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  • 特開-タイヤ物理量算出装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012955
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】タイヤ物理量算出装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/02 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
G01M17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114816
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522193547
【氏名又は名称】株式会社エー・アンド・デイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒川 敏邦
(72)【発明者】
【氏名】木戸 一希
(57)【要約】
【課題】タイヤの接地荷重の算出精度を向上させるとともに、実車レベルでタイヤ横力を算出可能なタイヤ物理量算出装置を提供する。
【解決手段】走行中におけるタイヤ3の形状に基づいて、タイヤ3に作用する物理量を算出するタイヤ物理量算出装置10である。タイヤ3の内面3bに設定されたマーカ群11と、タイヤ3の外面3aにおけるマーカ群11に対応する部位が接地する度に、マーカ群11の全域を撮像可能なカメラ30と、カメラ30によって撮像された画像に基づいて、タイヤ3の内面接地形状を解析するとともに、内面接地形状における所定の特徴量を抽出する制御ボード33と、を備えている。所定の変換式を用いて、所定の特徴量に基づき、タイヤ3に作用するタイヤ横力Fyおよび接地荷重Fzを算出するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行中におけるタイヤの形状に基づいて、当該タイヤに作用する物理量を算出するタイヤ物理量算出装置であって、
上記タイヤの内面に設定されたマーカと、
上記タイヤの外面における上記マーカに対応する部位が接地する度に、当該マーカの全域を撮像可能なカメラと、
上記カメラによって撮像された画像に基づいて、上記タイヤの内面接地形状を解析するとともに、当該内面接地形状における所定の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、を備え、
所定の変換式を用いて、上記所定の特徴量に基づき、上記タイヤに作用するタイヤ横力および接地荷重を算出するように構成されていることを特徴とするタイヤ物理量算出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行中のタイヤに作用する物理量を算出するタイヤ物理量算出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、走行中におけるタイヤの状態を検出し、検出したタイヤの状態に基づいて、タイヤに作用する物理量を算出する技術が種々提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、ホイールに取り付けられた発射源からタイヤの内壁へ向けて射出され反射した検出波を、ホイールに取り付けられた検出波センサで検出することで、荷重、接地面積、接地法線ベクトル、回転数、側方傾斜角度の5つの運動パラメータを推定する、タイヤの運動パラメータセンシングシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-075944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のものでは、タイヤの上下方向変形量と縦弾性係数との積によって接地荷重を推定するようにしているが、射出と反射とが一対一で対応する検出波センサの検出範囲は元々狭い上、車両旋回時には、タイヤの幅方向の変形により、検出波センサにて検出できない範囲が広がるため、上下方向変形量の計測精度が低下し、これにより、タイヤの接地荷重の算出精度が低下するという問題がある。
【0006】
また、タイヤ横力は車両旋回時の重要な物理量であるにも関わらず、特許文献1のもので推定される5つの運動パラメータからは、タイヤ横力を推定することが困難な上、タイヤ横力を計測可能な既存の6分力計は、実車には適用できないという問題がある。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、タイヤの接地荷重の算出精度を向上させるとともに、実車レベルでタイヤ横力を算出可能なタイヤ物理量算出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明に係るタイヤ物理量算出装置では、タイヤの内面接地形状における所定の特徴量に基づき、所定の変換式を用いて、タイヤに作用するタイヤ横力および接地荷重を算出するようにしている。
【0009】
具体的には、本発明は、走行中におけるタイヤの形状に基づいて、当該タイヤに作用する物理量を算出するタイヤ物理量算出装置を対象としている。
【0010】
そして、このタイヤ物理量算出装置は、上記タイヤの内面に設定されたマーカと、上記タイヤの外面における上記マーカに対応する部位が接地する度に、当該マーカの全域を撮像可能なカメラと、上記カメラによって撮像された画像に基づいて、上記タイヤの内面接地形状を解析するとともに、当該内面接地形状における所定の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、を備え、所定の変換式を用いて、上記所定の特徴量に基づき、上記タイヤに作用するタイヤ横力および接地荷重を算出するように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
なお、「内面接地形状」とは、路面とタイヤが実際に接触した際における、タイヤ外面の接地形状に対応する、タイヤ内面の形状を意味する。
【0012】
この構成によれば、相対的に視野が広いカメラを用いて、タイヤの内面に設定されたマーカの全域を撮像し、撮像された画像に基づいてタイヤの内面接地形状を解析することから、内面接地形状における所定の特徴量を精度良く抽出することができる。
【0013】
そうして、このように精度良く抽出された所定の特徴量に基づき、所定の変換式を用いることで、タイヤの接地荷重の算出精度を向上させることができるとともに、従来は実車レベルにおいて算出困難であったタイヤ横力を算出することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明に係るタイヤ物理量算出装置によれば、タイヤの接地荷重の算出精度を向上させるとともに、実車レベルでタイヤ横力を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るタイヤ物理量算出装置を模式的に示す図である。
図2】同図(a)は、解析されたタイヤの内面接地形状と、接地形状(路面とタイヤが実際に接触する接地圧力分布)を模式的に示す図であり、同図(b)は、タイヤ横力に関する回帰直線1を示すグラフ図であり、同図(c)は、接地荷重に関する回帰直線2を示すグラフ図である。
図3】タイヤ物理量算出装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
-装置構成-
図1は、本実施形態に係るタイヤ物理量算出装置10を模式的に示す図であり、同図(a)は、タイヤ物理量算出装置10が取り付けられた車輪1を示す側面図であり、同図(b)は、図aのb-b線の矢視断面図であり、同図(c)は、マーカの一例を示す図である。タイヤ物理量算出装置10は、走行中におけるタイヤ3の形状に基づいて、タイヤ3に作用する物理量を算出するものである。
【0018】
タイヤ物理量算出装置10が取り付けられる車輪1は、図1(a)に示すように、ホイール5の周りに、ゴム製の空気入りタイヤ3が取り付けられたものであり、バッテリ40等がホイール5に取り付けられていること以外は、通常の車輪と同様である。
【0019】
タイヤ物理量算出装置10は、図1(b)に示すように、マーカ群11と、磁気センサ20と、磁石21と、ブラケット23と、カメラ30と、制御ボード33と、照明35と、バッテリ40と、ブラケット41と、磁気センサ20、制御ボード33およびバッテリ40を電気的に接続する配線50と、を備えている。
【0020】
マーカ群11は、図1(c)に示すように、複数の白マーカ13と複数の黒マーカ15とからなる白黒の格子パターンとして、タイヤ3の内面3bに設定されている。各白マーカ13は、矩形状に形成されていて、4つの頂点13a,13b,13c,13dおよび4辺の中点13e,13f,13g,13hの3次元座標(x、y、z)によってその形状が把握される。なお、各黒マーカ15についても同様である。
【0021】
磁気センサ20は、車輪1における、マーカ群11と180度反対側で、ホイール5に取り付けられている。磁石21は、タイヤ3の外面3aにおけるマーカ群11に対応する部位が接地するときに、換言すると、ホイール5に取り付けられた磁気センサ20が最も高い位置に来たときに、磁気センサ20と最も近付くように、ブラケット23を介して、ブレーキキャリパ等の車両固定部7に連結されている。それ故、磁気センサ20が、磁石21の磁気を検出することによって、タイヤ3の外面3aにおけるマーカ群11に対応する部位の接地タイミングが把握される。磁気センサ20による検出結果は、配線50を介して、制御ボード33へ送信される。
【0022】
カメラ30および制御ボード33は、ホイール5におけるマーカ群11と対向する部位に取り付けられている。ホイール5におけるカメラ30の近傍には、タイヤ3の内面3bを照らすための照明35が取り付けられている。カメラ30の撮像タイミングおよび照明35の点灯タイミングは制御ボード33によって制御される。カメラ30で撮像された画像データは制御ボード33に送信される。カメラ30には、マーカ群11の全域が撮像可能となるように調整されたレンズ31が取り付けられている。
【0023】
このような構成により、磁気センサ20が磁石21の磁気を検出したことをトリガーとして、制御ボード33が、照明35を点灯させるとともに、タイヤ3の内面3bをカメラ30に撮像させる。これにより、タイヤ3の外面3aにおけるマーカ群11に対応する部位が接地する度に、マーカ群11の全域がカメラ30によって撮像される。なお、制御ボード33による、タイヤ3の内面接地形状103(図2参照)の解析、内面接地形状103における所定の特徴量の抽出、および、タイヤ3に作用する物理量の算出については後述する。
【0024】
バッテリ40は、ボルト43でホイール5中央部に取り付けられたブラケット41を介して、ホイール5に取り付けられている。バッテリ40は、配線50を介して、磁気センサ20、カメラ30、制御ボード33および照明35へ電力を供給する。
【0025】
-物理量の算出-
図2(a)は、解析されたタイヤ3の内面接地形状103と、接地形状(路面とタイヤが実際に接触する接地圧力分布)101を模式的に示す図である。より詳しくは、図2(a)は、本実施形態を理解し易くするために、タイヤ物理量算出装置10によって推定される内面接地形状103と、後述するタイヤ台上試験機によって取得される接地圧力分布(接地形状101)と、を重ねて表示したものである。なお、図2(a)では、接地圧が高い部分程ハッチング間隔が狭くなるように、接地形状101にハッチングを施している。また、接地形状101における白い部分は、タイヤ3が接地しない部分、すなわち、トレッドパターンにおける溝を表している。
【0026】
制御ボード(特徴量抽出部)33は、CPU(Central Processing Unit)や、処理プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)や、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等からなるマイクロコンピュータを含んでいて、CPUやROMやRAM等を協働させることで、以下の解析・演算等を行うように構成されている。
【0027】
先ず、制御ボード33は、カメラ30によって撮像されたマーカ群11の画像に基づいて、タイヤ3の内面接地形状103を解析するように構成されている。具体的には、制御ボード33は、PnP問題(Perspective-n-Point Problem)を解く手法を応用することで、タイヤ3の内面接地形状103を解析するように構成されている。なお、「内面接地形状103」とは、路面とタイヤ3が実際に接触した際における、タイヤ3の外面3aの接地形状101に対応する、タイヤ3の内面3bの形状を意味する。
【0028】
PnP問題を解く手法は、公知の手法ゆえ、詳しい説明を省略するが、要するに、3次元空間中にある既知の点群と、2次元の画像上にある点群との関係から、カメラの位置姿勢を推定するものである。そうして、制御ボード33は、これを応用して、既知であるカメラ30の位置姿勢と、カメラ30によって撮像された白黒の格子パターンの2次元の画像とに基づいて、3次元空間中にある点群(タイヤ3の微小部分の座標)を推定し、それら点群を用いて内面接地形状103を推定するようになっている。
【0029】
これにより、図2(a)に示すようなタイヤ3の内面接地形状103を得ることができる。なお、タイヤ3(内面接地形状103)における、接地部分と非接地部分との境界をより詳細に算出する場合には、推定された点群に基づいてタイヤ3の縦断図等を作成し、かかる縦断図に基づいて境界を確定するような手法を用いてもよい。
【0030】
次いで、制御ボード33は、解析(推定)された内面接地形状103における所定の特徴量を抽出するように構成されている。具体的には、制御ボード33は、内面接地形状103に基づいて、図2(a)に示すように、接地中心の移動量(X、Y、Z)と、車幅方向内側における接地長Liと、車幅方向中央における接地長Lcと、車幅方向外側における接地長Loと、接地幅Wと、接地面積Aと、を抽出する。なお、非接地状態におけるマーカ群11の中心座標を(0、0、0)に設定しておけば、接地状態におけるマーカ群11の中心座標を算出することで、接地中心の移動量(X、Y、Z)を容易に算出することができる。
【0031】
そうして、制御ボード33は、下記の変換式1(式1)を用いて、所定の特徴量(接地中心の前後方向移動量X、接地中心の車幅方向移動量Y、接地長Lc、接地長Loおよび接地長Li)に基づき、タイヤ3に作用するタイヤ横力Fyを算出するように構成されている。
【0032】
Fy=Cy1×X+Cy2×Y+Cy3×Lc+Cy4×Lo+Cy5×Li
+CTy・・・・・(式1)
また、制御ボード33は、下記の変換式2(式2)を用いて、所定の特徴量(接地中心の上下方向移動量Z、接地長Lcおよび接地面積A)に基づき、タイヤ3に作用する接地荷重(タイヤ上下力)Fzを算出するように構成されている。
【0033】
Fz=Cz1×Z+Cz2×Lc+Cz3×A+CTz・・・・・(式2)
これら変換式1および2は、タイヤ台上試験機(図示せず)において、スリップ角、キャンバ角、接地荷重、車速、タイヤ空気圧から選定された試験条件で得られたタイヤ接地力(タイヤ横力Fyおよび接地荷重Fz)と、その際にタイヤ物理量算出装置10によって算出された所定の特徴量と、を紐付データ(同時計測データ)として取得し、所定の特徴量からタイヤ接地力へ変換するために、重回帰分析により作成された、各タイヤ固有の変換式である。つまり、係数Cy1,Cy2,Cy3,Cy4,Cy5,Cz1,Cz2,Cz3、および、定数項CTy,CTzは、タイヤ3毎に異なる各タイヤ固有の値である。
【0034】
因みに、以下の説明に用いる試験タイヤでは、Cy1=14.889、Cy2=137.275、Cy3=33.606、Cy4=33.281、Cy5=-61.546、CTy=-1046.801、Cz1=-781.1634、Cz2=108.295、Cz3=886.567およびCTz=6206.3であった。
【0035】
図2(b)は、タイヤ横力Fyに関する回帰直線1を示すグラフ図であり、同図(c)は、接地荷重Fzに関する回帰直線2を示すグラフ図である。これらのグラフ図は、横軸を、タイヤ台上試験機(より正確にはタイヤ台上試験機のタイヤ取付け軸)に備えられた6分力計の実測値とし、縦軸をタイヤ物理量算出装置10による算出値として、実測値を取得した際のマーカ群11の画像に基づいて算出した物理量をプロットするとともに、重回帰分析で得られた回帰直線を示すものである。
【0036】
仮に、タイヤ台上試験機に備えられた6分力計の実測値と、タイヤ物理量算出装置10による算出値と、が完全に一致すれば、回帰直線はy=xとなる。また、決定係数R2が1に近いほど、推定された回帰直線が実際のデータに当て嵌っていることになる。
【0037】
図2(b)に示す、試験タイヤにおけるタイヤ横力Fyに関する回帰直線1は、y=0.9832xであった。また、すべてのプロットが回帰直線1から±1000Nの範囲に収まっており、決定係数R2=0.9854であった。
【0038】
また、図2(c)に示す、試験タイヤにおける接地荷重Fzに関する回帰直線2は、y=0.9996xであった。また、すべてのプロットが回帰直線2から±300Nの範囲に収まっており、決定係数R2=0.9949であった。
【0039】
これらにより、タイヤ物理量算出装置10による算出値が実測値と高い相関性を有することが、延いては、解析された内面接地形状103から得られる所定の特徴量が、タイヤ横力Fyおよび接地荷重Fzと高い相関性を有することが確認された。
【0040】
以上のように、本実施形態に係るタイヤ物理量算出装置10によれば、タイヤ3の接地荷重Fzの算出精度を向上させるとともに、従来は算出困難であったタイヤ横力Fyを実車レベルで算出することが可能となる。なお、算出されたタイヤ横力Fyおよび接地荷重FzはROMに記憶され、回収後、実車レベルでの操縦安定性の評価に利用される。
【0041】
-制御フロー-
図3は、タイヤ物理量算出装置10が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、このフローチャートは、例えばイグニッションONを検出した場合やブレーキOFFを検出した場合に、所定間隔で繰り返し実行されるようになっている。また、タイヤ固有の係数Cy1,Cy2,Cy3,Cy4,Cy5,Cz1,Cz2,Cz3、および、定数項CTy,CTzは、車両への装着前に予め取得されて、制御ボード33のROM等に記憶されている。
【0042】
先ずステップS1では、制御ボード33が、磁気センサ20が磁力を検出したか否かを判定する。この判定がNOの場合には、そのままENDしてSTARTに戻る。一方、この判定がYESの場合には、ステップS2へ進む。
【0043】
次のステップS2では、制御ボード33が、カメラ30が撮像したマーカ群11の画像を取得した後ステップS3へ進む。次のステップS3では、制御ボード33が、PnP問題を解く手法を応用して、タイヤ3の内面接地形状103を解析した後ステップS4へ進む。次のステップS4では、制御ボード33が、解析された内面接地形状103における所定の特徴量を抽出した後ステップS5へ進む。
【0044】
次のステップS5では、制御ボード33が、変換式1および2を用いて、タイヤ横力Fyおよび接地荷重Fzを算出した後ステップS6へ進む。次のステップS6では、制御ボード33が、タイヤ横力Fyおよび接地荷重Fzを記憶した後ENDする。
【0045】
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0046】
上記実施形態では、タイヤ3の内面3bに設定されるマーカを格子としたが、タイヤ3の微小部分の座標を算出することができるのであれば、これに限らず、マーカはどのような模様・形状でもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、タイヤ3の内面3bの一部に設定したマーカ13、15を1台のカメラ30で撮像するようにしたが、これに限らず、タイヤ3の内面3bの全周に亘って設定したマーカを複数台のカメラ30で撮像するようにしてもよい。
【0048】
さらに、上記実施形態では、磁気センサ20は、車輪1における、マーカ群11と180度反対側に対応する位置にて、ホイール5に取り付けたが、磁気センサ20が磁石21に近付くタイミングが接地タイミングと同じであれば、これに限らず、磁気センサ20をホイール5のどこに取り付けてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、内面接地形状103の解析、特徴量の抽出、物理量の算出・記憶をすべて制御ボード33に実行させるようにしたが、これに限らず、これらの全部または一部を、例えば車載のECU(Electronic Control Unit)に実行させるようにしてもよい。
【0050】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によると、タイヤの接地荷重の算出精度を向上させるとともに、実車レベルでタイヤ横力を算出することができるので、走行中のタイヤに作用する物理量を算出するタイヤ物理量算出装置に適用して極めて有益である。
【符号の説明】
【0052】
3 タイヤ、3a 外面、3b 内面、10 タイヤ物理量算出装置、13 白マーカ、15 黒マーカ、30 カメラ、33 制御ボード(特徴量抽出部)、103 内面接地形状
図1
図2
図3