IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本間 陸麻の特許一覧

<>
  • 特開-調理用鍋の蓋体 図1
  • 特開-調理用鍋の蓋体 図2
  • 特開-調理用鍋の蓋体 図3
  • 特開-調理用鍋の蓋体 図4
  • 特開-調理用鍋の蓋体 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129613
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】調理用鍋の蓋体
(51)【国際特許分類】
   A47J 36/06 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
A47J36/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038937
(22)【出願日】2023-03-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】523092461
【氏名又は名称】本間 陸麻
(74)【代理人】
【識別番号】100095717
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 博文
(72)【発明者】
【氏名】本間 陸麻
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055BA31
4B055CA33
4B055CA34
4B055CB02
4B055CB12
(57)【要約】
【課題】調理用鍋の蓋体の構造に関し、蓋を閉じたまま、蓋面の一部を適宜の領域で開放することを可能とした蓋体を提供する。
【解決手段】
調理用鍋の蓋体1の上面の所定面域を開口させた開口窓11と、該開口窓11の全域を覆う面版状を成すと共に、前記蓋体1の中央部から外周縁方向に伸びる折り線で山折り線部20aと谷折り線部20bを交互に繰り返す蛇腹折り構造を成した扉体2と、該扉体2が蛇腹作動によって前記蓋体1の上面に沿って倣い移動するようにガイドするガイド手段4と、前記扉体の蛇腹作動による伸縮方向の両端部において、両端側にそれぞれ分離可能な保持手段3を設けたことを特徴としている。かかる構成により、上記ガイド手段4にガイドされて扉体2の蛇腹折り移動が円滑かつ自在となる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理用鍋の蓋体であって、
該蓋体の上面の所定面域を開口させた開口窓と
該開口窓の全域を覆う面版状を成すと共に、前記蓋体の中央部から外周縁方向に伸びる折り線で山折り線部と谷折り線部を交互に繰り返す蛇腹折り構造を成した扉体と、
該扉体が蛇腹作動によって前記蓋体の上面に沿って倣い移動するようにガイドするガイド手段と、
前記扉体の蛇腹作動による伸縮方向の両端部において、一方端側を前記蓋体に固定すると共に他端側を前記蓋体と分離可能に構成した保持手段を設けたこと、又は両端側にそれぞれ分離可能な保持手段を設けたこと、のいずれかの構成を採ったことを特徴とする調理用鍋の蓋体。
【請求項2】
前記ガイド手段が、
前記扉体の谷折り線部から谷折り線延長方向へ、蓋体の内側と外側へそれぞれ突出させた倣い部材と、
前記開口窓付近の蓋体中央側と蓋体外周側にそれぞれ配置され、前記各倣い部材との係合移動をガイドするガイド部材と、
から成ることを特徴とする請求項1記載の調理用鍋の蓋体。
【請求項3】
前記倣い部材と前記ガイド部材との係合を解除して扉体を蓋体から分離可能としたことを特徴とする請求項2記載の調理用鍋の蓋体。
【請求項4】
前記保持手段が、
扉体側又は蓋体側のいずれか一方側に係合凸部を、他方側に係合受け部を配置した構成であることを特徴とする請求項1、2、又は3記載の調理用鍋の蓋体。
【請求項5】
請求項4記載の保持手段は、
係合後には引張力をもって保持させることを特徴とする請求項4記載の調理用鍋の蓋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理用鍋の蓋体の構造に関し、特に、蓋を閉じたまま、蓋面の一部を適宜の領域で開放することを可能とした調理用鍋の蓋体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から調理用鍋の蓋体を閉じたままで蓋面の一部の領域を開放して、鍋内の状態を見たり、中の食材を攪拌したり、さらには必要な調味料の添加を目的とした調理用鍋の蓋体が存在していた。これを目的として、蓋を閉じたまま蓋面の一部を回転させて、所定の領域(半円形、扇形、等)を開口する構成として、特許文献1の「折りたためる鍋のフタ」、特許文献2の「煮炊器の蓋」、及び特許文献3の「便利鍋」などが開示されている。これらは蓋体の中央部の摘まみを回転中心として所定中心角の扇形の部分を他方部分に重畳させるようにして回転させる構成を採ったものである。
【0003】
また、蓋面の一部の領域を、蝶番等で扉状に上下方向に開扉させる分割蓋体を構成要素した特許文献4の「鍋及びやかんの蓋」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭49―149167号公報
【特許文献2】実開昭51―120868号公報
【特許文献3】実開昭58―55720号公報
【特許文献4】実開平3―66837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公報に開示された各考案の鍋用の蓋体は、開閉時の操作性と洗浄時の取扱の煩雑性と衛生上の課題があった。
【0006】
すなわち、特許文献1で開示されている「折りたためる鍋のフタ」は、鍋とのセットになったものであるため、汎用性に乏しく、特許文献2の「煮水器の蓋」にあっては、蓋体の一部の移動部分を重ねる方式であるため、その間に食材の滓などが残存して、洗浄が完全でない課題があった。特許文献3の「便利鍋」も同様に可動する蓋体を分離して洗浄することができない課題があった。
【0007】
さらに、特許文献4の「鍋及びやかんの蓋」には、開閉蓋版であるため、開口面積が特定されており、開口面積の適宜設定ができないという課題があった。
【0008】
本発明は、上記課題に着目して成されたものであり、鍋に被せたままの蓋体を、その一部に形成した開口窓を蛇腹作動によって適宜適時に開放することを目的とした調理蓋用の蓋体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するため調理用の鍋蓋を、以下のように構成した。
すなわち、調理用鍋の蓋体であって、該蓋体の上面の所定面域を開口させた開口窓と、該開口窓の全域を覆う面版状を成すと共に、前記蓋体の中央部から外周縁方向に伸びる折り線で山折り線部と谷折り線部を交互に繰り返す蛇腹折り構造を成した扉体と、該扉体が蛇腹作動によって前記蓋体の上面に沿って倣い移動するようにガイドするガイド手段と、前記扉体の蛇腹作動による伸縮方向の両端部において、一方端側を前記蓋体に固定すると共に他端側を前記蓋体と分離可能に構成した保持手段を設けたこと、又は両端側にそれぞれ分離可能な保持手段を設けたこと、のいずれかの構成を採ったことを特徴としている。
【0010】
また、上記ガイド手段としては、前記扉体の谷折り線部から谷折り線延長方向へ、蓋体の内側と外側へそれぞれ突出させた倣い部材と、前記開口窓付近の蓋体中央側と蓋体外周側にそれぞれ配置され、前記各倣い部材との係合移動をガイドするガイド部材と、から成ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
上記構成の蓋体によれば、蓋体を鍋から取り外すことなく、鍋に被せた状態で内部の食材に手を加えることができる。また、蛇腹構造を採ることにより適宜の開口域の設定を速やかに行なうことができる。さらに、扉体を取り外して洗浄を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施例に係る調理用鍋の蓋体を示す全体斜視図である。
図2図1のA-A線断面である。
図3】本実施例に係る調理用鍋の蓋体から扉体を分離して示す組立斜視図である。
図4】本実施例に係る調理用鍋の蓋体から扉体の一部の蛇腹移動を示す全体斜視図である。
図5】本実施例に係る調理用鍋の蓋体から扉体の蛇腹構造の他の構成を示す要部断面図であり、(A)は蛇腹が面版状になった状態であり、(B)は蛇腹が折り畳み過程の状態を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る調理用鍋の蓋体の実施形態例(以下、「本実施例」という。)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
<蓋体の構成>
図1は本実施例の調理用鍋の蓋体の全体を示す斜視図である。図示符号1は、一般的な調理用鍋Pの開口面に被せる平版状の蓋体1である。本実施例では、中央部が盛り上がった略傘状又は椀状を成している。該蓋体1の上面中央部には、突出状の摘み部10を取り付けている。
【0015】
該蓋体1の上面には、摘み部10を中心として、中心角が鈍角の扇形状に開口させた開口窓11を形成している。なお、この中心角は、150度程度が好ましいが、これに限定するものではない。蓋体1の保形性や必要な開口面積を考慮して約180度から90度の範囲で、適宜に設定される。
【0016】
さらに、この開口窓11は、開口面を覆う扇形状の扉体2を、前記蓋体1の上面に重ねるようにして配置している。
なお、本実施例の蓋体1は、一般に円形状を成しているが、鍋が正四角形や正六角形などである場合は、それに適応した形状となる。
【0017】
<扉体の構成>
前記扉体2は、上記蓋体1の中央部(摘み部)から外縁方向(半径方向)へ、等角の鋏角を持って伸びる複数の折り線部20を有し、これらが谷折り線部20aと山折り線部20bを交互に繰り返す蛇腹折り構造にしている(図1参照)。
【0018】
この扉体2の蛇腹折り構造は、蓋体1の摘み部10を中心として等角中心角の扇形状の扉構成片21を複数個配置し、隣接の縁部どうしを線型の連結部材22で連結して、前記折り線部20として機能させるものである。本実施例では、蛇腹作動時の折り曲げ容易性を考慮して、連結部材22を金属又は耐熱樹脂材等の硬質部材22aで形成しており、一方で、前記扉構成片21を、例えば、柔軟性かつ耐熱性のあるシリコン樹脂材等の軟質面材21bで形成している(図4参照)。またこれとは逆に、扉構成片21を耐熱性の硬質面材21aで形成し、連結部材22の方を耐熱性の軟質部材22bで形成してもよい(図5参照)。
【0019】
<保持手段の構成>
本実施例の保持手段3は、係合凸部としての嵌合凸部30aと、係合受け部としての嵌合受部31との弾性嵌合によって構成している(図1図2図4参照)。
【0020】
前記嵌合凸部30は、扉体2の円弧方向の両端縁部から円弧方向に沿って突出させた状態にて各2個を配置している。前記嵌合凸部30は、弾性部材で先端に引掛け部30aをもった形状に形成している。一方、これと嵌合させる嵌合受部31を、前記開口窓11の円弧方向の縁部に配設している。この嵌合凸部30を、弾発力をもって嵌合受部31に嵌合(矢印m)させると共に、所定の引張力をもって分離させるように構成している。
【0021】
かかる構成により、嵌合凸部30と嵌合受部31との嵌合時には、所定の引張力が付勢されて保持されるため、扉体2は面版状を成して蓋体1に密着させることができる。
【0022】
また、扉体2の円弧方向の両端縁部には、それぞれ所定の高さに立設させた把手片32を形成している。この把手片32を摘んで、適宜に扉体2を円弧方向に折り畳み移動(矢印s)させることにより、開口窓11の開閉を容易にしている。
なお、図1図4に示した実施例では、前記保持手段3を扉体2の円弧方向の両端部に配設しているが、一方側のみに保持手段3を配設して移動可能としてもよい。
【0023】
さらにまた、上記嵌合凸部30と上記嵌合受部31の配置は、互いに逆に配置してもよい。
【0024】
<ガイド手段の構成>
本実施例におけるガイド手段4は、倣い部材40とガイド部材41の係合移動により構成している。
【0025】
この倣い部材40は、前記扉体2の谷折り線部20aから、蓋体1の中央側と外周側にそれぞれ折り線方向に沿って突出させた棒状の部材(硬質材)で形成している。
【0026】
これと係合するガイド部材41は、開口窓側に断面コ字状に開口した横溝体を呈しており、蓋体1の開口窓11の内側縁部と外側縁部に沿って、円弧状の内円弧ガイド部材41aと外円弧ガイド部材41bをそれぞれ配置している。
【0027】
さらに、上記の外円弧ガイド部材41bの円弧状の全長は、開口窓11の外側円弧の縁長より両端部を、扉構成片21の1個分以上を短く設定して配設している。これにより蛇腹折りした扉体2を、外円弧ガイド部材41bのいずれかの両端部付近において、前記倣い部材40をガイド部材41から係合を解除して、扉体2の蓋体1からの分離を可能としている。
【0028】
かかる構成により、上記各倣い部材40と上記ガイド部材41とが係合して扉体2の蛇腹折り移動が円滑かつ自在となる。
【0029】
<上記各手段の他の構成の可能性>
上記した保持手段3は、上記嵌合凸部30と嵌合受部31の各手段に限定するものではなく、扉体2を蓋体1に面版状に密着させることが目的であるため、既存のクリップ機構や紐状や棒状の弾性部材を蓋体1に形成した引っ掛け部と連携させるようにしてもよい(図示省略)。
【0030】
また、ガイド手段4においも上記構成に限定するものではなく、一般的な技術をもって扉体2の蛇腹折り移動を円滑にすることができる構成を用いてもよい。図示は省略するが、例えば、前記谷折り線部20aから突出させた倣い部材を円環状に変えて、この円環を開口窓11の内外側の円弧縁部付近に配設した硬質ワイヤーに環装して移動させるようにしてもよい。いわば、カーテンとカーテンレールとの連携機構と同様にしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 蓋体
10 摘み部
11 開口窓
2 扉体
20 折り線部
20a 谷折り線部
20b 山折り線部
21 扉構成片
22 連結部材
3 保持手段
30 嵌合凸部
31 嵌合受部
32 把手片
4 ガイド手段
40 倣い部材
41 ガイド部材
P 調理用鍋
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
調理用鍋の蓋体であって、
該蓋体の上面の所定面域を開口させた開口窓と
該開口窓の全域を覆う面版状を成すと共に、前記蓋体の中央部から外周縁方向に伸びる折り線で山折り線部と谷折り線部を交互に繰り返す蛇腹折り構造を成した扉体と、
該扉体が蛇腹作動によって前記蓋体の上面に沿って倣い移動するようにガイドするガイド手段と、
前記扉体の蛇腹作動による伸縮方向の両端部において、一方端側を前記蓋体に固定すると共に他端側を前記蓋体と分離可能に構成した保持手段を設けたこと、又は両端側にそれぞれ前記蓋体と分離可能な保持手段を設けたこと、のいずれかの構成を採ったことを特徴とする調理用鍋の蓋体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項5】
前記保持手段は、
係合後には引張力をもって保持させることを特徴とする請求項4記載の調理用鍋の蓋体。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
すなわち、調理用鍋の蓋体であって、該蓋体の上面の所定面域を開口させた開口窓と、該開口窓の全域を覆う面版状を成すと共に、前記蓋体の中央部から外周縁方向に伸びる折り線で山折り線部と谷折り線部を交互に繰り返す蛇腹折り構造を成した扉体と、該扉体が蛇腹作動によって前記蓋体の上面に沿って倣い移動するようにガイドするガイド手段と、前記扉体の蛇腹作動による伸縮方向の両端部において、一方端側を前記蓋体に固定すると共に他端側を前記蓋体と分離可能に構成した保持手段を設けたこと、又は両端側にそれぞれ前記蓋体と分離可能な保持手段を設けたこと、のいずれかの構成を採ったことを特徴としている。