(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129634
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
G05B23/02 302J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038963
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西垣 弘二
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA12
3C223BA03
3C223BB08
3C223CC02
3C223DD03
3C223EA03
3C223EB05
3C223FF13
3C223FF16
3C223FF35
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH03
3C223HH07
3C223HH08
3C223HH15
(57)【要約】
【課題】生産設備の異常振動の見逃しを抑制できる情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、対象期間に生産設備が有するフィードバック制御系へ入力される指令値と生産設備の設計データとに基づいて、対象期間におけるフィードバック制御系の制御量の許容範囲を決定する決定部と、対象期間における制御量の実測値が前記許容範囲外であることに応じて、対象期間において生産設備に異常振動が発生していると判定する判定部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
対象期間に生産設備が有するフィードバック制御系へ入力される指令値と前記生産設備の設計データとに基づいて、前記対象期間における前記フィードバック制御系の制御量の許容範囲を決定する決定部と、
前記対象期間における前記制御量の実測値が前記許容範囲外であることに応じて、前記対象期間において前記生産設備に異常振動が発生していると判定する判定部とを備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記設計データによって示される前記生産設備の物理特性に基づいて、前記フィードバック制御系が前記指令値に従って前記生産設備を制御した場合における前記物理特性に起因する振動量を計算し、前記振動量に基づいて前記許容範囲を決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記生産設備の動画が再生される画面を示す画面データを出力する出力部をさらに備え、
前記決定部は、前記動画のうち前記画面に表示されるフレームの時刻を含む期間を前記対象期間として用いる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記異常振動が発生していると判定されたことに応じて、前記フレームにおいて、前記生産設備のうち前記フィードバック制御系によって動作する部位が強調表示される、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記生産設備の動画が再生される画面を示す画面データを出力する出力部をさらに備え、
前記判定部は、前記異常振動が発生していると判定された前記対象期間を振動発生期間として記録し、
前記動画のうち前記画面に表示されるフレームの時刻が前記振動発生期間に属することに応じて、前記フレームにおいて、前記生産設備のうち前記フィードバック制御系によって動作する部位が強調表示される、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記画面は、前記フレームの時刻を含む表示期間において前記フィードバック制御系へ入力された指令値の第1推移と、前記表示期間における前記制御量の実測値の第2推移とを可視化した情報を含む、請求項3から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記情報は、前記第1推移と前記第2推移とを示すグラフを含み、
前記グラフには、前記許容範囲が表示される、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理方法であって、
対象期間に生産設備が有するフィードバック制御系へ入力される指令値と前記生産設備の設計データとに基づいて、前記対象期間における前記フィードバック制御系の制御量の許容範囲を決定することと、
前記対象期間における前記制御量の実測値が前記許容範囲外であることに応じて、前記対象期間において前記生産設備に異常振動が発生していると判定することとを備える、情報処理方法。
【請求項9】
情報処理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記情報処理方法は、
対象期間に生産設備が有するフィードバック制御系へ入力される指令値と前記生産設備の設計データとに基づいて、前記対象期間における前記フィードバック制御系の制御量の許容範囲を決定することと、
前記対象期間における前記制御量の実測値が前記許容範囲外であることに応じて、前記対象期間において前記生産設備に異常振動が発生していると判定することとを含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製造業において、生産設備の異常な動作の確認のために、生産設備の動画が利用される。例えば、特開2012-99972号公報(特許文献1)は、複数の動画を並べて再生する画像処理装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザは、生産設備の動画から、生産設備の振動を確認できる。しかしながら、生産設備の振動には、生産設備の異常な動作に起因する異常振動だけでなく、生産設備の物理特性に起因して生じる不可避な振動も含まれる。特に生産設備に精通していないユーザは、動画のみから異常振動か否かを区別できない。そのため、動画を確認する際に、異常振動が見逃される可能性がある。
【0005】
本開示は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、生産設備の異常振動の見逃しを抑制することが可能な情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例によれば、情報処理装置は、対象期間に生産設備が有するフィードバック制御系へ入力される指令値と生産設備の設計データとに基づいて、対象期間におけるフィードバック制御系の制御量の許容範囲を決定する決定部と、対象期間における制御量の実測値が許容範囲外であることに応じて、対象期間において生産設備に異常振動が発生していると判定する判定部とを備える。
【0007】
この開示によれば、ユーザは、情報処理装置による判定結果を確認することにより、生産設備において異常振動が発生しているか否かを認識できる。これにより、生産設備の異常振動の見逃しが抑制される。
【0008】
上述の開示において、決定部は、設計データによって示される生産設備の物理特性に基づいて、フィードバック制御系が指令値に従って生産設備を制御した場合における物理特性に起因する振動量を計算し、振動量に基づいて許容範囲を決定する。
【0009】
この開示によれば、生産設備の物理特性に起因して生じる不可避な振動を異常振動として判断されることが抑制される。
【0010】
上述の開示において、情報処理装置は、生産設備の動画が再生される画面を示す画面データを出力する出力部をさらに備える。決定部は、動画のうち画面に表示されるフレームの時刻を含む期間を対象期間として用いる。
【0011】
この開示によれば、ユーザは、画面上の動画において生産設備の振動を確認したタイミングで、画面に表示されるフレームの時刻を含む対象期間において異常振動が発生しているか否かの判定結果を得ることができる。これにより、ユーザは、動画において確認した振動が異常振動か否かを把握できる。
【0012】
上述の開示において、異常振動が発生していると判定されたことに応じて、フレームにおいて、生産設備のうちフィードバック制御系によって動作する部位が強調表示される。この開示によれば、ユーザは、強調表示された部位の動作に異常があると判断できる。
【0013】
上述の開示において、情報処理装置は、生産設備の動画が再生される画面を示す画面データを出力する出力部をさらに備える。判定部は、異常振動が発生していると判定された対象期間を振動発生期間として記録する。動画のうち画面に表示されるフレームの時刻が振動発生期間に属することに応じて、フレームにおいて、生産設備のうちフィードバック制御系によって動作する部位が強調表示される。
【0014】
この開示によれば、ユーザは、画面上の動画における生産設備の振動が異常振動か否かを把握できる。
【0015】
上述の開示において、画面は、フレームの時刻を含む表示期間においてフィードバック制御系へ入力された指令値の第1推移と、表示期間における制御量の実測値の第2推移とを可視化した情報を含む。
【0016】
この開示によれば、ユーザは、上記の情報を見ることにより、指令値と実測値との偏差の大きさを確認できる。
【0017】
上述の開示において、情報は、第1推移と第2推移とを示すグラフを含む。グラフには、許容範囲が表示される。
【0018】
この開示によれば、ユーザは、グラフを見ることにより、実測値が許容範囲内であるか否かを確認できる。
【0019】
本開示の別の例によれば、情報処理方法は、対象期間に生産設備が有するフィードバック制御系へ入力される指令値と生産設備の設計データとに基づいて、対象期間におけるフィードバック制御系の制御量の許容範囲を決定することと、対象期間における制御量の実測値が許容範囲外であることに応じて、対象期間において生産設備に異常振動が発生していると判定することとを備える。
【0020】
本開示のさらに別の例によれば、プログラムは、上記の情報処理方法をコンピュータに実行させる。
【0021】
これらの開示によっても、生産設備の異常振動の見逃しが抑制される。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、生産設備の異常振動の見逃しが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施の形態に係る情報処理装置を含む製造システムの一例を模式的に例示する図である。
【
図2】実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【
図3】実施の形態に従うPLCのハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【
図6】実施の形態に係る情報処理装置およびPLCのモジュール構成の一例を示す模式図である。
【
図8】情報処理装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】情報処理装置から出力される画面に含まれるウィンドウの一例を示す図である。
【
図10】情報処理装置から出力される画面に含まれる別のウィンドウの一例を示す図である。
【
図11】変形例1に係る情報処理装置における異常振動の判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】変形例1に係る情報処理装置における画面の出力処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。本明細書において、特に示さない限り、「または」の用語は、「または」の意味に加えて、「および」の意味を包含する。
【0025】
§1 適用例
図1は、実施の形態に係る情報処理装置を含む製造システムの一例を模式的に例示する図である。
図1に示すように、実施の形態に係る製造システム1は、情報処理装置100と、PLC(Programmable Logic Controller)200と、生産設備300とを備える。
【0026】
生産設備300は、物の製造に関する設備であり、加工、検査、搬送、または組み立てなどの処理を行なう。生産設備300は、複数の機器で構成されてもよいし、1つの機器で構成されてもよい。例えば、生産設備300は、ハンドを有する多関節ロボットを含み、対象物のピックアンドプレース動作を繰り返し実行する。ただし、生産設備300は、多関節ロボットに限定されず、各種の動作を行なう機構を含み得る。
【0027】
生産設備300は、1以上のフィードバック制御系310を含む。フィードバック制御系310は、例えばサーボモータを含む。例えば、生産設備300が多関節ロボットである場合、生産設備300は、関節ごとにフィードバック制御系310を含む。
【0028】
フィードバック制御系310は、制御対象の制御量(例えば、位置、速度、またはトルク)が指令値に追従するように、制御対象をフィードバック制御する。具体的には、フィードバック制御系310は、与えられた指令値と制御量の実測値(「フィードバック値」とも称される)との偏差を計算し、偏差に応じた操作量を制御対象に与えることにより、制御対象の制御量を指令値に追従させる。
【0029】
PLC200は、予め作成された制御プログラムに従って、生産設備300を制御する。PLC200は、生産設備300を制御するために、予め定められた制御周期毎に入出力データ(以下、「IOデータ」と称する)を取得(収集)する。IOデータは、生産設備300の状態に関する複数の変数の値を示す。IOデータは、生産設備300からPLC200へ転送される入力データと、生産設備300へ出力される出力データとを含む。入力データは、フィードバック制御系310から出力される制御量の実測値を示すデータを含む。出力データは、フィードバック制御系310への指令値を示すデータを含む。さらに、IOデータは、制御演算によって算出される各種のデータを含み得る。
【0030】
情報処理装置100は、生産設備300の状態を解析する装置であり、以下の処理(1)および(2)を行なう。
【0031】
処理(1)において、情報処理装置100は、対象期間に生産設備300が有するフィードバック制御系310へ入力される指令値と生産設備300の設計データとに基づいて、対象期間におけるフィードバック制御系310の制御量の許容範囲Rを決定する。設計データは、生産設備300の各部位の物理特性(形状、寸法、重量、剛性、または材質など)を示す。そのため、情報処理装置100は、設計データに基づいて、指令値に従ってフィードバック制御系310がフィードバック制御したときに、生産設備300の物理特性に起因して生じる不可避な振動量を計算できる。情報処理装置100は、計算された振動量または計算された振動量に予め定められたマージンを加えた量に基づいて、制御量の許容範囲Rを決定すればよい。
【0032】
処理(2)において、情報処理装置100は、対象期間における制御量の実測値が許容範囲R外であることに応じて、対象期間において生産設備300に異常振動が発生していると判定する。
【0033】
本実施の形態によれば、ユーザは、情報処理装置100による判定結果を確認することにより、生産設備300において異常振動が発生しているか否かを認識できる。これにより、ユーザによる生産設備300の異常振動の見逃しが抑制される。
【0034】
§2 具体例
<情報処理装置のハードウェア構成>
図2は、実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図2に示されるように、情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)110と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性の記憶装置で構成されるメモリ112と、不揮発性の記憶装置で構成されるハードディスク114と、入力インターフェイス118と、表示コントローラ120と、通信インターフェイス124と、データリーダ/ライタ126とを含む。これらの各部は、バス128を介して互いにデータ通信が可能なように接続されている。
【0035】
CPU110は、ハードディスク114に格納された解析プログラム116を読出して、メモリ112に展開する。CPU110は、展開されたプログラムを実行する。CPU110は、例えばマルチコアプロセッサであり、並列して複数の処理を実行可能である。なお、ハードディスク114の代わり、他の不揮発性の記憶装置(例えばSSD(Solid State Drive)など)が使用されてもよい。
【0036】
入力インターフェイス118は、CPU110とキーボード、マウス、またはタッチパネルなどの入力装置132との間のデータ伝送を仲介する。すなわち、入力インターフェイス118は、後述する各種のユーザ入力を示すデータを入力装置132から受け付け、受け付けたデータをCPU110に伝送する。表示コントローラ120は、ディスプレイ122と接続され、CPU110における処理の結果などをディスプレイ122に表示する。通信インターフェイス124は、PLC200およびカメラ400と通信する。カメラ400は、生産設備300を撮影するように設置される。
【0037】
データリーダ/ライタ126は、CPU110と外部の記憶媒体130との間のデータ伝送を仲介する。記憶媒体130は、揮発性記憶媒体、不揮発性記憶媒体、CF(Compact Flash)もしくはSD(Secure Digital)などの汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)などの磁気記憶媒体、またはCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記憶媒体を含む。
【0038】
解析プログラム116は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、任意のプログラムと協働して本実施の形態に従う処理が実現される。また、解析プログラム116によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェア回路(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array))によって実現されてもよい。
【0039】
<PLCのハードウェア構成>
図3は、実施の形態に従うPLCのハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図3を参照して、PLC200は、主たるコンポーネントとして、PLC200の各部に電力PWを供給する電源回路201と、CPU202と、チップセット204と、主に揮発性記憶媒体からなるメモリ206と、主に不揮発性記憶媒体を含むストレージ208と、USBコントローラ250と、フィールドネットワークコントローラ252と、ネットワークコントローラ254と、タイマ260とを含む。
【0040】
CPU202は、ストレージ208に格納された制御プログラム214を読出して、メモリ206に展開する。CPU202は、予め定められた制御周期で展開されたプログラムを繰り返し実行することで、生産設備300を制御するための制御演算処理を実現する。
【0041】
CPU202は、ストレージ208に格納されたIOリフレッシュプログラム215を読出して、メモリ206に展開する。CPU202は、予め定められた制御周期で展開されたプログラムを実行することでIOデータ220の収集処理とログデータ224の生成処理とを実現する。IOデータ220は、生産設備300から受ける入力データと、生産設備300への出力データとを含む。IOデータ220は、上記の制御演算処理に利用され得る。
【0042】
図4は、ログデータの一例を示す図である。
図4に示されるように、ログデータ224は、生産設備300において発生したイベントごとに、発生日時と、ステータスと、発生箇所と、内容とを示す。CPU202は、IOデータ220および制御演算結果に基づいてログデータ224を更新する。
【0043】
図3に示すCPU202は、ストレージ208に格納されたデータ収集プログラム216を読出して、メモリ206に展開する。CPU202は、展開されたプログラムを解釈および実行することで、時系列データセット222の収集処理と、カメラ400への撮影指示の出力処理とを実現する。撮影指示の出力処理は、撮影開始指示を出力する処理と、撮影終了指示を出力する処理とを含む。
【0044】
図5は、時系列データセットの一例を示す図である。
図5に示されるように、時系列データセット222は、生産設備300の状態を示す変数ごとの時系列データ223を含む。時系列データ223は、予め定められた制御周期ごとに、当該周期に対応する時刻(例えば周期の開始時刻)と、変数の値とを示す。
【0045】
図3に示すメモリ206は、DRAMまたはSRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性記憶装置で構成される。ストレージ208は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、またはフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置で構成されるが、一部は、揮発性ストレージで構成されてもよい。
【0046】
チップセット204は、CPU202と各コンポーネントとの間のデータの遣り取りを仲介することで、PLC200全体としての処理を実現する。
【0047】
ストレージ208には、PLC200の基本的な機能を実現するためのOS(Operating System)212およびスケジューラプログラム213を有するシステムプログラム211に加えて、制御対象に応じて作成される制御プログラム214と、IOリフレッシュプログラム215とが格納される。ストレージ208には、さらに、データ収集プログラム216が格納される。さらに、ストレージ108は、IOデータ220と、時系列データセット222と、ログデータ224と、設定情報230とが格納される領域を有する。設定情報230は、情報処理装置100によって生成される。
【0048】
USBコントローラ250は、USB(Universal Serial Bus)接続を介して外部の装置(情報処理装置100およびカメラ400を含む)との間のデータの遣り取りを担当する。なお、カメラ400とPLC200との間のデータの遣り取りは、フィールドネットワークコントローラ252またはネットワークコントローラ254を介して行なわれてもよい。
【0049】
フィールドネットワークコントローラ252は、生産設備300が属するフィールドネットワークを接続するコネクタ252aを有し、PLC200とフィールドネットワークを介した生産設備300との間のデータの遣り取りを制御する。フィールドネットワークコントローラ252は、フィールドネットワークから受信する入力データおよびPLC200からフィールドネットワークに出力される出力データを格納する内部バッファを有する。当該入力データおよび出力データは、IOデータ220に含まれる。
【0050】
ネットワークコントローラ254は、上位ネットワークを接続するコネクタ254aを有し、PLC200と外部の装置(例えば、製造実行システム(Manufacturing Execution System(MES))との間のデータの遣り取りを制御する。
【0051】
タイマ260は、時間を計測するクロック回路またはカウンタ回路を含んで構成されるが、このような回路に限定されず、CPU202が実行するソフトウェアモジュールにより構成されてもよい。
【0052】
図3には、CPU202がプログラムを実行することで必要な機能が提供される構成例を示したが、これらの提供される機能の一部または全部を、専用のハードウェア回路(例えば、ASICまたはFPGA)を用いて実装してもよい。あるいは、PLC200の主要部を、汎用的なアーキテクチャに従うハードウェア(例えば、汎用パソコンをベースとした産業用パソコン)を用いて実現してもよい。この場合には、マルチコア技術を適用して処理を並列に実行してもよい。または、仮想化技術を用いて、用途の異なる複数のOSを並列的に実行させるとともに、各OS上で必要なアプリケーションを実行させるようにしてもよい。
【0053】
<モジュール構成>
図6は、実施の形態に係る情報処理装置およびPLCのモジュール構成の一例を示す模式図である。
図6に示されるように、PLC200は、制御部20と、データ収集部22とを含む。制御部20は、
図3に示すCPU202が制御プログラム214およびIOリフレッシュプログラム215を実行することにより実現される。データ収集部22は、CPU202がデータ収集プログラム216を実行することにより実現される。
【0054】
制御部20は、予め定められた制御周期ごとに、生産設備300から各種の変数の値を示す入力データを受け、生産設備300を制御するための制御演算を行なう。さらに、制御部20は、制御演算により得られる各種の変数の値を示す出力データを生産設備300に出力する。このようにして、制御部20は、制御周期ごとに、入力データと出力データとを含むIOデータ220を収集する。上述したように、入力データには、フィードバック制御系310から出力される制御量の実測値を示すデータが含まれる。出力データには、フィードバック制御系310への指令値を示すデータが含まれる。
【0055】
さらに、制御部20は、収集されたIOデータ220に基づいて、ログデータ224を更新する。具体的には、制御部20は、各イベントに関する変数の値に基づいて異常発生の有無を判断し、判断結果に応じてログデータ224を更新する。制御部20は、更新されたログデータ224を情報処理装置100に出力する。
【0056】
データ収集部22は、情報処理装置100によって設定された設定情報230(
図3参照)によって定義される収集期間ごとに、収集期間に収集されたIOデータ220によって示される複数の変数の値の推移を示す時系列データセット222を生成する。時系列データセット222は、各フィードバック制御系310への指令値の推移を示す時系列データと、各フィードバック制御系310から出力される制御量の実測値の推移を示す時系列データとを含む。
【0057】
データ収集部22は、生成した時系列データセット222の全てを情報処理装置100に出力する。あるいは、データ収集部22は、ログデータ224に基づいて、内容が異常を示すイベント(以下、「異常イベント」と称する)の発生時刻を含む収集期間に対応する時系列データセット222のみを情報処理装置100に出力してもよい。あるいは、データ収集部22は、品質異常が検知された製品に対する処理を生産設備300が行なっていた期間に対応する時系列データセット222のみを情報処理装置100に出力してもよい。品質異常が検知された製品に対する処理を生産設備300が行なっていた期間は、上位システム(例えば製造実行システム)から情報処理装置100に通知される。
【0058】
さらに、データ収集部22は、動画の撮影をカメラ400に指示する。具体的には、データ収集部は、設定情報230によって定義される収集期間の開始タイミングにおいて撮影開始指示をカメラ400に出力し、収集期間の終了タイミングにおいて撮影終了指示をカメラ400に出力する。これにより、カメラ400は、生産設備300が写る動画データ(以下、単に「動画50」と称する)を生成する。
【0059】
データ収集部22は、撮影終了指示を出力した後、動画50の出力をカメラ400に指示する。あるいは、データ収集部22は、ログデータ224に基づいて、異常イベントが撮影期間に発生したか否かを判断し、異常イベントが撮影期間に発生した動画50についてのみ、カメラ400に出力を指示してもよい。あるいは、データ収集部22は、品質異常が検知された製品に対する処理を生産設備300が行なっていた期間に対応する動画50についてのみ、カメラ400に出力を指示してもよい。データ収集部22は、設定情報230に従って、動画の出力先として情報処理装置100を指定する。これにより、カメラ400は、生成した動画50を情報処理装置100に出力する。
【0060】
図6に示されるように、情報処理装置100は、記憶部10と、設定部11と、出力部12と、処理部13とを含む。記憶部10は、
図2に示すメモリ112およびハードディスク114によって実現される。設定部11、出力部12および処理部13は、
図2に示すCPU110が解析プログラム116を実行することにより実現される。
【0061】
記憶部10は、1以上の時系列データセット222と、1以上の動画50と、設計データ320と、対応付け情報15とを記憶する。時系列データセット222は、PLC200から伝送される。動画50は、カメラ400から伝送される。
【0062】
設計データ320は、生産設備300の各部位について、形状、寸法、重量、剛性、材質などの物理特性を示す。設計データ320は、例えば、CAD(Computer Aided Design)データであり、予め記憶部10に格納される。
【0063】
図7は、対応付け情報の一例を示す図である。
図7に示されるように、対応付け情報15は、1以上のフィードバック制御系310の各々について、生産設備300が有する複数の部位のうち当該フィードバック制御系310によって動作する部位(例えば、多関節ロボットの関節)と、当該フィードバック制御系310の制御量の種別(例えば、位置、速度、またはトルクなどを示す)と、当該部位における指令値を示す変数と、制御量の実測値を示す変数とを対応付ける。
【0064】
対応付け情報15は、制御プログラム214によって使用される各変数を設定する際に、ユーザ入力に応じて予め作成される。
【0065】
図6に示す設定部11は、時系列データセット222および動画50の収集に関する設定を行なう。設定部11は、収集データ設定部11aと、カメラ設定部11bとを含む。
【0066】
収集データ設定部11aは、時系列データセット222の収集に関する設定を行なう。具体的には、収集データ設定部11aは、ユーザ入力に応じて、収集期間を定義する設定情報230を生成し、生成した設定情報230をPLC200に出力する。これにより、PLC200のデータ収集部22は、設定情報230に従って、収集期間ごとに時系列データセット222を生成するとともに、カメラ400に撮影指示を出力する。
【0067】
例えば、収集データ設定部11aは、指定された時間長さを有する周期を収集期間として定義する設定情報230を生成する。
【0068】
あるいは、収集データ設定部11aは、生産設備300が対象動作を繰り返し行なう場合、生産設備300が対象動作を行なっている期間を収集期間として定義する設定情報230を生成する。例えば、PLC200が図示しない製造実行システムから対象動作の開始信号および終了信号を受ける場合、収集データ設定部11aは、当該開始信号および終了信号を受けるタイミングを示す設定情報230を生成する。または、収集データ設定部11aは、対象動作の開始のときに値が変化する変数と当該変数の変化の特徴と、対象動作の終了のときに値が変化する変数と当該変数の変化の特徴とを定義する設定情報230を生成してもよい。
【0069】
さらに、収集データ設定部11aは、ユーザ入力に応じて、時系列データセット222によって値が示される複数の変数を指定する情報を設定情報230に含めてもよい。これにより、PLC200のデータ収集部22は、設定情報230に従って、収集期間内に収集されたIOデータ220に基づいて、指定された各変数の値の推移を示す時系列データ223(
図5参照)を含む時系列データセット222を生成する。
【0070】
カメラ設定部11bは、ユーザ入力に応じて、カメラ400の撮影条件を設定する。設定された撮影条件は、PLC200に出力される。PLC200は、指定された撮影条件に従った撮影指示をカメラ400に出力する。これにより、カメラ400は、指定された撮影条件で動画を撮影する。
【0071】
さらに、カメラ設定部11bは、製造システム1(
図1参照)が複数のカメラを備える場合、ユーザ入力に応じて、当該複数のカメラの中からカメラ400を指定し、指定したカメラ400のIDをPLC200に出力する。PLC200は、設定情報230に従って、収集期間ごとの動画を撮影する指示を当該IDのカメラ400に出力する。
【0072】
出力部12は、時系列データセット222によって示される変数の値の推移を可視化した情報を含み、かつ、生産設備300の動画50が再生される画面を示す画面データを出力する。具体的には、出力部12は、画面をディスプレイ122(
図2参照)に表示させる。出力部12は、選択部12aと、動画出力部12bと、時系列データ出力部12cとを含む。
【0073】
選択部12aは、ユーザ入力に応じて、記憶部10が記憶する1以上の動画50および1以上の時系列データセット222の中から、同じ収集期間に対応する動画50および時系列データセット222を表示対象として選択する。以下、選択された動画50を「動画50a」と称し、選択された時系列データセット222を「時系列データセット222a」と称する。選択部12aは、動画50aおよび時系列データセット222aを記憶部10から読み出し、動画50aおよび時系列データセット222aを動画出力部12bおよび時系列データ出力部12cにそれぞれ出力する。さらに、選択部12aは、時系列データセット222aを処理部13に出力する。
【0074】
動画出力部12bは、動画50aの再生指示を受けると、画面において動画50aを再生させる。デフォルトとして、動画出力部12bは、画面において、動画50aを1番目のフレームから再生させる。ただし、動画出力部12bは、表示されるフレームの変更指示を受け付けてもよい。動画出力部12bは、フレームの変更指示を受け付けた場合、画面に表示されるフレームを変更する。フレームの変更指示を受けた後に再生指示を受けると、動画出力部12bは、変更されたフレームから動画を再生させる。
【0075】
動画出力部12bは、異常振動の有無の判定の実行指示が入力されたことに応じて、画面に表示されているフレームの時刻を示す時刻情報が付加された処理開始指示を処理部13に出力する。
【0076】
動画出力部12bは、処理開始指示に対する回答として処理部13から強調表示指示を受けると、画面に表示されるフレームにおいて、強調表示指示に付加された部位情報によって示される部位を強調表示させる。具体的には、動画出力部12bは、画面に表示されるフレームにおいて、部位情報によって示される部位の写る対象画素群を特定し、特定した対象画素群を強調表示する。
【0077】
例えば、動画出力部12bは、生産設備300の複数の部位のテンプレート画像の中から、部位情報によって示される部位に対応するテンプレート画像を選択する。動画出力部12bは、選択したテンプレート画像を用いた公知の物体認識技術を適用して、フレームからテンプレート画像にマッチする画素群を抽出する。動画出力部12bは、抽出した画素群を対象画素群として特定する。なお、各部位のテンプレート画像は、設計データ320に含まれる。あるいは、各部位のテンプレート画像は、カメラ400の撮影によって得られた静止画像の一部を切り出すことにより生成され、記憶部10に予め格納されてもよい。
【0078】
あるいは、動画出力部12bは、生産設備300の仮想モデルを用いたシミュレーションを行なうことにより、対象画素群を特定してもよい。具体的には、動画出力部12bは、動画50aの撮影期間中に収集されたIOデータ220に基づいて、仮想空間において仮想モデルの動作をシミュレーションする。これにより、仮想空間において、仮想モデルは、動画50a内の生産設備300と同じ動作を行なう。動画出力部12bは、仮想空間上に配置された仮想カメラが仮想モデルを撮影することにより得られる仮想動画を生成する。仮想モデルと仮想カメラとの相対位置関係は、生産設備300とカメラ400との相対位置関係と一致するように予め設定される。さらに、動画出力部12bは、仮想モデルにおいて、部位情報によって示される部位を設定し、仮想動画の各フレームにおいて、設定した部位の写る画素群の座標を計算する。動画出力部12bは、動画50aの各フレームにおいて、当該座標の画素群を対象画素群として特定する。
【0079】
時系列データ出力部12cは、時系列データセット222aに基づいて、1以上のフィードバック制御系310の各々について、当該フィードバック制御系310への指令値の推移(以下、「第1推移」と称する)と、当該フィードバック制御系310の制御量の実測値の推移(以下、「第2推移」と称する)とを可視化した情報を生成する。時系列データ出力部12cは、生成した情報を画面に含める。情報は、例えば、第1推移および第2推移を示すグラフを含む。
【0080】
処理部13は、異常振動の有無を判定に関する処理を行なう。処理部13は、動画出力部12bから処理開始指示を受けたことに応じて処理を開始する。処理部13は、決定部13aと、判定部13bとを含む。
【0081】
決定部13aは、1以上のフィードバック制御系310の各々について、対象期間に当該フィードバック制御系へ入力される指令値と設計データ320とに基づいて、対象期間における当該フィードバック制御系の制御量の許容範囲Rを決定する。決定部13aは、処理開始指示に付加された時刻情報によって示される時刻を含む期間を対象期間として用いる。具体的には、決定部13aは、時刻情報によって示される時刻の前後の所定時間長さの期間を対象期間として用いる。
【0082】
決定部13aは、対応付け情報15に基づいて、1以上のフィードバック制御系310の各々について、当該フィードバック制御系によって動作する部位と、制御量の種別と、指令値を表す変数とを特定する。さらに、決定部13aは、時系列データセット222aから特定した変数の時系列データ223を抽出し、当該時系列データ223から対象期間における指令値を読み出す。
【0083】
決定部13aは、設計データ320によって示される各部位の物理特性に基づいて、1以上のフィードバック制御系310が対象期間における指令値に従って制御対象を制御したときに生じる不可避な振動量を計算する。決定部13aは、公知の物理シミュレーション技術を用いて、このような振動量を計算すればよい。決定部13aは、計算された振動量または計算された振動量に予め定められたマージンを加えた量に基づいて、1以上のフィードバック制御系310の各々について、制御量の許容範囲Rを計算する。
【0084】
例えば、フィードバック制御系によって動作する部位が多関節ロボットの関節である場合、関節より先のアームの長さ、剛性、または重量などを用いて、関節を動作させたときに関節に生じ得る不可避な振動量が計算される。計算された振動量に基づいて、関節を動作させるフィードバック制御系の制御量の許容範囲Rが計算される。
【0085】
判定部13bは、対応付け情報15に基づいて、1以上のフィードバック制御系310の各々について、当該フィードバック制御系の制御量の実測値を表す変数を特定する。そして、判定部13bは、時系列データセット222aから特定した変数の時系列データ223を抽出し、抽出した時系列データ223から対象期間における制御量の実測値を読み出す。
【0086】
判定部13bは、1以上のフィードバック制御系310の各々について、対象期間における制御量の実測値が許容範囲R内か否かを判定する。判定部13bは、いずれかのフィードバック制御系310に対応する実測値が許容範囲R外であることに応じて、対象期間において生産設備300に異常振動が発生していると判定する。
【0087】
判定部13bは、対象期間において生産設備300に異常振動が発生していると判定すると、対応付け情報15に基づいて、制御量の実測値が許容範囲R外であるフィードバック制御系によって動作する部位を特定する。判定部13bは、処理開始指示に対する回答として、特定した部位を示す部位情報を付加した強調表示指示を出力部12に出力する。
【0088】
<情報処理装置の処理の流れ>
図8は、情報処理装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8に示されるように、情報処理装置100のCPU110は、画面の出力指示を受けたか否かを判断する(ステップS1)。画面の出力指示を受けていない場合(ステップS1でNO)、処理はステップS1に戻る。
【0089】
画面の出力指示を受けた場合(ステップS1でYES)、CPU110は、画面を示す画面データを出力する(ステップS2)。CPU110は、ユーザ入力に応じて、選択された動画50aの再生処理を行なう(ステップS3)。
【0090】
次に、CPU110は、異常判定実行の指示を受けたか否かを判断する(ステップS4)。異常判定実行の指示を受けていない場合(ステップS4でNO)、処理はステップS12に移る。
【0091】
異常判定実行の指示を受けた場合(ステップS4でYES)、CPU110は、画面に表示されているフレームの時刻を特定する(ステップS5)。CPU110は、特定された時刻を含む対象期間を設定する(ステップS6)。
【0092】
次に、CPU110は、選択された時系列データセット222aから、対象期間における各フィードバック制御系の指令値および制御量の実測値を示すデータを抽出する(ステップS7)。
【0093】
次に、CPU110は、生産設備300の設計データ320を読み込む(ステップS8)。CPU110は、1以上のフィードバック制御系310の各々について、対象期間に入力される指令値と設計データ320とに基づいて、対象期間における制御量の許容範囲Rを決定する(ステップS9)。
【0094】
次に、CPU110は、1以上のフィードバック制御系310の各々について、対象期間の制御量の実測値が許容範囲R外であるか否かを判断する(ステップS10)。1以上のフィードバック制御系310の全てにおいて制御量の実測値が許容範囲R内である場合(ステップS10でNO)、処理はステップS12に移る。
【0095】
いずれかのフィードバック制御系310において制御量の実測値が許容範囲R外である場合(ステップS10でYES)、CPU110は、画面に表示されているフレームにおいて、当該フィードバック制御系310によって動作する部位を強調表示する(ステップS11)。
【0096】
ステップS11の後に処理はステップS12に移る。ステップS12において、CPU110は、画面の終了指示を受けたか否かを判断する。画面の終了指示を受けていない場合(ステップS12でNO)、処理はステップS3に戻る。画面の終了指示を受けた場合(ステップS12でYES)、処理は終了する。
【0097】
<画面例>
図9は、情報処理装置から出力される画面に含まれるウィンドウの一例を示す図である。
図10は、情報処理装置から出力される画面に含まれる別のウィンドウの一例を示す図である。
図9に示すウィンドウ60aと
図10に示すウィンドウ60bとは互いに連携しながら同時に表示される。
【0098】
図9に示すウィンドウ60aは、動画を確認するために利用される。ウィンドウ60aは、ボタン61,65と、領域62と、ボタン群63と、スライダー64と、表示欄66とを含む。
【0099】
ボタン61は、表示対象となる動画50aを選択するために使用される。選択部12aとして動作するCPU110は、ボタン61がクリックされると、蓄積された動画50のリストを生成し、ユーザ入力に応じて、リストから表示対象となる動画50aを選択する。さらに、CPU110は、動画50aと同じ収集期間に対応する時系列データセット222aを選択する。
【0100】
領域62には、選択された動画50aが再生される。ボタン群63は、動画の再生に関する複数のボタンとして、再生ボタン、停止ボタン、早送りボタン、または早戻しボタンなどを含む。スライダー64は、領域62に表示される動画50aのフレームを変更するために使用される。CPU110は、ボタン群63およびスライダー64への操作に応じて、領域62に表示される動画50aのフレームを変更する。
【0101】
ボタン65は、異常判定実行を指示するために使用される。CPU110は、ボタン65がクリックされると、時系列データセット222aに含まれる各時系列データ223から、領域62に表示されているフレームの時刻を含む対象期間のデータを抽出する。CPU110は、抽出されたデータによって示される各フィードバック制御系の指令値と設計データ320とに基づいて、当該フィードバック制御系の対象期間における制御量の許容範囲Rを決定する。そして、CPU110は、抽出されたデータによって示される各フィードバック制御系の制御量の実測値と許容範囲Rとを比較することにより、生産設備300に異常振動が発生しているか否かを判定する。異常振動が発生している場合、CPU110は、領域62において、制御量の実測値が許容範囲R外であるフィードバック制御系によって動作する部位を強調表示する。
図9に示す例では、領域62において、制御量の実測値が許容範囲R外であるフィードバック制御系によって動作する部位を囲むように枠線67が表示される。
【0102】
表示欄66には、許容範囲Rに対する制御量の実測値の外れ度(以下、「異常度」と称する)が表示される。異常度は、CPU110によって計算される。異常度は、例えば、指令値と許容範囲Rの限界値との差分に対する、指令値と実測値との差分の比である。複数のフィードバック制御系について制御量の実測値が許容範囲R外である場合、表示欄66には、当該複数のフィードバック制御系についての異常度の代表値(例えば、平均値または最大値)が表示される。
【0103】
図10に示すウィンドウ60bは、1以上のフィードバック制御系310の指令値の推移と制御量の実測値の推移とを確認するために利用される。ウィンドウ60bは、ボタン71と、表示欄72,73とを含む。
【0104】
ボタン71は、表示対象となる時系列データ223を選択するために使用される。CPU110は、ボタン71がクリックされると、生産設備300が有する1以上のフィードバック制御系310のリストを生成し、ユーザに表示対象となるフィードバック制御系の選択を促す。CPU110は、対応付け情報15(
図7参照)に基づいて、選択されたフィードバック制御系に対する指令値を表す変数の時系列データ223と、選択されたフィードバック制御系から出力される制御量の実測値を表す変数の時系列データ223とを表示対象として選択する。CPU110は、選択された時系列データ223の名称を表示欄72に表示する。
【0105】
表示欄73には、選択されたフィードバック制御系の指令値の第1推移と、選択されたフィードバック制御系の制御量の実測値の第2推移とを可視化した情報が表示される。第1推移は、選択されたフィードバック制御系に対する指令値を表す変数の時系列データ223に基づいて生成される。第2推移は、選択されたフィードバック制御系から出力される制御量の実測値を表す変数の時系列データ223に基づいて生成される。
【0106】
表示欄73には、
図9に示すウィンドウ60aの領域62に表示されているフレームの時刻を含む表示期間における第1推移および第2推移を可視化した情報が表示される。表示期間は、上記の対象期間を含み、対象期間よりも長い。
【0107】
図10に示す例では、第1推移と第2推移とを可視化した情報は、グラフ74~76を含む。グラフ74~76の各々において、横軸は時間を表し、縦軸は変数の値を示す。グラフ76には、第1推移を示す線77aが表示される。グラフ75には、第2推移を示す線77bが表示される。グラフ74には、線77a,77bが重ねて表示される。
【0108】
さらに、
図9に示すウィンドウ60aにおいてボタン65がクリックされると、グラフ76には、決定された許容範囲Rが表示される。具体的には、グラフ76には、決定された許容範囲Rの上限および下限をそれぞれ示す線78aおよび線78bが表示される。これにより、ユーザは、線78a,78bと第2推移を示す線77bとの位置関係を比較することにより、生産設備300において異常振動が発生しているか否かを容易に把握できる。
【0109】
さらに、表示欄73には、
図9に示すウィンドウ60aの領域62に表示されるフレームの時刻に対応するライン79が表示される。ライン79は、領域62に表示されるフレームが変化するたびに移動する。
【0110】
<変形例1>
上記の説明では、情報処理装置100は、異常判定実行の指示を受けたことに応じて、異常振動の有無を判定する。しかしながら、異常振動の有無を判定するタイミングは、これに限定されない。例えば、情報処理装置100は、時系列データセット222がPLC200から出力されるたびに、異常振動の有無を判定してもよい。
【0111】
図11は、変形例1に係る情報処理装置における異常振動の判定処理の流れを示すフローチャートである。
図11に示すフローは、PLC200から新たな時系列データセット222が出力されるたびに、当該新たな時系列データセット222に対して実行される。
【0112】
CPU110は、時系列データセット222の収集期間のうちの一部の期間を対象期間として設定する(ステップS21)。例えば、CPU110は、収集期間において、一定間隔の複数の判定対象時刻を設定し、複数の判定対象時刻のうちの1つを含む期間を対象期間として設定する。具体的には、CPU110は、判定対象時刻の前後の所定時間長さの期間を対象期間として設定する。
【0113】
次に、CPU110は、時系列データセット222から、対象期間における各フィードバック制御系の指令値および制御量の実測値を示すデータを抽出する(ステップS22)。
【0114】
次に、CPU110は、設計データ320を読み込む(ステップS23)。CPU110は、1以上のフィードバック制御系310の各々について、対象期間に入力される指令値と設計データ320とに基づいて、対象期間における制御量の許容範囲Rを決定する(ステップS24)。
【0115】
次に、CPU110は、1以上のフィードバック制御系310の各々について、対象期間の制御量の実測値が許容範囲R外であるか否かを判断する(ステップS25)。1以上のフィードバック制御系310の全てにおいて制御量の実測値が許容範囲R内である場合(ステップS25でNO)、処理はステップS27に移る。
【0116】
いずれかのフィードバック制御系310において制御量の実測値が許容範囲R外である場合(ステップS25でYES)、判定部13bとして動作するCPU110は、対象期間を振動発生期間として記録する(ステップS26)。具体的には、CPU110は、ステップS22において抽出されたデータに対して、異常フラグと、制御量の実測値が許容範囲R外となるフィードバック制御系によって動作する部位を示す部位情報とを付加する。
【0117】
ステップS26の後のステップS27において、CPU110は、時系列データセット222の収集期間のうち、対象期間として設定されていない判定対象時刻が存在するか否かを判断する。対象期間として設定されていない判定対象時刻が存在する場合(ステップS27でYES)、処理はステップS21に戻る。対象期間として設定していない判定対象時刻が存在しない場合(ステップS27でNO)、処理は終了する。
【0118】
ステップS21~S27のフローが実行されることにより、時系列データセット222のうち振動発生期間のデータに異常フラグおよび部位情報が付加される。
【0119】
図12は、変形例1に係る情報処理装置における画面の出力処理の流れを示すフローチャートである。
【0120】
まず、CPU110は、画面の出力指示を受けたか否かを判断する(ステップS31)。画面の出力指示を受けていない場合(ステップS31でNO)、処理はステップS31に戻る。
【0121】
画面の出力指示を受けた場合(ステップS31でYES)、CPU110は、生産設備300を撮影することにより得られる動画50が再生される画面を示す画面データを出力する(ステップS32)。
【0122】
次に、CPU110は、ユーザ入力に応じて、選択された動画50aの再生処理を行なう(ステップS33)。CPU110は、表示されているフレームの時刻が振動発生期間に属するか否かを判断する(ステップS34)。具体的には、CPU110は、時系列データセット222において、表示されているフレームの時刻のデータに異常フラグおよび部位情報が付加されているか否かを判断する。CPU110は、表示されているフレームの時刻のデータに異常フラグおよび部位情報が付加されていることに応じて、表示されているフレームの時刻が振動発生期間に属すると判断する。
【0123】
表示されているフレームの時刻が振動発生期間に属する場合(ステップS34でYES)、CPU110は、表示されているフレームにおいて、部位情報によって示される部位を強調表示する(ステップS35)。これにより、制御量の実測値が許容範囲R外であるフィードバック制御系310によって動作する部位が強調表示される。
【0124】
ステップS35の後、または、ステップS34でNOの場合、CPU110は、画面の終了指示を受けたか否かを判断する(ステップS36)。画面の終了指示を受けていない場合(ステップS36でNO)、処理はステップS33に戻る。画面の終了指示を受けた場合(ステップS36でYES)、処理は終了する。
【0125】
図12に示すフローの実行によって出力される画面は、上記の実施の形態と同様に、
図9に示すウィンドウ60aと
図10に示すウィンドウ60bとを含む。ただし、変形例1では、画面が出力される前に異常振動の有無の判定処理が行なわれているため、ウィンドウ60aにおいてボタン65が省略される。
【0126】
<変形例2>
上記の説明では、情報処理装置100に内蔵される記憶部10に動画50および時系列データセット222が蓄積されるものとした。しかしながら、情報処理装置100の外部のデータベースまたはサーバに動画50および時系列データセット222が蓄積されてもよい。この場合、情報処理装置100のCPU110は、データベースまたはサーバにアクセスして、表示対象となる動画50aおよび時系列データセット222aを取得すればよい。
【0127】
<変形例3>
上記の説明では、情報処理装置100は、PLC200とは異なる装置とした。しかしながら、情報処理装置100は、PLC200と一体化されてもよい。例えば、情報処理装置100は、PLC200の機能を含む産業用パーソナルコンピュータ(Industrial Personal Computer(IPC))によって実現されてもよい。
【0128】
一変形例として、情報処理装置100の構成および動作を、互いに通信可能な複数のコンピュータに分散させた形態も可能である。
【0129】
例えば、情報処理装置100の一部の構成要素を、クラウドコンピューティングシステムまたはその他のコンピューティングシステムに属するサーバ等のコンピュータに設けた形態も可能である。
【0130】
別の例として、情報処理装置100の一部の構成要素を、制御対象を制御するPLC等のコンピュータに設けた形態も可能である。この場合、情報処理装置100は、制御対象に対する制御演算に影響を与えることなく、上述した処理を実行可能なように構成される。
【0131】
<変形例4>
汎用のコンピュータを、上述した実施の形態に係る情報処理装置100として機能させる実施の形態も可能である。具体的には、上述した実施の形態に係る情報処理装置100の各機能を実現する処理内容を記述した解析プログラム116を、汎用のコンピュータのメモリに格納し、プロセッサによって解析プログラム116を読み出して実行させる。したがって、本実施の形態に係る発明は、プロセッサが実行可能な解析プログラム116、又は解析プログラム116を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体としても実現可能である。
【0132】
§3 付記
以上のように、本実施の形態は以下のような開示を含む。
【0133】
(構成1)
情報処理装置(100)であって、
対象期間に生産設備(300)が有するフィードバック制御系(310)へ入力される指令値と前記生産設備(300)の設計データ(320)とに基づいて、前記対象期間における前記フィードバック制御系(310)の制御量の許容範囲を決定する決定部(13a,110)と、
前記対象期間における前記制御量の実測値が前記許容範囲外であることに応じて、前記対象期間において前記生産設備(300)に異常振動が発生していると判定する判定部(13b,110)とを備える、情報処理装置(100)。
【0134】
(構成2)
前記決定部(13a,110)は、前記設計データ(320)によって示される前記生産設備(300)の物理特性に基づいて、前記フィードバック制御系(310)が前記指令値に従って前記生産設備(300)を制御した場合における前記物理特性に起因する振動量を計算し、前記振動量に基づいて前記許容範囲を決定する、請求項1に記載の情報処理装置(100)。
【0135】
(構成3)
前記生産設備(300)の動画(50a)が再生される画面(60)を示す画面データを出力する出力部(12,110)をさらに備え、
前記決定部(13a,110)は、前記動画(50a)のうち前記画面(60)に表示されるフレームの時刻を含む期間を前記対象期間として用いる、構成1または2に記載の情報処理装置(100)。
【0136】
(構成4)
前記異常振動が発生していると判定されたことに応じて、前記フレームにおいて、前記生産設備(300)のうち前記フィードバック制御系(310)によって動作する部位が強調表示される、構成3に記載の情報処理装置(100)。
【0137】
(構成5)
前記生産設備(300)の動画(50a)が再生される画面(60)を示す画面データを出力する出力部(12,110)をさらに備え、
前記判定部(13b,110)は、前記異常振動が発生していると判定された前記対象期間を振動発生期間として記録し、
前記動画(50a)のうち前記画面(60)に表示されるフレームの時刻が前記振動発生期間に属することに応じて、前記フレームにおいて、前記生産設備(300)のうち前記フィードバック制御系(310)によって動作する部位が強調表示される、構成1または2に記載の情報処理装置(100)。
【0138】
(構成6)
前記画面(60)は、前記フレームの時刻を含む表示期間において前記フィードバック制御系(310)へ入力された指令値の第1推移と、前記表示期間における前記制御量の実測値の第2推移とを可視化した情報(74~76)を含む、構成3から5のいずれかに記載の情報処理装置(100)。
【0139】
(構成7)
前記情報は、前記第1推移と前記第2推移とを示すグラフ(74)を含み、
前記グラフ(74)には、前記許容範囲が表示される、構成6に記載の情報処理装置(100)。
【0140】
(構成8)
情報処理方法であって、
対象期間に生産設備(300)が有するフィードバック制御系(310)へ入力される指令値と前記生産設備(300)の設計データ(320)とに基づいて、前記対象期間における前記フィードバック制御系(310)の制御量の許容範囲を決定することと、
前記対象期間における前記制御量の実測値が前記許容範囲外であることに応じて、前記対象期間において前記生産設備(300)に異常振動が発生していると判定することとを備える、情報処理方法。
【0141】
(構成9)
情報処理方法をコンピュータ(100,110)に実行させるプログラム(160)であって、
前記情報処理方法は、
対象期間に生産設備(300)が有するフィードバック制御系(310)へ入力される指令値と前記生産設備(300)の設計データ(320)とに基づいて、前記対象期間における前記フィードバック制御系(310)の制御量の許容範囲を決定することと、
前記対象期間における前記制御量の実測値が前記許容範囲外であることに応じて、前記対象期間において前記生産設備(300)に異常振動が発生していると判定することとを含む、プログラム(160)。
【0142】
本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0143】
1 製造システム、10 記憶部、11 設定部、11a 収集データ設定部、11b カメラ設定部、12 出力部、12a 選択部、12b 動画出力部、12c 時系列データ出力部、13 処理部、13a 決定部、13b 判定部、15 対応付け情報、20 制御部、22 データ収集部、50,50a 動画、60a,60b ウィンドウ、61,65,71 ボタン、62 領域、63 ボタン群、64 スライダー、66,72,73 表示欄、67 枠線、74~76 グラフ、100 情報処理装置、108,208 ストレージ、110,202 CPU、112,206 メモリ、114 ハードディスク、116 解析プログラム、118 入力インターフェイス、120 表示コントローラ、122 ディスプレイ、124 通信インターフェイス、126 データリーダ/ライタ、128 バス、130 記憶媒体、132 入力装置、200 PLC、201 電源回路、204 チップセット、211 システムプログラム、213 スケジューラプログラム、214 制御プログラム、215 リフレッシュプログラム、216 データ収集プログラム、220 IOデータ、222,222a 時系列データセット、223 時系列データ、224 ログデータ、230 設定情報、250 USBコントローラ、252 フィールドネットワークコントローラ、252a,254a コネクタ、254 ネットワークコントローラ、260 タイマ、300 生産設備、310 フィードバック制御系、320 設計データ、400 カメラ。