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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129603
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】連結具
(51)【国際特許分類】
   A01K 91/04 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
A01K91/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038922
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000210975
【氏名又は名称】中央発条工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕一
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊彦
(57)【要約】
【課題】捻れを防止でき、耐久性が向上した連結具を提供する。
【解決手段】スイベル1は、本体部10と、第1の接続部20と、第2の接続部30と、平板部材40を備える。第1の接続部20は脚部領域23を有し、脚部領域23は、一対の金属線部材20Aが互いに略同じ方向へ延びた領域である。第1の接続部20は、本体部10の上部平面領域11に対して回転可能に配置されている。脚部領域23の一対の金属線部材20Aはそれぞれ、端部側に平坦部分20Bを有し、平板部材40に形成された一対の第2の貫通穴それぞれに挿通されており、平坦部分20Bは第2の貫通穴を通り抜けできない大きさを有する。平板部材40は、本体部10の内部であって、上部平面領域11と一対の金属線部材20Aそれぞれの平坦部分20Bとの間に配置されており、上部平面領域11に形成された第1の貫通穴を通り抜けできない大きさを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の貫通穴が形成された平面領域を有し、内部に空間が形成された本体部と、
挿通部材を挿通可能な第1の挿通穴が形成された第1の接続部と、
前記本体部を挟んで前記第1の接続部とは反対側に配置されており、挿通部材を挿通可能な第2の挿通穴が形成された第2の接続部と、
前記本体部の前記平面領域に対して略平行に配置されており、一対の第2の貫通穴が形成された平板部材と、を備え、
前記第1の接続部または前記第2の接続部の少なくとも1つは、前記本体部の前記平面領域に対して回転可能に配置されており、
前記第1の接続部または前記第2の接続部の少なくとも1つは線状部材が環状に湾曲した環状領域を有し、同環状領域の同線状部材は前記第1の挿通穴または前記第2の挿通穴の少なくとも1つを形成し、
前記第1の接続部または前記第2の接続部の少なくとも1つは、前記環状領域から延びた一対の線状部材が互いに略同じ方向へ延びた脚部領域を有し、
前記脚部領域の一対の前記線状部材はそれぞれ、前記本体部の前記平面領域に形成された前記第1の貫通穴と、前記平板部材の一対の前記第2の貫通穴それぞれに挿通されており、
前記脚部領域の一対の前記線状部材それぞれが平坦部分を有し、前記平板部材が、前記本体部の内部であって前記平面領域と同平坦部分との間に配置されており、
前記環状領域及び前記平板部材は前記第1の貫通穴を通り抜けできない大きさを有し、前記線状部材の前記平坦部分は前記第2の貫通穴を通り抜けできない大きさを有する
連結具。
【請求項2】
前記本体部の前記平面領域に対して略平行に、かつ、同平面領域を挟んで前記平板部材とは反対側に配置されており、一対の第3の貫通穴が形成された補助平板部材をさらに備え、
前記第1の接続部の前記脚部領域の一対の前記線状部材はそれぞれ、一対の前記第3の貫通穴それぞれに挿通されており、一対の同線状部材の太さと同第3の貫通穴の大きさは略同じであり、
前記補助平板部材は、前記第1の貫通穴を通り抜けできない大きさを有する
請求項1に記載の連結具。
【請求項3】
前記第1の接続部が前記平面領域に対して回転可能に配置されており、
前記本体部と前記第2の接続部が一枚の板材で一体的に形成された
請求項1に記載の連結具。
【請求項4】
前記第2の接続部は、向かい合った一対の板材で構成されており、前記第2の挿通穴は、一対の同板材それぞれに形成された第1の挿通構成穴と第2の挿通構成穴とで構成されており、
前記第1の挿通構成穴は、前記第2の挿通構成穴が形成された前記板材へ向けて立ち上がった第1のバーリング壁を有し、
前記第2の挿通構成穴は、前記第1の挿通構成穴が形成された前記板材へ向けて立ち上がった第2のバーリング壁を有し、
前記第1のバーリング壁が前記第2のバーリング壁の内側に配置された
請求項3に記載の連結具。
【請求項5】
前記本体部に、前記空間と外部とを連通した第1の開口部と、該第1の開口部とは反対側に位置すると共に前記空間と外部とを連通した第2の開口部とが形成されており、同第1の開口部及び同第2の開口部がそれぞれ形成された領域は、同本体部の前記平面領域に対して略直交する領域である
請求項1に記載の連結具。
【請求項6】
前記第1の挿通穴または前記第2の挿通穴の少なくとも1つを形成する環状の前記線状部材及び同第1の挿通穴または同第2の挿通穴の少なくとも1つの中心の両方を通る方向と、前記脚部領域の一対の前記線状部材の両方を通る方向とが、互いに立体交差した
請求項1に記載の連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は連結具に関する。詳しくは、例えば線状物と線状物とを連結するための連結具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
釣り道具において、リールに巻き付けられた道糸と、フックを取付けられたハリスとを直接連結したり、ハリスとオモリとを直接連結したりすると、回転が発生して糸ヨレが発生する。
糸ヨレとは、リールに巻き付けられた道糸に巻きグセが付いてしまい、クルクルとパーマのようになった状態を意味する。糸ヨレが発生すると、仕掛けを投げる際に糸ヨレが抵抗となってしまうだけでなく、道糸が絡まってしまうという問題を引き起こす。
【0003】
そこで、スイベルまたはサルカンと呼ばれる連結具を介して、道糸とハリス、並びにハリスとオモリとを連結することが行われている。
【0004】
また、釣り道具以外でも例えば壁に取付けられたフックにチェーンを引掛ける場合、単に引掛けただけではチェーンが捻れてしまい、フックやチェーンに負担が掛かり、フックやチェーンの破損を引き起こしていた。
この場合にも、スイベルまたはサルカンを介してフックとチェーンを連結することが行われている。
【0005】
スイベルまたはサルカンは、互いに正反対の方向へ向いた2つの接続点を有し、この接続点が互いに自由に回転できるようになっており、糸ヨレを抑制するものである。
【0006】
そして従来、様々なスイベルまたはサルカンが提案されており、例えば特許文献1には、図6に示すような釣糸用のスイベルが記載されている。
【0007】
すなわち、特許文献1に記載のスイベル(撚り戻し)500は、一対の回転環506を備え、回転環506それぞれに所定の長さの取付軸507が設けられている。
また、取付軸507それぞれの先端に、球受座508が先端から離脱しないように取付けられている。
【0008】
また、転球509が、球受座508の回転環506側の面に配置されている。
また、連結筒511内に、取付軸507の先端側と、球受座508と、転球509とが配置されている。
また、連結筒511の両端は内側へ向けて絞り込まれて球受縁514が形成されており、連結筒511内に配置された、取付軸507の先端側と、球受座508と、転球509とが連結筒511内から外部へ抜け出ないようになっている。
【0009】
従って、回転環506は、取付軸507を軸に回転し、回転環506に取付けられた釣糸に加えられる撚りを戻して、釣糸のもつれや切断を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開昭59-154058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載のスイベル500は、取付軸507が1本であるので、取付軸507への負荷が大きく、また、転球509と球受縁514との接触が面接触ではないため、接触部分における圧力が高く、スイベル500の耐久性の点で問題があった。
【0012】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、捻れを防止でき、耐久性が向上した連結具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明の連結具は、第1の貫通穴が形成された平面領域を有し、内部に空間が形成された本体部と、挿通部材を挿通可能な第1の挿通穴が形成された第1の接続部と、前記本体部を挟んで前記第1の接続部とは反対側に配置されており、挿通部材を挿通可能な第2の挿通穴が形成された第2の接続部と、前記本体部の前記平面領域に対して略平行に配置されており、一対の第2の貫通穴が形成された平板部材と、を備え、前記第1の接続部または前記第2の接続部の少なくとも1つは、前記本体部の前記平面領域に対して回転可能に配置されており、前記第1の接続部または前記第2の接続部の少なくとも1つは線状部材が環状に湾曲した環状領域を有し、同環状領域の同線状部材は前記第1の挿通穴または前記第2の挿通穴の少なくとも1つを形成し、前記第1の接続部または前記第2の接続部の少なくとも1つは、前記環状領域から延びた一対の線状部材が互いに略同じ方向へ延びた脚部領域を有し、前記脚部領域の一対の前記線状部材はそれぞれ、前記本体部の前記平面領域に形成された前記第1の貫通穴と、前記平板部材の一対の前記第2の貫通穴それぞれに挿通されており、前記脚部領域の一対の前記線状部材それぞれが平坦部分を有し、前記平板部材が、前記本体部の内部であって前記平面領域と同平坦部分との間に配置されており、前記環状領域及び前記平板部材は前記第1の貫通穴を通り抜けできない大きさを有し、前記線状部材の前記平坦部分は前記第2の貫通穴を通り抜けできない大きさを有する。
【0014】
ここで、挿通部材を挿通可能な第1の挿通穴が形成された第1の接続部と、本体部を挟んで第1の接続部とは反対側に配置されており、挿通部材を挿通可能な第2の挿通穴が形成された第2の接続部とによって、第1の挿通穴に挿通された挿通部材例えば線状物と、第2の挿通穴に挿通された挿通部材例えば線状物とを連結できる。
【0015】
また、第1の接続部または第2の接続部の少なくとも1つは、本体部の平面領域に対して回転可能に配置されていることによって、第1の接続部の第1の挿通穴と第2の接続部の第2の挿通穴それぞれに挿通された挿通部材が互いに捻じれた位置関係になりそうになっても、元に戻すことができる。
【0016】
また、第1の接続部または第2の接続部の少なくとも1つは線状部材が環状に湾曲した環状領域を有し、環状領域の線状部材は第1の挿通穴または第2の挿通穴の少なくとも1つを形成し、第1の接続部または第2の接続部の少なくとも1つは、環状領域から延びた一対の線状部材が互いに略同じ方向へ延びた脚部領域を有することによって、脚部領域が1本の線状部材で構成された場合よりも線状部材が受ける負荷を半減できる。
【0017】
また、本体部の平面領域に対して略平行に配置されており、一対の第2の貫通穴が形成された平板部材と、脚部領域の一対の線状部材はそれぞれ、本体部の平面領域に形成された第1の貫通穴と平板部材の一対の第2の貫通穴それぞれに挿通されていることと、平板部材が、本体部の内部であって平面領域と脚部領域の線状部材の平坦部分との間に配置されていることと、環状領域及び平板部材は第1の貫通穴を通り抜けできない大きさを有することと、線状部材の平坦部分は第2の貫通穴を通り抜けできない大きさを有することによって、第1の接続部または第2の接続部の少なくとも1つが、本体部から離脱することを抑制でき、また、第1の接続部と第2の接続部が互いに正反対の方向へ引っ張られたときに、本体部の平面領域と平板部材とが面接触するので、接触部分における圧力を低減でき、また、線状部材に対する負荷の方向と脚部領域の一対の線状部材が延びた方向とが一致するので、線状部材に対する負荷を低減できる。
【0018】
また、本発明の連結具は、本体部の平面領域に対して略平行に、かつ、平面領域を挟んで平板部材とは反対側に配置されており、一対の第3の貫通穴が形成された補助平板部材をさらに備え、第1の接続部の脚部領域の一対の線状部材はそれぞれ、一対の第3の貫通穴それぞれに挿通されており、一対の線状部材の太さと第3の貫通穴の大きさは略同じであり、補助平板部材は、第1の貫通穴を通り抜けできない大きさを有する構成とすることができる。
【0019】
この場合、補助平板部材が、本体部の平面領域に形成された第1の貫通穴を塞ぐことができ、第1の貫通穴への異物侵入や他の部材が第1の貫通穴に絡みつくことを防ぐことができる。
【0020】
また、本発明の連結具において、第1の接続部が平面領域に対して回転可能に配置されており、本体部と第2の接続部が一枚の板材で一体的に形成された構成とすることができる。
【0021】
この場合、第2の接続部が本体部と一体的に形成されているので、第2の接続部が本体部と別体で構成された場合よりも連結具の強度が高い。
【0022】
また、本発明の連結具において、第2の接続部は、向かい合った一対の板材で構成されており、第2の挿通穴は、一対の板材それぞれに形成された第1の挿通構成穴と第2の挿通構成穴とで構成されており、第1の挿通構成穴は、第2の挿通構成穴が形成された板材へ向けて立ち上がった第1のバーリング壁を有し、第2の挿通構成穴は、第1の挿通構成穴が形成された板材へ向けて立ち上がった第2のバーリング壁を有し、第1のバーリング壁が第2のバーリング壁の内側に配置された構成とすることができる。
【0023】
この場合、第2の挿通穴に挿通された挿通部材が第2の接続部を引っ張る方向に第1のバーリング壁と第2のバーリング壁とが重なっているので、第2の挿通穴の引張強度が向上する。
【0024】
また、本発明の連結具において、本体部に、空間と外部とを連通した第1の開口部と、第1の開口部とは反対側に位置すると共に空間と外部とを連通した第2の開口部とが形成されており、第1の開口部及び第2の開口部がそれぞれ形成された領域は、本体部の平面領域に対して略直交する領域である構成とすることができる。
【0025】
この場合、第1の開口部と第2の開口部を通って、空気や水が本体部を通過できるので、本体部が空気や水の抵抗を受け難い。
【0026】
また、本発明の連結具において、第1の挿通穴または前記第2の挿通穴の少なくとも1つを形成する環状の線状部材及び第1の挿通穴または第2の挿通穴の少なくとも1つの中心の両方を通る方向と、脚部領域の一対の線状部材の両方を通る方向とが、互いに立体交差した構成とすることができる。
【0027】
この場合、立体交差していない構成よりも、環状領域と脚部領域の接続部分の強度を向上できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る連結具は、捻れを防止でき、耐久性が向上したものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明を適用したスイベルの一例を示す概略正面図である。
図2図1に示した本発明を適用したスイベルの概略側面図である。
図3図1に示したA-A線に沿った概略断面図である。
図4】本発明を適用したスイベルが備える第1の接続部の脚部領域を構成する金属線部材と、その周辺の部材の概略拡大断面図である。
図5】本発明を適用したスイベルの他の例を示す概略側面図である。
図6】従来のスイベルを示す概略一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明を適用したスイベルの一例を示す概略正面図であり、図2は、図1に示した本発明を適用したスイベルの概略側面図である。
また、図3は、図1に示したA-A線に沿った概略断面図であり、図4は、本発明を適用したスイベルが備える第1の接続部の脚部領域を構成する金属線部材と、その周辺の部材の概略拡大断面図である。
【0031】
図1に示す本発明のスイベル1すなわち連結具は、本体部10を備える。
ここで、本体部10の内部には空間が形成されている。
【0032】
また、本体部10は、上部平面領域11を有する。
ここで、上部平面領域11は平面状の領域であり、上部平面領域11には第1の貫通穴12が形成されている。
【0033】
また、本体部10は、正面領域13を有する。
ここで、正面領域13は上部平面領域11に連接されていると共に上部平面領域11に対して略直交する領域である。
また、本体部10は、背面領域14を有する。
ここで、背面領域14は上部平面領域11に連接されていると共に上部平面領域11に対して略直交する領域であり、かつ、正面領域13とは反対側の領域である。
【0034】
また、本体部10は、第1の側面領域15と第2の側面領域16とを有する。
ここで、第1の側面領域15は、上部平面領域11や正面領域13や背面領域14に対して略直交する領域であり、その領域全体に第1の開口部15Aが形成されている。
また、第2の側面領域16は、上部平面領域11や正面領域13や背面領域14に対して略直交する領域であり、第1の側面領域15とは反対側に位置し、その領域全体に第2の開口部16Aが形成されている。
すなわち、第2の開口部16Aは、第1の開口部15Aとは反対側に位置する。
従って、図2においては、第1の開口部15Aと第2の開口部16Aとが重なって示されており、図2の手前側に第1の開口部15Aが位置し、奥側に第2の開口部16Aが位置する。
【0035】
また、第1の開口部15Aと第2の開口部16Aは、本体部10の内部の空間と外部とを連通している。
【0036】
また、本体部10は、正面傾斜領域13Aを有する。
ここで、正面傾斜領域13Aは正面領域13に連接されていると共に正面領域13に対して斜交し、上部平面領域11とは反対方向へ延びた領域である。
【0037】
また、本体部10は、背面傾斜領域14Aを有する。
ここで、背面傾斜領域14Aは背面領域14に連接されていると共に主に背面領域14に対して斜交し、上部平面領域11とは反対方向へ延びた領域である。
【0038】
また、正面傾斜領域13Aは正面領域13から背面傾斜領域14Aへ近づくよう延びており、また、背面傾斜領域14Aは背面領域14から正面傾斜領域13Aへ近づくよう延びている。
【0039】
また、本発明のスイベル1は、第1の接続部20を備える。
ここで、第1の接続部20には、第1の挿通穴21が形成されており、第1の挿通穴21には、線状物などの挿通部材を挿通可能である。
【0040】
また、第1の接続部20は、環状領域22と脚部領域23を有する。
ここで、環状領域22は、金属線部材20Aが環状に湾曲した領域であり、環状領域22の金属線部材20Aが第1の挿通穴21を形成している。
また、脚部領域23は、環状領域22から延びた一対の金属線部材20Aが互いに略同じ方向へ延びた領域である。
また、金属線部材20Aは線状部材の一例であり、例えば樹脂製の線状部材であってもよい。
【0041】
また、図1に示すように、第1の挿通穴21を形成する環状の金属線部材20Aと第1の挿通穴21の中心の両方を通る方向を、環状領域横断方向24とする。
また、図2に示すように、脚部領域23の一対の金属線部材20Aの両方を通る方向を、脚部領域横断方向25とする。
ここで、図1において、脚部領域横断方向25は図の手前側と奥側とを結ぶ方向であり、図2において、環状領域横断方向24は図の手前側と奥側とを結ぶ方向である。
そして、図1図2から判るように、環状領域横断方向24と脚部領域横断方向25とは互いに立体交差している。
すなわち、第1の接続部20の環状領域22と脚部領域23は互いに捻じれた位置関係となっている。
【0042】
また、脚部領域23の一対の金属線部材20Aはそれぞれ、本体部10の上部平面領域11に形成された第1の貫通穴12に挿通されている。
ここで、図4に示すように、脚部領域23の一対の金属線部材20Aはどちらも一つの貫通穴(第1の貫通穴12)に挿通されており、しかも、第1の貫通穴12の直径が、脚部領域横断方向25における、脚部領域23の一対の金属線部材20Aの最長部分の長さよりも大きい。
従って、一対の金属線部材20Aの間を、一対の金属線部材20Aが延びた方向と同じ方向へ延びた仮想中心軸線を中心として、第1の接続部20は回転できる。
すなわち、第1の接続部20は、本体部10の上部平面領域11に対して回転可能に配置されている。
【0043】
また、脚部領域23の一対の金属線部材20Aそれぞれは、端部側に平坦部分20Bを有する。
【0044】
また、本発明のスイベル1は、第2の接続部30を備える。
ここで、第2の接続部30は、本体部10を挟んで第1の接続部20とは反対側に配置されている。
また、第2の接続部30には、第2の挿通穴31が形成されており、第2の挿通穴31には、線状物などの挿通部材を挿通可能である。
【0045】
また、第2の接続部30は、向かい合った一対の金属板材30Aで構成されている。
また、第2の挿通穴31は、一対の金属板材30Aそれぞれに形成された第1の挿通構成穴311と第2の挿通構成穴312とで構成されている。
【0046】
また、第1の挿通構成穴311は、第2の挿通構成穴312が形成された金属板材30Aへ向けて立ち上がった第1のバーリング壁31Aを有する。
また、第2の挿通構成穴312は、第1の挿通構成穴311が形成された金属板材30Aへ向けて立ち上がって第2のバーリング壁31Bを有する。
【0047】
また、図3に示すように、第1のバーリング壁31Aは、第2のバーリング壁31Bの内側に配置されている。
なお、第2のバーリング壁31Bが、第1のバーリング壁31Aの内側に配置されていてもよいことは勿論である。
【0048】
また、本体部10と第2の接続部30は一枚の金属板材で一体的に形成されている。
ここで、第1の挿通構成穴311が形成された金属板材30Aは、本体部10の正面傾斜領域13Aを構成する金属板材から、上部平面領域11とは反対方向へ延びており、第2の挿通構成穴312が形成された金属板材30Aは、本体部10の背面傾斜領域14Aを構成する金属板材から、上部平面領域11とは反対方向へ延びている。
【0049】
また、本発明のスイベル1は、平板部材40を備える。
ここで、平板部材40は、本体部10の上部平面領域11に対して略平行に配置されている。
また、平板部材40には、一対の第2の貫通穴41が形成されている。
また、平板部材40の形状は略円形であり、平板部材40はすなわち円盤状の部材である。
【0050】
また、図4に示すように、脚部領域23の一対の金属線部材20Aはそれぞれ、平板部材40の一対の第2の貫通穴41それぞれに挿通されている。
また、平板部材40は、本体部10の内部であって、本体部10の上部平面領域11と、脚部領域23の一対の金属線部材20Aそれぞれの平坦部分20Bとの間に配置されている。
【0051】
また、第1の接続部20の環状領域22及び平板部材40は、本体部10の上部平面領域11に形成された第1の貫通穴12を通り抜けできない大きさを有する。
また、金属線部材20Aそれぞれの平坦部分20Bは、第2の貫通穴41を通り抜けできない大きさを有する。
従って、平板部材40は、脚部領域23の一対の金属線部材20Aの端部から抜け落ちることはなく、本体部10の内部であって、本体部10の上部平面領域11と、脚部領域23の一対の金属線部材20Aそれぞれの平坦部分20Bとの間に留まることができる。
【0052】
また、平板部材40と脚部領域23の一対の金属線部材20Aとは固着されていないので、平板部材40は、金属線部材20Aに沿って、本体部10の上部平面領域11と金属線部材20Aそれぞれの平坦部分20Bとの間を移動できる。
【0053】
また、本発明のスイベル1は、補助平板部材50を備える。
ここで、補助平板部材50は、本体部10の上部平面領域11に対して略平行に配置されている。
また、図4に示すように、補助平板部材50は、本体部10の上部平面領域11を挟んで平板部材40とは反対側に配置されている。
【0054】
また、補助平板部材50には、一対の第3の貫通穴51が形成されている。
また、補助平板部材50の形状は略円形であり、補助平板部材50はすなわち円盤状の部材である。
【0055】
また、第1の接続部20の脚部領域23の一対の金属線部材20Aはそれぞれ、一対の第3の貫通穴51それぞれに挿通されている。
また、一対の金属線部材20Aの太さと第3の貫通穴51の大きさ、すなわち直径は略同じである。
また、補助平板部材50は、本体部の10の上部平面領域11に形成された第1の貫通穴12を通り抜けできない大きさを有する。
【0056】
本発明のスイベル1は、必ずしも補助平板部材50を備えていなくてもよい。
しかし、本発明のスイベル1が補助平板部材50を備えていれば、補助平板部材50が、本体部10の上部平面領域11に形成された第1の貫通穴12を塞ぐことができ、第1の貫通穴12への異物侵入や他の部材が第1の貫通穴12に絡みつくことを防ぐことができ、好ましい。
【0057】
また、本発明のスイベル1において、必ずしも第2の接続部30は、向かい合った一対の金属板材30Aで構成されていなくてもよく、一枚の板材で構成されていてもよい。
また、本発明のスイベル1において、第2の接続部30が、向かい合った一対の金属板材30Aで構成されていても、必ずしも第1の挿通構成穴311は第1のバーリング壁31Aを有していなくてもよく、また、必ずしも第2の挿通構成穴312は第2のバーリング壁31Bを有していなくてもよく、また、必ずしも第1のバーリング壁31Aは、第2のバーリング壁31Bの内側に配置されていなくてもよい。
【0058】
しかし、第1のバーリング壁31Aが第2のバーリング壁31Bの内側に配置されていれば、第2の挿通穴31に挿通された挿通部材例えば線状物が第2の接続部30を引っ張る方向に第1のバーリング壁31Aと第2のバーリング壁31Bとが重なっているので、第2の挿通穴31の引張強度が向上し、好ましい。
【0059】
また、本発明のスイベル1において、必ずしも本体部10に第1の開口部15Aと第2の開口部16Aとが形成されていなくてもよい。
しかし、本体部10に第1の開口部15Aと第2の開口部16Aとが形成されていれば、第1の開口部15Aと第2の開口部16Aを通って、空気や水が本体部10を通過できるので、本体部10が空気や水の抵抗を受け難く、好ましい。
【0060】
また、本発明のスイベル1において、必ずしも環状領域横断方向24と脚部領域横断方向25とは互いに立体交差していなくてもよい。
しかし、環状領域横断方向24と脚部領域横断方向25とが互いに立体交差していれば、これらの方向が互いに立体交差せず平行である構成よりも、環状領域22と脚部領域23との接続部分の強度を向上できるので好ましい。
【0061】
本発明のスイベル1が備える、第1の接続部20の第1の挿通穴21と第2の接続部30の第2の挿通穴31に、例えば紐や糸を挿通して、紐同士や糸同士を繋ぐことができる。
また、バネ式口金具と呼ばれるフックの一部を第1の接続部20の第1の挿通穴21に挿通して、このフックを第1の接続部20に取付け、このフックを紐や糸に取付けるようにすることもできる。
【0062】
図5は、本発明を適用したスイベルの他の例を示す概略側面図である。
図1及び図2に示したスイベル1と同じ部材については同じ符号を付しており、その説明を省略する。
【0063】
図5に示す本発明のスイベル61は、本体部70を備える。
また、本体部70は、上部平面領域71を有する。
ここで、上部平面領域71は平面状の領域であり、上部平面領域71には第1の貫通穴が形成されている。
【0064】
また、本体部70は、正面領域73を有する。
ここで、正面領域73は上部平面領域71に連接されていると共に上部平面領域71に対して略直交する領域である。
【0065】
また、本発明のスイベル61は、第2の接続部80を備える。
また、本体部70と第2の接続部80は一枚の金属板材で一体的に形成されている。
また、第2の接続部80は、本体部70を挟んで第1の接続部20とは反対側に配置されている。
また、第2の接続部80には、第2の挿通穴81が形成されており、第2の挿通穴81には、線状物などの挿通部材を挿通可能である。
【0066】
また、本発明のスイベル1が備える第2の接続部30とは異なり、本発明のスイベル61が備える第2の接続部80は、一枚の金属板材80Aで構成されている。
ここで、第2の接続部80を構成する金属板材80Aは、本体部70の正面領域73を構成する金属板材から、この金属板材と同一平面内であって上部平面領域71とは反対方向へ延びている。
【0067】
また、第2の挿通穴81は、第1の接続部20の環状領域22と本体部70の上部平面領域71とを通り、上部平面領域71に対して略直交して延びた仮想直線へ向けて立ち上がったバーリング壁81Aを有する。
【0068】
以上のように、本発明のスイベル1は、第1の接続部20と第2の接続部30を備えるので、第1の挿通穴21に挿通された例えば紐と、第2の挿通穴31に挿通された例えば紐とを連結できる。
また、第1の接続部20は、本体部10の上部平面領域11に対して回転可能に配置されているので、第1の接続部20の第1の挿通穴21と第2の接続部30の第2の挿通穴31それぞれに挿通された紐が互いに捻じれた位置関係になりそうになっても、元に戻すことができる。
【0069】
また、第1の接続部20は、環状領域22と脚部領域23を有し、脚部領域23は、環状領域22から延びた一対の金属線部材20Aが互いに略同じ方向へ延びた領域であるので、脚部領域が1本の線状部材で構成された場合よりも線状部材が受ける負荷を半減できる。
また、本発明のスイベル1は平板部材40を備え、脚部領域23の一対の金属線部材20Aはそれぞれ、平板部材40の一対の第2の貫通穴41それぞれに挿通されており、環状領域22及び平板部材40は、本体部10の上部平面領域11に形成された第1の貫通穴12を通り抜けできない大きさを有しており、金属線部材20Aそれぞれの平坦部分20Bは、第2の貫通穴41を通り抜けできない大きさを有するので、第1の接続部20が本体部10から離脱することを抑制でき、また、第1の接続部20と第2の接続部30が互いに正反対の方向へ引っ張られたときに、本体部10の上部平面領域11と平板部材40とが面接触するため接触部分における圧力を低減でき、また、金属線部材20Aに対する負荷の方向と脚部領域23の一対の金属線部材20Aが延びた方向とが一致するため金属線部材20Aに対する負荷を低減できる。
【0070】
従って、本発明のスイベル1は、例えば紐と紐とを連結した際の捻れを防止でき、耐久性が向上したものである。
【符号の説明】
【0071】
1 スイベル
10 本体部
11 上部平面領域
12 第1の貫通穴
13 正面領域
13A 正面傾斜領域
14 背面領域
14A 背面傾斜領域
15 第1の側面領域
15A 第1の開口部
16 第2の側面領域
16A 第2の開口部
20 第1の接続部
20A 金属線部材
20B 平坦部分
21 第1の挿通穴
22 環状領域
23 脚部領域
24 環状領域横断方向
25 脚部領域横断方向
30 第2の接続部
30A 金属板材
31 第2の挿通穴
311 第1の挿通構成穴
31A 第1のバーリング壁
312 第2の挿通構成穴
31B 第2のバーリング壁
40 平板部材
41 第2の貫通穴
50 補助平板部材
51 第3の貫通穴
61 スイベル
70 本体部
71 上部平面領域
73 正面領域
80 第2の接続部
80A 金属板材
81 第2の挿通穴
81A バーリング壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6