(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129621
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】スイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 36/00 20060101AFI20240919BHJP
G01R 33/07 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
H01H36/00 M
G01R33/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038946
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】村上 康平
(72)【発明者】
【氏名】蘇 日娜
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳二
【テーマコード(参考)】
2G017
5G046
【Fターム(参考)】
2G017AA13
2G017AD53
2G017BA05
5G046AA01
5G046AA02
5G046AB01
5G046AC52
5G046AD02
(57)【要約】
【課題】作動体の大型化と検知精度の低下との両方が抑制されたスイッチを提供する。
【解決手段】本開示に係るスイッチは、本体と、本体と接近し且つ対向する検知位置に配置可能な作動体とを備える。作動体は、作動体が検知位置にあるときに、本体と作動体との対向方向である第1方向に交差する第2方向に沿って順に並んだ第1~第4磁石を有する。各磁石は、一方の磁極と他方の磁極とが対向方向に沿って並び、且つ対向方向における磁極の配置が隣り合う磁石と異なるように配置されている。本体は、第1~第4磁石の少なくとも1つによって生成される磁束を検知可能に構成された3つ以上のセンサを有する。3つ以上のセンサは、第2方向に沿って並んでいる。作動体が検知位置にあるとき、3つ以上のセンサの少なくとも1つの第2方向における中央は、各磁石の第2方向における中央から第2方向に外れた位置にある。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体と接近し且つ対向する検知位置に配置可能な作動体と、
を備え、
前記作動体は、第1磁石と、第2磁石と、第3磁石と、第4磁石とを有し、
前記第1磁石、前記第2磁石、前記第3磁石、及び前記第4磁石は、前記作動体が前記検知位置にあるときに、前記本体と前記作動体との対向方向である第1方向に交差する第2方向に沿って順に並び、
前記第1磁石、前記第2磁石、前記第3磁石、及び前記第4磁石の各々は、一方の磁極と他方の磁極とが前記第1方向に沿って並び、且つ前記第1方向における磁極の配置が隣り合う磁石と異なるように配置され、
前記本体は、前記第1磁石、前記第2磁石、前記第3磁石、及び前記第4磁石の少なくとも1つによって生成される磁束を検知可能に構成された3つ以上のセンサを有し、
3つ以上の前記センサは、前記第2方向に沿って並び、
前記作動体が前記検知位置にあるとき、3つ以上の前記センサの少なくとも1つの前記第2方向における中央は、前記第1磁石、前記第2磁石、前記第3磁石、及び前記第4磁石の各々の前記第2方向における中央から前記第2方向に外れた位置にある、
スイッチ。
【請求項2】
前記本体は、3つ以上の前記センサとして、前記第2方向において両端に配置された2つの端センサと、前記第2方向において2つの前記端センサの間に配置された1つ以上の中間センサとを有し、
前記作動体が前記検知位置にあるとき、1つ以上の前記中間センサの各々の前記第2方向における中央は、前記第1磁石、前記第2磁石、前記第3磁石、及び前記第4磁石の各々の前記第2方向における中央から前記第2方向に外れた位置にある、
請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
前記本体は、3つ以上の前記センサとして、前記第2方向において両端に配置された2つの端センサと、前記第2方向において2つの前記端センサの間に配置された2つの中間センサとを有し、
前記第2方向に隣り合う2つの前記中間センサの間の前記第2方向における最短距離は、前記第2方向に隣り合う前記端センサと前記中間センサとの間の前記第2方向における最短距離よりも小さい、
請求項1又は2に記載のスイッチ。
【請求項4】
前記本体は、3つ以上の前記センサとして、前記第2方向に沿って順に並んだ第1センサ、第2センサ、第3センサ、及び第4センサを有し、
前記作動体が前記検知位置にあるときに、前記第1方向において、前記第1センサは前記第1磁石と対向し、前記第2センサは前記第2磁石と対向し、前記第3センサは前記第3磁石と対向し、且つ前記第4センサは前記第4磁石と対向し、
前記作動体が前記検知位置にあるとき、前記第2センサの前記第2方向における中央は、前記第2磁石の前記第2方向における中央から前記第3センサに向かって前記第2方向に外れた位置にあり、
前記作動体が前記検知位置にあるとき、前記第3センサの前記第2方向における中央は、前記第3磁石の前記第2方向における中央から前記第2センサに向かって前記第2方向に外れた位置にある、
請求項1又は2に記載のスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、本体と作動体との接近を検知するスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のスイッチとしては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載のスイッチは、本体と、本体に対して接近し且つ対向可能な作動体とを備える。
【0003】
作動体は、3つの磁石、すなわち第1磁石、第2磁石、及び第3磁石を有する。第1磁石、第2磁石、及び第3磁石は、本体と当該本体に接近した作動体との対向方向(第1方向)に交差する横方向(第2方向)に順に並んでいる。各磁石は、一方の磁極と他方の磁極とが対向方向に沿って並び、且つ対向方向における磁極の配置が隣り合う磁石と異なるように配置されている。
【0004】
本体は、磁石の数とは異なる3つ以上のセンサを有する。各センサは、本体と作動体とが接近し、3つの磁石の少なくとも1つによって生成される磁束を検知したときに、検知信号を出力する。
【0005】
全てのセンサから検知信号が出力されたときに、本体は、本体と作動体とが接近した状態に対応する接近信号を出力する。少なくとも1つのセンサから検知信号が出力されないときに、本体は、本体と作動体とが離れた状態に対応する離隔信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のスイッチには、作動体の大型化と検知精度の低下との両方を抑制するという観点において未だ改善の余地がある。
【0008】
したがって、本開示の目的は、前記課題を解決することにあって、作動体の大型化と検知精度の低下との両方が抑制されたスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係るスイッチは、
本体と、
前記本体と接近し且つ対向する検知位置に配置可能な作動体と、
を備え、
前記作動体は、第1磁石と、第2磁石と、第3磁石と、第4磁石とを有し、
前記第1磁石、前記第2磁石、前記第3磁石、及び前記第4磁石は、前記作動体が前記検知位置にあるときに、前記本体と前記作動体との対向方向である第1方向に交差する第2方向に沿って順に並び、
前記第1磁石、前記第2磁石、前記第3磁石、及び前記第4磁石の各々は、一方の磁極と他方の磁極とが前記第1方向に沿って並び、且つ前記第1方向における磁極の配置が隣り合う磁石と異なるように配置され、
前記本体は、前記第1磁石、前記第2磁石、前記第3磁石、及び前記第4磁石の少なくとも1つによって生成される磁束を検知可能に構成された3つ以上のセンサを有し、
3つ以上の前記センサは、前記第2方向に沿って並び、
前記作動体が前記検知位置にあるとき、3つ以上の前記センサの少なくとも1つの前記第2方向における中央は、前記第1磁石、前記第2磁石、前記第3磁石、及び前記第4磁石の各々の前記第2方向における中央から前記第2方向に外れた位置にある。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、作動体の大型化と検知精度の低下との両方が抑制されたスイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態に係るスイッチの斜視図である。
【
図2】
図1のスイッチのII-II線断面図である。
【
図3】
図1のスイッチの変形例を示す、
図2に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<本開示の基礎となった知見>
本発明者らは、スイッチにおける無効化の可能性を一層低減すべく、作動体に更に第4磁石を設けたスイッチの開発を進めている。ここで、無効化とは、実際には本体と作動体とが離れているにも拘わらず、作動体以外の物体が本体に接近することによって、誤って本体から接近信号が出力されることである。当該物体は、作動体の周囲に生成される磁界と類似した磁界を生成する。
【0013】
作動体に4つの磁石、すなわち第1~第4磁石を第2方向に順に並べて配置するとき、作動体の大型化を抑制するために、第1~第4磁石の各々を従来よりも小さくすることが考えられる。しかしながら、従来よりも小さい第1~第4磁石が配置される場合、各磁石によって放射又は吸収される磁束が弱まるため、スイッチの検知精度が低下するおそれがある。
【0014】
また、作動体の大型化を抑制するために、磁石同士の間隔を従来のスイッチよりも小さくすることが考えられる。しかしながら、当該間隔が小さくなると、第2磁石及び第3磁石の各々によって放射又は吸収される磁束が、隣り合う第1磁石及び第4磁石の各々に放射又は吸収される反対向きの磁束によって干渉され得る。この干渉の結果、第2磁石及び第3磁石の各々によって放射又は吸収される磁束の到達距離が低下するおそれがある。換言すれば、本体と作動体との接近時に本体が配置される位置において、磁束密度が低下するおそれがある。これにより、本体と作動体とが接近しているにも拘わらず、本体のセンサが4つの磁石によって生成される磁束を十分に検知できず、スイッチから接近信号が出力されない可能性がある。つまり、スイッチの検知精度が低下する可能性がある。
【0015】
そこで、本発明者らは、作動体に設けられる4つの磁石が生成する磁界について鋭意検討した。その結果、本体と作動体との接近時に本体が配置される位置では、第2磁石及び第3磁石の各々の中央から第2方向に外れた位置と対向する位置において、各磁石の中央と一致する位置と対向する位置よりも磁束密度が大きくなるという知見が見出された。
【0016】
本発明者らは、当該知見に基づき、少なくとも1つのセンサの第2方向における中央を、4つの磁石の各々の第2方向における中央から第2方向に外れた位置とするようにセンサを配置する構成に想到した。この配置によれば、全てのセンサの第2方向における中央が各磁石の第2方向における中央と一致する位置にあるようにセンサが配置された構成と比較して、少なくとも1つのセンサを磁束密度の大きい位置に配置することができる。その結果、本体と作動体との接近時に、第2磁石及び第3磁石によって放射又は吸収される磁束を、更に確実に検知することができる。この新規な知見に基づき、本発明者らは本開示に至った。
【0017】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向又は位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した本開示の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本開示の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。
【0018】
本明細書において、「電気的に接続」とは、複数の構成要素の間を電流が導通可能であること、複数の構成要素が容量結合すること、及び複数の構成要素が電磁的に結合することのいずれも含む。
【0019】
<実施形態>
図1を参照しながら、本開示の実施形態に係るスイッチについて説明する。
図1は、本開示の実施形態に係るスイッチの斜視図である。本実施形態において、スイッチは、ドア等の開閉状態を検知する非接触式ドアスイッチである。
【0020】
図1並びに後述の
図2及び
図3では、説明の便宜上、互いに交差するX軸、Y軸、及びZ軸を示している。本実施形態では、X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交している。本明細書及び請求の範囲において「交差」とは、直交に限定されず、2つ以上の部材、仮想軸等が交わることを指す。すなわち、「交差」には、2つ以上の部材、仮想軸等が略直交することも含まれる。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係るスイッチ1は、本体2と、本体と接近し且つ対向する検知位置に配置可能な作動体3とを備える。
図1及び後述の
図2及び
図3には、作動体3が本体2と接近し且つX方向において対向する検知位置にある状態が示されている。X方向は、本開示における「第1方向」の一例である。作動体3に関する以下の説明では、特記のない限り、作動体3が検知位置にある状態を想定してX軸、Y軸、及びZ軸等の用語を用いる。
【0022】
本実施形態において、本体2は、開閉状態の検知されるドアの周囲に設けられた固定体に取り付けられ、作動体3は、ドア自体に取り付けられる。より詳細には、作動体3は、ドアの閉鎖時には本体2と接近し且つ対向する一方、ドアの開放時には本体2から離れて且つ対向しない位置に取り付けられる。
【0023】
図2は、
図1のスイッチのII-II線断面図である。
図2に示すように、作動体3は、4つの磁石31~34と、磁性体35と、4つの磁石31~34及び磁性体35を収容する筐体36を備える。本実施形態において、4つの磁石は、第1磁石31と、第2磁石32と、第3磁石33と、第4磁石34とを有する。
【0024】
本実施形態において、筐体36は、
図1に示すようにY方向に長い略直方体形状を有する。筐体36は、Z方向において互いに対向する上壁361及び下壁362と、周壁363とを有する。周壁363は、上壁361の縁と下壁362の縁とをZ方向に沿って接続している。周壁363のうち、X方向において本体2と対向する部分は、対向壁364を構成している。
【0025】
図2に示すように、筐体36には、4つの磁石31~34と、磁性体35とが収容されている。第1磁石31、第2磁石32、第3磁石33、及び第4磁石34は、本体2と作動体3との対向方向である第1方向(X方向)に交差するY方向に沿って順に並んでいる。Y方向は、本開示における「第2方向」の一例である。本実施形態において、第1磁石31、第2磁石32、第3磁石33、及び第4磁石34は、対向壁364に沿って、Y軸の正方向(
図2における右方向)に順に並んでいる。
【0026】
4つの磁石31~34のうち、Y方向に隣り合う2つの磁石(第1磁石31と第2磁石32、第2磁石32と第3磁石33、及び第3磁石33と第4磁石34の各々)は、Y方向において少なくとも部分的に対向している。各磁石31~34のX方向における中央は、X方向において同じ位置にあってもよく、異なる位置にあってもよい。本実施形態において、各磁石31~34のX方向における中央は、X方向において同じ位置にある。
【0027】
4つの磁石31~34のうち、Y方向に隣り合う2つの磁石のY方向における間隔は、同じであってもよく、異なってもよい。本実施形態においては、Y方向において、第1磁石31と第2磁石32との間隔、第2磁石32と第3磁石33との間隔、及び第3磁石33と第4磁石34との間隔は、同じである。
【0028】
4つの磁石31~34の形状、種類、及び磁力は、同様であってもよく、異なってもよい。本実施形態において、4つの磁石31~34は、同じ種類の磁石であり、同一の形状及び磁力を有する。
【0029】
磁性体35は、Z軸に沿って見た平面視において、4つの磁石31~34を介して対向壁364とX方向に対向するように配置されている。磁性体35は、4つの磁石31~34によって生成される磁束がX軸の正方向へ放射されるのを抑制するとともに、X軸の負方向への放射を増強する。例えば、磁性体35は、X方向において磁石31~34の配置に沿った形状を有する。本実施形態において、磁性体35は、X軸に略直交する平板形状を有し、4つの磁石31~34に接触している。
【0030】
各磁石31~34は、X方向に沿って並んだ一方の磁極31a,32a,33a,34aと、他方の磁極31b,32b,33b,34bとを有する。一方の磁極31a,32a,33a,34aは、X方向において本体2と対向する。すなわち、一方の磁極31a,32a,33a,34aは、X方向において対向壁364と対向する。一方、他方の磁極31b,32b,33b,34bは、X方向において磁性体35と対向する。
【0031】
各磁石31~34は、X方向における磁極の配置が隣り合う磁石と異なるように配置される。本実施形態において、第1磁石31及び第3磁石33の一方の磁極31a,33aと、第2磁石32及び第4磁石34の他方の磁極32b,34bは、N極である。第1磁石31及び第3磁石33の他方の磁極31b,33bと、第2磁石32及び第4磁石34の一方の磁極32a,34aは、S極である。
【0032】
図2には、4つの磁石31~34によって生成され且つ本体2に向かう第1磁束MF1、第2磁束MF2、及び第3磁束MF3が模式的に破線で示されている。第1磁束MF1は、第1磁石31の一方の磁極31a(N極)から放射され、第2磁石32の一方の磁極32a(S極)に収束している。第2磁束MF2は、第3磁石33の一方の磁極33a(N極)から放射され、第2磁石32の一方の磁極32a(S極)に収束している。第3磁束MF3は、第3磁石33の一方の磁極33a(N極)から放射され、第4磁石34の一方の磁極34a(S極)に収束している。
【0033】
本体2は、3つ以上のセンサ21~24と、センサ21~24を収容する筐体25とを有する。本実施形態において、本体2の筐体25は、Y方向に長い略直方体形状を有する。筐体25は、Z方向において互いに対向する上壁251及び下壁252と、周壁253とを有する。周壁253は、上壁251の縁と下壁252の縁とをZ方向に接続している。周壁253は、X方向において作動体3と対向する対向壁254を有する。
【0034】
本体2は、筐体25から外部に延びるコード26が設けられている。コード26は、一方端において、センサ21~24を有する内部回路に電気的に接続されている。コード26の他方端は、例えば、スイッチ1の接近信号及び離隔信号の出力先となるコントローラに接続される。
【0035】
本実施形態において、本体2は、3つ以上のセンサとして、第1センサ21、第2センサ22、第3センサ23、及び第4センサ24の4つのセンサを有する。4つのセンサ21~24は、Y方向に沿って順に並んでいる。本実施形態において、第1センサ21、第2センサ22、第3センサ23、及び第4センサ24は、本体2に設けられた対向壁254に沿って、Y軸の正方向(
図2における右方向)に順に並んでいる。4つのセンサ21~24のうち、Y方向に隣り合う2つのセンサ(第1センサ21と第2センサ22、第2センサ22と第3センサ23、及び第3センサ23と第4センサ24の各々)は、Y方向において少なくとも部分的に対向している。本実施形態において、各センサ21~24のX方向における中央は、X方向において同じ位置にある。
【0036】
つまり、第1センサ21及び第4センサ24は、Y方向において4つのセンサ21~24の両端に配置されている。第1センサ21及び第4センサ24は、本開示における「端センサ」の一例である。以下の説明では、第1センサ21及び第4センサ24を端センサともいう。
【0037】
第2センサ22及び第3センサ23は、Y方向において第1センサ21と第4センサ24との間に配置されている。第2センサ22及び第3センサ23は、本開示における「中間センサ」の一例である。以下の説明では、第2センサ22及び第3センサ23を中間センサともいう。
【0038】
各センサ21~24は、4つの磁石31~34の少なくとも1つによって生成される磁束を検知可能に構成される。本実施形態において、4つのセンサ21~24は、ホール素子を有するホールICである。ホールICは、ホール素子が受けた磁束の磁束密度に応じた信号を出力する。例えば、ホールICは、予め決められた磁束密度以上の磁束を検知したときには検知信号を出力し、予め決められた磁束密度よりも小さい磁束を検知したときには、検知信号を出力しない。例えば、本体2は、全てのセンサ21~24から検知信号が出力されたときに、本体2と作動体3とが接近した状態に対応する接近信号を出力し、4つのセンサ21~24の少なくとも1つから検知信号が出力されないときに、本体2と作動体3とが離れた状態に対応する離隔信号を出力する。
【0039】
各センサ21~24は、4つの磁石31~34の少なくとも1つとX方向において対向してもよい。本実施形態においては、X方向において、第1センサ21は第1磁石31と対向し、第2センサ22は第2磁石32と対向し、第3センサ23は第3磁石33と対向し、且つ第4センサ24は第4磁石34と対向している。また、各センサ21~24の表面のうち、X方向において作動体3を向く領域の全面が、各磁石31~34の表面と対向している。
【0040】
本実施形態において、第1センサ21は、第1磁石31から放射される第1磁束MF1を検知する。第2センサ22は、第2磁石32に収束する第1磁束MF1及び第2磁束MF2を検知する。第3センサ23は、第3磁石33から放射される第2磁束MF2及び第3磁束MF3を検知する。第4センサ24は、第4磁石34に収束する第3磁束MF3を検知する。
【0041】
4つのセンサ21~24の少なくとも1つのY方向における中央は、各磁石31~34のY方向における中央からY方向に外れた位置にある。
図2には、4つのセンサ21~24及び4つの磁石31~34の各々のY方向における中央を、X方向に延長して二点鎖線で示している。
【0042】
各中間センサ22,23のY方向における中央C22,C23は、各磁石31~34のY方向における中央C31~C34からY方向に外れた位置にあってよい。すなわち、各中間センサ22,23のY方向における中央C22,C23は、各磁石31~34のY方向における中央C31~C34からY軸の正方向又は負方向に外れた位置にあってよい。
【0043】
本実施形態において、第2センサ22のY方向における中央C22は、第2磁石32のY方向における中央C32から第3センサ23に向かってY方向、すなわち、Y軸の正方向に外れた位置にある。第3センサ23のY方向における中央C23は、第3磁石33のY方向における中央C33から第2センサ22に向かってY方向、すなわち、Y軸の負方向に外れた位置にある。つまり、全ての中間センサ22,23のY方向における中央C22,C23が、各磁石31~34のY方向における中央C31~C34からY方向に外れた位置にある。
【0044】
第1センサ21のY方向における中央C21は、第1磁石31のY方向における中央C31とY方向において同じ位置にある。第4センサ24のY方向における中央C24は、第4磁石34のY方向における中央C34とY方向において同じ位置にある。
【0045】
図2には、Y方向に隣り合う4つのセンサ21~24のうち、2つのセンサの間のY方向における各距離L1~L3が示されている。具体的には、距離L1は、第2センサ22と第3センサ23との間のY方向における最短距離である。距離L2は、第1センサ21と第2センサ22との間のY方向における最短距離である。距離L3は、第3センサ23と第4センサ24との間のY方向における最短距離である。本実施形態において、距離L2と距離L3とは、同一の距離である。
【0046】
Y方向に隣り合う2つの中間センサ22,23の間のY方向における距離L1は、Y方向に隣り合う端センサ21,24と中間センサ22,23との間の距離L2,L3よりも小さい。
【0047】
本実施形態に係るスイッチ1によれば、全てのセンサ21~24のY方向における中央C21~C24が各磁石31~34のY方向における中央C31~C34と一致する位置にある構成と比較して、少なくとも1つのセンサ21~24は、磁束密度の大きい位置に配置され得る。これにより、本体2と作動体3との接近時に、作動体3に設けられた磁石31~34から発せられた磁束を、前記の構成よりも確実に検知することができる。したがって、作動体3の大型化と検知精度の低下との両方が抑制されたスイッチ1を提供することができる。
【0048】
また、本実施形態に係るスイッチ1によれば、各中間センサ22,23のY方向における中央C22,C23が各磁石31~34のY方向における中央C31~C34と一致する位置にある構成と比較して、各中間センサ22,23は、磁束密度の大きい位置に配置され得る。これにより、本体2と作動体3との接近時に、作動体3に設けられた磁石31~34から発せられた磁束を、当該構成よりも確実に検知することができる。したがって、作動体3の大型化と検知精度の低下との両方が抑制されたスイッチ1を提供することができる。
【0049】
また、本実施形態に係るスイッチ1によれば、2つの中間センサ22,23のY方向における最短距離L1がY方向に隣り合う端センサ21,24と中間センサ22,23との間のY方向における最短距離L2,L3よりも大きい構成と比較して、各中間センサ22,23は、磁束密度の大きい位置に配置され得る。これにより、本体2と作動体3との接近時に、作動体3に設けられた磁石31~34から発せられた磁束を、当該構成よりも確実に検知することができる。したがって、作動体3の大型化と検知精度の低下との両方が抑制されたスイッチ1を提供することができる。
【0050】
また、本実施形態に係るスイッチ1によれば、第2センサ22のY方向における中央C22が第2磁石32のY方向における中央C32から第3センサ23に向かってY方向に外れた位置にあり、第3センサ23のY方向における中央C23は、第3磁石33のY方向における中央C33から第2センサ22に向かってY方向に外れた位置にある。これにより、第2センサ22及び第3センサ23の各々のY方向における中央C22,C23が前記の位置以外の位置にある構成と比較して、各中間センサ22,23は、磁束密度の大きい位置に配置され得る。これにより、本体2と作動体3との接近時に、作動体3に設けられた磁石31~34から発せられた磁束を、当該構成よりも確実に検知することができる。したがって、作動体3の大型化と検知精度の低下との両方が抑制されたスイッチ1を提供することができる。
【0051】
なお、本開示は、前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施することができる。例えば、前記の実施形態では、スイッチ1が非接触式ドアスイッチであるが、本開示はこれに限定されない。スイッチ1は、作動体に設けられた磁石が生成する磁束を本体のセンサによって検知することにより、本体と作動体との接近を検知するものであればよい。例えば、スイッチ1は、移動体を有するシステムに組み込まれ、作動体が設けられた移動体が本体の配置場所へ接近するのを検知してもよい。
【0052】
また、前記の実施形態では、作動体3が4つの磁石31~34を有するが、本開示はこれに限定されない。例えば、作動体3は、4つの磁石31~34に加えて、本体2に設けられたセンサ21~24に検知される磁束を生成する追加の磁石を有してもよい。つまり、作動体3は、センサ21~24に検知される磁束を生成する磁石を合計で5つ以上有してもよい。追加の磁石は、4つの磁石31~34と共に、Y方向に沿って並んでもよい。このとき、追加の磁石は、4つの磁石31~34の間に配置されてもよく、4つの磁石31~34のY方向における外側に配置されてもよい。
【0053】
また、前記の実施形態では、本体2が4つのセンサ21~24を有するが、本開示はこれに限定されない。本体2に設けられるセンサは、4つの磁石31~34によって生成される3つの磁束MF1~MF3の全てを検知できればよい。つまり、本体2は、各磁束MF1~MF3に対応する3つのセンサを有してもよい。また、5つ以上のセンサが設けられてもよい。本体2に設けられるセンサの数と、作動体3に設けられる磁石の数は、同じであってもよく、異なってもよい。
【0054】
また、前記の実施形態では、中間センサが2つ(第2センサ22及び第3センサ23)設けられているが、本開示はこれに限定されない。中間センサは、1つ又は3つ以上設けられてもよい。
【0055】
また、前記の実施形態では、全ての中間センサ22,23のY方向における中央C22,C23が、各磁石31~34のY方向における中央C31~C34からY方向に外れた位置にあるが、本開示はこれに限定されない。中間センサが2つ以上設けられる場合、中間センサの少なくとも1つのY方向における中央が、各磁石31~34のY方向における中央からY方向に外れた位置にあってもよい。
【0056】
また、前記の実施形態では、第2センサ22のY方向における中央C22が、第2磁石32のY方向における中央C32から第3センサ23に向かってY方向に外れた位置にあるが、本開示はこれに限定されない。例えば、第2センサ22のY方向における中央C22は、第2磁石32のY方向における中央C32から第1センサ21に向かってY方向に外れた位置にあってもよい。また、第3センサ23のY方向における中央C23は、第3磁石33のY方向における中央C33から第4センサ24に向かってY方向に外れた位置にあってもよい。
【0057】
また、前記の実施形態では、4つのセンサ21~24のうち、Y方向に隣り合う2つのセンサが、Y方向において少なくとも部分的に対向しているが、本開示はこれに限定されない。
図3は、
図1のスイッチの変形例を示す、
図2に対応する断面図である。例えば、
図3に示す第3センサ23Aは、第1センサ21、第2センサ22、及び第4センサ24よりもX軸の負方向に外れた位置に配置されている。第3センサ23Aは、Y方向に隣り合う第2センサ22及び第4センサ24とY方向において対向していない。
【0058】
また、前記の実施形態では、4つのセンサ21~24のうち、2つの中間センサ22,23の各々のY方向における中央C22,C23が、各磁石31~34のY方向における中央からY方向に外れた位置にあるが、本開示はこれに限定されない。例えば、
図3に示すように、2つの端センサ21,24の少なくとも1つのY方向における中央(例えば、第1センサ21AのY方向における中央C21)が、各磁石31~34のY方向における中央C31~C34からY方向に外れた位置にあってもよい。
【0059】
前記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることによって、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせ、実施例同士の組み合わせ、又は実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態又は実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
【0060】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【0061】
以上、図面を参照して本開示における種々の実施形態を詳細に説明したが、最後に、本開示の種々の態様について説明する。なお、以下の説明では、一例として、参照符号も添えて記載する。
【0062】
本開示の第1態様によれば、
本体(2)と、
前記本体(2)と接近し且つ対向する検知位置に配置可能な作動体(3)と、
を備え、
前記作動体(3)は、第1磁石(31)と、第2磁石(32)と、第3磁石(33)と、第4磁石(34)とを有し、
前記第1磁石(31)、前記第2磁石(32)、前記第3磁石(33)、及び前記第4磁石(34)は、前記作動体(3)が前記検知位置にあるときに、前記本体(2)と前記作動体(3)との対向方向である第1方向に交差する第2方向に沿って順に並び、
前記第1磁石(31)、前記第2磁石(32)、前記第3磁石(33)、及び前記第4磁石(34)の各々は、一方の磁極(31a,32a,33a,34a)と他方の磁極(31b,32b,33b,34b)とが前記第1方向に沿って並び、且つ前記第1方向における磁極の配置が隣り合う磁石と異なるように配置され、
前記本体(2)は、前記第1磁石(31)、前記第2磁石(32)、前記第3磁石(33)、及び前記第4磁石(34)の少なくとも1つによって生成される磁束を検知可能に構成された3つ以上のセンサ(21~24)を有し、
3つ以上の前記センサ(21~24)は、前記第2方向に沿って並び、
前記作動体(3)が前記検知位置にあるとき、3つ以上の前記センサ(21~24)の少なくとも1つの前記第2方向における中央(C21~C24)は、前記第1磁石(31)、前記第2磁石(32)、前記第3磁石(33)、及び前記第4磁石(34)の各々の前記第2方向における中央(C31~C34)から前記第2方向に外れた位置にある、
スイッチ(1)を提供する。
【0063】
本開示の第2態様によれば、
前記本体(2)は、3つ以上の前記センサとして、前記第2方向において両端に配置された2つの端センサ(21,24)と、前記第2方向において2つの前記端センサ(21,24)の間に配置された1つ以上の中間センサ(22,23)とを有し、
前記作動体(3)が前記検知位置にあるとき、1つ以上の前記中間センサ(22,23)の各々の前記第2方向における中央(C22,C23)は、前記第1磁石(31)、前記第2磁石(32)、前記第3磁石(33)、及び前記第4磁石(34)の各々の前記第2方向における中央(C31~C34)から前記第2方向に外れた位置にある、
第1態様に記載のスイッチ(1)を提供する。
【0064】
本開示の第3態様によれば、
前記本体(2)は、3つ以上の前記センサとして、前記第2方向において両端に配置された2つの端センサ(21,24)と、前記第2方向において2つの前記端センサ(21,24)の間に配置された2つの中間センサ(22,23)とを有し、
前記第2方向に隣り合う2つの前記中間センサ(22,23)の間の前記第2方向における最短距離(L1)は、前記第2方向に隣り合う前記端センサ(21,24)と前記中間センサ(22,23)との間の前記第2方向における最短距離(L2,L3)よりも小さい、
第1又は第2態様に記載のスイッチ(1)を提供する。
【0065】
本開示の第4態様によれば、
前記本体(2)は、3つ以上の前記センサとして、前記第2方向に沿って順に並んだ第1センサ(21)、第2センサ(22)、第3センサ(23)、及び第4センサ(24)を有し、
前記作動体(3)が前記検知位置にあるときに、前記第1方向において、前記第1センサ(21)は前記第1磁石(31)と対向し、前記第2センサ(22)は前記第2磁石(32)と対向し、前記第3センサ(23)は前記第3磁石(33)と対向し、且つ前記第4センサ(24)は前記第4磁石(34)と対向し、
前記作動体(3)が前記検知位置にあるとき、前記第2センサ(22)の前記第2方向における中央(C22)は、前記第2磁石(32)の前記第2方向における中央(C32)から前記第3センサ(23)に向かって前記第2方向に外れた位置にあり、
前記作動体(3)が前記検知位置にあるとき、前記第3センサ(23)の前記第2方向における中央(C23)は、前記第3磁石(33)の前記第2方向における中央(C33)から前記第2センサ(22)に向かって前記第2方向に外れた位置にある、
第1~第3態様のいずれか1つに記載のスイッチ(1)を提供する。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本開示に係るスイッチは、作動体の大型化及び検知精度の低下の両方が抑制されるので、システムに組み込まれたスイッチを含め、磁石が設けられた作動体の本体への接近を検知する種々のスイッチとして有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 スイッチ
2 本体
21,21A 第1センサ
22 第2センサ
23,23A 第3センサ
24 第4センサ
3 作動体
31 第1磁石
32 第2磁石
33 第3磁石
34 第4磁石
31a,32a,33a,34a 一方の磁極
31b,32b,33b,34b 他方の磁極