及び車幅を示す制御画像である警告ラインWLをモニター3の表示画面30上に表示させ、また警告ラインを表示画面30上で移動させて位置を調整する機能を有する。
【0024】
図2に示すように、後方物体確認装置7は、障害物判定部10を有している。障害物判定部10は、制御部8に接続されており、制御部8と協働することにより、車両が後退する際にカメラ2に表示された物体の後述する存在領域A(図3参照)を検出し、この存在領域Aとモニター3に表示された調整済みの警告ラインWLとを照合し、その位置関係に応じて、物体の危険度を判定する等の機能を有する。
【0025】
図2に示すように、後方物体確認装置7は入力部11を有している。入力部11は制御部8に接続されており、後方物体確認装置7のON/OFF操作の他、後方物体確認装置7を操作するために必要な指示及びデータを入力することができる。具体的には、ドライバーが入力部11を操作することにより、警告ライン表示・調整部9の機能を発揮させて警告ラインWLをモニター3に表示させ、また表示させた警告ラインWLを調整のために移動させる指示を入力することができ、また障害物判定部10を機能させる際に必要な指示を入力することができる。入力部11としては、押しボタン式の機能別スイッチ、テンキー、モニター3上の表示要素を各方向に移動させる上ボタン、下ボタン、右ボタン、左ボタンといった方向別のボタン、さらにスイッチ乃至ボタン操作を確定する確認ボタンを含み、またこれらのスイッチ乃至ボタンはモニター3上に表示されたものでもよい。
【0026】
図2に示すように、後方物体確認装置7は記憶部12を有している。記憶部12は制御部8に接続されており、後方物体確認装置7の動作に必要なデータ及び後方物体確認装置7の各部を機能させるためのソフトウエアを格納している。データとしては、例えばモニター3の表示画面30上に表示される警告ラインWLのライン元データ、調整後の警告ラインWLのデータであるライン調整データ、モニター3によって表示されている画像の録画データ等があり、ソフトウエアとしては、例えば後方物体確認装置7の各部分を先に説明したように機能させるための各種ソフトウエアがある。
【0027】
なお、後方物体確認装置7は、記憶部12として、内部メモリーの他、外部記憶媒体であるメモリーカードも有している。メモリーカードは着脱自在であって、他の後方物体確認装置7に装着して使用することもできるし、複数のメモリーカードにコピーして条件が同一である他の複数の自動車に搭載した物体確認装置にそれぞれ装着して使用することもできる。
【0028】
図4図10を参照して実施形態に係る後方物体確認システム1の使用前の調整方法について説明する。
図4及び図5に示すように、後方物体確認システム1を搭載する車両50の後方の道路上に、粘着テープ等を用いて、所定の警告範囲を実際に形成する。図4(a)及び(b)に示すように、車両50の後端に取り付けられたカメラ2の高さは3.5mであり、車幅2.5mの中央に相当する位置に取り付けられている。
【0029】
図4に示すように、所定の警告範囲は、道路上にテープを貼り付けて形成した標識ラインSLから構成されている。標識ラインSLは、車幅標識ラインSL1と距離標識ラインSL2から構成される略梯子状の形態である。車幅標識ラインSL1は、車両50が直進後退する方向と平行で間隔が車幅に設定された一対のラインであって、車両50の車幅を区画している。距離標識ラインSL2は、車幅標識ラインSL1と直交する車幅方向に平行な方向のラインであって、車両50の後端から車両50が直進後退する方向への距離を示すラインである。
【0030】
図4に示すように、2本の車幅標識ラインSL1は3.5m以上の長さがあり、モニター3の表示画面30に表示される後述の車幅警告ラインWL1(青)(図11参照)に対応するラインである。
【0031】
図4に示すように、距離標識ラインSL2は4本あり、車両50から最も遠い3.5mの距離に設けたのが第1距離標識ラインSL21であり、モニター3の表示画面30に表示される後述の第1距離警告ラインWL21(緑)(図11参照)に対応するラインである。車両50から次に遠い2.0mの距離に設けたのが第2距離標識ラインSL22であり、モニター3の表示画面30に表示される後述の第2距離警告ラインWL22(黄)(図11参照)に対応するラインである。車両50から次に遠い1.0mの距離に設けたのが第3距離標識ラインSL23であり、モニター3の表示画面30に表示される後述の第3距離警告ラインWL23(赤)(図11参照)に対応するラインである。また、車両50の後端に対応する道路上に設けた車幅方向のラインは、標識エンドラインSL24であり、モニター3の表示画面30に表示される警告エンドラインWL24(青)(図11参照)に対応するラインである。
【0032】
図6は、後方物体確認システム1のモニター3における表示画面30の一表示例を示す図であって、車両50の後方の路上に設定された標識ラインSLの画像と調整前の警告ラインWLが、ずれて重なった状態を示している。以下、モニター3上で警告ラインWLを標識ラインSLに合致させる調整作業について説明する。
【0033】
後方物体確認装置7の入力部11を操作することにより、後方物体確認装置7の電源をONとし、車両50のギアを後退に設定すると、図6に示すように、制御部8の機能によりカメラ2が道路上の標識ラインSLを撮影してモニター3の表示画面30に表示する。なお、車両50のエンジンを始動し、ギアを後退に設定すれば、車両50からの信号により後方物体確認装置7が自動的にONとなるようにしてもよい。
【0034】
さらに入力部11を操作することにより、警告ライン表示・調整部9及び制御部8を機能させ、警告ラインWLの表示・調整モードを起動する。記憶部12に格納されている警告ラインWLのライン元データが読み出され、モニター3の表示画面30においてデフォルトの警告ラインWLが標識ラインSLに重ねて表示される。この状態では、警告ラインWLは標識ラインSLに一致していない。
【0035】
図7は、モニター3の表示画面30に表示された警告ラインWLを示す図であって、図中の白抜き正方形内に示した半かっこ付き数字は、車幅警告ラインWL1と距離警告ラインWL2を移動させる調整作業の作業対象と、その作業の順序を示す順番である。
表示・調整モードにおけるモニター3の表示画面30では、まず、図7の1)~4)の順に、第3乃至第1距離警告ラインWL23,WL22,WL21及び警告エンドラインWL24を車幅方向と直交する方向(上下方向)に平行移動させる。操作順は、制御部8が自動的に選択してモニター3上の表示(操作対象をアクティブ表示する等)で操作者に指示してもよいし、操作者が選択してもよい。第3乃至第1警告ラインWL23,WL22,WL21及び警告エンドラインWL24は、入力部11に設けられた上ボタンにより表示画面30の下方に(図示しない下方の車両50に接近する方向に)移動させることができ、下ボタンにより表示画面30の上方に(図示しない下方の車両50から離れる方向に)移動させることができるので、この操作により、図8に示すように、第3乃至第1警告ラインWL23,WL22,WL21及び警告エンドラインWL24を、第3乃至第1距離標識ラインSL23,SL22,SL21及び標識エンドラインSL24に合致させ、その後、確認ボタンの長押しで確定する。これで図8に示す状態となる。
【0036】
次に、図7の5)~8)の順に車幅警告ラインWL1の各端部を、車幅方向(左右方向)に移動させる。操作順は、制御部8が自動的に選択してモニター3上の表示(操作対象をアクティブ表示する等)で操作者に指示してもよいし、操作者が選択してもよい。車幅警告ラインWL1の各端部は、入力部11に設けられた右ボタンにより表示画面30の右方に移動させることができ、左ボタンにより表示画面30の左方に移動させることができるので、この操作により、図9図10に示すように、車幅警告ラインWL1の各端部を、車幅標識ラインSL1の各端部に合致させ、その後、OKボタンの長押しで確定する。これで図10に示す状態となる。
【0037】
以上の調整を行なえば、図10に示すように、モニター3の表示画面30上に表示される車幅警告ラインWL1と距離警告ラインWL2は、車両50後方の道路上に実際にテープで形成した所定の警告範囲と同一の範囲を示すことになる。
【0038】
図11及び図12を参照して実施形態に係る後方物体確認システム1の調整後の使用方法について説明する。
【0039】
図11は、後述する物体の存在領域Aと警告ラインWLとの位置関係を模式的に示すモニター3の表示画面30の図であり、図12は、モニター3における表示画面30の一例を模式的に示す図である。但し、両図は、車両50の後方にある物体の位置、個数、種類等の点で同一の状況を示すものではない。
【0040】
調整済みの後方物体確認システム1を手動で起動してから車両50のギアをバックに入れると、図11及び図12に示すように、モニター3の表示画面30には警告ラインWLが表示されるので、ドライバーは、この警告ラインWLを目安として周囲の物体に接触しないように運転することができる。又は、車両50のエンジンをかけて車両50のギアをバックに入れると、車両50からの信号によって後方物体確認システム1が自動的に起動され、モニター3の表示画面30に警告ラインWLが表示されるものとしてもよい。何れにしてもドライバーは、車両50を後退させる際には、モニター3上でこの警告ラインWLを目安として、周囲の物体に接触しないように運転することができる。
【0041】
図11及び図12に示すように、車両50の後方に物体が表れ、カメラ2の撮影範囲内に入ってくると、これをカメラ2が捉え、モニター3が当該物体を表示画面30に表示する。後方物体確認装置7の制御部8及び障害物判定部10は、モニター3の表示画面30中の物体を認識する。実施形態の制御部8及び障害物判定部10によれば、一例として、物体が移動体であれば高さ80cm以上かつ直径30cm以上の場合に認識可能であり、物体が固定物であれば高さ50cm以上かつ直径30cm以上の場合に認識可能である。何れの場合であっても、制御部8及び障害物判定部10は、物体の形状、大きさ、表面状態、色彩、移動の態様、移動の速度等々から、記憶部12に格納したAIデータを参照して、当該物体の種類を高い確度で推定することができる。制御部8及び障害物判定部10は、認識した物体の種類に応じた色彩の線で物体を取り囲む存在領域Aを表示画面30に表示する。すなわち、存在領域Aとは、制御部8及び障害物判定部10が認識した物体の形状・大きさの概略、種類及び位置を示す制御図形表示であり、図11中においては破線で示しているが、図12では実線で示している。なお、存在領域Aの線の表示色は、ドライバーの注意を喚起する観点から、人や自転車等を含む移動体を警戒色の赤とし、固定物は青で表示する等、使い分けをしてもよい。また、表示した存在領域Aの近傍に、判定した物体の種類を文字で表示してもよい。
【0042】
図11に示すように、モニター3の表示画面30において、警告ラインWLで囲まれた警告範囲以外の領域は予備物体の予備検知範囲である。図11中、(1)で示すように、予備検知範囲に物体があり、存在領域Aが表示されている場合には、制御部8及び障害物判定部10は、安全を意味するイメージカラーとして存在領域A(1)を青で表示する。
【0043】
図11中に(2)~(5)で示すように、モニター3の表示画面30において、警告ラインWLで囲まれた警告範囲と物体の存在領域Aが一部でも重なる場合には、制御部8及び障害物判定部10は、存在領域Aの表示色を位置に応じて段階的に変えて表示する。
【0044】
図11中に(2)で示すように、存在領域Aが第1距離警告ラインWL21(緑)と交差している場合には、車両50と物体との距離は概ね3.5mであるから、制御部8及び障害物判定部10は危険度が低い状態であると判断し、存在領域Aを第1距離警告ラインWL21と同色の緑で表示してドライバーの注意を引く。ブザー4は鳴らさない。
【0045】
図11中に(3)で示すように、存在領域Aが第2距離警告ラインWL22(黄)と交差している場合には、車両50と物体との距離は概ね2.0mであるから、制御部8及び障害物判定部10は、危険度が中程度の状態であると判断し、存在領域Aを第2距離警告ラインWL22と同色の黄で表示し、ブザー4を間欠的に鳴らしてドライバーの注意を喚起する。
【0046】
図11中に(4)で示すように、存在領域Aが第3距離警告ラインWL23(赤)と交差している場合には、車両50と物体との距離は概ね1.0mしかないので、制御部8及び障害物判定部10は、危険度が高い状態であると判断し、存在領域Aを第3距離警告ラインWL23と同色の赤で表示し、ブザー4を継続的に鳴らしてドライバーの注意を最大限に喚起する。
【0047】
図11中に(5)で示すように、存在領域Aが第3距離警告ラインWL23(赤)と交差はしていないが、一方の車幅警告ラインWL1と交差し、存在領域Aの一部が第3距離警告ラインWL23と警告エンドラインWL24の間の領域に入り込んでいる場合には、車両50と物体との距離が概ね1.0mである(4)の場合と同様であると判定する。すなわち、制御部8及び障害物判定部10は、これも危険度が高い状態であるとして、存在領域Aを第3距離警告ラインWL23と同色の赤で表示し、ブザー4を継続的に鳴らしてドライバーの注意を最大限に喚起する。
【0048】
図12は、以上のようにして警告ラインWLを調整した後方物体確認装置7において、車両50を後退させた際、又は車両50が後退できる状態になった際に、モニター3に表示される表示画面30の一例を示す図である。後方物体確認装置7を手動操作で電源ONとしてから車両50のギアを後退に設定するか、又は車両50のエンジンをかけて後方物体確認装置7が自動的にONとなった後に車両50のギアを後退に設定すると、図12に示すように、後方物体確認装置7は車両50の後退時を示す警告モードとなり、車両50の後方の風景がモニター3に表示されるとともに、ライン調整データが記憶部12から呼び出され、警告ラインWLで区画された警告範囲が後方の背景に重ねて表示される。このモニターを見ることで、ドライバーは、正確な距離の尺度である警告ラインを目安として後方の状況を把握することができる。ここで、表示画面30内に物体が表れると、当該物体の種類が判別されて存在領域Aが表示される。存在領域Aが警告範囲内に進入してくると、先に述べたように、車両50からの距離に応じた当該物体の危険度が判定され、必要な表示やブザー4による警報が発出される。これにより、ドライバーは注意を喚起されるので、車両50が後退する際の事故を未然に防止することができる。
【0049】
後方物体確認装置7が記憶部12として着脱自在のメモリーカードを有しており、ライン調整データをメモリーカードに記憶しておけば、これを他のメモリーカードにコピーして、車幅、カメラ2の仕様及び取り付け条件等が同一である他の車両に搭載した後方物体確認装置7に挿入して使用することができる。すなわち、警告ラインWL(警告範囲)の調整を1回行なえば、車種やカメラの仕様・取り付け位置が同じである他の車両の後方物体確認装置7には、ライン調整データを有するメモリーカードを挿入するだけでよく、警告ライン調整のための道路上での作業を繰り返す必要はない。従って、同一車種のトラックを多数所有して営業する運送会社等では、警告ライン(警告範囲)の調整作業が1回で済むため便利である。
【0050】
以上説明した実施形態では、道路上に形成した標識ラインSLは、図4(a)に示すように、車両50が直進後退する方向と平行で間隔が車幅と同じである一対の車幅標識ラインSL1と、車幅方向に平行な同じ長さの4本の距離警告ラインSL21~23及び標識エンドラインSL24により、外形が矩形(梯子形)のパターンで配置されていた。これをカメラ2で撮影すると、モニター3では、図10に示すように、画面の奥にいくほど(車両から離れるほど)幅が狭くなるパターンとして表示される(以上を第1パターンと称する。)。しかしながら、実施形態の後方物体確認装置7では、標識ラインと警告ラインのパターンが、必ずしも第1パターンである必要はない。
【0051】
図13(a)に示すように、道路上に設ける標識ラインSLを、車両50が直進後退する方向に向けて外側に広がる(すなわち両外側に向けて傾斜する)一対の車幅標識ラインSL1と、標識エンドラインSL24と、車幅方向に平行で車両から離れるほど長くなる3本の距離標識ラインSL21~23により、長い方の底辺が遠方にある等脚台形のパターンで配置してもよい。これをカメラ2で撮影すると、モニター3では、図13(b)に示すように、4隅が直角の矩形のパターンとして表示される(以上を第2パターンと称する。)。第2パターンでは、車両50の後方の監視領域が、後方にいくほど左右の両側に広がっており、監視範囲が第1パターンよりも広い。
【0052】
図14(a)に示すように、道路上に設ける標識ラインSLを、車両50が直進後退する方向と平行な右側の車幅標識ラインSL1と、車両50が直進後退する方向に向けて左外側に広がる(すなわち左側に傾斜する)左側の車幅標識ラインSL1と、標識エンドラインSL24と、車幅方向に平行で車両から離れるほど長くなる3本の距離標識ラインSL21~23により、長い方の底辺が遠方にある直角台形のパターンで配置してもよい。これをカメラ2で撮影すると、モニター3では、図14(b)に示すように、概ね図14(a)の直角台形を180度回転させたパターンとして表示される(以上を第3パターンと称する。)。第3パターンでは、車両50の後方の監視領域が、左側については後方にいくほど広がっており、監視範囲の左側が第1パターンよりも広い。
【0053】
車両の後方に設定する監視範囲のパターンは、後方物体確認装置が搭載される車両を運転する際の状況・環境等に適し、また法令に適合したものであればよく、必ずしも第1~第3パターンのみには限定されず、これら以外のパターンを採用してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…後方物体確認システム
2…撮影装置としてのカメラ
3…表示装置としてのモニター
4…警報出力装置としてのブザー
7…後方物体確認装置
9…警告ライン表示・調整部
10…障害物判定部
30…表示画面
50…車両
A…物体の存在領域
WL…警告ライン
WL1…車幅警告ライン
WL2…距離警告ライン
WL21…第1距離警告ライン
WL22…第2距離警告ライン
WL23…第3距離警告ライン
WL24…警告エンドライン
SL…標識ライン
SL1…車幅標識ライン
SL2…距離標識ライン
SL21…第1距離標識ライン
SL22…第2距離標識ライン
SL23…第3距離標識ライン
SL24…標識エンドライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後方にある物体を確認して危険度を判定する後方物体確認装置であって、
車両に搭載された表示装置において、
車両の車幅を区画する車幅警告ラインと、前記車幅警告ラインと直交するラインであって車両が後退する方向に関する車両の後端からの距離を示す距離警告ラインとを含む警告ラインが、
車両の後方の路上に設定され、車両の車幅を区画する車幅標識ラインと、前記車幅標識ラインと直交するラインであって車両が後退する方向に関する車両の後端からの距離を示す距離標識ラインとを含む標識ラインと適合するように、
前記距離警告ラインを車幅方向と直交する方向に平行移動させて前記距離標識ラインと合致させるとともに、前記距離警告ラインの両端部を車幅方向に移動させて前記距離標識ラインの両端部と合致させることにより、
表示装置において、前記警告ラインが前記標識ラインと同一の範囲を示すように調整して表示させる警告ライン表示・調整部と、
車両が後退する際に前記表示装置に表示された物体の存在領域を検出し、前記表示装置に表示された調整済みの前記警告ラインと前記存在領域の位置関係に応じて物体の危険度を判定する障害物判定部と、
を具備することを特徴とする後方物体確認装置。
【請求項2】
両の後端部に設けられて車両の後方の画像を撮影する撮影装置と、
車両に搭載されて前記撮影装置が撮影した車両の後方の画像を表示する表示装置と、
車両の後端からの距離及び車幅を示す警告ラインを任意に調整して前記表示装置に表示させるとともに、前記表示装置に表示された物体と調整された前記警告ラインの位置関係に応じて物体の危険度を判定する後方物体確認装置と、
を具備し、車両の後方にある物体を確認する後方物体確認システムであって、
前記後方物体確認装置は、
前記表示装置において、
車両の車幅を区画する車幅警告ラインと、前記車幅警告ラインと直交するラインであって車両が後退する方向に関する車両の後端からの距離を示す距離警告ラインとを含む警告ラインが、
車両の後方の路上に設定され、車両の車幅を区画する車幅標識ラインと、前記車幅標識ラインと直交するラインであって車両が後退する方向に関する車両の後端からの距離を示す距離標識ラインとを含む標識ラインと適合するように、
前記距離警告ラインを車幅方向と直交する方向に平行移動させて前記距離標識ラインと合致させるとともに、前記距離警告ラインの両端部を車幅方向に移動させて前記距離標識ラインの両端部と合致させることにより、
前記警告ラインが前記標識ラインと同一の範囲を示すように調整して表示させる警告ライン表示・調整部と、
車両が後退する際に前記表示装置に表示された物体の存在領域を検出し、前記表示装置に表示された調整済みの前記警告ラインと前記存在領域の位置関係に応じて物体の危険度を判定する障害物判定部と、
を有することを特徴とする後方物体確認システム。
【請求項3】
前記後方物体確認装置による判定の結果に基づいて必要な警報を出力する警報出力装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載の後方物体確認システム。
【請求項4】
前記存在領域は、物体の周囲を囲む表示であって、前記警告ラインで囲まれた警告領域と前記存在領域が一部でも重なる場合には、前記存在領域の表示色を位置に応じて変えて表示することを特徴とする請求項3に記載の後方物体確認システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
請求項1に記載された後方物体確認装置は、
車両の後方にある物体を確認して危険度を判定する後方物体確認装置であって、
車両に搭載された表示装置において、
車両の車幅を区画する車幅警告ラインと、前記車幅警告ラインと直交するラインであって車両が後退する方向に関する車両の後端からの距離を示す距離警告ラインとを含む警告ラインが、
車両の後方の路上に設定され、車両の車幅を区画する車幅標識ラインと、前記車幅標識ラインと直交するラインであって車両が後退する方向に関する車両の後端からの距離を示す距離標識ラインとを含む標識ラインと適合するように、
前記距離警告ラインを車幅方向と直交する方向に平行移動させて前記距離標識ラインと合致させるとともに、前記距離警告ラインの両端部を車幅方向に移動させて前記距離標識ラインの両端部と合致させることにより、
表示装置において、前記警告ラインが前記標識ラインと同一の範囲を示すように調整して表示させる警告ライン表示・調整部と、
車両が後退する際に前記表示装置に表示された物体の存在領域を検出し、前記表示装置に表示された調整済みの前記警告ラインと前記存在領域の位置関係に応じて物体の危険度を判定する障害物判定部と、
を具備することを特徴としている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
請求項2に記載された後方物体確認システムは、
車両の後端部に設けられて車両の後方の画像を撮影する撮影装置と、
車両に搭載されて前記撮影装置が撮影した車両の後方の画像を表示する表示装置と、
車両の後端からの距離及び車幅を示す警告ラインを任意に調整して前記表示装置に表示させるとともに、前記表示装置に表示された物体と調整された前記警告ラインの位置関係に応じて物体の危険度を判定する後方物体確認装置と、
を具備し、車両の後方にある物体を確認する後方物体確認システムであって、
前記後方物体確認装置は、
前記表示装置において、
車両の車幅を区画する車幅警告ラインと、前記車幅警告ラインと直交するラインであって車両が後退する方向に関する車両の後端からの距離を示す距離警告ラインとを含む警告ラインが、
車両の後方の路上に設定され、車両の車幅を区画する車幅標識ラインと、前記車幅標識ラインと直交するラインであって車両が後退する方向に関する車両の後端からの距離を示す距離標識ラインとを含む標識ラインと適合するように、
前記距離警告ラインを車幅方向と直交する方向に平行移動させて前記距離標識ラインと合致させるとともに、前記距離警告ラインの両端部を車幅方向に移動させて前記距離標識ラインの両端部と合致させることにより、
前記警告ラインが前記標識ラインと同一の範囲を示すように調整して表示させる警告ライン表示・調整部と、
車両が後退する際に前記表示装置に表示された物体の存在領域を検出し、前記表示装置に表示された調整済みの前記警告ラインと前記存在領域の位置関係に応じて物体の危険度を判定する障害物判定部と、
を有することを特徴としている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項に記載された後方物体確認システムは、請求項に記載の後方物体確認システムにおいて、
前記存在領域は、物体の周囲を囲む表示であって、前記警告ラインで囲まれた警告領域と前記存在領域が一部でも重なる場合には、前記存在領域の表示色を位置に応じて変えて表示することを特徴としている。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項1に記載された後方物体確認装置及び請求項2に記載された後方物体確認システムによれば、車両の後方の画像と、車両の後端からの距離及び車幅を示す警告ラインが表示装置に重ねて表示される。また、表示装置の表示画面に入り込んできた物体と、警告ラインの位置関係に応じて、当該物体が車両に衝突するか否かについての危険度が判定される。ドライバーは、車両を後退させる際には、車両後方にある物体の危険度を表示装置の表示画面上で警告ラインを目安として確認できるため、安全な運転を行なうことができる。
また、使用前の調整作業において、後方物体確認装置の警告ライン表示・調整部を用いることにより、車両の後端からの距離を示す警告ラインを表示装置上に表示させ、さらに、車両の後方の路上に予め設けておいた標識ラインと、表示装置上の警告ラインとが合致するように、表示装置の表示画面上で警告ラインの位置を調整することができる。そして、調整作業後、車両を後退させる際には、後方物体確認装置の障害物判定部が、表示装置の表示画面に表示された物体の存在領域を検出し、表示装置の表示画面における警告ラインと存在領域の位置関係に応じて物体の危険度を判定できるので、ドライバーは当該判定に基づいて物体と車両が接触しないように安全に運転を行なうことができる。
また、使用前の調整作業において、表示装置の表示画面上に表示された車幅警告ライン及び距離警告ラインを、表示装置の表示画面上に表示された道路上の車幅標識ライン及び距離標識ラインに、それぞれ合致させることにより、表示装置の表示画面上で警告ラインが示す範囲を、所望の車幅及び車両からの距離にて設定することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項に記載された後方物体確認システムによれば、後方撮影装置による判定の結果に基づいて、警報出力装置が必要な警報を出力することができるので、車両の後方にある物体の危険度の確認を表示装置の表示画面を視認することのみで行なう場合に較べ、安全性がより向上するという効果も得られる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項4に記載された後方物体確認システムによれば、車両を後退させる際、表示装置の表示画面上に表示された物体の存在領域は、表示装置の表示画面上に表示された警告ラインで囲まれた警告領域と前記存在領域が一部でも重なる場合には、前記存在領域の表示色を位置に応じて変えて表示されるため、ドライバーは当該物体の危険度を、表示された色彩から直感的に知得することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後方にある物体を確認して危険度を判定する後方物体確認装置であって、
車両に搭載された表示装置において、
車両の車幅を区画する車幅警告ラインと、前記車幅警告ラインと直交するラインであって車両が後退する方向に関する車両の後端からの距離を示す距離警告ラインとを含む警告ラインが、
車両の後方の路上に設定され、車両の車幅を区画する車幅標識ラインと、前記車幅標識ラインと直交するラインであって車両が後退する方向に関する車両の後端からの距離を示す距離標識ラインとを含む標識ラインと適合するように、
前記距離警告ラインを車幅方向と直交する方向に平行移動させて前記距離標識ラインと合致させるとともに、前記距離警告ラインの両端部を車幅方向に移動させて前記距離標識ラインの両端部と合致させることにより、
表示装置において、前記警告ラインが前記標識ラインと同一の範囲を示すように調整して表示させる警告ライン表示・調整部と、
車両が後退する際に前記表示装置に表示された物体の存在領域を検出し、前記表示装置に表示された調整済みの前記警告ラインと前記存在領域の位置関係に応じて物体の危険度を判定する障害物判定部と、
を具備し、
前記存在領域は、物体の周囲を囲む表示であって、前記警告ラインで囲まれた警告領域と前記存在領域が一部でも重なる場合には、前記存在領域の表示色を位置に応じて変えて表示することを特徴とする後方物体確認装置。
【請求項2】
車両の後端部に設けられて車両の後方の画像を撮影する撮影装置と、
車両に搭載されて前記撮影装置が撮影した車両の後方の画像を表示する表示装置と、
車両の後端からの距離及び車幅を示す警告ラインを任意に調整して前記表示装置に表示させるとともに、前記表示装置に表示された物体と調整された前記警告ラインの位置関係に応じて物体の危険度を判定する後方物体確認装置と、
を具備し、車両の後方にある物体を確認する後方物体確認システムであって、
前記後方物体確認装置は、
前記表示装置において、
車両の車幅を区画する車幅警告ラインと、前記車幅警告ラインと直交するラインであって車両が後退する方向に関する車両の後端からの距離を示す距離警告ラインとを含む警告ラインが、
車両の後方の路上に設定され、車両の車幅を区画する車幅標識ラインと、前記車幅標識ラインと直交するラインであって車両が後退する方向に関する車両の後端からの距離を示す距離標識ラインとを含む標識ラインと適合するように、
前記距離警告ラインを車幅方向と直交する方向に平行移動させて前記距離標識ラインと合致させるとともに、前記距離警告ラインの両端部を車幅方向に移動させて前記距離標識ラインの両端部と合致させることにより、
前記警告ラインが前記標識ラインと同一の範囲を示すように調整して表示させる警告ライン表示・調整部と、
車両が後退する際に前記表示装置に表示された物体の存在領域を検出し、前記表示装置に表示された調整済みの前記警告ラインと前記存在領域の位置関係に応じて物体の危険度を判定する障害物判定部と、
を有し、
前記存在領域は、物体の周囲を囲む表示であって、前記警告ラインで囲まれた警告領域と前記存在領域が一部でも重なる場合には、前記存在領域の表示色を位置に応じて変えて表示することを特徴とする後方物体確認システム。
【請求項3】
前記後方物体確認装置による判定の結果に基づいて必要な警報を出力する警報出力装置を備えたことを特徴とする請求項に記載の後方物体確認システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
請求項1に記載された後方物体確認装置は、
車両の後方にある物体を確認して危険度を判定する後方物体確認装置であって、
車両に搭載された表示装置において、
車両の車幅を区画する車幅警告ラインと、前記車幅警告ラインと直交するラインであって車両が後退する方向に関する車両の後端からの距離を示す距離警告ラインとを含む警告ラインが、
車両の後方の路上に設定され、車両の車幅を区画する車幅標識ラインと、前記車幅標識ラインと直交するラインであって車両が後退する方向に関する車両の後端からの距離を示す距離標識ラインとを含む標識ラインと適合するように、
前記距離警告ラインを車幅方向と直交する方向に平行移動させて前記距離標識ラインと合致させるとともに、前記距離警告ラインの両端部を車幅方向に移動させて前記距離標識ラインの両端部と合致させることにより、
表示装置において、前記警告ラインが前記標識ラインと同一の範囲を示すように調整して表示させる警告ライン表示・調整部と、
車両が後退する際に前記表示装置に表示された物体の存在領域を検出し、前記表示装置に表示された調整済みの前記警告ラインと前記存在領域の位置関係に応じて物体の危険度を判定する障害物判定部と、
を具備し、
前記存在領域は、物体の周囲を囲む表示であって、前記警告ラインで囲まれた警告領域と前記存在領域が一部でも重なる場合には、前記存在領域の表示色を位置に応じて変えて表示することを特徴としている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
請求項2に記載された後方物体確認システムは、
車両の後端部に設けられて車両の後方の画像を撮影する撮影装置と、
車両に搭載されて前記撮影装置が撮影した車両の後方の画像を表示する表示装置と、
車両の後端からの距離及び車幅を示す警告ラインを任意に調整して前記表示装置に表示させるとともに、前記表示装置に表示された物体と調整された前記警告ラインの位置関係に応じて物体の危険度を判定する後方物体確認装置と、
を具備し、車両の後方にある物体を確認する後方物体確認システムであって、
前記後方物体確認装置は、
前記表示装置において、
車両の車幅を区画する車幅警告ラインと、前記車幅警告ラインと直交するラインであって車両が後退する方向に関する車両の後端からの距離を示す距離警告ラインとを含む警告ラインが、
車両の後方の路上に設定され、車両の車幅を区画する車幅標識ラインと、前記車幅標識ラインと直交するラインであって車両が後退する方向に関する車両の後端からの距離を示す距離標識ラインとを含む標識ラインと適合するように、
前記距離警告ラインを車幅方向と直交する方向に平行移動させて前記距離標識ラインと合致させるとともに、前記距離警告ラインの両端部を車幅方向に移動させて前記距離標識ラインの両端部と合致させることにより、
前記警告ラインが前記標識ラインと同一の範囲を示すように調整して表示させる警告ライン表示・調整部と、
車両が後退する際に前記表示装置に表示された物体の存在領域を検出し、前記表示装置に表示された調整済みの前記警告ラインと前記存在領域の位置関係に応じて物体の危険度を判定する障害物判定部と、
を有し、
前記存在領域は、物体の周囲を囲む表示であって、前記警告ラインで囲まれた警告領域と前記存在領域が一部でも重なる場合には、前記存在領域の表示色を位置に応じて変えて表示することを特徴としている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項1に記載された後方物体確認装置及び請求項2に記載された後方物体確認システムによれば、車両の後方の画像と、車両の後端からの距離及び車幅を示す警告ラインが表示装置に重ねて表示される。また、表示装置の表示画面に入り込んできた物体と、警告ラインの位置関係に応じて、当該物体が車両に衝突するか否かについての危険度が判定される。ドライバーは、車両を後退させる際には、車両後方にある物体の危険度を表示装置の表示画面上で警告ラインを目安として確認できるため、安全な運転を行なうことができる。
また、使用前の調整作業において、後方物体確認装置の警告ライン表示・調整部を用いることにより、車両の後端からの距離を示す警告ラインを表示装置上に表示させ、さらに、車両の後方の路上に予め設けておいた標識ラインと、表示装置上の警告ラインとが合致するように、表示装置の表示画面上で警告ラインの位置を調整することができる。そして、調整作業後、車両を後退させる際には、後方物体確認装置の障害物判定部が、表示装置の表示画面に表示された物体の存在領域を検出し、表示装置の表示画面における警告ラインと存在領域の位置関係に応じて物体の危険度を判定できるので、ドライバーは当該判定に基づいて物体と車両が接触しないように安全に運転を行なうことができる。
また、使用前の調整作業において、表示装置の表示画面上に表示された車幅警告ライン及び距離警告ラインを、表示装置の表示画面上に表示された道路上の車幅標識ライン及び距離標識ラインに、それぞれ合致させることにより、表示装置の表示画面上で警告ラインが示す範囲を、所望の車幅及び車両からの距離にて設定することができる。
さらに、車両を後退させる際、表示装置の表示画面上に表示された物体の存在領域は、表示装置の表示画面上に表示された警告ラインで囲まれた警告領域と前記存在領域が一部でも重なる場合には、前記存在領域の表示色を位置に応じて変えて表示されるため、ドライバーは当該物体の危険度を、表示された色彩から直感的に知得することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】