(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129607
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 41/127 20060101AFI20240919BHJP
A01F 12/60 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
A01D41/127 120
A01F12/60
A01D41/127
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038928
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】石田 健之
(72)【発明者】
【氏名】高森 耕介
【テーマコード(参考)】
2B074
2B396
【Fターム(参考)】
2B074AA01
2B074AB01
2B074AF02
2B074BA04
2B074CE01
2B074EA12
2B074EB11
2B396JC07
2B396LN02
2B396LN13
2B396MA02
2B396MC02
2B396MC07
2B396MC13
2B396MG02
2B396ML02
2B396QA24
2B396QC01
2B396QE31
2B396QG05
2B396RA11
(57)【要約】
【課題】グレンタンクの内部に堆積した穀粒の量を検出可能なコンバインであって、グレンタンク内における穀粒の堆積量を検出する感圧センサの誤検出を防止するとともに、グレンタンクの内部の穀粒がその空間の上方を覆う天板部にまで達するような高さまで堆積したことも感圧センサによって検出することが可能なコンバインを提供することを課題とする。
【解決手段】脱穀部からグレンタンクに穀粒を搬送する穀粒搬送装置と、グレンタンク内の穀粒の堆積量が所定の量に達したことを検出する感圧センサとを備え、グレンタンク内への穀粒の投入部を該グレンタンクにおける天板部よりも下方の上部位置に配置し、天板部にはグレンタンク内のエアを上方に排気する排気孔を穿設し、天板部の下面側に感圧センサを設け、排気孔は平面視で投入部からの穀粒の投入範囲外に配置され、感圧センサは平面視で投入範囲内に配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の穀稈の刈取作業を行う前処理部と、
前記前処理部の後方に配置され且つ、該前処理部によって刈り取られた穀稈の脱穀処理を行う脱穀部と、
その内部の空間に穀粒を貯留するグレンタンクと、
前記脱穀部によって脱穀されて得られた穀粒を前記グレンタンクに搬送する穀粒搬送装置と、
前記グレンタンク内部に堆積した穀粒と接触することによって作動して前記グレンタンク内での穀粒の堆積量が所定の量に達したことを検出する一又は複数の感圧センサと、を備え、
前記グレンタンクは、その内部の空間の上方をカバーする天板部を有し、
前記穀粒搬送装置には、前記脱穀部から搬送してくる穀粒を前記グレンタンク内に投入する投入部を、前記天板部よりも下方で且つ前記グレンタンク内の上部に位置させて設け、
前記天板部には、前記グレンタンク内のエアを上方に排気する排気孔が穿設され、
前記天板部における前記グレンタンク内に臨む下面側には前記感圧センサが設置され、
前記排気孔は、平面視で前記投入部から前記グレンタンク内への穀粒の投入範囲外に配置され、
前記感圧センサは平面視で前記投入範囲内に配置された
コンバイン。
【請求項2】
前記排気孔の直下の空間における周囲の少なくとも一部をカバーするガード部を、前記天板部側から下方に突出させて設けた
請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記グレンタンク内部の穀粒をその外部に排出するオーガを備え、
前記天板部の上面側には、前記排気孔から上方に排気されたエアを、水平な方向に沿う一方向であるガイド方向に案内するガイドカバーが設けられ、
前記ガイドカバーにおける開口したエアの流動下流側の端部を、前記オーガ側に臨ませた
請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記ガイドカバー内側には、上方に向かって、前記ガイド方向に傾斜して、前記排気孔から排気されるエアを前記開口側に案内する、案内面を形成した
請求項3に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレンタンクの内部に堆積した穀粒の量を検出可能なコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
圃場の穀稈の刈取作業を行う前処理部と、前記前処理部の後方に配置され且つ、該前処理部によって刈り取られた穀稈の脱穀処理を行う脱穀部と、その内部の空間に穀粒を貯留するグレンタンクと、前記脱穀部によって脱穀されて得られた穀粒を前記グレンタンクに搬送する穀粒搬送装置と、前記グレンタンク内部に堆積した穀粒と接触することによって作動して前記グレンタンク内での穀粒堆積量が所定の量に達したことを検出する一又は複数の感圧センサと、を備え、前記穀粒搬送装置には、前記脱穀部から搬送してくる穀粒を前記グレンタンク内に投入する投入部を設け、前記グレンタンクには、その内部のエアを排気する排気孔が穿設された特許文献1に記載のコンバインが従来公知である。
【0003】
上記文献のコンバインによれば、前記排気孔から外部へのエアの排出によって、前記グレンタンク内の圧力の上昇が抑制され、圧力上昇に伴う感圧センサの誤検出を防ぐことができる一方で、排気孔がグレンタンクの側壁の上部に形成され、複数の感圧センサのなかで最も上側に位置する感圧センサが前記排気孔よりも低い位置に配置されているため、グレンタンクの内部の穀粒がその空間の上方を覆う天板部にまで達するような高さまで堆積したことを感圧センサによって検出することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、グレンタンクの内部に堆積した穀粒の量を検出可能なコンバインであって、グレンタンク内における穀粒の堆積量を検出する感圧センサの誤検出を防止するとともに、グレンタンクの内部の穀粒がその空間の上方を覆う天板部にまで達するような高さまで堆積したことも感圧センサによって検出することが可能なコンバインを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1に、圃場の穀稈の刈取作業を行う前処理部と、前記前処理部の後方に配置され且つ、該前処理部によって刈り取られた穀稈の脱穀処理を行う脱穀部と、その内部の空間に穀粒を貯留するグレンタンクと、前記脱穀装置によって脱穀されて得られた穀粒を前記グレンタンクに搬送する穀粒搬送装置と、前記グレンタンク内部に堆積した穀粒と接触することによって作動して前記グレンタンク内での穀粒の堆積量が所定の量に達したことを検出する一又は複数の感圧センサと、を備え、前記グレンタンクは、その内部の空間の上方をカバーする天板部を有し、前記穀粒搬送装置には、前記脱穀部から搬送してくる穀粒を前記グレンタンク内に投入する投入部を、前記天板部よりも下方で且つ前記グレンタンク内の上部に位置させて設け、前記天板部には、前記グレンタンク内のエアを上方に排気する排気孔が穿設され、前記天板部における前記グレンタンク内に臨む下面側には前記感圧センサが設置され、前記排気孔は、平面視で前記投入部から前記グレンタンク内への穀粒の投入範囲外に配置され、前記感圧センサは平面視で前記投入範囲内に配置されるように構成されたことを特徴としている。
【0007】
第2に、前記排気孔の直下の空間における周囲の少なくとも一部をカバーするガード部を、前記天板部側から下方に突出させて設けたことを特徴としている。
【0008】
第3に、前記グレンタンク内部の穀粒をその外部に排出するオーガを備え、前記天板部の上面側には、前記排気孔から上方に排気されたエアを、水平な方向に沿う一方向であるガイド方向に案内するガイドカバーが設けられ、前記ガイドカバーにおける開口したエアの流動下流側の端部を、前記オーガ側に臨ませたことを特徴としている。
【0009】
第4に、前記ガイドカバー内側には、上方に向かって、前記ガイド方向に傾斜して、前記排気孔から排気されるエアを前記開口側に案内する、案内面を形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、グレンタンク内における穀粒の堆積量を検出する感圧センサの誤検出を防止するとともに、グレンタンクの内部の穀粒がその空間の上方を覆う天板にまで達するような高さまで堆積したことも感圧センサによって検出することが可能になる。
【0011】
また、前記排気孔の直下の空間における周囲の少なくとも一部をカバーするガード部を、前記天板部側から下方に突出させて設けたものによれば、グレンタンク内の穀粒が排気孔から外部に漏れ出すことをガード部によって効率的に防止できる。
【0012】
また、前記グレンタンク内部の穀粒をその外部に排出するオーガを備え、前記天板部の上面側には、前記排気孔から上方に排気されたエアを、水平な方向に沿う一方向であるガイド方向に案内するガイドカバーが設けられ、前記ガイドカバーにおける開口したエアの流動下流側の端部を、前記オーガ側に臨ませたものによれば、ガイドカバーの開口部分もオーガによってガードされるので、この開口した部分からの異物の混入も効率的に防止される。例えば、洗車時に前記開口部分からグレンタンク内に浸水することも防止可能である。
【0013】
さらに、前記ガイドカバー内側には、上方に向かって、前記ガイド方向に傾斜して、前記排気孔から排気されるエアを前記開口側に案内する、案内面を形成したものによれば、傾斜した案内面によってガイドカバー内の空気の流れがスムーズになり、グレンタンク内の圧力の上昇をより効率的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明を適用した自脱式のコンバインの側面図である。
【
図2】本発明を適用した自脱式のコンバインの平面図である。
【
図3】
図1及び
図2に示すコンバインに搭載された脱穀装置の側断面図である。
【
図5】グレンタンク及び穀粒搬送装置の要部構成を示す平面図である。
【
図6】(A),(B)はガイドカバーを取り付けた状態と取り外した状態とを夫々示す斜視図である。
【
図7】グレンタンクのエア抜きの構成を示す断面図である。
【
図8】本発明の別実施形態に係るグレンタンクの構成を示す斜視図である。本発明の別実施形態に係るグレンタンクの構成を示す斜視図である。
【
図9】
図8に示すグレンタンクのエア抜き構成を示す断面図である。
【
図10】(A),(B)は本発明の別実施形態に係るグレンタンクにおいてガイドカバーを取り付けた状態と取り外した状態とを夫々示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び
図2は、本発明を適用した自脱式のコンバインの側面図及び平面図である。図示するコンバインでは、走行部である左右一対のクローラ式走行装置1,1に支持された走行機体2と、該走行機体2の前方に昇降可能に連結された前処理部3とを備えている。
【0016】
前記前処理部3は、圃場の穀稈を刈取り、該前処理部3側に設けられた搬送装置7によって後方(具体的には、前記走行機体2側に搬送する。
【0017】
前記走行機体2は、該走行機体2の前部における進行方向右(以下、単に「右」)寄り箇所に配置され且つその内部にオペレータが乗り込む操縦部が設置されたキャビン8と、前記走行機体2の進行方向左(以下、単に「左」)側部分に配置され且つ前処理部3から搬送されてくる穀稈の脱穀・選別処理を行う脱穀装置(脱穀部)9と、前記走行機体2における脱穀装置9の後方に配置され且つ脱穀処理された排藁となった穀稈を、そのまま、或いは切断処理した後に、該走行機体2の後端部から後方に排出する後処理部10と、前記走行機体2におけるキャビン8の後方で且つ脱穀装置9の右側方に配置された且つ籾等の穀粒が収容されるグレンタンク11と、該グレンタンク11内の穀粒を外部に外出する排出オーガ(オーガ)12と、を備えている。
【0018】
ちなみに、クローラ式走行装置1,1と、前処理部3と、脱穀装置9と、後処理部10と、は走行機体3側に内装されたエンジン等の動力源で発生させた動力によって駆動される。
【0019】
排出オーガ12は、走行機体2の後端部におけるグレンタンク11側から上方に突出した縦筒12aと、その基端が縦筒12aに連結され且つ基端から先端側に向かって一直線状に延出された排出筒12bとを有している。縦筒12aは自身の軸回りに回動可能に走行機体2側に支持される。排出筒12bは、その基端側を支点として縦筒12aに上下揺動可能に支持され、その先端部には下方に向かって開口した排出口が形成されている。排出オーガ12は、縦筒12aの軸回りの左右回動によって旋回され、排出筒12bの上下揺動によって昇降され、排出口の高さや位置が変更される。ちなみに、排出オーガ12は、未使用時、排出筒12bが、水平方向に沿う位置に下降され、且つ、平面視で、縦筒12a側から前処理部3の左端側に向かって斜めに向く位置に旋回された姿勢で、格納(保持)される。
【0020】
図3は、
図1及び
図2に示すコンバインに搭載された脱穀装置の側断面図である。前記脱穀装置9は、その内部の上側の空間を扱室9aとし且つ下側の空間を選別室9bとし、前記扱室9aの外側側方(具体的には、左側方)には、前処理部3側から搬送されてくる穀稈を受け取って後方に搬送するフィードチェーン13が配置されている。
【0021】
扱室9aには、前後方向の筒状に成形され且つその軸心を支点として回転駆動される扱胴14と、該扱胴14の下方に配置され且つ正面視で扱胴14の外周面に沿って円弧状に湾曲した受網16とを備えている。選別室9bの上寄り部分には、前後に揺動する揺動選別体17が配置され、その前部下側には、後方斜め上方へエアの流動(選別風)を発生させる唐箕ファン18が設けられている。
【0022】
この脱穀装置9による脱穀・選別処理の内容について説明すると、穀稈は、その穂先側が扱室に挿入される姿勢で、その株元側がフィードチェーン13に保持され、後方に搬送される。この後方搬送過程で、穀稈は、回転する扱胴14によって脱穀されて排藁になる。この処理により穀稈から離脱した処理物は、穀粒の他に、藁屑等の排出物が多く含まれている。処理物の中で、所定以下のサイズのものは、受網16を通過して選別室9bに落下する。
【0023】
選別室9bに落下してくる処理物は、前後作動する揺動選別体17による作用(揺動選別)と、上述した選別風による作用(風選)とによって、選別室9bの前部に落下する一番物と、選別室9bにおける一番物よりも後方に落下する二番物と、選別室9bにおける後部上側まで移送される上述の排出物と、に選別される。
【0024】
排出物は、選別室9bの後部に設けられた排出ファン19等の作用により、走行機体2の後端側から機外に排出される。二番物は、穀粒の他に、藁屑等もまだ多く含まれている状態であるため、還元装置21によって、扱室又は選別室の上端側(図示する例では、選別室の上端側)に還元され、再び選別処理される。一番物は、穀粒搬送装置22によって、穀粒としてグレンタンク11に搬送される。
【0025】
穀粒搬送装置22は、側面視で選別室9bにおける一番物(穀粒)の落下地点又はその近傍を含む範囲にその一部が配置され且つこの穀粒を自身の回転作動によって選別室9bの外部におけるグレンタンク11の直下まで搬送する一番ラセン23と、該一番ラセン23によってグレンタンク11の直下まで搬送されてきた穀粒を上方に搬送する揚穀ラセン24(
図5参照)とを有している。
【0026】
揚穀ラセン24は、該揚穀ラセン24と同一軸心又は略同一軸心をなす筒状に成形された揚穀筒26に、その下端部を除く大部分が収容されている。
【0027】
次に、
図1乃至
図5に基づき、グレンタンク11及び穀粒搬送装置22の構成を説明する。
【0028】
図4はグレンタンクの前側斜視図であり、
図5はグレンタンク及び穀粒搬送装置の要部構成を示す平面図である。グレンタンク11は、その内部の空間の周囲が複数のカバープレート27,28によって覆われ、その上方が天板(天板部)29によってカバーされている。
【0029】
穀粒搬送装置22は、上述した一番ラセン23、揚穀ラセン24及び揚穀筒26の他、揚穀筒26の上端部に一体的に設けられ且つグレンタンク11の左右内側に側面(具体的には、グレンタンク11の内部の左右内側の側方をカバーするカバープレートであるサイドプレート28)に接続された接続ケース31と、上下方向に形成された揚穀ラセン26の回転軸として機能し且つ上述した動力源からの動力によって回転駆動される駆動軸32とを有している。
【0030】
上記接続ケース31は、平断面視で揚穀筒26よりも面積が拡大する形状に成形され、グレンタンク11側(具体的には、右側方)に全面的に開放されている。一方、グレンタンク11(具体的にはサイドプレート28)における接続ケース31が接続される部分には、接続口28aが開口形成されている。この接続口28aを介して、接続ケース28の内部側の空間と、グレンタンク11の内部の空間とは連接されている。
【0031】
穀粒搬送装置22の揚穀ラセン24によって上方搬送されてくる穀粒は、接続ケース31の上述した開放部分を介して、該グレンタンク11内に投入される。換言すれば、接続ケース31の開放部分は、上述した接続口28aと共に、穀粒搬送装置22により搬送されてくる穀粒をグレンタンク11内に投入する投入口(投入部)33を構成している。この投入口は、グレンタンク11の内部において、天板29よりも低い箇所であって且つグレンタンク11の上部の箇所に配置形成されている。
【0032】
上記駆動軸32の外周面には、上述した揚穀ラセン24が螺旋状に形成されている。駆動軸32を
図5における反時計回り(正転方向)に回転させると、該駆動軸29と一体で揚穀ラセン24が回転作動され、穀粒が上方に搬送される。
【0033】
この駆動軸32の上端寄り部分には、その径方向の外側に突出する跳出体34が一体的に設けられている。跳出体34は、駆動軸32と共に回転駆動され、揚穀ラセン24により上方搬送されてくる穀粒を、投入口32を介して、グレンタンク11内に投入する。図示する例では、跳出体34は、駆動軸32の軸方向視で、揚穀ラセン24よりも径方向外側に突出しており、その回転軌跡の一部はグレンタンク11内に臨んでいる。
【0034】
この跳出体34は、上述した接続ケース31内に収容されている。それに対応して、接続ケース31の周壁の一部を平断面視で跳出体34の回転軌跡に沿う円弧状に形成されたカバー部31aとし、残り部分を平面視で跳出体34の回転軌跡の接線方向に直線状に形成されたガイド部31bとしている。カバー部31aは接続ケース31の周壁において正転する跳出体34の移動上流側に配置される一方で、ガイド部31bは接続ケース31の周壁において正転する跳出体34の移動下流側に配置される。ちなみに、接続ケース31の上面側部位はフラットに形成されている。
【0035】
該構造によれば、平面視で、ガイド部31bから一直線状に延長された仮想的な線Bを境界として、グレンタンク11の内部における投入口32に接する側の空間が、跳出体34によって穀粒が投入される範囲(投入範囲)R1になる一方で、該投入口32に接しない側の空間が、跳出体34から穀粒の投入が行われない範囲(非投入範囲)R2になる。
【0036】
このようにして、脱穀装置9からグレンタンク11に穀粒が順次搬送されるが、グレンタンク11内で穀粒によって満杯になった場合や、それに近い状態になった場合には、穀粒のグレンタンク11からの漏れや、機械の故障等のリスクを加味し、穀粒搬送装置22によるグレンタンクへの穀粒の搬送を停止させる必要性が高い。このような事情により、グレンタンク11内の穀粒の貯留量(堆積量)が予め定めた所定量である基準値に達したことを検出する感圧センサ36を、グレンタンク11の内部側に設置している。
【0037】
この感圧センサ36は、その図示しない検出部がグレンタンク11に堆積した穀粒によって押圧されることによって検出作動し、グレンタンク11内の穀粒の堆積量が基準値に達したことや、該基準値を超えたことをマイコン側で把握可能に検出可能になる。
【0038】
ちなみに、本例では、グレンタンク11内の穀粒の貯留量が基準値に達した場合、該グレンタンク内は穀粒で満杯にはなっていないが、それに近い状態になるように、該基準値が設定している。
【0039】
ところで、グレンタンク11は、加工精度の向上等に起因して、その内部の気密性が近年向上している。この気密性の高さから、グレンタンク11の内部空間に、穀粒が堆積していく過程で、該空間の圧力が想定以上に高くなり、感圧センサ36が誤作動し、穀粒の貯留量が基準値に達したことを正しく検出できない場合がある。この対策としてグレンタンク11内のエアを、その外部に排気する排気ユニット37が本コンバインには設けられている。
【0040】
次に、
図4乃至
図7に基づいて感圧センサ36及び排気ユニット37の構成について詳述する。
【0041】
図6(A),(B)はガイドカバーを取り付けた状態と取り外した状態とを夫々示す斜視図であり、
図7はグレンタンクのエア抜きの構成を示す断面図である。感圧センサ36は、堆積した穀粒が、その直下に達した状態を検出可能なように、上述の検出部を下方に向けた状態で、天板29におけるグレンタンク11内に臨む下面側に設置されている。
【0042】
感圧センサ36の少なくとも一部(図示する例では大部分)は、グレンタンク11の内部における投入範囲R1に配置されている。図示する例では、感圧センサ36の端側の一箇所のみ非投入範囲R2に位置し、それ以外の全てが投入範囲R1に位置している。なお、感圧センサ36の全てを投入範囲R1に位置させてもよい。ちなみに、平面視で天板29の投入範囲側における感圧センサ36と隣接する部位には開閉蓋38が設置され、この開閉蓋38を開けると、天板29に穿設された図示しない開口孔が露出した状態に切り換えられる。この開口孔を介して、作業者がグレンタンク11の内部にアクセス可能であるとともに、その近傍に配置された感圧センサ36にもアクセスすることが容易になる。
【0043】
排気ユニット37は、天板29に穿設され且つグレンタンク11の内部のエアを上方に排気する排気孔29aと、排気孔29aの上方をカバーし且つ排気孔29aから上方に排気されたエアを水平方向に沿う一方向(図示する例では左右内側の側方に向かって斜め後方であり、以下、「ガイド方向」と称する)に案内するガイドカバー39と、排気孔29aの直下の空間における周囲の少なくとも一部をカバーするガードカバー(ガード部)41と、を有している。
【0044】
この排気孔29aは、平面視で天板29の投入範囲R1外(非投入範囲R2内)における境界Bから遠い側の箇所に配置されている。
【0045】
ガードカバー41は、図示する例では、排気孔29aの直下の空間の四方を囲繞する筒状に形成されている。このガードカバー41によって、この空間の周囲の穀粒が、排気孔29aからグレンタンク11の外部に排出されることが効率的に防止される。
【0046】
ガイドカバー39は、排気孔29aの直上の空間の四方におけるガイド方向以外の部分を覆う周壁部42と、該空間の上方を覆う天井部43とを有し、その全体が下方及びガイド方向に開口したボックス状に形成されている。換言すれば、ボックス状のガイドカバー39の内部の空間は、下方及びガイド方向に開放されている。
【0047】
ガイドカバー39は、その下方に開放された部分を介して、排気孔29aから排気されたエアを、該ガイドカバー39の内部に導入する。ガイドカバー39におけるガイド方向の端部は開放されて排気口39aを構成している。このため、上述ようにして、ガイドカバー39内に流入したエアは、該ガイドカバー39の流動下流側の端部に開口して形成された排気口39aを介して、外部に排出される。
【0048】
続いて、ガイドカバー39の固定構造について説明すると、その周壁部42における下縁部には、外側に延設され且つフラットな板状をなす複数の取付座44が、一体的に設けられている。この複数の取付座44を、天板29に着脱可能にボルト固定することにより、ガイドカバー39を天板29の上面に設置している。
【0049】
また、ガイドカバー39の周壁部42の内面における排気口39aと対向する箇所は、上方に向かって前記ガイド方向に傾斜した案内面42aが形成されている。排気孔29aから上方に排気されたエアは、ガイド面42aによって前記ガイド方向にスムーズに案内され、排気口39aから外部に排気される。
【0050】
ガイドカバー39の排気口39aが形成された端部は、グレンタンク11から若干ガイド方向に突出し、排出オーガ12の排出筒12bの外周面に臨んでおり(具体的には近接している)、この排出筒12bがガイド方向から視て、排気口39aをカバーして保護する部材として機能している。
【0051】
また、ガイドカバー39の排気口39aが形成された端部の真正面側には、エンジンからの排気ガスを後方に排出するマフラー(排気ガス排出部)46が配置されている。マフラー46から排気されるエンジンからの排気ガスは、後方に流動する過程で、ガイドカバー39の排気口39aを通過し、該排気口39aからのエアの排気を促進させ、グレンタンク11のエア抜きをスムーズに行うことが容易になる。
【0052】
以上のように構成されるコンバインによれば、揚穀ラセン24により上方搬送された穀粒は、回転する跳出体34によって、投入口33からグレンタンク11内部の空間に投入され、該空間に山状に堆積する。堆積した穀粒は天板29の下面側に配置された感圧センサ36に接触して該感圧センサ36を作動させ、これによって該穀稈のグレンタンク11内での堆積量が基準量に達したことや、それ以上になったことが検出される。また、このような満杯に近い状態でも、グレンタンク11内の穀粒が排気孔29aから飛び出すことを、ガードカバー41によって効率的に防止できる。
【0053】
一方で、穀粒が天板29に達する高さまで堆積したとしても、非投入範囲R2に配置された排気孔29aの直下には穀粒が存在しない空のスペースが確保され、該スペース内のエアは排気孔29aから順次上方に排気される。この排気の際、エアは、案内面42aによってガイド方向にスムーズに案内されるため、より効率的な排気が促進され、グレンタンク11の内圧の上昇を効率的に抑制できる。
【0054】
また、排気孔29aからの雨等の侵入は、ガイドカバー39によって効率的に防止される。また、このガイドカバー39の排気口39aからの異物の侵入や洗車時における浸水も、その開放方向の近傍に配置された排出オーガ12の排出筒12bによって効率的に防止できる。
【0055】
なお、感圧センサ36を天板29の下面に1つ設ける例につき、説明したが、感圧センサ36は複数設けてもよい。
【0056】
次に、
図8及び
図9に基づき、本発明の別実施形態について上述の形態と異なる部分を説明する。
【0057】
図8は本発明の別実施形態に係るグレンタンクの構成を示す斜視図である。上述の形態に係るグレンタンク11は、その天板29が全体的にフラットに形成されていたが、本形態では、天板29に段差が形成され、その上段部47側に開閉蓋38が設置され、下段部48側に感圧センサ36及び排気ユニット37が配置されている。
【0058】
図9は
図8に示すグレンタンクのエア抜き構成を示す断面図である。上述した形態に係るガイドカバー39は、そのガイド方向が本コンバインの左右方向に対して斜めに向けられていたが、本形態に係るガイドカバー39では、そのガイド方向が本コンバインの真横方向に向けられている。また、上述の形態では、ガイドカバー39の排気口39aはガイド方向に開口していたが、本形態では、真下側に向けられている。このような開口方向の設定によって、排気口39aからの浸水や異物の侵入を、ガイドカバー39自体によって効率的に防止できる。
【0059】
次に、
図10(A),(B)に基づき、本発明の別実施形態について上述の形態と異なる部分を説明する。
【0060】
図10(A),(B)は本発明の別実施形態に係るグレンタンクにおいてガイドカバーを取り付けた状態と取り外した状態とを夫々示す斜視図である。同図に示す形態では、
図8及び
図9に示すコンバインにおいて、ガイドカバー39の排気口39aの開口方向を、
図1乃至
図7に示す形態と同様、前記ガイド方向に向け、さらに、ガイドカバー39aのグレンタンク11から前記ガイド方向への突出量を増大させている。
【符号の説明】
【0061】
2 走行機体
3 前処理部
9 脱穀装置(脱穀部)
11 グレンタンク
12 排出オーガ(オーガ)
22 穀粒搬送装置
29 天板部
29a 排気孔
33 投入口(投入部)
36 感圧センサ
39 ガイドカバー
41 ガードカバー(ガード部)
42a 案内面
R1 投入範囲
R2 非投入範囲