(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129592
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】電圧レベル測定方法及び電圧レベル測定装置
(51)【国際特許分類】
G01R 19/00 20060101AFI20240919BHJP
B61L 3/08 20060101ALI20240919BHJP
B61L 1/18 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
G01R19/00 L
B61L3/08 A
B61L1/18 Z
G01R19/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038907
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000207470
【氏名又は名称】大同信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 武史
(72)【発明者】
【氏名】近松 直明
【テーマコード(参考)】
2G035
5H161
【Fターム(参考)】
2G035AA08
2G035AB05
2G035AC05
2G035AD23
2G035AD28
2G035AD58
5H161AA01
5H161BB02
5H161DD02
5H161FF05
(57)【要約】
【課題】交流信号波の電圧レベルを安定して測定する。
【解決手段】電圧レベル測定方法は、交流信号波の周波数及び断続の間隔を加味して設定した所定時間T3の間に交流信号波を受信し、受信した交流信号波の少なくとも一部を正電圧波形へと変換して複数のサンプルピーク波形を取得し、複数のサンプルピーク波形から、低レベルのノイズが排除されるように設定した所定電圧V1以上の複数のピーク波形を抽出し、それら複数のピーク波形を電圧の大きさで順位付けし、複数のピーク波形のうち、高レベルのノイズが排除されるように設定した所定の順位範囲にある複数のピーク波形に基づいて、電圧レベルを算出する。これにより、測定対象の交流信号波に、共振コンデンサの放電波形などの低レベルノイズや、断続信号波に特有の切替パルスノイズなどの高レベルノイズが含まれていても、それらを排除した波形から電圧レベルを算出することができるため、交流信号波の電圧レベルを安定して測定することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流信号波の電圧レベルを測定する方法であって、
前記交流信号波の周波数と前記交流信号波が断続する場合の断続の間隔とを加味して設定した所定時間の間に前記交流信号波を受信し、
該受信した前記交流信号波の少なくとも一部を正電圧波形へと変換して複数のサンプルピーク波形を取得し、
該複数のサンプルピーク波形から、低レベルのノイズが排除されるように設定した所定電圧以上の複数のピーク波形を抽出し、
前記複数のピーク波形を電圧の大きさで順位付けし、
前記複数のピーク波形のうち、高レベルのノイズが排除されるように設定した所定の順位範囲にある複数のピーク波形に基づいて、前記電圧レベルを算出することを特徴とする電圧レベル測定方法。
【請求項2】
前記交流信号波は、連続した交流信号波である連続交流信号波から所定長さで時分割されて、複数の軌道回路の各々に送信された時分割断続波であり、
前記複数の軌道回路の各々で受信した前記交流信号波について、前記電圧レベルを算出することを特徴とする請求項1記載の電圧レベル測定方法。
【請求項3】
前記時分割断続波は、送信の度に、前記時分割の間隔が複数の間隔のうちのいずれかの間隔に設定されて送信され、
前記所定時間を、前記電圧レベルの算出に必要な数量の前記複数のピーク波形が抽出されるように設定することを特徴とする請求項2記載の電圧レベル測定方法。
【請求項4】
前記所定長さは、前記連続交流信号波の5周期分の長さであり、
前記所定時間を、2つから3つの前記時分割断続波が受信できる時間に設定し、
前記交流信号波の正電圧波形への変換時に全波整流を行い、
前記所定の順位範囲を、電圧の大きい順で7位から20位に設定することを特徴とする請求項3記載の電圧レベル測定方法。
【請求項5】
交流信号波の電圧レベルを測定する装置であって、
前記交流信号波の周波数と前記交流信号波が断続する場合の断続の間隔とを加味して設定された所定時間の間に前記交流信号波を受信する受信部と、
該受信部により受信された前記交流信号波の少なくとも一部を正電圧波形へと変換して複数のサンプルピーク波形を取得する波形変換部と、
該複数のサンプルピーク波形から、低レベルのノイズが排除されるように設定された所定電圧以上の複数のピーク波形を抽出する波形抽出部と、
前記複数のピーク波形を電圧の大きさで順位付けする順位付け部と、
前記複数のピーク波形のうち、高レベルのノイズが排除されるように設定された所定の順位範囲にある複数のピーク波形に基づいて、前記電圧レベルを算出する算出処理部と、を含むことを特徴とする電圧レベル測定装置。
【請求項6】
前記交流信号波は、連続した交流信号波である連続交流信号波から所定長さで時分割されて、複数の軌道回路の各々に送信された時分割断続波であり、
前記複数の軌道回路の各々で前記受信部により受信される前記交流信号波について、前記算出処理部により前記電圧レベルを算出することを特徴とする請求項5記載の電圧レベル測定装置。
【請求項7】
前記時分割断続波は、送信の度に、前記時分割の間隔が複数の間隔のうちのいずれかの間隔に設定されて送信され、
前記受信部は、前記算出処理部による前記電圧レベルの算出に必要な数量の前記複数のピーク波形が、前記波形抽出部により抽出されるように、前記所定時間が設定されていることを特徴とする請求項6記載の電圧レベル測定装置。
【請求項8】
前記所定長さは、前記連続交流信号波の5周期分の長さであり、
前記受信部は、2つから3つの前記時分割断続波が受信できる時間に前記所定時間が設定され、
前記波形変換部は、前記交流信号波を全波整流し、
前記算出処理部は、前記所定の順位範囲が、電圧の大きい順で7位から20位に設定されていることを特徴とする請求項7記載の電圧レベル測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流信号波の電圧レベルを測定する電圧レベル測定方法及び電圧レベル測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば鉄道では、列車の在線検知のために軌道回路が設置されており、各軌道回路に交流の信号波が入力されている。一例として、特許文献1には、センディングマイクロエレクトロニクス軌道回路(Sending Micro Electronics Track Circuit:SMET)について開示されている。このSMETでは、12個の軌道回路を1つの装置で処理するために、交流信号波を時分割してスキャニング順序に従って各軌道回路へ送信しており、この際、隣り合わせの軌道回路が2スキャン連続で同時に送信を受けることがないように、スキャニング順序を調整している(ダイナミックスキャニング方式)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述したSMETの保守や検査などのために用いられる測定器では、各軌道回路に時分割で入力された断続的な交流信号波を受信し、そこで得られた波形のうち電圧レベルが大きい複数の波形を選定して、そこから各軌道回路に入力された信号波の電圧レベルを算出している。従って、受信した交流信号波に、断続信号波に特有の切替パルスノイズや電圧レベルが大きい突入波形が含まれていると、それらを含めて選定した複数の波形から電圧レベルを算出してしまうため、安定して電圧レベルを測定できない事象が発生していた。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、交流信号波の電圧レベルを安定して測定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0007】
(1)交流信号波の電圧レベルを測定する方法であって、前記交流信号波の周波数と前記交流信号波が断続する場合の断続の間隔とを加味して設定した所定時間の間に前記交流信号波を受信し、該受信した前記交流信号波の少なくとも一部を正電圧波形へと変換して複数のサンプルピーク波形を取得し、該複数のサンプルピーク波形から、低レベルのノイズが排除されるように設定した所定電圧以上の複数のピーク波形を抽出し、前記複数のピーク波形を電圧の大きさで順位付けし、前記複数のピーク波形のうち、高レベルのノイズが排除されるように設定した所定の順位範囲にある複数のピーク波形に基づいて、前記電圧レベルを算出する電圧レベル測定方法。
【0008】
本項に記載の電圧レベル測定方法は、断続的ないし連続的に送信された交流信号波の電圧レベルを測定するものであり、まず、予め設定した所定時間の間に測定対象の交流信号波の電圧を受信する。このときの所定時間は、測定対象の交流信号波の周波数や、その交流信号波が断続的である場合の断続の間隔を加味して設定する。そして、受信した交流信号波の少なくとも一部を正電圧波形へと変換することで、複数のサンプルピーク波形を取得する。更に、取得した複数のサンプルピーク波形から、予め設定した所定電圧以上の複数のピーク波形を抽出する。このときの所定電圧は、測定対象の交流信号波への混入が想定される低レベルのノイズが排除されるような大きさに設定する。続いて、抽出した複数のピーク波形を、それらの電圧の大きさで順位付けする。
【0009】
更に、順位付けされた複数のピーク波形のうち、予め設定した所定の順位範囲にある複数のピーク波形を選定する。このときの所定の順位範囲には、測定対象の交流信号波への混入が想定される高レベルのノイズが排除されるように、最上位からいくつかの波形が省かれる範囲に設定する。そして、選定した複数のピーク波形に基づいて、測定対象の交流信号波の電圧レベルを算出する。これにより、測定対象の交流信号波に、共振コンデンサの放電波形などの低レベルノイズや、断続信号波に特有の切替パルスノイズなどの高レベルノイズが含まれていても、それらが排除された波形から電圧レベルが算出されることになる。このため、交流信号波の電圧レベルが安定して測定されるものとなる。しかも、断続的な交流信号波に限らず、連続した交流信号波であっても、上記の方法で安定して測定されるものである。
【0010】
(2)上記(1)項において、前記交流信号波は、連続した交流信号波である連続交流信号波から所定長さで時分割されて、複数の軌道回路の各々に送信された時分割断続波であり、前記複数の軌道回路の各々で受信した前記交流信号波について、前記電圧レベルを算出する電圧レベル測定方法。
本項に記載の電圧レベル測定方法は、測定対象の交流信号波が、鉄道の軌道回路で列車の在線検知のために利用されている時分割断続波となっている。この時分割断続波は、連続した交流信号波である連続交流信号波から、予め設定された所定長さで時分割されたものであり、複数の軌道回路の各々に送信されている。このため、各軌道回路に送信されている時分割断続波の電圧レベルを測定するために、複数の軌道回路の各々で受信する交流信号波である時分割断続波について、上記(1)項に記載したようにして電圧レベルを算出する。これにより、鉄道の軌道回路で利用されている時分割断続波の電圧レベルが、安定して測定されるものである。更に、軌道回路に低周波の交流連続波や連続する交流信号波が送信されていても、時分割断続波の場合と同様の方式で電圧レベルが算出されるため、軌道回路で利用されている様々な交流波が安定して測定されるものである。
【0011】
(3)上記(2)項において、前記時分割断続波は、送信の度に、前記時分割の間隔が複数の間隔のうちのいずれかの間隔に設定されて送信され、前記所定時間を、前記電圧レベルの算出に必要な数量の前記複数のピーク波形が抽出されるように設定する電圧レベル測定方法。
本項に記載の電圧レベル測定方法は、測定対象の交流信号波である時分割断続波が、複数の軌道回路の各々において、軌道回路へ送信される度に、予め定められた複数の間隔のうちのいずれかの間隔に設定されて送信されている。すなわち、各軌道回路へ送信される時分割断続波は、各軌道回路で送信間隔が一定ではなく、送信の度に複数の間隔のいずれかの間隔に切り替えられて送信されるものである。
【0012】
これに対応するために、各軌道回路で時分割断続波を受信する際の所定時間の長さを、電圧レベルを算出する際に必要な数量の複数のピーク波形が抽出されるような長さに設定する。このとき、受信する時分割断続波の周波数、各時分割断続波の長さ、時分割断続波の送信間隔などを加味して、所定時間の長さを設定する。これにより、電圧レベルの算出に必要な数量のピーク波形が確保されるため、電圧レベルの測定の安定性が向上するものとなる。しかも、送信間隔が一定ではなく切り替えられるような時分割断続波には、特に切替パルスノイズや突入波形が含まれ易いものの、本項に記載の電圧レベル測定方法は、所定の順位範囲にある複数のピーク波形の選定によって、そのようなノイズ波形が排除されるものである。このため、そのようなノイズの影響を受けることなく、安定して電圧レベルが測定されるものとなる。
【0013】
(4)上記(3)項において、前記所定長さは、前記連続交流信号波の5周期分の長さであり、前記所定時間を、2つから3つの前記時分割断続波が受信できる時間に設定し、前記交流信号波の正電圧波形への変換時に全波整流を行い、前記所定の順位範囲を、電圧の大きい順で7位から20位に設定する電圧レベル測定方法。
本項に記載の電圧レベル測定方法は、連続交流信号波から時分割される際の、測定対象の各時分割断続波の所定長さが、連続交流信号波の5周期分の長さになっている。これに対して、各軌道回路で時分割断続波を受信する際の所定時間の長さを、各々が連続交流信号波の5周期分の長さを有する時分割断続波を2つから3つ受信できるような長さに設定する。そして、そのようにして受信した時分割断続波を全波整流し、負電圧を正電圧へ変換して直流化することで、受信した時分割断続波に含まれる交流信号波の周期数の、2倍の数のサンプルピーク波形を得る。そこから所定電圧以上の複数のピーク波形を抽出して電圧の大きさで順位付けし、更に複数のピーク波形から電圧レベルの算出に使用するピーク波形を選定する際に、所定の順位範囲として電圧の大きい順で7位から20位までのピーク波形を選定する。
【0014】
すなわち、5周期分の長さの時分割断続波を最小の2つ受信するとして、「5(周期)×2(全波整流による波形数の2倍化)×2(受信数)=20」で、20個のピーク波形が得られることを想定する。更に、各時分割断続波の1波形目に混入する切替パルスノイズなどの高レベルノイズは、時分割断続波を最大の3つ受信するとして、「1(波形目)×2(全波整流による波形数の2倍化)×3(受信数)=6」で、最大で6個のピーク波形として表れることが想定される。このため、受信する最小数の時分割断続波のピーク波形と想定される上位20個のピーク波形から、高レベルノイズと想定される最大数の上位6個のピーク波形を除いた、電圧の大きい順で7位から20位のピーク波形を選定するものである。このように選定したピーク波形に基づいて電圧レベルを算出することで、高レベルノイズの影響がより確実に排除されるため、より安定して電圧レベルが測定されるものとなる。
【0015】
(5)交流信号波の電圧レベルを測定する装置であって、前記交流信号波の周波数と前記交流信号波が断続する場合の断続の間隔とを加味して設定された所定時間の間に前記交流信号波を受信する受信部と、該受信部により受信された前記交流信号波の少なくとも一部を正電圧波形へと変換して複数のサンプルピーク波形を取得する波形変換部と、該複数のサンプルピーク波形から、低レベルのノイズが排除されるように設定された所定電圧以上の複数のピーク波形を抽出する波形抽出部と、前記複数のピーク波形を電圧の大きさで順位付けする順位付け部と、前記複数のピーク波形のうち、高レベルのノイズが排除されるように設定された所定の順位範囲にある複数のピーク波形に基づいて、前記電圧レベルを算出する算出処理部と、を含む電圧レベル測定装置。
【0016】
(6)上記(5)項において、前記交流信号波は、連続した交流信号波である連続交流信号波から所定長さで時分割されて、複数の軌道回路の各々に送信された時分割断続波であり、前記複数の軌道回路の各々で前記受信部により受信される前記交流信号波について、前記算出処理部により前記電圧レベルを算出する電圧レベル測定装置。
(7)上記(6)項において、前記時分割断続波は、送信の度に、前記時分割の間隔が複数の間隔のうちのいずれかの間隔に設定されて送信され、前記受信部は、前記算出処理部による前記電圧レベルの算出に必要な数量の前記複数のピーク波形が、前記波形抽出部により抽出されるように、前記所定時間が設定されている電圧レベル測定装置。
【0017】
(8)上記(7)項において、前記所定長さは、前記連続交流信号波の5周期分の長さであり、前記受信部は、2つから3つの前記時分割断続波が受信できる時間に前記所定時間が設定され、前記波形変換部は、前記交流信号波を全波整流し、前記算出処理部は、前記所定の順位範囲が、電圧の大きい順で7位から20位に設定されている電圧レベル測定装置。
そして、(5)から(8)項に記載の電圧レベル測定装置は、各々、上記(1)から(4)項の電圧レベル測定方法により使用されることで、上記(1)から(4)項の電圧レベル測定方法と同様の作用を奏するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は上記のような構成であるため、交流信号波の電圧レベルを安定して測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態に係る電圧レベル測定装置の構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る電圧レベル測定方法の手順の一例を示すフロー図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る電圧レベル測定方法の測定対象の一例としての、軌道回路に入力される交流信号波を説明するための波形イメージ図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る電圧レベル測定方法により電圧レベルを測定する際に、波形が処理される様子を示す処理イメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面に基づいて説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略することとし、また、図面の全体にわたって、同一部分又は対応する部分は、同一符号で示している。
図1は、本発明の実施の形態に係る電圧レベル測定装置10の構成の一例を概略的に示しており、この電圧レベル測定装置10は、断続或いは連続する交流信号波を測定対象として、その電圧レベルを測定するためのものである。以降では、特に断り書きのない限り、測定対象の交流信号波が、鉄道のセンディングマイクロエレクトロニクス軌道回路(SMET)で利用されている交流信号波である場合、特に各軌道回路へ時分割で送信される時分割断続波である場合を主な例として、説明するものとする。また、
図1を参照して、まずは電圧レベル測定装置10の各構成要素の役割について説明するものとし、各構成要素の動作タイミングや動作内容については、後述する
図2のフロー図を参照しながら説明する。
【0021】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る電圧レベル測定装置10は、受信部20、波形変換部30、波形抽出部40、順位付け部50、及び算出処理部60を含んでいる。受信部20は、予め設定された所定時間にわたって測定対象の交流信号波の電圧を受信するものであり、SMETに利用される際には、各軌道回路へ送信されている断続的な交流信号波、連続的な交流信号波、低周波の連続交流波などを受信する。波形変換部30は、受信部20によって受信された測定対象の交流信号波の少なくとも一部を正電圧波形へと変換して、複数のサンプルピーク波形を取得するものである。変換の方法は、全波整流や半波整流の他、交流信号波から正電圧の複数のサンプルピーク波形が得られる任意の方法であってよい。
【0022】
波形抽出部40は、波形変換部30によって取得された複数のサンプルピーク波形から、低レベルノイズに起因するピーク波形の排除を目的として、予め設定された所定電圧以上の複数のピーク波形を抽出するものである。順位付け部50は、波形抽出部40によって抽出された複数のピーク波形を、各ピーク波形の電圧の大きさで順位付けするものである。そして、算出処理部60は、順位付け部50によって順位付けされた複数のピーク波形から、高レベルノイズに起因するピーク波形の排除を目的として、予め設定された所定の順位範囲にある複数のピーク波形を選定する。更に、算出処理部60は、そのようにして選定した複数のピーク波形に基づいて、測定対象の交流信号波の電圧レベルを算出するものである。
【0023】
ここで、上述したような電圧レベル測定装置10の各構成要素は、機能的な単位で分けられたものであり、電圧レベル測定装置10を実際に構築するハードウェアやソフトウェア単位で分けたものではない。更に、電圧レベル測定装置10を構築するハードウェアやソフトウェアには、任意のハードウェア及びソフトウェアを使用することができる。また、電圧レベル測定装置10の構成は、
図1のブロック図に限定されるものではなく、例えば測定対象の交流信号波や状況などに応じて、
図1に示した構成要素の一部が削除、変更、ないし適宜追加された構成であってもよいものである。
【0024】
続いて、
図2に示すフロー図を参照しながら、上述した電圧レベル測定装置10を用いて実行される、本発明の実施の形態に係る電圧レベル測定方法の具体的な手順について説明する。電圧レベル測定装置10の構成については、適宜、
図1を参照のこと。なお、
図2に示すフロー図は、具体的な手順を説明するための一例を示したものである。従って、本発明の実施の形態に係る電圧レベル測定方法の手順は、
図2のフロー図に限定されるものではなく、例えば電圧レベル測定装置10の構成、測定対象の交流信号波や状況などに応じて、
図2に示したステップの一部が削除、変更、ないし適宜追加されたフローであってもよいものである。
【0025】
S10(交流信号波受信):受信部20により、測定対象の交流信号波を受信する。本実施形態では、SMETで利用されている交流信号波を受信するものとし、各軌道回路へ送信されている交流信号波を、各軌道回路のレールから接続ケーブルなどを介して受信する。
図3にはSMETで利用されている交流信号波の一例を示しており、この交流信号波は、
図3(a)のような連続する交流信号波から時分割で送信されるものであって、この連続交流信号波は、例えば120Hz或いは144Hzである。ここからは、周波数や時間などについて、具体的な数値を挙げて説明する場合があるが、本発明の実施の形態に係る電圧レベル測定方法は、それらの数値に限定されるものではなく、任意の様々な数値を採用し得るものである。
【0026】
本実施形態では、交流信号波が6つの軌道回路に対して時分割で送信されるものとし、
図3(b)には、6つの軌道回路へ送信される6スキャン分の時分割交流波のイメージが示されている。各軌道回路へ送信される時分割交流波は、1スキャン分で所定長さT1を有しており、6つの軌道回路への1スキャン全体の長さT2は、「T2=T1×6」である。例えば、T1は約41.6msであり、これは120Hzだと5周期、144Hzだと6周期分の長さに相当し、T2は約250msである。このような時分割交流波が、6つの軌道回路の各々に送信され、
図3(c)には、その中の1つの軌道回路へ送信される断続的な時分割交流波が例示されている。
図3(c)に示すように、各軌道回路への時分割断続波は、ダイナミックスキャニング方式により送信間隔が一定ではなく、各軌道回路への送信の度に、本実施形態ではIT1からIT3の3通りの送信間隔のいずれかが設定されて送信されている。例えば、送信間隔IT1が約208ms、送信間隔IT2が約250ms、送信間隔IT3が約292msである。また、
図3(d)には、各軌道回路へ時分割で断続的に送信される交流信号波のイメージを、各断続波が5周期分の長さを有する場合を例に示している。
【0027】
電圧レベル測定装置10では、各軌道回路へ送信される時分割断続波の送信タイミングを把握できないため、時分割断続波を確実に受信するために、以下のように設定されている。すなわち、受信部20には、各軌道回路で交流信号波を受信する期間である所定時間T3が予め設定されており、本実施形態では、上述したような時分割断続波を2つから3つ受信するような長さに所定時間T3が設定されている。例えば所定時間T3は、上述した所定長さT1及び送信間隔IT1からIT3を考慮して、約600msに設定される。
図4(a)には、受信部20によって、所定時間T3の間に3つ分の時分割断続波を受信した様子が示されている。
図4(a)の受信波形は、
図3(d)のように5周期の長さで送信された断続波形を受信したものであるが、送信波形と異なり、特に時分割断続波に混入し易い切替パルスノイズや突入波形、共振コンデンサの放電波形といった各種のノイズが混入している。
【0028】
S20(波形変換):波形変換部30により、上記S10で受信した交流信号波から複数のサンプルピーク波形を取得するために、これに限定されるものではないが、本実施形態では受信した交流信号波を全波整流する。
図4(b)には、受信した
図4(a)のような時分割断続波を全波整流し、各ピーク波形を電圧の大きさで棒状に示したイメージを図示している。例えば、
図4(a)における左側の時分割断続波は、正電圧側に6個のピーク、負電圧側に7個のピークを有するものであるため、全波整流されることで、
図4(b)の左側に13本の棒状ピーク波形として示されている。同様に、
図4(a)の中央の時分割断続波は、
図4(b)の中央に10本の棒状ピーク波形として示され、
図4(a)の右側の時分割断続波は、
図4(b)の右側に13本の棒状ピーク波形として示されている。なお、
図4(b)に符号Aで示される範囲の3本の棒状ピーク波形は、受信時の所定時間T3の範囲外であるため、ここでは不採用となる。
【0029】
S30(ピーク波形抽出):波形抽出部40により、上記S30で全波整流したピーク波形から、所定電圧以上の複数のピーク波形を抽出する。すなわち、上述したように、本実施形態の波形抽出部40には、共振コンデンサの放電波形などの低レベルノイズに起因するピーク波形の排除を目的とした所定電圧V1(
図4(b)参照)が設定されている。この所定電圧V1には、測定対象の交流信号波に応じて、各交流信号波への混入が想定される低レベルノイズを排除するための適切な電圧を設定するものとする。このような所定電圧V1以上のピーク波形のみを抽出することで、
図4(b)の左側の時分割断続波の一番右から2本の棒状ピーク波形が不採用となる。なお、この2本の棒状ピーク波形は、
図4(c)に符号Dの範囲によっても図示されている。
【0030】
S40(順位付け):順位付け部50により、上記S30で抽出した複数のピーク波形を電圧の大きさで順位付けする。例えば
図4(b)には、上記S20で全波整流された36本の棒状ピーク波形のうち、不採用となった5本の棒状ピーク波形を除いた残り31本の棒状ピーク波形に対して、電圧の大きさの順位を示す番号が上方に記されている。更に、
図4(c)には、31本の棒状ピーク波形が、電圧の大きさの順位で左から右へと並べ替えられたイメージが示されている。なお、上記S30と本ステップS40とは、実施順序が逆であってもよく、この場合は、
図4(c)に符号Dの範囲に含まれる、所定電圧V1未満の2本の棒状ピーク波形が、順位付け後に排除されることになる。
【0031】
S50(ピーク波形選定):算出処理部60により、上記S40で順位付けした複数のピーク波形のうち、所定の順位範囲にある複数のピーク波形を選定する。すなわち、上述したように、本実施形態の算出処理部60には、切替パルスノイズや突入波形といった高レベルノイズに起因するピーク波形の排除を目的とした所定の順位範囲が設定されている。この所定の順位範囲には、測定対象の交流信号波に応じて、各交流信号波への混入が想定される高レベルノイズを排除するための適切な順位範囲を設定するものとする。本実施形態では、所定の順位範囲が7位から20位に設定されており、
図4(c)に符号Bで示される範囲の1位から6位の棒状波形と、
図4(c)に符号Cで示される範囲の21位から31位の棒状波形とが、ここで不採用となる。
【0032】
すなわち、
図4(a)のような時分割断続波では、各時分割断続波の1波目に切替パルスノイズや突入波形などが混入すると想定される。このため、「1(波目)×2(全波整流)×3(時分割断続波の最大受信数)=6」を高レベルノイズに起因する最大数のピーク波形として、電圧の大きい順位で1位から6位の6本の棒状ピーク波形をここで除外する。更に、本実施形態では、上記S10における時分割断続波の最小受信数は2つであり、各時分割断続波が5周期分の所定長さT1を有している。このため、「5(周期)×2(全波整流)×2(時分割断続波の最小受信数)=20」により、時分割断続波を示すピーク波形が最小で20本含まれることが想定されるため、電圧の大きい順位で20位までの棒状ピーク波形を採用することとし、21以下の棒状ピーク波形をここで除外する。なお、例えば受信する交流信号波が144Hzで、各時分割断続波の所定長さT1が6周期分である場合は、本ステップS50で使用する所定の順位範囲を、「6(周期)×2(全波整流)×2(時分割断続波の最小受信数)=24」で6位から24位としてもよい。
【0033】
S60(電圧レベル算出):算出処理部60により、上記S50で選定した所定の順位範囲にある複数のピーク波形を使用して、測定対象の交流信号波の電圧レベルを算出する。本実施形態では、
図4(c)に示されるような7位から20位までの14本の棒状ピーク波形の電圧を平均化し、それを実効値換算して電圧レベルを算出する。
ここで、上記の実施形態では、測定対象の交流信号波が、SMETで利用されている120Hzや144Hzの交流信号波から時分割された時分割断続波である場合を例にして説明している。しかしながら、測定対象の交流信号波が、SMETで利用されている他の交流信号波(例えば、120Hz或いは144Hzの連続信号波や、25Hzから100Hzの低周波の連続交流波など)であっても、上記と同様の方法で電圧レベルが算出されることを理解されたい。更に、測定対象の交流信号波は、SMET以外の軌道回路で利用されているものであってもよく、軌道回路に限らず、鉄道以外の分野で利用されているものであってもよい。
【0034】
なお、
図1の電圧レベル測定装置10は、例えばSMETの保守や検査に用いられるSMET用測定器の少なくとも一部として使用可能なものであり、ここでのSMET用測定器とは、各軌道回路に流れている交流の連続波や信号波の電圧や電流を測定することで、各軌道回路が正しく列車検知が可能な状態にあるか否かなどを判定するものである。この場合は、電圧レベル測定装置10に、従来のSMET用測定器の一部の機能と同等の機能が搭載されてもよい。そのような機能として、
図2のS30において抽出されたピーク波形の数量に基づいて、隣接する軌道回路から漏れて受信した漏れ信号波が含まれているか否かを判定する機能や、その判定結果に応じて絶縁破壊警報を出すといった機能などが挙げられる。
【0035】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る電圧レベル測定方法は、
図1に示すような電圧レベル測定装置10を利用して、断続的ないし連続的に送信された交流信号波の電圧レベルを測定するものである。まず、予め設定した所定時間T3(
図4(a)参照)の間に測定対象の交流信号波の電圧を受信する(
図2のS10参照)。このときの所定時間T3は、測定対象の交流信号波の周波数や、その交流信号波が断続的である場合の断続の間隔などを加味して設定する。そして、受信した交流信号波の少なくとも一部を正電圧波形へと変換することで、複数のサンプルピーク波形を取得する(
図2のS20参照)。更に、取得した複数のサンプルピーク波形から、予め設定した所定電圧V1(
図4(b)参照)以上の複数のピーク波形を抽出する(
図2のS30参照)。このときの所定電圧V1は、測定対象の交流信号波への混入が想定される低レベルのノイズが排除されるような大きさに設定する。続いて、抽出した複数のピーク波形を、それらの電圧の大きさで順位付けする(
図2のS40参照)。
【0036】
更に、順位付けされた複数のピーク波形のうち、予め設定した所定の順位範囲にある複数のピーク波形を選定する(
図2のS50参照)。このときの所定の順位範囲には、測定対象の交流信号波への混入が想定される高レベルのノイズが排除されるように、最上位からいくつかの波形が省かれる範囲に設定する。そして、選定した複数のピーク波形に基づいて、測定対象の交流信号波の電圧レベルを算出する(
図2のS60参照)。これにより、測定対象の交流信号波に、共振コンデンサの放電波形などの低レベルノイズや、断続信号波に特有の切替パルスノイズなどの高レベルノイズが含まれていても、それらを排除した波形から電圧レベルを算出することができる。このため、交流信号波の電圧レベルを安定して測定することが可能となる。しかも、断続的な交流信号波に限らず、連続した交流信号波であっても、上記の方法で安定して測定することができる。
【0037】
また、本発明の実施の形態に係る電圧レベル測定方法は、測定対象の交流信号波が、鉄道の軌道回路で列車の在線検知のために利用されている、
図3に示すような時分割断続波であってもよい。この時分割断続波は、
図3(a)のような連続した交流信号波である連続交流信号波から、
図3(d)のように予め設定された所定長さT1で時分割されたものであり、複数の軌道回路の各々に送信されている。このため、各軌道回路に送信されている時分割断続波の電圧レベルを測定するために、複数の軌道回路の各々で受信する交流信号波である時分割断続波について、上述したようにして電圧レベルを算出する。これにより、鉄道の軌道回路で利用されている時分割断続波の電圧レベルを、安定して測定することができる。更に、例えば軌道回路がSMETである場合に、SMETで送信されている時分割断続波だけでなく、SMETで利用されている連続的な交流信号波や交流波についても、時分割断続波の場合と同様の方式で電圧レベルを算出することができる。このため、軌道回路で利用されている様々な交流波を、測定誤差を抑制して安定して測定することが可能となる。
【0038】
更に、本発明の実施の形態に係る電圧レベル測定方法は、測定対象の交流信号波が上記のような時分割断続波である場合に、複数の軌道回路の各々において、軌道回路へ送信される度に、予め定められた複数の間隔のうちのいずれかの間隔に設定されて送信されていてもよい。すなわち、各軌道回路へ送信される時分割断続波は、各軌道回路で送信間隔が一定ではなく、送信の度に複数の間隔のいずれかの間隔に切り替えられて送信されるものであり、例えば
図3(c)では、IT1からIT3の3パターンの送信間隔が利用されている。これに対応するために、各軌道回路で時分割断続波を受信する際の所定時間T3の長さを、
図4(a)に示すように、電圧レベルを算出する際に必要な数量の複数のピーク波形が抽出されるような長さに設定する。このとき、受信する時分割断続波の周波数、各時分割断続波の長さ、時分割断続波の送信間隔などを加味して、所定時間T3の長さを設定する。
【0039】
これにより、電圧レベルの算出に必要な数量のピーク波形を確保することができるため、電圧レベルの測定の安定性を向上させることが可能となる。しかも、例えばSMETで利用されている、送信間隔が一定ではなく切り替えられるような時分割断続波には、特に切替パルスノイズや突入波形が含まれ易いものの、本発明の実施の形態に係る電圧レベル測定方法は、
図4(c)に示すように、所定の順位範囲にある複数のピーク波形の選定によって、そのようなノイズ波形を排除することができる。このため、そのようなノイズの影響を受けることなく、安定して電圧レベルを測定することが可能となる。
【0040】
また、本発明の実施の形態に係る電圧レベル測定方法は、連続交流信号波から時分割される際の、測定対象の各時分割断続波の所定長さT1が、
図3(d)に示すように連続交流信号波の5周期分の長さであってもよい。これに対して、各軌道回路で時分割断続波を受信する際の所定時間T3の長さを、
図4(a)に示すように、各々が連続交流信号波の5周期分の長さを有する時分割断続波を2つから3つ受信できるような長さに設定する。そして、そのようにして受信した時分割断続波を全波整流し、負電圧を正電圧へ変換して直流化することで、受信した時分割断続波に含まれる交流信号波の周期数の、2倍の数のサンプルピーク波形を得る。そこから所定電圧V1以上の複数のピーク波形を抽出して電圧の大きさで順位付けし、更に複数のピーク波形から電圧レベルの算出に使用するピーク波形を選定する際に、
図4(c)に示すように、所定の順位範囲として電圧の大きい順で7位から20位までのピーク波形を選定する。
【0041】
すなわち、5周期分の長さの時分割断続波を最小の2つ受信するとして、「5(周期)×2(全波整流による波形数の2倍化)×2(受信数)=20」で、20個のピーク波形が得られることを想定する。更に、各時分割断続波の1波形目に混入する切替パルスノイズなどの高レベルノイズは、時分割断続波を最大の3つ受信するとして、「1(波形目)×2(全波整流による波形数の2倍化)×3(受信数)=6」で、最大で6個のピーク波形として表れることが想定される。このため、受信する最小数の時分割断続波のピーク波形と想定される上位20個のピーク波形から、高レベルノイズと想定される最大数の上位6個のピーク波形を除いた、電圧の大きい順で7位から20位のピーク波形を選定するものである。このように選定したピーク波形に基づいて電圧レベルを算出することで、高レベルノイズの影響をより確実に排除することができるため、より安定して電圧レベルを測定することが可能となる。
【0042】
一方、本発明の実施の形態に係る電圧レベル測定装置10は、上記のような本発明の実施の形態に係る電圧レベル測定方法により使用されることで、本発明の実施の形態に係る電圧レベル測定方法と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0043】
10:電圧レベル測定装置、20:受信部、30:波形変換部、40:波形抽出部、50:順位付け部、60:算出処理部、T1:所定長さ、T3:所定時間、IT1、IT2、IT3:送信間隔、V1:所定電圧