(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129624
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】電子制御装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/00 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
B60H1/00 101E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038949
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】杉本 賢哉
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA24
3L211DA85
3L211EA56
3L211EA79
3L211EA80
3L211FA43
3L211FB06
3L211FB12
(57)【要約】
【課題】センサ数の増加を抑制しつつ、常に異常検出を行える電子制御装置を提供すること。
【解決手段】電子制御装置は、車両に搭載され、車両に設けられた外気温センサから外気温センサ値を取得し、センサ値を用いて制御を行う。電子制御装置は、外気温に関する外気温データが記憶された記憶装置を備え車両の外部に設けられたクラウドから、DCMを介して車両の現在位置における現時刻の外気温データを取得する(S11)。電子制御装置は、外気温センサ値と外気温データとを比較して外気温センサの異常が検出されず外気温センサが正常であった場合、DCMを介して、外気温センサ値とともに現在位置をクラウドに送信する(S12、S19)。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両に設けられた外気温センサからセンサ値を取得し、前記センサ値を用いて制御を行う電子制御装置であって、
外気温に関する外気温データが記憶された記憶装置を備え前記車両の外部に設けられた外部センタから、通信装置を介して前記車両の現在位置における現時刻の前記外気温データを取得する取得部(S11)と、
前記センサ値と前記取得部で取得した前記外気温データとを比較して前記外気温センサの異常を検出する異常検出部(S12)と、
異常が検出されず前記外気温センサが正常であった場合、前記通信装置を介して、前記センサ値とともに前記現在位置を、前記外気温データの一部として前記外部センタに送信する送信部(S19)と、を備えた電子制御装置。
【請求項2】
前記車両の電源がオフされてから基準時間以上経過しているか否かを判定する判定部(S13)をさらに備え、
前記送信部は、前記基準時間以上経過していると判定されたことを条件として、前記センサ値とともに前記現在位置を送信する請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記基準時間以上経過しているか否かに加えて、前記電源がオンされてから規定時間内であるか否かを判定するものであり、
前記送信部は、前記基準時間以上経過していると判定されたことに加えて、前記規定時間内であると判定されたことを条件として、前記センサ値とともに前記現在位置を送信する請求項2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記通信装置を介して前記現在位置を前記外部センタに送信することで、前記外部センタに前記外気温データの送信を要求する要求部(S10)をさらに備え、
前記取得部は、要求後に前記外気温データを取得する請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記要求部は、周期的に前記通信装置を介して前記現在位置を前記外部センタに送信する請求項4に記載の電子制御装置。
【請求項6】
異常が検出された場合、前記センサ値にかえて前記外気温データを用いて制御を行う請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項7】
異常が検出されている状態が所定時間継続しているか否かを判定する異常状態判定(S16)をさらに備え、
異常が検出され、かつ、前記所定時間継続していると判定された場合に、前記センサ値にかえて前記外気温データを用いて制御を行う請求項6に記載の電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子制御装置法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両に搭載された機器の異常予兆の診断を行う診断装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両に搭載された電子制御装置は、車両の外部環境の温度を検出するための外気温センサから外気温センサ値を取得する構成がある。また、電子制御装置は、正確な外気温センサ値を取得するために外気温センサの異常検出を行う構成がある。
【0005】
電子制御装置は、外気温センサ値と、外気温センサ値に相関する比較値とを比較することで、外気温センサの異常検出を行うことが考えられる。その比較値を出力するセンサは、外気温センサと同様の構成である比較用センサや、コンプレッサの配管出口の温度である出口温度を検出する出口温度センサなどを採用できる。出口温度センサは、外気温センサと最も似た位置に搭載されている。
【0006】
しかしながら、比較用センサを設ける場合、センサ数が増加するという問題ある。一方、出口温度センサは、車両のエンジン駆動やコンプレッサ駆動に影響を受けるセンサである。このため、出口温度センサのセンサ値は、比較値として使用する際に条件が限られる。つまり、電子制御装置は、外気温センサの異常検出を行える条件が限られるという問題がある。
【0007】
開示される一つの目的は、センサ数の増加を抑制しつつ、常に異常検出を行える電子制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示された電子制御装置は、
車両に搭載され、車両に設けられた外気温センサからセンサ値を取得し、センサ値を用いて制御を行う電子制御装置であって、
外気温に関する外気温データが記憶された記憶装置を備え車両の外部に設けられた外部センタから、通信装置を介して車両の現在位置における現時刻の外気温データを取得する取得部(S11)と、
センサ値と取得部で取得した外気温データとを比較して外気温センサの異常を検出する異常検出部(S12)と、
異常が検出されず外気温センサが正常であった場合、通信装置を介して、センサ値とともに現在位置を、外気温データの一部として外部センタに送信する送信部(S19)と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
ここに開示された電子制御装置によると、外部センタから車両の現在位置における現時刻の外気温データを取得する。このため、電子制御装置は、外気温センサのセンサ値と取得した外気温データとを比較することで外気温センサの異常を検出できる。また、電子制御装置は、外気温センサが正常であった場合、センサ値とともに現在位置を、外気温データの一部として外部センタに送信する。このため、電子制御装置は、正確な外気温データを外部センタに蓄積させることができる。
【0010】
この明細書において開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1ECUの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】第1ECUの処理動作を示すフローチャートである。
【
図3】第1ECUのデータ取得不可時の処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための形態を説明する。本実施形態では、電子制御装置を第1ECU10に適用した例を採用する。
【0013】
図1に示すように、第1ECU10は、第1車両101や第n車両10nに搭載されている。第1車両101や第n車両10nは、クラウド200と通信可能に構成されている。つまり、第1車両101や第n車両10nとクラウド200は、車両通信システムを構成しているともいえる。車両通信システムに含まれる複数の車両101~10nは、クラウド200と無線通信可能に構成されている。
【0014】
なお、nは、二以上の自然数である。
図1では、二台の車両101,10nを含む車両通信システムを図示している。しかしながら、車両通信システムは、三台以上の車両101~10nを含んでいてもよい。
【0015】
複数の車両101~10nは、後ほど説明する処理動作(検出処理動作)を実行可能な第1ECU10を備えている。また、本実施形態では、一例として、同一の構成を備えた車両101,10nを採用する。しかしながら、複数の車両101~10nは、第1ECU10の検出処理動作以外の構成は異なっていてもよい。本実施形態では、一例として、第1車両101、および第1車両101に搭載された第1ECU10を用いて説明する。なお、
図1では、同一の構成に関しては、同一の符号を付与している。
【0016】
<クラウド>
クラウド200は、複数の車両101~10nに対して、地点ごとの外気温データを配信するシステムである。クラウド200は、複数の車両101~10nと通信可能に構成されている。クラウド200は、CPUなどの処理装置、外気温に関する外気温データが記憶された記憶装置、複数の車両101~10nと通信可能な通信装置などを備えている。クラウド200は、外部センタに相当する。
【0017】
処理装置は、第1ECU10から送信された、第1車両101の現在位置と外気温センサ40のセンサ値とを通信装置を介して受信する。処理装置は、受信したセンサ値を外気温データとして記憶装置に記憶させる。このとき、処理装置は、受信したセンサ値に対して、受信した現在位置と受信した時刻とを関連付けて記憶装置に記憶させる。
【0018】
また、処理装置は、第1ECU10からの要求に応じて、記憶装置に記憶された外気温データを、通信装置を介して送信する。このとき、処理装置は、第1車両101の現在位置および要求された時刻に関連付けられた外気温データを送信する。
【0019】
記憶装置は、地点と時刻と外気温データとが関連付けられた外気温データベースが記憶されているといえる。なお、地点は、一地点を示す位置情報であってもよいし、一地点を含む所定の地域の位置情報であってもよい。時刻は、一時刻を示す時刻情報であってもよいし、一時刻を含む所定の時間帯の時間情報であってもよい。地点と時刻に関連付けられた複数の外気温データは、複数の外気温データの平均値や最新の値などであってもよい。
【0020】
さらに、処理装置は、気象センタから配信される、地点(地域)の時間帯ごとの気象データを取得可能に構成されていてもよい。この場合、外気温データベースは、センサ値に加えて気象データが地点と時刻に関連付けられていてもよい。
【0021】
<車両の構成>
第1車両101は、第1ECU10、第mECU20、DCM30、外気温センサ40、出口温度センサ50、通信線60などを備えている。
図1では、第1車両101と第mECU20の二つのECUを図示している。しかしながら、第1車両101は、三つ以上のECUを備えていてもよい。なお、mは、二以上の自然数である。mは、nと同一の数でなくてもよい。DCM30は、通信装置に相当する。DCMは、Data Communication Moduleの略称である。
【0022】
第1ECU10と第mECU20は、通信線60を介して通信可能に構成されている。また、第1ECU10と第mECU20は、通信線60を介してDCM30と通信可能に構成されている。少なくとも第1ECU10は、DCM30を介してクラウド200と無線通信可能である。
【0023】
第1ECU10は、CPUなどの処理装置、ROMやRAMなどを備えたメモリ装置、入出力のインタフェースなどを備えている。第1ECU10は、たとえば、エアコンECUなどを採用できる。
【0024】
第1ECU10は、車両の外部環境の温度である外気温を検出する外気温センサ40が接続されている。外気温センサ40は、外気温を示すセンサ信号を第1ECU10に出力する。外気温センサ40は、風や日射などの影響が限りなく少なくなる位置に設けられている。外気温を示すセンサ信号は、センサ値に相当する。外気温を示すセンサ信号は、外気温センサ値ともいえる。なお、外気温センサ40は、第1ECU10に直接接続されていなくてもよい。第1ECU10は、外気温センサ値を取得可能であればよい。
【0025】
また、第1ECU10は、コンプレッサの配管出口の温度である出口温度を検出する出口温度センサ50が接続されている。出口温度センサ50は、出口温度を示すセンサ信号を出力する。出口温度センサ50は、外気温センサ40と似た位置に設けられている。なお、出口温度を示すセンサ信号は、出口温度センサ値ともいえる。なお、出口温度センサ50は、第1ECU10に直接接続されていなくてもよい。第1ECU10は、出口温度センサ値を取得可能であればよい。
【0026】
処理装置は、ROMに記憶されたプログラムを実行する。処理装置は、プログラムを実行する際に、インタフェースを介して受信したセンサ信号やRAMに記憶されたデータを用いて各種演算処理を行う。第1ECU10は、演算処理の結果を制御信号としてインタフェースを介して出力する。このように、第1ECU10は、センサ値を取得して、センサ値を用いて制御を行うといえる。なお、処理装置は、後ほど説明する経過時間を計時可能なタイマ機能を備えている。
【0027】
第mECU20は、CPUなどの処理装置、ROMやRAMなどを備えたメモリ装置、入出力のインタフェースなどを備えている。第mECU20は、たとえば、ナビゲーションECUなどを採用できる。このため、第mECU20は、車両の現在位置を示す現在位置情報を取得可能に構成されている。なお、現在位置情報は、単に現在位置ともいえる。
【0028】
<第1ECUの処理動作>
図2、
図3を用いて、第1ECU10の処理動作に関して説明する。第1ECU10は、たとえば、電源がオンになると所定時間ごとに
図2のフローチャートに示す処理を実行する。
図2は、外気温センサ40の異常検出およびダイアグ検出の全体処理を示したフローチャートといえる。第1ECU10の処理動作は、主に第1ECU10の処理装置が行う。
【0029】
ステップS10では、クラウド200に現在位置情報を送信する(要求部)。第1ECU10は、DCM30を介して現在位置をクラウド200に送信する。これによって、第1ECU10は、クラウド200に現在位置の外気温データの送信を要求する。クラウド200は、要求を受けると、外気温データベースから現在位置情報に関連付けられた現時刻と外気温データとを検索して抽出する。そして、クラウド200は、抽出した外気温データを第1ECU10に配信する。なお、クラウド200は、要求を受けた時点、またその時点の前後に取得した外気温データを第1ECU10に配信してもよい。これによっても、現時刻に相当する外気温データを送信できる。
【0030】
しかしながら、本開示は、これに限定されない。第1ECU10は、たとえば、周期的にDCM30を介して現在位置をクラウド200に送信してもよい(要求部)。これによっても、第1ECU10は、外気温データの送信を要求できる。
【0031】
ステップS11では、クラウドから外気温データを取得できたか否かを判定する。第1ECU10は、クラウド200から、DCM30を介して現在位置における現時刻の外気温データを取得する(取得部)。つまり、第1ECU10は、クラウド200に外気温データの送信を要求した後に、外気温データを取得することになる。しかしながら、第1ECU10は、無線通信の電波状況などによっては外気温データを取得できないことも起こりうる。
【0032】
第1ECU10は、DCM30を介して外気温データを受信した場合は、外気温データを取得できたと判定してステップS12へ進む。また、第1ECU10は、DCM30を介して外気温データを受信してない場合は、外気温データを取得できたと判定せずにステップS20へ進む。
【0033】
ステップS12では、外気温データと外気温センサ値との差が基準値以下であるか否かを判定する(異常検出部)。基準値は、外気温センサ値が異常であるか否かを判定するための閾値である。言い換えると、基準値は、外気温センサ40が異常であるか否か、すなわち、外気温センサ40が故障しているか否かを判定するための閾値である。
【0034】
第1ECU10は、外気温データと外気温センサ値とを比較して外気温センサ40の異常を検出する。第1ECU10は、外気温データと外気温センサ値との差が基準値を超えている場合に、外気温センサ40が異常であると判定する。一方、第1ECU10は、外気温データと外気温センサ値との差が基準値以下場合に、外気温センサ40が異常でない、すなわち正常であると判定する。なお、差が基準値以上の場合に異常、差が基準値を超えていない場合に正常と判定してもよい。この基準値は、たとえば、第1ECU10のメモリ装置などに記憶されている。
【0035】
このように、第1ECU10は、外気温センサ値と外気温データとを比較して外気温センサ40の異常検出を行う。つまり、第1ECU10は、外気温センサ値と出口温度センサ値とを比較することなく、外気温センサ40の異常検出を行うことができる。
【0036】
出口温度センサ50は、コンプレッサの近くに配置されている。よって、出口温度センサ値は、エンジンやコンプレッサの駆動の影響を受ける。このため、出口温度センサ値を用いて外気温センサ40の異常検出を正確に行う場合、第1車両101のエンジン停止状態(ソーク状態)かつ、エンジン停止から基準時間以上経過後での電源オンであることを条件に、外気温センサ値と出口温度センサ値とを比較することが望ましい。たとえば、エンジン停止状態、かつ、その状態が1時間経過した状態での電源オン時から規定時間以内のみ比較可能である。よって、電源オフから30分経過して電源オンした場合は、比較不可となる。この場合、車両がクールダウンしきれておらず、コンプレッサの出口温度への影響が大きいと考えられるためである。また、電源オン時から規定時間以内という制限は、異常判定が電源オン時のみに限定されず、電源オン以降の車両状態がセンサへ及ぼす影響が少ないと考えられる間はセンサ異常判定を可能とするものである。ここでのセンサは、外気温センサ40と出口温度センサ50の少なくとも一方を意味している。出口温度センサ値は、比較センサ値ともいえる。
【0037】
しかしながら、第1ECU10は、外気温センサ値と外気温データとを比較して外気温センサ40の異常検出を行うため、ソーク時間(ソーク状態経過時間)が基準時間未満であっても外気温センサ40の異常を正確に検出できる。
【0038】
ステップS13では、ソーク状態が基準時間以上かつ電源オンから規定時間以内であるか否かを判定する(判定部)。ソーク状態は、第1車両101のエンジン停止状態である。よって、第1ECU10は、電源オフしてからの経過時間(オフ経過時間)と基準時間とを比較して、ソーク状態が基準時間以上であるか否かを判定する。また、第1ECU10は、電源オンしてからの経過時間(オン経過時間)と規定時間とを比較して、電源オンから規定時間以内であるか否かを判定する。
【0039】
そして、第1ECU10は、ソーク状態が基準時間以上かつ電源オンから規定時間以内であると判定するとステップS19へ進む。一方、第1ECU10は、ソーク状態が基準時間以上かつ電源オンから規定時間以内であると判定しないとステップS14へ進む。なお、本開示は、電源オフ経過時間が基準時間を超すか否か、及び電源オン経過時間が規定時間よりも短いか否かを判定してもよい。
【0040】
基準時間は、外気温センサ値がエンジンやコンプレッサの駆動の影響(外乱)を受けないとみなせる時間が設定されている。よって、オフ経過時間が基準時間以上の場合は、外気温センサ値がエンジンやコンプレッサの駆動の影響(外乱)を受けないとみなせる。一方、オフ経過時間が基準時間以上でない場合は、外気温センサ値がエンジンやコンプレッサの駆動の影響を受けるとみなせる。
【0041】
また、規定時間は、電源オンからエアコンが駆動する前までの時間が設定される。規定時間は、電源オンから、エアコンの駆動による影響を受けずに正常な外気温センサ値が取れるとみなせるまでの時間ともいえる。よって、電源オン経過時間が規定時間以内の場合は、外気温センサ値が正常な値とみなせる。一方、電源オン経過時間が規定時間以内でない場合は、外気温センサ値がエアコンの駆動の影響を受けるとみなせる。
【0042】
なお、基準時間や規定時間は、予め決められている。そして、基準時間や規定時間は、第1ECU10のメモリ装置に記憶されている。
【0043】
しかしながら、本開示は、これに限定されない。第1ECU10は、ソーク状態が基準時間以上であると判定するとステップS19へ進み、ソーク状態が基準時間以上であると判定しないとステップS14へ進んでもよい(判定部)。
【0044】
ステップS19では、現在位置情報と外気温センサ値をクラウドへ送信する(送信部)。第1ECU10は、ステップS12でYES判定、かつ、ステップS13でYES判定の場合、DCM30を介して、現在位置情報と外気温センサ値を外気温データの一部としてクラウド200へ送信する。また、第1ECU10は、現在位置情報と、外気温データを構成するためのデータとしての外気温センサ値をクラウド200へ送信するともいえる。
【0045】
これによって、第1ECU10は、正常であると判定されたことに加えて、エンジンやコンプレッサの駆動およびエアコンの駆動による影響を受けていないと判定された外気温センサ値をクラウド200へ送信できる。よって、第1ECU10は、クラウド200の外気温データの正確さを向上できる。
【0046】
また、第1ECU10は、正常であると判定されたことに加えて、エアコンの駆動による影響を受けていないと判定された外気温センサ値をクラウド200へ送信してもよい。よって、第1ECU10は、ステップS13での判定処理を簡略化しつつ、クラウド200の外気温データの正確さを向上できる。
【0047】
しかしながら、本開示は、これに限定されない。第1ECU10は、ステップS13の判定を行うことなく、ステップS12でYES判定の場合にステップS19を実行してもよい。つまり、第1ECU10は、ステップS12で異常が検出されず外気温センサが正常であった場合、DCM30を介して、外気温センサ値とともに現在位置情報をクラウド200に送信する。これによっても、第1ECU10は、正常な外気温センサ値を外気温データの一部としてクラウド200に送信できる。
【0048】
このため、第1ECU10は、クラウド200に記憶されている外気温データを正確な値とすることができる。よって、第1ECU10は、クラウド200から正確な外気温データを取得できる。さらに、第1ECU10は、外気温センサ40の異常検出を正確に行うことができる。
【0049】
ステップS15では、外気温センサ異常出力。第1ECU10は、外気温センサ40が異常であることを示す異常情報を出力する。第1ECU10は、通信線60を介して異常情報を出力する。第1ECU10は、たとえば、外気温センサ値を利用するECU(たとえば電池ECU)に対して異常情報を出力する。これによって、第1ECU10は、外気温センサ値を利用するECUに対して外気温センサ40が異常であることを知らせることができる。
【0050】
なお、第1ECU10は、エアコンECUである。このため、第1ECU10は、第1ECU10のメモリ装置に異常情報を記憶させる。これによって、第1ECU10は、外気温センサ40が異常であることを認識できる。
【0051】
ステップS16では、異常状態が所定時間以上継続しているか否かを判定する(異常状態判定)。第1ECU10は、ステップS12でNO判定してからの経過時間が所定時間に達すると、異常状態が所定時間以上継続していると判定してステップS17へ進む。また、第1ECU10は、ステップS12でNO判定してからの経過時間が所定時間に達していないと、異常状態が所定時間以上継続していると判定せずにステップS14へ進む。所定時間は、外気温センサ40の異常が確定とみなせる時間が設定されている。所定時間は、予め決められており、第1ECU10のメモリ装置に記憶されている。
【0052】
ステップS17では、外気温センサのダイアグ出力を行う。言い換えると、第1ECU10は、外気温センサ40が異常であると確定する。そして、第1ECU10は、異常確定を示すダイアグ情報を出力する。第1ECU10は、ステップS15と同様の出力先にダイアグ情報を出力する。また、第1ECU10は、ステップS15と同様、ダイアグ情報を記憶させる。このように、第1ECU10は、異常状態が所定時間以上継続していることで異常確定するため、ダイアグ情報の出力がハンチングすることを抑制できる。
【0053】
ステップS18では、外気温センサ値のかわりに外気温データを使用する。第1ECU10は、外気温センサ40の異常を検出し、かつ、異常状態が所定時間継続していると判定した場合に、外気温センサ値にかえて外気温データを用いて制御を行う。このため、第1ECU10は、外気温センサ40が異常であっても、適切な外気温でエアコン作動が可能となる。よって、第1ECU10は、コンプレッサの寿命を延長できるとともに、車内の快適性が低下することを抑制できる。また、第1ECU10は、異常を誤検出した場合に、外気温データを用いることを抑制できる。
【0054】
しかしながら、本開示は、これに限定されない。第1ECU10は、外気温センサ40の異常を検出した場合に、外気温センサ値にかえて外気温データを用いて制御を行ってもよい。これによって、第1ECU10は、ステップS16,S17を省くことができ処理負荷を低減できる。つまり、第1ECU10は、処理負荷を低減しつつ、コンプレッサの寿命を延長できるとともに、車内の快適性が低下することを抑制できる。
【0055】
ところで、ステップS11で外気温データを取得できなかった場合は、ステップS20でデータ取得不可時の処理を行う。ここで、データ取得不可時の処理動作に関しては、
図3を用いて説明する。
【0056】
ステップS21では、ステップS13と同様の判定を行う。ここでは、第1ECU10は、出口温度センサ値が外乱の影響を受けているか否かを確認するために判定を行う。つまり、第1ECU10は、外気温センサ値と出口温度センサ値とを比較して、外気温センサ40の異常検出を正確に行うことができるか否かを判定する。
【0057】
第1ECU10は、ソーク状態が基準時間以上かつ電源オンから規定時間以内であると判定すると、出口温度センサ値が外乱の影響を受けていないとみなしてステップS22へ進む。つまり、第1ECU10は、外気温センサ値と出口温度センサ値とを比較して、外気温センサ40の異常検出を正確に行うことができるとみなす。
【0058】
一方、第1ECU10は、ソーク状態が基準時間以上かつ電源オンから規定時間以内であると判定しないと、出口温度センサ値が外乱の影響を受けているとみなして
図3のフローチャートを終了する。つまり、第1ECU10は、外気温センサ値と出口温度センサ値とを比較して、外気温センサ40の異常検出を正確に行うことができないとみなす。なお、ステップS21では、ステップS13と同様に、ソーク状態が基準時間以上であると判定するとステップS22へ進み、ソーク状態が基準時間以上であると判定しないと
図3のフローチャートを終了してもよい。
【0059】
ステップS22では、出口温度センサ値と外気温センサ値との差が基準値以下であるか否かを判定する。第1ECU10は、出口温度センサ値と外気温センサ値とを比較して外気温センサ40の異常を検出する。つまり、ステップS22では、外気温センサ値の比較対象が外気温データではなく出口温度センサ値である点がステップS12と異なる。
【0060】
第1ECU10は、出口温度センサ値と外気温センサ値との差が基準値を超えた場合に、外気温センサ40が異常であると判定する。一方、第1ECU10は、出口温度センサ値と外気温センサ値との差が基準値以下の場合に、外気温センサ40が異常でない、すなわち正常であると判定する。
【0061】
このように、第1ECU10は、外気温データを取得できなかった場合に限って、出口温度センサ値を用いて外気温センサ40の異常検出を行う。しかしながら、第1ECU10は、出口温度センサ値を用いる場合、ステップS21でYES判定であることを条件に外気温センサ40の異常検出を行う。これによって、第1ECU10は、外乱の影響を受けていない出口温度センサ値を用いて外気温センサ40の異常検出を行うことができる。
【0062】
ステップS24~S26は、ステップS15~S17と同様である。
【0063】
ここで、
図2のフローチャートの説明に戻る。ステップS14では、電源オフであるか否かを判定する。第1ECU10は、電源オフと判定した場合は
図2のフローチャート終了し、電源オフと判定しない場合はステップS10に戻る。
【0064】
<効果>
以上のように、第1ECU10は、クラウド200から第1車両101の現在位置における現時刻の外気温データを取得する。このため、第1ECU10は、外気温センサ値と取得した外気温データとを比較することで外気温センサ40の異常を検出できる。また、第1ECU10は、外気温センサ40が正常であった場合、外気温センサ値とともに現在位置情報を、外気温データの一部としてクラウド200に送信する。このため、第1ECU10は、正確な外気温データをクラウド200に蓄積させることができる。
【0065】
出口温度センサ値を用いて外気温センサ40の異常を検出する構成では、出口温度センサ値が外乱の影響が生じる。そのため、外気温センサ40の異常検出は、ソーク状態を十分な時間経過し、かつ、電源オンから規定時間内でのみで行うことが望ましい。
【0066】
これに対して、第1ECU10は、出口温度センサ値ではなく外気温データを用いて外気温センサ40の異常を検出する。このため、第1ECU10は、電源オン中であっても周期的に異常検出を行うことができる。
【0067】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
【0068】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0069】
10…第1ECU、20…第mECU、30…DCM、40…外気温センサ、50…出口温度センサ、60…通信線、101,10n…車両、200…クラウド