IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 沖電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-画像形成装置 図1
  • 特開-画像形成装置 図2
  • 特開-画像形成装置 図3
  • 特開-画像形成装置 図4
  • 特開-画像形成装置 図5
  • 特開-画像形成装置 図6
  • 特開-画像形成装置 図7
  • 特開-画像形成装置 図8
  • 特開-画像形成装置 図9
  • 特開-画像形成装置 図10
  • 特開-画像形成装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129576
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20240919BHJP
   H04N 1/405 20060101ALI20240919BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240919BHJP
   B41J 2/52 20060101ALI20240919BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
H04N1/387 700
H04N1/405 512
B41J29/38 201
B41J2/52
G03G15/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038884
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】土井 俊洋
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C076
5C077
【Fターム(参考)】
2C061HJ06
2C061HK03
2C061HK07
2C061HK11
2C061HL02
2H270MA10
2H270MA11
2H270MB05
2H270PA69
2H270ZC03
2H270ZC04
5C076AA24
5C076BA06
5C077LL19
5C077NN05
5C077NN07
5C077NN19
5C077PP22
5C077PP28
5C077PP58
(57)【要約】
【課題】画質を保ちつつ回転ソート印刷を行う。
【解決手段】画像形成装置1は、用紙(横向き用紙Pl)の向きと異なる向きの異方向画像データ(中間画像データ34a(図5(A)))を用紙の向きへ回転させる画像回転処理を行うことにより中間画像データ34b(図5(B))を生成する画像回転処理部22と、中間画像データ34bの画素毎の属性を判別する画素属性判別処理を行う画素属性判別処理部24と、画素毎の属性に応じて、互いに異なるパターンである縦縞模様状網点パターンPTv(図7)と横縞模様状網点パターンPTh(図8)とを画素毎に切り替えて中間画像データ34bに対しハーフトーン処理を行うハーフトーン処理部26とを設ける。
【選択図】図10

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の向きと異なる向きの異方向画像データを前記媒体の向きへ回転させる画像回転処理を行う画像回転処理部と、
前記異方向画像データの画素毎の属性を判別する画素属性判別処理を行う画素属性判別処理部と、
前記画素毎の属性に応じて、互いに異なるパターンである第1の網点パターンと第2の網点パターンとを画素毎に切り替えて前記異方向画像データに対しハーフトーン処理を行うハーフトーン処理部と
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記ハーフトーン処理部は、
前記画像回転処理の後に、前記ハーフトーン処理を行う
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ハーフトーン処理部は、
前記属性がIMAGEである画素に対して前記第1の網点パターンを用いて前記ハーフトーン処理を行い、前記属性がIMAGE以外である画素に対して前記第2の網点パターンを用いて前記ハーフトーン処理を行う
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ハーフトーン処理部は、
前記属性がIMAGEである画素に対して前記第1の網点パターンを用いて前記ハーフトーン処理を行い、前記属性がTEXT又はGRAPHICである画素に対して前記第2の網点パターンを用いて前記ハーフトーン処理を行う
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ハーフトーン処理部は、
所定の面積の画像に含まれる画素に対して前記第1の網点パターンを用いて前記ハーフトーン処理を行い、該画像よりも面積が小さい画像に含まれる画素に対して前記第2の網点パターンを用いて前記ハーフトーン処理を行う
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ハーフトーン処理部は、
所定の幅の画像に含まれる画素に対して前記第1の網点パターンを用いて前記ハーフトーン処理を行い、該画像よりも幅が狭い画像に含まれる画素に対して前記第2の網点パターンを用いて前記ハーフトーン処理を行う
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
奇数部目用の画像データに対し、前記画像回転処理部により前記画像回転処理を行わず、前記ハーフトーン処理部により前記第1の網点パターンを用いて前記ハーフトーン処理を行う一方、
偶数部目用の前記画像データに対し、前記画像回転処理部により前記画像回転処理を行い、前記画素属性判別処理部により画素毎の属性を判別し、前記ハーフトーン処理部により前記第1の網点パターンと前記第2の網点パターンとを画素毎に切り替えて前記ハーフトーン処理を行う
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1の網点パターンは、複数の画素により形成される模様が一定の方向への方向性を有する模様であり、
前記第2の網点パターンは、複数の画素により形成される模様が、前記第1の網点パターンとは異なる一定の方向への方向性を有する模様である
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1の網点パターン及び前記第2の網点パターンは縞模様であり、色が濃くなるにつれて縞が太くなり、色が淡くなるにつれて縞が細くなる模様である
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第2の網点パターンは、前記第1の網点パターンが、前記異方向画像データの回転に合わせて回転された模様である
請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像回転処理部は、
前記異方向画像データを90度回転させる前記画像回転処理を行う
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像回転処理が行われずに前記第1の網点パターンを用いて前記ハーフトーン処理が行われた画像データにより示される画像と、前記画像回転処理が行われ前記第1の網点パターンと前記第2の網点パターンとを画素毎に切り替えて前記ハーフトーン処理が行われた画像データにより示される画像とを、部毎に角度を交互に切り替えて前記媒体に形成する画像形成部
をさらに有する請求項1に記載の画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、例えば原稿を複数部印刷するときに、回転ソートして排出する画像形成装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置は、同一文書を複数部数出力する回転ソート印刷を行う場合、搬送方向に対して縦向きにセットされた用紙に対し画像データが回転されていない奇数部目用の画像データを印刷し、搬送方向に対して横向きにセットされた用紙に対し画像データを90度回転させた偶数部目用の画像データを交互に印刷する。
【0003】
これに対し、縦向き及び横向きの用紙に対して交互に画像形成を行う場合、入力された画像データをセットされた用紙の向きと合うように回転させた後にハーフトーン処理を行い画像形成部において印刷する画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
これは、ハーフトーン処理に用いられる網点パターンが、その画像形成装置がもつ画像形成部の特性に合わせて最適化されているためである。この画像形成装置は、縦向き用紙及び横向き用紙の何れに対してもハーフトーンが持つ網点パターンの角度が搬送方向に対して常に一定となるようにハーフトーン処理を行うことにより、画質が安定させることができる。
【0005】
すなわち、画像形成装置は、搬送方向に対して平行に近い角度をもった縞状の網点パターンを用いると安定した印刷結果が得られる特性を画像形成部がもつ場合、縦向き用紙及び横向き用紙の何れに対しても、搬送方向に対して平行に近い角度の縞状の網点パターンを用いることにより画質を安定させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-69095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら画像形成装置は、縦向き用紙と横向き用紙とで搬送方向に対し互いに同じ角度の縞状の網点パターンを用いると、縦向き用紙と横向き用紙とで印刷後の文字や線といった細かな印刷の見かけが大きく異なってしまい、画質を保てない場合があった。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、画質を保ちつつ回転ソート印刷を行い得る画像形成装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明の画像形成装置においては、媒体の向きと異なる向きの異方向画像データを媒体の向きへ回転させる画像回転処理を行う画像回転処理部と、異方向画像データの画素毎の属性を判別する画素属性判別処理を行う画素属性判別処理部と、画素毎の属性に応じて、互いに異なるパターンである第1の網点パターンと第2の網点パターンとを画素毎に切り替えて異方向画像データに対しハーフトーン処理を行うハーフトーン処理部とを設けるようにした。
【0010】
本発明は、第1の属性の画素には画像形成部の特性に応じ異方向画像データに対し第1の網点パターンを用いることにより何れの向きの媒体においても安定した画質を得ることができると共に、第2の属性の画素には異方向画像データに対し第1の網点パターンとは異なる第2の網点パターンを用いることにより何れの向きの媒体における第2の属性の画素においても互いに見かけを同じにすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1の属性の画素には画像形成部の特性に応じ異方向画像データに対し第1の網点パターンを用いることにより何れの向きの媒体においても安定した画質を得ることができると共に、第2の属性の画素には異方向画像データに対し第1の網点パターンとは異なる第2の網点パターンを用いることにより何れの向きの媒体における第2の属性の画素においても互いに見かけを同じにすることができ、かくして画質を保ちつつ回転ソート印刷を行い得る画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2】画像処理部及び記憶部の構成を示すブロック図である。
図3】設定データを示す図である。
図4】回転ソート印刷で複数部数を印刷する様子を示す図である。
図5】画像回転処理を示す図である。
図6】画素属性判別処理を示す図である。
図7】縦縞模様状網点パターンを示す図である。
図8】横縞模様状網点パターンを示す図である。
図9】網点パターンの縞の方向の違いによる見かけの差を示す図である。
図10】画像処理手順を示すフローチャートである。
図11】縦向き用紙と横向き用紙とにおける網点パターンの縞の方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態(以下、これを実施の形態と呼ぶ)について、図面を用いて説明する。
【0014】
[1.画像形成装置の構成]
図1に示すように、画像形成装置1は、用紙等に画像を形成する、例えば単機能のプリンタであり、制御部10、データ受信部12、画像形成部16及び記憶部18を有している。
【0015】
制御部10は、各種演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、記憶部18をワークエリアとして使用しながら、記憶部18等から読み出した各種プログラムをCPUによって実行することにより、様々な処理を行う。また制御部10は、記憶部18に予め記憶された画像処理プログラムを読み出して実行することにより、画像処理部14の機能ブロックを形成する。
【0016】
データ受信部12は、スキャナやネットワークインターフェースにより構成されており、図示しないスキャナに置かれた原稿から読み取った画像データや、ホストPC(Personal Computer)からネットワークインターフェースを介して取得した画像データを入力画像データ30(図2)として記憶部18に保存する。
【0017】
またデータ受信部12は、図示しない操作パネルの設定部により設定された設定データや、画像データに付随した設定データを設定データ32(図2)として記憶部18に保存する。設定データ32は、入力画像データ30に対し指定された、該入力画像データ30が印刷される際の設定を示すデータであり、図3に示すように、設定項目として、部数、ソート及び給紙トレイを有している。部数は、印刷部数を示しており、「4」が指定されている。ソートは、「回転ソート」が指定されている。回転ソートとは、縦、横、縦という様に、1部毎に交互に90度向きを変更しつつ排紙する機能(回転ソート印刷)である。給紙トレイは、「トレイ1」が指定されている。
【0018】
画像処理部14は、記憶部18に保存された設定データ32に基づき、データ受信部12により取得され記憶部18に保存された入力画像データ30を処理する。また画像処理部14は、設定データ32において複数部数の印刷が指定されている場合(すなわち部数が2部以上の場合)、奇数部目用(すなわち1部目、3部目、5部目、・・・)の画像データである奇数部画像データ38(図2)と、偶数部目用(すなわち2部目、4部目、6部目、・・・)の画像データである偶数部画像データ40(図2)とを生成し、これら奇数部画像データ38及び偶数部画像データ40を記憶部18に保存する。これら奇数部画像データ38と偶数部画像データ40とは、互いに異なる画像データとなっており、偶数部画像データ40は奇数部画像データ38に対し90度回転した画像データとなっている。さらに画像処理部14は、記憶部18に保存された設定データ32を参照し、入力画像データ30に対し、色補正処理、画像回転処理、画素属性判別処理及びハーフトーン処理等の画像処理を実行する。
【0019】
画像形成部16は、画像処理部14により生成された奇数部画像データ38及び偶数部画像データ40に従って、用紙等に画像を形成する。この画像形成部16は、例えば所謂電子写真方式により用紙上に画像を形成するものである。具体的に画像形成部16は、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置及び定着装置等を含んで構成されている。帯電装置は、感光体ドラムを帯電させる。露光装置は、帯電された感光体ドラム上を画像データに応じた光で露光することにより感光体ドラム上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置は、感光体ドラム上に形成された静電潜像を現像する。転写装置は、画像データに応じ感光体ドラム上に形成されたトナー像を用紙に転写する。定着装置は、用紙に転写されたトナー像を用紙に定着させる。
【0020】
この画像形成部16は、互いに同じサイズの用紙で向きが90度異なる縦向き用紙(例えばA4サイズ縦)と横向き用紙(例えばA4サイズ横)とを用紙として用いる。ここで、用紙の搬送方向に該用紙の長辺を沿わせた状態の用紙が縦向き用紙であり、用紙の搬送方向に該用紙の短辺を沿わせた状態の用紙が横向き用紙である。画像形成部16は、縦向き用紙の束が給紙トレイに縦置き(ポートレート)で載置された給紙トレイと、横置き(ランドスケープ)で載置された給紙トレイとを有しており、奇数部画像データ38を形成する処理と、偶数部画像データ40を形成する処理とで、搬送元となる給紙トレイを変更する。
【0021】
図4に、設定データ32(図3)において指定されているように、複数ページ(1ページ目P1、2ページ目P2、3ページ目P3、・・・)を有する印刷ジョブが回転ソート指定で複数部である4部印刷される様子を示す。図4における上下方向が用紙の搬送方向を示している。まず、奇数部目である1部目における連続するページは、奇数部画像データ38が縦向き用紙Ppに形成される。次に、偶数部目である2部目における連続するページは、偶数部画像データ40が横向き用紙Plに形成される。次に、奇数部目である3部目における連続するページは、奇数部画像データ38が縦向き用紙Ppに形成される。次に、偶数部目である4部目における連続するページは、偶数部画像データ40が横向き用紙Plに形成される。このように画像形成部16は、奇数部目と偶数部目とで画像データと給紙トレイとを交互に切り替えながら画像を形成する。
【0022】
記憶部18は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)のような不揮発性の記憶媒体と、各種情報が予め記憶されたROM(Read Only Memory)と、各種情報を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)とにより構成されており、画像形成装置1が機能するために必要なデータやプログラムを記憶する。また記憶部18は、データ受信部12により取得された入力画像データ30及び設定データ32、画像処理部14により生成された中間画像データ34及び画素属性データ36、並びに、画像処理部14により生成された奇数部画像データ38及び偶数部画像データ40を記憶する。
【0023】
[2.画像処理部の構成]
図2に示すように、画像処理部14は、色補正処理部20、画像回転処理部22、画素属性判別処理部24及びハーフトーン処理部26により構成されている。
【0024】
色補正処理部20は、入力画像データ30に対し色補正処理を行うことにより中間画像データ34を生成し、該中間画像データ34を記憶部18に保存する。
【0025】
画像回転処理部22は、中間画像データ34に対し画像回転処理を行うことにより記憶部18の中間画像データ34を書き換える。図5に画像回転処理の一例を示すように、画像回転処理部22は、図5(A)に示す画像回転処理前の中間画像データ34aの画像の向きが縦向きの状態のときに、これから行われる印刷が横向きの用紙である場合には、画像回転処理を行い中間画像データ34aを反時計回りに90度回転させることにより、図5(B)に示す中間画像データ34bのように、画像の向きを横向きの状態にする。以下では、画像回転処理前の中間画像データ34aと、画像回転処理後の中間画像データ34bとをまとめて、単に、中間画像データ34とも呼ぶ。
【0026】
画素属性判別処理部24は、中間画像データ34bに基づき画素属性判別処理を行うことにより画素毎の属性情報を示す画素属性データ36を生成し、該画素属性データ36を記憶部18に保存する。図6に画素属性判別処理の一例を示す。図6(A)に示す中間画像データ34aは、画像オブジェクトOBa、OBb及びOBcが配置されている。以下では画像オブジェクトOBa、OBb及びOBcをまとめて画像オブジェクトOBとも呼ぶ。なお画像オブジェクトOBaは、図において塗り潰された円弧状の領域の部分に、文字が円弧に沿うように配置されている。
【0027】
画素属性判別処理部24は、中間画像データ34(図6(A))に含まれる全画素について、各画素がIMAGE又はIMAGE以外の何れの属性に属する画素かを判別し、判別した情報である画素属性データ36(図2)を生成する。具体的に画素属性判別処理部24は、文字や線といった細かな印刷に属する画素をIMAGE以外に分別し、それ以外のある程度広い面積の印刷に属する画素をIMAGEに分別する。
【0028】
また画素属性判別処理部24は、画像形成装置1において一般的に使用されるPDL(Page Description Language:ページ記述言語)では、ページ内の画像オブジェクトOB毎に属性情報(IMAGE、TEXT又はGRAPHIC)が付加されているため、その情報を利用して画素の属性を判別可能である。それ以外にも画素属性判別処理部24は、他の公知の技術(ラプラシアンフィルタや画像に含まれる線分の線幅をカウントする等)を利用して画像データを直接解析して各画素の属性を判別しても良い。
【0029】
本実施の形態において画素属性判別処理部24は、PDLに基づき各画像オブジェクトOBの属性情報を認識し、画像オブジェクトOBaがTEXT、画像オブジェクトOBbがIMAGE、画像オブジェクトOBcがGRAPHICの属性であると判別する。このため画素属性判別処理部24は、画像オブジェクトOBbをIMAGEに分別し、画像オブジェクトOBa及びOBcをIMAGE以外に分別する。ここで、図6(B)に示すように、IMAGEと分別された画像オブジェクトOBに含まれる全ての画素をIMAGE画素IMとし、IMAGE以外と分別された画像オブジェクトOBに含まれる全ての画素を非IMAGE画素IMnとする。
【0030】
ハーフトーン処理部26は、中間画像データ34に対してハーフトーン処理を行うことにより、色の濃淡(濃度)がハーフトーン(網点パターン)で表現された奇数部画像データ38及び偶数部画像データ40を生成し、該奇数部画像データ38及び該偶数部画像データ40を記憶部18に保存する。このときハーフトーン処理部26は、中間画像データ34に含まれる所定の領域毎の濃度値データを取得して、その濃度値に応じて領域内の網点の数や量を調整する。
【0031】
図7及び図8に、ハーフトーン処理において用いられる網点のパターンである縦縞模様状網点パターンPTv及び横縞模様状網点パターンPThの一例を示す。図7及び図8は、網点パターンとして、直線が等間隔で配置された縞模様状のパターンが用いられた場合の例を示している。以下では、縦縞模様状網点パターンPTv及び横縞模様状網点パターンPThをまとめて網点パターンPTとも呼ぶ。
【0032】
図7の縦縞模様状網点パターンPTvは、縦方向に対し左下がりとなるように僅かに傾斜した直線である縞STが等間隔で配置された(すなわち縦方向に近い傾斜角度をもった)縦模様状の網点パターンPTである。図8の横縞模様状網点パターンPThは、横方向に対し右下がりとなるように僅かに傾斜した直線である縞STが等間隔で配置された(すなわち横方向に近い傾斜角度をもった)横模様状の網点パターンPTである。この横縞模様状網点パターンPThは、縦縞模様状網点パターンPTvが90度回転したパターンである。また図7及び図8において、(A)は濃度0[%]、(B)は濃度25[%]、(C)は濃度50[%]、(D)は濃度75[%]、(E)は濃度100[%]の場合の網点パターンPTを示している。
【0033】
ハーフトーン処理部26は、本実施の形態のように縞模様状の網点パターンPTを使用するハーフトーン処理の場合、例えば図7に示すように、濃度を濃くする場合は縦縞模様状網点パターンPTvにおける縞STを太くする一方、濃度を淡くする場合は縦縞模様状網点パターンPTvにおける縞STを細くする。図8の横縞模様状網点パターンPThにおいても同様である。このようにハーフトーン処理部26は、網点パターンPTにおける縞STの太さを変更することにより、濃淡を表現する。
【0034】
通常、ハーフトーン処理で用いられる網点のパターンは、印刷エンジンである画像形成部16の特性に最適なものが選択されている。例えば、画像形成装置1の印刷エンジンである画像形成部16が用紙の搬送方向に対し平行な方向(すなわち搬送方向に沿う方向)の印刷に優れた特性をもつ場合、用紙の搬送方向に対して平行に近い角度を持つ縞模様状の網点パターンPTが用いられる。このため、画像形成装置1の印刷エンジン(画像形成部16)が用紙の搬送方向に沿う方向の印刷に優れた特性をもつ場合、図7の縦縞模様状網点パターンPTvは、紙面で縦方向が用紙の搬送方向であるときに用いられる。ここで、仮に横縞模様状網点パターンPTh(図8)が用いられた場合、用紙の搬送方向に沿った方向の印刷に優れた特性をもつ印刷エンジン(画像形成部16)との適正が合わないため、縦縞模様状網点パターンPTv(図7)が用いられ印刷された場合と比較して、画質等が悪くなる。
【0035】
このとき悪化する画質は、例えば、ジッタ等のある程度広い面積の画像オブジェクトOBの印刷において目立つ濃度ムラである。これに対し、回転ソート印刷を行う際に印刷する用紙の向きに合わせて画像データを回転させるとき、画像形成装置1は、画像回転処理を行うことにより用紙の向きに合わせて画像データを回転させた後にハーフトーン処理を行うことにより、縦向き用紙Pp及び横向き用紙Plの何れに対しても搬送方向に対してハーフトーンが持つ網点パターンPTの縞STの角度を一定にでき、安定した印刷結果が得られる。
【0036】
一方で、このように縦向き用紙Pp及び横向き用紙Plの全ての画像オブジェクトOBにおいて搬送方向に対する網点パターンPTの縞STの角度を一定とした場合、印刷が行われた縦向き用紙Ppを縦向きの状態としたときの画像オブジェクトOBにおいては網点パターンPTの縞STがほぼ縦方向に沿う一方、印刷が行われた横向き用紙Plを縦向き用紙Ppと同じ縦向きとなるように90度回転させると、該横向き用紙Plの画像オブジェクトOBにおいては網点パターンPTの縞STがほぼ横方向に沿うこととなる。このため、縦向き用紙Ppと横向き用紙Plとで、文字や線といった細かな印刷結果の見かけが大きく変化してしまうことがある。
【0037】
図9に、文字や線といった細かな印刷について、網点パターンPTの縞STの角度が変化したことによる実際の見かけの差を示す。図9(A)は、縦向きの元画像を縦向きの用紙設定で出力した結果を示しており、文字及び線がほぼ縦方向に沿う直線(縞ST)により形成されている。図9(B)は、縦向きの元画像を横向きの用紙設定で出力した結果を示しており、文字及び線がほぼ横方向に沿う直線(縞ST)により形成されている。このように、図9(A)と図9(B)とでは、見かけが大きく異なってしまうという問題が生じる。
【0038】
そこで本実施の形態によるハーフトーン処理部26は、画素属性データ36を参照して、ハーフトーン処理で用いる網点パターンPTを縦縞模様状網点パターンPTvと横縞模様状網点パターンPThとで適宜切り替える。そして、画像処理部14の全体の処理としても、記憶部18に記憶された設定データ32を参照して、回転ソートが指定されており、かつ、2以上の部数が指定されている場合には、奇数部目用の処理と偶数部目用の処理とで異なる処理を実行する。
【0039】
すなわち、画像処理部14は、偶数部目用の処理においては、ハーフトーン処理を行う前に画像回転処理及び画素属性判別処理を実行すると共に、ハーフトーン処理においては中間画像データ34bに対して画素属性データ36を参照して縦縞模様状網点パターンPTvと横縞模様状網点パターンPThとを画素毎に適宜切り替えながら、IMAGE画素IMに対しては縦縞模様状網点パターンPTvを、非IMAGE画素IMnに対しては横縞模様状網点パターンPThを用いる。一方、画像処理部14は、奇数部目用の処理等、偶数部目用の処理以外の処理の場合、画像回転処理及び画素属性判別処理を実行せず、ハーフトーン処理においては縦縞模様状網点パターンPTvだけを用いる。以上のようにして画像処理部14は、ハーフトーン処理がされた奇数部画像データ38及び偶数部画像データ40を生成する。
【0040】
[3.画像処理]
次に、画像処理について説明する。画像形成装置1の制御部10(図1)は、画像処理を行う場合、記憶部18から所定の画像処理プログラムを読み出して実行する。このとき制御部10は、所定の初期化処理等を行うと共に、図2に示した各機能ブロックを形成した上で、図10に示す画像処理手順RT1を開始し、ステップSP1に移る。
【0041】
ステップSP1において制御部10は、データ受信部12により画像データを取得して記憶部18に入力画像データ30として保存し、ステップSP2に移る。ステップSP2において制御部10は、データ受信部12により設定データを取得して記憶部18に設定データ32として保存し、ステップSP3に移る。ここで、入力画像データ30は、図5(A)に示した縦向きの画像データであり、設定データ32の内容は図3に示した内容であるとする。
【0042】
ステップSP3において制御部10は、色補正処理部20により入力画像データ30を記憶部18から取得して色補正処理を行い中間画像データ34aを生成して記憶部18に保存し、ステップSP4に移る。ステップSP4において制御部10は、ハーフトーン処理部26により中間画像データ34aを記憶部18から取得して縦縞模様状網点パターンPTv(図7)のみでハーフトーン処理を行い縦縞模様状網点パターンPTvのみで表現された画像データを生成し、ステップSP5に移る。ステップSP5において制御部10は、ステップSP4において生成した画像データを奇数部画像データ38としてハーフトーン処理部26により記憶部18に保存し、ステップSP6に移る。
【0043】
ステップSP6において制御部10は、記憶部18の設定データ32を参照し、今回の印刷ジョブで回転ソートが指定されており、かつ、2以上の部数が指定されているか否かを判定する。ステップSP6において肯定結果が得られると、このことは、奇数部画像データ38に加えて偶数部画像データ40も生成する必要があることを表し、このとき制御部10は、ステップSP7に移る。
【0044】
ステップSP7において制御部10は、画像回転処理部22により中間画像データ34aを記憶部18から取得して画像回転処理を行うことにより画像を回転させた中間画像データ34bを生成し、記憶部18の中間画像データ34aを中間画像データ34bに書き換え、ステップSP8に移る。具体的に画像回転処理部22は、図5(A)に示す中間画像データ34aを反時計回りに90度回転させることにより、図5(B)に示す中間画像データ34bを生成する。
【0045】
ステップSP8において制御部10は、画素属性判別処理部24により画素属性判別処理を行い、後のハーフトーン処理において参照される画素属性データ36を生成して記憶部18に保存し、ステップSP9に移る。具体的に画素属性判別処理部24は、図6(A)に示した中間画像データ34aの場合、図6(B)に示した状態を示す画素属性データ36を生成する。
【0046】
ステップSP9において制御部10は、ハーフトーン処理部26により中間画像データ34bを記憶部18から取得して記憶部18の画素属性データ36を参照し、縦縞模様状網点パターンPTv(図7)と横縞模様状網点パターンPTh(図8)とを画素毎に適宜切り替えながらハーフトーン処理を行い縦縞模様状網点パターンPTv及び横縞模様状網点パターンPThで表現された画像データを生成し、ステップSP10に移る。ステップSP10において制御部10は、ステップSP9において生成した画像データを偶数部画像データ40としてハーフトーン処理部26により記憶部18に保存し、ステップSP11に移り、画像処理手順RT1を終了する。
【0047】
一方、ステップSP6において否定結果が得られると、このことは、奇数部画像データ38のみ生成すれば足りるため偶数部画像データ40を生成する必要はないことを表し、このとき制御部10は、ステップSP7~SP10をスキップしてステップSP11に移り、画像処理手順RT1を終了する。
【0048】
以上のように画像形成装置1は、画像処理部14により奇数部画像データ38及び偶数部画像データ40を生成する。続いて画像形成装置1は、画像形成部16により、奇数部画像データ38を縦向き用紙Ppに、偶数部画像データ40を横向き用紙Plに、それぞれ形成する。
【0049】
[4.縦向き用紙と横向き用紙とにおける網点パターンの縞の方向について]
次に、図11を用いて、縦向き用紙Ppと横向き用紙Plとにおける網点パターンPTの縞STの方向(角度)について説明する。図11においては、各画像オブジェクトOB内部における網点パターンPTの縞STを模式的に示している。図11(A)は、奇数部画像データ38が印刷された縦向き用紙Ppを示し、図11(B)は、偶数部画像データ40が印刷された横向き用紙Plを示す。
【0050】
図11(A)の縦向き用紙Ppでは、元の中間画像データ34aの向きのまま奇数部画像データ38が生成され、ハーフトーン処理では縦縞模様状網点パターンPTvのみが用いられるため、ページ内全面(すなわち画像オブジェクトOBa、OBb及びOBcの全て)で縦縞模様状網点パターンPTvが用いられる。
【0051】
また、図11(B)の横向き用紙Plでは、元の中間画像データ34aが反時計回りに90度回転された向きで偶数部画像データ40が生成され、さらに図6(B)に示した状態を示す画素属性データ36に従って、ハーフトーン処理で縦縞模様状網点パターンPTvと横縞模様状網点パターンPThとが適宜切り変えて用いられる。このため、ページ内のIMAGEに該当する箇所(すなわちIMAGE画素IMである画像オブジェクトOBb)では縦縞模様状網点パターンPTvが用いられ、ページ内のIMAGE以外に該当する箇所(すなわち非IMAGE画素IMnである画像オブジェクトOBa及びOBc)では横縞模様状網点パターンPThが用いられる。
【0052】
図11(C)は、図11(B)の印刷後の横向き用紙Plを、縦向き用紙Ppと同じ用紙の向きとなるように時計回りに90度回転させた状態である。図11(A)と比較して図11(C)は、文字や線といった細かな印刷に属する非IMAGE画素IMnの領域である画像オブジェクトOBa及びOBcは、縦縞模様状網点パターンPTvと同じ方向の縦縞模様の網点パターンで形成されていることになる。このため、図11(A)と図11(C)とで、画像オブジェクトOBa及びOBcは、見かけが互いに同じとなる。
【0053】
一方で、図11(A)と図11(B)とを比較すると、ある程度広い面積の印刷に属するIMAGE画素IMの領域である画像オブジェクトOBbは、どちらも搬送方向Dtに対して網点パターンPTの縞STをほぼ沿わせてハーフトーン処理された状態となる。このため画像形成装置1は、従来と同様に安定した画質を得ることができる。
【0054】
[5.効果等]
以上の構成において画像形成装置1は、画素の属性に関わらず、縦縞模様状網点パターンPTvを用いてハーフトーン処理を行うことにより、奇数部画像データ38を生成するようにした。一方、画像形成装置1は、属性がIMAGEである画素(IMAGE画素IM)に対して縦縞模様状網点パターンPTvを用いてハーフトーン処理を行う一方、属性がIMAGE以外のTEXT又はGRAPHICである画素(非IMAGE画素IMn)に対して横縞模様状網点パターンPThを用いてハーフトーン処理を行うことにより、画像の向きが奇数部画像データ38に対し90度回転した偶数部画像データ40を生成するようにした。
【0055】
このため画像形成装置1は、偶数部画像データ40を生成する際に、第1の属性としてのIMAGEの画素には、搬送方向Dtに沿った方向の印刷に優れた特性をもつ画像形成部16に適応させて、縦向き用紙Pp及び横向き用紙Plの何れに対しても搬送方向Dtにほぼ沿った方向の縞STを有する縦縞模様状網点パターンPTvを用いてハーフトーン処理を行うことにより、縦向き用紙Pp及び横向き用紙Plの何れに対しても、IMAGEの画素の画像オブジェクトOBである、ある程度広い面積の印刷においても安定した画質を得ることができる。
【0056】
また画像形成装置1は、偶数部画像データ40を生成する際に、第2の属性としてのIMAGE以外のTEXT又はGRAPHICである画素には、縦向き用紙Ppの場合は縦縞模様状網点パターンPTvを、横向き用紙Plの場合は横縞模様状網点パターンPThを、それぞれ用いてハーフトーン処理を行うことにより、印刷後の横向き用紙Plが縦向き用紙Ppと同じように縦向きにされた際に、何れの用紙においても互いに同じ方向に沿った縞STにより、IMAGE以外の画素の画像オブジェクトOBを構成することができる。これにより画像形成装置1は、印刷後の横向き用紙Plが縦向き用紙Ppと同じように縦向きにされた際に、縦向き用紙Ppと横向き用紙PlとにおけるIMAGE以外の画素の画像オブジェクトOBである、文字や線といった細かな印刷の見かけを互いに同じにすることができる。
【0057】
上述したように、画像形成部16の特性に合うように縦向き用紙Ppと横向き用紙Plとで搬送方向Dtに対する印刷時の縞STの方向を一定にすることにより縦向き用紙Ppと横向き用紙Plとで画質が安定するのは、ある程度広い面積の印刷の領域である。このため画像形成装置1は、PDLの属性情報以外により画素の属性を判別する場合、偶数部画像データ40を生成する際に、所定の閾値よりも大きい面積の画像の一部分の画素(すなわち所定の閾値よりも大きい面積の画像に含まれる画素、換言すれば、所定の閾値よりも大きい面積の画像を構成する画素)に対しては縦縞模様状網点パターンPTvを用いてハーフトーン処理を行い、この画像よりも面積が小さい画像に含まれる画素に対しては横縞模様状網点パターンPThを用いてハーフトーン処理を行っても良い。
【0058】
また、面積が大きい画像であっても、細長い画像の場合は、印刷後の横向き用紙Plを縦向き用紙Ppと同様に縦向きにした際に縦向き用紙Ppと横向き用紙Plとで印刷後の縞STの方向が異なっていると、互いに見かけが大きく異なっているように見えてしまう可能性がある。このため画像形成装置1は、PDLの属性情報以外により画素の属性を判別する場合、偶数部画像データ40を生成する際に、所定の閾値よりも広い幅の画像に含まれる画素に対しては縦縞模様状網点パターンPTvを用いてハーフトーン処理を行い、この画像よりも幅が狭い画像に含まれる画素に対しては横縞模様状網点パターンPThを用いてハーフトーン処理を行っても良い。
【0059】
以上の構成によれば画像形成装置1は、媒体としての用紙(横向き用紙Pl)の向きと異なる向きの異方向画像データ(中間画像データ34a(図5(A)))を用紙の向きへ回転させる画像回転処理を行うことにより中間画像データ34b(図5(B))を生成する画像回転処理部22と、中間画像データ34bの画素毎の属性を判別する画素属性判別処理を行う画素属性判別処理部24と、画素毎の属性に応じて、互いに異なるパターンである第1の網点パターンとしての縦縞模様状網点パターンPTv(図7)と第2の網点パターンとしての横縞模様状網点パターンPTh(図8)とを画素毎に切り替えて中間画像データ34bに対しハーフトーン処理を行うハーフトーン処理部26とを設けるようにした。
【0060】
これにより画像形成装置1は、IMAGEの画素(IMAGE画素IM)には画像形成部16の特性に応じ異方向画像データに対し縦縞模様状網点パターンPTvを用いることにより何れの向きの用紙においても安定した画質を得ることができると共に、IMAGE以外の画素(非IMAGE画素IMn)には異方向画像データに対し縦縞模様状網点パターンPTvとは異なる横縞模様状網点パターンPThを用いることにより何れの向きの用紙における非IMAGE画素IMnにおいても互いに見かけを同じにすることができる。
【0061】
[6.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態において画像形成装置1は、ハーフトーン処理で用いる網点パターンPTを縞模様とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、網点パターンPTを一般的に用いられるドット等、他の種々の模様としても良い。例えば画像形成装置1は、網点パターンPTを、ドットが長方形状に集まった模様とした場合、長方形の長辺が沿う方向を、上述した縞STの方向とみなせば良い。このように画像形成装置1は、網点パターンPTにおいて複数のドットにより形成される模様が一定の方向への方向性を有する場合、本発明の効果を奏する。
【0062】
また上述した実施の形態において画像形成装置1は、画像回転処理の後に画素属性判別処理を行う場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、画像回転処理の前に画素属性判別処理を行っても良い。
【0063】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、画像回転処理の後にハーフトーン処理を行う場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、画像回転処理の前にハーフトーン処理を行っても良い。その場合、画像形成装置1は、ハーフトーン処理の後に画像回転処理を行った場合であっても用紙に形成される画像オブジェクトOBにおける網点パターンPTの縞STの方向が最終的に上述した実施の形態と同様になるようにハーフトーン処理を行えば良い。
【0064】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、色補正処理部20により入力画像データ30に対し色補正処理を行うことにより中間画像データ34を生成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、入力画像データ30の内容によっては、色補正処理部20による色補正処理を省略しても良い。
【0065】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、画像形成部16が用紙の搬送方向Dtに沿う方向の印刷に優れた特性をもつ場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、画像形成部16が用紙の搬送方向Dtに直交する方向の印刷に優れた特性をもつ場合は、IMAGE画素IMに対しては横縞模様状網点パターンPThを、非IMAGE画素IMnに対しては縦縞模様状網点パターンPTvを用いてハーフトーン処理を行えば良い。
【0066】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、奇数部画像データ38を生成する場合は画素属性判別処理部24により画素属性判別処理を行わない場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、必要のない処理とはなるが、奇数部画像データ38を生成する場合に画素属性判別処理部24により画素属性判別処理を行っても良い。
【0067】
さらに上述した実施の形態においては、制御部10において画像処理プログラム等のプログラムを実行し、図2に示した各機能ブロックをソフトウェアにより構成する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば図2に示した各機能ブロックの少なくとも一部をハードウェアにより構成しても良い。
【0068】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、画像処理プログラム等の各種プログラムを記憶部18に予め記憶しておく形態について述べた。本発明はこれに限らず、例えば所定のサーバ装置(図示せず)に各種プログラムを保存しておき、画像形成装置1がデータ受信部12(図1)により所定のネットワーク(図示せず)を介して該サーバ装置から該プログラムをダウンロードして実行するようにしても良い。
【0069】
さらに上述した実施の形態においては、単機能のプリンタである画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば複写機やファクシミリ装置の機能を有するMFP(Multi Function Peripheral)等、他の種々の機能を有する画像形成装置に本発明を適用しても良い。
【0070】
さらに上述した実施の形態においては、画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば複写機等、電子写真方式により現像剤を用いて用紙等の媒体に画像を形成する種々の電子機器に本発明を適用しても良い。
【0071】
さらに本発明は、上述した実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも適用範囲が及ぶものである。また本発明は、上述した実施の形態及び他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用した実施の形態や、抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加した実施の形態にも適用範囲が及ぶものである。
【0072】
さらに上述した実施の形態においては、画像回転処理部としての画像回転処理部22と、画素属性判別処理部としての画素属性判別処理部24と、ハーフトーン処理部としてのハーフトーン処理部26とによって、画像形成装置としての画像形成装置1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる画像回転処理部と、画素属性判別処理部と、ハーフトーン処理部とによって、画像形成装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、例えば回転ソート印刷を行う画像形成装置で利用できる。
【符号の説明】
【0074】
1……画像形成装置、10……制御部、12……データ受信部、14……画像処理部、16……画像形成部、18……記憶部、20……色補正処理部、22……画像回転処理部、24……画素属性判別処理部、26……ハーフトーン処理部、30……入力画像データ、32……設定データ、34……中間画像データ、34a……中間画像データ、34b……中間画像データ、36……画素属性データ、38……奇数部画像データ、40……偶数部画像データ、Pp……縦向き用紙、Pl……横向き用紙、IM……IMAGE画素、IMn……非IMAGE画素、PTv……縦縞模様状網点パターン、PTh……横縞模様状網点パターン、ST……縞、OBa、OBb、OBc……画像オブジェクト、Dt……搬送方向。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11