(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129589
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】機器給電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/70 20160101AFI20240919BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20240919BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
H02J50/70
H02J50/20
E04H1/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038902
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】兼本 紘希
(72)【発明者】
【氏名】北 和洋
(72)【発明者】
【氏名】徳山 雄生
(72)【発明者】
【氏名】小池 拓
(72)【発明者】
【氏名】河村 知史
(57)【要約】
【課題】建物内でマイクロ波送電により機器に給電を行う上で利便性の向上を図りながら、マイクロ波が居住空間に漏れるのを抑制することができる機器給電システムを提供する。
【解決手段】建物には、玄関11に開放された凹状空間23が設けられている。建物には、機器Mに電力を供給する機器給電システム30が設けられている。機器給電システム30は、マイクロ波を送信する送電装置31と、送電装置31により送信されたマイクロ波を受信する受電装置32とを有する。送電装置31と受電装置32とは凹状空間23の周囲部に配置され、送電装置31を上側、受電装置32を下側として上下に対向している。受電装置32の上面には、機器Mが配置される。受電装置32は、受信したマイクロ波を電力に変換し機器Mに供給する。また、送電装置31は、マイクロ波の送信方向が凹状空間23の奥行き方向と交差する方向に設定されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
居住空間の壁面に対して凹ませて形成され前記居住空間に開放された凹状空間を備える建物に適用され、機器に電力を供給する機器給電システムであって、
前記凹状空間に設けられ、前記機器が配置される機器配置部と、
前記機器配置部に配置された前記機器に供給する電力をマイクロ波として送信する送電装置と、を備え、
前記送電装置は、前記凹状空間の周囲部又はそれよりも内部側に配置され、マイクロ波の送信方向が前記凹状空間の奥行き方向と交差する方向に設定されている、機器給電システム。
【請求項2】
前記凹状空間の周囲部又はそれよりも内部側に配置され、前記送電装置から送信されるマイクロ波を受信する受電装置を備え、
前記受電装置は、受信したマイクロ波を電力に変換し、前記機器に供給する機能を有する、請求項1に記載の機器給電システム。
【請求項3】
前記送電装置を上側、前記受電装置を下側として、前記送電装置と前記受電装置とが上下に対向配置され、
前記受電装置の上面は、前記機器が置かれる前記機器配置部となっており、
前記受電装置は、前記上面に置かれた前記機器に非接触給電により電力を供給する給電部を有する、請求項2に記載の機器給電システム。
【請求項4】
前記受電装置は、マイクロ波から変換された電力を蓄える蓄電部を有し、
前記給電部は、前記蓄電部に蓄えた電力を前記機器に供給可能であり、
前記受電装置は、前記凹状空間から取り出し可能に設けられている、請求項3に記載の機器給電システム。
【請求項5】
前記送電装置は、前記凹状空間の上面に設けられ、
前記受電装置は、前記凹状空間の下面に設けられ、
前記凹状空間の下面は前記居住空間の床面よりも上方にあり、
前記凹状空間の上面は前記居住空間の天井面よりも下方にある、請求項3又は4に記載の機器給電システム。
【請求項6】
前記送電装置から送信されるマイクロ波の送信方向は、送信先の側に向かうほど前記凹状空間の奥側となる方向となっている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の機器給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、携帯電話やスマートフォン等の電子機器に給電を行う給電装置が開示されている。給電装置は、車両内に搭載され、電子機器を収容可能な収容部と、収容部の内部に配置され電子機器にマイクロ波を送信する送電装置とを備えている。この給電装置によれば、送電装置により送信されたマイクロ波が電子機器に設けられた受電部により受信され電力に変換される。そのため、マイクロ波送電により電子機器に給電を行うことが可能となっている。
【0003】
また、特許文献1の給電装置では、収容部に開け閉め可能な蓋部が設けられている。電子機器に給電を行う際には、まず蓋部を開けて電子機器を収容部に入れ、その後、蓋部を閉めて送電装置より電子機器にマイクロ波送電を行う。この場合、送電中にマイクロ波が収容部から漏れるのを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、建物内に上記特許文献1の給電装置を設置し、その給電装置を用いて電子機器に給電を行うことが考えられる。しかしながら、特許文献1の給電装置は、上述したように、電子機器を収容部に収容して給電を行う際、蓋部を開け閉めする必要があるため、面倒である。
【0006】
また、給電装置に蓋部を設けないようにすることも考えられるが、その場合、送電中にマイクロ波が収容部から居住空間に漏れてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、建物内でマイクロ波送電により機器に給電を行う上で利便性の向上を図りながら、マイクロ波が居住空間に漏れるのを抑制することができる機器給電システムを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明の機器給電システムは、居住空間の壁面に対して凹ませて形成され前記居住空間に開放された凹状空間を備える建物に適用され、機器に電力を供給する機器給電システムであって、前記凹状空間に設けられ、前記機器が配置される機器配置部と、前記機器配置部に配置された前記機器に供給する電力をマイクロ波として送信する送電装置と、を備え、前記送電装置は、前記凹状空間の周囲部又はそれよりも内部側に配置され、マイクロ波の送信方向が前記凹状空間の奥行き方向と交差する方向に設定されている。
【0009】
第1の発明によれば、居住空間の壁面に対して凹ませて形成され居住空間に開放された凹状空間に給電対象の機器が配置される機器配置部が設けられている。この場合、機器を機器配置部に配置する際、扉等の開け閉めを行う必要がないため、機器に給電を行うにあたり利便性の向上を図ることができる。
【0010】
また、機器配置部に配置される機器に供給するための電力は、送電装置よりマイクロ波として送信される。送電装置は、凹状空間の周囲部又はそれよりも内部側に配置され、マイクロ波の送信方向が凹状空間の奥行き方向と交差する方向に設定されている。この場合、送電装置から送信されるマイクロ波が凹状空間の開放部より居住空間に漏れるのを抑制することができる。これにより、建物内でマイクロ波送電により機器に給電を行う上で利便性の向上を図りながら、マイクロ波が居住空間に漏れるのを抑制することができる。
【0011】
第2の発明の機器給電システムは、第1の発明において、前記凹状空間の周囲部又はそれよりも内部側に配置され、前記送電装置から送信されるマイクロ波を受信する受電装置を備え、前記受電装置は、受信したマイクロ波を電力に変換し、前記機器に供給する機能を有する。
【0012】
第2の発明によれば、送電装置から送信されるマイクロ波が受電装置により受信される。そして、受信されたマイクロ波が受電装置により電力に変換され機器に供給される。この場合、給電対象の機器がマイクロ波を受信する受電部を有していなくても、機器に電力を供給することが可能となる。そのため、汎用性の高い給電システムとすることができる。
【0013】
第3の発明の機器給電システムは、第2の発明において、前記送電装置を上側、前記受電装置を下側として、前記送電装置と前記受電装置とが上下に対向配置され、前記受電装置の上面は、前記機器が置かれる前記機器配置部となっており、前記受電装置は、前記上面に置かれた前記機器に非接触給電により電力を供給する給電部を有する。
【0014】
第3の発明によれば、受電装置の上面に機器を置くだけで機器に給電することができる。そのため、機器に給電を行うにあたり、より一層利便性の向上を図ることができる。
【0015】
第4の発明の機器給電システムは、第2又は第3の発明において、前記受電装置は、マイクロ波から変換された電力を蓄える蓄電部を有し、前記給電部は、前記蓄電部に蓄えた電力を前記機器に供給可能であり、前記受電装置は、前記凹状空間から取り出し可能に設けられている。
【0016】
第4の発明によれば、受電装置がマイクロ波から変換された電力を蓄える蓄電部を有し、しかも受電装置が凹状空間から取り出し可能に設けられている。この場合、受電装置を凹状空間から持ち出し、持ち出した先で蓄電部に蓄えた電力を機器に供給することが可能となる。これにより、機器を手元に置きながら給電することができるため、利便性の向上をさらに図ることができる。
【0017】
第5の発明の機器給電システムは、第3又は第4の発明において、前記送電装置は、前記凹状空間の上面に設けられ、前記受電装置は、前記凹状空間の下面に設けられ、前記凹状空間の下面は前記居住空間の床面よりも上方にあり、前記凹状空間の上面は前記居住空間の天井面よりも下方にある。
【0018】
第5の発明によれば、凹状空間の上面及び下面を利用して送電装置及び受電装置を容易に設けることができる。また、凹状空間の下面は居住空間の床面よりも上方にあり、凹状空間の上面は居住空間の天井面よりも下方にあるため、凹状空間の上下寸法が小さくなっている。この場合、上下に対向する送電装置及び受電装置の上下間距離を短くすることができるため、送電装置から受電装置に送信されるマイクロ波の送電量を大きくすることができ、ひいては機器への送電量を大きくすることができる。
【0019】
第6の発明の機器給電システムは、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記送電装置から送信されるマイクロ波の送信方向は、送信先の側に向かうほど前記凹状空間の奥側となる方向となっている。
【0020】
第6の発明によれば、マイクロ波が凹状空間の開放部より居住空間に漏れるのをより一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】機器給電システムを構成する送電装置及び受電装置の配置状態を示す概略斜視図。
【
図3】送電装置及び受電装置の配置状態を示す概略側面図。
【
図4】(a)が受電装置の電気的構成を示す図であり、(b)が受電装置を示す平面図である。
【
図5】他の実施形態における受電装置を示す平面図。
【
図6】他の実施形態における送電装置及び受電装置の配置状態を示す正面図。
【
図7】他の実施形態における送電装置及び受電装置の配置状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、
図1は玄関周辺を示す斜視図である。
【0023】
図1に示すように、住宅等の建物10には、玄関11が設けられている。玄関11には玄関口12が設けられ、玄関口12には玄関ドア13が設けられている。なお、玄関11が「居住空間」に相当する。また、本明細書において、居住空間とは、人が活動する空間であり、居室、寝室、キッチン、玄関、浴室、トイレ、洗面室、廊下等を含む。
【0024】
玄関11の脇には、物を収納可能な収納棚15,16が設置されている。収納棚15,16は、玄関11の壁面18に対して凹ませて形成された凹状のスペース19に設置されている。このスペース19は、玄関11の床面から天井面に亘って上下に延びる縦長のスペースであり、玄関11に向けて開放されている。このスペース19は、3方が壁部21a~21cにより囲まれている。各壁部21a~21cのうち、各壁部21a,21bがスペース19の両側方にそれぞれ配置され、壁部21cがスペース19の奥方に配置されている。
【0025】
上記のスペース19には、その下側に下部収納棚15が設置され、上側に上部収納棚16が設置されている。各収納棚15,16はいずれもボックス型の収納棚となっており、観音開き式の扉部15a,16aを有している。下部収納棚15は、スペース19の床面上に設置され、上部収納棚16は、スペース19の天井面等に取り付けられている。また、各収納棚15,16は、各壁部21a,21bに跨って配置されている。
【0026】
下部収納棚15と上部収納棚16とは上下に離間して配置されている。下部収納棚15と上部収納棚16との間には、玄関11の壁面18に対して凹ませられた凹状空間23が形成されている。凹状空間23は、玄関11に向けて開放されている。詳しくは、凹状空間23の開放部には、その開放部を開閉する扉等の開閉体が設けられていない。そのため、凹状空間23は、玄関11に向けて常時開放された状態となっている。
【0027】
凹状空間23は、その下面が下部収納棚15の天板部15bにより形成され、その上面が上部収納棚16の底板部16bにより形成されている。また、凹状空間23は、その各側面がそれぞれ壁部21a,21bにより形成され、その奥側面(後面)が壁部21cにより形成されている。これにより、凹状空間23は、一面(前面)のみ開放された空間となっている。なお、凹状空間23の上下方向寸法は、玄関11の上下方向寸法(玄関11の床面から天井面までの上下寸法)の半分以下となっている。
【0028】
ここで、本実施形態の建物10では、玄関11に開放された凹状空間23を利用して、機器に対して給電を行う機器給電システム30が設けられている。そこで、以下では、機器給電システム30の構成について
図2に基づき説明する。
図2は、機器給電システム30を構成する送電装置31及び受電装置32の配置状態を示す概略斜視図である。
図3は、送電装置31及び受電装置32の配置状態を示す概略側面図である。なお、
図2及び
図3では、凹状空間23を簡略化して示している。
【0029】
図2及び
図3に示すように、凹状空間23の周囲部には、マイクロ波を送信する送電装置31と、送電装置31から送信されるマイクロ波を受信する受電装置32とが設けられている。送電装置31は、矩形板状に形成され、上部収納棚16の底板部16bの下面(換言すると凹状空間23の上面)に取り付けられている。送電装置31は、マイクロ波を送信する送電アンテナ(図示略)を有している。なお、送電装置31は、底板部16bの上面に設けられていてもよい。
【0030】
受電装置32は、矩形板状(矩形平板状)に形成され、下部収納棚15の天板部15bの上面(換言すると、凹状空間23の下面)に載置された状態で設けられている。この場合、送電装置31と受電装置32とは、上下方向に対向して配置されている。
【0031】
送電装置31は、受電装置32に向けてマイクロ波を送信する。この場合、送電装置31によるマイクロ波の送信方向は上下方向となっている。したがって、マイクロ波の送信方向は、凹状空間23の奥行き方向に対して交差する方向となっている。また、マイクロ波の送信方向は、鉛直方向に対して傾斜する方向となっており、詳しくはマイクロ波の送信先側(つまり下側)ほど凹状空間23の奥側となる方向となっている(
図3参照)。
【0032】
なお、
図3に示すように、マイクロ波は拡散性を有しており、送電装置31から離れるにしたがい所定の拡散角度で拡がるようになっている。そのため、本明細書では、上述したマイクロ波の送信方向を、拡散するマイクロ波の中心線Cの延びる方向としている。
【0033】
受電装置32の上面には、給電対象である機器Mが置かれる。
図2の例では、機器Mとして、ユーザの携帯する携帯機器が置かれており、詳しくはスマートフォンが置かれている。この場合、受電装置32の上面が機器配置部に相当する。受電装置32は、送電装置31から送信されるマイクロ波を受信すると、そのマイクロ波を電力に変換し機器Mに給電する機能を有している。これにより、機器Mに対して給電が行われ、ひいては機器Mの充電が行われる。
【0034】
なお、各壁部21a~21cには、マイクロ波を遮断する遮断層(図示略)が含まれている。遮断層は、例えば壁部21a~21cの壁面を形成する壁紙に含まれている。この場合、凹状空間23は、各壁部21a~21cの遮断層によりコ字状に囲まれている。
【0035】
続いて、受電装置32の構成について
図4に基づき説明する。
図4は、(a)が受電装置32の電気的構成を示す図であり、(b)が受電装置32を示す平面図である。
【0036】
図4(a)に示すように、受電装置32は、受電アンテナ35と、整流回路36と、給電部37と、蓄電部38とを有している。これら各部35~38はいずれも受電装置32に内蔵されている。受電アンテナ35は、送電装置31から送信されるマイクロ波を受信するものである。受電アンテナ35は、マイクロストリップアンテナ(パッチアンテナ)が配列されたアンテナ群であり、受電装置32に複数(詳しくは2つ)設けられている。各受電アンテナ35は、受電装置32の左右両側にそれぞれ配置されている(
図4(b)参照)。
【0037】
各受電アンテナ35は、整流回路36と接続されている。整流回路36は、各受電アンテナ35により受信されたマイクロ波を電力(詳しくは直流電力)に変換するものである。整流回路36は、給電部37と蓄電部38とにそれぞれ接続されている。
【0038】
給電部37は、整流回路36により変換された電力を機器Mに供給するものである。給電部37は、機器Mに対して非接触給電(ワイヤレス給電)を行うものとなっており、送電コイルを有して構成されている。給電部37は、受電装置32の中央部に配置され、各受電アンテナ35の間に位置している(
図4(b)参照)。機器Mは、受電装置32の上面において、例えば給電部37の真上位置に配置される。給電部37は、かかる機器Mの配置状態で、送電コイルから機器Mに内蔵された受電コイルへ電磁誘導による非接触給電を行う。なお、受電装置32にマグネットを内蔵し、機器Mを磁力により受電装置32に固定できるようにしてもよい。
【0039】
蓄電部38は、整流回路36により変換された電力を蓄えるものである。蓄電部38は、蓄電池(2次電池)からなり、給電部37と接続されている。この場合、蓄電部38に蓄えられた電力(蓄電電力)を給電部37に供給可能となっており、ひいては給電部37より機器Mに供給可能となっている。
【0040】
受電装置32は、上述したように、下部収納棚15の天板部15bの上面に載置された状態で設けられている。そのため、受電装置32は、天板部15b上から持ち上げて凹状空間23から取り出し可能とされている。したがって、受電装置32は、凹状空間23から持ち出し可能なトレイ式となっている。
【0041】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0042】
玄関11の壁面18に対して凹ませて形成され玄関11に開放された凹状空間23に給電対象の機器Mが配置される機器配置部(具体的には、受電装置32の上面)が設けられている。この場合、機器Mを機器配置部に配置する際、扉等の開け閉めを行う必要がないため、機器Mに給電を行うにあたり利便性の向上を図ることができる。
【0043】
また、機器配置部に配置される機器Mに供給するための電力は、送電装置31よりマイクロ波として送信される。送電装置31は、凹状空間23の周囲部に配置され、マイクロ波の送信方向が凹状空間23の奥行き方向と交差する方向に設定されている。この場合、送電装置31から送信されるマイクロ波が凹状空間23の開放部より玄関11に漏れるのを抑制することができる。これにより、建物10内でマイクロ波送電により機器Mに給電を行う上で利便性の向上を図りながら、マイクロ波が玄関11に漏れるのを抑制することができる。
【0044】
送電装置31から送信されるマイクロ波は受電装置32により受信される。そして、受信されたマイクロ波が受電装置32により電力に変換され機器Mに供給される。この場合、給電対象の機器Mがマイクロ波を受信する受電部を有していなくても、機器Mに電力を供給することが可能となる。そのため、汎用性の高い給電システムとすることができる。
【0045】
送電装置31を上側、受電装置32を下側として、送電装置31と受電装置32とが上下に対向配置され、受電装置32の上面が機器Mが置かれる機器配置部となっている。また、受電装置32は、受電装置32の上面に置かれた機器Mに非接触給電により電力を供給する給電部37を有する。この場合、受電装置32の上面に機器Mを置くだけで機器Mに給電することができる。そのため、機器Mに給電を行うにあたり、より一層利便性の向上を図ることができる。また、ワイヤレス給電を実現できるため、コンセントが不要となり、凹状空間23周辺の美観向上等を図ることもできる。
【0046】
受電装置32がマイクロ波から変換された電力を蓄える蓄電部38を有し、しかも受電装置32が凹状空間23から取り出し可能に設けられている。この場合、受電装置32を凹状空間23から持ち出し、持ち出した先で蓄電部38に蓄えた電力を機器Mに供給することが可能となる。これにより、機器Mを手元に置きながら給電することができるため、利便性の向上をさらに図ることができる。
【0047】
凹状空間23の下面は玄関11の床面よりも上方にあり、凹状空間23の上面は玄関11の天井面よりも下方にあるため、凹状空間23の上下寸法が小さくなっている。この場合、凹状空間23の上面に設けられた送電装置31と、凹状空間23の下面に設けられた受電装置32との上下間距離を短くすることができる。そのため、送電装置31から受電装置32に送信されるマイクロ波の送電量を大きくすることができ、ひいては機器Mへの送電量を大きくすることができる。
【0048】
送電装置31から送信されるマイクロ波の送信方向は、送信先の側に向かうほど凹状空間23の奥側となる方向となっている。これにより、マイクロ波が凹状空間23の開放部より玄関11に漏れるのをより一層抑制することができる。
【0049】
マイクロ波は給電可能な電力の観点から、5.7~5.8GHz帯もしくはそれ以上の周波数帯を用いることが好ましい。さらに24GHz帯などより高周波数とすることで、マイクロ波の直進性を高めることができ、より一層マイクロ波が玄関11に漏れるのを抑制することができる。
【0050】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0051】
(1)受電装置32における給電部37(送電コイル)の配置態様は必ずしも上記実施形態(
図4(b)参照)のものに限定されない。例えば、給電部を複数の送電コイルを有して構成してもよい。この場合、
図5(a)に示す受電装置45のように、給電部41が有する複数(具体的には4つ)の送電コイル41aを互いに近接させて配置してもよいし、
図5(b)に示す受電装置46のように、給電部42が有する複数(具体的には2つ)の送電コイル42aを互いに離間させて配置してもよい。このように給電部が複数の送電コイルを有する構成では、受電装置の上面に複数の機器Mを置いて給電できる等の利点を得ることができる。
【0052】
また、受電装置32における受電アンテナ35の配置態様を上記実施形態(
図4(b)参照)のものから変更してもよい。例えば
図5(b)に示すように、受電装置46に、受電アンテナ35を1つだけ設けてもよい。
図5(b)の例では、受電アンテナ35が受電装置32の中央部に配置され、複数の送電コイル42aが受電アンテナ35を挟んだ左右両側に配置されている。
【0053】
(2)上記実施形態では、玄関11(居住空間に相当)に開放された凹状空間23を機器Mの給電を行う給電用空間としたが、玄関11以外の居住空間に開放された凹状空間を給電用空間としてもよい。例えば、
図6に示す例では、居室51(居住空間に相当)に開放された収納空間52(凹状空間に相当)が給電用空間とされている。収納空間52は、居室51の壁面55に対して凹ませて形成され、上下に延びる縦長空間となっている。詳しくは、収納空間52は、居室51の床面から天井面までの高さ範囲に亘って延びている。収納空間52の開放部には扉等の開閉体が設けられておらず、そのため、収納空間52は常時開放された状態となっている。
【0054】
収納空間52には、物品を収納可能な収納棚53が設置されている。収納棚53は、上下複数の棚板53a~53dを有している。各棚板53a~53dのうち、上下に隣り合う各棚板53a,53bにはそれぞれ送電装置57及び受電装置58が設けられている。送電装置57は、上側の棚板53aの下面に設けられ、受電装置58は、下側の棚板53bの上面に設けられている。この場合、送電装置57と受電装置58とは上下に対向配置され、送電装置57から受電装置58に送信されるマイクロ波の送信方向が上下方向となっている。つまり、この場合も、マイクロ波の送信方向が収納空間52の奥行き方向と交差する方向となっているため、マイクロ波が居室51側に漏れるのを抑制することができる。また、かかる構成では、機器Mを収納空間52に収納しながら、機器Mに給電することが可能となる。なお、上記の構成では、送電装置57及び受電装置58が、収納空間52においてその周囲部よりも内部側に配置されている。
【0055】
(3)
図7に示す住宅では、居室61の壁面62に対して凹ませて形成された凹状空間63が設けられている。凹状空間63は、居室61に開放されたニッチカウンタとされている。そこで、このような凹状空間63を給電用空間としてもよい。凹状空間63の上面には送電装置65が設けられ、凹状空間63の下面には受電装置66が設けられている。
【0056】
(4)上記実施形態では、送電装置31と受電装置32とを上下方向に対向配置したが、例えば送電装置31と受電装置32とを左右方向(換言すると凹状空間23の幅方向)に対向配置してもよい。この場合、送電装置31を壁部21aの壁面に設け、受電装置32を壁部21bの壁面に設けることが考えられる。かかる構成では、送電装置31から受電装置32に送信されるマイクロ波の送信方向が左右方向となる。そのため、この場合も、マイクロ波の送信方向が凹状空間23の奥行き方向と交差する方向となるため、マイクロ波が玄関11に漏れるのを抑制することができる。また、かかる構成では、受電装置32にマグネットを内蔵し、機器Mを磁力により受電装置32に固定して配置することが考えられる。
【0057】
(5)上記実施形態では、受電装置32を凹状空間23から取り出し可能としたが、受電装置32を下部収納棚15の天板部15b上に固定する等して凹状空間23から取り出し不能にしてもよい。
【0058】
(6)受電装置32の給電部37より給電(非接触給電)を行う機器Mは、必ずしもスマートフォン等の携帯機器である必要はなく、時計やデジタルカメラ、リモコン等、携帯機器以外の機器であってもよい。要するに、受電コイルを内蔵する機器であれば給電が可能である。
【0059】
(7)受電装置32より機器Mに給電を行う方法は必ずしも非接触給電に限定されない。例えば、受電装置32に機器Mを接続可能な配線部を設け、その配線部に機器Mを接続した状態で配線部を介して受電装置32より機器Mに給電するようにしてもよい。この場合、機器Mが受電コイルを有していなくても、機器Mの給電が可能である。
【0060】
(8)給電対象の機器Mがマイクロ波を受信可能な受電部を有する場合、受電装置32を不具備としてもよい。この場合、機器Mが配置される(置かれる)機器配置部を下部収納棚15の天板部15bの上面(つまり、凹状空間23の下面)に設定することが考えられる。かかる構成では、送電装置31から送信されるマイクロ波が機器配置部に置かれた機器Mの受電部により受信され、受信されたマイクロ波が機器Mの内部で電力に変換される。そのため、受電装置32が不具備であっても、機器Mに給電を行うことが可能となる。
【0061】
(9)上記実施形態では、本発明の機器給電システムを住宅に設けた場合について説明したが、学校や病院、公共施設等、住宅以外の建物に本発明の機器給電システムを設けてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…建物、11…居住空間としての玄関、23…凹状空間、30…機器給電システム、31…送電装置、32…受電装置、37…給電部、38…蓄電部、M…機器。